(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025960
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】光モジュール
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20240220BHJP
H01S 5/40 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H01S5/022
H01S5/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129358
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】京野 孝史
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MC01
5F173MD64
5F173ME22
5F173ME64
5F173ME85
5F173MF03
5F173MF12
5F173MF27
5F173MF28
5F173MF33
5F173MF39
(57)【要約】
【課題】プロジェクタや測距センサといった搭載先のデバイスの小型化および投影した映像やセンシングで得られる映像の高画質化を図ることが容易となる光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュールは、第1の面を有する支持板を含むベース部と、ベース部に取り付けられる第1レーザダイオードと、第1レーザダイオードから出射された第1の光を反射する反射ミラーと、ベース部に取り付けられ、反射ミラーにより反射された第1の光を走査する走査ミラーを含むミラー駆動機構と、ベース部から延びるようにベース部に取り付けられ、反射ミラーを支持する反射ミラー支持部と、を備える。反射ミラーの側面は、反射ミラー支持部の側面であって第1の面に垂直な側面に取り付けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面を有する支持板を含むベース部と、
前記ベース部に取り付けられる第1レーザダイオードと、
前記第1レーザダイオードから出射された第1の光を反射する反射ミラーと、
前記ベース部に取り付けられ、前記反射ミラーにより反射された前記第1の光を走査する走査ミラーを含むミラー駆動機構と、
前記ベース部から延びるように前記ベース部に取り付けられ、前記反射ミラーを支持する反射ミラー支持部と、を備え、
前記反射ミラーの側面は、前記反射ミラー支持部の側面であって前記第1の面に垂直な側面に取り付けられる、光モジュール。
【請求項2】
前記ベース部は、放熱板と、吸熱板と、前記放熱板および前記吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を有する電子冷却モジュールを含み、
前記第1レーザダイオードおよび前記ミラー駆動機構は、前記吸熱板に取り付けられる、請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記第1レーザダイオードから出射される前記第1の光を調整する光学部品をさらに備え、
前記ベース部は、
前記第1の面と間隔をあけて配置され、前記ミラー駆動機構を載置する台座と、
前記第1の面と間隔をあけて配置され、前記光学部品を載置するベース板と、
前記ベース板と間隔をあけて配置され、前記第1レーザダイオードを載置するマウント部と、を含み、
前記第1の面から前記台座までの高さ、前記第1の面から前記ベース板までの高さ、前記第1の面から前記マウント部までの高さの順に高くなる、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記反射ミラー支持部は、
前記ベース部に接触して設けられる第1領域と、
前記第1の面に垂直な方向に見て、少なくとも一部が前記ミラー駆動機構と重なる第2領域と、を含み、
前記反射ミラーの側面は、前記第2領域において前記ベース部の前記第1の面に垂直な側面に取り付けられる、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記反射ミラー支持部は、
前記ベース部に接触して設けられる第1領域および第3領域と、
前記第1の面に垂直な方向に見て、少なくとも一部が前記ミラー駆動機構と重なる第2領域と、を含み、
前記第2領域は、前記ミラー駆動機構を跨いで前記第1領域と前記第3領域とを接続するように設けられ、
前記第2領域は、切り欠き部を含み、
前記反射ミラーの側面は、前記切り欠き部に取り付けられる、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記ミラー駆動機構は、前記走査ミラーの反射面が前記第1の面と平行となるように取り付けられる、請求項1または請求項2に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記第2領域の側面は、前記反射ミラー支持部の端部であって、
前記走査ミラーの反射面は、前記第1レーザダイオードから出射された前記第1の光の光軸に対して傾斜して設けられる、請求項4に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記光学部品は、前記第1レーザダイオードから出射される前記第1の光のスポットサイズを変換するレンズを含む、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記ベース部に取り付けられ、前記第1の光と波長の異なる第2の光を出射する第2レーザダイオードをさらに備え、
前記光学部品は、前記第1レーザダイオードから出射される前記第1の光と前記第2レーザダイオードから出射される前記第2の光とを合波するフィルタを含む、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記ミラー駆動機構と前記ベース板との距離は、1mm以下である、請求項3に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記マウント部と接触して配置され、前記第1の光の色と異なる色の第2の光を出射する第2レーザダイオードと、
前記マウント部と接触して配置され、前記第1の光の色および前記第2の光の色の双方と異なる色の第3の光を出射する第3レーザダイオードと、
前記第1の光の色と同じ色の第4の光を出射する第4レーザダイオードと、を含み、
前記光学部品は、
前記第1の光を反射する第1フィルタと、
