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特開2024-25839水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025839
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/32 20060101AFI20240220BHJP
   F01D 25/30 20060101ALI20240220BHJP
   F02C 7/141 20060101ALI20240220BHJP
   F02C 6/18 20060101ALI20240220BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20240220BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
F01D25/32 C
F01D25/30 F
F01D25/32 Z
F02C7/141
F02C6/18 A
F02C7/00 B
F01D25/00 V
F01D25/00 W
F02C7/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022127881
(22)【出願日】2022-08-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】麻尾 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和彦
(57)【要約】
【課題】効率的な運転ができる水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法を提供する。
【解決手段】水回収システムは、排熱回収ボイラから排出される排ガスと冷媒水との熱交換によって排ガスから水分を回収するための水回収装置と、水回収装置によって回収された水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、回収水を水回収装置から回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、水回収装置における冷媒水と排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサと、水回収装置に冷媒水として流入する回収水の流量が設定された水回収熱交換量に応じた流量になるよう、第1センサから出力される検出信号に基づき回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される水分を含む排ガスから回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムであって、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスと冷媒水との熱交換によって前記排ガスから前記水分を回収するための水回収装置と、
前記水回収装置によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記回収水を前記水回収装置から前記回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、
前記水回収装置における前記冷媒水と前記排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサと、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、
を備える、
水回収システム。
【請求項2】
前記回収水を冷却するための冷却水の前記回収水冷却装置への供給ラインである冷却水供給ラインと、
前記冷却水を前記冷却水供給ラインから前記回収水冷却装置に送るための冷却水ポンプと、
前記回収水冷却装置における前記回収水と前記冷却水との熱交換量である冷却熱交換量に関与する特性値を検出するための第2センサと、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記冷却水の流量が、設定された前記冷却熱交換量に応じた流量になるよう、前記第2センサから出力される検出信号に基づき前記冷却水ポンプの前記回転数を制御するように構成される、
請求項1に記載の水回収システム。
【請求項3】
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に供給するための回収水供給ラインをさらに備え、
前記水回収装置は、
前記回収水供給ラインによって供給される前記冷媒水が流入するための冷媒水流入口と、前記冷媒水流入口よりも下方で前記排ガスが流入するための排ガス流入口とを有する熱交換容器と、
前記冷媒水流入口に接続され、前記熱交換容器の内部で前記冷媒水を散水するための散水装置と、
前記熱交換容器の内側において前記散水装置よりも下方に配置されており、前記排ガスから前記水分を回収するための充填物と、
を有する、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項4】
前記水回収装置から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置に供給するための回収水排出ラインをさらに備え、
前記熱交換容器は、前記回収水を貯める貯水槽であって、前記回収水排出ラインが接続される貯水槽をさらに有する、
請求項3に記載の水回収システム。
【請求項5】
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクをさらに備え、
前記水回収システムは、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に供給するための回収水供給ラインと、
前記回収水供給ラインに接続される低温給水ラインであって、前記回収水供給ラインから取り出された前記回収水を前記補給水タンクに導くための低温給水ラインと、
前記低温給水ラインを流れる前記回収水に対して、不純物を除去する処理を施すための水処理装置と、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項6】
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクをさらに備え、
前記水回収システムは、
前記水回収装置から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置に供給するための回収水排出ラインと、
前記回収水排出ラインに接続される高温給水ラインであって、前記回収水排出ラインから取り出された前記回収水を前記補給水タンクに導くための高温給水ラインと、
を備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項7】
前記第1センサは、前記水回収装置における前記排ガスの出口温度を検出するための排ガス出口温度センサを含み、
前記コントローラは、前記水回収装置から前記排ガスの前記出口温度が目標温度になるよう前記回収水ポンプの前記回転数を制御することで、前記回収水の前記流量を設定された前記水回収熱交換量に応じた前記流量にするように構成される、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まる前記ボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される、
請求項5に記載の水回収システム。
【請求項9】
請求項1に記載の水回収システムと、
前記ガスタービンと、
前記排熱回収ボイラと、
前記水回収システムによって回収された前記回収水を、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクと、
を備えるガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項10】
前記補給水タンクと前記排熱回収ボイラとに接続される給水ラインと、
前記給水ラインから取り出されるボイラ給水が流れるための排水ラインと、
前記排水ラインに設けられる排水開閉弁と、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まるボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記排水開閉弁を制御するように構成される、
請求項9に記載のガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まるボイラ給水が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される、
請求項9または10に記載のガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項12】
請求項1に記載の水回収システムと、前記ガスタービンと、前記排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法であって、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの前記回転数を制御する回収水ポンプ制御ステップを備える、
ガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高湿分空気利用型のガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムが知られている。例えば特許文献1に開示されるガスタービンコジェネレーションシステムは、燃焼器、ガスタービン、排熱回収ボイラ、および、水回収システムを備える。燃焼器では、圧縮空気、燃料、および蒸気が混合されて燃焼が起こる。燃焼器から排出される水分を含んだ排ガスは、ガスタービン、排熱回収ボイラを順に流れる。そして、水回収システムは、排熱回収ボイラからの排ガスに含まれる水分を回収するように構成される。より具体的には、水回収システムの水回収装置において、排ガスと冷媒水(回収水)とが互いに熱交換し、排ガスから水分が回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-060012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水回収装置に流入する排ガスが有する熱量は、ガスタービンコジェネレーションシステムの運転条件に応じて変化する。例えば、起動運転から定格運転への切替え、燃焼器に供給される燃料の切替え、燃焼器に供給する蒸気供給量の変更などによって、排ガスが有する熱量は変化する。この熱量の変化が起きても水回収装置に流入する冷媒水の流量が一定であるならば、水回収システムの効率的な運転は困難となる。一例をあげると、水回収装置に流入する排ガスが有する熱量が減少したにも関わらず冷媒水の流量が一定であると、熱交換を終えた排ガスの温度は大きく下がる。この場合、水回収量は増加するものの、総合的にみて経済的でない。すなわち冷媒水の温度を下げる冷却系統において無駄な負荷を発生させてしまう。
【0005】
本開示の目的は、効率的な運転ができる水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システムは、
ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される水分を含む排ガスから回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムであって、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスと冷媒水との熱交換によって前記排ガスから前記水分を回収するための水回収装置と、
前記水回収装置によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記回収水を前記水回収装置から前記回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、
前記水回収装置における前記冷媒水と前記排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するためのセンサと、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、
を備える。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステムは、
上記水回収システムと、
前記ガスタービンと、
前記排熱回収ボイラと、
前記水回収システムによって回収された前記回収水を、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクと、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法は、上記水回収システムと、前記ガスタービンと、前記排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法であって、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの前記回転数を制御する回収水ポンプ制御ステップを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、効率的な運転ができる水回収システム、ガスタービンコジェネレーションシステム、および、その運転方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステムの概略図である。
図2】一実施形態に係る水回収システムを示す概略図である。
図3】不純物成分量が許容上限値を超える場合のガスタービンコジェネレーションシステムの運転状態を示す概略図である。
図4】不純物成分量が許容値以下である場合のガスタービンコジェネレーションシステムの運転状態を示す概略図である。
図5】不純物成分量が許容値を超え且つ許容上限値以下である場合のガスタービンコジェネレーションシステムの運転状態を示す概略図である。
図6】一実施形態に係る補給水タンク17を示す概略図である。
図7】一実施形態に係るポンプ制御処理を示すフローチャートである。
図8】一実施形態に係るタンク貯水量制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0012】
<1.ガスタービンコジェネレーションシステム100の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステム100(以下、単にコジェネシステム100という場合がある)の概略図である。コジェネシステム100は、大気6から圧縮空気7を生成するための圧縮機1と、圧縮空気7と燃料とが混合されるように構成される燃焼器3と、燃焼器3から排出される燃焼ガス12を駆動源として回転するためのガスタービン2と、ガスタービン2に連結される発電機5と、排熱回収ボイラ14とを備える。排熱回収ボイラ14は、ガスタービン2から排出される水分を含んだ排ガス13から回収した熱を利用してボイラ給水から蒸気を生成するように構成される。なお、ボイラ給水は排熱回収ボイラ14に供給されるための水である。コジェネシステム100は、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13が流れるための主排気ダクト57をさらに備える。
【0013】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム100は、排熱回収ボイラ14から排出される蒸気の温度を下げるための減温器22をさらに備える。減温器22は、例えば、排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の一部が冷水として流入するように構成されており(矢印B参照)、該冷水が減温器22の内部で噴射されることによって蒸気は冷まされる。冷まされた蒸気は、圧縮空気7から排出される圧縮空気7と混ざり、燃焼器3に供給される。
【0014】
本開示の一実施形態に係る燃焼器3には、液体燃料としての第1燃料または気体燃料としての第2燃料が選択的に供給される。本例では、液体燃料としての第1燃料が複数種類さらに用意されており、コジェネシステム100の運転状態に応じて第1燃料のなかでも特定の第1燃料が選択的に供給される(第2燃料についても同様であってもよい)。
【0015】
燃料の供給系統の説明を続ける。コジェネシステム100は、第1燃料の供給源である第1燃料供給設備10と、第1燃料の燃焼器3への供給ラインである第1燃料供給ライン151と、第1燃料供給ライン151に設けられる第1燃料供給弁11と、第2燃料の供給源である第2燃料供給設備8と、第2燃料の燃焼器3への供給ラインである第2燃料供給ライン152と、第2燃料供給ライン152に設けられる第2燃料供給弁9とを備える。燃焼器3では、第1燃料または第2燃料のいずれかと圧縮空気7とが混ざり、燃焼が起こる。燃焼による火炎中に上述の蒸気が噴射される。そのためガスタービン2からの排ガス13には、大気中水分、燃焼生成水分と蒸気噴射水分が含まれる。そして、排ガス13の水分は後述の水回収システム60によって回収される。
【0016】
本開示では一例として、第1燃料は油燃料であり、第1燃料供給設備10は重油(HFO:Heavy Fuel Oil)または灯油(Kerosene)を選択的に供給可能である。換言すると、燃焼器3に供給される第1燃料は、重油と灯油との間で選択的に切り替えられる。他の例に係る第1燃料供給設備10は、重油、灯油、または軽油を選択的に供給するように構成されてもよいし、これらのうちいずれか1つの油燃料のみを供給するように構成されてもよい。また本開示では一例として、第2燃料はガス燃料(GF:Gas Fuel)である。第2燃料供給設備8は、オフガス、LPG、水素ガス、またはアンモニアガスのいずれかを選択的に供給するように構成されてもよい。本例のオフガスは硫化水素を含まないオフガスであるが、硫化水素を含むオフガスが第2燃料として採用されてもよいし、両オフガスの何れかが選択的に燃焼器3に供給されてもよい。
【0017】
本例のコジェネシステム100は、補給水ライン15と、補給水ライン15から供給される補給水をボイラ給水として貯める補給水タンク17と、補給水タンク17と排熱回収ボイラ14とに接続される給水ライン19と、給水ライン19に設けられる給水ポンプ18とを備える。給水ポンプ18が駆動すると、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水は給水ライン19を流れて排熱回収ボイラ14に供給される。排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の温度は高い方が好ましい。排熱回収ボイラ14が蒸気を生成するために必要とする熱量が低減し、コジェネシステム100の効率は向上するからである。なお、本例の給水ポンプ18は一定回転数で駆動するように構成されており、給水ポンプ18から送出されるボイラ給水の流量制御は、給水ポンプ18の出口弁における開度調整を通じて実行される。開度調整は後述のコントローラ90によって実行される。なお、他の例に係る給水ポンプ18はインバータ制御によって回転数を調節できる構成を有してもよい。
