(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024002602
(43)【公開日】2024-01-11
(54)【発明の名称】被加工材位置調整装置、被加工材位置調整方法、及び積層鉄心の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 43/02 20060101AFI20231228BHJP
B30B 13/00 20060101ALI20231228BHJP
【FI】
B21D43/02 H
B30B13/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101898
(22)【出願日】2022-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】泉 智大
(72)【発明者】
【氏名】牧 清久
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090FA10
4E090HA01
(57)【要約】
【課題】 隣り合う二組の金型間の距離が変動したことに伴う、被加工材の金型に対する相対的な位置ずれを、被加工材の位置調整で相殺し、被加工材を金型に対し適切な位置関係として、被加工材へのプレス加工を正確に且つ効率よく行うことができる、被加工材位置調整装置を提供する。
【解決手段】 測距部20で取得した金型間距離の測定結果に基づいて制御部30が調整機構部10を作動させ、金型間に位置する被加工材90の長さを変えて、金型に対し被加工材90の位置を動かし、金型における各加工工程の加工位置に被加工材90の加工対象位置が合うように調整することから、金型における各加工工程の加工位置とこれに対応する被加工材90の各加工対象位置との位置ずれを起こすことなく順送りのプレス加工を継続でき、不良品の発生に繋がる加工品質の低下を防げる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工可能として配設される二組の金型に対し、当該二組の金型間に配設され、被加工材を二組の金型間の最短経路からずれた搬送経路に案内する調整機構部と、
前記二組の金型間の距離を測定する測距部と、
前記調整機構部の作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記測距部による前記二組の金型間の距離の測定結果を取得し、前記調整機構部による被加工材の案内位置を調整して、前記搬送経路の長さを前記測定結果に対応して増減させることを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の被加工材位置調整装置において、
前記制御部が、前記測定結果から前記二組の金型間の距離の変化量を取得し、前記搬送経路の長さを前記変化量に対応して増減させるように、前記調整機構部による被加工材の案内位置を調整することを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の被加工材位置調整装置において、
前記調整機構部が、
前記被加工材を円筒面状の外周面に接触させて案内する調整ロールと、
当該調整ロールを回転可能且つ前記被加工材の搬送方向とは異なる向きに移動可能に支持するロール支持部と、
前記制御部により制御され、前記調整ロールを前記ロール支持部ごと動かすアクチュエータとを有し、
前記調整ロールが、前記アクチュエータによる移動で被加工材と接して案内する位置を調整され、搬送される被加工材に接して回転しながら被加工材を案内することを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項4】
前記請求項3に記載の被加工材位置調整装置において、
前記調整機構部が、前記調整ロールを回転駆動する駆動手段を有し、
前記調整ロールが、前記駆動手段による駆動で、外周面に接する前記被加工材の搬送速度に対応する回転速度で回転することを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項5】
前記請求項3に記載の被加工材位置調整装置において、
前記調整機構部が、
前記被加工材の前記調整ロールの接する側とは反対側に、円筒面状の外周面を接触可能とされる対向ロールと、
当該対向ロールを回転可能且つ前記調整ロールと同じ向きに移動可能に支持する他のロール支持部とを有し、
前記対向ロールが、前記アクチュエータによる位置調整に係る調整ロールの移動に追随して移動し、前記被加工材の調整ロールの接する側とは反対側に接する状態を維持して、搬送される被加工材に接して回転することを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項6】
前記請求項5に記載の被加工材位置調整装置において、
前記調整機構部が、前記調整ロールと対向ロールの少なくとも一方を回転駆動する駆動手段を有し、当該駆動手段の駆動力に基づく調整ロールと対向ロールの少なくとも一方の回転で、調整ロールと対向ロールに接する前記被加工材の搬送を実行することを
特徴とする被加工材位置調整装置。
【請求項7】
間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工可能として配設される二組の金型間の距離を測定し、
