(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026017
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】消臭繊維織物の染色仕上げ方法及び織物
(51)【国際特許分類】
D06P 5/02 20060101AFI20240220BHJP
D06L 4/13 20170101ALI20240220BHJP
D06M 11/55 20060101ALI20240220BHJP
D06M 11/74 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
D06P5/02 101
D06L4/13
D06M11/55
D06M11/74
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146991
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202210971203.X
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522164950
【氏名又は名称】福鋭登(上海)数字科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】陳鋭玲
【テーマコード(参考)】
4H157
4L031
【Fターム(参考)】
4H157AA01
4H157AA02
4H157BA02
4H157BA07
4H157CA01
4H157CA11
4H157CA37
4H157CA38
4H157CA90
4H157CB34
4H157CB45
4H157CB46
4H157CB50
4H157CC02
4H157CC03
4H157GA07
4H157HA01
4H157HA03
4H157JB02
4L031AB31
4L031BA13
4L031BA14
4L031DA09
(57)【要約】
【課題】消臭繊維織物の染色仕上げ方法及び織物を提供する。
【解決手段】本発明は、紡織の分野に関し、特に織物の染色仕上げプロセス及び織物に関する。消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、染色用アルカリ剤としてソーダ灰を使用し、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、第1温度まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して第1時間保持するステップと、第1温度で保持し、それぞれ一定時間間隔で染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤を順次添加し、さらに第2時間保持するステップと、第1昇温速度で第2温度まで昇温した後に第2部分の染色用アルカリ剤を添加し、第3時間保持した後に取り出すステップと、洗浄及び仕上げして、染色された織物を得るステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、染色用アルカリ剤としてソーダ灰を使用し、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、
第1温度まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して第1時間保持するステップS1と、
第1温度で保持し、それぞれ一定時間間隔で染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤を順次添加し、さらに第2時間保持するステップS2と、
第1昇温速度で第2温度まで昇温した後に第2部分の染色用アルカリ剤を添加し、第3時間保持した後に取り出すステップS3と、
洗浄及び仕上げして、染色された織物を得るステップS4と、を含むことを特徴とする、消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項2】
前記ステップS1の前に、さらに、
油除去剤0.1~1g/L、浸透剤0.1~1g/L及び錯化剤0.1~1g/Lを含む水溶液である漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰及び/又は過酸化水素水を添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整し、ここで過酸化水素水の使用量は2g/Lを超えないステップpreS1と、
70~80℃で50~100minキアーリングするステップpreS2と、
洗浄して、即ち、まず50~60℃の水で10~20min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.1~1g/Lの氷酢酸水溶液で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3と、を含む漂白前処理ステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項3】
前記ステップS4において、織物を洗浄及び仕上げするステップは、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、10~30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去することである、ことを特徴とする、請求項2に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項4】
質量百分率で、前記第1部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の25%~40%を占め、第2部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の75%~60%を占めることを特徴とする、請求項3に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項5】
前記ステップS2は、具体的には、染料を添加した後、10~20min間隔で保護助剤を添加し、さらに10~20min間隔で第1部分の染色用アルカリ剤を添加することであることを特徴とする、請求項3に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項6】
前記第1温度は30~45℃であり、第1時間は5~15minであり、第2温度は55~70℃であり、第2時間は5~15minであり、第3時間は50~60minであり、第1昇温速度は0.5~2℃/minであり、第3期間内にpHを10~10.5に保持することを特徴とする、請求項3に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項7】