【0018】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム100は、給水ポンプ18と排熱回収ボイラ14との間で給水ライン19に接続される排水ライン49と、排水ライン49に設けられる排水開閉弁(スピルオーバ弁)50とをさらに備える。後述するように、補給水タンク17には、補給水ライン15だけでなく水回収システム60からもボイラ給水が供給され、補給水タンク17における貯水量が許容上限貯水量を超えるおそれがある。本例ではそうならないよう、貯水量が許容上限貯水量よりも少ない規定貯水量を超えることに応じて、排水開閉弁50が開放され、補給水タンク17内にある余剰分のボイラ給水が排水ライン49から排出される。排水開閉弁50の開閉は後述のコントローラ90から送られる指令によって実行される。排水ライン49を流れる余剰分のボイラ給水は、コジェネシステム100を構成する他の機器に補給水として供給されてもよい。
【0019】
なお、排水ライン49と排水開閉弁50は設けられなくてもよい。例えば、水回収システム60から補給水タンク17に供給される水(回収水)の流量制御を通じて、補給水タンク17内の貯水量は制御可能である(制御の詳細は後述する)。また好ましくは、排水ライン49と排水開閉弁50による貯水量制御と、水回収システム60から補給水タンク17に供給される回収水の流量制御を通じた貯水量制御との組合せ制御でもよい。
【0020】
本開示の必須の構成要素ではないが、コジェネシステム100は、主排気ダクト57に連通する排気ダクト29と、排気ダクト29に設けられる通気ダンパ31と、排気ダクト29に連結される排気塔30とを備える。通気ダンパ31が開放されたときには、主排気ダクト57を流れる排ガス13は、排気ダクト29を経由して排気塔30から系外に排出される。また本開示の主排気ダクト57は水回収システム60にも連結されている。そして、通気ダンパ31が閉鎖されたときには、主排気ダクト57を流れる排ガス13はコジェネシステム100の構成要素である水回収システム60へと流れ、排ガス13に含まれる水分が回収される。
【0021】
<2.水回収システム60>
図2は、本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システム60を示す概略図である。コジェネシステム100に設置される水回収システム60の概要は以下の通りである。水回収システム60は水回収装置33を備えており、水回収装置33に流入する冷媒水を用いて、排ガス13に含まれる水分は回収される。回収された水分と冷媒水とを含む回収水の少なくとも一部は水回収システム60において循環し、冷媒水として水回収装置33に流入する。なお、本開示の必須の構成ではないが、回収水の一部が水回収システム60の構成要素である給水ライン4を経由して補給水タンク17に供給されてもよい。
【0022】
水回収システム60の構成を説明する。水回収システム60は、水回収装置33、回収水排出ライン39、回収水冷却装置40、回収水供給ライン42、および、回収水ポンプ38を備える。水回収装置33は、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13と冷媒水との熱交換によって、排ガス13から水分を回収するように構成される。回収水排出ライン39は、水回収装置33と回収水冷却装置40とに接続されており、水回収装置33から排出された回収水を回収水冷却装置40に供給するように構成される。回収水冷却装置40は、回収水排出ライン39を流れる回収水を冷却するように構成される。回収水冷却装置40の冷却系統については後述する。回収水供給ライン42は、回収水冷却装置40と水回収装置33とに接続されており、回収水冷却装置40によって冷却された回収水を冷媒水として水回収装置33に供給するように構成される。回収水ポンプ38は、回収水を水回収装置33から回収水冷却装置40に送るための動力源であり、回収水排出ライン39に設けられる。回収水ポンプ38はインバータ54を含んでおり、回収水ポンプ38の回転数は制御可能である。
【0023】
水回収装置33における排ガス13と冷媒水との熱交換量(Qd)は、式(1)によって示される。
Qd=Qgi-Qgo=Qco-Qci ・・・式(1)
式(1)において、Qgiは水回収装置33に流入する排ガス13が有する熱量であり、Qgoは水回収装置33から排出される排ガス13が有する熱量であり、Qcoは水回収装置33から排出される回収水が有する熱量であり、Qciは水回収装置33に流入する冷媒水(回収水)が有する熱量である。以下では、水回収装置33における排ガス13と冷媒水との熱交換量(Qd)を「水回収熱交換量」という場合がある。
【0024】
水回収装置33に流入する排ガス13が有する熱量(Qgi)は、コジェネシステム100の運転条件に応じて変化する。より具体的な一例として、起動運転、部分負荷運転、または定格運転などコジェネシステム100の運転状態(換言するとコジェネシステム100における熱負荷)に応じて、水回収装置33に流入する排ガス13の温度または流量の少なくとも一方は変化する。また、この運転状態の変化の際には、燃焼器3に供給される燃料の切替え、圧縮機1から送出される圧縮空気7に混入する蒸気量の変更、またはこれらの組み合わせが起きる。結果、排ガス13に含まれる水分量は変化し、排ガス13が有する熱量は変化する。より具体的には、排ガス13に含まれる水分量が増えるほど、排ガス13の熱量は増加する(水分が保有する総熱量が増大するからである)。
【0025】
上記のような運転条件の変化に応じて排ガス13が有する熱量(Qgi)が下がった場合において、回収水ポンプ38の回転数が一定であり且つ水回収装置33での回収水の受熱量(即ち、Qco-Qci)が一定であるならば、水回収装置33から排出される排ガス13の熱量(Qgo)は低下する。つまり、水回収装置33から排出される排ガス13の温度(以下、排ガス出口温度という場合がある)は低下する。このことは式(1)より求まる以下の式(1A)からも自明である。
Qgo=Qgi-(Qco-Qci) ・・・式(1A)
【0026】
他方で、水回収装置33に流入する冷媒水の温度は、設定された排ガス出口温度よりも低くする必要がある。しかし例えば水回収装置33に流入する排ガスの温度が下がり続ける一方、冷媒水の流量が一定であるように運転され続けると、必要以上に排ガスの温度は低下してしまう。これではコジェネシステム100の効率的かつ経済的な運転の観点から好ましくない。そこで本開示では、水回収装置33に流入する排ガス13の熱量(Qgi)の変化に応じて、水回収システム60における回収水の受熱量が変化するよう制御がなされる。より詳細には、回収水ポンプ38の回転数制御を通じて水回収システム60における回収水の流量制御がなされる。
【0027】
回収水ポンプ38の回転数制御は、水回収システム60の構成要素であるコントローラ90によって実行される。より詳細には、水回収装置33に冷媒水として流入する回収水の流量が設定された水回収熱交換量に応じた流量になるよう、コントローラ90は水回収熱交換量に関与する特性値に基づき回収水ポンプ38の回転数を制御する。コントローラ90に入力される水回収熱交換量に関与する特性値は、第1センサ91から出力される検出信号である。第1センサ91は、水回収熱交換量に関与する特性値を検出するように構成されていればどのような種別のセンサであってもよい。本開示の第1センサ91は一例として、排ガス出口温度を検出するための排ガス出口温度センサである。排ガス出口温度センサによって検出される排ガス出口温度は、式(1)で示されるQgoに関与するパラメータであるため、水回収熱交換(Qd)に関与する特性値であると了解される。
【0028】
回収水ポンプ38の回転数制御の詳細は一例として以下の通りである。コントローラ90は、排ガス出口温度が目標温度(以下、目標排ガス出口温度という場合がある)になるよう回収水ポンプ38の回転数を制御することで、回収水の流量を設定された水回収熱交換量に応じた流量にする。より具体的には、目標排ガス出口温度と第1センサ91によって検出される排ガス出口温度との偏差に基づいた制御信号を、コントローラ90は回収水ポンプ38のインバータ54に入力する。インバータ54に入力される制御信号はフィードバック制御信号であり、より詳細な一例としてPI制御信号である。回収水ポンプ38の回転数制御によって水回収システム60において循環する回収水の流量が制御されるので、コントローラ90は該流量を設定された水回収熱交換量に応じた流量にできる。例えば、流入する排ガス13の熱量(Qgi)が低下すると、回収水の受熱量(Qco-Qci)が相対的に大きくなり、排ガス出口温度はフィードバック制御における目標値である目標排ガス出口温度よりも小さくなる。この場合、回収水ポンプ38の回転数を下げる制御信号がインバータ54に入力される。回収水の流量が低下するので、回収水の受熱量は小さくなり、排ガス出口温度は上昇する。反対に排ガス13の熱量(Qgi)が増大する場合は、上記とは逆の制御が実行されて、回収水ポンプ38の回転数は増大する(詳説は省略する)。
【0029】
