(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025933
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】施設の利用予約管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240220BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240220BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20240220BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/10
G07B15/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129318
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】菅原 佑允
【テーマコード(参考)】
3E127
5L049
【Fターム(参考)】
3E127AA18
3E127BA51
3E127CA23
3E127CA40
3E127CA41
3E127CA47
3E127EA04
3E127EA21
5L049AA03
5L049CC13
(57)【要約】
【課題】利用予約を受け付ける施設において、利用者に利用終了時間を定めることを促進させて、施設の利用効率を改善できる施設の利用予約管理システムを提供すること。
【解決手段】利用予約管理システム500は、駐車場PA等の管理対象施設の利用予約と利用終了予定時とを受け付ける受付部REと、受付部REで受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する特典付与部GPとを備え、管理対象施設の利用者に利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブを与えつつ、管理側の立場としては、管理対象施設の回転率(利用率)の向上を図る。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象施設の利用予約と利用終了予定時とを受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた前記利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する特典付与部と
を備える施設の利用予約管理システム。
【請求項2】
前記管理対象施設は、駐車場であり、
前記受付部は、前記利用予約としての駐車予約と、前記利用終了予定時としての出庫予定時刻とを受け付ける、請求項1に記載の施設の利用予約管理システム。
【請求項3】
前記特典付与部は、駐車料金に関する特典を付与する、請求項2に記載の施設の利用予約管理システム。
【請求項4】
前記受付部は、一の前記利用予約についての前記利用終了予定時に基づいて、他の前記利用予約の受付についての可否を決定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の施設の利用予約管理システム。
【請求項5】
前記特典付与部は、前記管理対象施設の混雑度合に応じて、特典内容を変更する、請求項1に記載の施設の利用予約管理システム。
【請求項6】
前記受付部は、利用予約受付時から利用終了時までの間において、前記利用終了予定時の宣言を受け付け、
前記特典付与部は、前記受付部で受け付けた前記利用終了予定時の宣言のタイミングに応じて、特典内容を変更する、請求項1に記載の施設の利用予約管理システム。
【請求項7】
前記利用終了予定時を超過した利用について管理する超過利用管理部を備える、請求項1に記載の施設の利用予約管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば駐車場等の施設の利用に際して予約の管理を行う施設の利用予約管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、施設の一例である駐車場の利用に関する技術として、パーキングシェアシステムにおいて駐車終了情報を取り扱うもの(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1では、施設としての駐車場の予約による利用に際して、例えば利用終了時間を予め定めさせるようにするための仕組み等については、開示がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、利用予約を受け付ける施設において、利用者に利用終了時間を定めることを促進させて、施設の利用効率を改善できる施設の利用予約管理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための施設の利用予約管理システムは、管理対象施設の利用予約と利用終了予定時とを受け付ける受付部と、受付部で受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する特典付与部とを備える。
