(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026014
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】穴埋めパズルおよびパズル提供方法
(51)【国際特許分類】
A63F 9/00 20060101AFI20240220BHJP
A63F 13/30 20140101ALI20240220BHJP
A63F 13/80 20140101ALI20240220BHJP
【FI】
A63F9/00 503C
A63F13/30
A63F13/80 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022137317
(22)【出願日】2022-08-15
(71)【出願人】
【識別番号】522343924
【氏名又は名称】楠田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】楠田 哲也
(57)【要約】
【課題】数字または記号による穴埋め遊びと図形描画遊びの両方を可能とした従来にない穴埋めパズルを実現することを課題とする。
【解決手段】同じ大きさの複数の正三角形で構成される基盤図形において正三角形の辺が重なる方向の並びを行と呼ぶ時、各行に含まれる正三角形全てに特定の範囲の数字または記号を重複なく入れることを特徴とし、当該特定の範囲は各行に含まれる正三角形の数の最大値をNとする時、NまたはN+1種類であることを特徴とするパズルで、入れる数字または記号ごとに正三角形を特定の色で塗り潰すことで当該基盤図形上に模様を表示する特徴を備えるパズルを提供する。例えば、42個の正三角形で構成される基盤図形(101)に0から9の10種類の数字を入れる穴埋めパズルで、奇数を入れた正三角形を黒で塗り潰す条件の場合、出題(201)に対して解答(202)を得ることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ大きさの複数の正三角形で構成される基盤図形において正三角形の辺が重なる方向の並びを行と呼ぶ時、各行に含まれる正三角形全てに特定の範囲の数字または記号を重複なく入れることを特徴とし、当該特定の範囲は各行に含まれる正三角形の数の最大値をNとする時、NまたはN+1種類であることを特徴とするパズル。
【請求項2】
前記基盤図形が42個の正三角形で構成される基盤図形(101)であり0から9の10種類の数字を入れることを特徴とする請求項1に記載のパズル。
【請求項3】
前記基盤図形の各正三角形に入れる当該数字または記号ごとに特定の色で当該正三角形を塗り潰すことで当該基盤図形上に模様を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパズル。
【請求項4】
請求項3に記載のパズルの当該基盤図形の形状、および、穴埋めに使用する数字または記号の範囲を指定するパズル条件設定ステップ(S401)とパズルの完成形を決定し当該基盤図形の一部の正三角形に当該範囲の数字または記号を表示し、塗り潰しのヒントを出して出題する出題ステップ(S402(a)、S402(b))と当該基盤図形の残りの正三角形全てに当該範囲の数字または記号を入れて完成させる解答ステップ(S403(a)、S403(b))を備え、さらに、当該基盤図形の各正三角形に入れる当該数字または記号ごとに特定の色で当該正三角形を塗り潰すことで当該基盤図形上に模様を表示する模様表示ステップ(S404(a)、S404(b))を前記出題ステップ(S402(a))、または、前記解答ステップ(S403(b))に備えたパズル提供方法。
【請求項5】
電子機器からなるシステム上で請求項4のパズル提供方法を実現する入出力となるソフトウェア(501)とハードウェア(502)を備えたパズルゲーム(503)によるパズル提供方法であり、インターネットやモバイル回線等のネットワーク(504)でサーバ(505)に接続することを可能とするパズル提供方法。
【請求項6】
3次元空間またはデジタル空間上の立体で請求項3のパズルまたは請求項4のパズル提供方法の特徴を当該立体の側面上に備えることを特徴とするパズル提供方法。
【請求項7】
パズルに使用する当該範囲の数字または記号を利用してパズル上に特定の情報を表示することを特徴とする請求項3のパズルまたは請求項4、請求項5、請求項6のパズル提供方法。
【請求項8】
54個の正三角形の穴のあいたパズル基盤(801)と複数枚のパズル出題解答シート(802)と60個の正四面体パズルピース(803)を備えたパズル提供方法であり、当該パズル基盤(801)上に1枚のパズル出題解答シート(802)を置いて、当該パズル出題解答シート(802)の情報に従って、必要な正四面体パズルピース(803)を並べることで穴を埋めてパズルを完成させるパズル提供方法であり、
