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特開2024-26059組織領域における複数の細胞型について密度および空間関係を効率的に決定するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026059
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】組織領域における複数の細胞型について密度および空間関係を効率的に決定するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240220BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240220BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20240220BHJP
   G16H 30/40 20180101ALI20240220BHJP
【FI】
G01N33/53 Y
G06T7/00 630
G01N33/48 M
G01N33/483 C
G16H30/40
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178312
(22)【出願日】2023-10-16
(62)【分割の表示】P 2022564767の分割
【原出願日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】63/016,004
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.SWIFT
3.PYTHON
4.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】511286517
【氏名又は名称】ヴェンタナ メディカル システムズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】コーヤステ, メルヌーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ニエ, ヤオ
(72)【発明者】
【氏名】マーティン, ジム エフ.
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウェンチュン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バイオマーカーを識別するための効率的な方法。
【解決手段】腫瘍エリアを識別するステップを含むことができる。本複数の領域を識別するステップをさらに含むことができる。さらに、各々の領域について、領域を取り囲む領域の境界エリアを定義するステップを含むことができる。境界エリアが完全に腫瘍エリアの中にある前記複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域について、この領域が腫瘍に帰すると判定するステップを含むことができる。前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、この領域と腫瘍エリアとの交差に基づいて、この領域が腫瘍に帰するか否かを判定するステップをさらに含むことができる。さらに、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスするステップと、メトリックに基づいて結果を生成するステップとを含むことができる。結果をバイオマーカーとして使用することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料の画像を使用して腫瘍のバイオマーカーを識別する方法であって、
前記画像内で、前記腫瘍の境界を示している腫瘍エリアを識別するステップと、
各々が組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応する前記画像の複数の領域を識別するステップと、
前記複数の領域の各々の領域について、該領域を取り囲む該領域の境界エリアであって、ポリゴンまたは楕円を含む境界エリアを定義するステップと、
前記境界エリアが完全に前記腫瘍エリアの中にある前記複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域について、該領域が前記腫瘍に帰すると判定するステップと、
前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、該領域の前記境界エリアが部分的に前記腫瘍エリアの中にあると判定するステップと、
前記複数の領域のうちの前記第2のサブセットの各々の領域について、該領域と前記腫瘍エリアとの交差に基づいて、該領域が前記腫瘍に帰するか否かを判定するステップと、
前記腫瘍に帰する各々の領域について、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスするステップと、
前記腫瘍に帰する前記領域の前記アクセスされたメトリックに基づいて、結果の値を生成するステップと、
前記結果の前記値を、別の腫瘍に帰する領域を使用することによって決定され、あるいは前記腫瘍エリアの完全に外側に帰する領域を使用することによって決定された基準値と比較するステップと、
前記比較に基づいて、前記結果がバイオマーカーであるか否かを判定するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記基準値は、
前記複数の領域のうちの第3のサブセットの各々の領域について、該領域の境界エリアが前記腫瘍エリアの完全に外側にあると判定するステップと、
前記腫瘍の完全に外側に帰する各々の領域について、前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックにアクセスするステップと、
前記結果の前記値の生成と同じやり方で、前記腫瘍の完全に外側に帰する各々の領域の前記アクセスされたメトリックに基づいて、前記基準値を生成するステップと
によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結果の前記値が前記基準値から統計的に異なる場合に、前記メトリックが前記バイオマーカーであると判定するステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記メトリックは、前記領域内の特定の種類の細胞のカウントまたは密度である
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記特定の種類の細胞の前記カウントまたは密度は、前記腫瘍エリアの中または前記腫瘍の完全に外側の前記領域のカウントまたは密度である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の領域のうちの第3のサブセットが、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し、
前記方法は、前記複数の領域のうちの前記第3のサブセットの各々の領域について、前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックにアクセスするステップをさらに含み、
前記結果の前記値を生成するステップは、前記腫瘍に帰する各々の領域および前記複数の領域のうちの前記第3のサブセットに帰する各々の領域の前記メトリックを含む関数の値を決定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の領域は、
第1の組織ブロックまたは第1の生物学的オブジェクトに対応する第1の領域と、
第2の組織ブロックまたは第2の生物学的オブジェクトに対応する第2の領域と
を含み、
前記第1および第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、前記領域に関する位置を識別し、
前記結果は、前記第1の領域について前記メトリックによって識別される第1の位置と、前記第2の領域について前記メトリックによって識別される第2の位置との間の距離を識別する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の組織ブロックまたは前記第1の生物学的オブジェクトは、第1の表現型の細胞であり、
前記第2の組織ブロックまたは前記第2の生物学的オブジェクトは、第2の表現型の細胞である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の領域は、第1の表現型の細胞に対応し、
前記第2の領域は、前記第2の組織ブロックに対応する、
請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の領域は、
第1の表現型を有する複数の第1の細胞を含む第1の領域と、
第2の表現型を有する複数の第2の細胞を含む第2の領域と
を含み、
前記第1および第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、前記領域内の複数の細胞の各々の細胞の位置を識別し、
前記結果の前記値は、
前記複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して前記複数の第2の細胞のうちの第2の細胞までの最短距離を計算するステップ
によって生成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記最近傍探索は、K最近傍(KNN)探索である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記最短距離の統計値を計算するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記統計値を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記最短距離が或る範囲内である第1の細胞のカウントを決定するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記カウントである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の領域は、
第1の表現型を有する複数の第1の細胞を含む第1の領域と、
1つ以上の第2の領域と
を含み、
前記1つ以上の第2の領域の各々の第2の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し、前記第1の領域および1つ以上の第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、各々の領域の少なくとも1つの位置を識別し、前記少なくとも1つの位置は、前記第1の領域内の前記複数の第1の細胞の各々の細胞の前記位置であり、前記少なくとも1つの位置は、前記1つ以上の第2の領域の各々の第2の領域の前記位置であり、