【0007】
上記施設の利用予約管理システムでは、管理対象施設の利用予約を受け付ける受付部において、管理対象施設の利用終了予定時を受け付け、特典付与部において、利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する態様とすることで、管理対象施設の利用者に利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブを与えつつ、管理側の立場としては、管理対象施設の回転率(利用率)の向上を図るようにすることが可能になる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、管理対象施設は、駐車場であり、受付部は、利用予約としての駐車予約と、利用終了予定時としての出庫予定時刻とを受け付ける。この場合、駐車場の予約管理において、利用効率の改善を図ることができる。
【0009】
本発明の別の側面では、特典付与部は、駐車料金に関する特典を付与する。この場合、利用者に対する特典が明確となり、利用者に利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブをより与えやすくなる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、受付部は、一の利用予約についての利用終了予定時に基づいて、他の利用予約の受付についての可否を決定する。この場合、予約受付可能とする範囲をより的確に設定できる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、特典付与部は、管理対象施設の混雑度合に応じて、特典内容を変更する。この場合、時機に応じてより適正な特典付与が可能となる。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、受付部は、利用予約受付時から利用終了時までの間において、利用終了予定時の宣言を受け付け、特典付与部は、受付部で受け付けた利用終了予定時の宣言のタイミングに応じて、特典内容を変更する。この場合、利用者に利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブをより大きなものとしつつ、予約受付可能とする範囲を広げることが可能になる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、利用終了予定時を超過した利用について管理する超過利用管理部を備える。この場合、超過利用について適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態の施設の利用予約管理システムについて概要を示す概念図である。
【
図2】施設としての駐車場に採用した利用予約管理システムの一構成例を示す概念図である。
【
図3】駐車場における利用予約管理システムの一処理態様について示す概念的な斜視図である。
【
図4】駐車場における利用予約管理システムの他の一処理態様について示す概念的な斜視図である。
【
図5】(A)は、予約管理に関する一例を示すデータ表であり、(B)は、付与する特典の設定に関して一例を示すデータ表であり、(C)は、付与ポイントの管理に関する一例を示すデータ表である。
【
図6】予約台数の設定について一例を説明するためのチャート図である。
【
図7】施設の利用予約管理システムについて概要をまとめたブロック図である。
【
図8】(A)は、施設としての駐車場の一変形例について示す概念的な斜視図であり、(B)は、予約管理に関する一例を示すデータ表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1等を参照して、一実施形態の施設の利用予約管理システムについて一例を説明する。
図1は、施設の利用予約管理システム500について概要を示す概念図である。また、
