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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025897
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20240220BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240220BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01L21/88 S
H01L27/04 D
H01L21/60 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129251
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲谷 吾郎
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F044
【Fターム(参考)】
5F033HH08
5F033HH09
5F033JJ01
5F033JJ08
5F033JJ09
5F033KK01
5F033NN33
5F033NN34
5F033UU03
5F033VV00
5F033VV03
5F033VV07
5F033XX00
5F038BH09
5F038BH10
5F038CA01
5F038CD01
5F038CD10
5F038EZ19
5F038EZ20
5F044EE04
5F044EE08
5F044FF04
(57)【要約】
【課題】ダイシングの際に形成されるチッピングへのマイグレーションを抑制可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置100は、複数のトランジスタを有している。半導体装置100は、主面10aを有する半導体基板10と、主面10a上に配置されている層間絶縁膜20と、シールリング40とを備えている。シールリング40は、平面視における層間絶縁膜20の外周縁部上に配置され、かつ平面視において環状の環状部41と、層間絶縁膜20中に埋め込まれ、かつ環状部41及び主面10aを接続している接続部42とを有している。複数のトランジスタについてのゲート長Lの最小値は、0.6μm以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスタを有する半導体装置であって、
主面を有する半導体基板と、
前記主面上に配置されている層間絶縁膜と、
シールリングとを備え、
前記シールリングは、平面視における前記層間絶縁膜の外周縁部上に配置され、かつ平面視において環状の環状部と、前記層間絶縁膜中に埋め込まれ、かつ前記環状部及び前記主面を接続している接続部とを有し、
前記複数のトランジスタについてのゲート長の最小値は、0.6μm以上である、半導体装置。
【請求項2】
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通している環状溝が形成されており、
前記環状溝には、前記接続部が埋め込まれている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の貫通穴が形成されており、
前記貫通穴には、前記接続部が埋め込まれている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の第1貫通穴と、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の第2貫通穴とが形成されており、
前記複数の第2貫通穴は、平面視において、前記複数の第1貫通穴よりも内側にあり、
前記複数の第2貫通穴の各々は、平面視において、前記複数の第1貫通穴のうちの隣り合う2つの間にある、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記層間絶縁膜上に配置され、かつボンディングパッドを有する配線をさらに備え、
前記ボンディングパッドは、被接合部に接合され、
前記被接合部の構成材料の主成分は、銀である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2009-81351号公報(特許文献1)には、半導体装置が記載されている。特許文献1に記載の半導体装置は、半導体基板と、複数の層間絶縁膜と、シールリングとを有している。シールリングは、複数の金属層と、複数の金属プラグとを有している。複数の層間絶縁膜は、積層配置されている。複数の金属層の各々は、平面視において環状である。複数の金属層の各々は、複数の層間絶縁膜の各々の平面視における外周縁部上に配置されている。複数の金属プラグの各々は、複数の層間絶縁膜の各々に埋め込まれることにより、厚さ方向において隣り合う2つの金属層又は最も半導体基板の近くにある金属層と半導体基板とを接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-81351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
