(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025921
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システム
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129300
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 雄介
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047CC16
4C047KK01
4C047KK03
4C047KK13
4C047KK14
4C047KK15
4C047KK24
4C047KK28
4C047KK31
(57)【要約】
【課題】薬剤の鑑別精度を低下させることなくカメラの校正を行うことができるようにする。
【解決手段】薬剤が載置され、上面部と下面部のそれぞれに校正用マーカが設けられたトレイと、前記トレイを上方から撮影する上側カメラと、前記トレイを下方から撮影する下側カメラと、前記トレイを水平な一方向及び他方向に移動させる駆動部と、前記トレイが第1の位置にあるときに、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより撮影される画像に写らないように前記校正用マーカを遮蔽する遮蔽部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記トレイを前記第1の位置に移動させて前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイ上に載置された薬剤の撮影を行い、また前記トレイを前記第1の位置とは異なる第2の位置に移動させて、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイに設けられた前記校正用マーカの撮影を行う。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤が載置され、上面部と下面部のそれぞれに校正用マーカが設けられたトレイと、
前記トレイを上方から撮影する上側カメラと、
前記トレイを下方から撮影する下側カメラと、
前記トレイを水平な一方向及び他方向に移動させる駆動部と、
前記トレイが第1の位置にあるときに、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより撮影される画像に写らないように前記校正用マーカを遮蔽する遮蔽部と、
前記上側カメラ及び前記下側カメラによる撮影と、前記駆動部による前記トレイの移動とを制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記トレイを前記第1の位置に移動させて前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイ上に載置された薬剤の撮影を行い、また前記トレイを前記第1の位置とは異なる第2の位置に移動させて、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイに設けられた前記校正用マーカの撮影を行う
ことを特徴とする薬剤撮影装置。
【請求項2】
前記遮蔽部には、前記校正用マーカを露出させるマーカ露出孔が設けられ、
前記トレイが前記第1の位置にあるときには、前記校正用マーカの位置が、前記マーカ露出孔の位置からずれて、前記校正用マーカが前記遮蔽部により遮蔽され、
前記トレイが前記第2の位置にあるときには、前記校正用マーカの位置が、前記マーカ露出孔の位置と一致して、前記校正用マーカが前記マーカ露出孔から露出する
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤撮影装置。
【請求項3】
前記遮蔽部は、
前記トレイを前記水平な一方向及び他方向に移動可能に支持するレールである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤撮影装置。
【請求項4】
前記駆動部は、
前記トレイを前記水平な一方向及び他方向として薬剤撮影装置の前後方向に移動させ、
前記校正用マーカは、前記トレイの上面部の左端部と右端部、及び前記トレイの下面部の左端部と右端部とに設けられ、
前記レールは、
前記トレイの上面部の左端部及び下面の左端部を覆う左レールと、前記トレイの上面部の右端部及び下面の右端部を覆う右レールとで構成される
ことを特徴とする請求項3に記載の薬剤撮影装置。
【請求項5】
前記校正用マーカは、発光可能であり、
前記制御部は、前記トレイが前記第2の位置にあるときに、前記校正用マーカを発光させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の薬剤撮影装置。
【請求項6】
薬剤が載置される透明な受け皿を有するトレイと、
前記受け皿を上方から撮影する上側カメラと、
前記受け皿を下方から撮影する下側カメラと、
前記トレイを水平な一方向及び他方向に移動させる駆動部と、
前記上側カメラ及び前記下側カメラによる撮影と、前記駆動部による前記トレイの移動とを制御する制御部と
を備え、
前記受け皿は、上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状であり、
前記制御部は、
薬剤撮影時には、前記トレイを所定の位置に移動させ、前記上側カメラにより前記受け皿上に載置された薬剤の撮影を行い、また前記下側カメラにより前記受け皿上に載置された薬剤の撮影を行い、
前記上側カメラ及び前記下側カメラのカメラ校正時には、前記トレイを所定の位置に移動させ、前記上側カメラにより前記受け皿の撮影を行い、また前記下側カメラにより前記受け皿の撮影を行う
ことを特徴とする薬剤撮影装置。
【請求項7】
前記受け皿に上方から光を照射する上側照明と、
前記受け皿に下方から光を照射する下側照明と
を備え、
前記制御部は、前記上側照明及び前記下側照明による光の照射を制御し、
さらに前記制御部は、
前記カメラ校正時には、前記トレイを所定の位置に移動させ、前記下側照明により前記受け皿に下方から光を照射した状態で前記上側カメラにより前記受け皿の撮影を行い、また前記上側照明により前記受け皿に上方から光を照射した状態で前記下側カメラにより前記受け皿の撮影を行う
ことを特徴とする請求項6に記載の薬剤撮影装置。
【請求項8】
前記受け皿は、上方及び下方から見て長方形の4つの角のうちの1つを面取りした形状である
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の薬剤撮影装置。
【請求項9】
請求項1又は6に記載の薬剤撮影装置と、
薬剤の特徴を蓄積した薬剤データベースと、
前記薬剤撮影装置により撮影された薬剤の特徴と、前記薬剤データベースに蓄積された薬剤の特徴とを比較することで、前記撮影された薬剤を鑑別する薬剤鑑別装置と
を備える
