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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025879
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】厚さ測定装置及び内幅測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/06 20060101AFI20240220BHJP
   G01B 5/02 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01B5/06
G01B5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129220
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】512306380
【氏名又は名称】不二エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080012
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 橘馬
(74)【代理人】
【識別番号】100168206
【弁理士】
【氏名又は名称】高石 健二
(72)【発明者】
【氏名】間野 明
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA04
2F062AA26
2F062AA27
2F062CC27
2F062EE01
2F062EE63
2F062EE65
2F062FF03
2F062GG41
2F062GG51
2F062GG61
(57)【要約】
【課題】製品の位置がばらつく場合や、製品の位置決めができない場合であっても、製品の厚さ又は内幅を高精度かつ正確に測定することが可能な測定装置を提供する。
【解決手段】第一の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第一の測定子を有し、他方の側に第一の測長部材接触部を有する第一の揺動アームと、第二の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第二の測定子を有し、他方の側に第二の測長部材接触部を有する第二の揺動アームと、第一の測長部材接触部の第一の直線方向の移動距離を測定する第一の測長部材と、第二の測長部材接触部の第二の直線方向の移動距離を測定する第二の測長部材とを有し、第一の測定子及び第二の測定子は互いに対向し、測定対象物の厚さを測定するように設けられており、第一の測長部材が測定した移動距離及び第二の測長部材が測定した移動距離から測定対象物の厚さを算出することを特徴とする厚さ測定装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第一の測定子を有し、他方の側に第一の測長部材接触部を有する第一の揺動アームと、
第二の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第二の測定子を有し、他方の側に第二の測長部材接触部を有する第二の揺動アームと、
前記第一の測長部材接触部の第一の直線方向の移動距離を測定する第一の測長部材と、
前記第二の測長部材接触部の第二の直線方向の移動距離を測定する第二の測長部材とを有し、
前記第一の測定子及び前記第二の測定子は互いに対向し、測定対象物の厚さを測定するように設けられており、
前記第一の測長部材が測定した移動距離及び前記第二の測長部材が測定した移動距離から前記測定対象物の厚さを算出することを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の厚さ測定装置であって、
前記第一の回転支点の中心と前記第一の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第一の測長部材の前記第一の直線方向の直線との間の角度が等しく、
前記第二の回転支点の中心と前記第二の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第二の測長部材の前記第二の直線方向の直線との間の角度が等しいことを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の厚さ測定装置であって、
前記第一の回転支点の中心と前記第一の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しく、
前記第二の回転支点の中心と前記第二の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しいことを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の厚さ測定装置であって、
前記第一の測長部材は前記第一の測長部材接触部に接触した状態で第一の直線方向に追従可能であり、
前記第二の測長部材は前記第二の測長部材接触部に接触した状態で第二の直線方向に追従可能であることを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれかに記載の厚さ測定装置であって、
前記第一の測定子と前記第二の測定子との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くように、前記第一の揺動アームと前記第二の揺動アームとの間に弾性部材が設けられていることを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の厚さ測定装置であって、
前記第一の測定子と前記第二の測定子との間の距離が広がる方向に前記第一の揺動アーム及び前記第二の揺動アームを回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータを備えることを特徴とする厚さ測定装置。
【請求項7】
第三の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第三の測定子を有し、他方の側に第三の測長部材接触部を有する第三の揺動アームと、
第四の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第四の測定子を有し、他方の側に第四の測長部材接触部を有する第四の揺動アームと、
前記第三の測長部材接触部の第三の直線方向の移動距離を測定する第三の測長部材と、
前記第四の測長部材接触部の第四の直線方向の移動距離を測定する第四の測長部材とを有し、
前記第三の測定子及び前記第四の測定子は互いに反対側を向いており、測定対象物の内幅を測定するように設けられており、
前記第三の測長部材が測定した移動距離及び前記第四の測長部材が測定した移動距離から前記測定対象物の内幅を算出することを特徴とする内幅測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の内幅測定装置であって、
前記第三の回転支点の中心と前記第三の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第三の測長部材の前記第三の直線方向の直線との間の角度が等しく、
前記第四の回転支点の中心と前記第四の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第四の測長部材の前記第四の直線方向の直線との間の角度が等しいことを特徴とする内幅測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の内幅測定装置であって、
前記第三の回転支点の中心と前記第三の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しく、
前記第四の回転支点の中心と前記第四の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しいことを特徴とする内幅測定装置。
【請求項10】
請求項7~9のいずれかに記載の内幅測定装置であって、
前記第三の測長部材は前記第三の測長部材接触部に接触した状態で第三の直線方向に追従可能であり、
前記第四の測長部材は前記第四の測長部材接触部に接触した状態で第四の直線方向に追従可能であることを特徴とする内幅測定装置。
【請求項11】
請求項7~9のいずれかに記載の内幅測定装置であって、
前記第三の測定子と前記第四の測定子との間の距離が広がる方向に弾性力が働くように、前記第三の揺動アームと前記第四の揺動アームとの間に弾性部材が設けられていることを特徴とする内幅測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の内幅測定装置であって、
前記第三の測定子と前記第四の測定子との間の距離が狭まる方向に前記第三の揺動アーム及び前記第四の揺動アームを回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータを備えることを特徴とする内幅測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は厚さ測定装置及び内幅測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の工業分野では、製品の厚さや内幅などの形状において高い寸法精度が要求されている。製品の厚さを測定するのに、一方の測定子を製品の片面に予め接触させ、他方の測定子をネジやレバーで寄せて、一対の測定子で挟み込んで測定する測定器が従来から用いられている。しかし、製品の位置がばらつく場合や、製品の位置決めができない場合などにおいては、その都度製品の位置に合わせて測定器の位置を調整する必要があり、手間と時間がかかる。またバネ式(又はローラーによる転がし)などで製品をこすることにより、製品に傷を付けてしまう場合がある。