前記第1フィルタによって反射された前記第1の光を透過し、前記第2の光を反射して前記第1の光と前記第2の光とを合波する第2フィルタと、
前記第2フィルタにより合波された前記第1の光と前記第2の光の合波光である第1合波光を透過し、前記第3の光を反射して前記第1合波光と前記第3の光とを合波する第3フィルタと、
前記第4の光を反射する第4フィルタと、
前記第3フィルタにより合波された前記第1合波光と前記第3の光の合波光である第2合波光を透過し、前記第4フィルタによって反射された前記第4の光を反射して前記第2合波光と前記第4の光とを合波するスプリッタと、を含み、
前記ベース部は、前記第1の面と接触して配置され、前記マウント部を載置するブロック部を含み、
前記ブロック部のうちの前記ミラー駆動機構側の側面は、前記スプリッタにおいて前記第2合波光と前記第4の光とが合波される位置よりも、前記ミラー駆動機構に近い、請求項3に記載の光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を合波して出力する光モジュールが開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-77711号公報
【特許文献2】国際公開第2021/166466号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レーザダイオードを用いた光モジュールについては、レーザダイオードから出射される光を走査して出射するミラー駆動機構を備える場合がある。このような光モジュールは、出射されるレーザ光を走査して映像を投影するプロジェクタや、レーザ光を走査しさらに物体から反射している光を光検出器で捉えて物体の有無や距離をセンシングする測距センサに使用される。レーザダイオードは、例えば可視光でもよく、赤外線でもよい。また昨今、高画質な映像の投影や高分解能なセンシング、このような機能を有するデバイスの小型化が求められている。その結果、こうしたデバイスに搭載される光モジュールの小型化も求められている。
【0005】
そこで、プロジェクタや測距センサといった搭載先のデバイスの小型化および投影した映像やセンシングで得られる映像の高画質化を図ることが容易となる光モジュールを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った光モジュールは、第1の面を有する支持板を含むベース部と、ベース部に取り付けられる第1レーザダイオードと、第1レーザダイオードから出射された第1の光を反射する反射ミラーと、ベース部に取り付けられ、反射ミラーにより反射された第1の光を走査する走査ミラーを含むミラー駆動機構と、ベース部から延びるようにベース部に取り付けられ、反射ミラーを支持する反射ミラー支持部と、を備える。反射ミラーの側面は、反射ミラー支持部の側面であって第1の面に垂直な側面に取り付けられる。
【発明の効果】
【0007】
このような光モジュールによると、プロジェクタや測距センサといった搭載先のデバイスの小型化および投影した映像やセンシングで得られる映像の高画質化を図ることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る光モジュールの構造を示す外観斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す光モジュールの後述するキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4に示す光モジュールの一部を拡大して示す拡大図である。
【
図7】
図7は、光モジュールに含まれるミラー駆動機構の概略平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態2に係る光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
【
図11】
図11は、実施の形態2に係る光モジュールにおいて、キャップを断面で示した場合の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る光モジュールは、
(1)第1の面を有する支持板を含むベース部と、ベース部に取り付けられる第1レーザダイオードと、第1レーザダイオードから出射された第1の光を反射する反射ミラーと、ベース部に取り付けられ、反射ミラーにより反射された第1の光を走査する走査ミラーを含むミラー駆動機構と、ベース部から延びるようにベース部に取り付けられ、反射ミラーを支持する反射ミラー支持部と、を備える。反射ミラーの側面は、反射ミラー支持部の側面であって第1の面に垂直な側面に取り付けられる。
【0010】
このような光モジュールによると、第1レーザダイオードから出射された第1の光は、集光合波光学系を通過した後、反射ミラーによって反射され、ミラー駆動機構に含まれる走査ミラーに入射する。走査ミラーにより走査したレーザ光の走査歪みを抑えるためには、走査ミラー面における入射光と走査ミラーでの反射光とのなす角度を小さくする必要があり、好ましくは40°以内に抑えたい。ところで従来の構成では、第1レーザダイオードから出射された第1の光が集光合波光学系を通過した後に直接走査ミラーに入射するため、走査ミラー面における入射光と反射光とのなす角度を40°以内にするとき、集光合波光学系を構成する部材と走査ミラーでの反射光とが干渉しやすい。そのため、集光合波光学系を構成する部材と走査ミラーとの距離を長くとり干渉を回避するが、このとき光モジュールが大型化してしまう。一方で、本開示に係る光モジュールでは、走査ミラー面における入射光と反射光とのなす角度を大きくすることができる。その結果、集光合波光学系を構成する部材と走査ミラーとの距離を短くしても、集光合波光学系を構成する部材と走査ミラー面における反射光とが干渉しないようにすることができ、光モジュールを小型化することができる。また、従来と本開示に係る光モジュールとが同等のサイズを有するとき、本開示に係る光モジュールは、集光光学系の実装スペースを広く確保しやすくなる。その結果、レーザダイオードとレンズ間の距離が必要だか、コリメート光のビーム径を小さくすることができる焦点距離の長いレンズを採用しやすくなり、1画素をビーム径とするプロジェクタや測距センサにおいて、投影した映像やセンシングで得られる映像の高画質化を図ることができる。
【0011】
反射ミラーの固定方法について、通常は例えば反射ミラー支持部を第1の面に平行な面で構成し、その面に反射ミラーの側面を取り付ける。しかし、実際の製造の際に反射ミラーの中心と入射光の中心が設計から必ずずれるため、反射ミラーのサイズに猶予を持たせる必要があり、それに伴い走査したレーザ光と反射ミラーとの干渉を防ぐために光モジュールのサイズを大きくする必要が生じる。一方で本開示に係る光モジュールでは、反射ミラーの中心の設計からのずれを検知し、反射ミラーの位置を精密に位置と角度の両方を調整して固定することができる。その結果、反射ミラーのサイズは入射光のビーム径に対して最小限度にすることができ、光モジュールを小型化することができる。
