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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025868
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】濾過装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 24/02 20060101AFI20240220BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20240220BHJP
【FI】
B01D23/10 B
B01D23/10 A
B05B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129201
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】才野 栞
【テーマコード(参考)】
4D073
4D116
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073CA30
4D116AA01
4D116AA08
4D116BA06
4D116BA07
4D116DD01
4D116EE04
4D116EE06
4D116EE09
4D116EE10
4D116EE12
4D116FF02A
4D116GG01
4D116GG02
4D116GG12
4D116GG24
4D116KK01
4D116RR02
4D116RR03
4D116RR14
4D116VV30
(57)【要約】
【課題】液体塗料を好適に濾過することができる濾過装置を提供する。
【解決手段】濾過装置10は、筒状の本体部11を備える。本体部11の内部には、上下方向に延びる内部空間12が形成されている。内部空間12は、液体塗料が流下する流路となっている。内部空間12には、上下方向に複数の濾過層20が設けられている。これらの濾過層20はいずれも複数のガラス球21からなる。各濾過層20は、下側の濾過層20ほどガラス球21の径が小さくなっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体塗料を濾過する濾過装置であって、
上下方向に延び、前記液体塗料が流下する流路と、
前記流路において上下方向に複数設けられ、前記流下する液体塗料を濾過する濾過層と、を備え、
前記各濾過層はいずれも多数の小球からなるとともに、下側の前記濾過層ほど前記小球の大きさが小さくなっている、濾過装置。
【請求項2】
前記小球はガラスにより形成されている、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
上下に隣り合う前記濾過層を互いに仕切るとともに、前記液体塗料を上下に流通させる複数の流通孔が形成された仕切板部を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記仕切板部は、水平方向に対して傾斜した傾斜板部を含む、請求項3に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記仕切板部は、周縁側から中央側に向けて下方傾斜した形状を有し、前記中央側に前記流通孔が形成されている、請求項3に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記流路には、前記濾過層ごとに、前記濾過層を構成する前記多数の小球を収容する収容部が設けられ、
前記各収容部は、前記収容部内を通じて前記液体塗料が流下可能なように構成されているとともに、前記流路からそれぞれ取り出し可能とされている、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項7】
前記各収容部は、上方に開放された収容容器であり、
前記収容容器の底部には、前記液体塗料を上下に流通させる流通孔が形成され、
前記各収容容器は、前記流路において上下に積み重ねられた状態で配置されているとともに、前記流路から上方に取り出し可能とされている、請求項6に記載の濾過装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗料を濾過する濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外壁材等の建材に液体塗料を吹き付ける等して塗装を行う場合、塗装に用いられなかった液体塗料は余剰塗料として回収される。この場合、回収される液体塗料には、ゴミや塵、塗料のダマ(固まり)といった不純物が含まれることになる。このため、回収された液体塗料を建材の塗装に再利用する場合には、その液体塗料に含まれる不純物をあらかじめ取り除く必要がある。
【0003】
液体塗料から不純物を取り除く方法としては、液体塗料を濾過装置により濾過する方法がある(例えば特許文献1参照)。この場合、濾過装置としては、例えば砂利を濾材としたものを用いることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5667721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、塗装の際に回収される液体塗料(余剰塗料)には、様々な大きさの不純物が含まれることが想定される。例えば、ダマについては様々な大きさで固まるため、各種大きさのものが含まれることが想定される。