前記結果の前記値は、
前記複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して前記1つ以上の第2の領域のうちの第2の領域までの最短距離を計算するステップ
によって生成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最近傍探索は、K最近傍(KNN)探索であり、
前記1つ以上の第2の領域のうちの所与の第2の領域について、前記KNN探索は、前記所与の第2の領域までの垂直距離が最も近い前記複数の第1の細胞のうちの前記第1の細胞を決定し、
前記方法は、前記垂直距離が最も小さい細胞と前記所与の第2の領域との間の距離を計算するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記最短距離の統計値を計算するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記統計値を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記最短距離が決められた範囲内である第1の細胞のカウントを決定するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記カウントを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記メトリックは、圧縮レベルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の領域の各々の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記領域と前記腫瘍エリアとの前記交差は、前記複数の領域を前記腫瘍エリアに関連付けるデータ構造を含むハッシュテーブルに記憶される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的試料の前記画像をキャプチャするステップ
をさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記画像は、組織切片の多重化免疫蛍光染色画像である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
第1の腫瘍の分類を決定する方法であって、
第1の腫瘍エリアを含む第1の画像内のバイオマーカーの値を決定するステップであって、前記バイオマーカーが、
第2の画像内で、第2の腫瘍の境界を描く第2の腫瘍エリアを識別すること、
各々が組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応する前記第2の画像の複数の領域を識別すること、
前記複数の領域の各々の領域について、該領域を取り囲む該領域の境界エリアであって、ポリゴンまたは楕円を含む境界エリアを定義すること、
前記境界エリアが完全に前記第2の腫瘍エリアの中にある前記複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域について、該領域が前記第2の腫瘍に帰すると判定すること、
前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、該領域の前記境界エリアが部分的に前記第2の腫瘍エリアの中にあると判定すること、
前記複数の領域のうちの前記第2のサブセットの各々の領域について、該領域と前記第2の腫瘍エリアとの交差に基づいて、該領域が前記第2の腫瘍に帰するか否かを判定すること、
前記第2の腫瘍に帰する各々の領域について、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスすること、
前記第2の腫瘍に帰する前記領域の前記アクセスされたメトリックに基づいて、結果の値を生成すること、
前記結果の前記値を、別の腫瘍に帰する領域を使用することによって決定され、あるいは前記第2の腫瘍エリアの完全に外側に帰する領域を使用することによって決定された基準値と比較すること、および
前記結果の前記値の前記基準値との前記比較に基づいて、前記結果がバイオマーカーであるか否かを判定すること
を含む方法によって決定される、バイオマーカーの値を決定するステップと、
バイオマーカーの前記値をしきい値と比較するステップと、
前記バイオマーカーの前記値の前記しきい値との前記比較に基づいて、前記第1の腫瘍の前記分類を決定するステップと
を含む方法。
【請求項24】
前記しきい値は、同じ腫瘍分類を有する基準対象の画像から決定される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記腫瘍分類は、がんの重症度である、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
実行されたときにコンピューティングシステムを請求項1~25のいずれか一項に記載の方法を実行するように制御する命令を含んでいるコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
請求項26に記載のコンピュータプログラム製品を含んでいるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項28】
請求項26に記載のコンピュータプログラム製品を含むコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月27日に出願された米国出願第63/016,004号の優先権の利益を主張し、その全内容が、あらゆる目的に関して参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
免疫組織化学(IHC)スライド画像分析は、コンピュータ分析を含むことができる。例えば、組織切片の多重免疫蛍光(MIF)染色は、単一細胞レベルでの複数のバイオマーカーおよびそれらの同時発現の同時検出を可能にする。MIFは、免疫療法への反応に大いに影響する腫瘍微小環境における免疫状況の特徴評価を可能にする。一次分析は、すべての異なる種類のマーカー/細胞表現型を検出および分類することができる。初期の分析の後に、第2の分析は、臨床研究または試験を相関させて予後または薬物の働きを予測するための密度または空間関係などのさまざまな特徴を生成するためのきわめて重要なステップである。二次分析の有用な結果を効率的に生成する方法およびシステムが望まれる。これらの改善および他の改善は、本明細書に記載の実施形態によって対処される。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施形態は、組織領域における複数の細胞型について密度および空間関係を効率的に決定することを可能にする。効率は、1つ以上の態様として可能である。画像に使用されるものと同じ高倍率が、関心領域(例えば、腫瘍)内の特徴(例えば、細胞、表現型、エピ腫瘍)を分析するために使用され、異なる倍率への調整のための計算を回避する。特徴形状は、複雑であり、ピクセル座標(例えば、特徴の周囲に沿った各点または特徴の中心に位置する点に対応する)の大規模セットによって記述可能であり得る。したがって、(例えば、特徴が腫瘍エリアなどの所与の関心領域内にあるか否かを判定するための)ピクセル座標のセットを使用した空間評価の実行は、多数の計算を必要とする可能性がある。計算効率を向上させるために、より単純な形状(例えば、ボックス)を有する境界領域を、特徴を囲むエリアとして定義することができる。境界エリアは、特徴が腫瘍内または別の特定の関心領域内にあるかどうかの分析を高速化する。例えば、境界ボックスの4つの頂点がすべて領域内にある場合、特徴が充分に関心領域内にあると判定することができる。ハッシュテーブルを使用して、関心領域、組織、および腫瘍内の特徴を表すポリゴン間の関係を識別することができる。さらに、二次分析のためのパラメータが、腫瘍または他の関心領域を特徴付けるうえで役に立つことができるバイオマーカーとして識別される。
【0004】
実施形態は、生物学的試料の画像を使用して腫瘍のバイオマーカーを識別する方法を含むことができる。本方法は、画像内の腫瘍エリアを識別するステップを含むことができる。腫瘍エリアは、腫瘍の境界を描写することができる。本方法は、画像の複数の領域を識別するステップをさらに含むことができる。これら複数の領域の各々の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクト(例えば、腫瘍周辺、間質、細胞表現型)に対応する。さらに、本方法は、複数の領域の各々の領域について、この領域を取り囲むこの領域の境界エリア(例えば、境界ボックスまたは境界楕円)を定義するステップを含むことができ、境界エリアは、ポリゴンまたは楕円を含む。本方法は、境界エリアが完全に腫瘍エリアの中にある前記複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域について、この領域が腫瘍に帰すると判定するステップを含むことができる。さらに、本方法は、前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、この領域の境界エリアが部分的に腫瘍エリアの中にあると判定するステップをさらに含むことができる。本方法は、前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、この領域と腫瘍エリアとの交差に基づいて、この領域が腫瘍に帰するか否かを判定するステップをさらに含むことができる。本方法は、腫瘍に帰する各々の領域について、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスするステップを含むことができる。本方法は、アクセスされたメトリックに基づいて、結果の値を生成するステップを含むことができる。本方法は、結果の値を、別の腫瘍に帰する領域を使用することによって決定され、あるいは腫瘍エリアの完全に外側に帰する領域を使用することによって決定された基準値と比較するステップをさらに含むことができる。さらに、本方法は、比較に基づいて、結果がバイオマーカーであるか否かを判定するステップを含むことができる。
【0005】
実施形態は、生物学的試料の画像を分析する方法を含むことができる。本方法は、第1の関心領域(例えば、腫瘍)内の細胞表現型の第1のカウントまたは第1の密度を決定するステップを含むことができる。本方法は、第2の関心領域(例えば、間質)内の細胞表現型の第2のカウントまたは第2の密度を決定するステップをさらに含むことができる。第2の関心領域は、第1の関心領域内にあってよい。本方法は、出力を生成するステップをさらに含むことができる。出力は、第1のカウントまたは第1の密度、ならびに第2のカウントまたは第2の密度を含むことができる。
【0006】