【0012】
ここで、反射ミラーの小型化を図ると、第1レーザダイオードから出射された第1の光を適切に入射し、走査ミラーの配置された位置へ反射するための反射ミラーの位置の調整が困難となる。本開示の光モジュールによると、反射ミラーの側面は、反射ミラー支持部の側面であって第1の面に垂直な側面に取り付けられる構成を採用するため、第1レーザダイオードから出射された第1の光の光軸や走査ミラーによって走査する第1の光の走査方向を考慮して、反射ミラーの角度や位置を微細に調整することが容易となる。したがって、このような構成の光モジュールによると、プロジェクタや測距センサといった搭載先のデバイスの小型化および投影した映像やセンシングで得られた映像の高画質化を図ることが容易となる。
【0013】
(2)上記(1)において、ベース部は、放熱板と、吸熱板と、放熱板および吸熱板を接続する複数の半導体柱と、を有する電子冷却モジュールを含んでもよい。第1レーザダイオードおよびミラー駆動機構は、吸熱板に取り付けられてもよい。このようにすることにより、環境の温度に応じて、第1レーザダイオードおよびミラー駆動機構の温度を調整することができる。したがって、光の出力の安定を図るともに、走査ミラーの振れ角の安定化を図ることができる。その結果、再現性の高い投影やセンシングができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、第1レーザダイオードから出射される第1の光を調整する光学部品をさらに備えてもよい。ベース部は、第1の面と間隔をあけて配置され、ミラー駆動機構を載置する台座と、第1の面と間隔をあけて配置され、光学部品を載置するベース板と、ベース板と間隔をあけて配置され、第1レーザダイオードを載置するマウント部と、を含んでもよい。第1の面から台座までの高さ、第1の面から支持板までの高さ、第1の面からマウント部までの高さの順に高くなってもよい。第1レーザダイオードは、動作時において発熱する。このようにすることにより、第1レーザダイオードを高い位置に配置して、光学部品およびミラー駆動機構から遠ざけることができ、ベース板上に配置される光学部品および台座上に配置されるミラー駆動機構に対する第1レーザダイオードの発熱の影響をできるだけ低減することができる。したがって、ミラー駆動機構の安定した動作を維持して、再現性の高い投影やセンシングができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0015】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、反射ミラー支持部は、ベース部に接触して設けられる第1領域と、第1の面に垂直な方向に見て、少なくとも一部がミラー駆動機構と重なる第2領域と、を含んでもよい。反射ミラーの側面は、第2領域においてベース部の第1の面に垂直な側面に取り付けられてもよい。このようにすることにより、より装置構成のコンパクト化を図りながら、反射ミラーの角度や位置の微細な調整が容易になり、設計した光路から外れた光の損失を抑えることができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0016】
(5)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、反射ミラー支持部は、ベース部に接触して設けられる第1領域および第3領域と、第1の面に垂直な方向に見て、少なくとも一部がミラー駆動機構と重なる第2領域と、を含んでもよい。第2領域は、ミラー駆動機構を跨いで第1領域と第3領域とを接続するように設けられてもよい。第2領域は、切り欠き部を含んでもよい。反射ミラーの側面は、切り欠き部に取り付けられてもよい。このようにすることにより、第2領域における切り欠き部を利用して、反射ミラーを適切に取り付けることが容易となる。この場合、反射ミラー支持部のうちの反射ミラーを取り付けた部分以外の部分が、光路を遮るおそれを低減することができる。したがって、より効率的に装置構成のコンパクト化を図ることができる。
【0017】
(6)上記(1)から(5)のいずれかにおいて、ミラー駆動機構は、走査ミラーの反射面が第1の面と平行となるように取り付けられてもよい。このようにすることにより、ミラー駆動機構の取り付けが容易になると共に装置構成を単純化することができ、コストダウンを図ることが容易となる。
【0018】
(7)上記(4)において、第2領域の側面は、反射ミラー支持部の端部であって、走査ミラーの反射面は、第1レーザダイオードから出射された第1の光の光軸に対して傾斜して設けられてもよい。このようにすることにより、装置構成をよりコンパクトにしながら、光モジュールにより出射される光の出射方向を容易に任意に調整することができる。
【0019】
(8)上記(3)から(7)のいずれかにおいて、光学部品は、第1レーザダイオードから出射される第1の光のスポットサイズを変換するレンズを含んでもよい。このようにすることにより、このようにすることにより、所望のスポットサイズを有する光を光モジュールから出射することができる。
【0020】
(9)上記(3)から(8)のいずれかにおいて、ベース部に取り付けられ、第1の光と波長の異なる第2の光を出射する第2レーザダイオードをさらに備えてもよい。光学部品は、第1レーザダイオードから出射される第1の光と第2レーザダイオードから出射される第2の光とを合波するフィルタを含んでもよい。このようにすることにより、このようにすることにより、第1レーザダイオードから出射された第1の光と第2レーザダイオードから出射された第2の光を合波した光を光モジュールから出射することができる。
【0021】
(10)上記(3)から(9)のいずれかにおいて、ミラー駆動機構とベース板との距離は、1mm以下であってもよい。このようにすることにより、ベース板をできるだけ広くして熱拡散を促進することができる。したがって、発熱の影響を低減することができるため、ミラー駆動機構の温度変動によってその振動特性が変動する場合も、ミラー駆動機構の安定した動作を維持して、より高画質化を図ることが容易となる。
【0022】
