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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025936
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】接続端子アセンブリ、及び窓ガラス
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/02 20060101AFI20240220BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01R4/02 Z
H01R4/02 C
B23K1/00 330D
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129321
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】523220503
【氏名又は名称】セントラル硝子プロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】城所 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】薦田 匠
(72)【発明者】
【氏名】濱田 潤
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085BB03
5E085BB14
5E085CC03
5E085DD01
5E085DD03
5E085DD13
5E085EE23
5E085EE24
5E085FF01
5E085HH01
5E085HH11
5E085JJ06
5E085JJ25
(57)【要約】
【課題】接続端子へ接続される電線の屈曲に対する耐久性を高める。
【解決手段】座面を有する接続端子と、一端が前記接続端子に固定された編組線と、前記編組線と電気的に接続されるカプラーと、前記編組線と前記カプラーの間を接続する導線と、を備える接続端子アセンブリ。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面を有する接続端子と、
一端が前記接続端子に固定された編組線と、
前記編組線と電気的に接続されるカプラーと、
前記編組線と前記カプラーの間を接続する導線と、を備える接続端子アセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記接続端子は、一つの前記座面を有し、
前記編組線は、前記座面に固定される接続端子アセンブリ。
【請求項3】
請求項2に記載の接続端子アセンブリであって、
前記座面は、円形である接続端子アセンブリ。
【請求項4】
請求項2に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線と固定部との境界の中点が、座面の重心点から2mm以内に設けられる接続端子アセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記接続端子は、二つの前記座面と、前記座面間を結ぶ金属で構成される連結部と、を有し、
前記編組線は、前記連結部に固定される接続端子アセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線と固定部との境界の中心点が、前記二つの座面の中心を結ぶ線から2mm以内に設けられ、
前記境界と前記線は、傾きが±10度以内である接続端子アセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線は、平型である接続端子アセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線は、平編銅線である接続端子アセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線の幅が1mm以上、5mm以下である接続端子アセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線を構成する金属線の太さが0.2mm以下である接続端子アセンブリ。
【請求項11】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記編組線と前記導線は加締めによって接続される接続端子アセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記座面の面積は、100平方mm以下である接続端子アセンブリ。
【請求項13】
請求項1に記載の接続端子アセンブリであって、
前記接続端子と前記編組線が溶接で固定される接続端子アセンブリ。
【請求項14】
窓ガラスであって、
所定のパターンの導電層がガラス板面に形成されたガラス板と、
請求項1から請求項13のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリと、を備え、
