(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002597
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】カーテンウォール
(51)【国際特許分類】
E04B 2/96 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101891
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NC01
2E002PA01
2E002QA04
2E002SA01
2E002SA02
2E002UB01
2E002UB04
2E002XA11
(57)【要約】
【課題】カーテンウォールの枠の部品数を減らす。
【解決手段】
縦枠33は、室外側見込壁43と、室内側見込壁41に配設される第1縦枠シール部45と、室外側見込壁43中でパネル22の内壁面22aよりも室外側位置に配設される第2縦枠シール部437と、を備え、第1縦枠シール部45と第2縦枠シール部437との間の縦等圧空間28の室外側気密ラインを内壁面22aよりも室外側に設定し、上横枠5は、室内側支持板51と、室外側支持板53と、を備え、下横枠6は、室内側支持板61と、室外側縦壁62と、室外側支持板63と、を備え、室内側支持板51に配設される第1横枠シール部55と、室外側支持板53中でパネル内壁面22aよりも室外側位置に配設される第2横枠シール部537と、を備え、第1横枠シール部55と第2横枠シール部537との間の横等圧空間29の室外側気密ラインを内壁面22aよりも室外側に設定する、カーテンウォール1。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦枠と横枠とを有する枠体と、前記縦枠と前記横枠とで形成される開口に収容されるパネルと、を備え建物の外壁を形成するカーテンウォールであって、
前記縦枠は、前記建物の見込方向に延在する室内側見込壁と、前記室内側見込壁の前記建物の室外側における端に接続され見付方向に延在する見付壁と、該見付壁から前記見込方向における前記室外側に延在し前記パネルの見付方向側縁部に前記見付方向において対向する室外側見込壁と、前記室内側見込壁に配設される第1縦枠シール部と、前記室外側見込壁の中で前記パネルの前記建物の室内側の内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に配設される第2縦枠シール部と、を備え、前記第1縦枠シール部と前記第2縦枠シール部との間に縦等圧空間を形成するとともに、該縦等圧空間の室外側気密ラインを前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に設定し、
前記横枠は、前記建物の高さ方向に延在する室内側縦壁と、該室内側縦壁の前記高さ方向における端に接続され前記見込方向に延在する室内側支持板と、前記室内側縦壁よりも前記室外側に位置し前記高さ方向に延在する室外側縦壁と、該室外側縦壁から前記見込方向における前記室外側に延在し前記パネルの高さ方向側縁部に前記高さ方向において対向する室外側支持板と、前記室内側支持板に配設される第1横枠シール部と、前記室外側支持板の中で前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に配設される第2横枠シール部と、を備え、前記第1横枠シール部と前記第2横枠シール部との間に横等圧空間を形成するとともに、該横等圧空間の室外側気密ラインを前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に設定する、カーテンウォール。
【請求項2】
前記第1縦枠シール部は、縦枠係合へこみ部と、該縦枠係合へこみ部に係合する縦枠係合突起と、該縦枠係合突起に配設された第1縦枠ガスケットと、を備え、
前記第2縦枠シール部は、第2縦枠ガスケットであり、
前記第1横枠シール部は、横枠係合へこみ部と、該横枠係合へこみ部に係合する横枠係合突起と、該横枠係合突起に配設された第1横枠ガスケットと、を備え、
前記第2横枠シール部は、第2横枠ガスケットである請求項1に記載のカーテンウォール。
【請求項3】
前記第1縦枠シール部は、前記室内側見込壁の前記見込方向における中間位置よりも前記見付壁に近い領域に配設されており、前記第2縦枠シール部は、前記室外側見込壁の中で前記パネルの前記見込方向における中間位置よりも前記室外側となる位置に配設されている請求項1又は請求項2に記載のカーテンウォール。
【請求項4】
