(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026024
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】杭基礎引き下げ力の予測方法、装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
E02D 27/12 20060101AFI20240220BHJP
E02D 27/34 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
E02D27/12 Z
E02D27/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182967
(22)【出願日】2022-11-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】202210972088.8
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】于 光明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲ウェイ▼
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲海▼▲濱▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲衛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲澤▼超
(72)【発明者】
【氏名】代 加林
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲開▼源
(72)【発明者】
【氏名】范 翼帆
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 美合
(72)【発明者】
【氏名】祝 文▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】李 洲
(72)【発明者】
【氏名】▲ザイ▼ ▲漢▼波
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】杭基礎引き下げ力の予測方法、装置及び電子機器を開示する。
【解決手段】杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するステップと、土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するステップと、マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るステップと、各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行うことにより、杭基礎の引き下げ力を決定するステップと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭基礎引き下げ力の予測方法であって、
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するステップであって、前記土壌体節点は前記マイクロユニットの端点であり、前記各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定されるステップと、
前記土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するステップと、
前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るステップと、
各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得るステップと、
各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、前記杭基礎の引き下げ力を決定するステップと、を含み、
各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定する前記ステップは、
各土壌体節点の初期鉛直方向自重応力を計算することと、前記各土壌体節点の鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力との大きさの関係に基づいて土壌体の最大沈下位置での土壌体節点を決定することと、前記土壌体の最大沈下位置での土壌体節点の深さに基づいて前記土壌体の沈下深さを決定することと、を含み、
前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得る前記ステップは、
各土壌体節点の前記鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力を利用して各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧に基づいて各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力及び偏差応力レベルを利用して各土壌体節点に対応する鉛直方向応力を計算することと、各土壌体節点の積載前の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載前のクリープ予測用の第1クリープモデルを得ることと、各土壌体節点の積載後の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載後のクリープ予測用の第2クリープモデルを得ることと、を含み、
各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算する前記ステップは、
