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特開2024-25867分析装置、分析方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025867
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】分析装置、分析方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0201 20230101AFI20240220BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129200
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】梶原 光徳
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】アンケートデータの効率的な集計を支援する技術を提供する。
【解決手段】アンケートデータ取得部30は、複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得する。指定受付部34は、集計対象の設問の指定を受け付ける。変換部36は、集計対象の設問が指定された場合、アンケートデータの各レコードに記録された集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換する。集計部38は、縦持ち構造に変換された集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得するアンケートデータ取得部と、
集計対象の設問の指定を受け付ける指定受付部と、
前記集計対象の設問が指定された場合、前記アンケートデータの各レコードに記録された前記集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換する変換部と、
前記縦持ち構造に変換された前記集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成する集計部と、
を備える分析装置。
【請求項2】
前記指定受付部は、クロス集計対象の複数の設問の指定を受け付け可能であり、
前記変換部は、前記クロス集計対象の複数の設問が指定された場合、前記アンケートデータのうち前記クロス集計対象の設問ごとのデータを前記縦持ち構造に変換し、前記クロス集計対象の設問ごとの縦持ち構造のデータを結合したデータを生成し、
前記集計部は、前記クロス集計対象の設問ごとの縦持ち構造のデータを結合したデータに基づいてクロス集計の結果を生成する、
請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得するステップと、
集計対象の設問の指定を受け付けるステップと、
前記集計対象の設問が指定された場合、前記アンケートデータの各レコードに記録された前記集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換するステップと、
前記縦持ち構造に変換された前記集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成するステップと、
をコンピュータが実行する分析方法。
【請求項4】
複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得する機能と、
集計対象の設問の指定を受け付ける機能と、
前記集計対象の設問が指定された場合、前記アンケートデータの各レコードに記録された前記集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換する機能と、
前記縦持ち構造に変換された前記集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成する機能と、
をコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はデータ処理技術に関し、特に分析装置、分析方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多くの企業が、BI(Business Intelligence)ツールを導入している。BIツールは、企業に蓄積された大量のデータの集計や分析を支援するための機能を提供するソフトウェアである。集計や分析の対象となるデータには、複数の対象者になされたアンケートに関するデータ(以下「アンケートデータ」とも呼ぶ。)が含まれることがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-86591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なアンケートデータの構造は、BIツールによる処理に適した構造ではない。そのため、BIツールでは、アンケートデータの効率的な集計が難しいことがあった。
