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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026038
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】モータ及び該モータを備えるファン
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/173 20060101AFI20240220BHJP
   F16C 27/06 20060101ALI20240220BHJP
   F16C 19/16 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H02K5/173 Z
F16C27/06 B
F16C19/16
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106452
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】202222156698.9
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516285032
【氏名又は名称】広東美的環境電器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA ENVIRONMENT APPLIANCES MFG CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28 East District Hesui Industrial Park,Dongfu Road,Dongfeng Zhongshan,Guangdong 528425,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】梁顯堂
(72)【発明者】
【氏名】王云峰
(72)【発明者】
【氏名】陳連城
(72)【発明者】
【氏名】叶似錦
【テーマコード(参考)】
3J012
3J701
5H605
【Fターム(参考)】
3J012AB07
3J012BB03
3J012CB03
3J012DB07
3J012FB10
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA54
3J701AA62
3J701FA01
3J701GA24
3J701GA28
5H605AA05
5H605BB05
5H605BB19
5H605CC04
5H605DD07
5H605DD09
5H605EB10
5H605EB18
5H605GG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】騒音の小さいモータ及び該モータを備えるファンを提供する。
【解決手段】モータ10は、嵌着されてなる固定リング1及び回転リング2と、前記固定リングに設けられたステータ構造3と、前記回転リングに設けられ且つ前記ステータ構造に嵌合するロータ構造4と、前記固定リングと前記回転リングとの間に設けられ、且つ前記モータの軸方向に沿って配置された複数の軸受51,52を含み、隣接した2つの前記軸受の間に制振構造8が設けられている軸受アセンブリ5と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータであって、
嵌着されてなる固定リング及び回転リングと、
前記固定リングに設けられたステータ構造と、
前記回転リングに設けられ且つ前記ステータ構造に嵌合するロータ構造と、
前記固定リングと前記回転リングとの間に設けられ、且つ前記モータの軸方向に沿って配置された複数の軸受を含み、隣接した2つの前記軸受の間に制振構造が設けられている軸受アセンブリと、を備える、ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記制振構造は制振シートを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記制振シートは平板シート状に構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項4】
前記制振シートは、前記モータの周方向において少なくとも1つの円弧状突起を有する、ことを特徴とする請求項2に記載のモータ。
【請求項5】
前記円弧状突起の突出方向は交互に変化して波状突起を形成する、ことを特徴とする請求項4に記載のモータ。
【請求項6】
前記軸受は転がり軸受であり、前記制振構造は、前記転がり軸受の軸受内輪または軸受外輪を覆う、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記制振構造は、隣接した2つの前記軸受の隣接端面全体を覆う、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記制振構造は環状である、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項9】
