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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025882
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】画像形成装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240220BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240220BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240220BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H04N1/00 912
H04N1/00 E
H04N1/00 127A
B41J29/38 201
B41J29/00 Z
B41J29/42 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129224
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉見 信
【テーマコード(参考)】
2C061
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061BB10
2C061CL08
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HH05
2C061HJ07
2C061HK19
2C061HN04
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA17
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB41
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC24
5C062AC41
5C062AC64
5C062AE08
5C062AE15
5C062AF06
5C062AF12
5C062AF14
5C062AF15
5C062BB02
(57)【要約】
【課題】外部装置に対して処理を依頼してその外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する場合に、実行中の処理要求が完了していない場合でも、他のユーザからの別の処理要求を実行することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部35は、クラウドサーバ20に対して処理を依頼してクラウドサーバ20から処理結果を受信する必要があるジョブを実行する際に、クラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合、実行中のジョブを特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別のジョブを実行可能な状態に移行する。そして、制御部35は、設定した識別情報がユーザにより入力された場合、入力された識別情報により特定されるジョブの処理結果をクラウドサーバ20から取得して画像出力部38から出力する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
外部装置に対して処理を依頼して当該外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する際に、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合、前記処理要求を特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別の処理要求を実行可能な状態に移行し、
設定した前記識別情報が入力された場合、入力された当該識別情報により特定される処理要求の処理結果を出力する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合に、前記識別情報を発行するための操作子を操作部上に表示する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、操作部上に表示された前記操作子がユーザに操作された場合、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった処理要求を特定するための識別情報が含まれたコード情報を用紙上に印刷して出力し、
コード情報が印刷された用紙の画像を読み取って当該画像を解析することにより識別情報を入力する、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、操作部上に表示された前記操作子がユーザに操作された場合、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった処理要求を特定するための識別情報が含まれたコード情報を表示装置上に表示し、
コード情報を撮影した画像を読み取って当該画像を解析することにより識別情報を入力する、
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、入力された識別情報により特定される処理要求が自装置において実行したものでない場合、入力された前記識別情報に含まれる情報を用いて、前記処理要求における一部の処理を依頼した外部装置を特定し、特定した外部装置から処理結果を取得して出力する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記識別情報には処理要求を再構成するための情報が含まれ、