前記二組の金型間に配設される調整機構部で被加工材を二組の金型間の最短経路からずれた搬送経路に案内すると共に、前記二組の金型間の距離の測定結果を取得し、前記搬送経路の長さを前記測定結果に対応して増減させるように、前記調整機構部による被加工材の案内位置を調整することを
特徴とする被加工材位置調整方法。
【請求項8】
間欠的に搬送される帯状の被加工材からプレス加工で鉄心片を複数形成し、当該鉄心片を積層して積層鉄心を形成する、積層鉄心の製造方法において、
前記被加工材に対する前記プレス加工の複数工程を実行可能として配設される二組の金型間の距離を測定し、
前記二組の金型間に配設される調整機構部で被加工材を二組の金型間の最短経路からずれた搬送経路に案内すると共に、前記二組の金型間の距離の測定結果を取得し、前記搬送経路の長さを前記測定結果に対応して増減させるように、前記調整機構部による被加工材の案内位置を調整することを
特徴とする積層鉄心の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のプレス用金型で金属の被加工材を順送り加工する際に被加工材を金型間で位置調整する装置、及び調整の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス加工によって金属である被加工材から成形品を製造するにあたり、例えば複雑な形状の加工を行う場合は、いわゆる順送り加工が一般的に用いられている。順送り加工とは、プレス加工の一工程分に対応する凹凸形状(パンチ及びダイ)が複数工程分並べて形成された金型を用いる加工法である。順送り加工では、帯状の被加工材を送りながら複数の工程を一組の金型のプレスで進行させることができる。
【0003】
こうした加工用の金型は、一組の金型で担当する工程数が増える分、必然的に金型が大きくなる。そのため、多工程の加工を行う金型を製作する場合、大型化する金型に対応して大型の工作機械を用いなければならなくなるなど、金型製作の困難性が増すという問題がある。
【0004】
このような問題を解決するために、複数組の小型の金型にプレス加工上必要とする工程を分散させ、各組の金型を直列に並べてプレス加工を行う手法が近年採用されるようになっている。これにより小型の金型でも大きな金型と同等の製品を作ることが可能となる。
【0005】
こうした加工手法を採用したものとして、それぞれ金型を備えた二台のプレス機を直列に配置したプレス加工装置の例が、特開2011-205836号公報の背景技術に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のプレス加工装置は、前記特許文献に示されるものとなっており、二台のプレス機の間に、ある程度の長さの帯状鋼板を貯めて、プレス機間での帯状鋼板が進行するタイミングのずれを吸収するアキュームレータを有している。
【0008】
前記特許文献に示される装置のように、複数のプレス加工工程を複数組の金型に振り分けて加工を行う場合、複数組の金型を一列に整列させた配置状態とすることを要する。加えて、プレス機上では隣り合う金型の配置間隔を被加工材の送りピッチに対応させることが必要となる。
【0009】
具体的には、プレス機上において、加工工程がより前段側の金型における最終工程担当箇所と、その次段側に位置する金型における最先工程担当箇所との間隔が、被加工材の送りピッチの整数倍になるように、金型間の距離を設定する必要がある。
【0010】
一台のプレス機に複数組の金型を設ける場合、金型間の距離の精度を確保する必要がある。例えば、隣り合う金型間に所定のゲージを挟んで当接させたり、隣り合う金型同士の距離を定める位置決め手段がある共通プレートを複数の金型の下側に設けて、その上に金型を設置して位置決めを行うといった手法を用いる。
【0011】
しかしながら、こうして金型の位置決めを行ったとしても、プレス加工を継続すると、プレス機や金型の温度変化、加工中の振動等で、隣り合う金型間の距離が変化することがある。その場合、距離変化の影響で金型に対し被加工材の送り位置ずれが発生して、加工品質が低下し、不良品の発生につながるおそれがある。
【0012】
このような金型間の距離の変化を回避するためには、稼動状態にあったプレス機を一旦停止させ、金型間ゲージの交換などを行って金型間距離を調整する必要があった。しかし、こうした調整は生産性を非常に低下させてしまうという問題がある。
【0013】
この他、一台のプレス機に複数組の金型をその配置間隔を被加工材の送りピッチに対応させた状態で設置する際に、金型の打ち抜き荷重中心点とプレス機の荷重中心点が大きくずれる場合がある。こうした場合、プレス機や金型に偏荷重が加わる状態となって、故障等の発生に繋がりやすいという問題がある。
【0014】
一方、前記特許文献には、複数組の金型を複数のプレス機に分散搭載するにあたり、金型間の距離を複数のプレス機同士で厳密に合わせる方法は示されていない。その代わりに、プレス機間に被加工材(帯状鋼板)の進行タイミングずれを吸収するためのアキュームレータ、すなわち、被加工材のループ部とその制御機構を設けることで、金型間の距離の変化にも実質的に対応可能となる方法が開示されている。しかし、こうした手法を実用化する場合、設備が大掛かりになることが避けられず、設置スペースやコストの増大を招いてしまうという問題がある。
