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  • 特開-竿掛装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025856
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】竿掛装置
(51)【国際特許分類】
   A22C 15/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A22C15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129179
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】390034201
【氏名又は名称】ハイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124257
【弁理士】
【氏名又は名称】生井 和平
(72)【発明者】
【氏名】中村 達郎
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 孝行
(72)【発明者】
【氏名】及川 秀明
(72)【発明者】
【氏名】原澤 広克
(72)【発明者】
【氏名】荒井 敬
(57)【要約】
【課題】安定的に保持される竿に対して、ケーシングの長さに応じて連鎖状ソーセージを掛ける位置や間隔を可変可能な竿掛装置を提供する。
【解決手段】竿掛装置は、フック搬送部10と、竿保持部20と、旋回付与部30とからなる。フック搬送部10が有する旋回フック11を旋回させることで旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2のループ2aをループ2aに挿通される竿3に落下させることが可能なように構成される。竿保持部20は、竿3の両端を保持するものであり、固定アーム21と一対の作動アーム22とを有し、一対の作動アーム22は、竿3を保持する動作と連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける動作とを交互に行う。旋回付与部30は、複数の旋回フック11をそれぞれ所定の旋回付与位置で順次旋回させるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さを有するケーシングに原料が充填された連鎖状ソーセージを竿に掛けるための竿掛装置であって、該竿掛装置は、
所定の間隔で配置される旋回可能な複数の旋回フックを有し、複数の旋回フックを所定の速度で搬送するフック搬送部であって、複数の旋回フックのそれぞれに対して連鎖状ソーセージのループが1つ形成されるように懸吊されると共に、各旋回フックを旋回させることで旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループをループに挿通される竿に落下させることが可能なように構成されるフック搬送部と、
前記フック搬送部の複数の旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージを掛ける竿の両端を保持する竿保持部であって、複数の旋回フックの搬送方向から遠い側の竿の端部近傍を保持する固定アームと、複数の旋回フックの搬送方向に近い側の竿の端部近傍を保持する一対の作動アームとを有し、一対の作動アームは、複数の旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループを順次竿に挿通させるために、竿を保持する動作と連鎖状ソーセージのループを避ける動作とを交互に行う、竿保持部と、
前記フック搬送部の各旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループを竿の所定の位置に所定の間隔で落下させるように、フック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向と反対方向に移動しながら複数の旋回フックをそれぞれ所定の旋回付与位置で順次旋回させるように構成される旋回付与部と、
を具備することを特徴とする竿掛装置。
【請求項2】
請求項1に記載の竿掛装置において、前記フック搬送部は、楕円軌道上を移動可能なように構成される無端循環体を有し、
前記フック搬送部の各旋回フックは、
前記無端循環体に接続され、旋回軸を有するフック基台と、
前記旋回軸を回転可能に支持する軸受けと、
前記軸受けの下側に形成され、連鎖状ソーセージのループを懸吊するソーセージ懸吊部と、