0.5μm以下のデザインルールで設計されている半導体装置では、ダイシングが行われる際に生じるチッピングの影響が大きいため、特許文献1に記載されているようなシールリングが適用されることにより、チッピングの発生が抑制されている。他方で、0.6μm以上のデザインルールで設計されている半導体装置では、ダイシングが行われる際にチッピングが生じても影響が小さいため、特許文献1に記載されているようなシールリングは適用されない。
【0005】
しかしながら、0.6μm以下のデザインルールで設計されている半導体装置でも、ボンディングパッドに構成材料の主成分が銀である被接合部が接合される場合、当該銀がダイシングの際に形成されるチッピングへとマイグレーションしてしまうことがある。
【0006】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、ダイシングの際に形成されるチッピングへのマイグレーションを抑制可能な半導体装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の半導体装置は、複数のトランジスタを有する。半導体装置は、主面を有する半導体基板と、主面上に配置されている層間絶縁膜と、シールリングとを備える。シールリングは、平面視における層間絶縁膜の外周縁部上に配置され、かつ平面視において環状の環状部と、層間絶縁膜中に埋め込まれ、かつ環状部及び主面を接続している接続部とを有する。複数のトランジスタについてのゲート長の最小値は、0.6μm以上である。
【発明の効果】
【0008】
本開示の半導体装置によると、ダイシングの際に形成されるチッピングへのマイグレーションを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体装置100の平面図である。
図2図1中のII-IIにおける断面図である。
図3】半導体装置100の製造方法を示す工程図である。
図4】第1イオン注入工程S2を説明する断面図である。
図5】素子分離膜形成工程S3を説明する断面図である。
図6】ゲート絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。
図7】ゲート形成工程S5を説明する断面図である。
図8】第2イオン注入工程S6を説明する断面図である。
図9】サイドウォールスペーサ形成工程S7を説明する断面図である。
図10】第3イオン注入工程S8を説明する断面図である。
図11】層間絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。
図12】コンタクトホール形成工程S10を説明する断面図である。
図13】配線形成工程S11を説明する断面図である。
図14】サーマルプリントヘッド200の平面図である。
図15図14中のXV-XVにおける断面図である。
図16】半導体装置100がワイヤボンディングにより接続された状態のサーマルプリントヘッド200の平面図である。
図17】半導体装置100がフリップチップボンディングにより接続された状態のサーマルプリントヘッド200の平面図である。
図18図17中のXVIII-XVIIIにおける断面図である。
図19】半導体装置100Aの平面図である。
図20】半導体装置100Bの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。実施形態に係る半導体装置を、半導体装置100とする。
【0011】
以下に、半導体装置100の構成を説明する。
【0012】
図1は、半導体装置100の平面図である。図2は、図1中のII-IIにおける断面図である。図2中では、ボンディングパッド31及びボンディングパッド32以外の配線30の部分の図示が省略されている。図1及び図2に示されるように、半導体装置100は、半導体基板10と、ゲート絶縁膜14と、ゲート15と、サイドウォールスペーサ16と、素子分離膜17と、層間絶縁膜20と、配線30と、シールリング40とを有している。なお、半導体装置100は、例えば、サーマルプリントヘッドに用いられるドライバIC(Integrated Circuit)である。但し、半導体装置100の用途は、これに限られるものではない。
【0013】
