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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025853
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】洗濯方法
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/83 20060101AFI20240220BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240220BHJP
   C11D 3/386 20060101ALI20240220BHJP
   D06F 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   D06L 1/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C11D1/83
C11D1/04
C11D3/386
D06F35/00 Z
D06L1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129170
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】武井 亮太
(72)【発明者】
【氏名】寺林 剛
【テーマコード(参考)】
3B168
4H003
【Fターム(参考)】
3B168AA02
3B168AA12
3B168AA32
3B168AD01
3B168AE11
3B168BA52
3B168BA62
3B168FA01
3B168FA04
3B168FA06
4H003AB03
4H003AB17
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC09
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB36
4H003EB37
4H003EC01
4H003EC02
4H003EC03
4H003ED02
4H003FA04
4H003FA07
4H003FA16
4H003FA21
(57)【要約】
【課題】より少ない工程数で、良好な洗浄効果を発揮し、かつ洗濯後の柔軟性を高める。
【解決手段】洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、を有し、前記洗浄液は、下記(A)成分と下記(B)成分と下記(C)成分とを含有する、洗濯方法。
(A)成分:非石鹸系界面活性剤。
(B)成分:酵素(B1)、高分子有機分散剤(B2)、及びキレート剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上。
(C)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、を有し、
前記洗浄液は、下記(A)成分と下記(B)成分と下記(C)成分とを含有する、洗濯方法。
(A)成分:非石鹸系界面活性剤。
(B)成分:酵素(B1)、高分子有機分散剤(B2)、及びキレート剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上。
(C)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩。
【請求項2】
前記洗浄液の総質量に対して、前記(C)成分の含有量が1~100質量ppmである、請求項1に記載の洗濯方法。
【請求項3】
前記洗浄液の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が40~200質量ppmである、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項4】
前記酵素(B1)が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及びセルラーゼから選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項5】
前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(A1)及びアニオン界面活性剤(A2)の一方又は両方を含む、請求項1又は2に記載の洗濯方法。
【請求項6】
前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(A1)を含み、
前記洗浄液において、前記ノニオン界面活性剤(A1)と前記アニオン界面活性剤(A2)の合計に対する、前記ノニオン界面活性剤(A1)の質量比を表すA1/(A1+A2)が0.2/1以上である、請求項5に記載の洗濯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類の洗濯においては、衣類の汚れを落としつつ、かつ洗濯乾燥後に衣類が柔らかく感じられることが好まれる。
例えば特許文献1には、界面活性剤を含む洗浄液中で繊維製品を洗浄した後、最後のすすぎ工程において、すすぎ水に柔軟性付与剤を添加する洗濯方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-145546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、省資源化、省エネルギー化、環境負荷軽減等に繋がるような洗濯方法が求められてきている。
そこで、本発明は、より少ない工程数で、良好な洗浄効果を発揮し、洗濯後の柔軟性を高められる洗濯方法を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等が鋭意検討した結果、特定の(C)成分を含む洗浄液中で洗浄した後に、すすぎを行なわずに脱水し乾燥すると柔軟性が高められるとともに、前記(C)成分に特定の(A)成分及び特定の(B)成分を組合せると、洗浄効果が高められるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の態様を有する。
【0006】
[1] 洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、前記洗浄工程の後にすすぎを経ることなく、前記被洗物を脱水する脱水工程と、を有し、
前記洗浄液は、下記(A)成分と下記(B)成分と下記(C)成分とを含有する、洗濯方法。
(A)成分:非石鹸系界面活性剤。
(B)成分:酵素(B1)、高分子有機分散剤(B2)、及びキレート剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上。
(C)成分:炭素数12~18の脂肪酸又はその塩。
[2] 前記洗浄液の総質量に対して、前記(C)成分の含有量が1~100質量ppmである、[1]に記載の洗濯方法。
[3] 前記洗浄液の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が40~200質量ppmである、[1]又は[2]に記載の洗濯方法。
[4] 前記酵素(B1)が、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、及びセルラーゼから選ばれる1種以上を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の洗濯方法。
[5] 前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(A1)及びアニオン界面活性剤(A2)の一方又は両方を含む、[1]~[4]のいずれかに記載の洗濯方法。
[6] 前記(A)成分が、ノニオン界面活性剤(A1)を含み、
前記洗浄液において、前記ノニオン界面活性剤(A1)と前記アニオン界面活性剤(A2)の合計に対する、前記ノニオン界面活性剤(A1)の質量比を表すA1/(A1+A2)が0.2/1以上である、[5]に記載の洗濯方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗濯方法によれば、より少ない工程数で、良好な洗浄効果を発揮するとともに、洗濯後の柔軟性を高められる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(洗濯方法)
本発明の洗濯方法は、洗浄液を被洗物に接触させる洗浄工程と、洗浄工程の後にすすぎを経ることなく被洗物を脱水する脱水工程とを有する。即ち、本発明の洗濯方法は、洗浄工程と脱水工程とを有し、かつ洗浄工程と脱水工程の間にすすぎ工程を有しない。
【0009】
<洗浄工程>
洗浄工程は、洗浄液を被洗物に接触させる工程である。