前記プロセッサは、入力された識別情報により特定される処理要求が自装置において実行したものでない場合、入力された前記識別情報に含まれる情報を用いて、自装置において処理要求を再構成することにより、特定された外部装置から処理結果を取得して出力する請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
外部装置に対して処理を依頼して当該外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する際に、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合、前記処理要求を特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別の処理要求を実行可能な状態に移行するステップと、
設定した前記識別情報が入力された場合、入力された当該識別情報により特定される処理要求の処理結果を出力するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外部の印刷システムにより印刷ジョブが作成されたことを示す通知を受信すると、その印刷ジョブを取得して記憶手段に記憶させ、ネットワークを介して接続される画像形成装置からの要求に応じて、記憶手段に記憶されている印刷ジョブを送信するようにしたサービス提供システムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、ジョブの開始が指示され、かつ、ログインユーザではない他のユーザが検知された場合に、ジョブを実行するか、ジョブを保留するかを選択画面上でログインユーザに選択させ、ジョブの実行が選択された場合にはジョブを実行し、ジョブの保留が選択された場合にジョブを保留し、ログインユーザをログアウトさせるようにした画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献3には、データの外部への転送を含むジョブを受け付けて当該ジョブを実行する場合に、先に受け付けた第1のジョブが終了する前に、同じ転送プロトコルを使用する第2のジョブを開始することができる情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-111799号公報
【特許文献2】特開2019-126918号公報
【特許文献3】特開2020-177590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、コンビニエンスストアに設置された画像形成装置において原稿をスキャンして、スキャンした原稿データをクラウドサーバ等の外部装置に送信して翻訳処理を実行するようなクラウドサービスが提供されている。このようなクラウドサービスを利用するユーザは、いつ翻訳処理が完了して翻訳結果が画像形成装置において印刷されるかわからないため、クラウドサーバで翻訳処理が実行される間は、画像形成装置を離れることができない。そのため、そのユーザが画像形成装置を占有していることにより、画像形成装置は他のユーザからの処理要求を受け付けて実行することができず処理効率が悪く、場合によっては画像形成装置の前に順番待ちの列ができてしまうこともある。
【0007】
本発明の目的は、外部装置に対して処理を依頼してその外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する場合に、実行中の処理要求が完了していない場合でも、他のユーザからの別の処理要求を実行することが可能な画像形成装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様の画像形成装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、外部装置に対して処理を依頼して当該外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する際に、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合、前記処理要求を特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別の処理要求を実行可能な状態に移行し、
設定した前記識別情報が入力された場合、入力された当該識別情報により特定される処理要求の処理結果を出力する。
【0009】
第2態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合に、前記識別情報を発行するための操作子を操作部上に表示する。
【0010】
第3態様の画像形成装置は、第2態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、操作部上に表示された前記操作子がユーザに操作された場合、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった処理要求を特定するための識別情報が含まれたコード情報を用紙上に印刷して出力し、
コード情報が印刷された用紙の画像を読み取って当該画像を解析することにより識別情報を入力する。
【0011】
第4態様の画像形成装置は、第2態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、操作部上に表示された前記操作子がユーザに操作された場合、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった処理要求を特定するための識別情報が含まれたコード情報を表示装置上に表示し、
コード情報を撮影した画像を読み取って当該画像を解析することにより識別情報を入力する。
【0012】
第5態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、入力された識別情報により特定される処理要求が自装置において実行したものでない場合、入力された前記識別情報に含まれる情報を用いて、前記処理要求における一部の処理を依頼した外部装置を特定し、特定した外部装置から処理結果を取得して出力する。