各マイクロユニットの前記第1クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での初期自重応力沈下を計算することと、各マイクロユニットの前記第2クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での積載後沈下を計算することと、前記各土壌体節点の初期自重応力沈下と積載後沈下との差に基づいて、前記各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を決定することと、を含むことを特徴とする杭基礎引き下げ力の予測方法。
【請求項2】
各節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、土壌体の各節点による杭基礎の摩擦抵抗を得る前記ステップは、
予め設定された杭頭沈下を取得して、杭基礎を鉛直方向に沿って土壌体と同じ複数のマイクロユニットに分割することと、
前記予め設定された杭頭沈下と杭頭に対応する土壌体節点の土壌体沈下に基づいて、前記杭基礎の杭頭に対応する杭節点の、対応する土壌体節点による摩擦抵抗を計算することであって、前記杭節点が杭基礎の対応するマイクロユニットの端点であることと、
前記杭頭の杭節点の摩擦抵抗に基づいて杭頭の杭節点の軸力を計算することと、
前記杭頭の杭節点の軸力を利用して杭基礎の次の杭節点の沈下を計算することと、
杭頭から杭先端までの各杭節点の各土壌体節点による摩擦抵抗を得るまで、次の土壌体節点の土壌体沈下と前記次の杭節点の沈下に基づいて反復演算を行うことと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
反復演算により得られた杭先端軸力と杭先端に対応する土壌体節点の土壌体沈下とを、予め設定された境界条件に代入して、前記予め設定された境界条件から出力された杭先端沈下を取得するステップと、
前記予め設定された境界条件から出力された杭先端沈下と反復演算により得られた杭先端沈下との間の誤差に基づいて、前記予め設定された杭頭沈下を調整するステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割する前記ステップは、
土壌体を鉛直方向に沿って成層土の層数に応じて複数層に分割することと、
それぞれの層の土壌を、鉛直方向に沿って長さ差が予め設定された閾値以下のマイクロユニットに分割することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
杭基礎引き下げ力の予測装置であって、
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するための沈下深さ推定モジュールであって、前記土壌体節点は前記マイクロユニットの端点であり、前記各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定される沈下深さ推定モジュールと、
前記土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するための試験モジュールと、
前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るためのモデル作成モジュールと、
各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得るための摩擦抵抗計算モジュールと、
各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、前記杭基礎の引き下げ力を決定するための引き下げ力計算モジュールと、を含み、
前記の各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定することは、
各土壌体節点の初期鉛直方向自重応力を計算することと、前記各土壌体節点の鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力との大小関係に基づいて土壌体の最大沈下位置での土壌体節点を決定することと、前記土壌体の最大沈下位置での土壌体節点の深さに基づいて前記土壌体の沈下深さを決定することと、を含み、
前記の前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得ることは、
各土壌体節点の前記鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力を利用して各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧に基づいて各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力及び偏差応力レベルを利用して各土壌体節点に対応する鉛直方向応力を計算することと、各土壌体節点の積載前の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載前のクリープ予測用の第1クリープモデルを得ることと、各土壌体節点の積載後の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載後のクリープ予測用の第2クリープモデルを得ることと、を含み、
前記の各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算することは、
各マイクロユニットの前記第1クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での初期自重応力沈下を計算することと、各マイクロユニットの前記第2クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での積載後沈下を計算することと、前記各土壌体節点の初期自重応力沈下と積載後沈下との差に基づいて、前記各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を決定することと、を含むことを特徴とする杭基礎引き下げ力の予測装置。
【請求項6】
