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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024025967
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ポイントシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240220BHJP
【FI】
G06Q30/02 328
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129369
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100216677
【弁理士】
【氏名又は名称】坂次 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 啓之
(72)【発明者】
【氏名】中村 博之
(72)【発明者】
【氏名】新井 朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB07
(57)【要約】
【課題】ユーザ毎のポイント付与に係る活動の巧拙に応じて付与ポイントを変動させるポイントシステムを提供する。
【解決手段】ユーザ2に対してポイントを付与するポイントシステム1であって、ユーザ2による一定期間後の金融指標の予想を含む取引を受け付けて記録する取引管理部12と、一定期間の経過後に予想が当たっているか否かを判定する予想判定部14とを有し、取引管理部12は、予想判定部14による判定の結果に基づいてユーザ2に付与するポイントの付与数または付与倍率を変動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対してポイントを付与するポイントシステムであって、
前記ユーザによる一定期間後の金融指標の予想を含む取引を受け付けて記録する取引管理部と、
前記一定期間の経過後に前記予想が当たっているか否かを判定する予想判定部と、を有し、
前記取引管理部は、前記判定の結果に基づいて前記ユーザに付与する前記ポイントの付与数または付与倍率を変動させる、ポイントシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のポイントシステムにおいて、
前記取引管理部は、前記ユーザが前記予想に係る予想値を指定するに際して基準値を設定し、前記ユーザによる前記予想が当たっていた場合に、前記予想値と前記基準値との乖離の程度に応じて前記ポイントの付与数または付与倍率を変動させる、ポイントシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のポイントシステムにおいて、
前記取引管理部は、前記ユーザが前記予想に係る前記予想値を指定する際に、所定の幅毎の単位で前記予想値を指定するものとし、前記所定の幅と、前記所定の幅毎の前記各予想値にて前記予想が当たっていた場合の前記ポイントの付与数もしくは付与倍率とを、前記金融指標の遷移に係る時系列分析の結果に基づいて設定する、ポイントシステム。
【請求項4】
請求項2または3のいずれか1項に記載のポイントシステムにおいて、
前記取引管理部は、前記一定期間の開始前に前記ユーザからの前記取引を受け付ける受付期間を設け、前記受付期間中に受け付けた前記取引に係る前記基準値を、前記一定期間開始時の金融指標とする、ポイントシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のポイントシステムにおいて、
前記取引管理部は、前記ユーザによる前記予想に係る金融指標について、前記受付期間中は前記基準値からの相対値により表し、前記一定期間中は金融指標の絶対値により表す、ポイントシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のポイントシステムにおいて、
前記取引管理部は、前記ユーザから前記取引を受け付ける際に、前記ユーザが保有する第1のポイントのうち前記取引において使用するポイント数の指定を受け付け、前記判定の結果に基づいて得られた付与倍率を前記ポイント数に乗じた数の第2のポイントを前記ユーザに付与する、ポイントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザにポイントを付与する技術に関し、特に、金融デリバティブに基づいてポイントを付与するポイントシステムに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
事業者が顧客サービスやマーケティングの一環としてユーザの購買活動等に対してポイントを付与するサービスが広く普及している。ポイントを付与する事業者においては、ユーザへの訴求効果を高めるために、例えばポイント付与率や付与数を通常より優遇したりメリハリをつけたりするような、ユーザにとって魅力的なポイント付与(キャンペーン等)を行いたいというニーズがある。
【0003】
このようなポイントの付与方法に関連する技術として、例えば、特許第6306477号公報(特許文献1)には、取引が行われた際に、通常ポイントの発生とは別に、所定の確率でランダムポイントを発生し、発生した通常ポイントとランダムポイントを会員に対して付与することで、購入金額が低い会員や新規会員等であっても購入金額が多い優良会員と同一の待遇のポイント付与を実行することができる仕組みが記載されている。
【0004】
