(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025847
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】光処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240220BHJP
C08J 7/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/30 563
C08J7/00 304
C08J7/00 CER
C08J7/00 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129153
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】吉原 啓太
(72)【発明者】
【氏名】竹元 史敏
(72)【発明者】
【氏名】山森 賢治
【テーマコード(参考)】
4F073
5F146
【Fターム(参考)】
4F073AA01
4F073BB01
4F073CA45
5F146HA00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】チャンバ内のオゾン濃度を低下させても安定して均質に処理できる光処理装置を提供する。
【解決手段】ワークW1を搬送する、複数の搬送ローラ5aを有する搬送機構5と、第一搬入口2aと、第一搬出口2bとを有するメインチャンバ2と、メインチャンバ内において、ワークの搬送方向と、搬送ローラの回転軸方向とに直交する方向に関し、複数の搬送ローラの間の少なくとも一部を、処理空間と、滞留空間とに区画する仕切部材2pと、メインチャンバの処理空間内に配置され、搬送機構に沿って搬送されるワークの一面に向かって、主たる発光波長が200nm以下の紫外光を出射する紫外光源と、メインチャンバ内にプロセスガスG1を導入するガス導入口21aと、第二搬入口3aと、第二搬出口3bとを有し、第二搬出口3bが第一搬入口2aに連絡された搬入サブチャンバ3とを備え、搬送ローラは、少なくとも一部が、仕切部材よりも処理空間側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送されるワークに対して紫外光を照射する光処理装置であって、
前記ワークを搬送する、複数の搬送ローラを有する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記ワークが搬入される第一搬入口と、前記ワークが搬出される第一搬出口とを有するメインチャンバと、
前記メインチャンバ内において、前記ワークの搬送方向と、前記搬送ローラの回転軸方向とに直交する方向に関し、前記複数の搬送ローラの間の少なくとも一部を、処理空間と、滞留空間とに区画する仕切部材と、
前記メインチャンバの前記処理空間内に配置され、前記搬送機構に沿って搬送される前記ワークの一面に向かって、主たる発光波長が200nm以下の紫外光を出射する紫外光源と、
前記メインチャンバ内にプロセスガスを導入するガス導入口と、
搬送される前記ワークが搬入される第二搬入口と、前記ワークが搬出される第二搬出口とを有し、前記第二搬出口が前記第一搬入口に連絡された搬入サブチャンバとを備え、
前記搬送ローラは、少なくとも一部が、前記仕切部材よりも前記処理空間側に位置することを特徴とする光処理装置。
【請求項2】
前記メインチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つのメイン排気口と、
前記搬入サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第一サブ排気口と、
前記メイン排気口、及び前記第一サブ排気口から排出されるガスの量を制御する排気制御機構とを備え、
前記排気制御機構は、単位時間あたりに前記メイン排気口から排出されるガスの総量が、前記第一サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なくなるように制御することを特徴とする請求項1に記載の光処理装置。
【請求項3】
前記搬送機構に沿って搬送される前記ワークが搬入される第三搬入口と、前記ワークが搬出される第三搬出口とが形成され、前記第三搬入口が前記第一搬出口に接続された搬出サブチャンバを備えることを特徴とする請求項1に記載の光処理装置。
【請求項4】
前記メインチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つのメイン排気口と、
前記搬入サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第一サブ排気口と、
前記搬出サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第二サブ排気口と、
前記メイン排気口、前記第一サブ排気口、及び前記第二サブ排気口から排出されるガスの量を制御する排気制御機構とを備え、
前記排気制御機構は、単位時間あたりに前記メイン排気口から排出されるガスの総量が、前記第一サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なく、かつ、前記第二サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なくなるように制御することを特徴とする請求項3に記載の光処理装置。