【0013】
第6態様の画像形成装置は、第5態様の画像形成装置において、前記識別情報には処理要求を再構成するための情報が含まれ、
前記プロセッサは、入力された識別情報により特定される処理要求が自装置において実行したものでない場合、入力された前記識別情報に含まれる情報を用いて、自装置において処理要求を再構成することにより、特定された外部装置から処理結果を取得して出力する。
【0014】
第7態様のプログラムは、外部装置に対して処理を依頼して当該外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する際に、前記外部装置からの処理結果待ち状態となった場合、前記処理要求を特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別の処理要求を実行可能な状態に移行するステップと、
設定した前記識別情報が入力された場合、入力された当該識別情報により特定される処理要求の処理結果を出力するステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様の画像形成装置によれば、外部装置に対して処理を依頼してその外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する場合に、実行中の処理要求が完了していない場合でも、他のユーザからの別の処理要求を実行することが可能になる。
【0016】
第2態様の画像形成装置によれば、処理要求を行ったユーザが、外部装置からの処理結果待ち状態となり、画像形成装置から離れることが可能になったことを知ることができる。
【0017】
第3態様の画像形成装置によれば、ユーザは、コード情報が印刷された用紙を受け取るだけで、画像形成装置から離れることが可能になる。
【0018】
第4態様の画像形成装置によれば、ユーザは、表示されたコード情報を撮影するだけで、画像形成装置から離れることが可能になる。
【0019】
第5態様の画像形成装置によれば、ユーザは、処理要求を実行した画像形成装置とは異なる画像形成装置から処理結果を得ることが可能になる。
【0020】
第6態様の画像形成装置によれば、識別情報が入力された画像形成装置では、自装置において実行されていない処理要求であってもその処理要求を再開して処理結果を外部装置から取得することが可能になる。
【0021】
第7態様のプログラムによれば、外部装置に対して処理を依頼してその外部装置から処理結果を受信する必要がある処理要求を実行する場合に、実行中の処理要求が完了していない場合でも、他のユーザからの別の処理要求を実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
図2】画像形成装置10において、クラウドサーバ20を利用してスキャン翻訳を行う場合の処理の流れを説明するための図である。
図3】クラウドサーバ20における処理に長時間を要する翻訳処理を実行した場合に、画像形成装置10を利用したい人の順番待ち行列が発生してしまう様子を示す図である。
図4】本開示の一実施形態における画像形成装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】本開示の一実施形態における画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
図6】ユーザが画像形成装置10に対してジョブを実行してクラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合に、待機状態に移行するまでの画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
図7】画像形成装置10の操作パネル40上に待機ボタン41を表示した場合の操作画面例を示す図である。
図8】ユーザにより入力された文字列を結果取得用のキーワードとして設定する際の表示画面例を示す図である。
図9】ユーザが結果取得用のチケットを印刷して受け取る際の操作画面例を示す図である。
図10】ユーザが結果取得用の2次元コードを発行する際の操作画面例を示す図である。
図11】識別情報として2次元コードを設定する際の画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
図12】用紙上に印刷された2次元コードの一例を示す図である。
図13】識別情報として2次元コードを発行した場合と、文字列を含む結果取得用チケットを発行した場合とにおいて、それぞれの識別情報に含まれる情報例を示す図である。
図14】ユーザ待機状態となっていたジョブを再開する際の操作パネル40の操作画面例を示す図である。
図15】処理結果待ち状態のジョブの一覧を操作パネル40上に表示した場合の操作画面例を示す図である。
図16】選択された結果待ちジョブの再開処理を実行する際の画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
図17】ユーザからキーワードの入力を受け付ける際の操作画面例を示す図である。
図18】ユーザに対して結果取得用チケット、又は2次元コードをスキャナに読み込ませるよう指示する際の操作画面例を示す図である。
図19図16のフローチャートにおいて示したステップS309の再開判定処理の詳細を示すフローチャートである。
図20】ユーザが画像形成装置10Aにおいてジョブを起動してスキャン翻訳を実行し、クラウドサーバ20における翻訳結果待ち状態となり待機ボタンを操作して2次元コードを取得し画像形成装置10Bにおいてジョブの再開処理を実行する様子を示す図である。
図21】画像形成装置10Bにおいてユーザ待機情報のジョブの再開処理を実行した際の操作画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図1は本開示の一実施形態の画像形成システムのシステム構成を示す図である。
