(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026051
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】ハット型ストリンガのための磁気的ハンドリングシステム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
B64C 1/06 20060101AFI20240220BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B64C1/06
B29C70/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023131790
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】17/888,381
(32)【優先日】2022-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アーン, ジョナサン ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン, クリストファー ロバート
(72)【発明者】
【氏名】フリツケ, リカルド アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】トン, シュオナン
(72)【発明者】
【氏名】キーフ, ボニー アン
(72)【発明者】
【氏名】サンティアーゴ, ジョナサン アレハンドロ
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG28
4F205AH31
4F205AM29
4F205HA09
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ハット型ストリンガのための磁気的ハンドリングシステム及び関連する方法を提供する。
【解決手段】磁気的ハンドリングシステムが、ブラダ及び磁気的キャリッジシステムを備える。ブラダは、ハット型ストリンガのストリンガ内部空間内で収容されるよう構成され、複数の磁壁を有する磁気的挿入部を含み、磁壁のそれぞれが、ハット型ストリンガの壁部と位置合わせされるよう構成される。磁気的キャリッジシステムが、磁気ヘッドを有するキャリッジを備え、磁気ヘッドが、複数の磁気源を含む。各磁気源が、それぞれの磁壁と磁気的に結合して、磁気的吸引力を生成するよう構成される。方法が、複数の磁気的挿入部を有するブラダをハット型ストリンガ内に配置することと、複数の磁気ヘッドを複数の磁気的挿入部と磁気的に係合させることと、少なくとも1つの磁気ヘッドを他の磁気ヘッドに対して移動させることでハット型ストリンガを合わせることと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハット型ストリンガ(10)のための磁気的ハンドリングシステム(100)であって、前記ハット型ストリンガ(10)が、ストリンガ内部空間(20)を画定する複数の壁部(14)を有する壁(12)を含み、前記磁気的ハンドリングシステム(100)が、
前記ハット型ストリンガ(10)の前記ストリンガ内部空間(20)内に収容されるよう構成され、かつ磁気的挿入部(120)を含むブラダ(102)であって、前記磁気的挿入部(120)が、複数の磁壁(122)を含み、前記複数の磁壁(122)のそれぞれが、前記ハット型ストリンガ(10)の前記複数の壁部(14)のそれぞれの壁部(14)と少なくとも実質的に位置合わせれて延在するよう配置され配向されている、ブラダ(102)と、
支持構造(250)に結合されるよう構成されたキャリッジ(202)を含み、かつ磁気ヘッド(204)を含む磁気的キャリッジシステム(200)であって、前記磁気ヘッド(204)が、ブラケット(206)と、前記ブラケット(206)によって支持された複数の磁気源(208)と、を含み、各磁気源(208)が、前記磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁壁(122)と磁気的に結合して、これらの間に磁気的吸引力(50)を生成するよう構成される、磁気的キャリッジシステム(200)と、
を備え、
前記複数の磁気源(208)と前記複数の磁壁(122)とが、互いに磁気的に結合して、これらの間に、異なる方向に沿って配向された複数の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成される、
磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項2】
前記磁気的挿入部(120)の前記複数の磁壁(122)が、前記ハット型ストリンガ(10)の側壁部の対(16)と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するようそれぞれ配置され配向された側方磁壁の対(124)を含み、前記磁気ヘッド(204)の前記複数の磁気源(208)が、前記磁気的挿入部(120)の前記側方磁壁の対(124)と磁気的に結合するようそれぞれ構成された側方磁気源の対(212)を含む、請求項1に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項3】
前記ハット型ストリンガ(10)が、前記ブラダ(102)と前記磁気ヘッド(204)との間に動作可能に収容されているときには、前記側方磁壁の対(124)の各側方磁壁(124)と、前記側方磁気源の対(212)のそれぞれの側方磁気源(212)と、の間で生成される前記磁気的吸引力(50)が、前記ハット型ストリンガ(10)の前記側壁部の対(16)のそれぞれの側壁部(16)を通って、かつ当該それぞれの側壁部(16)に対して少なくとも実質的に垂直に方向付けられる、請求項2に記載の磁気的処理システム(100)。
【請求項4】
前記側方磁気源の対(212)の第1の側方磁気源(212)が、前記側方磁壁の対(124)の第1の側方磁壁(124)と磁気的に結合して、これらの間に、前記複数の磁気的吸引力(50)の第1の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、前記第1の磁気的吸引力(50)が、第1の方向(52)に沿って配向され、前記側方磁気源の対(212)の第2の側方磁気源(212)が、前記側方磁壁の対(124)の第2の側方磁壁(124)と磁気的に結合して、これらの間に、前記複数の磁気的吸引力(50)の第2の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、前記第2の磁気的吸引力(50)が、第2の方向(54)に沿って配向され、前記第1の方向(52)が、前記第2の方向(54)とは少なくとも部分的に反対であり、任意選択的に、前記第2の方向(54)とは少なくとも実質的に反対である、請求項2又は3に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項5】
前記磁気的挿入部(120)の前記複数の磁壁(122)が、キャップ磁壁(126)をさらに含み、前記キャップ磁壁(126)が、前記ハット型ストリンガ(10)のキャップ壁部(18)と少なくとも実質的に位置合わせされて配置され配向されており、前記キャップ壁部(18)が、前記ハット型ストリンガ(10)の前記側壁部の対(16)の間に延在して当該側壁部の対(16)を相互接続し、前記磁気ヘッド(204)の前記複数の磁気源(208)が、キャップ磁気源(214)をさらに含み、前記キャップ磁気源(214)が、前記磁気的挿入部(120)の前記キャップ磁壁(126)と磁気的に結合して、これらの間に、前記複数の磁気的吸引力(50)の第3の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、前記第3の磁気的吸引力(50)が、前記第1の方向(52)及び前記第2の方向(54)のそれぞれに対して少なくとも部分的に垂直な第3の方向(56)に沿って配向される、請求項4に記載の磁気的操作システム(100)。
【請求項6】
前記ブラダ(102)が、前記ブラダ(102)のブラダ長(104)に沿って互いに間隔を置いた複数の磁気的挿入部(120)を含み、前記複数の磁気的挿入部(120)が、所望のストリンガ長手方向配置(42)に前記ハット型ストリンガ(10)を合わせるために、それぞれの複数の磁気ヘッド(204)と磁気的に係合するよう構成され、磁気的キャリッジシステム(200)が、前記複数の磁気ヘッド(204)を集合的に含む複数のキャリッジ(202)を含み、前記複数の磁気ヘッド(204)の各磁気ヘッド(204)が、前記複数の磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁気的挿入部(120)と磁気的に係合するよう構成される、請求項1に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項7】
前記磁気的ハンドリングシステム(100)が、前記複数のキャリッジ(202)を前記支持構造(250)に動作可能に接続する複数のロボットアーム(230)をさらに含み、各ロボットアーム(230)が、前記複数のキャリッジ(202)のそれぞれのキャリッジ(202)の位置及び配向を制御するよう構成される、請求項6に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項8】
前記複数のロボットアーム(230)の少なくとも1つのロボットアーム(230)が、
(i)前記それぞれのキャリッジ(202)の前記磁気ヘッド(204)をその長手方向軸(60)周りで回転させて、前記ハット型ストリンガ(10)に対して捻りを加えることと、
(ii)前記それぞれのキャリッジ(202)を、前記複数のキャリッジ(202)の少なくとも1つの他のキャリッジ(202)に対して横方向に移動させて、前記ハット型ストリンガ(10)に対して歪みを加えることと、
(iii)前記それぞれのキャリッジ(202)を、前記複数のキャリッジ(202)の少なくとも1つの他のキャリッジ(202)に対してアジマス軸(68)に沿って移動させて、前記ハット型ストリンガ(10)に対して傾斜を加えることと、
のうちの少なくとも1つのことを行うよう構成される、請求項7に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【請求項9】
磁気的ハンドリングシステム(100)を利用してハット型ストリンガ(10)を取り扱う方法(500)であって、
前記ハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内にブラダ(102)を配置することであって、前記ブラダ(102)が、前記ブラダ(102)のブラダ長(104)に沿って分散した、前記ブラダ(102)内に配置された複数の磁気的挿入部(120)を含む、ブラダ(102)を配置することと、
複数の磁気ヘッド(204)を、各磁気ヘッド(204)が前記複数の磁気的挿入部(120)の対応する磁気的挿入部(120)と位置合わせされるように、前記ハット型ストリンガ(10)に対して動作可能に配置すること(515)と、
前記ブラダ(102)が前記ストリンガ内部空間(20)で収容されている間に、各磁気ヘッド(204)を前記対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合させること(520)と、
所望のストリンガ長手方向配置(42)に前記ハット型ストリンガ(10)を合わせること(535)であって、前記合わせること(535)が、前記磁気的に係合させること(520)の後に、各磁気ヘッド(204)が前記対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合している間に実行される、前記ハット型ストリンガ(10)を合わせること(535)と、
を含む、方法(500)。
【請求項10】
前記ハット型ストリンガ(10)が、前記合わせること(535)の間に、前記複数の磁気ヘッド(204)と前記ブラダ(102)との間に動作可能に保持され、前記合わせること(535)が、少なくとも1つの磁気ヘッド(204)を少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して移動させることを含む、請求項9に記載の方法(500)。
【請求項11】
前記合わせること(535)は、前記ハット型ストリンガ(10)に対して捻りを加えること(540)を含み、前記捻りを加えること(540)が、前記複数の磁気ヘッド(204)のうちの磁気ヘッド(204)を、前記複数の磁気ヘッド(204)の少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して、その長手方向軸(60)周りに回転させることを含む、請求項9又は10に記載の方法(500)。
【請求項12】
前記捻りを加えること(540)が、前記磁気ヘッド(204)と、前記対応する磁気的挿入部(120)との間の複数の磁気的吸引力(50)を用いて、前記ハット型ストリンガ(10)からの反対向きの捻りトルクを平衡化することをさらに含む、請求項11に記載の方法(500)。
【請求項13】
前記合わせること(535)は、前記ハット型ストリンガ(10)に対して歪みを加えること(545)を含み、前記歪みを加えること(545)が、少なくとも1つの磁気ヘッド(204)を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して横方向に移動させることを含む、請求項9又は10に記載の方法(500)。
【請求項14】
前記合わせること(535)は、前記ハット型ストリンガ(10)に対して傾斜を加えること(550)を含み、前記傾斜を加えること(550)が、1つ以上の磁気ヘッド(204)を、1つ以上の他の磁気ヘッド(204)に対して垂直方向に移動させることを含む、請求項9又は10に記載の方法(500)。
【請求項15】
前記所望のストリンガ長手方向配置(42)で前記ハット型ストリンガ(10)を維持すること(555)と、前記所望のストリンガ長手方向配置(42)において前記ハット型ストリンガ(10)を航空機外板(30)に敷設すること(560)と、をさらに含む、請求項9又は10に記載の方法(500)。
【請求項16】
前記磁気的に係合させること(520)が、各磁気ヘッド(204)及び前記対応する磁気的挿入部(120)について、前記磁気的挿入部(120)の側方磁壁の対(124)を、前記磁気ヘッド(204)の側方磁気源の対(212)と磁気的に結合すること(525)と、前記磁気的挿入部(120)のキャップ磁壁(126)を、前記磁気ヘッド(204)のキャップ磁気源(214)と磁気的に結合すること(525)と、を含み、前記磁気的挿入部(120)の前記側方磁壁の対(124)が、前記ハット型ストリンガ(10)の側方壁部の対と少なくとも実質的に位置合わせされ、前記磁気的挿入部(120)の前記キャップ磁壁(126)が、前記ハット型ストリンガ(10)のキャップ壁部(18)と少なくとも実質的に位置合わせされる、請求項9又は10に記載の方法(500)。
【請求項17】
磁気的ハンドリングシステム(100)を利用してハット型ストリンガ(10)を取り扱う方法(500)であって、
前記ハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内にブラダ(102)を配置することであって、前記ブラダ(102)が、前記ブラダ(102)のブラダ長(104)に沿って分散した、前記ブラダ(102)内に配置された複数の磁気的挿入部(120)を含む、ブラダ(102)を配置することと、
複数の磁気ヘッド(204)を、各磁気ヘッド(204)が前記複数の磁気的挿入部(120)の対応する磁気的挿入部(120)と位置合わせされるように、前記ハット型ストリンガ(10)に対して動作可能に配置すること(515)と、
前記ブラダ(102)が前記ストリンガ内部空間(20)で収容されている間に、各磁気ヘッド(204)を前記対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合させること(520)であって、前記磁気的に係合させること(520)が、各磁気ヘッド(204)及び前記対応する磁気的挿入部(120)について、
各磁気ヘッド(204)内に含まれる複数の磁気源(208)を、前記対応する磁気的挿入部(120)内に含まれる対応する複数の磁壁(122)と磁気的に結合すること(525)を含み、前記磁気的に結合すること(525)が、各磁気ヘッド(204)と前記複数の磁壁(122)との間で複数の磁気的吸引力(50)を生成することを含み、前記複数の磁気的吸引力(50)が複数の異なる方向に沿ってそれぞれ配向される、
前記磁気的に係合させること(520)と、
前記複数の磁気的吸引力(50)を利用して、前記ハット型ストリンガ(10)を前記磁気ヘッド(204)のブラケット(206)内で保持すること(530)と、
を含む、方法(500)。
【請求項18】
前記配置すること(505)が、前記ブラダ(102)のブラダ外表面(106)に対して前記ストリンガ内部空間(20)を画定する、前記ハット型ストリンガ(10)のストリンガ壁内表面(24)を支持することを含み、前記複数の磁気的挿入部(120)が、前記ブラダ外表面(106)の内部の前記ブラダ(102)内に配置されており、前記保持すること(530)が、前記ストリンガ壁内表面(24)に当接させて前記ブラダ外表面(106)を付勢することを含む、請求項17に記載の方法(500)。
【請求項19】
前記磁気的に結合すること(525)が、前記複数の磁気源(208)の第1の側方磁気源(212)と、前記複数の磁壁(122)の第1の側方磁壁(124)と、の間で、第1の方向(52)に沿って第1の磁気的吸引力(50)を生成することと、前記複数の磁気源(208)の第2の側方磁気源(212)と、前記複数の磁壁(122)の第2の側方磁壁(124)と、の間で、第2の方向(54)に沿って第2の磁気的吸引力(50)を生成することと、を含み、前記第1の方向(52)が、前記第2の方向(54)とは少なくとも部分的に反対である、請求項17又は18に記載の方法(500)。
【請求項20】
所望のストリンガ長手方向配置(42)に前記ハット型ストリンガ(10)を合わせること(535)をさらに含み、前記合わせること(535)が、前記磁気的に係合させること(520)の後に、各磁気ヘッド(204)が前記対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合している間に実行される、請求項17又は18に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハット型ストリンガのための磁気的ハンドリングシステム及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ストリンガは、航空機に含まれた、通常は航空機外板に取りつけられる構造用要素である。例えば、航空機主翼ボックスには複数のストリンガが含まれており、これらのストリンガは、主翼ボックスの上方外板及び下方外板に取り付けられ、主翼の伸長とほぼ位置合わせされて延在する。ハット型ストリンガは、中空であって内部空間を画定し口語的にはハット形状又はオメガ形状として描写される断面形状を含む特殊な種類のストリンガである。航空機の構築中には、ハット型ストリンガを持ち上げ、運ぶ必要があり、さらにしばしば、ハット型ストリンガをそれに沿って取り付ける航空機外板の区分に合うように成形する必要がある。近年における複合材による航空機の開発により、ハット型ストリンガは繊維強化複合材料で形成されることが多く、製造中には、望まぬしわ又は変形が生じやすい未硬化の状態又は部分的に硬化した状態で取り扱われる(例えば、持ち上げられ、運ばれ、及び/又は配置される)。従来では、硬化されていない又は部分的に硬化したハット型ストリンガは、ストリンガ内部空間内に配置されたマンドレル又はブラダと、ハット型ストリンガの外表面上で受け止められた補強カバーと、補強カバーの側面に締め付ける力を加えるクランプを備えるリフト機構と、を利用して取り扱われる。ハット型ストリンガの側壁が、通常互いに向かって傾いていることに部分的に起因して、上記の従来のシステムでハット型ストリンガを持ち上げるために必要な締め付ける力が、硬化していない又は部分的に硬化したハット型ストリンガを変形させ、かつ、ストリンガの内部空間から外に向かってマンドレルを押し出す可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
