(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002593
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/244 20060101AFI20231228BHJP
B65G 47/52 20060101ALI20231228BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B65G47/244
B65G47/52 A
B07C5/342
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101877
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】522254745
【氏名又は名称】株式会社アイキューブデジタル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼杉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】石井 光博
(72)【発明者】
【氏名】泉 雅昭
【テーマコード(参考)】
3F044
3F079
3F081
【Fターム(参考)】
3F044AA07
3F044AB08
3F044BA05
3F044CC01
3F044CD01
3F079AD12
3F079CB30
3F079CC03
3F079CC04
3F079CC05
3F079DA12
3F081AA19
3F081BD15
3F081BD16
3F081BE04
3F081BF15
3F081CA05
3F081CA31
3F081CC08
3F081EA09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】効率的かつ高精度なワークの全周検査を実現すること。
【解決手段】実施形態に係る検査装置1は、水平回転コンベア130と、バッファコンベア110と、射出コンベア120と、複数のカメラ220と、AI推論装置30と、制御装置10とを備える。水平回転コンベアは、それぞれの搬送面が同一水平面上で隣接するように設けられる低速コンベア131および高速コンベア132を有し、低速コンベアおよび高速コンベアの速度差によってワークWを搬送面の境界上において水平回転させつつ搬送する。バッファコンベアは、水平回転コンベアの上流に設けられる。複数のカメラは、水平回転コンベア上のワークの全周が撮像可能となるように搬送向きに沿って間隔を空けて設けられる。AI推論装置は、ワークの画像から学習された学習モデルを用いて撮像画像に対するAI推論を行う。制御装置は、AI推論装置の推論結果に基づいてワークの良否判定を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれの搬送面が同一水平面上で隣接するように設けられる第1のコンベアおよび第2のコンベアを有し、前記第1のコンベアおよび前記第2のコンベアの速度差によってワークを前記搬送面の境界上において水平回転させつつ搬送する水平回転コンベアと、
前記水平回転コンベアの上流に設けられ、前記水平回転コンベアよりも遅い速度でワークを搬送するバッファコンベアと、
前記バッファコンベアと前記水平回転コンベアの間に設けられ、前記バッファコンベアよりも速い速度で前記バッファコンベア上のワークを前記搬送面の境界へ向けて射出する射出コンベアと、
前記水平回転コンベアの水平回転方向におけるワークの全周が撮像可能となるように搬送向きに沿って間隔を空けて設けられる複数のカメラと、
ワークの画像から学習された学習モデルを用いて前記カメラの撮像画像に対するAI推論を行うAI推論部と、
前記AI推論部の推論結果に基づいてワークの良否判定を行うコントローラと
を備えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記カメラは、
前記水平回転コンベアにおけるワークの水平回転量がワークの全周のうちの所定の回転量となる位置においてそれぞれワークを撮像するように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記カメラは、
ワークの種別、形状、材質、重量および前記速度差による回転速度のうちの少なくともいずれかに基づいて予め調整された前記カメラの配置に関する配置情報に基づいて配置される
ことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項4】
前記カメラは、
前記水平回転コンベアの幅方向における片側に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項5】
前記カメラは、
前記水平回転コンベアの幅方向における両側に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項6】
前記カメラは、
ワークを斜め方向または真上方向から撮像するように設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の検査装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記カメラそれぞれの前記撮像画像に対する前記推論結果に基づいてワークの全周における前記良否判定を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の検査装置。
【請求項8】
前記第1のコンベアおよび前記第2のコンベアは、それぞれ回転駆動部によって駆動され、
前記コントローラは、
前記回転駆動部のそれぞれの回転を制御することによって、前記速度差による前記水平回転コンベアにおけるワークの水平回転量および搬送速度を制御する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の検査装置。
【請求項9】
前記コントローラによるワークの前記良否判定によって不良品と判定されたワークを排除する排除機構
