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  • 特開-多層フィルムおよびそれを含む包装 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026060
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】多層フィルムおよびそれを含む包装
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20240220BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023184163
(22)【出願日】2023-10-26
(62)【分割の表示】P 2019547696の分割
【原出願日】2018-03-19
(31)【優先権主張番号】17382147.1
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヒル、マーティン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】包装に組み込まれたときに一貫した調整可能な開封力を提供することができる多層フィルムを提供する。
【解決手段】多層フィルムは、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含むA層と、上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含み、B層の上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて少な
くとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、A層と、
上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピ
レン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、ま
たはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、
B層と、を含み、B層の前記上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、
前記フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供す
るように構成される、多層フィルム。
【請求項2】
前記フィルムが、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃
~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す、請求項1に記
載の多層フィルム。
【請求項3】
A層が、A層の重量に基づいて、少なくとも50重量パーセントの低密度ポリエチレン
を含む、請求項1または請求項2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
A層が、直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載の多
層フィルム。
【請求項5】
B層が、B層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポ
リプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのう
ちの少なくとも1つを少なくとも95重量パーセント含む、請求項1~4のいずれかに記
載の多層フィルム。
【請求項6】
上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み、C層の前記上部表面が、B層の下
部表面に接着接触している、請求項1~5のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項7】
C層が、ポリオレフィンを含む、請求項6に記載の多層フィルム。
【請求項8】
バリア層をさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の多層フィルムを含む、包装。
【請求項10】
包装がパウチである、請求項9に記載の包装。
【請求項11】
請求項1~8のいずれかに記載の多層フィルムおよびトレイを含み、A層の前記上部表
面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。
【請求項12】
基材に積層された請求項1~8のいずれかに記載の多層フィルムを含む、多層構造。
【請求項13】
前記基材が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム
、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む、請求項
12に記載の多層構造。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の多層構造を含む、包装。
【請求項15】
請求項12または請求項13に記載の多層構造およびトレイを含み、A層の前記上部表
面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層フィルム、およびこのようなフィルムを含む包装に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシール可能かつ開封が容易なフィルムは、例えば、食品を含む容器を一時的に閉
鎖するために大規模に用いられる。例えば、剥離可能なフィルムは、トレイなどの剛性容
器に封止され得る。使用中、消費者は、剥離可能なフィルムを引き剥がす。
【0003】
ヒートシール可能なフィルムは、熱を加える際に封止されることができなければならな
い。典型的な封止プロセスの間、フィルムの基布またはウェブ層は、封止顎部などの加熱
された表面と直接接触する。これにより、熱は、フィルムの基布層を通して伝達されて、
内側シーラント層を融解および融着して、シールを形成する。
【0004】
シールを引き離すことに必要とされる力は、「シール強度」または「ヒートシール強度
」と呼ばれ、これは、ASTM F2029-00(B)に従って測定することができる
。所望のシール強度は、特定のエンドユーザ用途に従って変動する。シリアルライナー、
スナック食品包装、クラッカーチューブ、およびケーキミックスライナーなどの柔軟性包
装用途の場合、所望のシール強度は、一般に約2~10N/15mmの範囲である。例え
ば、開封が容易なシリアルボックスライナーの場合、約3~6N/15mmの範囲のシー
ル強度が一般的に指定されているが、具体的な目標は、個々の製造業者の要求に従って変
わる。柔軟性包装用途に加えて、シール可能かつ剥離可能なフィルムはまた、便利な品目
(例えば、プリンなどのスナック食品)のための蓋および医療器具などの剛性包装用途に
おいて使用され得る。典型的な剛性包装はまた、約3~6N/15mmのシール強度を有
する。
【0005】
封止される多層フィルムまたは構造は通常、加熱されたときにフィルムまたは構造を(
同じフィルムまたは異なるフィルムの)別のフィルム表面、剛性包装、または別の表面に
封止するシーラント層を含む。包装を開封することができるいくつかの剥離システムが存
在する。
【0006】
接着剤剥離システムでは、シーラント層を有する多層フィルムまたは構造を基材に封止
する(例えば、別の多層フィルムまたは構造、剛性包装など)。基材がシーラント層を含
まない場合、シーラント層は、基材から分離する(例えば、シーラント層を有する多層フ
ィルムまたは構造は、基材からきれいに除去される)。基材がシーラント層も含む場合、
