(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025962
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】車両用入力装置及び車両用入力方法
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240220BHJP
B60K 35/00 20240101ALI20240220BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20240220BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20240220BHJP
【FI】
B60R16/02 630L
B60K35/00 Z
G06F3/01 510
G06F3/04817
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129360
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大泉 透
(72)【発明者】
【氏名】上島 宏幸
【テーマコード(参考)】
3D344
5E555
【Fターム(参考)】
3D344AA16
3D344AA19
3D344AA21
3D344AD01
3D344AD05
5E555AA54
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC01
5E555BE06
5E555CA12
5E555CA42
5E555CA44
5E555CA46
5E555CB14
5E555CB33
5E555DB20
5E555DC25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くした車両用入力装置及び車両用入力方法を提供する。
【解決手段】車両の室内に設けられるボタン3と、ボタン3の背面下に設けられる静電センサ10と、車両の振動を検出する振動検出部と、室内のユーザを検出するユーザ検出部と、
静電センサの出力に基づき、ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置50を備え、操作認識装置50は、ユーザ検出部の出力に基づき、ボタンを操作する操作ユーザを特定し、振動検出部により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内に設けられるボタンと、
前記ボタンの背面下に設けられる静電センサと、
前記車両の振動を検出する振動検出部と、
前記室内のユーザを検出するユーザ検出部と、
前記静電センサの出力に基づき、前記ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置を備え、
前記操作認識装置は、
前記ユーザ検出部の出力に基づき、前記ボタンを操作する操作ユーザを特定し、
前記振動検出部により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、前記操作認識範囲の位置を前記操作ユーザ側に移動させる車両用入力装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、
前記ボタンの位置に対して前記操作ユーザの位置が遠い場合には、前記ボタンの位置に対して前記操作ユーザの位置が近い場合よりも、前記操作認識範囲を移動させる車両用入力装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
複数の前記ボタンは、前記操作ユーザの位置から遠い第1ボタンと、前記操作ユーザの位置に近い第2ボタンとを含み、
前記操作認識装置は、
前記第1ボタン上の前記操作認識範囲の移動量を、前記第2ボタン上の前記操作認識範囲の移動量より大きくする車両用入力装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記振幅及び/又は前記振動周波数が大きいほど前記操作認識範囲の移動量を大きくする車両用入力装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、
前記操作認識範囲が、対応する前記ボタン上のアイコンを含み、かつ、前記対応するボタンの隣に位置する他の前記ボタン上の前記操作認識範囲と重ならないように、前記操作認識範囲の位置を移動させる車両用入力装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、
前記操作ユーザによる前記ボタンの操作中、前記操作認識範囲の移動を禁止する車両用入力装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記操作認識範囲は、前記操作ユーザの位置に近い第1辺と、前記操作ユーザの位置から遠い第2辺とを含む形状で形成され、
前記操作認識装置は前記第1辺の移動量を前記第2辺の移動量より大きくする車両用入力装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記操作認識装置は、
前記振動検出部により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が前記所定値以上である場合には、前記認識操作範囲の面積を大きくする車両用入力装置。
【請求項9】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記ボタンは、車室内の温度を設定するための温度設定用ボタンであり、
前記操作認識装置は、
前記ユーザに適した最適温度を管理し、
前記最適温度と前記室内の実際の温度との温度差が大きいほど、前記温度設定用ボタン上の認識操作範囲の面積を大きくする車両用入力装置。