前記制振構造は、複数個であり且つ前記モータの周方向に沿って間隔をおいて配置される、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項10】
前記制振構造は、金属、プラスチックまたはゴムの制振構造である、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ。
【請求項11】
前記軸受アセンブリは、前記モータの軸方向に沿って配置された2つの軸受を含み、
前記2つの軸受は、前記軸方向において全てが前記ステータ構造および前記ロータ構造の一方側に位置し、
前記2つの軸受の間には制振構造が設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
ファンであって、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のモータと、
前記回転リングに取り付けられたファンブレードと、を備え、
前記ファンは、前記モータの軸方向に沿って貫通する中空領域を有する、ことを特徴とするファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案は、モータの技術分野に関し、特に、モータ及び該モータを備えるファンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通常のファンは、モータおよびファンブレードを含み、モータはメッシュカバーおよびファンブレードの後側に配置され、ファンの中心部位が閉塞され、ファンの軸方向が厚く、収納が不便である。同時に、モータの固定リングと回転リングとの間には複数の軸受が設けられ、隣接した2つの軸受の間は隙間が大きく且つがたつき騒音が大きいため、ファン全体の騒音が大きく、ユーザ体験に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本考案は、従来技術における上記技術的課題の少なくとも1つをある程度解決することを目的とする。このため、本考案は、騒音の小さいモータを提案する。
【0004】
本考案は、また、前記モータを備えたファンを提案する。
【0005】
本考案の実施例に係るモータは、嵌着されてなる固定リング及び回転リングと、前記固定リングに設けられたステータ構造と、前記回転リングに設けられ且つ前記ステータ構造に嵌合するロータ構造と、前記固定リングと前記回転リングとの間に設けられ、且つ前記モータの軸方向に沿って配置された複数の軸受を含み、隣接した2つの前記軸受の間に制振構造が設けられている軸受アセンブリと、を備える。
【0006】
本考案の実施例に係るモータによると、隣接した2つの軸受の間に制振構造が設けられていることにより、隣接した2つの軸受の間の隙間及びがたつき騒音を効果的に緩和することができ、モータの使用体験感を良好にすることができる。
【0007】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振構造は制振シートを含む。
【0008】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振シートは平板シート状に構成される。
【0009】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振シートは、前記モータの周方向において少なくとも1つの円弧状突起を有する。
【0010】
本考案のいくつかの実施例によると、前記円弧状突起の突出方向は交互に変化して波状突起を形成する。
【0011】
本考案のいくつかの実施例によると、前記軸受は転がり軸受であり、前記制振構造は、前記転がり軸受の軸受内輪または軸受外輪を覆う。
【0012】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振構造は、隣接した2つの前記軸受の隣接端面全体を覆う。
【0013】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振構造は環状である。
【0014】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振構造は、複数個であり且つ前記モータの周方向に沿って間隔をおいて配置される。
【0015】
本考案のいくつかの実施例によると、前記制振構造は、金属、プラスチックまたはゴムの制振構造である。
【0016】
本考案のいくつかの実施例によると、前記軸受アセンブリは、前記モータの軸方向に沿って配置された2つの軸受を含み、前記2つの軸受は、前記軸方向において全てが前記ステータ構造および前記ロータ構造の一方側に位置し、前記2つの軸受の間には制振構造が設けられている。
【0017】
本考案の他の実施例に係るファンは、前記モータと、前記回転リングに取り付けられたファンブレードと、を備え、前記ファンは、前記モータの軸方向に沿って貫通する中空領域を有する。