ことを特徴とする薬剤鑑別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル剤などの薬剤を薬剤撮影装置により撮影して得られた画像をもとに、薬剤を鑑別する薬剤鑑別装置がある。この種の薬剤鑑別装置では、例えば、シャーレ上に載置された薬剤を上方のカメラで撮影して得られた画像と下方のカメラで撮影して得られた画像とから、薬剤に印刷又は刻印された薬剤識別情報などの特徴を抽出し、抽出した特徴を用いて薬剤を鑑別するようになっていた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この薬剤鑑別装置では、上方のカメラで撮影した画像に写っている薬剤と、下方のカメラで撮影した画像に写っている薬剤とを、各画像内での位置により対応付けて(つまり同一の薬剤と認識して)鑑別することで、複数の薬剤を1度に鑑別できるようになっている。一方で、このような薬剤鑑別装置で良好な鑑別精度を得る為には、薬剤撮影装置が有する2つのカメラの位置と向きを特定して校正する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カメラの校正方法としては、カメラで校正用マーカを撮影して得られた画像をもとにソフトウェア的にカメラを校正する方法が広く知られている。このような校正方法を用いる場合、薬剤撮影装置において、カメラの画角(つまり撮影範囲)に収まる箇所に校正用マーカを設ける必要がある。しかしながらこの場合、薬剤を撮影して得られた画像に、薬剤とともに校正用マーカが写り込んでしまう為、薬剤の鑑別精度が低下するという問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の点を考慮したものであり、薬剤の鑑別精度を低下させることなくカメラの校正を行うことができるようにする薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の薬剤撮影装置においては、薬剤が載置され、上面部と下面部のそれぞれに校正用マーカが設けられたトレイと、前記トレイを上方から撮影する上側カメラと、前記トレイを下方から撮影する下側カメラと、前記トレイを水平な一方向及び他方向に移動させる駆動部と、前記トレイが第1の位置にあるときに、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより撮影される画像に写らないように前記校正用マーカを遮蔽する遮蔽部と、前記上側カメラ及び前記下側カメラによる撮影と、前記駆動部による前記トレイの移動とを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記トレイを前記第1の位置に移動させて前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイ上に載置された薬剤の撮影を行い、また前記トレイを前記第1の位置とは異なる第2の位置に移動させて、前記上側カメラ及び前記下側カメラにより前記トレイに設けられた前記校正用マーカの撮影を行う。
【0008】
トレイを第1の位置に移動させて薬剤の撮影を行うことで、撮影により得られた画像に校正用マーカが写り込んでしまうことを防ぐことができ、このとき得られた画像を用いて薬剤鑑別装置側で精度良く薬剤を鑑別することができる。またトレイを第2の位置に移動させて校正用マーカの撮影を行うことで、このとき得られた画像に写る校正用マーカを用いて上側カメラ及び下側カメラを校正することができる。
【0009】
また本発明の薬剤撮影装置においては、薬剤が載置される透明な受け皿を有するトレイと、前記受け皿を上方から撮影する上側カメラと、前記受け皿を下方から撮影する下側カメラと、前記トレイを水平な一方向及び他方向に移動させる駆動部と、前記上側カメラ及び前記下側カメラによる撮影と、前記駆動部による前記トレイの移動とを制御する制御部とを備え、前記受け皿は、上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状であり、前記制御部は、薬剤撮影時には、前記トレイを所定の位置に移動させ、前記上側カメラにより前記受け皿上に載置された薬剤の撮影を行い、また前記下側カメラにより前記受け皿上に載置された薬剤の撮影を行い、前記上側カメラ及び前記下側カメラのカメラ校正時には、前記トレイを所定の位置に移動させ、前記上側カメラにより前記受け皿の撮影を行い、また前記下側カメラにより前記受け皿の撮影を行う。
【0010】
受け皿を上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状とし、当該受け皿の撮影を行うことで、このとき得られた画像に写る受け皿の外枠の形状を校正用マーカの代わりとして用いて上側カメラ及び下側カメラを校正することができる。また薬剤とは明らかに大きさが異なる受け皿の形状を校正用マーカの代わりとして用いる為、薬剤撮影時に、受け皿の形状が、薬剤と誤鑑別されるようなことはない。
【0011】
さらに本発明の薬剤鑑別システムにおいては、上述した本発明の薬剤撮影装置と、薬剤の特徴を蓄積した薬剤データベースと、前記薬剤撮影装置により撮影された薬剤の特徴と、前記薬剤データベースに蓄積された薬剤の特徴とを比較することで、前記撮影された薬剤を鑑別する薬剤鑑別装置とを備える。
【発明の効果】
【0012】
かくして本発明は、薬剤の鑑別精度を低下させることなくカメラの校正を行うことができるようにする薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態による持参薬鑑別システムの全体構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態による撮影装置の外観を示す斜視図である。
【
図3】第1及び第2の実施の形態による撮影装置内部に設けられた撮影機構の構成を示す部分断面図である。
【
図4】第1の実施の形態によるトレイユニットの構成を示す斜視図である。
【
図5】第1の実施の形態によるトレイユニット(初期位置)を上方から見た図である。
【
図6】第1の実施の形態によるトレイユニット(薬剤撮影位置及びカメラ校正位置)を上方から見た図である。
【
図7】第1の実施の形態による持参薬鑑別システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図8】第1の実施の形態による上側カメラの撮影範囲を示す図である。
【
図9】第1の実施の形態によるトレイとレールの位置関係を示す図である。
【
図10】第2の実施の形態によるトレイユニットを上方から見た図である。
【
図11】他の実施の形態によるトレイ(薬剤撮影位置)及びレールの構成を示す図である。
【
図12】他の実施の形態によるトレイ(排出位置及びカメラ校正位置)及びレールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.持参薬鑑別システムの全体構成]
まず
図1を用いて、第1の実施の形態による薬剤鑑別システムとしての持参薬鑑別システム1の全体構成について簡単に説明する。この持参薬鑑別システム1は、病院や薬局などの医療機関に導入され、患者が持参した他の医療機関で処方された薬(以下、これを持参薬と呼ぶ)を鑑別するシステムである。この持参薬鑑別システム1は、USBなどのインタフェースで接続された薬剤鑑別装置としての制御装置2と薬剤撮影装置としての撮影装置3とで構成される。
【0016】
制御装置2は、持参薬鑑別システム1全体を制御するコンピュータであり、本体部20と、本体部20に接続された表示部21と操作部22とを有している。表示部21は液晶ディスプレイなどであり、操作部22は、キーボードやマウスなどである。
【0017】
撮影装置3は、持参薬としての薬剤を撮影する装置であり、箱型の装置筐体30を有している。装置筐体30の前面には、上下方向の中央部にトレイ排出口31が設けられている。撮影装置3は、このトレイ排出口31からトレイ(
