(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002585
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 6/40 20060101AFI20231228BHJP
B65D 6/18 20060101ALI20231228BHJP
B65D 21/032 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65D6/40
B65D6/18 A
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101865
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
(72)【発明者】
【氏名】千葉 哲也
(72)【発明者】
【氏名】浅山 幹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 香奈
【テーマコード(参考)】
3E006
3E061
【Fターム(参考)】
3E006AA01
3E006BA03
3E006CA01
3E006CA05
3E006DA02
3E006DB03
3E061AA02
3E061AB04
3E061AB09
3E061CA02
3E061DA13
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】陳列ケースとして使用した場合に商品をアピールすることが可能な容器の提供を目的とする。
【解決手段】本開示の容器10は、側面開口W2の両側に商品90に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部50を有するので、陳列ケースとして使用する場合に、側方情報表示部50により商品90をアピールすることができ、商品90の販売が促進される。また、容器10は、上面開口W1を有するので、搬送容器として使用する場合に、上面開口W1から容器10内に商品90を容易に収容することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開口と、それに連続する側面開口とを有し、商品を搬送する搬送容器としても前記商品を陳列する陳列ケースとしても使用可能な容器であって、
前記側面開口は、前記容器の一側壁の両側部を除く範囲に形成され、
前記一側壁の前記両側部の外面に、前記商品に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部が設けられている容器。
【請求項2】
前記側面開口は、前記一側壁の下部を除く範囲に形成され、
前記一側壁の前記下部の外面に、商品に係る情報を表示するための下方情報表示部が設けられている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
容器の底壁のうち対向する1対の第1外縁部から起立する1対の第1土手部に1対の第1側壁本体をヒンジ連結してなる1対の第1側壁と、
前記底壁のうち対向する1対の第2外縁部から起立する1対の第2土手部に1対の第2側壁本体をヒンジ連結してなる1対の第2側壁と、を備え、
前記1対の第1側壁本体を内側に倒した上に、前記1対の第2側壁本体を内側に倒して容器が折畳状態になるように構成され、
前記一側壁は、一方の前記第2側壁であり、
前記側面開口は、一方の前記第2側壁本体に形成され、
前記下方情報表示部は、一方の前記第2土手部の外面に設けられている請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記一側壁には、前記側面開口の下方で前記両側部を連絡する連絡壁が備えられている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の容器。
【請求項5】
前記側面開口は四角形をなし、
前記側面開口の下側両角部で、上下方向に対して傾斜して延び、前記側面開口の側縁部と下縁部とを接続するコーナー連絡壁を備える請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記側方情報表示部には、
前記商品に係る情報を表示するタグの裏面が重ねられるタグ重ね部と、
前記タグ重ね部の両側部及び下端部に設けられてタグの側方及び下方への移動を規制する移動規制部と、前記移動規制部の前端部から突出して、前記タグのおもて面に重なる係止突部と、
が備えられている請求項1から3の何れか1の請求項に記載の容器。
【請求項7】