【0018】
本考案の追加的な態様および利点は、一部は以下の説明において示され、一部は以下の説明から明らかになるか、または本考案の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、ファンの正面図である。
図2図2は、ファンの側面図である。
図3図3は、ファンの斜視模式図である。
図4図4は、本考案の実施例に係るモータの断面図である。
図5図5は、回転リング、ロータ構造の断面図である。
図6図6は、固定リング、ステータ構造、固定フレームアセンブリの断面図である。
図7図7は、本考案の一実施例に係る制振構造の断面図である。
図8図8は、本考案の他の実施例に係る制振構造の断面図である。
図9図9は、制振構造の平面図である。
図10図10は、ファンブレードとモータの接続模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本考案の実施例を詳細に説明する。上記本実施例の例は図面に示され、一貫して同一または類似の符号が同一または類似の要素、または同一または類似の機能を有する要素を表す。以下に、図面を参照して説明する実施例は、本考案を解釈するための例示であり、本考案に対する限定と理解されるものではない。
【0021】
本考案の説明において、用語「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に基づく方位又は位置関係であり、単に本考案の説明を便利化及び簡略化するためのものであり、指す装置や要素が必ず特定の方位を持って特定の方位で構成され作動しなければならないことを指示したり暗示したりするものではないため、本考案に対する限定と理解されるものではない。
【0022】
また、用語「第1」、「第2」は、単に目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を指示したり暗示したり、または指示された技術的特徴の数を暗黙的に表すものと理解されるものではない。これにより、「第1」、「第2」と限定された特徴は、1つまたは複数の該特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本考案に対する説明において、「複数」は、特に明確で具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0023】
本考案においては、特に明確な規定と限定がない限り、「取付」、「接続」、「連結」、「固定」などの用語は広義的意味で理解しなければならず、例えば、固定接続、取り外し可能な接続または一体化、機械的接続、電気的接続または相互通信、直接接続または中間媒体による間接接続、2つの要素の内部の連通や2つの要素の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、本考案における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0024】
図1図3図10に示すように、ファン100は、送風部材と、モータ10と、コラム50と、ベース60とを含み、モータ10によって駆動され回転の実現に適したファンブレード20を含む送風部材は、コラム50の上端に取り付けられ、コラム50の下端はベース60に接続され、コラム50にはコントロールパネル501が設けられ、コントロールパネル501を操作することにより、モータ10のギア位置、オン、オフなどを調整することができる。
【0025】
ファン100は、フロントメッシュカバー30と、リアメッシュカバー40とをさらに備えることができ、フロントメッシュカバー30とリアメッシュカバー40は、フロントメッシュカバー30とリアメッシュカバー40との間に収容空間を形成するように係合され、ファンブレード20は該収容空間内に設けられていることにより、フロントメッシュカバー30とリアメッシュカバー40はファンブレード20を保護することができ、ファン100の使用安全性を向上させる。
【0026】
以下、図1図10を参照して、本考案の実施例に係るモータ10について詳細に説明する。このモータ10は、上述したファン100に適用される。
【0027】
図4図6に示すように、本考案の実施例に係るモータ10は、固定リング1と、回転リング2と、ステータ構造3と、ロータ構造4と、軸受アセンブリ5とを備えている。
【0028】
ここで、固定リング1と回転リング2とは嵌着されてなり、ステータ構造3は固定リング1に設けられ、ロータ構造4は回転リング2に設けられ、ロータ構造4はステータ構造3に嵌合する。回転リング2は固定リング1に対して回転可能であり、ステータ構造3に対するロータ構造4の回転を実現する。選択的に、いくつかの実施例では、図4に示すように、固定リング1は回転リング2の内側に嵌着することができ、この時、ステータ構造3は固定リング1の外周面に設けられ、ロータ構造4は回転リング2の内周面に設けられ、ロータ構造4はステータ構造3に対向して設置される。図示しない他の実施例では、回転リング2は固定リング1の内側に嵌着することができ、この時、ステータ構造3は固定リング1の内周面に設けられ、ロータ構造4は回転リング2の外周面に設けられ、ロータ構造4はステータ構造3に対向して設置される。説明を簡略化するために、以下では単に固定リング1が回転リング2の内側に嵌着されている例だけを挙げて説明する。