図1では省略)を前方に排出することで、トレイを装置筐体30外部に露出することができ、また前方に排出したトレイを後方に引き戻すことで、トレイを装置筐体30内部に収容できるようになっている。尚、トレイ排出口31には、トレイ排出時には開き、トレイ収容時には閉じるシャッタ32が設けられている。持参薬鑑別システム1の構成は、以上のようになっている。尚、本実施の形態では、持参薬鑑別システム1を、制御装置2と撮影装置3とで実現しているが、これに限らず、制御装置2と撮影装置3の両方の機能を備える1台の装置により持参薬鑑別システム1を実現してもよい。
【0018】
ここで、持参薬鑑別システム1の大まかな動作について簡単に説明する。まず薬剤師などの操作者(オペレータ)が、制御装置2を操作して撮影装置3のトレイの排出を指示すると、制御装置2は、この指示に従って撮影装置3にトレイの排出を指示する。撮影装置3は、この指示に従ってトレイ排出口31からトレイを排出する。ここで操作者は、装置筐体30外部に露出しているトレイ上に鑑別したい薬剤(つまり患者の持参薬)を載置する。
【0019】
その後、操作者が、制御装置2を操作して薬剤の鑑別を指示すると、制御装置2は、この指示に従って撮影装置3に薬剤の撮影を指示する。撮影装置3は、この指示に従ってトレイを後方に引き戻して装置筐体30内部に収容し、装置筐体30内部に有するカメラ(
図1では省略)でトレイ上の薬剤を撮影する。このようにして撮影装置3により撮影された画像は制御装置2へ送られる。制御装置2は、撮影装置3から送られてきた画像に写っている薬剤の特徴(形状、大きさ、色、印刷又は刻印された薬剤識別情報など)をもとに薬剤の鑑別を行い、鑑別結果を表示部21に表示する。持参薬鑑別システム1の大まかな動作は、以上のようになっている。
【0020】
[1-2.撮影装置の外観構成]
次に、撮影装置3の外観構成について、
図2(A)、(B)を用いて説明する。尚、
図2(A)、(B)は、それぞれ撮影装置3の外観を装置筐体30の前面側から見た斜視図であり、
図2(A)はトレイ収容時、
図2(B)はトレイ排出時の斜視図となっている。ここで、装置筐体30の前面から後面への方向を後方向、後面から前面への方向を前方向、装置筐体30の下側から上側への方向を上方向、装置筐体30の上側から下側への方向を下方向、装置筐体30の右側から左側への方向を左方向、装置筐体30の左側から右側への方向を右方向と定義する。
【0021】
図2(A)、(B)に示すように、撮影装置3の装置筐体30は、前面の大よそ上半分を形成する着脱可能な前カバー33を有している。この前カバー33の下部(つまり装置筐体30の前面中央)には、トレイ排出口31とシャッタ32が設けられていて、
図2(B)に示すように、シャッタ32が開いてトレイ排出口31からトレイ40の一部が排出されるようになっている。トレイ40は、透明な板状部材(例えばガラス板)でなる受け皿41を有していて、トレイ排出口31から排出されたときに、少なくともこの受け皿41を装置筐体30外部に露出させ、この受け皿41上に薬剤を載置できるようになっている。また装置筐体30の内部には後述する撮影機構50が設けられていて、トレイ40はこの撮影機構50の一部となっている。撮影装置3の外観構成は、以上のようになっている。
【0022】
尚、持参薬鑑別システム1では、バラの薬剤を受け皿41にセット(載置)することでバラの薬剤を鑑別できるだけでなく、袋に収納した一包化薬をそのままトレイ40上にセット(載置)することで、当該一包化薬に含まれている薬剤を袋から出さずに鑑別できるようにもなっている。
【0023】
[1-3.撮影機構の構成]
次に、
図3を用いて、撮影装置3の内部に設けられた撮影機構50の構成について説明する。尚、
図3は、撮影機構50を装置筐体30の前面側から見た図であり、一部を省略又は簡略化した模式図となっている。また
図3は、ハッチングで示す一部分が断面となっている部分断面図である。
【0024】
この
図3に示すように、撮影機構50は、前後方向に移動可能なトレイ40と、装置筐体30内部に収容されたトレイ40の上方に配置された、上側カメラ51、当該上側カメラ51に取り付けられたレンズ52、上側第1照明53、上側第2照明54と、当該トレイ40の下方に配置された、下側カメラ55、当該下側カメラ55に取り付けられたレンズ56、下側第1照明57、下側第2照明58とを有している。
【0025】
トレイ40は、上述したように薬剤を載置する為の透明な板状の受け皿41を有していて、当該受け皿41を水平に保った状態で前後方向に移動可能となっている。尚、このトレイ40は、トレイ40とトレイ40を前後方向に移動させる駆動部(
図3では省略)などとで構成されるトレイユニット70として、撮影機構50に組み込まれている。トレイユニット70について詳しくは後述する。このトレイ40の上方には、トレイ40に1番近い位置に上側第2照明54が配置され、その上方に上側第1照明53が配置され、さらにその上方に、上側カメラ51がレンズ52を下方(つまりトレイ40の上面部側)に向けて配置されている。
【0026】
一方、トレイ40の下方には、トレイ40に1番近い位置に下側第2照明58が配置され、その下方に下側第1照明57が配置され、さらにその下方に、下側カメラ55がレンズ56を上方(つまりトレイ40の下面部側)に向けて配置されている。
【0027】
上側カメラ51は、トレイ40の透明な受け皿41に載置された薬剤を上方から撮影するカメラであり、レンズ52から延びる光軸A1が水平な受け皿41に対して垂直となる向きで、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側カメラ51は、例えばUSBケーブル60により制御装置2と接続されていて、制御装置2からの指示に従って撮影を実行し、その結果得られた画像を制御装置2に送信するようになっている。
【0028】
一方、下側カメラ55は、トレイ40の透明な受け皿41に載置された薬剤を下方から撮影するカメラであり、レンズ56から延びる光軸A2が受け皿41に対して垂直となる向きで、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側カメラ55も、上側カメラ51と同様、例えばUSBケーブル61により制御装置2と接続されていて、制御装置2からの指示に従って撮影を行い、その結果得られた画像を制御装置2に送信するようになっている。これら上側カメラ51と下側カメラ55は、それぞれの光軸A1、A2が一致する(重なる)ようにして固定されている。
【0029】
上側カメラ51及び下側カメラ55は、それぞれレンズ52及びレンズ56を介して、受け皿41の上面側にピントが合うように(つまり受け皿41の上面に載置された薬剤にピントが合うように)高さ方向の位置が調整されている。
【0030】
上側第1照明53は、上側カメラ51の撮影範囲の外側に位置するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側第1照明53は、例えばLEDを光源とするフラット照明であり、撮影時にトレイ40の受け皿41に対して、上方から垂直方向(つまり上側カメラ51の光軸A1と平行な方向である図中矢印B1で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0031】
上側第2照明54は、上側カメラ51の撮影範囲の外側に位置するとともに、上側第1照明53の外径より大きな内径を有するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側第2照明54は、例えばLEDを光源とするローアングル照明であり、トレイ40の受け皿41に対して、上方から上側カメラ51の光軸A1へと向かう斜め方向(図中矢印B2で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0032】
