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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002598
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】ガスケット及びカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20231228BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101892
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 辰雄
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA04
2E002NB01
2E002NC01
2E002PA01
2E002QA04
2E002UB04
2E002XA12
(57)【要約】
【課題】上枠及び下枠を小型化できるカーテンウォールを提供する。
【解決手段】実施形態のガスケット20は、板状の外壁材12と、外壁材12を取り囲む枠11と、を備えるパネルユニット10に用いられるガスケット20であって、外壁材12と枠11との間に挿入可能に構成された本体21と、外壁材12と枠11との間に挿入された状態で外壁材12に当接可能に本体21から延び、弾性を有するリップ部22と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の外壁材と、
前記外壁材を取り囲む枠と、を備えるパネルユニットに用いられるガスケットであって、
前記外壁材と前記枠との間に挿入可能に構成された本体と、
前記外壁材と前記枠との間に挿入された状態で前記外壁材に当接可能に前記本体から延び、弾性を有するリップ部と、を備える、
ガスケット。
【請求項2】
前記本体と前記リップ部との間に、前記外壁材側へと向かって開放される凹部を更に備え、
前記リップ部は、
前記凹部を挟んだ前記本体から離れた位置で、前記外壁材へと延びる、
請求項1に記載のガスケット。
【請求項3】
前記パネルユニットは、
前記外壁材の上縁部に取り付けられた上枠と、
前記外壁材の下縁部に取り付けられた下枠と、
前記外壁材の側縁部に取り付けられた2つの縦枠と、を備え、
前記ガスケットは、
前記外壁材と前記枠との間に挿入された状態で、前記上枠、前記下枠、及び前記2つの縦枠に当接可能に構成されたリング状の形状を有している、
請求項1に記載のガスケット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガスケットが第1のガスケットとしてそれぞれ設けられた複数のパネルユニットが、上下方向および左右方向に並べられたカーテンウォールであって、
前記第1のガスケットは、
前記外壁材と前記枠との間に挿入され、前記外壁材に当接された前記リップ部の弾性力により、前記枠に対して前記外壁材を固定する、
カーテンウォール。
【請求項5】
前記外壁材の前記第1のガスケットが設けられた側とは反対側で、前記枠に取り付けられた押さえ部材と、
前記外壁材と前記押さえ部材との間に挿入され、前記第1のガスケット側へと前記外壁材を押し付ける第2のガスケットと、を更に備える、
請求項4に記載のカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガスケット及びカーテンウォールに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールは、例えば上下方向および左右方向に並べられた複数のパネルユニットを備える。複数のパネルユニットは、板状の外壁材と、外壁材を取り囲む枠とを備える。外壁材の内側と枠との間にはシール材が設けられ、パネルユニットが設けられた建物の内部への外気および雨水の流入を遮蔽している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-95748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、上記に鑑みてなされたものであって、シール材を削減することができるガスケット及びカーテンウォールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施形態にかかるガスケットは、板状の外壁材と、前記外壁材を取り囲む枠と、を備えるパネルユニットに用いられるガスケットであって、前記外壁材と前記枠との間に挿入可能に構成された本体と、前記外壁材と前記枠との間に挿入された状態で前記外壁材に当接可能に前記本体から延び、弾性を有するリップ部と、を備える。
【0006】
また、実施形態のガスケットは、前記本体と前記リップ部との間に、前記外壁材側へと向かって開放される凹部を更に備え、前記リップ部は、前記凹部を挟んだ前記本体から離れた位置で、前記外壁材へと延びる。
【0007】