【0006】
そこで、液体塗料を濾過する濾過装置としては、様々な大きさの不純物を除去できるよう、濾材として小さなものを用いることが考えられる。しかしながら、その場合、大きな不純物が濾材の間に詰まってしまい、濾過が進まなくなることが想定される。また、濾材として大きなものを用いると、小さな不純物が濾材の間を通過してしまい除去できないことが想定される。
【0007】
また、液体塗料は比較的粘性が高いため、砂利を濾材として用いる場合、液体塗料が濾材に付着して円滑に濾過することができないおそれもある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、液体塗料を好適に濾過することができる濾過装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の濾過装置は、液体塗料を濾過する濾過装置であって、上下方向に延び、前記液体塗料が流下する流路と、前記流路において上下方向に複数設けられ、前記流下する液体塗料を濾過する濾過層と、を備え、前記各濾過層はいずれも多数の小球からなるとともに、下側の前記濾過層ほど前記小球の大きさが小さくなっている。
【0010】
第1の発明によれば、流路に設けられた複数の濾過層が、いずれも多数の小球からなる。小球の表面は角がなく滑らかであるため、粘性の高い液体塗料が濾過層を通過する際、液体塗料が小球に付着しにくい。そのため、液体塗料を円滑に濾過することができる。また、複数の濾過層は、下側(換言すると下流側)の濾過層ほど小球の大きさが小さくなっている。この場合、液体塗料に含まれる大きな不純物は上側の濾過層において取り除かれ、小さな不純物は上側の濾過層を通過して下側の濾過層において取り除かれる。そのため、液体塗料に含まれる様々な大きさの不純物を濾過層が詰まることなく取り除くことができる。よって、以上より、液体塗料を好適に濾過することができる。
【0011】
また、液体塗料の濾過処理後には、濾過層(小球)により取り除かれた不純物が小球に付着しているため、小球を水洗いする等して、小球から不純物を取り除く洗浄作業を行う必要がある。この点、小球の表面は、上述したように滑らかであるため、不純物を取り除き易く、洗浄作業がし易い。
【0012】
第2の発明の濾過装置は、第1の発明において、前記小球はガラスにより形成されている。
【0013】
第2の発明によれば、小球が、液体塗料が付着しにくい材質であるガラスにより形成されているため、液体塗料の濾過をより一層円滑に行うことができる。
【0014】
第3の発明の濾過装置は、第1の発明において、上下に隣り合う前記濾過層を互いに仕切るとともに、前記液体塗料を上下に流通させる複数の流通孔が形成された仕切板部を備える。
【0015】
第3の発明によれば、上下に隣り合う濾過層が仕切板部により互いに仕切られており、その仕切板部に形成された流通孔を通じて液体塗料が流下する。かかる構成では、仕切板部を介して、上下に隣り合う各濾過層を離間させることができる。例えば、上側の濾過層については仕切板部の上に載せる一方、下側の濾過層については仕切板部から下方に離間させて配置することにより、それら各濾過層の間に小球の存在しない非濾過スペースを形成することができる。この場合、非濾過スペースでは、液体塗料が流れ易くなっているため、隣り合う濾過層が上下に連続して設けられる場合と比べて、液体塗料の濾過をより円滑に行うことが可能となる。
【0016】
第4の発明の濾過装置は、第3の発明において、前記仕切板部は、水平方向に対して傾斜した傾斜板部を含む。
【0017】
第4の発明によれば、仕切板部の上に液体塗料が滞留するのを抑制することができる。これにより、液体塗料が仕切板部に付着する等して、円滑な濾過が妨げられるのを抑制することができる。
【0018】
第5の発明の濾過装置は、第3の発明において、前記仕切板部は、周縁側から中央側に向けて下方傾斜した形状を有し、前記中央側に前記流通孔が形成されている。
【0019】
第5の発明によれば、液体塗料が仕切板部よりも上方において仕切板部の傾斜に沿って周縁側から中央側に流れ、その中央側の流通孔より仕切板部よりも下方へと流れる。この場合、仕切板部の上に液体塗料が滞留するのを好適に抑制することができる。そのため、液体塗料が仕切板部に付着等して、円滑な濾過が妨げられるのを好適に抑制することができる。
【0020】
第6の発明の濾過装置は、第1の発明において、前記流路には、前記濾過層ごとに、前記濾過層を構成する前記多数の小球を収容する収容部が設けられ、前記各収容部は、前記収容部内を通じて前記液体塗料が流下可能なように構成されているとともに、前記流路からそれぞれ取り出し可能とされている。
【0021】
第6の発明によれば、濾過層ごとに、濾過層を構成する多数の小球を収容する収容部が設けられ、それら各収容部は流路から取り出し可能となっている。この場合、小球を収容部に収容した状態で流路から取り出すことができるため、濾過処理後に小球の洗浄作業を行う上で好都合な構成となっている。