一方、下側第1照明57は、下側カメラ55の撮影範囲の外側に位置するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側第1照明57も、例えばLEDを光源とするフラット照明であり、撮影時にトレイ40の受け皿41に対して、下方から垂直方向に(つまり下側カメラ55の光軸A2と平行な方向である図中矢印B3で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0033】
下側第2照明58は、下側カメラ55の撮影範囲の外側に位置するとともに、下側第1照明57の外径より大きな内径を有するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側第2照明58は、例えばLEDを光源とするローアングル照明であり、トレイ40の受け皿41に対して、下方から下側カメラ55の光軸A2へと向かう斜め方向(図中矢印B4で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0034】
トレイユニット70は、装置筐体30内部に設けられたトレイコントロール基板(
図3では省略)に接続され、上側第1照明53、上側第2照明54、下側第1照明57、及び下側第2照明58は、装置筐体30内部に設けられた照明コントロールユニット(
図3では省略)に接続されている。撮影機構50の構成は、以上のようになっている。
【0035】
[1-4.トレイユニットの構成]
ここで、
図4を用いて、トレイユニット70の構成についてさらに詳しく説明する。尚、
図4は、トレイ40が装置筐体30内部に収容された状態のトレイユニット70を前方ななめ上から見た場合の斜視図である。
【0036】
この
図4に示すように、トレイユニット70は、主要部として、トレイ40と、トレイ駆動モータ71と、左シャフト72Lと、右シャフト72Rと、駆動ベルト73と、左レール74Lと、右レール74Rとを有している。
【0037】
トレイ40は、全体として薄板状の部材であり、長方形板状のトレイ本体部40Cと、トレイ本体部40Cの左右両側面部の後端部から、左右両側面部に対して直交する左右方向に突出する突起部40L、40Rとを有していて、トレイ40を上方から見た上面図である
図5に示すように、全体として上方から見てT字型の形状となっている。尚、
図5は、トレイユニット70に含まれるトレイ40、左シャフト72L、右シャフト72R、左レール74L及び右レール74Rと、上側カメラ51と、装置筐体30の前面とを上方から見た上面図であり、これら以外の部分については省略している。
【0038】
トレイ本体部40Cは、左右の突起部40L、40Rよりも前側に、トレイ本体部40Cを厚さ方向に貫通する上方及び下方から見て四角形状の孔40hが設けられている。さらにトレイ本体部40Cには、この孔40hを塞ぐようにして、トレイ本体部40Cよりも薄い四角形状のガラス板で形成された受け皿41が取り付けられている。
【0039】
またトレイ本体部40Cの上面部には、受け皿41の四角の外側近傍に、それぞれ1つずつカメラ校正用の校正用マーカMkが設けられている。校正用マーカMkは、例えば白色円形状の印となっている。尚、図示しないが、この校正用マーカMkは、トレイ本体部40Cの下面部にも、上面部と同様の位置(つまり受け皿41の四角の外側近傍)に設けられている。
【0040】
またトレイ40は、左右の突起部40L、40Rに、前後方向に貫通するシャフト用孔40Lh(
図5参照)、40Rhが設けられている。トレイ40は、左側のシャフト用孔40Lhと、右側のシャフト用孔40Rhとに、図示しない内部フレームに固定された前後方向に延びる左シャフト72Lと、右シャフト72Rとが挿通されていて、これら左シャフト72L及び右シャフト72Rにより、水平な一方向及び他方向である前後方向に移動可能な状態で支持されている。
【0041】
さらにトレイ40は、
図4に示すように、左側の突起部40Lの上面部が、図示しないフレームに組付けられた前後方向に走行する環状の駆動ベルト73に固定されている。駆動ベルト73は、左シャフト72Lの上方近傍に位置していて、図示しない内部フレームに組み付けられたトレイ駆動モータ71の駆動により前後方向に走行することで、トレイ40を前後方向に移動させるようになっている。つまり、トレイ40は、左側の突起部40Lが駆動ベルト73に引っ張られるようにして、前後方向に移動するようになっている。
【0042】
具体的に、トレイ40は、
図5に示すトレイ収容時の位置と
図2(B)に示すトレイ排出時の位置との間で、前後方向に移動できるようになっている。
図5に示す位置は、トレイ40が撮影装置3内部で最も奥まで引き込まれたときの位置であり、以下、この位置を初期位置と呼ぶ。一方、
図2(B)に示す位置は、トレイ40が撮影装置3外部に最も引き出されたときの位置であり、以下、この位置を排出位置と呼ぶ。
【0043】
初期位置にあるとき、トレイ40は、トレイ40の前端が、撮影装置3の装置筐体30の前面より距離d1だけ後方に位置している。つまりトレイ40は、撮影装置3内部に収容されたままでも、距離d1の範囲内で、前後方向に移動できるようになっている。
【0044】
さらに
図5に示す初期位置にあるとき、トレイ40は、受け皿41の上面の中心が、少なくとも上側カメラ51の光軸A1より後方(つまり下側カメラ55の光軸A2より後方)に位置している。尚、詳しくは後述するが、
図6(A)に示すように、トレイ40は、薬剤の撮影時には、撮影装置3内部で、初期位置から当該初期位置より前方に位置する薬剤撮影位置まで移動させられるようになっている。また
図6(B)に示すように、トレイ40は、上側カメラ51と下側カメラ55の校正時には、撮影装置3内部で、薬剤撮影位置から当該薬剤撮影位置より後方に位置するカメラ校正位置まで移動させられるようになっている。
【0045】
一方、
図2(B)に示す排出位置にあるとき、トレイ40は、左右の突起部40L、40R(
図5参照)を有する後端部を撮影装置3内部に残したまま、受け皿41の全体を撮影装置3外部に露出させるようになっている。尚、トレイ40の現在位置は、図示しないセンサなどにより検知できるようになっている。
【0046】
さらにトレイ40は、トレイ本体部40Cの左右両端部(具体的には四角形状の孔40hの左右両縁よりも外側の部分)が、左レール74L及び右レール74Rに差し込まれている。
【0047】
図4に示すように、左レール74Lは、左シャフト72Lの内側(つまり右側)近傍に、左シャフト72Lに沿って前後方向に延びている。この左レール74Lは、トレイ本体部40Cの上面部側の左端部と対向する上板部74Luと、下面部側の左端部と対向する下板部74Ldと、上板部74Luの前端部外側(前端部左側)と下板部74Ldの前端部外側(前端部左側)とを繋ぐ中央板部74Lcとで構成され、前方から見て内側(右側)に開くコの字型の部材となっている。つまりこの左レール74Lは、前後方向に長い断面コの字型の部材の側面を、後端から前端近傍まで切り欠いた形状となっている。
【0048】
この左レール74Lは、例えば前端側が図示しない内部フレームに固定されていて、上板部74Luと下板部74Ldとの間に、トレイ本体部40Cと同程度の隙間が形成され、この隙間にトレイ本体部40C左端部が差し込まれるようになっている。つまり、左レール74Lは、トレイ40の前後方向への移動を妨げることなく、トレイ本体部40Cの左端部を支持するようになっている。