前記第1温度は40℃であり、第1時間は15minであり、第2温度は60℃であり、第2時間は5minであり、第3時間は60minであり、第1昇温速度は1℃/minであることを特徴とする、請求項6に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項8】
前記ステップS1において、第1時間保持する時に浴液の硬度を検出し、検出結果に基づいて錯化剤を添加して浴液の硬度を100ppm以下に低下させることを特徴とする、請求項3に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項9】
前記保護助剤は硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項3に記載の消臭繊維織物の染色仕上げ方法。
【請求項10】
消臭繊維織物であって、前記消臭繊維織物は請求項1~9のいずれかに記載の方法で染色仕上げして得られることを特徴とする消臭繊維織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡織の分野に関し、特に織物の染色仕上げプロセス及び織物に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上に伴い、消費者は家庭用織物の快適性、衛生面及び他の多機能性に対する要求がますます高まっており、それにより織物は消臭・脱臭機能を有することが期待されている。
【0003】
織物に消臭・脱臭機能を持たせるためには、通常、織物原料として消臭繊維を使用し、従来の消臭繊維の消臭原理は繊維を改質することにより実現され、消臭性を有する基を繊維の分子鎖に導入することにより、繊維は消臭機能を有する。機能性基の存在により繊維自体の特性が変化し、消臭機能の存在は機能性基によるものであり、通常の染色仕上げプロセスを使用して繊維を生地に紡績した場合、染色堅牢度、耐洗濯性に影響を与えるだけでなく、機能性基を脱落させ、無効にする可能性もあり、したがって、指向性のある新しい染色仕上げ方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は消臭繊維織物の染色仕上げ方法を提供することであり、染色処理を段階的に行い、染色用の各種助剤を段階的に添加し、染色プロセスにおける染色用アルカリ剤による繊維の消臭基へのダメージを可能な限り減少させ、強アルカリ類染色用アルカリ剤で染色した後、消臭繊維織物の実際の消臭性が大幅に低下するという従来技術の欠陥を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は以下のように実施される。消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、染色用アルカリ剤としてソーダ灰を使用し、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、
第1温度まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して第1時間保持するステップS1と、
第1温度で保持し、それぞれ一定時間間隔で染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤を順次添加し、さらに第2時間保持するステップS2と、
第1昇温速度で第2温度まで昇温した後に第2部分の染色用アルカリ剤を添加し、第3時間保持した後に取り出すステップS3と、
洗浄及び仕上げして、染色された織物を得るステップS4と、を含む。
【0006】
前記ステップS1の前に、さらに、
油除去剤0.1~1g/L、浸透剤0.1~1g/L及び錯化剤0.1~1g/Lを含む水溶液である漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰及び/又は過酸化水素水を添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整し、ここで過酸化水素水の使用量は2g/Lを超えないステップpreS1と、
70~80℃で50~100minキアーリングするステップpreS2と、
洗浄して、即ち、まず50~60℃の水で10~20min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.1~1g/Lの氷酢酸水溶液で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3と、を含む漂白前処理ステップを含む。
【0007】
前記ステップS4において、織物を洗浄及び仕上げするステップは、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、10~30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去することである。
【0008】
質量百分率で、前記第1部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の25%~40%を占め、第2部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の75%~60%を占める。
【0009】
前記ステップS2は、具体的には、染料を添加した後、10~20min間隔で保護助剤を添加し、さらに10~20min間隔で第1部分の染色用アルカリ剤を添加することである。
【0010】
前記第1温度は30~45℃であり、第1時間は5~15minであり、第2温度は55~70℃であり、第2時間は5~15minであり、第3時間は50~60minであり、第1昇温速度は0.5~2℃/minであり、第3期間内にpHを10~10.5に保持する。
【0011】
前記第1温度は40℃であり、第1時間は15minであり、第2温度は60℃であり、第2時間は5minであり、第3時間は60minであり、第1昇温速度は1℃/minである。
【0012】
前記ステップS1において、第1時間保持する時に浴液の硬度を検出し、検出結果に基づいて錯化剤を添加して浴液の硬度を100ppm以下に低下させる。
【0013】
前記保護助剤は硫酸ナトリウムである。
【0014】
消臭繊維織物であって、本発明に記載の方法で染色仕上げして得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の消臭繊維織物の染色仕上げ方法及び織物は、染色助剤としてアルカリ性が弱いソーダ灰を利用して織物を染色し、染色プロセスにおいてソーダ灰を2回に分けて添加し、染色プロセスによる繊維の消臭基へのダメージを可能な限り減少させ、最終的に織物の消臭性を確保し、製品の品質を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の消臭繊維織物の染色仕上げ方法における染色部分のプロセスフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に具体的な実施例を参照して本発明をさらに説明する。これらの実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことが理解される。また、本発明の内容を読んだ後、当業者であれば本発明に対して様々な変更又は修正を行うことができ、これらの等価形式は同様に本出願の添付の特許請求の範囲に限定される範囲にあることが理解される。