【0015】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、隣り合う二組の金型間距離の変動に起因する、被加工材の金型に対する相対的な位置ずれを、調整機構部による被加工材の位置調整で相殺するものである。そして、これにより、被加工材を金型に対し適切な位置関係として、被加工材へのプレス加工を正確に且つ効率よく行うことができる、被加工材位置調整装置、及び、この装置に適用される被加工材位置調整方法、並びにこの方法を用いる積層鉄心の製造方法、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の開示に係る被加工材位置調整装置は、間欠的に搬送される帯状の被加工材をプレス加工可能として配設される二組の金型に対し、当該二組の金型間に配設され、被加工材を二組の金型間の最短経路からずれた搬送経路に案内する調整機構部と、前記二組の金型間の距離を測定する測距部と、前記調整機構部の作動を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記測距部による前記二組の金型間の距離の測定結果を取得し、前記調整機構部による被加工材の案内位置を調整して、前記搬送経路の長さを前記測定結果に対応して増減させるものである。
【0017】
このように本発明の開示によれば、測距部で取得した金型間距離の測定結果に基づいて制御部が調整機構部を作動させ、金型間における被加工材の搬送経路の長さ、すなわち、金型間に位置する被加工材の長さを変えて、金型に対し被加工材の位置を動かし、金型における各加工工程の加工位置に被加工材の加工対象位置が合うように調整することにより、金型における各加工工程の加工位置とこれに対応する被加工材の各加工対象位置との位置ずれを起こすことなく順送りのプレス加工を継続でき、不良品の発生に繋がる加工品質の低下を防ぎ、不良品発生を抑制できる分、製造コストの低下が図れる。また、調整機構部で被加工材の調整を行うことで、金型自体の調整は不要となり、隣り合う金型同士を任意の位置関係で設置でき、例えばプレス機と金型との荷重中心を揃えるようにすると、プレス機や金型に偏荷重が加わりにくくして、偏荷重に起因する故障等によるメンテナンスコストの発生を抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る被加工材位置調整装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る被加工材位置調整装置における金型間距離増大時の調整状態説明図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る被加工材位置調整装置における金型間距離減少時の調整状態説明図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態に係る被加工材位置調整装置の概略構成図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態に係る被加工材位置調整装置における調整機構部の概略構成図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態に係る被加工材位置調整装置における他の調整機構部の概略構成説明図である。
【
図7】本発明の第4の実施形態に係る被加工材位置調整装置における調整機構部の概略構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る被加工材位置調整装置を
図1~
図3に基づいて説明する。本実施形態においては、一台のプレス機に二組の金型が設けられる場合に対応した装置の例について説明する。
【0020】
各図において本実施形態に係る位置調整装置1は、プレス機50に設けられる二組の金型61、62の間に配設され、被加工材90を案内する調整機構部10を備える構成である。加えて、位置調整装置1は、二組の金型61、62間の距離を測定する測距部20と、調整機構部10の作動を制御する制御部30とを備える構成である。
【0021】
本実施形態の位置調整装置1が適用されるプレス機50は、所定の送り装置(図示を省略)によって間欠的に搬送される帯状の被加工材90を、この被加工材90の送り方向に直列に並べて配設される二組の金型61、62で順送り加工する。これにより、プレス機50は、被加工材90から所望の成形品を得る。
【0022】
プレス機50における二組の金型61、62は、共通のスライダ55により同じタイミングで一体に駆動され、金型ごとに複数工程のプレス加工を実行可能とされる。二組の金型61、62のプレス加工で被加工材から得られる成形品は、例えば、回転子積層鉄心、固定子積層鉄心、リードフレームなどの製品又は中間品である。
【0023】
プレス機50の、間欠的に搬送される被加工材90に対し二組の金型61、62で順次プレス加工を実行する各機構については、順送り加工方式のプレス加工で用いられる公知の装置と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0024】