前記容器の下面の外縁から複数の下端突片が垂下されると共に、前記容器の上面の外縁部のうち前記複数の下端突片の真上となる位置に複数の切欠部が形成されて、前記容器が段積みされたときに、上段側の前記容器の前記複数の下端突片が、下段側の前記容器の前記複数の切欠部に受容され、
前記側方情報表示部は、前記切欠部の真下に位置している請求項6に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、商品を搬送する搬送容器として使用される容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の容器として、側面開口を有して、商品を陳列する陳列ケースとしても使用可能なものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭56-24193号公報(
図1,
図3)
【0004】
【特許文献2】特開平10-16954号公報(
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の容器は、陳列ケースとして商品をアピールする機能に欠けるという問題があり、その対策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の容器は、上面開口と、それに連続する側面開口とを有し、商品を搬送する搬送容器としても前記商品を陳列する陳列ケースとしても使用可能な容器であって、前記側面開口は、前記容器の一側壁の両側部を除く範囲に形成され、前記一側壁の前記両側部の外面に、前記商品に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部が設けられている容器である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の容器は、側面開口の両側に商品に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部を有するので、陳列ケースとして使用する場合に、側方情報表示部により商品をアピールすることができ、商品の販売が促進される。また、容器は、上面開口を有するので、搬送容器として使用する場合に、上面開口から容器内に商品を容易に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図14を参照して、本開示の一実施形態の容器10について説明する。
図1に示すように、本実施形態の容器10は、平面形状が第1水平方向H1に長い長方形の底壁11と、第1水平方向H1で対向する1対の第1側壁30と、第2水平方向H2で対向する1対の第2側壁40とを有し、一方の第2側壁40に側面開口W2を備える。また、容器10は、
図2に示すように折畳可能になっている。先ずは、一方と他方の第2側壁40を区別しないで、容器10全体の構造について説明する。
【0010】
容器10を折畳可能とするために、
図3に示すように、1対の第1側壁30は、底壁11から起立する1対の第1土手部31と、それらにヒンジ連結される1対の第1側壁本体32とに分割され、1対の第2側壁40は、底壁11から起立する1対の第2土手部41と、それらにヒンジ連結される1対の第2側壁本体42とに分割されている。また、1対の第2土手部41は、1対の第1土手部31より高くなっている。なお、本実施形態の容器10の構成部品は、全て樹脂の成形品であるが、金属製の部品を含んでいてもよい。
【0011】
そして、1対の第1側壁本体32を底壁11の上に重ねるように折り畳んでから、それらの上に1対の第2側壁本体42を重ねるように折り畳んで容器10が折畳状態(
図2参照)になり、それとは逆の順番で1対の第2側壁本体42と1対の第1側壁本体32を起こせば組立状態(
図1参照)に戻る。以下、特記しない限り、容器10が組立状態であることを前提に説明する。
【0012】
図1に示すように、各第1側壁本体32は、第2水平方向H2で1対の第2側壁本体42の側縁部の間に挟まれる。また、
図3に示すように、各第2側壁本体42には、両側縁部から第1側壁本体32側に張り出すサイド突壁43が備えられ、それらサイド突壁43が各第1側壁本体32の側縁部の外面に重なる。さらに、各サイド突壁43には、複数の貫通孔43Aが上下方向に並べて備えられ、それら貫通孔43Aに凹凸係合する複数の突部32Tが第1側壁本体32の各側縁部の外面に形成されている。
【0013】
図4に示すように、各第1側壁本体32の上端部には、ロック機構34が備えられている。ロック機構34は、横方向の中央に配置される操作部35と、操作部35から両側方に延びる1対のロックバー36と、図示しない弾性変形部とを有する。また、操作部35の上下方向の回動に連動して1対のロックバー36が互いに接近及び離間し、弾性部材の弾発力により、通常は、操作部35が回動範囲の上端側のロック位置に配置される共に、1対のロックバー36が互いに離れたロック位置に配置されている。そして、ロック位置のロックバー36の先端部が、第2側壁本体42の内側面に設けられたロック係合部44(