被洗物としては、例えば、衣類(衣料)、布巾、タオル類、シーツ、カーテン等の繊維製品等が挙げられる。また、繊維製品の素材については、特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、又はこれらの各種繊維の混紡品、混織品もしくは混編品等が挙げられる。
天然繊維としては、例えば、綿、ウール、麻等が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル、ナイロン、アクリル等が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、アセテート等が挙げられる。
再生繊維としては、例えば、レーヨン、テンセル、ポリノジック等が挙げられる。
【0010】
≪洗浄液≫
洗浄液は、下記(A)成分と下記(B)成分と下記(C)成分とを含有する。洗浄液は、水溶液でもよいし、水分散液でもよい。
【0011】
洗浄液は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含む一体型の洗浄剤組成物を水に分散した水溶液でもよいし、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じた他の成分の各々を水に分散した水溶液でもよい。洗浄剤組成物としては、液体洗浄剤組成物が好ましい。
【0012】
[(A)成分]
(A)成分は、非石鹸系界面活性剤である。
「非石鹸系界面活性剤」とは、高級脂肪酸又はその塩(いわゆる石鹸)を除く界面活性剤である。「高級脂肪酸」とは、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸である。すなわち、(A)成分は、炭素数8~24の飽和又は不飽和脂肪酸及びその塩を除く界面活性剤である。
【0013】
(A)成分としては、ノニオン界面活性剤(A1)、アニオン界面活性剤(A2)、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤などが挙げられる。
(A)成分として、1種の界面活性剤を用いてもよく、2種以上の界面活性剤を組み合わせてもよい。
洗浄力がより高まる観点から、(A)成分はノニオン界面活性剤(A1)及びアニオン界面活性剤(A2)の一方又は両方を含むことが好ましく、両方を含むことがより好ましい。
ノニオン界面活性剤(A1)とアニオン界面活性剤(A2)を併用することで、洗浄効果が高まり、再汚染を抑制できる。
加えて、ノニオン界面活性剤(A1)は泡立ちが少なく、すすぎを行わない洗濯方法に好適である点で好ましい。この点からは、(A)成分が、少なくともノニオン界面活性剤(A1)を含むことがより好ましい。
【0014】
[(A1)成分:ノニオン界面活性剤]
ノニオン界面活性剤(A1)としては、例えばポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシドなどが挙げられる。
【0015】
なかでも、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、下記一般式(a1)で表される化合物(以下、「化合物(a1)」ともいう。)、下記一般式(a2)で表される化合物(以下、「化合物(a2)」ともいう。)、下記一般式(a3)で表される化合物(以下、「化合物(a3)」ともいう。)が挙げられる。
なかでも、泡立ちが少なく、すすぎを行わない洗濯方法に好適である点で、(A1)成分が化合物(a1)及び化合物(a2)の一方又は両方を含むことが好ましく、化合物(a1)を含むことがより好ましい。
【0016】
[化合物(a1)]
11-O-[(EO)/(A11O)]-(EO)-R12 ・・・(a1)
一般式(a1)中、R11は炭素数8~22の直鎖状の炭化水素基である。R12は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。sはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A11OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。tはA11Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。uはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。
【0017】
一般式(a1)中、R11の炭化水素基の炭素数は、8~22であり、10~18が好ましく、12~18がより好ましい。R11の炭化水素基は直鎖状である。R11の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。-O-に結合するR11の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
【0018】
12がアルキル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
12がアルケニル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルケニル基の炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
12は水素原子が特に好ましい。
【0019】
sは3~25であり、5~25が好ましく、7~20がより好ましく、7~18がさらに好ましく、9~18が特に好ましく、11~18が最も好ましい。
tは0~6であり、0~3が好ましい。
uは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
s+uは3~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、7~20が特に好ましく、9~18が最も好ましく、11~18が非常に好ましい。
【0020】
tが0でない場合、つまり化合物(a1)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)/(A11O)]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R11-O-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R11-O-」に結合してもよい。
tが0でない場合、化合物(a1)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0021】
[化合物(a2)]
13-O-[(EO)/(A12O)]-(EO)-R14 ・・・(a2)
一般式(a2)中、R13は炭素数8~22の分岐鎖状の炭化水素基である。R14は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。vはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A12OはPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。wはA12Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。xはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。
【0022】
一般式(a2)中、R13の炭化水素基の炭素数は、8~22であり、10~18が好ましく、12~18がより好ましい。R13の炭化水素基は分岐鎖状である。また、R13の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。-O-に結合するR13の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
【0023】
14がアルキル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
14がアルケニル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルケニル基の炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
14は水素原子が特に好ましい。
【0024】
vは3~25であり、5~18が好ましく、5~15がより好ましく、5~10がさらに好ましく、5~8が特に好ましい。
wは0~6であり、0~3が好ましい。
xは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
v+xは3~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、5~15が特に好ましく、5~10が最も好ましく、5~8が非常に好ましい。
【0025】