前記第1横枠シール部は、前記室内側支持板の前記見込方向における中間位置よりも前記室外側縦壁に近い領域に配設されており、前記第2横枠シール部は、前記室外側支持板の中で前記パネルの前記見込方向における中間位置よりも前記室外側となる位置に配設されている請求項3に記載のカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、水密性を備えるカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
超高層ビルなどの建築には、水密性を備えるカーテンウォールが用いられている(例えば、特許文献1参照)。カーテンウォールは、建物の躯体に取り付けられ、建物の壁部に並べて設置される。互いに隣り合うカーテンウォールの間では、室内側に室外と等圧な等圧空間が形成され、水密性が確保され気流による雨水等の室内への流入が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカーテンウォールは、等圧空間を形成するためのサッシ枠等における構成部品の数が多くなりカーテンウォールの総重量が重くなっていた。よって、カーテンウォールにおいては、水密性を確保しつつ、サッシ枠等における構成部品の数を減らして総重量を減らすという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
縦枠と横枠とを有する枠体と、該枠体の開口に収容されるパネルと、を備え建物の外壁を形成する本発明に係るカーテンウォールは、前記縦枠は、前記建物の見込方向に延在する室内側見込壁と、前記室内側見込壁の前記建物の室外側における端に接続され見付方向に延在する見付壁と、該見付壁から前記見込方向における前記室外側に延在し前記パネルの見付方向側縁部に前記見付方向において対向する室外側見込壁と、該室内側見込壁に配設される第1縦枠シール部と、前記室外側見込壁の中で前記パネルの前記建物の室内側の内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に配設される第2縦枠シール部と、を備え、前記第1縦枠シール部と前記第2縦枠シール部との間に縦等圧空間を形成するとともに、該縦等圧空間の室外側気密ラインを前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に設定し、前記横枠は、前記建物の高さ方向に延在する室内側縦壁と、該室内側縦壁の前記高さ方向における端に接続され前記見込方向に延在する室内側支持板と、前記室内側縦壁よりも前記室外側に位置し前記高さ方向に延在する室外側縦壁と、該室外側縦壁から前記見込方向における前記室外側に延在し前記パネルの高さ方向側縁部に前記高さ方向において対向する室外側支持板と、前記室内側支持板に配設される第1横枠シール部と、前記室外側支持板の中で前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に配設される第2横枠シール部と、を備え、前記第1横枠シール部と前記第2横枠シール部との間に横等圧空間を形成するとともに、該横等圧空間の室外側気密ラインを前記パネルの前記内壁面の前記見込方向における位置よりも前記室外側となる位置に設定する。
【0006】
本発明に係るカーテンウォールにおいて、例えば、前記第1縦枠シール部は、縦枠係合へこみ部と、該縦枠係合へこみ部に係合する縦枠係合突起と、該縦枠係合突起に配設された第1縦枠ガスケットと、を備え、前記第2縦枠シール部は、第2縦枠ガスケットであり、前記第1横枠シール部は、横枠係合へこみ部と、該横枠係合へこみ部に係合する横枠係合突起と、該横枠係合突起に配設された第1横枠ガスケットと、を備え、前記第2横枠シール部は、第2横枠ガスケットである。
【0007】
本発明に係るカーテンウォールにおいて、例えば、前記第1縦枠シール部は、前記室内側見込壁の前記見込方向における中間位置よりも前記見付壁に近い領域に配設されており、前記第2縦枠シール部は、前記室外側見込壁の中で前記パネルの前記見込方向における中間位置よりも前記室外側となる位置に配設されている。
【0008】
本発明に係るカーテンウォールにおいて、例えば、前記第1横枠シール部は、前記室内側支持板の前記見込方向における中間位置よりも前記室外側縦壁に近い領域に配設されており、前記第2横枠シール部は、前記室外側支持板の中で前記パネルの前記見込方向における中間位置よりも前記室外側となる位置に配設されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るカーテンウォールは、縦枠の一部である室内側見込壁にウィンドバリアを形成する第1縦枠シール部を配設し、レインバリアを形成する第2縦枠シール部を室外側見込壁の中でパネルの建物の室内側の内壁面の見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設して、第1縦枠シール部と第2縦枠シール部との間に縦等圧空間を形成するとともに、縦等圧空間の室外側気密ラインをパネルの内壁面の見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。即ち、室内側見込壁と室内側見込壁との間に形成される空間よりも間隔が小さくなる室外側見込壁と室外側見込壁との間に形成される空間を縦等圧空間として活用し、従来よりも縦等圧空間を室外側に近づけて形成している。そのため、従来とは異なり、アルミ等で構成されるへこみ部、及びレインバリアとなるガスケットが取り付けられへこみ部に係合する突起等を削減している。したがって、縦枠の総重量を従来よりも軽くできる。また、従来よりも室外側に近づけて縦等圧空間を形成しているため、縦枠の外気によって冷やされる面積が小さくなり防露性が向上する。
