(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026064
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】フーリエフィルタを用いてコントラストを増加させたデジタルレーザ投影のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240220BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240220BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240220BHJP
G02B 27/18 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G03B21/00 D
H04N5/74 B
H04N5/74 A
G02B27/18
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023187888
(22)【出願日】2023-11-01
(62)【分割の表示】P 2020543801の分割
【原出願日】2019-04-01
(31)【優先権主張番号】62/651,657
(32)【優先日】2018-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18180390.9
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ペルティエラ,フアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】リチャーズ,マーティン ジェイ.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プロジェクタのコントラストを改善する。
【解決手段】空間光変調器102を用いて生成された画像のコントラストを増加させる光学フィルタ110は、空間光変調器からの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズと、レンズのフーリエ面に位置し、変調光をフィルタリングする光学フィルタマスクとを含む。変調光は、複数の回折次数を有し、光学フィルタマスクは、変調光の回折次数のうちの少なくとも1つを透過させ、変調光の残りの部分をブロックする。空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させる方法は、空間光変調器からの変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するステップと、変調光の少なくとも1つの回折次数をフーリエ面において透過させ、変調光の残りの部分をフーリエ面においてブロックすることによって変調光をフィルタリングするステップとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像フレームから形成される映像を投影する投影システムであって、
それぞれが異なる原色の光を生成する複数の光源と、
複数のデジタルマイクロミラーデバイスであって、前記デジタルマイクロミラーデバイスの各々は、前記光源のうちの異なる1つからの光を受光して変調するように構成され、前記デジタルマイクロミラーデバイスの各々は、法線を有する平面に配置されたマイクロミラーの2次元矩形アレイを含み、前記デジタルマイクロミラーデバイスの各々は、対応する光源からの光を、前記平面の法線に対してゼロでない角度で受光するように構成され、各マイクロミラーは、ON角度およびOFF角度に傾けられるように構成され、各マイクロミラーは、画像フレームごとに複数回、前記ON角度と前記OFF角度との間で傾けられるように構成されている、複数のデジタルマイクロミラーデバイスと、
前記複数のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を結合するように構成されたビームコンバイナと、
投影光学系と、
を備え、
前記投影光学系は、
前記ビームコンバイナからの前記変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたフーリエレンズと、
前記フーリエレンズのフーリエ面に位置する光学フィルタマスクであって、前記フーリエレンズは中心光軸を有し、前記光学フィルタマスクは前記フーリエ面上に位置する円形透過領域を含み、前記円形透過領域の中心は前記フーリエレンズの中心光軸からオフセットされている、光学フィルタマスクと、
複数の視聴者が前記映像を見ることができるように、前記光学フィルタマスクによってフィルタリングされた前記ビームコンバイナからの前記変調光をスクリーンに投影するように構成された投影レンズと、
を備える、投影システム。
【請求項2】
前記投影システムは、少なくとも30000対1のコントラスト比を実現し、前記光学フィルタマスクは、前記光学フィルタマスクが除去された場合に前記フーリエ面を通過する変調光の光パワーの少なくとも30%を透過させる、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記投影システムは、少なくとも60000対1のコントラスト比を実現し、前記光学フィルタマスクは、前記光学フィルタマスクが除去された場合に前記フーリエ面を通過する変調光の光パワーの少なくとも30%を透過させる、請求項1に記載の投影システム。
【請求項4】
前記マイクロミラーの2次元矩形アレイの各々は、前記画像フレームの水平方向の次元に対応するx軸と、前記画像フレームの垂直方向の次元に対応するy軸とを有するそれぞれのx-y平面内にあり、前記マイクロミラーの各々は、対応するマイクロミラーの2次元矩形アレイのx-y平面のx軸に対して-45°の向きをなす回転軸を中心に傾けられるように構成されている、請求項1に記載の投影システム。
【請求項5】
前記フーリエ面は、前記画像フレームの水平方向の次元に対応するx軸と、前記画像フレームの垂直方向の次元に対応するy軸とを有し、前記円形透過領域の中心は、前記フーリエ面のx軸に対して-45度の向きをなす線に沿って、前記フーリエレンズの中心光軸からオフセットされている、請求項4に記載の投影システム。
【請求項6】
前記デジタルマイクロミラーデバイスのそれぞれにおけるマイクロミラーがON角度で傾けられると、対応する光源から受けた光が、それぞれのデジタルマイクロミラーデバイスの法線に平行な方向に沿って前記マイクロミラーから離れる方向に反射される、請求項1に記載の投影システム。
【請求項7】
各マイクロミラーは、ON角度に傾けられたときにON光を生成し、OFF角度に傾けられたときにOFF光を生成し、
前記ON光は、ON位置に傾けられた各マイクロミラーで鏡面反射された鏡面ON光と、ON位置に傾けられた各マイクロミラーで回折された回折ON光とを含み、
前記OFF光は、OFF位置に傾けられた各マイクロミラーで鏡面反射された鏡面OFF光と、OFF位置に傾けられた各マイクロミラーで回折された回折OFF光とを含み、
前記円形透過領域は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記マイクロミラーからの鏡面ON光を透過させ、前記回折OFF光のゼロでない第1の割合を透過させ、前記回折OFF光のゼロでない第2の割合をブロックし、前記回折ON光のゼロでない割合をブロックすることによって、前記変調光のコントラストを増加させる、
請求項1に記載の投影システム。