【0005】
本開示の技術はこうした課題に鑑みてなされたものであり、1つの目的は、アンケートデータの効率的な集計を支援する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のある態様の分析装置は、複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得するアンケートデータ取得部と、集計対象の設問の指定を受け付ける指定受付部と、集計対象の設問が指定された場合、アンケートデータの各レコードに記録された集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換する変換部と、縦持ち構造に変換された集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成する集計部とを備える。
【0007】
本発明の別の態様は、分析方法である。この方法は、複数の対象者になされたアンケートに関する複数レコードのデータであって、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであるアンケートデータを取得するステップと、集計対象の設問の指定を受け付けるステップと、集計対象の設問が指定された場合、アンケートデータの各レコードに記録された集計対象の設問に関するデータを、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換するステップと、縦持ち構造に変換された集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成するステップとをコンピュータが実行する。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現をシステム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、アンケートデータの効率的な集計を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】SA設問の例を示す図である。
図2】MA設問の例を示す図である。
図3】SAMX設問の例を示す図である。
図4】MAMX設問の例を示す図である。
図5】アンケートデータの例を示す図である。
図6】縦持ち構造のアンケートデータの例を示す図である。
図7】アンケートデータの例を示す図である。
図8】縦持ち構造のアンケートデータの例を示す図である。
図9】横持ち構造のアンケートデータの集計例を示す図である。
図10】縦持ち構造のアンケートデータの集計例を示す図である。
図11】クロス集計の結果の例を示す図である。
図12】実施形態の分析システムの構成を示す図である。
図13図12の分析装置の機能ブロックを示すブロック図である。
図14】集計テーブルの例を示す図である。
図15】単純集計における集計テーブルの例を示す図である。
図16】クロス集計における集計テーブルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、アンケートデータの特徴とその集計における課題を説明する。
アンケートには、複数種類の設問が設けられ得る。複数種類の設問は、シングルアンサー(以下「SA」と呼ぶ。)、マルチアンサー(以下「MA」と呼ぶ。)、シングルアンサーマトリクス(マトリクスシングルとも呼ばれ、以下「SAMX」と呼ぶ。)、マルチアンサーマトリクス(マトリクスマルチとも呼ばれ、以下「MAMX」と呼ぶ。)を含む。
【0012】
図1は、SA設問の例を示す。SA設問は、1つの質問に対して設けられた複数の選択肢の中から1つだけ回答が選択される設問である。図2は、MA設問の例を示す。MA設問では、1つの質問に対して設けられた複数の選択肢の中から複数の回答の選択が許可される。
【0013】
図3は、SAMX設問の例を示す。SAMX設問では、1つの設問の中に複数の小設問が設けられ、複数の小設問のそれぞれに対して共通の基準(同一の複数の選択肢)の中から1つの回答が選択される。図4は、MAMX設問の例を示す。MAMX設問では、1つの設問の中に複数の小設問が設けられ、複数の小設問のそれぞれに対して共通の基準(同一の複数の選択肢)の中から複数の回答の選択が許可される。SAMX設問とMAMX設問は、表形式の設問であってもよい。
【0014】
後述のアンケートデータで示すように、MA系の設問(MAおよびMAMX)では選択肢ごとに値(実施形態では0または1)が設定されるが、以下、MA系の設問における選択肢を回答項目とも呼ぶ。また、SAMX設問およびMAMX設問における小設問も、以下、回答項目と呼ぶことがある。回答項目の識別番号(図2では1、2、3,・・・N)を項目番号とも呼ぶ。
【0015】