【請求項10】
請求項1又は2記載の車両用入力装置において、
前記室内のノイズを検出するノイズ検出部を備え、
前記ボタンは、音量を設定するための音量設定用ボタンであり、
前記操作認識装置は、
前記ノイズ検出部により検出されたノイズが大きい場合には、前記ノイズが小さい場合よりも、前記音量設定用ボタン上の前記操作認識範囲の面積を大きくする車両用入力装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の車両用入力装置において、
前記振動検出部は、前記車両に搭載されたセンサを含む、又は、エンジン回転数、エンジンのオンオフ、ステアリングの操舵角、及び地図情報の少なくともいずれか一つに基づき、前記振動を検出する車両用入力装置。
【請求項12】
プロセッサにより実行される、車両の室内に設けられたボタンへのタッチ操作を検出する車両用入力方法であって、
前記ボタンの背面下に設けられ静電センサの出力に基づき、前記ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識し、
前記車両の振動を検出し、
前記ボタンを操作する操作ユーザを特定し、
検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、前記操作認識範囲の位置を前記操作ユーザ側に移動させる車両用入力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用入力装置及び車両用入力方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に取り付けて使用される車両用入力装置が知られている。例えば特許文献1記載の車両用入力装置は、不透明な板状部材であって、車両の内装の一部を提供する内装パネルと、内装パネルを車両に対して固定するための固定部と、を備える。内装パネルには、乗員が指示可能な制御内容を示す複数の図柄が配されている操作エリア部と、操作エリア部以外の部分である非操作エリア部とが設定される。操作エリア部の背面側には、 操作エリア部の表面において図柄が配されている部分であるスイッチ部に対するユーザの押下操作を検出するための押下センサと、操作エリア部の表面と直交する方向である操作面直交方向に、操作エリア部を振動させる加振装置と、が配置され、押下センサの検出結果に基づいて乗員の操作内容を特定するとともに、加振装置を振動させる制御部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2020-003792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の車両用入力装置において、車両の振動により操作エリア部が振動した場合には、ユーザが操作エリア部を触りにくくなり、ユーザの操作を認識し難くなるという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くした車両用入力装置及び車両用入力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、静電センサの出力に基づき、ボタンの表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識し、車両の振動を検出し、検出された車両の振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させることによって、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、車両の振動時に、タッチ操作を認識し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態に係る車両用入力装置のブロック図である。
【
図3】
図3は、ボード、静電センサ、振動センサ、及び振動素子の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すボードの一部を拡大した拡大平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す操作認識装置の制御フローを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
【
図7】
図7は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
【
図8】
図8は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
【
図9】
図9は、ボードの一部を拡大した拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用入力装置及び車両用入力方法の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る車両用入力装置100のブロック図である。車両用入力装置は、静電センサ10、振動センサ20、カメラ30、振動素子40、及び操作認識装置50を備えている。車両用入力装置100は、車両に設けられており、ユーザが車両の室内に設けられたボタンに触れた場合に、ボタンへの入力を検知し、タッチ操作に応じた操作指令をECUに送信する。
【0010】
車両用入力装置100は車室内に設けられている。