磁気的ハンドリングシステム、及び磁気的ハンドリングシステムを利用してハット型ストリンガを取り扱う方法が開示される。磁気的ハンドリングシステムが、ブラダ、及び磁気的キャリッジシステムを備える。ブラダは、磁気的挿入部を含み、ハット型ストリンガのストリンガ内部空間内に収容されるよう構成されている。磁気的挿入部が、複数の磁壁を含み、複数の磁壁のそれぞれが、ハット型ストリンガのそれぞれの壁部と少なくとも実質的位置合わせされて延在するよう配置され配向されている。磁気的キャリッジシステムが、支持構造に結合されるよう構成されたキャリッジを含み、かつ磁気ヘッドを含む。磁気ヘッドが、ブラケット、及び当該ブラケットによって支持された複数の磁気源を含む。各磁気源が、磁気的挿入部のそれぞれの磁壁と磁気的に結合して、これらの間に磁気的吸引力を生成するよう構成され、これにより、複数の磁気源と、対応する磁気的に結合された複数の磁壁とが、複数の異なる方向に沿って複数の磁気的吸引力を生成する。本方法が、ハット型ストリンガのストリンガ内部空間内に、ブラダのブラダ長に沿って分散した複数の磁気的挿入部を含むブラダを配置することと、複数の磁気ヘッドを、対応する磁気的挿入部と各磁気ヘッドが位置合わせされるように、ハット型ストリンガに対して動作可能に配置することと、を含む。本方法は、ブラダがストリンガ内部空間で収容されている間に、各磁気ヘッドを上記対応する磁気的挿入部と磁気的に係合させることをさらに含む。磁気的に係合させることは、各磁気ヘッド、及び対応する磁気的挿入部について、磁気ヘッド内に含まれる複数の磁気源を、対応する磁気的挿入部内に含まれるそれぞれの複数の磁壁と磁気的に結合して、これらの間に複数の磁気的吸引力を生成することと、複数の磁気的吸引力を利用して、磁気ヘッドのブラケット内でハット型ストリンガを保持することと、を含みうる。本方法は、所望のストリンガ長手方向配置にハット型ストリンガを合わせることをさらに含みうる。上記合わせることが、磁気的に係合させることの後に、各磁気ヘッドが上記対応する磁気的挿入部と磁気的に係合している間に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本開示に係る例示的な航空機を示す概略図である。
【
図2】本開示に係る、ハット型ストリンガの例を示す概略的な断面図である。
【
図3】本開示に係る、磁気的に係合した構成における磁気的ハンドリングシステムの例を示す概略的な断面図である。
【
図4】本開示に係る磁気的ハンドリングシステムの例を示す部分的に分解された断面図である。
【
図5】本開示に係る、磁気的ハンドリングシステムの例を示す部分的に分解された側面図である。
【
図6】本開示に係る、磁気的ハンドリングシステムの追加の例を示す部分的に分解された側面図である。
【
図7】本開示に係る、キャリッジとブラダの一区分が互いに磁気的に係合している例示的な磁気的ハンドリングシステムを示す等角図である。
【
図9】本開示に係る、キャリッジとブラダの一区分が互いに磁気的に係合している例示的な磁気的ハンドリングシステムを示す等角図である。
【
図11】本開示に係る、複数のロボットアームによって支持された、複数のキャリッジを含む例示的な磁気的ハンドリングシステムを示す等角図である。
【
図12】初期の配置、及び所望のストリンガ長手方向配置にある例示的なハット型ストリンガを示す等角図である。
【
図13】本開示に係る方法の例を概略的に表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1~
図13は、本開示に係るハット型ストリンガ10、ハット型ストリンガ10を含む航空機70、磁気的ハンドリングシステム100、磁気的ハンドリングシステムを利用してハット型ストリンガを取り扱う方法500の例を提供する。同様の又は少なくとも実質的に同様の目的に適う要素には、
図1~
図13のそれぞれにおいて類似した番号が付され、これらの要素は、本明細書では、
図1~
図13のそれぞれを参照する際に詳細が述べられないこともある。同様に、
図1から
図13のそれぞれでは全ての要素に付番されない場合があるが、本明細書ではこれらに関連付けられた参照番号が一貫性のために利用されうる。
図1から
図13のうちの1つ以上を参照して本明細書で述べる要素、構成要素、及び/又は特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、
図1から
図13のいずれかに含まれてよく、及び/又は
図1から
図13のいずれかと共に利用されてよい。
【0006】
概括的に、図では、所与の例に含まれる可能性が高い要素は実線で示され、所与の例にとって任意選択的な要素は破線で示されている。しかしながら、実線で示される要素が本開示の全ての例に必須というわけではなく、実線で示される要素が、本開示の範囲を逸脱することなく、特定の例から省略されうる。
図2~
図6の概略図では、点線が、仮想の特徴(例えば、次元、軸など)を示すために利用され、これらの特徴は、図示される例にとって任意選択的であることもないこともある。
【0007】
図1は、本開示に係る、磁気的ハンドリングシステム100を利用して及び/又は方法500に従って取り扱われ及び/又は航空機70内に設置された少なくとも1つのハット型ストリンガ10を含む例示的な航空機70の図である。磁気的ハンドリングシステム100及び方法500は、本明細書では
図3~
図13を参照しながらより詳細に示され述べられる。
図1の例に示すように、航空機70は典型的に、少なくとも胴体80と、胴体80に取り付けられた主翼72と、を備える。各主翼72は、航空機主翼ボックス74を含み、各航空機主翼ボックス74が複数のハット型ストリンガ10を含む。おおまかに、ハット型ストリンガ10は、対応する主翼72の伸長87に沿って、又は少なくとも実質的に当該伸長87と位置合わせされて延在する。主翼ボックス74は、主翼72の外側を画定する航空機外板30、つまり、上方外板及び下方外板をさらに含む。各ハット型ストリンガ10は、航空機外板30の内面に取り付けられており、所望の配置で航空機外板30を支持することができる。これに対応して、各ハット型ストリンガ10は、少なくともだいたいのところ、当該ハット型ストリンガ10がそれに沿って取り付けられる航空機外板30の領域の形状に倣っている。
【0008】
幾つかの実施例において、各航空機主翼ボックス74は、少なくとも1つの航空機燃料タンク82を含むことができ、及び/又は当該燃料タンク82を画定することができる。このような実施例において、ハット型ストリンガ10のうちの少なくとも幾つかは、ベントストリンガ11であり、又はベントストリンガ11として利用されるよう構成されている。幾つかの実施例において、当該技術分野の当業者には分かるように、ベントストリンガ11は、航空機燃料タンク82に液体を入れかつ航空機燃料タンク82から液体を出すよう構成されている。航空機70はまた、少なくとも1つのエンジン76を備えることができ、各エンジン76がそれぞれの主翼72に動作可能に取り付けられうる。航空機70は、胴体80に取り付けられた尾部78をさらに含みうる。
【0009】
航空機70は、任意の適した種類の航空機を含むことができ、その例には、自家用航空機、民間航空機、貨物航空機、旅客機、軍用機、ジェット旅客機、広胴型航空機、及び/又は狭胴型航空機が含まれる。航空機70は、乗客、乗務員、貨物、及び/又はこれらの組み合わせといった任意の適切な種類のペイロード(payload)を搬送するよう構成され又は当該ペイロードを搬送するために利用されうる。
図1は、航空機70が固定翼の航空機である一例を示しているが、本開示に係るハット型ストリンガ10は、本開示の範囲を逸脱することなく、回転翼航空機及び/又はヘリコプタといった任意の他の適切な種類の航空機に含まれ及び/又は当該航空機で利用されうる。
【0010】
図2は、航空機外板30に任意選択的に取り付けられるハット型ストリンガ10の一例を示す断面図である。
図2の例示的なハット型ストリンガ10は、
図1の例示的な航空機70の航空機主翼ボックス74といった、航空機主翼ボックス74内に含まれうる。ハット型ストリンガ10はまた、ベントストリンガ11であってよく、又はベントストリンガ11として利用されうる。
図2に示すように、ハット型ストリンガ10が壁12を含み、壁12は、ストリンガ内部空間20を画定する複数の壁部14を有している。より具体的には、壁部14は、キャップ壁部18と、側方壁部の対16と、フランジの対22と、を含む。側方壁部16は、キャップ壁部18に取り付けられており、キャップ壁部18によって互いに間隔が置かれている。各フランジ22が、それぞれの側方壁部16に取り付けられ、当該側方壁部16から延びており、かつ、それぞれの側方壁部16によってキャップ壁部18から間隔が置かれている。キャップ壁部18と、側方壁部16と、フランジ22とは一体構造であってよく及び/又は互いに対して一体でありうる。幾つかの実施例において、フランジ22が、互いに対して少なくとも実質的に平行に、かつ互いに位置合わせされて延びており、フランジ22は、航空機外板30の表面に取りつけることができる。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10が、キャップ壁部18に対向しておりフランジ22間に延在するベース壁34を含む。キャップ壁部18は、側方壁部16の間に延在しており、フランジ22が、キャップ壁部18、側方壁部16、及びストリンガ内部空間20から遠ざかる方向に延在する。これに対応して、側方壁部16、キャップ壁部18、及び任意選択的にベース壁34が、ストリンガ内部空間20を画定すると描写することができる。
図2の断面図は、ハット型ストリンガ10のストリンガ長に対して直交して切られている。本明細書でより詳細に述べるように、幾つかの実施例において、壁12、当該12の一部、及び任意選択的にベース壁34が、ハット型ストリンガ10のストリンガ全長に延在する。ハット型ストリンガ10は、任意の適切なストリンガ長を有し、その例には、少なくとも2メートル、少なくとも3メートル、少なくとも4メートル、少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、少なくとも15メートル、少なくとも20メートル、少なくとも25メートル、最大で5メートル、最大で10メートル、最大で15メートル、最大で20メートル、最大で25メートル、及び/又は最大で30メートルが含まれる。
【0011】
各側方壁部16は、それぞれのフランジ22に対して、かつキャップ壁部18に対して直角に延在しており、これにより、側方壁部16が、航空機外板30から間隔をとって、又はある意味では航空機外板30より上で、キャップ壁部18を支持する。側方壁部16は、フランジ22とキャップ壁部18との間を対称的の延在しうる。より具体的には、幾つかの実施例において、各側方壁部16が、キャップ壁部18に対して側壁角32において延在する。適切な側壁角32の例には、少なくとも65°、少なくとも70°、少なくとも75°、少なくとも80°、少なくとも90°、少なくとも95°、少なくとも100°、最大で80°、最大で90°、最大で95°、最大で100°、最大で105°、及び/又は最大で110°が含まれ、但し、90°より大きい側壁角32は、互いに向かって突出した側方壁部16に対応している。壁12が、ストリンガ壁内表面24とストリンガ壁外表面26との間で測定される壁の厚さ33を定める。幾つかの実施例において、壁の厚さ33は側方壁部16に沿って、及び任意選択的にキャップ壁部18に沿って、少なくとも実質的に同じである。幾つかの実施例において、壁の幅は、少なくとも2ミリメートル、少なくとも5ミリメートル、少なくとも8ミリメートル、少なくとも10ミリメートル、少なくとも15ミリメートル、少なくとも20ミリメートル、最大で10ミリメートル、最大で15ミリメートル、最大で20ミリメートル、及び/又は最大で25ミリメートルである。各壁部がまた、ハット型ストリンガ10のストリンガ長に対して直交する平面において測定された幅を定める。幾つかの実施例において、側方壁部16の幅は、少なくとも実質的に互いと同じであり、かつ任意選択的に、キャップ壁部18の幅と少なくとも実質的に同じであり又はキャップ壁部18の幅よりも大きい。任意の所与の壁部14の幅の例には、少なくとも2センチメートル、少なくとも3センチメートル、少なくとも4センチメートル、少なくとも5センチメートル、少なくとも6センチメートル、少なくとも7センチメートル、少なくとも8センチメートル、最大で5センチメートル、最大で6センチメートル、最大で7センチメートル、最大で8センチメートル、最大で10センチメートル、及び/又は最大で12センチメートルが含まれる。
【0012】
ハット型ストリンガ10がベントストリンガ11である例の場合、ストリンガ内部空間20は、ハット型ストリンガ10の伸長に沿って流体を導くために利用されうる。
図2は、断面形状がおおよそ台形のストリンガ内部空間20を画定するよう、ハット型ストリンガ10の壁12が成形されている例を示している。換言すれば、
図2は、ハット形状、オメガ形状を有するものとして、及び/又はオメガ型ストリンガとしてハット型ストリンガ10が描写されうる例を示している。しかしながら、
図2に特に示すものとは別の断面形状を有するハット型ストリンガ10が、本開示の範囲に含まれる。より具体的には、
図3~
図13の関連で本明細書でより詳細に述べる磁気的ハンドリングシステム100及び/又は方法500は、中空の輪郭を有し及び/又はストリンガ内部空間20を画定する任意の適切な種類のストリンガを取り扱うために利用することができる。例として、磁気的ハンドリングシステム100及び/又は方法500は、三角形の、四角形の、多角形の及び/又はアーチ状の断面形状、及び/又は1つ以上の壁部が丸みを帯びたアーチ状になった断面形状を有するストリンガを取り扱うために利用することができる。
【0013】
幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10は、繊維強化複合材料で形成され、及び/又は複合材ハット型ストリンガと称しうる。幾つかの実施例において、航空機外板30も同様に、繊維強化複合材料で形成され、及び/又は複合材外板と称しうる。繊維強化複合材料は、追加的又は代替的に、繊維強化ポリマー、又はプラスチックとして記述され得、又は繊維強化ポリマー、又はプラスチックと称しうる。本明細書では、繊維強化複合材料は、少なくともエポキシ又は他のポリマー又は結合材料を、(限定するものではないが)炭素繊維、ホウ素繊維、パラアミド(例えば、ケブラー(Kevlar)(登録商標))繊維、及び/又は他の繊維といった繊維とともに含むと理解されたい。幾つかの実施例において、繊維が、連続的な及び/又は一方向の繊維である。追加的又は代替的に、幾つかの実施例において、繊維が織り込まれて織物になっている。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10が、繊維強化複合材料の複数の層、又はプライで構築される。このような実施例において、所与の層、又はプライの繊維が、同じ方向に又は異なる方向に配向されうる。繊維強化複合材料の層又はプライの数が、ハット型ストリンガ10の壁の厚さ33を定めうる。ハット型ストリンガ10がベース壁34を含む例の場合、ベース壁34が、壁12より少ない繊維強化複合材料のプライ又は層で構築されうる。同様に、幾つかの実施例において、航空機外板30が、複数のプライの層又は繊維強化複合材料の層から構築される。
【0014】
本明細書でより詳細に述べるように、本開示に係る磁気的ハンドリングシステム100及び/又は方法500は、部分的に硬化した又は硬化されていないハット型ストリンガ10を取り扱うために利用することができる。本明細書では、ハット型ストリンガ10は、その繊維強化複合材が部分的に硬化している又は硬化していないときには、部分的に硬化している又は硬化していないとして言及される。部分的に硬化した又は硬化していない繊維強化複合材料は、硬化されて、硬化した繊維強化複合材料を形成するよう構成されており、ここで、繊維強化複合材料は、硬化された形態では、部分的に硬化した又は硬化していない形態よりも強く、より強固であり、より曲がりにくく、より変形しにくく、及び/又はより屈伸性が低い。硬化した繊維強化複合材料の層は通常、一体構造に固められる。これに対応して、部分的に硬化した又は硬化していないハット型ストリンガ10は、硬化したハット型ストリンガ10よりも柔らかく、より変形しやすく、及び/又はより曲がりやすい。より具体的には、部分的に硬化した又は硬化していないハット型ストリンガ10は操作しやすい。換言すれば、部分的に硬化した又は硬化していないハット型ストリンガが、自身がそうなるように操作される形状又は配置に適合するように、部分的に硬化した又は硬化していないハット型ストリンガ10の形状又は配置を操作することができる。以下により詳細に記載するように、幾つかの適用において、ハット型ストリンガが設置されることになる航空機外板(又は、他の表面)は、非平面的な外形を有することがあり、磁気的ハンドリングシステム100及び/又は方法500によって可能となる1つの例示的な製造技術が、部分的に硬化した又は硬化していないハット型ストリンガに対して、上記外形に対応する輪郭を与え又は強化して、共硬化のためのストリンガ及び航空機外板のより良好な配置を保証することを含む。逆に言えば、幾つかの実施例において、硬化したハット型ストリンガ10は操作しにくく、及び/又は操作された後に元の形に戻ることになる。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10が航空機外板30と共硬化しており、ここでは、航空機外板30とハット型ストリンガ10とが一緒に硬化しており、及び/又は、ハット型ストリンガ10が航空機外板30に取り付けられた後で、航空機外板30とハット型ストリンガ10とが一緒に硬化させられる。
【0015】
図3から
図5は、本開示に係る磁気的ハンドリングシステム100の例を示している。より具体的には、
図3は、磁気的に係合された構成における磁気的ハンドリングシステム100の概略的な断面図であり、
図4は、磁気的ハンドリングシステム100の部分的に分解された断面図であり、
図5は、磁気的ハンドリングシステム100の部分的に分解された概略的な側面図である。
図3~
図5では、ハット型ストリンガ10は点線で示されており、磁気的ハンドリングシステム100の示される例にとってはハット型ストリンガ10が環境であることを示している。
【0016】
図3~
図5を大まかに参照すると、磁気的ハンドリングシステム100は、ハット型ストリンガ10(例えば、
図2の例示的なハット型ストリンガ10)を取り扱うよう構成されており、ハット型ストリンガ10は、ストリンガ内部空間20を画定する複数の壁部14を有する壁12を含む。磁気的ハンドリングシステム100は、ブラダ102を含み、ブラダ102は、ストリンガ内部空間20内に収容されるよう構成されており、かつ磁気的挿入部120を含む。磁気的挿入部120は、複数の磁壁122を含み、複数の磁壁122のそれぞれが、ハット型ストリンガ10のそれぞれの壁部14と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するよう配置され配向されている。ここで、本文脈における「少なくとも実質的に位置合わせされている(at least substantially aligned)」とは、各磁壁122が、それぞれの壁部14に対して少なくとも実質的に平行に、かつ任意の他の磁壁122よりもそれぞれの壁部14の近傍で延在していることを指している。
【0017】
磁気的ハンドリングシステム100はまた、磁気的キャリッジシステム200を含む。磁気的キャリッジシステム200は、キャリッジ202を含み、キャリッジ202は、支持構造250に結合されるよう構成され、かつ磁気ヘッド204を含む。磁気ヘッド204は、ブラケット206と、当該ブラケット206によって支持された複数の磁気源208と、を含む。各磁気源208は、磁気的挿入部120のそれぞれの磁壁122と磁気的に結合して、これらの間に磁気的吸引力50を生成するよう構成されている。より具体的には、各磁気源208は、ブラダ102がブラケット206内に動作可能に収容されているときには磁気的挿入部120のそれぞれの磁壁122と磁気的に結合するよう、ブラケット206によって配置され配向されうる。これに対応して、磁気ヘッド204の複数の磁気源208と、磁気的挿入部120の複数の磁壁122とは、これらの間に複数の磁気的吸引力50を生成するよう、集合的に構成されている。
図3で最も良く分かるように、磁気ヘッド204及び磁気的挿入部120は、磁気的吸引力50が様々な方向に配向されるように構成されている。少なくとも2つの磁気的吸引力50が、少なくとも部分的に互いに反対の方向に沿って配向されうる。ここで、第2の方向とは「少なくとも部分的に反対の(at least partially opposed)」第1の方向とは、第1の方向が、第2の方向とは反対の成分、又は第2の方向に対して180°の成分を有することを意味している。