【0003】
特許第2748352号(特許文献1)は、容器の側壁厚みを測定する感知手段を備えた円筒形容器の3次元測定装置を開示している。図13に示すように、この3次元測定装置の感知手段は、内側の腕332及び外側の腕334を有する鋏330と、内側の腕332及び外側の腕334の各々の下端にあって、容器の側壁42の両面と接触する接触手段370、372と、内側の腕332及び外側の腕334の各々の上端にあって、容器の側壁の厚みTに対応する接触手段間の距離を感知する感知手段80と、内側の腕332及び外側の腕334を中心軸400を中心に開閉させる第1の旋回運動及び容器の側壁42の位置に追随させるように、内側の腕332及び外側の腕334を中心軸400上で移動させる第2の旋回運動を与える旋回付与手段とからなり、容器の位置が変化するのに従って内側の腕332及び外側の腕334が追従して容器の側壁厚みを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2748352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、接触手段間の距離を感知する感知手段80が内側の腕332及び外側の腕334に取り付けられているため、容器の位置が変化するのに従って内側の腕332及び外側の腕334が旋回すると、感知手段80がそれに合わせて傾斜する。それにより、感知手段80が感知している方向と、容器の側壁厚みTの方向とが異なってくる。そのため、ある程度の厚さを有する製品の厚さを測定する場合や、製品の内幅を測定する測定する場合などにおいて、製品の厚さや内幅を正しく測定できないという問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、製品の位置がばらつく場合や、製品の位置決めができない場合であっても、製品の厚さ又は内幅を高精度かつ正確に測定することが可能な測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、各々の回転支点を中心に回転自在な一対の揺動アームと、一対の揺動アームの直線方向の移動距離をそれぞれ測定する一対の測長部材とを設け、一対の揺動アームのそれぞれに設けられた一対の測定子同士の距離を一対の測長部材により測定した移動距離から算出することにより、製品の位置がばらつく場合や、製品の位置決めができない場合であっても、製品の厚さ又は内幅を高精度かつ正確に測定することができることを発見し、本発明に想到した。
【0008】
即ち、本発明の一実施態様による厚さ測定装置は、第一の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第一の測定子を有し、他方の側に第一の測長部材接触部を有する第一の揺動アームと、第二の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第二の測定子を有し、他方の側に第二の測長部材接触部を有する第二の揺動アームと、前記第一の測長部材接触部の第一の直線方向の移動距離を測定する第一の測長部材と、前記第二の測長部材接触部の第二の直線方向の移動距離を測定する第二の測長部材とを有し、前記第一の測定子及び前記第二の測定子は互いに対向し、測定対象物の厚さを測定するように設けられており、前記第一の測長部材が測定した移動距離及び前記第二の測長部材が測定した移動距離から前記測定対象物の厚さを算出することを特徴とする。
【0009】
本実施態様による厚さ測定装置では、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第一の測長部材の前記第一の直線方向の直線との間の角度が等しく、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第二の測長部材の前記第二の直線方向の直線との間の角度が等しいのが好ましい。
【0010】
本実施態様による厚さ測定装置では、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第一の回転支点の中心と前記第一の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しく、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第二の回転支点の中心と前記第二の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しいのが好ましい。
【0011】
本実施態様による厚さ測定装置では、前記第一の測長部材は前記第一の測長部材接触部に接触した状態で第一の直線方向に追従可能であり、前記第二の測長部材は前記第二の測長部材接触部に接触した状態で第二の直線方向に追従可能であるのが好ましい。
【0012】
本実施態様による厚さ測定装置では、前記第一の測定子と前記第二の測定子との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くように、前記第一の揺動アームと前記第二の揺動アームとの間に弾性部材が設けられているのが好ましい。
【0013】
本実施態様による厚さ測定装置では、前記第一の測定子と前記第二の測定子との間の距離が広がる方向に前記第一の揺動アーム及び前記第二の揺動アームを回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータを備えるのが好ましい。
【0014】
本発明の他の実施態様による内幅測定装置は、第三の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第三の測定子を有し、他方の側に第三の測長部材接触部を有する第三の揺動アームと、第四の回転支点を中心に回転自在であり、一方の側に第四の測定子を有し、他方の側に第四の測長部材接触部を有する第四の揺動アームと、前記第三の測長部材接触部の第三の直線方向の移動距離を測定する第三の測長部材と、前記第四の測長部材接触部の第四の直線方向の移動距離を測定する第四の測長部材とを有し、前記第三の測定子及び前記第四の測定子は互いに反対側を向いており、測定対象物の内幅を測定するように設けられており、前記第三の測長部材が測定した移動距離及び前記第四の測長部材が測定した移動距離から前記測定対象物の内幅を算出することを特徴とする。
【0015】
本実施態様による内幅測定装置では、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第三の測長部材の前記第三の直線方向の直線との間の角度が等しく、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測定子の先端との間を結ぶ直線と、前記測定対象物の厚さ方向の直線との間の角度と、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線と、前記第四の測長部材の前記第四の直線方向の直線との間の角度が等しいのが好ましい。
【0016】
本実施態様による内幅測定装置では、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第三の回転支点の中心と前記第三の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しく、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測定子の先端との間を結ぶ直線の長さと、前記第四の回転支点の中心と前記第四の測長部材接触部の先端との間を結ぶ直線の長さが等しいのが好ましい。
【0017】
本実施態様による内幅測定装置では、前記第三の測長部材は前記第三の測長部材接触部に接触した状態で第三の直線方向に追従可能であり、前記第四の測長部材は前記第四の測長部材接触部に接触した状態で第四の直線方向に追従可能であるのが好ましい。
【0018】
本実施態様による内幅測定装置では、前記第三の測定子と前記第四の測定子との間の距離が広がる方向に弾性力が働くように、前記第三の揺動アームと前記第四の揺動アームとの間に弾性部材が設けられているのが好ましい。
【0019】
本実施態様による内幅測定装置では、前記第三の測定子と前記第四の測定子との間の距離が狭まる方向に前記第三の揺動アーム及び前記第四の揺動アームを回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータを備えるのが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製品の位置がばらつく場合や、製品の位置決めができない場合であっても、製品の厚さ又は内幅を高精度かつ正確に測定することが可能な測定装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一の実施態様による厚さ測定装置に示す斜視図である。
図2図1の厚さ測定装置の正面図である。