メモリとプロセッサを含み、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することで、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法を実行することを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地盤工学の分野に関し、具体的には、杭基礎引き下げ力の予測方法、装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、杭基礎は主に上部構造の荷重を土質が硬く強度が高い深層の支持層に段階的に伝達する役割を果たし、小さな横断面及び低コストで杭を深厚な軟粘土層に貫入し、杭先端を硬土層に支持する目的を達成させる。杭基礎は土層を通じて上部構造による荷重を伝達し、杭周土壌体の摩擦抵抗と杭先端の土壌体の先端抵抗の両方が杭基礎の鉛直方向の圧縮耐荷力を構成する。一般には、杭と土壌体は上部構造による荷重の作用によりある程度沈下し、土壌体の沈下が杭の沈下よりも小さい場合、土壌体は杭に対して上向きの摩擦抵抗を与え、これは正の摩擦抵抗と呼ばれ、土壌体の沈下が杭の沈下よりも大きい場合、土壌体は杭に対して下向きの摩擦抵抗を与え、これは負の摩擦抵抗と呼ばれる。杭基礎を強固にするために、通常、大面積の捨石防護や地面への追加の盛土などの方法により杭基礎の周囲の積載を増やし、積載の作用により、捨石防護か地面への追加の盛土かにかかわらず、泥面から下の所定の深さ範囲内で杭と土壌の接触界面にて下向きのせん断応力である負の摩擦抵抗が生じ、負の摩擦抵抗の存在により杭体に付加のネガティブフリクションを生じさせ、ネガティブフリクションは深さが大きくなるに伴い増大し、所定の深さになると杭と土壌の相対変位がゼロになり、杭体のネガティブフリクションがピーク値になり、この点は中性点と呼ばれ、中性点よりも下方から杭先端までの範囲では、杭周土壌体の沈下が杭体変形よりも小さいため、土壌体は上向きの正の摩擦抵抗を供給し、ネガティブフリクションは深さが大きくなるに伴い減少し、以上から明らかなように、負の摩擦抵抗は杭の鉛直耐荷能力の一部にならないだけではなく、杭に付加の引き下げ力を発生させ、杭基礎の耐荷能力及び耐用年数に悪影響を与え、工事の危険性を増大する。
【0003】
軟粘土は軟弱粘性土の略語であり、シルト、シルト質軟粘土、シルト質亜軟粘土等を含み、ほとんどが海、川や湖の堆積物であり、地表に新しい積載作用が形成されるときに、軟土の沈下には長時間のクリープが必要であり、土壌体の変形及び強度特性は、応力に加えて時間にも関連し、これは土壌のクリープ特性と呼ばれる。
【0004】
従来技術では、杭基礎引き下げ力の計算は主に杭基礎工事が終了した後の沈下に集中しており、積載作用下での杭周土壌体の固結沈下、及び杭頭の荷重作用下の杭先端の土壌のクリープによる杭基礎受力変形を重点としており、積載作用下での杭周土壌体のクリープ沈下による杭基礎引き下げ力の計算方法についてあまり検討していない。さらに、従来技術では、杭基礎のクリープ応答の計算は主に有限要素モデル解析に依存し、有限要素モデル解析は計算効率が低く、モデリングが複雑であり、分析者への要求が極めて高く、各種の軟土要素クリープモデルや経験クリープモデルのモデルパラメータが限られた時間内で特定の土壌体の位置の室内三軸クリープ試験を通じて数学的にフィッティングすることで得られるものであり、試験時間内で既存のモデルフィッティング結果のほとんどが実測データとよくマッチングするが、積載作用下で試験時間以外の任意の位置での土壌体クリープ変形を予測するのが困難であり、ただし、土壌体クリープ変形は杭周の各位置での土壌体について長時間した後にしか決定できない結果であり、それによって、土壌体沈下予測が不正確になる。実際の工事設計と施工において杭周土壌体のクリープによる影響が無視されると、インフラの運営開始後、工事終了後の沈下が大きく、深刻な場合は、安定性が失われて破壊されてしまうなどの問題がしばしば発生し、大きな安全上のリスクを招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上に鑑み、本発明の実施形態は、杭周土壌体のクリープ角度から、杭基礎引き下げ力を正確に予測する杭基礎引き下げ力の予測方法、装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様によれば、本発明の実施例は、
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するステップであって、前記土壌体節点は前記マイクロユニットの端点であり、前記各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定されるステップと、前記土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するステップと、前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るステップと、各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得るステップと、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、前記杭基礎の引き下げ力を決定するステップと、を含む杭基礎引き下げ力の予測方法を提供する。
【0007】
任意選択的に、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定する前記ステップは、各土壌体節点の初期鉛直方向自重応力を計算することと、前記各土壌体節点の鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力との大きさの関係に基づいて土壌体の最大沈下位置での土壌体節点を決定することと、前記土壌体の最大沈下位置での土壌体節点の深さに基づいて前記土壌体の沈下深さを決定することと、を含む。
【0008】