図2に示すように、車室前部に位置するインストルメントパネルには、ナビゲーションシステムやオーディオシステム等の車室内のシステムを操作するためのタッチパネル式ディスプレイ1が設けられており、ディスプレイ1の下部には、ボード2が設けられている。またボード2には、タッチ操作による入力を受け付けるための複数のボタン3が配置されている。複数のボタン3は、空調システムを操作用のボタンになっており、例えば、オートエアコンのオン/オフボタン、温度設定用の上下ボタン、風量設定用のプラス/マイナスボタン、デフロスターのオン/オフボタン、デフォッガーのオン/オフボタンなどである。ボード2に設けられるメインスイッチ4がオンになると、ボタン3に含まれるアイコンが点灯し、ユーザにとってアイコンが見やすくなる。メインスイッチ4は、車両全体の電源のオンオフを制御するためのスイッチであり、パワースイッチ又はイグニッションスイッチに相当する。メインスイッチ4は機械的なスイッチである。一方、ボタン3は機械的なスイッチではなく、ボード2と一体になっており、静電容量式のタッチスイッチ(無接点スイッチ)になっている。例えば、ユーザはメインスイッチ4をオンにした後、ユーザが、空調システムをオートエアコンモードで動作させる場合には、ユーザは「AUTO」アイコンのボタンを指で触れればよい。車室前部のステアリングには、ステアリングスイッチ5が設けられている。なお、以下の説明では、車両用入力装置100をボタン3に適用した例を説明するが、車両用入力装置100はステアリングスイッチ5に適用してもよい。車両用入力装置100は、空調システムを操作するためのボタンに限らず、例えばナビゲーションシステムやオーディオシステム等のシステムを操作するためのボタンに適用してもよい。
【0011】
静電センサ10はボタン3の背面下に設けられ、ユーザのボタン3へのタッチ操作を検出する。ユーザの指がボタン3に触れる、又は、ボタン3に近づくと、静電センサ10に含まれる電極と指との間で電流が流れ、静電容量が変化する。静電センサ10は、この静電容量の変化を検知して検出値を操作認識装置50に出力する。
【0012】
振動センサ20は、車両の振動を検出する。振動センサ20はボディ(車体)に設けられている。振動センサ20は検出値を操作認識装置50に出力する。振動センサ20は、例えばGセンサ(加速度センサ)やジャイロセンサである。振動センサ20は、ナビゲーションシステムに含まれるジャイロセンサ、シャシ系やエアバックなどの制御に利用されるセンサなどでもよい。また、車両の振動は、例えばエンジン回転数、エンジンのオンオフ、ステアリングの操舵角、地図情報から検出してもよい。例えば、後述する操作認識装置50は、車両の振動を検出する振動検出部を有しており、振動検出部は、エンジン回転数が所定の回転数閾値以上であること、エンジンがオンであること、ステアリングの操舵角が操舵閾値以上であること、及び、地図情報から車両が振動しやすい走路を走行していることのうちいずれか1つの条件を満たす場合に、車両が振動していると判定する。なお、エンジンは、車両の駆動用のエンジンに限らず、車載バッテリに電力を供給する発電用エンジンでもよい。また車両が振動しやすい走路は、未舗装の道路や、カーブ径の小さい(カーブ曲率の大きい)道路等である。
【0013】
カメラ30は、車両に搭載され、車両の室内を撮像することで室内のユーザ(乗員)を検出する。カメラ30は、撮像画像を操作認識装置50に出力する。カメラ30の撮像画像は、後述するように、ボタン3を操作するユーザ(以下、操作ユーザとも称する)を特定するために使用される。なお、操作ユーザは、ボタン3に触れる前の状態であり、ボタン3を操作しようとしているユーザに相当する。
【0014】
振動素子40は、ボタン3の付近に設けられており、操作認識装置50によりタッチ操作を認識した時に振動素子40を振動させる。振動素子40は、圧電素子等を有している。ユーザは、振動素子40の振動を通じて、タッチ操作が正常に認識されたことを把握できる。
【0015】
静電センサ10の周囲の構造を、
図3を参照して説明する。
図3は、ボード2、静電センサ10、振動センサ20、及び振動素子40の断面図である。静電センサ10は、電極11及び誘電体12を有している。静電センサ10の表面は、ボード2に覆われている。複数の電極11は、複数のボタン3に対応して、誘電体12の底面に設けられている。誘電体12の表面には、複数のボタン3はボード2に埋め込まれている。すなわち、複数のボタン3及び複数の電極11は誘電体12を介して対向する。また電極11の裏面には、振動素子40が設けられている。
【0016】
操作認識装置50は、静電センサ10の出力に基づき、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する。また操作認識装置50は、振動センサ20により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲の面積を大きくする。操作認識装置50は、コントローラ(プロセッサ)であり、操作認識装置50の有する機能を発揮するための機能ブロックとして、操作認識部51と、操作認識範囲制御部52を有している。操作認識部51は、静電センサ10の出力値に基づき、ボタン3のタッチ操作を認識する。具体的には、操作認識部51は、静電センサ10の出力から静電センサ10の静電容量を取得する。ユーザがボタン3へのタッチ操作をした場合には、静電センサ10の静電容量が増加する。操作認識部51は、取得した静電容量と所定の判定閾値を比較し、静電容量が判定閾値以上である場合に、タッチ操作有りと判定し、出力値が判定閾値未満である場合には、タッチ操作なしと判定する。なお、ノイズのような短時間あたりの静電容量変化を、タッチ操作有りと判定しないように、操作認識部51は、所定期間の静電容量が判定閾値以上である場合に、タッチ操作有りと判定してもよい。なお、静電センサ10は、タッチ操作時に静電容量を減少させる構造である場合には、操作認識部51は、静電容量が判定閾値未満である場合に、タッチ操作有りと判定すればよい。なお、操作認識部51は、静電容量の変化量と変化量閾値とを比較して、タッチ操作の有無を判定してもよい。
【0017】