図2の概念図は、施設の一例としての駐車場PAについて、利用予約管理システム500を採用した場合の一構成例について示している。
【0016】
本実施形態に係る利用予約管理システム500は、例えば
図1に示すように、施設の利用予約を受け付ける予約管理サーバーSV等で構成され、対象施設の利用を希望する者(予約希望者RA)からの予約申し込みを受け付け可能とし、これについて管理を行っている。
【0017】
なお、ここでの施設のより具体的な一例は、
図2等に示すように、時間貸しの駐車場(コインパーキング)PAとし、駐車場PAの利用予約を欲する者すなわち予約希望者RA(その後、施設の利用者USとなる予定の者)からの駐車の予約申し込みを受け付ける場合における一態様を説明するが、この一例について詳しくは、後述する。
【0018】
図1に戻って、本実施形態の利用予約管理システム500については、予約管理サーバーSVのみの構成、あるいは、予約管理サーバーSVに利用予約の利用に供するものの一部を加えた構成をもって、利用予約管理システム500となっている、と捉えることも可能である。しかし、以下の一例では、予約希望者RAが所持し、施設の利用予約(例えば駐車予約)に際して予約管理サーバーSVとの通信を行う通信端末10や、施設の設置現場(事業地)において、精算処理行う精算機等で構成される現場端末30等までを含めて、利用予約管理システム500が構成されているものとして説明する。すなわち、本実施形態において、利用予約管理システム500は、予約管理サーバーSVに加え、通信端末10や、各事業地に設置される現場端末30等を備えるものとする。
【0019】
これらのうち、予約管理サーバーSVは、例えばクラウド上に構成され、各事業地に設置された施設(例えば駐車場あるいは駐車場の精算機CM等で構成される現場端末30)との間で、利用者USの入出場に関する情報の授受を行うことで、施設利用の状況を把握するとともにこれに応じた施設利用の予約管理を行う。
【0020】
また、通信端末10は、例えば予約希望者RA(施設利用に際しては、利用者USとなる。)が所持するスマートフォン(スマホ)等の各種端末機器(利用者端末)等であり、通信端末10を所持する目的の施設の予約希望者RA(あるいは利用者US)は、通信端末10を介してクラウド上に構成された予約管理サーバーSVにアクセスすることで、利用を希望する施設の利用申込みや施設への入出場(入出庫)の手続き等を行う。なお、現場端末30については、例えば精算機CM等に通信部が設けられて構成され、予約管理サーバーSVにアクセスすることで、例えば施設の出入り口に設置されている入出場(入出庫)に関する情報等の施設利用に関する各種情報の授受を可能としている。
【0021】
ここで、特に、本実施形態の利用予約管理システム500では、施設の利用者USが予約のために施設の利用時間を設定するに際して、利用終了予定時を予め宣言すると、これに応じて予約管理サーバーSV側からインセンティブ情報が返されるものとなっている。インセンティブ情報としては、種々の態様のものが想定されるが、ここでは、利用者USが、予定時刻通りに利用終了をした場合に、つまり施設の出場(出庫)等を完了した場合に、付与する特典についての情報を予約管理サーバーSV側から利用者USの通信端末10に送信する態様となっている。また、このような態様とすべく、利用者USの入退等を管理する現場端末30と予約管理サーバーSVとの間では、必要に応じて、施設の利用開始や終了の予定時刻に関する情報や、実際の施設の利用開始や終了がなされたことに関する情報の授受がなされる。
【0022】
以下、
図2等を参照して、上記のような利用予約管理システム500を適用して、駐車場の利用予約管理を行う場合の一態様の詳細について説明する。この場合、駐車場PAの利用者USが施設の利用予約としての駐車予約のために利用時間を設定するに際して、利用終了時間としての出庫予定時刻を予め宣言すると、これに応じて予約管理サーバーSV側からインセンティブ情報が返されるものとなる。
【0023】
図示の一例では、利用予約管理システム500は、異なる現場にそれぞれ設営されている複数の駐車場AA,BB,CC,…について一括管理すべく、各駐車場AA,BB,CC,…にそれぞれ設けられた精算機CM等で構成される各現場端末30と、予約管理サーバーSVとの間で通信がなされる。また、予約管理サーバーSVは、携帯型であるスマートフォン(スマホ)のほか、PC等で構成される各種通信端末10から、管轄下にある駐車場(駐車場AA,BB,CC,…)の利用予約を受け付ける。
【0024】