半導体基板10は、主面10aと、主面10bとを有している。主面10a及び主面10bは、半導体基板10の厚さ方向における端面である。主面10bは、主面10aの反対面である。半導体基板10は、例えば単結晶シリコン(Si)で形成されている。
【0014】
半導体基板10は、ソース領域11と、ドレイン領域12と、ウェル領域13とを有している。ソース領域11及びドレイン領域12の導電型は第1導電型であり、ウェル領域13の導電型は第2導電型である。第2導電型は、第1導電型の反対の導電型である。第1導電型が例えばn型である場合、第2導電型はp型である。ソース領域11及びドレイン領域12は、主面10aに配置されている。ソース領域11及びドレイン領域12は、互いに間隔を空けて配置されている。ウェル領域13は、ソース領域11及びドレイン領域12を取り囲むように主面10aに配置されている。
【0015】
ソース領域11は、第1部分11aと、第2部分11bとを有している。第1部分11aは、第2部分11bよりもドレイン領域12の近くにある。第1部分11aにおけるドーパント濃度は、第2部分11bにおけるドーパント濃度よりも低い。すなわち、ソース領域11は、LDD(Lightly Doped Diffusion)構造になっている。ドレイン領域12は、第1部分12aと、第2部分12bとを有している。第1部分12aは、第2部分12bよりもソース領域11の近くにある。第1部分12aにおけるドーパント濃度は、第2部分12bにおけるドーパント濃度よりも低い。すなわち、ドレイン領域12は、LDD構造になっている。
【0016】
ゲート絶縁膜14は、ソース領域11とドレイン領域12との間にある主面10a上に配置されている。ゲート絶縁膜14は、例えばシリコン酸化物(SiO)で形成されている。ゲート15は、ゲート絶縁膜14上に配置されている。このことを別の観点から言えば、ゲート15は、ゲート絶縁膜14で絶縁されながら、ソース領域11とドレイン領域12との間にあるウェル領域13(すなわち、チャネル領域)と対向している。ゲート15は、例えばドーパントを含有している多結晶シリコンで形成されている。
【0017】
ソース領域11、ドレイン領域12、ウェル領域13、ゲート絶縁膜14及びゲート15は、トランジスタを構成されている。図示されていないが、半導体装置100は、複数のトランジスタを有している。ソース領域11及びドレイン領域12が並んでいる方向におけるゲート15の幅を、ゲート長Lとする。半導体装置100が有する複数のトランジスタについて、ゲート長Lの最小値は、0.6μm以上である。すなわち、半導体装置100は、0.6μm以上のデザインルールで設計されている。
【0018】
サイドウォールスペーサ16は、ゲート15の側面と接するように、第1部分11a上及び第1部分12a上に配置されている。サイドウォールスペーサ16は、例えばシリコン酸化物又はシリコン窒化物(SiN)で形成されている。素子分離膜17は、平面視においてウェル領域13を取り囲むように主面10a上に配置されている。素子分離膜17により、半導体装置100が有する1つのトランジスタは、半導体装置100が有する他の1つのトランジスタから絶縁分離されている。このことを別の観点から言えば、半導体装置100では、隣り合う2つのトランジスタが、LOCOS(LOCal Oxidation of Silicon)構造により絶縁分離されている。
【0019】
層間絶縁膜20は、ゲート絶縁膜14、ゲート15、サイドウォールスペーサ16及び素子分離膜17を覆うように、主面10a上に配置されている。層間絶縁膜20は、例えばシリコン酸化物で形成されている。より具体的には、層間絶縁膜20は、例えばBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)で形成されている。層間絶縁膜20には、コンタクトホール21が形成されている。コンタクトホール21は、層間絶縁膜20を厚さ方向に貫通している。すなわち、コンタクトホール21からは、ソース領域11(第2部分11b)、ドレイン領域12(第2部分12b)又はゲート15が露出している。
【0020】
配線30は、層間絶縁膜20上に配置されている。また、配線30は、コンタクトホール21にも埋め込まれている。これにより、配線30は、上記のトランジスタに電気的に接続されている。配線30は、例えば、アルミニウム(Al)又はアルミニウム合金で形成されている。配線30は、ボンディングパッド31とボンディングパッド32とを有している。
【0021】
シールリング40は、環状部41と、接続部42とを有している。環状部41は、平面視における層間絶縁膜20の外周縁部上に配置されている。環状部41は、平面視において環状である。より具体的には、環状部41は、平面視において、矩形環状である。
【0022】