当該パズル出題解答シート(802)は、表面にパズル出題情報、裏面にパズル解答情報が記載されており、両面に記載された基盤図形(101、301、302)は当該基盤図形を構成する各正三角形の中央にパズル基盤(801)の正三角形の穴と重なる穴があいており、
当該正四面体パズルピース(803)は、白2面、黒2面で中央に0~9の数字の1つが展開図(804)に示す方向に記載されており、0~9の数字ごとに6個ずつ合計60個あり、大きさは辺の長さが当該パズル出題解答シート(802)に記載された基盤図形を構成する正三角形の辺の長さに一致しており、
当該パズル基盤(801)の上に当該パズル出題解答シート(802)を載せた状態で正四面体パズルピース(803)を正三角形の穴に合わせて上方に数字が来るように平らに並べることで、請求項1に記載されるパズルの基盤図形の正三角形に数字を入れる動作を代行し、当該正四面体パズルピース(803)の方向を変えて上方に来る白い面と黒い面を入れ替えることで請求項3に記載される正三角形を塗り潰す動作を代行して、パズル上に数字表示と模様を描くことができる特徴を備える請求項3に記載のパズルのパズル提供方法。
【請求項9】
請求項8に記載のパズル提供方法の構成において、パズル基盤(801)の54個の穴、または、パズル基盤(801)にパズル出題解答シート(802)を載せた状態の穴(42個または48個または52個)に対して、正四面体パズルピース(803)を1個ずつ置いて穴を全部埋めるパズルで、一番目に黒面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を置き、二番目に白面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を置き、以降、黒面と白面が上面に来るように交互に置いて穴を全部埋めることを特徴とする穴埋めパズル。
【請求項10】
請求項8に記載のパズル提供方法の構成において、パズル基盤(801)の54個の穴、または、パズル基盤(801)にパズル出題解答シート(802)を載せた状態の穴(42個または48個または52個)に対して、最初に初期配置(1001)として正四面体パズルピース(803)6個を黒面3個白面3個が交互に上面に来るように置き6個の穴を埋め、次から正四面体パズルピース(803)を1つずつ置いて穴を埋めていくパズルで、
初期配置後、一番目に黒面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を盤上の他の黒面の正四面体パズルピース(803)との間に1個以上の白面の正四面体パズルピース(803)を行(102)方向に挟むように置き、挟んだ白面の正四面体パズルピース(803)の色を黒面に反転させ、
二番目に白面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を盤上の他の白面の正四面体パズルピース(803)との間に1個以上の黒面の正四面体パズルピース(803)を行(102)方向に挟むように置き、挟んだ黒面の正四面体パズルピース(803)の色を白面に反転させ、
以降、黒面白面の正四面体パズルピース(803)が交互に盤上に置かれて行き、挟むことができなくて置けない場合は、連続で挟むことの可能な色を置き、
全部の穴が埋まるか、あるいは、両方の色が置けなくなった時点を終了とすることを特徴とする穴埋めパズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は図示された問題に対して答えを徐々に書き込むことによって最終的な解答を行う形式のパズルの分野に関する。本分野のパズルはペンシルパズル(登録商標)として知られている。
【背景技術】
【0002】
ペンシルパズルの代表的なものとしては、「数独(SUDOKU、以下数独と表記)」(登録商標、非特許文献1)や「お絵かきロジック」(登録商標、非特許文献2)などが楽しまれている。「数独」は数字穴埋め遊び、「お絵かきロジック」は図形描画遊びとして楽しむことができる。
【0003】
また、本発明の一部に関係するパズルとして、「タングラム」(非特許文献3)というシルエットパズルがある。シルエットを7片の既定のパズルピース群で埋めるパズルである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.nikoli.co.jp/ja/puzzles/
【0005】
【非特許文献2】「お絵かきロジック vol.1」ISBN-10:8751461005
【0006】
【非特許文献3】「The Tangram Book」ISBN-10:1402704135
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