【請求項8】
前記円形透過領域は、前記回折ON光の1つの回折次数の少なくとも一部をさらに透過させる、請求項7に記載の投影システム。
【請求項9】
前記透過領域は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記マイクロミラーからの前記鏡面ON光を透過させ、前記回折ON光の1つの回折次数の少なくとも一部を透過させ、前記回折OFF光の1つの回折次数の少なくとも一部を透過させ、前記回折ON光の少なくとも部分的に透過した回折次数は、前記回折OFF光の少なくとも部分的に透過した回折次数よりも低い回折次数を有する、請求項7に記載の投影システム。
【請求項10】
前記複数の光源における各光源は、少なくとも1つのレーザを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項11】
前記マイクロミラーの各々は、正方形のマイクロミラーである、請求項1に記載の投影システム。
【請求項12】
前記マイクロミラーの各々は、少なくとも1つの画像ピクセルに対応する、請求項1に記載の投影システム。
【請求項13】
前記円形透過領域は、光学的に不透明な構造体の開口部を含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項14】
前記円形透過領域は、ダイクロイックフィルタを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項15】
前記フーリエレンズは中心光軸を有し、前記フーリエレンズの中心光軸は空間光変調器の中心から光学的にオフセットされている、請求項1に記載の投影システム。
【請求項16】
前記フーリエレンズは中心光軸を有し、前記フーリエレンズの中心光軸は前記デジタルマイクロミラーデバイスのそれぞれの中心と光学的に整列している、請求項1に記載の投影システム。
【請求項17】
複数の画像フレームから形成される映像を投影する投影システムであって、
第1、第2、および第3の原色の光をそれぞれ生成する第1、第2、および第3の光源と、
第1、第2、および第3のデジタルマイクロミラーデバイスであって、前記第1、第2、および第3のデジタルマイクロミラーデバイスの各々は、前記第1、第2、および第3の光源のうちの異なる1つからの光を受光して変調するように構成され、前記デジタルマイクロミラーデバイスの各々は、マイクロミラーの2次元矩形アレイを含み、各マイクロミラーは、ON角度およびOFF角度に傾けられるように構成されている、第1、第2、および第3のデジタルマイクロミラーデバイスと、
前記第1のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたフーリエ光学系であって、前記第1のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたフーリエレンズと、前記フーリエレンズのフーリエ面に位置する光学フィルタマスクとを含み、前記フーリエレンズは中心光軸を有し、前記光学フィルタマスクは前記フーリエ面上に位置する円形透過領域を含み、前記円形透過領域の中心は前記フーリエレンズの中心光軸からオフセットされている、フーリエ光学系と、
前記フーリエ光学系からの光、前記第2のデジタルマイクロミラーデバイスからの光、および前記第3のデジタルマイクロミラーデバイスからの光を結合するように構成されたビームコンバイナと、
前記ビームコンバイナからの光をスクリーンに投影するように構成された投影レンズと、
を備える投影システム。
【請求項18】
前記フーリエ光学系は第1のフーリエ光学系であり、前記フーリエレンズは第1のフーリエレンズであり、前記光学フィルタマスクは第1の光学フィルタマスクであり、
前記投影システムは、さらに、前記第2のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成された第2のフーリエ光学系を含み、
前記第2のフーリエ光学系は、前記第2のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成された第2のフーリエレンズと、前記第2のフーリエレンズのフーリエ面に位置する第2の光学フィルタマスクと、を含み、
前記ビームコンバイナは、前記第1のフーリエ光学系からの光、前記第2のフーリエ光学系からの光、および前記第3のデジタルマイクロミラーデバイスからの光を結合するように構成されている、
請求項17に記載の投影システム。
【請求項19】
前記第3のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成された第3のフーリエ光学系をさらに備え、
前記第3のフーリエ光学系は、前記第3のデジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成された第3のフーリエレンズと、前記第3のフーリエレンズのフーリエ面に位置する第3の光学フィルタマスクと、を含み、
前記ビームコンバイナは、前記第1のフーリエ光学系からの光、前記第2のフーリエ光学系からの光、および前記第3のフーリエ光学系からの光を結合するように構成されている、
請求項18に記載の投影システム。
【請求項20】
映像の画像フレームを投影する投影システムであって、
少なくとも1つの光源と、
デジタルマイクロミラーデバイスであって、前記画像フレームの各々における3つの異なる原色成分を順次変調するように構成され、マイクロミラーの2次元矩形アレイを含み、各マイクロミラーは、ON角度およびOFF角度に傾けられるように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、
投影光学系と、
を備え、
前記投影光学系は、
前記デジタルマイクロミラーデバイスからの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたフーリエレンズと、
前記フーリエレンズのフーリエ面に位置する光学フィルタマスクであって、前記フーリエレンズは中心光軸を有し、前記光学フィルタマスクは前記フーリエ面上に位置する円形透過領域を含み、前記円形透過領域の中心は前記フーリエレンズの中心光軸からオフセットされている、光学フィルタマスクと、
複数の視聴者が画像を見ることができるように、前記光学フィルタマスクによってフィルタリングされた前記デジタルマイクロミラーデバイスからの変調光をスクリーンに投影するように構成された投影レンズと、
を備える投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願への相互参照]
本願は、2018年4月2日に出願された米国仮出願第62/651,657号および2018年6月28日に出願された欧州特許出願第EP18180390.9号に基づく優先権を主張するものであり、両出願の開示内容をすべて本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタのコントラストは、プロジェクタの最も暗い出力に対するプロジェクタの最も明るい出力を表す。コントラスト比は、コントラストの定量化可能な尺度であり、プロジェクタの最も暗い出力の輝度に対するプロジェクタの最も明るい出力の輝度の比として定義される。この定義によるコントラスト比は、「スタティック」または「ネイティブ」なコントラスト比とも称される。
【0003】
