(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025926
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20240220BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20240220BHJP
【FI】
G06T1/00 510
G06T7/90 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129310
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】針貝 潤吾
(72)【発明者】
【氏名】宇野 美穂
(72)【発明者】
【氏名】桑田 良隆
【テーマコード(参考)】
5B057
5L096
【Fターム(参考)】
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB01
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CC01
5B057CE17
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC08
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA02
(57)【要約】
【課題】実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づける。
【解決手段】プロセッサが、実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得し、主要な照明の情報により補正した照度分布を使用して物品の表現を制御する、情報処理装置を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有し、
前記プロセッサは、
実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得し、
前記主要な照明の情報により補正した照度分布を使用して物品の表現を制御する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記照度分布から主要な照明の色を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記照度分布から主要な照明の強度を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記照度分布を表す第1関数に対する、前記主要な照明の情報を表す第2関数の加算により、当該照度分布を補正した第3関数を算出し、前記補正した照度分布とする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第2関数を固定値として前記第1関数に加算する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1関数と前記第2関数の加重平均として前記第3関数を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記主要な照明の位置と前記照度分布上の各画素との位置関係により光沢の度合いを与える指標を算出し、
算出された前記指標で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記主要な照明の位置との距離が小さい画素に対する前記指標の値を、
前記主要な照明の位置との距離が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、
前記主要な照明の位置に対する角度差が小さい画素に対する前記指標の値を、
前記主要な照明の位置に対する角度差が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記指標を重み係数で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、
前記指標で補正した前記第2関数と前記第1関数の加重平均として前記第3関数を算出する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、
実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得する機能と、
前記主要な照明の情報により補正した前記照度分布を使用して物品の表現を制御する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
物体の色味や光沢の見え方をコンピュータ技術により再現する技術の1つに、物理ベースレンダリングがある。ただし、物理ベースレンダリングは計算量が大きく、リアルタイムでのシミュレーションに難がある。そこで、照度分布を物体の全ての法線方向について予め算出することにより、照度の分布の再現に必要な算出コストを低減する手法も使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、撮像地点の全方位を一度に撮像可能なカメラが実用化されている。この種のカメラは、全天球カメラとも呼ばれ、全天球カメラで撮像された画像は360度パノラマ画像(以下、「全天球画像」ともいう。)とも呼ばれる。全天球画像には、撮像地点における環境光の情報(以下、「輝度情報」ともいう。)が含まれている。この全天球画像の活用により、任意の地点における物体の色味や光沢の見え方をシミュレーションすることが可能になる。なお、全天球画像は、実空間を撮像した画像(以下、「環境光画像」という。)の一例である。