また、前記パネルユニットは、前記外壁材の上縁部に取り付けられた上枠と、前記外壁材の下縁部に取り付けられた下枠と、前記外壁材の側縁部に取り付けられた2つの縦枠と、を備え、実施形態のガスケットは、前記外壁材と前記枠との間に挿入された状態で、前記上枠、前記下枠、及び前記2つの縦枠に当接可能に構成されたリング状の形状を有している。
【0008】
上記の課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施形態にかかるカーテンウォールは、上記のガスケットが第1のガスケットとしてそれぞれ設けられた複数のパネルユニットが、上下方向および左右方向に並べられたカーテンウォールであって、前記第1のガスケットは、前記外壁材と前記枠との間に挿入され、前記外壁材に当接された前記リップ部の弾性力により、前記枠に対して前記外壁材を固定する。
【0009】
また、実施形態のカーテンウォールは、前記外壁材の前記第1のガスケットが設けられた側とは反対側で、前記枠に取り付けられた押さえ部材と、前記外壁材と前記押さえ部材との間に挿入され、前記第1のガスケット側へと前記外壁材を押し付ける第2のガスケットと、を更に備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態にかかるガスケット及びカーテンウォールによれば、シール材を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態にかかるカーテンウォールの概略構成の一例を示す正面図である。
図2図2は、実施形態にかかるパネルユニットの一部を図1のF1-F1線に沿って示す断面図である。
図3図3は、実施形態にかかるパネルユニットの一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。
図4図4は、実施形態にかかるガスケットの一部断面を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態にかかる構成要素および当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素およびその説明は一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0013】
(カーテンウォールの概略構成例)
図1は、実施形態にかかるカーテンウォール1の概略構成の一例を示す正面図である。カーテンウォール1は、例えば、ビルのような建物の外壁を構成する。
【0014】
なお、本明細書においては便宜上、X方向、Y方向、及びZ方向が定義される。X方向とY方向とZ方向とは互いに直交する。X方向は、カーテンウォール1の壁面の左右方向に沿って設けられる。Y方向は、カーテンウォール1の壁面に対する奥行方向に沿って設けられる。Z方向は、カーテンウォール1の壁面の上下方向に沿って設けられる。
【0015】
また、本明細書において、カーテンウォール1が設けられる建物の屋内側をカーテンウォール1の内側と定義し、建物の屋外側をカーテンウォール1の外側と定義する。
【0016】
図1に示すように、カーテンウォール1は、複数のパネルユニット10が上下方向および左右方向に並べられた構成を有する。複数のパネルユニット10は、パネル12と、パネル12を取り囲む枠11とをそれぞれ備える。
【0017】
外壁材としてのパネル12は、例えばガラス、普通コンクリート、軽量コクリート、または金属製の、略四角形の板である。パネル12が他の材料で作製されていてもよい。枠11は、上枠112と、下枠114と、2つの縦枠113,115とを有する。
【0018】
上枠112、下枠114、及び2つの縦枠113,115は、例えばアルミニウムのような金属製である。上枠112と、下枠114と、2つの縦枠113,115の一部が他の材料を含んでいてもよい。
【0019】
上枠112と下枠114とはそれぞれ、パネル12の外縁部のうち上縁部と下縁部とに、Z方向に互いに向かい合って設けられ、X方向に延びている。X方向に延びる上枠112及び下枠114は無目とも呼ばれる。
【0020】
2つの縦枠113,115はそれぞれ、パネル12の外縁部のうち側縁部に、X方向に互いに向かい合って設けられ、Z方向に延びている。Z方向に延びる縦枠113,115は方立てとも呼ばれる。
【0021】
上枠112、下枠114、及び2つの縦枠113,115は、例えばネジにより互いに結合される。
【0022】
複数のパネルユニット10は、上下方向および左右方向に並べられ、建物の外壁となるカーテンウォール1を構成する。複数のパネルユニット10のそれぞれは、例えばファスナにより建物の躯体に取り付けられる。
【0023】
(パネルユニットの構成例)
図2は、実施形態にかかるパネルユニット10の一部を図1のF1-F1線に沿って示す断面図である。図2に示すように、パネルユニット10は、パネル12、上枠112及び下枠114、2つの縦枠113,115、並びにガスケット20,30を備える。
【0024】
パネル12は、例えば複層ガラス121,121等を含む多層構造を有する。これにより、パネル12は断熱性および強度を備えることができる。
【0025】
上枠112は、パネル12の建物側、つまり、内側のZ方向の上縁部に設けられ、複数の見込壁112a、複数の見付壁112b、シール部112s、及び延伸部112cを備える。
【0026】