実施形態におけるアンケートデータは、複数の対象者に対してなされたアンケートに関する複数レコードのデータである。アンケートデータは、調査データとも言え、複数の設問に関するデータと、各設問への回答に関するデータを含む。複数の設問は、SA設問、MA設問、SAMX設問、またはMAMX設問を含み得る。また、アンケートデータは、1人の対象者が複数の設問に対して回答した内容が単一のレコードにまとめて記録されたデータであり、このような構造は横持ち構造と呼ばれる。
【0016】
図5は、アンケートデータの例を示す。図5の3つのレコードのそれぞれには、ID1~ID3の3人の対象者のそれぞれが、複数のSA設問(Q1、Q2、Q3)に対して回答した内容がまとめて記録されている。典型的なアンケートデータは横持ち構造である。すなわち、典型的なアンケートデータは、対象者ごとに1レコードが作成され、設問数や回答項目数が多くなるほどレコード内のカラム数が増加していく。
【0017】
図6は、縦持ち構造のアンケートデータの例を示す。図6は、図5に示した横持ち構造のアンケートデータを縦持ち構造に変換したものである。縦持ち構造は、同じ種類のデータを単一のカラムに格納する構造である。例えば、図5の横持ち構造のアンケートデータでは、複数の設問に対する回答が複数のカラムに亘って格納されたが、図6の縦持ち構造のアンケートデータでは、設問番号と回答のそれぞれが単一のカラムに格納される。基本的に、縦持ち構造のアンケートデータのレコード数は、回答者数(対象者数)と設問数の積になる。
【0018】
近年、多くの企業でBIツールの導入が進んでいる。BIツールは、トランザクション系のデータ(例えば、キャッシュレス決済データ、ウェブログデータ、購買データ等)を典型例とする縦持ち構造のデータの処理を得意とする。一方、BIツールは、アンケートデータ等の横持ち構造のデータの処理が得意でない。特に、MA設問のデータやマトリクス設問(SAMX、MAMX等)のデータ等、アンケートに特有のデータは、BIツールでは扱いづらい。
【0019】
図7は、アンケートデータの例を示す。図7のアンケートデータは、横持ち構造である。具体的には、図7の3つのレコードのそれぞれには、ID1~ID3の3人の回答者のそれぞれが、1つのMA設問(Q1)における3つの選択肢(Q1_1、Q1_2、Q1_3)に対して回答した内容がまとめて記録されている。MA系の設問に関するデータとして、回答者が選択した選択肢には「1」が格納され、回答者が未選択の選択肢には「0」が格納される。
【0020】
図7に示すように、横持ち構造のアンケートデータでは、MA設問への回答は、同一設問であっても、選択肢(回答項目とも言える)ごとに別のカラムが設けられる。そのため、システム的に「設問」単位の規定が困難であり、BIツールでは扱いづらい。図7のアンケートデータでは、同じ設問Q1について3つの選択肢に対応する3つのカラムが設けられており、システム的に、この3つのカラムが同一設問の回答であることを識別することが困難なことがあった。
【0021】
図8は、縦持ち構造のアンケートデータの例を示す。図8は、図7の横持ち構造のアンケートデータを縦持ち構造に変換したものである。縦持ち構造のデータでは、MA設問の選択肢(「項目番号」列)や各選択肢への回答(「回答」列)を含め、同じ種類のデータは単一のカラムに格納される。これにより、システム的に、フィルタ処理等によって、同一設問内での各選択肢への回答を容易に識別可能である。例えば、設問番号=Q1の回答を項目番号別に集計する処理をBIツールに容易に実行させることができる。
【0022】
既述だが、一般的なBIツールを使用する場合、横持ち構造のアンケートデータより縦持ち構造のアンケートデータの方が、MA設問の集計が容易である。図9は、横持ち構造のアンケートデータの集計例を示す。図9は、図7に示した横持ち構造のアンケートデータ(MA設問Q1の項目番号1および項目番号2)を集計した結果を示している。一般的なBIツールは、複数個のカラムの並列処理が苦手であり、普通に集計すると、図9に示すような入れ子形式の集計結果が生成されてしまう。
【0023】
図10は、縦持ち構造のアンケートデータの集計例を示す。図10は、図8に示した縦持ち構造のアンケートデータ(MA設問Q1の項目番号1および項目番号2)を集計した結果を示している。縦持ち構造のアンケートデータの場合、BIツールによる、MA設問の複数の回答項目(選択肢)の並列処理が容易であり、回答項目(選択肢)ごとの集計結果を容易に得ることができる。
【0024】
また、アンケートデータの1つの集計方法としてクロス集計がある。クロス集計は、アンケートの設問に対する回答を、設問を掛け合わせて集計することである。クロス集計により、第1の設問の回答傾向を、第2の設問の回答別に細分化して見ることができる。図11は、クロス集計の結果の例を示す。図11は、図7に示した横持ち構造のアンケートデータのうちMA設問Q1の項目番号1および項目番号2をクロス集計した結果を示している。BIツールを用いたクロス集計では、縦持ち構造のデータを用いるよりも横持ち構造のデータを用いる方が効率的な場合がある。
【0025】