人間の視覚系の視覚的な順応により、視聴者によって検出可能な輝度の範囲は、約1,000,000,000:1のコントラスト比に相当する。とは言え、どの瞬間においても、輝度の検出可能範囲は、この値よりも低いコントラスト比に相当する。例えば、人間の目の中にある桿体細胞のみを介する暗所視において、任意の瞬間における検出可能なコントラスト比は、見ているシーン、ユーザの順応状態、および生物学的要因にもよるが、視聴者によっては、1,000,000:1という高いコントラスト比であり得る。
【0004】
シネマ環境における視聴者は、任意の時点において異なる順応状態にあり得るので、同じシーンを異なるコントラスト比で視聴し得る。視聴者間の順応状態の違いは、スクリーンに対する着席位置が異なること、各視聴者がスクリーンのどこを注視しているか、および各視聴者がいつ、どの程度の頻度で目を閉じるかに起因し得る。シネマは、複数人の視聴者によって使用されるので、理想的なプロジェクタは、すべての視聴者に対して正確に画像を再生するのに十分に高いコントラスト比を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
デジタルシネマイニシアティブ(Digital Cinema Initiatives)(DCI)仕様に準拠するプロジェクタの中には、2,000:1以下のコントラスト比を有するものがある。これらのデジタルプロジェクタについては、画像の暗い領域および/または黒い領域が、意図された明るさよりも明るく見えるほど高い輝度で投影されることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを増加させる光学フィルタは、前記空間光変調器からの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズを含み、前記変調光は、複数の回折次数を有する。前記光学フィルタはまた、前記レンズのフーリエ面に位置する光学フィルタマスクを含む。前記光学フィルタマスクは、前記レンズによって空間フーリエ変換された前記変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させ、前記変調光の残りの部分をブロックすることによって、変調光をフィルタリングするように構成されている。
【0007】
第1の態様のある実施形態において、前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数である。
【0008】
第1の態様のある実施形態において、前記光学フィルタマスクは、前記変調光のゼロ次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有する。
【0009】
第1の態様のある実施形態において、前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を含む。
【0010】
第1の態様のある実施形態において、光学フィルタマスクは、ゼロ次回折次数および1次回折次数のうちの2つを透過させるように構成された透過領域を有する。
【0011】
第1の態様のある実施形態において、変調光は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである。
【0012】
第2の態様において、コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムは、第1の態様の光学フィルタと、空間光変調器を実装するデジタルマイクロミラーデバイスとを含む。
【0013】
第3の態様において、コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムは、第1の態様の光学フィルタと、光学フィルタマスクを透過した変調光の少なくとも1つの回折次数をコリメートする位置にあるコリメーティングレンズとを含む。
【0014】
第4の態様において、コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムは、第1、第2、および第3の空間光変調器を含み、前記第1、第2、および第3の空間光変調器は、画像に応じて、第1、第2、および第3の光をそれぞれ変調して、第1、第2、および第3の変調光をそれぞれ生成するように構成されている。変調器システムはまた、第1の態様の光学フィルタを3つ含み、3つの第1の態様の光学フィルタは、第1、第2、および第3の光学フィルタをそれぞれ形成する。前記第1、第2、および第3の光学フィルタは、それぞれ、前記第1、第2、および第3の変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させて、第1、第2、および第3のフィルタ光(filtered light)をそれぞれ生成し、前記第1、第2、および第3の変調光の残りの部分をそれぞれブロックするように構成されている。変調器システムはまた、前記第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して、出力光にするように構成されたビームコンバイナを含む。
【0015】
第4の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の光学フィルタにそれぞれ対応する前記第1、第2、および第3の光学フィルタマスクのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を透過させるように構成された、少なくとも1つの透過領域を有する。
【0016】
第4の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の空間光変調器のそれぞれは、デジタルマイクロミラーデバイスである。
【0017】
第4の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の光は、それぞれ赤色、緑色、および青色である。
【0018】
第4の態様のある実施形態において、前記変調器システムは、前記ビームコンバイナによって結合される前に、前記第1、第2、および第3のフィルタ光をそれぞれコリメートする位置にある第1、第2、および第3の出力レンズをさらに含む。
【0019】
第4の態様のある実施形態において、前記変調器システムは、出力光をスクリーンに投影するように構成されたプロジェクタレンズをさらに含む。
【0020】
第5の態様において、コントラストが増加した画像を生成するための時間多重変調器システムは、画像に応じて、時間多重光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを形成する時間多重変調光にするように構成された空間光変調器を含む。時間多重変調器システムはまた、前記時間多重変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズと、フーリエ面に位置し、複数の光学フィルタマスクを含むフィルタホイールとを含み、前記光学フィルタマスクのそれぞれは、前記レンズによって空間的にフーリエ変換された前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つの変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させ、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つの変調光の残りの部分をブロックすることにより、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つの変調光をフィルタリングするように構成されている。前記フィルタホイールは、前記時間多重変調光が前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つの変調光である場合に、前記光学フィルタマスクのそれぞれがフーリエ面における前記時間多重変調光の中に位置するように、時間多重変調光に同期して回転するように構成されている。