一方で、全天球画像から得られる輝度情報は、実空間での主要な照明光の色や照度と異なることがある。例えば快晴の空の下に白色の紙を設置する場合の見え方をシミュレーションする場合、太陽の方向と紙の法線との関係により紙面が青みを帯びたり、照度が低く再現されることがある。
【0005】
本発明は、実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づけることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、プロセッサを有し、前記プロセッサは、実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得し、前記主要な照明の情報により補正した照度分布を使用して物品の表現を制御する、情報処理装置である。
請求項2に記載の発明は、前記プロセッサは、前記照度分布から主要な照明の色を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記プロセッサは、前記照度分布から主要な照明の強度を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、請求項1又は2に記載の情報処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記プロセッサは、前記照度分布を表す第1関数に対する、前記主要な照明の情報を表す第2関数の加算により、当該照度分布を補正した第3関数を算出し、前記補正した照度分布とする、請求項1に記載の情報処理装置である。
請求項5に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第2関数を固定値として前記第1関数に加算する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記プロセッサは、前記第1関数と前記第2関数の加重平均として前記第3関数を算出する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記プロセッサは、前記主要な照明の位置と前記照度分布上の各画素との位置関係により光沢の度合いを与える指標を算出し、算出された前記指標で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、請求項4に記載の情報処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記プロセッサは、前記主要な照明の位置との距離が小さい画素に対する前記指標の値を、前記主要な照明の位置との距離が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記プロセッサは、前記主要な照明の位置に対する角度差が小さい画素に対する前記指標の値を、前記主要な照明の位置に対する角度差が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記プロセッサは、前記指標を重み係数で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記プロセッサは、前記指標で補正した前記第2関数と前記第1関数の加重平均として前記第3関数を算出する、請求項7に記載の情報処理装置である。
請求項12に記載の発明は、コンピュータに、実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得する機能と、前記主要な照明の情報により補正した前記照度分布を使用して物品の表現を制御する機能と、を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づけることができる。
請求項2記載の発明によれば、実空間における主要な照明の色をシミュレーションの結果に反映できる。
請求項3記載の発明によれば、実空間における主要な照明の強度をシミュレーションの結果に反映できる。
請求項4記載の発明によれば、実空間における主要な照明の影響をシミュレーションの結果に反映できる。
請求項5記載の発明によれば、物体の見え方の再現性を高めることができる。
請求項6記載の発明によれば、物体の見え方の再現性を高めることができる。
請求項7記載の発明によれば、光沢の再現性を高めることができる。
請求項8記載の発明によれば、光沢の再現性を高めることができる。
請求項9記載の発明によれば、光沢の再現性を高めることができる。
請求項10記載の発明によれば、光沢の再現性の精度を一段と高めることができる。
請求項11記載の発明によれば、光沢の再現性の精度を一段と高めることができる。
請求項12記載の発明によれば、実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1で使用する印刷システムの構成例を示す図である。
【
図2】情報処理装置のハードウェア構成を説明する図である。
【
図3】プロセッサによるシミュレーション例1を説明する図である。
【
図4】ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の一例を説明する図である。
【
図5】ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
【
図6】プロセッサによるシミュレーション例2を説明する図である。
【
図7】プロセッサによるシミュレーション例3を説明する図である。
【
図8】光沢感係数を主要な照明と各画素との距離で定義する例を説明する図である。
【
図9】光沢感係数を主要な照明と各画素との角度差で定義する例を説明する図である。
