(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025919
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】プラズマ発生装置、およびプラズマ発生方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/34 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
H05H1/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129297
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】岩田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】池戸 俊之
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084BB23
2G084BB30
2G084BB37
2G084CC23
2G084CC32
2G084DD01
2G084DD12
2G084DD25
2G084DD67
2G084FF02
2G084GG02
2G084GG07
(57)【要約】
【課題】電極のランニングコストの低減を課題とする。
【解決手段】放電により処理ガスをプラズマ化させる電極と、電極の先端を延び出させた状態で電極を保持するホルダと、電極の先端のホルダからの延出量を調整可能かつ、電極を交換可能にホルダに固定する固定具と、を備えるプラズマ発生装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電により処理ガスをプラズマ化させる電極と、
前記電極の先端を延び出させた状態で前記電極を保持するホルダと、
前記電極の先端の前記ホルダからの延出量を調整可能かつ、前記電極を交換可能に前記ホルダに固定する固定具と、
を備えるプラズマ発生装置。
【請求項2】
前記電極は、棒形状であり、
前記ホルダは、棒形状の前記電極を内部において保持する筒形状である請求項1に記載のプラズマ発生装置。
【請求項3】
前記固定具は、前記ホルダの前記電極が延び出す側において前記電極を固定する請求項2に記載のプラズマ発生装置。
【請求項4】
前記プラズマ発生装置は、
前記電極をその内部に備え、先端に形成された噴出口からプラズマガスを噴出する筐体を備え、
前記ホルダから延び出す前記電極の先端と、前記筐体の先端との間で放電することで処理ガスをプラズマ化させる請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項5】
前記ホルダは、
前記電極の先端が延び出す前記ホルダの端部と反対側の端部において前記筐体の内部で固定される請求項4に記載のプラズマ発生装置。
【請求項6】
前記固定具は、
前記ホルダの表面から外部に露出することなく前記ホルダの内部において前記電極を固定する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置。
【請求項7】
放電により処理ガスをプラズマ化させる電極と、前記電極の先端を延び出させた状態で前記電極を保持するホルダとを備えるプラズマ発生装置において、
前記電極の先端の前記ホルダからの延出量を調整する調整工程と、
前記ホルダから延び出した前記電極の先端に生じる放電により処理ガスをプラズマ化させるプラズマ化工程と、
を含むプラズマ発生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極での放電により処理ガスをプラズマ化させるプラズマ発生装置などに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、電極での放電により処理ガスをプラズマ化させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-075499号公報
【特許文献2】特開平05-013195号公報
【特許文献3】特開平10-166155号公報
【特許文献4】実開昭62-105766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、電極のランニングコストの低減を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、放電により処理ガスをプラズマ化させる電極と、前記電極の先端を延び出させた状態で前記電極を保持するホルダと、前記電極の先端の前記ホルダからの延出量を調整可能かつ、前記電極を交換可能に前記ホルダに固定する固定具と、を備えるプラズマ発生装置などを開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電極の先端のホルダからの延出量を調整することで、電極のランニングコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1に示すように、プラズマ装置10は、プラズマヘッド11、ロボット13、制御ボックス15を備えている。プラズマヘッド11は、ロボット13に取り付けられている。ロボット13は、例えば、シリアルリンク型ロボット(多関節型ロボットと呼ぶこともできる)であり、プラズマヘッド11は、ブラケット12を介してロボット13の先端に取り付けられている。そして、プラズマヘッド11は、ロボット13の先端に取り付けられた状態でプラズマガスを照射可能となっている。プラズマヘッド11は、ロボット13の駆動に応じて3次元的に移動可能となっている。