(11)上記(3)から(10)のいずれかにおいて、上記光モジュールは、マウント部と接触して配置され、第1の光の色と異なる色の第2の光を出射する第2レーザダイオードと、マウント部と接触して配置され、第1の光の色および第2の光の色の双方と異なる色の第3の光を出射する第3レーザダイオードと、第1の光の色と同じ色の第4の光を出射する第4レーザダイオードと、を含んでもよい。光学部品は、第1の光を反射する第1フィルタと、第1フィルタによって反射された第1の光を透過し、第2の光を反射して第1の光と第2の光とを合波する第2フィルタと、第2フィルタにより合波された第1の光と第2の光の合波光である第1合波光を透過し、第3の光を反射して第1合波光と第3の光とを合波する第3フィルタと、第4の光を反射する第4フィルタと、第3フィルタにより合波された第1合波光と第3の光の合波光である第2合波光を透過し、第4フィルタによって反射された第4の光を反射して第2合波光と第4の光とを合波するスプリッタと、を含んでもよい。ベース部は、第1の面と接触して配置され、マウント部を載置するブロック部を含んでもよい。ブロック部のうちのミラー駆動機構側の側面は、スプリッタにおいて第2合波光と第4の光とが合波される位置よりも、ミラー駆動機構に近くてもよい。このようにすることにより、ブロック部の位置をミラー駆動機構に近い位置まで配置させることができ、各レーザダイオードから発する熱を広いブロック部に伝えて、熱拡散を促進することができる。したがって、各レーザダイオードのオンまたはオフによって各レーザダイオードの発熱量が変動する影響で、ミラー駆動機構の温度が変動するのを抑制することができ、ミラー駆動機構の安定した動作を維持して、より高画質化を図ることが容易となる。
【0023】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の光モジュールの一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0024】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1における光モジュールについて説明する。
図1は、実施の形態1に係る光モジュールの構造を示す外観斜視図である。
図2は、
図1に示す光モジュールの後述するキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
図3は、
図2に示す光モジュールの概略平面図である。
図4および
図5は、
図2に示す光モジュールの概略側面図である。
図4は、矢印Yで示す向きから見た側面図であり、
図5は、矢印Xと逆の向きから見た側面図である。
図6は、
図4に示す光モジュールの一部を拡大して示す拡大図である。
【0025】
図1、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6を参照して、光モジュール10aは、ベース部11と、保護部材としてのキャップ12と、複数のレーザダイオードと、複数の光学部品と、光を走査する走査ミラー52を含むミラー駆動機構50と、光を反射する反射ミラー67と、反射ミラー67を支持する反射ミラー支持部70aと、を含む。本実施形態においては、ベース部11は、平板状の支持板13と、平板状のベース板14と、電子冷却モジュール30と、ブロック部(第1ブロック部17a、第2ブロック部17b)と、複数のマウント部(第1マウント部18a、第2マウント部18b、第3マウント部18c、第4マウント部18d、第5マウント部18e)と、を含む。キャップ12は、支持板13に対して溶接された蓋部である。支持板13上に配置される部材については、支持板13およびキャップ12によって取り囲まれ、封止される。支持板13は、Z方向から見て矩形状であり、四隅が丸められた形状である。具体的には、支持板13は、X方向の長さがY方向の長さよりも長く構成されている。
【0026】
支持板13は、厚さ方向の一方側に位置する第1の面13aと、厚さ方向の他方側に位置する第2の面13bと、を含む。すなわち、ベース部11は、第1の面13aを含む。第1の面13aおよび第2の面13bはそれぞれ、Z方向に垂直な面、すなわち、X-Y平面と平行な面である。キャップ12は、第1の面13aに接触して配置される。キャップ12には、光を透過する出射窓15が設けられている。支持板13上に配置される複数のレーザダイオードおよび複数の光学部品、ミラー駆動機構50、反射ミラー67および反射ミラー支持部70aは、キャップ12によりハーメチックシールされている。出射窓15は、キャップ12の上側、すなわち、キャップ12が支持板13に取り付けられた際に、第1の面13aと対向する位置に設けられている。支持板13の第2の面13b側から第1の面13a側まで貫通し、第1の面13a側および第2の面13b側の両側に突出するように、複数のリードピン16が支持板13に設置されている。
【0027】
ベース板14は、厚さ方向の一方側に位置する第1の主面14aと、厚さ方向の他方側に位置する第2の主面14bと、を含む。第1の主面14aおよび第2の主面14bはそれぞれ、Z方向に垂直な面、すなわち、X-Y平面と平行な面である。
【0028】
電子冷却モジュール30は、電子冷却モジュール30上の各部材の温度を調節する。電子冷却モジュール30は、TEC(Thermo-Electric Cooler)とも呼ばれ、放熱板31と、吸熱板32と、複数の半導体柱33と、を含む。電子冷却モジュール30は、支持板13上、具体的には支持板13の第1の面13a上に配置される。上記ベース板14は、電子冷却モジュール30上に配置される。すなわち、電子冷却モジュール30は、Z方向において、支持板13とベース板14との間に挟み込まれるようにして配置される。電子冷却モジュール30において、放熱板31は、支持板13の第1の面13aと接触するようにして配置される。吸熱板32は、ベース板14の第2の主面14bと接触するように配置される。支持板13と放熱板31、ベース板14と吸熱板32はそれぞれ、図示しない接合材により接合されている。複数の半導体柱33は、ペルチェ素子から構成されており、放熱板31と吸熱板32との間において、それぞれX方向およびY方向に間隔をあけて並べて配置される。複数の半導体柱33はそれぞれ、放熱板31および吸熱板32に接続されている。電子冷却モジュール30に通電することにより、電子冷却モジュール30上の各部材の温度を調節することができる。電子冷却モジュール30に供給する電流を調整することにより、電子冷却モジュール30上の各部材を長期的に一定、具体的には例えば35℃に保つことが容易となる。
【0029】
第1ブロック部17aおよび第2ブロック部17bは、それぞれ直方体形状である。第1ブロック部17aおよび第2ブロック部17bは、ベース板14の第1の主面14a上に配置される。第1ブロック部17aは、Z方向に見て、X方向の長さがY方向の長さよりも長く構成されている。第2ブロック部17bは、Z方向に見て、Y方向の長さがX方向の長さよりも長く構成されている。ベース部11に含まれる第1マウント部18a、第2マウント部18bおよび第3マウント部18cは、第1ブロック部17aと接触して配置される。第1マウント部18a、第2マウント部18bおよび第3マウント部18cは、