wが0でない場合、つまり化合物(a2)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)/(A12O)]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R13-O-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R13-O-」に結合してもよい。
wが0でない場合、化合物(a2)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0026】
化合物(a2)の市販品としては、例えば、三菱化学社製のダイヤドール(登録商標)(C13、Cの次の数字は、アルコールの炭素数を示す。以下同様。)、Shell社製のNeodol(登録商標)(C12とC13との混合物)、Sasol社製のSafol(登録商標)23(C12とC13との混合物)、EXXAL(登録商標)13(C13)等のアルコールに対して、3~10モル相当のエチレンオキシドを付加したもの;
ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られるC13のアルコールに対して、3又は5モル相当、もしくは7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol(登録商標) TO3、Lutensol TO5、Lutensol TO7、BASF社製);
ブテンを3量化して得られる炭素数12のアルケンをオキソ法に供して得られるC13のアルコールに対して、12モル相当又は15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol(登録商標) TO12、Lutensol TO15等、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、9モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XP90、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XL70、BASF社製);
ペンタノールをガーベット反応に供して得られるC10のアルコールに対して、6モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(Lutensol XA60、BASF社製)などが挙げられる。
なお、これらの中で、Sasol社製の商品名Safol23(分岐率:50質量%)(石炭のガス化から得られるオレフィンをオキソ法によりアルコールを得て、更に水素化したもの)や、シェルケミカルズ社製の商品名ネオドール23(分岐率:20質量%)(n-オレフィンから改良オキソ法により生成し、精留したもの)のように、一般式(a2)中でR13の炭化水素基が分岐鎖状である化合物と、一般式(a1)中でR11の炭化水素基が直鎖状である化合物の「混合物」の場合は、分岐鎖を有するものを化合物(a2)とし、一方、直鎖を有するものを化合物(a1)と区別して定義する。なお、「分岐率」とは、全高級アルコールに対する、分岐鎖を有する高級アルコールの割合(質量%)を示す。
【0027】
[化合物(a3)]
15-X-[(EO)/(A13O)]-(EO)-R16 ・・・(a3)
一般式(a3)中、R15は炭素数7~21の炭化水素基である。-X-は、-COO-又は-CONH-である。R16は水素原子、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。pはEO平均繰り返し数を示す3~25の数である。A13はPO(オキシプロピレン基)及びBO(オキシブチレン基)の少なくとも一方を表す。qはA13Oの平均繰り返し数を示す0~6の数である。rはEOの平均繰り返し数を表す0~20の数である。
【0028】
一般式(a3)中、R15の炭化水素基の炭素数は、7~21であり、9~19が好ましく、11~19がより好ましい。R15の炭化水素基は直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。また、R15の炭化水素基は不飽和結合を有していてもよいし、有していなくてもよい。
-X-に結合するR15の炭素原子は、第一級炭素原子でも第二級炭素原子でもよい。
【0029】
16がアルキル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素数は1~6であり、1~3が好ましい。
16がアルケニル基の場合、直鎖状でもよく分岐鎖状でもよい。アルケニル基の炭素数は2~6であり、2~3が好ましい。
16はアルキル基が特に好ましい。
【0030】
pは3~25であり、5~20が好ましく、10~18がより好ましく、12~18がさらに好ましい。
qは0~6であり、0~3が好ましい。
rは0~20であり、0~15が好ましく、0~10がより好ましい。
p+rは5~30が好ましく、5~25がより好ましく、5~20がさらに好ましく、10~20が特に好ましい。
【0031】
qが0でない場合、つまり化合物(a3)が、EOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOを有する場合、[(EO)/(A13O)]においてEOとPO、EOとBO、又はEOとPOとBOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R15-X-」に結合してもよいし、PO又はBOが「R15-X-」に結合してもよい。
qが0でない場合、化合物(a3)は、EOとPO、又はEOとBOを有することが好ましい。
【0032】
[(A2)成分:アニオン界面活性剤]
アニオン界面活性剤としては、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)、α-オレフィンスルホン酸又はその塩(AOS)、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩(AS)、ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)、アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩、α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩、内部オレフィンスルホン酸又はその塩(IOS)、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩(HAS)、アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
アニオン界面活性剤としては、LAS、AOS、AS、AESが好ましく、なかでも、洗浄力がより高まる観点から、LAS、AESがより好ましい。液体洗浄剤は少なくともAESを含むことが好ましく、LASとAESの両方を含むことがより好ましい。
【0033】
ポリオキシアルキレンアルキル(アルケニル)エーテル硫酸エステル又はその塩(AES)は、下記一般式(a4)で表される。
17-O-[(EO)/(PO)]-SO ・・・(a4)
一般式(a4)中、R17は、炭素数8~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。EOはオキシエチレン基である。POはオキシプロピレン基である。jはEOの平均繰り返し数を表す0.1以上の数である。kはPOの平均繰り返し数を表す0~6の数である。[(EO)/(PO)]は、EOとPOの配列順に限定がないことを示し、Mは対カチオンである。
【0034】
AESとしては、炭素数10~20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均1~5モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましい。上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数としては、10~20が好ましく、12~14がより好ましい。特に、炭素数10~20の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数12~14の直鎖状のアルキル基がより好ましい。具体的には、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。
【0035】
jは0.1~5が好ましく、0.1~3がより好ましく、0.5~2がさらに好ましく、0.5~1.5が特に好ましい。
kは0~6であり、0~3が好ましく、0がより好ましい。
j+kは0超が好ましく、1~5がより好ましい。
【0036】
kが0でない場合、つまりAESが、EOとPOを有する場合、[(EO)/(PO)]においてEOとPOの分布(配列順)に特に限定はなく、これらはブロック状に配列していてもよく、ランダム状に配列していてもよい。また、EOが「R17-O-」に結合してもよいし、POが「R17-O-」に結合してもよい。
