(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025889
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】鞍乗型車両の後部構造
(51)【国際特許分類】
B62J 35/00 20060101AFI20240220BHJP
B62J 6/04 20200101ALI20240220BHJP
B62J 6/05 20200101ALI20240220BHJP
【FI】
B62J35/00 F
B62J35/00 Z
B62J6/04
B62J6/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129236
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】上林 隆洸
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】鞍乗型車両(1)には、シート下方に燃料タンク(35)が設置されている。鞍乗型車両の後部構造は、燃料タンクの後側で車両後方を照らす灯火器(31)と、燃料タンクの充填口を囲む凹状ハウジング(41)と、を備えている。凹状ハウジングの上方及び/又は側方に灯火器が位置付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート下方に燃料タンク又はバッテリが設置された鞍乗型車両の後部構造であって、
前記燃料タンク又は前記バッテリの後側で車両後方を照らす灯火器と、
前記燃料タンクの充填口又は前記バッテリの充電口を囲む凹状ハウジングと、を備え、
前記凹状ハウジングの上方及び/又は側方に前記灯火器が位置付けられていることを特徴とする鞍乗型車両の後部構造。
【請求項2】
前記灯火器よりも上方にオプションパーツが位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【請求項3】
側面視にて前記灯火器の少なくとも一部が前記凹状ハウジングに重なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【請求項4】
前記燃料タンクの充填口又は前記バッテリの充電口が後斜め上方に向いていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【請求項5】
前記灯火器は車幅方向に離間した一対の灯火器であり、当該一対の灯火器の間に前記凹状ハウジングが位置付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【請求項6】
前記燃料タンクの充填口又は前記バッテリの充電口を開閉する開閉カバーを備え、
前記開閉カバーが後方に向けて開閉可能であり、側面視にて前記開閉カバーが前記灯火器よりも車両前方に設置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【請求項7】
後面視にて前記灯火器が凹状に形成されており、前記凹状ハウジングが前記灯火器によって下方を除いて囲まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞍乗型車両の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
スクータタイプの鞍乗型車両等では、車両後部のシートフレームカバーの内側に燃料タンクがレイアウトされることが多い。この種の鞍乗型車両として、燃料タンクの給油口がシートよりも後方に位置付けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の鞍乗型車両にはシートの後方に燃料タンクの収容スペースが確保され、収容スペースの上面を覆う開閉カバーを開くことで給油口にアクセスできる。また、収容スペースに後方からアクセスするために、収容スペースの後面を開閉カバーで覆って、開閉カバーよりも下方に灯火器を設置した構成も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
灯火器の視認性を確保するためには灯火器が高い位置に設置されることが望ましく、上記したように開閉カバーよりも下方に灯火器が設置されると灯火器の視認性が低下する。また、給油口の下方に灯火器が位置付けられることになり、給油口から零れた燃料が灯火器に付着してレンズが変質するおそれがある。レンズの変質を防ぐためには、燃料に耐性が高い材料を選択するか、保護用の部材を追加する必要があり、コストが増加するという問題があった。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができるブリーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の鞍乗型車両の後部構造は、シート下方に燃料タンク又はバッテリが設置された鞍乗型車両の後部構造であって、前記燃料タンク又は前記バッテリの後側で車両後方を照らす灯火器と、前記燃料タンクの充填口又は前記バッテリの充電口を囲む凹状ハウジングと、を備え、前記凹状ハウジングの上方及び/又は側方に前記灯火器が位置付けられていることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様の鞍乗型車両の後部構造によれば、シート下方に燃料タンク又はバッテリが設置されても、凹状ハウジングの上方又は側方に灯火器が位置付けられて灯火器の視認性が低下することがない。