接続部42は、層間絶縁膜20に埋め込まれており、かつ環状部41及び主面10aを接続している。より具体的には、層間絶縁膜20には、環状溝22が形成されている。環状溝22は、平面視において環状(矩形環状)である。環状溝22は、層間絶縁膜20の外周縁部に形成されており、平面視において環状部41に重なっている。環状溝22は、層間絶縁膜20を厚さ方向に貫通している。環状溝22からは、主面10aが露出している。接続部42は、環状溝22に埋め込まれている。すなわち、接続部42は、平面視において環状(矩形環状)である。
【0023】
環状部41及び接続部42は、一体形成されている。環状部41及び接続部42の構成材料は、配線30の構成材料と同一である。すなわち、環状部41及び接続部42は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
【0024】
(半導体装置100の製造方法)
以下に、半導体装置100の製造方法を説明する。
【0025】
図3は、半導体装置100の製造方法を示す工程図である。図3に示されるように、半導体装置100の製造方法は、準備工程S1と、第1イオン注入工程S2と、素子分離膜形成工程S3と、ゲート絶縁膜形成工程S4と、ゲート形成工程S5と、第2イオン注入工程S6と、サイドウォールスペーサ形成工程S7と、第3イオン注入工程S8と、層間絶縁膜形成工程S9と、コンタクトホール形成工程S10と、配線形成工程S11と、個片化工程S12とを有している。
【0026】
準備工程S1では、半導体基板10が準備される。第1イオン注入工程S2は、準備工程S1の後に行われる。図4は、第1イオン注入工程S2を説明する断面図である。図4に示されるように、第1イオン注入工程S2では、イオン注入が行われることにより、ウェル領域13が形成される。
【0027】
素子分離膜形成工程S3は、第1イオン注入工程S2の後に行われる。図5は、素子分離膜形成工程S3を説明する断面図である。図5に示されるように、素子分離膜形成工程S3では、素子分離膜17が形成される。素子分離膜形成工程S3では、第1に、主面10a上にハードマスクが形成される。ハードマスクは、主面10a上に配置されているシリコン酸化物層と、シリコン酸化物層上に配置されているシリコン窒化物層とを有している。第2に、上記のハードマスクのシリコン窒化物層がパターンニングされる。パターンニングは、ウェル領域13上にシリコン窒化物層が残存するように行われる。また、パターンニングは、シリコン窒化物層上に配置されているレジストパターンをマスクとするエッチングにより行われる。レジストパターンは、フォトリソグラフィにより形成される。第3に、熱酸化が行われる。これにより、シリコン窒化物層の間にあるシリコン酸化物層が成長し、素子分離膜17となる。なお、素子分離膜17の形成後、シリコン窒化物層の下にあったシリコン酸化物層は除去される。
【0028】
ゲート絶縁膜形成工程S4は、素子分離膜形成工程S3の後に行われる。図6は、ゲート絶縁膜形成工程S4を説明する断面図である。図6に示されるように、ゲート絶縁膜形成工程S4では、主面10aに対する熱酸化が行われることにより、ゲート絶縁膜14が形成される。
【0029】
ゲート形成工程S5は、ゲート絶縁膜形成工程S4の後に行われる。図7は、ゲート形成工程S5を説明する断面図である。図7に示されるように、ゲート形成工程S5では、ゲート15が形成される。ゲート形成工程S5では、第1に、ゲート15の構成材料が、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)で成膜される。第2に、成膜されたゲート15の構成材料が、パターンニングされる。パターンニングは、成膜されたゲート15の構成材料の上にフォトリソグラフィを用いて形成されたレジストパターンをマスクとするエッチングにより行われる。
【0030】
第2イオン注入工程S6は、ゲート形成工程S5の後に行われる。図8は、第2イオン注入工程S6を説明する断面図である。図8に示されるように、第2イオン注入工程S6では、イオン注入が行われることにより、第1部分11a及び第1部分12aが形成される。
【0031】
サイドウォールスペーサ形成工程S7は、第2イオン注入工程S6の後に行われる。図9は、サイドウォールスペーサ形成工程S7を説明する断面図である。図9に示されるように、サイドウォールスペーサ形成工程S7では、サイドウォールスペーサ16が形成される。サイドウォールスペーサ形成工程S7では、第1に、サイドウォールスペーサ16の構成材料が、例えばCVDで成膜される。第2に、成膜されたサイドウォールスペーサ16の構成材料が、エッチバックされる。
【0032】
第3イオン注入工程S8は、サイドウォールスペーサ形成工程S7の後に行われる。図10は、第3イオン注入工程S8を説明する断面図である。図10に示されるように、第3イオン注入工程S8では、第2部分11b及び第2部分12bが形成される。