図2等に示すように第1ブロック部17a上に配置される。ベース部11に含まれる第4マウント部18dおよび第5マウント部18eは、第2ブロック部17bと接触して配置される。第4マウント部18dおよび第5マウント部18eは、
図2等に示すように第2ブロック部17b上に配置される。第1マウント部18a、第2マウント部18bおよび第3マウント部18cは、矢印Xと逆の向きでそれぞれ間隔をあけて並べて配置されている。第4マウント部18dおよび第5マウント部18eは、矢印Yと逆の向きでそれぞれ間隔をあけて配置されている。なお、ベース部11は、ベース板14から立ち上がるようにベース板14上に配置される仕切り板19を含む。仕切り板19には、X方向に貫通する貫通孔20が設けられている。
【0030】
光モジュール10aは、複数のレーザダイオード(第1レーザダイオード41a、第2レーザダイオード41b、第3レーザダイオード41c、第4レーザダイオード41d、第5レーザダイオード41e)を含む。本実施形態においては、第1レーザダイオード41a、第2レーザダイオード41b、第3レーザダイオード41c、第4レーザダイオード41dおよび第5レーザダイオード41eはそれぞれ、半導体発光素子から構成されている。第1レーザダイオード41aは、赤色の光である第1の光L1を出射する。第2レーザダイオード41bは、緑色の光である第2の光L2を出射する。第3レーザダイオード41cは、青色の光である第3の光L3を出射する。第4レーザダイオード41dは、赤色の光である第4の光L4を出射する。第5レーザダイオード41eは、緑色の光である第5の光L5を出射する。
【0031】
第1レーザダイオード41aは、第1マウント部18a上に載置されている。第1レーザダイオード41aは、第1の光L1をY方向(矢印Yの向き)に出射する。第2レーザダイオード41bは、第2マウント部18b上に載置されている。第2レーザダイオード41bは、第2の光L2をY方向(矢印Yの向き)に出射する。第3レーザダイオード41cは、第3マウント部18c上に載置されている。第3レーザダイオード41cは、第3の光L3をY方向(矢印Yの向き)に出射する。第4レーザダイオード41dは、第4マウント部18d上に載置されている。第4レーザダイオード41dは、第4の光L4をX方向(矢印Xと逆の向き)に出射する。第5レーザダイオード41eは、第5マウント部18e上に載置されている。第5レーザダイオード41eは、第5の光L5をX方向(矢印Xと逆の向き)に出射する。ここで、特に赤色の光を出射する第1レーザダイオード41aおよび第4レーザダイオード41dについては、温度依存性が比較的高い。また、特に緑色の光を出射する第2レーザダイオード41bおよび第5レーザダイオード41eは、動作時における発熱量が大きい。上記したように、第1レーザダイオード41aの隣に第2レーザダイオード41bを配置し、第4レーザダイオード41dの隣に第5レーザダイオード41eを配置する構成を採用することにより、第1レーザダイオード41aと第4レーザダイオード41dとがそれぞれ発熱量の大きい第2レーザダイオード41bおよび第5レーザダイオード41eと等距離に配置することができ、第1レーザダイオード41aおよび第4レーザダイオード41dの温度変動を抑制することができる。したがって、温度分布を均一にしやすくなり、より各レーザダイオードからの出力の安定化を図ることができる。
【0032】
光モジュール10aは、光学部品としての複数のレンズ(第1レンズ42a、第2レンズ42b、第3レンズ42c、第4レンズ42d、第5レンズ42e)を含む。第1レンズ42a、第2レンズ42b、第3レンズ42c、第4レンズ42dおよび第5レンズ42eはそれぞれ、吸熱板32の上方、具体的にはベース板14の第1の主面14aの上に載置されている。第1レンズ42a、第2レンズ42b、第3レンズ42c、第4レンズ42dおよび第5レンズ42eはそれぞれ、第1レーザダイオード41a、第2レーザダイオード41b、第3レーザダイオード41c、第4レーザダイオード41dおよび第5レーザダイオード41eから出射される光のスポットサイズを変換する。具体的には、各レンズは、各レーザダイオードから出射される光の出射方向に配置されており、各レーザダイオードから出射される光をコリメート光に変換する。このようにして各レンズは、各レーザダイオードから出射される光を調整する。
【0033】
光モジュール10aは、光学部品としての複数のフィルタ(第1フィルタ43a、第2フィルタ43b、第3フィルタ43c、第4フィルタ43d、第5フィルタ43e)を含む。第1フィルタ43a、第2フィルタ43b、第3フィルタ43c、第4フィルタ43dおよび第5フィルタ43eはそれぞれ、吸熱板32の上方、具体的にはベース板14の第1の主面14aの上に載置されている。第1フィルタ43a、第2フィルタ43b、第3フィルタ43c、第4フィルタ43dおよび第5フィルタ43eはそれぞれ、第1レーザダイオード41a、第2レーザダイオード41b、第3レーザダイオード41c、第4レーザダイオード41dおよび第5レーザダイオード41eから出射される光の出射方向に配置されている。第1フィルタ43aは、第1の光L1をX方向(矢印Xと逆の向き)に反射する。第2フィルタ43bは、第1の光L1を透過し、第2の光L2をX方向(矢印Xと逆の向き)に反射する。このようにして、第1の光L1と第2の光L2とを合波する。第3フィルタ43cは、第1の光L1と第2の光L2とが合波された第1合波光LXを透過し、第3の光L3をX方向(矢印Xと逆の向き)に反射する。これにより、第1合波光LXと第3の光L3とを合波する。第1合波光LXと第3の光L3とが合波された第2合波光LYは、X方向(矢印Xと逆の向き)に進行する。第4フィルタ43dは、第4の光L4をY方向(矢印Yと逆の向き)に反射する。第5フィルタ43eは、第4の光L4を透過し、第5の光L5をY方向(矢印Yと逆の向き)に反射する。このようにして、第4の光L4と第5の光L5とを合波する。
【0034】
