(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026039
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】モータ用ステータ構造、モータ及びファン
(51)【国際特許分類】
H02K 1/18 20060101AFI20240220BHJP
H02K 1/14 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
H02K1/18 C
H02K1/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106493
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】202222148064.9
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】516285032
【氏名又は名称】広東美的環境電器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】GD MIDEA ENVIRONMENT APPLIANCES MFG CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28 East District Hesui Industrial Park,Dongfu Road,Dongfeng Zhongshan,Guangdong 528425,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】梁顯堂
(72)【発明者】
【氏名】王云峰
(72)【発明者】
【氏名】陳連城
(72)【発明者】
【氏名】叶似錦
【テーマコード(参考)】
5H601
【Fターム(参考)】
5H601AA08
5H601BB12
5H601CC01
5H601CC11
5H601DD02
5H601DD11
5H601FF17
5H601GA02
5H601GB05
5H601GB12
5H601GB33
5H601GB48
5H601GD02
5H601GD08
5H601GD23
5H601JJ07
5H601KK14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ステータコアの強度が高いモータ用ステータ構造を提供する。
【解決手段】ステータ構造は、モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて環状のステータコアを形成する複数のコアユニット311を含み、各コアユニットは、半歯部3121、3122と、ヨーク部とを含み、半歯部はヨーク部の両端にそれぞれ設けられ、各半歯部には接続部3141、3142が設けられ、周方向において、2つのコアユニットにおける隣接した2つの半歯部が、各々の接続部によって接続されている。本発明の実施例に係るモータ用ステータ構造によれば、半歯部に継ぎ合せ位置を設定することにより、継ぎ合せ位置がヨーク部に与える影響を低減し、ステータコアの強度を高くすることを保証する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ用ステータ構造であって、
前記モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて環状のステータコアを形成する複数のコアユニットを含み、
各前記コアユニットは、半歯部と、ヨーク部とを含み、
前記半歯部は前記ヨーク部の両端にそれぞれ設けられ、各前記半歯部には接続部が設けられ、前記周方向において、2つの前記コアユニットにおける隣接した2つの前記半歯部が、各々の接続部によって接続されている、ことを特徴とするモータ用ステータ構造。
【請求項2】
前記コアユニットは、前記ヨーク部に設けられ且つ両端の2つの前記半歯部の間に位置する全歯部をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項3】
2つの前記半歯部は、各々の前記接続部によって接続された後、1つの前記全歯部を形成する、ことを特徴とする請求項2に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項4】
前記コアユニットにおける一方の前記半歯部には凹溝が設けられ、他方の前記半歯部には突起が設けられ、前記凹溝と前記突起は前記接続部として構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項5】
各前記半歯部は、隣接した他の前記半歯部と接続するのに適した接続側面を有し、前記凹溝は、前記接続側面から凹み、または前記突起は、前記接続側面から突出している、ことを特徴とする請求項4に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項6】