前記軸受けの上側に形成され、旋回付与部が当接する旋回付与受部と、
を具備することを特徴とする竿掛装置。
【請求項3】
請求項2に記載の竿掛装置において、前記旋回付与部は、所定の旋回付与位置で待機し、フック搬送部により所定の速度で搬送される複数の旋回フックの各旋回付与受部が旋回付与部に当接することで旋回フックを旋回させることを特徴とする竿掛装置。
【請求項4】
請求項3に記載の竿掛装置において、前記旋回付与部は、旋回付与受部に当接する当接アームを有し、
前記当接アームは、旋回付与部がフック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向と反対方向に移動する際には各旋回付与受部に当接するように伸長すると共に、旋回付与後に旋回付与部がフック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向に戻る際には旋回付与受部に当接しないように収縮することを特徴とする竿掛装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の竿掛装置であって、さらに、ケーシングの所定の長さに基づき1本の竿に掛けるべき連鎖状ソーセージのループの数と間隔を予め設定する制御部を有し、
前記制御部は、予め設定される連鎖状ソーセージのループの数と間隔に基づき、フック搬送部の搬送速度と、竿保持部の一対の作動アームの動作と、旋回付与部の旋回付与の動作と、を制御することを特徴とする竿掛装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は竿掛装置に関し、特に、所定の長さを有するケーシングに原料が充填された連鎖状ソーセージを竿に掛けるための竿掛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソーセージの生産ラインにおいては、まず、ソーセージ充填装置により、所定の長さを有するケーシングに原料を充填し、捻りながら連鎖状ソーセージとする。そして、このような連鎖状ソーセージは、竿掛装置により竿に掛けられる。その後、続く加熱処理や燻煙処理工程等へ送られる。
【0003】
連鎖状ソーセージを竿に掛ける際に用いられる竿掛装置としては、例えば無端循環体であるエンドレスチェーンに所定の間隔で取り付けられたフックを用いて連鎖状ソーセージのループを形成し、そのループの中に竿を挿通して竿掛けを行っているものがある。
【0004】
このような竿掛装置において、片持ち状態の竿を水平方向に移送するだけで、フックに吊り下げられた1竿分の連鎖状ソーセージを竿に移し替えることができる竿掛装置が特許文献1に開示されている。この竿掛装置は、略水平方向の軸回りに回転するフック部が無端循環体に一定の間隔で取り付けられているものである。連鎖状ソーセージをフック部にループを形成するように懸吊し、フック部を回転させることによりフック部に懸吊された連鎖状ソーセージをループに挿通された片持ち状態の竿に移し替えることができる。
【0005】
また、両持ち状態の竿に連鎖状ソーセージを掛ける竿掛装置は、特許文献2に開示されている。この竿掛装置は、連鎖状ソーセージのループに挿通される竿の前部が竿前部支持部材に支持されると共に、竿の後部が竿後部支持部材により支持されるものである。竿後部支持部材は、フック部が取り付けられている第1無端循環体と同じ進行方向に移動する第2無端循環体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-097539号公報
【特許文献2】特開2006-197935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のような片持ち状態の竿にフック部から連鎖状ソーセージを移し替える竿掛装置の場合、竿が片持ち状態のため、連鎖状ソーセージが掛けられる際に重さで竿が湾曲してしまうおそれがあった。竿が湾曲すると、掛けた連鎖状ソーセージが落ちてしまうおそれもある。また、湾曲した竿は、連鎖状ソーセージのループに挿通しづらく、さらに竿の先端が連鎖状ソーセージに当たってソーセージを傷付けてしまう場合もあった。さらにまた、湾曲した竿を続く加熱処理や燻煙処理工程に送った場合、台車から竿が落ちてしまったり竿の中心付近に連鎖状ソーセージが偏って集まってしまったりするおそれもあった。また、竿が湾曲しないまでも、片持ち状態のため竿が揺れ、連鎖状ソーセージを正確な位置に掛けることも難しかった。さらに、竿が揺れると連鎖状ソーセージも揺らされてしまい、連鎖状ソーセージの捻り部に捻り戻りが起きたりケーシングが切れやすくなったり外観が変形してしまったりし、製品不良となってしまうおそれもあった。