【0029】
固定リング1と回転リング2との間には軸受アセンブリ5が設けられ、軸受アセンブリ5を設けることにより、回転リング2の回転時の振動及び騒音を効果的に防止、低減することができる。軸受アセンブリ5は、モータ10の軸方向に沿って配置された複数の軸受を有し、複数の軸受は、固定リング1に対する回転リング2の回転をより安定させる支持力を高めることができる。少なくとも2つの軸受を隣接させて設置することで、1つの軸受で発生するカンチレバー構造によるロータのヨーイング振動、軸受寿命が短いという問題を解決できる。
【0030】
隣接した2つの軸受間には制振及び吸エネルギー作用を有する制振構造8が設けられ、隣接した2つの軸受間の隙間及びがたつき騒音を効果的に緩和することができる。
【0031】
図4に示す実施例では、複数の軸受は、軸方向において全てがステータ構造3とロータ構造4の一方側に位置している。これにより、ステータ構造3の給電リード線の引出し時に、ステータ構造3の軸受アセンブリ5から離れた側(すなわちA側)から引出すことができ、軸受アセンブリ5を経なくてもよいので、ステータ構造3の引出し問題を解決するために固定リング1の厚さを増加させる必要がなく、固定リング1の厚さを薄くして固定リング1の内孔の孔径を大きくするよう保証することで、固定リング1の内側に十分な風量を保証し、ステータ構造3のリード線の引出し問題を解決するために固定リング1から穴を開けて固定リング1の内孔部位の外観に影響を与える必要もない。図4に示す具体例では、軸受アセンブリ5は、モータ10の軸方向に沿って配置された2つの軸受を含み、2つの軸受は、軸方向において全てがステータ構造3とロータ構造4の一方側に位置し、2つの軸受の間には制振構造8が設けられている。
【0032】
他のいくつかの実施例においては、一部の軸受はステータ構造3とロータ構造4の一方側に配置され、他の一部の軸受はステータ構造3とロータ構造4の他方側に配置されることにより、片側軸受に生じるカンチレバー構造によるロータのヨーイング振動、軸受寿命が短い問題を解決することができる。
【0033】
本考案の実施例に係るモータ10によると、隣接した2つの軸受間に制振構造8が設けられることにより、隣接した2つの軸受間の隙間及びがたつき騒音を効果的に緩和することができ、モータ10の使用体験感を良好にすることができ、モータ10をファン100に適用する際のファンの騒音を低減することができる。
【0034】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8は制振シートを含む。制振シートは、軸方向寸法が小さく、モータ10の軸方向寸法が大きく増加しないようにシート状に構成される。
【0035】
選択的に、制振シートを一定の弾性性能を有する制振シートとすることにより、制振シートを隣接した2つの軸受の間に取り付ける際に、制振シートが隣接した2つの軸受に押圧されて少量の弾性変形が生じ、制振シートが原状に回復するために、両側の軸受に対して離反する弾性力を印加することにより、軸受を対応する軸方向の位置決め構造に当接させ、軸受のがたつきを効果的に防止することができる。換言すると、制振シートは、モータ10の組立品の製造上の寸法隙間によるがたつき騒音を吸収するための弾性構造である。
【0036】
モータ10外部の駆動制御電流がアダプタプレート72の内部配線を介してステータ構造3のステータ巻線32に入力されると、ステータ構造3は、ロータ構造4を磁化し、回転リング2を介してファンブレード20を周方向に回転させて風量を出力する。
【0037】
いくつかの実施例では、固定リング1にサークリップ12が設けられ、軸受アセンブリ5のステータ構造3及びロータ構造4から離れた側はサークリップ12に当接するように構成され、換言すると、サークリップ12は、軸受アセンブリ5のステータ構造3及びロータ構造4から離れた側に対して軸方向の位置を制限するためのものである。図4図6に示すように、固定リング1の外周面には係止溝が設けられ、係止溝にサークリップ12が取り付けられ、サークリップ12の直径は、サークリップ12が軸受アセンブリ5に対して軸方向の位置を制限するように固定リング1の外径よりも大きく形成されている。ステータ構造3とロータ構造4は軸受アセンブリ5のA側に位置し、サークリップ12は軸受アセンブリ5のB側に位置している。
【0038】
図4の実施例では、軸受の数は2個であり、即ち軸受アセンブリ5は、第1軸受51と、第2軸受52とを含み、第1軸受51は、第2軸受52のステータ構造3およびロータ構造4に近接する側に位置し、即ち第1軸受51は第2軸受52のA側に位置する。制振シートは、第1軸受51と第2軸受52との間に位置し、制振シートによって第2軸受52に印加される弾性力は、第2軸受52をサークリップ12に緊密に当接させる。