実施形態は、生物学的試料の画像を分析する方法を含むことができる。本方法は、腫瘍内の複数の第1の細胞を識別するステップを含むことができる。複数の第1の細胞の各々の第1の細胞は、第1の表現型を有し得る。本方法は、腫瘍内の複数の第2の細胞を識別するステップをさらに含むことができる。複数の第2の細胞の各々の第2の細胞は、第2の表現型を有し得る。本方法は、複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して複数の第2の細胞の第2の細胞までの最短距離を計算するステップを含むことができる。さらに、本方法は、計算された最短距離に基づいて結果を生成するステップを含むことができる。
【0007】
実施形態は、生物学的試料の画像を分析する方法を含むことができる。本方法は、腫瘍内の複数の第1の細胞を識別するステップを含むことができる。複数の第1の細胞の各々の第1の細胞は、第1の表現型を有し得る。本方法は、腫瘍内の1つ以上の領域を識別するステップをさらに含むことができ、1つ以上の領域の各々の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクト(例えば、腫瘍周辺、間質、など)に対応する。本方法は、複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して第1の細胞と1つ以上の領域の各々の領域との間の最短距離を計算するステップをさらに含むことができる。さらに、本方法は、計算された最短距離に基づいて結果を生成するステップを含むことができる。
【0008】
実施形態は、生物学的試料の画像を分析する方法を含むことができる。本方法は、腫瘍内の複数の領域を識別するステップを含むことができ、複数の領域の各々の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクト(例えば、腫瘍周辺、間質、など)に対応する。本方法は、複数の領域の各々の領域について、圧縮レベルを決定するステップをさらに含むことができる。本方法は、圧縮レベルに基づいて結果を生成するステップをさらに含むことができる。
【0009】
本発明の実施形態の性質および利点を、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】組織のMIF画像の分析を示している。
図1B】組織のMIF画像の分析を示している。
【0011】
図1C】本発明の実施形態による高倍率の使用と低倍率の使用との間の計算時間の比較を示している。
【0012】
図2】本発明の実施形態による生物学的試料の画像を分析する方法を示している。
【0013】
図3】本発明の実施形態による生物学的試料の画像を分析するためのフローチャートを示している。
【0014】
図4】本発明の実施形態による画像の分析されたエリアを示している。
【0015】
図5A】本発明の実施形態による腫瘍組織の例示的な画像を示している。
【0016】
図5B】本発明の実施形態による腫瘍組織内の細胞型の分析の結果をグラフ化している。
【0017】
図6】本発明の実施形態による腫瘍組織内の細胞型の分析の結果をグラフ化している。
【0018】
図7】本発明の実施形態による細胞表現型の密度またはカウントに関して生物学的試料の画像を分析する方法を示している。
【0019】
図8A】本発明の実施形態による単一の細胞表現型のカウントまたは密度の分析を示している。
【0020】
図8B】本発明の実施形態による細胞表現型のカウントの結果を示している。
【0021】
図9】本発明の実施形態による表現型の距離に関して生物学的試料の画像を分析する方法を示している。
【0022】
図10】本発明の実施形態による距離の計算を示している。
【0023】
図11】本発明の実施形態による腫瘍内の複数の表現型を示している。
【0024】
図12】本発明の実施形態による異なる表現型の間の距離を示している。
【0025】
図13】本発明の実施形態による表現型の間の距離に関する結果の表を示している。
【0026】
図14】本発明の実施形態によるエピ腫瘍および細胞の輪郭を示している。
【0027】
図15A】本発明の実施形態による生物学的試料の画像を示している。
【0028】
図15B】本発明の実施形態による腫瘍エリアに注釈を付ける赤色円を有している拡大画像を示している。
【0029】
図15C】本発明の実施形態によるエピ腫瘍を表す青色ポリゴンおよび表現型の細胞を表す黒色円を含む画像を示している。
【0030】
図16】本発明の実施形態による腫瘍内の単一のエピ腫瘍ポリゴンの選択を示している。
【0031】
図17】本発明の実施形態による5つの輪郭によって囲まれた単一のエピ腫瘍を示している。
【0032】
図18】本発明の実施形態による細胞からエピ腫瘍までの距離の結果を含む表を示している。
【0033】
図19】本発明の実施形態による細胞から領域までの距離に関して生物学的試料の画像を分析する方法を示している。
【0034】
図20】本発明の実施形態による圧縮レベルに関して生物学的試料の画像を分析する方法を示している。
【0035】
図21】本発明の実施形態による異なる圧縮レベルの領域を有する腫瘍を示している。
【0036】
図22】本発明の実施形態によるポリゴンによって強調表示された異なる圧縮レベルを示している。
【0037】
図23】本発明の実施形態による圧縮レベルに関する結果のリストを示している。
【0038】
図24】本発明の実施形態によるコンピュータシステムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0039】
密度および空間関係などの組織切片の画像の特定の特徴が、有用かつ重要な臨床情報を提供することができる。これらの特徴を、診断および処置の監視などのために、対象の臨床状態を理解するために使用することができる。
【0040】
低倍率マスクベースの二次分析を使用して、画像の二次分析を行い、密度および空間関係などの特徴を決定することができる。しかしながら、低倍率マスクの使用は、計算集約的になる可能性がある。
【0041】
図1Aおよび図1Bが、組織のMIF画像の分析を示している。両方の図は、青色矩形エリアに表示された拡大セクションを示している。計算されたポリゴンを使用する低倍率マスクが生成される。
【0042】
図1Cが、高倍率ポリゴンアプローチによる方法を用いた計算時間を、低倍率マスクベースの方法と比較する表を示している。高倍率ポリゴンベースの方法における計算時間は、本発明の実施形態による低倍率マスクベースの手法と比較してはるかに速い。低倍率マスクベースの方法を使用して2つのダウンサンプリング係数が実施され、それらの性能が図1Cに示されている。一方は、元のMIF画像を係数4でダウンサンプリングする低倍率を有する。他方は、係数27による低倍率ダウンサンプリングを有する。例えば、特定のパネルにおいて、高倍率ポリンゴンベースの手法を使用した計算時間が、わずか約3分で完了する一方で、最も遅い4のダウンサンプルによる低倍率マスク手法は、88倍よりもさらに長い4.32時間(260分)で完了する。さらに、高倍率ポリゴンベースの分析は、正確に生成された。
I. 境界エリア
【0043】
正確かつ計算に関して効率的な結果を、本発明の実施形態において達成することができる。ポリゴンを囲むためのボックスなどの境界エリアの使用が、速度分析に役立つ。
A. バイオマーカーの識別方法
【0044】
図2が、生物学的試料の画像を分析して腫瘍のバイオマーカーを識別する方法200を示している。いくつかの実施形態において、方法200は、生物学的試料の画像をキャプチャすることを含むことができる。画像は、単一のスライドあるいは各々が異なるバイオマーカーまたは細胞表現型を有する2つ以上の隣接するスライドを含むことができるさまざまな免疫組織化学(IHC)スライド画像からのものであってよい。画像は、組織切片の多重化免疫蛍光(MIF)染色画像であってよい。生物学的試料は、単一組織であってよい。いくつかの場合には、複数の生物学的試料を画像化することができる。例えば、複数の生検、複数の組織ブロック、または組織マイクロアレイからの画像を、分析に使用することができる。
【0045】
ブロック202において、画像内の腫瘍エリアを識別することができる。腫瘍エリアは、腫瘍の境界を描写することができる。いくつかの実施形態においては、腫瘍以外の生物学的構造に対応するエリアを使用することができる。他の生物学的構造として、腫瘍、間質、エピ腫瘍、または腫瘍周辺を挙げることができる。腫瘍エリアを、手動で、あるいはコンピュータプログラムによって識別することができる。
【0046】
ブロック204において、画像の複数の領域を識別することができる。複数の領域の各々の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。組織ブロックまたは生物学的オブジェクトは、間質、エピ腫瘍、腫瘍周辺、血管(例えば、血液)、細胞表現型、腫瘍、壊死、組織襞、染色アーチファクト、または赤血球であり得る。組織ブロックまたは生物学的オブジェクトを、手動で、あるいはコンピュータプログラムによって識別することができる。複数の領域は、腫瘍エリア全体および/または画像全体をカバーし得る。
【0047】
ブロック206において、領域の境界エリアを、複数の領域の各々の領域について定義することができる。境界エリアは、領域を包含することができる。いくつかの実施形態において、境界エリアは、領域の少なくとも1つの点が境界エリアのエッジに接触するように領域を囲むことができる。境界エリアは、領域よりも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%大きい範囲内の面積を有することができる。境界エリアは、ポリゴンまたは楕円形を含むことができる。例えば、境界エリアは、境界ボックスまたは境界円であってよい。境界エリアは、三角形、長方形、五角形、六角形、七角形、八角形、九角形、十角形、または辺が11個以上であるポリゴンを含むことができる。いくつかの実施形態において、ポリゴンは、正多角形であってよい。
【0048】
ブロック208において、複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域を、第1のサブセットの各々の領域の境界エリアが完全に腫瘍エリア内にある場合、腫瘍に起因すると判定することができる。境界エリアを、ポリゴンまたは楕円の点のサブセットが腫瘍エリア内にあると判定される場合に、完全に腫瘍エリア内にあると判定することができる。例えば、2D座標系において、2つの軸に沿った極値を表す点を、腫瘍エリアと比較することができる。例として、最も上方、最も下方、最も左方、および/または最も右方の点を、腫瘍エリア内にあると判定することができる。いくつかの実施形態においては、ポリゴンの頂点を、腫瘍エリア内にあると判定することができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、複数の領域のうちの第1のサブセットを、除外領域の外側にあると判定することもできる。除外領域は、生物学的構造(例えば、腫瘍、腫瘍周辺、間質、壊死、赤血球、染色アーチファクト、または組織襞)を含み得る。除外領域の外側にあるとする領域の判定は、領域が腫瘍エリア内にあるとする判定と同様であると考えられる。境界エリアを、頂点または極値点が除外領域の外側にあると判定される場合に、除外領域の外側にあると判定することができる。