ここで、予約管理サーバーSVは、予約の受付をはじめとする予約管理のための種々の取り扱いを行うべく、例えば、受付部REと、特典付与部GPと、利用状況管理部UMと、予約管理データベースDBとを備える。
【0025】
受付部REは、上記のように、予約管理サーバーSVの外部からのアクセスに応じて、各種情報を受け付けるためのインターフェース部であり、ここでは、特に、通信端末10を介した管理対象施設としての駐車場PAの利用予約と利用終了予定時とを受け付ける。すなわち、受付部REは、利用予約としての駐車予約と、利用終了予定時としての出庫予定時刻とを、駐車場の利用予定者から受け付ける。
【0026】
特典付与部GPは、例えば各種回路基板等で構成され、受付部REで受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する。ここでは、時間貸しの駐車場(コインパーキング)における特典の一例として、駐車料金に関する特典を付与する(例えば駐車料金として使用可能なポイントを付与する)ものとする。
【0027】
利用状況管理部UMは、例えば各種回路基板等で構成され、受け付けた予約に基づく利用状況の管理を行うべく、例えば予約受付可能な車両の台数を設定する受付台数設定部SNや、利用予定時間を超過して利用している車両の有無について管理する超過利用管理部OM等で構成されている。あるいは、利用状況管理部UMが受付台数設定部SNや超過利用管理部OM等として機能する。
【0028】
受付台数設定部SNは、受付部REを介して受け付けた情報のうち、例えば入庫や出庫についての予定時刻の情報に基づいて、将来の駐車場の空き状況を予測して、将来時にいて受入れ可能な車両台数を設定する。
【0029】
超過利用管理部OMは、利用終了予定時としての出庫予定時刻を宣言したにもかかわらず、当該予定時刻を超過して利用しているか(駐車しているか)否かについて、管理をしている。なお、管理する手法については、種々の態様とすることが考えられるが、単純な一例としては、車両が出庫するに際して、超過利用管理部OMが、宣言していた出庫予定時刻と実際の出庫時刻を比較することをもって、超過利用管理部OMが上記管理を行っている、とすることが想定される。
【0030】
また、受付台数設定部SNは、超過利用管理部OMにおける管理内容に基づいて、受入れ可能な車両台数の設定を行うものとしてもよい。すなわち、超過利用している車両がある場合には、これに応じて受入れ可能な車両台数を変更することができる。
【0031】
予約管理データベースDBは、受け付けた予約内容に関する各種データを格納する。なお、予約後に予約変更や予約内容に関する追加事項等があった場合には、これらに応じて予約管理データベースDBにおいて格納すべきデータが更新される。
【0032】
以下、
図3等を参照して、本実施形態における利用予約管理システム500の一処理態様について説明する。
【0033】
利用予約管理システム500に関する説明の前に、図示の一例における現場施設としての駐車場PAに設けた駐車管理等のための各設備について概要を説明する。駐車場PAには、予約管理サーバーSVとの各種情報の通信を行うための現場端末30を構成するものとして、精算機CMや制御基盤部MP等が設けられている。例えば、制御基盤部MPは、CPUや外部との通信を担う通信部TT等で構成され、駐車場PAに設けた各設備と有線又は無線で接続され、各種指令信号を出力することで、各種動作制御に関する処理を司る。具体的には、制御基盤部MPは、入庫時に必要に応じて発券処理を行う発券機TMや、出庫時に精算処理を行う精算機CMの動作処理等をする。このほか、例えば駐車場PAの出入り口DWには、ゲートバーBAを昇降させることで、車両VEの通過許否を示すゲート装置GEが設けられており、制御基盤部MPは、ゲート装置GEにおけるゲートバーBAの昇降についての制御も担っている。すなわち、図示や詳細な説明を省略するが、各種センサー(例えば地面に埋設したループコイル)等により、出入り口DWに車両VEが存在することが検知されたことを契機として、制御基盤部MPは、車両VEの入出場に関する一連の処理を行うものとなっている。この上で、制御基盤部MPに設けた通信部TTを介して、予約管理サーバーSVとの通信がなされることで、駐車場PAの入出庫に関する各種情報が伝達可能となっている。なお、上記の態様の場合、例えば受付台数設定部SN(