【0022】
第7の発明の濾過装置は、第6の発明において、前記各収容部は、上方に開放された収容容器であり、前記収容容器の底部には、前記液体塗料を上下に流通させる流通孔が形成され、前記各収容容器は、前記流路において上下に積み重ねられた状態で配置されているとともに、前記流路から上方に取り出し可能とされている。
【0023】
第7の発明によれば、各収容部が上方に開放された収容容器とされ、その収容容器が流路において上下に積み重ねられた状態で配置されている。また、各収容容器は、流路から上方に取り出し可能とされている。かかる構成では、小球の洗浄作業の際、各収容容器を上側のものから順に流路から取り出し、そして取り出した収容容器に水を入れる等して容器内で小球の洗浄を行うことが可能となる。これにより、小球の洗浄作業を行う上で、より一層好都合な構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】濾過装置の内部構成を示す縦断面図。
図2】塗装に用いられない液体塗料が回収される様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図2は、塗装に用いられない液体塗料が回収される様子を示す図である。
【0026】
図2に示すように、工場の塗装ブースでは、外壁材などの建材Kを塗装対象として、液体塗料による塗装が行われる。塗装は、例えば吹き付け塗装により行われる。吹き付け塗装では、スプレーガン41を用いて液体塗料が建材Kに吹き付けられ、その吹き付けられた液体塗料により建材Kの塗装が行われる。また、塗装の際、建材Kの塗装に用いられなかった一部の液体塗料は、建材Kの下方に配置された回収槽42に網体43を介して入る。これにより、塗装に用いられなかった液体塗料が余剰塗料として回収される。
【0027】
上記のように回収される液体塗料には、ごみや塵、ダマなどの不純物が含まれる。工場では、回収された液体塗料を建材Kの塗装に再利用すべく、その液体塗料を濾過装置10により濾過して不純物を取り除くこととしている。そこで、以下においては、かかる濾過を行う濾過装置10の構成について図1に基づき説明する。なお、図1は、濾過装置10の内部構成を示す縦断面図である。
【0028】
図1に示すように、濾過装置10は、上下方向に延びる有底円筒状の本体部11を備える。本体部11はガラス製であり、その内部に上下方向に延びる内部空間12が形成されている。液体塗料は、内部空間12を流下しながら、内部空間12に設けられる後述の濾過層20にて濾過されるようになっている。また、本濾過装置10では、液体塗料が自重により流下し、自然濾過が行われるようになっている。なお、内部空間12が流路に相当する。
【0029】
本体部11の上端部には、回収槽42により回収された液体塗料を内部空間12に導入するための導入部14が設けられている。導入部14は、本体部11の上端部から上方に向けて拡径された漏斗状に形成されている。内部空間12には、導入部14を介して上方から液体塗料が導入される。
【0030】
本体部11の下端部には、濾過層20により濾過された液体塗料を内部空間12から流出させる流出管15が設けられている。流出管15は、本体部11の底板部11aから下方に延びている。詳しくは、底板部11aは、その周縁部から中央部に向けて下方に傾斜する漏斗状に形成され、その底板部11aの中央部から流出管15が下方に延びている。
【0031】
本体部11の内部空間12には、内部空間12を流下する液体塗料を濾過する濾過層20が設けられている。濾過層20は、上下方向に並んで複数設けられている。本実施形態では4つの濾過層20(20a~20d)が設けられ、これらの濾過層20a~20dが、上側から下側に向けて、濾過層20a、濾過層20b、濾過層20c、濾過層20dの順に並んでいる。
【0032】
各濾過層20はいずれも多数のガラス球21からなる。各濾過層20は、多数のガラス球21が積み重ねられることにより形成されている。濾過層20の厚み(上下方向の寸法)は、上側の濾過層20ほど大きくなっている。また、濾過層20を構成する多数のガラス球21は、いずれも同じ径(直径)からなる。なお、ガラス球21が小球に相当する。
【0033】
各濾過層20は、下側の濾過層20ほどガラス球21の径が小さくなっている。つまり、各濾過層20a~20dのガラス球21をそれぞれガラス球21a~21dとした場合、ガラス球21bの径はガラス球21aの径より小さく、ガラス球21cの径はガラス球21bの径より小さく、ガラス球21dの径はガラス球21cの径より小さくなっている。例えば、ガラス球21aの径は30~40mmであり、ガラス球21bの径は20mm程度であり、ガラス球21cの径は10mm程度であり、ガラス球21dの径は5mm程度である。
【0034】
本体部11の内部空間12には、濾過層20を構成する各ガラス球21を収容する収容容器25が設けられている。収容容器25は、上方に開放されたガラス製の容器であり、濾過層20ごとに設けられている。そのため、本実施形態では、収容容器25が4つ設けられており、以下では、これらの収容容器25を各濾過層20a~20dに対応させて収容容器25a~25dともいう。また、各収容容器25a~25dは、収容容器25a~25dに収容された濾過層20a~20dの厚みに対応して、上側の収容容器25ほど高さ寸法が大きくなっている。なお、各収容容器25が収容部に相当する。