【
図10】ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
【
図11】ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
【
図12】プロセッサによるシミュレーション例4を説明する図である。
【
図13】重み付け光沢感係数の例を説明する図である。(A)は光沢感係数が距離の関数で与えられる場合における重み付け光沢感係数を示し、(B)は光沢感係数が角度差の関数で与えられる場合における重み付け光沢感係数を示す。
【
図14】プロセッサによるシミュレーション例5を説明する図である。
【
図15】実施の形態2で使用する情報処理システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
<実施の形態1>
<システム構成>
図1は、実施の形態1で使用する印刷システム1の構成例を示す図である。
図1に示す印刷システム1は、クライアント端末10と、画像形成装置20と、印刷サーバ30とで構成されている。これらの端末は、ネットワークN経由で通信可能に接続されている。
なお、クライアント端末10と印刷サーバ30は、情報処理装置の一例である。
【0010】
クライアント端末10と印刷サーバ30は、コンピュータを基本構成とする。なお、画像形成装置20と印刷サーバ30は、専用線で接続されてもよい。
画像形成装置20は、記録媒体である用紙等に画像を形成する装置をいう。画像の形成に使用する記録材には、トナーやインクが用いられる。記録材の色には、基本色と呼ばれるY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の他、特色と呼ばれる金属色や蛍光色がある。
【0011】
クライアント端末10には、例えばデスクトップ型のコンピュータ、ノート型のコンピュータ、タブレット型のコンピュータ、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータが用いられる。本実施の形態の場合、クライアント端末10は、専ら入出力装置として使用される。
本実施の形態における画像形成装置20は、例えばプロダクションプリンタでも、オフィスで使用されるプリンタでも、家庭で使用されるプリンタでもよい。画像形成装置20には、プリント機能に加え、スキャナ機能が設けられてもよい。
【0012】
本実施の形態における印刷サーバ30には、クライアント端末10から印刷ジョブを受け付けて画像形成装置20に出力する機能と、物体の質感をシミュレーションする機能が用意されている。
ここでの「質感」は、物体の色味や光沢が人に与える印象をいう。色味や光沢は、物体表面の凹凸構造、物体表面の法線方向と照明光の入射方向、照明光の強度、照明光の色等の影響を受ける。
本実施の形態における印刷サーバ30は、実空間を撮像した画像(すなわち環境光画像)と、シミュレーションの対象である物体の情報とをクライアント端末10から受け付け、ユーザが指定する姿勢での物体の見え方をコンピュータ技術により再現する。
【0013】
シミュレーションに使用する環境光画像は、例えばクライアント端末10から印刷サーバ30にアップロードされる。なお、印刷サーバ30は、クライアント端末10から指示された環境光画像をインターネット上等からダウンロードしたり、読み出したりしてもよい。
図1では、地点Aで撮像された環境光画像を「環境光画像A」、地点Bで撮像された環境光画像を「環境光画像B」という。
【0014】
本実施の形態における環境光画像は、例えば全天球画像、上半球画像、平面画像を含む。
上半球画像は、全天球画像の赤道から上半分をいう。もっとも、上半球画像は、厳密に赤道から天頂までを撮像した画像である必要はなく、ある緯度から天頂までを撮像した画像でもよい。
平面画像は、スマートフォン等のカメラにより撮像された特定の画角の画像をいう。
【0015】
なお、環境光画像が撮像される地点とは、物体が観察される場所のことであり、例えば展示会場の特定のブース、展示室、会議室等を想定する。ブースは、パーテーション等で区切られた空間である。もっとも、物体が観察される場所は室内環境に限らず、屋外環境でもよい。
同じ物体でも、照明光の強度や色が異なれば、観察される質感が異なることがある。また、照明光の強度や色が同じでも、照明光の入射方向と物体表面の法線方向が異なれば、観察される質感が異なることがある。
【0016】
図1におけるネットワークNは、LAN(=Local Area Network)を想定する。ネットワークNは、有線ネットワークでも無線ネットワークでもよい。有線ネットワークには、例えばイーサネット(登録商標)を使用する。無線ネットワークには、例えばWi-Fi(登録商標)を使用する。
なお、
図1に示す印刷システム1のネットワークNには、各1台のクライアント端末10と、画像形成装置20と、印刷サーバ30が接続されているが、いずれも複数台であってもよい。
【0017】
<情報処理装置の構成>
図2は、情報処理装置のハードウェア構成を説明する図である。
図2においては、情報処理装置の一例である印刷サーバ30について表している。なお、クライアント端末10も、
図2に示すハードウェア構成を採用する。
図2に示す印刷サーバ30は、プロセッサ31と、BIOS(=Basic Input Output System)等が記憶されたROM(=Read Only Memory)32と、プロセッサ31のワークエリアとして用いられるRAM(=Random Access Memory)33と、補助記憶装置34と、ユーザインタフェース35と、通信インタフェース36とを有している。
各デバイスは、バスその他の信号線37を通じて接続されている。