図2参照)において、適宜設定を行うことで、通信端末10を介した事前予約ありの車両VE(予約車両VEa)と予約無しの車両VEとの双方を受け付け可能とし、予約無しの車両VEについては、発券機TMによる発券等を行う一方、通信端末10を介した事前予約車両VEaについては、発券を要さず、チケットレスとすることが可能である。また、図示等を省略するが、通信端末10を介した予約車両VEaのみを駐車対象とする構成とすることも考えられる。なお、この場合、例えば発券機TMによる発券や精算機CMによる現金での精算処理を要しない構成とすることが考えられる。また、事前の予約の有無に応じて、料金体系を分けるものとしてもよい。
【0034】
以下、駐車場PAへの入庫前における利用予約から出庫後の特典付与に至るまでの一連の処理について、予約管理を中心に一例を説明する。
【0035】
まず、
図3のうち、状態αとして示すように、予約車両VEaが現場である駐車場PAに到着する前の段階では、種々の状況にある予約希望者RA(利用者US)により、各種通信端末10を利用した事前の駐車予約がなされる。すなわち、通信端末10との通信を介して、予約管理サーバーSVが、複数の駐車場PA(
図2参照)の利用予約を受け付ける。なお、
図3では、スマホやPCといった種々の通信端末10を介した予約希望者RA(利用者US)による申し込みの様子が描かれている。また、予約管理サーバーSVにおいて受け付けた内容は、予約管理データベースDB(
図2参照)に格納される。なお、ここでは、利用者USが所持する通信端末10を利用して自己の所有する予約車両VEaを、図中に示す一の駐車場PAに停める予定について、受付がなされたものとする。また、受け付けた内容については、一つの利用者IDで、対応する予約車両VEa、通信端末10及び利用者US(予約希望者RA)を管理する。なお、予約管理サーバーSVにおけるデータの管理については、
図5等を参照して後述する。
【0036】
上記のような利用予約を経た後、
図3において状態βに示すように、利用者USの予約車両VEaが、該当する一の駐車場PAに到着すると、通信端末10と現場端末30との間で通信(例えば近距離無線通信)がなされ、現場端末30が通信端末10から取得した情報(例えば利用者ID)に基づき、予約車両VEaの駐車予約内容について、予約管理サーバーSVに問い合わせる。現場端末30から問合せを受けた予約管理サーバーSVは、受け付けた内容について、予約管理データベースDB(
図2参照)に格納された予約車両VEaの予約情報に基づき返信する。予約管理データベースDBからの返信を受けた現場端末30は、ゲートバーBAを昇降させることで、予約車両VEaを通過させる。また、これら一連の処理に伴い、予約管理サーバーSVは、予約車両VEaが予約に基づいて入庫し、駐車が開始されたものとして取り扱うべく、必要なデータ更新を行う。
【0037】
一方、
図3に例示した入庫後、一定時間が経過して予約車両VEaの出庫予定時刻が近づくと、
図4に示すように、予約車両VEaが精算機CMの付近に一時停車して、出庫のための精算処理が開始される。これに応じて、現場端末30は、予約車両VEaの駐車予約内容について、予約管理サーバーSVに問い合わせる。なお、ここでの一例では、現場端末30と通信端末10との間での通信(例えば近距離無線通信)を介して、出場(出庫)のための精算処理が開始されるものとする。なお、出庫のための精算処理については、種々の態様とすることが考えられるが、例えば決済に関する処理を、通信端末10としてのスマホ等を介してウェブ上で行う等としてもよい。上記出場(出庫)に際して、本実施形態では、現場端末30により、利用終了予定時としての出庫予定時刻に関する問い合わせが、予約管理サーバーSVに対してなされる。すなわち、予約管理サーバーSVにおいて、特典付与部GP(
図2参照)は、事前に宣言されている出庫予定時刻(利用終了予定時)と、現場端末30からの問合せ時刻である実際の利用終了時とに基づいて、駐車料金に関する特典を付与するか否かを判定する。なお、出庫予定時刻と利用終了時との比較については、例えば、超過利用管理部OMにおいて行われる。また、予約管理サーバーSVにおける特典付与についての判定結果については、現場端末30に対して出力するものとしてもよく、通信端末10に対して直接送信するものとしてもよい。例えば、上記により特典が付与された場合、付与された特典を利用して精算処理における駐車料金が割り引かれるようにしてもよい。
【0038】
精算処理が完了すると、現場端末30は、ゲートバーBAを昇降させることで、予約車両VEaの通過を促す。
【0039】
一方、予約管理サーバーSV側では、現場端末30における予約車両VEaの出場(出庫)に伴う特典付与に関する事項を、予約管理データベースDB(