任意選択的に、前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得る前記ステップは、各土壌体節点の前記鉛直方向付加応力と前記初期鉛直方向自重応力を利用して各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧に基づいて各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力を計算することと、各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力及び偏差応力等級を利用して各土壌体節点に対応する鉛直方向応力を計算することと、各土壌体節点の積載前の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載前のクリープ予測用の第1クリープモデルを得ることと、各土壌体節点の積載後の拘束圧と鉛直方向応力を利用して前記マイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行い、各マイクロユニットの積載後のクリープ予測用の第2クリープモデルを得ることと、を含む。
【0009】
任意選択的に、各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算する前記ステップは、各マイクロユニットの前記第1クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での初期自重応力沈下を計算することと、各マイクロユニットの前記第2クリープモデルを利用して各土壌体節点の目標時刻での積載後沈下を計算することと、前記各土壌体節点の初期自重応力沈下と積載後沈下との差に基づいて、前記各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を決定することと、を含む。
【0010】
任意選択的に、各節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、土壌体の各節点による杭基礎の摩擦抵抗を得る前記ステップは、予め設定された杭頭沈下を取得して、杭基礎を鉛直方向に沿って土壌体と同じ複数のマイクロユニットに分割することと、前記予め設定された杭頭沈下と杭頭に対応する土壌体節点の土壌体沈下に基づいて、前記杭基礎の杭頭に対応する杭節点の、対応する土壌体節点による摩擦抵抗を計算することであって、前記杭節点が杭基礎の対応するマイクロユニットの端点であることと、前記杭頭の杭節点の摩擦抵抗に基づいて杭頭の杭節点の軸力を計算することと、前記杭頭の杭節点の軸力を利用して杭基礎の次の杭節点の沈下を計算することと、杭頭から杭先端までの各杭節点の各土壌体節点による摩擦抵抗を得るまで、次の土壌体節点の土壌体沈下と前記次の杭節点の沈下に基づいて反復演算を行うことと、を含む。
【0011】
任意選択的に、前記方法は、反復演算により得られた杭先端軸力と杭先端に対応する土壌体節点の土壌体沈下とを、予め設定された境界条件に代入して、前記予め設定された境界条件から出力された杭先端沈下を取得するステップと、前記予め設定された境界条件から出力された杭先端沈下と反復演算により得られた杭先端沈下との間の誤差に基づいて、前記予め設定された杭頭沈下を調整するステップと、をさらに含む。
【0012】
任意選択的に、杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割する前記ステップは、土壌体を鉛直方向に沿って成層土の層数に応じて複数層に分割することと、それぞれの層の土壌を、鉛直方向に沿って長さ差が予め設定された閾値以下のマイクロユニットに分割することと、を含む。
【0013】
第2態様によれば、本発明の実施例は、
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するための沈下深さ推定モジュールであって、前記土壌体節点は前記マイクロユニットの端点であり、前記各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定される沈下深さ推定モジュールと、前記土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するための試験モジュールと、前記マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るためのモデル作成モジュールと、各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得るための摩擦抵抗計算モジュールと、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、前記杭基礎の引き下げ力を決定するための引き下げ力計算モジュールと、を含む杭基礎引き下げ力の予測装置を提供する。
【0014】
第3態様によれば、本発明の実施例は、メモリとプロセッサを含み、前記メモリと前記プロセッサは互いに通信可能に接続され、前記メモリにはコンピュータ命令が記憶されており、前記プロセッサは前記コンピュータ命令を実行することで、第1態様又は第1態様のいずれかの好適な実施形態に記載の方法を実行する電子機器を提供する。
【0015】
第4態様によれば、本発明の実施例は、第1態様又は第1態様のいずれかの好適な実施形態に記載の方法を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータ命令が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本願による技術的解決手段は以下の利点がある。
【0017】
本願による技術的解決手段では、杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力に基づいて土壌体の沈下深さを正確に算出する。これによって、所望の深さの土壌サンプルを現場でサンプリングして三軸クリープ試験を行うことで、試験の正確性を向上させる。次に、分割されたマイクロユニットに従ってマイクロユニットの一部の土壌体を選択して三軸クリープ試験を行い、さらに、試験により得られたクリープモデルを各土壌体節点の拘束圧と鉛直方向応力に基づいて双線形補間を行い、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得ることにより、得られた各クリープモデルによって杭基礎の周囲の土壌体の任意の位置と任意の時刻でのクリープ歪みを正確に計算し、続いて、各土壌体節点について算出されたクリープ歪みに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を算出する。すなわち、杭周土壌体の、積載作用下でのクリープによる土壌体沈下を算出し、このように、杭周土壌体沈下の値の正確性を向上させる。最後に、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下に基づいて荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得、各土壌体節点の摩擦抵抗について加算をして杭基礎引き下げ力を得、このように、杭基礎引き下げ力の予測精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面を参照することで本発明の特徴及び利点をより明確に理解でき、図面は例示的なものであり、本発明を何ら制限するものとして理解すべきではない。