【請求項5】
前記処理空間内に配置された取込口と、前記処理空間外に配置された排出口とを有し、前記取込口から前記処理空間内のガスを抽気する抽気管と、
前記抽気管の前記排出口に接続され、前記排出口から流れ込むガスのオゾン濃度を測定する濃度計とを備えることを特徴とする請求項1に記載の光処理装置。
【請求項6】
前記抽気管は、前記取込口を複数備え、
複数の前記取込口は、前記搬送ローラの回転軸方向に沿って配列されていることを特徴とする請求項5に記載の光処理装置。
【請求項7】
前記濃度計が測定したオゾン濃度に基づいて、前記ガス導入口から前記メインチャンバ内に導入するプロセスガスの流量を制御するプロセスガス制御部とを備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の光処理装置。
【請求項8】
前記濃度計が測定したオゾン濃度に基づいて、前記紫外光源に供給する電力を制御する電力制御部を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の光処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フィルム材やガラス板等(以下、処理対象物を「ワーク」と総称する場合がある。)を、酸素に紫外光を照射することで生成されたオゾンに曝すことで、ワークの表面処理を行う技術が知られている。例えば、下記特許文献1には、オゾンによる酸化反応を利用してフィルム材の表面を改質処理する方法が開示されている。また、下記特許文献2には、オゾンによる酸化反応を利用してガラス板の表面を洗浄処理する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/077553号
【特許文献2】特許第5083318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ワークをオゾンに曝すことで、ワーク表面を処理する方法は、フィルム材の改質処理やガラス板の洗浄処理のみならず、薄型ディスプレイを構成する液晶基板上の微細デバイスの処理等にも利用されている。具体的には、例えば、金属層で構成された薄膜トランジスタのゲート電極表面の親水化処理に利用されている。
【0005】
ところが、半導体基板上や液晶基板上の金属層をオゾンに曝して親水化処理を行う場合、当該金属層の表面は、親水化処理されるとともに、徐々に酸化されて金属酸化膜が形成される。特に、オゾン濃度が高くなる過ぎると、金属酸化膜の形成が促進されて、金属層の表面に形成される金属酸化膜の厚みが大きくなりやすい。
【0006】
金属酸化膜は、酸化される前の金属とは物性が異なり、使用するエッチング溶液等にもよるが、一般的には酸化される前の金属よりも反応性が悪く、エッチングレートが遅い。このため、金属酸化膜が厚く形成されるほど、エッチング処理によってデバイスが所望の形状に加工できないという問題が生じやすくなる。
【0007】
ここで、本発明者らは、上述したような問題が発生することを抑制するため、従来のフィルム材やガラス板の処理におけるオゾン濃度よりも、低いオゾン濃度で処理する方法について検討した。
【0008】
しかしながら、本発明者らが、チャンバ内のオゾン濃度を従来よりも低く制御してワークの処理を実施してみたところ、オゾン濃度が所望の範囲内で安定せず、許容できない程の処理ムラが多発してしまい、正常に処理ができたワークはごく僅かであった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑み、チャンバ内のオゾン濃度を低下させてワークの処理を行った場合であっても、安定して均質に処理できる光処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光処理装置は、
前記ワークを搬送する、複数の搬送ローラを有する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬送される前記ワークが搬入される第一搬入口と、前記ワークが搬出される第一搬出口とを有するメインチャンバと、
前記メインチャンバ内において、前記ワークの搬送方向と、前記搬送ローラの回転軸方向とに直交する方向に関し、前記複数の搬送ローラの間の少なくとも一部を、処理空間と、滞留空間とに区画する仕切部材と、
前記メインチャンバの前記処理空間内に配置され、前記搬送機構に沿って搬送される前記ワークの一面に向かって、主たる発光波長が200nm以下の紫外光を出射する紫外光源と、
前記メインチャンバ内にプロセスガスを導入するガス導入口と、
搬送される前記ワークが搬入される第二搬入口と、前記ワークが搬出される第二搬出口とを有し、前記第二搬出口が前記第一搬入口に連絡された搬入サブチャンバとを備え、
前記搬送ローラは、少なくとも一部が、前記仕切部材よりも前記処理空間側に位置することを特徴とする。
【0011】
本明細書における「主たる発光波長」とは、ある波長λに対して±10nmの波長域Z(λ)を発光スペクトル上で規定した場合において、発光スペクトル内における全積分強度に対して40%以上の積分強度を示す波長域Z(λi)における、波長λiを指す。