図2参照)に追記する。
【0040】
以下、
図5を参照して、予約管理サーバーSVにおいて取り扱われる各種データについて、すなわち、予約管理データベースDB(
図2参照)において格納される事項について、一例を説明する。これにより、上記態様において付与する特典の内容について、より詳細な一例を説明する。
【0041】
まず、
図5(A)は、予約管理に関する一例を示すデータ表であり、ここでの一例では、前提として、事前にあるいは予約時に利用者IDが登録され、登録された利用者IDごとに駐車料金を割り引くポイントが、特典として付与されるものとする。すなわち、利用者IDに基づき駐車予約に関するデータの管理がなされ、駐車予約に応じた各利用者の利用態様に応じてポイントが付与される。このような態様とすべく、
図5(A)に示す一例では、利用者IDと当該利用者IDの利用者による予約申込み番号(ここでは予約ナンバーとし、例えば予約受付日時を示すものとする)とその内容について記録がなされている。具体的には、予約申込みの内容として、利用者USにより宣言された入庫予定時刻と出庫予定時刻とが記載されている。また、当該宣言の内容に対応して付与される予定の特典が併せて示されている。なお、図中では、例えば「C1」等の符号で示されているが、当該特典の内容(付与ポイント)については、
図5(B)に一例として示すように、ランクが予め設定されており、これに対応するポイントが与えられることになる。
図5(A)に戻って、上記予約申込みに対して、その後、実際に駐車場PAの利用がなされると、利用態様に応じて、実際の入庫事項や出庫時刻がどのようなものであったか等が逐次記載されていく。また、これらに併せて、上記出庫に対応して実際に付与された特典の内容が、出庫済であるか否かの情報とともに格納されていく。ここで、
図5(B)に示す付与する特典の設定に関しての一例では、駐車場の利用時期が繁忙期であるか閑散期であるか(繁忙期・通常期・閑散期の3段階)と、利用者が出庫予定時刻を宣言したタイミング(6段階)とに応じて、付与するポイントが段階的(A1~C6までの18段階)に設定されている場合が表記されている。この場合、繁忙期において時間通りに出庫する利用者USや、早期に利用予約をする利用者USに対しては、より高い特典を付与する態様とする、といったものにできる。このように、状況やタイミングに応じて、特典の内容を変更する、すなわちダイナミックプライシングに相当するような特典の変化を設けることで、施設の利用者に利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブをより多く与えつつ、施設の管理側(運営側)の立場としては、施設の回転率(利用率)の向上を図るようにすることが可能になる。1つの車両ごとあるいは1回の利用ごとの特典付与に関しては、例えば図中のうち、最上段に記載された利用においては、出庫予定時刻の通りに実際の出庫がなされており、予定した通りの特典が付与されたことが示されている。一方、上から4段目に記載された利用については、予定からかなり遅れて出庫しており、この場合、特典は付与されていないことが分かる。以上のような出庫するに際しての超過利用の判定は、例えば超過利用管理部OMにおいてなされ、超過利用管理部OMでの判定結果に応じて、特典付与部GPが特典付与を行うか否かについての決定を行う。
【0042】
なお、上記のほか、付与されたポイントについては、
図5(C)に例示するように、利用者IDごとにその累積値が、予約管理データベースDBに格納され、管理(保管)される。
【0043】
上記特典とその付与に関する態様は一例であり、上記のほか種々の態様とすることが可能であるが、上記一例のように、駐車場PAの利用時期等に応じて付与するポイントを変えることで、特典付与部GPが、管理対象施設である駐車場PAの混雑度合に応じて、特典内容を変更する態様にできる。
【0044】
また、出庫予定時刻を宣言するタイミングを多段階で受け付けることで、結果として、受付部REは、利用予約受付時から利用終了時までの間において、利用終了予定時(出庫予定時刻)の宣言を受け付け、特典付与部GPは、受付部REで受け付けた利用終了予定時(出庫予定時刻)の宣言のタイミングに応じて、特典内容を変更する態様となっている。
【0045】
以下、
図6として示すチャート図を参照して、利用予約管理システム500における予約台数の設定について一例を説明する。すなわち、利用状況管理部UMの受付台数設定部SN(
図2参照)における処理について、一例を説明する。
【0046】
ここで、