【0018】
磁気ヘッド204と磁気的挿入部120とは、各磁気源208とそれぞれの磁壁122とが互いに磁気的に結合しているときには、互いに磁気的に係合しているとして説明される。より具体的には、磁気ヘッド204とブラダ102とは、これらの間にハット型ストリンガ10の壁12を収容するよう構成されており、ここで、磁気ヘッド204の各磁気源208、及びそれぞれの磁壁122は、ハット型ストリンガ10のそれぞれの壁部14の両側に配置されている。本構成において、磁気源208と複数の磁壁122とは、互いに磁気的に結合して、ハット型ストリンガ10に対してブラダ102を付勢して、磁気ヘッド204のブラケット206内でハット型ストリンガ10を保持するよう集合的に構成されている。複数の磁気的吸引力50は、ハット型ストリンガ10、ブラダ102、及び任意選択的にカウル160を持ち上げて運ぶのに十分であり得、これにより、磁気的ハンドリングシステム100は、航空機外板30上の設置位置といった所望の位置に、ハット型ストリンガ10を配置するために利用されうる。幾つかの実施例において、複数の異なる方向に沿って配向された複数の磁気的吸引力50を生成するよう磁気ヘッド204及び磁気的挿入部120を構成することで、磁気ヘッド204及びブラダ102が、ハット型ストリンガ10に印加される垂直方向の力、捻り力、及び/又は歪める力(skew force)に抗して、ブラケット206内でハット型ストリンガ10を保持することが可能となる。本明細書でより詳細に述べるように、本構成によってまた、磁気的ハンドリングシステム100が、例えば航空機主翼ボックス74内にハット型ストリンガ10を設置するために、ハット型ストリンガ10の長手方向の配置を操作することが可能となりうる。磁気的ハンドリングシステム100はまた、この操作を、ハット型ストリンガ10が、磁気的ハンドリングシステム100によって持ち上げられ及び/又は設置位置へと運ばれている間に行うことができる。加えて、ハット型ストリンガの外側に内向きの力を印加することでハット型ストリンガに係合する従来のシステムとは対照的に、磁気的ハンドリングシステム100は、ブラケット206に向かって方向付けられた外向きの力を、ブラダ102を介してストリンガ壁内表面24に印加し、かつブラダ102に向かって方向付けられた内向きの力を、ブラケット206を介してストリンガ壁外表面26に印加することによって、ハット型ストリンガ10に係合するよう構成されている。ストリンガ壁内表面24及びストリンガ壁外表面26に対して、互いに反対向きの力を同時に印加することによって、磁気的ハンドリングシステム100は、ハット型ストリンガの外側に内向きの力を印加することでハット型ストリンガに係合する従来のシステムに対して、ハット型ストリンガ10を取り扱う間にストリンガ10の壁12の厚さにわたってより均一に力を分散させるよう構成されている。
【0019】
幾つかの実施例において、ブラケット206が、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26に対応して成形されたブラケット内表面216を画定する。ブラケット内表面216は、ハット型ストリンガ10のキャップ壁部18、及び側方壁部16を動作可能に収容するよう寸法決定されたブラケット内部空間218を画定しうる。幾つかの実施例において、ブラケット206が、キャップブラケット部分224、及び側方ブラケット部分の対222を含み、これらがブラケット内表面216を画定する。より具体的には、このような実施例において、側方ブラケット部分222は、キャップブラケット部分224の両側から延在しており、かつキャップブラケット部分224に対して直角に配向されている。幾つかの実施例において、ブラケット206は、ハット型ストリンガ10がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、側方ブラケット部分222がハット型ストリンガ10の側方壁部16に対して少なくともおおよそ平行に延在し、かつキャップブラケット部分224がハット型ストリンガ10のキャップ壁部18に対して少なくともおおよそ平行に延在するように、合わせられている。本明細書では、「~に対して少なくともおおよそ平行に(at least approximately parallel to)」という表現は、平行から10度の範囲内の関係を指す。幾つかの実施例において、側方ブラケット部分222が、キャップブラケット部分224から片持ちで延びており(cantilever)、これにより、側方ブラケット部分222の遠位端226は互いに接続しない。ブラケット内部空間218はまた、ブラケット206の前縁及び後縁に沿って閉じておらず(open-ended)、当該前縁と後縁との間で、ブラケット206のブラケット長210が測定される。このように、ブラケット内部空間218は3つの端に沿って開いており、ブラケット内部空間218へのハット型ストリンガ10の挿入、及びブラケット内部空間218からのハット型ストリンガ10の取り出しが可能となる。
【0020】
幾つかの実施例において、ブラケット内表面216が、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26に直接的に接触して支持するよう構成されている。追加的又は代替的に、幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100がカウル160をさらに含み、カウル160は、磁気的ハンドリングシステム100を用いてハット型ストリンガ10が取り扱われる間、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26を収容し、ハット型ストリンガ10を支持するよう構成されている。磁気的ハンドリングシステム100内に含まれるときには、カウル160は、任意の適切な1つ以上の材料から構成される。幾つかの実施例において、カウル160は、硬化した繊維強化複合材料から構成される。幾つかのこのような例において、カウル壁162は、ハット型ストリンガ10よりも少ない硬化した繊維強化複合材料の層を含み、これにより、カウル160は、ハット型ストリンガ10が硬化しておらず又は部分的に硬化しているときにはハット型ストリンガ10よりも強固であり、ハット型ストリンガ10が硬化しているときにはハット型ストリンガ10ほど強固ではない。
【0021】
幾つかの実施例において、ブラケット内表面216が、カウル160のカウル壁外表面168を収容するよう構成されており、カウル160は、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26を収容するといった具合である。幾つかのこのような例において、ブラケット内表面216は、カウル壁外表面168に対応するよう寸法決定され成形されている。より具体的には、カウル160は、カウル壁内表面164を有するカウル壁162を含み、カウル壁内表面164がカウル内部空間166を画定する。カウル160は、カウル内部空間166内でハット型ストリンガ10を収容するよう構成され、ここで、ストリンガ壁外表面26が、カウル壁内表面164に当接して支持される。幾つかの実施例において、カウル壁162が、カウル壁キャップ部分170と、カウル壁キャップ部分170の両側から垂直に延在するカウル壁側方部分172と、を含む。カウル160は、ハット型ストリンガ10がカウル160によって収容されているときには、カウル壁キャップ部分170がハット型ストリンガ10のキャップ壁部18に対して少なくともおおよそ平行に延在し、かつカウル壁側方部分172がハット型ストリンガ10の側方壁部16に対して少なくともおおよそ平行に延在するように、成形されている。換言すれば、カウル160は、ハット型ストリンガ10と少なくとも実質的に同じ断面形状を有しうる。幾つかの実施例において、カウル壁162がカウルフランジ174を含み、カウルフランジ174は、ハット型ストリンガ10がカウル160内で収容されているときには、ハット型ストリンガ10のフランジ22に直接的に接触して支持するよう構成されている。ブラケット206に関して述べたように、カウル内部空間166は、(例えば、3つの端で)閉じておらず、カウル内部空間166へのハット型ストリンガ10の挿入、及びカウル内部空間166からのハット型ストリンガ10の取り出しが可能となる。
【0022】
幾つかの実施例において、カウル壁内表面164が、ストリンガ壁外表面26の所望の形状に対応して成形されている。より具体的には、カウル160がカウル長176を画定し、カウル長176は、ハット型ストリンガ10のストリンガ長28と同じでありうる、又は当該ストリンガ長28と少なくとも実質的に同じでありうる。カウル160の断面形状は、カウル長176に沿って少なくとも実質的に均一でありうるが、カウル160の個々の断面は、互いに対して捻じれている、曲がっている、及び/又は傾斜していることの1つ以上であり得、これにより、カウル160の長手方向の形状、又は全カウル長176に沿ったカウル160の形状は非直線的であり、捻じれており、曲がっており、及び/又は傾斜している。幾つかのこのような例において、カウル壁内表面164の長手方向の形状が、ハット型ストリンガ10及び/又はストリンガ壁外表面26の所望の長手方向の形状に対応している。幾つかの実施例において、カウル160は、磁気的ハンドリングシステム100が所望のストリンガ長手方向配置にハット型ストリンガ10を操作するときに、ハット型ストリンガ10上に所望の傾斜を与える際に磁気的ハンドリングシステム100を支援する傾斜又は輪郭を含む。
【0023】
磁気的ハンドリングシステム100がカウル160を含む例の場合、磁気ヘッド204とブラダ102とは、これらの間で、カウル160のカウル壁162と、ハット型ストリンガ10の壁12と、を収容するよう構成されており、ここで、ハット型ストリンガ10はカウル内部空間166内に収容されている。特に、磁気ヘッド204と磁気的挿入部120とは、互いに磁気的に係合して、ハット型ストリンガ10に対してブラダ102を付勢して、カウル内部空間166内でハット型ストリンガ10を保持し、かつ磁気ヘッド204のブラケット206内でカウル160を支持するよう構成されている。特に、本構成において磁気的挿入部120と磁気ヘッド204とが磁気的に係合しているときには、カウル160がブラケット内部空間218内に収容されており、ここで、カウル壁外表面168は、ブラケット内表面216に当接して支持されている。
【0024】
先の記載に関して、ハット型ストリンガ10、ブラダ102、カウル160、及び/又はブラケット206は、本明細書で述べるように、ブラダ102と、ハット型ストリンガ10と、カウル160と、ブラケット206との入れ子構造が可能となるよう、同様の断面形状(例えば、台形の断面形状)を有しうる。ブラダ102は、当該ブラダ102の少なくとも一部分がブラケット内部空間218内に配置されているときには、本明細書では、ハット型ストリンガ10の壁12によってブラケット内表面216から間隔を置くなどして、任意選択的にカウル160のカウル壁162に加えて、ブラケット206内に動作可能に収容されているものとして説明される。より一般的な意味においては、特記されない限り、本明細書では、第1の要素は、第2の要素によって動作可能に収容され又は第2の要素の内部空間内に配置され、その際に、第1の要素が第2の要素によって直接的に支持される必要はなく、及び/又は第1の要素全体が第2の要素の内部空間内に配置される必要はないと説明することができる。
【0025】
図3~
図5を引き続き参照すると、各磁気源208がそれぞれの磁場を形成するよう構成されており、かつ各磁壁122がそれぞれの磁場を形成するよう構成されている。本明細書では、或る要素は、当該要素が永久磁石である(即ち、永続的な磁場を有する)とき又は当該要素が外部の刺激に対して磁場を形成するよう構成されているときには、それぞれの磁場を形成するよう構成されているとして規定される。従って、磁気源208は、永久磁石であってよく若しくは永久磁石を含んでよく、及び/又は、磁壁122は、磁気的永久磁石であってよく若しくは磁気的永久磁石であってよい。永久磁石の非限定的な例には、マグネタイト、フェライト、希土類磁石、ネオジムベースの磁石、NdFeB磁石、サマリウムベースの磁石、SmCo(サマリウムコバルト)磁石、及び/又はアルニコ磁石が含まれる。追加的又は代替的に、磁気源208及び/又は磁壁122は、電流が通ったことに応じて磁場を形成する電磁石であってよく又は当該電磁石を含んでよい。他の例として、磁気源208及び/又は磁壁122がまた、外部の磁場の存在下で磁気を帯びて磁場を形成するが外部の磁場から離されたときには少なくとも同程度には永続的に磁気を帯びた状態で維持されない軟磁性体(soft magnet)であってよく、又は当該軟磁性体をふくんでよい。軟磁性体の例には、アニールされた鉄、或る特定の鉄合金、及び鋼が含まれる。磁気源208とそれぞれの磁壁122とは、磁気的結合を形成すると説明することができる。所与の磁気的結合の磁気源208及び磁壁122の一方が軟磁性体を含む例の場合、磁気源208及び磁壁122の他方が、軟磁性体を磁化するために必要な磁場を形成する電磁石又は永久磁石を含む。
【0026】
幾つかの実施例において、磁気源208及び/又は磁壁122が、その磁場の有効な引張強度を制御するよう活性化されうる。幾つかのこのような例では、磁気源208及び/又は磁壁122の活性化によって、ハット型ストリンガ10をブラケット206内で選択的に保持し、かつブラケット206から選択的に解放することが可能となる。磁気源208及び/又は磁壁122が電磁石を含む例の場合、これらの磁場は、各電磁石への電流を制御することで活性化される。幾つかの実施例において、磁気源208が活性化されるよう構成される一方で、磁壁122が、永久磁石又は軟磁性体を含む。このような構成は、キャリッジ202と比較して、ブラダ102上に配置される大きさの制約に関して有利でありうる。さらに別の例として、各磁気源208が、物理的に作動される磁石を含み、この物理的に作動される磁石は、永久磁石と、アクチュエータとを含み、アクチュエータは、永久磁石の配向又はブラケット206からの永久磁石の距離を制御して、永久磁石の有効磁場強度をそれぞれの磁壁122に対して制御する。より特別な例として、物理的に作動される磁石は、回転的に作動される永久磁石を含むことができ、この回転的に作動される永久磁石は、それぞれの磁壁122と位置合わせするように、及び当該位置合わせから外れるように永久磁石を回転させるよう構成されたアクチュエータを有する。
【0027】
ここで、磁気源208と磁壁122とは、これらの間に磁気的吸引力50が生成されているときには互いに磁気的に結合しているとして説明される。磁気的吸引力50は、当該技術分野の当業者には分かるように、磁気的な双極子間相互作用と見做される。磁気的吸引力50の強度は、磁気源208と磁壁122との間の相対的な配向及び隔たりに対して変化し、磁気源208と磁壁122とが、互いの磁気的な位置合わせに近づき、これらの間の隔たりが縮むと、磁気的吸引力50は、(所与の磁場の大きさについて)最大値に達する。より具体的には、磁気を帯びると、磁気源208及び磁壁122のそれぞれは、それぞれのN極及びそれぞれのS極を備える。磁気源208と磁壁122とは、本明細書では、磁気源208の磁場と磁壁122の磁場とが同軸上にありかつ同じ方向に配向されており、これにより、磁気源208と磁壁122の反対の極(例えば、N極-S極、又はS極-N極)が互いに直接的に面するときには、磁気的に位置合わせされているとして説明される。従って、幾つかの実施例において、ブラダ102がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、磁気源208が磁壁122と少なくとも実質的に磁気的に位置合わせするよう構成されるように、磁気源208が、ブラケット206によって配置され配向されている。一例として、各磁気源208は、ブラダ102がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、それぞれの磁壁122に直接的に面することができ、かつ、他の磁壁122よりもそれぞれの磁壁122のより近傍に配置されうる。
【0028】
簡潔にするために、本開示では、単一の磁石又は磁気要素を含むものとして各磁気源208及び各磁壁122に言及する。しかしながら、磁気源208及び/又は磁壁122は単一の磁石又は磁気要素を含むものに限定されず、各磁気源208及び/又は各磁壁122は、本明細書で磁気源208及び磁壁122に関して述べたそれぞれの磁場及び/又は磁極を協働して形成するよう構成された複数の磁石又は磁気要素を含みうると理解されたい。
【0029】
図5で分かるように、ブラダ102がブラダ長104を画定し、ここで、ブラダ長104は、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されているときには、ハット型ストリンガ10のストリンガ長28に対して少なくともおおよそ平行でありうる。幾つかの実施例において、磁気的挿入部120は、各磁壁122及び/又はその磁極がブラダ長104に少なくともおおよそ平行に延在するように、寸法決定されブラダ102内で配向されている。換言すれば、磁気的挿入部120が挿入長142を画定し、幾つかの実施例において、磁気的挿入部120は、挿入長142がブラダ長104に対して少なくともおおよそ平行であるように、ブラダ102内に配置され配向されている。同様に、磁気ヘッド204のブラケット206がブラケット長210を画定し、幾つかの実施例において、各磁気源208は、その磁極がブラケット長210に対して少なくともおおよそ平行に延びるように、ブラケット206に対して配置されている。幾つかの実施例において、磁気ヘッド204が磁気的挿入部120と磁気的に係合しており、かつブラダ102がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、磁気ヘッド204のブラケット長210は、ブラダ長104に対して少なくともおおよそ平行であり、及び/又は挿入長142に対して少なくともおおよそ平行である。
【0030】
本明細書でより詳細に述べるように、幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10が、非直線的な長手方向の配置を含み、これにより、ハット型ストリンガ10のハット型ストリンガ長28も同様に、上記非直線的な長手方向の配置に倣うため非直線的である。これに対応して、幾つかの実施例において、ブラダ102のブラダ長104も非直線的である。しかしながら、このような実施例において、ブラダ102のブラダ長104、及び/又はハット型ストリンガ10のストリンガ長28は、ブラケット長210及び/又は挿入長142などの規模(scale)では、局所的に直線的であると見做しうる。換言すれば、挿入長142は、ここでは、磁気的挿入部120が収容されているブラダ102の区分に関して、ブラダ長104に少なくともおおよそ平行であるが、ブラダ102の全ブラダ長104については、必ずしもそうではないと説明される。同様に、ブラケット長210は、ここでは、ブラケット206を動作可能に収容する(即ち、磁気的挿入部120に対応している)ブラダ102の区分に関しては、ブラダ長104に対して少なくとも実質的に平行であるが、全ブラダ長104については、必ずしもそうではないと説明される。
【0031】
おそらく
図4で最も良く分かるように、ブラケット206とブラダ102のそれぞれが、それぞれの幅66と、幅66に対して垂直であり当該幅66を二等分にする中央線64と、を定める。中央線64はまた、ブラケット206におけるブラケット長210に対して垂直に、かつブラダ102におけるブラダ長104に対して垂直に延びている。幾つかの実施例において、ブラケット206の中央線64と、ブラダ102の中央線とは、磁気ヘッド204が磁気的挿入部120と磁気的に係合しており、かつブラダ102がブラケット206内で動作可能に収容されているときには、互いに少なくともおおよそ位置合わせされている。
【0032】
図3~