図12参照)と係合し、これにより、第1側壁本体32が、内側へ倒れないようにロックされている。また、操作部35が下側のアンロック位置に回動操作されると、1対のロックバー36がアンロック位置へと移動して上述のロックが解除される。
【0014】
図5に示すように、容器10の下面には、外縁部より内側部分を段付き状に下方に突出させて下面突部12が形成されている。そして、
図6に示すように、容器10が段積みされたときに、
図9に示すように、上段側の容器10の下面突部12が下段側の容器10の上面開口W1に嵌合されて上下の容器10の横ずれが防がれる。
【0015】
また、
図7に示すように、容器10が折畳状態で段積みされたときには、下段側の容器10の1対の第2土手部41の間に上段側の容器10の下面突部12が嵌合されて上下の容器10の横ずれが防がれる。
【0016】
図5に示すように、容器10の下面の4辺の外縁部には、それぞれ各端部寄り位置に下端突片19が設けられている。下端突片19は、第1土手部31又は第2土手部41の外面と面一の外面を有し、内面に複数の縦長突条19Tを備えている。また、下端突片19は縦方向より横幅が大きく、下端突片19の下端面は、下面突部12の下面と略面一になっている。
【0017】
図1に示すように、容器10の上面及び第2土手部41の上面には、複数の下端突片19の真上となる位置に複数の切欠部20,21,22が形成されている。以下、第1側壁30、第2側壁40の構造の詳細を説明し、その中で切欠部20,21,22の構造を併せて説明する。また、以下の説明において、1対の第2側壁40を区別する場合には、側面開口W2を有する第2側壁40及びそれに含まれる第2側壁本体42等の各部位を、前側の第2側壁40、前側の第2側壁本体42等といい、その反対側を、後側の第2側壁40、後側の第2側壁本体42等ということとする。
【0018】
図4に示すように、第1側壁30の第1側壁本体32は、容器10の内外を区画する平板状の主板壁32Sの外面の外縁部に枠状リブ群32Kを備える。枠状リブ群32Kの1対の側辺部分には、第1側壁本体32の縦方向の略全体に亘って延びる複数のメイン縦リブ32Xが含まれ、枠状リブ群32Kの上辺部と下辺部とには、第1側壁本体32の横方向の略全体に亘って延びる複数のメイン横リブ32Yとが含まれる。
【0019】
また、第1側壁本体32の上面は、上端のメイン横リブ32Yで形成され、前述したロック機構34の操作部35は、枠状リブ群32Kの上辺部分のうち上端より下側の1対のメイン横リブ32Yと、それらに直交する1対の縦リブ32Uとに四方を囲まれた部屋の内部に収容されている。そして、1対のロックバー36は、縦リブ32U及びメイン縦リブ32Xに形成された貫通孔に通されて操作部35から両側方に延びている。
【0020】
上端のメイン横リブ32Yは、それ以外のメイン横リブ32Yより幅狭になっている(即ち、主板壁32Sからの突出量が小さくなっている)。また、上端から2番目のメイン横リブ32Yの両端寄り位置からは、上方に突部32Mが突出し、上端のメイン横リブ32Yに外側から重なっている。そして、
図1に示すように、上端のメイン横リブ32Yの両端部に、第2側壁本体42のサイド突壁43が外側から重なり、第1側壁本体32の横方向で突部32Mと対向している。これにより、第1側壁30の横方向の両端部に、サイド突壁43と突部32Mとに挟まれかつ、上方と外方とに開放した前述の切欠部20が形成されている。また、サイド突壁43と突部32Mとの対向面の上端部はC面取りされて、下端突片19を切欠部20に案内する1対のガイド部20Gになっている。
【0021】
図5に示すように、第2側壁40の第2土手部41は、下方に開放した内部空間41Vを有し、内部空間41Vより外側の外壁41Aと内側の内壁41Bの上端間を
図8に示した上壁41Cで接続した構造をなしている。また、第2土手部41の横方向の複数箇所には、第2側壁本体42から垂下する複数のヒンジ脚部42Hと係合する複数のヒンジ凹部41Hが備えられている。各ヒンジ凹部41Hには、内壁41Bの上端から下端寄り位置まで延びる内面開口41Dと、上壁41Cの内縁部を内面開口41Dより幅広に切除してなる上面開口41Eとが含まれる。そして、第2土手部41の横方向の両端部のヒンジ凹部41Hの前側部分において、上壁41Cの外縁部から第2土手部41Aの上端部に亘る範囲を上面開口41Eよりさらに幅広に切除して前述した切欠部22が形成されている。また、切欠部22の幅方向(第2土手部41の横方向)で対向する1対の対向面の上端は面取りされて、下端突片19を切欠部22に案内するガイド部22Gになっている。