【0010】
制御ボックス15は、コンピュータを主体として構成され、プラズマ装置10を統括的に制御する。制御ボックス15は、プラズマヘッド11に電力を供給する電源部15A及びプラズマヘッド11へガスを供給するガス供給部15Bを有している。電源部15Aは、電源ケーブル(図示省略)を介してプラズマヘッド11と接続されている。電源部15Aは、制御ボックス15の制御に基づいて、プラズマヘッド11の電極30(
図3乃至
図5参照)に印加する電圧を変更する。
【0011】
また、ガス供給部15Bは、ガスチューブ19を介してプラズマヘッド11と接続されている。ガス供給部15Bは、制御ボックス15の制御に基づいて、後述する反応ガスをプラズマヘッド11へ供給する。制御ボックス15は、ガス供給部15Bを制御し、ガス供給部15Bからプラズマヘッド11へ供給するガスの量などを制御する。これにより、ロボット13は、制御ボックス15の制御に基づいて動作し、テーブル17の上に載置された被処理物Wに対してプラズマヘッド11からプラズマガスを照射する。
【0012】
また、制御ボックス15は、タッチパネルや各種スイッチを有する操作部15Cを備えている。制御ボックス15は、各種の設定画面や動作状態(例えば、ガス供給状態など)等を操作部15Cのタッチパネルに表示する。また、制御ボックス15は、操作部15Cに対する操作入力により各種の情報を受け付ける。
【0013】
図2及び
図3に示すように、プラズマヘッド11は、筐体20、内部ケーブル22,ケーブルホルダ24,ホルダ装着具26、電極ホルダ28、電極30等を備えている。筐体20は、金属製の素材により形成されており、概して円筒形状である。ただし、筐体20は、下方に向うほど先細る形状であり、筐体20の下端部は円錐形状である。このため、筐体20の下端部はプラズマヘッド11のノズル32として機能する。
【0014】
図4及び
図5に示すように、内部ケーブル22は、筐体20の内部において筐体20の軸線方向に延びるように配設されており、ケーブルホルダ24により筐体20の内部に固定されている。ケーブルホルダ24は概して円筒形であり、筐体20の内部に固定的に嵌合されている。そして、内部ケーブル22が、ケーブルホルダ24の内部の上端部に固定的に嵌合されている。これにより、内部ケーブル22がケーブルホルダ24により筐体20の内部に固定されている。なお、ケーブルホルダ24の下端部では、ケーブルホルダ24の内周面と内部ケーブル22の外周面との間に隙間36が形成されている。
【0015】
また、ホルダ装着具26は円環形状であり、内部ケーブル22の下方において筐体20の内部に固定的に嵌合されている。円環形状のホルダ装着具26の内周面には、ネジ溝が形成されており、ホルダ装着具26の内周面がネジ穴として機能している。また、ホルダ装着具26の外縁部には、上下方向に貫通する複数の貫通穴38が形成されている。
【0016】
また、電極ホルダ28は、金属製の素材により形成されており、概して円筒形状である。ただし、電極ホルダ28は下方に向うほど先細る形状であり、電極ホルダ28の上端面の中央には、凸部40が形成されている。そして、その凸部40の外周面にネジ山が形成されている。このため、電極ホルダ28の凸部40がホルダ装着具26のネジ穴として機能する内周面に挿入されて捩じ込まれることで、電極ホルダ28がホルダ装着具26に着脱可能に装着される。
【0017】
また、電極ホルダ28の内周面は段付き形状である。電極ホルダ28の内周面の上方の部分は小径の第1内周面50であり、その第1内周面50から連続する電極ホルダ28の内周面の下方の部分は第1内周面50より大径の第2内周面52である。その第1内周面50には圧着端子56の下端部が挿入されている。圧着端子56の下端部の外径は電極ホルダ28の第1内周面50の内径より僅かに小さい。このため、圧着端子56はホーローボルト58により電極ホルダ28の第1内周面50において固定されている。詳しくは、電極ホルダ28の上端部側には径方向に延びる横穴60が形成されており、その横穴60は第1内周面50に連通している。そして、その横穴60にホーローボルト58が捩じ込まれることで、圧着端子56が電極ホルダ28の第1内周面50において固定される。なお、横穴60の深さ寸法は、ホーローボルト58の長さ寸法より長い。このため、ホーローボルト58は横穴60に捩じ込まれた状態において横穴60に埋没しており、電極ホルダ28の表面から外部に露出していない。また、圧着端子56は、電極ホルダ28の第1内周面50の上端から上方に向って延び出している。そして、電極ホルダ28の第1内周面50から上方に向って延び出す圧着端子56と、内部ケーブル22とが導体62により接続されている。
【0018】