前記接続端子は、前記導電層上にはんだ層を介して接続される窓ガラス。
【請求項15】
請求項14に記載の窓ガラスであって、
前記窓ガラスは、車両搭載用である窓ガラス。
【請求項16】
請求項14に記載の窓ガラスであって、
前記はんだは、インジウムを含有する無鉛はんだである窓ガラス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続端子アセンブリに関し、特に、窓ガラス用のガラス板の導電層に取り付けられる接続端子アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用窓ガラスには、例えば、曇り防止用のデフォッガや、ラジオ、テレビ、無線通信用のアンテナとして、ガラス面上に導電性材料からなる導電層が設けられている。曇り防止用のデフォッガは、ヒーターパターンやバスバーを、銀ペーストなどを焼き付けることによりガラス面上に形成される。アンテナは、AM、FM、地上放送、衛星放送対応などの用途に応じたパターンを、同様に銀ペーストなどを焼き付けることによりガラス面上に形成される。これらの電力や信号の授受を必要とする導電層には端子がはんだ付けされており、端子から引き出されたケーブルが電力供給回路や信号処理回路と接続されている。
【0003】
自動車の自動運転レベルの高度化や自動ブレーキの義務化によって、前面窓ガラスに前方視認用のカメラを搭載する必要があり、カメラの視界を常時確保するためにカメラヒーターも搭載する必要がある。
【0004】
本技術分野の背景技術として、国際公開2019/092947号(特許文献1)及び国際公開2020/050120号(特許文献2)がある。
【0005】
国際公開2019/092947号に開示される車両窓用ガラスは、導電体層を有するガラス板と、前記導電体層に、インジウム含有無鉛ハンダからなる、第一、第二ハンダ層からなる一対の接合部を介して接続された接続端子と、前記接続端子に固定された電力線と、を備え、 前記接続端子は、前記導電体層と、前記第一、第二ハンダ層を介して接合する、金属板の第一、第二接合部と、前記第一接合部と、前記第二接合部とに連結し、前記導電体層から離隔する、金属板からなるブリッジ部と、前記ブリッジ部主面に前記電力線を固定する、固定部と、を備え、前記電力線は、前記固定部から前記ガラス板主面に沿って延伸し、前記ガラス板主面と相対する側の反対側は前記ブリッジ部から開放され、前記固定部から延伸する電力線の始点が、前記第一接合部の中心部と、前記第二接合部の中心部とを結ぶ仮想線の上方にあるものである。
【0006】
国際公開2020/050120号に開示される車両窓用ガラスアッセンブリーは、所定パターンの銀を含む導電体層がガラス板主面に形成された車両窓用ガラス板と、前記導電体層と、インジウム含有の無鉛ハンダからなるハンダ層と、前記ハンダ層を介して接続された接続端子と、前記接続端子に固定された電力線と、を備え、前記接続端子は、前記ハンダ層と接合する第一主面と、前記第一主面とは反対側に位置する第二主面とを備える金属板と、前記第二主面に前記電力線を固定する、固定部と、を備え、前記電力線は、前記固定部から延伸し、前記固定部から延伸する電力線の始点が、前記ハンダ層と前記第一主面とからなる第一接合領域の縁よりも内側の領域の上方にあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開2019/092947号
【特許文献2】国際公開2020/050120号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
自動車に窓ガラスを取り付ける際の作業量を極力減らすため、車両用窓ガラスは接続端子アセンブリが取り付けられた状態で出荷される。接続端子アセンブリは、一端の接続端子が車両用窓ガラスの導電層にはんだ付けされて固定され、他端のカプラーは自由に動ける状態で、窓ガラスに取り付けられる。出荷時には接続端子アセンブリが自由に動かないように曲げた状態で固定され、窓ガラス取付時にはカプラーを伸ばして、自動車のワイヤーハーネスなどと接続を行うため、接続端子アセンブリは接続端子周辺にて何度も屈曲を繰り返される。一方、前面窓ガラスの上部の限られた狭い範囲のみに電子機器が取り付けられるため、電子機器やヒーターに電源を供給する電源線や、電子機器を制御する信号を出力する信号線には、小さな端子と細い電線が望まれる。しかし、電線を細くすると、屈曲を繰り返した際に破断することが懸念されるため、屈曲に対する耐久性を高める必要がある。
【0009】
本開示は、接続端子へ接続される電線の屈曲に対する耐久性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本開示(1)は、座面を有する接続端子と、一端が前記接続端子に固定された編組線と、前記編組線と電気的に接続されるカプラーと、前記編組線と前記カプラーの間を接続する導線と、を備える接続端子アセンブリである。