EOとPOとをブロック状に配列させる方法としては、例えば、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入する方法、プロピレンオキシドを導入した後にエチレンオキシドを導入する方法、エチレンオキシドを導入した後にプロピレンオキシドを導入し、さらに、エチレンオキシドを導入する方法等が挙げられる。
なお、上記式(a4)におけるj=0、k=0の化合物は、式(a4)で表される化合物の総質量に対して35~55質量%含有することが好ましい。
【0037】
[カチオン界面活性剤]
カチオン界面活性剤としては、例えばカプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の第4級化物などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
これらのカチオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
【0038】
[両性界面活性剤]
両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型両性界面活性剤などが挙げられる。
これらの両性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
【0039】
[半極性界面活性剤]
半極性界面活性剤としては、例えばアルキルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシドなどが挙げられる。
これらの半極性界面活性剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上が組み合わされて用いてもよい。
【0040】
[(B)成分]
(B)成分は、酵素(B1)、高分子有機分散剤(B2)、及びキレート剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上である。
(B1)~(B3)は、(A)成分と併用することで、柔軟性の向上を妨げずに洗浄力の向上に寄与する。
(B)成分は、2種類以上を併用してもよい。
【0041】
[(B1)成分]
(B1)成分は酵素である。
酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、及びアミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼが例示できる。
洗浄力の向上効果に優れる点から、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼが好ましく、プロテアーゼ、リパーゼがより好ましい。
柔軟性向上の効果に優れる点から、セルラーゼが好ましい。
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
酵素は、一般に、酵素を含有する製剤(酵素製剤)として市販されている。(B1)成分として、市販の酵素製剤を用いることができる。
本明細書において酵素の含有量は、酵素製剤としての質量である。
【0042】
[(B2)成分]
(B2)成分は、高分子有機分散剤である。洗浄液が(B2)成分を含有することで洗浄作用を補助する効果を発揮する。このため、洗浄液中の(A)成分の濃度が低くても充分な洗浄力を発揮できる。ここで、「高分子有機分散剤」とは、(A)成分と併用することで洗浄力を発揮する、分子量1000以上の有機化合物をいう。
(B2)成分は、後述の(B21)成分、(B22)成分及び(B23)成分から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
【0043】
[(B21)成分]
(B21)成分は、アルコキシル化ポリアルキレンイミンである。すなわち、(B21)成分は、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体である。
ポリアルキレンイミンは、例えば、下記式(b1)で表される。
NH-R-[N(A)-R-NH ・・・(b1)
式(b1)中、Rはそれぞれ独立に炭素数2~6のアルキレン基であり、Aは、水素原子又は分岐による別のポリアミン鎖であり、nは1以上の数である。ただし、前記Aがすべて水素原子であることはない。すなわち、式(b1)で表されるポリアルキレンイミンは、構造中に分岐したポリアミン鎖を有する。
としては、炭素数2~6の直鎖状のアルキレン基、炭素数3~6の分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。Rとしては、炭素数2~4のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
【0044】
ポリアルキレンイミンは、例えば、炭素数2~6のアルキレンイミンの1種以上を常法により重合して得られる。炭素数2~6のアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン(以下、「PEI」とも記す。)、ポリプロピレンイミンが好ましく、PEIがより好ましい。PEIは、エチレンイミンを重合することによって得られ、その構造中に、1級、2級及び3級アミン窒素原子を含む分岐鎖構造を有している。
【0045】
ポリアルキレンイミンの質量平均分子量は、200~2000が好ましく、300~1500がより好ましく、400~1000がさらに好ましく、500~800が特に好ましい。
ポリアルキレンイミンは、その1分子中に活性水素を5~30個有することが好ましく、7~25個有することがより好ましく、10~20個有することがさらに好ましい。
なお、本明細書における質量平均分子量は、ポリエチレングリコール(PEG)を標準物質とし、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めた値を意味する。
【0046】
(B21)成分は、ポリアルキレンイミンにアルキレンオキシドを付加して得られる。この方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒の存在下、出発物質であるポリアルキレンイミンに対して、100~180℃でエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させる方法等が挙げられる。
【0047】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2~4のアルキレンオキシドが挙げられ、エチレンオキシド、プロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
【0048】
(B21)成分としては、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのプロピレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体等が挙げられる。ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体は、ポリアルキレンイミンにエチレンオキシド及びプロピレンオキシドを付加したものであり、ポリアルキレンイミンに対するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの付加順序や付加形態(ブロック状、ランダム状)は任意である。
(B21)成分としては、防臭効果の点から、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド-プロピレンオキシド付加体が好ましく、ポリアルキレンイミンのエチレンオキシド付加体がより好ましい。
【0049】
(B21)成分としては、原料であるポリアルキレンイミンが有する活性水素1モルあたりに、平均5~40モルのアルキレンオキシドが付加されたものが好ましく、平均5~30モルのアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましく、平均8~25モルのアルキレンオキシドが付加されたものがさらに好ましい。
【0050】
(B21)成分としては、例えば、下記式(b1-1)で示される化合物が挙げられる。
【0051】
【化1】
【0052】
式(b1-1)中、R22はそれぞれ独立に炭素数2~6のアルキレン基であり、mはそれぞれ独立に1以上の数である。
22は、炭素数2又は3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のアルキレン基がより好ましい。
mは(R22O)の平均繰り返し数を表す。mはそれぞれ独立に5~40の数が好ましく、5~30の数がより好ましく、8~25の数がさらに好ましく、8~15の数が特に好ましい。
【0053】
(B21)成分の質量平均分子量は、1000~80000が好ましく、2000~50000がより好ましく、3000~30000がさらに好ましく、5000~20000が特に好ましい。