上記構成によれば、水回収装置33に流入する排ガス13が有する熱量が下がる場合、必要とされる水回収熱交換量が小さくなる。この場合、コントローラ90が回収水ポンプ38の回転数を抑えることで、回収水の流量を小さくでき、水回収システム60における消費電力を抑えることができる。また、水回収装置33に流入する排ガス13が有する熱量が増大する場合、必要とされる水回収熱交換量が大きくなる。この場合、コントローラ90が回収水ポンプ38の回転数を増大させることで、回収水の流量を大きくできる。つまり、回収水ポンプ38の回転数は、必要となる水回収熱交換量に応じて増大する。従って、水回収システム60は消費電力が無駄に増大するのを抑制できる。以上より、効率的な運転ができる水回収システム60が実現される。
【0030】
また、上記構成によれば、排ガス13の出口温度が目標温度になるようコントローラ90が回収水ポンプ38の回転数を制御することで、水回収装置33に流入する排ガス13の熱量に応じて水回収装置33における熱交換量を制御することが可能になる。
【0031】
なお、第1センサ91は、排ガス出口温度センサのみならず、水回収装置33における排ガス13の入口温度を検出する排ガス入口温度センサを含んでもよい。この場合、排ガス入口温度と排ガス出口温度とのそれぞれに基づきQgiとQgoを算出し、QgiとQgoとの差分に応じてコントローラ90は回収水ポンプ38を制御してもよい。このような制御であっても、上記利点は得られる。また、第1センサ91の検出信号が示す排ガス出口温度が規定の関数式に入力されることで、回収水ポンプ38の回転数が求められてもよい。回収水ポンプ38の回転数が該回転数になるよう、コントローラ90は回収水ポンプ38を制御する場合であっても、上記利点は得られる。
【0032】
<3.回収水冷却装置40>
図2を参照し、回収水冷却装置40の冷却系統を説明する。水回収システム60は、回収水を冷却するための冷却水の供給源である冷却水源51と、冷却水源51から回収水冷却装置40への冷却水の供給ラインである冷却水供給ライン41と、冷却水源51から回収水冷却装置40に冷却水を送るための冷却水ポンプ52と、回収水冷却装置40からの冷却水の排出ラインである冷却水排出ライン59とを備える。冷却水ポンプ52の駆動によって冷却水供給ライン41から回収水冷却装置40に冷却水が流入する。回収水冷却装置40に流入する冷却水が、回収水冷却装置40に流入する回収水と熱交換を行うことで、回収水は冷却される。回収水冷却装置40における熱交換量(冷却熱交換量)は、回収水冷却装置40において冷却水が回収水から回収した熱量である。なお、同図の例では、冷却水ポンプ52は冷却水供給ライン41に設けられているが、冷却水排出ライン59に設けられてもよい。
【0033】
冷却水ポンプ52はインバータ55を含んでおり、冷却水ポンプ52の回転数はコントローラ90によって制御可能である。より詳細には、回収水冷却装置40に流入する冷却水の流量が設定された冷却熱交換量に応じた流量になるよう、コントローラ90は冷却熱交換量に関与する特性値に基づき冷却水ポンプ52の回転数を制御する。コントローラ90に入力される冷却熱交換量に関与する特性値は、回収水温度センサ92から出力される検出信号であり、回収水温度センサ92は回収水冷却装置40の出口における回収水の温度(以下、冷却回収水温度という場合がある)を検出するように構成される。冷却回収水温度は、回収水冷却装置40から流出する回収水が有する熱量に関与するパラメータであるため、冷却熱交換量に関与する特性値であると了解される。
【0034】
冷却水ポンプ52の回転数制御の詳細は一例として以下の通りである。コントローラ90は、冷却回収水温度が目標温度になるよう冷却水ポンプ52の回転数を制御することで、冷却水の流量を設定された冷却熱交換量に応じた流量にする。より具体的には、コントローラ90は、冷却回収水温度の目標温度と回収水温度センサ92によって検出される冷却回収水温度との偏差に基づいた制御信号を冷却水ポンプ52のインバータ55に入力する。インバータ55に入力される制御信号はフィードバック制御信号であり、より詳細な一例としてPI制御信号である。冷却水ポンプ52の回転数制御によって回収水冷却装置40に供給される冷却水の流量が制御されるので、コントローラ90は該流量を、設定された冷却熱交換量に応じた流量にできる。これにより、コントローラ90は、回収水冷却装置40に流入する冷媒水としての回収水の温度を制御できる。冷媒水の流量と温度が制御できるので、回収水冷却装置40に流入する回収水の熱量(Qci)をコントローラ90は制御することが可能になる。よって、水回収装置33における水回収熱交換量をより精度よく制御することができる。
【0035】
<4.水回収装置33>
図2を参照し、本開示の一実施形態に係る水回収装置33の構成を例示する。水回収装置33は、排ガス13と冷媒水とが互いに熱交換するように構成される熱交換容器130を有する。熱交換容器130は、回収水供給ライン42によって供給される冷媒水(回収水)が流入するための冷媒水流入口132と、水回収排気ダクト129によって供給される排ガス13が流入するための排ガス流入口131とを有する。同図の例では、排ガス流入口131は冷媒水流入口132よりも下方に位置する。熱交換容器130の内部では、排ガス13と冷媒水とが気液接触することで熱交換が実行され、排ガス13から水分が回収される。水分を回収された排ガス13は、熱交換容器130の排ガス流出口133から排出される(矢印A)。排ガス流出口133は冷媒水流入口132よりも上方に位置する。なお、上述した排ガス出口温度センサとしての第1センサ91は、排ガス流出口133における排ガス13の温度を検出するように構成されている。
【0036】
本例の水回収装置33は充填物式水回収装置である。より具体的な一例として、水回収装置33は、熱交換容器130の内部で冷媒水を散水するための散水装置34をさらに有しており、散水装置34は、冷媒水流入口132に接続される配管を有する。また、水回収装置33は、熱交換容器130に収容される充填物35をさらに有し、充填物35は、散水装置34と排ガス流入口131との間の高さ位置に配置される。本例では、散水装置34の配管に設けられたノズルから冷媒水が充填物35に向けて散水される。排ガス13は、充填物35に付着した冷媒水と熱交換を行い、排ガス13の水分が凝縮して落下する。本例の熱交換容器130の下部は充填物35から落下する回収水を貯める貯水槽136であり、貯水槽136の底部には回収水流出口134が設けられている。貯水槽136に貯まる水分を含む回収水は、回収水流出口134を経由して回収水排出ライン39に流れる。
【0037】
上記構成によれば、熱交換容器130の内部において散水された冷媒水が充填物35に付着する。そして、排ガス13が、充填物35に付着した冷媒水と熱交換を行うことで、排ガス13に含まれる回収水を回収できる。また、余剰分の回収水が貯水槽136に貯まることができるので、回収水ポンプ38の回転数を広い範囲で制御することが可能になる。これにより、水回収装置33に流入する排ガス13の熱量が大きく増大しても、熱量の増大量に応じた流量の冷媒水を水回収装置33に供給することができる。
【0038】
<5.給水ライン4>
水回収システム60は、回収水を補給水タンク17に導くための給水ライン4をさらに備え、給水ライン4は、高温給水ライン44と低温給水ライン47とを含む。高温給水ライン44は、回収水排出ライン39に接続されており、回収水排出ライン39から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。回収水排出ライン39を流れる回収水は、排ガス13から回収された熱を有するため、比較的高い温度を有する。低温給水ライン47は、回収水供給ライン42に接続されており、回収水供給ライン42から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。低温給水ライン47を流れる回収水は、回収水冷却装置40による冷却処理が施されているため、比較的低い温度を有する。低温給水ライン47には水回収システム60の構成要素である水処理装置46が設けられている。水処理装置46は、低温給水ライン47を流れる回収水に対して不純物を除去する処理を施すように構成される。不純物は燃焼器3(図1参照)での燃焼に伴って生じ、排ガス13に混入する。この不純物の少なくとも一部は、水回収装置33での排ガス13と冷媒水との熱交換により、回収水に溶解する。水処理装置46が、回収水に含まれた不純物を除去することで、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水に不純物が含まれることが抑制される。一般に、回収水の温度が低い方が、水処理装置46の不純物除去処理は向上する。本例の水処理装置46は、回収水に含まれる不純物を除去するためのイオン交換樹脂146を含む。イオン交換樹脂146は、回収水に溶解したイオン状態の不純物を、イオン交換作用によって吸着するように構成される。
【0039】
図2で例示される実施形態では、高温給水ライン44と低温給水ライン47とが使い分けられるようになっている。より具体的な構成例として、水回収システム60は、高温給水ライン44に設けられる高温給水開閉弁48と、低温給水ライン47に設けられる低温給水開閉弁45とをさらに備える。水回収装置33から排出される回収水が水処理装置46による不純物除去処理を不要とする場合には、高温給水開閉弁48が開放され、低温給水開閉弁45が閉鎖される。これにより、高温の回収水が補給水タンク17に供給され、低温の回収水は補給水タンク17に供給されない。他方で、回収水が不純物除去処理を必要とする場合には、高温給水開閉弁48が閉鎖され、低温給水開閉弁45が開放される。これにより、低温の回収水が補給水タンク17に供給され、高温の回収水は補給水タンク17に供給されない。高温給水ライン44と低温給水ライン47との使い分けの詳細は後述する。
【0040】