数独では1~9の数字を3×3のブロックおよび9×9の正方形の桝目に各ブロック、各行重複なく全て埋めるというコンパクトな美しさがあり、パズルを完成させると達成感が得られる。ここでいうコンパクトとは、「ぎっしり詰まった、密集した、引き締まった、目の詰んだ、質の密な、等」という意味である。
【0008】
しかしながら、数独の各問題の完成形には特徴が乏しいという課題があり、穴埋めを完了した時点で達成感を得て終了となり、パズルの模様に名前を付けて鑑賞することは実施されていない。また、数字0を使用しないため、記念日など意味ある数字情報をパズル上に表現する利用方法は数独では想定できないという課題がある。
【0009】
一方、お絵かきロジックはルールに従い枡目を塗り潰すと最終的に絵が浮かび上がり、完成形に名前を付けて鑑賞することができる。しかしながら、枡目の数を増やすことによる絵のデザインの細かさによる美しさであり、数独のようなコンパクトな美しさではないため、美しさを追求するとパズルの大きさが大きくなる課題がある。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、数字記号穴埋め遊びのコンパクトな美しさの達成感と図形描画遊びのデザイン性を伴う美しさの鑑賞性を併せ持つ従来にないパズルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に係る発明は、枡目を正三角形として数字記号穴埋め遊びを構成するものであり、同じ大きさの複数の正三角形で構成される基盤図形(101、301、302等)において正三角形の辺が重なる方向の並びを行(102)と呼ぶ時、各行(102)に含まれる正三角形全てに特定の範囲の数字または記号を重複なく入れることを特徴とし、当該特定の範囲は各行(102)に含まれる正三角形の数の最大値をNとする時、NまたはN+1種類であることを特徴とするパズルである。
【0012】
本解決手段は正三角形が平面を埋め尽くすことができるという物理特性、および、正三角形の辺が重なる3軸方向に行(102)が構成されるという物理特性をパズルに利用し、さらに3軸方向の行(102)上に同じ数字または記号が重複しないという制約条件を満たす配置方法を実現するための数字または記号の種類の数の条件を導き出しているところに特徴がある。
【0013】
この特徴を活用して、基盤図形を柔軟に拡張できる。例えば、基盤図形(101、301、302)を0~9の数字でパズル完成形(202,303、304)のように埋めることができる。基盤図形(302)の中に空白を配置することにより最長行の正三角形の数を調整するという柔軟な基盤図形の構成が可能である。
【0014】
請求項2に係る発明は、本特許で特に注目する構成であり、42個の正三角形からなる基盤図形(101)を0から9の10種類の数字で埋めることを特徴とする請求項1に記載のパズルである。
【0015】
請求項1の構成における各行(102)に含まれる正三角形の数の最大値をNとした時にN+1種類の数字で穴埋めするパズルの一例であり、42個の正三角形からなるパズルであるが、実現できる構成には計り知れない種類があり、継続的に新しいパズルを提供できる。
【0016】
請求項3に係る発明は、数字記号穴埋め遊びに図形描画遊びを統合するプロセスであり、前記基盤図形(101、301、302)の各正三角形に入れる当該数字または記号ごとに特定の色で当該正三角形を塗り潰すことで当該基盤図形上に模様を表示すること(202、303、304)を特徴とする請求項1または請求項2に記載のパズルである。
【0017】
模様に関しては、命名して意味のある名前を付けられることで鑑賞できる価値を生み出すことができる。また、特定の色を無色とする場合は、模様のない請求項1または請求項2のパズルと等価になる。
【0018】
請求項4に係る発明は、パズルの出題方法であり、請求項3に記載のパズルの当該基盤図形の形状、および、穴埋めに使用する数字または記号の範囲を指定するパズル条件設定ステップ(S401)とパズルの完成形を決定し当該基盤図形の一部の正三角形に当該範囲の数字または記号を表示し、塗り潰しのヒントを出して出題する出題ステップ(S402(a)、S402(b))と当該基盤図形の残りの正三角形全てに当該範囲の数字または記号を入れて完成させる解答ステップ(S403(a)、S403(b))を備え、さらに、当該基盤図形の各正三角形に入れる当該数字または記号ごとに特定の色で当該正三角形を塗り潰すことで当該基盤図形上に模様を表示する模様表示ステップ(S404(a)、S404(b))を前記出題ステップ(S402(a))、または、前記解答ステップ(S403(b))に備えたパズル提供方法である。
図4は全体的なパズル提供方法を示したフローチャートである。
【0019】