また、シート下方に燃料タンクが設置されている場合に、燃料タンクの充填口の下方には灯火器が位置付けられない。このため、灯火器に燃料が付着し難くなって、灯火器の材料として燃料に耐性が高いものを選択したり、燃料から灯火器を保護するための部材を追加したりする必要がない。よって、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】第1実施例の鞍乗型車両の後部構造の後面模式図である。
【
図3】
図2の後部構造をA-A線に沿って切断した断面模式図である。
【
図4】第2実施例の鞍乗型車両の後部構造の断面模式図である。
【
図5】変形例の鞍乗型車両の後部構造の後面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様の鞍乗型車両の後部には燃料タンク又はバッテリが設置されている。燃料タンク又はバッテリの後側では灯火器によって車両後方が照らされており、燃料タンクの充填口又はバッテリの充電口は凹状ハウジングによって囲まれている。凹状ハウジングの上方及び/又は側方に灯火器が位置付けられているため、シート下方に燃料タンク又はバッテリが設置されても灯火器の視認性が低下することがない。また、シート下方に燃料タンクが設置されている場合に、燃料タンクの充填口の下方には灯火器が位置付けられない。このため、灯火器に燃料が付着し難くなって、灯火器の材料として燃料に耐性が高いものを選択したり、燃料から灯火器を保護するための部材を追加したりする必要がない。よって、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができる。
【実施例0010】
<第1実施例>
以下、添付図面を参照して、第1実施例の鞍乗型車両について説明する。
図1は第1実施例の鞍乗型車両の左側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、スクータタイプの鞍乗型車両1は、アンダーボーン型の車体フレーム(不図示)に車体外装として各種カバーを装着して構成されている。車両前側にはフロントフレームカバー11が設けられており、フロントフレームカバー11の後側にはライダーの足回りを保護するフロントレッグシールド12が設けられている。フロントレッグシールド12の下端から後方にフートボード13が延在しており、フートボード13の後方にはシートフレームカバー14が設けられている。フロントレッグシールド12とフートボード13によってシート20の前方にライダーの足置き空間が形成されている。
【0012】
フロントフレームカバー11の上側にはハンドル15が設けられ、フロントフレームカバー11の下側には一対のフロントフォーク16を介して前輪17が回転可能に支持されている。シートフレームカバー14の上側にはシート20が設けられており、シートフレームカバー14の下側にはユニットスイング式のエンジン18が設けられている。エンジン18は車体フレームに揺動可能に連結されており、エンジン18の後部には後輪19が回転可能に支持されている。エンジン18のクランクケースの左側面がCVTカバー22に覆われており、CVTカバー22の上方にエアクリーナ23が設けられている。
【0013】
シートフレームカバー14の内側に燃料タンク35(
図3参照)が設置されているが、このようなレイアウトでは車両後部に燃料タンク35の給油口が位置付けられる場合がある。この燃料タンク35の給油口よりも車両後部のランプユニット31が下方に位置付けられると十分な視認性が確保し難くなる。また、燃料タンク35の給油口から垂れた燃料がランプユニット31のレンズに付着すると、レンズが変質して交換が必要になるおそれがある。レンズの変質を抑えるためには耐油性のある材料を用いるか、燃料からレンズを保護するための部品を追加する必要がある。
【0014】
車両後部にはリアキャリア、トップケース、グラブバー等のオプションパーツを設置する場合がある。燃料タンク35の給油口がランプユニット31よりも上方に位置付けられると、給油作業の作業スペースを確保するためにオプションパーツを上方に逃がす必要がある。例えば、リアキャリアの天面やトップケースが高く位置付けられると、車両後部の重心が高くなって操作性が低下すると共に荷物が積載し難くなる。そこで、本実施例では、ランプユニット31の下方に燃料タンク35の給油口を位置付けて、ランプユニット31の視認性を確保しつつ車両後部におけるオプションパーツの高さを抑えている。
【0015】
図2及び
図3を参照して、鞍乗型車両の後部構造について説明する。
図2は第1実施例の鞍乗型車両の後部構造の後面模式図である。
図3は
図2の後部構造をA-A線に沿って切断した断面模式図である。
【0016】