シーラント層の間に明確な分離が存在する。
【0007】
凝集剥離システムでは、シールは、シーラント層内で凝集的に開封する。そのようなシ
ステムでは、破損がシーラント層内で起こるので、残留シーラント層が基板上に見えるこ
とがある。
【0008】
破裂剥離または層間剥離システムでは、シールは、しっかりしたままであるが、シーラ
ント層は、基材から接着的に層間剥離する。
【0009】
そのようなシステムについての追加情報は、食品技術包装工業会(2011年6月)に
よって発行されたTechnical Bulletin No.106/2011「G
uideline for the design of「easy opening」
peelable packaging systems」に見出すことができ、これは
、参照により本明細書に組み込まれる。
【0010】
破裂剥離開口機構は、用途によっては特に望ましい場合がある。
【0011】
包装に組み込まれたときに一貫したより容易に調整可能な開封力を提供する多層フィル
ムおよび/または構造への新しいアプローチが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、包装に組み込まれたときに一貫した調整可能な開封力を提供することができ
る多層フィルムを提供する。例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、包装に
組み込まれると、多層フィルム内の層間剥離(すなわち破裂剥離)によって開封される場
合がある。いくつかの実施形態では、例えば、多層フィルムは、シーラント層と隣接層と
の間の層間剥離のために開封する剥離可能なシールを提供する。いくつかの実施形態では
、多層フィルムは、「開封が容易な」シールを提供することができる(例えば、フィルム
は、ASTM F2029-00(B)に従って測定した場合、100℃~140℃の温
度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を有することができる)。
【0013】
一態様では、本発明は、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA
層の重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含むA層と
、上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピ
レン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、ま
たはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、
B層と、を含む、多層フィルムであって、B層の上部表面が、A層の下部表面と接着接触
しており、フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを
提供するように構成される、多層フィルムを提供する。
【0014】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層フィルムのいずれかを含むパウチ
などの包装に関する。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示される多層フィルムのいずれかおよびトレイ
を含む包装であって、A層の上部表面が、トレイの少なくとも一部に封止される、包装に
関する。
【0016】
別の態様では、本発明は、基材に積層された本明細書に開示された多層フィルムのいず
れかを含む多層構造に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層構造のいずれかを含む包装に関す
る。
【0018】
別の態様では、本発明は、本明細書に開示された多層構造のうちのいずれかおよびトレ
イを含む包装であって、A層の上部表面が、トレイの少なくとも一部に封止される、包装
に関する。
【0019】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のいくつかの実施形態による多層フィルムおよび比較フィルムの様々な温度でのヒートシール強度を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
別段言及されるか、文脈から黙示的であるか、または当該技術分野で慣習的でない限り
、全ての部およびパーセントは重量に基づき、全ての温度は℃であり、全ての試験方法は
本開示の出願日時点で最新のものである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、な
らびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0023】
「ポリマー」は、同じ種類であるか異なる種類であるかにかかわらず、モノマーを重合
することによって調製されるポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという総
称は、(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下で、1種類のモノ
マーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)ホモポリマーという用語、お
よび本明細書以下に定義されるインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(
例えば、触媒残渣)が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれ得る。ポリマ
ーは、単一ポリマー、ポリマーブレンド、またはポリマー混合物であり得る。
【0024】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異
なる種類のモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポ
リマーという総称は、(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すため
に用いられる)コポリマー、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されるポリ
マーを含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、「オレフィン系ポリマー」または「ポリオレフィン」とい
う用語は、重合形態で(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例え
ば、エチレンまたはプロピレンを含み、かつ任意で1つ以上のコモノマーを含み得るポリ
マーを指す。
【0026】
「ポリプロピレン」は、プロピレンモノマーから誘導された50重量%よりも大きい単
位を有するポリマーを意味する。「ポリプロピレン」という用語は、アイソタクチックポ
リプロピレンなどのプロピレンのホモポリマー、プロピレンが少なくとも50モルパーセ
ントを構成するプロピレンと1つ以上のC2、4-8α-オレフィンとのランダムコポリ
マー、およびポリプロピレンのインパクトコポリマーを含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」という用
語は、重合形態で(インターポリマーの重量に基づいて)過半量のエチレンモノマー、お
よびα-オレフィンを含むインターポリマーを指す。
【0028】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、
2種類のみのモノマーとして、重合形態で(コポリマーの重量に基づいて)過半量のエチ