【0011】
また、本開示(2)は、本開示(1)に記載の接続端子アセンブリであって、前記接続端子は、一つの前記座面を有し、前記編組線は、前記座面に固定される接続端子アセンブリでもよい。
【0012】
また、本開示(3)は、本開示(2)に記載の接続端子アセンブリであって、前記座面は、円形である接続端子アセンブリでもよい。
【0013】
また、本開示(4)は、本開示(2)又は(3)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線と固定部との境界の中点が、座面の重心点から2mm以内に設けられる接続端子アセンブリでもよい。
【0014】
また、本開示(5)は、本開示(1)に記載の接続端子アセンブリであって、前記接続端子は、二つの前記座面と、前記座面間を結ぶ金属で構成される連結部と、を有し、前記編組線は、前記連結部に固定される接続端子アセンブリでもよい。
【0015】
また、本開示(6)は、本開示(5)に記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線と固定部との境界の中心点が、前記二つの座面の中心を結ぶ線から2mm以内に設けられ、前記境界と前記線は、傾きが±10度以内である接続端子アセンブリでもよい。
【0016】
また、本開示(7)は、本開示(1)~(6)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線は、平型である接続端子アセンブリでもよい。
【0017】
また、本開示(8)は、本開示(1)~(7)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線は、平編銅線である接続端子アセンブリでもよい。
【0018】
また、本開示(9)は、本開示(1)~(8)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線の幅が1mm以上、5mm以下である接続端子アセンブリでもよい。
【0019】
また、本開示(10)は、本開示(1)~(9)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線を構成する金属線の太さが0.2mm以下である接続端子アセンブリでもよい。
【0020】
また、本開示(11)は、本開示(1)~(10)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記編組線と前記導線は加締めによって接続される接続端子アセンブリでもよい。
【0021】
また、本開示(12)は、本開示(1)~(11)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記座面の面積は、100平方mm以下である接続端子アセンブリでもよい。
【0022】
また、本開示(13)は、本開示(1)~(12)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリであって、前記接続端子と前記編組線が溶接で固定される接続端子アセンブリでもよい。
【0023】
また、本開示(14)は、窓ガラスであって、所定のパターンの導電層がガラス板面に形成されたガラス板と、前述した本開示(1)~(13)のいずれか一つに記載の接続端子アセンブリと、を備え、前記接続端子は、前記導電層上にはんだ層を介して接続される窓ガラスでもよい。
【0024】
また、本開示(15)は、本開示(14)に記載の窓ガラスであって、前記窓ガラスは、車両搭載用である窓ガラスでもよい。
【0025】
また、本開示(16)は、本開示(14)又は(15)に記載の窓ガラスであって、前記はんだは、インジウムを含有する無鉛はんだである窓ガラスでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本開示の一態様によれば、接続端子へ接続される電線の屈曲に対する耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施例1の接続端子アセンブリを示す平面図である。
図2】実施例1の接続端子アセンブリを示す側面図である。
図3】実施例1の接続端子アセンブリのAA断面図である。
図4】実施例1の端子アセンブリの使用状態を示す図である。
図5】実施例2の接続端子アセンブリを示す平面図である。
図6】実施例2の接続端子アセンブリを示す背面図である。
図7】実施例2の接続端子アセンブリのBB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施例1>
図1は、本開示の実施例1の接続端子アセンブリを示す平面図であり、図2は、実施例1の接続端子アセンブリを示す側面図であり、図3は、実施例1の接続端子アセンブリのAA断面図である。
【0029】
実施例1の接続端子アセンブリは、接続端子1と、編組線2と、導線3と、加締め金具4と、カプラー5を有する。
【0030】