また、特許第6194977号公報(特許文献2)には、スポーツチームの最新の成績情報を取得し、取得した成績情報に対応したポイント数を特定して、特定したポイント数に基づいてポイントを付与することで、ポイントに対する興趣を盛り上げることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6306477号公報
【特許文献2】特許第6194977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来技術によれば、ポイント付与の条件を通常より優遇したり付与毎にメリハリをつけたりするという点では、ユーザの興趣を高めて魅力的なポイント付与を行うことが可能である。
【0007】
しかしながら、ポイント付与の条件が全てのユーザに対して一律であることから、ユーザにとっての魅力を高めようとすると全体としてポイント付与の総数が増え、ポイントを付与する事業者側のコスト負担が大きくなってしまうという課題がある。また、ポイント付与の条件が全てのユーザに対して一律であり、ユーザ毎のポイント付与に係る活動の巧拙がユーザ毎の付与ポイントの数や付与率に差として現れるものではないことから、ユーザを惹き付ける魅力が十分ではないという課題もある。
【0008】
そこで本発明の目的は、ユーザ毎のポイント付与に係る活動の巧拙に応じて付与ポイントを変動させるポイントシステムを提供することにある。
【0009】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
本発明の代表的な実施の形態であるポイントシステムは、ユーザに対してポイントを付与するポイントシステムであって、前記ユーザによる一定期間後の金融指標の予想を含む取引を受け付けて記録する取引管理部と、前記一定期間の経過後に前記予想が当たっているか否かを判定する予想判定部と、を有し、前記取引管理部は、前記判定の結果に基づいて前記ユーザに付与する前記ポイントの付与数または付与倍率を変動させるものである。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0013】
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、ユーザ毎のポイント付与に係る活動の巧拙に応じて付与ポイントを変動させることで、ユーザの興趣を高めて魅力的なポイント付与の仕組みを実現し、また、ポイントを付与する事業者側のコスト負担を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態であるポイントシステムの構成例について概要を示した図である。
図2】本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの画面例について概要を示した図である。
図3】本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。
図4】本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。
図5】本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。
図6】本発明の一実施の形態におけるポイント付与処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。一方で、ある図において符号を付して説明した部位について、他の図の説明の際に再度の図示はしないが同一の符号を付して言及する場合がある。
【0016】
<概要>
本発明の一実施の形態であるポイントシステムは、ユーザにポイントを付与するポイントサービスにおいて、ユーザに一定期間後の金融指標の値(具体的な値に限らず、率や割合なども含み、以下これらを総称して「レート」と記載する場合がある)を予想させ、その結果に基づいてポイント付与数(もしくは付与率)を変動させるものである。これにより、ユーザの予想の巧拙が反映される魅力的なポイント付与の仕組みを実現するとともに、ユーザ毎にポイントの付与にメリハリを付けることができるため、ポイントを付与する事業者側にとって全体的な付与コストを低減させることも可能である。
【0017】
予想対象の金融指標は特に限定されないが、例えば、日経平均株価や東証株価指数などの各種指数や、これらに連動する各種のETF(Exchange Traded Funds)の基準価格、為替レートなどを適宜採用することができる。なお、予想および結果判定の手法としては、一定期間の終期において最終的に金融指標が予想したレートに達していた場合に予想的中(当たり)とするバイナリーオプション的な手法や、一定期間中に金融指標が予想したレートに一度でも到達した場合に予想的中とするバリアオプション的な手法を適宜採用することができる。本実施の形態では、前者のバイナリーオプション的な手法をとるものとして説明する。
【0018】
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態であるポイントシステムの構成例について概要を示した図である。ポイントシステム1は、例えば、サーバ機器やクラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバ、PC等により構成され、図示しないCPU(Central Processing Unit)により、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の記録装置からメモリ上に展開したOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System)、Webサーバプログラム等のミドルウェアや、その上で稼働するソフトウェアを実行することで、ユーザ2に対するポイントの付与や管理に係る各種機能を実現する。