模様表示ステップ(S404(a))を出題ステップ(S402(a))に組み込んでパズルのヒントとする場合は、シルエットとなるように塗り潰しの色を単色とすることが望ましい。また、出題ステップ(S402(a))で模様表示ステップ(S404(a))の模様だけを単色で表示して、数字または記号を表示しない場合、すなわち、前記一部の正三角形が空集合となる場合は、タングラムのような最終シルエットを問題として与えることで構成を導き出すパズルとなる。
【0020】
このようなシルエットのみの出題の場合、解答は一意とはならないが、タングラムのようなシルエットパズルとして楽しむことができ、難易度の高いパズルとして提供可能である。
【0021】
請求項5に係る発明は、電子機器からなるシステム上で請求項4のパズル提供方法を実現する入出力となるソフトウェア(501)とハードウェア(502)を備えたパズルゲーム(503)によるパズル提供方法であり、インターネットやモバイル回線等のネットワーク(504)でサーバ(505)に接続することを可能とするパズル提供方法である。
【0022】
本発明の基本はペンシルパズルであり机上で紙と鉛筆を用いて実施可能であるが、インターネット、携帯電話、ゲーム機などを用いて、電子機器上のパズルゲーム(503)として提供することで、様々な付加機能を備えることができる。
【0023】
付加機能の例としては、制限時間を設定したり、ヒントを段階的に出したり、試し置きができたり、カラフルな色で塗り替えたりする機能を付加することができる。また解答時間を計測することによって競技性を加えることも可能となる。
【0024】
さらにネットワーク(504)でサーバ(505)に接続することにより、ポータル、パズルコンテンツ、プログラム、データベース、コミュニティなどの付加機能を提供することが可能となる。
図5はパズルゲームによるパズル提供方法の構成を表す概念図である。
【0025】
請求項6に係る発明は、3次元空間またはデジタル空間上の立体で請求項3または請求項4の特徴を当該立体の側面上に備えることを特徴とするパズル提供方法である。
【0026】
例えば、コイン(601)の側面である表面(602)と裏面(603)それぞれに出題ステップ(S402(b))のパズル初期状態表示(604、606)と解答ステップ(S403(b))のパズル完成状態表示(605、607)を備えることで鑑賞性のあるパズル玩具として提供することができる。
【0027】
また、デジタル空間上の立体またはデータとして提供することにより、ネットワークを使ってアクセスできる資産として所有することが可能となる効果がある。
図6はコインの表裏にパズルを表示するパズル提供方法の概念図である。
【0028】
請求項7に係る発明は、パズルに使用する当該範囲の数字または記号を利用してパズル上に特定の情報を表示することを特徴とする請求項3のパズルまたは請求項4、請求項5、請求項6のパズル提供方法である。
【0029】
例えば、特定の情報として、記念日や文章などを表示することができ、構成例として、パズルに誕生日を記載した例(604、605)、および、文章を記載した例(607)を
図6に示す。文字の色を変えたり、文字を斜体にしたりして目立つように工夫することで、他の文字や模様と区別して表示することができる。
【0030】
請求項8に係る発明は、立体的にパズルを提供する方法であり、54個の正三角形の穴のあいたパズル基盤(801)と複数枚のパズル出題解答シート(802)と60個の正四面体パズルピース(803)を備えたパズル提供方法であり、当該パズル基盤(801)上に1枚のパズル出題解答シート(802)を置いて、当該パズル出題解答シート(802)の情報に従って、必要な正四面体パズルピース(803)を並べることで穴を埋めてパズルを完成させるパズル提供方法であり、当該パズル出題解答シート(802)は、表面にパズル出題情報、裏面にパズル解答情報が記載されており、両面に記載された基盤図形(101、301、302)は当該基盤図形を構成する各正三角形の中央にパズル基盤(801)の正三角形の穴と重なる穴があいており、当該正四面体パズルピース(803)は、白2面、黒2面で中央に0~9の数字の1つが展開図(804)に示す方向に記載されており、0~9の数字ごとに6個ずつ合計60個あり、大きさは辺の長さが当該パズル出題解答シート(802)に記載された基盤図形を構成する正三角形の辺の長さに一致しており、当該パズル基盤(801)の上に当該パズル出題解答シート(802)を載せた状態で正四面体パズルピース(803)を正三角形の穴に合わせて上方に数字が来るように平らに並べることで、請求項1に記載されるパズルの基盤図形の正三角形に数字を入れる動作を代行し、当該正四面体パズルピース(803)の方向を変えて上方に来る白い面と黒い面を入れ替えることで請求項3に記載される正三角形を塗り潰す動作を代行して、パズル上に数字表示と模様を描くことができる特徴を備える請求項3に記載のパズルのパズル提供方法である。