図3(a)】図1の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図3(b)】図1の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図3(c)】図1の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図3(d)】図1の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図3(e)】図1の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図4】第一の実施態様の変形例を示す部分拡大図である。
図5】第一の実施態様の変形例を示す部分拡大図である。
図6】第一の実施態様の変形例を示す部分拡大図である。
図7】本発明の第二の実施態様による厚さ測定装置に示す斜視図である。
図8図7の厚さ測定装置の分解斜視図である。
図9(a)】図7の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図9(b)】図7の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図9(c)】図7の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図9(d)】図7の厚さ測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図10】第二の実施態様の変形例を示す部分拡大図である。
図11】本発明の第一の実施態様による内幅測定装置に示す正面図である。
図12(a)】図11の内幅測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図12(b)】図11の内幅測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図12(c)】図11の内幅測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図12(d)】図11の内幅測定装置の動作を説明するための部分拡大図である。
図13】従来の厚さ測定装置に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[1] 厚さ測定装置
(1) 第一の実施態様
本発明の第一の実施態様による厚さ測定装置1を図1~3を用いて説明する。厚さ測定装置1は、第一の回転支点を構成する第一の回転軸11を中心に回転自在であり、一方の側12に第一の測定子13を有し、他方の側14に第一の測長部材接触部15を有する第一の揺動アーム10と、第二の回転支点を構成する第二の回転軸21を中心に回転自在であり、一方の側22に第二の測定子23を有し、他方の側24に第二の測長部材接触部25を有する第二の揺動アーム20と、第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1の移動距離を測定する第一の測長部材30と、第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2の移動距離を測定する第二の測長部材40と、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22との間に設けられた弾性部材50と、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20を回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータ60と、アクチュエータ60が固定された基板70とを有する。
【0023】
第一の回転軸11及び第二の回転軸21は、基板70に固定された一対のプレート71、72により第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20を前後方向からそれぞれ回転自在に支持している。本実施態様では、一対のプレート71、72はそれぞれ一対の孔を有し、一対のプレート71、72のそれぞれの一方の孔に第一の回転軸11の両端部が嵌合され、一対のプレート71、72のそれぞれの他方の孔に第二の回転軸21の両端部が嵌合されている。
【0024】
第一の測長部材30は、第一の直線方向D1に伸縮自在な測長部31と、測長部31の一端に連結した軸部32とを有する。測長部31の一端は、第一の揺動アーム10の他方の側14の外側面14aに設けられた第一の測長部材接触部15に当接している。軸部32は基板70に固定されたサイドプレート73に固定されている。軸部32の他端は演算コントローラ(図示せず)と接続しており、測長部31の第一の直線方向D1の伸縮距離のデータが演算コントローラに送られる。
【0025】
第二の測長部材40は、第二の直線方向D2に伸縮自在な測長部41と、測長部41の一端に連結した軸部42とを有する。測長部41の一端は、第二の揺動アーム20の他方の側24の外側面24aに設けられた第二の測長部材接触部25に当接している。軸部42は基板70に固定されたサイドプレート74に固定されている。軸部42の他端は演算コントローラ(図示せず)と接続しており、測長部41の第二の直線方向D2の伸縮距離のデータが演算コントローラに送られる。
【0026】
第一の測定子13及び第二の測定子23は互いに対向するように設けられている。本実施態様では、第一の測定子13は第一の揺動アーム10の一方の側12の先端部16の内側面16aに設けられており、第二の測定子23は第二の揺動アーム20の一方の側22の先端部26の内側面26aに設けられている。
【0027】
弾性部材50は、第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くように、すなわち、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22に対してそれぞれ内側方向に弾性力が働くように、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22とをつないでいる。本実施態様では、弾性部材50は、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22の前面にそれぞれ設けられた支持体51、52に両端部が係合した前面側弾性体53と、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22の後面にそれぞれ設けられた支持体54、55とに両端部が係合した後面側弾性体56とを有する。一対の弾性体53、56により第一の測定子13及び第二の測定子23が前後方向に挟まれることにより、前後方向の弾性力のバランスが取れ、弾性部材50により第一の測定子13及び第二の測定子23に対して左右方向の弾性力のみが働く。
【0028】
弾性部材50は、第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くものであれば特に限定されないが、コイルバネであるのが好ましく、他の種類のバネやゴム等を用いるようにしてもよい。
【0029】
アクチュエータ60は基板70に固定されており、第一の揺動アーム10を回転させ、その状態を保持することが可能な第一の駆動部61と、第二の揺動アーム20を回転させ、その状態を保持することが可能な第二の駆動部62とを有する。第一の駆動部61及び第二の駆動部62はそれぞれ左右方向に移動可能である。第一の駆動部61には前後方向に延伸する駆動棒63の両端部が固定されており、駆動棒63は第一の揺動アーム10の他方の側14の先端部17の上部に設けられた凹部18に嵌合している。第二の駆動部62には前後方向に延伸する駆動棒64の両端部が固定されており、駆動棒64は第二の揺動アーム20の他方の側24の先端部27の上部に設けられた凹部28に嵌合している。アクチュエータ60は接続部65を介して制御コントローラ(図示せず)と接続しており、第一の駆動部61及び第二の駆動部62の駆動状態のデータが制御コントローラに送られる。
【0030】
本実施態様では、第一の測定子13及び第二の測定子23は、先端が半球状のものを用いているが、本発明はこれに限らず、厚さや内幅などの距離を測定するのに一般的に用いられている測定子であれば適用可能であり、先端が錐状、針状、棒状などのものでも良い。第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25も同様に、本実施態様では先端が半球状のものを用いているが、本発明はこれに限らず、第一の測定子13及び第二の測定子23と同様に種々の測定子が適用可能である。
【0031】
図3(c) に示すように、本実施態様では、第一の揺動アーム10において、第一の回転軸11の中心(第一の回転支点)と第一の測定子13の先端13aとの間と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間とが直線L1上に一直線になっている。ここで、第一の測定子13の先端13aとは、測定対象物X1の厚さ方向DW1の最も内側にある位置であり、すなわち、測定対象物X1と接触する位置である。また第一の測長部材接触部15の先端15aとは、第一の直線方向D1(第一の測長部材30の測長部31が伸縮する方向)の最も外側にある位置であり、すなわち、第一の測長部材30の測長部31と接触する位置である。従って、第一の回転軸11の回転位置によって、第一の測定子13の先端13a及び第一の測長部材接触部15の先端15aの位置は変化する。
【0032】