【0022】
図10に示すように、後側の第2側壁本体42は、第1側壁本体32と同様に、容器10の内外を区画する平板状の主板壁42Sの外面の外縁部に枠状リブ群42Kを備える。枠状リブ群42Kの両側辺部には、それぞれ第2側壁本体42の縦方向の略全体に亘って延びる複数のメイン縦リブ42Xが備えられ、枠状リブ群42Kの上辺部と下辺部とには、それぞれ第2側壁本体42の横方向の略全体に亘って延びる1対ずつのメイン横リブ42Yが備えられている。また、枠状リブ群42Kの各側辺部の複数のメイン縦リブ42Xのうち最も第2側壁本体42の横方向の中央側に配置されているメイン縦リブ42Xと、その隣のメイン縦リブ42X(以下、これらを「各側辺部の1対のメイン縦リブ42X」という)の間隔は、上辺部及び下辺部の1対のメイン横リブ42Y同士の間隔より広くなっている。そして、第2側壁本体42の上面を形成する上端のメイン横リブ42Yのうち各側辺部の1対のメイン縦リブ42Xに挟まれた部分の外縁部分が切除されて前述の切欠部21が形成されている。また、切欠部21を挟んで対向する1対のメイン縦リブ42Xと、上端のメイン横リブ42Yとが交差する角部はC面取りされて1対のガイド部21Gになっている。
【0023】
図10に示すように、前側の第2側壁本体42は、1対のメイン縦リブ42X1を両側部に備えると共に、1対のメイン横リブ42Y1を下端部に備える。1対のメイン縦リブ42X1は、後側の第2側壁本体42の枠状リブ群42Kにおける各側辺部の1対のメイン縦リブ42Xに相当し、1対のメイン横リブ42Y1は、枠状リブ群42Kの下辺部の1対のメイン横リブ42Yに相当する。また、枠状リブ群42Kにおける上辺部の1対のメイン横リブ42Yに相当する1対の横リブ42Y2は、前側の第2側壁本体42の両側部のみに設けられている。そして、前側の第2側壁本体42は、横方向の中央側の1対のメイン縦リブ42X1と、下端部の上側のメイン横リブ42Y1とに三方を包囲された領域を切除されて前述の側面開口W2を備えている。
【0024】
側面開口W2の内側面を形成する1対のメイン縦リブ42X1と側面開口W2の内部下面を形成するメイン横リブ42Y1の両端寄り位置との間は、コーナー連絡壁42Zによって連絡されている。これにより、側面開口W2は、四角形の下側の両角部をC面取りした形状をなしている。なお、メイン横リブ42Y1のうちコーナー連絡壁42Zの真下となる部分は、コーナー連絡壁42Zより水平方向に対して緩やかな角度で傾斜する傾斜部42Z2になっている。
【0025】
後側の第2側壁本体42では、リブ群が外側に向かって突出しているが、前側の第2側壁本体42では、両側縁部を除いてリブ群は主として内側に向かって突出している。具体的には、
図11に示すように、前側の第2側壁本体42における両側部の1対のメイン縦リブ42X1の間には、上端から下端に亘って第1板壁51が張られている。その第1板壁51は、1対のメイン縦リブ42X1の対向面における前端寄り位置に配置され、1対のメイン縦リブ42X1のうち前端寄り位置から前側部分のみが第1板壁51から前方に突出し、1対のメイン縦リブ42X1の残り全体は、第1板壁51から後方に突出している。また、下端のメイン横リブ42Y1に関しても同様に、前側部分のみが第1板壁51の下縁部から前方に突出している。そして、下から2番目のメイン横リブ42Y1と、上部の1対の横リブ42Y2は、第1板壁51の前面側を削除され、第1板壁51の後方のみに突出している。
【0026】
一方、第1板壁51の後面からは、
図12に示すように複数の横リブ42Vと複数の縦リブ42Uとが突出している。また、これら第1板壁51から後方に突出するリブ群の先端面は面一になっている。なお、下から2番目のメイン横リブ42Y1は、前述した傾斜部42Z2を途中に備えることで、下端部の1対のメイン横リブ42Y1の間隔は、横方向の両端部より中央側が狭くなっている。
【0027】
図11に示すように、第1板壁51の前面の上端寄り位置(詳細には、前述の1対の横リブ42Y2の中間の高さとなる位置)からは仕切突条54が突出していて、横方向に延び、1対のメイン縦リブ42X1の間を連絡している。そして、第1板壁51の前面の上端部を除いた全体が、仕切突条54と1対のメイン縦リブ42X1とメイン横リブ42Y1とによって四方を包囲されている。なお、仕切突条54と1対のメイン縦リブ42X1とメイン横リブ42Y1との前端面は、面一になっている。
【0028】