【0031】
パズル基盤(801)の正三角形の穴は正四面体パズルピース(803)を支えるためのものであり、パズル出題解答シート(802)の穴と重なるように配置する。つまり、パズル出題解答シート(802)上の基盤図形の各正三角形の重心とパズル基盤(801)の穴の正三角形の重心は一致する。
【0032】
尚、パズル出題解答シート(802)の強度が十分で正四面体パズルピース(803)を支えることができる場合は、パズル基盤(801)に正三角形の穴は不要で、パズル基盤(801)はパズル出題解答シート(802)を支えて、かつ、正四面体パズルピース(803)を挿入できるスペースを保持できればよい。
【0033】
請求項9に係る発明は、請求項8の構成を応用したパズルであり、請求項8に記載のパズル提供方法の構成において、パズル基盤(801)の54個の穴、または、パズル基盤(801)にパズル出題解答シート(802)を載せた状態の穴(42個または48個または52個)に対して、正四面体パズルピース(803)を1個ずつ置いて穴を全部埋めるパズルで、一番目に黒面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を置き、二番目に白面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を置き、以降、黒面と白面が上面に来るように交互に置いて穴を全部埋めることを特徴とする穴埋めパズルである。
【0034】
本パズルは、黒面を置くプレイヤーと白面を置くプレイヤー2名で実施し、最終結果の黒面と白面の並びを評価することで、対戦型の五目並べゲームを提供できる。最終結果の並びから縦横斜めに五つの三角形が黒面、または、白面で直線状に構成されていると1ポイントと数えることでポイントの多い方を勝ちとする。例えば、五目並べゲーム実施例(901)の場合、多様な五目並び(902(1)~(4))をカウントし黒3ポイント、白1ポイントで黒の勝ちとなる。
【0035】
請求項10に係る発明は、請求項8の構成を応用したパズルであり、請求項8に記載のパズル提供方法の構成において、パズル基盤(801)の54個の穴、または、パズル基盤(801)にパズル出題解答シート(802)を載せた状態の穴(42個または48個または52個)に対して、最初に初期配置(1001)として正四面体パズルピース(803)6個を黒面3個白面3個が交互に上面に来るように置き6個の穴を埋め、次から正四面体パズルピース(803)を1つずつ置いて穴を埋めていくパズルで、初期配置後、一番目に黒面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を盤上の他の黒面の正四面体パズルピース(803)との間に1個以上の白面の正四面体パズルピース(803)を行(102)方向に挟むように置き、挟んだ白面の正四面体パズルピース(803)の色を黒面に反転させ、二番目に白面が上面に来るように正四面体パズルピース(803)を盤上の他の白面の正四面体パズルピース(803)との間に1個以上の黒面の正四面体パズルピース(803)を行(102)方向に挟むように置き、挟んだ黒面の正四面体パズルピース(803)の色を白面に反転させ、以降、黒面白面の正四面体パズルピース(803)が交互に盤上に置かれて行き、挟むことができなくて置けない場合は、連続で挟むことの可能な色を置き、全部の穴が埋まるか、あるいは、両方の色が置けなくなった時点を終了とすることを特徴とする穴埋めパズルである。
【0036】
本パズルは、黒面を置くプレイヤーと白面を置くプレイヤー2名で実施し、最終結果の黒面と白面の並びを評価することで、対戦型の陣取りゲームを提供できる。最終結果の並びから黒面と白面の数の多い方を勝ちとする。例えば、最終結果配置(1002)の場合、黒36ポイント、白18ポイントで黒の勝ちとなる。
【0037】
初期配置(1001)については
図13ではパズル基盤(801(a))の中央に置いているが、中央以外の場所に置いてゲームを開始することもできる。パズル出題解答シート例3(802(d))上で実施する場合は中央に置くことはできない。
【発明の効果】
【0038】
請求項1の発明の効果は、基盤図形の構成単位を正三角形とすることにより、平面を敷き詰めつつ細かい角度で図形を表現できるため、基盤図形および基盤図形上の模様を柔軟に変化させて様々なパズルを構成できること、さらに、構成を変化させても3軸方向の行(102)の3つの制約条件を維持することができるためコンパクトなパズルを構成できることである。さらに3軸方向の行(102)上に同じ数字または記号が重複しないという制約条件を満たす配置方法を実現するための数字または記号の種類の数の条件を導き出しているところに特徴がある。以下、詳しく説明する。
【0039】