本実施態様では、第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2は測定対象物X1の厚さ方向DW1と平行である。そのため、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間とが直線L1上に一直線であることにより、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L1と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度θ1と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L1と、第一の直線方向D1の直線との間の角度θ2とが等しくなる。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが比例関係になる。
【0033】
本実施態様ではさらに、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α1と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α2とが等しい。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが等しくなる。
【0034】
第二の揺動アーム20においても同様に、第二の回転軸21の中心(第二の回転支点)と第二の測定子23の先端との間と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間とが一直線になっており、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離とが等しい。それにより、第一の測定子13及び第二の測定子23の各先端の測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25の各先端の第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2の移動距離とがそれぞれ等しくなるので、第一の測長部材30及び第二の測長部材40により測定した移動距離から測定対象物X1の厚さW1を簡単に算出することができる。
【0035】
第一の揺動アーム10の第一の回転軸11、第一の測定子13及び第一の測長部材接触部15の配置と、第二の揺動アーム20の第二の回転軸21、第二の測定子23及び第二の測長部材接触部25の配置とが、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20との間の上下方向の中間面に対して面対称であるのが望ましい。具体的には、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L1と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度θ1と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間を結ぶ直線と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L1と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ2と、第二の回転軸2の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間を結ぶ直線と、第二の測長部材40の第二の直線方向D2の直線との間の角度が等しいのが好ましい。また第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α1と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α2と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離が等しいのが好ましい。
【0036】
本実施態様の動作を図3(a)~図3(e) を用いて詳細に説明する。
【0037】
図3(a) に示すように、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20をそれぞれ第一の回転軸11及び第二の回転軸21を中心に回転させ、第一の測定子13の先端と第二の測定子23の先端とが接触した状態において、第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の先端の第一の直線方向D1に関する位置をO1とし、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の先端の第二の直線方向D2に関する位置をO2とする。
【0038】
図3(b) に示すように、アクチュエータ60の駆動棒63を左方向に移動させて、第一の揺動アーム10を第一の回転軸11を中心に反時計方向に回転させ、アクチュエータ60の駆動棒64を右方向に移動させて、第二の揺動アーム20を第二の回転軸21を中心に時計方向に回転させる。それにより、第一の測定子13及び第二の測定子23は互いに離れる方向に移動する。
【0039】
それにより、第一の測長部材接触部15は左方向(内側方向)に第一の直線方向D1に関して距離β1だけ移動し、第二の測長部材接触部25は右方向(内側方向)に第二の直線方向D2に関して距離β2だけ移動する。第一の測長部材30の測長部31及び第二の測長部材40の測長部41は、それぞれ第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25に追従するように伸張し、距離β1及び距離β2を計測することができる。
【0040】
第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X1の厚さ方向DW1の距離γ1が測定対象物X1の厚さW1よりも大きくなるまで、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64を移動させ、測定対象物X1を第一の測定子13及び第二の測定子23の間に挿入できるようにある程度の大きさになった時点で、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64をその地点に停止させ、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20の状態を保持する。
【0041】
本実施態様では、第一の測定子13及び第二の測定子23の各先端の測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25の各先端の第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2の移動距離とがそれぞれ等しいので、距離β1及び距離β2の合計が距離γ1と等しくなる(β1+β2=γ1)。
【0042】
図3(c) に示すように、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64の停止状態を解除すると、弾性部材50の引っ張り方向の弾性力により、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に時計方向に回転し、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に反時計方向に回転する。それにより第一の測定子13及び第二の測定子23がそれぞれ内側方向に移動し、第一の測定子13の先端13aが測定対象物X1の一方の面に当接し、第二の測定子23の先端23aが測定対象物X1の他方の面に当接する。それにより、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X1の厚さ方向DW1の距離γ2が測定対象物X1の厚さW1と等しくなる。
【0043】
従って、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β3と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの距離β4とを測定し、距離γ2を算出することにより、測定対象物X1の厚さW1が求められる(β3+β4=γ2=W1)。
【0044】
図3(d) に示すように、測定対象物X1図3(c) に示す位置から左にずれている場合、第二の揺動アーム20が測定対象物X1により押されて時計方向に回転し、第二の測定子23の先端が測定対象物X1の他方の面に当接した状態を維持する。また弾性部材50の引っ張り方向の弾性力により、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に時計方向に回転し、第一の測定子13の先端が測定対象物X1の一方の面に当接する。その際、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β5と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの距離β6とを測定して、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X1の厚さ方向DW1の距離γ3を算出することにより、測定対象物X1の厚さW1が求められる(β5+β6=γ3=W1)。このように本発明は、測定対象物X1の位置がずれている場合であっても、測定対象物X1の厚さW1を高精度かつ正確かつ簡単に測定することができる。
【0045】