前記モータの径方向において、前記凹溝または前記突起は、対応する前記接続側面の中央位置にある、ことを特徴とする請求項5に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項7】
前記突起の2つの軸方向端面は、対応する前記半歯部の2つの軸方向端面とそれぞれ面一であり、前記凹溝は、前記モータの軸方向に沿って延伸し、対応する前記半歯部の2つの軸方向端面を貫通する、ことを特徴とする請求項4に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項8】
前記凹溝の開口幅は、前記凹溝の基部の幅よりも小さく、前記突起は、前記凹溝の形状に適合している、ことを特徴とする請求項4に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項9】
前記ヨーク部の径方向幅と前記全歯部の周方向幅との比は、1/2~2/3である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項10】
前記接続部の周方向幅と前記全歯部の周方向幅との比は、0.15~0.4である、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項11】
前記コアユニットの径方向幅をF、前記全歯部の周方向幅をD、前記ヨーク部の径方向幅をEとしたとき、D、E、Fは、E+0.5D≦F≦E+Dの関係式を満たす、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項12】
前記コアユニットは円弧状構造であり、前記コアユニットの内径と前記コアユニットの外径との比は、0.6~0.95である、ことを特徴とする請求項1に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項13】
前記ステータコアの軸方向両端に固定された環状の絶縁フレームをさらに含み、前記絶縁フレームは、少なくとも隣接した2つの前記全歯部の間に嵌入される嵌設部を有し、前記嵌設部は、巻線逃がし溝を有する、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項14】
少なくとも一端の前記絶縁フレームは、前記ステータコアの軸方向に沿って前記コアユニットから離反する側へ突出するフレーム止め輪を有する、ことを特徴とする請求項13に記載のモータ用ステータ構造。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のモータ用ステータ構造を含む、ことを特徴とするモータ。
【請求項16】
請求項15に記載のモータと、前記モータによって回転駆動されるファンブレードと、を含む、ことを特徴とするファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモータの技術分野に関し、より詳細には、モータ用ステータ構造、該モータ用ステータ構造を備えるモータ、及び該モータを備えるファンに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術において、中空モータのステータコアは、一枚のプレートを用いて一枚の円環を打ち抜いた後に積層されてなるが、中央の材料は廃棄され、材料の利用率が低く、モータのコストが高くなる。業界では、ステータコアのヨーク部で継ぎ合わせる継ぎ合わせ方法を使用する場合もあるが、中空モータの場合、そのステータコアのヨーク部が非常に狭く、このようなステータ構造は、強度が非常に弱く、信頼性と製造性が良くない。
【0003】
また、モータのステータとブッシュとの結合は、円周に沿って密着させているものがよく使用されているが、ステータのヨーク部の機械的強度を十分に確保するために、ステータのヨーク部を狭くすることができず(ステータのヨーク部の厚さが≧6mmである必要がある)、材料の無駄およびモータのコスト上昇を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術における上記技術的課題の少なくとも1つをある程度解決することを目的とする。このため、本発明は、半歯部に継ぎ合わせてステータコアを形成することにより、ステータコアの強度が高いモータ用ステータ構造を提案する。
【0005】
本発明は、また、上記モータ用ステータ構造を有するモータを提案する。
【0006】
本発明は、また、上記モータを備えたファンを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係るモータ用ステータ構造は、前記モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて環状のステータコアを形成する複数のコアユニットを含み、各前記コアユニットは、半歯部と、ヨーク部とを含み、前記半歯部は前記ヨーク部の両端にそれぞれ設けられ、各前記半歯部には接続部が設けられ、前記周方向において、2つの前記コアユニットにおける隣接した2つの前記半歯部が、各々の接続部によって接続されている。