また、電極30は丸棒形状であり、電極30の外径は電極ホルダ28の第2内周面52の内径より僅かに小さい。そして、電極ホルダ28の第2内周面52に電極30が挿入されており、電極30はホーローボルト66により電極ホルダ28の第2内周面52において固定されている。詳しくは、電極ホルダ28の下端部側には径方向に延びる横穴68が形成されており、その横穴68は第2内周面52に連通している。そして、その横穴68にホーローボルト66が捩じ込まれることで、電極30が電極ホルダ28の第2内周面52において固定される。なお、横穴68の深さ寸法は、ホーローボルト66の長さ寸法より長い。このため、ホーローボルト66は横穴68に捩じ込まれた状態において横穴68に埋没しており、電極ホルダ28の表面から外部に露出ていない。また、電極30は、電極ホルダ28の下端から電極30の下端、つまり先端を所定量(例えば、3~5mm)延び出させた状態で第2内周面52において固定される。
【0019】
また、ケーブルホルダ24の内周面と内部ケーブル22の外周面との隙間36にガスチューブ19(
図1参照)を介してガス供給部15Bが接続されており、ガス供給部15Bから供給される反応ガスがケーブルホルダ24の内周面と内部ケーブル22の外周面との隙間36に流入する。そして、反応ガスは下方に向って流れて、ホルダ装着具26の複数の貫通穴38を介して電極ホルダ28の周囲に流入する。さらに、反応ガスは下方に向って流れて、電極ホルダ28の下端から延び出す電極30の周囲にも流入して、筐体20のノズル32まで至る。つまり、反応ガスは、筐体20の内部においてケーブルホルダ24の内周面と内部ケーブル22の外周面との隙間36からホルダ装着具26の複数の貫通穴38を介して、電極ホルダ28及び電極ホルダ28の下端から延び出す電極30の周囲に流入し、筐体20のノズル32まで至る。
【0020】
反応ガス(種ガス)としては、酸素(O2)を採用できる。ガス供給部15Bは、例えば、ガスチューブ19(
図1参照)を介して、酸素と窒素(N2)との混合気体(例えば、乾燥空気(Air))を、ケーブルホルダ24の内周面と内部ケーブル22の外周面との隙間36に流入させる。以下、この混合気体を、便宜的に反応ガスと呼び、酸素を種ガスと呼ぶ場合がある。
【0021】
また、電極ホルダ28の下端から延び出す電極30には、制御ボックス15の電源部15Aから電圧が印加される。詳しくは、制御ボックス15の電源部15Aから電源ケーブルを介してプラズマヘッド11の内部ケーブル22に電力が供給され、導体62及び圧着端子56に電力が供給される。そして、圧着端子56に供給された電力が電極ホルダ28を介して電極30に流れる。このように、電極30に電力が供給されることで、電極30に電圧が印される。この際、電極30への電圧の印加によって、
図5に示すように、電極30の先端から疑似アークAが発生する。疑似アークAは、反応ガスの流れに沿って発生するため、電極30の先端から下方に向って発生し、ノズル32の先端に至る。このため、電極30の先端とノズル32の先端との間で疑似アークAが発生する。そして、電極30の先端とノズル32の先端との間で発生した疑似アークAを反応ガスが通過する際に、反応ガスは、プラズマ化される。従って、電極30の先端とノズル32の先端との間で疑似アークAの放電が発生し、反応ガスをプラズマ化し、プラズマガスを発生させる。
【0022】
このような構造により、プラズマヘッド11では、電極30の先端とノズル32の先端との間で発生する放電によりプラズマガスが発生し、ノズル32の先端に形成された開口32Aから噴出される。そして、プラズマガスがノズル32の開口32Aから噴出されることで、被処理物Wに対してプラズマ処理が施される。このように電極30の先端とノズル32の先端との間での放電によりプラズマガスを発生させるプラズマヘッド11では、電極30の先端が摩耗する。このため、プラズマヘッド11では、ホーローボルト66により電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量を調整することが可能であり、電極30を交換することも可能である。
【0023】
詳しくは、プラズマヘッド11によりプラズマ処理が実行される前に、電極30の先端が電極ホルダ28の下端から所定量(例えば、3~5mm)延び出すように、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が調整される。つまり、ホーローボルト66の横穴68への捩じ込みが緩められて、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が所定量(例えば、3~5mm)となるように調整される。そして、ホーローボルト66が横穴68に捩じ込まれて電極30が電極ホルダ28の内部で固定された後に、プラズマヘッド11に反応ガスが供給され、電極30に電圧が印加されることで、プラズマヘッド11によるプラズマ処理が実行される。このようにプラズマ処理が実行されることで、電極30の先端が徐々に摩耗して、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が少なくなる。
【0024】