図3(e) に示すように、測定対象物X2の厚さW2が大きい場合であっても、上記と同様の方法により、第一の測定子13の先端を測定対象物X2の一方の面に当接させ、第二の測定子23の先端を測定対象物X2の他方の面に当接させ、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β7と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの移動距離β8とを測定して、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X2の厚さ方向DW1の距離γ4を算出することにより、測定対象物X2の厚さW2が求められる(β7+β8=γ4=W2)。このように本発明は、測定対象物X2の厚さW2が大きい場合であっても、測定対象物X2の厚さW2を高精度かつ正確かつ簡単に測定することができる。
【0046】
(2) 第一の実施態様の変形例
第一の実施態様では、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64を用いて第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離を広げて、測定対象物X1を第一の測定子13と第二の測定子23との間に挿入し、弾性部材50を用いて第一の測定子13と第二の測定子23との間を縮めて、測定対象物X1の両面にそれぞれ当接させているが、本発明はこれに限らず、アクチュエータを用いなくても良い。すなわち、手動により第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離を広げて、測定対象物X1を第一の測定子13と第二の測定子23との間に挿入しても良い。また弾性部材50を用いなくても良く、手動で弾性部材50を用いて第一の測定子13と第二の測定子23との間を縮めて、測定対象物X1の両面にそれぞれ当接させても良い。
【0047】
第一の実施態様の弾性部材50は、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22に対してそれぞれ内側方向に弾性力が働くように、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22との間に設けられているが、本発明はこれに限らず、第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くのであれば、種々の形態を採用することができる。図4に示す本発明の第一の実施態様の一変形例では、第一の揺動アーム10の他方の側14及び第二の揺動アーム20の他方の側24に対してそれぞれ外側方向に弾性力が働くように、第一の揺動アーム10の他方の側14と第二の揺動アーム20の他方の側24との間に、押し方向に弾性力が働く弾性部材50aを設けている。押し方向に弾性力が働く弾性部材50aとしては、コイルバネ、板バネ、トーションバネ等の種々のバネやゴム等を用いることができる。また図4に示すように押し方向に弾性力が働く弾性部材50aを設ける代わりに、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22にそれぞれ外側方向に弾性力が働くように、引っ張り方向の弾性力を有する弾性部材を設けても良い。
【0048】
第一の実施態様の第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25は、それぞれ第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20の他方の側14及び他方の側24の外側に設けられているが、本発明はこれに限らず、第一の測長部材接触部及び第二の測長部材接触部の直線方向の移動距離が測定できれば、種々の形態を採用できる。例えば、図5に示すように、第一の揺動アーム10の他方の側14の内側に第一の測長部材接触部15bを設け、第二の揺動アーム20の他方の側24の内側に第二の測長部材接触部25bを設け、第一の測長部材接触部15b及び第二の測長部材接触部25bの直線方向D1、D2の移動距離をそれぞれ測定するために、それらの内側に測長部材30a、40aを設けても良い。測長部材30a、40aは別々に設けても良いし、一体であっても良い。第一の測定子13、第一の回転軸11及び第一の測長部材接触部15bの位置関係と、第二の測定子23、第二の回転軸21及び第二の測長部材接触部25bの位置関係は、第一の実施態様と同様であるのが好ましい。
【0049】
第一の実施態様では、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α1と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α2とが等しいが、本発明はこれに限らず、距離α1と距離α2とが異なっていても良い。例えば、図6に示すように、距離α2を距離α1と比べて大きくしても良い。その場合、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離の比は、距離α1と距離α2の比と等しいため、第一の測長部材接触部15の先端15aの移動距離にα1/α2を乗算することにより、第一の測定子13の先端13aの移動距離を求めることができる。第二の揺動アーム20の第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離との比も、第一の揺動アーム10と同様であるのが好ましい。このように距離α2を距離α1と比べて大きくすることにより、測定装置全体が大きくなるが、移動距離の測定精度が高くなるという利点がある。
【0050】
(3) 第二の実施態様
第一の実施態様では、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端との間と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端との間とが直線L1上に一直線となっているが、本発明はこれに限らず、折れ曲がっていても良い。本発明の第二の実施態様による厚さ測定装置2を図7~9を用いて説明する。第一の実施態様と共通する箇所については説明を省略する。
【0051】
厚さ測定装置2は、第一の回転支点を構成する第一の回転軸11を中心に回転自在であり、一方の側12に第一の測定子13を有し、他方の側14に第一の測長部材接触部15を有する第一の揺動アーム10と、第二の回転支点を構成する第二の回転軸21を中心に回転自在であり、一方の側22に第二の測定子23を有し、他方の側24に第二の測長部材接触部25を有する第二の揺動アーム20と、第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1の移動距離を測定する第一の測長部材30と、第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2の移動距離を測定する第二の測長部材40と、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22との間に設けられた弾性部材50と、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20を回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータ60と、アクチュエータ60が固定された基板70とを有する。
【0052】
第一の回転軸11及び第二の回転軸21は基板70にそれぞれ一端部が固定されており、第一の回転軸11に第一の揺動アーム10の孔81を嵌合した後、第二の回転軸21に第二の揺動アーム20の孔82を嵌合し、基板70に固定されるプレート71に設けられた一対の孔83、84に、第一の回転軸11及び第二の回転軸21のそれぞれ他端部が嵌合されている。
【0053】
第一の揺動アーム10の一方の側12の先端には一部が前方に突出した先端部85が設けられており、先端部85の内側面(左面)に第一の測定子13が設けられている。また第二の揺動アーム20の一方の側22の先端には一部が後方に突出した先端部86が設けられており、先端部86の内側面(右面)に第二の測定子23が設けられている。本実施態様では、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20が前後方向に重なっており、第一の揺動アーム10の一方の側12に対して、第二の揺動アーム20の一方の側22が前方に位置しているので、かかる構成により、第一の測定子13及び第二の測定子23が前後方向にずれがなく互いに対向するように調整している。
【0054】
第一の揺動アーム10の他方の側14の先端には一部が前方に突出した先端部87が設けられており、先端部87の上面に第一の測長部材接触部15が設けられている。また第二の揺動アーム20の他方の側24の先端には一部が後方に突出した先端部88が設けられており、先端部88の上面に第二の測長部材接触部25が設けられている。本実施態様では、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20が前後方向に重なっており、第一の揺動アーム10の他方の側14に対して、第二の揺動アーム20の他方の側24が前方に位置しているので、かかる構成により、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25の前後方向のずれがないように調整している。
【0055】
第一の測長部材30は、第一の直線方向D1に伸縮自在な測長部31と、測長部31の一端に連結した軸部32とを有する。測長部31の一端は、第一の揺動アーム10の他方の側14に設けられた第一の測長部材接触部15に当接している。軸部32は基板70に固定されたサイドプレート73に固定されている。軸部32の他端は演算コントローラ(図示せず)と接続しており、測長部31の第一の直線方向D1の伸縮距離のデータが演算コントローラに送られる。
【0056】