図5を引き続き参照すると、幾つかの実施例において、磁気的挿入部120の磁壁122が、側方磁壁の対124を含み、この側方磁壁の対124は、ハット型ストリンガ10の側方壁部16、及び/又はブラケット206の側方ブラケット部分222と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するよう、それぞれ配置され配向されている。幾つかの実施例において、側方磁壁124が、挿入長142に対して少なくとも実質的に平行に延在し、かつ互いに対して横方向面角(lateral face angle)で配向されており、横方向面角の例には、0°、少なくとも5°、少なくとも8°少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも15°、少なくとも20°、最大で8°、最大で10°、最大で12°、最大で15°、最大で20°、及び/又は最大で30°が含まれる。幾つかの実施例において、磁気ヘッド204の磁気源208が側方磁気源の対212を含み、側方磁気源の対212は、磁気的挿入部120の側方磁壁124と磁気的に結合するようそれぞれが構成されている。より具体的には、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されており、かつハット型ストリンガ10がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、各側方磁気源212とそれぞれの側方磁壁124とは、これらの間で生成された磁気的吸引力50がそれぞれの側方壁部16を介して方向付けられるように、ハット型ストリンガ10のそれぞれの側方壁部16の両側に配置されている。幾つかの実施例において、側方磁壁124と側方磁気源212との間に生成された磁気的吸引力50は、ハット型ストリンガ10のそれぞれの側方壁部16に対して少なくとも実質的に垂直である。幾つかの実施例において、側方磁気源212が、ブラケット206の側方ブラケット部分222に取りつけられている。幾つかのこのような例では、側方磁気源212と側方磁壁124との間の磁気的吸引力50によって、側方壁部16が、ブラケット206の側方ブラケット部分222に対して、又は、磁気的ハンドリングシステム100がカウル160を含む例の場合には、カウル壁側方部分172に対して付勢される。
【0033】
おそらく
図3で最も良く分かるように、幾つかの実施例において、第1の磁気的結合が、第1の側方磁壁124と第1の側方磁気源212との間に形成され、第2の磁気的結合が、第2の側方磁壁124と第2の側方磁気源212との間に形成される。幾つかの実施例において、第1の磁気的結合の間の磁気的吸引力50が、少なくとも部分的に、任意選択的に少なくとも実質的に第2の方向54とは反対の第1の方向52に沿って配向されており、第2の方向54に沿って、第2の磁気的結合の間の磁気的吸引力50が方向付けられている。幾つかの実施例において、このように磁気ヘッド204と磁気的挿入部120との磁気的結合を構成することで、ブラダ102と磁気ヘッド204とは、これらの間で、ハット型ストリンガ10に印加される捻り力及び/又は歪める力(skew force)に抗して、ハット型ストリンガ10を保持することが可能となる。
【0034】
幾つかの実施例において、磁気的挿入部120の磁壁122が、キャップ磁壁126をさらに含み、キャップ磁壁126は、ブラダ102がハット型ストリンガ10内に収容されており及び/又はブラケット206のキャップブラケット部分224と位置合わせされているとき、ブラダ102がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、ハット型ストリンガ10のキャップ壁部18と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するよう配置され配向されている。幾つかの実施例において、側方磁壁124がキャップ磁壁126に対して、キャップ-横方向面角(cap-to-lateral face angle)128において配向されており、キャップ-横方向面角128の例には、少なくとも90°、少なくとも100°、少なくとも110°、少なくとも120°、少なくとも130°、少なくとも140°、最大で100°、最大で110°、最大で120°、最大で130°、最大で140°、及び/又は最大で160°が含まれる。典型的に、側方磁壁124は、同じキャップ-横方向面角128において配向されており、及び/又はキャップ磁壁126に対して対称的に延在する。幾つかの実施例において、キャップ-横方向面角128は、本明細書で
図2を参照して述べた側壁角32と少なくともおおよそ同じである(即ち、側壁角32から10度の範囲内にある)。
【0035】
磁気的挿入部120がキャップ磁壁126を含む例の場合、磁気ヘッド204の磁気源208が、磁気的挿入部120のキャップ磁壁126と磁気的に結合するよう構成されたキャップ磁気源214をさらに含む。幾つかの実施例において、各側方磁気源212の磁極が、キャップ磁気源の磁極に対してキャップ-横方向極角(cap-to-lateral pole angle)228において配向されており、ここで、キャップ-横方向極角228は、キャップ-横方向面角128と同じでありうる。幾つかの実施例において、キャップ磁気源214がキャップブラケット部分224上に取り付けられており、及び/又は、キャップ磁気源214の磁極が、キャップブラケット部分224に沿って、ブラケット内表面216に対して少なくともおおよそ平行に延びている。
【0036】
おそらく
図3で最も良く分かるように、キャップ磁壁126とキャップ磁気源214とは、第3の磁気的結合を形成することができ、これらの間に生成された磁気的吸引力50は、第1の方向52及び第2の方向54に対して少なくとも部分的に垂直であり、任意選択的に少なくとも実質的に垂直である第3の方向56に沿って配向される。本明細書では、「~に対して少なくとも部分的に垂直(at least partially normal to)」という表現が、他の方向に対する1の方向に適用される場合には、上記1の方向が、第2の方向に対して垂直な成分を有することを意味している。幾つかの実施例において、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されており、かつハット型ストリンガ10がブラケット206内に動作可能に収容されているときには、キャップ磁壁126とキャップ磁気源214とは、ハット型ストリンガ10のキャップ壁部18の両側に配置される。換言すれば、幾つかの実施例において、第3の方向56は、ハット型ストリンガ10のキャップ壁部18を通って延び、任意選択的に、ハット型ストリンガ10のキャップ壁部18に対して垂直である。幾つかの実施例において、キャップ磁壁126とキャップ磁気源214との間の磁気的吸引力50によって、ハット型ストリンガ10は、ハット型ストリンガ10に印加される垂直方向の力(例えば、重力)に抗してブラケット206内に保持される。
【0037】
図3~
図5を引き続いて参照すると、ブラダ102がブラダ外表面106を含み、ブラダ外表面106は、ストリンガ壁内表面24に対応するよう成形し寸法決定することができ、これにより、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されているときには、ブラダ外表面106が、ストリンガ壁内表面24に直接的に接触して支持する。より具体的には、ブラダ102は、ストリンガ壁内表面24に接触して支持することで、ハット型ストリンガ10を所望の形状で支持するよう構成されうる。換言すれば、幾つかの実施例において、ブラダ102がストリンガ内部空間20の所望の形状を定め、及び/又は、ブラダ外表面106がストリンガ壁内表面24の所望の形状を定める。
【0038】
幾つかの実施例において、ブラダ102が、ハット型ストリンガ10のストリンガ長28の少なくとも実質的に一部分に沿って、任意選択的に全ストリンガ長28に沿って、ストリンガ壁内表面24に接触して支持するよう構成されている。これに対応して、ブラダ102のブラダ長104は、ストリンガ長28と同等であり得、任意選択的にストリンガ長28より大きくてよく、ブラダ102の断面形状及び寸法は、ブラダ長104に沿って少なくとも実質的に均一でありうる。幾つかの実施例において、ブラダ外表面106が、複数のブラダ外表面部分108を画定し、複数のブラダ外表面部分108は、ハット型ストリンガ10のそれぞれの壁部14に対応しており、及び/又はハット型ストリンガ10のそれぞれの壁部14と少なくともおおよそ位置合わせされるよう構成されている。幾つかの実施例において、磁気的挿入部120の各磁壁122が、ブラダ外表面106のそれぞれのブラダ外表面部分108と少なくともおおよそ位置合わせされている。
【0039】
ブラダ102は、任意の適切な構造を含みうる。幾つかの実施例において、ブラダ102がブラダ本体110を含み、ブラダ本体110は、ブラダ外表面106を画定し、及び/又はブラダ外表面106によって囲まれた空間を満たす。このような実施例において、ブラダ102は、一体型の、中実の、又は空間を満たす構造を有していると説明することができる。幾つかのこのような例において、ブラダ102は、追加的又は代替的にマンドレルと称されうる。幾つかの実施例において、ブラダ本体110が、ハット型ストリンガ10の長手方向の形状の操作を可能とする柔軟な、弾性の、曲げやすい、及び/又は弾力がある材料で形成され、ここで、ブラダ102は、本明細書でより詳細に述べるように、ハット型ストリンガ10内に収容される。ブラダ本体110を形成するための適切な材料の例には、弾力がある材料、プラスチック、ゴム、シリコーン、エラストマ、ラテックス、ニトリルゴム、ポリウレタンフォームなどが含まれる。
【0040】
他の例において、ブラダ102がブラダスリーブ112を含み、ブラダスリーブ112は、ブラダ外表面106を含み、中空の内部空間を包むよう構成されている。換言すれば、ブラダスリーブ112は、チューブ状であり、又はチューブ状の形状に適合するよう少なくとも構成されていると説明することができる。幾つかの実施例において、ブラダスリーブ112が、自立型の(free-standing)構造をしており、これにより、ブラダスリーブ112は、自身の重量下でブラダ外表面106の所望の形状を維持する。追加的又は代替的に、幾つかの実施例において、磁気的挿入部120が、所望のブラダ配置においてブラダスリーブ112を支持するよう構成され、及び/又は、ブラダスリーブ112が、所望のブラダ配置に適合するよう圧縮されるよう構成されている。幾つかのこのような例において、磁気的挿入部120の磁壁122が、ブラダスリーブ112の内側に接触して、ブラダスリーブ112を支持するよう構成されており、これにより、ブラダ外表面106が、本明細書で述べるようにブラダ外表面部分108を形成する。ブラダスリーブ112を形成するための適切な材料の例には、ハロゲン化ポリマー、フッ素重合体、ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン、シロキサンなどが含まれる。
【0041】
任意のこのような例では、磁気的挿入部120は、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されているときには、ブラダ外表面106が磁気的挿入部120を取り囲み及び/又はブラダ外表面106が磁気的挿入部120とストリンガ壁内表面24との間に入るように、ブラダ102内に配置される。これに対応して、磁気的挿入部120は、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されており、かつ磁気的挿入部120が磁気ヘッド204と磁気的に係合しているときには、ストリンガ壁内表面24に当接してブラダ外表面部分108を付勢するよう構成されていると説明することができる。
【0042】
本明細書で
図5を参照してより詳細に述べるように、ブラダ102は典型的に、複数の磁気的挿入部120であって、ブラダ長104に沿って互いに間隔が置かれており、かつ磁気的キャリッジシステム200のそれぞれの複数の磁気ヘッド204と磁気的に係合するよう構成された複数の磁気的挿入部120を含む。
【0043】
各磁気的挿入部120は、任意の適切な構造を有することができ、幾つかの実施例では、当該構造が、ブラダ102の構造に少なくとも部分的に基づいて選択される。ブラダ102がブラダ本体110を含む一部の例について、磁気的挿入部120は、例えば、当該磁気的挿入部120がその中に配置されたブラダ本体110を成形し(molding)又は流し込み成形(casting)することで、ブラダ本体110によって取り囲まれ、ブラダ本体110内で宙に浮いている(suspended)。このような実施例では、磁気的挿入部120が単一のピースとして構築され、ここで、磁壁122は互いに接合されており、又は、磁壁122が、ブラダ本体110内で互いに離れて、ブラダ本体110内で宙に浮いている。
【0044】
ブラダ102がブラダスリーブ112を含む一部の例について、磁気的挿入部120は、張り出した磁気的挿入部121であり、ブラダスリーブ112に選択的に挿入され、かつブラダスリーブ112から選択的に取り出されるよう構成されている。より具体的には、張り出した磁気的挿入部121は、ノーズ壁130と、ノーズ壁310から片持ちで延びた複数のフラップ132と、を含む。各フラップ132は、それぞれの磁壁122を含み又は当該磁壁122を画定する。より具体的には、フラップ132は、側方磁壁124を含み又は画定する側方フラップの対133と、キャップ磁壁126を含み若しくは画定するキャップフラップ131と、を含みうる。幾つかの実施例において、フラップ132が、本明細書で述べるように、少なくともそれぞれの張り出した磁気的挿入部121に沿って、ブラダスリーブ112を所望のブラダ配置で支持するよう構成されている。
【0045】
ノーズ壁130が、張り出した磁気的挿入部121の先端を画定し、各フラップ132が前縁134を含み、当該前縁134に沿ってフラップ132がノーズ壁130から片持ちで延びている。各フラップ132は、ノーズ壁130から後方へと突出し、張り出した磁気的挿入部121の挿入長142に沿って延在する。フラップ132は、張り出した磁気的挿入部121の挿入内部空間140を集合的に画定する。幾つかの実施例において、フラップ132の先頭部分又はノーズ壁130に最も近い部分には、ノーズ壁130から外方に角度が付けられており、これにより、挿入内部空間140の断面積が、ノーズ壁130又はノーズ壁130から離れる方向により大きく又は増大する。換言すれば、各フラップ132の先頭部分が、ノーズ壁130から外方に張り出しうる。各フラップ132の残りの部分は、磁壁122を含むことができ、ハット型ストリンガ10のそれぞれの壁部14と少なくとも実質的に位置合わせされて、及び/又は挿入長142に対して少なくともおおよそ平行に延在するよう構成されうる。
【0046】
幾つかの実施例において、張り出した磁気的挿入部121が、ブラダスリーブ112に挿入されて、当該ブラダスリーブ112を通って移動させられるよう構成されており、ここでは、最初にノーズ壁130が、続いて張り出した磁気的挿入部121の残りの部分がくるよう配向される。幾つかの実施例において、フラップ132の張り出した構成によって、張り出した磁気的挿入部121をブラダ102に挿入すること、及び張り出した磁気的挿入部121をブラダ102に通して移動させることが容易になり、ここで、ノーズ壁130が、挿入又は移動の方向に対して先頭にくる。幾つかの実施例において、張り出した磁気的挿入部121を挿入すること、及びブラダスリーブ112に通して磁気的挿入部121を選択的に移動させることが容易になるように、各フラップ132が、ノーズ壁130から偏向可能に片持ちで延びている。より具体的には、幾つかの実施例において、各フラップ132が、名目上の配向であって、フラップ132がブラダスリーブ112の内部と係合するよう配置されうる名目上の配向に向かって付勢される。幾つかのこのような例では、各フラップ132は、例えば挿入内部空間140に向かって、名目上の配向から内方に弾性的に偏向するよう構成されており、ブラダスリーブ112に張り出した磁気的挿入部121を挿入すること、及びブラダスリーブ112に通して張り出した磁気的挿入部121を移動させることを容易にしうる。
【0047】
言及したように、幾つかの実施例において、ブラダ102が、ブラダ102のブラダ長104に沿って分散した複数の磁気的挿入部120を含む。ブラダ102がブラダスリーブ112を含む一部の例について、磁気的挿入部120は、張り出した磁気的挿入部121であり、ブラダ102が、ブラダスリーブ112を通って延び、かつ複数の張り出した磁気的挿入部121を互いに相互接続し、かつスリーブ112の両端から外方に突出する少なくとも1つの操作ケーブル144をさらに含み、任意選択的に操作ケーブル144の対をさらに含む。これに対応して、各操作ケーブル144がブラダ長104よりも大きな長さを有しうる。本明細書でより詳細に述べるように、幾つかの実施例において、操作ケーブル144は、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容されているときに、ハット型ストリンガ10を持ち上げて移送するために利用される。ブラダ102が操作ケーブル144を含む一部の例について、各張り出した磁気的挿入部121が、各操作ケーブル144を受け入れかつ張り出した磁気的挿入部を操作ケーブル144に接続するためのケーブル受け部146を含む。幾つかの実施例において、ケーブル受け部146が、ノーズ壁130に含まれ及び/又はノーズ壁130に取り付けられており、操作ケーブル144は、ケーブル受け部146によって受けられると、挿入内部空間140を通って延びる。幾つかの実施例において、操作ケーブル144はまた、本明細書でより詳細に述べるように、張り出した磁気的挿入部121をブラダスリーブ112内に配置するために利用されるよう構成されうる。
【0048】
図6は、磁気的ハンドリングシステム100の例を概略的に表す部分的に分解された側面図であり、ここでは、磁気的キャリッジシステム200が複数のキャリッジ202を含み、ブラダ102が、ブラダ102のブラダ長104に沿って分散したそれぞれの複数の磁気的挿入部120を含む。
図6の例に注目しながら、
図3~
図5を引き続き参照すると、各キャリッジ202が、支持構造250に動作可能に結合され、支持構造250によって支持されている。幾つかの実施例において、キャリッジ202が、支持構造250から下方に吊り下げられ、又は下方に突出しており、ここで、支持構造250は、地面又は支持面から上に間隔を置いてキャリッジを支持している。例として、キャリッジ202は、レールといったガイドフレーム252上に取りつけることができ、ガイドフレーム252は、ガントリシステム及び/又はロボット位置決めアセンブリ254に含められうる。幾つかの実施例において、ガイドフレーム252に沿ったキャリッジ202の配置は、磁気的ハンドリングシステム100が様々なストリンガ長28のハット型ストリンガ10を取り扱えるように調整可能である。
【0049】
磁気的キャリッジシステム200の磁気ヘッド204は、ブラダ102の磁気的挿入部120間の間隔に従って、ガイドフレーム252に沿って互いに間隔を空けることができ、これにより、各磁気ヘッド204は、ブラダ102のそれぞれの磁気的挿入部120と磁気的に係合するよう動作可能である。例として、ブラダ102は平均で、ブラダ長104の10メートルごとに少なくとも5個の磁気的挿入部120、ブラダ長104の10メートルごとに少なくとも6個の磁気的挿入部120、ブラダ長104の10メートルごとに少なくとも8個の磁気的挿入部120、ブラダ長104の10メートルごとに少なくとも11個の磁気的挿入部120、ブラダ長の10メートルごとに少なくとも12個の磁気的挿入部120、ブラダ長の10メートルごとに少なくとも14個の磁気的挿入部120、ブラダ長104の10メートルごとに最大で1個の磁気的挿入部120、ブラダ長104の10メートルごとに最大で11個の磁気的挿入部120、ブラダ長の10メートルごとに最大で12個の磁気的挿入部120、ブラダ長の10メートルごとに最大で14個の磁気的挿入部120、及び/又はブラダ長104の10メートルごとに最大で2個の磁気的挿入部120を含みうる。
【0050】
幾つかの実施例において、各磁気ヘッド204が、それぞれのキャリッジ202によって支持され、又は、各キャリッジ202が単一の磁気ヘッド204を支持する。他の例において、各キャリッジ202が、磁気ヘッドの対204といった複数の磁気ヘッド204を支持する。
図5に示すように、キャリッジ202が複数の磁気ヘッド204を支持する例の場合、キャリッジ202がシャシー220を含み、シャシー220は、磁気ヘッド204を互いに対して、例えば同軸上の関係において支持しており、磁気ヘッド204を支持構造250に動作可能に接続するよう構成されている。幾つかの実施例において、共通のキャリッジ202内に含まれる磁気ヘッド204は、離れているが隣にあるキャリッジ202上の磁気ヘッド204よりも、より近接して互いに間隔が置かれている。このような実施例において、ブラダ102の磁気的挿入部120は、対応してブラダ長104に沿って間隔が置かれている。
