(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000260
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】米飯盛付装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20231225BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098949
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】中野 達也
(72)【発明者】
【氏名】馬場 友和
(72)【発明者】
【氏名】菅原 祐樹
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LE11
4B023LT42
4B023LT45
(57)【要約】
【課題】速やかに米飯の上面が平らになるように容器に盛り付けることのできる米飯盛付装置を提供する。
【解決手段】ホッパ内の米飯Rを搬送する搬送スクリュ23と、搬送スクリュ23に搬送された米飯Rを解しながら容器Cへと落下させる解し落下ローラ24と、回動角を間欠的に変更して解し落下ローラ24から落下する米飯Rの容器Cへの落下位置を当該容器Cの一方側から他方側へと移行させる落下位置移行手段とを有している。この落下位置移行手段は、解し落下ローラ24の下方からの空気の流入による米飯Rの乾燥を阻止する保湿シャッタ25である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパ内の米飯を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段に搬送された米飯を解しながら米飯受容体へと落下させる解し落下手段と、
回動角を間欠的または連続的に変更して前記解し落下手段から落下する米飯の前記米飯受容体への落下位置を当該米飯受容体の一方側から他方側へと移行させる落下位置移行手段と、
を有することを特徴とする米飯盛付装置。
【請求項2】
前記落下位置移行手段は、前記解し落下手段の下方からの空気の流入による米飯の乾燥を阻止する保湿シャッタである、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯盛付装置。
【請求項3】
前記落下位置移行手段は、設定重量の半分の米飯を前記米飯受容体の片方の領域に落下させ、設定重量の残り半分の米飯を前記米飯受容体の他方の領域に落下させるように回動する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯盛付装置。
【請求項4】
前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の重量を計測する容器設置部に設置された容器である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯盛付装置。
【請求項5】
前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の重量を計測する容器設置部に設置された容器である、
ことを特徴とする請求項3記載の米飯盛付装置。
【請求項6】
前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉可能に設けられ、閉鎖位置となって蓄積した米飯の重量を計測し、開放位置となって設定重量の米飯を容器へ落下供給する計量カップである、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯盛付装置。
【請求項7】
前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉可能に設けられ、閉鎖位置となって蓄積した米飯の重量を計測し、開放位置となって設定重量の米飯を容器へ落下供給する計量カップである、
ことを特徴とする請求項3記載の米飯盛付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯盛付装置に関し、特に、容器に盛り付けられる米飯の盛付形状に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
牛丼や親子丼などの丼物を作る場合に用いられる装置として、米飯を容器に供給するための米飯盛付装置が知られている。この米飯盛付装置は、ホッパ内に貯留されている米飯を解し落下ローラで解しながら落下させて計量することにより、一定量の米飯を容器に落下供給する装置である。
【0003】
ここで、丼物を作る場合には、容器に盛り付けられた米飯の上に具材(例えば、牛丼の場合には、薄く切った牛肉とタマネギなどを醤油などで甘辛く煮込んだ具材、親子丼の場合には、割下などで煮た鶏肉を溶き卵でとじた具材)を乗せるために、容器に盛り付けられた米飯の上面は平らになっていることが望ましい。
【0004】