タッチ操作有りと判定した場合には、操作認識部51は、タッチ操作を認識したボタンの操作指令を、空調を制御するECUに出力する。例えば、ECUは、デフロスターがオフの状態で、操作認識部51から、デフロスター操作用のボタン3を操作した旨の操作指令を受信した場合には、デフロスターをオフからオンに切り替える。
【0018】
操作認識範囲制御部52は、車両の振動に応じて、操作認識範囲の位置を設定する。操作認識範囲は、ボタン3の表面上で、タッチ操作を有効に認識できる範囲を示しており、複数のボタン3毎に決められている。
図4を参照し、ボタン3の操作認識範囲について説明する。
図4はボード2の一部を拡大した拡大平面図である。操作認識範囲は、ボタン3の表面上の閉空間で規定され、
図4に示すように、ボタン3のアイコンを中心とした所定範囲である。また操作認識装置50は、操作認識範囲の位置及び/又は大きさを変えることができる。例えば、電極11が平面に沿って縦方向と横方向にアレイ上に配置されており、静電センサ10は、ボタン3へのタッチ操作の位置に応じて静電容量の変化を検出できるような構造になっている。操作認識部51は、アレイ状に配置された電極11の座標のうち、操作認識範囲に対応する部分で、静電容量の変化を検出した場合には、タッチ操作有りと判定する。
【0019】
操作認識範囲制御部52は、静電容量の変化を検出可能な、電極11の座標範囲の位置を変えることで、操作認識範囲を移動させる。なお、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の移動のためには、必ずしも電極11の構造を利用する必要はなく、例えば、タッチ操作の位置に応じた閾値の設定を利用してもよい。操作認識範囲制御部52は、アレイ状に配置された電極11の座標位置毎に、タッチ操作の有無を判定するための閾値を設定する。操作認識部51は、静電センサ10の静電容量が判定閾値以上である場合にタッチ操作有りと判定し、静電センサ10の静電容量が判定閾値未満である場合にタッチ操作無しと判定する。操作認識範囲制御部52は、ボタン3の表面上に位置する、静電センサ10の検出可能範囲のうち操作認識範囲に該当する部分では、タッチ操作の有無を検出できるように判定閾値を初期値に設定する。静電センサ10の検出可能範囲は、電極11の配列された範囲に対応する。一方、操作認識範囲制御部52は、ボタン3の表面上に位置する、静電センサ10の検出可能範囲のうち操作認識範囲に該当しない部分では、タッチ操作の有りと検出しないように判定閾値を初期値より高くする。このとき、操作認識範囲制御部52は、タッチ操作の有りと検出しないように、判定閾値を、タッチ操作で変化する静電容量の上限値以上の値に設定する。これにより、操作認識部51は、操作認識範囲に該当しない部分のタッチ操作により、静電容量が変化した場合でも、タッチ操作無しと判断できる。そして、操作認識範囲制御部52は、電極11の座標位置毎に、判定閾値を変えることで、操作認識範囲を移動させることができる。
【0020】
また操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲を移動させるために、例えば静電センサ10の出力波形に対する信号処理を用いてもよい。操作認識装置50は、静電センサ10の出力波形からタッチ操作の位置を特定できる。操作認識範囲制御部52は、静電センサ10の出力波形に対してフィルタリング処理を行い、静電センサ10の検出可能範囲のうち操作認識範囲に該当しない電極位置からの信号波形をカットする。そして、操作認識範囲制御部52は、カットする部分を変える、言い換えると、フィルタリング処理で通過させる信号波形の範囲を変えることで、操作認識範囲を移動させることができる。
【0021】
また、操作認識範囲制御部52は、振動センサ20により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合に、操作認識範囲が操作ユーザに近づくように、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。車両が振動している場合には、ボタン3が配置されたボード2も振動するため、ユーザがボタンを触りにくくなる。例えば、車両の走行中に、車室内のユーザが、デフロスターのアイコンを押したつもりが、デフロスターのボタン3の部分が振動してタッチの位置がずれて、デフロスターのボタン3に触れていない、あるいは、別のボタン3やボタン3を配置していない位置を触れてしまう。このようなボタン3の誤操作の可能性は、車両の振動の振幅及び/又は振動周波数が大きいほど、高くなる。そのため、本実施形態では、振動センサ20を用いて車両の振動を検出し、振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合に、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。
【0022】
操作認識範囲制御部52には、操作認識範囲の位置を移動するか否かを判定するための移動判定用の閾値が設定されている。移動判定用の閾値は、振動の振幅閾値、及び/又は振動周波数閾値で規定される。例えば、操作認識範囲制御部52は、検出された車両振動の振幅が振幅閾値以上である場合には、操作認識範囲を、初期設定時の操作認識範囲の位置(以下、初期位置とも称する)よりも操作ユーザ側に移動させる。操作認識範囲制御部52は、検出された車両振動の振動周波数が周波数閾値以上である場合には、操作認識範囲を、初期位置よりも操作ユーザ側に移動させる。また操作認識範囲制御部52は、検出された車両振動の振幅が振幅閾値未満である場合には、操作認識範囲の位置を初期位置とする。操作認識範囲制御部52は、検出された車両振動の振動周波数が周波数閾値未満である場合には、操作認識範囲の位置を初期位置とする。なお、操作認識範囲制御部52は、振動の振幅の条件と、振動周波数の条件を組み合わせて、操作認識範囲の位置を移動させてもよい。