【0051】
言及したように、磁気的ハンドリングシステム100は、ハット型ストリンガ10を所望のハット型ストリンガ長手方向の配置に操作するよう構成されうる。ハット型ストリンガ10の所望の長手方向の配置は、ハット型ストリンガ10がそれに沿って設置される航空機外板30の区分の配置によって決定されうる。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10を主翼ボックス74内に設置されるときに、航空機外板30に沿ったハット型ストリンガ10の局所的な位置は、非平面的であり、湾曲しており、捻じれており、傾斜しており、及び/又は起伏がある。従って、所望のストリンガ長手方向配置が、非直線的である、捻じれている、曲がっている及び/又は傾斜しているということがありうる。より具体的には、所望のストリンガ長手方向配置では、ハット型ストリンガ10の断面形状は、ストリンガ長28に沿って少なくとも実質的に均一でありうるが、ハット型ストリンガ10の個々の断面は、互いに対して捻じれている、曲がっている、及び/又は傾斜しているということがありうる。磁気的ハンドリングシステム100は、ハット型ストリンガ10を所望のストリンガ長手方向配置へと操作し、続いて、ハット型ストリンガ10をハット型ストリンガ10の設置位置に配置するよう構成することができ、ここで、ハット型ストリンガ10は、磁気的ハンドリングシステム100によって、所望のストリンガ長手方向配置に合わせられる。
【0052】
再び
図6を参照すると、磁気的キャリッジシステム200は、キャリッジ202と支持構造250とを動作可能に相互接続する複数のロボットアーム230をさらに含みうる。各ロボットアーム230は、それぞれのキャリッジ202の位置及び配向を制御し、これに対応して、それぞれのキャリッジ202内に含まれる各磁気ヘッド204の位置及び配向を制御するよう構成されている。より具体的には、ロボットアーム230を介して、磁気的キャリッジシステム200は、磁気ヘッド204の配置及び配向を互いに対して及び/又は互いに別々に制御して、ハット型ストリンガ10の所望の長手方向の形状に対応した経路に沿って磁気ヘッド204を配置するよう構成されている。これに対応して、ハット型ストリンガ10が、磁気的ハンドリングシステム100によって動作可能に保持されている(即ち、ブラダ102がストリンガ内部空間20内に収容され、かつ各磁気ヘッド204がそれぞれの磁気的挿入部120と磁気的に係合しており、これにより、ハット型ストリンガ10がブラケット206内で動作可能に保持されている)ときには、磁気的キャリッジシステム200は、キャリッジ202の互いに対する位置及び配向、及びこれにより磁気ヘッド204の互いに対する位置及び配向を制御することによって、ハット型ストリンガ10を所望のストリンガ長手方向配置に操作するよう構成されている。
【0053】
より具体的には、
図3~
図5に示すように、各磁気ヘッド204が、長手方向軸60と、長手方向軸60に対して直交する横軸62と、長手方向軸60及び横軸62に対して直交するアジマス軸68と、を定める。幾つかの実施例において、長手方向軸60が、ブラケット内部空間218の中央を通ってブラケット長210に対して平行に延びており、横軸62がキャップブラケット部分224に対して平行に延びており、アジマス軸68がキャップブラケット部分224に対して垂直に延びている。ハット型ストリンガ10もまた、長手方向軸60、横軸62、アジマス軸68を定めることができ、ここで、長手方向軸60がストリンガ長28に対して平行に、ストリンガ内部空間20の中央を通って延びており、横軸がフランジ22に対して平行に延びており、アジマス軸68がキャップ壁部18に対して直交して延びている。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10がブラケット206内に動作可能に収容されおり及び/又は磁気ヘッド204及びブラダ102によって保持されているときには、磁気ヘッド204及びハット型ストリンガ10によって定められるそれぞれの軸が位置合わせされており、又は少なくともおおよそ位置合わせされている。
【0054】
幾つかの実施例において、ロボットアーム230が、横軸62に沿って磁気ヘッド204に力を印加して、磁気ヘッド204を横軸62に沿って移動させ、及び/又はアジマス軸68に沿って磁気ヘッド204に力を印加して、アジマス軸68に沿って磁気ヘッドを移動させるよう構成されている。幾つかの実施例において、ロボットアーム230が、長手方向軸60周りの磁気ヘッド204の回転を促す捻りトルク61を、磁気ヘッド204に対して印加するよう構成され、及び/又はアジマス軸68周りの磁気ヘッド204の回転を促すヨートルク63を、当該磁気ヘッドに対して印加するよう構成される。ハット型ストリンガ10が、磁気的ハンドリングシステム100によって動作可能に保持されているときには、磁気ヘッド204に印加される捻りトルク61は、ハット型ストリンガ10の保持された区分を、長手方向軸60周りに回転するよう促すことができ、又は、磁気ヘッド204が少なくとも1つの隣の磁気ヘッド204に対して長手方向軸60周りに回転させられるときには、ハット型ストリンガ10に捻りを加えることができる。同様に、アジマス軸68に沿って磁気ヘッド204に力を印加することで、ハット型ストリンガ10の保持された区分が、ハット型ストリンガ10の少なくとも1つの他の部分に対してアジマス軸68に沿ってずれているように、ハット型ストリンガ10に対して傾斜又は輪郭を加えることができる。追加の例として、磁気ヘッド204に対して、ヨートルク63及び/又は横軸62周りの力を印加することで、ハット型ストリンガ10の保持された区分が、ハット型ストリンガ10の少なくとも1つの他の部分に対して横軸62に沿ってずれているように、ハット型ストリンガ10に歪みを加えることができる。幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100は、所望のハット型ストリンガ長手方向配置のそれぞれの位置に対応する複数の座標点に沿って、磁気ヘッド204を位置決めし、かつ、各磁気ヘッド204を、自身の軸と、所望のハット型ストリンガ長手方向の配置における仮想のハット型ストリンガによって定められたそれぞれの軸とが少なくともおおよそ位置合わせされているように、配向することによって、ハット型ストリンガ10を所望のストリンガ長手方向配置へと操作するよう構成されている。
【0055】
幾つかの実施例において、ハット型ストリンガに対して捻り、歪み、及び/又は傾斜を加えることで、結果として、ハット型ストリンガ10の壁12の特定の領域が圧縮され、かつ、当該圧縮される壁の領域とは反対側でありうるハット型ストリンガの壁の他の領域に対して、張力が加えられる。このことを念頭において、幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100は、ストリンガ長28に沿ってハット型ストリンガ10に張力を加えて、ハット型ストリンガの壁12における圧縮を低減し及び/又はハット型ストリンガ10のしわを防止するよう構成されている。特に、幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100は、磁気的ハンドリングシステム100がハット型ストリンガ10に対して捻り、歪み、及び/又は傾斜を加える間、ストリンガ長28に沿ってハット型ストリンガ10内の張力を維持するよう構成されている。幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100は、壁12の厚さにわたって均一に上記張力を加えることで、壁12における圧縮を軽減し、かつハット型ストリンガ10内のしわを防止するよう構成されている。より具体的には、各磁気ヘッド204及び対応する磁気的挿入部120により、ストリンガ壁内表面24に対して外向きの力、及びストリンガ壁外表面24に対して内向きの力を同時に印加することで、磁気的ハンドリングシステム100が、ハット型ストリンガ10の壁に亘って上記張力を均一に加えることが可能となる。
【0056】
幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100が、隣合うキャリッジ202間の間隔を増大させることで、ストリンガ長28に沿って、ハット型ストリンガ10に対して張力を加えるよう構成されており、ここで、ハット型ストリンガ10は、磁気的ハンドリングシステム100によって動作可能に保持されている。ハット型ストリンガ10が、磁気的ハンドリングシステム100によって動作可能に保持された状態で、隣合うキャリッジ202間の間隔を増大させることで、ハット型ストリンガ10の保持されている区分が互いから離れるよう付勢され、これにより、ハット型ストリンガ10に対して張力が加えられる。幾つかの実施例において、ロボットアーム230が、それぞれのキャリッジ202を、隣のキャリッジ202から離れる方向に長手方向軸60に沿って移動さるよう、キャリッジ202に対して力を印加し、これにより、ストリンガ長28に沿ってハット型ストリンガ10に張力を加えるよう構成されている。
【0057】
先の記載に鑑みて、磁気的ハンドリングシステム100が、所望のハット型ストリンガ長手方向の配置へとハット型ストリンガ10を操作するときには、各磁気ヘッド204の磁気要素と、それぞれの磁気的挿入部120とは、これらの間で、ハット型ストリンガ10の重量のみならず、ハット型ストリンガ10に印加される様々なトルク(例えば、ヨートルク63及び/又は捻りトルク61)、(例えば、アジマス軸68及び/又は横軸62に沿った)力、及び、(例えば、ストリンガ長28に沿った)張力にも抗して、ハット型ストリンガ10を保持するよう動作可能であり得又は構成されうる。各磁気ヘッド204とそれぞれの磁気的挿入部120とが、これらの間でハット型ストリンガ10を保持する能力は、磁気ヘッド204とそれぞれの磁気的挿入部120との間で生成される複数の磁気的吸引力50、及び、複数の少なくとも部分的に反対の方向及び/又は垂直な方向に沿った、当該磁気的吸引力50の配向によって、提供される。幾つかの実施例において、各磁気的吸引力50の大きさが、ハット型ストリンガ10に加える操作の程度、ハット型ストリンガ10を形成するプライの平均数、ストリンガ長28、ハット型ストリンガ10の総質量、並びに/又は、磁気的挿入部120間の間隔、及び対応して、磁気ヘッド204間の間隔を含むファクタに基づいて選択される。
【0058】
図6を引き続いて参照すると、幾つかの実施例において、磁気的ハンドリングシステム100が、磁気的ハンドリングシステム100の少なくとも一部分を制御するよう構成され及び/又はプログラムされたコントローラ90を含む。例として、コントローラ90は、磁気的ハンドリングシステム100の1つ以上の構成要素又はシステムと通信することができ、磁気的ハンドリングシステム100の1つ以上の構成要素に、これらの動作を制御するための1つ以上の制御信号を送信するよう構成されうる。幾つかの実施例において、コントローラが、磁気的ハンドリングシステム100に含まれる1つ以上のセンサと通信し、1つ以上のセンサから受信されたセンサ信号に基づいて、1つ以上の構成要素に対して命令信号を発するよう構成されている。幾つかの実施例において、コントローラ90が、各磁気ヘッド204の磁気源208と通信して当該磁気源208を制御して、磁気源208の吸引強度を制御するために各磁気源208を活性化する構成されている。幾つかの実施例において、コントローラ90が、本明細書に述べるようにそれぞれの磁気ヘッド204の位置及び配向を制御するために、各ロボットアーム230を制御するよう構成されている。幾つかの実施例において、コントローラ90が、ガイドフレーム252及び/又はアレイとしてのキャリッジ204の位置及び配向を制御するために、ロボット位置決めアセンブリ254を作動させるよう構成されている。
【0059】
コントローラ90は、任意の適切な構造、デバイス、及び/又は本明細書で述べる機能を実行するよう適合、構成、設計、構築され及び/又はプログラムされたデバイスを含むことができ、及び/又はこれらでありうる。例として、コントローラ90は、電子制御装置、専用コントローラ、特定用途向コントローラ、パーソナルコンピュータ、特定用途向コンピュータ、表示デバイス、論理デバイス、処理ユニット、メモリデバイス、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体を有するメモリデバイスのうちの1つ以上を含みうる。
【0060】
コンピュータ可読記憶媒体は、存在するときには、本明細書では非一過性のコンピュータ可読記憶媒体とも称されうる。非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータにより実行可能な命令、プログラム、及び/又はコードを含むこと、定めること、保存すること、及び/又は格納することができる。処理ユニットによって実行されると、上記コンピュータにより実行可能な命令は、方法500の任意の適切な部分、又はサブセットを実行するように磁気的ハンドリングシステム100を動作させるよう、コントローラ90に指示することができる。このような非一過性のコンピュータ可読記憶媒体の例には、CD-ROM、ディスク、ハードドライブ、フラッシュメモリ等が含まれる。本明細書では、コンピュータにより実行可能な命令を有するストレージ、メモリ、デバイス及び/又は媒体、並びに、本開示に係るコンピュータ実装方法、及び他の方法は、米国特許法101条に従って、特許性があると見做される発明の主題の範囲に含まれるものとして見做される。
【0061】
ここで、
図7~
図12に目を向けると、磁気的ハンドリングシステム100、磁気的ハンドリングシステム100のキャリッジ202、磁気的ハンドリングシステム100のブラダ102、及びハット型ストリンガ10の例示的かつ非排他的な例が提供される。必要に応じて、
図2~
図6の概略図の参照番号が、
図7~
図12の対応する部品を指すために使用されるが、
図7~
図12の例は非排他的であり、磁気的ハンドリングシステム100を
図7~
図12の例示的な実施形態に限定するものではない。即ち、磁気的ハンドリングシステム100は、本明細書で
図7~
図12に示されこれらの図を参照して説明される特定の実施形態には限定されず、磁気的ハンドリングシステム100は、
図2~
図6の概略図及び/又は
図7~
図12の実施形態を参照しながら例示され説明される磁気的ハンドリングシステム100の任意の数の様々な態様、構成、特徴、特性等、及びその変形例を組み込みうるが、このような態様、構成、特徴、特性等の全てを含む必要はない。簡潔にするために、以前に述べた各構成要素、部品、部分、態様、領域等、又はこれらの変形例は、
図7~
図12を参照して再度説明、図示、及び/又は付番されないこともある。しかしながら、前述の特徴、変形例等が
図7~
図12の実施例で利用され得ることは、本開示の範囲内に含まれる。
【0062】
図7は、磁気的キャリッジシステム200のキャリッジ202、及びブラダ102の一区分の例を示す等角図である。より具体的には、
図7は、ハット型ストリンガ10のストリンガ内部空間20内に収容されたブラダ102、及び、磁気ヘッド204のブラケット206内に動作可能に収容されたハット型ストリンガ10を示している。
図8は、ストリンガ内部空間20から取り出されたブラダ102を示す、
図7の例の部分分解図である。
図7~
図8を大まかに参照し、
図7に最初に注目すると、本例では、磁気的ハンドリングシステム100がカウル160を含み、ハット型ストリンガ10が、カウル160のカウル内部空間内に収容されており、ここでは、カウル壁内表面164が、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26に直接的に接触して支持している。キャリッジ202が、磁気ヘッドの対204と、磁気ヘッド204を互いに対して支持するシャシー220と、を含む。より具体的には、シャシー220は磁気ヘッド204を、当該磁気ヘッド204の長手方向軸が同軸上にあり又は揃っているように、支持する。幾つかの実施例において、シャシー220が、本配置において磁気ヘッド204を互いに対して強固に結合する。キャリッジ202は、結合構造256も含み、結合構造256は、本明細書でより詳細に述べるように、キャリッジを、支持構造及び/又はロボットアームに動作可能に結合するよう構成されている。
【0063】
各ブラケット206が、側方ブラケット部分222及びキャップブラケット部分224を含み、側方ブラケット部分222とキャップブラケット部分224とは、それぞれ、ハット型ストリンガ10の側方壁部16及びキャップ壁部18に対して平行に延在する。側方ブラケット部分222とキャップブラケット部分224とが、ブラケット内表面216を画定し、ブラケット内表面216が、カウル160のカウル壁外表面168に直接的に接触して支持する。ハット型ストリンガ10及びブラダ102は、ブラケット内部空間218内に動作可能に収容されており、ここで、カウル160が、ハット型ストリンガ10とブラケット内表面216との間に入っている。各磁気ヘッド204が、側方ブラケット部分222に取り付けられた側方磁気源212と、キャップブラケット部分224に取り付けられたキャップ磁気源214と、を含む。
【0064】
図7~
図8の例では、ブラダ102が、ブラダ本体110を含み及び/又は一体構造を成している。例示のために、
図8では各磁気的挿入部120が透けて見えるように示されている。
図8に示すように、各磁気的挿入部120は、側方磁壁124及びキャップ磁壁126を含む。側方磁壁124とキャップ磁壁126とは互いに一体となっており、磁気的挿入部120は、孔125を含んでおり、孔125は、磁気的挿入部120とブラダ本体110との構造的統合を助けるために、ブラダ本体110の材料で充填される。側方磁壁124が、側方ブラケット部分222及び/又は側方壁部16に対して少なくともおおよそ平行に延在するよう配向され、キャップ磁壁126が、キャップブラケット部分224及び/又はキャップ壁部18に対して少なくともおおよそ平行に延在するよう配向されている。
【0065】
図7では、磁気ヘッド204が、磁気的挿入部120と磁気的に係合する。特に、キャップ磁気源214がキャップ磁壁126と磁気的に係合し、側方磁気源212が側方磁壁124と磁気的に係合している。従って、ブラダ102が、カウル160に対してハット型ストリンガ10を付勢し、かつブラケット内表面216に対してカウル160を付勢し、これにより、ハット型ストリンガ10及びカウルが、ブラダ102とブラケット206との間で保持される。
【0066】
図9~
図10は、ブラダ102がブラダスリーブ112を含む例を示す等角図である。より具体的には、
図9は、ブラダ102、ハット型ストリンガ10、及びカウル160の一区分を示しており、ここで、ハット型ストリンガ10及びカウル160が、本明細書で述べるように、ブラダ102と磁気ヘッド204との間に動作可能に保持されている。
図10は、ブラダスリーブ112から取り出された磁気的挿入部120を示す、
図9の例の部分図である。おそらく
図10で最も良く分かるように、各磁気的挿入部120は、張り出した磁気的挿入部121であり、ノーズ壁130と、当該ノーズ壁130から片持ちで延びたフラップ132とを含む。フラップ132は、本明細書で述べるように、キャップ磁壁126を含むキャップフラップ131と、当該キャップフラップ131に対して垂直に延在しかつ側方磁壁124を含む側方フラップ133と、を含む。各フラップ132は、前縁134を含み、当該前縁134に沿って、フラップ132がノーズ壁130に動作可能に取り付けられている。フラップ132は、集合的に挿入内部空間140を画定し、各フラップ132の先頭部分はノーズ壁130から外方に角度が付けられており、これにより、挿入内部空間140の断面積が、フラップ132の先頭部分の後方へとより大きくなる。
【0067】
フラップ132は、ノーズ壁130から偏向可能に片持ちで延びている(cantilever)。より具体的には、フラップ132が長手方向端136を含み、長手方向端136に沿って、各フラップ132は、隣合うフラップ132から分離されている。各フラップ132は、他のフラップ132から分離された後縁138も含む。フラップ132は、当該フラップ132が
図10に示す名目上の配向に付勢され当該配向から弾性的に偏向するように、任意の適切なやり方でノーズ壁130に接続されうる。例えば、フラップ132及びノーズ壁130は、鋼といった弾性金属から形成することができ、フラップ132は、ノーズ壁130と一体に形成することができる。追加的又は代替的に、各フラップ132は、バネ付き(spring-biased)ヒンジによってノーズ壁に結合することができ、当該ヒンジは、