平面上に敷き詰められる正多角形は、正三角形、正方形、正六角形の3種類だけである。正三角形の場合、60度、120度、180度、240度、300度、360度の6種類の角度を表現できるが、正方形の場合、90度、180度、270度、360度の4種類、正六角形の場合、120度、240度、360度の3種類である。
【0040】
正三角形は平面に敷き詰められる正多角形の中で表現できる角度の種類が最も多いため複雑な図形を最も柔軟に表現できる。本物理的特徴により、請求項1の基盤図形の構成を柔軟に変化させることで様々なパズルを構成でき、さらに請求項3の基盤図形上に表示する模様を多様に変化させることで様々なパズルを構成できる。
【0041】
また、基盤図形の構成単位の図形の辺が重なる方向の並びを行(102)と呼ぶ時、正方形の場合、行の方向は2軸であるが、正三角形と正六角形の場合は3軸ある。各行(102)に含まれる構成単位の図形全てに特定の範囲の数字または記号を重複なく入れることを特徴とするパズルの制約条件を課す場合、軸の数が多い方が制約条件の数の多いコンパクトなパズルを構成できる。
【0042】
数独の場合、縦横2軸方向の行の制約に加え、ブロック単位の制約を加え、3つの制約条件でパズルを構成しているが、ブロック単位の制約条件を導入することで、基盤図形の拡張が自由にできない課題がある。一方、本発明では正三角形を構成単位とするため、基盤図形(101、301、302)を拡張しても横左斜め右斜め3軸方向の行(102)の3つの制約条件を維持することができるため、基盤図形の構成を様々に変化させてもコンパクトなパズルを構成できる。
【0043】
さらに、請求項1の発明では、3軸方向の行(102)上に同じ数字または記号が重複しないという制約条件を満たす配置方法を実現するための数字または記号の種類の数の条件を導き出しているところに特徴がある。
【0044】
各行に含まれる正三角形の数の最大値をNとする時、数字または記号を重複なく入れるためには、数字または記号の種類は最低N種類必要である。しかし、N種類では基盤図形全体を穴埋めできない特殊な場合があり、この場合N+1種類で穴埋めすることでパズルを構成することができる。つまり、この場合最大長の行には、使用できる数字または記号のうち1種類だけが入らない、という制約条件でパズルを構成することになり、このような制約条件を課すパズルは新規性があり、請求項2はこの一例である。
【0045】
請求項2の発明は、請求項1において、基盤図形の最長行の正三角形の数N=9に対してN+1=10種類の数字を使用してパズルを完成させる実施例である。行数が18行(6行×3方向:102(1)~(18))あり、最長行の正三角形の数はN=9なので、最長行は0から9までの10種類の数字のうち1種類だけが使用されないという条件で構成される。
【0046】
本発明の効果は、42個の正三角形からなるコンパクトな構成で多種多様なパズルを提供できることである。
【0047】
数独が9×9=81個の正方形で構成されるのに対して請求項2の発明では42個の正三角形でパズルを提供できる。これにより、パズルを新聞・雑誌などに掲載する場合に紙面上に省スペースでパズルを提供できる経済的な効果がある。また、桝目が少ないことでパズル解答者が短時間で気軽に取り組める心理的効果もある。
【0048】
42個という正三角形で構成されるパズルであるが、請求項3の模様表示の種類の多さ、パズル構成方法の多彩さから多種多様な出題が可能であり、パズルの難易度も出題時の情報量により加減することが可能であるため、老若男女にパズルを楽しんでもらえる効果を発揮できる。世界的に人気のある数独に匹敵するパズルを提供することができる効果がある。
【0049】
さらに、0から9までの1桁の数字10種類全部を利用することからパズルに誕生日などの記念日の情報を埋め込むなどのカスタマイズが可能(604、605)であり、パズルをパーソナル化することができる効果がある。これは請求項7に関連する効果であり、従来の数独等のパズルにはない新たなパズル提供方法に関する特徴である。
【0050】
請求項3の発明の効果は、数字記号穴埋めパズルに図形描画遊びを統合できることである。これにより穴埋め終了時の達成感の効果だけでなく、パズルの鑑賞性、模様が浮き出ることの感動を味わえるパズルを提供できる効果がある。
【0051】
さらに、模様の特徴として、命名可能な模様とすることで、パズルを解く人が鑑賞できるだけでなく、パズル創作者の感性をパズルに込めることができる効果がある。また、パズルの模様の名称が言語と結びつくことによって、世界各国で独自の感性を呼び起こす効果がある。
【0052】
請求項4の発明の効果は、パズル出題方法が具体化でき、出題時の情報量によりパズルの難易度を調整できることである。
図4は全体的なパズル提供方法を示したフローチャートである。
【0053】