【0021】
第5の態様のある実施形態において、前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである。
【0022】
第5の態様のある実施形態において、前記複数の光学フィルタマスクは、1セットあたりn個の光学フィルタマスクを含む3セットの光学フィルタマスクであり、nは、正の整数であり、前記3セットのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つの変調光をフィルタリングするように構成されている。
【0023】
第5の態様のある実施形態において、前記複数の光学フィルタマスクは、前記第1、第2、および第3の変調光をそれぞれフィルタリングするように構成された第1、第2、および第3の光学フィルタマスクを含む。
【0024】
第5の態様のある実施形態において、前記第1の光学フィルタマスクは、前記第1の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有し、前記第2の光学フィルタマスクは、前記第2の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有し、前記第3の光学フィルタマスクは、前記第3の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有する。
【0025】
第5の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の変調光は、それぞれ赤色、緑色、および青色である。
【0026】
第5の態様のある実施形態において、前記フィルタホイールは、不均一に回転し、前記第1、第2、および第3の光学フィルタマスクのそれぞれが前記時間多重変調光の中に位置するときに停止するようにさらに構成されている。
【0027】
第5の態様のある実施形態において、前記時間多重変調器システムは、前記フィルタホイールを透過した前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する変調光の前記少なくとも1つの回折次数をスクリーンに投影するように構成されたプロジェクタレンズを含む。
【0028】
第6の態様において、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させる方法は、前記空間光変調器からの変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するステップを含む。前記変調光は、複数の回折次数を有する。前記方法はまた、前記変調光の
少なくとも1つの回折次数をフーリエ面において透過させ、前記変調光の残りの部分をフーリエ面においてブロックすることによって、前記変調光をフィルタリングするステップを含む。
【0029】
第6の態様のある実施形態において、前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数である。
【0030】
第6の態様のある実施形態において、透過させるステップは、前記ゼロ次回折次数を光学フィルタマスクの透過領域を通って透過させるステップを含む。
【0031】
第6の態様のある実施形態において、少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を含む。
【0032】
第6の態様のある実施形態において、透過させるステップは、ゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を光学フィルタマスクの透過性領域を通って透過させるステップを含む。
【0033】
第6の態様のある実施形態において、前記変調光は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである。
【0034】
第6の態様のある実施形態において、前記方法は、前記空間光変調器の複数のマイクロミラーを操作して変調光を生成するステップをさらに含む。
【0035】
第6の態様のある実施形態において、前記方法は、前記透過させるステップの後で、少なくとも1つの回折次数をコリメートするステップを含む。
【0036】
第7の態様において、コントラストが増加したカラー画像を投影するための方法は、カラー画像に応じて、第1、第2、および第3の入力光を空間的に変調して、第1、第2、および第3の変調光をそれぞれ生成するステップを含む。前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれは、複数の回折次数を有する。前記方法はまた、(i)前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれの回折次数のうちの少なくとも1つを透過させ、(ii)前記第1、第2、および第3の変調光の残りの部分をブロックし、(iii)前記第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して出力光にすることによって、前記第1、第2、および第3の変調光をフィルタリングして、第1、第2、および第3のフィルタ光をそれぞれ生成するステップを含む。
【0037】
第7の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の入力光は、それぞれ赤色、緑色、および青色である。
【0038】
第7の態様のある実施形態において、前記方法は、出力光をスクリーンに投影するステップをさらに含む。
【0039】
第8の態様において、コントラストが増加した画像を生成し、投影するための時間多重方法は、画像に応じて、空間光変調器を用いて時間多重光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを形成する時間多重変調光を生成するステップを含む。方法はまた、レンズを用いて時間多重変調光を空間的にフーリエ変換するステップと、フィルタホイールを時間多重変調光に同期して回転させることによって時間多重変調光をフィルタリングするステップとを含む。フィルタホイールは、複数の光学フィルタマスクを含む。光学フィルタマスクのそれぞれは、レンズによって空間的にフーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つをフィルタリングするように構
成されている。回転させるステップは、時間多重変調光が第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つであるときに、光学フィルタマスクのそれぞれをレンズのフーリエ面における時間多重変調光の中に位置させるステップを含む。
【0040】
第8の態様のある実施形態において、前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである。
【0041】
第8の態様のある実施形態において、前記複数の光学フィルタマスクは、1セットあたりn個の光学フィルタマスクを含む3セットの光学フィルタマスクであり、nは、正の整数であり、前記3セットのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つをフィルタリングするように構成されている。
【0042】