見込壁112aは、パネル12の内面側から建物の奥側へとZ方向に延びる。見付壁112bは、パネル12の面に水平な壁であり、X方向に延びている。
【0027】
シール部112sは、別のパネルユニット10に属する下枠114であって、上枠112の上方に配置される下枠114へと延びる。
【0028】
延伸部112cは、パネル12の上縁部を通ってパネル12の外面側へと延びている。延伸部112cの先端部分には、押さえ部材116が設けられている。
【0029】
押さえ部材116は、パネル12から所定間隔離れた位置で、パネル12の外面に沿って延伸部112cの先端部分から下方へと延びている。
【0030】
Y方向とX方向とにそれぞれ延びる複数の見込壁112aと複数の見付壁112bとにより、上枠112は、略四角形の筒状に構成されている。上枠112のX方向両端部には、縦枠113,115が、上枠112と直交して下方に延びている。図2には、縦枠113,115を破線で示す。上枠112と縦枠113,115とは、複数個所で、接続部材50等を介してネジ40により結合されている。
【0031】
下枠114は、上枠112と同様の構成を備える。すなわち、下枠114は、パネル12内側のZ方向の下縁部に設けられ、複数の見込壁114a、複数の見付壁114b、シール部114s、及び延伸部114cを備える。
【0032】
見込壁114aは、パネル12の内面側から建物の奥側へとZ方向に延びる。見付壁114bは、パネル12の面に水平な壁であり、X方向に延びている。
【0033】
シール部114sは、別のパネルユニット10に属する上枠112であって、下枠114の下方に配置される上枠112から延びるシール部112sに、シール材等を用いて気密に接続されている。上枠112と下枠114との接続に用いられるシール材は、例えばエチレンプロピレンジエン(EPDM)樹脂のような弾性体により作製される。
【0034】
延伸部114cは、パネル12の下縁部を通ってパネル12の外面側へと延びている。延伸部114cの先端部分には、押さえ部材118が設けられている。
【0035】
押さえ部材118は、パネル12から所定間隔離れた位置で、パネル12の外面に沿って延伸部114cの先端部分から上方へと延びている。
【0036】
Y方向とX方向とにそれぞれ延びる複数の見込壁114aと複数の見付壁114bとにより、下枠114もまた、略四角形の筒状に構成されている。下枠114のX方向両端部には、縦枠113,115が、下枠114と直交して上方に延びている。下枠114と縦枠113,115とは、複数個所で、接続部材50等を介してネジ40により結合されている。
【0037】
上枠112の複数の見付壁112bのうち、パネル12に最も近接し、パネル12の内面に向かい合う見付壁112b、及び下枠114の複数の見付壁114bのうち、パネル12に最も近接し、パネル12の内面に向かい合う見付壁114bと、パネル12の内面との間には、ガスケット20が挿入される。
【0038】
より具体的には、第1のガスケットとしてのガスケット20は、見付壁112b,114bにそれぞれ設けられた突起部112d,114dによって、それぞれ上枠112及び下枠114に係止されている。ガスケット20は、例えばEPDM樹脂のような弾性体により作製される。
【0039】
上枠112及び下枠114にそれぞれ取り付けられた押さえ部材116,118と、パネル12の外面との間には、ガスケット30が挿入されている。第2のガスケットとしてのガスケット30は、例えばEPDM樹脂のような弾性体により作製される。
【0040】
図3は、実施形態にかかるパネルユニット10の一部を図1のF2-F2線に沿って示す断面図である。
【0041】
縦枠113は、パネル12の内側のX方向の一方側の側縁部に設けられ、少なくとも1つの見込壁113a、複数の見付壁113b、シール部113s、及び延伸部113cを備える。
【0042】
見込壁113aは、パネル12の内面側から建物の奥側へとZ方向に延びる。見付壁113bは、パネル12の面に水平な壁であり、X方向に延びている。
【0043】
シール部113sは、別のパネルユニット10に属するX方向他方側の縦枠115であって、縦枠113にX方向に隣接して配置される縦枠115へと延びる。
【0044】
延伸部113cは、パネル12の一方側の側縁部を通ってパネル12の外面側へと延びている。延伸部113cの先端部分には、押さえ部材117が設けられている。
【0045】
押さえ部材117は、パネル12から所定間隔離れた位置で、パネル12の外面に沿って延伸部113cの先端部分からパネル12中央に向かって延びている。
【0046】
縦枠115は、縦枠113と同様の構成を備える。すなわち、縦枠115は、パネル12内側のX方向の他方側の側縁部に設けられ、少なくとも1つの見込壁115a、複数の見付壁115b、シール部115s、及び延伸部115cを備える。
【0047】
見込壁115aは、パネル12の内面側から建物の奥側へとZ方向に延びる。見付壁115bは、パネル12の面に水平な壁であり、X方向に延びている。
【0048】