【0019】
そして、各ユーザ2は、スマートフォン等のユーザ端末21上の図示しないWebブラウザや専用のアプリケーションを用いて図示しないインターネット等のネットワークを介してポイントシステム1にアクセスし、ポイント付与や管理に係る各種機能を利用する。
【0020】
このポイントシステム1は、例えば、ソフトウェアとして実装されたポイント管理部11、取引管理部12、金融指標取得部13、および予想判定部14などの各部を有する。また、データベースやファイルテーブル等として実装されたポイントデータベース(DB)15、金融指標DB16、および取引DB17などの各データストアを有する。なお、図1の例では、これら各構成要素が1つのサーバシステム上に実装されるかのように表されているが、論理的な表現であり、実際は、その一部もしくは全部の構成要素がそれぞれ個別のサーバやシステム、サービス等として実装され、図示しないネットワークを介して連携する形で構成されていてもよい。
【0021】
ポイント管理部11は、各ユーザ2が保持しているポイントをそれぞれポイントDB15に記録して管理するとともに、取引管理部12などから指示された数のポイントの付与や費消などのポイントサービスに係る処理を行う機能を有する。ユーザ2は、ユーザ端末21を利用してポイントシステム1(ポイント管理部11)にアクセスし、ポイントの管理状況について参照することができる。
【0022】
取引管理部12は、ユーザ2によるポイント付与に係る取引を受け付けて取引DB17に記録して管理する機能を有する。ユーザ2は、ユーザ端末21を利用してポイントシステム1(取引管理部12)にアクセスし、取引を行ったり、取引の状況について参照したりすることができる。
【0023】
ここでの取引とは、ユーザ2が一定期間後の金融指標のレートを予想して、その結果に基づいてポイントを得るというものである。この予想には、例えば、金融指標の具体的な値(絶対値や基準値からの相対値)やその範囲の予想や、基準値から何%増減したかといった変動状況の予想などが含まれ得る。単純に予想が的中(当たり)した場合に所与の数のポイントを付与するもの(プレゼント型)であってもよいし、予想に際してユーザ2自身が保有する任意の数のポイントを拠出し、予想の結果(当たりもしくは外れ)に基づいて所定の倍率で増減させるもの(ポイント増減型)であってもよい。
【0024】
もしくは、予想に際してユーザ2が拠出した任意の数のポイントを、結果に基づいて所定の倍率で別のポイントに交換するもの(ポイント交換型)であってもよい。本実施の形態では、このポイント交換型の取引を対象とするものとして説明する。例えば、ポイントを発行する事業者が、資金決済に関する法律(資金決済法)における前払式支払手段に該当しないポイントAと、これに該当するポイントBを発行している場合に、ポイントAをポイントBに交換する際の倍率を予想結果に基づいて変動させるというような取引を対象とする。
【0025】
取引に際して、ユーザ2は一定期間後の金融指標のレートを予想するのであるが、具体的な値を任意に予想するのに代えて、本実施の形態では、処理を単純化するため、詳細は後述するが、金融指標のレートを一定の幅の範囲に区切り、当該幅の単位でレートを予想するものとする。そして、予想が当たった場合のポイント付与の倍率を範囲毎に予め設定してユーザ2に提示するとともに、予想が外れた場合のポイント付与の倍率(例えば1倍もしくはそれ未満)も設定するものとする。
【0026】
金融指標取得部13は、ユーザ2による予想の対象となる金融指標の情報を、外部の金融指標サービス3等から定期的に、もしくは任意のタイミングで取得して金融指標DB16に記録する機能を有する。金融指標としては、上述したように、例えば、日経平均株価や東証株価指数などの各種指数や、これらに連動する各種のETFの基準価格、為替レートなどとすることができ、金融指標サービス3としては、例えば、インターネット上の各種の情報提供サービスやWebサイトなどとすることができる。管理者等が手動で金融指標のデータを金融指標DB16に登録するものであってもよい。
【0027】
予想判定部14は、取引DB17に記録された各取引について、一定期間の終了時に予想が当たっているか否かを判定し、判定結果を取引DB17に記録する機能を有する。上述したように、本実施の形態では、金融指標DB16に記録されている、一定期間の終期における金融指標が、ユーザ2が予想したレートに達していた場合に当たりとするバイナリーオプション的な手法をとるものとして説明する。予想したレートに達しているだけでなく、一定の範囲内に入っている場合に限り当たりとするようにしてもよい。
【0028】
<画面例>
図2は、本発明の一実施の形態におけるポイントシステム1の画面例について概要を示した図である。ここでは、ユーザ2が取引の注文を行う際のユーザ端末21に表示される画面の例を示している。画面では、金融指標のレートを縦軸とし、時間経過を横軸とした金融指標のレートの遷移状況がグラフとして表示され、注文を受け付ける受付期間(例えば数時間や1日)と、その終了後から始まる取引期間(例えば1週間)が示されている。受付期間や取引期間がいつから開始するかについては、取引管理部12が複数のユーザ2にとって共通・一律のものとして設定するが、ユーザ2毎に個別に設定するようにしてもよい。
【0029】