図10に示す配向へとフラップ132を付勢し、フラップ132が挿入内部空間140に向かって向きを変えられるようにする。
【0068】
ブラダ102が、操作ケーブルの対144をさらに含み、操作ケーブルの対144は、張り出した磁気的挿入部121を通って延び、張り出した磁気的挿入部121を相互接続する。各張り出した磁気的挿入部121は、ケーブル受け部146を含み、ケーブル受け部146は、張り出した磁気的挿入部121と操作ケーブル144とを結合し、操作ケーブル144に沿った固定の位置で、張り出した磁気的挿入部121を選択的に保持するよう構成されている。操作ケーブル144及び張り出した磁気的挿入部121が、ブラダスリーブ112内に収容されているときには、操作ケーブル144の末端が、ブラダスリーブ112の端から突き出ている。操作ケーブル144の末端には、ブラダ102及びハット型ストリンガ10を持ち上げるために使用できるカプラ180が具備されている。
【0069】
幾つかの実施例において、操作ケーブル144が、張り出した磁気的挿入部121をブラダスリーブ112内に設置するために利用される。より具体的には、張り出した磁気的挿入部121をブラダスリーブ112内に設置するために、
操作ケーブル144の先頭カプラ180にパラシュート(parachute)を取りつけることができ、パラシュートを先頭カプラ180とともにブラダスリーブ112に通して引っ張るために、強制空気を利用することができる。このことにより、操作ケーブル144及び複数の張り出した磁気的挿入部121が、ブラダスリーブ112内へと引き込まれ、先頭カプラ180がブラダスリーブ112の遠位端又は先端から出たときには、張り出した磁気的挿入部121が、ブラダスリーブ112内におおよそ配置されている。このことを念頭に置いて、各張り出した磁気的挿入部121のノーズ壁130にはベントを備えることができ、ベントによって、張り出した磁気的挿入部121をブラダスリーブ112内に設置する間に、強制空気が挿入内部空間140を流過して挿入内部空間140を出ることが可能となる。幾つかの実施例において、磁壁122内で電磁石が利用できるように、操作ケーブル144が、張り出した磁気的挿入部121に電流を流すよう構成されている。
【0070】
図9を参照すると、本明細書では、キャリッジ202がロボットアーム230に結合されている例が示されている。この特別な例では、ロボットアーム230が、六自由度(6 degrees of freedom)によりキャリッジ202を配置及び配向するよう構成されたヘキサポッド(hexapod、六脚)を含む。
【0071】
図11は、ハット型ストリンガ10を所望のストリンガ長手方向配置で動作可能に保持する磁気的ハンドリングシステム100の例を示している。より具体的には、磁気的キャリッジシステム200が、複数のキャリッジ202、特に7個のキャリッジ202と、キャリッジ202に結合された対応する複数のロボットアーム230と、を含む。各ロボットアーム230はガイドフレーム252に取り付けられており、ガイドフレーム252に沿った各ロボットアーム230の位置は、様々なハット型ストリンガ長のハット型ストリンガ10で磁気的ハンドリングシステム100を利用できるように調整することができる。磁気的ハンドリングシステム100は、ロボット位置決めアセンブリ254をさらに含み、ロボット位置決めアセンブリ254は、地面又は支持面から上に間隔を置いてガイドフレーム252に結合されており、かつガイドフレーム252を支持する。ロボット位置決めアセンブリ254は、例えば六自由度の範囲内で、ガイドフレーム252の位置及び配向を制御するために作動されるよう構成されている。
【0072】
各キャリッジ202が磁気ヘッドの対204を含む。ブラダ102が、ハット型ストリンガ10内に収容されており、その磁気的挿入部120が、磁気ヘッド204と位置合わせされている。各磁気ヘッド204は、磁気ヘッド204とブラダ102との間にハット型ストリンガ10が動作可能に保持されるように、それぞれの磁気的挿入部120と磁気的に係合している。各ロボットアーム230は、それぞれのキャリッジ202の相対的な位置及び配向を制御するよう構成されており、これにより、ロボットアーム230は集合的に、磁気ヘッド204を介して所望のストリンガ長手方向配置へとハット型ストリンガ10を操作するよう構成されている。磁気ヘッド204が、所望のストリンガ長手方向配置にハット型ストリンガ10を合わせるために配置され配向されると、ロボット位置決めアセンブリ254を利用して、磁気的ハンドリングシステム100によって所望のストリンガ長手方向配置に保持されたハット型ストリンガ10を、航空機外板に沿った適切な位置に移動させることができる。
【0073】
図12は、初期の配置40(実線)にあるハット型ストリンガ10、及び、本開示に係る磁気的ハンドリングシステム100によって操作された所望のストリンガ長手方向配置42(鎖線)にあるハット型ストリンガ10を示す等角図である。図示されるように、ストリンガ長28に対して垂直なハット型ストリンガ10の断面は、形状及び寸法が、ストリンガ長28に沿って少なくとも実質的に均一である。本例では、ハット型ストリンガ10は、部分的に硬化した複合材ストリンガである。ハット型ストリンガ10は、初期の配置40では、先行する製造プロセス(例えば、スタンプ形成)によってハット型ストリンガ10に与えられうる傾斜、又は輪郭を含む。上述のように、傾斜(loft)とは、ハット型ストリンガ10の断面がアジマス軸68に沿って互いにずれていることを意味している。とはいえ、本例では、所望のストリンガ長手方向配置42における傾斜プロファイルは、初期の配置40における傾斜プロファイルとは異なっている。所望のストリンガ長手方向配置41はまた、初期の配置40に対して捻られ、かつ歪んでいる。特に、上述のように、歪む(skew)とは、ハット型ストリンガ10の断面が横軸62に沿って互いにずれていることを意味し、捻じる(twist)とは、ハット型ストリンガ10の断面が長手方向軸60周りで互いに対して回転させられていることを意味する。これに対応して、
図12の例では、磁気的ハンドリングシステム100は、初期の配置40から所望のストリンガ長手方向配置42にハット型ストリンガ10を操作するために、ハット型ストリンガ10に対して傾斜、捻り、及び歪みを加えてしまっている。
【0074】
図13は、本開示に係る方法500の例示的で非排他的な例を示すフローチャートを概略的に提供する。
図13では、一部のステップが点線で囲まれている。これは、そのようなステップが任意選択的でありうること、又は本開示に係る方法の任意選択のバージョンに対応しうることを示している。とはいえ、本開示に係る全ての方法が、実線のボックスで示されたステップを含む必要はない。
図13に示される方法及びステップは限定的ではなく、本明細書の記載から分かるように、示されるステップの数よりも多い又は少ない数のステップを有する方法を含む他の方法及びステップが、本開示の範囲内に含まれる。
【0075】
方法500は、磁気的ハンドリングシステムを利用してハット型ストリンガを取り扱う方法を含む。方法500の各ステップ又は各部分は、本明細書で
図3~
図12との関連で示し述べた磁気的ハンドリングシステム100を利用して、及び/又は、本明細書で
図1~
図12との関連で示し述べたハット型ストリンガ10を取り扱うために実行することができる。同様に、方法500、及び
図13を参照して本明細書で示し述べた磁気的ハンドリングシステム100の特徴、機能、部分などのいずれかが、本開示の範囲から逸脱することなく、
図3~
図12の例に含まれ及び/又は
図3~
図12の例で利用されうる。
【0076】
図13に示すように、方法500は、ハット型ストリンガ内にブラダを配置すること(505)と、磁気ヘッドを動作可能に配置すること(515)と、磁気ヘッドを磁気的挿入部と磁気的に係合させること(520)と、を含み、上記磁気的に係合させること(520)が、磁気源を磁壁と磁気的に結合すること(525)と、各磁気ヘッドのブラケット内にハット型ストリンガを保持すること(530)と、を含みうる。方法500は、カウル内にハット型ストリンガを収容すること(510)と、ハット型ストリンガを合わせること(535)と、所望の配置でハット型ストリンガを維持すること(555)と、航空機外板にハット型ストリンガを敷設すること(560)と、を含みうる。上記合わせること(535)が、ハット型ストリンガに捻りを加えること(540)、ハット型ストリンガに歪みを加えること(545)、及び/又はハット型ストリンガに傾斜を加えること(550)を含みうる。
【0077】
上記配置すること(505)が、ハット型ストリンガのストリンガ内部空間内にブラダを配置することを含む。上記配置すること(505)がまた、ブラダのブラダ外表面に当接させて、ストリンガ内部空間を画定するストリンガ壁内表面を支持することを含む。上記配置すること(505)が、任意の適切なやり方で、ストリンガ内部空間20内にブラダ102を配置すること、平行移動させること、移動すること、挿入すること、及び/又は引込むことを含みうる。言及したように、ブラダ102は、ブラダ外表面106の内部に、ブラダ長104に沿って分散した複数の磁気的挿入部120を含む。これに対応して、上記配置すること(505)が、ハット型ストリンガ10のストリンガ長28に沿って互いに間隔を空けるなどして、ストリンガ内部空間20内に複数の磁気的挿入部120を配置することを含む。幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10は、本明細書で述べたように、硬化されていない又は部分的に硬化したハット型ストリンガ10である。
【0078】
幾つかの実施例において、方法500が、カウル160のカウル内部空間166内にハット型ストリンガ10を収容すること(510)を含み、これにより、カウル160のカウル壁内表面164が、本明細書で述べるように、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26に接触して支持する。従って、方法500が上記収容すること(510)を含む例の場合、上記配置すること(505)及び上記収容すること(510)の後に、ハット型ストリンガ10の壁12が、ブラダ102とカウル160との間で支持される。
【0079】
方法500は、各磁気ヘッドが、ブラダの対応する磁気的挿入部と位置合わせされるように、ハット型ストリンガに対して複数の磁気ヘッドを動作可能に配置すること(515)を含む。幾つかの実施例において、上記動作可能に配置すること(515)が、上記配置すること(505)の後に、及び任意選択的に、上記収容すること(510)の後に実行される。幾つかの実施例において、上記動作可能に配置すること(515)が、本明細書で述べるように、各磁気ヘッド204の磁気源208を、それぞれの磁気的挿入部120の対応する磁壁122と位置合わせすること及び/又は少なくとも実質的に磁気的に位置合わせすることを含む。幾つかの実施例において、上記動作可能に配置すること(515)が、本明細書で述べるように、磁気ヘッド204のブラケット206内でハット型ストリンガ10を動作可能に収容することを含む。幾つかの実施例において、上記動作可能に配置すること(515)が、本明細書で述べたロボットアーム230、及び任意選択的にロボット位置決めアセンブリ254を利用するなどして、磁気ヘッド204を支持するキャリッジ202移動させ及び/又は配向することを含む。
【0080】
方法500は、ブラダがストリンガ内部空間20内で収容されている間に、各磁気ヘッドを対応する磁気的挿入部120と磁気的に係合させること(520)をさらに含む。これに対応して、上記磁気的に係合させること(520)が、上記配置すること(505)の後に実行され、さらに、上記動作可能に配置すること(515)の後に及び/又は上記動作可能に配置すること(515)と少なくとも実質的に同時に、及び/又は上記収容すること(510)の後に実施されうる。
【0081】
幾つかの実施例において、上記磁気的に係合させること(520)が、各磁気ヘッド及び対応する磁気的挿入部について、磁気源を磁気的挿入部のそれぞれの磁壁と磁気的に結合すること(525)を含む。より具体的には、上記磁気的に結合すること(525)が、磁気ヘッド504と磁壁122との間に複数の磁気的吸引力50を生成することを含み、ここで、磁気的吸引力50のうちの少なくとも2つが、本明細書で述べるように、少なくとも部分的反対の方向に沿って配向されている。幾つかの実施例において、上記磁気的に結合すること(525)が、第1の側方磁気源212と第1の側方磁壁124との間に、第1の方向52に沿って第1の磁気的吸引力50を生成することと、第2の側方磁気源212と第2の側方磁壁124との間に、第2の方向54に沿って、第2の磁気的吸引力50を生成することと、を含み、ここで、第1の方向52は、第2の方向54とは少なくとも部分的に反対である。幾つかの実施例において、上記磁気的に結合すること(525)が、キャップ磁気源214とキャップ磁壁126との間に、第3の方向56に沿って第3の磁気的吸引力50を生成することをさらに含み、ここで、第3の方向56は、第1の方向52及び第2の方向54に対して少なくとも部分的に垂直である。
【0082】
磁気源208及び/又は磁壁122が永久磁石を含む一部の例について、上記磁気的に結合すること(525)が、上記動作可能に配置することの間及び/又は上記動作可能に配置するの結果として実行される。つまり、幾つかのこのような例では、磁壁122を磁気源208と位置合わせすること、及び磁気ヘッド204のブラケット206内にブラダ102を動作可能に収容することによって、本明細書で述べるように、複数の磁気的吸引力50が生成される。追加的又は代替的に、幾つかの実施例において、上記磁気的に結合すること(525)が、磁気源を作動又は活性化してそれぞれの磁場を形成することを含む。より特別な例として、磁気源を活性化させることは、磁気源208が電磁石を含み又は電磁石である例について、磁気源208に電流を供給することを含む。
【0083】
上記磁気的に係合させること(520)が、各磁気ヘッド及び対応する磁気的挿入部について、複数の磁気的吸引力50を利用して、磁気ヘッドのブラケット内にハット型ストリンガを保持すること(530)をさらに含む。これに対応して、上記保持すること(530)が、上記磁気的に結合すること(525)と少なくとも実質的に同時に、及び/又は上記磁気的に結合すること(525)の結果として実行される。より具体的には、上記保持すること(530)が、ストリンガ壁内表面24に当接させてブラダ102のブラダ外表面106を付勢することを含む。方法500が上記収容すること(510)を含む幾つかの例について、上記保持すること(530)が、ブラダ102と磁気ヘッド204のブラケット206との間で、ハット型ストリンガ10の壁12、及びカウル160のカウル壁162を保持及び/又は支持することを含む。より具体的には、幾つかのこのような例において、上記保持すること(530)が、本明細書で述べたように、カウル160のカウル壁内表面164に当接させて、ハット型ストリンガ10のストリンガ壁外表面26を付勢すること、及び、磁気ヘッド204のブラケット206のブラケット内表面216に当接させて、カウル160のカウル壁外表面168を付勢することを含む。
【0084】
図13を引き続き参照すると、幾つかの実施例において、方法500は、所望のストリンガ長手方向配置にハット型ストリンガを合わせること(535)を含む。方法500が上記合わせること(535)を含むときには、上記合わせることが、上記磁気的に係合させること(520)の後に実行され、これにより、各磁気ヘッド204が、上記合わせること(535)の間には、対応する磁気的挿入部120と磁気的に係合している。換言すれば、方法500は、上記合わせること(535)の間に、磁気ヘッド204とそれぞれの磁気的挿入部120との間の磁気的係合を維持することを含む。幾つかの実施例において、上記合わせることが、本明細書で述べるように、例えばロボットアーム230を利用して、1つ以上の磁気ヘッド204を1つ以上の他の磁気ヘッド204に対して配向及び/又は配置することを含む。幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、本明細書で述べるように、磁気的吸引力50を利用して、ハット型ストリンガ10からの復元力及び/又は復元トルクを平衡化することを含む。
【0085】
幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、ハット型ストリンガに対して捻りを加えることを含む。幾つかの実施例において、上記捻りを加えること(540)が、少なくとも1つの磁気ヘッド204を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド204に対して自身の長手方向軸60周りに回転させることを含む。幾つかの実施例において、上記捻りを加えること(540)が、少なくとも1つの磁気ヘッド204と、対応する磁気的挿入部120との間の複数の磁気的吸引力50を用いて、ハット型ストリンガ10からの反対向きの捻りトルクを平衡化することをさらに含む。換言すれば、幾つかの実施例において、上記捻りを加えること(540)が、磁気的吸引力50を用いて、ハット型ストリンガ10からの反対向きの捻りトルクに抗して、複数のブラケット206内でハット型ストリンガ10を保持することを含む。
【0086】
幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、ハット型ストリンガに対して歪みを加えること(545)を含む。幾つかの実施例において、上記歪みを加えること(545)が、少なくとも1つの磁気ヘッド204を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド204に対して、例えば横軸62に沿って横方向に移動させて、ハット型ストリンガ10に対して歪みを加えることを含む。幾つかの実施例において、上記歪みを加えること(545)が、磁気的吸引力50を用いて、ハット型ストリンガ10からの反対向きの横方向の力を平衡化すること、及び/又は磁気的吸引力50を用いて、反対向きの横方向の力に抗して、複数のブラケット206内でハット型ストリンガ10を保持することを含む。
【0087】
幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、ハット型ストリンガに傾斜を加えること(550)を含む。幾つかの実施例において、上記傾斜を加えること(550)が、少なくとも1つの磁気ヘッド204を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド204に対して、アジマス軸68に沿って移動(例えば、垂直方向に移動)させて、ハット型ストリンガ10に傾斜を加えることを含む。幾つかの実施例において、上記傾斜を加えること(550)が、磁気的吸引力50を用いて、アジマス軸68に沿ったハット型ストリンガ10からの反対向きの力を平衡化することを含む。幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、上記捻りを加えること(540)、上記歪みを加えること(545)、及び上記傾斜を加えること(550)のそれぞれを含む。
【0088】
幾つかの実施例において、上記合わせること(535)が、例えば上記捻りを加えること(440)、上記歪みを加えること(545)、及び/又は上記傾斜を加えること(550)と同時に、ストリンガ長28に沿ってハット型ストリンガ10内の張力を維持することをさらに含む。幾つかの実施例において、上記張力を維持することが、上記捻りを加えること(440)、上記歪みを加えること(545)、及び/又は上記傾斜を加えること(550)からさもなくば生じうるハット型ストリンガ10内の圧縮を軽減することを含む。幾つかの実施例において、ストリンガ長28に沿ってハット型ストリンガ10内の張力を維持することで、ハット型ストリンガ10におけるしわが防止される。幾つかの実施例において、上記張力を維持することが、ハット型ストリンガ10の壁12の1つ以上の領域内での圧縮を回避することを含む。
【0089】