【0008】
さらに、特許文献1の竿掛装置は、フックと移し替え実行手段の案内溝との連携動作により、フックから竿への連鎖状ソーセージの移し替えが行われる構造のため、案内溝で決まる特定の位置に特定の間隔で連鎖状ソーセージを掛けることができるものである。したがって、ケーシングの長さに合わせて連鎖状ソーセージを竿に掛ける位置や間隔を可変することは難しかった。
【0009】
また、特許文献2の竿掛装置は、竿は両持ち状態で連鎖状ソーセージが掛けられるため、片持ち状態の竿に連鎖状ソーセージが掛けられる竿掛装置のように、竿が湾曲したり揺れてしまったりするおそれはない。しかしながら、ケーシングの長さに合わせて連鎖状ソーセージを竿に掛ける位置や間隔は変えられないものであった。
【0010】
ケーシングの長さは一定ではなく、1本の竿に掛ける連鎖状ソーセージのループの数は、ケーシングの長さに応じて変化するものである。掛ける位置を可変できない従来技術では、特定の位置に特定の間隔で連鎖状ソーセージを掛けた場合、ケーシングが短い場合には1本の竿に対して偏って掛けられるおそれもある。そうすると、台車に搭載された複数の竿にそれぞれ掛けられた連鎖状ソーセージに不均一な隙間が生じることになる。このような不均一な隙間は、例えば続く燻煙処理工程において不均一な燻煙処理が施されることとなり、製品不良となってしまうおそれがあった。このため、作業員の手により掛け直すといった手間もかかっていた。
【0011】
したがって、竿が揺れたり湾曲したりせず、ケーシングの長さに応じて連鎖状ソーセージを竿に掛ける位置や間隔を可変可能な竿掛装置の開発が望まれていた。
【0012】
本発明は、斯かる実情に鑑み、安定的に保持される竿に対して、ケーシングの長さに応じて連鎖状ソーセージを掛ける位置や間隔を可変可能な竿掛装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による竿掛装置は、所定の間隔で配置される旋回可能な複数の旋回フックを有し、複数の旋回フックを所定の速度で搬送するフック搬送部であって、複数の旋回フックのそれぞれに対して連鎖状ソーセージのループが1つ形成されるように懸吊されると共に、各旋回フックを旋回させることで旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループをループに挿通される竿に落下させることが可能なように構成されるフック搬送部と、フック搬送部の複数の旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージを掛ける竿の両端を保持する竿保持部であって、複数の旋回フックの搬送方向から遠い側の竿の端部近傍を保持する固定アームと、複数の旋回フックの搬送方向に近い側の竿の端部近傍を保持する一対の作動アームとを有し、一対の作動アームは、複数の旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループを順次竿に挿通させるために、竿を保持する動作と連鎖状ソーセージのループを避ける動作とを交互に行う、竿保持部と、フック搬送部の各旋回フックに懸吊される連鎖状ソーセージのループを竿の所定の位置に所定の間隔で落下させるように、フック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向と反対方向に移動しながら複数の旋回フックをそれぞれ所定の旋回付与位置で順次旋回させるように構成される旋回付与部と、を具備するものである。
【0014】
ここで、フック搬送部は、楕円軌道上を移動可能なように構成される無端循環体を有し、フック搬送部の各旋回フックは、無端循環体に接続され、旋回軸を有するフック基台と、旋回軸を回転可能に支持する軸受けと、軸受けの下側に形成され、連鎖状ソーセージのループを懸吊するソーセージ懸吊部と、軸受けの上側に形成され、旋回付与部が当接する旋回付与受部と、を具備するものであれば良い。
【0015】
また、旋回付与部は、所定の旋回付与位置で待機し、フック搬送部により所定の速度で搬送される複数の旋回フックの各旋回付与受部が旋回付与部に当接することで旋回フックを旋回させるものであれば良い。
【0016】
また、旋回付与部は、旋回付与受部に当接する当接アームを有し、当接アームは、旋回付与部がフック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向と反対方向に移動する際には各旋回付与受部に当接するように伸長すると共に、旋回付与後に旋回付与部がフック搬送部の複数の旋回フックの搬送方向に戻る際には旋回付与受部に当接しないように収縮するものであれば良い。