ユーザ2は、受付期間の間に、取引期間の終了時点における金融指標のレートを予想して、ポイント付与に係る取引として注文する。図2の例では、基準値のレートを±0として、±200(円)の幅で区切られた範囲毎に1.1倍、1.2倍、1.3倍、…というように予想が当たったときのポイントの付与倍率が基準値から乖離するほど大きくなるように設定されていることを示しており、ユーザ2は、自身が保有する10,000ポイント分のポイントAを使用(拠出)して、基準値より+800(円)を超えるものと予想していることを示している(予想が当たった場合は1.4倍のポイント付与率となる)。ユーザ2が「確定」ボタンを押下することで取引の注文が成立し、取引管理部12によって取引DB17にその内容が記録されるとともに、ポイント管理部11によってポイントDB15から使用ポイント分のポイントAが引き出される。
【0030】
なお、基準値は、受付期間中においてユーザ2から取引の注文を受け付けた時点でのレートとしてもよく、その方が自然であるともいえるが、本実施の形態では、処理をシンプルにするために、注文を受け付けたタイミングに関わらず一律に受付期間終了時点(取引期間開始時点)のレートとする。この場合、ユーザ2による取引の注文時点では基準値となる具体的なレートが定まらないことから、基準値を±0とした相対的なレートによって取引期間終了時点のレートを予想するものとする。
【0031】
ユーザ2による予想に際して提示する金融指標のレートの幅(図2の例では±200(円))をどのように設定するかの手法については特に限定されないが、例えば、受付期間前までの直近の一定期間における金融指標の動きのマクロ的なトレンドと、ミクロ的な変動の状況に基づいて設定する。このような時系列分析の手法は金融指標の予測において一般的に用いられており、これを用いることでユーザ2による予想の的中確率を平準化することができ、ポイント付与コストを一定値付近にコントロールすることができる。
【0032】
具体的には、例えば、時点nでの金融指標yを、トレンド成分tと変動成分εに分解し、
=t+ε
として表す。ここで、tnは、例えば、移動平均線(MA:Moving Average Line)や、自己回帰和分移動平均モデル(ARIMA:Autoregressive Integrated Moving Average)などの既知の手法を適宜用いて推定することができる。また、εを直近の一定期間のyの標準偏差δに基づく正規分布とし、δを求める期間は、例えば、予想と実測の差分の学習に基づいて適宜設定することができる。
【0033】
そして、受付期間の開始時点をA、取引期間の開始時点をS、取引期間の終了時点をEとして、予想の際のレートの範囲(レートの幅)Δと、予想が当たった場合のポイント付与の倍率を、トレンド成分tと標準偏差δを用いて、例えば以下のように設定する。
=t±Δ
Δ=0.5×δ → 1.1倍
Δ=1.0×δ → 1.2倍
Δ=1.5×δ → 1.3倍
Δ=2.0×δ → 1.4倍
【0034】
なお、Δをそのまま計算すると端数を有する値となり得ることから、ユーザ2にとって分かりやすいように100(円)単位などに丸めて、それに合わせてδに乗算する定数を調整したり、取引期間が短い場合はトレンド成分tの変化を無視してt=tとしたり、さらにこれを取引期間の開始時点(受付期間の終了時点)に拡張してt=tとして置き換えたりしてもよい。
【0035】
図3は、本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。ここでは、受付期間が終了して取引期間が開始した後の取引期間中にユーザ端末21に表示される画面の例を示している。図3の例では、取引開始時点での金融指標のレートが27,000(円)であったことから、予想の際の基準値を27,000(円)とし、そこから±200(円)毎の絶対値によって予想の際のレートの幅の表示を置換している。取引開始時点や、金融指標のレートがユーザ2が予想したレートを超えた時点で、取引管理部12によりユーザ端末21に対してプッシュ通知するようにしてもよい。
【0036】
なお、例えば1週間後のレートを予想するものとした場合(すなわち取引期間が1週間であった場合)、ユーザ2が月曜日に翌週月曜日のレートを予想する取引を注文し、さらに翌火曜日に翌週火曜日のレートを予想する取引を注文し、翌水曜日に翌週水曜日のレートを予想する取引を注文し、…、翌金曜日の翌週金曜日のレートを予想する取引を注文し、というように5つの取引が併存することも考えられるが、一人のユーザ2が同時並行的に注文できる取引の数を1つ(もしくは一定数)に制限するようにしてもよい。この場合、ユーザ2が新た取引の注文ができない状態の場合は、図3の例の画面のみ表示可能とし、図2の例の注文画面を表示できないように取引管理部12が制御するのが望ましい。
【0037】
図4は、本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。ここでは、取引期間終了時点の経過後にユーザ端末21に表示される画面の例を示しており、取引期間終了時点での金融指標のレート(図4の例では27,900(円))と、予想が当たったか否かの結果(図4の例では予想が当たり、使用した10,000ポイント分のポイントAが1.4倍の14,000ポイント分のポイントBに交換されること)が示されている。上述したように、本実施の形態では、取引期間終了時点で予想したレートに達していれば当たりとするバイナリーオプション的な手法をとるものとするが、取引期間中に予想したレートに一度でも到達した場合に当たりとするバリアオプション的な手法を採用してもよい。
【0038】