【0054】
(B21)成分としては、合成品が用いられてもよいし、市販品が用いられてもよい。市販品としては、例えば、「Sokalan(登録商標) HP20」等が挙げられる。
(B21)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0055】
[(B22)成分]
(B22)成分は、ポリアクリル酸系ポリマーである。洗浄液が(B22)成分を含有することで、皮脂汚れに対する洗浄力をより高められる。
(B22)成分としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリマレイン酸及びその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩、炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩、並びにアクリル酸-メタクリル酸共重合体及びその塩等から選択される1種以上が挙げられる。(B22)成分としては、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩から選択される1種以上、又は炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上が好ましい。
塩は、一部でも全部でもよく、塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアルカノールアミン等の有機アミン塩が好ましい。
【0056】
(B22)成分における、炭素数4~12の炭化水素としては、マレイン酸と共重合可能なものであればよく、原料のハンドリング性の観点から炭素数10以下の炭化水素が好ましく、炭素数5~9の炭化水素がより好ましい。このような炭化水素として、例えば、二重結合をもつ不飽和鎖式炭化水素が挙げられる。
【0057】
(B22)成分の共重合体は、下記式(b2-1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び下記式(b2-2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位から選択される1種以上の繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
【0058】
【化2】
【0059】
式(b2-1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である。式(b2-2)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数10~30のアルキル基であり、Rは水素原子又はカルボキシル基である。ただし、式(b2-2)中、Rが水素原子のとき、Rは炭素数10~30のアルキル基であり、Rがカルボキシル基のとき、Rは水素原子である。
【0060】
式(b2-1)中、Rのアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでもよい。Rのアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
式(b2-1)で表されるモノマー(以下、モノマー(b2-1)ともいう)としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
モノマー(b2-1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0061】
式(b2-2)中、Rのアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでいてもよい。Rのアルキル基の炭素数は、10~25が好ましく、10~20がより好ましい。
式(b2-2)で表されるモノマー(以下、モノマー(b2-2)ともいう)のうち、式(b2-2)において、Rが水素原子、Rが炭素数10~30のアルキル基であるモノマー(b2-2)としては、例えば、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル等が挙げられる。式(b2-2)において、Rがカルボキシル基、Rが水素原子であるモノマー(b2-2)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。Rがカルボキシル基、Rが水素原子であるモノマー(b2-2)としては、マレイン酸が好ましい。
モノマー(b2-2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0062】
(B22)成分は、架橋されたポリマーでもよいし、架橋されていないポリマーでもよい。
前記架橋されたポリマーとしては、例えば、架橋剤により架橋された高分子架橋体が挙げられる。前記架橋剤としては、例えば、アリルエーテル化合物が挙げられる。前記アリルエーテル化合物としては、例えば、アリルエーテル、糖のアリルエーテル、糖アルコールのアリルエーテル等が挙げられる。前記糖としては、例えば、スクロース等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0063】
(B22)成分は、式(b2-1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び式(b2-2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位以外の繰り返し単位(他の繰り返し単位)を有していてもよい。
他の繰り返し単位としては、他のモノマーから誘導された繰り返し単位が挙げられる。
他のモノマーとしては、モノマー(b2-1)及びモノマー(b2-2)と共重合可能であれば特に限定されず、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0064】
(B22)成分の質量平均分子量は、3000~100000が好ましく、5000~80000がより好ましく、5000~50000がさらに好ましい。(B22)成分の質量平均分子量が上記下限値以上であると、洗浄力をより高められる。(B22)成分の質量平均分子量が上記上限値以下であると、液体洗浄剤組成物の液安定性をより高められる。
【0065】
(B22)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0066】
[(B23)成分]
(B23)成分は、カルボキシメチルセルロース系ポリマーである。洗浄液が(B23)成分を含有することで、繊維製品に付着した汚れが洗浄液で落ちて他の繊維製品へ付着することを防止する機能(再汚染防止性)をより高められる。
(B23)成分としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩が挙げられる。CMCの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、これらの塩の混合物であってもよい。CMCの塩としては、ナトリウム塩が好ましい。
【0067】
CMCとしては、例えば、パルプを原料として、これを水酸化ナトリウム水溶液で処理した後、モノクロロ酢酸を反応させて得られるアニオン性の水溶性セルロースエーテル又は水不溶性セルロースエーテルが挙げられる。
具体的には、下記式(b3-1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が例示される。
【0068】
【化3】
【0069】
式(b3-1)中、nは繰り返し単位の繰り返し数を表し、R31~R33は、それぞれ独立して水酸基又はカルボキシメチル基(-CHCOO;Zは対イオンである)を示す。
【0070】
CMCの質量平均分子量は、10万以上が好ましく、30万以上がより好ましく、80万以上がさらに好ましい。CMCの質量平均分子量の上限値としては、120万以下が好ましく、100万以下がより好ましい。CMCの質量平均分子量が上記下限値以上であると、再汚染防止性をより高められる。CMCの質量平均分子量が上記上限値以下であると、溶解性が良好となり、液体洗浄剤組成物の液安定性をより高められる。
【0071】
CMCのエーテル化度は0.2~1.3が好ましく、0.2~1.0がより好ましく、0.2~0.7がさらに好ましい。
本明細書におけるCMCのエーテル化度とは、グルコース環単位当たり、カルボキシメチル基又はその塩で置換された水酸基の平均個数(前記グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつがカルボキシメチル基又はその塩により置換されたかを示すもので、最大3となる)を意味する。例えば、上記式(b3-1)においては、-OR31、-OR32、-OR33のうち、R31~R33がカルボキシメチル基又はその塩で置換されているものの平均個数がエーテル化度となる。
【0072】