【0019】
【
図2】本発明の一実施形態に係る杭基礎引き下げ力の予測方法のステップの概略図を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る双線形補間のアルゴリズムの概略図を示す。
【
図4】本発明の一実施形態に係る杭基礎引き下げ力の予測方法の流れの概略図を示す。
【
図5】本発明の一実施形態に係る積載作用下での地表沈下の長期間予測曲線図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係る洋上風力発電用の鋼管杭の25年間使用期間内の引き下げ力の曲線図を示す。
【
図7】本発明の一実施形態に係る杭基礎の25年間使用期間内の負の摩擦抵抗の深さに伴う変化の曲線図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態に係る杭基礎引き下げ力の予測装置の構造概略図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態に係る電子機器の構造概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施形態の図面を参照しながら、本発明の実施形態の技術的解決手段を明確かつ完全に説明するが、明らかに、説明する実施形態は本発明の実施形態の一部に過ぎず、全ての実施形態ではない。当業者が本発明の実施形態に基づいて創造的な努力をせずに得る他の全ての実施形態は本発明の特許範囲に属する。
【0021】
図2に示すように、一実施形態では、杭基礎引き下げ力の予測方法は、具体的には、
杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定するステップS101であって、土壌体節点はマイクロユニットの端点であり、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定されるステップS101と、
土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成するステップS102と、
マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得るステップS103と、
各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得るステップS104と、
各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、杭基礎の引き下げ力を決定するステップS105と、を含む。
【0022】
具体的には、杭周土壌体の積載作用下でのクリープ歪みに基づいて、杭周土壌体の正確な沈下値を計算するために、まず、杭周土壌体の積載作用下での性格なクリープ歪みを計算する必要があるが、従来技術では、土壌体の特定位置の限られた時間内の三軸クリープ試験を通じて得られたクリープ歪みの正確性が低い。杭周土壌体の積載作用下での正確なクリープ歪みを算出することは、任意の位置と任意の時刻にクリープ歪みを正確に計算し得る数学クリープモデルを作成することを必要とする。
【0023】
【0024】
【0025】
具体的には、一実施例では、上記ステップS101は、具体的には、以下のステップ1~ステップ3を含む。
【0026】
ステップ1:各土壌体節点の初期鉛直方向自重応力を計算する。
【0027】
ステップ2:各土壌体節点の鉛直方向付加応力と初期鉛直方向自重応力との大きさの関係に基づいて土壌体の最大沈下位置での土壌体節点を決定する。
【0028】
ステップ3:土壌体の最大沈下位置での土壌体節点の深さに基づいて土壌体の沈下深さを決定する。
【0029】
【0030】
具体的には、一実施例では、上記ステップS103は、具体的には、以下のステップ4~ステップ8を含む。
【0031】
ステップ4:各土壌体節点の鉛直方向付加応力と初期鉛直方向自重応力を利用して各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧を計算する。
【0032】
ステップ5:各土壌体節点の積載前と積載後の拘束圧に基づいて各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力を計算する。
【0033】
ステップ6:各土壌体節点の積載前と積載後の破壊偏差応力及び偏差応力等級を利用して各土壌体節点に対応する鉛直方向応力を計算する。
【0034】
ステップ7:各土壌体節点の積載前の拘束圧と鉛直方向応力を利用してマイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行って、各マイクロユニットの積載前のクリープ予測用の第1クリープモデルを得る。
【0035】
ステップ8:各土壌体節点の積載後の拘束圧と鉛直方向応力を利用してマイクロユニットの一部のクリープモデルの間で双線形補間を行って、各マイクロユニットの積載後のクリープ予測用の第2クリープモデルを得る。
【0036】
【0037】
具体的には、一実施例では、上記ステップS104は、具体的には、以下のステップ9~ステップ11を含む。
【0038】
ステップ9:各マイクロユニットの第1クリープモデルを利用して、各土壌体節点の目標時刻での初期自重応力沈下を計算する。
【0039】
ステップ10:各マイクロユニットの第2クリープモデルを利用して、各土壌体節点の目標時刻での積載後沈下を計算する。
【0040】