また、本開示では一例として不純物は硫黄を含む。例えば、燃焼器3(図1参照)に供給される燃料が第1燃料(より具体的には灯油)である場合、燃焼器3において硫黄が発生し排ガス13に混入する。結果、水回収装置33から排出される回収水に硫黄成分が含まれる。この場合、ボイラ給水用の回収水は低温給水ライン47を流れてイオン交換樹脂146によって硫黄除去処理が施される。従って、補給水タンク17の内壁面、および、給水ライン19の内壁面などのコジェネシステム100を構成する機器に硫黄が付着することによる腐食の発生を抑制できる。なお、燃焼器3に供給される燃料が第2燃料(より具体的な一例として硫化水素を含まないオフガス)である場合には、燃焼器3において硫黄が発生することは殆どない。この場合、ボイラ給水用の回収水は高温給水ライン44を流れる。なお、水処理装置46はイオン交換樹脂146に代えて硫黄凝集剤を備えてもよい。
【0041】
<6.不純物成分量に応じたコジェネシステム100の運転>
図3図5を参照し、排ガス13に含まれる不純物の成分量である不純物成分量に応じてコジェネシステム100の運転は切り替わる。運転の切り替わりは、一例としてコントローラ90によって実行される。コントローラ90は、第1燃料供給設備10、第2燃料供給設備8、第1燃料供給弁11、第2燃料供給弁9、高温給水開閉弁48、及び、低温給水開閉弁45を制御することによって、運転を切り替える。
【0042】
<6-1.不純物成分量が許容上限値を超える場合>
図3は、不純物成分量が許容上限値を超える場合のコジェネシステム100の運転状態を示す概略図である。例えば、コジェネシステム100の起動運転などに伴って第1燃料供給弁11が開放されて、第1燃料としての重油(HFO)が燃焼器3に供給される。この場合、不純物成分量が許容上限値を超えるため、排気ステップが実行される。排気ステップでは、水回収通気ダンパ32が閉鎖され、且つ、通気ダンパ31が開放される。これにより、主排気ダクト57を流れる排ガス13は、排気ダクト29と排気塔30を経由して系外に排出され、水回収システム60へは流れない。これにより、回収水に過剰な不純物が混入して、水処理装置46が不純物を十分に除去できないことを回避できる。従って、不純物が残存したボイラ給水が補給水タンク17に流入するのを回避できる。なお、不純物成分量が許容上限値を超えるか否かは、燃焼器3に供給される燃料を示す情報に基づいてコントローラ90によって判定される。
【0043】
<6-2.不純物成分量が許容値以下である場合>
図4は、不純物成分量が許容上限値よりも小さい許容値以下である場合のコジェネシステム100の運転状態を示す概略図である。例えば、コジェネシステム100の起動運転が定格運転に切り替わる場合、第1燃料供給弁11が閉鎖されて第2燃料供給弁9が開放され、燃焼器3に供給される燃料が第2燃料としてガス燃料(より詳細には硫化水素を含まないガス燃料)に切り替わる。このとき、不純物成分量が許容上限値以下となるので、水回収ステップが実行される。より具体的には、通気ダンパ31が閉鎖され、且つ、水回収通気ダンパ32が開放される。これにより、主排気ダクト57を流れる排ガス13は水回収装置33に流入し、排気ダクト29には流れない。そしてこのとき、回収水ポンプ38と冷却水ポンプ52は駆動している。水回収システム60は排ガス13に含まれる水分を既述の原理によって回収する。
【0044】
第2燃料としてガス燃料が燃焼器3に供給される場合には、不純物成分量は、許容上限値以下となるばかりでなく、許容値以下となる。従って、不純物除去処理が不要となるので、高温給水ライン使用ステップが実行される。高温給水ライン使用ステップでは、低温給水開閉弁45が閉鎖され、高温給水開閉弁48が開放される。これにより、回収水排出ライン39から取り出された回収水は、高温給水ライン44を経由して補給水タンク17に流入する。なお、不純物成分量が許容値を超えるか否かは、燃焼器3に供給される燃料を示す情報に基づいてコントローラ90によって判定される。
【0045】
上記構成によれば、高温給水ライン44は、不純物の除去を必要としない回収水を補給水タンク17に導く。この回収水は、回収水冷却装置40よりも上流側を流れる高温の回収水から取り出されるので、比較的高い温度を有する。従って、補給水タンク17に貯まるボイラ給水の温度が低下するのを抑制でき、コジェネシステム100の運転効率を向上できる。
【0046】
<6-3.不純物成分量が許容値を超え且つ許容上限値以下である場合>
図5は、不純物成分量が許容値を超え且つ許容上限値以下である場合のコジェネシステム100の運転状態を示す概略図である。例えば、コジェネシステム100の起動運転が定格運転に切り替わる場合、燃焼器3に供給される第1燃料が重油から灯油に切り替わる。この場合、不純物成分量が許容値を超え且つ許容上限値以下となり、既述の水回収ステップが実行される(詳細は上記の通りである)。
【0047】
第1燃料として灯油が燃焼器3に供給される場合には、不純物成分量は、許容上限値以下となるものの、許容値を超える。従って、不純物除去処理が必要となるので、低温給水ライン使用ステップが実行される。低温給水ライン使用ステップでは、低温給水開閉弁45が開放され、高温給水開閉弁48が閉鎖される。これにより、回収水供給ライン42から取り出された回収水が、低温給水ライン47を経由して補給水タンク17に流れる。低温給水ライン47を流れる回収水は、水処理装置46によって不純物除去処理が施される。
【0048】
上記構成によれば、低温給水ライン47は、不純物の除去を必要とする回収水を、水処理装置46を経由して補給水タンク17に導く。この回収水は、回収水冷却装置40よりも下流側を流れる低温の回収水から取り出されるので、比較的低い温度を有する。従って、水処理装置46の不純物除去機能が低下するのを抑制できる。よって、水回収装置33において回収される回収水に不純物が含まれる場合でも、当該回収水を破棄することなく補給水タンク17に供給することができる。
【0049】
<7.補給水タンク17の貯水量制御>
図6は、本開示の一実施形態に係る補給水タンク17を示す概略図である。本開示では、補給水タンク17は、補給水ライン15と給水ライン4との双方から給水される。従って、補給水タンク17に貯まるボイラ給水の量(以下、単に「タンク貯水量」という場合がある)が、許容上限貯水量以下になるよう制御する必要がある。以下では、その制御方法として2つ(第1貯水量制御方法と第2貯水量制御方法)を説明する。第1貯水量制御方法または第2貯水量制御方法のいずれかのみが水回収システム60に適用されてもよいし、両制御方法が水回収システム60に適用されてもよい。なお、許容上限貯水量は、補給水タンク17が構造的に許容できる貯水量の上限値(限界値)であり、補給水タンク17の貯水量は許容上限貯水量よりも低い規定貯水量以下になるよう通常は制御される。図6では、許容上限貯水量まで貯まったボイラ給水の水面が二点鎖線L1に該当し、規定貯水量まで貯まったボイラ給水の水面が二点鎖線L2に該当する。
【0050】
<7-1.第1貯水量制御方法>
第1貯水量制御方法では、タンク貯水量が許容上限貯水量以下になるよう、コントローラ90は目標排ガス出口温度を設定する。より詳細な一例として補給水タンク17には、タンク貯水量が規定貯水量を超えるか否かを検出するための水位センサ93が設けられている。コントローラ90は、水位センサ93の検出結果に基づき、タンク貯水量が規定貯水量を超えたか否かを判定する。タンク貯水量が少なければ、コントローラ90は目標排ガス出口温度を維持し、補給水ライン15の流量を増やす。または排ガス出口温度を下げる。他方で、補給水タンク17に流入するボイラ給水の流量が増大し、タンク貯水量が規定貯水量を超えた場合、コントローラ90は目標排ガス出口温度を上げる。
【0051】
回収水ポンプ38(図2参照)がフィードバック制御されている間に目標排ガス出口温度が上がると、水回収装置33において必要とされる水回収熱交換量が低下する。コントローラ90は、回収水ポンプ38の回転数を下げる制御を実行し、回収水ポンプ38によって送られる回収水の流量が低下する。結果、給水ライン4を流れる回収水(ボイラ給水)の流量も低下する。補給水タンク17から排出されるボイラ給水よりも、補給水タンク17に流入するボイラ給水の流量が下回るので、タンク貯水量が規定貯水量以下になる。なお、タンク貯水量が規定貯水量よりもさらに低い許容貯水量を下回ったことを契機として、コントローラ90は目標排ガス出口温度を変更前の値に戻してもよい。タンク貯水量が許容貯水量を下回わるか否かは、低水位センサ94の検出結果に基づき判定されてよい。低水位センサ94は、タンク貯水量が規定貯水量を下回るか否かを検出可能である。なお、許容貯水量貯まったボイラ給水の水面は図6の二点鎖線L3に該当する。
【0052】
上記構成によれば、タンク貯水量が許容上限貯水量以下になるようコントローラ90が目標排ガス出口温度を設定する。これにより、水回収システム60から補給水タンク17に供給される回収水が増大する場合であっても、補給水タンク17に貯まるボイラ給水の貯水量が許容上限貯水量を超えるのを抑制できる。
【0053】
<7-2.第2貯水量制御方法>
第2貯水量制御方法では、タンク貯水量が許容上限貯水量以下になるよう、コントローラ90は排水開閉弁50を制御する。より詳細な一例として、コントローラ90は、タンク貯水量が規定貯水量を超えるか否かを水位センサ93の検出結果に基づき判定する。タンク貯水量が規定貯水量を超える場合、コントローラ90は、排水開閉弁50を開放する。これにより、給水ライン19を流れるボイラ給水の一部が排水ライン49を流れる。補給水タンク17から排出されるボイラ給水の流量は、補給水タンク17に流入するボイラ給水の流量を上回る。結果、タンク貯水量が規定貯水量以下になる。コントローラ90は、タンク貯水量が規定貯水量よりもさらに低い許容貯水量を下回ったことを契機として、排水開閉弁50を閉鎖してもよい。