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の検査装置。
【請求項10】
前記カメラおよび前記排除機構それぞれの前段に設けられ、前記水平回転コンベアにおける通過位置を検知する複数の通過センサ
を備え、
前記コントローラは、
前記通過センサの検知結果に基づいて前記水平回転コンベアにおけるワークの位置を追跡し、追跡結果に基づいて前記カメラにワークを撮像させるとともに前記不良品と判定されたワークを前記排除機構に排除させる
ことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベア上を連続して流れる瓶などのワークの検査作業を目視によって行うことが知られている。また、このような検査作業において、検査者の目視方向からの死角を解消した全周検査が可能となるように、搬送速度の異なる2つのコンベアの速度差によってワークを水平回転させつつ搬送する水平回転コンベアが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術には、効率的かつ高精度なワークの全周検査を実現するうえで、さらなる改善の余地がある。
【0005】
目視による検査作業、とりわけワークを水平回転させつつ行う全周検査は、不良品の検出率が検査者の熟練度や疲労度などに左右されてしまうため、非効率かつ低精度である。この点を補うため、ワークの良否の判定に、たとえば深層学習等の機械学習のアルゴリズムを用いて学習された学習モデルによるAI(Artificial Intelligence)推論を利用することが考えられる。
【0006】
ただし、上述した従来技術を用いた場合、ワークは水平回転する間、ガイドによって側方を支持される必要があることから、AI推論の入力となるワークの撮像画像にガイドが写り込んでしまう、また、撮像のための照明器具やセンサの設置の妨げとなり、AI推論には適さない。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、効率的かつ高精度なワークの全周検査を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る検査装置は、水平回転コンベアと、バッファコンベアと、射出コンベアと、複数のカメラと、AI推論部と、コントローラとを備える。前記水平回転コンベアは、それぞれの搬送面が同一水平面上で隣接するように設けられる第1のコンベアおよび第2のコンベアを有し、前記第1のコンベアおよび前記第2のコンベアの速度差によってワークを前記搬送面の境界上において水平回転させつつ搬送する。前記バッファコンベアは、前記水平回転コンベアの上流に設けられ、前記水平回転コンベアよりも遅い速度でワークを搬送する。前記射出コンベアは、前記バッファコンベアと前記水平回転コンベアの間に設けられ、前記バッファコンベアよりも速い速度で前記バッファコンベア上のワークを前記搬送面の境界へ向けて射出する。前記複数のカメラは、前記水平回転コンベアの水平回転方向におけるワークの全周が撮像可能となるように搬送向きに沿って間隔を空けて設けられる。前記AI推論部は、ワークの画像から学習された学習モデルを用いて前記カメラの撮像画像に対するAI推論を行う。前記コントローラは、前記AI推論部の推論結果に基づいてワークの良否判定を行う。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、効率的かつ高精度なワークの全周検査を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検査装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、バッファコンベア、射出コンベアおよび水平回転コンベアの速度の関係を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係るワークの説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る検査方法の説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、判定部による判定処理の説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るAI推論装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る検査装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する検査装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
まず、実施形態に係る検査装置1のハードウェア構成例から説明する。
図1は、実施形態に係る検査装置1のハードウェア構成例を示す図である。なお、
図1を含め、以下に示す各図には、説明を分かりやすくするために、鉛直方向をZ軸の負方向とするXYZ3軸の直交座標系を図示する場合がある。
【0013】
検査装置1は、効率的かつ高精度なAI推論によるワークWの全周検査が可能となるように設けられる装置である。
図1に示すように、検査装置1は、制御装置10と、操作パネル20と、AI推論装置30とを有する。制御装置10は、検査装置1の全体を制御するコントローラである。制御装置10は、たとえばPLC(Programmable Logic Controller)やコンピュータ等によって実現される。
【0014】
操作パネル20は、制御装置10への入出力を受け付けるインターフェイス装置である。操作パネル20は、たとえばタッチパネルディスプレイ等によって実現される。
【0015】
AI推論装置30は、後述するカメラ220から入力されるワークWの撮像データに対するAI推論を実行する装置である。AI推論装置30は、たとえば産業用パソコン等によって実現される。AI推論装置30は、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、AI推論による推論結果を制御装置10へ出力する。
【0016】