レンモノマー、およびα-オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0029】
「接着接触」という用語および同様の用語は、一方の層の1つの表面と別の層の1つの
表面とが接触してお互いに結合していることを意味する。
【0030】
用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する
(having)」、およびそれらの派生語は、任意の追加の構成要素、ステップ、また
は手順が、本明細書で具体的に開示されているかに関わらず、それらの存在を除外するよ
う意図されない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」とい
う用語の使用を通して特許請求されるすべての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、
ポリマー性かまたは別のものであるかにかかわらず、いかなる追加の添加剤、アジュバン
ト、または化合物を含んでもよい。対照的に、「本質的に~からなる」という用語は、操
作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の引用範囲から、いかなる他の構成要素
、ステップ、または手順も除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列
挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0031】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、50重量%を超えるエチレンモノ
マーから誘導された単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホ
モポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む
。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエ
チレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン
(ULDPE)、非常に低い密度のポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に
直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-L
LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE
)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、当該技術分野において一般に既知である
が、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する
上で役立つ可能性がある。
【0032】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」または「高分岐ポリエチレ
ン」とも称され、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を使用して、14,500psi
(100MPa)を超える圧力のオートクレーブ内もしくは管状反応器内で、ポリマーが
部分的もしくは完全にホモ重合または共重合することを意味するように定義される(例え
ば、参照により本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照されたい)。LD
PE樹脂は典型的には、0.916~0.935g/cm3の範囲内の密度を有する。
【0033】
「LLDPE」という用語は、伝統的なチーグラー・ナッタ触媒系ならびにシングルサ
イト触媒(ビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と称されることもある)および拘
束幾何触媒を含むが、これらに限定されない)を使用して作製される樹脂の両方を含み、
直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを
含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,
236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および
米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に直鎖状のエチレンポリマー
、米国特許第3,645,992号のものなどの均質分岐直鎖状エチレンポリマー組成物
、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるものなどの
不均一分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,3
42もしくはUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPEは、当
該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、
液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせによって作製することが
できる。
【0034】
「MDPE」という用語は、0.926~0.935g/cm3の密度を有するポリエ
チレンを指す。「MDPE」は典型的には、クロム触媒もしくはチーグラー・ナッタ触媒
を使用して、または、これに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒
を含むシングルサイト触媒を使用して作製され、典型的には、2.5を超える分子量分布
(「MWD」)を有する。
【0035】
「HDPE」という用語は一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または、こ
れに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト触
媒を用いて調製される、約0.935g/cm3を超える密度を有するポリエチレンを指
す。
【0036】
「ULDPE」という用語は一般に、チーグラー・ナッタ触媒、クロム触媒、または、
これに制限されないが、ビス-メタロセン触媒および拘束幾何触媒を含むシングルサイト
触媒を用いて調製される、0.880~0.912g/cm3の密度を有するポリエチレ
ンを指す。
【0037】
一態様では、本発明は、上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA
層の重量に基づいて、少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレン(LDPE)
を含む、A層と、上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリ
マーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクト
コポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パ
ーセント含む、B層と、を含む、多層フィルムであって、B層の上部表面が、A層の下部
表面と接着接触しており、フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離
可能なシールを提供するように構成される、多層フィルムを提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、多層フィルムは、ASTM F2029-00(B)に従っ