CMCは、市販品を用いてもよい。CMCの市販品としては、例えば、ダイセルミライズ株式会社から商品名「CMCダイセル」、商品名「HEC(ヒドロキシエチルセルロース)ダイセル」で販売されている。CMCダイセルとしては、例えば、いずれも品番で、1110、1120、1130、1140、1160、1170、1180、1190、1220、1240、1260、1280、1290、1380、2200、2260、2280、2450、2340等が挙げられる。HECダイセルとしては、例えば、いずれも品番で、SP200、SP400、SP500、SP600、SP850、SP900等が挙げられる。
CMCの市販品としては、このほか、日本製紙株式会社から商品名「サンローズ(登録商標)」で販売されている。サンローズ(登録商標)としては、例えば、F10LC、F600LC、F1400LC、F10MC、F150MC、F350HC、F1400MC、F1400MG等のサンローズFシリーズ;A02SH、A20SH、A200SH等のサンローズAシリーズ;SLD-F1(以上商品名)が挙げられる。
上記の中でも、CMCの市販品としては、CMCダイセル1130、1170、1180、1190、1260、HECダイセルSP400、SP500、サンローズF1400LC、F1400MC、サンローズSLD-F1が好ましく、CMCダイセル1260、HECダイセルSP500がより好ましい。
【0073】
(B23)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
(B2)成分としては、このほか、カチオン化セルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0075】
[(B3)成分]
(B3)成分はキレート剤である。
キレート剤としては、クエン酸、アミノカルボン酸型キレート剤が挙げられる。
アミノカルボン酸型キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)等が挙げられる。
【0076】
[(C)成分]
(C)成分は、炭素数12~18の脂肪酸又はその塩である。(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(C)成分は被洗物の柔軟性向上に寄与する。加えて(C)成分は泡立ちを抑制し、すすぎを行わない洗濯方法に好適である。
(C)成分は、洗浄液中で水等に由来するカルシウムイオンと結合してカルシウム塩を生じ、かかる脂肪酸カルシウムが洗濯後の被洗物に残留することで柔軟性が高まると考えられる。また、洗浄液中に脂肪酸カルシウムが存在すると泡膜が不安定になり、消泡しやすくなると考えられる。
【0077】
(C)成分を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよく、不飽和脂肪酸であってもよく、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との混合物であってもよい。
(C)成分を構成する脂肪酸の具体例としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸等が挙げられる。
脂肪酸の塩の形態としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(マグネシウム塩等)、アルカノールアミン塩(モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等)などが挙げられる。
(C)成分は、脂肪酸でもよく、脂肪酸塩でもよく、これらを組合せてもよい。脂肪酸カルシウムをより生成しやすい点で、(C)成分が脂肪酸を含むことが好ましい。
【0078】
[水]
洗浄液は、水を含有する。
水は、特に限定されず、水道水、井水、イオン交換水等が挙げられる。
【0079】
[他の成分]
洗浄液は、上述の成分以外の成分(他の成分)を含有してもよい。
他の成分としては、洗浄剤組成物に通常用いられる成分が挙げられ、例えば、水混和性有機溶剤、ハイドロトロープ剤、安定化剤、消泡剤、アルカリ剤、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、風合い向上剤、パール剤、酸化防止剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、香料、乳濁化剤、不溶粒子、pH調整剤、天然物等のエキスが挙げられる。
これらの成分は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0080】
[含有量]
洗浄液の総質量に対して、(A)成分の含有量は40~200質量ppmであり、50~180質量ppmが好ましく、50~150質量ppmがより好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物に対する洗浄効果をより高められる。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、洗濯後の被洗物の柔軟性をより高められる。被洗物への(A)成分の残存量が少なくなり、被洗物のごわつきが生じ難くなるためと考えられる。
【0081】
洗浄液に含まれる(A)成分の総質量に対して、ノニオン界面活性剤(A1)とアニオン界面活性剤(A2)の合計の含有量は、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
【0082】
アニオン界面活性剤(A2)が洗浄液中のカルシウムイオンと結合すると、(C)成分と結合し得るカルシウムイオンが減少するため、アニオン界面活性剤(A2)は多すぎないことが好ましい。
ノニオン界面活性剤(A1)とアニオン界面活性剤(A2)の合計に対する、ノニオン界面活性剤(A1)の質量比を表すA1/(A1+A2)は、0.2/1以上が好ましく、0.4/1以上がより好ましく、0.5/1以上がさらに好ましく、0.6/1以上がさらに好ましく、0.7/1以上が特に好ましい。1/1でもよく、0.9/1以下が好ましい。
A1/(A1+A2)が上記の範囲内であると、良好な洗浄力と柔軟性が得られ、再汚染を抑制できる。
【0083】
洗浄液の総質量に対して、(B)成分の含有量は5~100質量ppmが好ましく、7~80質量ppmがより好ましく、10~50質量ppmがさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると洗浄力の向上効果に優れ、上限値以下であると(B)成分以外の成分とのバランスが良く、コストの増大も抑えられる。
洗浄液の総質量に対して、(B1)成分の含有量は0.1~50質量ppmが好ましく、0.5~30質量ppmがより好ましく、1~10質量ppmがさらに好ましい。
洗浄液の総質量に対して、(B2)成分の含有量は5~100ppmが好ましく、7~80ppmがより好ましく、10~50ppmがさらに好ましい。
洗浄液の総質量に対して、(B21)成分の含有量は5~100ppmが好ましく、7~80ppmがより好ましく、10~50ppmがさらに好ましい。
洗浄液の総質量に対して、(B22)成分の含有量は5~100ppmが好ましく、7~80ppmがより好ましく、10~50ppmがさらに好ましい。
洗浄液の総質量に対して、(B23)成分の含有量は0.1~50ppmが好ましく、0.5~30ppmがより好ましく、1~10ppmがさらに好ましい。
洗浄液の総質量に対して、(B3)成分の含有量は0.1~50質量ppmが好ましく、0.5~30質量ppmがより好ましく、1~10質量ppmがさらに好ましい。
【0084】
洗浄液の総質量に対して、(C)成分の含有量は3~70質量ppmが好ましく、5~50質量ppmがより好ましく、10~30質量ppmがさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記範囲の下限値以上であると柔軟性の向上効果に優れる。加えて泡立ちの抑制効果に優れる。上限値以下であると(C)成分以外の成分とのバランスが良く、コストの増大も抑えられる。
【0085】
洗浄液において、(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比を表すC/Aが0.05/1~0.5/1であることが好ましく、0.1/1~0.3/1がより好ましい。C/Aが上記の範囲内であると、洗浄力及び柔軟性の向上効果に優れる。
【0086】
[洗浄液の物性]
洗浄液のpHは、4~10が好ましく、5~9がより好ましく、6~8がさらに好ましい。pHが上記下限値以上であると、被洗物に付着した汚れに対する界面活性剤の作用が高まり、洗浄効果をより高められる。pHが上記上限値以下であると、被洗物に対する損傷をより低減できる。洗浄液のpHは、洗浄剤組成物の組成により調節される。
pHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(ポータブルpH/ORP/IONメーター D-73、堀場製作所社製)を用いて測定される値である。