なお、米飯を容器に盛り付ける米飯盛付装置としては、例えば、特許文献1(特開2004-196382号公報)に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、前述した米飯盛付装置では、
図7に示すように、解し落下ローラ240(特許文献1では、解し供給手段24)の解し爪240aで解された米飯が解し落下ローラ240の回転力が加わった状態で自重落下する。そのため、図示するように、米飯は、鉛直方向よりも僅かに傾斜した一定の軌道Bをとることになる。すると、
図8に示すように、解し落下ローラ240の下方に設置された容器(米飯受容体)Cに盛り付けられた米飯Rは、中央部が盛り上がる一方で、前後が少なくなって(不足して)山形になってしまう。つまり、従来の米飯盛付装置では、米飯Rの上面が平らになるように盛り付けることができない。
【0007】
そのため、具材を載せるために山形に盛り付けられた米飯Rを人為的に平らにする必要があり、その分だけ手間や時間を要することになる。
【0008】
確かに、解し落下ローラの速度を増減速すれば、米飯Rをある程度平らに盛り付けることが可能ではあるが、解し落下ローラを減速した分だけ米飯Rを目標重量まで盛り付けるときの到達時間が長くなり、来店客への提供時間が遅くなる。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、速やかに米飯の上面が平らになるように盛り付けることのできる米飯盛付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯盛付装置は、ホッパ内の米飯を搬送する搬送手段と、前記搬送手段に搬送された米飯を解しながら米飯受容体へと落下させる解し落下手段と、回動角を間欠的または連続的に変更して前記解し落下手段から落下する米飯の前記米飯受容体への落下位置を当該米飯受容体の一方側から他方側へと移行させる落下位置移行手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項1記載の発明において、前記落下位置移行手段は、前記解し落下手段の下方からの空気の流入による米飯の乾燥を阻止する保湿シャッタである、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記落下位置移行手段は、設定重量の半分の米飯を前記米飯受容体の片方の領域に落下させ、設定重量の残り半分の米飯を前記米飯受容体の他方の領域に落下させるように回動する、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の重量を計測する容器設置部に設置された容器である、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項3記載の発明において、前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の重量を計測する容器設置部に設置された容器である、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項1または2記載の発明において、 前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉可能に設けられ、閉鎖位置となって蓄積した米飯の重量を計測し、開放位置となって設定重量の米飯を容器へ落下供給する計量カップである、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の本発明の米飯盛付装置は、上記請求項3記載の発明において、前記米飯受容体は、前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉可能に設けられ、閉鎖位置となって蓄積した米飯の重量を計測し、開放位置となって設定重量の米飯を容器へ落下供給する計量カップである、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、米飯受容体に対し、落下位置移行手段の回動角を間欠的または連続的に変更することで、米飯の落下位置を米飯受容体の一方側から他方側へと移行するように盛り付けている。これにより、速やかに米飯の上面が平らになるように盛り付けることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る下計量構造の米飯盛付装置の外観を容器とともに示す全体斜視図である。
【
図2】
図1の米飯盛付装置の内部構造を容器とともに示す断面図である。
【
図3】
図3は
図1の米飯盛付装置による米飯の盛付動作を示す説明図であり、(a)は米飯が容器の一方側に盛り付けられている状態を示し、(b)米飯が容器の一方側に盛り付けられている状態を示している。
【
図4】
図1の米飯盛付装置により容器に盛り付けられた米飯の状態を示す説明図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る上計量構造の米飯盛付装置の外観を容器とともに示す全体斜視図である。
【
図6】
図5の米飯盛付装置の内部構造を容器とともに示す断面図である。
【
図7】従来の米飯盛付装置において解し落下ローラにより解されて落下する米飯の軌道Bを示す説明図である。