接続端子1は、板状の金属で形成される。接続端子1は、例えば円形に形成されるとよいが、角丸四角形(角が丸い四角形状)でもよい。接続端子1を構成する金属板としては、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、クロム、コバルト、又はクロムが挙げられ、2つ以上の元素が含まれた合金からなる金属板でもよい。例えば、インジウム含有無鉛はんだを用いる場合、導電性が良好で機械加工が容易な材料である点から、銅又は黄銅(真鍮)で形成するとよい。一方、Sn-Ag系無鉛はんだ又はSn-Ag-Cu系無鉛はんだを用いる場合、鉄及びクロムを含む合金、鉄とニッケルを含む合金又は鉄とニッケルとコバルトを含む合金で形成するとよい。例えば、金属板の材料として、ニッケルを48質量%含み、残部が鉄と不可避不純物である鉄ニッケル合金や、ニッケルを29質量%、コバルトを17質量%、残部が鉄と不可避不純物である鉄ニッケルコバルト合金を用いることができる。接続端子1をガラスと熱膨張係数が近い材質で形成すると、加熱と冷却時に発生する端子とガラス間に発生する応力を軽減でき、ヒートサイクルによるガラス板30やはんだのクラックを抑制できる。例えば、端子とガラスの熱膨張率の差を、10×10-7/℃以下とすることが好ましい。また、金属板の厚さは、0.3mm~2.0mmであり、0.3~1mmであることが好ましく、0.5mmであることがより好ましい。
【0031】
接続端子1は、図4に示すように、裏面が座面となり、基板(例えば、ガラス板30の導電層31)にはんだ付けで固定される。図2に示すように、接続端子1には、裏面側に突出する複数の凸部11が設けられる。凸部11によって接続端子1の座面とガラス板30の導電層31の間に設けられる空隙にはんだが流れ込み、はんだ厚を適切に制御でき、接続端子1をガラス板30に確実に接続できる。なお、凸部11をプレスにより形成する際に、座面とは反対側の表面に凹部が形成される場合もある。
【0032】
接続端子1の表面側には、編組線2と溶接などによって接続する固定部12が設けられる。固定部12が設けられる接続端子1の表面は、溶接に適する表面処理を施すとよい。固定部12と編組線2との境界13の中点は、座面の重心点14から2mm以内に設けられるとよい。ここで、境界13の中点とは、境界13の上にあり、境界13の両端からの距離が等しい点のことをいい、境界13が曲線であっても、中点は固定部12の中には入らない。境界13が座面の重心点14に近い位置に設けることによって、編組線2から加わる引張力が接続端子1の特定箇所に応力として集中せずに座面全体に分散するため、引っ張りに対する接続端子1の剥離強度を向上する。接続端子1の大きさ(接続端子1がガラス板30の導電層31に対向する面積)は、100平方mm以下であるとよく、好ましくは80平方mm以下であるとよい。例えば、接続端子1を直径10mmの円形で形成すると、78.5平方mmである。接続端子1の大きさが大きいと、接続端子1が取り付けられる後述の導電層31の面積も大きくなるため、導電層31の焼成時の生じるガラス板30に生じる歪みが大きくなるため、接続端子1の大きさは小さい方が好ましい。しかし、導電層31との接合強度を考えると、36平方mm以上が好ましい。
【0033】
編組線2は、複数の細い金属線を編んで形成される導線である。編組線2を構成する金属線の太さ、いわゆる素線径が0.05mm以上0.2mm以下、好ましくは0.1mm以上0.15mm以下であり、使用する金属線の本数、いわゆる素線数が40本以上200本以下、好ましくは50本以上150本以下であると、編組線2の屈曲耐性が向上してよい。金属線は、銅、アルミニウム、これらを含む合金の線を使用できる。編組線2の断面積は、例えば、0.3平方mm以上2平方mm以下、好ましくは0.5平方mm以上1.25平方mm以下とすることができる。編組線2は、図2の側面図に表れる厚さより図1の平面図に表れる幅が大きい平型であるとよく、編組線2の幅が1mm以上5mm以下、好ましくは1.5mm以上4mm以下であるとよい。また、編組線2は、細い銅線を平面状に編んだ平編銅線であるとよい。平編銅線としては、日本電線工業会規格(JCS)1236:2001に規定された、素線径0.12mmで公称断面積が2.0平方mm以下の平編銅線を使用することができ、素線径0.12mm又は素線径0.08mmの公称断面積0.75平方mmの平編銅線を使用することが好ましい。
【0034】
導線3は、編組線2とカプラー5を接続する導線であり、編組線より屈曲耐性が低い。導線3としては、編組線2とカプラー5を電気的に接続できれば特に限定されないが、例えば、複数の金属線を撚って形成された撚り線を使用できる。金属線の太さ、いわゆる素線径は、0.18mm以上0.5mm以下であるとよい。使用する金属線の本数、いわゆる素線数は、7本以上30本以下、好ましくは7本以上20本以下であるとよい。金属線は、銅、アルミニウム、これらを含む合金の線を使用できる。導線3の導体の断面積は、例えば、0.3平方mm以上2平方mm以下、好ましくは0.5平方mm以上1.25平方mm以下とすることができる。導線3として、被覆付きの銅線、例えばAVS、AVSS、AESS、CIVUSなどの自動車用低圧電線が用いられるとよい。図3に示すように、導線3と編組線2は加締め金具4によって加締めて接続される。加締め金具4内では、編組線2が導線3より加締め金具4の開口部側に配置され、幅が広い編組線2が導線3を覆うように加締めると、編組線2と導線3が確実に接続されてよい。なお、編組線2の導体断面積は、導線3の導体断面積と同じかそれ以上であることが好ましい。