【0018】
プロセッサ31は、プログラムの実行を通じて各種の機能を実現するデバイスである。
プロセッサ31、ROM32、RAM33は、コンピュータとして機能する。
補助記憶装置34は、例えばハードディスク装置や半導体ストレージで構成される。補助記憶装置34には、プログラムや各種のデータが記憶される。ここでのプログラムは、OS(=Operating System)やアプリケーションプログラムの総称として使用する。アプリケーションプログラムの1つに物体の質感をシミュレーションするプログラムがある。
図2の場合、補助記憶装置34が印刷サーバ30に内蔵されているが、補助記憶装置34は印刷サーバ30に対して外付けされてもよいし、ネットワークN(
図1参照)上に存在してもよい。
【0019】
ユーザインタフェース35は、出力装置と入力受付装置で構成される。
出力装置には、例えばディスプレイ、スピーカがある。ディスプレイには、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=ElectroLuminescent)ディスプレイが用いられる。
入力受付装置には、例えば電源ボタン、キーボード、マウス、タッチセンサがある。タッチセンサには、例えば静電容量式センサがある。なお、タッチセンサとディスプレイを組み合わせたモジュールは、タッチパネルと呼ばれる。
【0020】
通信インタフェース36は、ネットワークNを通じてクライアント端末10(
図1参照)や画像形成装置20との通信を実現するインタフェースである。通信インタフェース36は、既存の各種の通信規格に対応している。ここでの通信規格には、例えばイーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)がある。
【0021】
<質感のシミュレーション処理>
以下では、プロセッサ31(
図2参照)がプログラムの実行を通じて実現する質感のシミュレーション処理について説明する。
本実施の形態における質感のシミュレーションは、クライアント端末10から印刷サーバ30に対し、シミュレーションの対象とする物品と環境光画像が与えられることで開始される。
本実施の形態では、物品として白色の用紙を想定する。なお、用紙には、カラーチャートが印刷されている。カラーチャートは、複数の色見本の集合体である。
また、環境光画像として屋外で撮像された全天球画像を想定する。ここでの全天球画像には、青い空と太陽が写り込んでいる。
【0022】
<シミュレーション例1>
図3は、プロセッサ31によるシミュレーション例1を説明する図である。なお、図中における記号のSはステップを意味する。
・ステップ1
プロセッサ31は、環境光画像をクライアント端末10から取得する。環境光画像は、撮像地点における環境光の情報を与える。
【0023】
・ステップ2
プロセッサ31は、取得した環境光画像から拡散反射(diffuse)照度マップE(以下、「照度マップE」という。)を生成する。照度マップEは、環境光画像の照度分布又は輝度分布を表現したマップである。照度分布と輝度分布は、いずれも単位面積あたりの明るさの分布を表す情報である。このため、本実施の形態では、2つの分布を「照度分布」と総称する。
照度マップEは、既知の生成方法により作成が可能である。例えばプロセッサ31は、環境光画像を仮想の立方体の表面に張り付けた環境マップを生成し、作成された環境マップから照度マップEを生成する。環境マップも照度マップEもキューブマップである。
【0024】
・ステップ3
プロセッサ31は、照度マップEを解析して主要な照明の情報eを取得する。
本実施の形態では、主要な照明を、単位エリア内の平均照度値が最大となる位置と定義する。この他、主要な照明は、例えば単位エリア内の照度の最大値、パーセンタイル値、輝度分散等の値に基づいて特定してもよい。本実施の形態では、ノイズの影響を除くため、平均照度値が出現する位置を主要な照明の位置とする。
また、プロセッサ31は、主要な照明の情報eとして、主要な照明の色と強度を推定する。もっとも、色だけを推定してもよいし、強度だけを推定することも可能である。なお、主要な照明の情報eは、照明光の色と強度に限らない。
【0025】
・ステップ4
プロセッサ31は、照度マップEを主要な照明の情報eで補正し、補正照度マップE’を生成する。
図3の場合、プロセッサ31は、次式により補正照度マップE’を算出する。
E’(i)=e+E(i)
なお、iは、照度マップE及び補正照度マップE’の各画素を表す。
【0026】
ステップ4における補正照度マップE’は、主要な照明の情報eを、照度マップEの全ての画素に加算することにより算出される。ここでの主要な照明の情報eは、定数(すなわち固定値)である。
因みに、照度マップEは、照度分布を表す第1の関数の一例である。また、主要な情報eは、第2関数の一例である。さらに、補正照度マップE’は、第3関数の一例である。
【0027】
・ステップ5
プロセッサ31は、サンプル画像をクライアント端末10から取得する。
ここでのサンプル画像は、カラーチャートが印刷された白色の用紙である。サンプル画像は、画像ファイルとして、クライアント端末10から印刷サーバ30にアップロードされる。
なお、サンプル画像と環境光画像のアップロードは同時に実行してもよい。
【0028】
・ステップ6
プロセッサ31は、環境光画像内でのサンプル画像の設置場所と姿勢をクライアント端末10から受け付ける。
ここでの姿勢は、例えば用紙の法線の向きにより規定される。シミュレーションでは、主要な照明に対するサンプル画像の姿勢が重要となる。
【0029】
・ステップ7
プロセッサ31は、姿勢に応じたサンプル画像の見え方を、補正照度マップE’を用いてシミュレーションする。照度マップを用いたサンプル画像の見え方をシミュレーション方法は既知である。