図6のチャートにおいて、横軸は、時刻すなわち時間の流れを示している。また、ここでの一例では、対象の駐車場を、例えば
図3等を参照して駐車場PAのように予約ありと無しの両方の車両VEに対応可能なものとする。その上で、当該駐車場における駐車可能台数の全体を20台とし、このうち、10台分を予約車両の受付用とし、残り10台分のうち、3台分をバッファー用すなわち余裕分とし、7台分を予約無しの車両用とする。ここで、図示の一例の場合では、10時の時点で、予約車両分については10台分全てが埋まって満車になっているが、10時30分にこれらのうち3台分が出庫予定となっており、さらに、11時15分に2台分が出庫予定となっている一方、11時45分に1台分が入庫予定となっているものとする。なお、説明を簡単にするため、10時の時点で、12時までについては上記以外に予約等は無く、かつ、12時以降については、特に予約が入っていないものとする。この場合、10時の時点で満車であっても、10時30分以降であれば3台分の受入れが可能であり、利用予約管理システム500(受付台数設定部SN)は、例えば11時から利用予約を希望している利用者US(予約希望者RA)に対して、受入れが可能であることを示すことができる。同様に、11時45分以降であれば4台分の受入れが可能であることを示すことができる。
【0047】
また、上記において、例えば超過利用管理部OMが超過利用を常時監視することにより、超過利用する予約車両VEaの存在が確認された場合には、これを含めて受け入れ可能台数を設定することができる。
【0048】
また、図示の一例では、バッファー用の3台分や、予約無しの車両用の7台分を、固定的なものとしているが、これらについても、例えば季節や時間帯等に応じて、適宜変更するものとしてもよい。例えば、受付台数設定部SNは、超過利用管理部OMにおける超過利用とバッファー用の台数との双方を考慮して受け入れ可能台数を設定してもよい。
【0049】
なお、以上の場合、結果的に、駐車予約の受付を行う受付部REは、一の利用予約(駐車予約)についての利用終了予定時(出庫予定時刻)等に基づいて、他の利用予約の受付についての可否を決定するものとなっている。
【0050】
以下、
図7として示すブロック図を参照して、上述した駐車場等の施設の利用予約管理システム500について概要をまとめる。利用予約管理システム500は、図示のように、管理対象施設FA(駐車場PA等)の利用予約と利用終了予定時とを受け付ける受付部REと、受付部REで受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する特典付与部GPとを備える。この場合において、まず、受付部REは、利用者US(予約希望者RA)が所持する通信端末10を介して、予約希望者RAが希望する利用に関する情報としての利用予約を受け付け、さらに、利用終了予定時を受け付ける。一方、利用者US(予約希望者RA)が、予約した管理対象施設FAを実際に利用して、利用を終了すると、受付部REで受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とをした結果が一致しているか否かが検知され、特典付与部GPは、検知結果に応じて、利用者USに特典を付与する。つまり、予定通りに管理対象施設FAの利用を終了した場合に、例えば施設利用の割引サービス等の特典を付与することで、利用者USに利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブを与えることができる。利用終了時間を定めるように促すことで、次の利用者USの受け入れが可能となる、すなわち、管理対象施設FAの管理側(運営側)は、管理対象施設FAの利用を促進できる。
【0051】
以下、
図8(A)及び
図8(B)を参照して、施設としての駐車場PAの一変形例について説明する。
図8(A)は、駐車場PAの一変形例について示す概念的な斜視図である。また、
図8(B)は、予約管理に関する一例を示すデータ表であり、
図5(A)に対応する図である。
図3等に示す一例では、駐車場PAの出入り口DWにゲート装置GEを設けることで、駐車場PAの全体における入出庫の確認を行う態様としていた。これに対して、
図8(A)の一例では、車室CBごとに監視をするカメラCAを設け、車室CB単位での車両の有無の検出が可能となっている点において、
図3等に示す一例と異なっている。なお、上記態様を除いた他の点については、同様であるので、駐車場PAに設けた各種施設の説明については、省略する。
【0052】