【0035】
カプラー5は、接続端子アセンブリを、電子機器に接続するための接続デバイス(例えばコネクタ)である。例えば、接続端子アセンブリが車両用ハーネスである場合、電子機器は、車両用電子制御装置(ECU)である。
【0036】
図1図2に示す接続端子アセンブリは、カプラー5に一本の導線3が接続されているが、プラス線とマイナス線として、2本の導線3が接続されてもよい。各導線3は、それぞれ編組線2と接続端子1を持つ。また、図1図2に示す接続端子アセンブリは、編組線2とカプラー5の間に導線3と加締め金具4を設けたが、導線3と加締め金具4を有さず、編組線2を直接カプラー5に接続してもよい。
【0037】
図4は、実施例1の接続端子アセンブリをガラス板30に取り付けた使用状態を示す斜視図である。図4に例示するガラス板30は自動車の前面窓ガラスである。接続端子1は、その裏面側がガラス板30の導電層31にはんだ付けで固定される。
【0038】
ガラス板30は、車両窓として用いることができるように、湾曲形状を備えていてもよい。その厚みは、特に限定されるものではないが、0.3mm~6mmの範囲で適宜選ばれる。ガラス板30を形成する材料としては、ISO16293-1で定義できるソーダライムガラスを使用することができる。ガラス板30として、非強化ガラスを使用してもよく、非強化ガラスを含む合せガラスを使用してもよい。また、ガラス板30として、風冷強化ガラス、化学強化ガラス等が使用されてもよい。なお、本開示で言う非強化ガラスとは、表面に圧縮応力を備えないガラス板だけでなく、炉内での加熱によって曲げ加工されたガラス板が炉内での温度プロファイルに従って冷却されることで、ガラス板の表面に50MPa以下の圧縮応力を備えることになったものも含む。
【0039】
接続端子10は、図4に示すように、ガラス板30上に設けられた導電層31にはんだ付けされる。はんだは、インジウムを含有する無鉛はんだであるとよい。インジウム含有無鉛はんだの例として、インジウム:5~95質量%、スズ:5~95質量%、銀:0~10質量%、アンチモン:0~10質量%、銅:0~10質量%、亜鉛:0~10質量%、ニッケル:0~10質量%の合金からなるものが挙げられる。また、より好ましい例としてインジウム:65~95質量%、スズ:5~35質量%、銀:0~10質量%、アンチモン:0~3質量%、銅:0~5質量%、亜鉛:0~5質量%、ニッケル:0~5質量%の合金からなるものが挙げられる。インジウム含有無鉛ハンダとしては、融点が120℃~140℃、さらに好ましくは125℃~135℃のものが使用されてもよい。
【0040】
また、はんだとして、Sn-Ag系無鉛はんだ又はSn-Ag-Cu系無鉛はんだを用いることもできる。Sn-Ag系無鉛はんだ又はSn-Ag-Cu系無鉛はんだ中のスズの含有量は、無鉛はんだの全質量に対して、95質量%以上であることが好ましく、95~99質量%であることがより好ましく、96~98質量%であることが特に好ましい。Sn-Ag系無鉛はんだ又はSn-Ag-Cu系無鉛はんだ中の銀の含有量は、無鉛はんだの全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、1.5~5質量%であることがより好ましく、2~4質量%であることが特に好ましい。Sn-Ag-Cu系無鉛はんだ中の銅の含有量は、無鉛はんだの全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましく、0.2~1質量%であることが特に好ましい。
【0041】
無鉛はんだは、上記金属以外の金属を含んでもよい。無鉛はんだが含み得る他の金属として、例えば、銀、銅、ビスマス、亜鉛、ゲルマニウム、アンチモン、ニッケル、鉄などがある。
【0042】
<実施例2>
図5は、本開示の実施例2の接続端子アセンブリを示す平面図であり、図6は、実施例2の接続端子アセンブリを示す背面図であり、図7は、実施例2の接続端子アセンブリのBB断面図である。実施例2の接続端子アセンブリは、前述した実施例1の接続端子アセンブリと接続端子1の形状が異なる。
【0043】
実施例2の接続端子アセンブリは、接続端子1と、編組線2と、導線3と、加締め金具4と、カプラー5を有する。
【0044】