【0018】
実施例
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、染色用アルカリ剤としてソーダ灰を使用し、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、以下のステップを含む。
【0019】
まず、ステップpreS1~ステップpreS3を含む漂白前処理を行う。
【0020】
油除去剤0.1~1g/L、浸透剤0.1~1g/L及び錯化剤0.1~1g/Lを含む水溶液である漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰及び/又は過酸化水素水を添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整し、ここで過酸化水素水の使用量は2g/Lを超えず、過酸化水素水の使用量が高すぎると、漂白前処理時に消臭基にダメージを与えやすくなるステップpreS1。
【0021】
70~80℃で50~100minキアーリングするステップpreS2。
【0022】
洗浄して、即ち、まず50~60℃の水で10~20min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.1~1g/Lの氷酢酸水溶液で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3。
【0023】
次に、
図1に示すように、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0024】
第1温度まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して第1時間保持するステップS1。
本発明において、前記浴液は一般的には通常の水道水であり、この段階で処理対象の織物が十分に浸潤することを確保する以外に、ある地域の水道水の硬度が高いことを考慮して、水中の金属イオンが織物にダメージを与え、染色効果に影響を与えることを回避するために、本ステップにおいて、浴液の硬度も検出する必要があり、検出結果に基づいて錯化剤を添加して浴液の硬度を100ppm以下に低下させる。
【0025】
第1温度で保持し、それぞれ一定時間間隔で染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤を順次添加し、さらに第2時間保持するステップS2。
【0026】
第1昇温速度で第2温度まで昇温した後に第2部分の染色用アルカリ剤を添加し、第3時間保持した後に取り出すステップS3。
【0027】
ステップS2、S3において、一定の時間間隔で染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤、第2部分の染色用アルカリ剤を段階的に添加するのは消臭基を有する繊維が染色過程において染色用アルカリ剤の影響を受ける可能性があり、最終的な織物の消臭性を低下させるためである。したがって、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、弱アルカリのうちのNa2CO3炭酸ナトリウム(ソーダ灰)のみを染色用アルカリ剤として使用し、より強いアルカリ類の使用を禁止する。まず、より低い温度で保護助剤で繊維材料を前処理し、部分的に染色して一定の保護層を形成し、次に、第2温度及び第2部分の染色用アルカリ剤で織物を全面的に染色し、染色プロセスによる消臭性への影響を除去する。本プロセスにおいて、保護助剤は、染料の着色を促進し、染色堅牢度を向上させるだけでなく、消臭繊維の地色も保護する役割を果たす。
【0028】
本発明において、好ましくは、質量百分率で、前記第1部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の25%~40%を占め、第2部分の染色用アルカリ剤は染色用アルカリ剤の総含有量の75%~60%を占め、染料、保護助剤、第1部分の染色用アルカリ剤を段階的に添加する具体的な方式は、染料を添加した後、10~20min間隔で保護助剤を添加し、さらに10~20min間隔で第1部分の染色用アルカリ剤を添加することである。前記第1温度は30~45℃であり、第1時間は5~15minであり、第2温度は55~70℃であり、第2時間は5~15minであり、第3時間は50~60minであり、第1昇温速度は0.5~2℃/minであり、第3期間内にpHを10~10.5に保持する。
【0029】
洗浄及び仕上げして、染色された織物を得るステップS4。
【0030】
本発明において、前記織物を洗浄及び仕上げするステップは、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、10~30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去することである。
【0031】
最終的に、消臭繊維織物は、本発明に記載の方法で染色仕上げして得られる。
【0032】
また、染色対象の織物と染色液の浴比を設定する時、実際の状況に応じて選択することができ、浴比を1:10~1:20に設定し、通常、淡色系の浴比を高く設定し、濃色系の浴比を低く設定する。
【0033】
具体的に実施する時、本発明に記載されるように、好ましくは、前記保護助剤は、無水硫酸ナトリウム(硫酸ナトリウムNa2SO4粉末、市販の通常製品)、添加量は保護助剤の浴液における濃度で計算し、
ソーダ灰(炭酸ナトリウムNa2CO3)、市販の通常製品、
氷酢酸(酢酸CHCOOH)、市販の通常製品、
油除去剤、KF-1206、浙江科峰有機硅有限公司、
浸透剤、KF-1185D、浙江科峰有機硅有限公司、
錯化剤、KF-55、浙江科峰有機硅有限公司である。
【0034】
実施例1
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、染色用アルカリ剤としてソーダ灰を使用し、染色用アルカリ剤の使用量は5g/Lであり、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、第1部分は1/3であり、第2部分は2/3であり、以下のステップを含む。
【0035】
まず、ステップpreS1~ステップpreS3を含む漂白前処理を行う。
【0036】
油除去剤0.5g/L、浸透剤0.5g/L及び錯化剤0.5g/Lを含む水溶液である漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰2g/L及び/又は過酸化水素水0.5g/Lを添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整するステップpreS1。
【0037】