【0049】
この左レール74Lは、トレイ40が装置筐体30内部に収容されている際に、上板部74Luと下板部74Ldとにより、トレイ本体部40Cの上面部側の左端部と下面部側の左端部を覆うようになっている。このときトレイ本体部40Cの上面部側の左端部に設けられた2つの校正用マーカMkと、下面部側の左端部に設けられた2つの校正用マーカMk(図中省略)とが、それぞれ左レール74Lの上板部74Luと下板部74Ldとにより覆われる。
【0050】
また左レール74Lには、上板部74Luと下板部74Ldの両方にそれぞれ2つずつ校正用マーカMkを露出させる為のマーカ露出孔74Lhが設けられている。具体的には、上板部74Luには、前後方向に間隔を空けて2つのマーカ露出孔74Lhが設けられている。2つのマーカ露出孔74Lhの前後方向の間隔は、トレイ本体部40Cの上面部側の左端部に設けられた2つの校正用マーカMkの前後方向の間隔と同等になっている。一方、下板部74Ldにも、前後方向に間隔を空けて2つのマーカ露出孔74Lhが設けられ、2つのマーカ露出孔74Lhの前後方向の間隔は、トレイ本体部40Cの下面部側の左端部に設けられた2つの校正用マーカMkの前後方向の間隔と同等になっている。
【0051】
左レール74Lに設けられた4つのマーカ露出孔74Lhは、トレイ40が
図6(B)に示すカメラ校正位置にあるときに、トレイ本体部40Cの左端部に設けられた4つの校正用マーカMkと対向する位置に設けられている。つまり、トレイ本体部40Cの左端部に設けられた4つの校正用マーカMkは、トレイ40がカメラ校正位置にあるときに、左レール74Lに設けられた4つのマーカ露出孔74Lhから露出するようになっている。またトレイ40が
図6(A)に示す薬剤撮影位置にあるときには、トレイ本体部40Cの左端部に設けられた4つの校正用マーカMkは、左レール74Lにより覆われるようになっている。
【0052】
尚、左レール74Lに設けられたマーカ露出孔74Lhは、例えば製造誤差などにより、トレイ40がカメラ校正位置からわずかにずれた位置で停止した場合でも、校正用マーカMkが露出するように、校正用マーカMkよりも大きなサイズであることが望ましい。
【0053】
一方、右レール74Rは、左レール74Lと左右対称な構成である為、詳しい説明は省略するが、上板部74Ruと下板部74Rdと中央板部74Rcとで構成され、上板部74Ruと下板部74Rdの両方にそれぞれ2つずつ校正用マーカMkを露出させる為のマーカ露出孔74Rhが設けられている。この右レール74Rも、例えば前端側が図示しない内部フレームに固定されている。
【0054】
右レール74Rに設けられた4つのマーカ露出孔74Rhは、トレイ40が
図6(B)に示すカメラ校正位置にあるときに、トレイ本体部40Cの右端部に設けられた4つの校正用マーカMkと対向する位置に設けられている。つまり、トレイ本体部40Cの右端部に設けられた4つの校正用マーカMkは、トレイ40がカメラ校正位置にあるときに、右レール74Rに設けられた4つのマーカ露出孔74Rhから露出するようになっている。またトレイ40が
図6(A)に示す薬剤撮影位置にあるときには、トレイ本体部40Cの右端部に設けられた4つの校正用マーカMkは、右レール74Rにより覆われるようになっている。
【0055】
尚、右レール74Rに設けられたマーカ露出孔74Rhも、例えば製造誤差などにより、トレイ40がカメラ校正位置からわずかにずれた位置で停止した場合でも、校正用マーカMkが露出するように、校正用マーカMkよりも大きなサイズであることが望ましい。また本実施の形態では、校正用マーカMkを、受け皿41の周囲に4つ設けたが、これに限らず、例えば3つもしくは5つ以上設けるようにしてもよい。さらに本実施の形態では、4つの校正用マーカMkを、それぞれ白色円形状の印としたが、これに限らず、別の色及び形状としてもよい。また4つの校正用マーカMkを、それぞれ異なる色にしたり、それぞれ異なる形状にしたりしてもよい。トレイユニット70の構成は、以上のようになっている。
【0056】
[1-5.持参薬鑑別システムのシステム構成]
次に、
図7に示すブロック図を用いて、持参薬鑑別システム1のシステム構成について簡単に説明する。制御装置2は、制御部100、記憶部101、薬剤鑑別部102、表示部21及び操作部22を有している。一方、撮影装置3は、上側カメラ51、下側カメラ55、照明コントロールユニット80、上側第1照明53、上側第2照明54、下側第1照明57、下側第2照明58、トレイコントロール基板81、トレイ駆動モータ71を有している。
【0057】
制御装置2の制御部100は、持参薬鑑別システム1全体を制御するようになっている。この制御部100は、例えば、CPUとメモリからなり、記憶部101から読み出したプログラムをメモリに展開して実行することにより動作する。具体的に、この制御部100は、記憶部101から薬剤鑑別アプリケーションのプログラムを読み出して実行することにより薬剤鑑別アプリケーションを起動する。そして、制御部100は、操作部22に対する操作者の操作に応じて、薬剤鑑別部102に薬剤の鑑別を行わせ、その鑑別結果を薬剤鑑別アプリケーションの画面上に表示させるようになっている。また制御部100は、上側カメラ51及び下側カメラ55で撮影された画像を受け取り、当該画像に写っている校正用マーカMkをもとに上側カメラ51及び下側カメラ55の位置と向きを特定して校正するようになっている。尚、校正用マーカMkを用いた校正方法については既存の技術を用いる為、詳しい説明は省略する。
【0058】
記憶部101は、各種プログラムにくわえて、患者に関する患者データと、薬剤に関する薬剤データが蓄積されている薬剤データベースDbとを記憶している。薬剤データベースDbに蓄積されている薬剤データには、薬剤ごとのデータとして、少なくとも、薬剤の名前と、薬剤を識別可能な薬剤識別情報、成分名、効果効能、規格、種別(錠剤又はカプセル剤)などを示す薬剤詳細情報と、薬剤の画像と、薬剤の外観の特徴を示す特徴量情報とが含まれている。薬剤鑑別部102は、制御部100から、上側カメラ51及び下側カメラ55で撮影された薬剤の画像を受け取り、この画像と記憶部101に記憶されている薬剤データベースDbとを用いて薬剤の鑑別を行い、その鑑別結果を制御部100に出力する。具体的には、薬剤鑑別部102は、画像に写っている薬剤(つまり撮影された薬剤)の特徴と、薬剤データベースDbに蓄積されている薬剤の特徴とを比較することで、撮影された薬剤を鑑別するようになっている。尚、制御部100が、この薬剤鑑別部102の機能を兼ね備えていてもよい。また薬剤データベースDbについては、記憶部101に記憶していてもよいが、制御装置2とは別の装置に設けてもよい。
【0059】
撮影装置3の上側カメラ51及び下側カメラ55は、所定のインタフェース(例えばUSB)を介して制御装置2の制御部100と接続され、制御部100により制御される。撮影装置3の上側第1照明53、上側第2照明54、下側第1照明57、下側第2照明58は、照明コントロールユニット80と接続され、照明コントロールユニット80により制御される。照明コントロールユニット80は、所定のインタフェースを介して制御装置2の制御部100と接続され、制御部100からの指示にしたがって動作する。撮影装置3のトレイ駆動モータ71は、トレイコントロール基板81に接続され、トレイコントロール基板81により制御される。トレイコントロール基板81は、所定のインタフェースを介して制御装置2の制御部100と接続され、制御部100からの指示にしたがって動作する。またトレイコントロール基板81は、例えば、図示しない位置センサの出力及びトレイ駆動モータ71の駆動信号などをもとに、トレイ40の位置を取得して、これを制御部100に送信するようにもなっている。持参薬鑑別システム1のシステム構成は、以上のようになっている。