【0025】
本開示の一実施形態の画像形成システムは、図1に示されるように、インターネット30により相互に接続された画像形成装置10、およびクラウドサーバ20により構成される。なお、図1では説明を簡単にするため1台の画像形成装置10のみを示しているが、実際には複数の画像形成装置10がインターネット30を経由してクラウドサーバ20と接続可能に構成されている。画像形成装置10は、例えば、コンビニエンスストア等の不特定多数のユーザにより利用される店舗内に設定されている。そして、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有し、ユーザから実行を指示されたジョブに基づいて処理を実行するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。ここで、ジョブとは、画像形成装置10に対して処理の実行を要求する処理要求である。
【0026】
そして、画像形成装置10は、クラウドサーバ20により提供されるクラウドサービスと連携することにより、画像形成装置10単独では実現できない機能をユーザに対して提供する機能を備えている。例えば、画像形成装置10において英語の原稿をスキャンして読み込み、読み込んだ画像をクラウドサーバ20に転送し、OCR(Optical Character Reading:光学式文字読取り)処理を行って日本語に翻訳するようなサービスを提供する。このようにスキャンした文字画像をクラウドサービス上で翻訳するサービスはスキャン翻訳と呼ばれている。
【0027】
このようなスキャン翻訳を、クラウドサーバ20を利用して行う場合の処理の流れについて図2を参照して説明する。
【0028】
(1)このようなスキャン翻訳では、先ずユーザは、画像形成装置10において翻訳したい原稿をスキャンして読み込む。
(2)次に、読み込まれたスキャン文書は画像形成装置10からインターネット30を介してクラウドサーバ20に送信される。
(3)すると、クラウドサーバ20では、送信されてきたスキャン文書に対してOCR処理を行って文字データを取得する。
(4)そして、クラウドサーバ20では、取得した文字データに対して翻訳処理を実行する。
(5)その後、クラウドサーバ20は、翻訳結果をインターネット30経由にて画像形成装置10に送信する。
(6)クラウドサーバ20から送信されてきた翻訳結果を受信した画像形成装置10では、受信した翻訳結果を用紙上に印刷することにより出力する。
【0029】
しかし、このような処理を行う場合、画像形成装置10では、外部装置であるクラウドサーバ20に対して処理を依頼してクラウドサーバ20から処理結果を受信する必要があるジョブを実行する際に、クラウドサーバ20における処理に時間がかかるとクラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となってしまう。
【0030】
例えば、クラウドサーバ20における翻訳処理の翻訳速度が1ページあたり1分の場合、20ページの原稿を翻訳するためには20分の時間が必要となる。
【0031】
画像形成装置10がこのようなクラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合、画像形成装置10ではクラウドサーバ20における翻訳処理が終わるのを待ち続けることになる。
【0032】
そして、このような処理結果待ち状態となった場合でも、画像形成装置10が他のユーザにより利用されると実行中のジョブがキャンセルされてしまう可能性があるため、ジョブを実行したユーザは画像形成装置10の前から離れることができない。また、いつ処理結果がクラウドサーバ20から送信されてくるか分からないため、ユーザが画像形成装置10の前から離れてしまうと処理結果を他のユーザに取得されてしまう可能性もある。
【0033】
このような理由により、画像形成装置10がクラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合でもユーザは画像形成装置10の前から離れることはできない。しかし、他のユーザから見ると、画像形成装置10を利用していないにもかかわらず画像形成装置10を占有しているだけに見えてしまう。
【0034】
そして、上記のようにクラウドサーバ20における処理に長時間を要する翻訳処理を実行するためにあるユーザが画像形成装置10を長時間占有してしまうと、図3に示すように、画像形成装置10を利用したい人の順番待ち行列が発生してしまう可能性がある。このような場合でも、ジョブを実行中のユーザは画像形成装置10の前から離れるわけにはいかず、気まずい思いをすることになる。さらに、他のユーザにとっても画像形成装置10を利用することができないため、処理効率が悪くなる。
【0035】
そこで、本実施形態の画像形成装置10では、以下において説明するような制御を行うことにより、クラウドサーバ20等の外部装置に対して処理を依頼してその外部装置から処理結果を受信する必要があるジョブ等の処理要求を実行する場合に、実行中の処理要求が完了していない場合でも、他のユーザからの別の処理要求を実行することができるようにしている。
【0036】
次に、本実施形態の画像形成システムにおける画像形成装置10のハードウェア構成を図4に示す。
【0037】
画像形成装置10は、図4に示されるように、CPU11、メモリ12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、インターネット30を介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャンユニット16、画像形成ユニット17を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0038】
画像形成ユニット17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0039】
