(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026030
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】退院判断支援装置、退院判断支援方法、学習済みモデル生成装置、学習済みモデル、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/20 20180101AFI20240220BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023020370
(22)【出願日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2022129154
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505192431
【氏名又は名称】株式会社かごしま医療ITセンター
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】小戸 司
(72)【発明者】
【氏名】出山 大誌
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 康
(72)【発明者】
【氏名】永橋 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】南 祐希
(72)【発明者】
【氏名】大島 義明
(72)【発明者】
【氏名】宇都 由美子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】 患者の状態を考慮しつつ、病院の経営効率にも配慮した退院判断を支援する。
【解決手段】入力部、処理部、及び出力部を含み、前記入力部は、入院患者データを入力し、前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、前記処理部は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、前記出力部は、前記退院優先度の評価結果を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部、処理部、及び出力部を含み、
前記入力部は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理部は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力部は、前記退院優先度の評価結果を出力する
退院判断支援装置。
【請求項2】
前記退院優先度の評価が、数理モデルに基づく評価を含み、
前記数理モデルは、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含む請求項1記載の退院判断支援装置。
【請求項3】
前記数理モデルが、さらに制約条件を含む請求項2記載の退院判断支援装置。
【請求項4】
前記処理部が、前記入力された入院患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行し、
前記学習済みモデルは、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである
請求項2又は3記載の退院判断支援装置。
【請求項5】
前記退院優先度の評価が、ルールベースモデルに基づく評価を含み、
前記ルールベースモデルは、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する、請求項1記載の退院判断支援装置。
【請求項6】
入力工程、処理工程、及び出力工程を含み、
前記入力工程は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理工程は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力工程は、前記退院優先度の評価結果を出力する
退院判断支援方法。
【請求項7】
データ取得部、及び学習済みモデル生成部を含み、
前記データ取得部は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成部は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
学習済みモデル生成装置。
【請求項8】
前記データ処理部は、前記入院患者データそれぞれの重み係数を逆強化学習により最適化する処理を行う、
請求項7記載の学習済みモデル生成装置。
【請求項9】
患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、
コンピュータを機能させるための学習済みモデル。
【請求項10】
入力手順、処理手順、及び出力手順を含み、
前記入力手順は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理手順は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力手順は、前記退院優先度の評価結果を出力する
前記各手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、退院判断支援装置、退院判断支援方法、学習済みモデル生成装置、学習済みモデル、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院の病床を管理する際、通常は病床管理看護師が患者の状態等を総合考慮して退院判断をしている。その作業負担等を軽減するための手段として、特許文献1には、心拍数、体温などの検査データから、AIが予測するモデルにより前記患者の死亡・再入院リスクを算出して、退院優先度を予測・判断することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、特許文献1に記載の発明は、前述のとおり、前記検査データのみからAIそのものが退院優先度を予測等するものであるが、前記検査データに加えて、例えば、病院の収益などの経営効率等も考慮したうえで退院判断を支援する意思決定の技術は、未だない。
【0005】
そこで、本発明は、患者の状態を考慮しつつ、病院の経営効率にも配慮した、退院判断支援装置、退院判断支援方法、学習済みモデル生成装置、学習済みモデル、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の退院判断支援装置は、
入力部、処理部、及び出力部を含み、