【0035】
収容容器25は、底部としての底板部26と、底板部26の周縁部から上方に延びる筒状部27とを有している。底板部26は、平面視にて円板状をなしており、詳しくは周縁部の全域から中央部に向けて下方に傾斜した形状とされている。そのため、底板部26は、側面視にて、中央部が下端部となる円錐形状となっている。なお、底板部26は、その全体が傾斜板部となっている。また、筒状部27は、円筒状をなしており、その外径が本体部11(内部空間12)の内径と略同じとなっている。
【0036】
各収容容器25(25a~25d)は、本体部11の内部空間12において上下に積み重ねられた状態で配置されている。この場合、上下に隣り合う収容容器25において、下側の収容容器25の筒状部27の上端部に上側の収容容器25の底板部26が載置されている。詳しくは、筒状部27の上端面は底板部26の傾斜に応じた傾斜面27aとなっており、その傾斜面27aの上に上側の収容容器25の底板部26が載置されている。また、各収容容器25(25a~25d)は、内部空間12から上方に導入部14を通じて取り出し可能となっている。
【0037】
収容容器25dを除く各収容容器25a~25cの底板部26(以下、底板部26a~26cともいう)は、上下に隣り合う濾過層20の間に配置され、それら隣り合う濾過層20を上下に仕切るように配置されている。この場合、底板部26a~26cの上方に配置された濾過層20は底板部26a~26cの上に載せられている。一方、底板部26a~26cの下方に配置された濾過層20は、底板部26a~26cから下方に離間して配置されている。そのため、底板部26a~26cを挟んで隣り合う各濾過層20の間には、ガラス球21の存在しない非濾過スペース28が形成されている。なお、各底板部26a~26cが仕切板部に相当する。
【0038】
各底板部26(26a~26d)には、上下方向に貫通する複数の孔部29が形成されている。これらの孔部29を通じて液体塗料が底板部26よりも上側から底板部26よりも下側へと流れるようになっている。また、孔部29の径(直径)は、孔部29が形成された底板部26上に載せられたガラス球21の径よりも小さくなっている。これにより、ガラス球21が孔部29より脱落することが防止されている。また、底板部26に形成された各孔部29のうち、一の孔部29は底板部26の中央部に形成されている。なお、各孔部29が流通孔に相当する。
【0039】
最も下側に配置された収容容器25dは、本体部11の底板部11a上に配置されている。底板部11aには、その周縁部から上方に突出する円環状の突出部33が設けられている。収容容器25dは、その底板部26dが突出部33の上に載置された状態で配置されている。この場合、収容容器25dの底板部26dと底板部11aとの間には下部スペース34が形成されている。下部スペース34は流出管15の内部と連通している。
【0040】
続いて、上述した濾過装置10の作用について説明する。
【0041】
回収槽42により回収された液体塗料は、本体部11の内部空間12に上方から導入部14を通じて導入される。導入された液体塗料は、内部空間12において、各収容容器25の筒状部27の内側を通じて流下する。この際、液体塗料は、各濾過層20において濾過される。これにより、液体塗料に含まれる不純物が取り除かれる。また,液体塗料は、各収容容器25の底板部26の孔部29を通じて流下する。液体塗料が最も下側の収容容器25dの孔部29より下部スペース34へ流下すると、その後、液体塗料は下部スペース34から流出管15を通じて下方に流出される。これにより、濾過処理された液体塗料が得られる。
【0042】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0043】
本体部11の内部空間12に設けられた複数の濾過層20が、いずれも多数のガラス球21からなる。ガラス球21の表面は角がなく滑らかであるため、粘性の高い液体塗料が濾過層20を通過する際、液体塗料がガラス球21に付着しにくくすることができる。そのため、液体塗料を円滑に濾過することができる。また、複数の濾過層20は、下側の濾過層20ほどガラス球21の大きさ(径)が小さくなっている。この場合、液体塗料に含まれる大きな不純物は上側の濾過層20において取り除かれ、小さな不純物は上側の濾過層20を通過して下側の濾過層20において取り除かれる。そのため、液体塗料に含まれる様々な大きさの不純物を濾過層20が詰まることなく取り除くことができる。よって、以上より、液体塗料を好適に濾過することができる。
【0044】
また、液体塗料の濾過処理後には、濾過層20(ガラス球21)により取り除かれた不純物がガラス球21に付着しているため、ガラス球21を水洗いする等して、ガラス球21から不純物を取り除く洗浄作業を行う必要がある。この点、ガラス球21の表面は、上述したように滑らかであるため、不純物を取り除き易く、洗浄作業がし易い。
【0045】