また、検査装置1はさらに、バッファコンベア110と、射出コンベア120と、水平回転コンベア130と、良品コンベア140と、不良品コンベア150と、排除機構160とを有する。
図1に示すように、搬送方向はX軸の正方向である。
【0017】
また、検査装置1はさらに、複数の通過センサ210と、複数のカメラ220とを有する。なお、本実施形態では、通過センサ210は、第1通過センサ210-1、第2通過センサ210-2、第3通過センサ210-3および第4通過センサ210-4の4つが設けられる例を挙げる。
【0018】
また、本実施形態では、カメラ220は、第1カメラ220-1、第2カメラ220-2および第3カメラ220-3の3つが設けられる例を挙げる。
【0019】
バッファコンベア110は、射出コンベア120および水平回転コンベア130の上流に設けられ、水平回転コンベア130よりも遅い速度でワークWを搬送するコンベアである。
【0020】
バッファコンベア110は、一旦速度を落とすもしくはローラコンベア等を採用することによって、ランダムな間隔で流れてくるワークWの間隔をゼロの状態(ワークWが詰まった状態)にする。
【0021】
射出コンベア120は、バッファコンベア110および水平回転コンベア130の間に設けられ、バッファコンベア110上のワークWを後述する低速コンベア131および高速コンベア132の搬送面の境界へ向けて射出するコンベアである。
【0022】
射出コンベア120は、バッファコンベア110よりも速い速度でワークWを搬送することで、ワークWの間隔を空けつつ水平回転コンベア130へワークWを射出する。
【0023】
射出コンベア120は、サーボモータ120aと、サーボアンプ120bとを有する。サーボモータ120aは、射出コンベア120を駆動する。サーボアンプ120bは、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、制御装置10からの制御信号に基づいてサーボモータ120aの回転を制御する。
【0024】
なお、バッファコンベア110および射出コンベア120は、平行なガイドg1を有する。ガイドg1は、バッファコンベア110および射出コンベア120上のワークWを、各コンベアの幅方向(Y軸方向)において位置合わせしつつ搬送方向へ向けて誘導する。
【0025】
水平回転コンベア130は、射出コンベア120によって射出されたワークWをZ軸まわりに水平回転させつつ搬送方向へ向けて搬送するコンベアである。水平回転コンベア130は、低速コンベア131と、高速コンベア132とを有する。
【0026】
低速コンベア131は、サーボモータ131aと、サーボアンプ131bとを有する。サーボモータ131aは、低速コンベア131を駆動する。サーボアンプ131bは、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、制御装置10からの制御信号に基づいてサーボモータ131aの回転を制御する。
【0027】
高速コンベア132は、サーボモータ132aと、サーボアンプ132bとを有する。サーボモータ132aは、高速コンベア132を駆動する。サーボアンプ132bは、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、制御装置10からの制御信号に基づいてサーボモータ132aの回転を制御する。なお、サーボモータ131a,132aは「回転駆動部」の一例に相当する。また、サーボアンプ131b,132bは「回転制御部」の一例に相当する。
【0028】
ここで、水平回転コンベア130、ならびに、バッファコンベア110、射出コンベア120および水平回転コンベア130の速度の関係についてより具体的に説明する。
図2は、水平回転コンベア130の説明図である。また、
図3は、バッファコンベア110、射出コンベア120および水平回転コンベア130の速度の関係を示す図である。
【0029】
図2に示すように、水平回転コンベア130の低速コンベア131および高速コンベア132は、それぞれの搬送面が同一水平面(XY平面)上で隣接するように設けられる。前述のサーボモータ131aは、高速コンベア132よりも低速に、軸axLまわりに低速コンベア131を駆動する。
【0030】
一方、前述のサーボモータ132aは、低速コンベア131よりも高速に、軸axHまわりに高速コンベア132を駆動する。このようにすることで、高速コンベア132上のワークWの1/2の部分は高速コンベア132の速度に合わせて搬送方向に進もうとし、低速コンベア131上のワークWの1/2の部分は高速コンベア132の速度に合わせようとする力が作用する。
【0031】
その結果、ワークWは、低速コンベア131および高速コンベア132の速度差に応じた水平回転をしつつ、搬送方向へ向けて搬送される。
【0032】
図2の例では、ワークWは、Z軸の正方向側から視た平面視で、低速コンベア131および高速コンベア132の搬送面の境界上を時計回りに水平回転しつつ、搬送方向へ向けて搬送される。なお、本実施形態では、低速コンベア131および高速コンベア132の位置関係が
図2に示す通りであるものとするが、当該位置関係は左右逆であってもよい。この場合、ワークWは、
図2の例とは逆に反時計回りに水平回転することとなる。
【0033】
このように、水平回転コンベア130は、この低速コンベア131および高速コンベア132の速度差によって、ワークWを低速コンベア131および高速コンベア132の搬送面の境界上において水平回転させつつ搬送する。
【0034】
なお、本実施形態では、AI推論を用いた効率的かつ高精度なワークWの全周検査を実現するために、水平回転コンベア130に対し敢えてワークWのガイドを設けない。したがって、ワークWが低速コンベア131および高速コンベア132の搬送面の境界上を所定の間隔を空けつつ通過するように、当該境界へ向けてワークWを水平回転コンベア130へ射出する必要がある。
【0035】
このため、本実施形態では、