前記入力部は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理部は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力部は、前記退院優先度の評価結果を出力する。
【0007】
本発明の退院判断支援方法は、
入力工程、処理工程、及び出力工程を含み、
前記入力工程は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理工程は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力工程は、前記退院優先度の評価結果を出力する。
【0008】
本発明の学習済みモデル生成装置は、
データ取得部、及び学習済みモデル生成部を含み、
前記データ取得部は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成部は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する。
【0009】
本発明の学習済みモデルは、
患者状態データ、診断治療情報、及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、
コンピュータを機能させる。
【0010】
本発明のプログラムは、本発明の方法の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、患者の状態を考慮しつつ、病院の経営効率にも配慮した退院判断の支援が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1の退院判断支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1の退院判断支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3A】
図3Aは、実施形態1の退院判断支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3B】
図3Bは、実施形態1の退院判断支援装置における処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態2の学習済みモデル生成装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態2の学習済みモデル生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態2の学習済みモデル生成装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、実施形態2の学習済みモデル生成装置における処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、本発明による退院判断支援の手順の一例を示す説明図である。
【
図7B】
図7Bは、入力された入院患者データ(各種検査値)を加工処理する際の一例を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、入力された入院患者データ(バイタルデータ)を加工処理する際の一例を示す図である。
【
図7D】
図7Dは、加工処理されたデータを結合処理する際の一例を示す図である。
【
図7E】
図7Eは、数理モデル及びルールベースモデルにより退院判断する際の一例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、本発明による学習済みモデル生成手順の一例を示す説明図である。
【
図8B】
図8Bは、目的関数を算出するための数式及び各種条件を示す図である。
【
図8C】
図8Cは、数理モデルの学習方法の詳細を示す図である。
【
図8D】
図8Dは、学習された数理モデルを活用した退院判断の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0014】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の退院判断支援装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本装置10は、入力部11、処理部12、及び、出力部13を含む。
【0015】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)、LPWA(Low Power Wide Area)、L5G(ローカル5G)、等があげられる。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ローカル5G、LPWA等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、インフラストラクチャ(infrastructure通信)、アクセスポイントを介した間接通信等であってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0016】
図2に、本装置10のハードウェア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央処理装置(CPU、GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、出力装置106、通信デバイス107等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0017】
中央処理装置101は、コントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)等により、他の構成と連携動作し、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央処理装置101が、入力部11、処理部12、及び、出力部13として機能する。中央処理装置101は、演算装置として、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、APU(Accelerated Processing Unit)等の演算装置を備えてもよいし、これらの組合せを備えてもよい。
【0018】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンタ、外部入力装置、外部表示装置、外部撮像装置等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置と接続することもできる。