縦持ち構造のアンケートデータを用いる場合、自由に設問間のクロス集計を行うためには、アンケートデータを格納した同一のテーブルをもう一つ用意して結合する必要がある。例えば、対象者数が1万人で、設問数(MA設問の項目数を含む)が1000のアンケートデータは、1000万レコード(1000万行)になることがある。自由に設問間のクロス集計を行うためには、同一のテーブルを結合する必要があり、結合結果のテーブルは、1000万レコード×1000万レコード=100兆レコードの巨大なテーブルになる。このように、縦持ち構造のアンケートデータをクロス集計する場合、処理対象のレコード数が膨大となるため、処理速度が大幅に低下し、または、スタンドアロン環境での集計処理が困難になることがあった。
【0026】
このような課題を踏まえ、本実施形態では、アンケートデータの効率的な集計を支援する技術を提案する。以下、実施形態の詳細を説明する。
【0027】
図12は、実施形態の分析システム10の構成を示す。分析システム10は、データベースサーバ12と分析装置14を備える情報処理システムである。データベースサーバ12は、実施済のアンケートに関する設問と回答を含むアンケートデータを記憶する。分析装置14は、BIツールがインストールされ、BIツールを用いてアンケートデータに記録された情報を集計する情報処理装置である。分析装置14は、コンピュータ、スマートフォンまたはタブレット端末であってもよい。データベースサーバ12と分析装置14は、LAN・WAN・インターネット等を含み得る通信網16を介して接続される。
【0028】
図13は、図12の分析装置14の機能ブロックを示すブロック図である。本明細書のブロック図で示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのプロセッサ、CPU、メモリをはじめとする素子や電子回路、機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0029】
分析装置14は、処理部20、記憶部22、通信部24を備える。処理部20は、アンケートデータの集計と分析に関するデータ処理を実行する。処理部20は、分析装置14のプロセッサ(CPU等)により実現されてもよい。記憶部22は、処理部20により参照または更新されるデータを記憶する。通信部24は、所定の通信プロトコルにしたがって外部装置と通信する。処理部20は、通信部24を介して、データベースサーバ12とデータを送受信する。
【0030】
記憶部22は、集計テーブル記憶部26と集計結果記憶部28を含む。集計テーブル記憶部26は、オリジナルのアンケートデータを加工したデータを含む集計処理用のテーブルデータ(以下「集計テーブル」とも呼ぶ。)を記憶する。集計テーブルの具体例は後述する。集計結果記憶部28は、集計テーブルのデータに基づいて生成された、アンケートデータの集計結果を示すデータを記憶する。
【0031】
処理部20は、アンケートデータ取得部30、テーブル生成部32、指定受付部34、変換部36、集計部38、集計結果出力部40を含む。これら複数の機能ブロックの機能は、コンピュータプログラムに実装されてもよい。このコンピュータプログラムは、記録媒体またはネットワークを介して、分析装置14のストレージにインストールされてもよい。分析装置14のプロセッサは、このコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、上記複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0032】
アンケートデータ取得部30は、データベースサーバ12に記憶されたアンケートデータを取得する。テーブル生成部32は、アンケートデータ取得部30により取得されたアンケートデータに基づいて集計テーブルを生成し、生成した集計テーブルのデータを集計テーブル記憶部26に格納する。
【0033】
指定受付部34は、ユーザが分析装置14に入力した、分析対象のアンケートデータに含まれる複数の設問のうち集計対象の設問を指定するデータを受け付ける。変換部36は、指定受付部34により集計対象の設問を指定するデータが受け付けられた場合、集計テーブルに格納されたアンケートデータの各レコードに記録された、集計対象の設問に関するデータ(回答データを含む)を、同じ種類のデータを単一のカラムに統合した縦持ち構造に変換する。変換部36は、縦持ち構造に変換後の集計対象の設問に関するデータを集計テーブルに格納する。
【0034】
集計部38は、集計テーブルに記憶された、縦持ち構造に変換後の集計対象の設問に関するデータに基づいて集計結果を生成する。集計結果出力部40は、集計部38により生成された集計結果を出力する。実施形態では、集計結果出力部40は、集計結果のデータを集計結果記憶部28に格納する。変形例として、集計結果出力部40は、集計結果のデータを外部装置へ送信してもよい。外部装置は、例えば、分析装置14に対して分析要求を送信するユーザの情報端末(例えばノートブックやスマートフォン)であってもよく、分析装置14の外部の記憶装置(例えばデータベースサーバ12)であってもよい。