【0050】
ブロック210において、複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域の境界エリアを、部分的に腫瘍エリア内にあると判定することができる。境界エリアを、極値を表す点のすべてではなく、極値を表す点のうちの少なくとも1つの点の各々が、腫瘍エリアの外側にあると判定される場合に、部分的に腫瘍エリア内にあると判定することができる。いくつかの実施形態において、境界ポリゴンの1つ以上の頂点(すべての頂点ではない)を、腫瘍エリアの外側にあると判定することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、複数の領域のうちの第3のサブセットの各々の領域の境界エリアを、完全に腫瘍エリアの外側にあると判定することができる。境界エリアを、境界ポリゴンの極値を表すすべての点またはすべての頂点が腫瘍エリアの外側にあると判定される場合に、完全に腫瘍エリアの外側にあると判定することができる。
【0052】
ブロック212において、領域が腫瘍に帰するかどうかを、複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について判定することができる。判定は、領域と腫瘍エリアとの交差/排除に基づく。いくつかの実施形態において、交差は、腫瘍エリアに重なる領域の面積として計算される。腫瘍エリア内の領域の部分のみを表す新たなサブ領域を、分析に使用することができる。
【0053】
他の実施形態においては、交差を、腫瘍内の領域の面積または割合によって特徴付けることができる。交差を、しきい値(例えば、最小面積または最小割合)と比較することができる。交差がしきい値を超える場合、その領域は腫瘍に帰する。交差がしきい値を超えない場合、その領域は腫瘍に帰さない。交差を、領域および腫瘍エリアの幾何学的形状を使用して計算することができる。
【0054】
いくつかの実施形態においては、交差の割合に基づいて、領域の一部が腫瘍に帰することができる。例えば、交差の割合と同じ割合が、腫瘍に帰することができる。領域から決定される任意のメトリックを、交差の割合によってスケーリングすることができる。
【0055】
2つのハッシュテーブルを使用して、ポリゴン/領域と腫瘍/組織エリアとの間の関係を追跡することができる。腫瘍ハッシュテーブルを、領域/ポリゴンが腫瘍に帰するか否かに関する情報で更新することができる。さらに、腫瘍ハッシュテーブルは、領域が部分的に/完全に腫瘍エリアの内側にあるか、あるいは外側にあるかに関する情報も追跡することができ、腫瘍エリア(腫瘍の番号インデックス)が属する領域/ポリゴンも更新することができる。同様に、組織ハッシュテーブルを、領域/ポリゴンが組織に帰するか否かに関する情報で更新することができる。さらに、領域が部分的に/完全に組織エリアの内側にあるか、あるいは外側にあるか、および組織エリア(組織の番号インデックス)が属する領域。
【0056】
ブロック214において、生物学的観察を特徴付けるメトリックに、腫瘍に帰する各々の領域についてアクセスすることができる。メトリックは、本明細書に開示される任意のメトリックであってよい。例えば、メトリックは、領域内の特定の種類の細胞または表現型のカウントまたは密度であってよい。特定の種類の細胞のカウントまたは密度は、腫瘍エリア内の領域または腫瘍の完全に外側の領域のカウントまたは密度であってよい。メトリックの特徴付けは、ハッシュテーブルを参照して、領域が腫瘍/組織に帰するかどうかを判定することを含むことができる。
【0057】
一例として、メトリックは、異なる種類の領域の位置を含むことができる。複数の領域は、第1の組織ブロックまたは第1の生物学的オブジェクトに対応する第1の領域を含むことができる。複数の領域は、第2の組織ブロックまたは第2の生物学的オブジェクトに対応する第2の領域をさらに含むことができる。第1および第2の領域の各々が、腫瘍に帰すると判定される。生物学的観察を特徴付けるメトリックは、領域に関連する位置を識別することができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、第1の組織ブロックまたは第1の生物学的オブジェクトは、単一のバイオマーカーまたは異なるバイオマーカーの共局在であってよい第1の表現型の細胞であってよい。第2の組織ブロックまたは第2の生物学的オブジェクトは、第2の表現型の細胞であってよい。メトリックは、細胞/表現型の位置を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態において、第1の領域は、第1の表現型の細胞に対応でき、第2の領域は、第2の組織ブロックに対応できる。メトリックは、細胞の位置ならびに組織または他の領域の位置を含むことができる。
【0060】
メトリックは、絶対強度値、強度パーセンテージおよび分布、形状、面積、圧縮レベル、などの領域または表現型のさまざまな特徴を含むことができる。複数の領域の各々の領域が、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。圧縮レベルは、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応する領域のものであってよい。圧縮レベルは、本明細書において後に示される特徴例として説明される。
【0061】
ブロック216において、結果の値を、アクセスされたメトリックに基づいて生成することができる。結果を、腫瘍に帰する領域について生成することができる。例えば、メトリックが領域または細胞の位置を含む場合、結果は、特定の領域(例えば、第1の領域)のメトリックによって識別される第1の位置と、別の領域(例えば、第2の領域)または細胞のメトリックによって識別される第2の位置との間の距離を識別することができる。結果は、アクセスされたメトリックの各々を含むことができる。いくつかの実施形態において、結果は、アクセスされたメトリックの統計値を含むことができる。例えば、結果は、アクセスされたメトリックの平均、中央値、最頻値、パーセンタイル、または標準偏差を含むことができる。結果は、1つ以上のアクセスされたメトリックがしきい値を超えた場合の統計値を含むことができる。
【0062】
いくつかの実施形態においては、特定の組織ブロックまたは生物学的オブジェクトにおける特定の細胞のカウントまたは密度を、メトリックとして使用することができる。複数の領域のサブセットが、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。本方法は、複数の領域のこのサブセットの各々の領域について、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスすることを含むことができる。結果の値の生成は、腫瘍に帰する各々の領域および複数の領域のサブセットに帰する各々の領域のメトリックを含む関数の値を決定することを含むことができる。例えば、結果は、腫瘍エリアの特定の種類の細胞のカウントまたは密度に対する組織ブロックの特定の種類の細胞のカウントまたは密度の比であってよい。結果は、図7図8A、および図8Bで説明される出力のいずれかであってよい。
【0063】
いくつかの実施形態において、細胞の種類の間の距離を使用して、結果の値を生成することができる。複数の領域は、第1の表現型を有する複数の第1の細胞を有する第1の領域を含み得る。複数の領域は、第2の表現型を有する複数の第2の細胞を有する第2の領域を含み得る。第1の領域および第2の領域が、腫瘍に帰すると判定され得る。生物学的観察を特徴付けるメトリックは、領域内の複数の細胞の各々の細胞の位置を識別することができる。結果を、複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して複数の第2の細胞の第2の細胞までの最短距離を計算することによって生成することができる。最近傍探索は、K最近傍(KNN)探索であってよい。最短距離の統計値を計算してもよい。結果は、統計値を含むことができる。いくつかの実施形態においては、或る範囲を有する第2の細胞からの最短距離を有する第1の細胞のカウントを決定することができる。結果は、カウントであってよい。範囲は、画像内の腫瘍エリアを特定する前に予め決定されてよい。結果は、図9図13で説明される結果であってよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、細胞と組織ブロックまたは生物学的オブジェクトとの間の距離を使用して、結果の値を生成することができる。複数の領域は、第1の表現型を有する複数の第1の細胞を有する第1の領域を含み得る。複数の領域は、1つ以上の第2の領域を含み得る。各々の第2の領域が、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。第1の領域および1つ以上の第2の領域の各々が、腫瘍に帰すると判定され得る。生物学的観察を特徴付けるメトリックは、各々の領域の少なくとも1つの位置を識別することができる。少なくとも1つの位置は、第1の領域における複数の第1の細胞の各々の細胞の位置であってよい。少なくとも1つの位置は、1つ以上の第2の領域の各々の第2の領域の位置であってよい。各々の第2の領域の位置は、領域の中心であっても、第2の領域のエッジ上の点であってもよい。第2の領域のエッジ上の点は、第1の細胞に最も近い点であってよい。結果の値を、複数の第1の細胞の各々の細胞について、最近傍探索を使用して1つ以上の領域の第2の領域までの最短距離を計算することによって生成することができる。最近傍探索は、K最近傍探索であってよい。結果は、最短距離の統計値を計算することを含むことができ、結果は、統計値であってよい。いくつかの実施形態において、本方法は、或る範囲内の最短距離を有する第1の細胞のカウントを決定することができる。範囲は、画像内の腫瘍エリアを特定する前に予め決定されてよい。結果は、カウントであってよい。結果は、図15A図19で説明される結果であってよい。
【0065】
第1の細胞と第2の領域との間の距離は、最も近い垂直距離または最も近い水平距離であり得る。KNN探索は、所与の第2の領域に最も近い垂直距離を有する複数の第1の細胞のうちの第1の細胞を決定し得る。本方法は、最も近い垂直距離を有する細胞と所与の第2の領域との間の距離を計算することを含むことができる。最も近い水平距離を有するセルも使用可能である。
【0066】
結果を、各々の画像または各々の生物学的試料について報告することができる。他の実施形態においては、結果を複数の画像または複数の生物学的試料について集計することができる。集計は、結果を一緒に報告することや、複数の画像または生物学的試料のメトリックの統計値を提供することであってよい。本明細書に記載の任意の結果またはメトリックを、上述のように使用することができる。
【0067】