【0017】
さらに、ケーシングの所定の長さに基づき1本の竿に掛けるべき連鎖状ソーセージのループの数と間隔を予め設定する制御部を有し、制御部は、予め設定される連鎖状ソーセージのループの数と間隔に基づき、フック搬送部の搬送速度と、竿保持部の一対の作動アームの動作と、旋回付与部の旋回付与の動作と、を制御するものであっても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の竿掛装置には、安定的に保持される竿に対して、ケーシングの長さに応じて連鎖状ソーセージを掛ける位置や間隔を可変可能であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の竿掛装置の全体像を説明するための概略上面図である。
図2図2は、本発明の竿掛装置の詳細を説明するための概略側面図である。
図3図3は、本発明の竿掛装置の竿保持部の一対の作動アームの動作の詳細を説明するための概略上面図である。
図4図4は、本発明の竿掛装置の旋回付与部の動作の詳細を説明するための概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図示例と共に説明する。図1は、本発明の竿掛装置の全体像を説明するための概略上面図である。図示の通り、本発明の竿掛装置は、フック搬送部10と、竿保持部20と、旋回付与部30とから主に構成されている。本発明の竿掛装置は、所定の長さを有するケーシング1にソーセージ充填装置を用いて原料が充填された連鎖状ソーセージ2を、竿3に掛けるために用いられるものである。ここで、連鎖状ソーセージ2とは、ケーシング1に原料を充填し、一定間隔で捻り、複数のソーセージが連鎖状に連なったものである。連鎖状ソーセージ2が掛けられた竿3は、竿保持部20から取り出され、続く燻煙処理工程等に送られれば良い。
【0021】
ケーシング1は、豚や羊等の腸からなる天然ケーシングやコラーゲン等からなる人工ケーシングであれば良い。天然ケーシングの場合、ケーシングの長さが事前に把握できないが、人工ケーシングの場合には、ケーシングの長さが事前に把握できる。天然ケーシングでも人工ケーシングでもどちらでも良いが、後述の通り、本発明の竿掛装置では、ケーシング1の長さに応じて連鎖状ソーセージ2を竿3に掛ける位置や間隔を可変可能であるため、ケーシング1の長さが事前に把握できる人工ケーシングの場合には、予め位置や間隔を指定することが可能である。
【0022】
フック搬送部10は、複数の旋回フック11を所定の速度で搬送するものである。複数の旋回フック11は、所定の間隔で配置されている。フック搬送部10は、各旋回フック11を旋回させることで、旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2のループをループに挿通される竿3に落下させることが可能なように構成されている。
【0023】
フック搬送部10は、無端循環体12を有している。無端循環体12は、図1に示される通り、楕円軌道上を移動可能なように構成されるものである。無端循環体12は、例えばチェーンループやベルトループ等からなるものであれば良い。無端循環体12を用いて、複数の旋回フック11に連鎖状ソーセージ2を懸吊する位置から、連鎖状ソーセージ2を竿3へ落下させる位置を通り、連鎖状ソーセージ2を落下させ空となった状態でまた連鎖状ソーセージ2を懸吊する位置に戻ってくるように構成されれば良い。竿3は、無端循環体12と平行に配置され、旋回フック11が竿3に沿って搬送される。ここで、フック搬送部10の旋回フック11の搬送は、間欠的に行われれば良い。旋回フック11の搬送が一旦停止している際に、ソーセージ充填装置から旋回フック11へ連鎖状ソーセージ2を順次懸吊すれば良い。なお、フック搬送部10の旋回フックの搬送は、必ずしも間欠的に行われるものには限定されず、連続的に行われ、搬送動作に合わせて連鎖状ソーセージ2を旋回フック11に順次懸吊するようにしても良い。
【0024】
図2を用いてフック搬送部10の具体的な構成について説明する。図2は、本発明の竿掛装置の詳細を説明するための概略側面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。複数の旋回フック11は、無端循環体12に等間隔に接続されており、無端循環体12の楕円軌道上の移動に沿って搬送される。複数の旋回フック11のそれぞれに対して、連鎖状ソーセージ2のループ2aが1つ形成されるように懸吊されている。ループ2aは、複数のソーセージが連鎖状に連なってなるループであり、例えば図示の通り4本のソーセージで1つのループ2aが構成されている。なお、ループを構成するソーセージの本数は特に図示例に限定されるものではない。