ステップ11:各土壌体節点の初期自重応力沈下と積載後沈下との差に基づいて、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を決定する。
【0041】
【0042】
具体的には、一実施例では、上記ステップS104は、具体的には、以下のステップ12~ステップ16を含む。
【0043】
ステップ12:予め設定された杭頭沈下を取得して、杭基礎を鉛直方向に沿って土壌体と同じ複数のマイクロユニットに分割する。
【0044】
ステップ13:予め設定された杭頭沈下と杭頭に対応する土壌体節点の土壌体沈下に基づいて、杭基礎の杭頭に対応する杭節点の、対応する土壌体節点による摩擦抵抗を計算し、杭節点が杭基礎の対応するマイクロユニットの端点である。
【0045】
ステップ14:杭頭の杭節点の摩擦抵抗に基づいて杭頭の杭節点の軸力を計算する。
【0046】
ステップ15:杭頭の杭節点の軸力を利用して、杭基礎の次の杭節点の沈下を計算する。
【0047】
ステップ16:杭頭から杭先端までの各杭節点の各土壌体節点による摩擦抵抗を得るまで、次の土壌体節点の土壌体沈下と次の杭節点の沈下に基づいて反復演算を行う。
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
具体的には、一実施例では、上記ステップ12~ステップ16に基づいて、本発明の実施例による杭基礎引き下げ力の予測方法は、以下のステップ17とステップ18をさらに含む。
【0053】
ステップ17:反復演算により得られた杭先端軸力と杭先端に対応する土壌体節点の土壌体沈下とを、予め設定された境界条件に代入して、予め設定された境界条件で出力された杭先端沈下を取得する。
【0054】
ステップ18:予め設定された境界条件から出力された杭先端沈下と反復演算により得られた杭先端沈下との間の誤差に基づいて、予め設定された杭頭沈下を調整する。
【0055】
【0056】
【0057】
具体的には、一実施例では、実際の場面では三軸クリープ試験が実施できない場合、土壌体クリープデータベースを室内長期間固結圧縮試験に変更してもよいが、固結試験が包囲圧縮であるので、土壌体の積載前後の鉛直方向応力に基づいて一次元補間を行い、クリープ歪みを得て、杭基礎引き下げ力を計算するしかない。
【0058】
【0059】
具体的には、一実施例では、杭周積載の外側形状が四角形である場合、内接円近似により土壌体の鉛直方向付加応力係数を計算してもよい。
【0060】
具体的には、以下、1つの場面の実施例によって本願による技術的解決手段について説明する。
【0061】
使用される場面においては、単層土の厚さは30m、鋼管杭の土壌への貫入深さは30m、杭側土は軟粘土、杭先端は底部の砂質礫層にあり、杭外径は2m、杭肉厚は27mm、杭内径は1946mm、杭体の弾性率Eは210GPa、杭体を打ち込んだ後の地表積載は60kpa、軟粘土は重量17.40kN/m3、圧縮弾性率2.44MPa、ポアソン比0.35、摩擦角5度とし、土壌体の三軸クリープ試験のデータベースが従来の試験結果を参照し、砂質礫支持層は圧縮弾性率30MPa、ポアソン比0.27、摩擦角35度とし、杭基礎引き下げ力の予測は
図4に示す流れに従って行われる。
【0062】
図5は積載作用下での地表沈下の長期間予測を示しており、泥面では、土壌体沈下が経時的に増大し、前期はクリープ沈下の加速期であり、それ以降は変化が段階的に低下する。
図6は洋上風力発電用の鋼管杭の25年間使用期間内の引き下げ力計算曲線を示しており、大面積の捨石防護による積載作用下で鋼管杭の引き下げ力が経時的かつ持続的に増大し、
図7は杭基礎の25年間使用期間内の負の摩擦抵抗の深さに伴う変化の曲線を示している。
【0063】
上記ステップによれば、本願による技術的解決手段では、杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力に基づいて土壌体の沈下深さを正確に算出する。これによって、対応する深さの土壌サンプルを現場でサンプリングして三軸クリープ試験を行うことで、試験の正確性を向上させる。次に、分割されたマイクロユニットに従ってマイクロユニットの一部の土壌体を選択して三軸クリープ試験を行い、さらに、試験により得られたクリープモデルを各土壌体節点の拘束圧と鉛直方向応力に基づいて双線形補間を行い、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得ることにより、得られた各クリープモデルによって杭基礎の周囲の土壌体の任意の位置と任意の時刻でのクリープ歪みを正確に計算し、続いて各土壌体節点について算出されたクリープ歪みに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を算出する。すなわち、杭周土壌体の、積載作用下でのクリープによる土壌体沈下を算出し、このように、杭周土壌体沈下の値の正確性を向上させる。最後に、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下に基づいて荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得、各土壌体節点の摩擦抵抗について加算をして杭基礎引き下げ力を得、このように、杭基礎引き下げ力の予測精度を向上させる。
【0064】
図8に示すように、本実施例はまた、沈下深さ推定モジュール101と、試験モジュール102と、モデル作成モジュール103と、摩擦抵抗計算モジュール104と、引き下げ力計算モジュール105と、を含む杭基礎引き下げ力の予測装置を提供する。
【0065】
沈下深さ推定モジュール101は、杭基礎の周囲の土壌体を鉛直方向に沿って複数のマイクロユニットに分割し、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力を利用して土壌体の沈下深さを決定することに用いられ、土壌体節点はマイクロユニットの端点であり、各土壌体節点が受けた鉛直方向付加応力は杭基礎の現場の積載応力により決定される。その詳細は上記方法実施例のステップS101の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0066】