図3に示すように、バッファコンベア110の速度a、射出コンベア120の速度b、低速コンベア131の速度cおよび高速コンベア132の速度dを、速度d>速度c≧速度b>速度aの関係となるように設定する。また、前述のガイドg1は、ワークWが確実に前述の境界へ向けて射出されるようにワークWを位置合わせするよう設けられる。なお、バッファコンベア110がワークWの間隔をゼロにすることなくワークWを程よい間隔で搬送する構成である場合、速度a,bの関係は速度b≧速度aとなるように設定されてもよい。この場合、バッファコンベア110および射出コンベア120は、一体となってワークWを前述の境界へ向けて射出する射出コンベアとして機能する。
【0036】
図1の説明に戻る。良品コンベア140は、AI推論を用いた良否判定により良品と判定されたワークWを搬送するコンベアである。良品コンベア140は、ガイドg2を有する。ガイドg2は、水平回転コンベア130を通過した良品のワークWを良品コンベア140の幅方向(Y軸方向)において位置合わせしつつ、さらなる搬送方向へ向けて誘導する。不良品コンベア150は、AI推論を用いた良否判定により不良品と判定されたワークWを搬送するコンベアである。
【0037】
排除機構160は、不良品と判定されたワークWを不良品コンベア150へ向けてラインから排除する機構である。排除機構160は、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、制御装置10から入力される排除指令に基づいてワークWを排除する。排除機構160は、ワークWの性状、ラインの構成等により、プッシャ、リジェクトアーム、エアシュート、フラップコンベア、シャトルコンベア、振分コンベア、ロボット等から選択が可能である。
【0038】
通過センサ210はそれぞれ、水平回転コンベア130の所定の通過位置においてワークWの通過を検出するように設けられる。通過センサ210は、たとえば光センサ等によって実現される。通過センサ210は、構内ネットワーク等を介して制御装置10と接続され、ワークWの通過を検出すると制御装置10に対し通過センサ信号を出力する。
【0039】
カメラ220はそれぞれ、通過センサ210に対応する所定の撮像位置に設けられる。本実施形態では、第1カメラ220-1は、第1通過センサ210-1に対応する位置に設けられる。また、第2カメラ220-2は、第2通過センサ210-2に対応する位置に設けられる。また、第3カメラ220-3は、第3通過センサ210-3に対応する位置に設けられる。なお、前述の排除機構160は、第4通過センサ210-4に対応する所定の排除位置に設けられる。
【0040】
カメラ220はそれぞれ、構内ネットワーク等を介して制御装置10およびAI推論装置30と接続される。そして、カメラ220はそれぞれ、制御装置10からシャッタートリガ信号が入力されたタイミングでワークWを撮像する。また、カメラ220はそれぞれ、撮像したワークWの撮像画像(撮像データ)をAI推論装置30へ転送する。
【0041】
なお、カメラ220は、ワークWの種別、形状、材質、重量および前述の速度差による回転速度のうちの少なくともいずれかに基づいて予め調整されたカメラ220の配置に関する配置情報に基づいて配置される。
【0042】
この配置情報に基づき、カメラ220は、たとえば
図1に示すように、水平回転コンベア130の幅方向における片側に沿って設けられる。なお、
図1に示すカメラ220の配置例はあくまで一例である。その他の変形例については、
図13~
図16を用いた説明で後述する。
【0043】
また、
図1に示したカメラ220の配置例は、実施形態に係るワークWに応じた配置情報に基づく一例を示すものである。ここで、
図4は、実施形態に係るワークWの説明図である。
【0044】
図4に示すように、実施形態に係るワークWは、本体部分が円筒状のボトル形状を有するワークであるものとする。また、ワークWは、たとえば
図2に示したように平面視で時計回りに水平回転させた場合に、特定の一方向から順にラベルL1、マークM1およびラベルL2が視認可能なワークであるものとする。
【0045】
本実施形態は、このワークWを第1カメラ220-1、第2カメラ220-2および第3カメラ220-3の3つにより120°間隔で撮像するカメラ220の配置例としている。以下、この配置例を用いた検査方法について具体的に説明する。
【0046】
図5は、実施形態に係る検査方法の説明図である。まず、検査装置1の上流側からバッファコンベア110へ連続してワークWが流れてくる。なお、
図5の例では、ワークWは1列化されているが、1列化されていない場合はバッファコンベア110において1列化する機構を設ける。
【0047】
また、制御装置10は、サーボアンプ120b,131b,132bに対しそれぞれサーボモータ120a,131a,132aの回転速度を制御する制御信号を出力し、射出コンベア120および水平回転コンベア130を駆動させる(ステップS1)。
【0048】
射出コンベア120は、ワークWの間隔を一定間隔にしつつ水平回転コンベア130へワークWを射出する。射出されたワークWは水平回転コンベア130上を水平回転しつつ搬送される。
【0049】
そして、ワークWが第1通過センサ210-1を通過すると、第1通過センサ210-1は通過センサ信号を制御装置10へ出力する(ステップS2)。制御装置10は、通過センサ信号を取得すると、第1通過センサ210-1に対応する第1カメラ220-1に対し、シャッタートリガ信号を出力する(ステップS3)。
【0050】
なお、制御装置10は、通過センサ信号を取得して一定タイマ経過後、あるいは、通過センサ信号を取得時のサーボモータ131a,132aでラッチ取得した位置から一定距離の搬送後、シャッタートリガ信号を出力する。ここに言う「ラッチ取得した位置」は、通過センサ信号がオンした瞬間のサーボモータ131a,132aの回転位置である。当該位置は、システム構成に応じてサーボアンプ131b,132bまたは制御装置10がサーボモータ131a,132aに設けられたエンコーダ等の位置検出器から取得する。一定タイマや一定距離は、コンベア速度や得たいワークWの回転量などに応じて調整する。
【0051】
そして、第1カメラ220-1は、シャッタートリガ信号に応じてワークWを撮像し、撮像データをAI推論装置30へ転送する(ステップS4)。AI推論装置30は、転送された第1カメラ220-1の撮像範囲におけるワークWの撮像データに基づいてAI推論を実行し、推論結果を制御装置10へ出力する(ステップS5)。