調整機構部10は、プレス機50に被加工材90をそれぞれ加工可能として設けられる二組の金型61、62に対し、これらの金型61、62の間に配設される。この調整機構部10は、被加工材90のうち、二組の金型61、62の間を通過する部分の一部に接して、被加工材90を送り方向と異なる向きに押圧して、被加工材90を二組の金型間の最短経路からずれた所定の搬送経路に案内するものである。調整機構部10により被加工材90が金型間の最短経路からずれた搬送経路に案内されることで、被加工材90における二組の金型61、62間に存在する部分には、金型間の最短経路進行状態との長さの差(余長)が与えられる。この長さの差は、金型間の間隔の変化に伴う金型と被加工材との位置ずれに対する被加工材の位置調整代として、少なくとも金型間の間隔の変化として見込まれる最大量より大きくされる。
【0025】
金型間距離が初期状態にある場合、調整機構部10による被加工材90の案内位置は、金型62における各工程の加工位置と、被加工材90における各工程の加工対象位置とが合うように、被加工材90の搬送経路を与えるものとされることはいうまでもない。なお、金型62は、調整機構部10より後段側(被加工材送り方向の前方側)に位置する金型である。
【0026】
調整機構部10は、詳細には、二組の金型61、62の間で、被加工材90を円筒面状の外周面に接触させて案内する調整ロール11を備える構成である。また、調整機構部10は、調整ロール11を回転可能且つ被加工材90の送り方向とは異なる向きに移動可能に支持するロール支持部12と、制御部30により制御され、調整ロール11をロール支持部12ごと移動可能とするアクチュエータ13とを備える構成である。また、調整機構部10は、調整ロール11に対し被加工材90の送り方向の前後にそれぞれ配置され、回転可能に支持されて被加工材90を円筒面状の外周面に接触させて案内する補助ロール14、15と、調整ロール11を回転駆動する駆動部16とを備える構成である。
【0027】
調整ロール11は、円筒面状の外周面を有する回転体として形成され、ロール支持部12に回転可能に支持されて、二組の金型61、62の間で被加工材90の上面に接触可能な配置とされるものである。調整ロール11は、ロール支持部12を介して連結されたアクチュエータ13による移動で、被加工材90と接して案内する位置を調整され、搬送される被加工材90に接して回転しながら被加工材90を案内することとなる。
【0028】
調整ロール11は、駆動部16により駆動されて、接する被加工材90の搬送速度に合わせて自発的に回転する。これにより、調整ロール11が被加工材90との摩擦で従動回転する場合のような、被加工材90の送り状態での加減速時に被加工材90と調整ロール11とのスリップが発生することを、確実に防止することができる。それに伴い、被加工材90における擦り傷等の発生とそれに伴う成形品の不良化を抑えられる。
【0029】
ロール支持部12は、アクチュエータ13の可動側の端部に取り付けられ、調整ロール11を回転可能に支持すると共に、駆動部16の駆動力を調整ロール11に伝達可能とする構成である。
【0030】
アクチュエータ13は、一端部を他端部に対し直線的に移動可能とされ、一端部の移動方向を上下方向とする向きで他端部をプレス機50などの固定構造物に取り付けられる構成である。アクチュエータ13は、制御部30による制御に基づいて一端部を変位させ、この一端部と共に調整ロール11を上下方向に移動可能とする。アクチュエータ13によって移動可能とされた調整ロール11が、二組の金型61、62の間に位置する被加工材90の一部を下方に押圧する仕組みである。
【0031】
補助ロール14、15は、円筒面状の外周面を有する回転体として形成され、調整ロール11に対し被加工材90の送り方向における前後に位置するようにして二組の金型61、62の間にそれぞれ回転可能として配設される構成である。補助ロール14、15は、二組の金型61、62の間で被加工材90の下面に接触可能な配置とされ、搬送される被加工材90に接して回転しながら被加工材90を案内する。また、補助ロール14、15は、被加工材90の金型61、62に対し出入りする位置を一定として、調整機構部10に対する前段側の金型61からの被加工材90の導入と後段側の金型62への被加工材90の送出を安定させる。
【0032】
駆動部16は、調整ロール11を回転駆動可能な電動機等の駆動手段であり、例えばロール支持部12に取り付けられ、調整ロール11にシャフト等を介して駆動力を伝達する仕組みである。駆動部16は、調整ロール11を被加工材90の送り量や搬送タイミングに合わせて回転させ、且つ、調整ロール11を被加工材90の搬送速度に対応した回転速度で回転させるように駆動する。
【0033】
測距部20は、二組の金型61、62間の距離を測定するものである。具体的には、例えば、レーザ変位計やオートフォーカス変位計等の非接触測距手段、あるいは、リニアエンコーダ(リニアスケール)や接触式変位センサ(測長器)等の直接測距手段とされる。
測距部20は、例えば、非接触測距手段の場合、二組の金型61、62のうち一方に取り付けられ、対向する他方の金型との距離を測定し、測定結果を制御部30に送信する仕組みである。
【0034】
制御部30は、測距部20による測定結果から二組の金型61、62間の距離の変化量を取得する。そして、制御部30は、調整機構部10の調整ロール11による被加工材90の案内位置を調整して、金型間の最短経路からずれている被加工材90の搬送経路の長さを、金型間距離の変化量に対応して増減変化させるものである。
【0035】