図13を引き続いて参照すると、方法500は、所望のハット型ストリンガ長手方向配置でハット型ストリンガを維持すること(555)と、所望のストリンガ長手方向配置においてハット型ストリンガを航空機外板に敷設すること(560)と、を含みうる。方法500に含まれるときに、上記維持すること(555)、及び上記敷設すること(560)は、上記合わせること(535)の後に、及び/又は、複数の磁気ヘッド204がブラダ102とともに、所望のストリンガ長手方向配置42にハット型ストリンガ10を保持する間に、実行される。上記敷設すること(560)が、航空機外板30の事前に選択された領域にハット型ストリンガ10を敷設することを含む。幾つかの実施例において、上記敷設すること(560)が、航空機外板30の事前に選択された領域に対して、ハット型ストリンガ10を配置することを含み、このことは、ロボット位置決めアセンブリ254を利用して実行することができる。幾つかの実施例において、上記敷設すること(560)が、ハット型ストリンガ10のフランジ22を、例えば当該フランジ22を航空機外板に対して押圧することによって、航空機外板30の事前に選択された領域と係合させることを含む。幾つかの実施例において、航空機外板の事前に選択された領域が、上記合わせること(535)の結果としてフランジ22の配置に一致する配置を含む。換言すれば、フランジ22は、上記合わせること(535)によって、航空機外板30の事前に設定された領域に対して平行に延在するよう成形され、これにより、フランジ22に沿ったストリンガ壁内表面24の或る領域の少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、及び/又は少なくとも99.9%が、上記敷設すること(560)の後で、航空機外板30の事前に選択された領域に接触するよう合わせられている。より特別な例として、航空機外板30は、本明細書で述べたように、航空機主翼ボックス74の上方外板及び下方外板でありうる。
【0090】
言及したように、幾つかの実施例において、ハット型ストリンガ10は、硬化しておらず及び/又は部分的に硬化している。幾つかの実施例において、方法500は、上記敷設すること(560)の後に、航空機外板上でハット型ストリンガを硬化させることを含む。幾つかの実施例において、航空機外板30も硬化しておらず及び/又は部分的に硬化しており、方法500は、航空機外板30とハット型ストリンガ10とを互いに共硬化させることを含む。幾つかの実施例において、方法500が、航空機外板に複数のハット型ストリンガを敷設すること(560)と、次いで、複数のハット型ストリンガと航空機外板とを共硬化させることと、を含む。このような実施例において、方法500は、本明細書の記載から分かるように、所望のストリンガ長手方向配置42に各ハット型ストリンガ10を合わせ、航空機外板30の事前に選択された領域に各ハット型ストリンガ10を敷設するために、方法500のステップの任意の適切な組み合わせを繰り返すことを含む。
【0091】
方法500は、上記敷設すること(560)の後に、対応する磁気的挿入部120から各磁気ヘッド204を磁気的に外すことをさらに含みうる。方法500が、航空機外板30に複数のハット型ストリンガ10を敷設することを含む例の場合、方法500は、航空機外板30に敷設されているハット型ストリンガ10内で収容されたブラダ102から、磁気ヘッド204を磁気的に外すことと、次いで、磁気ヘッド204を、他のハット型ストリンガ10内に収容されたブラダ102と磁気的に係合させることと、を含みうる。
【0092】
本開示に係る発明の主題の例示的で非排他的な例が、下記に列挙する段落に記載される。
【0093】
A.ハット型ストリンガ(10)のための磁気的ハンドリングシステム(100)であって、ハット型ストリンガ(10)が、ストリンガ内部空間(20)を画定する複数の壁部(14)を有する壁(12)を含み、磁気的ハンドリングシステム(100)が、
ハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内に収容されるよう構成され、かつ磁気的挿入部(120)を含むブラダ(102)であって、磁気的挿入部(120)が、複数の磁壁(122)を含み、複数の磁壁(122)のそれぞれが、ハット型ストリンガ(10)の複数の壁部(14)のそれぞれの壁部(14)と少なくとも実質的に位置合わせれて延在するよう配置され配向されている、ブラダ(102)と、
支持構造(250)に結合されるよう構成されたキャリッジ(202)を含み、かつ磁気ヘッド(204)を含む磁気的キャリッジシステム(200)であって、磁気ヘッド(204)が、ブラケット(206)と、ブラケット(206)によって支持された複数の磁気源(208)と、を含み、各磁気源(208)が、磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁壁(122)と磁気的に結合して、これらの間に磁気的吸引力(50)を生成するよう構成される、磁気的キャリッジシステム(200)と、
を備え、
複数の磁気源(208)と複数の磁壁(122)とが、互いに磁気的に結合して、これらの間に、異なる方向に沿って配向される複数の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成される、
磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0094】
A1.磁気ヘッド(204)とブラダ(102)とが、これらの間でハット型ストリンガ(10)の壁(12)を収容するよう構成され、磁気ヘッド(204)の各磁気源(208)と、磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁壁(122)とが、ハット型ストリンガ(10)のそれぞれの壁部(14)の両側に配置されており、複数の磁気源(208)と複数の磁壁(122)とが、互いに磁気的に結合して、ハット型ストリンガ(10)に対してブラダ(102)を付勢して、磁気ヘッド(204)のブラケット(206)内でハット型ストリンガ(10)を保持するよう集合的に構成される、段落Aに記載の磁気的ハンドリングシステム。
【0095】
A2.ブラダ(102)がブラダ長(104)を定め、複数の磁壁(122)の各磁壁(122)が、ブラダ長(104)に対して少なくともおおよそ平行して延在する、段落A又はA1に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0096】
A3.磁気ヘッド(204)のブラケット(206)が、ブラケット長(210)を定め、磁気ヘッド(204)のブラケット長(210)は、磁気ヘッド(204)の複数の磁気源(208)が、磁気的挿入部(120)の複数の磁壁(122)と磁気的に結合しているときには、ブラダ(102)のブラダ長(104)に対して少なくともおおよそ平行である、段落A2に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0097】
A4.ハット型ストリンガ(10)の複数の壁部(14)が、キャップ壁部(18)と、当該キャップ壁部(18)によって互いに間隔が置かれた側壁部の対(16)と、それぞれの側壁部(16)によってキャップ壁部(18)から間隔が置かれており、かつそれぞれの側壁部(16)から延在するフランジの対(22)と、を含み、側壁部の対(16)とキャップ壁部(18)とが、ストリンガ内部空間(20)を画定する、段落AからA3のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0098】
A5.磁気的挿入部(120)の複数の磁壁(122)が、ハット型ストリンガ(10)の側壁部の対(16)と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するようそれぞれ配置され配向された側方磁壁の対(124)を含む、段落AからA4のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0099】
A6.側方磁壁の対(124)が、互いに対して或る横方向面角で配向されており、横方向面角が、少なくとも0°、少なくとも5°、少なくとも8°少なくとも10°、少なくとも12°、少なくとも15°、少なくとも20°、最大で8°、最大で10°、最大で12°、最大で15°、最大で20°、及び/又は最大で30°である、段落A5に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0100】
A7.磁気ヘッド(204)の複数の磁気源(208)が、磁気的挿入部(120)の側方磁壁の対(124)と磁気的に結合するようそれぞれ構成された側方磁気源の対(212)を含む、段落A5又はA6に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0101】
A8.ハット型ストリンガ(10)が、ブラダ(102)と磁気ヘッド(204)との間に収容されているときには、側方磁壁の対(124)の各側方磁壁(124)と、側方磁気源の対(212)のそれぞれの側方磁気源(212)と、の間で生成される磁気的吸引力(50)が、ハット型ストリンガ(10)の側壁部の対(16)のそれぞれの側壁部(16)を通って、かつ任意選択的に、当該それぞれの側壁部(16)に対して少なくとも実質的に垂直に方向付けられる、段落A7に記載の磁気的ハンドリングシステム。
【0102】
A9.側方磁気源の対(212)の第1の側方磁気源(212)が、側方磁壁の対(124)の第1の側方磁壁(124)と磁気的に結合して、複数の磁気的吸引力(50)の第1の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、第1の磁気的吸引力(50)が、第1の方向(52)に沿って配向され、側方磁気源の対(212)の第2の側方磁気源(212)が、側方磁壁の対(124)の第2の側方磁壁(124)と磁気的に結合して、これらの間に、複数の磁気的吸引力(50)の第2の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、第2の磁気的吸引力(50)が、第2の方向(54)に沿って配向され、第1の方向(52)が、第2の方向(54)とは少なくとも部分的に反対であり、任意選択的に、第2の方向(54)とは少なくとも実質的に反対である、段落A7又はA8に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0103】
A10.ブラケット(206)が、側方ブラケット部分の対(222)を含み、側方ブラケット部分の対(222)は、ブラダ(102)が磁気ヘッド(204)内に動作可能に収容されているときには、磁気的挿入部(120)の側方磁壁の対(124)と少なくとも実質的に位置合わせされるよう配置され配向され、磁気ヘッド(204)の側方磁気源の対(212)が、側方ブラケット部分の対(222)の上に取り付けられる、段落A7からA9のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0104】
A11.磁気的挿入部(120)の複数の磁壁(122)が、ハット型ストリンガ(10)のキャップ壁部(18)と少なくとも実質的に位置合わせされて延在するよう配置され配向されたキャップ磁壁(126)をさらに含み、磁気ヘッド(204)の複数の磁気源(208)が、磁気的挿入部(120)のキャップ磁壁(126)と磁気的に結合するよう構成されたキャップ磁気源(214)をさらに含む、段落A5からA10のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0105】
A12.段落A9に従属するときに、キャップ磁気源(214)が、磁気的挿入部(120)のキャップ磁壁(126)と磁気的に結合して、これらの間に、複数の磁気的吸引力(50)の第3の磁気的吸引力(50)を生成するよう構成され、第3の磁気的吸引力(50)が、第1の方向(52)及び第2の方向(54)のそれぞれに対して少なくとも部分的に垂直な第3の方向(56)に沿って配向される、段落A11に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0106】
A13.側方磁壁の対(124)の各側方磁壁(124)が、キャップ磁壁(126)に対して、キャップ-横方向面角(128)において配向され、キャップ-横方向面角(128)が、少なくとも90°、少なくとも100°、少なくとも110°、少なくとも120°、少なくとも130°、少なくとも140°、最大で100°、最大で110°、最大で120°、最大で130°、最大で140°、及び/又は最大で160°である、段落A12に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0107】
A14.磁気的挿入部(120)と磁気ヘッド(204)とが互いに磁気的に係合して、ハット型ストリンガ(10)に印加される垂直方向の力、捻り力、及び歪める力に抗して、ハット型ストリンガ(10)をブラケット(206)内で保持するよう構成され、磁気ヘッド(204)の各磁気源(208)が磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁壁(122)と磁気的に結合しているときには、
磁気ヘッド(204)と磁気的挿入部(120)とが互いに磁気的に係合している、段落AからA13のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0108】
A15.ハット型ストリンガ(10)の壁(12)が、ストリンガ内部空間(20)を画定するストリンガ壁内表面(24)を含み、ブラダ(102)が、ストリンガ壁内表面(24)に対応するよう成形され寸法決定されたブラダ外表面(106)を含み、任意選択的に、ブラダ(102)がハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内に収容されているときには、ブラダ外表面(106)がストリンガ壁内表面(24)を支持する、段落AからA14のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0109】
A16.磁気的挿入部(120)は、ブラダ(102)がハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内に収容されているときにはブラダ外表面(106)が磁気的挿入部(120)とストリンガ壁内表面(24)の間に入るよう、ブラダ(102)内に配置され、ブラダ外表面(106)が、ハット型ストリンガ(10)の複数の壁部(14)に対応する複数のブラダ外表面部分(108)を画定し、磁気的挿入部(120)の複数の磁壁(122)の各磁壁(122)が、それぞれのブラダ外表面部分(108)と少なくとも実質的に位置合わせされている、段落A15に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0110】
A17.カウル(160)を更に含み、カウル(160)は、カウル壁内表面(164)を含むカウル壁(162)を有し、カウル壁内表面(164)がカウル内部空間(166)を画定し、カウル壁内表面(164)が、ハット型ストリンガ(10)のストリンガ壁外表面(26)の所望の形状に対応するよう成形され、カウル(160)が、カウル内部空間(166)内にハット型ストリンガ(10)を収容するよう構成され、ハット型ストリンガ(10)のストリンガ壁外表面(26)が、カウル壁内表面(164)に当接して支持される、段落AからA16のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0111】
A18.磁気ヘッド(204)とブラダ(102)とが、これらの間で、カウル(160)のカウル壁(162)及びハット型ストリンガ(10)の壁(12)を収容するよう構成され、ハット型ストリンガ(10)がカウル内部空間(166)内に収容され、磁気ヘッド(204)の複数の磁気源(208)と、磁気的挿入部(120)の複数の磁壁(122)とは、ハット型ストリンガ(10)に対してブラダ(102)を付勢して、カウル内部空間(166)内にハット型ストリンガ(10)を保持し、かつ磁気ヘッド(204)のブラケット(206)内にカウル(160)を保持するよう集合的に構成される、段落A17に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0112】
A19.磁気ヘッド(204)のブラケット(206)が、ブラケット内部空間(218)を画定するブラケット壁内表面(216)を含み、ブラケット内表面(216)が、カウル(160)のカウル壁外表面(168)に対応するよう寸法決定されて成形され、ブラケット(206)が、ブラケット内部空間(218)内にカウル(160)を収容するよう構成され、カウル壁外表面(168)がブラケット内表面(216)に当接して支持される、段落A17又はA18に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0113】
A20.ブラダ(102)が、一体構造を有するブラダ本体(110)を含み、磁気的挿入部(120)が、ブラダ本体(110)によって取り囲まれ、かつブラダ本体(110)内に宙に浮いている、段落AからA19のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0114】
A21.ブラダ(102)が、中空の内部空間を取り囲むよう構成されたブラダスリーブ(112)を含み、磁気的挿入部(120)が、ブラダスリーブ(112)内に選択的に収容され、かつ任意選択的に、ブラダスリーブ(112)から選択的から取り外されるよう構成され、ブラダスリーブ(112)がブラダ外表面(106)を含む、段落AからA19のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0115】
A22.磁気的挿入部(120)が、張り出した磁気的挿入部(121)であり、張り出した磁気的挿入部(121)が、ノーズ壁(130)と、ノーズ壁(130)から片持ちで延びた複数のフラップ(132)と、を含み、ノーズ壁(130)が、張り出した磁気的挿入部(121)の先端を画定し、複数のフラップ(132)の各フラップ(132)が前縁(134)を含み、前縁(134)に沿って、フラップ(132)がノーズ壁(130)から片持ちで延びており、複数のフラップ(132)が、複数の磁壁(122)を集合的に含む、段落AからA21のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0116】
A23.複数のフラップ(132)の各フラップ(132)が、張り出した磁気的挿入部(121)の挿入長(142)に沿って延在し、複数のフラップ(132)が、張り出した磁気的挿入部(121)の挿入内部空間(140)を集合的に画定し、各フラップ(132)の先頭部分が、ノーズ壁(130)から外方に角度が付けられており、これにより、挿入内部空間(140)の断面積は、ノーズ壁(130)から離れるにつれてより大きい、段落A22に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0117】
A24.複数のフラップ(132)の各フラップ(132)が、ノーズ壁(130)から偏向可能に片持ちで延びている、段落A22又はA23に記載の磁気的ハンドリングシステム。
【0118】
A25.段落A21に従属するときに、張り出した磁気的挿入部(121)の複数のフラップ(132)が、少なくとも張り出した磁気的挿入部(121)に沿って、ブラダスリーブ(112)を所望のブラダ配置で支持するよう構成される、段落A22からA24のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0119】
A26.ブラダスリーブ(112)の内部を通って延びるよう構成された操作ケーブル(144)をさらに含み、張り出した磁気的挿入部(121)のノーズ壁(130)が、操作ケーブル(144)を受けるよう構成されたケーブル受け部(146)を含む、段落A22からA25のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0120】
A27.複数の張り出した磁気的挿入部(121)をさらに含み、各張り出した磁気的挿入部(121)が、それぞれのケーブル受け部(146)介して操作ケーブル(144)上に取り付けられて、操作ケーブル(144)の伸長に沿って分散しており、操作ケーブル(144)が、複数の張り出した磁気的挿入部(121)と一緒にブラダスリーブ(112)内に収容されており、複数の張り出した磁気的挿入部(121)が、所望のブラダ配置においてブラダスリーブ(112)を支持する、段落A26に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0121】