・ステップ8
プロセッサ31は、シミュレーション結果をクライアント端末10のディスプレイに表示する。
【0030】
図4は、ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の一例を説明する図である。
サンプル画像101は主要な照明の情報eによる補正前の見え方を示し、サンプル画像102は主要な照明の情報eによる補正後の見え方を示している。
図4では、補正前の状態を「補正なし」と表記し、補正後の状態を「補正あり」と表記している。
サンプル画像101もサンプル画像102も、用紙の法線方向は環境光画像内の主要な照明である太陽の方向を向いている。
【0031】
サンプル画像101のシミュレーションでは、空の色が照明光の色として使用される。その結果、白色の用紙は青みがかった色で再現される。しかし、このシミュレーション結果は、現実とは異なる不自然な見え方である。
一方、サンプル画像102のシミュレーションでは、照明光の色として照度マップEの主要な照明である太陽光の色(白色系)が支配的になる。その結果、白色の用紙は白色のまま再現される。
つまり、補正照度マップE’を用いてシミュレーションすることにより、シミュレーション結果を実際の見え方に近づけることが可能になる。
【0032】
図5は、ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
サンプル画像101は主要な照明の情報eによる補正前の見え方を示し、サンプル画像102は主要な照明の情報eによる補正後の見え方を示している。
図5の場合も、補正前の状態を「補正なし」と表記し、補正後の状態を「補正あり」と表記している。
図5の場合、サンプル画像101とサンプル画像102は、いずれも用紙の法線方向が環境光画像内の主要な照明である太陽と対面する方向から外れている。
【0033】
このため、
図5におけるサンプル画像101では紙面が暗く再現されている。しかし、このシミュレーション結果は、現実とは異なる不自然な見え方である。
図5におけるサンプル画像102のシミュレーションで使用する補正照度マップE’の強度は、照度マップEよりも高い値に補正されている。このため、用紙の法線方向が太陽の方向から外れても、サンプル画像102の紙面の明るさは、サンプル画像101よりも明るく再現されている。このように、補正照度マップE’を用いてシミュレーションすることにより、シミュレーション結果を実際の見え方に近づけることが可能になる。
【0034】
<シミュレーション例2>
図6は、プロセッサ31によるシミュレーション例2を説明する図である。なお、
図6には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
シミュレーション例2では、ステップ4に代えてステップ4Aが実行される。シミュレーション例2の他の処理動作は、シミュレーション例1と同じである。
【0035】
・ステップ4A
ここでのプロセッサ31は、照度マップEを主要な照明の情報eとの加重平均(すなわち重み付き平均)で補正し、補正照度マップE’を生成する。
図6の場合、プロセッサ31は、次式により照度マップEを補正する。
E’(i)=e*c+E(i)*(1-c)
なお、iは、照度マップE及び補正照度マップE’の各画素を表し、cは補正係数を表している。ここでの補正係数cは、0<c<1を満たす。
【0036】
シミュレーション例2の場合も、主要な照明の色と強度が照度マップEの全ての画素に加算される。
ただし、シミュレーション例2における補正照度マップE’における各画素に対する主要な照明の色と強度の影響は、補正係数cの値により、シミュレーション例1よりも小さくなる。
シミュレーション例2の場合には、クライアント端末10のディスプレイ上で補正係数cの値を指定可能としてもよい。もっとも、補正係数cの設定は、ベンダー側の設定としてもよい。
シミュレーション例2の場合には、環境光画像が撮像された地点の環境や撮像の時刻等に応じて補正係数cを変更することにより、シミュレーション結果を現実の見え方に一層近づけることが可能になる。
【0037】
<シミュレーション例3>
図7は、プロセッサ31によるシミュレーション例3を説明する図である。なお、
図7には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
シミュレーション例3では、ステップ4に代えてステップ4Bが実行される。シミュレーション例3の他の処理動作は、シミュレーション例1と同じである。
前述したシミュレーション例1及び2の場合、照度マップEの全ての画素に同じ値が加算される。すなわち、全ての画素で照度が照度マップEよりも高い値に補正されるが、補正後の照度には上限がある。その結果、照度分布が補正前よりも平坦になり、光沢感が減少したシミュレーション結果が得られることがある。
【0038】
・ステップ4B
そこで、プロセッサ31は、主要な照明の情報eを、主要な照明の位置と照度マップ上の各画素との位置関係によって光沢の度合いを与える指標で補正する。ここでの指標を光沢感係数wとする。
図7の場合、プロセッサ31は、次式により補正照度マップE’を算出する。
E’(i)=e*w(i)+E(i)
なお、iは、照度マップE及び補正照度マップE’の各画素を表す。
【0039】
図8は、光沢感係数wを主要な照明と各画素iとの距離dで定義する例を説明する図である。
図8の場合、光沢感係数wは、距離dを変数とする関数f(d)により表されている。なお、光沢感係数wの最大値は1より大きいものとする。
本実施の形態の場合、距離dは、主要な照明の位置と各画素iとのキューブマップ上の距離として計算する。