【0052】
制御装置10は、ステップS2の通過センサ信号が示すポジションデータとステップS5の推論結果とを関連付けて記憶する。また、制御装置10は、この記憶した情報に基づいてワークWの位置を追跡するトラッキング制御を行う。
【0053】
その間、ワークWは、水平回転しながら水平回転コンベア130上を搬送される。そして、ワークWが順に第2通過センサ210-2,第3通過センサ210-3を通過すると、同様の手順でステップS2~S5が繰り返される。
【0054】
なお、このとき、ステップS5では、AI推論装置30は、第2カメラ220-2から転送された撮像データに基づいては、第2カメラ220-2の撮像範囲におけるワークWのAI推論を実行し、推論結果を制御装置10へ出力する。同様に、AI推論装置30は、第3カメラ220-3から転送された撮像データに基づいては、第3カメラ220-3の撮像範囲におけるワークWのAI推論を実行し、推論結果を制御装置10へ出力する。
【0055】
そして、ワークWが最後の第4通過センサ210-4を通過すると、制御装置10は、追跡してきたワークWの推論結果を統合して総合判定する。そして、制御装置10は、1つでもワークWを不良品と推論する推論結果があれば、該当のワークWをラインから排除させる排除指令を排除機構160へ出力する(ステップS6)。排除機構160は、この排除指令に基づいて該当のワークWを不良品コンベア150へ排除することとなる。
【0056】
次に、制御装置10の構成例について説明する。
図6は、実施形態に係る制御装置10の構成例を示すブロック図である。なお、
図6および後に示す
図10では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0057】
換言すれば、
図6および
図10に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0058】
また、
図6および
図10を用いた説明では、既に説明済みの構成要素については、説明を簡略するか、説明を省略する場合がある。
【0059】
図6に示すように、実施形態に係る制御装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを有する。通信部11は、ネットワークアダプタ等によって実現される。通信部11は、前述の構内ネットワークと有線または無線で接続され、AI推論装置30、サーボアンプ120b,131b,132b、排除機構160、通過センサ210およびカメラ220との間で各種情報の送受信を行う。また、通信部11は、ネットワーク通信に限らず、制御装置10と接続された各種機器とのI/O入出力も行う。
【0060】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の記憶デバイス、または、ハードディスク装置、光ディスク装置等のディスク装置などによって実現される。
図6の例では、記憶部12は、コンベア制御情報12aと、トラッキング情報12bと、カメラ制御情報12cと、排除機構制御情報12dと、シーケンス制御情報12eと、監視情報12fと、アラーム情報12gとを記憶する。
【0061】
コンベア制御情報12aは、各コンベアの制御に関する各種の制御パラメータを含む情報である。後述するコンベア制御部13aは、サーボモータ131a,132aのそれぞれの回転を制御することによって、前述の速度差による水平回転コンベア130におけるワークWの水平回転量および搬送速度を制御する。コンベア制御情報12aは、少なくともこのサーボモータ131a,132aの回転の制御に関する各種の制御パラメータを含む。コンベア制御情報12aは、ラインの状況等に応じてたとえば操作パネル20から適宜調整することが可能である。
【0062】
トラッキング情報12bは、水平回転コンベア130上でワークWを追跡するポジションデータを含むトラッキングに関する情報である。
図7は、トラッキング情報12bの説明図である。
【0063】
図7に示すように、本実施形態の場合、トラッキング情報12bは、第1ポジションデータと、第2ポジションデータと、第3ポジションデータとを含む。第1ポジションデータは、第1通過センサ210-1の位置およびこれに対応する第1カメラ220-1の位置に対応するデータである。
【0064】
同様に、第2ポジションデータは、第2通過センサ210-2の位置およびこれに対応する第2カメラ220-2の位置に対応するデータである。同様に、第3ポジションデータは、第3通過センサ210-3の位置およびこれに対応する第3カメラ220-3の位置に対応するデータである。
【0065】
これらは、ワークWの通過順に応じ、第1ポジションデータ、第2ポジションデータおよび第3ポジションデータの順に記憶される。
【0066】
また、各ポジションデータは、AI推論装置30による推論結果が関連付けて記憶される。
図7の例では、第1ポジションデータは、ワークWが第1通過センサ210-1を通過し、これに応じて第1カメラ220-1へシャッタートリガ信号が出力され、これに応じた撮影データに基づく推論結果が良品であったことを示している。
【0067】
また、第2ポジションデータは、ワークWが第2通過センサ210-2を通過し、これに応じて第2カメラ220-2へシャッタートリガ信号が出力され、これに応じた撮影データに基づく推論結果が不良品であったことを示している。
【0068】
また、第3ポジションデータは、ワークWが第3通過センサ210-3を通過したが、第3カメラ220-3へのシャッタートリガ信号の出力、および、これに応じた撮影データに基づくAI推論は行われていないことを示している。後述するトラッキング制御部13cは、このようなトラッキング情報12bに基づいてワークWを追跡するトラッキング制御を行う。
【0069】
なお、
図7に示した例はあくまで一例であって、トラッキング情報12bのデータ構造等を限定するものではない。
【0070】
図6の説明に戻る。カメラ制御情報12cは、各カメラ220の制御に関する各種の制御パラメータを含む情報である。