濾過層20を構成する小球として、ガラス球21が用いられている。ガラスは、金属や樹脂等と比べ、液体塗料が付着しにくい材質である。これにより、液体塗料の濾過をより一層円滑に行うことができる。また、ガラス球21を用いることで、濾過処理後の洗浄作業の際に不純物をより取り除き易くすることができる。そのため、洗浄作業をよりし易くすることができる。
【0046】
上下に隣り合う濾過層20が底板部26(26a~26c)により互いに仕切られており、その底板部26に形成された孔部29を通じて液体塗料が流下する。かかる構成では、底板部26を介して、上下に隣り合う各濾過層20を離間させることができる。例えば、上側の濾過層20については底板部26の上に載せる一方、下側の濾過層20については底板部26から下方に離間させて配置することにより、それら各濾過層20の間にガラス球21の存在しない非濾過スペース28を形成することができる。この場合、非濾過スペース28では、液体塗料が流れ易くなっているため、隣り合う濾過層20が上下に連続して設けられる場合と比べて、液体塗料の濾過をより円滑に行うことが可能となる。
【0047】
底板部26(26a~26c)が、その周縁部から中央部に向けて下方に傾斜した形状となっており、その底板部26の中央部に孔部29が形成されている。この場合、液体塗料が底板部26よりも上方において底板部26の傾斜に沿って周縁側から中央側に流れ、その中央側の孔部29より底板部26よりも下方へと流れる。この場合、底板部26の上に液体塗料が滞留するのを好適に抑制することができる。そのため、液体塗料が底板部26に付着する等して、円滑な濾過が妨げられるのを好適に抑制することができる。
【0048】
本体部11の内部空間12には、濾過層20ごとに、濾過層20を構成する多数のガラス球21を収容する収容容器25が設けられ、それら各収容容器25は内部空間12から取り出し可能となっている。この場合、ガラス球21を収容容器25に収容した状態で内部空間12から取り出すことができるため、濾過処理後にガラス球21の洗浄作業を行う上で好都合な構成となっている。
【0049】
ガラス球21を収容する収容部が上方に開放された収容容器25とされ、その収容容器25が内部空間12において上下に積み重ねられた状態で配置されている。また、各収容容器25は、内部空間12から上方に取り出し可能とされている。かかる構成では、ガラス球21の洗浄作業の際、各収容容器25を上側のものから順に内部空間12から取り出し、そして取り出した収容容器25に水を入れる等して容器25内でガラス球21の洗浄を行うことが可能となる。これにより、ガラス球21の洗浄作業を行う上で、より一層好都合な構成とすることができる。
【0050】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、小球としてガラス球21を用いたが、金属球や樹脂球等、ガラス以外の材料からなる小球を用いてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、収容容器25の底板部26を傾斜板部を含んで形成したが、傾斜板部を含まず平板状に形成してもよい。
【0053】
・上記実施形態では、ガラス球21を収容する収容部として収容容器25を用いたが、例えば収容部として網袋を用いてもよい。この場合、網袋にガラス球21を収容し、その収容状態で網袋を本体部11の内部空間12に設けることになる。かかる構成においても、網袋内に液体塗料を流下させることができるため、網袋内のガラス球21(濾過層20)により液体塗料を濾過することができる。
【0054】
また、収容部として網袋を用いる場合、濾過層20ごとに設けた網袋を本体部11の内部空間12において上下に積層配置することが考えられる。この場合、隣り合う濾過層20が連続して配置されることになる。
【0055】
・ガラス球21を収容する収容部を設けない構成としてもよい。この場合、各濾過層20を直接、本体部11の内部空間12に設けることになる。また、この場合、隣り合う濾過層20の間ごとに、それら濾過層20同士を仕切る仕切板部を設けてもよい。仕切板部は、例えば平板状に形成し、その仕切板部に上下方向に貫通する複数の孔部(流通孔に相当)を設けるようにする。また、仕切板部は、内部空間12に着脱可能に設けるようにし、それにより、濾過処理後のガラス球21の洗浄作業の際、仕切板部を内部空間12から取り出せるようにする。
【0056】
また、隣り合う濾過層20の間に仕切板部を設けないようにしてもよい。その場合、各濾過層20が連続して配置されることになる。
【0057】
・濾過層20の数は必ずしも4つである必要はなく、2つ又は3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0058】
・上記実施形態では、塗装に用いられなかった液体塗料(余剰塗料)を濾過する場合に濾過装置10を用いたが、新品の液体塗料を濾過する場合に濾過装置10を用いてもよい。例えば、新品の液体塗料にもダマが発生する場合があり、そのダマを取り除くために濾過装置10を用いることが考えられる。
【符号の説明】
【0059】
10…濾過装置、12…流路としての内部空間、20…濾過層、21…小球としてのガラス球、25…収容部としての収容容器、26a~26c…仕切板部としての底板部、29…流通孔としての孔部。
図1
図2