【0012】
本明細書において、「プロセスガス」とは、不活性ガスと、オゾンの生成に用いられる酸素を含むガスとを混合して生成した混合ガスである。
【0013】
本明細書において、搬入口と搬出口とが「連絡された」とは、ワークの搬送方向において、少なくとも一部が連続的に接続されている状態をいう。例えば、メインチャンバと搬入サブチャンバとを接触させて、第一搬入口と第二搬出口とを連続的に接続している状態や、連結部材を介して連続的に接続している状態等が想定される。
【0014】
仕切部材は、メインチャンバ内の空間を処理空間と滞留空間とに完全に分離する部材である必要はなく、部分的に処理空間と滞留空間とが連絡されていても構わない。ただし、処理空間側から滞留空間側に向かって見たときに、仕切部材全体の面積に対する、仕切部材及び搬送機構が配置されていない領域の面積の合計は、10%以下であることが好ましく、6%以下であることがより好ましい。
【0015】
なお、当該仕切部材の具体的な構成については、「発明を実施するための形態」の項目において、図面を参照しながら説明する。なお、仕切部材は、メインチャンバだけでなく、搬入サブチャンバに追加的に設けられていても構わない。
【0016】
本発明者らは、従来よりも低いオゾン濃度でワークを処理しようとした場合、外側に存在するガス(以下、「外気」という場合がある。)が処理空間内に流れ込むことによるオゾン濃度の相対的な変動が大きくなってしまうため、安定的な処理ができないことに気が付いた。また、本発明者らは、チャンバの内部空間全体を処理空間とした場合、自然対流によってオゾンがワーク周辺に留まりにくく、ワークが処理されない場合が生じていることにも気が付いた。なお、オゾンがワーク周辺に留まりにくいために、ワークが処理されない現象は、オゾン濃度が低くなるほど発生しやすい。
【0017】
そこで、上記光処理装置の構成によれば、メインチャンバは、第一搬入口が搬入サブチャンバの第二搬出口に連絡されているため、外気は最初に第二搬入口から搬入サブチャンバ内に流れ込む。つまり、搬入サブチャンバが緩衝空間として機能し、外気が直接第一搬入口から流れ込むことが抑制される。
【0018】
なお、搬入サブチャンバ内に存在するガスは、メインチャンバの処理空間内のガスと外気とが混合された混合ガスとなっている。このため、ワークがメインチャンバ内に搬入される際に、搬入サブチャンバ内のガスがメインチャンバ内に流れ込むが、外気が直接流れ込む場合と比較すると、処理空間内のオゾン濃度に対する当該ガスの影響は小さい。
【0019】
また、メインチャンバ内で生成されたオゾンのほとんどは、仕切部材によって、搬送ローラを通過して滞留空間側まで移動することが抑制される。
【0020】
つまり、上記構成の光処理装置は、外気がメインチャンバ内に直接流れ込む構成に比べて、メインチャンバ内のオゾン濃度の変動が抑制され、かつ、処理空間内で生成されたオゾンが、ワーク周辺に留まりやすい。したがって、上記構成の光処理装置は、従来の光処理装置と比較して、低いオゾン濃度であっても、安定してワーク全体を均質に処理することができる。
【0021】
上記光処理装置は、
前記メインチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つのメイン排気口と、
前記搬入サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第一サブ排気口と、
前記メイン排気口、及び前記第一サブ排気口から排出されるガスの量を制御する排気制御機構とを備え、
前記排気制御機構は、単位時間あたりに前記メイン排気口から排出されるガスの総量が、前記第一サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なくなるように制御するように構成されていても構わない。
【0022】
上記構成とすることで、搬入サブチャンバ内の気圧が、メインチャンバの処理空間内の気圧よりも低くなる。このような気圧関係が形成されることにより、搬入サブチャンバの第二搬入口から流れ込む外気が、メインチャンバの処理空間内に流れ込むことが抑制される。したがって、光処理装置は、ワークを処理している最中におけるメインチャンバの処理空間内のオゾン濃度の変動がさらに小さくなり、ワーク全体をより均質に処理することができる。
【0023】
上記光処理装置は、
前記搬送機構に沿って搬送される前記ワークが搬入される第三搬入口と、前記ワークが搬出される第三搬出口とが形成され、前記第三搬入口が前記第一搬出口に接続された搬出サブチャンバを備えていても構わない。
【0024】
さらに、上記光処理装置は、
前記メインチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つのメイン排気口と、
前記搬入サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第一サブ排気口と、
前記搬出サブチャンバ内のガスを排気する少なくとも一つの第二サブ排気口と、
前記メイン排気口、前記第一サブ排気口、及び前記第二サブ排気口から排出されるガスの量を制御する排気制御機構とを備え、