【0060】
尚、本実施の形態では、上側カメラ51及び下側カメラ55による撮影と、トレイ40の移動とを、制御装置2側の制御部100により制御するようにしたが、これに限らず、例えば、制御部100からの指示にしたがって、上側カメラ51及び下側カメラ55による撮影と、トレイ40の移動とを制御する制御部を、撮影装置3側に設けてもよい。
【0061】
[1-6.薬剤撮影時とカメラ校正時の動作]
次に、撮影装置3における薬剤撮影時とカメラ校正時の動作について、
図5、
図6を用いて説明する。尚、この動作は、制御装置2の制御部100によって制御される。
【0062】
上述したように、薬剤撮影時、制御部100は、トレイ40を
図6(A)に示す薬剤撮影位置に移動させる。ここで、
図8(A)に、このときの上側カメラ51により撮影される撮影範囲Ar1を示す。この
図8(A)に示すように、薬剤撮影時の上側カメラ51の撮影範囲Ar1内には、トレイ40の受け皿41全体が含まれる。この為、受け皿41上に載置された薬剤Dgを上側カメラ51により上方から撮影することができる。
【0063】
ここで、上側カメラ51による撮影時には上側の照明(つまり上側第1照明53及び上側第2照明54)を用いて、受け皿41上の薬剤Dgに光を当てるようになっている。またこのときの撮影範囲Ar1内には、トレイ40の上面部の一部と、左レール74L及び右レール74Rの上面部の一部も入り込んでいるが、トレイ40と左レール74L及び右レール74Rは非透過性の光学特性を有していて例えば黒色の材料で形成されている。この為、上側カメラ51で撮影した画像は、薬剤Dg以外の背景部分が全て黒色となり、受け皿41上の薬剤Dgのみを鑑別対象とすることができる。
【0064】
また薬剤撮影時の上側カメラ51の撮影範囲Ar1には、トレイ本体部40Cの上面部の左右両端に設けられた4つの校正用マーカMkも入り込んでいるが、このとき、これら4つの校正用マーカMkは、
図8(A)に加えて左側から見た側面図である
図9(A)にも示すように、左レール74L及び右レール74Rにより覆われる為、上側カメラ51で撮影した画像には写り込まないようになっている。
【0065】
また図示しないが、薬剤撮影時の下側カメラ55の撮影範囲内には、トレイ40の受け皿41全体が含まれる。この為、受け皿41上に載置された薬剤Dgを下側カメラ55により下方から撮影することができる。ここで、下側カメラ55による撮影時には下側の照明(つまり下側第1照明57及び下側第2照明58)を用いて、受け皿41上の薬剤Dgに光を当てるようになっている。これにより、下側カメラ55で撮影した画像についても、薬剤Dg以外の背景部分が全て黒色となり、受け皿41上の薬剤Dgのみを鑑別対象とすることができる。
【0066】
また薬剤撮影時の下側カメラ55の撮影範囲には、トレイ本体部40Cの下面の左右両端に設けられた4つの校正用マーカMkも入り込んでいるが、このとき、これら4つの校正用マーカMkも、左レール74L及び右レール74Rにより覆われる為、下側カメラ55で撮影した画像には写り込まないようになっている。この状態で、制御部100は、上側カメラ51による薬剤の撮影と、下側カメラ55による薬剤の撮影とを順に行う。
【0067】
一方、上述したように、カメラ校正時、制御部100は、トレイ40を
図6(B)に示すカメラ校正位置に移動させる。ここで、
図8(B)に、このときの上側カメラ51により撮影される撮影範囲Ar2を示す。この
図8(B)に示すように、カメラ校正時の上側カメラ51の撮影範囲Ar2内には、トレイ本体部40Cの上面の左右両端に設けられた4つの校正用マーカMkが含まれる。このとき、これら4つの校正用マーカMkは、
図8(B)に加えて左側から見た側面図である
図9(B)にも示すように、左レール74Lに設けられた2つのマーカ露出孔74Lh及び右レール74Rに設けられた2つのマーカ露出孔74Rhから上側カメラ51に向かって露出する為、上側カメラ51で撮影した画像に写り込むようになっている。
【0068】
また図示しないが、同様に、薬剤撮影時の下側カメラ55の撮影範囲には、トレイ本体部40Cの下面の左右両端に設けられた4つの校正用マーカMkが含まれる。このとき、これら4つの校正用マーカMkも、左レール74Lに設けられた2つのマーカ露出孔74Lh及び右レール74Rに設けられた2つのマーカ露出孔74Rhから下側カメラ55に向かって露出する為、下側カメラ55で撮影した画像に写り込むようになっている。この状態で、制御部100は、上側カメラ51による校正用マーカMkの撮影と、下側カメラ55による校正用マーカMkの撮影とを順に行い、上側カメラ51により撮影された画像に写る校正用マーカMkをもとに上側カメラ51の位置と向きを特定して校正を行い、下側カメラ55により撮影された画像に写る校正用マーカMkをもとに下側カメラ55の位置と向きを特定して校正を行う。
【0069】
尚、上側カメラ51による校正用マーカMkの撮影には上側の照明を用い、下側カメラ55による校正用マーカMkの撮影には下側の照明を用いるようになっている。制御部100は、このような校正用マーカMkの撮影、及び上側カメラ51及び下側カメラ55の校正を、例えば、撮影装置3の電源投入後のイニシャル動作(撮影装置3の初期設定動作)時に行うようになっている。
【0070】
このように、撮影装置3では、薬剤撮影時には、左レール74L及び右レール74Rによってトレイ本体部40Cの上面及び下面の左右両端に設けられた校正用マーカMkが覆われる位置にトレイ40を移動させて薬剤の撮影を行い、カメラ校正時には、左レール74Lに設けられたマーカ露出孔74Lh及び右レール74Rに設けられたマーカ露出孔74Rhから校正用マーカMkが露出する位置にトレイ40を移動させて校正用マーカMkの撮影を行うようになっている。
【0071】
[1-7.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態の持参薬鑑別システム1では、薬剤撮影装置としての撮影装置3に、薬剤が載置され、上面部と下面部のそれぞれに校正用マーカMkが設けられたトレイ40と、トレイ40を上方から撮影する上側カメラ51と、トレイ40を下方から撮影する下側カメラ55と、トレイ40を水平な一方向及び他方向としての前後方向に移動させる駆動部としてのトレイ駆動モータ71及び駆動ベルト73と、トレイ40が第1の位置としての薬剤撮影位置にあるときに、上側カメラ51及び下側カメラ55により撮影される画像に写らないように校正用マーカMkを遮蔽する遮蔽部としての左レール74L及び右レール74Rとを設けた。さらに薬剤鑑別装置としての制御装置2(もしくは撮影装置3)に、上側カメラ51及び下側カメラ55による撮影と、トレイ駆動モータ71によるトレイ40の移動とを制御する制御部100を設けた。
【0072】
そして制御部100が、トレイ40を薬剤撮影位置に移動させて上側カメラ51及び下側カメラ55によりトレイ40上に載置された薬剤の撮影を行い、またトレイ40を薬剤撮影位置とは異なる第2の位置としてのカメラ校正位置に移動させて、上側カメラ51及び下側カメラ55によりトレイ40に設けられた校正用マーカMkの撮影を行うようにした。
【0073】