光モジュール10aは、半波長板(1/2波長板)44と、ビームスプリッタ45と、を含む。半波長板44およびビームスプリッタ45はそれぞれ、吸熱板32の上方、具体的にはベース板14の第1の主面14aの上に載置されている。半波長板44は、第4の光L4と第5の光L5とが合波された第3合波光LZの進行方向に配置される。半波長板44は、第3合波光LZの偏光方向を90度回転させる。半波長板44により、第2合波光LYのうちの第1の光L1の偏光方向と第3合波光LZのうちの第4の光L4の偏光方向とは、直交することになる。また、第2合波光LYのうちの第2の光L2の偏光方向と第3合波光LZのうちの第5の光L5の偏光方向とは、直交することになる。ビームスプリッタ45は、偏光依存型である。ビームスプリッタ45は、キューブ状である。ビームスプリッタ45は、第2合波光LYを透過し、第3合波光LZを反射する。このようにして、第2合波光LYと第3合波光LZとを合波して第4合波光LWを得る。X方向(矢印Xと逆の向き)に進行する第4合波光LWは、2つの赤色の光と2つの緑色の光と1つの青色の光とが合波された光であり、高出力を実現することができる。ビームスプリッタ45により合波された第4合波光LWは、仕切り板19に設けられた貫通孔20を通過して、X方向(矢印Xと逆の向き)に進行する。この第4合波光LWが、ミラー駆動機構50によって、投影映像の描画に用いられる。なお、第1ブロック部17aのうちのミラー駆動機構50側の側面は、ビームスプリッタ45において第2合波光LYと第4の光L4とが合波される位置よりも、ミラー駆動機構50に近く構成されている。
【0035】
光モジュール10aは、第1サーミスタ21aと、第2サーミスタ21bと、を含む。第1サーミスタ21aは、支持板13の第1の面13a上に配置された土台部22上に配置されている。土台部22は、放熱板31に隣り合うように配置される。第1サーミスタ21aを利用して、支持板13の温度を検知することができる。第2サーミスタ21bは、第1ブロック部17a上に配置される。第2サーミスタ21bは、第2レーザダイオード41bの近傍に配置される。第2サーミスタ21bを利用して、第1ブロック部17a、引いては吸熱板32上の領域の温度を検知することができる。第1サーミスタ21aおよび第2サーミスタ21bにより検知された温度は、電子冷却モジュール30により温度調節に利用される。
【0036】
光モジュール10aに含まれるミラー駆動機構50は、電子冷却モジュール30上、具体的には、吸熱板32上に配置される。
図7は、光モジュール10aに含まれるミラー駆動機構50の概略平面図である。なお、
図7以外の図においては、ミラー駆動機構50の図示を簡略化している。
【0037】
図7を併せて参照して、ミラー駆動機構50は、枠部51と、反射面55を有する円板状の走査ミラー52と、走査ミラー52を支持する支持部53と、を含む。走査ミラー52は、それぞれ一点鎖線で示す第1揺動軸59aおよび第2揺動軸59bを中心に揺動可能に構成されている。第1揺動軸59aは、
図7におけるD
2方向に沿って延びる仮想軸であり、第2揺動軸59bは、
図7におけるD
1方向に沿って延びる仮想軸である。D
1方向とD
2方向とは、直交している。なお、光モジュール10aの組み立て時においては、ミラー駆動機構50を取り付ける向きについては、矢印D
1で示す向きを
図1等に示す矢印Xで示す向きとし、矢印D
2で示す向きを
図1等に示す矢印Yで示す向きとする。
【0038】
枠部51には、第1貫通孔57aが設けられており、第1貫通孔57a内に走査ミラー52を支持する支持部53が設けられている。支持部53には、第2貫通孔57bが設けられており、走査ミラー52は、細い棒状の一対の軸部54a,54bによって第2貫通孔57b内において一点鎖線で示す第2揺動軸59bを中心に揺動可能に支持されている。走査ミラー52の第2揺動軸59bを中心とした揺動時においては、支持部53に取り付けられた4つの圧電素子56a,56b,56c,56dが利用される。
【0039】
支持部53は板状であって、それぞれD1方向に沿って延びる複数の第1部分61a,61b,61c,61d,61e,61f,61g,61hと、隣り合う第1部分61a~61hをそれぞれ接続する複数の第2部分62a,62b,62c,62d,62e,62fと、支持部53と枠部51とを連結する連結部63a,63bと、走査ミラー52が軸部54a,54bを介して取り付けられる取り付け部58と、第1部分61d,61hと取り付け部58とを接続する接続部63c,63dと、を含む。第2部分62a~62fは、隣り合う第1部分61a~61hの長手方向の一方側の端部同士および他方側の端部同士を交互に接続する。走査ミラー52の第1揺動軸59aを中心とした揺動時においては、支持部53、具体的には、第1部分61a~61hに取り付けられた圧電素子64a,64b,64c,64d,64e,64f,64g,64hが利用される。上記圧電素子56a~56d、64a~64hとしては、例えばピエゾ素子が用いられる。支持部53は、いわゆるミアンダ構造を有する。
【0040】
ミラー駆動機構50は、圧電素子56a~56d、64a~64hに供給する電圧を調整しながら、走査ミラー52を第1揺動軸59aおよび第2揺動軸59bをそれぞれ揺動の中心軸として揺動させる。
【0041】
ベース部11は、台座65a,66aを含む。台座65a,66aはそれぞれ、Y方向に延びる棒状である。台座65a,66aはX方向に間隔をあけて、ベース部11、具体的には吸熱板32上に配置される。台座65a,66a上にミラー駆動機構50が載置される。本実施形態においては、台座65a,66aのZ方向の高さは同じであり、走査ミラー52の反射面55は、第1の面13aに平行に取り付けられる。ここでいう平行とは、走査ミラー52が揺動していない状態において平行という意味である。ミラー駆動機構50は吸熱板32との間には、隙間が形成されている。
【0042】
ここで、第1の面13aから台座65a,66aまでの高さを高さH1、第1の面13aからベース板14までの高さを高さH2、第1の面13aから第1マウント部18a~第5マウント部18eまでの高さを高さH3とすると、高さH1、高さH2、高さH3の順に高くなっている。また、ミラー駆動機構50とベース板14とのX方向における間には、隙間が形成されている。本実施形態においては、ミラー駆動機構50とベース板14との距離Sは、1mm以下である。
【0043】
光モジュール10aに含まれる反射ミラー67は、光を反射する反射面68と、反射面68と連なって反射面68と交差する側面69と、を含む。反射面68は、平面である。反射ミラー67の外形形状は、反射面68に垂直な方向に見て、矩形状である。
【0044】
光モジュール10aに含まれる反射ミラー支持部70aは、反射ミラー67を支持する。反射ミラー支持部70aは、電子冷却モジュール30上、具体的には、吸熱板32上に配置される。反射ミラー支持部70aは、第1領域71aと、第2領域72aと、第3領域73と、を含む。第1領域71aおよび第3領域73は、ベース部11、具体的には、吸熱板32に接触して設けられる。第2領域72aは、第1の面13aに垂直な方向(Z方向)に見て、ミラー駆動機構50と重なる。第2領域72aは、ミラー駆動機構50を跨いで第1領域71aと第3領域73とを接続するように設けられている。