試験モジュール102は、土壌体の沈下深さでの土壌サンプルを取得し、土壌サンプルの三軸クリープ試験結果に基づいて、マイクロユニットの一部の拘束圧、鉛直方向応力及び時間変化に関するクリープモデルをフィッティングにより生成することに用いられる。その詳細は上記方法実施例のステップS102の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0067】
モデル作成モジュール103は、マイクロユニットの一部のクリープモデルに対して拘束圧と鉛直方向応力の双線形補間を行って、全てのマイクロユニットのクリープモデルを得ることに用いられる。その詳細は上記方法実施例のステップS103の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0068】
摩擦抵抗計算モジュール104は、各マイクロユニットのクリープモデルに基づいて各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を計算し、各土壌体節点の目標時刻での土壌体沈下を利用して荷重伝達演算を行い、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗を得ることに用いられる。その詳細は上記方法実施例のステップS104の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0069】
引き下げ力計算モジュール105は、各土壌体節点による杭基礎の摩擦抵抗に基づいて、杭基礎の引き下げ力を決定するために用いられる。その詳細は上記方法実施例のステップS105の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0070】
本発明の実施例による杭基礎引き下げ力の予測装置は、上記実施例による杭基礎引き下げ力の予測方法を実行することに用いられ、その実現方式及び原理は同じであり、その詳細は上記方法実施例の関連説明を参照すればよく、ここでは詳しく説明しない。
【0071】
図9は本発明の実施例の電子機器を示し、該機器はプロセッサ901とメモリ902を含み、両方はバスや他の方式で接続されてもよいが、
図9にはバスを介した接続が例示されている。
【0072】
プロセッサ901は中央処理装置(Central Processing Unit、CPU)であってもよい。プロセッサ901は他の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field-Programmable Gate Array、FPGA)や他のプログラマブルロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントなどのチップ、又は上記の各種のチップの組み合わせであってもよい。
【0073】
メモリ902は非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であり、上記方法実施例における方法に対応するプログラム命令/モジュールなど、非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能なプログラム及びモジュールを記憶するために使用できる。プロセッサ901は、メモリ902に記憶された非一時的なソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することで、プロセッサの各種の機能性アプリケーション及びデータ処理を実行し、すなわち、上記方法実施例における方法を実現する。
【0074】
メモリ902は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要とされるアプリケーションプログラムを記憶することができるプログラム記憶領域と、プロセッサ901によって作成されたデータなどを記憶することができるデータ記憶領域とを含んでもよい。さらに、メモリ902は、高速ランダム・アクセス・メモリを含むことができ、さらに、少なくとも1つの磁気ディスク記憶デバイス、フラッシュ・メモリ、又は他の非一時的なソリッドステート記憶デバイスなどの非一時的なメモリを含むことができる。いくつかの実施例では、メモリ902は、任意選択的に、ネットワークを介してプロセッサ901に接続されることができるプロセッサ901に対してリモートに配置されたメモリを含む。上記のネットワークの例には、インターネット、企業イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動通信ネットワーク、及びこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
1つ又は複数のモジュールは、メモリ902に記憶され、プロセッサ901によって実行されると、上記方法実施例における方法が実行される。
【0076】
上記の電子機器の具体的な詳細は、上記方法実施例における対応する関連説明及び効果を参照することによって理解することができるが、ここでは詳しく説明しない。
【0077】
当業者であれば、上記した実施例の方法のフローの全部又は一部を実施することは、関連するハードウェアに命令するコンピュータプログラムによって行うことができ、実施されるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶することができ、このプログラムは実行されると、上記した各方法の実施例のようなフローを含んでもよいことが理解される。ここで、記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダム・アクセス・メモリ(Random Access Memory、RAM)、フラッシュ・メモリ(Flash Memory)、ハードディスク(Hard Disk Drive、略称:HDD)やソリッドステートドライブ(Solid-State Drive、SSD)などであってもよく、記憶媒体は、上記種類のメモリの組み合わせを含んでもよい。
【0078】
本発明の実施例が図面を参照して説明されているが、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変形を行うことができ、そのような修正及び変形は、すべて、添付の請求項によって定義される範囲内に含まれる。