1対のメイン縦リブ42X1のうち仕切突条54より上側の互いの対向面には、1対の補強突部55が設けられている。補強突部55は、前述の対向面の前面から突出し、前方から見ると、上部に斜辺を有する台形状をなしている。そして、1対の補強突部55の間に挟まれた部分が前述の切欠部21をなし、前述の台形の斜辺に相当する部分がガイド部21Gになっている。
【0029】
なお、前側の第2側壁本体42では、各側部の1対のメイン縦リブ42X1同士の間隔は、1対の補強突部55の突出量分だけ、後側の第2側壁本体42における1対のメイン縦リブ42X同士の間隔より広くなっていて、これにより、前側の第2側壁本体42の切欠部21と後側の第2側壁本体42の切欠部21とは同じ大きさになっている。
【0030】
図12に示すように、側面開口W2の下方に位置する1対のメイン横リブ42Y1及びコーナー連絡壁42Zは、前側を第2板壁52で覆われている。
図11に示すように、第2板壁52は、メイン縦リブ42X1の前端面と面一の前面を有する。なお、
図1に示すように、第2板壁52の前面と下端部のメイン横リブ42Y及びコーナー連絡壁42Zの上面とが交差する角部はC面取りされ、さらには、コーナー連絡壁42Zの面取り面は、上方に向かうに従って幅狭になっている。
【0031】
前側の第2側壁40は、側面開口W2に対する両側方部分(真横)と下方部分(真下)とに、1対の側方情報表示部50と下方情報表示部60とを備える。
図11に示すように、側方情報表示部50は、前述した第1板壁51と、その前面を包囲する1対のメイン縦リブ42X1、メイン横リブ42Y1及び仕切突条54と、複数対の突片53及び1対のコーナー突片53Aとを有する。
【0032】
突片53は、1対のメイン縦リブ42X1の上下方向における略中央部と、仕切突条54寄り位置とに配置されて、1対のメイン縦リブ42X1の前端部から互いに接近する側に突出している。また、突片53は、突出方向よりそれと直交する幅方向に大きな長方形をなしている。
【0033】
コーナー突片53Aは、1対のメイン縦リブ42X1と下端のメイン横リブ42Y1とが交差する1対のコーナー部でメイン縦リブ42X1及びメイン横リブ42Y1の前端部の間を連絡するように形成されている。コーナー突片53Aは、メイン縦リブ42X1から張り出す突片とメイン横リブ42Yから張り出す突片とを合体させたL字形になっている。なお、第1板壁51のうち突片53及びコーナー突片53Aと前後方向で重なる部分は、型抜き用の貫通孔が形成されている。
【0034】
上述した突片53及びコーナー突片53Aの後面は、第1板壁51の前面より前方に僅かに離れている。そして、
図1に示すように、タグ91Aが、第1板壁51と突片53及びコーナー突片53Aの間の隙間に縁部が受容された状態で側方情報表示部50に保持される。
【0035】
図1に示すように、下方情報表示部60は、前側の第2土手部41のうち側面開口W2の真下となる範囲に配置されて、横長の帯状をなしている。具体的には、
図13に示すように、前側の第2土手部41には、前述の外壁41Aのうち側面開口W2の真下に位置する横長の帯状領域を段付き状に後方に陥没させて前面凹部61が形成されている。また、前面凹部61の上下方向の大きさは、外壁41Aの上下方向の大きさより僅かに小さく、前面凹部61の横方向の大きさは、側面開口W2の横幅より僅かに小さい。
【0036】
そして、下方情報表示部60は、前側の第2土手部41のうち前面凹部61の奥面及び奥面を包囲する段差面を形成する壁部と、複数対の突片63及び1対のコーナー突片63Aと、タグ寄せ用突条64とを有する。
【0037】
突片63は、前面凹部61の横方向の途中部分における複数位置に配置されて、前面凹部61の上下の段差面の前縁部から互いに接近するように突出している。また、突片63は、例えば、突出方向よりそれと直交する幅方向に大きな長方形になっている。
【0038】
コーナー突片63Aは、前面凹部61の横方向の一端部における1対のコーナー部で前面凹部61の上下の段差面の前縁部と横方向の一端の段差面の前縁部との間を連絡するように形成され、前方から見た形状が三角形になっている。また、
図14に示すように、複数の突片63及びコーナー突片63Aの後面は、前面凹部61の奥面より前方に僅かに離れている。なお、前面凹部61の奥面を形成する壁部のうち突片63及びコーナー突片63Aと前後方向で重なる部分は、型抜き用の貫通孔が形成されている。
【0039】
また、
図13に示すように、タグ寄せ用突条64は、前面凹部61のうち横方向の他端側の段差面から僅かに離れた位置における上下方向の中央に配置されて、上下方向に延びている。また、タグ寄せ用突条64の平断面は、例えば四角形になっている。そして、タグ91Bが、前面凹部61の奥面と突片63及びコーナー突片63Aの間の隙間にタグ91Bの縁部が受容された状態で下方情報表示部60に保持される。