制御部30は、詳細には、測距部20の測定結果に基づいて取得した二組の金型61、62間の距離の変化量が許容範囲を超え、被加工材90の加工に影響が及ぶおそれが生じた場合に、以下の制御を行う。制御部30は、被加工材90の搬送経路の長さ、すなわち、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さが金型間距離の変化量に対応して変化するように、アクチュエータ13を作動させて調整ロール11を変位させる。この調整ロール11の変位により、制御部30は被加工材90の案内位置を調整する。
【0036】
具体的には、制御部30は、二組の金型61、62間の距離が増大し、被加工材90に対し金型62が被加工材90の送り方向の前方側に相対的にずれた場合には、以下の制御を行う。制御部30は、アクチュエータ13を作動させて、被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを小さくする側に調整ロール11を変位させ、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さを短くする。この短くしたことで余った分の被加工材90が金型62側へ進む(
図2参照)。これにより、被加工材90の金型62により加工される部分も被加工材90の送り方向の前方側に相対的にずれる状態が得られる。
【0037】
一方、制御部30は、二組の金型61、62間の距離が減少し、被加工材90に対し金型62が被加工材の送り方向の後方側に相対的にずれた場合には、以下の制御を行う。制御部30は、アクチュエータ13を作動させて、被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを大きくする側に調整ロール11を変位させ、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さを長くする。この長くしたことで不足する分の被加工材90が金型62側から後退して引き出される(
図3参照)。これにより、被加工材90の金型62により加工される部分も被加工材の送り方向の後方側に相対的にずれる状態が得られる。
【0038】
この他、制御部30は、調整ロール11が被加工材90の送り量や搬送タイミングに合わせて回転すると共に、被加工材90の搬送速度に対応した回転速度で回転するように駆動部16を制御することもできる。この駆動部16の駆動制御は、制御部30とは別の制御手段で行うようにしてもかまわない。
【0039】
次に、本実施形態に係る位置調整装置による位置調整について説明する。
前提として、あらかじめ調整ロール11が、二組の金型61、62間の被加工材90に接してこれを二組の金型61、62間の最短経路から下方にずれた状態に案内して、被加工材90の搬送経路を適切な長さで生じさせているものとする。それに伴い、加工開始段階(初期状態)で、間欠的に搬送される被加工材90における各加工対象箇所が、各金型における各加工工程の加工位置に合う状態にある。
【0040】
順送り加工が開始すると、プレス機50に対し、二組の金型61、62を順次通過するようにして、被加工材90が送り装置(図示を省略)により搬送され、被加工材90の送り方向に並んだ加工対象箇所の配置ピッチに相当する長さ分、送り方向に進行する。
被加工材90は、二組の金型61、62間では、調整機構部10の調整ロール11及び各補助ロール14、15と接してこれらに案内されながら、金型61、62間を進行する。
【0041】
被加工材90が加工対象箇所の配置ピッチ分だけ搬送されると、搬送は一時停止する。
この搬送の一時停止状態で、プレス機50が、二組の金型61、62のうち各上型61a、62aを被加工材90に向けてそれぞれ降下させ、被加工材90をプレス加工する。
【0042】
被加工材90がプレス機50の二組の金型61、62によってプレス加工されたら、プレス機50は上型61a、62aを上昇させて当初の位置に復帰させる。
また、被加工材90の送り装置による搬送が再開され、被加工材90はあらためて加工対象箇所の配置ピッチに相当する長さ分、送り方向に進行する。
【0043】
こうした被加工材90の送り装置による一時停止期間を挟んだ間欠的な搬送と、この搬送の一時停止期間におけるプレス機50の二組の金型61、62による加工とが、順送り加工全体の終了まで繰り返される。この繰り返しによる被加工材90に対する複数の加工工程を経て、成形品が順次得られることとなる。
【0044】
二組の金型61、62間の調整機構部10で、調整ロール11は、被加工材90の搬送に際して、駆動部16による駆動で、被加工材90の搬送速度に対応した回転速度で回転しながら、被加工材90に接してこれを案内する。これにより、調整ロール11と被加工材90との間に相対速度差は生じず、被加工材90の搬送で加減速が生じても被加工材90に対し調整ロール11の相対的なスリップが発生することはない。その結果、被加工材90における擦り傷等の発生を防止できると共に、被加工材90に対する調整ロール11の摩擦抵抗を抑えられ、被加工材90をスムーズに搬送できる。
【0045】
また、調整機構部10の補助ロール14、15も回転可能に支持されて、搬送される被加工材90に接するこれら補助ロール14、15は転動しつつ被加工材90を案内する。これにより、補助ロール14、15から被加工材90に加わる摩擦抵抗を抑えることができ、被加工材90をスムーズな搬送状態を維持できる。