【0087】
洗浄工程における洗浄液の温度は、特に限定されず、例えば、0~60℃とされる。
【0088】
≪洗浄条件≫
洗浄工程における洗浄方法は、任意の時間、洗浄液を被洗物に接触できればよい。洗浄方法としては、例えば、洗浄液に被洗物を浸漬する方法、洗浄液に被洗物を浸漬しかつ被洗物に機械力を与える(例えば撹拌する)方法が挙げられる。洗浄液に被洗物を浸漬しかつ被洗物に機械力を与える方法としては、いわゆる洗濯機を用いた洗浄方法、洗面台での人手で揉み洗いする方法、袋等に被洗物を入れて揉み洗いする方法が挙げられる。
【0089】
洗濯機としては、例えば、二層式洗濯機、全自動洗濯機、洗剤自動投入機能を備えた洗濯機、業務用洗濯機等が挙げられる。
全自動洗濯機としては、縦型の洗濯槽を有する洗濯機、ドラム式洗濯機、乾燥機付きドラム式洗濯機等が挙げられる。
洗濯機としては、被洗物を洗浄液に浸漬しやすことから、二層式洗濯機、縦型の洗濯槽を有する洗濯機が好ましい。
【0090】
洗浄工程における浴比は、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。浴比が上記下限値以上であると、被洗物(繊維製品)と洗浄液との接触効率をより高めて、洗浄効果をより高められる。浴比の上限値は、特に限定されないが、例えば、50とされる。
浴比は、[洗浄液の質量]/[被洗物の質量]で表される質量比である。
【0091】
洗浄工程における洗浄時間は、3分間以上が好ましく、5分間以上が好ましく、10分間以上がより好ましい。洗浄時間が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。洗浄時間の上限は特に限定されないが、洗濯効率の観点から、6時間以下が好ましく、2時間以下がより好ましく、30分間以下がさらに好ましく、15分間以下が特に好ましい。
なお、洗浄時間は、洗浄液を被洗物に接触させてから、脱水工程を開始するまでの時間である。洗浄時間は、例えば、浴比1以上で、洗浄液が被洗物に接触している時間とする。
【0092】
<脱水工程>
脱水工程は、被洗物と洗浄液とを分離する工程である。脱水工程を有することで、被洗物を速やかに乾燥できる。
【0093】
本発明の脱水工程は、洗浄工程の後、すすぎを経ずに脱水する。すすぎを経ずに脱水することで、洗浄液中で生成した脂肪酸カルシウムが繊維表面に滞留して作用し続けて、被洗物の柔軟性をより高める。
【0094】
脱水工程における脱水方法としては、洗濯機を用いた遠心分離、人手で絞る方法等が挙げられる。
【0095】
脱水後の浴比は、1未満であり、0.7以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。脱水後の浴比が上記上限値以下であれば、洗浄液中の脂肪酸カルシウムが繊維表面に吸着されやすく、被洗物の柔軟性をより高められる。
【0096】
<乾燥工程>
本発明の洗濯方法は、乾燥工程を有してもよい。乾燥工程を有することで、被洗物に含まれる水分を低減できる。
【0097】
乾燥工程における乾燥方法しては、室内又は室外に被洗物を干す方法、乾燥機で乾燥する方法等が挙げられる。
乾燥工程に要する時間は、例えば、10分間~12時間とされる。
【0098】
なお、「すすぎを経ずに」とは、本発明の洗浄液よりも(A)成分の含有量が少ないすすぎ液を洗浄工程後の被洗物に接触させる行為(すすぎ工程)を行わないことである。すすぎ液としては、水道水、井水、イオン交換水等の水、及び水に少量の洗浄剤組成物を分散したもの等が挙げられる。すすぎ液中の(A)成分の含有量は、例えば、40質量ppm未満とされる。また、すすぎ液中の(C)成分の含有量は、例えば、1質量ppm未満とされる。
【0099】
洗濯方法は、洗浄工程と脱水工程とを2つ以上有してもよい。
洗濯方法は、洗浄工程の前に、水又は洗浄液で被洗物を洗浄する予洗工程を有してもよい。予洗工程における洗浄液は、洗浄工程における洗浄液と同じでもよいし、異なってもよい。
洗濯方法は、予洗工程の後、かつ洗浄工程の前に、すすぎ工程を有してもよい。
但し、洗濯方法は、脱水工程の後にすすぎ工程を有しないことが好ましい。脱水工程の後にすすぎ工程を有すると、被洗物に残存する脂肪酸カルシウムの量が低減し、本発明の効果を損なうおそれがある。
【0100】
本発明の洗濯方法によれば、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する洗浄液を被洗物に接触する洗浄工程を有するため、被洗物に対する洗浄効果を有しつつ、被洗物の柔軟性を高められる。
加えて、本発明の洗濯方法によれば、すすぎを経ずに脱水工程を行うため、洗浄液で生成した脂肪酸カルシウムが被洗物に残留しやすく、被洗物の柔軟性をより高められる。
また、本発明の洗濯方法によれば、すすぎを経ないため、省資源、省エネルギー、環境負荷軽減に貢献できる。
【0101】
(洗浄剤組成物)
本発明の洗濯方法に用いられる洗浄剤組成物の好ましい実施形態は、(A)成分と(B)成分と(C)成分とを含有する。本実施形態の洗浄剤組成物は、上述の他の成分をさらに含有してもよい。
【0102】
洗浄剤組成物は、液体でもよいし、粉末等の固体でもよい。水へ速やかに分散して、容易に洗浄液を調製できる点で、洗浄剤組成物は液体洗浄剤組成物が好ましい。
【0103】
液体洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、4~10が好ましく、5~9がより好ましく、6~8がさらに好ましい。pHが上記範囲であると、液体洗浄剤組成物の保存安定性をより高められる。
【0104】
液体洗浄剤組成物における各成分の含有量は、液体洗浄剤組成物を水に投入して洗浄液とした際に、洗浄液中の各成分の含有量となる量とされる。
洗浄剤を調製する場合、例えば、1体積部の液体洗浄剤組成物を10~2000体積部の水に投入する。
【0105】
液体洗浄剤組成物における(A)成分の含有量は、例えば、5~20質量%が好ましく、8~18質量%がより好ましく、10~15質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、被洗物の柔軟性をより高められる。
【0106】
液体洗浄剤組成物における(B)成分の含有量は、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄効果をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、(B)成分以外の成分とのバランスが良く、コストの増大も抑えられる。
【0107】
液体洗浄剤組成物における(C)成分の含有量は、0.1~10質量%が好ましく、0.5~5質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。液体洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、被洗物の柔軟性をより高められる。液体洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、(C)成分以外の成分とのバランスが良く、コストの増大も抑えられる。加えて液体洗浄剤組成物の液安定性がより高められる。
【0108】
液体洗浄剤組成物における水の含有量は、例えば、30~95質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましく、70~85質量%がさらに好ましい。
液体洗浄剤組成物における他の成分の含有量は、例えば、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がより好ましい。
なお、液体洗浄剤組成物における各成分の含有量の合計は、100質量%を超えない。
【0109】
液体洗浄剤組成物において、(A)成分の含有量に対する(C)成分の含有量の質量比を表すC/Aが0.05/1~0.5/1であることが好ましく、0.1/1~0.3/1がより好ましい。C/Aが上記の範囲内であると、洗浄力及び柔軟性の向上効果に優れる。
【0110】
<液体洗浄剤組成物の製造方法>
液体洗浄剤組成物は、常法に従って製造される。製造方法としては、例えば、水の一部に(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて他の成分を投入し、pHを調整した後、水の残部を加える方法が挙げられる。
【実施例0111】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0112】
(使用原料)
<(A)成分>
≪(A1)成分≫
・A1-1:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(15EO)、天然アルコールに15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。(式(a1)中のR11が炭素数12~14の直鎖アルキル基、R12が水素原子、sが15、tが0、uが0の化合物。)。