図8(A)に示す一例の場合、カメラCAを利用した車両検知については、種々の態様が可能である。例えば、利用者IDとして、予約車両VEaの車両ナンバーを予め登録しておき、カメラCAによるナンバープレートの読取りを利用して、予約車両VEaの出入りを検知するものとしてもよい。この場合、各カメラCAに基づく各車室CBでの車両検知と並行して、予約車両VEaの入出庫の確認ができる。また、このようにすることで、例えば
図8(B)に示すデータ表のように、車室CBの車室番号と利用者IDとの対応付けが可能となる。
【0053】
さらに、例えば、利用開始直前までに一の予約車両VEaが使用すべき車室CBの車室番号を決定しておき、決定した当該車室番号を当該予約車両VEaに対応する通信端末10に対して通知するものとしてもよい。
【0054】
以上のように、本実施形態の利用予約管理システム500は、駐車場PA等の管理対象施設の利用予約と利用終了予定時とを受け付ける受付部REと、受付部REで受け付けた利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する特典付与部GPとを備える。これにより、管理対象施設の利用予約を受け付ける受付部REにおいて、管理対象施設の利用終了予定時を受け付け、特典付与部GPにおいて、利用終了予定時と実際の利用終了時とに基づいて特典を付与する態様とすることで、管理対象施設の利用者USに利用終了時間を予め定めさせるためのインセンティブを与えつつ、管理側の立場としては、管理対象施設の回転率(利用率)の向上を図るようにすることが可能になる。
【0055】
〔その他〕
この発明は、上記の上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0056】
例えば、上記では、施設(管理対象施設)として、駐車場PAについて一例を示したが、利用予約管理システム500は、駐車場PAに限らず、種々の施設に適用可能であり、他追えば美術館等における入退場に関して、利用予約管理システム500を適用する等が考えられる。
【0057】
また、上記一例では、複数の駐車場PAについて一括管理する態様について示したが、1つの駐車場PAについて管理する場合に、利用予約管理システム500を適用することも可能である。また、複数の駐車場PAについて管理する場合、駐車場PAごとに適用する特典の内容を変更することも可能である。
【0058】
また、複数の駐車場PAについては、互いに情報を共有して連携した運営がなされるものであってもよく、連携等せず別個独立して存在する物であってもよい。
【0059】
また、特典の内容についても、種々のものが想定され、上記のようなポイント付与による利用する施設の利用料金(駐車料金等)の割引といったものに限らず、例えば周辺の関連施設の利用等、他の特典を提供するものとしてもよい。あるいは各種デジタルサービス券を発行する等も考えられる。
【0060】
また、特典付与を行うか否かの基準や、さらに、一定以上の超過利用があった場合にペナルティを設けるか否か等についても、種々の態様が想定される。ペナルティに関しては、例えば、駐車料金についてであれば、割増料金を設定する等が考えられる。
【0061】
また、上記のように、スマホやPC等の通信端末10を介したアクセスに関しては、例えば専用アプリを導入する態様とする場合のほか、ウェブブラウザからアクセスする態様でもよい。また、受付に関する通信端末10への通知についても、種々の態様とすることができ、例えば専用アプリを用いた通知とする場合のほか、メールによる通知を行う態様としてもよい。
【0062】
また、超過利用の発生等により、予定した駐車場への駐車ができない場合には、別の駐車場を案内する態様とすることも考えられる。
【0063】
また、通信端末10と現場端末30との間での通信についても、近距離無線通信のほか、例えば通信端末10としてのスマホに、QRコード(登録商標)すなわち二次元コードを表示し、これを現場端末30側で読み取る等により確認等を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…通信端末、30…現場端末、500…利用予約管理システム、AA,BB,CC,PA…駐車場、BA…ゲートバー、CA…カメラ、CB…車室、CM…精算機、DB…予約管理データベース、DW…出入り口、FA…管理対象施設、GE…ゲート装置、GP…特典付与部、MP…制御基盤部、OM…超過利用管理部、RA…予約希望者、RE…受付部、SN…受付台数設定部、SV…予約管理サーバー、TM…発券機、TT…通信部、UM…利用状況管理部、US…利用者、VE…車両、VEa…予約車両、α,β…状態