【0025】
図2に示される通り、旋回フック11は、フック基台13と、軸受け14と、ソーセージ懸吊部15と、旋回付与受部16とからなる。フック基台13は、無端循環体12に接続される。フック基台13は、旋回軸13aを有している。旋回フック11は、旋回軸13aを中心に旋回可能に構成されている。軸受け14は、旋回軸13aを回転可能に支持するものである。そして、ソーセージ懸吊部15がこの軸受け14の下側に形成されている。ソーセージ懸吊部15は、連鎖状ソーセージ2のループ2aを懸吊する部分である。また、軸受け14の上側には、旋回付与受部16が形成されている。旋回付与受部16は、後述の旋回付与部30が当接する部分である。旋回フック11は、フック基台13の軸受け14の上下に旋回付与受部16とソーセージ懸吊部15が一体的に形成されてなるものであれば良い。なお、ループ2aが懸吊されていないときにはソーセージ懸吊部15が下側に来るように、ソーセージ懸吊部15と旋回付与受部16との重量バランスが調整されれば良い。ここで、旋回軸13aは、上面から見て竿3に対して斜め方向を向いており、竿3の上で旋回フック11は斜め方向を向く旋回軸13aを中心に旋回するように構成されている。これにより、後述の旋回付与部30により旋回フック11が旋回させられた際に、隣の旋回フック11に接触するといったことを防ぐことが可能となる。
【0026】
図示例のソーセージ懸吊部15は、L字形状を有しているものを示した。具体的には、ソーセージ懸吊部15は、連鎖状ソーセージ2の捻り部が引っ掛けられると共に、ループ2aに竿3を挿通するために、ループ2aを横に広げるようにある程度の幅を有する板状体をL字に折り曲げた形状を有するものである。しかしながら、本発明はこれに限定されず、ソーセージ懸吊部15にループ2aが懸吊されると共に旋回によりループ2aを落とすことが可能な形状であれば、如何なる形状であっても良い。
【0027】
次に、竿保持部20は、フック搬送部10の複数の旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2を竿3に掛ける際に、竿3の両端を保持するものである。竿保持部20は、固定アーム21と、一対の作動アーム22とを有している。固定アーム21は、複数の旋回フック11の搬送方向から遠い側の竿3の端部近傍を保持するものである。ここで、旋回フック11の搬送方向から遠い側とは、図2の図面上、右側である。即ち、旋回フック11が到達するのが遅い側の竿3の端部近傍を保持するのが固定アーム21である。固定アーム21は、竿3を下から保持するために、適宜U字溝等が設けられれば良い。そして、一対の作動アーム22は、複数の旋回フック11の搬送方向に近い側の竿3の端部近傍を保持するものである。ここで、旋回フック11の搬送方向に近い側とは、図2の図面上、左側である。即ち、旋回フック11が到達するのが早い側の竿3の端部近傍を保持するのが一対の作動アーム22である。そして、一対の作動アーム22は、複数の旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2のループ2aを順次竿3に挿通させるために、竿3を保持する動作と連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける動作とを交互に行うものである。一対の作動アーム22も、竿3を下から保持するために、適宜U字溝等が設けられれば良い。
【0028】
以下、図3を用いて一対の作動アーム22の動作の詳細について説明する。図3は、本発明の竿掛装置の竿保持部の一対の作動アームの動作の詳細を説明するための概略上面図である。図中、図1と同一の符号を付した部分は同一物を表している。なお、連鎖状ソーセージ2は一部断面で表した。一対の作動アーム22は、アーム22a、アーム22bを有するものである。なお、一対の作動アーム22の各アーム22a,22bは、竿3を保持する際にはアームを下から飛び出させて竿3を下から支えると共に、連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける際にはアームを下げて引っ込むような動作をするものである。図3(a)に示されるように、連鎖状ソーセージ2のループ2aが図面上左から右に向かってフック搬送部10により搬送されてくる。このとき、まず一対の作動アーム22のアーム22bが竿3を保持する動作を行う。即ち、アーム22bが竿3の下方に飛び出し竿3を下から支えるように保持する。