前記排気制御機構は、単位時間あたりに前記メイン排気口から排出されるガスの総量が、前記第一サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なく、かつ、前記第二サブ排気口から排出されるガスの総量よりも少なくなるように制御するように構成されていても構わない。
【0025】
第一搬出口は、ワークがメインチャンバ内から外側に向かって搬出される開口であるため、ワークが搬入される第一搬入口と比べれば、ワークと共にメインチャンバ内のガスが外側に漏れ出しやすい。このようなメインチャンバ内からのガスの漏れ出しは、少なからず処理空間内のオゾン濃度が乱される要因となり得る。また、第一搬入口と比較すると僅かではあるが、第一搬出口から流れ込む外気が少なからず存在する。
【0026】
そこで、上記構成とすることで、第一搬出口側から流れ込む外気の影響がさらに抑制される。したがって、光処理装置は、ワークを処理している最中におけるメインチャンバの処理空間内のオゾン濃度の変動がさらに小さくなり、ワーク全体をより均質に処理することができる。
【0027】
上記光処理装置は、
前記処理空間内に配置された取込口と、前記処理空間外に配置された排出口とを有し、前記取込口から前記処理空間内のガスを抽気する抽気管と、
前記抽気管の前記排出口に接続され、前記排出口から流れ込むガスのオゾン濃度を測定する濃度計とを備えていても構わない。
【0028】
上記光処理装置において、
前記抽気管は、前記取込口を複数備え、
複数の前記取込口は、前記搬送ローラの回転軸方向に沿って配列されていても構わない。
【0029】
上記構成とすることで、何らかの異常が発生し、メインチャンバ内のオゾン濃度が所定の範囲を超えた場合や、ワークが搬入されたにも関わらずオゾン濃度が所定の範囲に到達していない場合等に、光処理装置を緊急停止することができる。また、当該構成では、メインチャンバ内のオゾン濃度の変化を記録することができるため、例えば、処理済みのワークにおいて不良が発生した場合に、光処理装置による処理において異常が発生していた否かの確認や解析をすることができる。
【0030】
上記光処理装置は、
前記濃度計が測定したオゾン濃度に基づいて、前記ガス導入口から前記メインチャンバ内に導入するプロセスガスの流量を制御するプロセスガス制御部とを備えていても構わない。
【0031】
上記光処理装置は、
前記濃度計が測定したオゾン濃度に基づいて、前記紫外光源に供給する電力を制御する電力制御部を備えていても構わない。
【0032】
上記構成とすることで、メインチャンバの処理空間内のオゾン濃度を監視することができ、さらに、処理空間内のオゾン濃度が所望の濃度で安定するように、フィードバック制御することができる。したがって、光処理装置は、ワークを処理している最中におけるメインチャンバの処理空間内のオゾン濃度の変動がさらに小さくなり、ワーク全体をより均質に処理することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、チャンバ内のオゾン濃度を低下させてワークの処理を行った場合であっても、安定して均質に処理できる光処理装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】光処理装置の一実施形態をY方向に見たときの模式的な図面である。
【
図3】メインチャンバをX方向に見たときの図面である。
【
図4A】メインチャンバ内の搬送機構の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aの搬送機構を+Z側から見たときの図面である。
【
図5A】比較例1の構成をY方向に見たときの模式的な図面である。
【
図5B】比較例2の構成をY方向に見たときの模式的な図面である。
【
図6】濃度計が測定したオゾン濃度の時間変化を示すグラフである。
【
図7A】搬送機構及び仕切部材の一構成例を示す模式的な図面である。
【
図7B】搬送機構及び仕切部材の一構成例を示す模式的な図面である。
【
図8】光処理装置の別施形態をY方向に見たときの模式的な図面である。
【
図9】光処理装置の別施形態をY方向に見たときの模式的な図面である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[装置構成]
以下、本発明の光処理装置について、図面を参照して説明する。なお、光処理装置に関する以下の各図面は、いずれも模式的に図示されたものであり、図面上の寸法比や個数は、実際の寸法比や個数と必ずしも一致していない。
【0036】
また、以下では、光処理装置の構成を説明する上で、ワークを具体的に特定して説明する場合がある。しかしながら、本発明の光処理装置が対象とするワークは、以下の説明において特定されるワークには限定されない。
【0037】
(光処理装置1)
図1は、光処理装置1の一実施形態をY方向に見たときの模式的な図面であり、
図2は、
図1の処理空間A1周辺の拡大図である。
図1に示すように、光処理装置1は、メインチャンバ2と、搬入サブチャンバ3と、搬出サブチャンバ4と、複数の搬送ローラ5aからなる搬送機構5と、プロセスガス制御部10と、ガス供給源11と、排気制御部12とを備える。なお、排気制御部12は、一つの制御部であるが、図示の都合上、複数に分けて図示されている。
【0038】
以下の説明においては、
図1に示すように、ワークW1の搬送方向をX方向とし、搬送機構5が備える搬送ローラ5aの回転軸方向をY方向とし、XY平面と直交する方向をZ方向とする。