【0054】
上記構成によれば、コントローラ90は、タンク貯水量が許容上限貯水量以下になるよう、排水開閉弁50を制御する。これにより、水回収システム60から補給水タンク17に供給される回収水が増大する場合であっても、補給水タンク17に貯まるボイラ給水の貯水量が許容上限貯水量を超えるのを抑制できる。
【0055】
<8.ポンプ制御>
図7は、本開示の一実施形態に係るポンプ制御処理を示すフローチャートである。本制御処理は、上述した水回収ステップの実行中に、コントローラ90によって実行される。ポンプ制御処理の実行時、給水ライン4(低温給水ライン47と高温給水ライン44)に回収水は流れてもよいし、流れなくてもよい。本例ではポンプ制御処理が実行されている間、低温給水開閉弁45または高温給水開閉弁48のいずれか一方が開放され、他方が閉鎖されている。
【0056】
はじめに、コントローラ90は、回収水ポンプ38の回転数を制御する回収水ポンプ制御ステップを実行する(S11)。より具体的には、水回収装置33に流入する冷媒水(回収水)の流量が設定された水回収熱交換量に応じた流量になるよう、コントローラ90は第1センサ91から出力される検出信号に基づき回収水ポンプ38の回転数を制御する。その制御の詳細は既述の通りである。
【0057】
次いで、コントローラ90は、冷却水ポンプ52の回転数を制御する冷却水ポンプ制御ステップを実行する(S13)。より具体的には、回収水冷却装置40に流入する冷却水の流量が設定された冷却熱交換量に応じた流量になるよう、コントローラ90は回収水温度センサ92から出力される検出信号に基づき冷却水ポンプ52の回転数を制御する。その制御の詳細は既述の通りである。
【0058】
次いで、コントローラ90は、ポンプ制御処理を継続するか否かを判定する(S15)。例えば、水回収ステップを終了する指令が発せられない場合、コントローラ90は本制御処理を継続すると判定し(S15:YES)、処理をS11に戻す。他方で、上記の指令が発せられた場合、コントローラ90は本制御処理を終了すると判定する(S15:NO)。この場合、ポンプ制御処理は終了する。終了時に、回収水ポンプ38と冷却水ポンプ52のそれぞれの駆動は停止されてもよい。
【0059】
上記構成によれば、回収水ポンプ制御ステップ(S11)において、水回収装置33に冷媒水として流入する回収水の流量が設定された水回収熱交換量に応じた流量になるよう、第1センサ91から出力される検出信号に基づき回収水ポンプ38の回転数が制御される。また、冷却水ポンプ制御ステップ(S13)では、冷却水の流量が、回収水冷却装置40における設定された冷却熱交換量に応じた流量になるよう、回収水温度センサ92から出力される検出信号に基づき冷却水ポンプ52の回転数が制御される。これにより、効率的な運転ができるコジェネシステム100の運転方法が実現される(詳細な理由は既述の通りである)。
【0060】
<9.タンク貯水量制御>
図8は、本開示の一実施形態に係るタンク貯水量制御処理を示すフローチャートである。本制御処理は一例として、ポンプ制御処理と並行してコントローラ90によって実行される。
【0061】
はじめに、コントローラ90は、タンク貯水量が規定貯水量を上回るか否かを水位センサ93の検出結果に基づき判定する(S21)。タンク貯水量が規定貯水量以下であると判定された場合(S21:NO)、コントローラ90はタンク貯水量制御処理を終了する。タンク貯水量が規定貯水量を上回ると判定された場合(S21:YES)、コントローラ90は、水回収熱交換量に関与する特性値の一例である排ガス出口温度の目標値を設定する(S23)。より具体的には、コントローラ90は目標排ガス出口温度を上げる(S23)。さらにコントローラ90は、排水開閉弁50を開放する指令を排水開閉弁50に送る(S25)。S23、S25が実行されると、既述の理由によってタンク貯水量は減少する。
【0062】
次いで、コントローラ90は、タンク貯水量が許容貯水量以下になったか否かを低水位センサ94の検出結果に基づき判定する(S27)。コントローラ90は、タンク貯水量が規定貯水量以下になるまで(S27:NO)、待機する。タンク貯水量が許容貯水量以下になったと判定された場合(S27:YES)、コントローラ90は、特性値の目標値をS23の実行前の値に再設定し(S29)、排水開閉弁50を閉鎖するための指令を排水開閉弁50に送る(S31)。その後、コントローラ90は本制御処理を終了する。
【0063】
<10.その他>
上述したコントローラ90はコンピュータによって構成されており、プロセッサ、メモリ、及び外部通信インタフェースを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、又はこれらの組み合わせなどである。他の実施形態に係るプロセッサは、PLD、ASIC、FPGA、またはMCU等の集積回路により実現されてもよい。メモリは、各種データを一時的または非一時的に記憶するように構成され、例えば、RAM、ROM、またはフラッシュメモリの少なくとも1つによって実現される。メモリにロードされたプログラムの命令にしたがって、プロセッサは各種制御処理を実行する。また、コントローラ90は、コジェネシステム100を構成する複数の制御盤の一つを構成するDCS盤であってもよい。
【0064】
<11.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0065】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システム(60)は、
ガスタービン(2)と、前記ガスタービン(2)から排出される水分を含む排ガス(13)から回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラ(14)とを備えるガスタービンコジェネレーションシステム(100)に設置される水回収システム(60)であって、
前記排熱回収ボイラ(14)から排出される前記排ガス(13)と冷媒水との熱交換によって前記排ガス(13)から前記水分を回収するための水回収装置(33)と、
前記水回収装置(33)によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置(40)と、
前記回収水を前記水回収装置(33)から前記回収水冷却装置(40)に送るための回収水ポンプ(38)と、
前記水回収装置(33)における前記冷媒水と前記排ガス(13)との熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサ(91)と、
前記水回収装置(33)に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサ(91)から出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプ(38)の回転数を制御するためのコントローラ(90)と、
を備える。
【0066】
上記1)の構成によれば、水回収装置(33)に流入する排ガス(13)が有する熱量が下がる場合、必要とされる水回収熱交換量が小さくなる。この場合、コントローラ(90)が回収水ポンプ(38)の回転数を抑えることで、回収水の流量を小さくでき、水回収システム(60)における消費電力を抑えることができる。また、水回収装置(33)に流入する排ガス(13)が有する熱量が増大する場合、必要とされる水回収熱交換量が大きくなる。この場合、コントローラ(90)が回収水ポンプ(38)の回転数を増大させることで、回収水の流量を大きくできる。つまり、回収水ポンプ(38)の回転数は、必要となる水回収熱交換量に応じて増大する。従って、水回収システム(60)は消費電力が無駄に増大するのを抑制できる。以上より、効率的な運転ができる水回収システム(60)が実現される。
【0067】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の水回収システム(60)は、
前記回収水を冷却するための冷却水の前記回収水冷却装置(40)への供給ラインである冷却水供給ライン(41)と、
前記冷却水を前記冷却水供給ライン(41)から前記回収水冷却装置(40)に送るための冷却水ポンプ(52)と、
前記回収水冷却装置(40)における前記回収水と前記冷却水との熱交換量である冷却熱交換量に関与する特性値を検出するための第2センサ(回収水温度センサ92)と、
をさらに備え、
前記コントローラ(90)は、前記冷却水の流量が、設定された前記冷却熱交換量に応じた流量になるよう、前記第2センサ(回収水温度センサ92)から出力される検出信号に基づき前記冷却水ポンプ(52)の前記回転数を制御するように構成される。
【0068】
上記2)の構成によれば、水回収装置(33)に流入する回収水の流量と温度との双方が制御可能になる。よって、水回収装置(33)における熱交換量をより精度よく制御できる。
【0069】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載の水回収システム(60)は、
前記回収水冷却装置(40)によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置(33)に供給するための回収水供給ライン(42)をさらに備え、
前記水回収装置(33)は、