【0046】
順送り加工が行われる中、温度変化等により二組の金型61、62間の距離が増大した場合、後段側の金型62における各加工工程の加工位置が、被加工材90の各加工対象位置に対し相対的に送り方向の前方側にずれた状態となる。このような金型間の距離が所定量増えたことが測距部20で測定されると、その測定結果に基づいて、制御部30は調整機構部10のアクチュエータ13を縮長側に作動させて調整ロール11を上げる。これに伴い、調整ロール11で案内される被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれが小さくされる。これにより、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さが短くなり、短くなったことで余った分の被加工材90を二組の金型61、62間から金型62側へ進ませることができる(
図2参照)。こうして、被加工材90の金型62により加工される部分が被加工材90の送り方向の前方側に相対的にずれることとなり、結果としてずれが相殺される。
【0047】
逆に、二組の金型61、62間の距離が減少した場合、後段側の金型62における各加工工程の加工位置が、被加工材90の各加工対象位置に対し、相対的に送り方向の後方側にずれた状態となる。このような金型間の距離が所定量減ったことが測距部20で測定されると、その測定結果に基づいて、制御部30は調整機構部10のアクチュエータ13を伸長側に作動させて調整ロール11を下げる。これに伴い、調整ロール11で案内される被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれが大きくされる。これにより、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さが長くなり、長くなったことで不足する分の被加工材90を金型62側から後退させて二組の金型61、62間へ引き出すことができる(
図3参照)。こうして、被加工材90の金型62により加工される部分が被加工材90の送り方向の後方側に相対的にずれることとなり、結果としてずれが相殺される。
【0048】
このように、本実施形態に係る位置調整装置は、測距部20で取得した二組の金型61、62間の距離変化に基づいて制御部30が調整機構部10を作動させ、金型61、62間に位置する被加工材90の長さを変える。すなわち、位置調整装置は、後工程側の金型62に対し被加工材90の位置を動かし、金型62における各加工工程の加工位置に被加工材90の各加工対象位置が合うように調整する。これにより、金型62における各加工工程の加工位置とこれに対応する被加工材の加工対象位置との位置ずれを起こすことなく順送りのプレス加工を継続できる。そして、不良品の発生に繋がる加工品質の低下を防ぎ、不良品発生を抑制できる分、製造コストの低下が図れる。また、調整機構部10で被加工材90の調整を行うことで、金型自体の調整は不要となり、隣り合う金型同士の位置関係やプレス機に対する金型の位置関係の自由度を大きくすることができる。例えばプレス機と金型との荷重中心を揃えるようにすると、プレス機や金型に偏荷重が加わりにくくなり、プレス機や金型の疲労を軽減して長寿命化が図れる。加えて、偏荷重に起因する故障等によるメンテナンスコストの発生を抑えられるなど、設備全体のコスト抑制を実現可能となる。
【0049】
なお、本実施形態に係る位置調整装置においては、調整機構部10を二組の金型61、62間に単独で配設する構成としている。この他、二組の金型間に送り装置等を設けた場合に、こうした装置と一体に調整機構部を設ける構成とすることもでき、金型間のスペースを有効に活用できる。
【0050】
また、本実施形態に係る位置調整装置においては、制御部30が、測距部20による二組の金型61、62間の距離の測定結果から金型間距離の変化量を取得し、この変化量に応じて調整機構部10の作動を制御する構成としている。しかし、これに限らず、測距部による測定結果に対応して搬送経路の長さを増減させるようにするものであれば、他の制御方法を採用してもかまわない。
例えば、加工時に見込まれる金型間距離の変化の幅に応じて、金型間距離を複数の範囲に区分し、区分した範囲ごとに適切となる被加工材の搬送経路の長さを、あらかじめ制御部に設定する。そして、制御部は、距離の測定結果が得られる度に、それが複数区分された距離範囲のいずれに含まれるか判定する。測定結果の含まれる範囲がそれまでとは別の範囲に移った場合、制御部はその新たな範囲に対応付けて設定された搬送経路長さとなるよう調整機構部を作動させ、被加工材の案内位置を調整する制御を行うこととなる。
これにより、距離の変化量を取得し、これに対応して搬送経路の長さを増減させるようにする制御よりも簡易に、調整機構部による調整を実行させることができる。
【0051】
また、本実施形態に係る位置調整装置が適用されるプレス機50では、プレス機一台に二組の金型61、62を直列に並べて配設する構成としている。しかし、これに限られるものではなく、一台のプレス機に三組以上の金型を直列に並べて配設する構成とすることもできる。その場合、並んだ各組の金型において、隣り合う二組の金型に挟まれる金型間位置も複数通り生じる。調整機構部は、こうした複数の金型間位置のうち、少なくとも一箇所に配設される。なお、全ての金型間位置に調整機構部を配設することもできる。