【0010】
さらに、横枠の一部である室内側支持板にウィンドバリアを形成する第1横枠シール部を配設し、レインバリアを形成する第2横枠シール部を室外側支持板の中でパネルの内壁面の見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設して、第1横枠シール部と第2横枠シール部との間に横等圧空間を形成するとともに、横等圧空間の室外側気密ラインをパネルの内壁面の見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。即ち、室内側支持板と室内側支持板との間に形成される空間よりも間隔が小さくなる室外側支持板と室外側支持板との間に形成される空間を横等圧空間として活用し、従来よりも横等圧空間を室外側に近づけて形成している。そのため、従来とは異なり、アルミ等で構成されるへこみ部、及びレインバリアとなるガスケットが取り付けられへこみ部に係合する突起等を削減している。したがって、横枠の総重量を従来よりも軽くできる。また、従来よりも室外側に近づけて横等圧空間を形成しているため、横枠の外気によって冷やされる面積が小さくなり防露性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】建物の躯体に取り付けられて建物の外壁となる本実施形態のカーテンウォールを室外側から見た正面図の一例である。
【
図2】本実施形態のカーテンウォールを
図1のF1-F1線で切断し縦等圧空間の位置を説明するための横断面図である。
【
図3】本実施形態のカーテンウォールを
図1のF2-F2線で切断し横等圧空間の位置を説明するための横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一つの実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。なお、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。
【0013】
図1は、本実施形態に係るカーテンウォール1を概略的に示す正面図である。
図2は、本実施形態のカーテンウォール1の一部を
図1のF1-F1線に沿って示す横断面図であり、2つのパネルユニット11がX方向において隣接する箇所を示している。
図3は、本実施形態のカーテンウォール1の一部を
図1のF2-F2線に沿って示す縦断面図であり、2つのパネルユニット11がZ方向において隣接する箇所を示している。
【0014】
パネル体である
図1に示すカーテンウォール1は、例えば、図示しない建物(ビル)の外壁を形成する。各図面に示すように、本明細書において、便宜上、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、カーテンウォール1の見付(幅)に沿って設けられ、Y軸は、カーテンウォール1の見込(奥行)に沿って設けられ、Z軸は、カーテンウォール1の高さに沿って設けられる。X方向(見付方向)は、+X方向と-X方向とを含む。Y方向(見込方向)は、+Y方向と-Y方向とを含む。Z方向は、+Z方向(上方向)と-Z方向(下方向)とを含む。また、+Y方向は、ビルの室内から室外に向かう方向であり、室外側とも称される。-Y方向は、ビルの室外から室内に向かう方向であり、室内側とも称される。
【0015】
図1に示すように、カーテンウォール1は、高さ方向(Z方向)及び見付方向(X方向)に並べて設置される複数のパネルユニット11を有する。パネルユニット11は、ビルの図示しない躯体に設置前に、予めユニットとして組み立てられる。複数のパネルユニット11は、互いに組み合わされることで、カーテンウォール1を形成する。複数のパネルユニット11はそれぞれ、ファスナ等により、図示しないビルの躯体に取り付けられる。
【0016】
複数のパネルユニット11はそれぞれ、枠体2と、複数のパネル22、及びパネル23とを有する。パネル22、23は、外壁材の一例である。枠体2は、上横枠5及び下横枠6と、二つの縦枠33と、中間横枠7と、中間縦枠35とを有する。なお、枠体2は、中間横枠7及び中間縦枠35を省略しても良い。上横枠5、下横枠6、縦枠33、中間横枠7、及び中間縦枠35は、押出成形等で形成されたアルミ等の形材によって作られる。