第8の態様のある実施形態において、前記複数の光学フィルタマスクは、前記第1、第2、および第3の変調光をそれぞれフィルタリングするように構成された第1、第2、および第3の光学フィルタマスクである。
【0043】
第8の態様のある実施形態において、前記フィルタリングは、前記第1の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を前記第1の光学フィルタマスクの透過性領域を通って透過させるステップと、前記第2の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を前記第2の光学フィルタマスクの透過性領域を通って透過させるステップと、前記第3の変調光のゼロ次回折次数および1つ以上の1次回折次数を前記第3の光学フィルタマスクの透過性領域を通って透過させるステップとを含む。
【0044】
第8の態様のある実施形態において、前記第1、第2、および第3の変調光は、それぞれ赤色、緑色、および青色である。
【0045】
第8の態様のある実施形態において、前記回転させるステップは、不均一に回転させ、前記第1、第2、および第3の光学フィルタマスクのそれぞれが前記時間多重変調光の中に位置するときに停止させるステップをさらに含む。
【0046】
第8の態様のある実施形態において、前記方法は、前記フィルタリングの後で、フィルタリングされた前記時間多重変調光をスクリーンに投影するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、実施形態における、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させる光学フィルタの機能図である。
【
図2】
図2は、デジタルプロジェクタの一部として、画像を生成するために使用されるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の正面図である。
【
図3】
図3は、デジタルプロジェクタの一部として、画像を生成するために使用されるデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)の側面図である。
【
図4】
図4は、実施形態における、
図2および3のDMDからの変調光を空間的にフィルタリングする光学フィルタの側面図である。
【
図5】
図5は、
図2および3のDMDと、プロジェクタレンズとを含むが、
図1の光学フィルタを含まない、例示のデジタルプロジェクタの側面図である。
【
図6】
図6は、
図2および3のDMDと、プロジェクタレンズとを含むが、
図1の光学フィルタを含まない、例示のデジタルプロジェクタの側面図である。
【
図7】
図7は、オン変調光の例示のフラウンホーファー回折パターンの強度プロット図である。
【
図8】
図8は、オフ変調光の例示のフラウンホーファー回折パターンの強度プロット図である。
【
図9】
図9は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、実施形態における、
図4の光学フィルタマスクの一例を示す正面図であり、透過領域の例示の構成を示す図である。
【
図15】
図15は、実施形態における、空間多重方式による各カラーチャネルの光学フィルタリングを介して増加したプロジェクタコントラスト比を達成する、例示のマルチカラーデジタルプロジェクタの機能図である。
【
図16】
図16は、実施形態における、異なるカラーチャネルの時間多重光学フィルタリングを介して増加したプロジェクタコントラスト比を達成する、例示のマルチカラーデジタルプロジェクタの機能図である。
【
図17】
図17は、一実施形態による、
図16のマルチカラーデジタルプロジェクタへの入力光として使用された時間多重光についての光パワー対時間のプロット図である。
【
図18】
図18は、実施形態における、各々が1つの光学フィルタマスクを含む3つの扇部を有する、例示のフィルタホイールの正面図である。
【
図19】
図19は、実施形態における、各々が1つの光学フィルタマスクを含む6つの扇部を有する、例示のフィルタホイールの正面図である。
【
図20】
図20は、実施形態における、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させるための方法を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態における、空間多重方式による各カラーチャネルの光学フィルタリングを介して増加したコントラストを有するカラー画像を投影するための方法を示す図である。
【
図22】
図22は、実施形態における、コントラストが増加したカラー画像を生成し、投影するための時間多重方法を示す図である。
【
図24】
図24は、
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比および光学効率対半角(semi-angle)のプロット図である。
【
図25】
図25は、
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比および光学効率対半角(semi-angle)のプロット図である。
【
図26】
図26は、
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比および光学効率対半角(semi-angle)のプロット図である。
【
図27】
図27は、光の波長が532nmであり、DMDのすべてのマイクロミラーがオン姿勢にある場合の、
図23のシミュレーション実験についてのフラウンホーファー回折パターンを示す図である。
【
図28】
図28は、光の波長が617nmであり、DMDのすべてのマイクロミラーがオン姿勢にある場合の、
図23のシミュレーション実験についてのフラウンホーファー回折パターンを示す図である。
【
図29】
図29は、マイクロミラーのオンおよびオフ傾斜角度がそれぞれ+12.1°および-12.1°であるときの、617nmの波長において操作された
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比および光学効率のプロット図である。
【
図30】
図30は、
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比対マイクロミラー傾斜角度のプロット図である。
【
図31】
図31は、
図23のシミュレーション実験について数値的に得られたコントラスト比対マイクロミラー傾斜角度のプロット図である。
【
図32】
図32は、532nmの波長において
図23のシミュレーション実験について数値的に得られた、入力光の角度ダイバーシティの関数としてのコントラスト比および光学効率のプロット図である。
【
図33】
図33は、
図23のシミュレーション実験のフラウンホーファー回折パターンの図であり、入力光の角度ダイバーシティによる回折ピークの拡大を示す図である。
【
図34】
図34は、
図23のシミュレーション実験のフラウンホーファー回折パターンの図であり、入力光の角度ダイバーシティによる回折ピークの拡大を示す図である。
【
図35】
図35は、1映像フレームを表示するために
図2および3のDMDのマイクロミラーをどのように制御するかを決定する、一時間列の例示のビット平面を示す図である。
【
図36】
図36は、
図35の例示のビット平面が
図2および3のDMDを制御して、1映像フレームを表示するときに、1映像フレームがどのように現れるかを示す再構成フレームの図である。
【