【0033】
層間絶縁膜形成工程S9は、第3イオン注入工程S8の後に行われる。図11は、層間絶縁膜形成工程S9を説明する断面図である。図11に示されるように、層間絶縁膜形成工程S9では、層間絶縁膜20が形成される。層間絶縁膜形成工程S9では、第1に、層間絶縁膜20の構成材料が、例えばCVDで成膜される。第2に、成膜された層間絶縁膜20の構成材料は、リフローが行われることにより平坦化される。
【0034】
コンタクトホール形成工程S10は、層間絶縁膜形成工程S9の後に行われる。図12は、コンタクトホール形成工程S10を説明する断面図である。コンタクトホール形成工程S10では、図12に示されるように、フォトリソグラフィを用いて層間絶縁膜20上に形成されたレジストパターンをマスクとするエッチングにより、コンタクトホール21が形成される。また、コンタクトホール形成工程S10では、コンタクトホール21と同時に、環状溝22も上記のエッチングにより形成される。
【0035】
配線形成工程S11は、コンタクトホール形成工程S10の後に行われる。図13は、配線形成工程S11を説明する断面図である。図13に示されるように、配線形成工程S11では、配線30が形成される。配線形成工程S11では、シールリング40も形成される。コンタクトホール形成工程S10では、第1に、配線30(シールリング40)の構成材料が、例えばスパッタリングにより成膜される。この際、配線30の材料は、層間絶縁膜20上に成膜されるとともに、コンタクトホール21中及び環状溝22中にも埋め込まれる。第2に、成膜された配線30の構成材料が、レジストパターンをマスクとするエッチングによりパターンニングされる。レジストパターンは、フォトリソグラフィを用いて形成される。
【0036】
個片化工程S12は、配線形成工程S11の後に行われる。個片化工程S12では、半導体基板10及び層間絶縁膜20がスクライブ領域において切断されることにより、図1及び図2に示される構造の半導体装置100が複数得られる。
【0037】
(半導体装置100の効果)
以下に、半導体装置100の効果を説明する。
【0038】
図14は、サーマルプリントヘッド200の平面図である。図15は、図14中のXV-XVにおける断面図である。図14及び図15に示されるように、サーマルプリントヘッド200は、セラミック層50と、グレーズ層60と、共通電極71と、複数の個別電極72と、発熱体73と、配線81と、複数の配線82とを有している。
【0039】
セラミック層50は、主面50aと、主面50bとを有している。主面50a及び主面50bは、セラミック層50の厚さ方向における端面である。主面50bは、主面50aの反対面である。平面視におけるセラミック層50の長手方向を第1方向DR1とし、第1方向DR1に直交する方向を第2方向DR2とする。セラミック層50は、アルミナ等のセラミック材料で形成されている。セラミック層50は、平面視において矩形である。平面視において、グレーズ層60は、第1辺50cと、第2辺50dとを有している。第1辺50c及び第2辺50dは、第1方向DR1に沿っている。グレーズ層60は、主面50a上に配置されている。グレーズ層60は、ガラスで形成されている。
【0040】
共通電極71は、グレーズ層60上に配置されている。共通電極71は、本体部71aと、複数の突出部71bとを有している。本体部71aは、平面視において矩形であり、第1方向DR1に沿って延在している。本体部71aは、第2辺50dよりも第1辺50cの近くにある。突出部71bは、本体部71aの第2辺50d側を向いている辺から第2方向DR2に沿って突出している。複数の突出部71bは、第1方向DR1において間隔を空けて並んでいる。共通電極71は、例えば金(Au)で形成されている。
【0041】
個別電極72は、グレーズ層60上に配置されている。個別電極72は、一方端部において先端部72aを有しており、他方端部においてボンディングパッド72bを有している。先端部72aは、隣り合う2つの突出部71bの間に配置されている。個別電極72は、例えば、共通電極71と同一材料で形成されている。
【0042】
発熱体73は、突出部71b上に配置されている部分と、グレーズ層60上に配置されている部分と、先端部72a上に配置されている部分とを有している。これらの部分は、第1方向DR1に沿って連続している。そのため、隣り合う2つの突出部71bとその間にある先端部72aとは、発熱体73により電気的に接続されている。複数の個別電極72の各々のボンディングパッド72bには、選択的に電圧が印加される。電圧が印加された個別電極72の先端部72aとその隣にある突出部71bとの間には発熱体73を介して電流が流れ、発熱体73が部分的に発熱する。発熱体73は、例えば、ガラスとガラス中に混ぜられている酸化ルテニウム(RuO)粒子で構成されている。