本パズルは適切な情報量の出題方法により、解答を一意にすることが可能である。また、出題方法の情報量により、パズルの難易度を加減して、老若男女にパズルを楽しんでもらえる効果を発揮できる。
【0054】
例えば、出題ステップ(S402(a)、S402(b))で表示する数字または記号の数を増やせば、パズルの情報量は増え、穴埋めする部分は少なくなり、解答の可能性の範囲は狭くなり、パズルの難易度は下がる。さらに、模様表示ステップ(S404(a))を出題ステップ(S402(a))に備えることにより、パズルの解答に関する情報量が増え、パズルの難易度を下げる効果がある。
【0055】
一方、模様を表示することでパズル制約条件が増え、数字または記号の表示量を減らしてもパズルの解答を一意にすることが可能となり、表示する数字または記号の数を減らして出題することでパズルの難易度を上げることができる。このように本パズル提供方法は、出題ステップ(S402(a)、S402(b))の情報量を調整することにより、問題の難易度を調整することができ、情報量を適切にすることにより、問題の解答を一意に限定することもできる。
【0056】
また、模様表示ステップ(S404(a))を出題ステップ(S402(a))に備えることにより、出題時に模様が見えることで、パズルの視認的注目度を上げることができ、パズルを実施する人を増やす効果も期待できる。
【0057】
一方、模様表示ステップ(S404(b))を解答ステップ(S403(b))に備えることにより、最後まで模様が確定しないため、パズル完成時の達成感と模様の出現の感動を同時に味わうことができ、パズルを解く際のワクワク感を維持する効果がある。
【0058】
このようなパズルの難易度の調整はパズルを普及する上で非常に重要である。これは、パズルは単なる遊びという活用方法以外に、脳トレーニングに効果があるとされ、集中力、記憶力、想像力、観察力、論理的思考力などを養う効果があるとされるが、パズルが難しすぎて解けない場合、ストレスとなってしまい逆効果を与えることがあるからである。
【0059】
出題ステップ(S402(a))で、シルエットのみの出題の場合、数字および記号の入れ替えなども含め解答の自由度が大きく、解答は一意にはならない。しかし、本出題方式では、出題をシンプルにすることができ、模様を鑑賞しながら構成を想像し解答を見つけることにパズルの達成感を味わうことができる効果がある。解答は一意とはならないが、タングラムのようなシルエットパズルとして楽しむことができ、難易度の高いパズルとして提供可能である。
【0060】
出題ステップ(S402(a))でシルエットとなるように模様を単色で表示して、解答ステップ(S403(a))で完成後にカラフルな色を塗るというパズル提供方法の工夫も考えられる。
【0061】
請求項5の発明の効果は、インターネット、携帯電話などを用いて、電子機器上のパズルゲームとしてパズルを提供することで、様々な付加機能を備えることができる効果がある。
【0062】
付加機能の例としては、制限時間を設定したり、ヒントを段階的に出したり、試し置きができたり、カラフルな色で塗り替えたりする機能を付加することができる。また解答時間を計測することによって競技性を加えることも可能となり、競技大会を開催することも可能となる効果がある。
【0063】
さらにネットワーク(504)でサーバ(505)に接続することにより、ポータル、パズルコンテンツ、プログラム、データベース、コミュニティなどの付加機能を提供することが可能となる。例えば、パズル問題のデータベースをネットワーク上に共有することもでき、新作パズルデザインを登録制にすることも可能である。
【0064】
また、電子機器上のパズルゲームとして提供することで、鉛筆や消しゴムを必要とせず、問題は何度でも楽しめ、短い時間でも気軽に遊べる効果がある。
図5はパズルゲームによるパズル提供方法の構成を表す概念図である。
【0065】
請求項6の発明の効果は、物理空間上の立体として提供することにより、持ち運びできる、鑑賞できる、本や新聞雑誌などに掲載できるなどの効果がある。また、デジタル空間上の立体またはデータとして提供することにより、ネットワークを使ってどこからでもアクセスできる資産として所有することが可能となる効果がある。
【0066】
さらに、所有できる形態でパズルを提供することにより、パズル所有者は、自分で鑑賞するだけでなく、他の人に見せたり譲渡したりすることなどで他の人にも感動を与えることができ、所有への満足感を向上できる効果を得ることができる。
【0067】
例えば、コインの両面にパズルの出題と解答を表示するパズル提供方法の例を
図6に示す。キーホルダーやコースターに応用することも可能である。また、立方体の側面に3セットのパズルの問題と解答を表示することもできる。
【0068】