【0023】
また操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像に基づいて、操作ユーザを特定する。操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像から、室内に乗車しているユーザの位置を特定する。また、操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像から、ボタン3を操作する時のユーザの動きを検出する。例えば、運転席側のユーザがボタン3を操作する際には、操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像から、運転席にユーザ(ドライバ)が乗車していることを検出した上で、カメラ30により撮像された連続静止画又は動画から、ドライバーの指の動きを検出する。そして、操作認識範囲制御部52は、ドライバーの指がボタン3に近づいたことを特定することで、操作ユーザを特定する。これにより、操作認識範囲制御部52は、ボタン3の操作前に、ボタン3を操作しようとしているユーザ、すなわち操作ユーザを特定する。また操作認識範囲制御部52は、操作ユーザの位置も特定できる。
【0024】
そして、操作認識範囲制御部52は、ドライバーを操作ユーザとして検出した場合に、操作認識範囲を移動させるときには、ドライバー側に移動させる。
図4の例では、ボタン3を囲う実線のエリアが、初期位置の操作認識範囲であり、点線のエリアが移動後の操作認識範囲である。操作認識範囲制御部52は、
図4に示すように、操作認識範囲の位置を、操作ユーザに近いドライバー側(
図4の「操作ユーザ側」に相当)に移動させる。なお、操作認識範囲の移動量は、固定値又は変動値でもよい。また、操作認識範囲の移動量は、ボタン3に応じて異なる値としてもよい。
【0025】
なお、
図4の例では、複数のボタン4が車幅方向(
図4の紙面上の左右方向)に並んでいるが、複数のボタン4が上下方向(車両の高さ方向)に並んでいる場合には、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の位置を上方向及び/又は下方向に移動させることで、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させてもよい。例えば、操作ユーザの目の位置がボタン3の位置に対して高い程、操作ユーザは上から見下ろした形でボタン3を押すことになるため、操作ユーザとボタン3との間の距離が長い程、ボタン3を押す位置が上方向にずれやすくなる。そして車両振動時には、ボタン3を押す位置のずれはさらに大きくなり易い。そのため、複数のボタン4が上下方向に並んでおり、操作ユーザの目の位置がボタン3の位置より高い場合には、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の位置を上方向に移動させることで、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。このとき、操作認識範囲制御部52は、操作ユーザの目の位置がボタン3の位置に対して高い程、操作認識範囲の移動量を大きくしてもよい。
【0026】
また操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲は対応する前記ボタン上のアイコンを含み、かつ、対応するボタンの隣に位置する他のボタン上の操作認識範囲と重ならないように、操作認識範囲の位置を移動させる。つまり、移動後の操作認識範囲は対応するボタン上のアイコンを含み、かつ、移動後の操作認識範囲が他の操作認識範囲と重ならないように、操作認識範囲制御部52は操作認識範囲を移動させる。
図4の例では、風量設定用のプラス「+」ボタン上の操作認識範囲を操作ユーザ側に移動させる際には、プラス「+」ボタン上の操作認識範囲はアイコン「+」を含み、かつ、プラス「+」ボタン上の操作認識範囲はデフロスターのボタン上の操作認識範囲と重ならないように、操作認識範囲制御部52は、アイコン「+」上の操作認識範囲を移動させる。
【0027】
操作認識範囲制御部52は、操作ユーザによるボタン3の操作中、操作認識範囲の移動を禁止する。ボタン3が、長時間押されることで温度設定用のパラメータを連続的に増減できるような仕様になっていてもよい。例えば、風量調整や温度調整用のボタン3は、長押し可能な仕様とするとよい。そして、操作ユーザがボタン3を押している間、操作認識範囲制御部52は操作認識範囲の移動を禁止する。
【0028】
なお、操作認識範囲制御部52は、検出された車両振動の振幅が大きいほど、操作認識範囲の移動量を大きくしてもよい。操作認識範囲制御部52は、振動周波数についても同様に、検出された振動周波数が大きいほど、操作認識範囲の移動量を大きくしてよい。検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が大きいほど操作認識範囲を大きくする際には、操作認識範囲制御部52は、検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が大きくなるに従って、操作認識範囲の移動量を段階的又は連続的に大きくしてもよい。
【0029】
また、操作認識範囲制御部52は、検出された振動の周波数と車両の共振周波数に応じて、操作認識範囲の位置を移動させてもよい。車両の共振周波数は、車体の共振周波数(固有振動数)に相当し、車両の振動周波数が共振周波数に近い程、車両の振動が大きくなる。操作認識範囲制御部52には、車両の共振周波数を含む所定の周波数帯域が予め設定されている。所定の周波数帯域は、下限周波数から上限周波数の範囲で示される。そして、検出された車両の振動の周波数が所定の周波数帯域内である場合には、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の移動量を大きくする。一方、検出された車両の振動の周波数が所定の周波数帯域外ある場合には、操作認識範囲制御部52は操作認識範囲の移動量を小さくする。