【0052】
(本発明の第2の実施形態)
第1の実施形態に係る位置調整装置においては、一台のプレス機50に設けられる二組の金型61、62の間に調整機構部10を設ける構成としている。しかしながら、これに限らず、第2の実施形態として、
図4に示すように、並べて設けられる二台のプレス機51、52の間に調整機構部10を配設する構成とすることもできる。
【0053】
この場合、調整機構部10は、一方のプレス機51に設けられる一組の金型61と、他方のプレス機52に設けられる一組の金型62との間に位置するものとなる。この二台のプレス機51、52の間に配設される点以外、調整制御部10は、第1の実施形態と同様に、これら二組の金型61、62間の距離の変化に対応して、二組の金型61、62間に位置する被加工材90の長さを変えることとなる。これにより、後段側のプレス機52の金型62に対し被加工材90の位置を動かし、金型62における各加工工程の加工位置に被加工材90の加工対象位置が合うように調整する。
【0054】
本実施形態におけるプレス機51、52は、所定の送り装置(図示を省略)によって間欠的に搬送される帯状の被加工材90に対し、この被加工材90の送り方向に直列に並べて配設されるものである。各プレス機51、52は、これらに設けられる各金型61、62で順送り加工し、被加工材90から所望の成形品を得る。
【0055】
プレス機51、52における各金型61、62は、原則として同じタイミングで駆動され、金型ごとに複数工程のプレス加工を実行可能とされる。
これらプレス機51、52における、間欠的に搬送される被加工材90に対し各金型61、62で順次プレス加工を実行する各機構については、順送り加工方式のプレス加工で用いられる公知の装置と同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0056】
なお、本実施形態に係る位置調整装置においては、二台のプレス機51、52を直列に並べて設け、これら二台のプレス機51、52の間に調整機構部10を配設する構成としている。しかし、これに限られるものではなく、プレス機を三台以上、直列に並べて設けることもできる。その場合、並んだ各プレス機において、隣り合う二台のプレス機に挟まれるプレス機間位置も複数通り生じることとなる。調整機構部は、こうした複数のプレス機間位置のうち、少なくとも一箇所に配設される。全てのプレス機間位置に調整機構部を配設することもできる。ただし、こうしたプレス機間位置における具体的な調整機構部の配設箇所は、本実施形態の場合と同様、隣り合う二台のプレス機のうち一方に設けられる一組の金型と、他方のプレス機に設けられる一組の金型との間であることはいうまでもない。
【0057】
(本発明の第3の実施形態)
第1及び第2の実施形態に係る位置調整装置において、調整機構部10は、被加工材90のうち、この被加工材90を加工する二組の金型61、62の間を通過する部分の一部に接して、被加工材90を所定の搬送経路に案内する手段として、調整ロール11を用いる構成としている。しかしながら、これに限られるものではない。第3の実施形態として、
図5に示すように、調整機構部10が、被加工材90の調整ロール11の接する側とは反対側に接する対向ロール17を有して、被加工材90を調整ロール11と対向ロール17で挟んだ状態で案内する構成とすることもできる。
【0058】
この場合、調整機構部10は、第1の実施形態と同様に、調整ロール11と、ロール支持部12と、アクチュエータ13と、補助ロール14、15と、駆動部16とを備える。一方、これらに加えて、被加工材90の調整ロール11の接する側とは反対側に、円筒面状の外周面を接触可能とされる対向ロール17と、対向ロール17を回転可能且つ調整ロール11と同じ向きに移動可能に支持する他のロール支持部18とを有する構成である。
【0059】
対向ロール17は、調整ロール11と同様に、円筒面状の外周面を有する回転体として形成されるものである。この対向ロール17は、他のロール支持部13に回転可能に支持されて、二組の金型61、62の間で調整ロール11とは反対側となる、被加工材90の下面に接触可能な配置とされる。
対向ロール17は、アクチュエータ13による位置調整に係る調整ロール11の移動に追随する形で他のロール支持部13ごと移動する。対向ロール17は、被加工材90の調整ロール11の接する側とは反対側に接する状態を維持しつつ、被加工材90と接して案内する位置を調整され、搬送される被加工材90に接して回転しながら被加工材90を案内することとなる。
【0060】
この対向ロール17も、調整ロール11と同様に、所定の駆動手段により回転駆動されるようにすることもできる。特に、対向ロール17を、駆動手段により、被加工材90の送り量や搬送タイミングに合わせて回転させ、且つ、被加工材90の搬送速度に対応した回転速度で回転させるように駆動すれば、対向ロール17と被加工材90との間に相対速度差は生じない。この場合、被加工材90の搬送で加減速が生じても、被加工材90に対し対向ロール17の相対的なスリップが発生することはなくなる。これにより、被加工材90における擦り傷等の発生を防止できると共に、被加工材90に対する対向ロール17の摩擦抵抗を抑えられ、被加工材90をよりスムーズに搬送できる。
【0061】