このように、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が所定量より少なくなった場合に、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が調整される。つまり、ホーローボルト66の横穴68への捩じ込みが緩められて、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が所定量となるように、電極30が下降される。そして、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が所定量となった後に、ホーローボルト66が横穴68に捩じ込まれて電極30が電極ホルダ28の内部で固定される。これにより、電極30の先端の延出量が所定量より少なくなった場合において、再度、電極30の先端の延出量を所定量にすることができる。
【0025】
また、電極30の先端の延出量の調整が繰り返し実行されると、電極30が短くなり、ホーローボルト66により電極30を固定することができなくなる。つまり、例えば、電極30の長さ寸法が、電極ホルダ28の下端面と横穴68の形成位置との間の長さ寸法と同程度となると、電極30の先端を電極ホルダ28の下端から延出させた状態で、電極30をホーローボルト66により固定することができなくなる。このように、ホーローボルト66により電極30を固定することができなくなった場合には、電極30が交換される。つまり、ホーローボルト66の横穴68への捩じ込みが緩められて、使用済みの電極30が電極ホルダ28の第2内周面52から抜き出される。そして、新たな電極30が電極ホルダ28の第2内周面52に挿入されて、ホーローボルト66により新たな電極30が電極ホルダ28の内部で固定される。
【0026】
このように、プラズマヘッド11では、ホーローボルト66により電極30の先端の延出量が調整され、電極30も交換されることで、従来のプラズマヘッドと比較して、消耗部品としての電極のランニングコストの低減が図られている。詳しくは、
図6に示すように、従来のプラズマヘッド70は、概して円柱形状の電極72を備えている。電極72には、下方に向うほど先細る形状である。また、プラズマヘッド70の筐体76の内部には、円環形状の電極装着具78が固定的に嵌合されている。円環形状の電極装着具78の内周面には、ネジ溝が形成されており、電極装着具78の内周面がネジ穴として機能している。また、電極72の上端部の外周面にネジ山が形成されている。そして、電極72の上端部が電極装着具78のネジ穴として機能する内周面に挿入されて捩じ込まれることで、電極72が電極装着具78に着脱可能に装着される。
【0027】
また、電極72の上端部には有底穴80が形成されており、その有底穴80に圧着端子82が挿入されている。圧着端子82には、プラズマヘッド11と同様に、内部ケーブル(図示省略)等を介して電流が供給される。これにより、プラズマヘッド70においても、電極72に電圧が印加されて、電極72の先端と筐体76のノズル88の先端との間で疑似アークの放電が発生し、プラズマガスが発生する。このため、プラズマヘッド70の使用に伴って、電極72の先端が摩耗し、電極72が短くなる。そして、電極72の長さ寸法が予め設定された長さ寸法より短くなった場合に、使用済みの電極72が電極装着具78から取り外されて、その電極装着具78に新たな電極72が取り付けられる。これにより、新たな電極72での放電を適切に行うことが可能となり、プラズマガスの発生が担保される。
【0028】
このように、従来のプラズマヘッド70では、電極72が短くなった場合に、電極72の交換が行われる。一方、プラズマヘッド11では、電極30が短くなった場合に、電極30を交換することなく、ホーローボルト66により電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量が調整される。そして、ホーローボルト66により電極30を固定することができなくなるほど電極30が短くなった場合に、電極30が交換される。このように、プラズマヘッド11では、電極30が相当短くなるまで、電極30を交換することなく使用することができる。このため、プラズマヘッド11では、消耗部品としての電極のランニングコストの低減を図ることができる。
【0029】
また、
図4と
図6とを比較して判るように、プラズマヘッド11の電極30の体積は、従来のプラズマヘッド70の電極72の体積より小さい。このため、プラズマヘッド11によれば、電極のコストを抑制することができる。また、プラズマヘッド11の電極は、丸棒形状であるため、電極の加工費を抑制し、電極のコストを更に抑制することができる。そして、電極のコストを抑制することができるため、電極の材質を例えば高価であるが、長寿命のものに変更することも可能となる。
【0030】
さらに言えば、プラズマヘッド70では、