CPU11は、メモリ12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。この制御プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、このプログラムをCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくはUSB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、この制御プログラムを、通信インタフェース14に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0040】
図5は、上記の制御プログラムが実行されることにより実現される画像形成装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0041】
本実施形態の画像形成装置10は、図5に示されるように、認証部31と、操作入力部32と、表示部33と、データ送受信部34と、制御部35と、画像読取部36と、データ記憶部37と、画像出力部38とを備えている。
【0042】
認証部31は、例えば、ユーザID、パスワードの入力等により、画像形成装置10を利用しようとするユーザの認証を行う。操作入力部32は、ユーザにより行われた各種操作情報を入力する。表示部33は、制御部35により制御され、ユーザに各種情報を表示する。
【0043】
データ送受信部34は、クラウドサーバ20等の外部の装置との間でデータの送受信を行う。画像出力部38は、制御部35による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。画像読取部36は、制御部35による制御に基づいて、セットされた原稿から原稿画像を読み取る。データ記憶部37は、制御部35により生成された印刷データ等の各種データを記憶する。
【0044】
制御部35は、操作入力部32による操作によりユーザからジョブを受け付けると、受け付けたジョブに基づいて画像読取部36、画像出力部38、データ送受信部34等を制御して、受け付けたジョブを実行する。
【0045】
その際に、制御部35は、外部装置であるクラウドサーバ20に対して処理を依頼して、このクラウドサーバ20から処理結果を受信する必要があるジョブを実行する場合、データ送受信部34を介してクラウドサーバ20に対して処理依頼を行い、クラウドサーバ20における処理結果をデータ送受信部34経由にて受信する。
【0046】
そして、制御部35は、クラウドサーバ20に対して処理を依頼してクラウドサーバ20から処理結果を受信する必要があるジョブを実行する際に、クラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合、実行中のジョブを特定するための識別情報を設定して、他のユーザからの別のジョブを実行可能な状態に移行する。
【0047】
そして、制御部35は、設定した識別情報がユーザにより入力された場合、入力された識別情報により特定されるジョブの処理結果をクラウドサーバ20から取得して画像出力部38から出力する。
【0048】
なお、本実施形態の画像形成装置10においては、操作入力部32と表示部33とによりタッチパネル式の操作パネルが構成される。そして、制御部35は、クラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合に、識別情報を発行するための操作ボタン等の操作子を操作部である操作パネル上に表示する。
【0049】
そして、制御部35は、操作パネル上に表示された操作ボタン等の操作子がユーザに操作された場合、クラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となったジョブを特定するための識別情報が含まれたコード情報を用紙上に印刷して出力するようにしてもよい。このような方法により識別情報を設定した場合、ユーザは、コード情報が印刷された用紙を取得して、画像形成装置10の前から離れる。そして、クラウドサーバ20における処理が終了したころを見計らってコード情報が印刷された用紙を画像形成装置10の画像読取部36にセットする。すると、制御部35は、コード情報が印刷された用紙の画像を画像読取部36により読み取って、読み取った画像を解析することにより識別情報を入力する。
【0050】
または、制御部35は、操作パネル上に表示された操作ボタンがユーザに操作された場合、クラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となったジョブを特定するための識別情報が含まれたコード情報を表示装置等の表示部33上に表示するようにしてもよい。このような方法により識別情報を設定した場合、ユーザは、表示部33上に表示されたコード情報を例えばスマートフォン等のカメラにより読み取って保存して、画像形成装置10の前から離れる。そして、クラウドサーバ20における処理が終了したころを見計らってスマートフォン内に保存しておいたコード情報を表示させて画像読取部36に向けてセットする。すると、制御部35は、コード情報を撮影した画像を画像読取部36により読み取って当該画像を解析することにより識別情報を入力する。
【0051】
なお、上記で説明したコード情報としては、例えば、バーコード等の1次元コードを用いてもよいし、QRコード(登録商標)等の2次元コードを用いてもよい。そして、画像形成装置10にバーコードスキャナ又は2次元コードスキャナが備えられている場合には、スマートフォン等に表示されたコード情報をバーコードスキャナ又は2次元コードスキャナにより読み取るようにしてもよい。
【0052】
なお、上記の説明ではユーザがジョブの実行を開始した画像形成装置10と、待機状態に移行した後にジョブを再開して処理結果をクラウドサーバ20から受け取る画像形成装置10が同一の装置である場合について説明した。しかし、ジョブの実行を開始した画像形成装置10と、待機状態に移行した後にジョブを再開して処理結果をクラウドサーバ20から受け取る画像形成装置10が異なる装置であってもよい。