【0043】
配線81は、本体部71aを部分的に覆うようにグレーズ層60上に配置されており、本体部71aに電気的に接続されている。配線82は、グレーズ層60上に配置されている。配線82は、ボンディングパッド82aを有している。配線81及び配線82は、銀(Ag)粒子の焼結体で形成されている。すなわち、配線81の構成材料の主成分及び配線82の構成材料の主成分は、銀である。ここで、「構成材料中の主成分が銀である」とは、ある部材又は部分の構成材料中の銀の含有量が80質量パーセント以上であることを意味する。
【0044】
図16は、半導体装置100がワイヤボンディングにより接続された状態のサーマルプリントヘッド200の平面図である。図16に示されるように、半導体装置100は、グレーズ層60上に配置されている。平面視において、半導体装置100は、第1辺50cよりも第2辺50dの近くに配置されている。ボンディングワイヤ91は、一方端においてボンディングパッド31に接合されており、他方端においてボンディングパッド72bに接合されている。ボンディングワイヤ92は、一方端においてボンディングパッド32に接合されており、他方端においてボンディングパッド82aに接合されている。これにより、半導体装置100とサーマルプリントヘッド200とが電気的に接続されている。
【0045】
ボンディングワイヤ91及びボンディングワイヤ92の構成材料の主成分は、銀になっている。個片化工程S12におけるダイシングにより半導体装置100の外周縁にチッピングが発生する場合、半導体装置100の動作時の熱や半導体装置100の周囲の水分の影響等により、ボンディングワイヤ91(ボンディングワイヤ92)中の銀が上記のチッピングに向かってマイグレーションすることがある。
【0046】
しかしながら、半導体装置100は、0.6μm以下のデザインルールで設計されている(ゲート長Lの最小値が0.6μm以上である)が、シールリング40を有している。そのため、個片化工程S12におけるダイシングが行われる際のチッピングの発生が抑制されており、その結果、ボンディングワイヤ91(ボンディングワイヤ92)中の銀がチッピングに向かってマイグレーションすることも抑制されている。
【0047】
図17は、半導体装置100がフリップチップボンディングにより接続された状態のサーマルプリントヘッド200の平面図である。図18は、図17中のXVIII-XVIIIにおける断面図である。この場合、ボンディングパッド31及びボンディングパッド32は、それぞれ、接合部93により、ボンディングパッド72b及びボンディングパッド82aに接合されている。接合部93は、例えば、金バンプである。接合部93は、これに限られず、はんだ合金であってもよい。この場合も、個片化工程S12におけるダイシングが行われる際のチッピングの発生が抑制されているため、ボンディングパッド82a中の銀がチッピングに向かってマイグレーションすることを抑制可能である。
【0048】
(変形例1)
以下に、変形例1に係る半導体装置100を説明する。変形例1に係る半導体装置100を半導体装置100Aとする。ここでは、半導体装置100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0049】
図19は、半導体装置100Aの平面図である。図19に示されるように、半導体装置100Aでは、環状溝22に代えて、層間絶縁膜20の外周縁部に複数の貫通穴23が形成されている。すなわち、貫通穴23は、平面視において、環状部41に重なっている。貫通穴23は、層間絶縁膜20を厚さ方向に貫通している。貫通穴23からは、主面10aが露出している。複数の貫通穴23は、平面視において環状に並んでいる。貫通穴23には、接続部42が埋め込まれている。なお、貫通穴23は、コンタクトホール形成工程S10においてコンタクトホール21とともに形成される。また、貫通穴23には、配線形成工程S11において接続部42が埋め込まれる。
【0050】
この場合も、半導体装置100と同様に、シールリング40により、個片化工程S12におけるダイシングが行われる際のチッピングの発生が抑制されるため、ボンディングワイヤ91(ボンディングワイヤ92)やボンディングパッド82a中の銀がチッピングに向かってマイグレーションすることを抑制可能である。
【0051】
(変形例2)
以下に、変形例2に係る半導体装置100を説明する。変形例2に係る半導体装置100を、半導体装置100Bとする。ここでは、半導体装置100Aと異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0052】