すなわち、トレイ40を薬剤撮影位置に移動させたときには、トレイ40の上面部と下面部の左右両端部に設けられた校正用マーカMkの位置が、左レール74L及び右レール74Rに設けられたマーカ露出孔74Lh、74Rhの位置からずれて、前記校正用マーカMkが左レール74L及び右レール74Rにより覆われ(遮蔽され)、トレイ40をカメラ校正位置に移動させたときには、トレイ40に設けられた校正用マーカMkの位置が、マーカ露出孔74Lh、74Rhの位置と一致して、校正用マーカMkがマーカ露出孔74Rh、74Lhから露出するようにした。
【0074】
このように、本実施の形態による持参薬鑑別システム1では、トレイ40を薬剤撮影位置に移動させて薬剤の撮影を行うことで、撮影により得られた画像に校正用マーカMkが写り込んでしまうことを防ぐことができ、このとき得られた画像を用いて精度良く薬剤を鑑別することができる。またトレイ40をカメラ校正位置に移動させて校正用マーカMkの撮影を行うことで、このとき得られた画像に写る校正用マーカMkを用いて上側カメラ51及び下側カメラ55を校正することができる。
【0075】
かくして、本実施の形態では、薬剤の鑑別精度を低下させることなくカメラ(上側カメラ51及び下側カメラ55)の校正を行うことができる。また本実施の形態では、トレイ40の位置を薬剤撮影位置とは異なるカメラ校正位置に移動させてトレイ40に設けられた校正用マーカMkを撮影するだけでカメラの校正を行うことができるので、例えば、持参薬鑑別システム1の製品出荷前に限らず、運用開始後であっても、カメラの校正を行うことができる。
【0076】
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、トレイユニット70の構成が、第1の実施の形態とは異なる実施の形態である。ゆえに、ここでは、主に、トレイユニット70の構成について説明する。尚、第1の実施の形態のトレイユニット70と区別する為、第2の実施の形態のトレイユニット70を、トレイユニット70xとする。
【0077】
[2-1.トレイユニットの構成]
図10に、トレイユニット70xを上方から見た上面図を示す。トレイユニット70xは、トレイユニット70から校正用マーカMkと左レール74L及び右レール74Rとを省略した構成となっている。さらにトレイユニット70xは、トレイ本体部40Cに設けられた受け皿41の外枠(縁)の形状(つまり孔40hの縁の形状)が、トレイユニット70とは異なっている。
【0078】
トレイユニット70では、受け皿41を上方及び下方から見た場合の外枠の形状が四角形状であったのに対して、トレイユニット70xでは、受け皿41を上方及び下方から見た場合の外枠の形状が四角形状ではなく、点対称でも線対象でもない形状となっている。具体的には、トレイユニット70xの受け皿41を上方及び下方から見た場合の外枠の形状は、例えば長方形の4つの角のうちの1つ(例えば右側後方の角)を面取りした形状となっている。尚、この形状は一例であり、受け皿41を上方及び下方から見た場合の外枠の形状が点対称で線対象でもない形状となっていればよい。
【0079】
第2の実施の形態では、このような点対称でも線対象でもない受け皿41の外枠の形状を、校正用マーカMkの代わりとして用いるようになっている。トレイユニット70xの構成は、以上のようになっている。
【0080】
[2-2.薬剤撮影時とカメラ校正時の動作]
次に、撮影装置3における薬剤撮影時とカメラ校正時の動作について、
図3を用いて説明する。尚、
図3に示す撮影機構50は、トレイユニット70、70xを除き、第1の実施の形態と第2の実施の形態とで同一構成となっている。また薬剤撮影時とカメラ校正時の動作は、第1の実施の形態と同様、制御部100により制御される。
【0081】
薬剤撮影時の動作は、第1の実施の形態と同様である為、詳しい説明は省略する。すなわちこのとき、制御部100は、トレイ40を薬剤撮影位置に移動させ、上側カメラ51及び下側カメラ55により受け皿41上に載置された薬剤を撮影する。尚、このとき、薬剤以外の背景部分は全て黒色となる為、受け皿41の形状に関係なく、受け皿41上の薬剤のみを鑑別対象とすることができる。
【0082】
一方、カメラ校正時、制御部100は、トレイ40を例えば薬剤撮影位置に移動させる。尚、このとき移動させる位置は、薬剤撮影位置に限らず、受け皿41を撮影できる所定の位置であればよい。ここで、制御部100は、下側照明(つまり下側第1照明57及び下側第2照明58)を用いてトレイ40に下方から光を当てた状態で上側カメラ51により撮影を行う。こうすることで、上側カメラ51により撮影された画像には、受け皿41の部分だけ上側カメラ51に向かって光が透過することから受け皿41の外枠の形状が写り込む。同様にして、制御部100は、上側の照明(つまり上側第1照明53及び上側第2照明54)を用いてトレイ40に上方から光を当てた状態で下側カメラ55により撮影を行う。こうすることで、下側カメラ55により撮影された画像には、受け皿41の部分だけ下側カメラ55に向かって光が透過することから受け皿41の外枠の形状が写り込む。
【0083】
そして制御部100は、上側カメラ51により撮影された画像に写る受け皿41の外枠の形状を校正用マーカMkの代わりとして用いることで上側カメラ51の位置と向きを特定して校正を行い、下側カメラ55により撮影された画像に写る受け皿41の外枠の形状を校正用マーカMkの代わりとして用いることで下側カメラ55の位置と向きを特定して校正を行う。尚、受け皿41の外枠の形状を用いた校正方法についても、校正用マーカMkを用いる場合と同様、既存の技術を用いる為、詳しい説明は省略する。
【0084】
[2-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態の持参薬鑑別システム1では、薬剤撮影装置としての撮影装置3に、薬剤が載置される透明な受け皿41を有するトレイ40と、受け皿41を上方から撮影する上側カメラ51と、受け皿41を下方から撮影する下側カメラ55と、トレイを水平な一方向及び他方向としての前後方向に移動させる駆動部としてのトレイ駆動モータ71及び駆動ベルト73とを設けた。さらに薬剤鑑別装置としての制御装置2(もしくは撮影装置3)に、上側カメラ51及び下側カメラ55による撮影と、上側照明(上側第1照明53及び上側第2照明54)及び下側照明(下側第1照明57及び下側第2照明58)による光の照射と、トレイ駆動モータ71によるトレイ40の移動とを制御する制御部100を設けた。さらに受け皿41を、上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状とした。
【0085】
そして制御部100が、薬剤撮影時には、トレイ40を所定の位置(薬剤撮影位置)に移動させ、上側カメラ51により受け皿41上に載置された薬剤の撮影を行い、また下側カメラ55により受け皿41上に載置された薬剤の撮影を行うようにした。また制御部100が、上側カメラ51及び下側カメラ55の校正時には、トレイ40を所定の位置(薬剤撮影位置)に移動させ、上側カメラ51により受け皿41の撮影を行い、また下側カメラ55により受け皿41の撮影を行うようにした。
【0086】
このように、第2の実施の形態では、受け皿41を上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状とし、当該受け皿41の撮影を行うことで、このとき得られた画像に写る受け皿41の外枠の形状を校正用マーカMkの代わりとして用いて上側カメラ51及び下側カメラ55を校正することができる。またこのように薬剤とは明らかに大きさが異なる受け皿41の形状を校正用マーカMkの代わりとして用いる為、薬剤撮影時に、受け皿41の外枠の形状が、薬剤と誤鑑別されるようなことはない。