【0040】
本実施形態の容器10の構成に関する説明は以上である。次に、この容器10の作用効果について説明する。容器10は、例えば、工場から出荷される商品90を搬送するための搬送容器として使用されると共に、販売店で商品90を陳列する陳列ケース(又は、商品を展示する展示ケース)としても使用される。具体的には、容器10は、商品90を出荷する工場にて
図1に示すように組立状態にされる。そして、荷物として複数の商品90が上面開口W1から容器10に収容されて販売店に搬送される。
【0041】
販売店では、複数の容器10が、
図6に示すように全て側面開口W2が同じ方向を向いた段積状態で売り場に置かれる。容器10が段積状態にされると、
図9に示すように、上段側の下端突片19が下段側の切欠部20,21に係合して、容器10同士の横ずれが防止されると共に、下端突片19により、第1側壁30及び第2側壁40(特に側方情報表示部50を有する壁部)の外側への移動が規制されて容器10が補強される。
【0042】
売り場に段積みされた容器10は、陳列ケース(展示ケース)となり、購入者は側面開口W2から容器10内の商品90を取り出すことができる。ここで、本実施形態の容器10では、購入者の購買意欲を喚起するために、例えば、同図に示すように各容器10の1対の側方情報表示部50及び下方情報表示部60の何れか又は全てに、商品90に係る情報が印字されたタグ91A,91Bを取り付けるか、或いは、図示しないがステッカーを貼着することができる。側方情報表示部50にタグ91Aを取り付けるためには、例えば、タグ91Aが、側方情報表示部50の最上部の1対の突片53と仕切突条54との間に斜め前上方から挿入されて押し下げられる。すると、タグ91Aの外縁部が複数対の突片53の後側に受容されていき、タグ91Aの全体が側方情報表示部50に収容されると、タグ91Aが平坦になるように弾性復帰して側方情報表示部50内に抜け止めされ、取り付けが完了する。
【0043】
下方情報表示部60に対するタグ91Bの取り付けも同様に、例えば、タグ91Bが、下方情報表示部60の向かって右側端部の1対の突片63とタグ寄せ用突条64との間に斜め前方から挿入される。そして、タグ91Bの全体が平坦になって下方情報表示部60に収容された状態に取り付けられる。
【0044】
なお、ステッカーを利用する場合には、側方情報表示部50及び下方情報表示部60の前面のうち突片53,63群より内側で前方を向いた平坦面に貼着すればよい。
【0045】
商品90が空になった容器10は、
図2及び
図7に示した折畳状態にされて商品90の工場に戻される。このとき、側方情報表示部50及び下方情報表示部60からタグ91A,91Bを外しておいてもよい。ここで、下方情報表示部60の一端部にはタグ寄せ用突条64が備えられているので、タグ91Bにおけるタグ寄せ用突条64側の一端部と下方情報表示部60における一端部の段差面との間に爪先(指)を差し込むスペースが形成され、タグ91Bの下方情報表示部60からの取り外しを容易に行うことができる。
【0046】
以上の説明の通り、本実施形態の容器10は、側面開口W2の両側に商品90に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部50を有するので、陳列ケースとして使用する場合に、側方情報表示部50により商品90をアピールすることができ、商品90の販売が促進される。また、容器10は、上面開口W1を有するので、搬送容器として使用する場合に、上面開口W1から容器10内に商品90を容易に収容することができる。
【0047】
また、容器10は、1対の側方情報表示部50に加えて、側面開口W2の下方に下方情報表示部60を有するから商品90をアピールする機能が向上する。しかも、下方情報表示部60は、容器10を折畳可能とするために設けられた第1土手部31と第2土手部41のうち高い方の第2土手部41に設けられているので、下方情報表示部60を広くすることができ、目立せることができる。
【0048】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態では、第2側壁本体42のうち、1対の側方情報表示部50を前面に備える両側部が、第2側壁本体42の下部のメイン横リブ42Y1,第2板壁52で形成される連絡壁によって連絡されているが、連絡されていなくてもよい。ただし、前記実施形態のように第2側壁本体42の両側部が連絡壁で連絡された構造とすれば、第2側壁本体42の両側部のぐらつきが抑えられ、1対の側方情報表示部50による情報の表示が安定する。しかも、前記実施形態の容器10では、側面開口W2のコーナー部がコーナー連絡壁42Zによって補強されているので、第2側壁本体42の両側部の支持強度が高くなる。