第二の測長部材40は、第二の直線方向D2に伸縮自在な測長部41と、測長部41の一端に連結した軸部42とを有する。測長部41の一端は、第二の揺動アーム20の他方の側24に設けられた第二の測長部材接触部25に当接している。軸部42は基板70に固定されたサイドプレート74に固定されている。軸部42の他端は演算コントローラ(図示せず)と接続しており、測長部41の第二の直線方向D2の伸縮距離のデータが演算コントローラに送られる。
【0057】
弾性部材50は、第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離が狭まる方向に弾性力が働くように、すなわち、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22に対してそれぞれ内側方向に弾性力が働くように、第一の揺動アーム10の一方の側12及び第二の揺動アーム20の一方の側22に設けられている。本実施態様では、弾性部材50は、第二の揺動アーム20の一方の側22に設けられた支持体51及びプレート71に設けられた支持体52に両端部が係合した前面側弾性体53と、第一の揺動アーム10の一方の側12に設けられた支持体54及び基板70に設けられた支持体55とに両端部が係合した後面側弾性体56とを有する。一対の弾性体53、56により、第一の測定子13及び第二の測定子23に対して左右方向の弾性力が働く。
【0058】
アクチュエータ60は基板70に固定されており、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20をそれぞれ回転させるように、第一の揺動アーム10の他方の側14の上面及び第二の揺動アーム20の他方の側24の上面を押圧するために上下方向に移動するプッシャ66と、プッシャ66の上下方向の動きを制御する偏芯カム67と、偏芯カム67の回転位置を検出するセンサ68と、センサ68で検出した偏芯カム67の回転位置のデータを制御コントローラ(図示せず)に送る接続部69とを有する。
【0059】
プッシャ66は、左右両端の下部にそれぞれ一対の押圧部66a、66bを備え、一対のプッシャガイド61c、61dにより上方向に保持されている。偏芯カム67が偏芯軸67aを中心に回転することにより、プッシャ66が偏芯カム67に押圧され、下方向に移動する。それにより、プッシャ66の押圧部66aが第一の揺動アーム10の他方の側14の上面を下方向に押圧し、プッシャ66の押圧部66bが第二の揺動アーム20の他方の側24の上面を下方向に押圧する。それにより、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に反時計方向に回転し、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に時計方向に回転し、もって第一の測定子13及び第二の測定子23が互いに離れる方向に移動する。
【0060】
図9(a) に示すように、本実施態様では、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1及び第二の測長部材接触部25の先端25aの第二の直線方向D2が、測定対象物X1の厚さ方向DW1とそれぞれ直角になっている。さらに、第一の揺動アーム10において、第一の回転軸11の中心(第一の回転支点)と第一の測定子13の先端13aとの間の直線L2と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の直線L3とが直角になっている。そのため、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L2と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度θ3と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L3と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ4とが等しくなる。それにより、直線L2と直線L3が一直線でない場合であっても、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが比例関係になる。
【0061】
本実施態様ではさらに、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α3と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α4とが等しい。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが等しくなる。
【0062】
第二の揺動アーム20においても同様に、第二の回転軸21の中心(第二の回転支点)と第二の測定子23の先端との間と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間とが直角になっており、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離とが等しい。それにより、第一の測定子13及び第二の測定子23の各先端の測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25の各先端の第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2の移動距離とがそれぞれ等しくなるので、第一の測長部材30及び第二の測長部材40によりそれぞれ測定した移動距離から測定対象物X1の厚さW1を簡単に算出することができる。
【0063】
第一の揺動アーム10の第一の回転軸11、第一の測定子13及び第一の測長部材接触部15の配置と、第二の揺動アーム20の第二の回転軸21、第二の測定子23及び第二の測長部材接触部25の配置とが、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20との間の上下方向の中間面に対して面対称であるのが望ましい。具体的には、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L2と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度θ3と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間を結ぶ直線と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L3と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ4と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間を結ぶ直線と、第二の測長部材40の第二の直線方向D2の直線との間の角度が等しいのが好ましい。また第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α3と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α4と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離が等しいのが好ましい。
【0064】
本実施態様の動作を図9(b)~図9(d) を用いて詳細に説明する。
【0065】
図9(b) に示すように、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20をそれぞれ第一の回転軸11及び第二の回転軸21を中心に回転させ、第一の測定子13の先端と第二の測定子23の先端とが接触した状態において、第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の先端の第一の直線方向D1に関する位置をO1とし、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の先端の第二の直線方向D2に関する位置をO2とする。
【0066】
図9(c) に示すように、偏芯カム67を偏芯軸67aを中心に回転させ、プッシャ66を下方向に移動させる。それにより、プッシャ66の押圧部66aにより第一の揺動アーム10の他方の側14の上面が下方向に押圧され、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に反時計方向に回転し、第一の揺動アーム10の一方の側12の第一の測定子13が外側方向(右方向)に移動する。それと同時に、プッシャ66の押圧部66bにより第二の揺動アーム20の他方の側24の上面が下方向に押圧され、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に時計方向に回転し、第二の揺動アーム20の一方の側22の第二の測定子23が外側方向(左方向)に移動する。
【0067】
それにより、第一の測長部材接触部15は下方向に第一の直線方向D1に関して距離β9だけ移動し、第二の測長部材接触部25は下方向に第二の直線方向D2に関して距離β10だけ移動する。第一の測長部材30の測長部31及び第二の測長部材40の測長部41は、それぞれ第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25に追従するように伸張し、距離β9及び距離β10を計測することができる。
【0068】