【0053】
この場合には、制御部35は、入力された識別情報により特定されるジョブが自装置において実行したものでない場合、入力された識別情報に含まれるクラウドサーバ20のアドレス情報等を用いて、ジョブにおける一部の処理を依頼したクラウドサーバ20を特定し、特定したクラウドサーバ20から処理結果を取得して出力する。
【0054】
なお、このような制御を行う際には、識別情報にはジョブを再構成するための各種情報が含まれるようにする。そして、制御部35は、入力された識別情報により特定されるジョブが自装置において実行したものでない場合、入力された識別情報に含まれる情報を用いて、自装置においてジョブを再構成することにより、特定されたクラウドサーバ20から処理結果を取得して出力する。
【0055】
次に、本実施形態の画像形成装置10の動作について図面を参照して詳細に説明する。
【0056】
なお、以下の説明においては、画像形成装置10においてスキャンした原稿画像をクラウドサーバ20に送信してOCR処理、翻訳処理を行って、その処理結果を画像形成装置10において印刷して出力するようなスキャン翻訳を行う場合を用いて説明する。
【0057】
まず、ユーザが画像形成装置10に対してジョブを実行してクラウドサーバ20からの処理結果待ち状態となった場合に、待機状態に移行するまでの画像形成装置10の動作を図6のフローチャートに示す。
【0058】
制御部35は、ステップS101において、画像形成装置10及びクラウドサーバ20におけるジョブの進捗状況を監視する。そして、制御部35は、進捗状況の監視する際に、ステップS102において、クラウドサーバ20の処理結果待ち状態となったか否かを判定する。ここで、クラウドサーバ20の処理結果待ち状態とは、画像形成装置10があるジョブを実行する際に、クラウドサーバ20における処理が完了しないと次の処理に進めないような状態を意味する。
【0059】
そして、ステップS102において、画像形成装置10がクラウドサーバ20の処理結果待ち状態ではないと判定した場合、制御部35は、ステップS101の処理に戻る。そして、ステップS102において、画像形成装置10がクラウドサーバ20の処理結果待ち状態になったと判定した場合、制御部35は、ステップS103において、識別情報を発行するための操作子として操作パネル上に待機ボタンを表示する。
【0060】
画像形成装置10の操作パネル40上に待機ボタン41を表示した場合の操作画面例を図7に示す。
【0061】
図7を参照すると、画像形成装置10において原稿をスキャンしてクラウドサーバ20に送信中の操作パネル40上には待機ボタン41は表示されていない。しかし、スキャンした原稿の送信が完了してクラウドサーバ20における処理中の状態になった際に操作パネル40上に待機ボタン41が表示される様子が示されている。つまり、待機ボタン41が操作パネル40上に表示されたことにより、ユーザは、画像形成装置10の前から離れて待機状態になることが可能であることを知ることができる。
【0062】
次に、制御部35は、ステップS104において、ユーザが待機ボタン41を操作したかを判定する。ステップS104において、ユーザが待機ボタン41を操作したと判定しない場合、制御部35は、ステップS101の処理に戻る。
【0063】
そして、ステップS104において、ユーザが待機ボタン41を操作したと判定した場合、制御部35は、ステップS105において、実行中のジョブを特定するための識別情報を設定する。
【0064】
ここで、設定する識別情報としては、文字列等のキーワード情報であってもよいし、上記で説明したような1次元コード、2次元コード等のコード情報であってもよい。
【0065】
例えば、ユーザにより入力された文字列を結果取得用のキーワードとして設定する際の表示画面例を図8に示す。図8に示した操作画面例では、ユーザが文字列を入力して登録ボタンを押下することにより入力された文字列がキーワードとして登録される例が示されている。
【0066】
また、ユーザが結果取得用のチケットを印刷して受け取る際の操作画面例を図9に示す。図9に示した操作画面例では、ユーザが結果取得用のチケットを発行するための発行ボタンを押下することにより、スキャン翻訳結果の受け取り用チケットが発行される様子が示されている。図9では、このスキャン翻訳結果の受け取り用チケット上に識別情報として設定された文字列が印刷される場合が示されているが、この文字列の代わりにバーコード等の1次元コードが印刷されていてもよい。
【0067】
また、ユーザが結果取得用の2次元コードを発行する際の操作画面例を図10に示す。図10に示した操作画面例では、ユーザが2次元コードを発行して受け取る際の方法として、表示、印刷、又は送信の中からいずれかを選択する様子が示されている。
【0068】
このように識別情報として2次元コードを設定する際の画像形成装置10の動作を図11のフローチャートに示す。図11に示したフローチャートは、図6に示したフローチャートにおけるステップS105の処理に相当する処理である。
【0069】
先ず、制御部35は、ステップS201において、画像形成装置10及びクラウドサーバ20におけるジョブの情報を取得する。具体的には、制御部35は、画像形成装置10において実行中のジョブの識別子であるジョブID、ジョブを実行中のユーザのユーザID及びパスワード、ジョブ起動時の設定情報、このジョブを利用するクラウドサービスの情報、クラウドサーバ20のURL等のアドレス情報、クラウドサービスにおけるユーザの認証情報等を取得する。
【0070】
そして、制御部35は、ステップS202において、取得した情報を2次元コード化する。
【0071】
次に、制御部35は、ステップS203において、ユーザが選択した受け取り方法が、送信、印刷、及び表示のうちのいずれであるのかを判定する。
【0072】