【0039】
もちろん、軸受の数は2個に限られず、3個、4個などであってもよく、ここでは一つ一つ列挙しない。
【0040】
選択的に、軸受は、転がり軸受またはすべり軸受であってもよい。
【0041】
本考案のいくつかの実施例では、図7図9を参照して示すように、制振シートを平板シート状に構成することにより、制振シートの構造が簡単で、製造加工が容易であり、かつ、平板シート状の制振シートの軸方向寸法が小さく、モータ10の軸方向寸法を大幅に増加させることがない。
【0042】
本考案のいくつかの実施例では、図8図9を参照して示すように、制振シートは、モータ10の周方向において少なくとも1つの円弧状突起81を有する。隣接した2つの軸受の間に制振シートを取り付けると、制振シートが隣接した2つの軸受に押圧され、円弧状突起81に少量の弾性変形が生じ、制振シートが原状に回復するために、両側の軸受に対して離反させる弾性力を印加することにより、軸受を対応する軸方向の位置決め構造に当接させる。図8に示す例では、制振シートは、モータ10の周方向において3つの円弧状突起81を有している。
【0043】
本考案のいくつかの実施例では、図8に示すように、円弧状突起81の突出方向を交互に変化させて波状突起を形成する。このように、隣接した2つの軸受の間に制振シートを取り付けると、制振シートが隣接した2つの軸受に押圧され、A、Bの両側に突出した円弧状突起81がすべて押圧されて弾性変形を発生させ、制振シートが原状に回復するために、両側の軸受に対して離反させる弾性力を印加することにより、軸受を対応する軸方向の位置決め構造に当接させる。図8に示す例では、制振シートは、モータ10の周方向において3つの円弧状突起81を有し、両端の円弧状突起81は上側に突出し、中間の円弧状突起81は下側に突出している。
【0044】
本考案のいくつかの実施例では、軸受は転がり軸受であり、制振構造8は転がり軸受の軸受内輪を覆う。固定リング1が回転リング2の内側に嵌着されていると、軸受内輪が固定リング1に固定され、軸受外輪が回転リング2と同期して回転し、制振構造8は転がり軸受の軸受内輪を覆い、軸受外輪と分離することにより、制振構造8が軸受外輪に接触して両者に摩耗及び騒音を発生させることを避けることができる。
【0045】
本考案のいくつかの実施例では、軸受は転がり軸受であり、制振構造8は転がり軸受の軸受外輪を覆う。回転リング2が固定リング1の内側に嵌着されていると、軸受外輪が固定リング1に固定され、軸受内輪が回転リング2と同期して回転し、制振構造8が転がり軸受の軸受外輪を覆い、軸受内輪と分離することにより、制振構造8が軸受内輪に接触して両者に摩耗及び騒音を発生させることを避けることができる。
【0046】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8は、隣接した2つの軸受の隣接端面全体を覆う。即ち、制振構造8は、軸受の軸受内輪と軸受外輪とを同時に覆う。
【0047】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8を環状に形成することにより、制振構造8の組み立て及び取り外しに便利である。
【0048】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8を複数個とし、複数の制振構造8はモータ10の周方向に沿って間隔をおいて配置することにより、制振構造8を個別的な位置にのみ増加することができ、省材料化に有利で、モータ10の軽量化設計を実現することに有利である。
【0049】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8は金属制振構造であり、例えば制振構造8は銅制振シートまたはステンレス制振シートである。金属の制振構造8の形状を合理的に設計することにより、押圧される時に変形しやすく、押圧力が消失した後には原状に回復しやすい金属の制振構造8を保証することができる。
【0050】
本考案のいくつかの実施例では、制振構造8をプラスチック制振構造としているが、プラスチックの制振構造8の形状を合理的に設計することにより、押圧される時に変形しやすく、押圧力が消失した後には原状に回復しやすいプラスチックの制振構造8を保証することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施例では、制振構造8をゴムの制振構造としているが、ゴムはコストが安く、押圧される時に変形しやすく、押圧力が消失した後には原状に回復しやすい。
【0052】
本考案のいくつかの実施例では、図4を参照して示すように、固定リング1と回転リング2との間には環状の取付隙間が形成されており、取付隙間の第1端に軸受アセンブリ5が位置し、取付隙間の第2端にステータ構造3とロータ構造4が位置している。換言すると、軸受アセンブリ5は取付隙間のB端に位置し、ステータ構造3とロータ構造4は取付隙間のA端に位置する。取付隙間の存在により、軸受アセンブリ5、ステータ構造3、ロータ構造4の取付に空間を提供できる。A端はファン100の後端であってもよく、B端はファン100の前端であってもよい。