第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X1の厚さ方向DW1の距離γ5が測定対象物X1の厚さW1よりも大きくなるまで、アクチュエータ60のプッシャ66を移動させ、測定対象物X1を第一の測定子13及び第二の測定子23の間に挿入できるようにある程度の大きさになった時点で、アクチュエータ60のプッシャ66をその地点に停止させ、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20の状態を保持する。
【0069】
本実施態様では、第一の測定子13及び第二の測定子23の各先端の測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25の各先端の第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2の移動距離とがそれぞれ等しいので、距離β9及び距離β10の合計が距離γ5と等しくなる(β9+β10=γ5)。
【0070】
図9(d) に示すように、アクチュエータ60のプッシャ66の停止状態を解除すると、弾性部材50の引っ張り方向の弾性力により、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に時計方向に回転し、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に反時計方向に回転する。それにより第一の測定子13及び第二の測定子23がそれぞれ内側方向に移動し、第一の測定子13の先端13aが測定対象物X1の一方の面に当接し、第二の測定子23の先端23aが測定対象物X1の他方の面に当接する。それにより、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X1の厚さ方向DW1の距離γ6が測定対象物X1の厚さW1と等しくなる。
【0071】
従って、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β11と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの距離β12とを測定し、距離γ6を算出することにより、測定対象物X1の厚さW1が求められる(β11+β12=γ6=W1)。
【0072】
(4) 第二の実施態様の変形例
上述の実施態様では、第一の揺動アーム10の第一の回転軸11と第二の揺動アーム20の第二の回転軸21をそれぞれ別体で設けているが、本発明はこれに限らず、第一の揺動アーム及び第二の揺動アームで1つの回転軸を共有しても良い。図10に示す本発明の第二の実施態様の一変形例では、回転軸11aに第一の揺動アーム10が回転自在に嵌合されており、さらに第二の揺動アーム20が回転自在に嵌合されている。すなわち、回転軸11aの中心が第一の揺動アーム10の第一の回転支点と第二の揺動アーム20の第二の回転支点の両方の機能を果たしている。このように、第一の揺動アーム及び第二の揺動アームで1つの回転軸を共有することにより、測定装置の小型化が実現できる。
【0073】
上述の実施態様と同様に、回転軸11aの中心と第一の測定子13の先端13aとの間の直線L4と、回転軸11aの中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の直線L5とが直角になっている。そのため、回転軸11aの中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L4と、測定対象物X1の厚さ方向DW1の直線との間の角度θ5と、回転軸11aの中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L5と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ6とが等しくなる。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが比例関係になる。
【0074】
本変形例では、回転軸11aの中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α5と、回転軸11aの中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α6とがα5:α6=2:1の関係にある。それにより、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離が、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X1の厚さ方向DW1の移動距離の1/2になる。このように、距離α5と比べて距離α6を小さくすることにより、測定装置のさらなる小型化が可能になる。
【0075】
第二の揺動アーム20においても同様に、回転軸11aの中心と第二の測定子23の先端との間と、回転軸11aの中心と第二の測長部材接触部25の先端との間とが直角になっており、回転軸11aの中心と第二の測定子23の先端との間の距離と、回転軸11aの中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離とが3:2の関係にある。それにより、第一の測長部材30及び第二の測長部材40によりそれぞれ測定した移動距離から測定対象物X1の厚さW1を簡単に算出することができる。
【0076】
回転軸11a、第一の測定子13及び第一の測長部材接触部15の配置と、回転軸11a、第二の測定子23及び第二の測長部材接触部25の配置とが、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20との間の上下方向の中間面に対して面対称であるのが望ましい。
【0077】
本発明の厚さ測定置は、上述の第一の実施態様、第二の実施態様及びそれらの変形例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変形例や他の実施態様を採用することができる。
【0078】
[2] 内幅測定装置
本発明の一実施態様による内幅測定装置3を図11及び図12を用いて説明する。内幅測定装置3は、第一の回転支点を構成する第一の回転軸11を中心に回転自在であり、一方の側12に第一の測定子13を有し、他方の側14に第一の測長部材接触部15を有する第一の揺動アーム10と、第二の回転支点を構成する第二の回転軸21を中心に回転自在であり、一方の側22に第二の測定子23を有し、他方の側24に第二の測長部材接触部25を有する第二の揺動アーム20と、第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1の移動距離を測定する第一の測長部材30と、第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2の移動距離を測定する第二の測長部材40と、第一の揺動アーム10の他方の側14と第二の揺動アーム20の他方の側24との間に設けられた弾性部材50と、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20を回転させ、その状態を維持することが可能なアクチュエータ60と、アクチュエータ60が固定された基板70とを有する。
【0079】
第一の回転軸11及び第二の回転軸21は、第一の実施態様と同様に、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20を前後方向からそれぞれ回転自在に支持している。第一の測長部材30及び第二の測長部材40は第一の実施態様と同様のものを用いることができる。
【0080】
第一の測定子13及び第二の測定子23は互いに反対側を向いて設けられている。本実施態様では、第一の測定子13は第一の揺動アーム10の一方の側12の先端部16の外側面16bに設けられており、第二の測定子23は第二の揺動アーム20の一方の側22の先端部26の外側面26bに設けられている。
【0081】
弾性部材50は、第一の測定子13と第二の測定子23との間の距離が広がる方向に弾性力が働くように、すなわち、第一の揺動アーム10の他方の側14及び第二の揺動アーム20の他方の側24に対してそれぞれ内側方向に弾性力が働くように、第一の揺動アーム10の他方の側14と第二の揺動アーム20の他方の側24とをつないでいる。弾性部材50は第一の実施態様と同様のものを用いることができる。
【0082】
アクチュエータ60、第一の測定子13、第二の測定子23、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25は第一の実施態様と同様のものを用いることができる。
【0083】
図12(a) に示すように、本実施態様では、第一の揺動アーム10において、第一の回転軸11の中心(第一の回転支点)と第一の測定子13の先端13aとの間と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間とが直線L6上に一直線になっている。
【0084】
第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間とが直線L6上に一直線であることにより、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L6と、測定対象物X3の内幅方向DW3の直線との間の角度θ7と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L6と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ8とが等しくなる。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X3の内幅方向DW3の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが比例関係になる。