【0008】
本発明の実施例に係るモータ用ステータ構造によれば、半歯部に継ぎ合せ位置を設定することにより、継ぎ合せ位置がヨーク部に与える影響を低減し、ステータコアの強度を高くすることを保証する。
【0009】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記コアユニットは、前記ヨーク部に設けられ且つ両端の2つの前記半歯部の間に位置する全歯部をさらに含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施例によれば、2つの前記半歯部は、各々の前記接続部によって接続された後、1つの前記全歯部を形成する。
【0011】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記コアユニットにおける一方の前記半歯部には凹溝が設けられ、他方の前記半歯部には突起が設けられ、前記凹溝と前記突起は前記接続部として構成される。
【0012】
本発明のいくつかの実施例によれば、各前記半歯部は、隣接した他の前記半歯部と接続するのに適した接続側面を有し、前記凹溝は、前記接続側面から凹み、または前記突起は、前記接続側面から突出している。
【0013】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記モータの径方向において、前記凹溝または前記突起は、対応する前記接続側面の中央位置にある。
【0014】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記突起の2つの軸方向端面は、対応する前記半歯部の2つの軸方向端面とそれぞれ面一であり、前記凹溝は、前記モータの軸方向に沿って延伸し、対応する前記半歯部の2つの軸方向端面を貫通する。
【0015】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記凹溝の開口幅は、前記凹溝の基部の幅よりも小さく、前記突起は、前記凹溝の形状に適合している。
【0016】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記ヨーク部の径方向幅と前記全歯部の周方向幅との比は、1/2~2/3である。
【0017】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記接続部の周方向幅と前記全歯部の周方向幅との比は、0.15~0.4である。
【0018】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記コアユニットの径方向幅をF、前記全歯部の周方向幅をD、前記ヨーク部の径方向幅をEとしたとき、D、E、Fは、E+0.5D≦F≦E+Dの関係式を満たす。
【0019】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記コアユニットは円弧状構造であり、前記コアユニットの内径と前記コアユニットの外径との比は、0.6~0.95である。
【0020】
本発明のいくつかの実施例によれば、ステータ構造は、前記ステータコアの軸方向両端に固定された環状の絶縁フレームをさらに含み、前記絶縁フレームは、少なくとも隣接した2つの前記全歯部の間に嵌入される嵌設部を有し、前記嵌設部は、巻線逃がし溝を有する。
【0021】
本発明のいくつかの実施例によれば、少なくとも一端の前記絶縁フレームは、前記ステータコアの軸方向に沿って前記コアユニットから離反する側へ突出するフレーム止め輪を有する。
【0022】
本発明の第2態様の実施例に係るモータは、前記モータ用ステータ構造を含む。
【0023】
本発明の第3態様の実施例に係るファンは、前記モータと、前記モータによって回転駆動されるファンブレードと、を含む。
【0024】
本発明の追加的な態様および利点は、以下の説明において部分的に説明され、部分は以下の説明から明らかになるか、または本発明の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図3】ステータコアと絶縁フレームの組立模式図である。
【
図4】フレーム止め輪を有する絶縁フレームの斜視模式図である。
【
図5】フレーム止め輪を有する絶縁フレームの平面図である。
【
図6】フレーム止め輪を有する絶縁フレームの正面図である。
【符号の説明】
【0026】
31 ステータコア
311 コアユニット
312 半歯部
3121 第1半歯部
3122 第2半歯部
313 ヨーク部
314 接続部
3141 第1接続部
3142 第2接続部
315 全歯部
3161 第1接続側面
3162 第2接続側面
317 巻線溝
318 ストッパ構造