【0017】
上横枠5、下横枠6、及び中間横枠7は、略X方向に延びる。下横枠6は、上横枠5から略-Z方向に離間している。中間横枠7は、上横枠5と下横枠6との間に位置する。二つの縦枠33は、上横枠5の両端と下横枠6の両端との間で略Z方向に延びる。中間縦枠35は、二つの縦枠33の間に位置し、上横枠5と下横枠6との間で略Z方向に延びる。
【0018】
枠体2に、複数の開口37、38が設けられる。開口37は、下横枠6、縦枠33、中間横枠7、及び中間縦枠35に囲まれる。開口38は、上横枠5、縦枠33、中間横枠7、及び中間縦枠35に囲まれる。開口37、38に嵌められて収容されるパネル22,23は、例えば、合わせガラスであるが、一枚板ガラスであってもよい。なお、パネル22,23は、開口37、38の縁(内周面)から離間していても良い。
【0019】
図2に示すように、X方向において隣り合う縦枠33は、-Y方向側(室内側)に位置する室内側見込壁41と、室内側見込壁41の+Y方向側(室外側)の端に接続された見付壁42と、見付壁42から見込方向における室外側に向かって延在する室外側見込壁43と、室外側に位置する最外壁44と、を備えている。
【0020】
図2の例において、室内側見込壁41、見付壁42、室外側見込壁43、及び最外壁44は、縦枠33に設けられ、図示しない中間縦枠35にも設けられている。以下に、
図2に示す縦枠33について主に説明する。
図1に示すパネル23及び中間縦枠35は、以下の記載におけるパネル22及び縦枠33をパネル23及び中間縦枠35と読み替えることで理解され得る。また、以下の記載において、便宜上、X方向のうち、対応するパネル22の中心に向かう方向が、内周側と称され得る。また、X方向のうち、対応するパネル22の外側に向かう方向が、外周側と称され得る。
【0021】
室内側見込壁41は、Y-Z平面に沿って延在する板状に形成される。室内側見込壁41は、内周面41aと、内周面41aに対してX方向において反対側に位置する外周面41bとを有する。
図2に示す例においては、内周面41a及び外周面41bは略平坦に形成されている。2つの室内側見込壁41の外周面41bの中で見付壁42に近い側の領域には、第1縦枠シール部45が形成されている。
図2に示す例においては、第1縦枠シール部45は、外周面41bのY方向における中間位置よりも見付壁42側に近い領域に形成されている。これは、後述する縦等圧空間28をより室外側に近づけるためである。
【0022】
例えば、-X方向側に位置する室内側見込壁41には、+X方向側の室内側見込壁41の外周面41bに向けて突出する一対の突片が形成されており、この一対の突片の間に第1縦枠シール部45を構成する縦枠係合へこみ部450が形成されている。
【0023】
+X方向側に位置する室内側見込壁41には、第1縦枠シール部45を構成し縦枠係合へこみ部450に挿入可能な縦枠係合突起451が形成されている。縦枠係合突起451は、取り付け溝を有し、取り付け溝の間には第1縦枠ガスケット453が配設されている。縦枠係合突起451が縦枠係合へこみ部450に挿入されて、第1縦枠ガスケット453のリップが縦枠係合へこみ部450を形成する片方の突片にY方向において接触する。そして、第1縦枠ガスケット453のリップと縦枠係合へこみ部450の内側面との接触箇所が、縦枠33と縦枠33との間に形成される高さ方向の縦等圧空間28の室内側気密ライン284となる。なお、ウィンドバリアとなり縦等圧空間28と室内との間の仕切りとして介在する第1縦枠ガスケット453は、例えば、エチレンプロピレンジエン(EPDM)ゴム等の弾性体で形成されている。
【0024】
見付壁42は、室内側見込壁41の室外側の端に一体的に接続され、略外周側に延在している。なお、室内側見込壁41と室内側見込壁41との見付方向における間隔は、室外側見込壁43と室外側見込壁43との見付方向における間隔よりも大きくなっている。見付壁42は、略平坦に形成されて室外側に向く外側面42aを備えている。
【0025】
見付壁42の外側面42aには、例えばガスケット取付突起が室外側に向かって突設している。そしてガスケット取付突起にガスケット425が嵌合した状態で取り付けられており、ガスケット425がパネル22の室内側となる内壁面22aに当接している。
【0026】
Y-Z平面に沿って延在する板状に形成された室外側見込壁43は、見付壁42の外周側における端部から、室外側となる+Y方向に延びている。このため、室内側見込壁41、見付壁42、及び室外側見込壁43は、略階段状に互いに接続されている。室外側見込壁43の室外側の端部は、パネル22の内壁面22aの反対面となる外壁面22bよりも室外側に位置している。
【0027】
室外側見込壁43は、内周面43aと、内周面43aに対してX方向において反対側に位置する外周面43bとを有する。室外側見込壁43の内周面43aは、パネル22の見付方向側縁部227に見付方向において対向している。それぞれの室外側見込壁43の外周面43bには、取り付け溝434が形成されており、いずれか一方の取り付け溝434、即ち、