図37】
図37は、実施形態における、
図36の再構成フレームにおけるアーチファクトの存在を低減するために本明細書に記載の実施形態を用いて使用され得る、ランダム化ビット平面シーケンスの一部を形成するランダム化ビット平面の一例を示す図である。
【
図38】
図38は、ランダム化ビット平面シーケンスが
図2および3のDMDを制御して、1映像フレームを表示するときに、1映像フレームがどのように現れるかを示す再構成フレームの図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、空間光変調器(SLM)を用いて生成された画像のコントラストを向上させる光学フィルタ110の機能図である。
図1は、1つの使用例における光学フィルタ110を示す。ここで、光学フィルタ110は、デジタルプロジェクタ100において実装され、デジタルプロジェクタ100によってスクリーン116に投影される画像のコントラストを増加させる。デジタルプロジェクタ100は、デジタルプロジェクタ100によって投影されるべき画像を表す入力データにしたがって入力光106を変調して、変調光104にするSLM102を含む。
【0049】
光学フィルタ110は、変調光104の一部114をブロックすることによって変調光104をフィルタリングする。変調光104の一部114は、光学フィルタ110が存在しなければSLM102がスクリーン116に光を出力しないように制御される場合でさえ、デジタルプロジェクタ100によってスクリーン116に投影される。光学フィルタ110は、変調光104の透過する部分をフィルタ光108として出力する。デジタルプロジェクタ100は、フィルタ光108をスクリーン116に投影する投影レンズ112を含む。光学フィルタ110がない場合、変調光104のブロックされる部分114は、デジタルプロジェクタ100の光度の下限に対応し、したがって、投影される画像がどの程度暗いかを決める。変調光104のブロックされる部分114をブロックすることにより、光学フィルタ110は、下限を低下させ、それによってデジタルプロジェクタ100のコントラストを増加させる。
【0050】
後に詳しく説明するように、変調光104のブロックされる部分114は、入力光106がSLM102で回折されるときに生成される変調光104の1つ以上の回折次数に対応する。SLM102は、(1)回折格子として機能する周期構造を有し、(2)入力光106の光学的な位相を変調して、光を2つの状態(例えば、オン状態およびオフ状態)間で制御する、任意のタイプの空間光変調器であり得る。ある例において、SLM102
は、複数のマイクロミラーを傾けることによって光を方向転換し、入力光106の光学的な位相を変調するデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。他の例において、SLM102は、反射型のシリコン上液晶(LCOS)位相変調器、または透過型の液晶(LC)位相変調器であり、これらはそれぞれ、液晶の屈折率を変調することによって光を制御する。
【0051】
図2および3は、それぞれ、デジタルプロジェクタ(例えば、デジタルプロジェクタ100)の一部である、画像を生成するために使用されるDMD200の正面図および側面図である。DMD200は、SLM102の一例である。以下の説明において、
図2および3をともに参照する。
【0052】
DMD200は、x-y平面(右手座標系220参照)にある基板204上に2次元矩形配列状に配置された複数の正方形状のマイクロミラー202を有するマイクロオプトエレクトロメカニカルシステム(MOEMS)SLMである。ある実施形態において、DMD200は、テキサスインスツルメンツ製のデジタル光プロセッサである。マイクロミラー202のそれぞれは、画像の1画素に対応し、静電駆動によって、x軸に対して-45°の方向を向いた回転軸208の周りで傾き、入力光206を方向転換する。分かりやすくするために、
図2は、DMD200の隅と中央における代表的なマイクロミラー202のみを示しており、
図3において、すべてのマイクロミラー202には符号が付されていない。
【0053】
図3は、入力光206を方向転換するために傾けられたマイクロミラー202を示す。マイクロミラー202(1)は、オン姿勢に駆動されて、入力光206を鏡面反射し、z軸(座標系220参照)に平行なオン反射光306にする。マイクロミラー202(2)は、オフ姿勢に駆動されて、入力光206を鏡面反射し、オフ反射光320を吸収するビームダンプ(不図示)に向かう方向に進むオフ反射光320にする。マイクロミラー202(3)は、平坦な状態の基板204(例えば、x-y平面)に平行な状態にあり、駆動されていない。各マイクロミラー202の前面304は、入力光206を反射するための反射性表面として機能する一層の堆積金属(例えば、アルミニウム)によってコーティングされ得る。隣り合うマイクロミラー202間の間隙310は、吸収性を有し得る。すなわち、間隙310に入射する入力光206は、基板204によって吸収される。分かりやすくするため、マイクロミラー202を基板204に物理的に結合する機械的構造は、図示されていない。本発明の範囲を逸脱しない限り、DMD200は、オン反射光306およびオフ反射光320を、
図3に示す方向とは異なるそれぞれの方向に向けるように実装されていてもよい。また、DMD200は、駆動されないときに、各マイクロミラー202が基板204に対して任意の角度にあるように構成されてもよい。
【0054】
DMD200を用いるデジタルプロジェクタは、入力光206のマイクロミラー202からの鏡面反射のみを考慮して設計されてもよい。しかし、マイクロミラー202および間隙310は、協働して入力光206を回折させる2次元格子を構成する。したがって、DMD200から遠ざかるように伝播する変調光は、DMD200の遠方領域あるいはレンズの焦点面において、フラウンホーファー回折パターン(
図7および8にそれぞれ示す回折パターン700および800を参照)として観察され得る複数の回折次数を形成し得る。各回折次数は、それに対応する一意の方向に、DMD200から離れるように伝播する1つの光ビームに対応する。設計上、DMD200からの変調光の光パワーの大半は、鏡面反射されたオンおよびオフ反射光306および320に対応するゼロ次回折次数にある。
【0055】
DMD200による入力光206の回折は、DMD200を用いるデジタルプロジェクタ(例えば、光学フィルタ110を有しない
図1のデジタルプロジェクタ100)のプロ
ジェクタコントラスト比(PCR)を低減させ得る。プロジェクタのPCRは、本明細書において、プロジェクタによって照射される投影スクリーン(例えば、
図1のスクリーン116)において測定されるオン光度およびオフ光度(または、第1および第2の測光輝度に相当)の比として定義される。オン光度およびオフ光度は、それぞれプロジェクタが最も明るい出力(例えば、白色)および最も暗い出力(例えば、黒色)を出力するように制御されるときに生成される。デジタルプロジェクタがDMD200を用いる場合、オン光度およびオフ光度は、それぞれ、すべてのマイクロミラー202がオン姿勢およびオフ姿勢にある場合に生成される。
【0056】
DMD200が入力光206をどのように回折させるかは、(1)入力光206の波長、(2)入力光206の方向、(3)DMD200のピッチ212、(4)DMD200の間隙310の幅210、および(5)マイクロミラー202のオン傾斜角度およびオフ傾斜角度などの様々なパラメータによって決定され得る。