【0039】
また、方向を表現する際に、正負の向きを区別する場合には、「+Z方向」、「-Z方向」のように、正負の符号を付して記載され、正負の向きを区別せずに方向を表現する場合には、単に「Z方向」と記載される。
【0040】
図1に示すように、光処理装置1は+X方向に向かって、搬入サブチャンバ3、メインチャンバ2、搬出サブチャンバ4の順に配列されている。搬送機構5は、
図1に示すように、搬送ローラ5a上に載置されたワークW1を+X方向に搬送する。
【0041】
図2に示すように、搬入サブチャンバ3とメインチャンバ2とは、互いに接触するように配置されており、後述される第一搬入口2aと第二搬出口3bとが連絡されている。また、メインチャンバ2と搬出サブチャンバ4とは、互いに接触するように配置されており、後述される第一搬出口2bと第三搬入口4aとが連絡されている。
【0042】
プロセスガス制御部10は、
図2に示すように、処理空間A1内の雰囲気ガスのオゾン濃度を測定する濃度計10aを備える。濃度計10aは、抽気管22によって抽気されたメインチャンバ2内の雰囲気ガスG2のオゾン濃度を測定する。そして、プロセスガス制御部10は、
図1に示すように、濃度計10aで測定したオゾン濃度に基づいて、ガス供給源11に対してプロセスガスG1の流量に関する情報を含む制御信号d1を出力する。なお、プロセスガス制御部10と濃度計10aとは、別体として構成されていても構わない。
【0043】
ガス供給源11は、プロセスガス制御部10から入力される制御信号d1に基づき、メインチャンバ2の紫外光源20が配置された処理空間A1内に、指定される流量でプロセスガスG1を供給する。
【0044】
本実施形態におけるプロセスガスG1は、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスであって、典型的には、空気ではない。なお、プロセスガスG1としては、例えば、CDA(クリーンドライエアー)と窒素ガスとを混合した混合ガスを採用しても構わない。本実施形態におけるプロセスガスG1は、酸素の含有率が0.1%、窒素の含有率が99.9%となるように調整されている。
【0045】
(メインチャンバ2)
メインチャンバ2は、
図1に示すように、複数の紫外光源20と、配管21と、抽気管22と、メイン排気口2cと、仕切部材2pと、排気用ファン2fとを備える。メインチャンバ2には、搬送機構5の一部が収容されている。そして、
図2に示すように、メインチャンバ2の壁面には、X方向において対向する第一搬入口2aと第一搬出口2bとが設けられており、ワークW1が第一搬入口2aから搬入されて、第一搬出口2bから搬出されるように構成されている。
【0046】
図2に示すように、紫外光源20は、搬送機構5によって搬送されるワークW1に対して、紫外光を照射する光源である。本実施形態における紫外光源20は、管体内にキセノン(Xe)ガスを含む発光ガスが封入され、電源部(不図示)から電圧が印加されることで主たる発光波長が172nmの紫外光を出射するエキシマランプである。
【0047】
紫外光源20は、Z方向に関し、搬送機構5によって搬送されるワークW1との離間距離が10mm以下となるように配置されている。
【0048】
なお、紫外光源20は、主たる発光波長が200nm以下である紫外光を出射できる光源であれば、エキシマランプ以外の光源を採用しても構わない。また、エキシマランプを採用する場合であっても、キセノン(Xe)ガス以外のガスを含む発光ガスが封入されたエキシマランプを採用してもよい。
【0049】
また、本実施形態におけるエキシマランプは、管軸に直交する面で切断したときの形状が矩形状を呈する、扁平管形状とも称される形状を呈するエキシマランプであるが、扁平管形状以外の形状(例えば、一重管形状や二重管形状と称される形状)を呈するエキシマランプを採用しても構わない。
【0050】
配管21は、ガス供給源11から供給されるプロセスガスG1を、メインチャンバ2内へと導く部材である。本実施形態においては、
図2に示すように、配管21は、一部が分岐しており、複数のガス導入口21aからプロセスガスG1を供給する構成となっている。なお、配管21の構成や形状、ガス導入口21aを設ける数等は、メインチャンバ2の大きさや内部構造等を考慮して決定される。例えば、X方向に関し、メインチャンバ2の中央部側であるランプ20の間の空間に、配管21がさらに設けられていても構わない。
【0051】
ここで、
図2に示すように、本実施形態においては、搬入サブチャンバ3側に配置されている配管21が、+X方向にプロセスガスG1を噴射するとともに、-Z方向にもプロセスガスG1を噴射するように構成されている。当該構成によれば、搬入サブチャンバ3からメインチャンバ2への、ワークW1の搬入に伴う外気を含むガスの流入が抑制される。
【0052】
図3は、メインチャンバ2をX方向に見たときの図面である。
図1~
図3に示すように、抽気管22は、メインチャンバ2内に配置された一端部である取込口22aが処理空間A1内に配置され、他端部である排出口22bが、プロセスガス制御部10に備えられたオゾン濃度を測定する濃度計10aに接続されている。当該構成により、抽気管22は、処理空間A1内のオゾンを含む雰囲気ガスG2を、濃度計10aへと導く。