【0030】
また、操作認識範囲制御部52は、振動周波数が周波数帯域の上限周波数より大きいほど、又は、振動周波数が周波数帯域の下限周波数より小さいほど、操作認識範囲の移動量を小さくしてもよい。操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の移動量を段階的又は連続的に小さくしてもよい。
【0031】
次に、操作認識装置50の制御フローを説明する。
図5は、操作認識装置50の制御フローを示すフローチャートである。なお、
図5の制御フローは、メインスイッチ4のオン状態で実行される。ステップS1にて、操作認識範囲制御部52は振動センサ20の検出値を取得する。ステップS2にて、操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像に基づき、操作ユーザを特定する。ステップS3にて、操作認識範囲制御部52は、振動センサ20により検出された振動の振幅が振幅閾値以上であるか否かを判定する。ステップS4にて、振動の振幅が振幅閾値以上である場合には、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。ステップS5にて、振動の振幅が振幅閾値未満である場合には、操作認識範囲制御部52は操作認識範囲の位置を初期位置に設定する。
【0032】
ステップS6にて、操作認識部51は、操作認識範囲内における静電センサ10の検出値を取得する。つまり、操作認識部51は、操作認識範囲内で変化する、静電センサ10の静電容量の検出値を取得する。ステップS7にて、操作認識部51は、静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値以上であるか否かを判定する。静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値以上である場合には、ステップS8にて、操作認識部51はタッチ操作有りと認識し、制御フローは終了する。静電センサ10の検出値(静電容量)が判定閾値未満である場合には、操作認識部51は、タッチ操作有りと認識せずに、制御フローは終了する。すなわち、操作認識装置50は、ステップS6~S8の制御フローを実行することで、静電センサの出力に基づき、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する。
【0033】
上記のように本実施形態では、車両用入力装置100は、静電センサ10と、振動センサ20と、カメラ30と、ボタン3の表面上で所定の操作認識範囲内のタッチ操作を認識する操作認識装置50を備える。操作認識装置50は、カメラ30の出力(撮像画像)に基づき、ボタン3を操作する操作ユーザを特定し、振動センサ20により検出された振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。これにより、振動の振幅及び又は振動周波数が大きく、ユーザがボタン3のタッチ操作を的確にできない可能性が高い場合には、ボタン3の操作性が高まるように、操作認識範囲の位置が操作ユーザに近づく。その結果として、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0034】
また本実施形態において、操作認識装置50は、振動の振幅及び又は振動周波数が大きいほど操作認識範囲の移動量を大きくする。これにより、車両の振動時にボタン操作を認識し易くすることができる。
【0035】
また本実施形態において、操作認識装置50は、操作認識範囲が対応するボタン3上のアイコンを含み、かつ、対応するボタン3の隣に位置する他のボタン上の操作認識範囲と重ならないように、操作認識範囲の位置を移動させる。これにより、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。
【0036】
また本実施形態において、操作認識装置50は、操作ユーザによるボタン3の操作中、操作認識範囲の移動を禁止する。これにより、車両の振動時、誤操作となることを防止できる。
【0037】
なお、本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、ボタン3の位置に対して操作ユーザの位置が遠い場合には、ボタン3の位置に対して操作ユーザの位置が近い場合よりも、操作認識範囲を移動させてもよい。つまり、操作認識装置50は、操作ユーザの位置と、操作ユーザが操作しようとしているボタン3の位置との位置関係に応じて、操作認識範囲の移動量を設定してもよい。具体的には、操作認識範囲制御部52は、カメラ3の撮像画像から、ユーザの位置を特定する。ユーザの位置は、乗車位置又はシートポジションに相当する。操作認識範囲制御部52は、カメラ30の撮像画像に限らず、例えばシートポジションの位置情報から、ユーザの位置を特定してもよい。ユーザの乗車位置はユーザの体格や姿勢等により異なるため、ユーザがボタン3を操作しようとしている指の位置からボタン3の位置までの距離も異なってくる。操作認識範囲制御部52は、操作ユーザの位置と、操作ユーザの操作対象ボタンの位置の間の距離を算出する。操作認識範囲制御部52は、算出された距離が長い程、操作認識範囲の移動量を大きくする。
【0038】
図6を参照し、変形例におけるボタン3の操作認識範囲の移動量について説明する。
図6はボード2の一部を拡大した拡大平面図である。