図2に示すように、車両後部のテールカバー24からランプユニット(灯火器)31が露出している。ランプユニット31の車幅方向に長い上半部はブレーキランプ32になっており、ランプユニット31の車幅方向に離間した下半部は左右一対のターンシグナルランプ33になっている。ブレーキランプ32は車両の減速時に点灯し、左右一対のターンシグナルランプ33は車両の進路変更や右左折時に点灯する。ランプユニット31の上方にはオプションパーツとしてリアキャリア25が位置付けられており、ランプユニット31の光を遮ることなくリアキャリア25の天面に荷物が載せられる。
【0017】
左右一対のターンシグナルランプ33の間には凹状ハウジング41が設けられている。凹状ハウジング41の後面が開口しており、この開口を通じて凹状ハウジング41の内側が外部に露出される。凹状ハウジング41の内底面から燃料タンク35の給油キャップ36が突き出ており、給油キャップ36が取り外されることで燃料タンク35の給油口(充填口)37が外部に露出される。凹状ハウジング41の開口の下側には開閉カバー42が設けられている。開閉カバー42はテールカバー24と一体感を持ったデザインで形成され、開閉カバー42が閉じられることで給油キャップ36の露出が抑えられて意匠性が向上される。
【0018】
また、後面視にてランプユニット31が凹状に形成されており、凹状ハウジング41がランプユニット31によって下方を除いて囲まれている。より詳細にはブレーキランプ32が車幅方向の両端部分を除いて上方に凹んでおり、ブレーキランプ32の車幅方向の両端部分の下側にターンシグナルランプ33が連なっている。すなわち、ブレーキランプ32(ランプユニット31)が凹状ハウジング41の上部を避けるように形成されている。このように、テールカバー24には、凹状ハウジング41の上方の狭いスペースを有効に活用してブレーキランプ32が設置されている。
【0019】
図3に示すように、車両後部の内側には左右一対のシートフレーム27が前後に延在しており、左右一対のシートフレーム27の後端部がブリッジ28によって連結されている。ブリッジ28によってシート20が下側から支持されている。左右一対のシートフレーム27のブリッジ28の前方にはブラケット29が設けられており、このブラケット29とブリッジ28にリアキャリア25が取り付けられている。シート20の下方で左右一対のシートフレーム27の間には燃料タンク35の設置スペースが形成されており、設置スペースの後面が凹状ハウジング41によって覆われている。
【0020】
車両後部の設置スペースに燃料タンク35が設置され、燃料タンク35の後部から凹状ハウジング41に向かって給油管38が延びている。燃料タンク35の給油管38は凹状ハウジング41から後方に突き出ており、給油管38の先端に給油キャップ36が着脱可能に装着されている。給油管38の給油口37は後斜め上方に向けられており、給油口37に給油ノズルが挿し込み易くなって給油作業(充填作業)の作業性が向上されている。凹状ハウジング41は車体内側(前側)に窪んでおり、給油キャップ36に装着された給油口37が凹状ハウジング41によって囲まれている。
【0021】
凹状ハウジング41の下方に開閉カバー42が設けられており、給油キャップ36に装着された給油口37が開閉カバー42によって開閉されている。開閉カバー42の揺動軸43が凹状ハウジング41の開口の下縁に沿って設けられ、リアフェンダ26の上端部によって揺動軸43が目立ち難くなって車両後部の意匠性が向上されている。開閉カバー42が凹状ハウジング41の下方箇所に揺動軸43を中心にして下開き可能に連結されており、開閉カバー42が凹状ハウジング41を覆う起立姿勢と凹状ハウジング41を開放する水平姿勢をとるように開閉カバー42が上下方向に揺動される。
【0022】
開閉カバー42の閉状態では、ロック機構(不図示)によって開閉カバー42が起立姿勢でロックされている。2点鎖線に示すように、側面視にて開閉カバー42が揺動軸43から上方に向かって後側に傾けられ、開閉カバー42の傾きによって水滴や砂埃が上方から凹状ハウジング41の内側に入り難くなっている。開閉カバー42の開状態では、ストッパ(不図示)によって開閉カバー42が水平姿勢で維持されている。開閉カバー42の先端側に緩い段差44が付いており、開閉カバー42の内面に給油口37のキャップ置き場が形成されている。開閉カバー42の内面がキャップ置き場に利用されることで給油作業の作業性が向上される。
【0023】
開閉カバー42の閉状態では、開閉カバー42が上方に向かって後側に傾いているため、開閉カバー42のロックが解除されると、揺動軸43を中心にして開閉カバー42が後方に倒れて開閉カバー42が自重によって自動的に下開きする。このため、ストロークの長いスプリング等を用いることなく開閉カバー42を自動的に開くことができる。また、開閉カバー42の開状態では、給油口37の中心線Oと開閉カバー42の間の角度が十分に空けられている。このため、給油口37に給油ノズルを挿し込む際に、開閉カバー42が給油ノズルに干渉することがない。
【0024】