一方、アーム22aは、連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける動作を行う。即ち、アーム22aが竿3の下方から引っ込み、左から搬送されてくる連鎖状ソーセージ2のループ2aに当たらないようにする。そして、アーム22aに当たらないように左から右に搬送された連鎖状ソーセージ2のループ2aがアーム22bの手前まで搬送されると、アーム22aとアーム22bが入れ替わるが、この際、図3(b)に示されるように、一旦両方のアーム22a,22bが竿3を保持した状態となるように動作させる。その後、図3(c)に示されるように、今度はアーム22bが連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける動作を行う。このとき、アーム22aは竿3を保持した状態のままである。そして、アーム22bに当たらないように連鎖状ソーセージ2のループ2aが左から右に搬送されつつ、次のループ2aがアーム22aの手前まで搬送されると、アーム22aとアーム22bが入れ替わるが、この際も、図3(d)に示されるように、一旦両方のアーム22a,22bが竿3を保持した状態となるように動作させる。その後、アーム22aが連鎖状ソーセージ2のループ2aを避ける動作を行い、再度図3(a)のような状態となる。このような動作を繰り返し行うことで、一対の作動アーム22の何れか一方が常に竿3を保持する状態となる。
【0029】
このように、一対の作動アーム22の各アーム22a,22bは、フック搬送部10による旋回フック11の搬送動作に連動して、所定のタイミングで作動的に伸長したり収縮したりする動作を繰り返すように構成されている。したがって、竿保持部20は、固定アーム21と共に作動アーム22により竿3の両端を常に安定的に保持しながら、連鎖状ソーセージ2のループ2aを竿3に挿通させることが可能となる。なお、一対の作動アーム22の各アーム22a,22bの間の距離は、連鎖状ソーセージ2の径よりも広く、連鎖状ソーセージ2の各ループ2aの間の距離、即ち、複数の旋回フック11の間隔よりも狭くなるように構成されれば良い。
【0030】
次に、旋回付与部30について説明する。図2を再度参照すると、旋回付与部30は、フック搬送部10の各旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2のループ2aを竿3の所定の位置に所定の間隔で落下させるように、フック搬送部10の複数の旋回フック11の搬送方向と反対方向に移動しながら複数の旋回フック11をそれぞれ所定の旋回付与位置で順次旋回させるように構成されるものである。図示の通り、図面上左から右に向かって連鎖状ソーセージ2が懸吊された状態の旋回フック11が搬送されてくる。このとき、旋回付与部30は、例えば所定の旋回付与位置で待機し、フック搬送部10により所定の速度で搬送される複数の旋回フック11の各旋回付与受部16が旋回付与部30に当接することで、旋回フック11を旋回させれば良い。なお、旋回付与部30は、所定の旋回付与位置で待機せず、旋回フック11の搬送方向と反対方向に移動しながら所定の旋回付与位置で順次各旋回付与受部16に当接させるように動作させても良い。このように、旋回付与部30により旋回フック11を旋回させることで、旋回フック11に懸吊された連鎖状ソーセージ2のループ2aを、ループ2aに挿通される竿3に落下させることが可能となる。
【0031】
このとき、旋回付与部30による旋回付与位置は、竿3に連鎖状ソーセージ2のループ2aを落下させたい所定の位置に所定の間隔となるように任意に設定することが可能である。即ち、連鎖状ソーセージ2を掛ける位置や間隔は、旋回付与部30による旋回付与位置により可変可能であり、掛けたい位置で旋回付与受部16に旋回付与部30を当接させるだけで、所望な位置に連鎖状ソーセージ2のループ2aを掛けることが可能である。
【0032】
なお、複数の旋回フック11の間隔は、旋回付与部30による旋回付与位置の所定の間隔の最大間隔となる。即ち、連鎖状ソーセージ2の最も広いループを掛ける間隔は、複数の旋回フック11の間隔で決定される。例えばフック搬送部10による旋回フック11の搬送が間欠的に行われる場合、旋回フック11の搬送が止まっている間に1竿分のすべてのループ2aを旋回フック11から落下させたときが最も広いループを掛ける間隔となる。したがって、例えば複数の旋回フック11の間隔は、掛けるべき連鎖状ソーセージ2の最も広いループを掛ける間隔、即ち、ケーシング1の長さが短い最小ループ数のときの間隔となるように調整されれば良い。そして、例えばケーシング1の長さが長く、1竿分の連鎖状ソーセージ2のループ数が多くなる場合には、複数の旋回フック11の間隔よりも狭い間隔の旋回付与位置で旋回付与部30により旋回フック11を旋回させループ2aを落下させれば良い。このように、フック搬送部10による旋回フック11の搬送速度と旋回付与部30による旋回付与の動作との関係を調整することで、複数の旋回フック11の間隔に関係なく、1本の竿に等間隔に連鎖状ソーセージ2のループ2aを掛けることが可能となる。