図8に示す関数f(d)は、距離dが小さい画素iには大きな値の光沢感係数wを使用し、距離dが大きい画素iには小さい値の光沢感係数wを使用する。すなわち、距離dが近いほど光沢感係数wの値を大きくする。
なお、
図8の場合、関数は非線形関数であり、主要な照明との距離dが基準値を超えると急激に減少している。因みに、線形に減少する関係や階段状に減少する関係を排除するものではない。
【0040】
図9は、光沢感係数wを主要な照明と各画素iとの角度差Δωで定義する例を説明する図である。ここでの角度差Δωは、キューブマップの中心と主要な照明の位置とを結ぶ直線と、キューブマップの中心と各画素iの位置を結ぶ直線とがなす角とする。
なお、
図9では、キューブマップの中心と主要な照明の位置とを結ぶ直線は、主要な照明の位置を通る法線の方向を表している。また、キューブマップの中心と各画素iの位置を結ぶ直線は、各画素iの法線方向を表している。
このため、角度差Δωが0°であることは、画素iの法線方向に主要な照明が位置することを意味する。また、角度差Δωが90°に近づくことは、画素iの法線方向が主要な照明の方向から90°の向きにあることを意味する。
【0041】
当然ながら、角度差Δωが0°の場合、該当画素iの法線方向に反射する反射光の成分は最大となる。
一方、角度差Δωが90°の場合、該当画素iの法線方向に反射する反射光の成分は最小となる。
このため、
図9に示す関数f(Δω)は、角度差Δωが小さい画素iには大きな値の光沢感係数wを使用し、角度差Δωが大きい画素iには小さい値の光沢感係数wを使用する。すなわち、近いほど光沢感係数wの値を大きくする。
図9の場合も、関数は非線形関数であり、主要な照明との角度差Δωが基準値を超えると急激に減少している。因みに、線形に減少する関係や階段状に減少する関係を排除するものではない。
【0042】
図10は、ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
図10では、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。
図10には、用紙の法線が主要な照明の方向とほぼ一致する場合、すなわち角度差Δωがほぼ0°の場合におけるシミュレーション結果を表している。
なお、用紙の法線が主要な照明の方向とほぼ一致することは、主要な照明の位置とサンプル画像の画素iとの距離dが近いことを意味する。
【0043】
図10の場合も、サンプル画像102は、シミュレーション例1や例2に対応する。
サンプル画像102における主要な照明の情報eによる補正は、サンプル画像の全体に対して一律である。このため、サンプル画像102では、カラーチャートの見え方は、照度が低い場合とあまり変わらない。
【0044】
一方、サンプル画像103は、光沢感係数wによる補正を加えたシミュレーション結果を表している。
図10では、光沢感係数w(i)による補正を加えた状態を「光沢感の補正あり」と表記している。
図10におけるサンプル画像103では、用紙全体の画素iで、主要な照明の情報eを光沢感係数wで増幅した値が、元の照度マップEに加算されている。この結果、サンプル画像103における用紙全体の照度はサンプル画像102よりも高くなり、カラーチャートは白っぽく表現されている。
このように、補正照度マップE’を用いてシミュレーションすることにより、シミュレーション結果を実際の見え方に近づけることが可能になる。
【0045】
図11は、ディスプレイに表示されるシミュレーション結果の他の例を説明する図である。
図11には、
図5との対応部分に対応する符号を付して示している。
図11では、用紙の法線を主要な照明である太陽と対面する方向から外れる方向に傾けた場合、すなわち角度差Δωを大きくする場合のシミュレーション結果を表している。なお、用紙の法線を主要な照明の方向から外れる方向に傾けるということは、主要な照明の位置とサンプル画像の画素iとの距離dが遠ざかることを意味する。
【0046】
図11に示すサンプル画像102の場合も、主要な照明の情報eによる補正は、サンプル画像の全体に対して一律である。このため、サンプル画像102では、カラーチャートの見え方は照度が低い場合とあまり変わらない。
一方、サンプル画像103では、用紙全体の画素iで、主要な照明の情報eを光沢感係数wで増幅した値が、元の照度マップEに加算されている。
【0047】
この結果、サンプル画像103における用紙全体の照度はサンプル画像102より高くなり、カラーチャートを構成する各色もやや白っぽく表現されている。もっとも、
図10のように用紙の法線の方向に主要な照度が存在しないので、
図10のサンプル画像103に比べると、
図11のサンプル画像103のカラーチャートの見え方はサンプル画像102にやや近い。
このように、補正照度マップE’を用いてシミュレーションすることにより、シミュレーション結果を実際の見え方に近づけることが可能になる。
【0048】
<シミュレーション例4>
図12は、プロセッサ31によるシミュレーション例4を説明する図である。なお、
図12には、
図7との対応部分に対応する符号を付して示している。
シミュレーション例4では、ステップ4Bに代えてステップ4Cが実行される。シミュレーション例4の他の処理動作は、シミュレーション例3と同じである。
【0049】
・ステップ4D
ここでのプロセッサ31は、主要な照明の位置と照度マップ上の各画素との位置関係により光沢の度合いを与える指標として、光沢感係数wに重み係数Trを乗算した値w*Trを使用する。
図12の場合、プロセッサ31は、次式により補正照度マップE’を算出する。
E’(i)=e*w(i)*Tr+E(i)
なお、iは、照度マップE及び補正照度マップE’の各画素を表す。
【0050】