て測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール
強度を示す。
【0039】
いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも50重量パーセン
トの低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。A層は、いくつかの実施形態では、A層の
重量に基づいて少なくとも70重量パーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態で
は、A層は、A層の重量に基づいて最大100重量パーセントのLDPEを含む。いくつ
かの実施形態では、A層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)をさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレ
ン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、また
はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも95重量パーセント含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、1つ以上の追加の層を含み得る。
例えば、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、バリア層をさらに含み得る。いくつ
かの実施形態では、多層フィルムは、上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み
、C層の上部表面は、B層の下部表面に接着接触している。いくつかのそのような実施形
態では、C層は、ポリオレフィンを含む。
【0042】
本発明の多層フィルムは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含むこ
とができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態は、食品包装などの包装に関する。いくつかの実施形態で
は、本発明の包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルムを含
む。いくつかの実施形態では、包装は、パウチである。いくつかの実施形態では、本発明
の包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルムおよびトレイを
含み、A層の上部表面は、トレイの少なくとも一部に封止される。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態は、多層構造に関する。いくつかの実施形態では、多層構
造は、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる多層フィルム含む。そのような実
施形態では、基材は、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフ
ィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む。
そのような多層構造は、食品包装などの包装を形成するために使用することができる。い
くつかのそのような実施形態では、包装は、本明細書に開示される実施形態のいずれかに
よる多層構造を含む。いくつかの実施形態では、本発明の包装は、本明細書に開示される
実施形態のいずれかによる多層構造およびトレイを含み、A層の上部表面は、トレイの少
なくとも一部に封止される。
【0045】
本発明の多層構造体は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含むこと
ができる。
【0046】
本明細書に記載されるように、本発明の包装は、2つ以上の実施形態の組み合わせを含
み得る。
【0047】
シーラント層(A層)
本発明の多層フィルムは、シーラント層である第1の層(A層)を含む。本明細書に記
載の通り、シーラント層は、いくつかの実施形態では、A層の重量に基づいて少なくとも
30重量パーセント~最大100重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む。特定の理
論に縛られることを望まないが、多量の長鎖分岐を有するポリエチレン(例えば、LDP
E)を有意な量で有するA層と、少なくとも70重量パーセントのポリプロピレンを有す
るB層(下記でさらに考察される)との組み合わせが、A層とB層との間の層間剥離破損
のために望ましい剥離強度を提供する層間の不適合性を提供すると考えられる。
【0048】
A層は、有意な量の低密度ポリエチレン(LDPE)を含む。いくつかの実施形態では
、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセントのLDPEを含む。いく
つかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも50重量パーセントのL
DPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少なくとも70
重量パーセントのLDPEを含む。A層は、A層の重量に基づいて少なくとも90重量パ
ーセントのLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて少
なくとも95重量パーセントのLDPEを含む。A層は、いくつかの実施形態では、A層
の重量に基づいて最大100重量パーセントのLDPEを含む。異なるLDPE樹脂のブ
レンドもA層に含まれ得ることを理解すべきであり、LDPEへの全ての言及は、一般に
1つ以上のLDPE樹脂を指すと理解すべきである。
【0049】
いくつかの実施形態では、LDPEは、0.916~0.935g/cm3の密度を有
する。0.916~0.935g/cm3の全ての個々の値および下位範囲が本明細書に
含まれ開示され、例えば、LDPEの密度は、0.918~0.930g/cm3、また
は代替的に0.920~0.932g/cm3、または代替的に0.920~0.930
g/cm3であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、LDPEは、20g/10分以下のメルトインデックス(I
2)を有する。20g/10分までのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含ま
れ、本明細書に開示される。例えば、LDPEは、0.1、0.2、0.25、0.5、
0.75、1、2、4、5、10、または15g/10分の下限から1、2、4、5、1
0、または15g/10分の上限のメルトインデックスを有することができる。LDPE
は、いくつかの実施形態では、最大10g/10分のメルトインデックス(I2)を有す
る。LDPEは、いくつかの実施形態では、最大5g/10分のメルトインデックス(I
2)を有する。いくつかの実施形態では、LDPEは、3g/10分未満のメルトインデ
ックス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、LDPEは、0.1~2.5g/1
0分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0051】
本発明の実施形態で使用することができる市販のLDPEの例としては、DOW(商標
)LDPE303E、DOW(商標)LDPE352E、およびDOW(商標)LDPE