【0053】
本考案のいくつかの実施例では、図4図5を参照して示すように、回転リング2は、ロータ構造4を取り付けるための回転リング第1段21と、回転リング第2段22とを含み、回転リング第1段21と回転リング第2段22はいずれも軸方向に沿って延伸され、ステータ構造3は軸方向においてロータ構造4に対応し、軸受アセンブリ5は回転リング第2段22と固定リング1との間に支持され、即ち、軸受アセンブリ5はステータ構造3のB端に位置し、ステータ構造3の給電リード線は、A端から引き出し、軸受アセンブリ5を通さない。
【0054】
本考案のいくつかの実施例では、図4図5図10を参照して示すように、回転リング第2段22には、送風部材接続部221が設けられ、送風部材は送風部材接続部221に取付けられるようになっている。具体的には、送風部材は、送風部材接続部221に取り付けられるファンブレード20を有する。送風部材接続部221は、接続溝として構成されることができ、ファンブレード20は、筒状構造で且つ中間に取付孔を有するファンブレード取付軸202と、ファンブレード取付軸202の外周面に固定された複数のファンブレード本体201と、を含み、モータ10はファンブレード取付軸202の取付孔内に位置し、ファンブレード取付軸202は接続溝内に係止される。ステータ構造3に電気制御電流が入力されると、ロータ構造4が回転駆動され、回転リング2を介してファンブレード20が周方向に回転し、風量が出力される。
【0055】
本考案のいくつかの実施例では、ファンブレード20が回転リング2から脱落することを防止するために、ファンブレード取付軸202と回転リング第2段22とを締結部材によって締結することもできる。
【0056】
本考案の他の実施例では、回転リング2は、軸方向に延びる回転リング第3段23をさらに含むことができ、回転リング第2段22は、回転リング第1段21と回転リング第3段23との間に接続され、回転リング第3段23には送風部材軸方向ロック係合部が設けられている。選択的に、送風部材軸方向ロック係合部は、ねじ山セグメントであってもよく、送風部材接続部221にファンブレード20を取り付けた後、ナットを用いて送風部材軸方向ロック係合部に螺合し、これにより、ファンブレード20を回転リング2に固定することができる。送風部材軸方向ロック係合部は、ファンブレード20を係止するための係止バックルであってもよい。
【0057】
本考案のいくつかの実施例では、回転リング第1段21、回転リング第2段22および回転リング第3段23が一体に統合されている。選択的に、回転リング第1段21、回転リング第2段22および回転リング第3段23は一体成形品であってもよいし、又は、回転リング第1段21、回転リング第2段22および回転リング第3段23のうちの任意の隣接する2つのセグメントを溶接固定してもよい。
【0058】
本考案のいくつかの実施例では、回転リング2に、軸方向において軸受アセンブリ5に対応するファンブレード20を有する送風部材をスリーブする。これにより、軸受アセンブリ5に対応する回転リング2がファンブレード20を支持することができ、ファン100の構造をより確実にすることができる。
【0059】
本考案のいくつかの実施例では、固定リング1の回転リング2に向かう壁には固定リング突起11が設けられ、回転リング2の固定リング1に向かう壁には回転リング突起24が設けられており、つまり、固定リング突起11は回転リング突起24に対向して設けられている。固定リング突起11と回転リング突起24は軸受アセンブリ5の同一端に当接する。図4に示すように、固定リング突起11と回転リング突起24は軸受アセンブリ5のA端に当接し、サークリップ12は軸受アセンブリ5のB端に当接することにより、軸受アセンブリ5の両端がいずれも位置制限され、軸受アセンブリ5の軸方向位置が正確になり、軸受アセンブリ5の軸方向に沿ったがたつきを効果的に防止することができる。
【0060】
本実施例のいくつかの実施例では、回転リング突起24と固定リング突起11とは、モータ10の径方向において間隔をあけることで、ステータ構造3の巻線を収容するための巻線収容空間6を形成する。図4図6に示すように、ステータ構造3は、ステータコア31と、ステータコア31の端部に位置するステータ巻線32とを含み、ステータコア31のB端に位置するステータ巻線32が巻線収容空間6内に進入することにより、ステータ巻線32と軸受アセンブリ5との間に押圧が生じてステータ巻線32が破損されることを防止することができる。
【0061】