図13は、重み付け光沢感係数w*Trの例を説明する図である。(A)は光沢感係数wが距離dの関数f(d)で与えられる場合における重み付け光沢感係数を示し、(B)は光沢感係数wが角度差Δωの関数f(Δω)で与えられる場合における重み付け光沢感係数を示す。
図13における重み係数Trは、0<Tr<1を満たす固定値である。このため、
図13(A)の場合も
図13(B)の場合も、距離dや角度差Δωに対応する各値は、
図8に示す関数f(d)や
図9に示す関数f(Δω)よりも小さくなっている。
【0051】
シミュレーション例4の場合には、重み係数Trの値により、光沢感係数wの影響度の調整が可能になる。
因みに、重み係数Trの値は、クライアント端末10のディスプレイ上で指定可能としてもよい。もっとも、重み係数Trの設定は、ベンダー側の設定としてもよい。
シミュレーション例4の場合も、環境光画像が撮像された地点の環境や撮像の時刻等に応じて重み係数Trを変更することにより、シミュレーション結果を現実の見え方に一層近づけることが可能になる。
【0052】
<シミュレーション例5>
図14は、プロセッサ31によるシミュレーション例5を説明する図である。なお、
図14には、
図12との対応部分に対応する符号を付して示している。
シミュレーション例5では、ステップ4Cに代えてステップ4Dが実行される。シミュレーション例5の他の処理動作は、シミュレーション例4と同じである。
【0053】
・ステップ4D
ここでのプロセッサ31は、照度マップEを光沢感係数wで補正した主要な照明の情報eとの加重平均(すなわち重み付き平均)で補正し、補正照度マップE’を生成する。
図14の場合、プロセッサ31は、次式により補正照度マップE’を算出する。
E’(i)=e*w(i)*Tr+E(i)*(1.0-Tr)
なお、iは、照度マップE及び補正照度マップE’の各画素を表し、w(i)は光沢感係数であり、Trは重み係数を表している。ここでの重み係数Trは、0<Tr<1を満たす。
【0054】
シミュレーション例5の場合も、主要な照明の色と強度を光沢感係数wで補正した値が照度マップEの全ての画素に加算される。
ただし、シミュレーション例2における補正照度マップE’における各画素に対する主要な照明の色と強度を光沢感係数wで補正した値の影響は、重み係数Trの値により、シミュレーション例4よりも小さくなる。
シミュレーション例5の場合も、クライアント端末10のディスプレイ上で重み係数Trの値を指定可能としてもよい。もっとも、重み係数Trの設定は、ベンダー側の設定としてもよい。
シミュレーション例5の場合も、環境光画像が撮像された地点の環境や撮像の時刻等に応じて重み係数Trを変更することにより、シミュレーション結果を現実の見え方に一層近づけることが可能になる。
【0055】
<実施の形態2>
図15は、実施の形態2で使用する情報処理システム1Aの構成例を示す図である。
図15には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図15に示す情報処理システム1Aは、クライアント端末10と、クラウドサーバ40とで構成されている。これらは、クラウドネットワークCN経由で通信可能に接続されている。
ここでのクラウドサーバ40も、情報処理装置の一例である。クラウドサーバ40のハードウェア構成は、
図2に示すハードウェア構成と同じである。
【0056】
図15に示す情報処理システム1Aは、画像形成装置20(
図1参照)による画像の形成を前提としない点で、
図1に示す印刷システム1と相違する。
本実施の形態の場合、クラウドサーバ40におけるプログラムの実行を通じ、前述した質感のシミュレーション例1~5が実現される。
なお、
図15の場合には、質感のシミュレーション専用のクラウドサーバ40を用意しているが、クライアント端末10単独での質感のシミュレーション例1~5が可能でもよい。
【0057】
<他の実施の形態>
(1)以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は前述した実施の形態に記載の範囲に限定されない。前述した実施の形態に、種々の変更又は改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0058】
(2)前述の実施の形態では、シミュレーションの対象として用紙に代表される二次元の物体を想定したが、3次元の物体でもよい。3次元の物体をシミュレーションの対象とする場合には、3次元の物体の形状や表面を規定する情報を使用して観察地での質感の見え方をシミュレーションする。
【0059】
(3)前述の実施の形態におけるシミュレーション例2及び5においては、加重平均に使用する重みの和が1の場合について説明したが、重みの和は1でなくてもよい。
【0060】
(4)前述の実施の形態におけるシミュレーション例3においては、光沢感係数wの計算に、主要な照明の位置と各画素iとのキューブマップ上の距離dを使用したが、全天球画像での距離として計算してもよい。ただし、全天球画像での距離を計算する場合には、球の大きさを例えば単位球等に正規化して計算する。光沢感係数wの計算に必要な距離dは、相対的な距離でよいので正規化しても問題ない。
【0061】
(5)前述の実施の形態におけるシミュレーション例3においては、光沢感係数wの計算に、キューブマップの中心と主要な照明の位置とを結ぶ直線と、キューブマップの中心と各画素iの位置を結ぶ直線とがなす角(角度差)Δωを使用したが、全天球画像での角度差として計算してもよい。ただし、全天球画像での角度差を計算する場合には、球の大きさを例えば単位球等に正規化して計算する。光沢感係数wの計算に必要な角度差Δωは、相対的な距離でよいので正規化しても問題ない。
【0062】