請求項7の発明の効果は、特定の情報を組み込むことにより、請求項6の所有の満足度をさらに高める効果を得ることができることである。
【0069】
例えば、生年月日などの記念日を数字で組み込んで個人化できる。また、使用する記号にアルファベットなどを使用することで、名前やメッセージを描くこともできる。パズルに誕生日を記載した例(604、605:誕生日 19650429 を斜体文字で表示)、および、文章を記載した例(607:文章 I LOVE YOU! を斜体文字で表示)を
図6に示す。
【0070】
請求項8の発明の効果は、本パズルを立体パズルとして玩具の形態で提供することができ、視覚だけでなく触覚でも楽しむことができることである。また、正四面体パズルピース(803)の個数を意識することで、パズルの解法を体感することができる効果がある。
【0071】
本パズルの構成上の工夫点としては、パズル出題解答シート(802)を入れ替えることにより、パズルの基盤図形やパズル出題情報を変更することができ、新たなパズルを出題できる効果がある。また、パズルピースを展開図(804)の正四面体とすることで4通りの穴埋め方法を可能とし、必要となるパズルピースの数を最小化する効果がある。
【0072】
パズル基盤(801)はケース蓋部(801(a)、801(b))とケース本体(801(c))からなる中空とすることで、パズル出題解答シート(802)および正四面体パズルピース(803)を収納するケースとしても使用できる効果がある。
【0073】
請求項9の発明の効果は、本パズルを立体パズルとして玩具の形態で提供することができ、視覚だけでなく触覚でも楽しむことができることである。特に、本パズルを2名で対戦型の五目並べゲームとして楽しむことのできる効果がある。
【0074】
従来の五目並べは正方形格子で実施していたが、正三角形格子で実施することにより、五目の並びに新たな要素を加えることができ、例えば、五目並べゲーム実施例(901)のような 多様な五目並び(902)をカウントするゲームを楽しむことができる。
【0075】
請求項10の発明の効果は、本パズルを立体パズルとして玩具の形態で提供することができ、視覚だけでなく触覚でも楽しむことができることである。特に、本パズルを2名で陣取り対戦型ゲームとして楽しむことのできる効果がある。
【0076】
従来の技術では、オセロ(登録商標:8×8の正方形格子の盤を利用)、ニップ(円形または八角形の盤を使用)があるが、正三角形格子を用いた本発明では、隅の確定が2枡分で確定するなど、戦略が異なるゲームを楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図3】 いろいろな基盤図形とパズル解答の例を表す図である。
【
図4】 全体的なパズル提供方法を示したフローチャートである。
【
図5】 パズルゲームによるパズル提供方法の構成を表す概念図である。
【
図6】 コインの表裏にパズル表示するパズル提供方法の概念図である。
【
図7】 立体パズル提供方法の構成を表す概念図である。
【
図8】 解答ステップに模様表示ステップを含めた実施例の図である。
【
図9】 出題ステップに模様表示ステップを含めた実施例の図である。
【
図10】 シルエットパズルとしての出題の実施例の図である。
【
図11】 パズルで採用できる様々な模様の例である。
【
図12】 五目並べゲームの実施例の最終結果例の図である。
【
図13】 対戦型ゲームの実施例の初期配置および結果例の図である。
【実施例0078】
ここに挙げるものはほんの一部であり、基盤図形の形状、数字や記号の組み合わせ、模様表示の名称を含むデザイン性、パズル出題方法による難易度の設定、ゲーム化、情報組み込み、立体パズル化などにより、計り知れない多種多様のパズルを作成することができる。
【0079】
本パズルは世界的に人気のある数独に匹敵するパズル産業の柱を構築する可能性があるものである。理由は、数独のパズル完成時のコンパクトな美しさの達成感に加え、模様の美しさを鑑賞できるメリットがあり、かつ、問題の難易度を調整して初心者から上級者まで楽しむことができるからである。上級問題はかなり難易度の高い問題を作成することができるので、パズル創作者の意欲を湧かせることもできる。数独がSUDOKUとして日本語の名前で世界に広まったように日本のパズル産業の存在を世界にアピールすることができる可能性がある。
さらに、本パズルの提供方法には計り知れない可能性があり、新聞雑誌上の日常パズルとして継続的に出題できること、また、パズルゲームとしての提供やイベントの開催、コインや立体パズルなどのパズル玩具やデジタルデータ登録によるパズル資産として提供することも可能であり、産業上の利用可能性は著しく大きい。最後に、本パズルの問題作成方法、および、解法についての研究分野も特殊なアルゴリズムとなり、産業上の利用可能性のある分野の一つである。