【0049】
(2)前記実施形態の容器10は、1対の側方情報表示部50と下方情報表示部60とを備えていたが、それら3つの情報表示部のうちの1つ又は2つを備えた構成としてもよい。
【0050】
(3)前記実施形態の容器10の側面開口W2は、四角形であったが、これに限定されるものではなく、例えば、側面開口W2が上方に向かうに従って開口幅が拡がる台形であったり、楕円形であってもよく、また、側面開口W2の開口縁が波形形状であってもよい。
【0051】
(4)前記実施形態の容器10は、一方の第2側壁40のみに側面開口W2、側方情報表示部50及び下方情報表示部60が備えられていたが、2つの第2側壁40の両方に側面開口W2、側方情報表示部50及び下方情報表示部60が備えられていてもよいし、第1側壁30を加えた3つ以上の側壁に側面開口W2、側方情報表示部50及び下方情報表示部60が備えられていてもよい。
【0052】
(5)前記実施形態の容器10の側方情報表示部50及び下方情報表示部60では、タグ91A,91Bの後面が重ねられるタグ重ね部が平板状になっていたが、タグ91A,91Bの後面が重ねられる部分が、例えば前記実施形態における第1板壁51の内面側のように(
図12参照)、複数のリブを備えた構造になっていてもよい。
【0053】
(6)前記実施形態の容器10の側方情報表示部50及び下方情報表示部60は、タグ91A,91Bを保持可能とし、リブ42X1,42Y1(と仕切突条54と)によって包囲された移動規制部によって、タグ91Aの移動を規制可能な構造になっていたが、タグ91A,91Bを保持することができないものであっても、商品に係る情報を表示可能なものであればよい。具体的には、側方情報表示部50及び下方情報表示部60が、タグは保持できないが、例えば、商品に係る情報を表示するステッカーを貼り付け可能なものや、商品に係る情報が成形によって刻印されているものであってもよい。
【0054】
(7)前記実施形態の容器10は、折り畳み可能であったが、折り畳み不可能なものであってもよい。容器10を折り畳み可能とする構造としては、前記実施形態の構造以外に、例えば、容器10の上端部が枠体になっていて、その枠体のうち1対の第1対向辺に上端部がヒンジ連結されて、上端部を中心に回動する1対の跳ね上げ側壁と、枠体の1対の第2対向辺とそれらの真下の底壁の1対の対向辺とに上下の両端部をヒンジ連結されて、内側に二つ折り可能な1対の折り曲げ側壁と、を備えた構造としてもよい。
【0055】
(8)前記実施形態の容器10は、上面開口W1を開閉する蓋体も、側面開口W2を開閉する扉部材もないものであったが、蓋体及び扉部材の一方又は両方を備えた構成としてもよい。また、蓋体及び扉部材は、着脱式でも、回動式でも、スライド式でもよい。
【0056】
(9)前記実施形態の容器10の平面形状は、長方形であるが正方形でもよい。
【0057】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成の符号を括弧書きで示すが、これら特徴群は、この括弧書きで示した符号の構成に限定されるものではない。
【0058】
[特徴1]
上面開口(W1)と、それに連続する側面開口(W2)とを有し、商品(90)を搬送する搬送容器としても前記商品(90)を陳列する陳列ケースとしても使用可能な容器(10)であって、前記側面開口(W2)は、前記容器(10)の一側壁(40)の両側部を除く範囲に形成され、前記一側壁(40)の前記両側部の外面に、前記商品(90)に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部(50)が設けられている容器(10)。
【0059】
[特徴2]
前記側面開口(W2)は、前記一側壁(40)の下部を除く範囲に形成され、前記一側壁(40)の前記下部の外面に、商品(90)に係る情報を表示するための下方情報表示部(60)が設けられている特徴1に記載の容器(10)。
【0060】
[特徴3]
容器(10)の底壁(11)のうち対向する1対の第1外縁部から起立する1対の第1土手部(31)に1対の第1側壁本体(32)をヒンジ連結してなる1対の第1側壁(30)と、前記底壁(11)のうち対向する1対の第2外縁部から起立する1対の第2土手部(41)に1対の第2側壁本体(42)をヒンジ連結してなる1対の第2側壁(40)と、を備え、前記1対の第1側壁本体(32)を内側に倒した上に、前記1対の第2側壁本体(42)を内側に倒して容器(10)が折畳状態になるように構成され、前記一側壁は、一方の前記第2側壁(40)であり、前記側面開口(W2)は、一方の前記第2側壁本体(42)に形成され、前記下方情報表示部(60)は、一方の前記第2土手部(41)の外面に設けられている特徴2に記載の容器(10)。