【0053】
取込口22aは、処理空間A1内の任意の位置に配置して構わないが、本実施形態では、ワークW1周辺のオゾン濃度が所望の範囲内にあるかどうかをより正確にモニタリングするため、Z方向に関し、紫外光源20の光出射面20aと同じ位置に配置されている。
【0054】
図3に示すように、本実施形態の抽気管22は、合流部22cが設けられており、複数の取込口22aが、Y方向に等間隔に配列されている。なお、メインチャンバ2が十分小さく、一箇所から処理空間A1内の雰囲気ガスG2を吸引することで、安定的にオゾン濃度を計測できるような場合、抽気管22は、合流部22cを備えず、取込口22aが一つだけであっても構わない。
【0055】
メイン排気口2cは、
図1に示すように、メインチャンバ2内の雰囲気ガスG2をメインチャンバ2の外側へと排気する排気口である。本実施形態において、メイン排気口2cから排気される雰囲気ガスG2の量は、排気制御部12により排気用ファン2fの回転数が制御されることによって調整される。
【0056】
図4Aは、メインチャンバ2内の搬送機構5の構成を模式的に示す斜視図であり、
図4Bは、
図4Aの搬送機構5を+Z側から見たときの図面であり、
図4Cは、
図4Aの搬送機構5をY方向に見たときの図面である。
図4A~
図4Cに示すように、仕切部材2pは、複数の搬送ローラ5aのそれぞれに対応する複数の穴2pbが形成されており、穴2pbに搬送ローラ5aを挿通させた状態で固定することで、メインチャンバ2内の空間をZ方向に関して、処理空間A1と滞留空間A2とに区画する。そして、
図4Cに示すように、仕切部材2pの主面2paよりも+Z側に、搬送ローラ5aの一部が突出していることで、ワークW1が仕切部材2pに阻まれることなくX方向に搬送される。
【0057】
なお、単なる一例ではあるが、本実施形態における仕切部材2pの大きさは、(X、Y)=(280mm、3400mm)である。また、仕切部材2pに設けられた穴2pbの大きさは、(X、Y)=(28mm、13mm)であり、一つの搬送ローラ5aは、径が45mmであって、Y方向の長さが11mmである。そして、搬送ローラ5aは、メインチャンバ2内には、60個配置されている。
【0058】
(搬入サブチャンバ3)
搬入サブチャンバ3は、
図1に示すように、複数のサブ排気口(3c1,3c2)と、仕切部材3pとを備え、搬送機構5の一部が収容されている。そして、
図1に示すように、搬入サブチャンバ3の壁面には、X方向において対向する第二搬入口3aと第二搬出口3bとが設けられており、ワークW1が第二搬入口3aから搬入されて、第二搬出口3bから搬出される。
【0059】
搬入サブチャンバ3には、
図1に示すように、仕切部材3pが設けられており、内側の空間が、搬送機構5の+Z側の空間B1と、-Z側の空間B2とに区画されている。
【0060】
サブ排気口3c1は、空間B1内に存在する雰囲気ガスG3を吸引し、搬入サブチャンバ3の外側へと排気するための開口である。
【0061】
サブ排気口3c2は、空間B2内に存在する雰囲気ガスG3を吸引し、搬入サブチャンバ3の外側へと排気するための開口である。
【0062】
本実施形態におけるサブ排気口(3c1,3c2)は、搬入サブチャンバ3の内側に存在する雰囲気ガスG3を外側に排気する開口であり、いずれも第一サブ排気口に相当する。
【0063】
サブ排気口(3c1,3c2)のそれぞれには、
図1に示すように、搬入サブチャンバ3内の雰囲気ガスG3を排気するための排気用ファン3fが設けられており、排気制御部12により、排気用ファン3fの回転数が制御されて、搬入サブチャンバ3内の雰囲気ガスG3を排気する量が調整される。
【0064】
なお、排気制御部12は、単位時間あたりにメイン排気口2cから排気される雰囲気ガスG2の量が、サブ排気口(3c1,3c2)から排気される雰囲気ガスG3の総量よりも少なくなるように排気用ファン3fを制御する。これにより、搬入サブチャンバ3の空間B1が、メインチャンバ2の処理空間A1よりも気圧が低くなり、搬入サブチャンバ3からメインチャンバ2への雰囲気ガスG3の流入が抑制される。
【0065】
本実施形態では、メイン排気口2cから単位時間あたりに排気される雰囲気ガスG2の量が10L/min、サブ排気口(3c1,3c2)から単位時間あたりに排気される雰囲気ガスG3の量が950L/minとなるように調整されている。つまり、単位時間あたりにメイン排気口2cから排出される雰囲気ガスG2の総量が、サブ排気口(3c1,3c2)から排出される雰囲気ガスG3の総量よりも少なくなるように制御されている。
【0066】
(搬出サブチャンバ4)
搬出サブチャンバ4は、
図1に示すように、複数の第二サブ排気口(4c1,4c2)と、仕切部材4pとを備え、搬送機構5の一部が収容されている。そして、
図1に示すように、搬出サブチャンバ4の壁面には、X方向において対向する第三搬入口4aと第三搬出口4bとが設けられており、ワークW1が第三搬入口4aから搬入されて、第三搬出口4bから搬出される。
【0067】
搬出サブチャンバ4には、
図1に示すように、仕切部材4pが設けられており、内側の空間が、搬送機構5の+Z側の空間C1と、-Z側の空間C2とに区画されている。
【0068】
サブ排気口4c1は、空間C1内に存在する雰囲気ガスG4を吸引し、搬出サブチャンバ4の外側へと排気するための開口である。