33 第1絶縁フレーム
331 フレーム止め輪
332 フレーム本体
333 嵌設部
34 第2絶縁フレーム
35 巻線逃がし溝
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施例を詳細に説明し、上記本実施例の例は、最初から最後まで同一または類似の符号が同一または類似の要素、または同一または類似の機能を有する要素を表す図面に示されている。以下に、図面を参照して説明する実施例は、本発明を解釈するための例示であり、本発明に対する制限と理解できない。
【0028】
本発明の説明において、用語「縦」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に基づく方位又は位置関係であり、単に本発明の説明を便利化及び簡略化するためのものであり、当該装置や要素が必ず特定の方位を持って特定の方位で構成され作動しなければならないことを指示したり暗示したりするものではないため、本発明に対する制限と理解できない。
【0029】
また、用語「第1」、「第2」は、単に目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を指示したり暗示したり、または指示された技術的特徴の数を暗黙的に表すものと理解できない。これにより、「第1」、「第2」に制限された特徴は、1つまたは複数の該特徴を明示的または暗黙的に含むことができる。本発明に対する説明において、「複数」は、特に明確で具体的な限定がない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0030】
本発明においては、特に明確な規定と限定がない限り、「取付」、「接続」、「連結」、「固定」などの用語は広義的意味で理解しなければならず、例えば、固定接続、取り外し可能な接続または一体化、機械的接続、電気的接続または相互通信、直接接続または中間媒体による間接接続、2つの要素の内部の連通や2つの要素の相互作用関係であってもよい。本分野の通常の技術者の場合、本発明における上記用語の具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0031】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の実施例に係るモータ用ステータ構造について詳細に説明する。
【0032】
図1~
図2を参照すると、本発明の実施例に係るモータ用ステータ構造は、モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて環状のステータコア31を形成する複数のコアユニット311を含むことができる。例えば、
図2に示す具体例において、3つのコアユニット311は、モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて、完全な環状のステータコア31を形成する。
【0033】
選択的に、コアユニット311は、軟磁性材料を積層して構成することができる。
【0034】
各コアユニット311は、ヨーク部313の両端にそれぞれ設けられた半歯部312と、ヨーク部313とを含むことができ、各半歯部312には接続部314が設けられ、周方向において、2つのコアユニット311のうち隣接した2つの半歯部312は、それぞれの接続部314によって互いに接続される。具体的には、各コアユニット311の半歯部312は、ヨーク部313の一端に設けられた第1半歯部3121と、ヨーク部313の他端に設けられた第2半歯部3122とを含み、接続部314は、第1半歯部3121に設けられた第1接続部3141と、第2半歯部3122に設けられた第2接続部3142とを含み、1つのコアユニット311の第1半歯部3121における第1接続部3141は、隣接したコアユニット311の第2半歯部3122における第2接続部3142に接続され、隣接した2つのコアユニット311の継ぎ合せを実現する。締結具を介さずに、ステータ構造の軽量化、組立ステップの削減、コストの削減、工数の削減が可能である。
【0035】
本発明の実施例のモータ用ステータ構造によると、隣接した2つのコアユニット311の継ぎ合せ位置を半歯部312上に設定することにより、継ぎ合せ位置がヨーク部313に与える影響を低減し、ステータコア31の強度を高くするとともに、ステータコアを全体に打ち抜く際の中央の材料の無駄を避け、コア材料の損失を低減し、ステータ構造の重量を軽減し、ステータ構造のコストを低減し、工程の難易度を低減することができる。また、本発明の実施例のステータ構造は、ヨーク部313をより細くでき、径方向の環幅の超薄化と、大きな中空領域を実現する。モータの径方向での環幅の超薄化を実現することで、環状のモータの環幅を非常に薄くする(≦軸受環幅+6mm)とともに、薄型大口径構造のモータを提供でき、機器全体の形状をより多様化させ、且つ環状のモータの構造的強度と電気的安全性を確保することができる。