本考案のいくつかの実施例では、固定リング突起11は、軸受アセンブリ5とステータ構造3とを仕切るためのものであり、換言すると、固定リング突起11は軸受アセンブリ5とステータ構造3とを分離することにより、軸受アセンブリ5がステータ構造3の端部のハーネスを押圧することを効果的に防止でき、モータ10の構造信頼性及び使用安全性の向上に有利である。回転リング突起24は、軸受アセンブリ5とロータ構造4とを仕切るためのものであり、換言すると、回転リング突起24は軸受アセンブリ5とロータ構造4とを分離することにより、ロータ構造4の回転時の軸受アセンブリ5の摩損を効果的に防止でき、モータ10の構造信頼性及び使用安全性の向上に有利である。つまり、回転リング突起24と固定リング突起11との間の巻線収容空間6は、軸受アセンブリ5とステータ構造3とを分離し、軸受アセンブリ5とロータ構造4とを分離することができる。
【0062】
本考案のいくつかの実施例では、ロータ構造4の一端の端面は回転リング突起24に当接され、ステータ構造3のステータコア31の一端の端面は固定リング突起11に当接される。具体的には、ロータ構造4のB端の端面は回転リング突起24に当接され、ステータ構造3のステータコア31のB端の端面は固定リング突起11に当接されることにより、ロータ構造4とステータ構造3との軸方向位置が正確になる。ステータコア31の端部にはステータ巻線32が設けられ、ステータコア31のB端に位置するステータ巻線32は、回転リング突起24と固定リング突起11との間の巻線収容空間6内に位置する。
【0063】
本考案のいくつかの実施例では、ロータ構造4の他端の端面、ステータ構造3の他端の端面は、回転リング2の軸受アセンブリ5から離れる一端の端面と面一とされている。具体的には、ロータ構造4のA端の端面、ステータ構造3のA端の端面は、回転リング2のA端の端面と面一とされている。これにより、回転リング2と固定リング1との間の空間を合理的に利用でき、空間の無駄を避けることができる。
【0064】
本考案のいくつかの実施例では、固定リング1は回転リング2の内側に嵌着され、固定リング1の内径と送風部材の外径との比が0.1~0.6であり、固定リング1の内径と回転リング2の外径との比が0.3~0.8である。固定リング1の内径をφ1、回転リング2の外径をφ2、送風部材の外径をφ3とし、0.1≦φ1/φ3≦0.6、0.3≦φ1/φ2≦0.8とする。
【0065】
従来の中空領域を有しないファンでは、各ファンブレードは螺旋風を形成し、重ね合わせて渦巻き状の風パターンを形成し、風パターンが集束し、ユーザ体験が悪い。本考案のモータ10は、固定リング1の内孔を中空の貫通孔とすることにより、ファン100が吸気量を増加させることができる中空領域70を有し、中空領域70においてファンブレード20を通過しないので、中空領域70における風は直線風(または平行風)として、ファンブレード20の螺旋風に重なり、断面が徐々に拡大するホーン状の風パターンを形成し、風をより柔らかくしてより良い風感を得ることができ、従来ファンの風パターンの集束の欠点を避けることができる。また、ファンヘッドの中空設計は、中空領域70内にディフューザーボックスやナイトライトなどの他の補助機能を追加してもよいし、空にして軸方向の吸気を補充して風パターンの変化を実現してもよい。φ1が70mm、φ3が300mmのファン100を例にすると、ファンブレード20の回転速度は735rpmであり、ファンブレード20の回転時に中空領域70を介して気流を補充することができる。シミュレーションの分析によれば、中空領域70を有するファン100の最高速度は、中空領域70を有しないファン100の最高速度より僅かに高く、具体的には、中空領域70を有するファン100の最高速度は、中空領域70を有しないファン100の最高速度より3%、流量は13.8%上昇した。
【0066】
φ1/φ3<0.1の場合、固定リング1の内孔の孔径が小さく、中空領域70の面積が小さすぎて平行風を形成できず、補充する風量が少なく、風量の補充効果が悪く、中空領域70の面積が小さいと、他の機能を拡張することが困難になる。φ1/φ3>0.6の場合、固定リング1の内孔の孔径が大きく、中空領域70の面積が大きすぎ、ファンブレード20の直径が変わらない場合、ファンブレード20の有効作業面積が小さくなり、出力風量が低下する。
【0067】
φ1/φ2<0.3の場合、回転リング2の外径が大きくなり、ファンブレード20の有効作業面積が減少し、出力風量が低下する。φ1/φ2>0.8の場合、モータ10の有効厚さが減少し、モータ10のヨーク部がより小さくなり、ヨーク部の磁密がより高くなり、モータ10の温度が上昇し、ヨーク部がより小さくなると、モータ10の加工が困難になり、モータ10の品質に影響を及ぼし、コストがより高くなる。
【0068】
選択的に、φ1/φ3は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6等であってもよく、φ1/φ2は、0.4、0.5、0.6、0.7等であってもよく、もちろん、φ1/φ3は、0.1~0.6の間の他の値であってもよく、φ1/φ2は、0.3~0.8の間の他の値であってもよく、ここでは1つ1つ列挙しない。
【0069】
選択的に、φ1/φ2は、0.4≦φ1/φ2≦0.7をさらに満たす。一具体例では、φ1=70mm、φ2=112mm、φ1/φ2=0.625である。
【0070】