前記回収水供給ライン(42)によって供給される前記冷媒水が流入するための冷媒水流入口(132)と、前記冷媒水流入口(132)よりも下方で前記排ガス(13)が流入するための排ガス流入口(131)とを有する熱交換容器(130)と、
前記冷媒水流入口(132)に接続され、前記熱交換容器(130)の内部で前記冷媒水を散水するための散水装置(34)と、
前記熱交換容器(130)の内側において前記散水装置(34)よりも下方に配置されており、前記排ガス(13)から前記水分を回収するための充填物(35)と、
を有する。
【0070】
上記3)の構成によれば、熱交換容器(130)の内部において散水された冷媒水が充填物(35)に付着する。そして、排ガス(13)が、充填物(35)に付着した冷媒水と熱交換を行うことで、排ガス(13)に含まれる回収水を回収することができる。
【0071】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の水回収システム(60)は、
前記水回収装置(33)から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置(40)に供給するための回収水排出ライン(39)をさらに備え、
前記熱交換容器(130)は、前記回収水を貯める貯水槽(136)であって、前記回収水排出ライン(39)が接続される貯水槽(136)をさらに有する。
【0072】
上記4)の構成によれば、余剰分の回収水が貯水槽(136)に貯まることができるので、回収水ポンプ(38)の回転数を広い範囲で制御することが可能になる。これにより、水回収装置(33)に流入する排ガス(13)の熱量が大きく増大しても、熱量の増大量に応じた流量の冷媒水を水回収装置(33)に供給することができる。
【0073】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の水回収システム(60)であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(100)は、前記排熱回収ボイラ(14)に供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンク(17)をさらに備え、
前記水回収システム(60)は、
前記回収水冷却装置(40)によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置(33)に供給するための回収水供給ライン(42)と、
前記回収水供給ライン(42)に接続される低温給水ライン(47)であって、前記回収水供給ライン(42)から取り出された前記回収水を前記補給水タンク(17)に導くための低温給水ライン(47)と、
前記低温給水ライン(47)を流れる前記回収水に対して、不純物を除去する処理を施すための水処理装置(46)とをさらに備える。
【0074】
上記5)の構成によれば、低温給水ライン(47)は、不純物の除去を必要とする回収水を、水処理装置(46)を経由して補給水タンク(17)に導く。この回収水は、回収水冷却装置(40)よりも下流側を流れる低温の回収水から取り出されるので、比較的低い温度を有する。従って、水処理装置(46)の不純物除去機能が低下するのを抑制できる。よって、水回収装置(33)において回収される回収水に不純物が含まれる場合でも、当該回収水を破棄することなく補給水タンク(17)に供給することができる。
【0075】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から5)のいずれかに記載の水回収システム(60)であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(100)は、前記排熱回収ボイラ(14)に供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンク(17)をさらに備え、
前記水回収システム(60)は、
前記水回収装置(33)から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置(40)に供給するための回収水排出ライン(39)と、
前記回収水排出ライン(39)に接続される高温給水ライン(44)であって、前記回収水排出ライン(39)から取り出された前記回収水を前記補給水タンク(17)に導くための高温給水ライン(44)と、
を備える。
【0076】
上記6)の構成によれば、高温給水ライン(44)は、不純物の除去を必要としない回収水を補給水タンク(17)に導く。この回収水は、回収水冷却装置(40)よりも上流側を流れる高温の回収水から取り出されるので、比較的高い温度を有する。従って、補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水の温度が低下するのを抑制でき、ガスタービンコジェネレーションシステム(100)の運転効率を向上できる。
【0077】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から6)のいずれかに記載の水回収システム(60)であって、
前記第1センサ(91)は、前記水回収装置(33)における前記排ガス(13)の出口温度を検出するための排ガス(13)出口温度センサ(91)を含み、
前記コントローラ(90)は、前記水回収装置(33)から前記排ガス(13)の前記出口温度が目標温度になるよう前記回収水ポンプ(38)の前記回転数を制御することで、前記回収水の前記流量を設定された前記水回収熱交換量に応じた前記流量にするように構成される。
【0078】
上記7)の構成によれば、排ガス(13)の出口温度が目標温度になるようコントローラ(90)が回収水ポンプ(38)の回転数を制御することで、水回収装置(33)に流入する排ガス(13)の熱量に応じて水回収装置(33)における熱交換量を制御することが可能になる。
【0079】
8)幾つかの実施形態では、上記5)または6)に記載の水回収システム(60)であって、
前記コントローラ(90)は、前記補給水タンク(17)に貯まる前記ボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される。
【0080】
上記8)の構成によれば、水回収システム(60)から補給水タンク(17)に供給される回収水が増大する場合であっても、補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水の貯水量が許容上限貯水量を超えるのを抑制できる。
【0081】
9)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステム(100)は、
上記1)乃至8)の何れかに記載の水回収システム(60)と、
前記ガスタービン(2)と、
前記排熱回収ボイラ(14)と、
前記水回収システム(60)によって回収された前記回収水を、前記排熱回収ボイラ(14)に供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンク(17)とを備える。
【0082】
上記9)の構成によれば、上記1)と同様の理由によって、効率的な運転ができるガスタービンコジェネレーションシステム(100)が実現される。
【0083】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載のガスタービンコジェネレーションシステム(100)は、
前記補給水タンク(17)と前記排熱回収ボイラ(14)とに接続される給水ライン(19)と、
前記給水ライン(19)から取り出されるボイラ給水が流れるための排水ライン(49)と、
前記排水ライン(49)に設けられる排水開閉弁(50)と、
をさらに備え、
前記コントローラ(90)は、前記補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記排水開閉弁(50)を制御するように構成される。
【0084】
上記10)の構成によれば、水回収システム(60)から補給水タンク(17)に供給される回収水が増大する場合であっても、補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水の貯水量が許容上限貯水量を超えるのを抑制できる。
【0085】
11)幾つかの実施形態では、上記9)または10)に記載のガスタービンコジェネレーションシステム(100)であって、
前記コントローラ(90)は、前記補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される。
【0086】
上記11)の構成によれば、水回収システム(60)から補給水タンク(17)に供給される回収水が増大する場合でも、補給水タンク(17)に貯まるボイラ給水の貯水量が許容上限貯水量を超えるのを抑制できる。
【0087】
12)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステム(100)の運転方法は、
上記1)乃至8)の何れかに記載の水回収システム(60)と、前記ガスタービン(2)と、前記排熱回収ボイラ(14)と、前記排熱回収ボイラ(14)に供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンク(17)とを備えるガスタービンコジェネレーションシステム(100)の運転方法であって、
前記水回収装置(33)に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサ(91)から出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプ(38)の前記回転数を制御する回収水ポンプ制御ステップ(S11)を備える。