【0036】
本発明のいくつかの実施例では、
図1~
図2を参照して示すように、コアユニット311は、ヨーク部313に設けられ且つ両端の2つの半歯部312の間に位置する全歯部315を含むことができる。具体的には、ヨーク部313の一端は第1半歯部3121であり、ヨーク部313の他端は第2半歯部3122であり、全歯部315は第1半歯部3121と第2半歯部3122との間に位置する。全歯部315の数は、例えば5個、6個などの複数個であり、隣接した2つの全歯部315の間には巻線溝317が形成され、ステータ巻線は巻線溝317で巻回されるようになっている。
【0037】
本発明のいくつかの実施例では、2つの半歯部312は、それぞれの接続部314によって接続されて1つの全歯部315を形成する。各全歯部315の周方向の幅は等しく、かつ、任意の隣接した2つの全歯部315間の周方向の距離は等しく、ステータコア31の構造が均一である。
【0038】
ステータコア31の場合、選択的に、全歯部315の数が15個以上45個以下であり、且つ全歯部315の数は3の整数倍である。
【0039】
本発明のいくつかの実施例では、コアユニット311の一方の半歯部312には凹溝が設けられ、他方の半歯部312には突起が設けられ、凹溝と突起が接続部314として構成される。換言すると、第1接続部3141は凹溝であり、第2接続部3142は突起である。2つのコアユニット311を継ぎ合せる際に、1つのコアユニット311の凹溝が隣接したコアユニット311の突起に嵌合し、2つのコアユニット311の接続を実現する。
【0040】
本発明のいくつかの実施例では、各半歯部312は、隣接した他の半歯部312と接続するのに適した接続側面を有し、凹溝が接続側面から凹み、または、突起が接続側面から突出している。具体的には、第1半歯部3121は、第1接続側面3161を有し、第1接続側面3161には、第1接続側面3161から凹んだ凹溝が設けられている。第2半歯部3122は、第2接続側面3162を有し、第2接続側面3162には、第2接続側面3162から突出する突起が設けられている。隣接した2つのコアユニット311を継ぎ合せる際に、2つのコアユニット311の接続側面が密着する。
【0041】
本発明のいくつかの実施例では、モータの径方向において、凹溝または突起は、対応する接続側面の中央位置にある。例えば、凹溝は第1接続側面3161の中央位置にあり、突起は第2接続側面3162の中央位置にある。このようにすることで、接続部314が半歯部312に与える強度の影響は小さくなり、さらに、複数のコアユニット311を1つのステータコア31に継ぎ合せる際に、ステータコア31の強度が高くなる。
【0042】
本発明のいくつかの実施例では、突起の2つの軸方向端面は、対応する半歯部312の2つの軸方向端面とそれぞれ面一とされ、凹溝は、モータの軸方向に沿って延在し、対応する半歯部312の2つの軸方向端面を貫通する。換言すると、突起はコアユニット311の軸方向に沿って延在し、突起の軸方向高さは半歯部312の軸方向高さと等しい。同様に、凹溝はコアユニット311の軸方向に沿って延在し、凹溝の軸方向高さは半歯部312の軸方向高さと等しい。
【0043】
本発明のいくつかの実施例では、凹溝の開口幅は凹溝の基部の幅よりも小さく、突起は凹溝の形状に適合している。このように、凹溝と突起はいずれもアリ形状(鳩尾形)に構成され、凹溝と隣接した突起とが蟻継ぎを構成し、凹溝と突起とが嵌合すると、接続強度が高く、2つのコアユニット311が分離しにくくなる。突起は組立する際に軸方向に沿って凹溝内に挿入できる。ほぞの蟻継ぎ方式による継ぎ合せ方法を採用して各コアユニット311を効率的かつ迅速に密着連結させることができる。コアユニット311を打ち抜く時、帯状材料で実現可能であり、材料の利用率を効果的に向上させることができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施例では、ヨーク部313の径方向幅と全歯部315の周方向幅との比は、1/2~2/3である。具体的には、ヨーク部313の径方向幅をE、全歯部315の周方向幅をDとしたとき、1/2≦E/D≦2/3である。E/Dが1/2~2/3を超えると、モータのステータコア31の利用率が低く、磁気効率が低くなるため、モータの全歯部315の歯数をあまり多くすることはできず、通常、業界での永久磁石アウタロータモータの全歯部315の歯数が6~12歯に集中し、ステータコア31の環状を狭くすることも制約される。
【0045】
選択的に、E/Dは0.5、0.55、0.6、0.66等であってもよい。もちろん、E/Dは1/2~2/3の間の他の数値であってもよく、ここでは一つ一つ列挙しない。具体例では、D=5mm、E=2.6mm、E/D=0.52である。
【0046】
全歯部315の周方向幅Dはヨーク部313の径方向幅Eよりも広く、かつ、蟻継ぎは磁束の正常的な流れに影響を与えることなく磁界の流れる方向に沿って平行に分離されるので、ステータコア31の効率に影響を与えず、同時にはめ込み後ステータコア31の高い機械的強度を確保する。