図8は、カメラ制御情報12cの説明図である。
【0071】
図8に示すように、本実施形態の場合、カメラ制御情報12cは、ワークWが水平回転コンベア130へ進入した時点T0から水平回転し始めて回転量が120°、240°および360°となる時点T1,T2,T3のそれぞれにおいてシャッタートリガ信号が各カメラ220へ出力されるように設定される。
【0072】
前述の通過センサ信号に対応する一定タイマや一定距離は、たとえばこれら時点T1,T2,T3から換算されて設定される。カメラ制御情報12cは、ラインの状況等に応じてたとえば操作パネル20から適宜調整することが可能である。後述するカメラ制御部13dは、このようなカメラ制御情報12cに基づいて各カメラ220を制御する。
【0073】
図6の説明に戻る。排除機構制御情報12dは、排除機構160の制御に関する各種の制御パラメータを含む情報である。シーケンス制御情報12eは、検査装置1におけるシーケンス制御に関する各種の制御パラメータを含む情報である。
【0074】
監視情報12fは、後述する監視部13hが監視する検査装置1の各種機器の監視状況に関する情報である。アラーム情報12gは、後述する警報部13iによってたとえば操作パネル20へ通知される各種のアラームが蓄積される情報である。
【0075】
制御部13は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、記憶部12に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現することができる。
【0076】
制御部13は、コンベア制御部13aと、取得部13bと、トラッキング制御部13cと、カメラ制御部13dと、判定部13eと、排除機構制御部13fと、シーケンス制御部13gと、監視部13hと、警報部13iとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0077】
コンベア制御部13aは、通信部11を介し、コンベア制御情報12aに基づいてサーボモータ120aの回転を制御する制御信号をサーボアンプ120bへ出力することによって射出コンベア120の駆動を制御する。
【0078】
また、コンベア制御部13aは、通信部11を介し、コンベア制御情報12aに基づいてサーボモータ131a,132aの回転を制御する制御信号をサーボアンプ131b,132bへ出力することによって水平回転コンベア130の駆動を制御する。
【0079】
また、コンベア制御部13aは、通信部11を介し、コンベア制御情報12aに基づいてその他の各コンベアの駆動を制御する制御信号を各コンベアへ出力することによって各コンベアの駆動を適宜制御する。
【0080】
取得部13bは、通信部11を介し、各通過センサ210から通過センサ信号を取得する。また、取得部13bは、通信部11を介し、AI推論装置30から推論結果を取得する。
【0081】
トラッキング制御部13cは、取得部13bによって取得された通過センサ信号、推論結果およびトラッキング情報12bに基づいて、水平回転コンベア130上のワークWの位置を追跡するトラッキング制御を行う。
【0082】
カメラ制御部13dは、通信部11を介し、取得部13bによって取得された通過センサ信号およびカメラ制御情報12cに基づいて、各カメラ220に対しシャッタートリガ信号を出力する。
【0083】
判定部13eは、取得部13bによって取得された最後の第4通過センサ210-4の通過センサ信号をトリガとして、トラッキング情報12bに含まれる各ポジションデータの推論結果を統合し、総合判定を行う判定処理を実行する。
【0084】
図9は、判定部13eによる判定処理の説明図である。
図9に示すように、判定部13eは、各ポジションデータの推論結果を統合し、いずれの推論結果でも良品と推論された場合にのみ、総合判定結果を良品とする(図中のパターンP1参照)。
【0085】
一方、判定部13eは、1つでもワークWを不良品と推論する推論結果があれば、総合判定結果を不良品とする(図中のパターンP2~P4参照)。そして、この場合、判定部13eは、排除機構制御部13fに該当のワークWをラインから排除させる。
【0086】
図6の説明に戻る。排除機構制御部13fは、通信部11を介し、判定部13eによって不良品であると判定されたワークWをラインから排除させる排除指令を排除機構160に対し出力する。
【0087】
シーケンス制御部13gは、操作パネル20を介した操作や、シーケンス制御情報12eおよび監視情報12f等に応じて検査装置1におけるシーケンス制御を実行する。
【0088】
監視部13hは、通信部11を介し、検査装置1に含まれる各種機器の状況を監視する。また、監視部13hは、監視状況を監視情報12fへ記録する。また、監視部13hは、監視状況に応じて必要となる検査装置1のインターロック制御を行う。
【0089】
警報部13iは、監視部13hによって監視される監視状況に応じてアラームの通知が必要な場合、当該アラームをたとえば操作パネル20に対し通知する。なお、アラームは、操作パネル20に限らず、たとえばラインの管理者等が携帯する端末装置などへ通知されてもよい。
【0090】
次に、AI推論装置30の構成例について説明する。
図10は、実施形態に係るAI推論装置30の構成例を示すブロック図である。
【0091】
図10に示すように、実施形態に係るAI推論装置30は、通信部31と、記憶部32と、制御部33とを有する。通信部31は、ネットワークアダプタ等によって実現される。通信部31は、前述の構内ネットワークと有線または無線で接続され、制御装置10およびカメラ220との間で各種情報の送受信を行う。
【0092】
記憶部32は、上述した記憶部12と同様に、ROM、RAM、フラッシュメモリ等の記憶デバイス、または、ハードディスク装置、光ディスク装置等のディスク装置などによって実現される。
図10の例では、記憶部32は、推論モデル32aを記憶する。
【0093】
推論モデル32aは、ワークWの良否を推論することが可能となるようにワークWの画像から深層学習等の機械アルゴリズムを用いて学習された学習モデルである。