ステップS203において、ユーザが選択した受け取り方法が送信であると判定した場合、制御部35は、ステップS204において、生成した2次元コードを、Bluetooth(登録商標)等の近接無線通信によりユーザの所持しているスマートフォン等に送信する。
【0073】
また、ステップS203において、ユーザが選択した受け取り方法が印刷であると判定した場合、制御部35は、ステップS205において、生成した2次元コードを用紙上に印刷して出力する。
【0074】
このようにして用紙上に印刷された2次元コードの一例を図12に示す。図12には、上記のようにして生成された2次元コードの画像とともに、ジョブの処理結果を取得する際には、この2次元コードを画像形成装置10に対して読み込ませればよい旨が表示されている。
【0075】
また、ステップS203において、ユーザが選択した受け取り方法が表示であると判定した場合、制御部35は、ステップS206において、生成した2次元コードを操作パネル上に表示して、表示した2次元コードを撮影して保管するようユーザに指示する。
【0076】
なお、識別情報として2次元コードを発行した場合、単なる文字列等を識別情報として発行した場合や、1次元コードを識別情報として発行した場合と比較して多くの情報を識別情報に含めることができる。例えば、図13に示すように、識別情報として文字列を含む結果取得用チケットを発行した場合には、ジョブID、画像形成装置10におけるユーザ認証情報のみが含まれる。しかし、識別情報として2次元コードを発行した場合には、ジョブIDとユーザ認証情報だけでなく、解像度、カラー設定等のジョブ起動時の設定情報、クラウドサービス情報、クラウドサーバ20のURL等のアドレス情報、クラウドサービスのユーザ認証情報等の各種情報を識別情報に含めることができる。
【0077】
最後に、制御部35は、ステップS106において、実行中のジョブをユーザ待機状態とする。このように実行中のジョブをユーザ待機状態とした場合、制御部35は、画像形成装置10を他のユーザからの別のジョブを実行可能な状態に移行させる。つまり、このような状態となった場合、画像形成装置10は、他のユーザからの別のジョブを受け付けることが可能となる。そのため、ジョブを実行中のユーザは画像形成装置10の前から離れることができるようになり、画像形成装置10を利用しようとして順番待ちをしていた次のユーザは画像形成装置10を利用することが可能となる。
【0078】
次に、上記のような処理により待機状態となっていたユーザがジョブを再開してスキャン翻訳の処理結果を取得する際の動作について説明する。
【0079】
画像形成装置10の前から離れて待機状態となっていたユーザが暫く時間をおいてから画像形成装置10に対してジョブ再開を行う際の操作パネル40の操作画面例を図14に示す。図14に示した操作パネル40には、「結果待ちジョブ一覧」と表示された操作ボタン42が表示されている。クラウドサーバ20の処理結果待ちとなっていたジョブを再開しようとするユーザは、図14に示されている「結果待ちジョブ一覧」と表示された操作ボタン42を押下する。
【0080】
すると、図15に示すように、処理結果待ち状態のジョブの一覧が操作パネル40上に表示される。すると、ユーザは、表示された処理結果待ち状態のジョブの一覧から、自身が実行したジョブを選択して結果取得ボタンを押下する。すると、選択された結果待ちジョブの再開処理が実行される。
【0081】
このようにして、選択された結果待ちジョブの再開処理を実行する際の画像形成装置10の動作を図16のフローチャートに示す。
【0082】
まず、制御部35は、ステップS301において、ジョブをユーザ待機状態とする際に設定した識別情報の種類は、キーワード情報、2次元コード情報、結果取得用チケット情報のいずれであったのかを判定する。
【0083】
ステップS301において、ジョブをユーザ待機状態とする際に設定した識別情報の種類がキーワード情報であると判定した場合、制御部35は、ステップS302において、ユーザからキーワードの入力を受け付ける。このようにしてユーザからキーワードの入力を受け付ける際の操作画面例を図17に示す。
【0084】
次に、制御部35は、ステップS303において、保存されていたキーワード情報と、入力されたキーワード情報とを比較する。そして、制御部35は、ステップS304において、保存されていたキーワード情報と、入力されたキーワード情報とが一致するか否かを判定する。
【0085】
ステップS304において保存されていたキーワード情報と、入力されたキーワード情報とが一致すると判定された場合、制御部35は、ステップS305において、このジョブの処理結果をクラウドサーバ20から取得して、取得した処理結果を用紙上に印刷して出力する。
【0086】
また、ステップS304において保存されていたキーワード情報と、入力されたキーワード情報とが一致しないと判定された場合、制御部35は処理を終了する。
【0087】
ステップS301において、ジョブをユーザ待機状態とする際に設定した識別情報の種類が結果取得用チケットであると判定した場合、制御部35は、図18に示すような操作画面を表示して、ユーザに対して結果取得用チケットをスキャナに読み込ませるよう指示する。そして、制御部35は、ステップS306において、結果取得用チケットを画像読取部36により読み取って、読み取った画像を解析してこの結果取得用チケットのチケット情報を取得する。
【0088】
次に、制御部35は、ステップS307において、保存されていたチケット情報と、取得したチケット情報とを比較する。そして、制御部35は、ステップS308において、保存されていたチケット情報と、取得したチケット情報とが一致するか否かを判定する。
【0089】
ステップS308において保存されていたチケット情報と、取得したチケット情報とが一致すると判定された場合、制御部35は、ステップS305において、このジョブの処理結果をクラウドサーバ20から取得して、取得した処理結果を用紙上に印刷して出力する。