ブロック218において、結果の値を、別の腫瘍に帰する領域を使用して決定され、あるいは腫瘍エリアの完全に外側に帰する領域を使用して決定される基準値と比較することができる。
【0068】
基準値を、腫瘍エリアの完全に外側の領域を使用して決定することができる。例えば、複数の領域のうちの第3のサブセットの各々の領域について、境界エリアを完全に腫瘍エリアの外側にあると判定することができる。生物学的観察を特徴付けるメトリックに、腫瘍の完全に外側に帰する各々の領域に関してアクセスすることができる。基準値を、結果の値が生成されるやり方と同じやり方で、腫瘍の完全に外側に帰する各々の領域のアクセスされたメトリックに基づいて生成することができる。
【0069】
1名以上の基準被験者における1つ以上の腫瘍を、参照値を決定するために使用することができる。1名以上の基準被験者は、腫瘍を有することが既知であってよく、あるいは特定のレベルのがんを有することが既知であってよい。
【0070】
ブロック220において、結果を、比較に基づいて腫瘍のバイオマーカーであると判定することができる。基準値が非腫瘍エリアから得られる場合、結果の値が基準値と統計的に異なるときに、メトリックをバイオマーカーであると判定することができる。非腫瘍エリアは、同じ被験者から、または基準被験者からのエリアであってよい。基準被験者は、がんを有さないことが既知であってよい。基準値が腫瘍に帰する領域から決定される実施形態においては、結果が基準値から統計的に異ならない場合に、結果をバイオマーカーであると判定することができる。
B. 腫瘍分類の決定方法
【0071】
方法は、腫瘍の分類を決定することを含み得る。本方法は、腫瘍エリアを有する画像中のバイオマーカーの値を決定することを含み得る。バイオマーカーを、方法200によって決定することができる。バイオマーカーの値を、しきい値と比較することができる。しきい値を、同じ腫瘍分類を有する基準対象の画像から決定することができる。腫瘍の分類は、比較に基づくことができる。例えば、バイオマーカーの値がしきい値を超える場合、腫瘍をより重度のカテゴリー(例えば、悪性または拡大中)に分類することができる。いくつかの実施形態において、腫瘍分類は、がんの存在または重症度であってよい。より重度の腫瘍分類は、がんが存在するという分類またはがんが重度であるという分類をもたらすことができる。がんの分類の例として、進行性疾患および安定疾患が挙げられる。
【0072】
腫瘍エリアに対応する腫瘍の分類を、アクセスされたメトリックおよび/または結果を使用して決定することができる。分類は、腫瘍エリアまたは他の関心領域の特定の特性に関連する任意の数字または他の文字であってよい。例えば、「+」記号(または、「陽性」という単語)が、腫瘍が悪性であり、あるいは拡大中であることを示すことができる。分類は、2値(例えば、陽性または陰性)であっても、より多くの分類レベル(例えば、1~10または0~1の尺度)を有してもよい。分類は、腫瘍が良性、安定、または縮小中であることであってよい。
【0073】
被験者(この被験者から生物学的試料を得た)を、決定された分類に基づいて処置することができる。例えば、悪性または拡大中という分類を有する腫瘍が、腫瘍処置(例えば、薬物、放射線、療法、または手術)を開始または増加させることができる。良性または縮小中という分類を有する腫瘍は、腫瘍処置を終了または減少させてよく、あるいは開始させなくてよい。処置に応答した分類として、完全奏効、部分奏効、および無奏効を挙げることができる。これらの分類のために、バイオマーカーの値を、処置前と、処置後の1回以上の時点とにおいて取得することができる。バイオマーカーの値の変化(増加または減少)が、処置に対する応答を示し得る。
【0074】
1つ以上のバイオマーカーに基づき、さらに随意により他の臨床情報に基づいて、さらなるアクションを決定することができる。さらなるアクションは、腫瘍の処置を開始または終了させること、腫瘍を有する被験者を臨床試験に登録または登録解除すること、あるいは被験者について追加の診断検査を行うことを含み得る。バイオマーカーの値を、しきい値と比較することができる。しきい値を、基準被験者から決定することができる。基準被験者は、既知の健康な個人を含むことができる。いくつかの実施形態において、基準被験者は、既知のステージの腫瘍を有する個人を含むことができる。しきい値は、基準被験者からの統計的差異を確立するための数字であってよい。例えば、しきい値は、健康な基準被験者から決定された結果の値から標準偏差1つ分、2つ分、または3つ分離れていてよい。
C. 例示的な境界ボックス
【0075】
図3が、方法200の実施の一例を示している。ブロック302において、手動による腫瘍/除外注釈がロードされる。腫瘍注釈は、ブロック202において識別された腫瘍エリアであってよい。除外注釈は、他の生物学的構造に関連する特定の領域を除外するためのものである。これらの除外領域として、組織襞、アーチファクト、異形成、壊死、などを挙げることができる。これらの除外領域は、分析に使用されなくてよい領域である。
【0076】
ブロック304において、重複腫瘍および除外領域が計算される。病理学者/ユーザが、重複腫瘍エリアまたは重複除外領域を含み得る腫瘍エリアまたは除外領域を手動で生成/描画することができる。任意のさらなるステップを計算する前に、重複腫瘍または除外領域の誤りを回避するために、健全性チェックを実行することができる。
【0077】
ブロック306において、自動検出されたポリゴンがロードされる。これらのポリゴンは、エピ腫瘍または血管(例えば、腫瘍または免疫細胞に栄養をもたらす組織内の血管)を表すことができる。ポリゴンは、方法200における複数の領域であってよい。
【0078】
ブロック308において、ポリゴンと腫瘍または組織との間の空間的関係および情報を追跡するために、2つのハッシュテーブルが構築される。組織は、最大のエリアであり、腫瘍およびポリゴンを組織ブロックのサブセットとして有する。
【0079】
ブロック310において、境界ボックスを生成することができる。境界ボックスは、方法200のブロック206における境界エリアであってよい。ポリゴンを、方法200のブロック208および210と同様に、境界ボックスを使用して、腫瘍の完全に内側にあると識別でき、あるいは腫瘍と交差していると識別することができる。
【0080】
ブロック312において、ポリゴンの交差および除外を計算することができる。境界ボックスの代わりにポリゴン自体を使用して、ポリゴンの腫瘍または除外領域との交差を判定することができる。ハッシュテーブルを、腫瘍の完全に内側にある、腫瘍と交差している、または腫瘍の外側にあるとするポリゴンの識別に関して更新することができる。
【0081】
ブロック314、316、318、および320において、関心領域(例えば、腫瘍)内の表現型のカウント/密度、異なる表現型間の距離、ポリゴンのカウント/密度、および表現型とポリゴンとの間の距離を含む異なる結果を報告することができる。これらの結果を、方法200のブロック218および220を含むことができる腫瘍またはがんのバイオマーカーとしての使用に関して評価することができる。
【0082】
図4が、画像の分析されたエリアを示している。赤色線450が腫瘍エリアを示している。青色線452が、一種類のポリゴンを示している。緑色線454が、除外領域を示している。考慮されるべきポリゴンは、腫瘍内であるが除外領域外のポリゴンである。陰影部分456は、腫瘍内かつ除外領域外のポリゴンを示している。陰影部分456のメトリックを、二次解析の一部として決定することができる。
D. 例示的なバイオマーカー識別
【0083】
がんは、腫瘍細胞上および腫瘍内微小環境におけるプログラム死1(PD-1)およびそのリガンドであるプログラム死リガンド1(PD-L1)経路の上向き調節を通じて免疫による監視および根絶から逃れることができる。PD-1またはPD-L1に対する抗体によるこの経路の封鎖が、一部のがん患者において顕著な臨床反応をもたらしている。
【0084】
卵巣がん組織の画像において見て取ることができるT細胞の数が分析される。試験したT細胞には、CD3、CD8、GZMB、およびGZMKが含まれる。これらの細胞を、腫瘍および間質領域において分析した。細胞を、腫瘍エリアまたはストマ領域(腫瘍エリアの外側)のいずれかにあると判定した。腫瘍エリアの内側または外側の判定に使用される方法は、図2(例えば、ブロック202~212)で説明した方法を含む。合計で17個の卵巣がん組織を試験した。これらの17個の組織のうち、9つの組織は免疫細胞が浸潤した腫瘍を含み、8つの組織は免疫細胞を除外した腫瘍を含んでいた。
【0085】
図5Aが、腫瘍組織の例示的な多重蛍光アッセイ画像を示している。上側の画像は、腫瘍組織が免疫細胞を除外した組織を示している。上側の画像は、CD3とGZMBの共局在を指し示す矢印を示している。下側の画像は、免疫細胞が腫瘍組織に浸潤した組織を示している。下側の画像は、腫瘍内の特定の細胞を指し示す矢印を示している。緑色矢印は、CD3、GZMB、およびPD-1細胞の共局在を指し示している。黄色矢印は、CD3およびGZMBの位置を指し示している。図5Aは、除外された腫瘍において、PD-1細胞は見られず、CD3およびGZMBが見られたことを示している。さらに、図5Aは、浸潤された組織において、PD-1細胞がCD3およびGZMBと共に見られたことを示している。
【0086】
図5Bが、17個のすべての組織におけるPD-1の分析の結果をグラフ化している。x軸は、腫瘍および間質組織を示しており、各々が浸潤された腫瘍組織および除外された腫瘍組織の間で分割されている。細胞が、方法200と同様の方法を使用して、これらの腫瘍および間質領域に割り当てられる。y軸は、GZMBおよびCD3に対するPD1、GZMB、およびCD3細胞の比を示している。腫瘍エリアについて、PD-1について陽性のGZMB+T細胞の割合は、腫瘍エリアについて除外された腫瘍と比較して浸潤された腫瘍において有意に高い(p値=0.05)。間質領域については、PD-1について陽性のGZMB+T細胞の割合は、浸潤された腫瘍についてわずかに高い(p値=0.3)。結果は、浸潤された腫瘍におけるより高い活性化状態またはGZMB+T細胞の数の増加を裏付けている。図5Bは、腫瘍エリア中のGZMB、CD3細胞に対するPD1、GZMB、CD3細胞の数に基づくバイオマーカーを使用して、浸潤された腫瘍組織または除外された腫瘍組織を識別することができることを示している。浸潤された腫瘍組織を使用して、薬物の働きを評価することができる。いくつかの実施形態において、浸潤された腫瘍組織は、免疫細胞が腫瘍細胞を死滅させようとしており、薬物が有効であり得ることを意味し得る。さらに、図5Bは、間質中の細胞の相対数は、浸潤された腫瘍組織または除外された腫瘍組織の識別において、腫瘍組織中の細胞の使用よりも効果的でないことを示している。図2の方法200を参照すると、細胞の数はメトリックであってよく、結果は他の細胞に対する細胞の数の比であってよい。基準値は、除外された腫瘍組織における比または間質における比であってよい。
【0087】