【0019】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央処理装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央処理装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0020】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。本装置10が記憶部を含む場合、例えば、記憶装置104は、前記記憶部として機能する。
【0021】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ログ情報、外部データベース(図示せず)や外部の装置から取得した情報、本装置10によって生成した情報、本装置10が処理を実行する際に用いる情報等の種々の情報を記憶することも可能である。なお、少なくとも一部の情報は、例えば、メモリ102及び記憶装置104以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。
【0022】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、出力装置106を備える。入力装置105は、例えば、タッチパネル、トラックパッド、マウス等のポインティングデバイス;キーボード;カメラ、スキャナ等の撮像手段;ICカードリーダ、磁気カードリーダ等のカードリーダ;マイク等の音声入力手段;等があげられる。出力装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置;スピーカ等の音声出力装置;プリンタ;等があげられる。本実施形態1において、入力装置105と出力装置106とは、別個に構成されているが、入力装置105と出力装置106とは、タッチパネルディスプレイのように、一体として構成されてもよい。
【0023】
つぎに、本実施形態の退院判断支援方法の一例を、
図3A及び
図3BのフローチャートS10に基づき説明する。本実施形態の退院判断支援方法は、例えば、
図1又は
図2の装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の退院判断支援方法は、
図1又は
図2の装置10の使用には限定されない。
【0024】
まず、入力部11により、入院患者データが入力される(S11)。前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む。前記患者状態データは、例えば、患者の看護必要度やバイタルデータを含む各種検査値等があげられる。前記バイタルデータは、例えば、脈拍、SpO2、血圧、及び体温があげられる。前記検査値は、例えば、健康状態を調べるために病院で一般的に実施される検査項目の値であれば特に限定されず、白血球、CRP、好中球、ヘモグロビン等の検査項目値があげられる。前記診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データは、例えば、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データ、入退院情報データであってもよい。
【0025】
つぎに、処理部12により、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理が実行される(S12)。前記退院優先度は、例えば、患者の状態や退院時のリスク、収益の最適化を考慮して導き出される。前記退院優先度は、例えば、数理モデルに基づき評価される。また、前記退院優先度の評価は、例えば、前記数理モデルに基づく評価を含む。前記数理モデルは、例えば、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含んでもよい。前記数理モデルは、さらに、制約条件を含んでも良い。前記制約条件は、例えば、退院候補として選択しないようにするための一定の条件をいう。前記一定の条件は、例えば、数日間の平均体温が37.5℃以上、SpO2が90%以下の場合等があげられる。
【0026】
処理部12は、例えば、さらに、前記入力された入院患者データを加工する、加工処理を行う(S120)。前記加工処理は、例えば、前記患者状態データについて直近のデータのみを抽出して整列する加工処理や、前記加工処理された患者状態データと前記診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データとを結合処理する加工処理等である。前記直近のデータは、特に限定されず、例えば、退院判断日の日前の任意の日のデータである。前記直近のデータが複数ある場合は、例えば、任意のルールに従っていずれか一つのデータを抽出してもよく、前記任意のルールは、例えば、データの最大値、又は最小値を抽出する等のルールである。処理部12は、例えば、前記加工処理された入院患者データから、前記退院優先度を評価する処理を実行する(S12)。
【0027】
処理部12は、例えば、前記工程(S12)において、前記入力された患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を評価する処理を実行してもよい。前記退院優先度の評価は、例えば、前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行してもよい。前記学習済みモデルは、例えば、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである。前記機械学習の学習方法は、例えば、逆強化学習であってもよい。前記学習済みモデルは、例えば、後述する実施形態の学習済みモデルであってもよい。
【0028】
前記退院優先度の評価は、例えば、ルールベースモデルに基づく評価を含む。前記ルールベースモデルは、例えば、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する。前記退院可否情報は、例えば、前記数理モデルのみに基づいて退院優先度を評価した結果に基づく、前記患者の退院可否が判断された情報である。前記年間12症例情報は、例えば、DPCデータにおいて、退院判断支援を受ける医療機関等における年間12症例以上登録がある診断群分類番号情報である。前記入院期間情報は、例えば、前記患者が入院している期間であり、DPCデータにおいて入院期間I~IIIで分類される情報である。入院期間IIIを超えて入院をした場合は、入院期間III超として分類をする。
【0029】