【0061】
[特徴4]
前記一側壁(40)には、前記側面開口(W2)の下方で前記両側部を連絡する連絡壁(42Y1,52)が備えられている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の容器(10)。
【0062】
[特徴5]
前記側面開口(W2)は四角形をなし、前記側面開口(W2)の下側両角部で、上下方向に対して傾斜して延び、前記側面開口(W2)の側縁部と下縁部とを接続するコーナー連絡壁(42Z)を備える特徴4に記載の容器(10)。
【0063】
[特徴6]
前記側方情報表示部(50)には、前記商品に係る情報を表示するタグ(91A)の裏面が重ねられるタグ重ね部(51)と、前記タグ重ね部(51)の両側部及び下端部に設けられてタグ(91A)の側方及び下方への移動を規制する移動規制部(42X1,42Y1)と、前記移動規制部(42X1,42Y1)の前端部から突出して、前記タグ(91A)のおもて面に重なる係止突部(53,53A)と、が備えられている特徴1から3の何れか1の特徴に記載の容器(10)。
【0064】
[特徴7]
前記容器(10)の下面の外縁から複数の下端突片(19)が垂下されると共に、前記容器(10)の上面の外縁部のうち前記複数の下端突片(19)の真上となる位置に複数の切欠部(20,21)が形成されて、前記容器(10)が段積みされたときに、上段側の前記容器(10)の前記複数の下端突片(19)が、下段側の前記容器(10)の前記複数の切欠部(20,21)に受容され、前記側方情報表示部(50)は、前記切欠部(20,21)の真下に位置している特徴6に記載の容器(10)。
【0065】
特徴1を有する容器(10)は、側面開口(W2)の両側に商品(90)に係る情報を表示するための1対の側方情報表示部(50)を有するので、陳列ケースとして使用する場合に、側方情報表示部(50)により商品(90)をアピールすることができ、商品(90)の販売が促進される。また、容器(10)は、上面開口(W1)を有するので、搬送容器として使用する場合に、上面開口(W1)から容器(10)内に商品(90)を容易に収容することができる。
【0066】
特徴2の容器(10)は、側面開口(W2)の両側方の1対の側方情報表示部(50)に加えて、側面開口(W2)の下方に下方情報表示部(60)を有するから商品(90)をアピールする機能が向上し、さらなる商品(90)の販売促進が図られる。
【0067】
特徴3の容器(10)は、1対の第1側壁(30)を内側に折り畳んでから、1対の第2側壁(40)を内側に折り畳んで、折畳状態にすることができる。ここで、折畳可能とするために設けられた第1土手部(31)と第2土手部(41)とでは、先に折り畳まれる第1側壁(30)の第1土手部(31)より、後に折り畳まれる第2側壁(40)の第2土手部(41)の方が高くなる。そこで、下方情報表示部(60)を、一方の第2土手部(41)の外面に設けることで下方情報表示部(60)を広くすることができる。
【0068】
特徴4の構成では、側方情報表示部(50)を前面に備えた一側壁(40)の両側部のぐらつきが抑えられ、1対の側方情報表示部(50)による情報の表示が安定する。
【0069】
特徴5によれば、側面開口(W2)の1対の側縁部の下端部と下縁部の両端部とがコーナー連絡壁(42Z)によって接続されていることで、側面開口(W2)を有する第2側壁本体(42)が補強される。
【0070】
側方情報表示部(50)及び下方情報表示部(60)は、ステッカーが貼り付け可能な平坦面であってもよいし、情報の商品名等が刻印された状態に成形された凹凸成形面であってもよいし、特徴6の構造を備えて、タグを保持可能な構成としてもよい。
【0071】
特徴7の構成によれば、容器(10)が段積みされたときに、容器(10)同士のずれが防止されると共に、側方情報表示部(50)を有する壁部が、下端突片(19)によって外側への移動が規制されて補強される。
【0072】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0073】
10 容器
11 底壁
19 下端突片
20,21,22 切欠部
30 第1側壁
31 第1土手部
32 第1側壁本体
40 第2側壁
41 第2土手部
42 第2側壁本体
42X1 メイン縦リブ(移動規制部)
42Y1 メイン横リブ(連絡壁、移動規制部)
42Z コーナー連絡壁
50 側方情報表示部
51 第1板壁(タグ重ね部)
52 第2板壁(連絡壁)
53 突片
53A コーナー突片
60 下方情報表示部
63 突片
63A コーナー突片
90 商品
91A,91B タグ
W1 上面開口
W2 側面開口