図6が、17個のすべての組織におけるGZMBおよびGZMKを含む分析の結果をグラフ化している。x軸は、除外された腫瘍組織および浸潤された腫瘍組織を示している。y軸は、CD8細胞に対するCD8およびGZMKまたはGZMB細胞のいずれかの細胞の数を示している。左側のグラフは、GZMBの結果を示している。右側のグラフは、GZMKの結果を示している。右側のグラフは、CD8細胞に対するCD8、GZMK細胞が、浸潤された試料と比較して除外された試料においてより高いことを示している。左側のグラフは、CD8細胞に対するCD8、GZMB細胞について、浸潤された試料と除外された試料との間に有意差がないことを示している。CD8細胞に対するCD8、GZMK細胞の数を、浸潤された腫瘍組織のバイオマーカーとして使用することができる。
II. 細胞表現型の密度またはカウント
【0088】
図7が、生物学的試料の画像を分析する方法700を示している。画像は、本明細書に記載の任意の画像であってよい。
【0089】
ブロック702において、第1の関心領域を有する細胞表現型の第1のカウントまたは第1の密度を決定することができる。第1の関心領域は、腫瘍または本明細書に記載の任意の関心領域であってよい。細胞表現型を、方法200を含む本明細書に記載の任意の方法によって、第1の関心領域内にあると判定することができる。
【0090】
ブロック704において、第2の関心領域内の細胞表現型の第2のカウントまたは第2の密度を決定することができる。第2の関心領域は、第1の関心領域内にあってよい。第2の関心領域は、間質、エピ腫瘍、または腫瘍周辺を含み得る。細胞表現型を、方法200を含む本明細書に記載の任意の方法によって、第2の関心領域内にあると判定することができる。
【0091】
第3の関心領域内の細胞表現型の第3のカウントまたは第3の密度を決定することができる。第3の関心領域は、第1の関心領域内にあってよい。第3の関心領域は、間質、エピ腫瘍、または腫瘍周辺であってよく、第2の関心領域と異なっていてもよい。
【0092】
ブロック706において、出力を生成することができる。出力は、第1のカウントまたは第1の密度を含むことができる。出力は、第2のカウントまたは第2の密度をさらに含むことができる。出力は、第3のカウントまたは第3の密度も含むことができる。
【0093】
方法700は、第2のカウントまたは第2の密度をしきい値と比較することをさらに含むことができる。第1の関心領域の分類を、比較に基づいて決定することができる。例えば、第2のカウントまたは第2の密度がしきい値を超える場合、第1の関心領域の分類は、疾患が存在することであり得る。例えば、分類は、腫瘍が悪性であり、成長中であることであり得る。
【0094】
方法700は、第1のカウントを第1のしきい値と比較すること、または第2のカウントを第2のしきい値と比較することを含むことができる。第1のカウントが第1のしきい値を超えるか、あるいは第2のカウントが第2のしきい値を超える場合、生成される出力は、カウントに代え、あるいは加えて、第1の密度および/または第2の密度を含むことができる。
【0095】
図8Aが、異なる細胞表現型のカウントまたは密度の分析を示している。腫瘍802が、赤色線で輪郭付けられている。エピ腫瘍を含むエリア(804)が青色線で輪郭付けられ、エピ腫瘍除外エリア(806)が緑色線で輪郭付けられている。間質領域も、腫瘍エリア内のエピ腫瘍エリアから除外される領域である。特定の表現型(表現型A)の細胞が、マゼンタで輪郭付けられて示されている(例えば、細胞808)。
【0096】
図8Bが、細胞表現型のカウントの結果を示している。図8Bは、腫瘍中に表現型Aを有する5つの細胞が存在することを示している。これら5つのうち、1つはエピ腫瘍内にあり、4つは間質内にある。腫瘍、エピ腫瘍、および間質の面積が計算される。エピ腫瘍および間質の面積は、腫瘍内の面積である。次いで、表現型Aの密度が、細胞の数を求め、対応する面積で割ることによって決定される。いくつかの実施形態においては、密度を、細胞のカウントの代わりに、細胞によって覆われた面積を使用して計算することができる。
【0097】
結果を、方法200で開示されたとおりに使用することができる。
III. 表現型距離
【0098】
図9が、生物学的試料の画像を分析する方法900を示している。画像は、本明細書に記載の任意の画像であってよい。
【0099】
ブロック902において、腫瘍内の複数の第1の細胞を識別することができる。複数の第1の細胞の各々の第1の細胞は、第1の表現型を有し得る。複数の第1の細胞は、方法200を含む本明細書に記載の任意の方法によって腫瘍内にあると判定され得る。
【0100】
ブロック904において、腫瘍内の複数の第2の細胞を識別することができる。複数の第2の細胞の各々の第2の細胞は、第2の表現型を有し得る。複数の第2の細胞は、方法200を含む本明細書に記載の任意の方法によって腫瘍内にあると判定され得る。
【0101】
ブロック906において、複数の細胞のうちの各々の第1の細胞について、複数の第2の細胞のうちの第2の細胞までの最短距離を計算することができる。最短距離は、第1の細胞と複数の第2の細胞のうちの任意の第2の細胞との間の距離である。計算は、例として、K最近傍(KNN)、k-dツリー、ヴァンテージポイントツリー、およびボールツリーを含む最近傍探索を使用することができる。ユークリッド距離を使用して複数の細胞/表現型の2つの組を計算することによる一般的に使用される距離メトリックは、KNN探索および他の最近傍探索と比べてきわめて複雑な計算を引き起こす。距離に関する総当たりの方法は、多くの計算を要すると考えられる。この方法を、KNN探索または他の最近傍探索が小さなサブセット例において正確な結果を得るかどうかを検証するために使用することができる。
【0102】
ブロック908において、計算された最短距離に基づく結果を生成することができる。結果は、最短距離のリストであり得る。いくつかの実施形態においては、統計値の統計値(例えば、平均、中央値、最頻値、パーセンタイル、標準偏差)を計算することができる。結果は、統計値を含むことができる。結果を、方法200で開示されたとおりに使用することができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、特定の範囲内の最短距離を有する第1の細胞のカウントを決定することができる。結果は、第1の細胞のカウントを含み得る。実施形態において、いくつかの異なる範囲内の最短距離を有する第1の細胞のカウントを決定することができる。結果は、これらのカウントを含み得る。これらのカウントをヒストグラムとして提示することができる。
【0104】
図10が、表現型Aから表現型Bまでの距離の計算を示している。図8は、ただ1つの表現型A、すなわちA1を示している。4つの表現型B、すなわちB1、B2、B3、およびB4が存在する。最短距離は、A1とB3との間(破線によって示されている)である。
【0105】
図11が、複数の表現型Aおよび表現型Bを示している。赤色円として示されている3つの表現型Aが、腫瘍内にある。青色のXとして示されている2つの表現型Bが、腫瘍内にある。
【0106】
図12が、表現型Aと表現型Bとの間の距離を示している。最短距離が破線で示されている。最短距離は、66.0、173.4、および201.4であることが判明している。次いで、統計値を距離について計算することができる。例えば、算術平均最短距離は147.0であり、標準偏差は71.5である。
【0107】
表現型Aおよび表現型Bの配置は、図11に示される配置よりも複雑であり得る。すべての距離を計算することは、計算集約的かつ非効率的となり得る。K最近傍(KNN)探索が、2つの異なる表現型の間の最近傍を探索するために使用される。図11の構成におけるKNN探索の結果、2つの表現型間の距離を全て計算したのと同じ距離、平均、および標準偏差が得られた。総当たりの方法(例えば、複数の細胞/表現型の2つの組の間のユークリッド距離を計算する)と比較して、KNN探索は計算に関してより効率的である。
【0108】
図13が、この分析からの結果の可能な表を示している。図13は最短距離の平均および標準偏差を示している。さらに、図13は、表現型Bの特定の範囲を有する腫瘍における表現型Aの数を列挙している。この例において、1つの表現型Aが、1つの表現型Bから66.0ミクロンである。この1つの表現型Aは、表現型Bの70ミクロン、80ミクロン以内、90ミクロン以内、および100ミクロン以内の表現型Aの数についての1という値に対応する。
IV. 細胞から領域までの距離
【0109】
表現型の細胞から領域までの距離は、臨床分析において有用となり得る。図14が、エピ腫瘍の輪郭および青色のXとして表される表現型を示している。最も内側の円1402は、エピ腫瘍を表す。表現型は、エピ腫瘍から異なる距離を有する。エピ腫瘍内の表現型は、ゼロの距離を有するとみなされる。エピ腫瘍までの表現型距離を、エピ腫瘍までのさまざまな距離分布範囲によるヒストグラムで報告することができる。
【0110】
図15Aが、生物学的試料の画像を示している。図15Bが、腫瘍エリアに注釈を付ける赤色円を有している拡大画像を示している。図15Cが、エピ腫瘍を表す青色ポリゴンおよび表現型の細胞を表す黒色円を含む画像を示している。赤色の輪郭は、腫瘍エリアを表す。
【0111】
図16が、腫瘍内の単一のエピ腫瘍ポリゴンの選択を示している。表現型Aの少数の細胞が、黒色円で指し示されている。ここで、エピ腫瘍は、ポリゴンの例として選択される(同様に、血管および/または線維芽細胞活性化タンパク質間質もポリゴンとして選択することができる)。
【0112】
図17が、5つの輪郭によって囲まれた単一のエピ腫瘍を示している。5つの輪郭は、エピ腫瘍ポリゴンからの距離に基づいてシミュレートされる。輪郭は、エピ腫瘍ポリゴンから10、20、30、40、および50ミクロン離れている。特定の表現型の細胞が、赤色ドットとして示されている。図17は、輪郭から、3つの細胞がエピ腫瘍から10ミクロン以内にあることを示している。4つの細胞はすべて、エピ腫瘍から40ミクロン以内にある。
【0113】
図18は、表現型Aの細胞からエピ腫瘍までの距離の結果を有する表を示している。距離の平均距離および標準偏差を、細胞からエピ腫瘍までの各々の距離を計算した後に決定することができる。
【0114】
図19が、生物学的試料の画像を分析する方法1900を示している。画像は、本明細書に記載の任意の画像であってよい。
【0115】
ブロック1902において、腫瘍内の複数の第1の細胞を識別することができる。複数の第1の細胞の各々の第1の細胞は、第1の表現型を有し得る。複数の第1の細胞は、本明細書に記載の任意の方法によって腫瘍内にあると判定され得る。
【0116】
ブロック1904において、腫瘍内の1つ以上の領域を識別することができる。1つ以上の領域の各々の領域が、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。1つ以上の領域は、本明細書に記載の任意の方法によって腫瘍内にあると判定され得る。
【0117】