接続端子1は、左右一対の台座部15A、15Bと、台座部15A、15Bから立ち上がり、台座部15A、15Bを連結する連結部16を有する。台座部15A、15Bの両側端部は、曲線に形成されているが、角丸四角形(角が丸い四角形状)でもよい。台座部15A、15Bと、連結部16は、金属板のプレス加工によって一体に形成される。金属板は、実施例1と同様に、鉄及びクロムを含む合金、鉄とニッケルを含む合金又は鉄とニッケルとコバルトを含む合金であるとよい。また、金属板の厚さは、0.3~1mmであることが好ましく、0.5mmであることがより好ましい。
【0045】
台座部15A、15Bの下面は同一平面上にあるように形成され、台座部15A、15Bの下面(座面)が基板(例えば、ガラス板30の導電層31)にはんだ付けで固定される。台座部15A、15Bには、裏面側に突出する複数の凸部11が設けられる。凸部11によって接続端子の板状部とガラス板の導電層の間に設けられる空隙にはんだが流れ込み、はんだ厚を適切に制御でき、接続端子1をガラス板に確実に接続できる。なお、凸部11をプレスにより形成する際に、座面とは反対側の表面に凹部が形成される場合もある。
【0046】
連結部16は、台座部15A、15Bと同じ幅で台座部15A、15Bの内側から立ち上がる脚部と、脚部の間を接続するブリッジ部で構成される。脚部が立ち上がる角度は、図示したように垂直でも、角度を持った斜めのスロープを形成してもよい。図示した実施例では、脚部は全長において同じ幅であるが、台座部15A、15B側が幅広で、ブリッジ部側が幅狭でもよい。台座部15A、15Bと連結部16の境界において、連結部の幅を台座部15A、15Bの幅と同じにすることによって、編組線2から加わる引張力を台座部15A、15Bの特定箇所に応力として集中させず、脚部を介して台座部15A、15Bの全体に分散し、引っ張りに対する接続端子1の剥離強度を向上する。
【0047】
ブリッジ部は、二つの脚部の間に設けられ、脚部の立ち上がりによって、ガラス板30から離隔した位置に保持される。脚部とブリッジ部の境界において、脚部とブリッジ部の幅を同じにすることが好ましい。ブリッジ部の幅を、ブリッジ部の中央において、台座部15A、15Bの幅の25%以上75%以下、好ましくは40%以上60%以下、さらに好ましくは略半分とすることが好ましい。
【0048】
連結部16のブリッジ部の裏面側には、編組線2と溶接などによって接続する固定部12が設けられる。固定部12が設けられる接続端子1の表面は、溶接に適する表面処理を施すとよい。引っ張りに対する接続端子1の剥離強度を向上するために、固定部12と編組線2との境界13の中心点は、台座部15A、15Bの中心点(図6において)を結ぶ線17から2mm以内に設けられるとよい。また、境界13と線17は、傾きが±10度以内であることが好ましく、平行であることがより好ましい。
【0049】
編組線2、導線3、加締め金具4及びカプラー5の構成は、前述した実施例1と同じである。図5図6に示す接続端子アセンブリは、カプラー5にプラス線とマイナス線として、2本の導線3が接続されてもよい。また、図5図6に示す接続端子アセンブリは、編組線2とカプラー5の間に導線3と加締め金具4を設けたが、導線3と加締め金具4を有さず、編組線2を直接カプラー5に接続してもよい。
【0050】
以上に説明したように、本開示の実施例によると、接続端子へ接続される電線の可撓性を高めることができる。特に、カメラヒーターやアンテナのように大電流を必要としない接続端子に接続される細い電線を直接端子座面に溶着すると、屈曲時に電線がかしめ部の根本で断線する。座面と電線の間を屈曲性が高い編組線で接続することで、高い屈曲耐性を有する接続端子アセンブリとできる。
【0051】
本開示の効果を、実験結果を用いて示す。実施例1の構成において、接続端子1として直径9mmの円形の金属板を用い、編組線2として、素線径0.12mmの素線を64本用いて幅2.7mm×厚さ0.7mmとした公称断面積0.75平方mmの平編銅線を用い、それらを溶接により固定した。一方、同じ接続端子1に対して、素線径0.3mmの素線を7本撚って外径0.85mmの圧縮導体とした断面積0.5平方mmの自動車用薄肉低圧電線(CIVUS)を、加締めにより固定した。実施例1の構成の平編銅線を伸ばした状態で0度から90度まで曲げる試験を15回繰り返したところ、平編銅線に特に変化は見られなかった。しかし、CIVUSに対して同じ試験を行ったところ、加締め部の近傍にてCIVUSの圧縮導体が破断した。以上のように、本開示の接続端子アセンブリは、高い屈曲耐性を有する。
【0052】
以上、本開示を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本開示はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。
【符号の説明】
【0053】
1 接続端子
2 編組線
3 導線
4 加締め金具
5 カプラー
10 接続端子
11 凸部
12 固定部
13 境界
15A、15B 台座部
16 連結部
30 ガラス板
31 導電層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7