図11は、推論モデル32aの説明図である。
【0094】
図11に示すように、推論モデル32aは、ワークWの全周分の画像を学習用画像とした機械学習によって、推論対象画像が入力された場合に当該推論対象画像の良否に関する推論結果を出力するように学習される。学習用画像は、ワークWの全周分の画像を合成した全周画像であってもよい。推論モデル32aは、たとえば図示略の学習装置において学習され、予めAI推論装置30へ格納される。
【0095】
図11は、たとえば本体の一部に汚れや傷、印刷不良等々の不具合d1があるワークWの撮像データが推論対象画像として入力された場合に、推論モデル32aを用いて不良品と推論される例を示している。
【0096】
なお、推論モデル32aを学習するアルゴリズムは、ワークWの良品の画像からワークWの良否を推論可能となるように学習するアルゴリズムであってもよいし、不良品の画像からワークWの良否を推論可能となるように学習するアルゴリズムであってもよい。また、良品および不良品双方の画像から学習するアルゴリズムであってもよい。
【0097】
また、推論モデル32aを学習するアルゴリズムは、教師あり学習であってもよいし、教師なし学習であってもよい。
【0098】
図10の説明に戻る。制御部33は、上述した制御部13と同様に、CPUやMPU等によって、記憶部32に記憶されている図示略の各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部33は、ASICやFPGA等の集積回路により実現することができる。
【0099】
制御部33は、取得部33aと、推論部33bと、出力部33cとを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0100】
取得部33aは、通信部31を介し、各カメラ220から転送されるワークWの撮像データを取得する。
【0101】
推論部33bは、推論モデル32aを読み込み、取得部33aによって撮像データが取得された場合に、当該撮像データを推論モデル32aへ入力する。また、推論部33bは、撮像データを入力した結果、推論モデル32aから出力される推論結果を取得する。また、推論部33bは、推論モデル32aから取得した推論結果を出力部33cへ通知する。
【0102】
出力部33cは、通信部31を介し、推論部33bから通知された推論結果を制御装置10へ向けて出力する。
【0103】
次に、検査装置1が実行する処理手順について、
図12を用いて説明する。
図12は、実施形態に係る検査装置1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0104】
図12に示すように、バッファコンベア110にワークWがある場合(ステップS101,Yes)、射出コンベア120が水平回転コンベア130へワークWを射出する(ステップS102)。これにより、ワークWは、低速コンベア131および高速コンベア132の搬送面の境界上において水平回転しつつ搬送される。なお、バッファコンベア110にワークWがない場合(ステップS101,No)、処理を終了する。
【0105】
水平回転コンベア130上においてワークWが通過センサ210を通過すると、制御装置10が通過センサ信号を取得する(ステップS103)。そして、制御装置10は、トラッキング制御において、当該ワークWが通過する最後の通過センサ210であるか否かを判定する(ステップS104)。
【0106】
最後の通過センサ210でない場合(ステップS104,No)、制御装置10はポジションデータを記憶する(ステップS105)。そして、制御装置10は、通過センサ信号に対応するカメラ220へシャッタートリガ信号を出力する(ステップS106)。
【0107】
そして、出力されたシャッタートリガ信号に応じ、カメラ220がワークWを撮像し、撮像データをAI推論装置30へ転送する(ステップS107)。転送された撮像データに対しては、AI推論装置30がAI推論を実行し、推論結果を制御装置10へ出力する(ステップS108)。
【0108】
そして、制御装置10が推論結果をポジションデータに関連付けて記憶し(ステップS109)、ステップS103からの処理を繰り返す。
【0109】
一方、ステップS104で最後の通過センサ210である場合(ステップS104,Yes)、制御装置10が推論結果を総合判定し(ステップS110)、ワークWが不良品であるか否かを判定する(ステップS111)。
【0110】
ここで、不良品である場合(ステップS111,Yes)、制御装置10が排除機構160へ排除指令を出力し(ステップS112)、該当のワークWをラインから排除させる。不良品でない場合(ステップS111,No)、ワークWをラインから排除させない。そして、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0111】
なお、
図12では、説明の便宜上、ステップS111の良否判定の結果後に射出コンベア120が水平回転コンベア130へワークWを射出するように図示しているが、ステップS101,S102とステップS103以降の処理とは同期しなくともよい。
【0112】
すなわち、ステップS101,S102は、バッファコンベア110にワークWがある限りステップS103以降とは非同期に繰り返されてよい。また、ステップS103~ステップS112は、ワークWが射出された順にオーバーラップしながら繰り返されてよい。
【0113】