【0033】
旋回付与部30は、図2に示されるように、例えば当接アーム31を有するものであれば良い。当接アーム31は、旋回フック11の旋回付与受部16に当接するものである。そして、当接アーム31は、伸長・収縮可能に構成されていれば良い。例えばシリンダ等で構成されれば良い。当接アーム31は、旋回付与部30がフック搬送部10の複数の旋回フック11の搬送方向と反対方向、即ち、図2の図面上右から左に移動する際には、各旋回付与受部16に当接するように伸長した状態となっていれば良い。そして、当接アーム31を旋回付与受部16に当接させ、所定の位置で各旋回フック11を順次旋回させることで、各旋回フック11に懸吊される連鎖状ソーセージ2のループ2aを竿3の所定の位置に所定の間隔で落下させていけば良い。なお、旋回付与部30は特に図示例には限定されず、旋回付与受部16に当接可能なものであれば如何なる形状であっても良い。また、図示例では当接アーム31を伸長した状態で旋回付与受部16に当接させているが、本発明はこれに限定されず、旋回付与位置に旋回フック11が来た瞬間に旋回付与受部16を叩いて旋回させるように構成されても良い。
【0034】
そして、1本の竿3に掛けるべき連鎖状ソーセージ2のループ2aをすべて竿3に落下させた後には、図4に示されるように、旋回付与部30の当接アーム31は収縮した状態となっていれば良い。図4は、本発明の竿掛装置の旋回付与部の動作の詳細を説明するための概略側面図である。図中、図2と同一の符号を付した部分は同一物を表している。図4に示されるように、1竿分の旋回フック11に対して旋回付与後に、旋回付与部30がフック搬送部10の複数の旋回フック11の搬送方向、即ち、図面上左から右に戻る際には、旋回付与受部16に当接しないように当接アーム31が収縮すれば良い。これにより、旋回付与時、即ち、旋回付与部30が図面上右から左に移動する際には当接アーム31が伸長して旋回付与受部16に当接させ旋回フック11を旋回させつつ、旋回付与後、即ち、図面上左から右に戻る際には、当接アーム31が収縮して旋回付与受部16に当接しないように構成可能となる。そして、旋回付与部30は元の位置に戻り、次の竿3に対して連鎖状ソーセージ2を掛けるために待機する。
【0035】
なお、図示例ではシリンダにより当接アーム31が伸長・収縮可能に構成される例を示したが、本発明はこれに限定されず、旋回付与時には旋回付与受部16に当接可能な位置に下がり、旋回付与後は当接しない位置に上がるように構成されるものであれば如何なる構成であっても良い。
【0036】
上述の通り、本発明の竿掛装置は、1本の竿3に掛けるべき連鎖状ソーセージ2のループ2aの数と間隔を任意に設定することが可能である。したがって、例えば用いられるケーシング1の長さが予め分かっている場合には、ケーシング1の所定の長さに基づき1本の竿3に掛けるべき連鎖状ソーセージ2のループ2aの数と間隔を予め設定する制御部40を用いることが可能である。例えば竿3の有効長さとループ2aの数を制御部40に入力すると、1本の竿3に掛けるべき連鎖状ソーセージ2のループ2aの間隔が計算され竿掛装置に設定される。そして、制御部40は、設定された連鎖状ソーセージ2のループ2aの数と間隔に基づき、フック搬送部10の搬送速度と、竿保持部20の一対の作動アーム22の動作と、旋回付与部30の旋回付与の動作とを制御すれば良い。
【0037】
なお、本発明の竿掛装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述の図示例では反時計回りに無端循環体が移動するものを示したが、逆回りであっても良く、それに伴い旋回フックや旋回付与部等も図示例とは逆向きにしても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ケーシング
2 連鎖状ソーセージ
2a ループ
3 竿
10 フック搬送部
11 旋回フック
12 無端循環体
13 フック基台
13a 旋回軸
14 軸受け
15 ソーセージ懸吊部
16 旋回付与受部
20 竿保持部
21 固定アーム
22 作動アーム
22a,22b 作動アームの各アーム
30 旋回付与部
31 当接アーム
40 制御部
図1
図2
図3
図4