310E、ならびにThe Dow Chemical Companyから市販されて
いる他の低密度ポリエチレン、ならびに業界におけるその他から市販されている他の低密
度ポリエチレンが挙げられる。
【0052】
上記のように、いくつかの実施形態では、A層は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLD
PE)をさらに含むことができる。特定の理論に束縛されることを望まないが、A層にい
くらかの量のLLDPEを組み込むことは、2つの層間の剥離強度を増加させることがで
きるB層との適合性および接着を改善するのに役立つと考えられる。したがって、A層に
含まれるべきLLDPEの量は、例えば、所望の剥離強度に応じて変わり得る。
【0053】
LLDPEがA層に含まれるいくつかの実施形態では、A層は、A層の重量に基づいて
最大70重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、A層は、A層の
重量に基づいて最大50重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態では、
A層は、A層の重量に基づいて最大30重量パーセントのLLDPEを含む。A層は、A
層の重量に基づいて最大10重量パーセントのLLDPEを含む。いくつかの実施形態で
は、A層は、A層の重量に基づいて最大5重量パーセントのLLDPEを含む。異なるL
LDPE樹脂のブレンドもA層に含まれ得ることを理解すべきであり、LLDPEへの全
ての言及は、一般に1つ以上のLLDPE樹脂を指すと理解すべきである。
【0054】
A層において使用され得るLLDPEは、いくつかの実施形態では、0.955g/c
m3以下の密度を有する。0.955g/cm3以下の全ての個々の値および部分範囲は
、本明細書において含まれ、本明細書において開示され、例えば、LLDPEの密度は、
0.955、0.950、0.945、0.940、0.935、0.930、0.92
5、0.920、または0.915g/cm3の上限までであり得る。本発明のいくつか
の態様では、LLDPEは、0.870g/cm3以上の密度を有する。0.870~0
.955cm3の全ての個々の値および部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示
される。
【0055】
いくつかの実施形態では、LLDPEは、20g/10分以下のメルトインデックス(
I2)を有する。20g/10分までのすべての個々の値および部分範囲が本明細書に含
まれ、本明細書に開示される。例えば、LLDPEは、0.1、0.2、0.25、0.
5、0.75、1、2、4、5、10、または15g/10分の下限から1、2、4、5
、10、または15g/10分の上限のメルトインデックスを有することができる。LL
DPEは、いくつかの実施形態では、最大10g/10分のメルトインデックス(I2)
を有する。LLDPEは、いくつかの実施形態では、最大5g/10分のメルトインデッ
クス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、LLDPEは、3g/10分未満のメ
ルトインデックス(I2)を有する。いくつかの実施形態では、LLDPEは、0.1~
2.5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0056】
本発明の実施形態で使用することができる市販のLLDPEの例としては、DOWLE
X(商標)4056.01G、DOWLEX(商標)2045.01G、およびDOWL
EX(商標)NG5056G、ならびにThe Dow Chemical Compa
nyから市販されている他の直鎖状低密度ポリエチレン、ならびに業界におけるその他か
ら市販されている他の直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。
【0057】
LLDPEではなく、A層は、LDPEに加えて、強化ポリエチレンおよびポリオレフ
ィンプラストマーを含む、LLDPEと類似またはより低い密度および類似のメルトイン
デックスを有する他のポリエチレン樹脂を含むことができる。LLDPEの代わりにいく
つかの実施形態で使用することができる市販の強化ポリエチレンの1つの非限定的な例は
、Dow Chemical Companyから市販されているELITE(商標)5
400G(0.916g/cm3の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(
I2))である。LLDPEの代わりにいくつかの実施形態で使用することができる市販
のポリオレフィンプラストマーの1つの非限定的な例は、Dow Chemical C
ompanyから市販されているAFFINITY(商標)PL1881G(0.904
g/cm3の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I2))である。
【0058】
いくつかの実施形態では、少量(例えば、A層の重量に基づいて5重量パーセント未満
)の他のポリエチレンもA層に含まれ得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、シーラント層(A層)は、多層フィルムを封止する前に、当
業者に既知の技法を使用してコロナ処理され得る。
【0060】
B層
本発明の多層フィルムは、上部表面および下部表面を有する第2の層(B層)を含み、
B層の上部表面は、シーラント層(A層)の下部表面に接着接触している。B層は、B層
の重量に基づいて少なくとも70重量パーセントおよび最大100重量パーセントのポリ
プロピレン(例えば、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン
、インパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせ)を含む。上記のように、特定の理
論に縛られることを望まないが、B層中のポリプロピレンと、多量の長鎖分岐を有するポ
リエチレン(例えば、LDPE)を有意な量で有するA層との組み合わせが、A層とB層
との間の層間剥離破損のために望ましい剥離強度を提供する層間の不適合性を提供すると
考えられる。
【0061】
ポリプロピレンは、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマー、ポリプロピレ
ンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0062】
様々な実施形態では、種々のホモポリマーポリプロピレンをB層に使用することができ
る。典型的には、好適なホモポリマーポリプロピレンは、0.5~10g/10分のメル
トフローレートを有する。本発明の実施形態において使用することができる市販のホモポ
リマーポリプロピレンの例としては、INSPIRE147およびDH357.01、な
らびにBraskem Europe GmbHから市販されている(または以前に入手
可能なINSPIRE147の場合)他のホモポリマーポリプロピレンが挙げられる。
【0063】
様々な実施形態では、種々のランダムコポリマーポリプロピレンをB層に使用すること
ができる。ランダムコポリマーポリプロピレンでは、エチレンは、典型的に含まれる他の
モノマーである。典型的には、好適なランダムコポリマーポリプロピレンは、0.5~1
0g/10分のメルトフローレートを有する。本発明の実施形態で使用することができる
市販のランダムコポリマーポリプロピレンの例としては、INSPIRE361およびD
R152.00、ならびにBraskem Europe GmbHから市販されている
他のランダムコポリマーポリプロピレンが挙げられる。
【0064】