送風部材とモータ10とは送風装置を構成し、送風装置の中間にはモータ10全体を貫通する中空領域70がある。送風装置のファンブレード20はモータ10の回転リング2に固定され、軸受アセンブリ5はステータ構造3の前端(すなわちB端)に設けられ、ステータ構造3の電磁線給電はステータ構造3の後端(すなわちA端)から配線接続することにより、ステータ構造3の線引出し問題を解決するために固定リング1の厚さを増加するか、又は固定リング1に穴を開けて中空領域70の外観効果に影響を及ぼす必要がない。
【0071】
同時に、片側軸受のカンチレバー効果によるモータ10の運転時の振動が大きくならないように、片側に両軸受構造を採用してカンチレバー効果を解決しロータ構造4の信頼性を向上させているが、両軸受の製作は必然的に製造の偏差があり騒音が発生することになる。両軸受の騒音を解決するために、両軸受の間に制振構造8を設け、弾性制振シートを採用することで両軸受間の隙間及びがたつき騒音を効果的に緩和することができる。
【0072】
以下、本考案の一具体例に係るモータ10について説明する。
【0073】
モータ10は、固定リング1と、回転リング2と、ステータ構造3と、ロータ構造4と、軸受アセンブリ5とを備える。固定リング1は回転リング2の内側に嵌着され、ステータ構造3は固定リング1に設けられ、ロータ構造4は回転リング2に設けられ、ロータ構造4はステータ構造3に嵌合する。軸受アセンブリ5は、固定リング1と回転リング2との間に設けられ、且つ軸受アセンブリ5は、第1軸受51と、第2軸受52とを含み、第1軸受51と第2軸受52とは、軸方向においてステータ構造3とロータ構造4の一方側に位置し、第1軸受51と第2軸受52との間には制振シートが設けられている。
【0074】
図1図4図7を参照して示すように、本考案の他の実施例に係るファン100は、ファンブレード20と、上述したモータ10とを備え、ファンブレード20は、回転リング2に取り付けられ、回転リング2が回転すると、ファンブレード20が同期回転して送風を実現する。
【0075】
モータ10の固定リング1の内孔を中空の貫通孔とすることにより、ファン100はモータ10の軸方向に沿って貫通する中空領域70を有し、中空領域70は吸気量を増加させることができ、本考案のファン100は、モータがメッシュカバーの後側に配置され且つ中空領域を有しない従来のファンに比べて、軸方向寸法が薄く、従来のファンとの差異が大きく、収納が容易であり、中空領域70は吸気を補充して風量を高め、元の風パターンを改善するのに有利である。例えば、中空領域70における風は直線風(または平行風)として、ファンブレード20の螺旋風に重なり、断面が徐々に拡大するホーン状の風パターンを形成し、風をより柔らかくしてより良い風感を得ることができ、従来ファンの風パターンの集束の欠点を避けることができる。また、ファンヘッドの中空設計は、中空領域70内にディフューザーボックスやナイトライトなどの他の補助機能を追加してもよいし、空にして軸方向の吸気を補充して風パターンの変化を実現してもよい。
【0076】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体例」、または「いくつかの例示」等を参照する説明は、この実施例または例示に結合して説明された具体的な特徴、構造、材料または特性が本考案の少なくとも一つの実施例または例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略的表現は、必ずしも同一の実施例又は例示を対象とすべきものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の一つまたは複数の実施例または例示で適切な方法で結合することができる。また、当業者は、本明細書に記載されている異なる実施例または例を結合、組み合わせることができる。
【0077】
以上、本考案の実施例を示し、説明したが、上述した実施例は例示的なものと理解され、本考案に対する限定と理解できず、当業者は本考案の範囲内で上記実施例を変更、修正、置換及び変形することができる。
【符号の説明】
【0078】
100 ファン
10 モータ
1 固定リング
11 固定リング突起
12 サークリップ
2 回転リング
21 回転リング第1段
22 回転リング第2段
221 送風部材接続部
23 回転リング第3段
24 回転リング突起
3 ステータ構造
31 ステータコア
32 ステータ巻線
4 ロータ構造
5 軸受アセンブリ
51 第1軸受
52 第2軸受
6 巻線収容空間
7 固定フレームアセンブリ
71 固定フレーム本体
72 アダプタプレート
74 ステータ接続線
8 制振構造
81 円弧状突起
20 ファンブレード
201 ファンブレード本体
202 ファンブレード取付軸
30 フロントメッシュカバー
40 リアメッシュカバー
50 コラム
501 コントロールパネル
60 ベース
70 中空領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【外国語明細書】