図6の例では、ボタン3を囲う実線のエリアが、初期位置の操作認識範囲であり、点線のエリアA及び二点鎖線のエリアBが移動後の操作認識範囲である。エリアAは、操作ユーザの位置とボタン3の位置との間の距離が長いときの操作認識範囲を示しており、エリアBは、操作ユーザの位置とボタン3の位置との間の距離が短いときの操作認識範囲を示している。エリアAは操作認識範囲の初期位置に対して移動量d
A分移動し、エリアBは操作認識範囲の初期位置に対して移動量d
B(>d
A)分移動する。例えば、ユーザがシートを後方の位置に調整した状態で座っており、ボタン3を操作しようとした場合には、操作ユーザの位置とボタン3の位置が長くなるため、操作認識範囲制御部52は、移動量d
Aで操作認識範囲を操作ユーザ側に移動させる。一方、ユーザがシートを前方の位置に調整した状態で座っており、ボタン3を操作しようとした場合には、操作ユーザの位置とボタン3の位置が短くなるため、操作認識範囲制御部52は、移動量d
Aで操作認識範囲を操作ユーザ側に移動させる。これにより、操作ユーザの位置に応じて、操作認識範囲を操作しやすい位置に移動させることができる。その結果として、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。なお、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲を移動する際には、算出された距離と所定の距離閾値を比較し、算出された距離が距離閾値以上である場合には、操作認識範囲を移動量d
Aで移動させて、算出された距離が距離閾値未満である場合には、操作認識範囲を移動量d
Bで移動させてもよい。
【0039】
また、本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、操作ユーザの位置から複数のボタン3までの各距離に応じて、操作認識範囲の移動量を設定してもよい。
図7を参照し、変形例におけるボタン3の操作認識範囲の移動量について説明する。
図7の例では、ボタン3を囲う実線のエリアが、初期位置の操作認識範囲であり、点線のエリアC、Dが移動後の操作認識範囲である。エリアCは、操作ユーザの位置とボタン3の位置との間の距離が長いときの操作認識範囲を示しており、エリアDは、操作ユーザの位置とボタン3の位置との間の距離が短いときの操作認識範囲を示している。操作認識範囲制御部52は、カメラの撮像画像から操作ユーザを特定し、操作ユーザの位置から複数のボタン3の各位置までの距離を特定する。なお、操作ユーザの位置から複数のボタン3の各位置までの距離は、操作ユーザの位置から一義的に決まる。例えば
図7を参照し、操作ユーザがドライバー側(車両の前進方向を前方にみて右座席側)の乗員である場合には、風量設定用のプラス「+」ボタン3が操作ユーザの位置から遠いボタン3となり、デフロスターのボタン3が操作ユーザの位置から近いボタン3となる。
操作ユーザが助手席側(車両の前進方向を前方にみて左座席側)の乗員である場合には、風量設定用のプラス「+」ボタン3が操作ユーザの位置から近いボタン3となり、デフロスターのボタン3が操作ユーザの位置から遠いボタン3となる。
【0040】
図7の例では、操作ユーザがドライバー側の乗員であるため、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲を移動する際には、風量設定用のプラス「+」ボタン3の移動量d
Cをデフロスターのボタン3の移動量d
Dより大きくする。このように、変形例に係る車両用入力装置100において、複数のボタン3は、操作ユーザの位置から遠いボタン3と、操作ユーザの位置から近いボタン3を含んでおり、操作認識範囲制御部52は、遠い方のボタン3(本発明の「第1ボタン」に相当する)上の操作認識範囲の移動量を、近い方のボタン3(本発明の「第2ボタン」に相当する)上の操作認識範囲の移動量より大きくする。これにより、操作ユーザの位置から複数のボタン3までの各距離に応じて、操作認識範囲を操作しやすい位置に移動させることができる。その結果として、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。なお、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲を移動する際には、所定方向に沿って並んで配置された複数のボタン3上の各操作認識範囲の移動量を、それぞれ異なる移動量で移動させる必要はなく、一部のボタン3を移動量d
Cで移動させて、一部のボタン3を移動量d
Dで移動させてもよい。
【0041】
また、本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、操作認識範囲を移動させる際に、操作認識範囲の形を変えてもよい。
図8を参照し、変形例におけるボタン3の操作認識範囲の移動量について説明する。
図8の例では、ボタン3を囲う実線のエリアが、初期位置の操作認識範囲であり、点線のエリアEが移動後の操作認識範囲である。
図8の例では、操作ユーザがドライバー側の乗員である。操作認識範囲は矩形状に形成され、操作ユーザに近い方の辺E
1と操作ユーザに遠い方の辺E
2と含んでいる。操作認識範囲制御部52は、カメラの撮像画像から操作ユーザを特定し、車両の振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲の位置を操作ユーザ側に移動させる。移動方向は、ボタンの位置から操作ユーザの位置に向かう方向である。操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲を移動させる際には、辺E
1の移動量d
1を辺E
2の移動量d
2より大きくする。すなわち、操作認識範囲制御部52は、移動方向に操作認識範囲を移動させる場合には、移動方向に位置する辺E
1の移動量d
1を、移動方向とは逆方向に位置してE