【0090】
また、ステップS308において保存されていたチケット情報と、取得したチケット情報とが一致しないと判定された場合、制御部35は処理を終了する。
【0091】
ステップS301において、ジョブをユーザ待機状態とする際に設定した識別情報の種類が2次元コードであると判定した場合、制御部35は、ステップS309において、2次元コードに基づくジョブの再開判定処理を行う。
【0092】
そして、制御部35は、ステップS310において、ステップS309の再開判定処理の判定結果がジョブの再開が可能であるという判定結果であった場合、制御部35は、ステップS305において、このジョブの処理結果をクラウドサーバ20から取得して、取得した処理結果を用紙上に印刷して出力する。
【0093】
また、ステップS310において、ステップS309の再開判定処理の判定結果がジョブの再開が不可能であるという判定結果であった場合、制御部35は処理を終了する。
【0094】
次に、図16のフローチャートにおいて示したステップS309の再開判定処理の詳細を図19のフローチャートに示す。
【0095】
まず、制御部35は、図18に示したような操作画面を操作パネル40上に表示して、ユーザに対して2次元コードをスキャナに読み込ませるよう指示する。なお、2次元コードを用紙上に印刷して発行した場合には、その用紙をスキャナにより読み取る。また、2次元コードを表示させてスマートフォン等により撮影した場合、または近接無線通信によりスマートフォン等に送信した場合には、ユーザが2次元コードをスマートフォン等に表示させた状態でスキャナに読み込ませる。なお、画像形成装置10に2次元コードの読み取り装置が備えられている場合には、その読み取り装置を用いてスマートフォン等に表示させた2次元コードを読み取るようにしてもよい。
【0096】
そして、制御部35は、ステップS401において、2次元コードを読み取り、読み取った2次元コードの画像の解析処理を実行する。
【0097】
次に、制御部35は、ステップS402において、自装置がジョブを起動した画像形成装置であるか否かを判定する。具体的には、2次元コード内に、ジョブを起動した画像形成装置の識別情報を含めておくことにより、制御部35は、自装置の識別情報と2次元コードを解析することにより得られた画像形成装置の識別情報とを比較して、自装置がジョブを起動した画像形成装置であるか否かを判定する。
【0098】
そして、ステップS402において自装置がジョブを起動した画像形成装置であると判定された場合、制御部35は、ステップS403において、2次元コードにより特定された対象ジョブが自装置において存在するか否かを判定する。
【0099】
そして、ステップS403において対象ジョブが自装置において存在しないと判定された場合、又はステップS402において自装置がジョブを起動した画像形成装置ではないと判定された場合、制御部35は、ステップS404において、2次元コードから取得した情報に基づいてジョブを再構成する。
【0100】
そして、ステップS404においてジョブを再構成した後、制御部35は、ステップS405において、対象ジョブのクラウドサーバ20における処理が完了したか否かを判定する。
【0101】
ステップS405において対象ジョブのクラウドサーバ20における処理が完了していると判定された場合、制御部35は、ステップS406において、対象ジョブは再開可能と判定して処理を終了する。
【0102】
また、ステップS405において対象ジョブのクラウドサーバ20における処理が完了していないと判定された場合、制御部35は、ステップS407において、ジョブの処理が完了するまでさらに待つ旨を操作パネル上に表示する。そして、制御部35は、ステップS408において、対象ジョブは再開不可能と判定して処理を終了する。
【0103】
上記のように、ユーザが待機状態となる際の識別情報として2次元コードを選択した場合、ジョブを起動した画像形成装置とは異なる画像形成装置においてジョブを再開させてジョブの処理結果を受けることができる。
【0104】
例えば、図20に示すように、ユーザがあるコンビニエンスストアの画像形成装置10Aにおいてジョブを起動してスキャン翻訳を実行し、クラウドサーバ20における翻訳結果待ち状態となり待機ボタンを操作して2次元コードを取得した場合について説明する。このユーザは、待機状態において別のコンビニエンスストアまで移動して、画像形成装置10Bにおいてジョブの再開処理を実行したものとする。そして、画像形成装置10Bにおいて、例えば図21に示すような操作画面が表示され、画像形成装置10Aにより発行された2次元コードを読み込ませると、「他の複合機で実施したクラウドサービスの処理結果を取得しますか?」という文字が表示される。この操作画面においてユーザが「取得」という操作ボタンを押下すると、画像形成装置10Bはクラウドサーバ20にアクセスして、このジョブの処理結果を受け取り、処理結果を印刷して出力する。
【0105】
上記各実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0106】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0107】
10、10A、10B 画像形成装置
11 CPU
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャンユニット
17 画像形成ユニット
18 制御バス
20 クラウドサーバ
30 インターネット
31 認証部
32 操作入力部
33 表示部
34 データ送受信部
35 制御部
36 画像読取部
37 データ記憶部
38 画像出力部
40 操作パネル
41 待機ボタン
42 操作ボタン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図18
図19
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