ランプユニット31は燃料タンク35の後側で車両後方を照らしている。凹状ハウジング41の上方にブレーキランプ32が位置付けられ、凹状ハウジング41の側方にターンシグナルランプ33が位置付けられている。ランプユニット31が高く位置付けられており、車両後方に給油口37(給油キャップ36)が設置されるレイアウトであっても、ランプユニット31の視認性が低下することがない。燃料タンク35の給油口37よりも上方にブレーキランプ32が位置付けられ、給油作業中に給油口37から垂れた燃料がブレーキランプ32のレンズ等に付着し難くなっている。
【0025】
側面視にて開閉カバー42がブレーキランプ32よりも車両前方に設置されている。ブレーキランプ32の後面が凹状ハウジング41の後縁や開閉カバー42よりも後方に突き出すことで、ブレーキランプ32が庇となって水滴や砂埃が上方から凹状ハウジング41の内側に入り難くなっている。また、側面視にてランプユニット31が凹状ハウジング41に重なっている。より詳細には、ブレーキランプ32の一部とターンシグナルランプ33が凹状ハウジング41に上下方向及び前後方向に重なっており、ランプユニット31と凹状ハウジング41をコンパクトに設置することができる。
【0026】
ランプユニット31よりも上方にリアキャリア25の天面が位置付けられている。燃料タンク35の給油口37からリアキャリア25の天面が上方に離されるため、車両の後方に十分な作業スペースが確保されて給油ノズルによる給油作業がリアキャリア25によって阻害されることがない。また、リアキャリア25の天面と開閉カバー42の間にランプユニット31(ブレーキランプ32)が介在しているため、リアキャリア25の天面を低くしても開閉カバー42がリアキャリア25に干渉することがない。リアキャリア25の天面が低くなることで荷物が積載し易くなる共に重心が低くなって操作性が向上される。
【0027】
以上、第1実施例の鞍乗型車両1の後部構造によれば、シート下方に燃料タンク35が設置されても、凹状ハウジング41の上方又は側方にランプユニット31が位置付けられてランプユニット31の視認性が低下することがない。また、燃料タンク35の給油口37の下方にはランプユニット31が位置付けられないため、ランプユニット31に燃料が付着し難くなる。ランプユニット31の材料として燃料に耐性が高いものを選択したり、燃料からランプユニット31を保護するための部材を追加したりする必要がない。よって、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができる。
【0028】
<第2実施例>
次に、
図4を参照して、第2実施例の鞍乗型車両の後部構造について説明する。第2実施例の鞍乗型車両の後部構造は、燃料タンクの代わりにバッテリが設置されている点で第1実施例の鞍乗型車両の後部構造と相違している。したがって、第2実施例については第1実施例と同様な構成については説明を省略する。また、第1実施例と同一構成については同一の符号を付して説明する。
図4は第2実施例の鞍乗型車両の後部構造の断面模式図である。
【0029】
図4に示すように、シート20の下方で左右一対のシートフレーム27の間にはバッテリ61の設置スペースが形成されており、設置スペースの後面が凹状ハウジング41によって覆われている。車両後部の設置スペースにバッテリ61が設置され、バッテリ61の後部から凹状ハウジング41に向かってバッテリケーブル62が延びている。バッテリケーブル62の先端の充電口63が凹状ハウジング41から後方に突き出ており、充電口63には防水キャップ64が着脱可能に装着されている。充電口63は後斜め上方に向けられており、充電口63に充電ノズルが装着し易くなって充電作業の作業性が向上されている。
【0030】
凹状ハウジング41によって充電口63が囲まれており、開閉カバー42によって充電口63が開閉されている。開閉カバー42の閉状態では、ロック機構(不図示)によって開閉カバー42が起立姿勢でロックされている。開閉カバー42の開状態では、ストッパ(不図示)によって開閉カバー42が水平姿勢で維持されている。開閉カバー42が上方に向かって後側に傾いているため、開閉カバー42のロックが解除されると、揺動軸43を中心にして開閉カバー42が後方に倒れて開閉カバー42が自重によって自動的に下開きする。
【0031】
また、第2実施例においても、視認性を考慮してランプユニット31が高く位置付けられている。側面視にて開閉カバー42がブレーキランプ32よりも車両前方に設置されて、凹状ハウジング41の内側に水滴や砂埃が入り難くなっている。側面視にてランプユニット31が凹状ハウジング41に重なってコンパクトに設置されている。さらに、バッテリ61の充電口63からリアキャリア25の天面が上方に離されて、充電作業の作業スペースが十分に確保されている。なお、車両後部にバッテリ61が設置される構造であってもよい。
【0032】
以上、第2実施例のように、燃料タンク35の代わりにバッテリ61がシート下方に設置される構成でも、凹状ハウジング41の上方又は側方にランプユニット31が位置付けられて、ランプユニット31の視認性が低下することがない。よって、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができる。
【0033】
<変形例>