【0045】
第2領域72aは、切り欠き部74を含む。切り欠き部74は、第1領域71a側の第1の面13aからの高さが第3領域73側の第1の面13aからの高さよりも高くなるように設けられている。切り欠き部74は、反射ミラー支持部70aの側面75aを含む。側面75aは、第1の面13aに垂直な側面である。
【0046】
ここで、反射ミラー67は、反射ミラー支持部70aに取り付けられている。具体的には、反射ミラー67の側面69が、反射ミラー支持部70aの側面75aに取り付けられている。反射ミラー67の取り付けに際しては、接着剤を利用し、第4合波光LWの光軸の位置や走査ミラー52の反射面55の中心位置等を考慮して、微細に調整される。
【0047】
次に、光モジュール10aによる映像の投影と物体のセンシング光の照射について説明する。上記したように第1レーザダイオード41a、第2レーザダイオード41b、第3レーザダイオード41c、第4レーザダイオード41dおよび第5レーザダイオード41eから出射されたそれぞれの光は合波され、ビームスプリッタ45から第4合波光LWとして、X方向(矢印Xと逆の向き)に進行する。その後、第4合波光LWは仕切り板19の貫通孔20を通過し、反射ミラー67に至る。反射ミラー67に至った合波光は、反射ミラー67の反射面68によって反射して光路LUに沿って進行し、ミラー駆動機構50に含まれる走査ミラー52に入射する。走査ミラー52に入射した合波光は、走査ミラー52の反射面55によって反射され、キャップ12の出射窓15から光モジュール10a外へ出射される。
【0048】
ここで、走査ミラー52は、ミラー駆動機構50によって直交する第1揺動軸59aおよび第2揺動軸59bを中心として高速で揺動している。したがって、反射ミラー67の反射面68によって反射され、走査ミラー52に入射した合波光は、走査ミラー面である走査ミラー52の反射面55によって反射され、第1揺動軸59aおよび第2揺動軸59bの揺動により光軸LTを中心とし、それぞれ角度θ1で規定される光路LSと光路LRの範囲内で出射され、光モジュール10a外において映像の描画やセンシング光の照射をする。
【0049】
本開示の光モジュール10aによると、第1レーザダイオード41aから出射された第1の光L1を含む合波光が直接走査ミラー52に入射する構成ではないため、走査ミラー52による映像の投影を考慮した設計上の裕度が広がり、小型化を図ることが容易となる。また、走査ミラー52の位置を第1レーザダイオード41aの出射位置から比較的遠くすることができ、描画位置である集光位置においてビーム径を小さくすることができ、高画質化を図ることができる。この場合、装置の小型化を図る上で、反射ミラー67の小型化も図ることが容易となる。そうすると、走査ミラー52の振れ角を大きくした場合でも、出射する光と反射ミラー67との干渉を防ぐことが容易となる。
【0050】
また、本開示の光モジュール10aによると、反射ミラー67の側面69は、反射ミラー支持部70aの側面75aであって第1の面13aに垂直な側面に取り付けられる構成を採用するため、第1レーザダイオード41aから出射された第1の光を含む合波光の光軸や走査ミラー52によって走査する第1の光を含む合波光の走査方向を考慮して、反射ミラー67の角度や位置を微細に調整することが容易となる。したがって、このような構成の光モジュール10aによると、プロジェクタや測距センサといった搭載先のデバイスの小型化および投影した映像やセンシングで得られた映像の高画質化を図ることが容易となる。
【0051】
本実施形態においては、ベース部11は、放熱板31と、吸熱板32と、放熱板31および吸熱板32を接続する複数の半導体柱33と、を有する電子冷却モジュール30を含む。各レーザダイオードおよびミラー駆動機構50は、吸熱板32に取り付けられている。よって、環境の温度に応じて、第1レーザダイオード41aを含む各レーザダイオードおよびミラー駆動機構50の温度を調整することができる。したがって、光の出力の安定を図るともに、走査ミラー52の振れ角の安定化を図ることができる。その結果、再現性の高い投影やセンシングができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0052】
本実施形態においては、ベース部11は、第1の面13aと間隔をあけて配置され、ミラー駆動機構50を載置する台座65a,66aと、第1の面13aと間隔をあけて配置され、光学部品を載置するベース板14と、ベース板14と間隔をあけて配置され、各レーザダイオード41a,41b,41c,41d,41eを載置する各マウント部18a,18b,18c,18d,18eと、を含む。第1の面13aから台座65a,66aまでの高さH1、第1の面13aからベース板14までの高さH2、第1の面13aから各マウント部18a~18eまでの高さH3の順に高くなっている。各レーザダイオードは、動作時において発熱するが、このようにすることにより、各レーザダイオードを高い位置に配置して、光学部品およびミラー駆動機構50から遠ざけることができ、ベース板14上に配置される光学部品および台座65a,66a上に配置されるミラー駆動機構50に対する各レーザダイオードの発熱の影響をできるだけ低減することができる。したがって、ミラー駆動機構50の安定した動作を維持して、再現性の高い投影やセンシングができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0053】
本実施形態においては、反射ミラー支持部70aは、吸熱板32に接触して設けられる第1領域71aおよび第3領域73と、第1の面13aに垂直な方向に見て、ミラー駆動機構50と重なる第2領域72aと、を含む。第2領域72aは、ミラー駆動機構50を跨いで第1領域71aと第3領域73とを接続するように設けられている。第2領域72aは、切り欠き部74を含む。反射ミラー67の側面69は、切り欠き部74に取り付けられている。よって、第2領域72aにおける切り欠き部74を利用して、反射ミラー67を適切に取り付けることが容易となる。この場合、反射ミラー支持部70aのうちの反射ミラー67を取り付けた部分以外の部分が、光路を遮るおそれを低減することができる。したがって、より効率的に装置構成のコンパクト化を図りながら、反射ミラー67の角度や位置の微細な調整が容易になり、設計した光路から外れた光の損失を抑えることができるので、より高画質化を図ることが容易となる。
【0054】