上述してきたように、実施形態に係る検査装置1は、水平回転コンベア130と、バッファコンベア110と、射出コンベア120と、複数のカメラ220と、AI推論装置30(「AI推論部」の一例に相当)と、制御装置10(「コントローラ」の一例に相当)とを備える。水平回転コンベア130は、それぞれの搬送面が同一水平面上で隣接するように設けられる低速コンベア131および高速コンベア132(「第1のコンベアおよび第2のコンベア」の一例に相当)を有し、低速コンベア131および高速コンベア132の速度差によってワークWを上記搬送面の境界上において水平回転させつつ搬送する。バッファコンベア110は、水平回転コンベア130の上流に設けられ、水平回転コンベア130よりも遅い速度でワークWを搬送する。射出コンベア120は、バッファコンベア110と水平回転コンベア130の間に設けられ、バッファコンベア110よりも速い速度でバッファコンベア110上のワークWを上記搬送面の境界へ向けて射出する。複数のカメラ220は、水平回転コンベア130の水平回転方向におけるワークWの全周が撮像可能となるように搬送向きに沿って間隔を空けて設けられる。AI推論装置30は、ワークWの画像から学習された学習モデルを用いてカメラ220の撮像画像に対するAI推論を行う。制御装置10は、AI推論装置30の推論結果に基づいてワークWの良否判定を行う。
【0114】
したがって、実施形態に係る検査装置1によれば、効率的かつ高精度なワークWの全周検査を実現することができる。
【0115】
なお、上述した実施形態では、3つのカメラ220が水平回転コンベア130の幅方向における片側に沿って設けられるカメラ220の配置例を示したが、カメラ220の配置例にはいくつかの変形例を挙げることができる。
【0116】
この変形例について、
図13~
図16を用いて説明する。
図13は、第1変形例の説明図である。また、
図14は、第2変形例の説明図である。また、
図15は、第3変形例の説明図である。また、
図16は、第3変形例の補足説明図である。
【0117】
図13に示すように、カメラ220は、水平回転コンベア130の幅方向における両側に沿って設けられてもよい。また、カメラ220は、得たいワークWの回転量に応じて、任意の間隔で配置されてもよい。
【0118】
図13は、第1カメラ220-1と第2カメラ220-2とが、また第3カメラ220-3と第4カメラ220-4とが、それぞれ対向するように配置された例を示している。
【0119】
また、
図13は、各カメラ220それぞれの撮像範囲が90°であって、ワークWが90°回転する間に4つのカメラ220によって全周分の撮像データを取得可能である例を示している。
【0120】
このように、水平回転コンベア130の幅方向における両側に沿ってカメラ220を設けることによって、水平回転コンベア130の全長を短くし、検査装置1をコンパクト化させるのに資することができる。
【0121】
なお、
図13では、水平回転コンベア130の両側でカメラ220が対向する例を挙げたが、対向せずに互い違いとなるように設けられてもよい。
【0122】
また、これまでは、カメラ220がワークWを側方から撮像するように設けられる例を挙げたが、
図14に示すように、カメラ220はワークWを斜め方向から撮像するように設けられてもよい。
【0123】
この場合、たとえばワークWが斜め方向から視たときの形状が特徴的であるような形状を有する場合などに有効となる。
【0124】
また、
図15に示すように、カメラ220は、ワークWを真上から撮像するように設けられてもよい。この場合、
図14と同様に、たとえばワークWが真上方向から視たときの形状が特徴的であるような形状を有する場合などに有効である。
【0125】
また、
図16に示すように、たとえば照明環境によって真上から視たときのワークWの一部に影Sが生じてしまうような場合、ワークWが水平回転して不具合d1が影Sから出現した画像を撮像することによって、影Sを原因とする検知漏れを防ぐことができる。
【0126】
また、ワークWがボトル状の形状であり、中に飲料が充填された飲料製品であるような場合、ワークWを真上から撮像することにより、開栓部付近の液ダレ等を不具合d1として検知することが可能となる。
【0127】
また、上述した実施形態では、制御装置10とAI推論装置30とが別体である例を挙げたが、制御装置10とAI推論装置30とを一体に構成するようにしてもよい。
【0128】
また、上述した実施形態では、ワークWがボトル状の形状である例を挙げたが、ワークWの形状を限定するものではない。よって、ワークWは、形状を問わない。また、ワークWは、形状だけでなく、食品や飲料品、工業製品といった種別を問わない。すなわち、検査装置1は、水平回転コンベア130によって水平回転させつつ搬送可能なワークWであれば、あらゆるワークWを効率的かつ高精度に全周検査することが可能である。
【0129】
また、上述した実施形態では、1台のAI推論装置30に3台のカメラ220が接続される例を挙げたが、AI推論装置30とカメラ220との接続関係を限定するものではない。すなわち、AI推論装置30とカメラ220との接続関係は「1:n」(nは自然数)であればよい。したがって、ワークの流れてくる速度によって1台のAI推論装置30の処理能力では間に合わない場合などには、AI推論装置30とカメラ220との接続関係が「1:1」であってもよい。また、AI推論装置30は、複数台設けられてもよい。
【0130】
また、上述した実施形態では、回転駆動部がサーボモータであり、回転制御部がサーボアンプである例に挙げたが、回転駆動部および回転制御部の構成はかかる例に限られない。たとえば、回転駆動部がサーボモータ以外の検出器(エンコーダ、レゾルバ等)付きのモータであり、回転制御部がインバータであってもよい。
【0131】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 検査装置
10 制御装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
20 操作パネル
30 AI推論装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
110 バッファコンベア
120 射出コンベア
130 水平回転コンベア
131 低速コンベア
131a サーボモータ
131b サーボアンプ
132 高速コンベア
132a サーボモータ
132b サーボアンプ
140 良品コンベア
150 不良品コンベア
160 排除機構
210 通過センサ
210-1 第1通過センサ
210-2 第2通過センサ
210-3 第3通過センサ
210-4 第4通過センサ
220 カメラ
220-1 第1カメラ
220-2 第2カメラ
220-3 第3カメラ
220-4 第4カメラ
W ワーク