図2の例においては+X方向側の取り付け溝434の間には、第2縦枠シール部437が配設されている。第2縦枠シール部437は、第2縦枠ガスケット437である。そして、第2縦枠ガスケット437のリップが-X方向側に位置する縦枠33の室外側見込壁43に接触する。第2縦枠ガスケット437は、室外側見込壁43の中でパネル22の内壁面22aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設されている。特に、本実施形態においては、室外側見込壁43の中でパネル22の内壁面22aよりもさらに室外側となるパネル22の中間位置229よりも、室外側となる位置に第2縦枠ガスケット437は配設されている。これは、縦等圧空間28をより室外側に近づけるためである。なお、パネル22の中間位置229は、パネル22の内壁面22aと外壁面22bとの間の中間位置である。
【0028】
レインバリアとなり外気と縦等圧空間28との間の仕切りとして介在する第2縦枠ガスケット437は、例えば、EPDMゴムにより形成されている。第2縦枠ガスケット437が、縦枠33と縦枠33との間に形成される縦等圧空間28の室外側気密ライン285となる。例えば、第2縦枠ガスケット437には、縦等圧空間28に外気を導入し、縦等圧空間28内と外気圧を等しくするための図示しない等圧孔が形成されている。縦等圧空間28は、室外(外気)の気圧(外気圧)と等しい気圧の空間である。また、
図2に示すように、室外側気密ライン285は、パネル22の内壁面22aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。
【0029】
見付壁42とX-Z平面に沿って延在する板状の最外壁44とのY方向における間には、パネル22の見付方向側縁部227を収容する収容空間441を形成している。室外側見込壁43の内周面43aには、断面L字状の長尺部材である押縁438が取り付けられており、押縁438とパネル22の外壁面22bとの間にガスケット439を挟んだ状態で、押縁438によってパネル22が抑えられている。そして、押縁438とガスケット439と最外壁44との接続部分が封止されている。パネル22は、見付壁42と最外壁44との間に位置しており、本実施形態においては合わせガラスである。そして、ガラス板の間にスペーサ及び封着材が配設されている。
【0030】
従来のカーテンウォールの縦枠内に形成される縦等圧空間は、室内側見込壁と室内側見込壁との間のみに形成している即ち、ウィンドバリアであるガスケットを取り付けるためのアルミ等で形成される係合突起及び係合へこみ部、並びにレインバリアであるガスケットを取り付けるためのアルミ等で形成される係合突起及び係合へこみ部を、室内側見込壁にそれぞれ形成する必要があった。したがって、縦枠全体の総重量が増加したり、構造形成の工程が増加したりしている。
【0031】
本実施形態のカーテンウォール1は、
図2に示す縦枠33において、室内側見込壁41に配設するシール部は第1縦枠シール部45のみとし、第2縦枠シール部437である第2縦枠ガスケット437を室外側見込壁43の中でパネル22の内壁面22aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設することで、縦枠33の室内側見込壁41と室内側見込壁41との間から室外側見込壁43と室外側見込壁43との間にかけて縦等圧空間28を形成するとともに、縦等圧空間28の室外側気密ライン285をパネル22の内壁面22aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。即ち、従来よりも縦等圧空間28を室外側に近づけている。そのため、アルミ等で構成されるへこみ部、及びレインバリアとなるガスケットが取り付けられ該へこみ部に係合する突起等を従来よりも1セット削減している。したがって、縦枠33の総重量を従来よりも軽くできる。即ち、カーテンウォール一般は、本実施形態のカーテンウォール1でもそうであるように、室内側見込壁41と室内側見込壁41との間の見付方向における間隔よりも、室外側見込壁43と室外側見込壁43との間の見付方向における間隔が小さくなる構造特性を備えている。そして、本実施形態のカーテンウォール1においては、該構造特性を有効活用して、レインバリアとなる第2縦枠シール部437を第2縦枠ガスケット437とすることができ、第1縦枠シール部45のような大きな構造としなくても済み、結果、縦枠33の軽量化を実現している。また、従来よりも室外側に近づけて縦等圧空間28を形成しているため、縦枠33の外気によって冷やされる面積が、従来よりも小さくなり防露性が向上する。
【0032】
以下に、