ブロック1906において、第1のセルと1つ以上の領域の各々の領域との間の最短距離を、最近傍探索を用いて計算することができる。最近傍探索の例として、K最近傍(KNN)、k-dツリー、ヴァンテージポイントツリー、およびボールツリーが挙げられる。KNN探索は、領域に最も近い垂直距離を有する細胞/表現型を決定できる。いくつかの実施形態において、距離は、最も近い水平距離または別の次元を横切る距離であってよい。細胞/表現型と領域との間の距離を計算することができる。計算された距離をソートして、細胞/表現型から領域までの距離分布を分析することができる。他の最近傍探索も同様のやり方で使用され得る。
【0118】
ブロック1908において、結果を、計算された最短距離に基づいて生成することができる。結果は、図16と同様であってよい。結果は、特定の範囲内の細胞/表現型のカウントを含むことができる。結果を、方法200で開示されたとおりに使用することができる。
【0119】
KNN探索により、図16の結果が得られた。KNN探索は、シミュレーション研究で使用される周囲距離輪郭マスクの計算を回避する。KNN探索は、輪郭マスクの使用と比較して、同じ結果をより迅速かつより効率的に得る。
V. 圧縮レベル
【0120】
図20が、生物学的試料の画像を分析する方法2000を示している。画像は、本明細書に開示の任意の画像であってよい。
【0121】
ブロック2002において、腫瘍内の複数の領域を識別することができる。複数の領域の各々の領域が、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し得る。ブロック2002は、ブロック1304と同様であってよい。
【0122】
ブロック2004において、複数の領域の各々の領域の圧縮レベルを決定することができる。圧縮レベルを、1つ以上の特性寸法に対する面積の比から計算することができる。特性寸法は、領域の幅、長さ、または長軸の長さ、あるいは領域の短軸の長さであってよい。圧縮レベルは、血管の管腔が、血管壁のバイオマーカーであるCD31細胞をどの程度含んでいないかであってもよい。
【0123】
ブロック2006において、圧縮レベルに基づく結果を生成することができる。結果は、圧縮レベルのリストを含むことができる。いくつかの実施形態において、結果は、圧縮レベルのカテゴリ内の領域のカウントを含むことができる。圧縮レベルの種々のカテゴリは、圧縮の程度(例えば、低、中、高)に基づくことができる。結果は、領域の面積を含むことができる。結果は、圧縮レベルおよび/または面積の統計値をさらに含むことができる。結果を、方法200で開示されたとおりに使用することができる。
【0124】
図21が、異なる圧縮レベルの領域を有する腫瘍を示している。腫瘍は、赤色線で輪郭付けられている。領域は、緑色で塗りつぶされたポリゴンとして示されている。低圧縮レベルのポリゴンは、円形である。高圧縮レベルのポリゴンは、長くて細く、幅に対する高さのアスペクト比が大きい。中程度の圧縮レベルのポリゴンは、高圧縮レベルのポリゴンほどは長細くなく、低圧縮レベルのポリゴンのような円形でもない。
【0125】
図22が、それぞれピンク色の輪郭でマーキングされた低、中、および高の圧縮レベルの3つのポリゴンを示している。ポリゴン2202は、圧縮レベルが低い。ポリゴン2204は、中程度の圧縮レベルを有する。ポリゴン2206は、圧縮レベルが高い。
【0126】
図23が、圧縮レベルの結果の可能なリストを示している。低、中、および高の各々のカテゴリのポリゴンの数が列挙されている。平均圧縮レベルも列挙されている。ポリゴンの面積およびポリゴンの総面積も報告されている。
VI. コンピュータシステム
【0127】
上述の画像分析方法を、図24のコンピュータシステム10を含むことができるコンピュータシステムによって実行することができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステムは、単一のコンピュータ装置を含み、サブシステムはコンピュータ装置の構成要素であってよい。他の実施形態において、コンピュータシステムは、各々が内部構成要素を有するサブシステムである複数のコンピュータ装置を含むことができる。コンピュータシステムは、デスクトップおよびラップトップコンピュータ、タブレット、携帯電話機、他のモバイルデバイス、およびクラウドベースのシステムを含むことができる。
【0128】
図24に示されるサブシステムは、システムバス75を介して相互接続される。プリンタ74、キーボード78、記憶デバイス79、ディスプレイアダプタ82に接続されたモニタ76(例えば、LCDまたはLEDなどの表示画面)、などのさらなるサブシステムが示されている。I/Oコントローラ71に接続される周辺機器および入出力(I/O)デバイスを、入出力(I/O)ポート77(例えば、USB)などの技術的に知られた任意のいくつかの手段によってコンピュータシステムに接続することができる。例えば、I/Oポート77または外部インターフェース81(例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi、など)を、コンピュータシステム10をインターネットなどのワイドエリアネットワーク、マウス入力装置、またはスキャナに接続するために使用することができる。システムバス75を介した相互接続は、サブシステム間の情報交換を可能にするだけでなく、中央プロセッサ73が各々のサブシステムと通信し、システムメモリ72または記憶デバイス79(例えば、ハードドライブなどの固定ディスクまたは光ディスク)からの複数の命令の実行を制御することを可能にする。システムメモリ72および/または記憶デバイス79は、コンピュータ可読媒体を具現化することができる。別のサブシステムは、カメラ、顕微鏡、マイクロフォン、加速度計、などのデータ収集デバイス85である。本明細書で説明されるIHCデータを、データ収集デバイス85によって取得することができる。いくつかの実施形態において、画像データを記憶デバイス79上に転送でき、あるいはシステムメモリ72に記憶することができる。本明細書で説明したあらゆるデータを、或る構成要素から別の構成要素へと出力すること、およびユーザへと出力することが可能である。
【0129】
コンピュータシステムは、例えば、外部インターフェース81、内部インターフェース、あるいは或る構成要素から別の構成要素へと接続および取り外しが可能なリムーバブル記憶デバイスによって互いに接続される複数の同じ構成要素またはサブシステムを含むことができる。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム、サブシステム、または装置は、ネットワークを介して通信することができる。このような場合、或るコンピュータをクライアントと見なし、別のコンピュータをサーバと見なすことができ、各々が同じコンピュータシステムの一部であってよい。クライアントおよびサーバの各々が、複数のシステム、サブシステム、または構成要素を含むことができる。
【0130】
実施形態の態様を、ハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路またはフィールドプログラマブルゲートアレイ)を使用し、さらには/あるいはコンピュータソフトウェアをモジュール式または集積された様式の一般的なプログラマブルプロセッサと共に使用する制御ロジックの形態で実現することができる。本明細書において使用されるとき、プロセッサは、シングルコアプロセッサ、同じ集積チップ上のマルチコアプロセッサ、あるいは単一の回路基板上に位置し、あるいはネットワーク化された複数の処理ユニット、ならびに専用のハードウェアを含むことができる。本明細書において提供される開示および教示に基づいて、当業者であれば、ハードウェアおよびハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して本発明の実施形態を実現するための他のやり方および/または方法を知り、理解するであろう。
【0131】
本出願において説明されるソフトウェア構成要素または関数のいずれも、例えばJava、C、C++、C#、Objective-C、Swift、あるいは例えば従来からの技術またはオブジェクト指向の技術を使用するPerlまたはPythonなどのスクリプト言語、などの任意の適切なコンピュータ言語を用いて、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実現されてよい。ソフトウェアコードは、一連の命令または指令として、保存および/または伝送のためにコンピュータ可読媒体上に格納されてよい。好適な非一時的コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードドライブまたはフロッピーディスクなどの磁気媒体、あるいはコンパクトディスク(CD)、DVD(デジタル多用途ディスク)、Blu-rayディスクなどの光学的媒体、フラッシュメモリ、などを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、このような記憶デバイスまたは伝送デバイスの任意の組み合わせであってよい。
【0132】
さらに、そのようなプログラムは、インターネットを含むさまざまなプロトコルに準拠する有線、光、および/または無線ネットワークを介した伝送に適合したキャリア信号を使用して符号化および伝送されてよい。したがって、コンピュータ可読媒体を、そのようなプログラムでエンコードされたデータ信号を使用して生成することができる。プログラムコードで符号化されたコンピュータ可読媒体は、適合するデバイスと一緒にパッケージ化されても、(例えば、インターネットダウンロードを介して)他のデバイスから別途提供されてもよい。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、単一のコンピュータ製品(例えば、ハードドライブ、CD、またはコンピュータシステム全体)上、またはその内部に位置でき、システムまたはネットワークの内部の異なるコンピュータ製品上、またはその内部に存在できる。コンピュータシステムは、本明細書に記載の結果のいずれかをユーザに提供するためのモニタ、プリンタ、または他の適切なディスプレイを含むことができる。
【0133】
本明細書に記載のいずれも方法も、ステップを実行するように構成することができる1つ以上のプロセッサを含むコンピュータシステムで完全に、または部分的に実行することができる。したがって、実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法のステップを実行するように構成され、おそらくはそれぞれのステップまたはそれぞれのステップ群を実行する異なる構成要素を備えているコンピュータシステムを対象とすることができる。本明細書における方法のステップは、順序立てられたステップとして提示されているが、同時に実行されても、異なる時点に実行されても、異なる順序で実行されてもよい。さらに、これらのステップの一部は、他の方法からの他のステップの一部と一緒に使用されてもよい。また、ステップの全体または一部は、随意であってよい。さらに、任意の方法の任意のステップを、これらのステップを実行するためのシステムのモジュール、ユニット、回路、または他の手段で実行することができる。これらのステップは、システムメモリ72または記憶デバイス79に画像分析コードとして記憶されてもよい。