【0069】
サブ排気口4c2は、空間C2内に存在する雰囲気ガスG4を吸引し、搬出サブチャンバ4の外側へと排気するための開口である。
【0070】
本実施形態におけるサブ排気口(4c1,4c2)は、搬出サブチャンバ4の内側に存在する雰囲気ガスG4を外側に排気する開口であり、いずれも第二サブ排気口に相当する。
【0071】
サブ排気口(4c1,4c2)のそれぞれには、
図1に示すように、搬出サブチャンバ4内の雰囲気ガスG4を排気するための排気用ファン4fが設けられており、排気制御部12が、排気用ファン4fの回転数を制御して、搬出サブチャンバ4内の雰囲気ガスG4を排気する量を調整する。
【0072】
本実施形態では、サブ排気口(4c1,4c2)から単位時間あたりに排気される雰囲気ガスG4の量が950L/minとなるように調整されている。つまり、単位時間あたりにメイン排気口2cから排出される雰囲気ガスG2の総量が、サブ排気口(4c1,4c2)から排出される雰囲気ガスG4の総量よりも少なくなるように制御されている。
【0073】
単位時間あたりにサブ排気口(3c1,3c2)から排気される雰囲気ガスG3の総量と、サブ排気口(4c1,4c2)から排気される雰囲気ガスG4の総量とは、本実施形態のように同じになるように設定されていることが好ましい。より詳細には、単位時間あたりにサブ排気口3c1から排気される雰囲気ガスG3と、サブ排気口4c1から排気される雰囲気ガスG4の量が同じで、かつ、単位時間あたりにサブ排気口3c2から排気される雰囲気ガスG3と、サブ排気口4c2から排気される雰囲気ガスG4の量が同じであることが好ましい。ただし、それぞれの排気口(3c1,3c2,4c1,4c2)から排気される雰囲気ガス(G3,G4)の量は、それぞれ異なっていても構わない。
【0074】
なお、排気制御部12は、単位時間あたりにメイン排気口2cから排気される雰囲気ガスG2の量が、サブ排気口(4c1,4c2)から排気される雰囲気ガスG4の総量よりも少なくなるように排気用ファン4fを制御する。これにより、搬出サブチャンバ4の空間C1が、メインチャンバ2の処理空間A1よりも気圧が低くなり、搬出サブチャンバ4からメインチャンバ2への雰囲気ガスG4の流入が抑制される。
【0075】
[検証実験]
ここで、本実施形態の光処理装置1が、従来構成の光処理装置に比べて、メインチャンバ2の処理空間A1内のオゾン濃度をより低い濃度で安定させられることを確認する検証実験を実施したので、以下で説明する。
【0076】
(実施例)
実施例は、上述した本実施形態の光処理装置1とした。
【0077】
(比較例1)
図5Aは、比較例1の構成をY方向に見たときの模式的な図面である。比較例1は、
図5Aに示すように、仕切部材(2p,3p,4p)を備えていない点を除いて、実施例と同じ構成である。
【0078】
(比較例2)
図5Bは、比較例2の構成をY方向に見たときの模式的な図面である。比較例2は、
図5Bに示すように、搬入サブチャンバ3、搬出サブチャンバ4、及び仕切部材2pを備えていない点を除いて、実施例と同じ構成である。
【0079】
(条件)
オゾン濃度の測定は、濃度計10aにより行った。また、ワークW1を搬送せず、オゾン濃度の測定時間は、5分とした。
【0080】
(結果)
図6は、濃度計10aが測定したオゾン濃度の時間変化を示すグラフである。
図6に示すように、比較例1は、オゾン濃度が比較例2に対して変動が抑制されており、より低い濃度で安定していることが確認される。そして、実施例は、比較例1に対して更に変動が抑制されており、より低いオゾン濃度で安定していることが確認される。
【0081】
以上によれば、光処理装置1は、外気がメインチャンバ2内に直接流れ込む従来の構成に比べて、メインチャンバ2内のオゾン濃度の変動が抑制され、かつ、処理空間A1内で生成されたオゾンが、ワークW1周辺に留まりやすい。したがって、光処理装置1は、従来の光処理装置と比較して、低いオゾン濃度であっても、安定してワーク全体を均質に処理することができる。
【0082】
なお、メインチャンバ2内に流れ込むガスは、ワークW1の搬入に伴って第一搬入口2aから処理空間A1内に流れ込むガスの割合が非常に大きい。このため、メインチャンバ2や、第一搬入口2a及び第一搬出口2bのサイズによっては、光処理装置1は、搬出サブチャンバ4を備えていなくとも、メインチャンバ2の処理空間A1内のオゾン濃度を十分に安定させることができる場合がある。
【0083】
また、サブチャンバ(3,4)内において、雰囲気ガス(G3,G4)が循環することは、メインチャンバ2の処理空間A1内のオゾン濃度にはほとんど影響しない。このため、サブチャンバ(3,4)については、仕切部材(3p,4p)が設けられていなくても構わない。
【0084】
図7A及び
図7Bは、搬送機構5及び仕切部材2pの一構成例を示す模式的な図面である。
図7Aに示すように、仕切部材2pは、搬送ローラ5aを貫通させる穴2pbではなく、搬送ローラ5aを収容するポケット2pcを設けた構成であってもよく、搬送ローラ5aの-Z側に配置される、穴2pbやポケット2pcが設けられていない板状の部材であっても構わない。また、ここでは、仕切部材2pの構成について説明したが、各サブチャンバ(3,4)に設けられる仕切部材(3p,4p)が、上述したような構成であってもよく、さらに、仕切部材(2p,3p,4p)の形状が、それぞれ異なっていても構わない。