【0087】
かくして、本実施の形態では、第1の実施の形態と同様、薬剤の鑑別精度を低下させることなくカメラの校正を行うことができる。また本実施の形態の場合、左レール74L及び右レール74Rを省略して、トレイユニット70xの部品点数を削減することができ、製造コストなどを削減することができる。
【0088】
また第2の実施の形態では、制御部100が、上側カメラ51及び下側カメラ55のカメラ校正時には、下側照明(下側第1照明57及び下側第2照明58)により受け皿41に下方から光を照射した状態で上側カメラ51により受け皿41の撮影を行い、また上側照明(上側第1照明53及び上側第2照明54)により受け皿41に上方から光を照射した状態で下側カメラ55により受け皿41の撮影を行うようにした。
【0089】
このように、本実施の形態では、カメラ校正時、受け皿41に対して、カメラ(上側カメラ51及び下側カメラ55)とは反対側から光を照射した状態で受け皿41を撮影することにより、カメラにより撮影された画像に、受け皿41の外枠の形状を鮮明に写すことができる。
【0090】
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、前後方向に延びる左レール74L及び右レール74Rを、側面を後端から前端近傍まで切り欠いた形状とすることで、左レール74L及び右レール74Rがトレイ40の前後方向の移動を妨げることなく、左レール74L及び右レール74Rによりトレイ40の左右両端に設けられた校正用マーカMkを覆うようにした。
【0091】
ここで、
図11(A)に示すように、トレイ40の代わりにトレイ40xを設け、左レール74L及び右レール74Rの代わりに左レール74Lx及び右レール74Rxを設けるようにしてもよい。
【0092】
トレイ40xは、トレイ本体部40Cの前後方向の長さが、トレイ40よりも長くなっていて、トレイ本体部40Cの前端寄りの位置に受け皿41が設けられ、トレイ40と同様、受け皿41の四角の外側近傍に、それぞれ1つずつ校正用マーカMkが設けられている。一方、左レール74Lx及び右レール74Rxは、左レール74L及び右レール74Rよりも前後方向の長さが短く、且つ側面が切り欠かれていない断面コの字型の部材であり、左レール74L及び右レール74Rと同様、マーカ露出孔74hが設けられている。具体的には、左レール74Lx及び右レール74Rxは、トレイ40xの前後方向の長さの半分程度の長さとなっている。
【0093】
この左レール74Lx及び右レール74Rxは、
図11(B)に示すように、トレイ40xが最も前方に位置する排出位置まで移動しても、トレイ40xの左右の突起部40L、40Rと接触しないように、装置筐体30の前面側に設けられている。
【0094】
そして、この左レール74Lx及び右レール74Rxは、トレイ40xが薬剤撮影位置(
図11(A)に示す位置)まで移動した際には、トレイ40xに設けられた校正用マーカMkを覆い、トレイ40xがカメラ校正位置(
図12に示す位置)まで移動した際には、トレイ40xに設けられた校正用マーカMkをマーカ露出孔74hから露出するようになっている。
【0095】
またこれに限らず、左レール74Lや右レール74Rの代わりに、トレイ40が薬剤撮影位置まで移動した際には校正用マーカMkを遮蔽し、トレイ40がカメラ校正位置まで移動した際には校正用マーカMkを露出させる種々の部材を、遮蔽部として用いてもよい。
【0096】
[3-2.他の実施の形態2]
また上述した第1の実施の形態では、トレイ40に校正用マーカMkを設けるようにしたが、この校正用マーカMkを、カメラ校正時に(つまりトレイ40がカメラ校正位置にあるときに)、LEDなどにより発光させるようにしてもよい。このようにすれば、上側カメラ51及び下側カメラ55で撮影した画像に、校正用マーカMkをより鮮明に写すことができる。
【0097】
またこのように校正用マーカMkを発光させる場合、例えば校正用マーカMkの発光部分をトレイ本体部40Cと同一色(黒色)にしてもよい。このようにすれば、校正用マーカMkを発光させたときだけ、上側カメラ51及び下側カメラ55で撮影した画像に校正用マーカMkが写り込むことになる(未発光時には校正用マーカMkが黒色背景の一部となる)為、左レール74L及び右レール74Rが不要となる。
【0098】
つまりこの場合、制御部100は、カメラ校正時、トレイ40を所定の位置(例えば薬剤撮影位置もしくはカメラ校正位置)に移動させ、その後、校正用マーカMkを発光させて上側カメラ51により受け皿41の撮影を行い、また下側カメラ55により受け皿41の撮影を行う。
【0099】
[3-3.他の実施の形態3]
また上述した第1及び第2の実施の形態では、1つの薬剤撮影位置でトレイ40上の薬剤を撮影するようにした。これに限らず、例えば本願出願人が先に出願した特開2020-156746に示すように、薬剤撮影位置を複数設定し、制御部100が、トレイ40を複数の薬剤撮影位置に順に移動させ、それぞれの薬剤撮影位置でトレイ40上の薬剤を撮影するようにしてもよい。この場合も、それぞれの薬剤撮影位置において、トレイ40に設けられた校正用マーカMkが、例えば左レール74L及び右レール74Rにより覆われるようになっていればよい。
【0100】
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した各実施の形態では、薬剤鑑別装置の具体例である制御装置2と、薬剤撮影装置の具体例である撮影装置3とを別々に設けた。これに限らず、例えば、撮影装置3に制御装置2の機能(制御部100、記憶部101、薬剤鑑別部102、表示部21、操作部22の機能)を持たせることで、制御装置2と撮影装置3とを一体の薬剤鑑別装置としてもよい。
【0101】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに上述した各実施の形態では、撮影装置3に、トレイ40、40xを水平な一方向及び他方向である前後方向に移動させる駆動部の具体例として、トレイ駆動モータ71及び駆動ベルト73を設けたが、これに限らず、トレイ40、40xを水平な一方向及び他方向に移動させることができるものであれば、トレイ駆動モータ71及び駆動ベルト73とは異なる駆動部を、撮影装置3に設けてもよい。
【0102】
[3-6.他の実施の形態6]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。例えば、第1の実施の形態のトレイ40の受け皿41の外枠の形状を、第2の実施の形態で示した、上方及び下方から見て点対称でも線対象でもない形状にするなどしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、薬剤鑑別システムに組み込まれた薬剤撮影装置などで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1……持参薬鑑別システム、2……制御装置、3……撮影装置、20……本体部、21……表示部、22……操作部、30……装置筐体、40、40x……トレイ、41……受け皿、50……撮影機構、51……上側カメラ、53……上側第1照明、54……上側第2照明、55……下側カメラ、57……下側第1照明、58……下側第2照明、70、70x……トレイユニット、71……トレイ駆動モータ、72L……左シャフト、72R……右シャフト、73……駆動ベルト、74L、74Lx……左レール、74Lh……マーカ露出孔、74R、74Rx……右レール、74Rh……マーカ露出孔、100……制御部、Mk……校正用マーカ、Dg……薬剤。