次に、前記出力部により、前記退院優先度の評価結果が出力され(S13)、終了する(END)。前記出力は、例えば、出力装置106に出力されてもよい。
【0030】
実施形態1によれば、前記入院患者データを入力することで退院優先度が出力されるため、例えば、病床管理看護師等の作業者は、退院優先度を参考に最適な退院患者を効率的に決定することができる。よって、前記作業者の業務負担、及び心理負担を軽減することができる。また、前記退院優先度は、患者データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを勘案して判断されるため、例えば、前記作業者の業務負担等の軽減に加えて、病院収益の向上等の経営的観点も考慮して退院患者を決定することができる。
【0031】
また、例えば、AIが予測したモデルでは、活用時になぜそのような判断をしたのかが不明確であり、現実の状況にマッチした判断ではないという点で、意思決定に直結しづらい。この点、数理モデルを用いれば、現実問題における様々な制約、例えば、体温が37.5℃以上の人は退院させてはいけない等といった点を考慮した上で判断を行うことができるため、意思決定に直結することができる。すなわち、数理モデルを用いれば、AIよりも高精度な意思決定及び提案をすることができる点に利点がある。
【0032】
[実施形態2]
本実施形態は、学習済みモデル生成装置、学習済みモデル生成方法、及び学習済みモデルに関する。
【0033】
図4は、本実施形態の学習済みモデル生成装置20の一例の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、本装置20は、データ取得部21、及び学習済みモデル生成部22を含む。また、本装置20は、例えば、さらに、データ処理部を含んでもよい(図示せず)。
【0034】
本装置20は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、前記通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置20は、前記通信回線網を介して、前述の外部装置と接続可能である。本装置20は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置20は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。さらに、本装置20は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0035】
図5に、本装置20のハードウェア構成のブロック図を例示する。本装置20は、例えば、中央処理装置(CPU、GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、出力装置106、通信デバイス107等を含む。本装置20のハードウェア構成の各部は、特に言及しない限り、
図3に示す退院判断支援装置10のハードウェア構成の各部の記載を援用できる。
【0036】
中央処理装置101は、例えば、データ取得部21及び学習済みモデル生成部22として機能する。中央処理装置101は、例えば、さらに、データ処理部として機能する(図示せず)。
【0037】
メモリ102及び記憶装置104は、本装置20によって生成された学習済みモデルを記憶してもよい。
【0038】
つぎに、本実施形態の学習済みモデル生成方法の一例を、
図6A及び
図6BのフローチャートS20に基づき説明する。本実施形態の学習済みモデル生成方法は、例えば、
図4及び
図5の本装置20を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の学習済みモデル生成方法は、
図4及び
図5の本装置20の使用には限定されない。
【0039】
まず、データ取得部21により、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得される(S21)。前記患者状態データは、前述と同様である。また、前記診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データは、前述と同様である。
【0040】
次に、学習済みモデル生成部22により、前記入院患者データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成し(S22)、終了する(END)。前記機械学習の学習方法は、前述と同様である。
【0041】
本装置20が、さらに、データ処理部を含む場合、前記データ処理部は、例えば、前記学習データとして取得された入院患者データを加工する、加工処理を行う(S220)。前記加工処理は、例えば、前記患者状態データについて直近のデータのみを抽出して整列する加工処理や、前記加工処理された患者状態データと前記診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データとを結合処理する加工処理等である。前記直近のデータは、特に限定されず、例えば、退院判断日の日前の任意の日のデータである。前記直近のデータが複数ある場合は、例えば、任意のルールに従っていずれか一つのデータを抽出してもよく、前記任意のルールは、例えば、データの最大値、又は最小値を抽出する等のルールである。前記学習済みモデル生成部は、例えば、前記加工処理された入院患者データを学習データとして用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する(S22)。
【0042】
また、前記データ処理部は、例えば、前記入院患者データそれぞれの重み係数を逆強化学習により最適化する処理を行う。前記最適化は、例えば、下記数式(1)により表される、制約条件(Subject to)のもとで目的関数を最大化するための前記重み係数の最適化である。
【0043】
【0044】
前記数式(1)において、
λは、前記入院患者データの重み係数であり、
Sは、ソフト制約条件を含む患者状態データであり、
aは、退院又は入院に応じて1又は0が選択され、
iは、患者状態データの項目であり、
jは、入院患者数を意味する。
【0045】
なお、前記ソフト制約条件及び前記ハード制約条件は、例えば、前記患者状態データの制約条件であり、
前記ソフト制約条件は、満たされない場合があっても許容される制約条件が設定されたものであり、前記ハード制約条件は必ず満たす必要がある制約条件が設定されたものである。
【0046】
本実施形態によって生成される学習済みモデルは、例えば、前記実施形態1に記載の退院判断支援装置10に使用される。本実施形態によれば、例えば、病床管理看護師等の作業者は、業務負担、及び心理負担を軽減しつつ、病院収益の向上等の経営的観点を考慮した退院患者の決定を、精度よくすることができる。