76±2℃で60minキアーリングするステップpreS2。
【0038】
洗浄して、即ち、まず60℃で10min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.5g/Lの氷酢酸で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3。
【0039】
次に、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0040】
40℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して10min保持するステップS1。
【0041】
0.120%のリアクティブレッド3BS及び0.005%のリアクティブイエロー3RS染料を添加し、15min間隔で10g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに15min後に1/3のソーダ灰を添加して5min保持し、前記染料計量は、染料が被染織物に占める質量百分率であり、即ち、処理対象の織物が合計100kgである場合、0.120kgのリアクティブレッド3BS及び0.005kgのリアクティブイエロー3RSを添加する必要があるステップS2。
【0042】
1℃/minで60℃まで昇温し、残りの2/3のソーダ灰を添加して60分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0043】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、20分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、ピンクの織物を得るステップS4。
【0044】
実施例2
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、実施例2と実施例1との違いは以下のとおりである。前記染料は0.025%のリアクティブライトイエローED-3Gと0.045%のリアクティブイエロー3RSの複合染料であり、染色用アルカリ剤の使用量は5g/Lであり、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、第1部分は25%であり、第2部分は75%であり、以下のステップを含む。
【0045】
まず、ステップpreS1~ステップpreS3を含む漂白前処理を行う。
【0046】
油除去剤0.1g/L、浸透剤0.1g/L及び錯化剤0.1g/Lを含む漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰0.5g/L及び/又は過酸化水素水2g/Lを添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整するステップpreS1。
【0047】
80℃で50minキアーリングするステップpreS2。
【0048】
洗浄して、即ち、まず60℃で10min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.1g/Lの氷酢酸で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3。
【0049】
次に、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0050】
30℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して5min保持するステップS1。
【0051】
染料を添加し、10min間隔で5g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに10min後に25%のソーダ灰を添加して5min保持するステップS2。
【0052】
0.5℃/minで55℃まで昇温し、残りの75%のソーダ灰を添加して50分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0053】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、10分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、明るい黄色の織物を得るステップS4。
【0054】
実施例3
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、実施例3と実施例1との違いは以下のとおりである。前記染料は0.150%のKN-Rブリリアントブルーであり、染色用アルカリ剤の使用量は5g/Lであり、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、第1部分は40%であり、第2部分は60%であり、以下のステップを含む。
【0055】
まず、ステップpreS1~ステップpreS3を含む漂白前処理を行う。
【0056】
油除去剤1g/L、浸透剤1g/L及び錯化剤1g/Lを含む漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰2g/L及び/又は過酸化水素水1.5g/Lを添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整するステップpreS1。
【0057】
70℃で100minキアーリングするステップpreS2。
【0058】
洗浄して、即ち、まず50℃で20min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに1g/Lの氷酢酸で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3。
【0059】
次に、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0060】
45℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して10min保持し、KF-55を添加して5分間保持するステップS1。
【0061】
染料を添加し、20min間隔で10g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに20min後に40%のソーダ灰を添加して5min保持するステップS2。
【0062】
2℃/minで70℃まで昇温し、残りの60%のソーダ灰を添加して50分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0063】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、ライトブルーの織物を得るステップS4。
【0064】
実施例4