1と対向する辺E
2の移動量d
2より大きくする。これにより、操作認識範囲のうち、操作ユーザに近い方の部分の面積が拡大し、操作ユーザに近い方の部分の面積が縮小し、操作認識範囲を操作しやすいような形に変形できる。その結果として、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。なお、辺E
1が本発明の第1辺に相当し、辺E
2が本発明の第2辺に相当する。
【0042】
また、本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、操作認識範囲を移動させる際に、操作認識範囲の面積を変えてもよい。
図9を参照し、変形例におけるボタン3の操作認識範囲の面積について説明する。
図9の例では、ボタン3を囲う実線のエリアが、初期位置の操作認識範囲であり、点線のエリアF、Gが移動後の操作認識範囲である。エリアFが、初期位置の操作認識範囲に対して面積を拡大したときの操作認識範囲を示しており、エリアGが、初期位置の操作認識範囲に対して面積を拡大したときの操作認識範囲を示している。操作認識範囲制御部52は、カメラの撮像画像から操作ユーザを特定し、車両の振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値以上である場合には、操作認識範囲を大きくする。
図9の例では、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲をエリアFに拡大する。これにより、振動の振幅及び又は振動周波数が大きく、ユーザがボタン3のタッチ操作を的確にできない可能性が高い場合には、ボタン3の操作性が高まるように、操作認識範囲が大きくなる。その結果として、車両の振動時に、ボタン操作を認識し易くすることができる。なお、変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、車両の振動の振幅及び/又は振動周波数が所定値未満である場合には、操作認識範囲を小さくする。
図9の例では、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲をエリアGに縮小する。これにより、車両の振動の振幅及び/又は振動周波数の大きさに応じて、操作性が高まるように操作認識範囲の面積を調整できる。
【0043】
本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100において、操作認識装置50は、ユーザに適した最適車室温度を管理し、最適車室温度と室内の実際の温度との温度差が大きいほど、温度設定用のボタン3上の認識操作範囲の面積を大きくしてもよい。温度設定用のボタン3は、温度を上げるための上ボタンと、温度を下げるための下ボタンに相当する。操作認識範囲制御部52は、車室内の温度の設定履歴を、登録ユーザ毎に管理している。例えば、操作認識範囲制御部52は、車両のオーナなどの登録ユーザの個人情報を保存し、カメラ3の撮像画像から登録ユーザを検出する。操作認識範囲制御部52は、登録ユーザの乗車時に設定された温度の情報をメモリ等に保存する。登録ユーザの次回乗車時には、操作認識範囲制御部52は、登録ユーザを検出すると、メモリに保存された温度情報から、特定ユーザに適した最適温度を特定する。最適温度は、例えば直近の乗車時の温度である。操作認識範囲制御部52は、温度センサを用いて室内の実際の温度(車室内の現在の温度)を検出する。そして、操作認識範囲制御部52は、最適車室温度と室内の実際の温度との温度差が大きいほど、温度設定用のボタン3上の操作認識範囲の面積を大きくする。温度差が大きい場合には、登録ユーザは、温度設定用のボタン3を操作する可能性が高いため、温度設定用のボタン3上の操作認識範囲の面積を大きくすることで、操作性が高めることができる。
【0044】
本実施形態の変形例に係る車両用入力装置100は、室内のノイズを検出するノイズ検出部を備えており、操作認識装置50は、ノイズ検出部により検出されたノイズが大きい場合には、ノイズが小さい場合よりも、音量設定用のボタン3上の認識操作範囲の面積を大きくしてもよい。ノイズ検出部は例えば車室内のマイクに相当する。音量設定用のボタン3は、スピーカから出力される音量を上げるための上ボタンと、音量を下げるための下ボタンに相当する。操作認識範囲制御部52は、マイクを用いて、車室内の現在のノイズを検出し、検出されたノイズの大きさと所定のノイズ閾値を比較する。検出されたノイズの大きさがノイズ閾値以上である場合には、操作認識範囲制御部52は、操作認識範囲の面積を、初期設定時の操作認識範囲より大きくする。一方、検出されたノイズの大きさがノイズ閾値未満である場合には、操作認識範囲制御部52は、初期設定時の操作認識範囲の面積で維持する。ノイズが大きい場合には、操作ユーザは、音量設定用のボタン3を操作する可能性が高いため、音量設定用のボタン3上の操作認識範囲の面積を大きくすることで、操作性が高めることができる。
【0045】
なお本実施形態における振動センサ20が本発明の「振動検出部」に相当し、カメラ30が本発明の「ユーザ検出部」に相当する。すなわち、本発明の振動検出部は、振動センサ20を含んでもよく、又は、エンジン回転数、エンジンのオンオフ、ステアリングの操舵角、及び地図情報の少なくともいずれか一つに基づき、振動を検出してもよい。
【0046】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨
である。
【符号の説明】
【0047】
1 ディスプレイ
2 ボード
3 ボタン
4 メインスイッチ
5 ステアリングスイッチ
10 静電センサ
11 電極
12 誘電体
20 振動センサ
30 カメラ
40 振動素子
50 操作認識装置
51 操作認識部
52 操作認識範囲制御部
100 車両用入力装置