なお、上記の実施例では、車両後部に単一のランプユニットが設けられる構成について説明したが、ランプユニットが左右に分離されていてもよい。例えば、
図5に示すように、車幅方向に離間した左右一対のランプユニット71がテールカバー24から露出している。各ランプユニット71の上半部がブレーキランプ72になっており、各ランプユニット71の下半部がターンシグナルランプ73になっている。一対のランプユニット71の間には凹状ハウジング41が位置付けられており、凹状ハウジング41と一対のランプユニット71をよりコンパクトに設置することができる。
【0034】
また、上記の各実施例では、開閉カバーの閉状態で開閉カバーが上方に向かって後側に傾いているが、開閉カバーの閉状態で開閉カバーが傾けられずに鉛直姿勢をとっていてもよい。
【0035】
また、上記の第1実施例では、燃料タンクとして燃料油が給油されるタンクを例示したが、燃料タンクは水素等の他の燃料が充填されるタンクでもよい。
【0036】
また、上記の各実施例では、ブレーキランプとターンシグナルランプを組み合わせてランプユニットにしたが、他のランプを組み合わせてランプユニットにしてもよい。また、ランプユニットは単一のランプによって構成されていてもよい。
【0037】
また、上記の各実施例では、オプションパーツとしてリアキャリアを例示したが、オプションパーツは車両後部に設置されるものであればよく、例えばトップケースやグラブバーでもよい。
【0038】
また、鞍乗型車両とは、運転者がシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、運転者がシートに跨らずに乗車するスクータタイプの車両も含んでいる。
【0039】
以上の通り、第1態様は、シート下方に燃料タンク(35)又はバッテリ(61)が設置された鞍乗型車両(1)の後部構造であって、燃料タンク又はバッテリの後側で車両後方を照らす灯火器(ランプユニット31)と、燃料タンクの充填口(給油口37)又はバッテリの充電口(63)を囲む凹状ハウジング(41)と、を備え、凹状ハウジングの上方及び/又は側方に灯火器が位置付けられているものである。この構成によれば、シート下方に燃料タンク又はバッテリが設置されても、凹状ハウジングの上方又は側方に灯火器が位置付けられて灯火器の視認性が低下することがない。また、シート下方に燃料タンクが設置されている場合に、燃料タンクの充填口の下方には灯火器が位置付けられない。このため、灯火器に燃料が付着し難くなって、灯火器の材料として燃料に耐性が高いものを選択したり、燃料から灯火器を保護するための部材を追加したりする必要がない。よって、簡易な構造でユーザの利便性を向上させることができる。
【0040】
第2態様は、第1態様において、灯火器よりも上方にオプションパーツ(リアキャリア25)が位置付けられているものである。この構成によれば、燃料タンクの充填口又はバッテリの充電口からオプションパーツが上方に離されるため、充填ノズルによる充填口への充填作業や充電ノズルによる充電口への充電作業がオプションパーツによって阻害されることがない。
【0041】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、側面視にて灯火器の少なくとも一部が凹状ハウジングに重なっているものである。この構成によれば、凹状ハウジングと灯火器をコンパクトに設置することができる。
【0042】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、燃料タンクの充填口又はバッテリの充電口が後斜め上方に向いているものである。この構成によれば、充填ノズルによる充填口への充填作業や充電ノズルによる充電口への充電作業の作業性が向上される。
【0043】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、灯火器は車幅方向に離間した一対の灯火器(ランプユニット71)であり、当該一対の灯火器の間に凹状ハウジングが位置付けられているものである。この構成によれば、凹状ハウジングと一対の灯火器をよりコンパクトに設置することができる。
【0044】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、燃料タンクの充填口又はバッテリの充電口を開閉する開閉カバー(42)を備え、開閉カバーが後方に向けて開閉可能であり、側面視にて開閉カバーが灯火器よりも車両前方に設置されているものである。この構成によれば、灯火器が庇となって水滴や砂埃が上方から凹状ハウジングの内側に入り難くなる。
【0045】
第7態様は、第1態様から第4態様、第6態様のいずれか1態様において、後面視にて灯火器が凹状に形成されており、凹状ハウジングが灯火器によって下方を除いて囲まれているものである。この構成によれば、凹状ハウジングの上方の狭いスペース利用して灯火器を設置することができる。
【0046】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0047】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。