【0035】
また、指定受付部34は、ユーザが分析装置14に入力した、クロス集計対象の複数の設問の指定を受け付け可能である。変換部36は、クロス集計対象の複数の設問が指定された場合、アンケートデータのうちクロス集計対象の設問ごとのデータを縦持ち構造に変換する。変換部36は、クロス集計対象の設問ごとの縦持ち構造のデータを結合したデータを生成して集計テーブルに格納する。集計部38は、集計テーブルに記憶された、クロス集計対象の設問ごとの縦持ち構造のデータを結合したデータに基づいてクロス集計の結果を生成する。
【0036】
なお、分析装置14の処理部20が備える一部の機能ブロックの機能は、公知のBIツールが提供する機能により実現されてもよい。実施形態では、分析装置14の集計部38および集計結果出力部40の機能は、公知のBIツールが提供する機能を利用して実現されることとする。例えば、集計テーブルに保持された縦持ち構造のデータをもとに単純集計またはクロス集計を行う機能は、BIツールの公知の機能を利用して実現されることとする。
【0037】
以上の構成による分析システム10の動作を説明する。
データベースサーバ12には、実施済のアンケートデータが予め格納される。分析装置14のアンケートデータ取得部30は、分析対象のアンケートデータを指定するデータがユーザから入力された場合、データベースサーバ12に記憶された分析対象のアンケートデータを取得する。
【0038】
分析装置14のテーブル生成部32は、アンケートデータにおける各対象者(各回答者)のレコードを所定数コピーし、対象者ごとに所定数のレコードを設けた集計テーブルを生成する。テーブル生成部32は、生成した集計テーブルを集計テーブル記憶部26に格納する。実施形態における上記所定数は500である。すなわち、集計テーブルは、対象者1人あたり500レコードを含む。なお、アンケートデータにおける設問数や回答項目数が大きくなるほど、上記所定数も大きくなるよう調整されてよい。
【0039】
図14は、集計テーブルの例を示す。既述したように、集計テーブルでは、各対象者の横持ち構造のアンケートデータが500レコードに亘ってコピーされる。図14の集計テーブルの回答者ID、性別、年代、Q1_1、Q1_2、・・・のカラムは、オリジナルのアンケートデータと同じカラムである。集計テーブルは、オリジナルのアンケートデータには含まれない縦持ちエリア50と縦持ちエリア52を含む。縦持ちエリア50と縦持ちエリア52のそれぞれは、設問番号、項目番号、回答の3つのカラムを含む。実施形態では、単純集計の場合、縦持ちエリア50が使用され、クロス集計の場合、縦持ちエリア50と縦持ちエリア52の両方が使用される。
【0040】
分析装置14の指定受付部34は、ユーザが分析装置14に入力した、アンケートデータに含まれる複数の設問の中から選択された集計対象の設問(MA系の設問の場合、回答項目を含み得る)を指定するデータを受け付ける。分析装置14の変換部36は、集計対象の設問が指定されたことを契機に、集計テーブルに保持された集計対象の設問の横持ち構造のデータを読み出して縦持ち構造のデータに変換し、変換後の縦持ち構造のデータを縦持ちエリア50または縦持ちエリア52に格納する。
【0041】
単純集計の例を説明する。ここでは、集計対象の設問としてMA設問であるQ1が指定されたこととする。図15は、単純集計における集計テーブルの例を示す。変換部36は、MA設問Q1の項目番号1(Q1_1)のデータに対応する縦持ち構造のデータを、レコード番号1の縦持ちエリア50に格納する。また、MA設問Q1の項目番号2(Q1_2)のデータに対応する縦持ち構造のデータを、レコード番号2の縦持ちエリア50に格納する。また、MA設問Q1の項目番号3(Q1_3)のデータに対応する縦持ち構造のデータを、レコード番号3の縦持ちエリア50に格納する。
【0042】
分析装置14の集計部38は、集計テーブルの縦持ちエリア50に格納された値を参照して、集計対象の設問に対する複数の対象者の回答内容を集計する。集計部38は、集計結果を示すデータを集計結果記憶部28に格納する。例えば、集計部38は、集計対象のMA設問に関する集計結果のデータ(図10に例示)を集計結果記憶部28に格納する。
【0043】
クロス集計の例を説明する。ここでは、クロス集計対象の第1の設問としてMA設問であるQ1が指定され、クロス集計対象の第2の設問としてSAMX設問であるQ2が指定されたこととする。図16は、クロス集計における集計テーブルの例を示す。変換部36は、MA設問Q1の項目番号1~3(Q1_1~Q1_3)のデータに対応する縦持ち構造のデータを、レコード番号1~6の縦持ちエリア50に格納する。また、変換部36は、SAMX設問Q2の項目番号1、2(Q2_1、Q2_2)のデータに対応する縦持ち構造のデータを、レコード番号1~6の縦持ちエリア52に格納する。
【0044】