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、実施例4と実施例1との違いは以下のとおりである。前記染料は0.23%のLB-GDリアクティブブルー、0.41%の3BSリアクティブレッド及び0.66%の3RSリアクティブイエローの混合染料であり、染色用アルカリ剤の使用量は12g/Lであり、染色用アルカリ剤を2つの部分に分け、第1部分は1/3であり、第2部分は2/3であり、以下のステップを含む。
【0065】
まず、ステップpreS1~ステップpreS3を含む漂白前処理を行う。
【0066】
油除去剤0.5g/L、浸透剤0.5g/L及び錯化剤0.5g/Lを含む漂白液を調製し、pH調整剤としてソーダ灰2g/Lを添加し、漂白液のpH値を9~9.5に調整するステップpreS1。
【0067】
76±2℃で60minキアーリングするステップpreS2。
【0068】
洗浄して、即ち、まず60℃の水で10min熱洗浄し、次に室温で清水で洗い流し、さらに0.5g/Lの氷酢酸で洗浄し、最後に水で氷酢酸を洗浄除去して、処理対象の織物を得るステップpreS3。
【0069】
次に、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0070】
40℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して10min保持し、KF-55を添加し、浴液の硬度を100ppm以下に低下させ、5分間保持するステップS1。
【0071】
染料を添加し、15min間隔で30g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに15min後に1/3のソーダ灰を添加して5min保持するステップS2。
【0072】
1℃/minで60℃まで昇温し、残りの2/3のソーダ灰を添加して50分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0073】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、20分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、ブラウンの織物を得るステップS4。
【0074】
実施例5
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、実施例5と実施例4との違いは以下のとおりである。前記染料は0.68%のLB-GDリアクティブブルー、0.75%の3BSリアクティブレッド及び0.84%の3RSリアクティブイエローの混合染料であり、染色用アルカリ剤の使用量は15g/Lであり、以下のステップを含む。
【0075】
次に、処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0076】
40℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して10min保持し、KF-55を添加し、浴液の硬度を100ppm以下に低下させ、5分間保持するステップS1。
【0077】
染料を添加し、15min間隔で30g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに15min後に1/3のソーダ灰を添加して5min保持するステップS2。
【0078】
1℃/minで60℃まで昇温し、残りの2/3のソーダ灰を添加して55分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0079】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、グレーの織物を得るステップS4。
【0080】
実施例6
消臭繊維織物の染色仕上げ方法であって、実施例6と実施例4との違いは以下のとおりである。前記染料は7%のLS-2Nリアクティブブラック、0.5%のL-BNNリアクティブレッド及び0.2%のL-BNNリアクティブイエローの混合染料であり、染色用アルカリ剤の使用量は25g/Lであり、以下のステップを含む。
【0081】
処理対象の織物に対して、ステップS1~ステップS4を含む染色仕上げプロセスを行う。
【0082】
40℃まで昇温して処理対象の織物を浴液に浸漬して10min保持し、KF-55を添加し、浴液の硬度を100ppm以下に低下させ、5分間保持するステップS1。
【0083】
染料を添加し、15min間隔で30g/Lの無水硫酸ナトリウムを添加し、さらに15min後に1/3のソーダ灰を添加して5min保持するステップS2。
【0084】
1℃/minで60℃まで昇温し、残りの2/3のソーダ灰を添加して60分間保持し、この時の浴液のpHを10~10.5の範囲内に制御するステップS3。
【0085】
洗浄及び仕上げして、即ち、脱イオン水に氷酢酸を添加し、pH値を4.5~5.5に調整し、次に染色された織物を入れ、30分間浸漬し、最後に脱イオン水で酸味を洗浄除去して、ブラックの織物を得るステップS4。
【0086】
得られた織物の性能をテストする。
【0087】
試験サンプル:30cm×30cmの織物。
【0088】
洗剤:本試験で使用される洗剤はGB/T8629-2001の付属書Aに規定されるAATCC1993標準洗剤WOB無リン処方を参照して調製される。
【0089】
洗濯機:家庭用自動脱水洗濯機であって、パルセータの直径は約34cmであり、脱水回転速度は約1200r/minであり、市販の通常の型番であり、洗濯槽の容積は60Lである。
【0090】
洗濯機に上記洗剤2g/L及び水道水を添加し、浴比は1:30であり、水温は40℃±3℃であるステップS1.1。
【0091】
織物を洗濯機に入れ、5min洗浄した後に脱水するステップS1.2。
【0092】
常温で水道水で2min洗浄し、織物を取り出して脱水した後に再び常温下の水道水で2min洗浄し、かつ脱水するステップS1.3。
【0093】
上記ステップS1.1、S1.2、S1.3の3つのステップは1つのサイクルであり、1回の洗浄とする。本試験では50回洗浄した後に織物の消臭性を検出する。
【0094】
消臭性を検出する時、GB/T33610.1-2019の基準に従って、アンモニア水及び酢酸を臭気化学成分としてそれぞれテストする。
【0095】
対照サンプル1:通常の染色プロセスを使用し、まず染色スラリーを調製し、水酸化ナトリウムNaOHを染色用アルカリ剤として使用し、0.150%のKN-Rブリリアントブルー染料、5g/Lの染色用アルカリ剤、10g/Lの無水硫酸ナトリウム及び脱イオン水を撹拌して均一に混合した後、浴比1:10の染色スラリーを使用し、処理対象の織物を染色スラリーに浸漬し、80℃まで加熱し、60分間保持した後、織物を取り出して洗浄した後に対照サンプル1を得る。
【0096】
対照サンプル2:漂白及び染色せず、使用された消臭繊維原料(青島尼希米生物科技有限公司、海洋之謎(登録商標)-Freshcot(登録商標)瞬間消臭繊維)を30cm×30cmの織物に直接紡績して対照サンプル2とし、試験結果は次の表に示すとおりである。
【表1】