図2に示すように、DMD200のx方向およびy方向の両方において、ピッチ212は、幅210とマイクロミラーエッジ長さ218との合計に等しい。ピッチ212は、5~15ミクロンであり得る。幅210は、1ミクロン未満であり得る。ある例において、ピッチ212は7~8ミクロン、幅210は0.7~0.9ミクロンである。
【0057】
図4は、DMD200からの変調光402を空間的にフィルタリングして、デジタルプロジェクタ100のPCRを増加させる光学フィルタ400の側面図である。光学フィルタ400は、光学フィルタ110の一例である。光学フィルタ400において、DMD200は、本発明の範囲を逸脱しない限り、他のタイプのSLM102(例えば、反射型のLCOS変調器または透過型のLC位相変調器)によって置き換えられてもよい。光学フィルタ400は、変調光402をフーリエ面408上に集光することによって変調光402を空間的にフーリエ変換するレンズ404を含む。
図4において、変調光402は、複数の矢印で表されている。各矢印は、1つの回折次数に対応し、その回折次数が伝播する一意の方向を示している。ある実施形態において、DMD200の中心は、
図4に示すように、レンズ404によって規定される光軸422上に位置する。他の実施形態において、DMD200の中心は、光軸422からずれる。レンズ404は、焦点距離410を有し、フーリエ面408は、レンズ404の焦点面に位置する。フーリエ面408に位置する光学フィルタマスク412は、レンズ404によってフーリエ変換された変調光402を空間的にフィルタリングする。レンズ404によって行われる空間フーリエ変換は、各回折次数の変調光402の伝搬角をフーリエ面408上の対応する空間位置に変換する。これにより、レンズ404は、フーリエ面408での空間フィルタリングによって、所望の回折次数を選択し、望まない回折次数を選択しないようにすることができる。フーリエ面408での変調光402の空間フーリエ変換は、変調光402のフラウンホーファー回折パターンに相当する。
【0058】
光学フィルタマスク412は、変調光402の少なくとも1つの回折次数を光学フィルタマスク412にフィルタ光414として完全にまたは部分的に透過させる少なくとも1つの透過領域416を有する。ある実施形態において、光学フィルタマスク412は、変調光402の望まない回折次数が入射する位置では不透明である。いくつかの実施形態において、光学フィルタマスク412は、光学フィルタマスク412が透過領域416を有しない位置において不透明である。他の実施形態において、光学フィルタマスク412は、所望の回折次数を望まない回折次数から空間的に分離するために、所望の回折次数を、透過とは反対に、反射するように構成される。
【0059】
一実施形態において、光学フィルタ400は、フィルタ光414をコリメートして、平行(collimated)光420にするコリメーティングレンズ418を含む。コリメーティングレンズ418は、光学フィルタ400と他の光学素子または光学系との統合
を容易にすることができる。例えば、レンズ418は、光学フィルタ400の後段に位置するさらなる光学要素(例えば、プロジェクタレンズ112、または
図15を参照して後述するビームコンバイナ1504)にフィルタ光414を結合させることができる。コリメーティングレンズ418は、焦点距離424を有し、コリメーティングレンズ418の焦点面がフーリエ面408と一致するように位置する。
図4では焦点距離410および424が等しいように示されているが、焦点距離410および424は、本発明の範囲を逸脱せずに、互いに異なり得る。他の実施形態において、光学フィルタ400は、フィルタ光414を光学フィルタ400の後段に位置するさらなる光学要素(例えば、プロジェクタレンズ112)に光学的に結合させる、コリメーティングレンズ418と同様のレンズを含む。
【0060】
分かりやすくするために、
図4は、一方向(例えば、x方向)に回折する回折ビームのみを示している。しかし、DMD200は、2次元において回折させるので、変調光402は、DMD200によって、光軸422に垂直な第2の次元(例えば、y方向)に回折された回折ビームも含む。2次元回折パターンにおける各回折ビームは、2つの次元のそれぞれについて、回折ビームの回折次数を特定する1対の整数によって表され得る。本明細書において、「ゼロ次数」は、2つの次元の両方において次数がゼロである1つの回折ビームを指す。また、本発明の範囲を逸脱せずに、
図4に変調光402の一部として示す各矢印は、ゼロ次回折次数および複数の1次回折次数からなる群などの互いに近傍にある回折次数の群を示し得る。
【0061】
図5および6は、DMD200およびプロジェクタレンズ112を含むが、光学フィルタ110を含まない、例示のデジタルプロジェクタ500の側面図である。
図5および6は、DMD200からの変調光402の回折次数がデジタルプロジェクタ500のPCRをどのように低減するかを示す。
図5において、デジタルプロジェクタ500は、DMD200のすべてのマイクロミラー202をオン姿勢(拡大
図516におけるマイクロミラー202(1)を参照)に駆動することによってオン光度を生成する。
図6において、デジタルプロジェクタ500は、DMD200のすべてのマイクロミラー202をオフ姿勢(拡大
図616におけるマイクロミラー202(1)を参照)に駆動することによってオフ光度を生成する。
図5および6において、DMD200およびプロジェクタレンズ112の中心は、x方向およびy方向(座標系220を参照)において光軸422上に位置する。以下の説明においては、
図5および6を参照する。
【0062】
図5において、DMD200は、入力光206を回折させて、複数のオン回折ビーム504を有するオン変調光502にする。
図6において、DMD200は、入力光206を回折して、複数のオン回折ビーム604を有するオフ変調光602にする。DMD200の遠方領域において、各オン回折ビーム504は、オン変調光502によって形成されるフラウンホーファー回折パターンの1つの回折次数またはピークに対応し、各オン回折ビーム604は、オフ変調光602によって形成されるフラウンホーファー回折パターンの1つの回折次数またはピークに対応する。DMD200の遠方領域において、オンおよびオフ回折ビーム504、604のそれぞれは、複数の伝播方向510のうちの1つを有するk-ベクトルに対応する。
図5および6の例において、伝播方向510は、破線で表されている。オンおよびオフ回折ビーム504、604のそれぞれは、伝播方向510のうちの1つと一直線に並び、そのパワーまたは強度に対応する長さを有する実線矢印によって表されている。
【0063】
本実施形態の一態様は、入力光206のある固定された方向について、DMD200のマイクロミラー202がオン姿勢とオフ姿勢との間で切り換えられるときに、オンおよびオフ回折ビーム504、604のパワー/強度が変化する一方で、DMD200のマイクロミラー202がオン姿勢とオフ姿勢との間で切り換えられるときに、オンおよびオフ回
折ビーム504、604の伝播方向510が同じままであることを実現する。
【0064】
図5の例において、入力光206は、オン回折ビーム504(1)が光軸422に沿って伝播するように、DMD200を照射し、DMD200に向かって伝播する単色平面波である。オン回折ビーム504(1)は、オン変調光502のパワーの大半を含む。オン回折ビーム504(1)は、オン変調光502のゼロ次回折次数、または複数の互いに近傍にある回折次数(例えば、ゼロ次回折次数およびいくつかの1次回折次数)を表し得る。
【0065】