【0047】
[実施形態3-1]
図7A~
図7Dを用いて、本発明による退院判断支援の手順の一例を説明する。
【0048】
本例において、病床管理看護師等の作業者は、本装置10を使用するものとする。作業者は、
図7Aの表1のような入院患者毎の入院患者データを、入力部11に入力する。表1はあくまでも例示であり、各項目やデータの並び等はこれに限定されない。入力された前記入院患者データは、処理部12において退院優先度が評価される。
【0049】
入力部11に入力された入院患者データは、例えば、
図7B~
図7Dの手順に従って加工処理されたものであってもよい。
図7Bは、入力された入院患者データ(各種検査値)を加工処理する際の一例を示す図である。
図7Bのとおり、例えば2021年12月5日に退院判断する場合、入力された入院患者データ(表1a)に含まれるデータのうち、患者毎に、退院判断を行う日に最も近い日の検査データ(値)が抽出される。検査を実施していない場合には検査データは入力されない。
【0050】
図7Cは、入力された入院患者データ(バイタルデータ)を加工処理する際の一例を示す図である。
図7Cのとおり、例えば2021年12月5日に退院判断する場合、入力された入院患者データ(表1c)に含まれるデータのうち、患者毎に、退院判断を行う日の一日前の測定データ(値)が抽出される。測定していない場合には測定データは入力されない。また、同日に測定を二回以上の実施している場合は、体温は最大値が、SpO2は最小値が抽出される。
【0051】
図7Dは、加工処理されたデータを結合処理する際の一例を示す図である。
図7Dのとおり、前述した加工処理された各種検査値及びバイタルデータ、並びに患者毎の診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを結合し、表1eの加工処理データ(結合データ)を得ることができる。前記結合データに基づいて、処理部12において退院優先度を評価してもよい。
【0052】
前記退院優先度は、
図7Aのような条件式及び制約条件を含む数理モデルにより評価されてもよい。また、前記数理モデルは、例えば、本装置20により生成された学習済みモデルにより作成されてもよい。
【0053】
前記退院優先度の評価結果は、表2のようなデータとして出力部13により出力される。表2の場合、患者1の目的関数が80、患者2の目的関数が0、患者3の目的関数が60である。したがって、目的関数が大きい順に、患者1の退院優先度が高く、次いで患者3の退院優先度が高い。また、患者2にはSpO2値等の制約条件があるため、退院優先度が一番低くなる。前記評価結果を参考にして、作業者は退院患者を決定することができる。表2はあくまでも例示であり、退院優先度を表示した際のレイアウト等はこれに限定されない。
【0054】
このように、退院優先度の評価結果が一目でわかるため、作業者の業務負担等が軽減される。
【0055】
[実施形態3-2]
図7Eを用いて、本発明による退院判断支援の手順の他の一例を説明する。
図7Eは、数理モデル及びルールベースモデルにより退院判断する際の一例を示す図である。
【0056】
本装置10を用いて数理モデルにより退院優先度を評価した結果、表2aのようなデータが得られた場合を仮定する。ここで、「数理モデルによる評価」において、「1」は退院可能判断を意味し、「0」は退院不可判断を意味する。また、「年間12症例」において、「1」は年間12症例に該当することを意味し、「0」は年間12症例に該当しないことを意味する。
【0057】
数理モデルにより退院優先度を評価したあと、本装置10により、ルールベースモデルによって、数理モデルによる評価で退院可能判断されたものについて再度退院優先度が評価される。ルールベースモデルでは、
図7Eに記載の優先度に基づいて、退院優先度が評価される(表2b)。ここで、表2a及び表2b記載の年間12症例、該当入院期間、入院期間残日数(I~III)、及び入院期間点数(I~III)は、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データより取得可能である。
【0058】
ルールベースモデルによる退院優先度の評価結果について具体的に説明する。まず、優先度1に基づいて、患者D及び患者Gの退院優先度が高くなる。ここで、患者D及び患者Gは同じく該当入院期間がIIIであるため、入院期間III残日数が短い患者Dの退院優先度が高くなる。つぎに、優先度4に基づいて、患者Hの退院優先度が高くなる。最後に、優先度5に基づいて、患者Iの優先度が高くなる。すべての患者について退院優先度が評価されると、表2bのような評価結果が出力される。
【0059】
[実施形態4-1]
図8Aを用いて、本発明による学習済みモデルの生成手順の一例を説明する。
【0060】
本例において、本装置20を使用するものとする。
図8Aの表3のような、退院済みの入院患者の入院患者毎の入院患者データが、データ取得部21によって学習データとして取得される。前記入院患者データは、例えば、患者状態データ、診断治療情報、及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データとしてそれぞれ集計されているデータを患者ごとにまとめて、表3のような一つのデータとしてもよい。表3のようなデータにまとめる方法は、例えば、前述の実施形態3-1で説明した入院患者データの加工処理に基づくものと同様の方法であってもよい。また、表3の各項目値は、例えば、直近のデータを取得してもよいし、過去数日分のデータから平均値や最大値等を求めたデータであってもよい。表3はあくまでも例示であり、各項目やデータの並び等はこれに限定されない。
【0061】
その後、学習済みモデル生成部22において、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルが生成される。本例の場合、逆強化学習により、各項目に対する重みが決定される。前記重みは数値化され、前記重みに基づいて、
図8の条件式のような数理モデルが作成される。また、
図8Aのとおり、制約条件を設けてもよい。
【0062】
[実施形態4-2]
図8B~
図8Dを用いて、本発明における数理モデルの学習方法の一例、及びその活用方法を説明する。
図8Bは、目的関数を算出するための数式及び各種条件を示す図である。
図8Cは、数理モデルの学習方法の詳細を示す図である。
図8Dは、学習された数理モデルを活用した退院判断の一例を示す図である。
【0063】
図8Bに記載の数式及び表5記載の条件等に基づいて、目的関数が算出される。例えば、