図20は、半導体装置100Bの平面図である。図20に示されるように、半導体装置100Bでは、層間絶縁膜20の外周縁部に複数の貫通穴24がさらに形成されている。貫通穴24は、平面視において環状部41に重なっている。貫通穴24は、層間絶縁膜20を厚さ方向に貫通している。すなわち、貫通穴24からは主面10aが露出している。複数の貫通穴24は、平面視において環状に並んでいる。環状に並んでいる複数の貫通穴24は、平面視において、環状に並んでいる複数の貫通穴23よりも内側にある。貫通穴24は、隣り合う2つの貫通穴23の間に配置されている。なお、貫通穴24は、コンタクトホール形成工程S10においてコンタクトホール21及び貫通穴23とともに形成される。また、貫通穴24には、配線形成工程S11において接続部42が埋め込まれる。
【0053】
半導体装置100Bでは、隣り合う2つの貫通穴23の間に貫通穴24が配置されているため、半導体装置100Bと比較して、個片化工程S12におけるダイシングが行われる際のチッピングの発生が抑制されるため、ボンディングワイヤ91(ボンディングワイヤ92)やボンディングパッド82a中の銀がチッピングに向かってマイグレーションすることをさらに抑制可能である。
【0054】
(付記)
本開示の実施形態の構成を、以下に付記する。
【0055】
<付記1>
複数のトランジスタを有する半導体装置であって、
主面を有する半導体基板と、
前記主面上に配置されている層間絶縁膜と、
シールリングとを備え、
前記シールリングは、平面視における前記層間絶縁膜の外周縁部上に配置され、かつ平面視において環状の環状部と、前記層間絶縁膜中に埋め込まれ、かつ前記環状部及び前記主面を接続している接続部とを有し、
前記複数のトランジスタについてのゲート長の最小値は、0.6μm以上である、半導体装置。
【0056】
<付記2>
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通している環状溝が形成されており、
前記環状溝には、前記接続部が埋め込まれている、付記1に記載の半導体装置。
【0057】
<付記3>
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の貫通穴が形成されており、
前記貫通穴には、前記接続部が埋め込まれている、付記1又は付記2に記載の半導体装置。
【0058】
<付記4>
前記外周縁部には、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の第1貫通穴と、前記外周縁部を貫通しており、かつ平面視において環状に並んでいる複数の第2貫通穴とが形成されており、
前記複数の第2貫通穴は、平面視において、前記複数の第1貫通穴よりも内側にあり、
前記複数の第2貫通穴の各々は、平面視において、前記複数の第1貫通穴のうちの隣り合う2つの間にある、付記1から付記3に記載の半導体装置。
【0059】
<付記5>
前記層間絶縁膜上に配置され、かつボンディングパッドを有する配線をさらに備え、
前記ボンディングパッドは、被接合部に接合され、
前記被接合部の構成材料の主成分は、銀である、付記1~付記4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0060】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0061】
10 半導体基板、10a,10b 主面、11 ソース領域、11a,12a 第1部分、11b,12b 第2部分、12 ドレイン領域、13 ウェル領域、14 ゲート絶縁膜、15 ゲート、16 サイドウォールスペーサ、17 素子分離膜、20 層間絶縁膜、21 コンタクトホール、22 環状溝、23,24 貫通穴、30 配線、31,32 ボンディングパッド、40 シールリング、41 環状部、42 接続部、50 セラミック層、50a,50b 主面、50c 第1辺、50d 第2辺、60 グレーズ層、71 共通電極、71a 本体部、71b 突出部、72 個別電極、72a 先端部、72b ボンディングパッド、73 発熱体、81 配線、82 配線、82a ボンディングパッド、91,92 ボンディングワイヤ、93 接合部、100 半導体装置、100A,100B 半導体装置、200 サーマルプリントヘッド、DR1 第1方向、DR2 第2方向、L ゲート長、S1 準備工程、S2 第1イオン注入工程、S3 素子分離膜形成工程、S4 ゲート絶縁膜形成工程、S5 ゲート形成工程、S6 第2イオン注入工程、S7 サイドウォールスペーサ形成工程、S8 第3イオン注入工程、S9 層間絶縁膜形成工程、S10 コンタクトホール形成工程、S11 配線形成工程、S12 個片化工程。
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