【
図8】従来の米飯盛付装置により容器に盛り付けられた米飯の形状を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態に係る下計量構造の米飯盛付装置の外観を容器とともに示す全体斜視図、
図2は
図1の米飯盛付装置の内部構造を容器とともに示す断面図、
図3は
図1の米飯盛付装置による米飯の盛付動作を示す説明図、
図4は
図1の米飯盛付装置により容器に盛り付けられた米飯の状態を示す説明図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、米飯盛付装置1は、正面に位置するパネル板10および背面板11、ならびにこれらパネル板10、背面板11の両側に位置する側面板12により、上部を開口13とした箱体の形状に形成されている。
【0022】
背面板11の上端には、蝶番(図示せず)を介して連結された蓋14が取り付けられており、当該蓋14により開口13が開閉されるようになっている。また、パネル板10には、動作中の米飯盛付装置1を停止させるための非常停止スイッチ15、表示部16、様々な操作ボタン17が備えられている。非常停止スイッチ15は押すと米飯盛付装置1が停止し、回転すると停止解除となるスイッチである。表示部16は、米飯(1回の供給動作で供給する米飯)の設定重量や操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン17は、複数個の量目ボタン17a(容器Cへ供給される米飯Rの重量が個別に割り当て可能になったボタン)や重量登録ボタン17b(各量目ボタン17aに割り当てる米飯Rの重量や後述する容器設置部30に設置される容器Cの重量を登録するボタン)などで構成されている。なお、本実施の形態において、量目ボタン17aは8個設けられており、例えば100g~380gまで40g刻みの重量で割り当てられている。但し、米飯Rの登録重量は自由に設定が可能であり、本実施の形態に限定されるものではない。
【0023】
なお、米飯盛付装置1の背面側には、米飯盛付装置1の動作制御を行うための図示しないCPUなどの様々な電子部品が実装された基板18が設置されている。
【0024】
パネル板10の下方には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部19が形成されている。この凹部19は米飯Rを盛り付けるときの容器(米飯受容体)Cを収容するのに十分な空間を有し、その上方から米飯Rが落下して容器Cに供給される。
【0025】
なお、凹部19の側方には、米飯盛付装置1に電源を投入するための電源スイッチ20が配置されている。
【0026】
図2に示すように、米飯盛付装置1の内部には、ホッパ22、搬送スクリュ(搬送手段)23、解し落下ローラ(解し落下手段)24、保湿シャッタ(落下位置移行手段)25などが備えられている。
【0027】
ホッパ22は、投入された米飯Rが貯留される場所であり、上下が開口した上部ホッパ22aと、上部ホッパ22aの下部に形成された開口に嵌め込まれてホッパ22の底面を形成する下部ホッパ22bとからなる。下部ホッパ22bには、上方が開口した略半円形の収容溝22b-1が形成されている。この収容溝22b-1には、スクリュ羽根23aの上部が露出するようにして搬送スクリュ23が回転可能に収容されている。
【0028】
搬送スクリュ23は、ホッパ22に貯留されている米飯Rを回転動作によって解し落下ローラ24に向けて搬送する機構部である。この搬送スクリュ23は、米飯Rの搬送方向の下流側(つまり、解し落下ローラ24側)に向けて上方に傾斜するように配置されている。なお、
図2では、搬送スクリュ23は1つだけしか描かれていないが、前述の収容溝22b-1が並列に2カ所に形成されており、搬送スクリュ23はこれら2カ所の収容溝22b-1に相互に並列に配置されている。
【0029】
解し落下ローラ24は、搬送スクリュ23により搬送された米飯Rを解すように取り崩しながら下方に向けて落下させるドラム型のローラであり、その回転軸が搬送スクリュ23の回転軸と直交するような位置関係となった状態で配置されている。解し落下ローラ24の外周には米飯Rを解すように取り崩すための多数の解し爪24aが設けられている。
【0030】
保湿シャッタ25は、このような解し落下ローラ24の下方からの空気の流入による米飯Rの乾燥を阻止するためのものである。保湿シャッタ25は解し落下ローラ24の前面側において、当該解し落下ローラ24の外周に沿った断面略円弧状の形状になっている。また、保湿シャッタ25の横幅は、水平方向に設置された解し落下ローラ24の長さとほぼ同じになっている。
【0031】
この保湿シャッタ25は上端部を支点にして回動するようになっている。すなわち、解し落下ローラ24が動作(回転)するときには、解し落下ローラ24から容器Cに向けて落下する米飯Rの落下経路を開放する位置に回動する。また、解し落下ローラ24が動作(回動)を停止しているときには、解し落下ローラ24からの米飯Rの落下経路を閉鎖して空気の流入を遮断する位置に回動し、米飯Rを乾燥から保護する。
【0032】