図8Cに記載の表6のような学習データがある場合、
図8B記載の数式及び条件に基づいて、目的関数が算出される。その後、目的関数の値の条件(
図8Cでは100)において、さらに入院患者データの重み係数λ
iの値を更新して学習を繰り返し、目的関数の値が最大となる入院患者データの重み係数λ
iが学習される。
【0064】
学習後の数理モデルに基づいて、退院判断を評価することができる。
図8Dのとおり、表8のような入院患者データ、及び表9のような条件及び学習後の入院患者データの重み係数λ
iが設定されている場合、
図8Dで示した目的関数に基づいて、退院判断を評価することができる。このとき、どの患者を退院させれば良いかを目的関数が最大となるように選択することで、数理モデルによる退院判断が評価される。その後、例えば、前述の実施形態3-2で説明したルールベースモデルによる退院判断を評価してもよい。
【0065】
[実施形態5]
本実施形態のプログラムは、本発明の各工程を、手順として、コンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明において、例えば、「手順」を「処理」と読み替え可能である。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)である。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0066】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0067】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
入力部、処理部、及び出力部を含み、
前記入力部は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理部は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力部は、前記退院優先度の評価結果を出力する
退院判断支援装置。
(付記2)
前記処理部は、例えば、さらに、前記入力された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記処理部は、例えば、前記加工処理された入院患者データから、前記退院優先度を評価する処理を実行する、
付記1記載の退院判断支援装置。
(付記3)
前記退院優先度が、数理モデルに基づき評価され、
前記数理モデルは、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含む付記1又は2記載の退院判断支援装置。
(付記4)
前記数理モデルが、さらに制約条件を含む付記3記載の退院判断支援装置。
(付記5)
前記処理部が、前記入力された入院患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行し、
前記学習済みモデルは、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである
付記1から4のいずれかに記載の退院判断支援装置。
(付記6)
前記機械学習が、逆強化学習である付記5記載の退院判断支援装置。
(付記7)
前記退院優先度の評価が、ルールベースモデルに基づく評価を含み、
前記ルールベースモデルは、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する、付記1から6のいずれかに記載の退院判断支援装置。
(付記8)
入力工程、処理工程、及び出力工程を含み、
前記入力工程は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理工程は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力工程は、前記退院優先度の評価結果を出力する
退院判断支援方法。
(付記9)
前記処理工程は、例えば、さらに、前記入力された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記処理工程は、例えば、前記加工処理された入院患者データから、前記退院優先度を評価する処理を実行する、
付記8記載の退院判断支援方法。
(付記10)
前記退院優先度が、数理モデルに基づき評価され、
前記数理モデルは、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含む付記8又は9記載の退院判断支援方法。
(付記11)
前記数理モデルが、さらに制約条件を含む付記10記載の退院判断支援方法。
(付記12)
前記処理工程が、前記入力された入院患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行し、
前記学習済みモデルは、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである
付記8から11のいずれかに記載の退院判断支援方法。
(付記13)
前記機械学習が、逆強化学習である付記12記載の退院判断支援方法。
(付記14)
前記退院優先度の評価が、ルールベースモデルに基づく評価を含み、
前記ルールベースモデルは、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する、付記8から13のいずれかに記載の退院判断支援方法。
(付記15)
データ取得部、及び学習済みモデル生成部を含み、
前記データ取得部は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成部は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
学習済みモデル生成装置。
(付記16)
さらに、データ処理部を含み、
前記データ処理部は、前記学習データとして取得された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記学習済みモデル生成部は、前記加工処理された入院患者データを学習データとして用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
付記15記載の学習済みモデル生成装置。
(付記17)
前記データ処理部は、前記入院患者データそれぞれの重み係数を逆強化学習により最適化する処理を行う、
付記16記載の学習済みモデル生成装置。
(付記18)
データ取得工程、及び学習済みモデル生成工程を含み、
前記データ取得工程は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成工程は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