様々な実施形態では、ポリプロピレンの種々のインパクトコポリマーをB層に使用する
ことができる。ポリプロピレンのインパクトコポリマーは、典型的にはエチレン/プロピ
レンコポリマー、ホモポリプロピレン内に分散されたエチレン-ブテンゴム相、またはエ
チレン-ブテンゴム相分散ランダムコポリマーマトリックスのいずれかである。典型的に
は、好適なインパクトコポリマーポリプロピレンは、0.5~10g/10分のメルトフ
ローレートを有する。本発明の実施形態で使用することができる市販のポリプロピレンの
インパクトコポリマーの例としては、INSPIRE137、INSPIRE114、お
よびINSPIRE153、ならびにBraskem Europe GmbHから市販
されている他のポリプロピレンのインパクトコポリマーが挙げられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて少なくとも70重量パーセン
トのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、B層は、B層の重量に基づいて少
なくとも90重量パーセントのポリプロピレンを含む。B層は、B層の重量に基づいて少
なくとも95重量パーセントのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、B層は
、いくつかの実施形態ではB層の重量に基づいて最大100重量パーセントのポリプロピ
レンを含む。異なるポリプロピレン樹脂(ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリ
マー、および/またはポリプロピレンのインパクトコポリマー)のブレンドもB層に含め
ることができ、ポリプロピレンに関する全ての言及は、一般に1つ以上のポリプロピレン
樹脂を指すと理解すべきである。
【0066】
いくつかの実施形態では、最大30重量パーセントの他のポリオレフィン、例えばポリ
エチレンおよびそのコポリマーもB層に含まれ得る。
【0067】
他の層
本発明の多層フィルムのいくつかの実施形態は、上記の層を越える層を含むことができ
る。3つ以上の層を含むこのような実施形態では、A層の上部表面は、依然としてフィル
ムの上部表面であるだろう。言い換えると、いずれの追加の層も、B層の下部表面、また
は別の中間層に接着接触しているであろう。
【0068】
例えば、多層フィルムは、例えば、酸素バリア層、タイ層、ポリエチレン層、他のポリ
プロピレン層などを含む用途に応じて、典型的には多層フィルムに含まれる他の層をさら
に含み得る。
【0069】
一例として、いくつかの実施形態では、多層フィルムは、上部表面および下部表面を有
する別の層(C層)を含むことができ、C層の上部表面は、B層の下部表面に接着接触し
ている。
【0070】
いくつかのそのような実施形態では、C層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、または
それらのブレンドなどの1つ以上のポリオレフィンを含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、C層は、ポリエチレンを含む。そのような実施形態では、C
層は、本明細書における教示に基づいて多層フィルムの層として使用するのに好適である
当業者に既知の任意のポリエチレンを含むことができる。C層において使用することがで
きるポリエチレンの例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエ
チレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)、高溶融強度高密度ポリエチレン(HMS-HDPE)、超高密度ポリエチレン(U
HDPE)、強化ポリエチレンなどが挙げられる。しかしながら、C層がLDPEを含む
限りにおいて、A層とC層との間ではなくB層とC層との間で層間剥離が起こる可能性を
最小限に抑えるために、LDPEの総量は、C層の総重量に基づいて30重量パーセント
以下のC層を含むべきである。
【0072】
いくつかの実施形態では、C層は、ポリプロピレンを含む。ポリプロピレンは、プロピ
レン/α-オレフィンコポリマー、プロピレンホモポリマー、またはそれらのブレンドを
含むことができる。様々な実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、ラ
ンダムコポリマーポリプロピレン(rcPP)、インパクトコポリマーポリプロピレン(
hPP+少なくとも1つのエラストマー耐衝撃性改質剤)(ICPP)、ハイインパクト
ポリプロピレン(HIPP)、高溶融強度ポリプロピレン(HMS-PP)、アイソタク
チックポリプロピレン(iPP)、シンジオタクチックポリプロピレン(sPP)、エチ
レンとのプロピレン系コポリマー、およびこれらの組み合わせであり得る。
【0073】
しかしながら、上記のように、C層は、任意の数の他のポリマーまたはポリマーブレン
ドを含み得る。例えば、多層フィルムがバリア層を含む場合、C層は、B層とバリア層と
の間の接着接触におけるタイ層であり得る。
【0074】
追加の層および多層フィルムの組成物に応じて、いくつかの実施形態では、追加の層は
、フィルム内の他の層と共押出することができる。
【0075】
添加剤
前述の層のいずれも、例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、熱安定剤、スリップ剤、ブ
ロッキング防止剤、顔料または着色剤、加工助剤、架橋触媒、難燃剤、充填剤、および発
泡剤などの当業者に既知である1つ以上の添加剤をさらに含み得ることを理解されたい。
【0076】
本明細書に開示される層の組み合わせを含む多層フィルムは、例えば、層の数、フィル
ムの意図される用途、および他の要因に応じて、様々な厚さを有することができる。本発
明の多層フィルムは、いくつかの実施形態では、25~200ミクロン(典型的には、3
5~150ミクロン)の厚さを有する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本発明の多層フィルムは、望ましいシール特性を有利に提供
することができる。例えば、多層フィルムは、A層(シーラント層)とB層(シーラント
層に隣接する層)との間の層間剥離による「破裂剥離」によって開封する「開封が容易な
」包装を提供するためのシール強度を有することができる。いくつかの実施形態では、本
発明の多層フィルムは、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに10
0℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す。
【0078】
多層フィルムの調製方法
多層フィルムは、本明細書の教示に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成する
ことができる。例えば、共押出され得る層の場合、このような層は、本明細書の教示に基
づいて、当業者に既知の技法を使用して、吹込フィルムまたはキャストフィルムとして共
押出され得る。特に、本明細書に開示される異なるフィルム層の組成物に基づいて、イン
フレーションフィルム製造ラインおよびキャストフィルム製造ラインは、本明細書の教示
に基づいて、当業者に既知の技術を使用して、単一の押出しステップで本発明の多層フィ
ルムを同時押出しするように構成され得る。
【0079】
上に示されるように、いくつかの実施形態では、シーラント層(A層)は、本明細書の
教示に基づいて当業者に既知の技法を使用してコロナ処理され得る。
【0080】
多層構造体
本発明のいくつかの実施形態はまた、多層構造に関する。いくつかのそのような実施形
態では、多層構造は、基材に積層された本明細書に開示される実施形態のいずれかによる