なお、解し落下ローラ24の下方には、解し落下ローラ24からの米飯Rの一部が容器Cの外に落下してしまうことのないように米飯Rの落下範囲を規制するための盛付ガイド板26が開閉可能に設けられている。
【0033】
次に、米飯盛付装置1の下部には、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが供給される容器Cを設置するための窪みである設置部30aが形成されたテーブル(容器設置部)30と、このテーブル30の下方に配置されて容器Cに供給された米飯Rの重量を計測するためのロードセル31と、ロードセル31の下方に配置されて米飯盛付装置1の架台を構成する本体ベース32とを備えている。
【0034】
ロードセル31は、テーブル30上に載置された容器Cおよび当該容器Cに供給される米飯Rの荷重を電気信号に変換するセンサであり、変換された電気信号により重量が測定される。ロードセル31の検出素子としては、例えば、ひずみゲージが使用されている。ひずみゲージは、変形量に応じて抵抗値が変化することを利用した検出素子であり、ロードセル31に加わった荷重(容器Cの荷重・米飯Rの荷重)で生じた歪みを電気信号に変換することで重量を計る荷重変換素子である。したがって、測定された重量から容器Cの重さを減じることで容器Cに供給された米飯Rの重量が計測されることになる。
【0035】
なお、ロードセル31による計量値(容器Cに供給された米飯Rの計量値)が予め設定された重量に到達したならば、保湿シャッタ25が閉じて米飯Rの落下経路が閉鎖されるとともに、搬送スクリュ23および解し落下ローラ24の回転動作が停止し、容器Cに対する米飯Rの供給が終了するようになっている。
【0036】
ここで、本実施の形態の保湿シャッタ25では、回動角を間欠的に変更することにより、解し落下ローラ24から落下する米飯Rの容器Cへの落下位置が容器Cの一方側から他方側へと移行するようになっている。
【0037】
具体的には、例えば容器Cに供給する米飯Rの設定重量を200gとした場合、先ず、
図3(a)に示すように、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが容器Cの一方側に向かう軌道Bとなる回動角(第1の回動角)となるように保湿シャッタ25を回動させておいて、設定重量の例えば半分の100gの米飯Rを容器Cに供給する。保湿シャッタ25を第1の回動角としたとき、回転する解し落下ローラ24から落下する米飯Rは容器Cの一方側に向かう軌道Bとなるために、図示するように、設定重量の半分の量の米飯R1が容器Cの一方側に盛り付けられる。
【0038】
なお、本実施の形態では、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが保湿シャッタ25にぶつからない回動角のときに、米飯Rが容器Cの一方側に向かう軌道Bとなっているが、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが保湿シャッタ25にぶつかることで米飯Rが容器Cの一方側に向かう軌道Bとなる場合には、そのときの保湿シャッタ25の回動角が第1の回動角となる。
【0039】
さて、このようにして設定重量の半分の量(100g)の米飯R1が容器Cに盛り付けられたことがロードセル31により検出されたならば、次に、
図3(b)に示すように、保湿シャッタ25の回動角を、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが容器Cの他方側に向かう軌道Bとなる回動角(第2の回動角)となるように変更して、設定重量の例えば残り半分の100gの米飯R2を容器Cに供給する。保湿シャッタ25を第2の回動角としたとき、回転する解し落下ローラ24から落下する米飯R2は容器Cの他方側に向かう軌道Bとなるために、図示するように、設定重量の残り半分の量の米飯R2が容器Cの他方側に盛り付けられる。
【0040】
このように、本実施の形態の米飯盛付装置1では、米飯受容体である容器Cに対し、保湿シャッタ25の回動角を2段階に変更することで米飯Rの落下位置を容器Cの一方側から他方側へと移行するように盛り付けている。これにより、米飯Rの落下位置が容器Cの1カ所になった場合のように米飯Rが山形に盛り付けられるのではなく(
図8参照)、解し落下ローラ24の速度を贈減速することなく、
図4に示すように、速やかに米飯Rの上面が平らになるように盛り付けることが可能になる。
【0041】
したがって、平らになった米飯Rに具材を載せるために、人為的に米飯Rの上面を平らにする必要がなくなり、そのための手間や時間が不要になる。
【0042】
さて、以上においては、本発明を、米飯受容体である容器Cが設置される設置部30aが形成されたテーブル30の下方にロードセル31が設けられ、容器Cに落下供給される米飯Rの重量をロードセル31で計測するいわゆる下計量構造の米飯盛付装置1に適用した場合が説明されている。しかしながら、本発明は、
図5および
図6に示すように、解し落下ローラ24から落下した米飯Rを容器受容体である計量カップ40で設定重量になるように計量してから容器Cに落下供給するいわゆる上計量構造の米飯盛付装置1に適用することもできる。
【0043】