【0085】
本実施態様ではさらに、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α7と、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α8とが等しい。それにより、第一の測定子13の先端13aの測定対象物X3の内幅方向DW3の移動距離と、第一の測長部材接触部15の先端15aの第一の直線方向D1の移動距離とが等しくなる。
【0086】
第二の揺動アーム20においても同様に、第二の回転軸21の中心(第二の回転支点)と第二の測定子23の先端との間と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間とが一直線になっており、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離とが等しい。それにより、第一の測定子13及び第二の測定子23の各先端の測定対象物X3の内幅方向DW3の移動距離と、第一の測長部材接触部15及び第二の測長部材接触部25のそれぞれの先端の第一の直線方向D1及び第二の直線方向D2の移動距離とがそれぞれ等しくなるので、第一の測長部材30及び第二の測長部材40により測定した移動距離から測定対象物X3の内幅W3を簡単に算出することができる。
【0087】
第一の揺動アーム10の第一の回転軸11、第一の測定子13及び第一の測長部材接触部15の配置と、第二の揺動アーム20の第二の回転軸21、第二の測定子23及び第二の測長部材接触部25の配置とが、第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20との間の上下方向の中間面に対して面対称であるのが望ましい。具体的には、第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間を結ぶ直線L6と、測定対象物X3の内幅方向DW3の直線との間の角度θ7と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間を結ぶ直線と、測定対象物X3の内幅方向DW3の直線との間の角度が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間を結ぶ直線L6と、第一の測長部材30の第一の直線方向D1の直線との間の角度θ8と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間を結ぶ直線と、第二の測長部材40の第二の直線方向D2の直線との間の角度が等しいのが好ましい。また第一の回転軸11の中心と第一の測定子13の先端13aとの間の距離α7と、第二の回転軸21の中心と第二の測定子23の先端との間の距離が等しく、第一の回転軸11の中心と第一の測長部材接触部15の先端15aとの間の距離α8と、第二の回転軸21の中心と第二の測長部材接触部25の先端との間の距離が等しいのが好ましい。
【0088】
本実施態様の動作を図12(a)~図12(d) を用いて詳細に説明する。
【0089】
図12(a) に示すように、アクチュエータ60の駆動棒63を右方向に移動させて、第一の揺動アーム10を第一の回転軸11を中心に時計方向に回転させ、アクチュエータ60の駆動棒64を左方向に移動させて、第二の揺動アーム20を第二の回転軸21を中心に反時計方向に回転させる。それにより、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22とが互いに近づく方向に移動する。第一の測定子13の先端と第二の測定子23の先端との間の測定対象物X3の内幅方向DW3の距離が測定対象物X3の内幅W3よりも小さくなるまで、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64を移動させ、測定対象物X3の間に第一の測定子13及び第二の測定子23を挿入できるようにある程度の小さくになった時点で、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64をその地点に停止させ、第一の揺動アーム10及び第二の揺動アーム20の状態を保持する。
【0090】
図12(b) に示すように、第一の揺動アーム10の一方の側12と第二の揺動アーム20の一方の側22とが接触した状態において、第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の先端の第一の直線方向D1に関する位置をO1とし、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の先端の第二の直線方向D2に関する位置をO2とする。第一の揺動アーム10と第二の揺動アーム20とが接触した状態における、第一の測定子13の先端と第二の測定子23の先端との測定対象物X3の内幅方向DW3の距離を距離γ3とする。この距離γ3は予め測定しておくのが望ましい。
【0091】
図12(c) に示すように、アクチュエータ60の駆動棒63及び駆動棒64の停止状態を解除すると、弾性部材50の引っ張り方向の弾性力により、第一の揺動アーム10が第一の回転軸11を中心に反時計方向に回転し、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に時計方向に回転する。それにより第一の測定子13及び第二の測定子23がそれぞれ外側方向に移動し、第一の測定子13の先端13aが測定対象物X3の内側面の一方の側に当接し、第二の測定子23の先端23aが測定対象物X3の内側面の他方の側に当接する。それにより、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X3の内幅方向DW3の距離γ4が測定対象物X3の内幅W3と等しくなる。
【0092】
従って、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β13と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの距離β14とを測定し、距離γ4を算出することにより、測定対象物X3の内幅W3が求められる(γ3+β13+β14=γ4=W3)。
【0093】
図12(d) に示すように、測定対象物X3図12(c) に示す位置から左にずれている場合、第一の揺動アーム10が測定対象物X3により押されて時計方向に回転し、第一の測定子13の先端が測定対象物X3の内側面の一方の側に当接した状態を維持する。また弾性部材50の引っ張り方向の弾性力により、第二の揺動アーム20が第二の回転軸21を中心に時計方向に回転し、第二の測定子23の先端が測定対象物X3の内側面の他方の側に当接する。その際、この回転状態における第一の揺動アーム10の第一の測長部材接触部15の第一の直線方向D1に関する位置O1からの移動距離β15と、第二の揺動アーム20の第二の測長部材接触部25の第二の直線方向D2に関する位置O2からの距離β16とを測定して、第一の測定子13と第二の測定子23との間の測定対象物X3の内幅方向DW3の距離γ5を算出することにより、測定対象物X3の内幅W3が求められる(β15+β16=γ5=W3)。このように本発明は、測定対象物X3の位置がずれている場合であっても、測定対象物X3の内幅W3を高精度かつ正確かつ簡単に測定することができる。
【0094】
本発明の内幅測定装置は第二の実施態様に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、本発明の厚さ測定装置と同様に、種々の変形例や他の実施態様を採用することができる。
【0095】
また本発明の厚さ測定装置又は内幅測定装置は、上記の実施態様で挙げられた測定対象物に限らず、厚さ又は内幅を測定可能な種々の測定対象物に適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1,2:厚さ測定装置
3:内幅測定装置
10:第一の揺動アーム
11:第一の回転軸
11a:回転軸
12:一方の側
13:第一の測定子
14:他方の側
15:第一の測長部材接触部
20:第二の揺動アーム
21:第二の回転軸
22:一方の側
23:第二の測定子
24:他方の側
25:第二の測長部材接触部
30:第一の測長部材
31:測長部
32:軸部
40:第二の測長部材
41:測長部
42:軸部
50:弾性部材
51、52、54、55:支持体
53、56:弾性体
60:アクチュエータ
61:第一の駆動部
62:第二の駆動部
63、64:駆動棒
65:接続部
66:プッシャ
66a、66b:押圧部
67:偏芯カム
67a:偏芯軸
68:センサ
69:接続部
70:基板
71、72:一対のプレート
73:サイドプレート
81、82、83、84:孔
85、86、87、88:先端部
D1:第一の直線方向
D2:第二の直線方向
DW1、DW2、DW3:厚さ方向
X1、X2、X3:測定対象物
L1、L2、L3、L4:直線
W1、W2、W3:厚さ
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図3(c)】
図3(d)】
図3(e)】
図4
図5
図6
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図9(c)】
図9(d)】
図10
図11
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
図12(d)】
図13