【0088】
上記12)の構成によれば、上記1)と同様の理由によって、効率的な運転ができるガスタービンコジェネレーションシステム(100)の運転方法が実現される。
【符号の説明】
【0089】
2 :ガスタービン
4 :給水ライン
13 :排ガス
14 :排熱回収ボイラ
17 :補給水タンク
19 :給水ライン
33 :水回収装置
34 :散水装置
35 :充填物
38 :回収水ポンプ
39 :回収水排出ライン
40 :回収水冷却装置
41 :冷却水供給ライン
42 :回収水供給ライン
44 :高温給水ライン
46 :水処理装置
47 :低温給水ライン
49 :排水ライン
50 :排水開閉弁
52 :冷却水ポンプ
60 :水回収システム
90 :コントローラ
91 :第1センサ(排ガス出口温度センサ)
92 :回収水温度センサ
100 :ガスタービンコジェネレーションシステム(コジェネシステム)
130 :熱交換容器
131 :排ガス流入口
132 :冷媒水流入口
136 :貯水槽

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される水分を含む排ガスから回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムであって、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスと冷媒水との熱交換によって前記排ガスから前記水分を回収するための水回収装置と、
前記水回収装置によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記回収水を前記水回収装置から前記回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、
前記水回収装置における前記冷媒水と前記排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサと、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、
前記回収水を冷却するための冷却水の前記回収水冷却装置への供給ラインである冷却水供給ラインと、
前記冷却水を前記冷却水供給ラインから前記回収水冷却装置に送るための冷却水ポンプと、
前記回収水冷却装置における前記回収水と前記冷却水との熱交換量である冷却熱交換量に関与する特性値を検出するための第2センサと、
を備え
前記コントローラは、前記冷却水の流量が、設定された前記冷却熱交換量に応じた流量になるよう、前記第2センサから出力される検出信号に基づき前記冷却水ポンプの前記回転数を制御するように構成される、
水回収システム。
【請求項2】
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に供給するための回収水供給ラインをさらに備え、
前記水回収装置は、
前記回収水供給ラインによって供給される前記冷媒水が流入するための冷媒水流入口と、前記冷媒水流入口よりも下方で前記排ガスが流入するための排ガス流入口とを有する熱交換容器と、
前記冷媒水流入口に接続され、前記熱交換容器の内部で前記冷媒水を散水するための散水装置と、
前記熱交換容器の内側において前記散水装置よりも下方に配置されており、前記排ガスから前記水分を回収するための充填物と、
を有する、
請求項1に記載の水回収システム。
【請求項3】
前記水回収装置から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置に供給するための回収水排出ラインをさらに備え、
前記熱交換容器は、前記回収水を貯める貯水槽であって、前記回収水排出ラインが接続される貯水槽をさらに有する、
請求項に記載の水回収システム。
【請求項4】
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクをさらに備え、
前記水回収システムは、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に供給するための回収水供給ラインと、
前記回収水供給ラインに接続される低温給水ラインであって、前記回収水供給ラインから取り出された前記回収水を前記補給水タンクに導くための低温給水ラインと、
前記低温給水ラインを流れる前記回収水に対して、不純物を除去する処理を施すための水処理装置と、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項5】
ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される水分を含む排ガスから回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムであって、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスと冷媒水との熱交換によって前記排ガスから前記水分を回収するための水回収装置と、
前記水回収装置によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記回収水を前記水回収装置から前記回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、
前記水回収装置における前記冷媒水と前記排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサと、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクを備え、
前記水回収システムは、
前記水回収装置から排出された前記回収水を前記回収水冷却装置に供給するための回収水排出ラインと、
前記回収水排出ラインに接続される高温給水ラインであって、前記回収水排出ラインから取り出された前記回収水を前記補給水タンクに導くための高温給水ラインと、
を備える、
水回収システム。
【請求項6】
ガスタービンと、前記ガスタービンから排出される水分を含む排ガスから回収した熱を利用して蒸気を生成するための排熱回収ボイラとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムに設置される水回収システムであって、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスと冷媒水との熱交換によって前記排ガスから前記水分を回収するための水回収装置と、
前記水回収装置によって回収された前記水分を含む回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記回収水を前記水回収装置から前記回収水冷却装置に送るための回収水ポンプと、
前記水回収装置における前記冷媒水と前記排ガスとの熱交換量である水回収熱交換量に関与する特性値を検出するための第1センサと、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの回転数を制御するためのコントローラと、
を備え、
前記第1センサは、前記水回収装置における前記排ガスの出口温度を検出するための排ガス出口温度センサを含み、
前記コントローラは、前記水回収装置から前記排ガスの前記出口温度が目標温度になるよう前記回収水ポンプの前記回転数を制御することで、前記回収水の前記流量を設定された前記水回収熱交換量に応じた前記流量にするように構成される、
水回収システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まる前記ボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される、
請求項に記載の水回収システム。
【請求項8】
請求項1に記載の水回収システムと、
前記ガスタービンと、
前記排熱回収ボイラと、
前記水回収システムによって回収された前記回収水を、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクと、
を備えるガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項9】
前記補給水タンクと前記排熱回収ボイラとに接続される給水ラインと、
前記給水ラインから取り出されるボイラ給水が流れるための排水ラインと、
前記排水ラインに設けられる排水開閉弁と、
をさらに備え、
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まるボイラ給水の量が許容上限貯水量以下になるよう、前記排水開閉弁を制御するように構成される、
請求項に記載のガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記補給水タンクに貯まるボイラ給水が許容上限貯水量以下になるよう、前記特性値の目標値を設定するように構成される、
請求項またはに記載のガスタービンコジェネレーションシステム。
【請求項11】
請求項1に記載の水回収システムと、前記ガスタービンと、前記排熱回収ボイラと、前記排熱回収ボイラに供給するためのボイラ給水を貯める補給水タンクとを備えるガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法であって、
前記水回収装置に前記冷媒水として流入する前記回収水の流量が設定された前記水回収熱交換量に応じた流量になるよう、前記第1センサから出力される検出信号に基づき前記回収水ポンプの前記回転数を制御する回収水ポンプ制御ステップを備える、
ガスタービンコジェネレーションシステムの運転方法。