多層フィルムを含む。基材は、例えば、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸
ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム箔、ポリエチレンフィ
ルム、または紙、ならびにポリマー化フィルムの金属化および被覆バージョン(例えば、
二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル、ポリビニ
ルアルコール、またはアクリルで被覆)であり得る。
【0081】
基材は、いくつかの実施形態では、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含むことが
できる。例えば、いくつかの実施形態では、多層構造は、ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを含み、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上部表面は、多層フィルムの下部
表面に積層されている。そのような実施形態では、本明細書の教示に基づいて当業者に既
知の任意のポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1のフィルムは、例えば、二軸延伸ポリプロピレンフィル
ムなどのポリプロピレンを含むことができる。例えば、いくつかの実施形態では、多層構
造は、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを含み、ポリプロピレンフィルムの上部表面は、
多層フィルムの下部表面に積層されている。そのような実施形態では、本明細書における
教示に基づいて、当業者に既知の任意の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用すること
ができる。
【0083】
そのような多層構造は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技術を使用して、本
発明の多層フィルムの表面を基材の表面に積層することによって形成することができる。
例えば、基材がポリエチレンテレフタレートフィルムを含むいくつかの実施形態では、ポ
リエチレンテレフタレートフィルムは、積層多層フィルムの上部表面として残るシーラン
ト層(A層)の上部表面をB層の下部表面に積層することができる(または多層フィルム
の最外層は、外側層ではないB層である)。
【0084】
包装
本発明の多層フィルムおよび多層構造は、包装を形成するために使用することができる
。そのような包装は、本明細書に記載の多層フィルムおよび多層構造のいずれかから形成
することができる。
【0085】
そのような包装の例は、可撓性包装、パウチ、起立パウチ、および既成包装またはパウ
チを含むことができる。いくつかの実施形態において、本発明の多層フィルムは、食品包
装に使用することができる。そのような包装内に含めることができる食品の例は、肉、チ
ーズ、シリアル、ナッツ、ジュース、ソースなどを含む。このような包装は、本明細書の
教示に基づいて、包装の特定の用途(例えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、
当業者に既知の技術を使用して形成することができる。
【0086】
本発明の多層フィルムを利用する包装は、いくつかの実施形態において、連続的に加熱
された封止バーを利用する加熱封止包装装置を伴い、有利に形成することができる。多層
フィルムの外部層の耐熱特性は、連続的に加熱された封止バーを有する包装の形成中のフ
ィルム構造を保護するのに役立つ。連続的に加熱された封止バーを利用するこのような包
装装置の例は、水平型充填封止機および垂直型充填封止機を含む。このような装置から形
成することができる包装の例は、起立パウチ、四隅包装(ピローパウチ)、フィン封止包
装などを含む。
【0087】
他の実施形態では、本発明の多層フィルムまたは多層構造は、食品包装などの包装を形
成するためにシートまたはトレイに封止することができる。このような包装に含まれ得る
食品の例としては、肉、チーズ、および他の食品が挙げられる。
【0088】
トレイは、ポリエステル(非晶質ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびポ
リエチレンナフタレートなど)、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびポリスチレンに
基づくシートから形成することができる。そのようなシートは、ポリエチレンをベースと
しない場合、典型的には、共押出、積層、または被覆によって提供することができるポリ
エチレンをベースとするヒートシール層(およびおそらく他の層)を含む。本発明の多層
フィルムまたは多層構造は、ポリエチレンテレフタレートまたは非晶質ポリエチレンテレ
フタレートから形成されたトレイまたはシートと共に使用するのに特によく適し得る。こ
のようなトレイまたはシートは、本明細書の教示に基づいて、かつ包装の特定の用途(例
えば、食品の種類、食品の量など)に基づいて、当業者に既知の技法を使用して形成され
得る。
【0089】
本発明の多層フィルムまたは多層構造は、本明細書の教示に基づいて当業者に既知の技
術を使用して、フィルムのシーラント層(A層)を介してシートまたはトレイに封止する
ことができる。
【0090】
試験方法
本明細書に他に指示がない限り、以下の分析方法は、本発明の態様を記載する際に使用
される。
密度
密度測定のための試料は、ASTM D1928に従って調製される。ポリマー試料を
、190℃および30,000psi(207MPa)で3分間、次いで21℃および2
07MPaで1分間圧縮する。測定は、ASTM D792、方法Bを使用して、1時間
以内の試料加圧で行われる。
【0091】
メルトインデックス
メルトインデックスI2(またはI2)およびI10(またはI10)は、ASTM
D-1238に従い、190℃、2.16kgおよび10kg荷重で、それぞれ測定され
る。それらの値は、g/10分で報告される。「メルトフローレート」は、ポリプロピレ
ン系の樹脂に関して使用され、ASTM D1238(230℃、2.16kg)に従っ
て判定される。
【0092】
メルトフローレート
ASTM D-1238またはISO1133(230℃、2.16kg)に従って、
メルトフローレートを測定する。
【0093】
ヒートシール強度
加熱封止強度、または封止強度は、以下のようにASTM F2029-00を使用し
て測定される。いずれの厚さとなり得るフィルム試料は、5バールの圧力および0.5秒
の滞留時間(100ミクロンを超える厚さのフィルムは1秒の滞留時間で封止する)で、
異なる温度でそれ自体に封止される。試料は、40時間調整され、次いで15mm片に切
断され、次いでInstron引張試験装置で、100mm/分の速度で引っ張られる。
5つ複製試験料を測定し、平均を記録する。
【0094】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例に詳細に説明する。
【0095】
実施例
表1に記載するように多数の多層フィルムを調製する。フィルムは、以下の構造を有す
る5層、50ミクロンのフィルムである:A層(7.5ミクロン)/B層(10ミクロン
)/C層(15ミクロン)/B層(10ミクロン)/D層(7.5ミクロン)。本発明の
いくつかの実施形態による多層フィルムは、本発明のフィルムとして識別され、他の多層
フィルムは比較フィルムである。
【表1】
【0096】
表1のパーセントは、それぞれの層の総重量に基づく重量パーセントである。LLDP
E1は、The Dow Chemical Companyから市販されている、0.