設問間のクロス集計の場合、変換部36は、2つの設問(または回答項目)の組み合わせ数分、縦持ち構造のデータを設定する。図16の例では、変換部36は、Q1の回答項目数3とQ2の回答項目数2の積の個数分のレコード(6レコード)に、Q1_1~Q1_3の縦持ち構造のデータと、Q2_1、Q2_2の縦持ち構造のデータの結合結果を設定する。
【0045】
集計部38は、集計テーブルの縦持ちエリア50および縦持ちエリア52に格納された値を参照して、クロス集計対象の2つの設問に対する複数の対象者の回答内容を集計する。集計部38は、クロス集計の結果を示すデータ(図11に例示)を集計結果記憶部28に格納する。
【0046】
実施形態の分析システム10では、アンケートデータにおける集計対象の設問(もしくはMA設問の回答項目・選択肢)が指定された場合に、指定された集計対象の設問(およびその回答)に関する横持ち構造のデータを縦持ち構造のデータに動的に変換する。そして、変換後の縦持ち構造のデータをBIツールに集計させることにより低コストかつ高効率でのアンケートデータの集計を実現できる。また、実施形態の分析システム10では、集計対象の設問が指定されたことを契機に、集計対象の設問に関する縦持ち構造のデータを動的に生成する。これにより、縦持ち構造のデータ量を低減することができる。
【0047】
また、実施形態の分析システム10では、縦持ち構造のアンケートデータをもとにクロス集計を行う。これにより、BIツールによるクロス集計のためのプログラムを、レコードのカラム名に依存しないものにでき、その汎用性を高めることができる。また、実施形態の分析システム10では、集計対象の範囲に応じて縦持ち構造への変換範囲を制限することにより、クロス集計に伴い作成される結合テーブルのレコード数を抑制できる。これにより、クロス集計における処理速度の低下を抑制でき、また、スタンドアロンを含む様々な環境でのクロス集計を実現できる。
【0048】
以上、本開示を実施形態をもとに説明した。実施形態に記載の内容は例示であり、実施形態の構成要素や処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0049】
変形例を説明する。分析装置14のテーブル生成部32は、集計対象の設問の種類に応じて、縦持ちエリア50と縦持ちエリア52の少なくとも一方に、複数の項目番号のカラム(例えば項目番号1、項目番号2、・・・)を備える集計テーブルを生成してもよい。例えば、単純集計の対象がMAMX設問の場合、テーブル生成部32は、集計テーブルの縦持ちエリア50に、複数の項目番号のカラムとして「項目番号1」と「項目番号2」を設けてもよい。また、クロス集計の対象がMAMX設問の場合、テーブル生成部32は、MAMX設問の縦持ち構造データを格納すべき縦持ちエリア50または縦持ちエリア52に、複数の項目番号のカラムとして「項目番号1」と「項目番号2」を設けてもよい。
【0050】
分析装置14の変換部36は、カラム「項目番号1」にMAMX設問(マトリクス設問)の行位置を示す値を設定してもよい。MAMX設問(マトリクス設問)の行位置を示す値は、マトリクスの何行目であるかを示す値であり、MAMX設問における回答項目(小設問とも言える)の識別番号でもよく、図4のMAMX設問の例では1(Q4_1)と2(Q4_2)が設定されてもよい。また、変換部36は、カラム「項目番号2」にMAMX設問(MA系設問)の列位置を示す値を設定してもよい。MAMX設問(MA系設問)の列位置を示す値は、マトリクスの何列目であるかを示す値であり、MAMX設問における選択肢の識別番号でもよく、図4のMAMX設問の例では1~4・・・のいずれかが設定されてもよい。
【0051】
この変形例によると、集計テーブルの縦持ち構造データに項目番号カラムを複数個設けることにより、MAMX設問のように、個々の回答を一意に特定するために複数のパラメータ(回答項目、選択肢等)が必要になる場合にも、個々の回答を一意に特定可能な縦持ち構造データを効率的に実現できる。
【0052】
上記実施形態で分析装置14に実装された複数の機能ブロックの機能は、通信網16を介して接続される複数の装置に分散して実装されてもよい。この場合、それら複数の装置が、互いに通信し、システムとして連携することにより、上記実施形態の分析装置14と同様の処理が実現されてもよい。別の構成として、上記実施形態のデータベースサーバ12の機能は、分析装置14に実装されてもよい。すなわち、上記実施形態の分析システム10の機能は、単一の情報処理装置により実現されてもよい。
【0053】
上述した実施形態および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0054】
10 分析システム、 12 データベースサーバ、 14 分析装置、 26 集計テーブル記憶部、 30 アンケートデータ取得部、 32 テーブル生成部、 34 指定受付部、 36 変換部、 38 集計部、 40 集計結果出力部。
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