シール部115sは、別のパネルユニット10に属するX方向一方側の縦枠113であって、縦枠115にX方向に隣接して配置される縦枠113から延びるシール部113sに、シール材等を用いて気密に接続されている。縦枠113,115同士の接続に用いられるシール材は、例えばEPDM樹脂のような弾性体により作製される。
【0049】
延伸部115cは、パネル12の他方側の側部を通ってパネル12の外面側へと延びている。延伸部115cの先端部分には、押さえ部材119が設けられている。
【0050】
押さえ部材119は、パネル12から所定間隔離れた位置で、パネル12の外面に沿って延伸部115cの先端部分からパネル12中央に向かって延びている。
【0051】
縦枠113,115に含まれており、Y方向とX方向とにそれぞれ延びる複数の見込壁113a,115aと複数の見付壁113b,115bとが組み合わさることにより、縦枠113,115は、略四角形の筒状に構成されている。縦枠113,115のZ方向両端部には、上枠112及び下枠114が、縦枠113,115と直交してX方向にそれぞれ延びている。図3には、上枠112及び下枠114を破線で示す。
【0052】
縦枠113,115の複数の見付壁113b,115bのうち、パネル12に最も近接し、パネル12の内面に向かい合う見付壁113b,115bと、パネル12の内面との間には、ガスケット20が挿入されている。
【0053】
より具体的には、ガスケット20は、見付壁113b,115bにそれぞれ設けられた突起部113d,115dによって、それぞれ縦枠113,115に係止されている。
【0054】
上述のように、ガスケット20は上枠112及び下枠114とパネル12の内面との間にも挿入されており、上枠112、下枠114、及び縦枠113,115のそれぞれに当接されるリング状の形状を有している。
【0055】
縦枠113,115にそれぞれ取り付けられた押さえ部材117,119と、パネル12の外面との間には、ガスケット30が挿入されている。
【0056】
上述のように、ガスケット30は上枠112及び下枠114にそれぞれ取り付けられた押さえ部材116,118と、パネル12の内面との間にも挿入されており、上枠112、下枠114、及び縦枠113,115のそれぞれの押さえ部材116~119に当接されるリング状の形状を有している。
【0057】
上述のように、パネル12は、複層ガラス121,121等を備えることにより断熱性および強度を備える。
【0058】
また、上述のように、上枠112と下枠114とは、シール部112s,114sによりシール材等を用いて気密に接続されている。縦枠113,115同士は、シール部113s,115sによりシール材等を用いて気密に接続されている。また、後述するように、ガスケット20は、上枠112、下枠114、及び縦枠113,115と、パネル12との間を気密に封止する。
【0059】
これらの構成により、カーテンウォール1外側の外気および雨水等が建物内に流入することが抑制され、また、建物内の気圧が一定に維持される。したがって、パネルユニット10は、例えば400mを超える建物の高層階であっても適用することが可能に構成されている。
【0060】
(ガスケットの構成例)
次に、図4を用いて、実施形態のパネルユニット10に設けられるガスケット20,30の詳細の構成例について説明する。図4は、実施形態にかかるガスケット20,30の一部断面を示す斜視図である。
【0061】
より詳細には、図4(a)は、弾性変形していない状態のガスケット20の一部断面を示す斜視図である。図4(b)は、パネル12に押し当てられて弾性変形した状態のガスケット20の一部断面を示す斜視図である。
【0062】
図4(c)は、弾性変形していない状態のガスケット30の一部断面を示す斜視図である。図4(b)は、パネル12に押し当てられて弾性変形した状態のガスケット30の一部断面を示す斜視図である。
【0063】
図4(a)(b)に示すように、ガスケット20は細く伸びた形状を有している。より具体的には、ガスケット20は、上述のように、枠11全体に当接するよう無端状のリング形状を有している。図4(a)(b)において、紙面左側がパネル12の内面に当接される側であり、紙面右側が枠11に当接される側である。
【0064】
ガスケット20は、本体21、リップ部22、及び凹部24を備える。
【0065】
本体21は、例えば四角柱の形状を有している。本体21の枠11との当接面には、上枠112、下枠114、及び縦枠113,115のそれぞれの突起部112d,114d,113d,115dが挿入される突起孔23が設けられている。
【0066】
本体21とリップ部22との間には、これらの延伸方向に沿って延びる凹部24が設けられている。本体21とリップ部22とは凹部24を介して枠11側の端面で接続されており、これにより、凹部24は紙面右側で閉塞されている。凹部24は紙面左側、つまり、パネル12が配置される側に向かって開放されている。
【0067】
図4(a)に示すように、リップ部22は、圧力が加わっていない初期状態において、凹部24を挟んだ本体21から離れた位置で、本体21の枠11との当接面側からパネル12との当接面側に延びる。リップ部22のパネル12側の先端部分は、本体21のパネル12との当接面よりもパネル12側に突出している。
【0068】