ここで、上計量構造の米飯盛付装置1について、
図5および
図6を用いて説明する。なお、
図5は本発明の一実施の形態に係る上計量構造の米飯盛付装置の外観を容器とともに示す全体斜視図、
図6は
図5の米飯盛付装置の内部構造を容器とともに示す断面図である。
【0044】
これらの図面において、解し落下ローラ24と容器Cが設置されるテーブル30との間の米飯Rの落下経路上には、下方に向けて開閉可能となり、閉鎖位置で上方が開口した容器形状の計量カップ(米飯受容体)40が設置されている。この計量カップ40にはロードセル31が接続されており、閉鎖してカップ状になった計量カップ40内に解し落下ローラ24から落下した米飯Rの重量を計測するようになっている。
【0045】
この計量カップ40は、前述した解し落下ローラ24から落下した米飯Rの経路上に位置しており、米飯Rの落下経路を開閉するようになっている。すなわち、計量カップ40により米飯Rの計量を停止する際には計量カップ40が閉じ、計量カップ40に蓄積された米飯Rを容器Cに供給する際には計量カップ40が開くことにより、米飯Rの計量動作と米飯Rの容器Cへの供給動作とが行われる。
【0046】
そして、閉鎖した計量カップ40に蓄積される米飯Rをロードセル31で計量し、蓄積された米飯Rが設定重量になったならば計量カップ40が開放されて米飯Rが容器Cに落下供給される。
【0047】
前述した下計量構造の米飯盛付装置1では、解し落下ローラ24から落下する米飯Rは直接容器Cに盛り付けられることから、容器Cが米飯受容体となっていた。これに対して、上計量構造の米飯盛付装置1においては、解し落下ローラ24から落下する米飯Rは計量のために一旦計量カップ40に蓄積されることから、計量カップ40が米飯受容体となる。
【0048】
すなわち、下計量構造の米飯盛付装置1において説明した場合と同じように、保湿シャッタ25の回動角を間欠的に変更することにより、解し落下ローラ24から落下する米飯Rの計量カップ40(閉鎖状態にある計量カップ40)への落下位置が計量カップ40の一方側から他方側へと移行する。
【0049】
例えば容器Cに供給する米飯Rの設定重量を200gとした場合、先ず、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが計量カップ40の一方側に向かう軌道となる回動角(第1の回動角)となるように保湿シャッタ25を回動させておいて(
図3(a)参照)、設定重量の例えば半分の100gの米飯Rを計量カップ40の一方側に蓄積する。設定重量の半分の量(100g)の米飯Rが計量カップ40に蓄積されたことがロードセル31により検出されたならば、次に、保湿シャッタ25の回動角を、解し落下ローラ24から落下する米飯Rが計量カップ40の他方側に向かう軌道となる回動角(第2の回動角)となるように変更して(
図3(b)参照)、設定重量の例えば残り半分の100gの米飯Rを計量カップ40の他方側に蓄積する。これにより、計量カップ40内に蓄積された米飯Rの上面が平らになる。
【0050】
そして、計量カップ40を開放して蓄積された米飯Rを容器Cに落下供給すれば、上面が平らになった計量カップ40内での形状がほぼ維持された状態で米飯Rが容器Cに盛り付けられることになる。すなわち、上計量構造の米飯盛付装置1においても、速やかに米飯Rの上面が平らになるように盛り付けることが可能になる。
【0051】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0052】
例えば、以上の説明では、保湿シャッタ25の回動角について、最初に相対的に大きな回動角である第1の回動角にし、次に相対的に小さな回動角である第2の回動角に変更しているが、回動角の変更パターンは逆(つまり、相対的に小さな回動角から相対的に大きな回動角に変更する)でもよい。
【0053】
また、このように保湿シャッタ25を間欠的に回動させる場合、本実施の形態のように第1の回動角および第2の回動角と2段階に回動角を変更することに限定されるものではなく、3段階以上に変更するようにしてもよい。さらに、回動角は、間欠的にではなく連続的に変更するようにしてもよい。
【0054】
そして、本実施の形態では、保湿シャッタ25の回動角を変更することで米飯Rの落下位置を移行させており、保湿シャッタ25が落下位置移行手段となっている。しかしながら、米飯の落下位置を移行するための専用の機構としての落下位置移行手段を設けるようにしてもよい。この場合、保湿シャッタ25は設置されていても、設置されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上の説明では、本発明の米飯盛付装置を用いて丼物用の容器に米飯を盛り付ける場合が示されているが、容器の形状は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0056】
22 ホッパ
23 搬送スクリュ(搬送手段)
24 解し落下ローラ(解し落下手段)
25 保湿シャッタ(落下位置移行手段)
30 テーブル(容器設置部)
31 ロードセル
40 計量カップ(米飯受容体)
B 軌道
C 容器(米飯受容体)
R,R1,R2 米飯