なお、予想が当たった場合のポイントの交換に際して認証操作等のユーザ2による何らかの処理が必要となる場合は、その旨を指示するボタン等を設ける。取引期間終了時点で、取引管理部12によりユーザ端末21に対してプッシュ通知するようにしてもよい。また、取引期間終了時点から一定期間(例えば1日程度)を経過した後は、終了した取引について当該画面を表示できないようにしてもよい。
【0039】
図5は、本発明の一実施の形態におけるポイントシステムの他の画面例について概要を示した図である。ここでは、ユーザ2が自身の取引の履歴を検索する画面の例を示しており、検索条件として注文日の始期と終期を指定して検索することで、取引DB17に記録された過去の取引から該当期間に注文がされたものを抽出してリストとして表示していることを示している。
【0040】
<処理の流れ>
図6は、本発明の一実施の形態におけるポイント付与処理の流れの例について概要を示したフローチャートである。ポイントシステム1では、まず、取引管理部12により、受付期間と取引期間の設定を行う(S01)。上述したように、受付期間は、例えば数時間や1日程度とし、取引期間は、例えば1週間程度とすることができる。その後、金融指標取得部13により対象の金融指標に係る情報を取得し、金融指標DB16に登録する(S02)。ここで取得する情報には直近の一定期間のレートの遷移状況に係る情報が含まれる。なお、当該処理は他の一連の処理とは独立して行われてもよい。
【0041】
その後、ステップS02で取得した金融指標の遷移状況に係る情報に基づいて、取引管理部12により、ユーザ2が予想する際に用いる金融指標のレートの幅と、幅(範囲)毎の予想的中時のポイント付与倍率を決定する(S03)。レートの幅やポイント付与倍率の決定手法は、上述したように、例えば、金融指標の遷移状況をトレンド成分と変動成分に分解して分析する手法などを適宜用いることができる。
【0042】
そして、受付期間の開始日時が到来すると、取引管理部12により、ポイント付与に係る取引(金融指標の予想)の注文の受付を開始し(S04)、ユーザ2からの注文を受け付ける。ユーザ2は、ユーザ端末21を利用してポイントシステム1にアクセスし、取引期間終了時点における金融指標のレートを予想して指定し(S11)、交換元として使用するポイント(本実施の形態では例えばポイントA)の使用ポイント数を指定して(S12)、ポイント交換に係る取引の注文を行う。ポイントシステム1では、取引管理部12がユーザ端末21から送られた注文に係る情報を取引DB17に登録して注文を受け付ける(S05)。なお、ポイントシステム1は、受付期間が終了するまで複数のユーザ2からの注文を受け付けることができる(S06)。
【0043】
受付期間が終了(ステップS06でYes)すると取引期間が開始され、上述したように、取引管理部12では、取引期間開始時点での金融指標のレートを基準値として、これに基づいてユーザ2が予想する際のレートの幅を相対値から絶対値に変換して(S07)、取引期間が終了するまで待つ(S08)。なお、本実施の形態では、処理をシンプルにするため、全てのユーザ2について一律に受付期間の終了後に取引期間が開始するものとしているが、受付期間中にステップS05でユーザ2から注文を受け付けた時点で、当該ユーザ2については受付期間が終了したものとして取引期間が開始するようにしてもよい。
【0044】
取引期間が終了すると(ステップS08でYes)、ユーザ2がステップS11で指定した予想が当たっているか否かを予想判定部により判定して(S09)、当たっていた場合、外れていた場合、それぞれのポイント付与倍率を取得して、ステップS12でユーザ2が指定したポイント(本実施の形態ではポイントA)のポイント数に乗じて、得られた数に相当するポイント(本実施の形態ではポイントB)をユーザ2に対して付与する(S10)。上述したように、予想が当たっていた場合、すなわち取引期間終了時点での金融指標のレートが予想したレートに達していた場合は、ユーザ2が予想したレートに対応するポイント付与倍率とし、外れていた場合は、1倍もしくはそれ未満の所定のポイント付与倍率とする。
【0045】
以上に説明したように、本発明の一実施の形態であるポイントシステム1によれば、ユーザ2による取引期間終了時点の金融指標のレートの予想の結果に基づいてポイント付与数(もしくは付与率)を変動させることで、ユーザ2の予想の巧拙が反映される魅力的なポイント付与の仕組みを実現するとともに、ユーザ2毎にポイントの付与にメリハリを付けることができるため、ポイントを付与する事業者側にとって全体的な付与コストを低減させることが可能となる。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0047】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部または全部を、例えば、集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD等の記録装置、またはICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0048】
また、上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、金融デリバティブに基づいてポイントを付与するポイントシステムに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1…ポイントシステム、2…ユーザ、3…金融指標サービス、
11…ポイント管理部、12…取引管理部、13…金融指標取得部、14…予想判定部、15…ポイントDB、16…金融指標DB、17…取引DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6