図4(b)に示すように、枠11とパネル12との間に挿入されて、ガスケット20がパネル12の内面に押し付けられると、リップ部22は、パネル12に押されて本体21から離れる方向へと倒れる。
【0069】
上述のように、ガスケット20はEPDM樹脂等から構成されており、リップ部22は弾性を有する。このため、パネル12に押されて倒れたリップ部22には、元の形状に戻ろうとする力が働き、枠11から離れる方向にパネル12を押さえつける。
【0070】
また、リップ部22が本体21から離れる方向へと倒れることで、リップ部22と本体21との間隔が広がり、それらの間に設けられる凹部24が押し広げられる。ただし、リップ部22が倒れた状態においても、リップ部22と本体21とパネル12の内面とで囲まれた部分には所定容積を有する空間が維持される。
【0071】
図4(c)(d)に示すように、ガスケット30は細く伸びた形状を有している。より具体的には、ガスケット30は、上述のように、パネル12外面側の縁部全体に当接するよう無端状のリング形状を有している。図4(c)(d)において、紙面右側がパネル12の外面に当接される側であり、紙面左側が押さえ部材116~119に当接される側である。
【0072】
ガスケット30は、本体31、リップ部32、及び凹部34を備える。
【0073】
本体31は、例えば断面形状が楕円形の円柱形状を有している。本体31の押さえ部材116~119との当接面には、押さえ部材116~119が有する凹凸に篏合するよう少なくとも1つの凹部34が設けられている。押さえ部材116~119が有する凹凸に、ガスケット30の凹部34が嵌め込まれることで、ガスケット30が押さえ部材116~119に対して係止される。
【0074】
図4(c)に示すように、リップ部32は、圧力が加わっていない初期状態において、本体31のパネル12との当接面から突出して延びている。
【0075】
図4(d)に示すように、押さえ部材116~119とパネル12との間に挿入されて、ガスケット30がパネル12の外面に押し付けられると、リップ部32は、パネル12に押され、本体31のパネル12との当接面側に向いていた面がパネル12の外面に当接するように倒れる。
【0076】
上述のように、ガスケット30はEPDM樹脂等から構成されており、リップ部32は弾性を有する。このため、パネル12に押されて倒れたリップ部32には、元の形状に戻ろうとする力が働き、押さえ部材116~119から離れる方向にパネル12を押さえつける。
【0077】
以上、ガスケット20が内側からパネル12を押さえつけ、ガスケット30が外側からパネル12を押さえつけることで、パネル12は、押さえ部材116~119と枠11との間で、枠11に対して固定される。これにより、ガスケット20,30は、パネル12を固定する固定具として機能する。
【0078】
また、ガスケット20が枠11とパネル12との間に挿入された状態では、パネル12に当接する本体21とリップ部22の先端部分とによって、ガスケット20は、枠11とパネル12との間を気密に封止する。これにより、ガスケット20は、固定具として機能するとともに、シール材としても機能する。
【0079】
これまで、建物の躯体にパネルユニットを取り付ける際には、パネルと枠との隙間から外気および雨水等が建物内に流入しないよう、これらの間にシール材を封入していた。
【0080】
実施形態のガスケット20をパネルユニット10に用いることで、パネル12と枠11との間のシール材を廃することができる。シール材が削減されることで、パネルユニット10のコストダウンを図ることができる。
【0081】
また、シール材を廃してガスケット20を用いることで、建物の躯体へのパネルユニット10の取り付け工程を乾式化することができ、パネルユニット10の取り付け作業の負荷を軽減することができる。また、消耗したガスケット20の交換作業も容易であるため、カーテンウォール1のメンテナンス性を向上させることができる。
【0082】
実施形態のガスケット20は凹部24を有する。このため、ガスケット20が枠11とパネル12との間に挿入された状態で、ガスケット20の本体21とリップ部22との間には、パネル12の内面との間に空間が維持される。このような空間が屋外からの雨水等の流入を抑制するため、パネルユニット10におけるシール性をいっそう向上させることができる。
【0083】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【0084】
2015年9月の国連サミットにおいて採択された17の国際目標として「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」がある。本発明の実施形態にかかるガスケット20及びカーテンウォール1は、このSDGsの17の目標のうち、例えば「11.住み続けられるまちづくりを」の目標などの達成に貢献し得る。
【符号の説明】
【0085】
1:カーテンウォール
10:パネルユニット
11:枠 112:上枠 113:縦枠 114:下枠 115:縦枠
12:パネル
20:ガスケット 21:本体 22:リップ部 23:突起孔 24:凹部
30:ガスケット 31:本体 32:リップ部 34:凹部
116~119:押さえ部材
図1
図2
図3
図4