(6)前述した実施の形態におけるプロセッサは、広義的な意味でのプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)の他、専用的なプロセッサ(例えばGPU(=Graphical Processing Unit)、ASIC(=Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(=Field Programmable Gate Array)、プログラム論理デバイス等)を含む。
また、前述した各実施の形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサが単独で実行してもよいが、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して実行してもよい。また、プロセッサにおける各動作の実行の順番は、前述した各実施の形態に記載した順番のみに限定されるものでなく、個別に変更してもよい。
【0063】
<付記>
(((1)))
プロセッサを有し、前記プロセッサは、実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得し、前記主要な照明の情報により補正した照度分布を使用して物品の表現を制御する、情報処理装置。
(((2)))
前記プロセッサは、前記照度分布から主要な照明の色を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、(((1)))に記載の情報処理装置。
(((3)))
前記プロセッサは、前記照度分布から主要な照明の強度を推定し、前記主要な照明の情報として使用する、(((1)))又は(((2)))に記載の情報処理装置。
(((4)))
前記プロセッサは、前記照度分布を表す第1関数に対する、前記主要な照明の情報を表す第2関数の加算により、当該照度分布を補正した第3関数を算出し、前記補正した照度分布とする、(((1)))~(((3)))のいずれか1つに記載の情報処理装置。
(((5)))
前記プロセッサは、前記第2関数を固定値として前記第1関数に加算する、(((4)))に記載の情報処理装置。
(((6)))
前記プロセッサは、前記第1関数と前記第2関数の加重平均として前記第3関数を算出する、(((4)))に記載の情報処理装置。
(((7)))
前記プロセッサは、前記主要な照明の位置と前記照度分布上の各画素との位置関係により光沢の度合いを与える指標を算出し、算出された前記指標で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、(((4)))に記載の情報処理装置。
(((8)))
前記プロセッサは、前記主要な照明の位置との距離が小さい画素に対する前記指標の値を、前記主要な照明の位置との距離が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、(((7)))に記載の情報処理装置。
(((9)))
前記プロセッサは、前記主要な照明の位置に対する角度差が小さい画素に対する前記指標の値を、前記主要な照明の位置に対する角度差が大きい画素に対する前記指標の値よりも大きい値に設定する、(((7)))に記載の情報処理装置。
(((10)))
前記プロセッサは、前記指標を重み係数で補正した前記第2関数を前記第1関数に加算して前記第3関数を算出する、(((7)))に記載の情報処理装置。
(((11)))
前記プロセッサは、前記指標で補正した前記第2関数と前記第1関数の加重平均として前記第3関数を算出する、(((7)))に記載の情報処理装置。
(((12)))
コンピュータに、実空間を撮像した画像の照度分布から主要な照明の情報を取得する機能と、前記主要な照明の情報により補正した前記照度分布を使用して物品の表現を制御する機能と、を実現させるためのプログラム。
【0064】
(((1)))に係る情報処理装置によれば、実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づけることができる。
(((2)))に係る情報処理装置によれば、実空間における主要な照明の色をシミュレーションの結果に反映できる。
(((3)))に係る情報処理装置によれば、実空間における主要な照明の強度をシミュレーションの結果に反映できる。
(((4)))に係る情報処理装置によれば、実空間における主要な照明の影響をシミュレーションの結果に反映できる。
(((5)))に係る情報処理装置によれば、物体の見え方の再現性を高めることができる。
(((6)))に係る情報処理装置によれば、物体の見え方の再現性を高めることができる。
(((7)))に係る情報処理装置によれば、光沢の再現性を高めることができる。
(((8)))に係る情報処理装置によれば、光沢の再現性を高めることができる。
(((9)))に係る情報処理装置によれば、光沢の再現性を高めることができる。
(((10)))に係る情報処理装置によれば、光沢の再現性の精度を一段と高めることができる。
(((11)))に係る情報処理装置によれば、光沢の再現性の精度を一段と高めることができる。
(((12)))に係る情報処理装置によれば、実空間で撮像された画像をそのまま使用して物体の見え方をシミュレーションする場合に比して、シミュレーションの結果を実際の見え方に近づけることができる。
【符号の説明】
【0065】
1…印刷システム、1A…情報処理システム、10…クライアント端末、20…画像形成装置、30…印刷サーバ、31…プロセッサ、32…ROM、33…RAM、34…補助記憶装置、35…ユーザインタフェース、36…通信インタフェース、37…信号線、40…クラウドサーバ、101、102、103…サンプル画像