・A1-2:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(12EO)、天然アルコールに12モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。(式(a1)中のR11が炭素数12~14の直鎖アルキル基、R12が水素原子、sが12、tが0、uが0の化合物。)。
・A1-3:直鎖AE、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(20EO)、天然アルコールに20モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。(式(a1)中のR11が炭素数12~14の直鎖アルキル基、R12が水素原子、sが20、tが0、uが0の化合物。)。
・A1-4:エクサール(商品名「RHA-234 TAG-90」、ライオンケミカル社製。式(a2)中のR13が炭素数13の分岐アルキル基、R14が水素原子、vが7、wが0、xが0である化合物。)。
・A1-5:ソフタール(商品名「ソフタノール30」、日本触媒社製。式(a1)中のR11が炭素数12~14の直鎖アルキル基(2級炭素にOが結合)、R12が水素原子、sが3、tが0、uが0である化合物。)。
・A1-6:EOPO(天然アルコール(質量比で炭素数12の第1級アルコール/炭素数14の第1級アルコール=7/3)に、8モルのエチレンオキシド、2モルのプロピレンオキシド、8モルのエチレンオキシドの順にブロック付加したもの。前記式(a1)において、R11が炭素数12のアルキル基/炭素数14のアルキル基=7/3、R12が水素原子、sが8、A11OがPO、tが2、uが8である化合物。)。
【0113】
≪(A2)成分≫
・A2-1:LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、商品名「ライポンLS-250」、ライオン社製。)。
・A2-2:AES(1EO)(PT.Kao Indonesia Chemicals社製。炭素数12~14のアルキル基を有し、オキシエチレン基の平均繰り返し数1であるオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム。式(a4)中のR17が炭素数12~14の直鎖アルキル基、jが1、kが0である化合物。)。
・A2-3:IOS(特開2001-247534号公報の実施例7に記載された方法により合成されたインナーオレフィンスルホネート。)。
【0114】
<(B)成分>
・B-1:プロテアーゼ製剤、商品名「「ProgressUno」、ノボザイムズ社製。
・B-2:リパーゼ製剤、商品名「「ライペックス100T」、ノボザイムズ社製。
・B-3:アミラーゼ製剤、商品名「「Amplify Prime」、ノボザイムズジャパン社製。
・B-4:セルラーゼ製剤、商品名「ケアザイムプレミアム4500L」、ノボザイムズ社製。
・B-5:クエン酸。
【0115】
<(C)成分>
・C-1:ヤシ脂肪酸、商品名「椰子脂肪酸」、日油株式会社製。
【0116】
<他の成分及び水>
他の成分は各例において共通である。
原料名の後ろに記載した質量%は、液体洗浄剤組成物の総質量に対する割合である。
・シリコーンエマルジョン(信越化学工業株式会社製、商品名「KM-90」):0.0125質量%
・エタノール:2質量%
・PEG(ポリエチレングリコール):3質量%
・安息香酸ナトリウム:0.5質量%
・BHT(ジブチルヒドロキシトルエン):0.03質量%
・色素:0.0002質量%
・NaOH:0.25質量%
・水(イオン交換水):バランス(液体洗浄剤組成物の総量を100質量%とするのに必要な量)。
【0117】
(評価方法)
<洗浄効果>
人工汚垢油(オレイン酸42%、トリオレイン23%、コレステロールオレート18.5%、スクワラン3.5%、流動パラフィン3.5%、コレステロール2%、ケラチン7%、カーボンブラック0.5%)の1mLをクロロホルム99mLで希釈し、得られた希釈液の200μLを綿メリヤス布(5cm×5cm)に塗布し、一夜風乾したものを、汚垢布とした。
洗浄液として、水900mLに対して、各例の液体洗浄剤組成物を添加し、30秒間撹拌して調製したものを用いた。液体洗浄剤組成物の添加量は、表中の「洗浄液中の(A)成分の含有量」となる量とした。
洗浄試験器(製品名「Terg-O-tometer」、UNITED STATES TESTING社製)に、洗浄液900mLと、汚垢布10枚と、洗浄メリヤス布を投入し、浴比20倍となるように調整した後、120rpm、15℃で10分間、被洗物を洗浄した(洗浄工程)。その後、二槽式洗濯機(製品名「VH-30S」、東芝製)に被洗物を移し、1分間脱水処理を行い、被洗物の浴比を0.5とした(脱水工程)。その後、被洗物を風乾させた。
但し、比較例1については、洗浄工程の後にすすぎ工程(水道水、3分間)を設けた。
洗濯前の汚垢布、洗濯後の汚垢布、及び未汚垢布(ここで未汚垢布とは、汚れを付けていない元の白布(原布)をいう)について、それぞれZ値(反射率、単位:%)を色差計(日本電色(株)製、製品名「SE2000型」)で測定し、下記式(i)により洗浄率(%)を求めた。
洗浄率(%)=(洗濯後の汚垢布のZ値-洗濯前の汚垢布のZ値)÷(未汚垢布のZ値-洗濯前の汚垢布のZ値)×100・・・(i)
汚垢布10枚の洗浄率の平均値を求めた。得られた平均値を下記の判定基準に従って評価した。下記判定基準において、◎及び〇を合格とした。
【0118】
≪判定基準≫
◎:洗浄率が55%以上。
〇:洗浄率が50%以上55%未満。
△:洗浄率が45%以上50%未満。
×:洗浄率が45%未満。
【0119】
<柔軟性>
[試験布の調製]
全自動洗濯機(製品名「AW-8V2」、東芝社製)に、市販の綿タオル(綿100%)5枚を入れ、さらに浴比を20倍に調整するために、綿肌シャツ3枚(B.V.D.社製を投入した。全被洗布の質量合計は約600gであった。
次いで、上記全自動洗濯機の水量を低水位(水量約12L)に設定して水を入れ、各例の液体洗浄剤組成物を添加して洗浄液を調製した。液体洗浄剤組成物の添加量は、表中の「洗浄液中の(A)成分の含有量」となる量とした。
次いで、前記全自動洗濯機の標準コースのうち、すすぎ回数だけをゼロに変更して、洗浄工程(10分間)、脱水工程(5分間)を順次行った。比較例1においては、洗浄工程の後、脱水工程の前にすすぎ工程(10分間)を1回行った。
洗濯終了後、取り出した綿タオルを、25℃、湿度65%RHの恒温恒湿室に放置して、乾燥させたものを試験布とした。
【0120】
[対照布の調製]
前記試験布の調製において、各例の液体洗浄剤組成物に代えて、非イオン性界面活性剤(P&G社製の天然アルコールCO-1270に対して15モル相当の酸化エチレンを付加したもの)を20質量%の濃度で含む水溶液を10mL添加して洗浄液を調製した。洗浄液の総質量に対して前記非イオン性界面活性剤の含有量は167質量ppmであった。
その他は比較例1と同様にして、洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程、及び乾燥を行った綿タオルを対照布とした。
【0121】
[各例の評価]
10人の専門パネラーが、試験布の柔らかさを対照布と一対比較する方法で官能評価し、下記の採点基準で採点した。専門パネラー10人の平均値を求め、下記の判定基準で評価した。平均値が3点以上の場合を合格とした。
≪採点基準≫
5点:試験布が対照布より非常に柔らかい。
4点:試験布が対照布よりかなり柔らかい。
3点:試験布が対照布より柔らかい。
2点:試験布が対照布よりやや柔らかい。
1点:試験布の柔らかさが対照布と同等。
≪判定基準≫
◎:平均値が4.0点以上。
○:平均値が3.0点以上4点.0未満。
△:平均値が2.0点以上3点.0未満。
×:平均値が2.0点未満。
【0122】
(実施例1~20、比較例1~4)
<液体洗浄剤組成物の調製>
表1、2に示す組成に従い、(A)~(C)成分及び他の成分を水に加え、混合して各例の液体洗浄剤組成物を調製した。
なお、表中の配合量は純分換算値である。また、表中に配合量が記載されていない成分は、配合されていない。
実施例1~20、比較例1~4の液体洗浄剤組成物のpHは、いずれも6~8の範囲内であった。
【0123】
<洗濯方法>
得られた液体洗浄剤組成物を用い、洗浄効果、柔軟性を評価し、その結果を表中に示す。
【0124】
【表1】
【0125】
【表2】
【0126】
表1、2に示すように、実施例1~20は、洗浄効果、及び柔軟性に優れていた。
すすぎ工程を設けた比較例1は、実施例7と比べて柔軟性が顕著に低下した。
洗浄液が(A)成分を含まない比較例2は、洗浄効果が劣った。
洗浄液が(B)成分を含まない比較例3は、洗浄効果が劣った。
洗浄液が(C)成分を含まない比較例4は、柔軟性が劣った。また実施例7と比べて洗浄効果が低下した。