調整ロール11と対向ロール17は、被加工材90を挟むように配置されることで、被加工材90の搬送に際して、被加工材90が送り方向以外に動きにくく、被加工材90のスリップ等も発生しにくくなり、被加工材90を安定した搬送状態とすることができる。結果として、被加工材90をより高速で搬送することも可能となり、生産性のより一層の向上が図れることとなる。
【0062】
また、対向ロール17は被加工材90に対し回転して転がり接触となることから、対向ロール17から被加工材90に加わる摩擦抵抗を抑えられ、被加工材90のスムーズな搬送を妨げることはない。
【0063】
順送り加工が行われる中、温度変化等により二組の金型61、62間の距離が増大した場合、この距離が増大した状態が測距部20で測定される。その測定結果に基づいて、制御部30は調整機構部10のアクチュエータ13を縮長側に作動させて調整ロール11を上げ、この調整ロール11で案内される被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを小さくする。この時、対向ロール17も調整ロール11に追随して上方に移動し、被加工材90に接する状態を維持する。
【0064】
こうして、制御部30は、被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを小さくする側に調整ロール11及び対向ロール17を変位させ、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さを短くする。この短くしたことで余った分の被加工材90が、金型62側へ進むことができ、金型61、62間の距離増大に伴う金型62と被加工材90との相対的なずれを相殺できる。
【0065】
逆に、二組の金型61、62間の距離が減少した場合、この距離が減少した状態が測距部20で測定されると、その測定結果に基づいて、制御部30は調整機構部10のアクチュエータ13を伸長側に作動させて調整ロール11を下げる。この下がった調整ロール11が、案内する被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを大きくする。この時、対向ロール17も被加工材90に接したまま調整ロール11に追随して下方に移動する。
【0066】
こうして、制御部30は、被加工材90の搬送経路の最短経路からのずれを大きくする側に調整ロール11及び対向ロール17を変位させ、二組の金型61、62間に存在する被加工材90の長さを長くする。その結果、この長くしたことで不足する分の被加工材90を金型62側から後退させることができ、金型61、62間の距離縮小に伴う金型62と被加工材90との相対的なずれを相殺できる。
【0067】
このように、調整機構部10が調整ロール11と対向ロール17を有して、被加工材90を調整ロール11と対向ロール17で挟んだ状態で案内する構成において、調整機構部10を一種の送り装置として用いるようにすることもできる。例えば、駆動部16により回転駆動される調整ロール11の回転と、所定の駆動手段により回転駆動される対向ロール17の回転との少なくとも一方により、調整ロール11と対向ロール17に接する被加工材90の搬送を実行するようにしてもよい。この場合、調整機構部が被加工材の搬送能力を有することで、他の送り装置の少なくとも一つを省略可能となり、設備コストの抑制が図れる。
【0068】
なお、第1ないし第3の実施形態に係る位置調整装置においては、調整機構部10の調整ロール11を被加工材90の上面に接触可能な配置として、被加工材90の案内を上方から行う構成としているが、これに限られるものではない。例えば、
図6に示すように、調整ロール11を被加工材90の下面に接触可能な配置として、被加工材90の案内を下方から行う構成とすることもできる。このように、二組の金型61、62間のスペースの状態に応じて被加工材90を案内する調整ロール11の配置を適宜選択してかまわない。
また、調整機構部10が調整ロール11と対向ロール17を有して、被加工材90を調整ロール11と対向ロール17で挟んだ状態で案内する構成の場合には、以下の構成とすることもできる。すなわち、被加工材90の下面に接触可能な配置とした調整ロール11に合わせて、対向ロール17を調整ロール11とは反対側となる被加工材90の上面に接触可能な配置とすることができる(
図6参照)。
【0069】
(本発明の第4の実施形態)
第1及び第2の実施形態に係る位置調整装置において、調整機構部10の調整ロール11を移動させる機構は、一端部を他端部に対し直線的に移動可能とされる一種のリニアアクチュエータであるアクチュエータ13による直線移動機構を採用する構成としている。しかしながら、これに限られるものではない。
図7に示すように、調整ロール11を回転可能に支持するアームタイプのロール支持部19を傾動させて調整ロール11を上下動させ、被加工材90の案内位置を変化させる構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0070】
1 位置調整装置
10 調整機構部
11 調整ロール
12 ロール支持部
13 アクチュエータ
14、15 補助ロール
16 駆動部
17 対向ロール
18、19 ロール支持部
20 測距部
30 制御部
50、51、52 プレス機
55 スライダ
61、62 金型
61a、62a 上型
90 被加工材