図3に示す上横枠5及び下横枠6について主に説明する。上横枠5は、例えば、中空状の室内側部5Aを備えている。室内側部5Aは、上横枠5の室内側の部分であり、X-Z平面に沿って延在し板状に形成される室内側縦壁50と、室内側縦壁50の高さ方向における上端部から室外側(+Y方向)に向かって延びる室内側支持板51と、室内側縦壁50よりも室外側に位置しX-Z平面に沿って延在し板状に形成される室外側縦壁52と、で形成されている。また、室外側縦壁52から見込方向における室外側に向かって室外側支持板53が延在している。さらに、上横枠5は、室外側に位置する最外壁54を備えている。
【0033】
下横枠6は、例えば、中空状の室内側部6Aを備えている。室内側部6Aは、下横枠6の室内側の部分であり、例えば、室内側に位置しX-Z平面に沿って延在し板状に形成される室内側縦壁60と、室内側縦壁60から室外側に延びる室内側支持板61と、室内側縦壁60よりも室外側に位置しX-Z平面に沿って延在し板状に形成される室外側縦壁62と、で形成されている。また、室外側縦壁62から見込方向における室外側に向かって室外側支持板63が延在している。さらに、下横枠6は、室外側に位置する最外壁64を備えている。
【0034】
上横枠5の室内側支持板51の略平坦な上面51bは、第1横枠シール部55を構成する横枠係合突起551が形成されている。横枠係合突起551は、取り付け溝を有し、取り付け溝の間には第1横枠ガスケット552が配設されている。一方、下横枠6の室内側支持板61の下面61bの一領域には、上方向に向かってへこんだ横枠係合へこみ部610が形成されている。なお、横枠係合突起551は、室内側支持板51の見込方向における中間位置よりも室外側縦壁52に近い領域に配設されていると好ましく、また、横枠係合へこみ部610は、室内側支持板61の見込方向における中間位置よりも室外側縦壁62に近い領域に配設されていると、横等圧空間29をより室外側に近づけることができるため好ましい。
【0035】
第1横枠シール部55を構成する横枠係合へこみ部610に対して横枠係合突起551が挿入され、第1横枠ガスケット552のリップが横枠係合へこみ部610の側面に当接する。ウィンドバリアとなり横等圧空間29と室内との間の仕切りとして介在する第1横枠ガスケット552のリップと横枠係合へこみ部610の内側面との接触箇所が、上横枠5と下横枠6との間に形成される水平方向の横等圧空間29の室内側気密ライン294となる。
【0036】
上横枠5の室内側部5Aよりも室外側には、室外側縦壁52、室外側支持板53、及び最外壁54により、パネル23の高さ方向側縁部である上縁部238を収容する収容空間5Bを形成している。収容空間5Bは溝状の空間である。パネル23の上縁部238が、収容空間5Bに収容され、パネル23の室内側を向く内壁面23aと室外側縦壁52の室外側を向く外側面520との間には、ガスケット521が配設されている。室外側支持板53の下面には、断面L字状の長尺部材である押縁535が取り付けられている。押縁535とパネル23の内壁面23aの反対面である外壁面23bとの間にガスケット536を挟んだ状態で、押縁535によってパネル23が抑えられる。また、押縁535とガスケット536と最外壁54との接続部分が封止されている。
【0037】
下横枠6の室内側部6Aよりも室外側には、室外側縦壁62、室外側支持板63、及び最外壁64により、パネル22の高さ方向側縁部である下縁部228を収容する収容空間6Bを形成している。収容空間6Bは溝状の空間である。パネル22の下縁部228が、収容空間6Bに収容され、パネル22の室内側を向く内壁面22aと室外側縦壁62の室外側を向く外側面620との間には、ガスケット621が配設されている。室外側支持板63の上面には、断面L字状の長尺部材である押縁635が取り付けられており、押縁635とパネル22の内壁面22aの反対面である外壁面22bとの間にガスケット636を挟んだ状態で、押縁635によってパネル22が抑えられている。そして、押縁635とガスケット636と最外壁64との接続部分が封止されている。
【0038】
下横枠6の室外側支持板63は、上面630と、上面630に対してZ方向において反対側に位置し本実施形態においては略平坦な下面631とを有している。上横枠5の室外側支持板53は、下面530と、下面530に対してZ方向において反対側に位置し取り付け溝532が形成された上面533とを有している。取り付け溝532の間には第2横枠シール部537が配設されている。第2横枠シール部537は、例えば第2横枠ガスケット537である。そして、第2横枠ガスケット537のリップがZ方向において対向する室外側支持板63の下面631に接触する。第2横枠ガスケット537は、室外側支持板63の中でパネル22の内壁面22a及びパネル23の内壁面23aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設されている。特に、本実施形態においては、室外側支持板63の中でパネル22の内壁面22a及びパネル23の内壁面23aよりもさらに室外側となるパネル22及びパネル23の中間位置229よりも、室外側となる位置に第2横枠ガスケット537は配設されている。これは、横等圧空間29をより室外側に近づけるためである。