学習済みモデル生成方法。
(付記19)
さらに、データ処理工程を含み、
前記データ処理工程は、前記学習データとして取得された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記学習済みモデル生成工程は、前記加工処理された入院患者データを学習データとして用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
付記18記載の学習済みモデル生成方法。
(付記20)
前記データ処理工程は、前記入院患者データそれぞれの重み係数を逆強化学習により最適化する処理を行う、
付記19記載の学習済みモデル生成方法。
(付記21)
患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、
コンピュータを機能させるための学習済みモデル。
(付記22)
入力手順、処理手順、及び出力手順を含み、
前記入力手順は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理手順は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力手順は、前記退院優先度の評価結果を出力する
前記各手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記23)
前記処理手順は、例えば、さらに、前記入力された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記処理手順は、例えば、前記加工処理された入院患者データから、前記退院優先度を評価する処理を実行する、
付記22記載のプログラム。
(付記24)
前記退院優先度が、数理モデルに基づき評価され、
前記数理モデルは、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含む付記22又は23記載のプログラム。
(付記25)
前記数理モデルが、さらに制約条件を含む付記24記載のプログラム。
(付記26)
前記処理手順が、前記入力された入院患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行し、
前記学習済みモデルは、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである
付記22から25のいずれかに記載のプログラム。
(付記27)
前記機械学習が、逆強化学習である付記26記載のプログラム。
(付記28)
前記退院優先度の評価が、ルールベースモデルに基づく評価を含み、
前記ルールベースモデルは、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する、付記22から27のいずれかに記載のプログラム。
(付記29)
データ取得手順、及び学習済みモデル生成手順を含み、
前記データ取得手順は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成手順は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
前記各手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記30)
入力手順、処理手順、及び出力手順を含み、
前記入力手順は、入院患者データを入力し、
前記入院患者データは、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含み、
前記処理手順は、前記入力された入院患者データから、退院優先度を評価する処理を実行し、
前記出力手順は、前記退院優先度の評価結果を出力する
前記各手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
(付記31)
前記処理手順は、例えば、さらに、前記入力された入院患者データを加工する、加工処理を行い、
前記処理手順は、例えば、前記加工処理された入院患者データから、前記退院優先度を評価する処理を実行する、
付記30記載の記録媒体。
(付記32)
前記退院優先度が、数理モデルに基づき評価され、
前記数理モデルは、重み係数を乗じた前記入院患者データを合計する関数を含む付記30又は31記載の記録媒体。
(付記33)
前記数理モデルが、さらに制約条件を含む付記32記載の記録媒体。
(付記34)
前記処理手順が、前記入力された入院患者データを学習済みモデルへ入力することにより、前記退院優先度を前記数理モデルに基づいて評価する処理を実行し、
前記学習済みモデルは、前記入院患者データに基づいて機械学習され、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するよう、コンピュータを機能させるための学習済みモデルである
付記30から33のいずれかに記載の記録媒体。
(付記35)
前記機械学習が、逆強化学習である付記34記載の記録媒体。
(付記36)
前記退院優先度の評価が、ルールベースモデルに基づく評価を含み、
前記ルールベースモデルは、患者の退院可否情報、年間12症例情報、及び入院期間情報に基づいてルールベースで退院優先度を評価する、付記30から35記載の記録媒体。
(付記37)
データ取得手順、及び学習済みモデル生成手順を含み、
前記データ取得手順は、患者状態データ、診断治療情報及び前記診断治療情報に基づく医療報酬データを含む、入院患者データを学習データとして取得し、
前記学習済みモデル生成手順は、前記学習データを用いた機械学習によって、前記入院患者データから退院優先度の評価結果を出力するための学習済みモデルを生成する
前記各手順をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、例えば、患者の状態を考慮しつつ、病院の経営効率にも配慮した退院判断を支援することができる。本発明は、例えば、効率的な病床管理を目的とした病院における退院判断支援装置に適用できるが、適用できる分野は制限されず、退院判断支援装置を用いた幅広い測定分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
10 退院判断支援装置
11 入力部
12 処理部
13 出力部
20 学習済みモデル生成装置
21 データ取得部
22 学習済みモデル生成部
101 CPU
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 出力装置
107 通信デバイス