930g/cm3の密度および1.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する
DOWLEX(商標)2042EC直鎖状低密度ポリエチレンである。LLDPE2は、
The Dow Chemical Companyから市販されている、0.917g
/cm3の密度および1.3g/10分のメルトインデックス(I2)を有するDOWL
EX(商標)4056G直鎖状低密度ポリエチレンである。LLDPE3は、The D
ow Chemical Companyから市販されている、0.919g/cm3の
密度および1.3g/10分のメルトインデックス(I2)を有するDOWLEX(商標
)4056.01G直鎖状低密度ポリエチレンである。LDPE1は、The Dow
Chemical Companyから市販されている、0.925g/cm3の密度お
よび2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有するDOW(商標)LDPE3
52E低密度ポリエチレンである。LDPE2は、The Dow Chemical
Companyから市販されている、0.922g/cm3の密度および0.3g/10
分のメルトインデックス(I2)を有するDOW(商標)LDPE303E低密度ポリエ
チレンである。rPPは、Braskem Europe GmbHから市販されている
0.900g/cm3の密度および1.75のメルトフローレートを有するINSPIR
E361ランダムコポリマーポリプロピレンである。iPPは、Braskem Eur
ope GmbHから市販されている0.900g/cm3の密度および0.8のメルト
フローレートを有するポリプロピレンのINSPIRE137インパクトコポリマーであ
る。hPPは、Braskem Europe GmbHから市販されている0.900
g/cm3の密度および3.2のメルトフローレートを有するINSPIRE147ホモ
ポリマーポリプロピレンである。EPEは、0.962g/cm3の密度および0.85
g/10分のメルトインデックス(I2)を有するThe Dow Chemical
Companyから市販されているELITE(商標)5960G強化ポリエチレンであ
る。
【0097】
フィルムは、15%A層/20%B層/30%C層/20%B層/15%D層の重量分
布を有する多層フィルムを提供するために従来のポリエチレンインフレートフィルムライ
ンを通じて製作される。A層、B層、C層、およびD層についての樹脂押出の融解温度は
、それぞれ約235~240℃、225~230℃、230~235℃、および190~
200℃である。インフレートフィルムラインのダイ直径は、60mmであり、ブローア
ップ比は、2.5であり、ダイギャップは、1.8mmである。出力速度は、10kg/
時である。
【0098】
フィルムのヒートシール強度は、95、100、105、110、115、120、1
30、140、および150℃の温度で上記の技術を使用して測定される。結果を図1
示す。
【0099】
比較フィルムA(図1において「比較例1」として示される)および比較フィルムB(
図1において「比較例2」として示される)は、開封できないロックアップシールを示し
、シール強度は、シール領域の近くで破損が起こったときのフィルム自体のおおよその引
張強度を表す。比較フィルムC(図1において「比較例3」として示される)は、シール
試験中に部分的な剥離挙動を示すが、必要とされる開封力は、依然として所望よりも高い
。本発明のフィルム1~6(図1において「発明例1」~「発明例6」として示される)
は全て、シーラント層と隣接層との間の一貫した剥離および開封が容易な包装に適切な力
を示す。本発明のフィルム5および6(図1の「発明例5」および「発明例6」)は、シ
ーラント層へのLLDPEの組み込みが隣接層との適合性の増大により剥離力をどのよう
に増大させるかを示す。
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、A層と、
上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含み、B層の前記上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、
前記フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される、多層フィルム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0099
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0099】
比較フィルムA(図1において「比較例1」として示される)および比較フィルムB(図1において「比較例2」として示される)は、開封できないロックアップシールを示し、シール強度は、シール領域の近くで破損が起こったときのフィルム自体のおおよその引張強度を表す。比較フィルムC(図1において「比較例3」として示される)は、シール試験中に部分的な剥離挙動を示すが、必要とされる開封力は、依然として所望よりも高い。本発明のフィルム1~6(図1において「発明例1」~「発明例6」として示される)は全て、シーラント層と隣接層との間の一貫した剥離および開封が容易な包装に適切な力を示す。本発明のフィルム5および6(図1の「発明例5」および「発明例6」)は、シーラント層へのLLDPEの組み込みが隣接層との適合性の増大により剥離力をどのように増大させるかを示す。

以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 多層フィルムであって、
上部表面および下部表面を有するシーラント層であり、かつA層の重量に基づいて少なくとも30重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、A層と、
上部表面および下部表面を有し、かつB層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも70重量パーセント含む、B層と、を含み、B層の前記上部表面が、A層の下部表面と接着接触しており、
前記フィルムが、A層とB層との間の層間剥離により開封する剥離可能なシールを提供するように構成される、多層フィルム。
[2] 前記フィルムが、ASTM F2029-00(B)に従って測定したときに100℃~140℃の温度で2.5~6.5N/15mmの最大シール強度を示す、[1]に記載の多層フィルム。
[3] A層が、A層の重量に基づいて、少なくとも50重量パーセントの低密度ポリエチレンを含む、[1]または[2]に記載の多層フィルム。
[4] A層が、直鎖状低密度ポリエチレンをさらに含む、[1]~[3]のいずれかに記載の多層フィルム。
[5]B層が、B層の重量に基づいて、ホモポリマーポリプロピレン、ランダムコポリマーポリプロピレン、ポリプロピレンのインパクトコポリマー、またはそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを少なくとも95重量パーセント含む、[1]~[4]のいずれかに記載の多層フィルム。
[6] 上部表面および下部表面を有するC層をさらに含み、C層の前記上部表面が、B層の下部表面に接着接触している、[1]~[5]のいずれかに記載の多層フィルム。
[7] C層が、ポリオレフィンを含む、[6]に記載の多層フィルム。
[8] バリア層をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の多層フィルム。
[9] [1]~[8]のいずれかに記載の多層フィルムを含む、包装。
[10] 包装がパウチである、[9]に記載の包装。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の多層フィルムおよびトレイを含み、A層の前記上部表面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。
[12] 基材に積層された[1]~[8]のいずれかに記載の多層フィルムを含む、多層構造。
[13] 前記基材が、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、延伸ポリアミドフィルム、アルミニウム、またはポリエチレンフィルムを含む、[12]に記載の多層構造。
[14] [12]または[13]に記載の多層構造を含む、包装。
[15] [12]または[13]に記載の多層構造およびトレイを含み、A層の前記上部表面が、前記トレイの少なくとも一部に封止されている、包装。
【外国語明細書】