【0134】
特定の実施形態の固有の詳細を、本発明の実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、任意の適切なやり方で組み合わせることが可能である。しかしながら、本発明の他の実施形態は、各々の個別の態様に関する特定の実施形態、またはこれらの個別の態様の特定の組み合わせを対象とすることができる。
【0135】
本開示の例示的な実施形態の上述の説明は、例示および説明を目的として提示されている。これらは、網羅的であることも、本開示を記載された正確な形態に限定することも意図しておらず、上述の教示に照らして多数の変更および変種が可能である。
【0136】
「a」、「an」、または「the」という記載は、そのようでないと具体的に示されない限り、「1つ以上」を意味するように意図される。「or」の使用は、そのようでないと具体的に示されない限り、「排他的論理和」でなく、「包含的論理和」を意味するように意図される。「第1の」構成要素への言及は、必ずしも第2の構成要素が設けられることを必要としない。さらに、「第1の」または「第2の」構成要素への言及は、明示的に述べられない限り、言及された構成要素を特定の位置に限定しない。「基づく」という用語は、「少なくとも部分的に基づく」を意味するように意図される。
【0137】
本明細書において言及されたすべての特許、特許出願、刊行物、および説明文は、それらの全体があらゆる目的のために参照によって援用される。いずれも先行技術であると認められるものではない。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2023-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的試料の画像を使用して腫瘍のバイオマーカーを識別する方法であって、
前記画像内で、前記腫瘍の境界を示している腫瘍エリアを識別するステップと、
各々が組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応する前記画像の複数の領域を識別するステップと、
前記複数の領域の各々の領域について、該領域を取り囲む該領域の境界エリアであって、ポリゴンまたは楕円を含む境界エリアを定義するステップと、
前記境界エリアが完全に前記腫瘍エリアの中にある前記複数の領域のうちの第1のサブセットの各々の領域について、該領域が前記腫瘍に帰すると判定するステップと、
前記複数の領域のうちの第2のサブセットの各々の領域について、該領域の前記境界エリアが部分的に前記腫瘍エリアの中にあると判定するステップと、
前記複数の領域のうちの前記第2のサブセットの各々の領域について、該領域と前記腫瘍エリアとの交差に基づいて、該領域が前記腫瘍に帰するか否かを判定するステップと、
前記腫瘍に帰する各々の領域について、生物学的観察を特徴付けるメトリックにアクセスするステップと、
前記腫瘍に帰する前記領域の前記アクセスされたメトリックに基づいて、結果の値を生成するステップ を含む方法。
【請求項2】
前記メトリックは、前記領域内の特定の種類の細胞のカウントまたは密度である
請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記特定の種類の細胞の前記カウントまたは密度は、前記腫瘍エリアの中または前記腫瘍の完全に外側の前記領域のカウントまたは密度である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記特定の種類の細胞の前記カウントまたは密度は、完全に前記腫瘍の外側の領域のカウントまたは密度である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の領域のうちの第3のサブセットが、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し、
前記方法は、前記複数の領域のうちの前記第3のサブセットの各々の領域について、前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックにアクセスするステップをさらに含み、
前記結果の前記値を生成するステップは、前記腫瘍に帰する各々の領域および前記複数の領域のうちの前記第3のサブセットに帰する各々の領域の前記メトリックを含む関数の値を決定するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の領域は、
第1の組織ブロックまたは第1の生物学的オブジェクトに対応する第1の領域と、
第2の組織ブロックまたは第2の生物学的オブジェクトに対応する第2の領域と
を含み、
前記第1および第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、前記領域に関する位置を識別し、
前記結果は、前記第1の領域について前記メトリックによって識別される第1の位置と、前記第2の領域について前記メトリックによって識別される第2の位置との間の距離を識別する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の組織ブロックまたは前記第1の生物学的オブジェクトは、第1の表現型の細胞であり、
前記第2の組織ブロックまたは前記第2の生物学的オブジェクトは、第2の表現型の細胞である、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の領域は、第1の表現型の細胞に対応し、
前記第2の領域は、前記第2の組織ブロックに対応する、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の領域は、
第1の表現型を有する複数の第1の細胞を含む第1の領域と、
第2の表現型を有する複数の第2の細胞を含む第2の領域と
を含み、
前記第1および第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、前記領域内の複数の細胞の各々の細胞の位置を識別し、
前記結果の前記値は、
前記複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して前記複数の第2の細胞のうちの第2の細胞までの最短距離を計算するステップ
によって生成される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記最近傍探索は、K最近傍(KNN)探索である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記最短距離の統計値を計算するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記統計値を含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記最短距離が或る範囲内である第1の細胞のカウントを決定するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記カウントである、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の領域は、
第1の表現型を有する複数の第1の細胞を含む第1の領域と、
1つ以上の第2の領域と
を含み、
前記1つ以上の第2の領域の各々の第2の領域は、組織ブロックまたは生物学的オブジェクトに対応し、前記第1の領域および1つ以上の第2の領域の各々は、前記腫瘍に帰すると判定され、
前記生物学的観察を特徴付ける前記メトリックは、各々の領域の少なくとも1つの位置を識別し、前記少なくとも1つの位置は、前記第1の領域内の前記複数の第1の細胞の各々の細胞の前記位置であり、前記少なくとも1つの位置は、前記1つ以上の第2の領域の各々の第2の領域の前記位置であり、
前記結果の前記値は、
前記複数の第1の細胞の各々の第1の細胞について、最近傍探索を使用して前記1つ以上の第2の領域のうちの第2の領域までの最短距離を計算するステップ
によって生成される、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記最近傍探索は、K最近傍(KNN)探索であり、
前記1つ以上の第2の領域のうちの所与の第2の領域について、前記KNN探索は、前記所与の第2の領域までの垂直距離が最も近い前記複数の第1の細胞のうちの前記第1の細胞を決定し、
前記方法は、前記垂直距離が最も小さい細胞と前記所与の第2の領域との間の距離を計算するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記最短距離の統計値を計算するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記統計値を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記最短距離が決められた範囲内である第1の細胞のカウントを決定するステップ
をさらに含み、
前記結果の前記値は、前記カウントを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記メトリックは、圧縮レベルである、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記領域と前記腫瘍エリアとの前記交差は、前記複数の領域を前記腫瘍エリアに関連付けるデータ構造を含むハッシュテーブルに記憶される、請求項に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的試料の前記画像をキャプチャするステップ
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項20】
前記画像は、組織切片の多重化免疫蛍光染色画像である、請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記組織ブロックまたは前記生物学的オブジェクトは、間質、エピ腫瘍、腫瘍周辺、血管、細胞表現型、壊死、組織襞、染色アーチファクト、または赤血球である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
実行されたときにコンピューティングシステムを請求項1から21のいずれか一項に記載の方法を実行するように制御する命令を含んでいるコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
請求項22に記載のコンピュータプログラム製品を含んでいるコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項24】
請求項22に記載のコンピュータプログラム製品を含むコンピューティングシステム。
【外国語明細書】