図5に示すように、電極ホルダ28の下端部側に横穴68が形成されており、その横穴68に電極30の延出量を調整するホーローボルト66が捩じ込まれている。つまり、横穴68に電極30の延出量を調整するホーローボルト66が電極ホルダ28の下端部側において電極30を固定している。具体的には、電極ホルダ28の下端とホーローボルト66の配設位置との上下方向の長さが、摩耗していない状態の電極30、つまり、新品の電極30の長さ寸法の1/4~1/3程度の長さ寸法とされている。このため、電極30が、新品の電極30の長さ寸法の1/4~1/3程度の長さ寸法となるまで、その電極30を使用することが可能となる。これにより、電極30を長期間使用することが可能となり、消耗部品としての電極のランニングコストの低減を図ることが可能となる。
【0031】
因みに、プラズマヘッド11は、プラズマ発生装置の一例である。筐体20は、筐体の一例である。電極ホルダ28は、ホルダの一例である。電極30は、電極の一例である。ノズル32の開口32Aは、噴出口の一例である。ホーローボルト66は、固定具の一例である。
【0032】
以上、上記した本実施形態では、以下の効果を奏する。
【0033】
プラズマヘッド11が、放電により処理ガスをプラズマ化させる電極30と、電極30の先端を延び出させた状態で電極30を保持する電極ホルダ28と、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量を調整可能かつ、電極30を交換可能に電極ホルダ28に固定するホーローボルト66とを備える。このため、プラズマヘッド11の使用に伴って電極30が短くなった場合において電極30を電極ホルダ28から延び出させることで、消耗部品としての電極のランニングコストの低減を図ることができる。
【0034】
また、電極30は棒形状であり、電極ホルダ28は、棒形状の電極30を内部において保持する筒形状である。これにより、電極30の加工費を抑制し、電極30のコストを抑制することができる。
【0035】
また、ホーローボルト66は、電極ホルダ28の電極30が延び出す側において電極30を固定する。これにより、電極30が相当短くなるまで、電極30を使用することができるため、消耗部品としての電極のランニングコストの低減を更に図ることができる。
【0036】
また、プラズマヘッド11は、電極30を内部に有する筐体20を備える。そして、電極ホルダ28から延び出す電極30の先端と、筐体20の先端との間で放電を発生させて処理ガスをプラズマ化させることで、プラズマヘッド11は筐体20の先端に形成された開口32Aからプラズマガスを噴出する。これにより、1本の電極により処理ガスをプラズマ化させることができ、プラズマヘッド11のコストを削減することができる。
【0037】
また、電極ホルダ28は、電極30の先端が延び出す電極ホルダ28の端部と反対側の端部において筐体20の内部で固定される。これにより、電極ホルダ28から延び出す電極30の周囲において気体の流れを担保し、気体の流れを阻害しないことで、電極30による放電を適切に行うことが可能となる。
【0038】
また、ホーローボルト66は、電極ホルダ28の表面から外部に露出することなく電極ホルダ28の内部において電極30を固定する。これにより、電極30の先端が延び出す電極ホルダ28の周囲において気体の流れを担保し、気体の流れを阻害しないことで、電極30による放電を適切に行うことが可能となる。
【0039】
プラズマヘッド11では、電極30の先端の電極ホルダ28からの延出量を調整する調整工程と、電極ホルダ28から延び出した電極30の先端に生じる放電により処理ガスをプラズマ化させるプラズマ化工程とが実行される。これにより、プラズマヘッド11の使用に伴って電極30が短くなった場合において電極30を電極ホルダ28から延び出させることで、消耗部品としての電極のランニングコストの低減を図ることができる。
【0040】
尚、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、電極30を固定する固定具としてホーローボルト66が採用されているが、電極30を固定可能なものであれば、種々の構造の固定具を採用することができる。例えば、コレット構造,すり割り構造等の種々の構造の固定具を採用することができる。
【0041】
また、上記実施例では、電極30の先端と筐体20の先端との間で放電を発生させて処理ガスをプラズマ化させている。つまり、1本の電極30により放電を発生させている。一方で、複数本の電極間で放電を発生させてもよい。そして、それら複数本の電極のうちの少なくとも1本が、電極の延出量を調整可能かつ、交換可能に電極ホルダに固定具により固定されてもよい。
【0042】
尚、本開示の内容は、請求項に記載の従属関係に限定されない。例えば、請求項3において「請求項2に記載のプラズマ発生装置」を「請求項1または請求項2に記載のプラズマ発生装置」に変更した技術思想についても、本明細書は開示している。例えば、請求項6において「請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置」を「請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のプラズマ発生装置」に変更した技術思想についても、本明細書は開示している。
【符号の説明】
【0043】
11:プラズマヘッド(プラズマ発生装置) 20:筐体 28:電極ホルダ(ホルダ) 30:電極 32A:開口(噴出口) 66:ホーローボルト(固定具)