【0047】
本発明のいくつかの実施例では、接続部314の周方向幅と全歯部315の周方向幅との比は、0.15~0.4である。具体的には、接続部314の周方向幅をC、全歯部315の周方向幅をDとしたとき、0.15≦C/D≦0.4である。選択的に、C/Dは0.15、0.2、0.3、0.4等であってもよい。もちろん、C/Dは0.15~0.4の間のその他の数値であってもよく、ここでは一つ一つ列挙しない。C/D<0.15の場合、接続部314の周方向幅が小さくなるため隣接した2つのコアユニット311の接続部314の接続強度が小さくなる。C/D>0.4の場合、接続部314の周方向幅が長くなるため磁気抵抗が大きくなりすぎ、ステータコア31の発熱及び破損が増大し、モータの効率が低下する。
【0048】
具体例では、C=1mm、D=5mm、C/D=0.2である。
【0049】
本発明のいくつかの実施例では、コアユニット311の径方向幅をF、全歯部315の周方向幅をD、ヨーク部313の径方向幅をEとしたとき、D、E、Fは、E+0.5D≦F≦E+Dの関係式を満たす。F<E+0.5Dの場合、コアユニット311の径方向幅が小さすぎるためステータ巻線工程が困難になる。あるいは、全歯部315の周方向幅とヨーク部313の径方向幅が大きすぎるため材料利用率が低くなり、モータのコストが高くなる。F>E+Dの場合、全歯部315の周方向幅およびヨーク部313の径方向幅が小さすぎるため、磁路が長くなりすぎ、損耗が大きくなり、モータの効率が低下する。
【0050】
選択的に、F=E+0.76Dである。具体例では、D=5mm、E=2.6mm、F=6.4mmである。
【0051】
本発明のいくつかの実施例では、コアユニット311は円弧状構造であり、コアユニット311の内径とコアユニット311の外径との比は、0.6~0.95である。コアユニット311の内径をR1、コアユニット311の外径をR2としたとき、0.6≦R1/R2≦0.95である。選択的に、R1/R2は0.7、0.75、0.8、0.85、0.9等であってもよい。もちろん、R1/R2は0.6~0.95の間のその他の数値であってもよく、ここでは一つ一つ列挙しない。R1/R2<0.6の場合、コアユニット311の径方向幅(ステータコア31の環幅とも呼ばれる)が大きくなり、ステータコア31の外径を確保する必要がある場合、ステータコア31の内孔が小さすぎて中空内孔の風吹出し効果に影響を与え、ステータコア31の内径を確保する必要がある場合、ステータコア31の外径が大きすぎてファンブレードの作業面積に影響を与え、ひいては吹出し風量に影響を与える。R1/R2>0.95の場合、全歯部315の径方向幅とヨーク部313の径方向幅が小さすぎるため、ステータコア31の磁束密度が高く、鉄損が大きく、発熱が高くなり、モータの効率に影響を与える。
【0052】
選択的に、R1/R2は、0.7≦R1/R2≦0.9をさらに満たす。
【0053】
具体例では、R1およびR2は内半径値であって、R1=80.2mm、R2=93mm、R1/R2≒0.86であってもよい。
【0054】
コアユニット311の内周面にストッパ構造318を設けることにより、モータの他の部品の外周にステータコア31を外嵌めする時、ストッパ構造318により該部品との位置決め係合を実現でき、例えば、ステータコア31がステータブッシュに嵌め込まれた後、ストッパ構造318がステータブッシュに係合することで、ステータコア31とステータブッシュとの周方向の摺動の発生を効果的に制限し、ステータコア31とステータブッシュとのがたつきの発生を防止し、これにより、ステータコア31とステータブッシュとの間の振動及び騒音の発生を防止し、同時にステータブッシュとステータコア31との締まり嵌めによるステータコア31の変形を避けることができる。また、ステータコア31とステータブッシュとの間で、円周に沿う密着に依存せず周方向の位置決めを実現する場合、ステータコア31のヨーク部313の厚さは、例えば6mm未満に狭く設定できる。
【0055】
選択的に、ストッパ構造318は、コアユニット311の内周面を突出させてもよいし、コアユニット311の内周面から凹んだ溝状に形成してもよい。
【0056】
本発明のいくつかの実施例では、ステータ構造は、ステータコア31の軸方向両端に固定された環状の絶縁フレームをさらに備える。具体的には、絶縁フレームは、ステータコア31の軸方向一端に固定された第1絶縁フレーム33と、ステータコア31の軸方向他端に固定された第2絶縁フレーム34とを備える。第1絶縁フレーム33および第2絶縁フレーム34は、ステータコア31の軸方向両端を絶縁保護することで、ステータ構造の使用安全性を向上させる。各絶縁フレームは、一体構造であってもよいし、複数のフレームパーツが継ぎ合わされてなる環状構造であってもよい。また、ステータコア31の両端に環状の絶縁フレームがそれぞれ嵌め込まれることにより、隣接した2つのコアユニット311間の分離が容易ではなくなり、環状のステータコア31の構造的安定性をさらに高めることができる。業界で、低圧永久磁石アウタロータモータのステータ絶縁は絶縁層コーティング方法で絶縁を実現するものもあるが、この方法はただ絶縁保護効果を奏するのみであり、ステータコア31の円周強度になんら寄与せず、コーティング層が剥がれやすく、安全事故を起こしやすい。