【0085】
さらに、搬送ローラ5aは、
図4A及び
図4Bに示すように、X方向及びY方向に配列されているが、配置位置は任意であって、問題なくワークW1の搬送が可能であれば、不規則的な配置を採用しても構わない。そして、搬送ローラ5a単体の形状は任意であって、
図7Bに示すように、Y方向に延伸する形状を呈していても構わない。
【0086】
本実施形態においては、各排気口(2c,3c1,3c2,4c1,4c2)から、それぞれのチャンバ(2,3,4)内の雰囲気ガス(G2,G3,G4)を排気する排気制御機構を備えているが、光処理装置1は、排気制御機構を備えていなくても構わない。例えば、プロセスガスG1が処理空間A1内に供給されることによって、処理空間A1内の気圧が高くなり、雰囲気ガス(G3,G4)の流入が十分に抑制されてオゾン濃度が安定する場合は、排気制御機構を備えていなくてもよい。また、雰囲気ガス(G2,G3,G4)の排気量の制御は、排気用ファン(2f,3f,4f)以外の機構を用いて行ってもよい。例えば、排気する雰囲気ガス(G2,G3,G4)の量が調整可能となるように、各排気口(2c,3c1,3c2,4c1,4c2)が、風量調整用のダンパーや、可変バルブ等を介して施設内に設けられた排気用ダクトに連絡されていても構わない。当該構成によれば、風量調整用のダンパーや、可変バルブ等によって排気用ダクトに引き込むガスの量が調整されることで、各排気口(2c,3c1,3c2,4c1,4c2)から排気される雰囲気ガス(G2,G3,G4)の量が調整される。なお、風量調整用のダンパーや可変バルブの制御は、排気制御機構によって自動で行われてもよく、人が手動で行っても構わない。
【0087】
本実施形態においては、濃度計10aによって処理空間A1内の雰囲気ガスG2のオゾン濃度を測定し、ガス供給源11から供給されるプロセスガスG1の流量を制御するが、濃度計10aを備えず、ガス供給源11から一定の流量でプロセスガスG1を供給する構成としても構わない。
【0088】
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
【0089】
〈1〉
図8は、光処理装置1の別実施形態をY方向に見たときの模式的な図面である。
図8に示すように、光処理装置1は、濃度計10aを有し、濃度計10aが測定したメインチャンバ2内の雰囲気ガスG2のオゾン濃度に応じて、紫外光源20に供給する電力を制御する電力制御部80を備えていても構わない。
【0090】
上記構成の場合、例えば、ガス供給源11から供給されるプロセスガスG1の量は一定として、紫外光源20から出射される紫外光の強度によって、処理空間A1内に生成されるオゾンの量が制御される。
【0091】
紫外光源20から出射される紫外光の強度は、例えば、駆動電圧や供給する電流の大きさ、交流での供給の場合は、更に周波数やデューティ比の調整等により、ガスの供給量の調整に比べて細かく調整することができる。
【0092】
〈2〉
図9は、光処理装置1の、
図8とは別の実施形態をY方向に見たときの模式的な図面である。
図9に示すように、光処理装置1は、処理空間A1の雰囲気ガスG2のオゾン濃度をモニタするための濃度計90aを備えていてもよく、更に濃度計90aが測定した雰囲気ガスG2のオゾン濃度のデータを記録する記録部90bを備えていても構わない。また、光処理装置1は、当該データを、無線又は有線で、外部機器に送信する送信部を備えていても構わない。なお、記録部90bは、例えば、マイコン等が備えるメモリや、外部機器が備えるハードディスク等、又はメモリデバイス等の単体の記録媒体等である。
【0093】
上記構成とすることで、例えば、処理済みのワークW1において不良が発生した場合に、処理空間A1内のオゾン濃度に異常が発生していたかどうかを確認することや、不良原因の解析をすることができる。また、処理空間A1内のオゾン濃度を常時モニタリングできるように構成されている場合は、ワークW1の処理中に、処理空間A1内のオゾン濃度の異常を検知することができる。
【0094】
〈3〉 上述した光処理装置1が備える構成は、あくまで一例であり、本発明は、図示された各構成に限定されない。
【符号の説明】
【0095】
1 : 光処理装置
2 : メインチャンバ
2a : 第一搬入口
2b : 第一搬出口
2c : メイン排気口
2f : 排気用ファン
2p : 仕切部材
2pa : 主面
2pb : 穴
2pc : ポケット
3 : 搬入サブチャンバ
3a : 第二搬入口
3b : 第二搬出口
3c1,3c2 : サブ排気口
3f : 排気用ファン
3p : 仕切部材
4 : 搬出サブチャンバ
4a : 第三搬入口
4b : 第三搬出口
4c1,4c2 : サブ排気口
4f : 排気用ファン
4p : 仕切部材
5 : 搬送機構
5a : 搬送ローラ
10 : プロセスガス制御部
10a : 濃度計
11 : ガス供給源
20 : 紫外光源
20a : 光出射面
21 : 配管
21a : ガス導入口
22 : 抽気管
22a : 取込口
22b : 排出口
22c : 合流部
80 : 電力制御部
90a : 濃度計
90b : 記録部
G1 : プロセスガス
W1 : ワーク