【0039】
レインバリアとなり外気と横等圧空間29との間の仕切りとして介在する第2横枠ガスケット537が、横等圧空間29の室外側気密ライン295となる。第2横枠ガスケット537には、横等圧空間29に外気を導入し、横等圧空間29内と外気圧を等しくする図示しない等圧孔が形成されている。また、
図3に示すように、室外側気密ライン295は、パネル22の内壁面22a及びパネル23の内壁面23aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。なお、第2横枠ガスケット537の取り付け位置は、上横枠5の室外側支持板53の上面533側ではなく、下横枠6の室外側支持板63の下面631側でもよい。
【0040】
従来のカーテンウォールの横枠内に形成される横等圧空間は、上横枠の室内側支持板と下横枠の室内側支持板との間のみに形成している。即ち、ウィンドバリアであるガスケットを取り付けるためのアルミ等で形成される係合突起及び係合へこみ部、並びにレインバリアであるガスケットを取り付けるためのアルミ等で形成される係合突起及び係合へこみ部を、室内側支持にそれぞれ形成する必要があった。したがって、横枠全体の総重量が増加したり、構造形成の工程が増加したりしている。
【0041】
本実施形態のカーテンウォール1は、上横枠5及び下横枠6において、室内側支持板51及び室内側支持板61に配設するシール部は第1横枠シール部55のみとし、第2横枠シール部537である第2横枠ガスケット537を室外側支持板63の中でパネル22の内壁面22a及びパネル23の内壁面23aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に配設している。そして、室内側支持板51と室内側支持板61との間から室外側支持板53と室外側支持板63との間にかけて横等圧空間29を形成するとともに、横等圧空間29の室外側気密ライン295をパネル22の内壁面22a及びパネル23の内壁面23aの見込方向における位置よりも室外側となる位置に設定している。即ち、従来よりも横等圧空間29を室外側に近づけている。そのため、アルミ等で構成されるへこみ部、及びレインバリアとなるガスケットが取り付けられ該へこみ部に係合する突起等を従来よりも1セット削減している。したがって、上横枠5及び下横枠6の総重量を従来よりも軽くできる。即ち、カーテンウォール一般は、本実施形態のカーテンウォール1でもそうであるように、室内側支持板51と室内側支持板61との間の高さ方向における間隔よりも、室外側支持板53と室外側支持板63との間の高さ方向における間隔が小さくなる構造特性を備えている。そして、本実施形態のカーテンウォール1においては、該構造特性を有効活用して、レインバリアとなる第2横枠シール部537を第2横枠ガスケット537とすることができ、第1横枠シール部55のような大きな構造としなくても済み、結果、上横枠5及び下横枠6の軽量化を実現している。また、従来よりも室外側に近づけて横等圧空間29を形成しているため、上横枠5及び下横枠6の外気によって冷やされる面積が従来よりも小さくなり防露性が向上する。
【0042】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として、「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals:SDGs)」がある。本実施形態に係るカーテンウォール1は、このSDGsの分類コードが定められた17の目標のうち、例えば「分類コード11:住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。また、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1:カーテンウォール
22、23:パネル
28:縦等圧空間 29:横等圧空間
33:縦枠
41:室内側見込壁
42:見付壁
43:室外側見込壁 437:第2縦枠ガスケット(第2縦枠シール部)
44:最外壁
45:第1縦枠シール部 450:縦枠係合へこみ部 451:縦枠係合突起
453:第1縦枠ガスケット
5:上横枠
50:室内側縦壁 51:室内側支持板 52:室外側縦壁
53:室外側支持板 537:第2横枠シール部(第2横枠ガスケット)
55:第1横枠シール部 551:横枠係合突起 552:第1横枠ガスケット
6:下横枠 6A:室内側部
60:室内側縦壁
61:室内側支持板 610:横枠係合へこみ部
62:室外側縦壁
63:室外側支持