A28.ブラダ(102)が、ブラダ(102)のブラダ長(104)に沿って互いに間隔が置かれた複数の磁気的挿入部(120)を含み、複数の磁気的挿入部(120)が、所望のストリンガ長手方向配置(42)にハット型ストリンガ(10)を合わせるために、複数の磁気ヘッド(204)のそれぞれと磁気的に係合するよう構成される、段落AからA27のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0122】
A29.磁気的キャリッジシステム(200)が、複数の磁気ヘッド(204)を集合的に含む複数のキャリッジ(202)を含み、複数の磁気ヘッド(204)の各磁気ヘッド(204)が、複数の磁気的挿入部(120)のそれぞれの磁気的挿入部(120)と磁気的に係合するよう構成される、段落A28に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0123】
A30.複数のキャリッジ(202)の各キャリッジ(202)が、複数の磁気ヘッド(204)のうちの2つのそれぞれの磁気ヘッド(204)を含み、2つのそれぞれの磁気ヘッド(204)が、互いに間隔を空けてキャリッジ(202)内で支持される、段落A29に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0124】
A31.磁気的キャリッジシステム(200)が、複数のキャリッジ(202)の各キャリッジ(202)の位置及び配向を制御するよう構成され、磁気的キャリッジシステム(200)が、複数のキャリッジ(202)の互いに対する位置及び配向を独立して制御するよう構成される、段落A28からA30のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0125】
A32.磁気的ハンドリングシステム(100)が、複数のキャリッジ(202)を支持構造(250)に動作可能に接続する複数のロボットアーム(230)をさらに含み、各ロボットアーム(230)が、複数のキャリッジ(202)のそれぞれのキャリッジ(202)の位置及び配向を制御するよう構成される、段落A31に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0126】
A33.ブラダ(102)が、ストリンガ内部空間(20)内に収容されており、かつ複数の磁気的挿入部(120)の各磁気的挿入部(120)が、複数の磁気ヘッド(204)のそれぞれの磁気ヘッド(204)と磁気的に係合しているときには、磁気的キャリッジシステム(200)が、所望のストリンガ長手方向配置(42)にハット型ストリンガ(10)を操作するために、複数のロボットアーム(230)を制御するよう構成される、段落A32に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0127】
A34.複数のロボットアーム(230)の少なくとも1つのロボットアーム(230)が、それぞれのキャリッジ(202)の磁気ヘッド(204)をその長手方向軸(60)周りで回転させて、ハット型ストリンガ(10)に捻りを加えるよう構成される、段落A33に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0128】
A35.複数のロボットアーム(230)の少なくとも1つのロボットアーム(230)が、それぞれのキャリッジ(202)を、複数のキャリッジ(202)の少なくとも1つの他のキャリッジ(202)に対して横方向に移動させて、ハット型ストリンガに歪みを加えるよう構成される、段落A33又はA34に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0129】
A36.複数のロボットアーム(230)の少なくとも1つのロボットアーム(230)が、それぞれのキャリッジ(202)を、複数のキャリッジ(202)の少なくとも1つの他のキャリッジ(202)に対して、アジマス軸(68)に沿って移動させて、ハット型ストリンガに対して傾斜を加えるよう構成される、
段落A33からA35のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0130】
A37.磁気的ハンドリングシステム(100)が、ハット型ストリンガ(10)に対して傾斜、歪み、及び捻りのうちの1つ以上を加える間に、ハット型ストリンガ(10)のストリンガ長(28)に沿ってハット型ストリンガ(10)内の張力を維持するよう構成される、段落A33からA36のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0131】
A38.磁気的ハンドリングシステム(100)が、ハット型ストリンガ(10)の壁(12)の1つ以上の領域の圧縮を回避するために、ハット型ストリンガ(10)内の張力を維持するよう構成される、段落A33からA37のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム。
【0132】
A39.複数のロボットアーム(230)のうちの隣合うロボットアーム(230)が、それぞれの磁気ヘッド(204)の長手方向軸(60)に沿って、それぞれのキャリッジ(202)を互いに離す方向に移動させて、ストリンガ長(28)に沿ってハット型ストリンガ10に張力を加えるよう構成される、段落A37又はA38に記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0133】
A40.ハット型ストリンガ(10)が、部分的に硬化した複合材料で形成される、段落AからA39のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0134】
A41.コントローラ(90)をさらに備え、コントローラ(90)が、
プロセッサユニットと、
メモリと、
メモリに格納されたコンピュータ可読媒体であって、プロセッサによって実行されたときには、コントローラ(90)に、段落BからB16のいずれか1つに記載の方法の少なくとも一部を実行するよう磁気的ハンドリングシステム(100)を動作させる、コンピュータ可読媒体と、
を含む、段落AからA40のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)。
【0135】
B.磁気的ハンドリングシステム(100)を利用してハット型ストリンガ(10)を取り扱う方法(500)であって、
ハット型ストリンガ(10)のストリンガ内部空間(20)内にブラダ(102)を配置することであって、ブラダ(102)が、ブラダ(102)のブラダ長(104)に沿って分散した複数の磁気的挿入部を含む、ブラダ(102)を配置することと、
複数の磁気ヘッド(204)を、各磁気ヘッド(204)が複数の磁気的挿入部(120)の対応する磁気的挿入部(120)と位置合わせされるように、ハット型ストリンガ(10)に対して動作可能に配置すること(515)と、
ブラダ(102)がストリンガ内部空間(20)で収容されている間に、各磁気ヘッド(204)を対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合させること(520)と、
を含む、方法(500)。
【0136】
B1.磁気的に係合させること(520)が、各磁気ヘッド(204)及び対応する磁気的挿入部(120)について、
磁気ヘッド(204)内に含まれる複数の磁気源(208)を、対応する磁気的挿入部(120)内に含まれる対応する複数の磁壁(122)と磁気的に結合すること(525)であって、磁気的に結合すること(525)が、磁気ヘッド(204)と複数の磁壁(122)との間に複数の磁気的吸引力(50)を生成することを含み、複数の磁気的吸引力(50)が、複数の異なる方向にそれぞれ配向される、磁気的に結合すること(525)と、
複数の磁気的吸引力(50)を利用して、磁気ヘッド(204)のブラケット(206)内でハット型ストリンガ(10)を保持すること(530)と、
を含む、段落Bに記載の方法。
【0137】
B2.配置すること(505)が、ブラダ(102)のブラダ外表面(106)に対してストリンガ内部空間(20)を画定する、ハット型ストリンガ(10)のストリンガ壁内表面(24)を支持することを含み、複数の磁気的挿入部(120)が、ブラダ外表面(106)の内部のブラダ(102)内に配置されており、保持すること(530)が、ストリンガ壁内表面(24)に当接させてブラダ外表面(106)を付勢することを含む、段落B1に記載の方法(500)。
【0138】
B3.磁気的に結合すること(520)の前に、カウル(160)のカウル内部空間(166)内でハット型ストリンガ(10)を収容すること(510)をさらに含み、保持すること(530)が、ブラダ(102)と磁気ヘッド(204)のブラケット(206)との間に、ハット型ストリンガ(10)の壁(12)、及びカウル(160)のカウル壁(162)を保持することを含む、段落B2に記載の方法(500)。
【0139】
B4.付勢することが、カウル(160)のカウル壁内表面(164)に当接させてハット型ストリンガ(10)のストリンガ壁外表面(26)を付勢すること、及び、磁気ヘッド(204)のブラケット(206)のブラケット内表面(216)に当接させて、カウル(160)のカウル壁外表面(168)を付勢することをさらに含む、段落B3に記載の方法(500)。
【0140】
B5.磁気的に結合すること(525)が、複数の磁気源(208)の第1の側方磁気源(212)と、複数の磁壁(122)の第1の側方磁壁(124)と、の間で、第1の方向(52)に沿って第1の磁気的吸引力(50)を生成することと、複数の磁気源(208)の第2の側方磁気源(212)と、複数の磁壁(122)の第2の側方磁壁(124)と、の間で、第2の方向(54)に沿って第2の磁気的吸引力(50)を生成することと、を含み、第1の方向(52)が、第2の方向(54)とは少なくとも部分的に反対である、段落BからB4のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0141】
B6.磁気的に結合すること(525)が、複数の磁気源(208)のキャップ磁気源(214)と複数の磁壁(122)のキャップ磁壁(126)との間で、第3の方向(56)に沿って第3の磁気的吸引力(50)を生成することをさらに含み、第3の方向(56)が、第1の方向(52)及び第2の方向(54)とは少なくとも部分的に反対である、段落B5に記載の方法(500)。
【0142】
B7.所望のストリンガ長手方向配置(42)にハット型ストリンガ(10)を合わせること(535)をさらに含み、合わせること(535)が、磁気的に係合させること(520)の後に、各磁気ヘッド(204)が対応する磁気的挿入部(120)と磁気的に係合している間に実行される、段落BからB6のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0143】
B7.1.ハット型ストリンガ(10)が、合わせること(535)の間に、複数の磁気ヘッド(204)とブラダ(102)との間に動作可能に保持され、合わせること(535)が、少なくとも1つの磁気ヘッド(204)を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して移動させることを含む、段落B7に記載の方法(500)。
【0144】
B8.合わせること(535)は、ハット型ストリンガ(10)に対して捻りを加えること(540)を含み、複数の磁気ヘッド(204)のうちの磁気ヘッド(204)を、複数の磁気ヘッド(204)の少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して、自身の長手方向軸(60)周りに回転させることを含む、段落BからB7.1のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0145】
B9.捻りを加えること(540)が、磁気ヘッド(204)と、対応する磁気的挿入部(120)との間の複数の磁気的吸引力(50)を用いて、ハット型ストリンガ(10)からの反対向きの捻りトルクを平衡化することをさらに含む、段落B8に記載の方法(500)。
【0146】
B10.合わせること(535)は、ハット型ストリンガ(10)に対して歪みを加えること(545)を含み、歪みを加えること(545)が、少なくとも1つの磁気ヘッド(204)を、少なくとも1つの他の磁気ヘッド(204)に対して横方向に移動させることを含む、段落B7からB9のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0147】
B11.合わせること(535)は、ハット型ストリンガ(10)に対して傾斜を加えること(550)をさらに含み、傾斜を加えること(550)が、1つ以上の磁気ヘッド(204)を、1つ以上の他の磁気ヘッド(204)に対して垂直方向に移動させることを含む、段落B7からB10のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0148】
B12.合わせること(535)が、捻りを加えること(540)、歪みを加えること(545)、及び傾斜を加えること(550)のうちの1つ以上の間に、ハット型ストリンガ長(28)に沿ってハット型ストリンガ(10)内の張力を維持することをさらに含む、段落B7からB11のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0149】
B13.ハット型ストリンガ(10)内の張力を維持することが、ハット型ストリンガ(10)の壁(12)の1つ以上の領域の圧縮を回避することを含む、段落B12に記載の方法。
【0150】
B14.所望のストリンガ長手方向配置(42)でハット型ストリンガ(10)を維持すること(555)と、所望のストリンガ長手方向配置(42)において、ハット型ストリンガ(10)を航空機外板(30)に敷設すること(560)と、をさらに含む、段落B7からB13のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0151】
B15.対応する磁気的挿入部(120)から、各磁気ヘッド(204)を磁気的に外すことをさらに含む、段落BからB14のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0152】
B16.磁気的ハンドリングシステム(100)が、段落AからA40のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)である、段落BからB15のいずれか1つに記載の方法(500)。
【0153】
C.航空機主翼ボックス(74)内にハット型ストリンガ(10)を設置するための、段落AからA40のいずれか1つに記載の磁気的ハンドリングシステム(100)の利用。
【0154】
本明細書では、装置の1つ以上の構成要素又は特性のアクション、動き、構成、又は他のアクティビティを変更するときの「選択的な(selective)」及び「選択的に(selectively)」という用語は、その特定のアクション、動き、構成又は他のアクティビティが、装置の一態様又は1つ以上の構成要素をユーザが操作した直接的又は間接的な結果であることを意味する。
【0155】
本明細書では、「適合される(adapted)」及び「構成される(configured)」という用語は、要素、構成要素、又は他の発明の主題が、所与の機能を実行するよう設計及び/又は意図されていることを意味する。従って、「適合される」及び「構成される」という用語の使用は、所与の要素、構成要素、又は他の発明の主題が、単に所与の機能を実行することが「できる(capable of)」ことを意味すると解釈すべきではなく、要素、構成要素、及び/又は他の発明の主題が、その機能を実行するという目的のために特に選択され、創出され、実現され、利用され、プログラム化され、及び/又は設計されていることを意味すると解釈されたい。特定の機能を実行するよう適合されているとして記載された要素、構成要素、及び/又は他の発明の主題は、追加的又は代替的に、その機能を実行するよう構成されているとして記載されうること、及びその逆のことも本開示の範囲に含まれる。同様に、特定の機能を実行するよう構成されていると記載された発明の主題は、追加的又は代替的に、その機能を実行するよう動作可能であるとして記載されうる。
【0156】
本明細書では、第1のエンティティと第2のエンティティとの間に配置される「及び/又は(and/or)」という用語は、(1)第1のエンティティ、(2)第2のエンティティ、並びに(3)第1のエンティティ及び第2のエンティティのうちの1つを意味する。「及び/又は」で列挙された複数のエンティティは、同じように解釈すべきであり、即ち、エンティティのうちの「1つ以上」がそのように等位接続される(so conjoined)と見做されるべきである。「及び/又は」という節によって具体的に特定されるエンティティ以外に、当該具体的に識別されたエンティティに関連するか関連しないかにかかわらず、他のエンティティが任意選択的に存在しうる。従って、非限定的な例として、「含む(comprising)」といった制限のない文言と併用されるときの「A及び/又はB」への言及は、一例において、Aのみ(任意選択的に、B以外のエンティティを含む)を指し、他の例において、Bのみ(任意選択的に、A以外のエンティティを含む)を指し、更に別の例において、AとBの両方(任意選択的に、他の実在物を含む)を指しうる。これらのエンティティは、要素、アクション、構造、ステップ、工程、値などを指しうる。
【0157】
本明細書では、「例えば(for example)」という表現、「一実施例として(as example)」という表現、及び/又は、単なる「実施例(example)」という用語は、本開示に係る1つ以上の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法に関連して使用される場合、記載された構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法が、本開示に係る構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法の例示的で非限定的な実施例であると伝えることを意図している。従って、記載された構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法は、限定したり、必要とされたり、又は排他的/網羅的であったりすることは意図しておらず、構造的及び/又は機能的に類似及び/又は同等の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法を含む他の構成要素、特徴、詳細事項、構造、実施形態、及び/又は方法も本開示の範囲内に含まれる。
【0158】
本明細書では、程度又は関係を変更する場合の「少なくとも実質的に(at least substantially)」という表現は、記載された「実質的な(substantial)」程度又は関係のみではなく、記載された程度又は関係の完全な範囲(full extent)を含みうる。記載される程度又は関係の実質的な量は、記載される程度又は関係の少なくとも75%を含みうる。例えば、少なくとも実質的に或る材料から形成された対象物は、対象物の少なくとも75%がその材料から形成されることを含み、かつ、完全にその材料から形成される対象物も含む。他の例として、第2の方向に対して少なくとも実質的に並行な第1の方向は、第2の方向に対して最大で22.5度の角度を形成する第1の方向を含み、さらに、第2の方向と厳密に平行の第1の方向も含む。他の例として、第2の長さに実質的に等しい第1の長さは、第2の長さの少なくとも75%の第1の長さ、第2の長さと等しい第1の長さ、及び、第2の長さが第1の長さの少なくとも75%であるように第2の長さを超える第1の長さを含む。
【0159】
本明細書で開示される装置及び方法のステップの様々な開示された要素は、本開示に係る全ての装置及び方法で必要とされるわけではなく、本開示は、本明細書で開示される様々な要素及びステップの、新規で自明ではない組み合わせ及びサブコンビネーション(subcombination、組み合わせの構成要素)の全てを含む。さらに、本明細書で開示される様々な要素及びステップのうちの1つ以上は、開示される装置又は方法の全体とは別個で切り離されている独立した発明の主題を規定しうる。これに対応して、かかる発明の主題は、本明細書で明示的に開示される特定の装置及び方法と関連している必要はなく、かかる発明の主題によって、本明細書で明示的に開示されていない装置及び/又は方法における有用性が見出されうる。
【外国語明細書】