本実施形態においては、ミラー駆動機構50とベース板14との距離Sは、1mm以下である。よって、ベース板14をできるだけ広くして熱拡散を促進することができる。したがって、発熱の影響を低減することができるため、ミラー駆動機構50の温度変動によってその振動特性が変動する場合も、ミラー駆動機構50の安定した動作を維持して、より高画質化を図ることが容易となる。
【0055】
本実施形態においては、第1ブロック部17aのうちのミラー駆動機構50側の側面は、ビームスプリッタ45において第2合波光LYと第4の光L4とが合波される位置よりも、ミラー駆動機構50に近い。よって、各レーザダイオードのオンまたはオフによって各レーザダイオードの発熱量が変動する影響で、ミラー駆動機構50の温度が変動するのを抑制することができ、ミラー駆動機構50の安定した動作を維持して、より高画質化を図ることができる。
【0056】
(実施の形態2)
他の実施の形態である実施の形態2について説明する。
図8は、実施の形態2に係る光モジュールのキャップを取り外した状態を示す外観斜視図である。
図9は、
図8に示す光モジュールの概略平面図である。
図10は、
図8に示す光モジュールの概略側面図である。
図10は、矢印Yで示す向きから見た側面図である。
図11は、実施の形態2に係る光モジュールにおいて、キャップを断面で示した場合の概略側面図である。
図11は、矢印Yと逆の向きから見た側面図である。実施の形態2における光モジュールは、基本的には実施の形態1の場合と同様の構成を有し、同様の効果を奏する。しかし、実施の形態2の光モジュールは、ミラー駆動機構を取り付ける構成および反射ミラー支持部の構成において実施の形態1の場合とは異なっている。
【0057】
図8~
図11を参照して、実施の形態2の光モジュール10bに含まれる反射ミラー支持部70bは、ベース部11、具体的には、吸熱板32に接触して設けられる第1領域71bと、第1の面13aに垂直な方向に見て、ミラー駆動機構50と重なる第2領域72bと、を含む。反射ミラー67の側面69は、第2領域72bにおいて第1の面13aに垂直な側面75bに取り付けられている。
【0058】
また、実施の形態2における光モジュール10bに含まれる台座65bは、一つの三角柱状の部材から構成されている。この場合、第1の面13aに対して、ミラー駆動機構50を載置する載置面が傾斜している。すなわち、走査ミラー52の反射面55は、第1レーザダイオード41aから出射された第1の光L1を含む第4合波光LWの光軸に対して傾斜して設けられる。
【0059】
上記光モジュール10bによると、反射ミラー支持部70bは、ベース部11、具体的には吸熱板32に接触して設けられる第1領域71bと、第1の面13aに垂直な方向に見て、ミラー駆動機構50と重なる第2領域72bと、を含む。反射ミラー67の側面69は、第2領域72bにおいて第1の面13aに垂直な側面75bに取り付けられている。よって、より装置構成のコンパクト化を図りながら、高画質化を図ることが容易となる。
【0060】
本実施形態においては、第2領域72bの側面75bは、反射ミラー支持部70bの端部であって、走査ミラー52の反射面55は、第1レーザダイオード41aから出射された第1の光L1の光軸を含む合波光の光軸に対して傾斜して設けられている。よって、装置構成をよりコンパクトにしながら、光モジュール10bにより出射される光の出射方向を容易に任意に調整することができる。
【0061】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、ベース部は、電子冷却モジュールを含むこととしたが、これに限らず、ベース部は、電子冷却モジュールを含まない構成としてもよい。この場合、例えば、支持板の上に第1ブロック部等が載置されてもよい。
【0062】
また、上記の実施の形態においては、光モジュールは、第1レーザダイオード、第2レーザダイオード、第3レーザダイオード、第4レーザダイオードおよび第5レーザダイオードの5つを含むこととしたが、これに限らず、例えば、第1レーザダイオードと、第2レーザダイオードと、第3レーザダイオードの3つのみを含む構成としてもよく、さらには、レーザダイオードを任意の数含むこととしてもよいし、レーザダイオードを1つ含む構成としてもよい。
【0063】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0064】
10a,10b 光モジュール
11 ベース部
12 キャップ
13 支持板
13a 第1の面
13b 第2の面
14 ベース板
14a 第1の主面
14b 第2の主面
15 出射窓
16 リードピン
17a ブロック部(第1ブロック部)
17b ブロック部(第2ブロック部)
18a マウント部(第1マウント部)
18b マウント部(第2マウント部)
18c マウント部(第3マウント部)
18d マウント部(第4マウント部)
18e マウント部(第5マウント部)
19 仕切り板
20 貫通孔
21a 第1サーミスタ
21b 第2サーミスタ
22 土台部
30 電子冷却モジュール
31 放熱板
32 吸熱板
33 半導体柱
41a レーザダイオード(第1レーザダイオード)
41b レーザダイオード(第2レーザダイオード)
41c レーザダイオード(第3レーザダイオード)
41d レーザダイオード(第4レーザダイオード)
41e レーザダイオード(第5レーザダイオード)
42a レンズ(第1レンズ)
42b レンズ(第2レンズ)
42c レンズ(第3レンズ)
42d レンズ(第4レンズ)
42e レンズ(第5レンズ)
43a フィルタ(第1フィルタ)
43b フィルタ(第2フィルタ)
43c フィルタ(第3フィルタ)
43d フィルタ(第4フィルタ)
43e フィルタ(第5フィルタ)
44 半波長板
45 ビームスプリッタ
50 ミラー駆動機構
51 枠部
52 走査ミラー
53 支持部
54a,54b 軸部
55,68 反射面
56a,56b,56c,56d,64a,64b,64c,64d,64e,64f,64g,64h 圧電素子
57a 第1貫通孔
57b 第2貫通孔
58 取り付け部
59a 第1揺動軸
59b 第2揺動軸
61a,61b,61c,61d,61e,61f,61g,61h 第1部分
62a,62b,62c,62d,62e,62f 第2部分
63a,63b 連結部
63c,63d 接続部
65a,65b,66a 台座
67 反射ミラー
69,75a,75b 側面
70a,70b 反射ミラー支持部
71a,71b 第1領域
72a,72b 第2領域
73 第3領域
74 切り欠き部
L1 第1の光
L2 第2の光
L3 第3の光
L4 第4の光
L5 第5の光
LX 第1合波光
LY 第2合波光
LZ 第3合波光
LW 第4合波光
H1,H2,H3 高さ
S 距離