【0057】
絶縁フレームの円周止め輪構造により、ステータコア31の円周強度を効果的かつ一層強化することができ、ヨーク幅313をより狭くすることもでき、ステータ歯数をより多く選択することで、モータの性能をより安定かつ確実にするとともに、ロータ回転時の振動及び騒音を効果的に防止・低減することができる。
【0058】
絶縁フレームは、少なくとも隣接した2つの全歯部315の間に嵌入される嵌設部333を有し、嵌設部333は、ステータ巻線を逃がすための巻線逃がし溝35を有する。すなわち、絶縁フレームとステータコア31とは嵌設固定でき、このため、嵌設部333は、隣接した2つの全歯部315間の位置を絶縁保護することができ、嵌設部333はステータコア31の軸方向空間を余分に占有しない。
【0059】
本発明のいくつかの実施例では、少なくとも一端の絶縁フレームは、ステータコア31の軸方向に沿って、コアユニット311から離反する側へ突出するフレーム止め輪331を有し、フレーム止め輪331は、絶縁フレームの構造的強度を高める一方、ステータコア31とモータ内の他の構造とを分離させてモータの電気的安全距離を高めることができる。
図3~
図4に示すように、第1絶縁フレーム33は、一例として、フレーム本体332と、フレーム本体332に接続され且つコアユニット311の軸方向に沿ってコアユニット311から離反する側へ突出するフレーム止め輪331とを備えている。
【0060】
以下、本発明の一具体例に係るモータ用ステータ構造について説明する。
【0061】
ステータ構造は、モータの周方向に沿って互いの端部が継ぎ合わされて環状のステータコア31を形成する複数のコアユニット311と、第1絶縁フレーム33と、第2絶縁フレーム34と、を含む。各コアユニット311は、ヨーク部313と、ヨーク部313の一端に設けられた第1半歯部3121と、ヨーク部313の他端に設けられた第2半歯部3122と、第1半歯部3121と第2半歯部3122との間に位置する5つの全歯部315と、を含み、第1半歯部3121には凹溝が設けられ、第2半歯部3122には突起が設けられ、凹溝と突起はいずれもアリ形状に構成される。コアユニット311の軸方向において、突起の軸方向高さは半歯部312の軸方向高さと等しく、凹溝の軸方向高さは半歯部312の軸方向高さと等しい。突起又は凹溝の周方向幅をC、全歯部315の周方向幅をD、ヨーク部313の径方向幅をE、コアユニット311の径方向幅をF、コアユニット311の内半径をR1、コアユニット311の外半径をR2としたとき、C=1mm、D=5mm、E=2.6mm、F=6.4mm、R1/R2=0.8である。第1絶縁フレーム33はステータコア31の軸方向一端に固定され、第2絶縁フレーム34はステータコア31の軸方向他端に固定される。第1絶縁フレーム33および第2絶縁フレーム34は、いずれも隣接した2つの全歯部315との間に嵌入する嵌設部333を有し、嵌設部333は巻線逃がし溝35を有する。第1絶縁フレーム33は、フレーム本体332と、フレーム本体332に連結され且つコアユニット311の軸方向に沿ってコアユニット311から離反する側へ突出するフレーム止め輪331と、を含み。
【0062】
本発明の第2態様の実施例に係るモータは、上述したモータ用ステータ構造を含む。
【0063】
本発明の第3態様の実施例に係るファンは、モータと、上述したモータによって回転駆動されるファンブレードと、を含む。
【0064】
本明細書の説明において、用語「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示」、「具体例」、または「いくつかの例示」等を参照する説明は、この実施例または例示に結合して説明された具体的な特徴、構造、材料または特性が本発明の少なくとも一つの実施例または例示に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の概略的表現は、必ずしも同一の実施例又は例示を対象とすべきものではない。さらに、説明された具体的な特徴、構造、材料または特性は、任意の一つまたは複数の実施例または例示で適切な方法で結合することができる。また、当業者は、本明細書に記載されている異なる実施例または例を結合・組み合わせることができる。
【0065】
以上、本発明の実施例を示し、説明したが、上述した実施例は例示的なものと理解され、本発明に対する制限と理解できず、本分野の通常の技術者は本発明の範囲内で上記実施例を変更、修正、交替及び変形することができる。
【外国語明細書】