図5は、オン回折ビーム504(1)とは異なる方向に沿って伝播するが、プロジェクタレンズ112の有効開口508を通るオン回折ビーム504(2)も示している。オン回折ビーム504(2)におけるパワーは、オン回折ビーム504(1)におけるパワーよりも小さい。オン回折ビーム504(1)および504(2)を含む複数のオン回折ビーム518は、プロジェクタレンズ112の有効開口508を通る。プロジェクタレンズ112は、オン回折ビーム518をオン投影光514として投影スクリーンに投影する。
【0066】
図5は、有効開口508からそれた方向に沿って伝播するオン回折ビーム504(3)も示している。プロジェクタレンズ112は、オン回折ビーム504(3)を投影スクリーンに投影しない。オン回折ビーム504(3)におけるパワーは、オン変調光502のパワーのわずかな部分である。したがって、オン回折ビーム504(3)をオン投影光514から除外しても、デジタルプロジェクタ500の光パワー効率に対する影響は最小限である。
【0067】
図6は、
図5のオン回折ビーム504(1)、504(2)、504(3)にそれぞれ対応するオフ回折ビーム604(1)、604(2)、604(3)を示す。オフ回折ビーム604(3)は、光軸422から離れる方向に伝播し、有効開口508からそれる。オフ変調光602のパワーの大半は、オフ回折ビーム604(3)にあるので、投影スクリーンには投影されない。
【0068】
図6において、オフ回折ビーム604(1)および604(2)は、有効開口508を通り、オフ投影光614の一部として投影される。オフ回折ビーム604(1)および604(2)におけるパワーは、オフ回折ビーム604(3)におけるパワーと比較して小さい。しかし、オフ回折ビーム604(1)および604(2)におけるパワーは、デジタルプロジェクタ500のオフ光度を増加させるので、デジタルプロジェクタ500のPCRを低減する。
【0069】
オン変調光502の光パワーの大半がオン回折ビーム504(1)にある状態で、有効開口508を通ってオン投影光514を形成する複数のオン回折ビーム518のうちの他のオン回折ビーム504は、パワーが比較的小さいので、オン投影光514におけるパワーへの寄与は無視できるほど小さい。しかし、これに対応する、有効開口508を通るオフ回折ビーム604は、オフ投影光614におけるパワーを著しく増大させ、デジタルプロジェクタ500のPCRを低減させ得る。
【0070】
本実施形態の別の態様は、デジタルプロジェクタ500の光パワー出力および効率の低減を最小限にしながら、上記のオン回折ビーム504(2)のような光パワーの低いオン回折ビームに対応する回折次数をフィルタリングして、PCRを増加させ得ることを実現する。フィルタリングすべき回折次数を特定するために、回折次数コントラスト比(DOCR)が用いられ得る。本明細書において、有効開口508を通る各伝播方向510について、DOCRは、同じ回折次数および同じ伝搬方向の対応する一対のオン回折ビームおよびオフ回折ビームの光パワーの比として定義される。例えば、オンおよびオフ回折ビー
ム504(1)および604(1)に対応する回折次数は、高いDOCRを有する。高いDOCRを有する回折次数は、PCRを増加させるのに有益であるので、投影スクリーンへの投影のために好適に選択され得る。他方、オンおよびオフ回折ビーム504(2)および604(2)は、低いDOCRを有する回折次数に対応する。低いDOCRを有する回折次数は、PCRを低減するので、デジタルプロジェクタ500のPCRを増加するために、フィルタリングによって好適に除去され得る。
【0071】
分かりやすくするために、
図5および6は、1次元(例えば、x方向)において回折する回折ビーム504、604のみを示している。しかし、DMD200は、変調光502および602が光軸512(例えば、y方向)に垂直な第2の次元においてDMD200によって回折される回折ビームも含むように、入力光206を2次元において回折させる。
【0072】
図7および8は、それぞれ、オン変調光502およびオフ変調光602の例示のフラウンホーファー回折パターン700および800の強度をプロットした図である。回折パターン700および800は、デジタルプロジェクタ100がDMD200および光学フィルタ400とともに動作する場合に、フーリエ面408においてレンズ404によって生成されるフーリエ変換に対応する。回折パターン700および800は、後に「数値解析」のセクションにおいてより詳細に説明される手順にしたがって数値的に生成されたものである。各回折パターン700、800は、それぞれ、回折ビーム504および604に対応する複数の等間隔の回折ピークを含む。
図7および8において、横軸704および縦軸706は、それぞれ、座標系220のx軸およびy軸に対する回折ピークの方向余弦を示す。
図7および8において、回折パターン700および800の強度は、強度目盛り708にしたがって示されている。
【0073】
図7および
図8の円702は、
図5および
図6の有効開口508を表す。円702内にある回折ピークは、オンおよびオフ投影光514、614としてプロジェクタレンズ112によってそれぞれ投影された回折ビーム518、618を表す。
図7において、円702の中心における最も明るい(例えば、最も高い強度の)回折ピーク710は、
図5のオン回折ビーム504(1)および/またはオン変調光502のゼロ次数に対応する。円702の外側に位置する回折ピークは、投影スクリーンに投影されない。
【0074】
図8において、オフ回折ビーム604(3)に対応する最も明るい回折ピーク810は、円702の外側の、方向余弦がより高い値をとる位置にあるので、投影スクリーンに投影されない。しかし、円702内の複数の低パワーの回折ピーク812は、オフ投影光614として投影スクリーンに投影されて、オフ光度を増大させ、PCRを低減する。
【0075】
PCRを増加させるために、オン光度よりもオフ光度に相対的に大きく寄与する、円702内に位置する回折次数をブロックすることによってオフ光度を低減するように光学フィルタ400が実装され得る。フラウンホーファー回折パターン700および800は、変調光402のフーリエ変換を表し、光学フィルタマスク412が投影のための所望の回折次数を透過させ、ブロックしなければ投影されてしまう他の望まない回折次数をすべてブロックするようにするために、透過領域416がどのように構成され得るかを示している。具体的には、レンズ404のパラメータを用いて、各所望の回折ピークに対応する方向余弦を、(所望の回折ピークが光学フィルタマスク412を通って透過するための透過領域416のとり得る位置としての)光学フィルタマスク412上の空間位置に変換され得る。同様に、各望まない回折ピークに対応づけられた方向余弦は、光学フィルタマスク412が不透明で臨まない回折ピークをブロック(例えば、フィルタリング)する、光学フィルタマスク412上の空間位置に変換され得る。
【0076】
一実施形態において、光学フィルタマスク412は、デジタルプロジェクタのPCRおよび/または光パワー効率を最適にするために選択されたサイズ、形状、位置、および方向を有する1つの透過領域416を含む。別の実施形態において、光学フィルタマスク412は、複数の透過領域416を有し、各透過領域416について、サイズ、形状、位置、および/または方向は、デジタルプロジェクタのPCRおよび/または光パワー効率を最適にするように選択される。
【0077】
図9~14は、
図4の光学フィルタマスク412の例の正面図であり、透過領域416の例示の構成を示す。
図9~14のそれぞれにおいて、対応のオンおよびオフ回折ビーム504および604の異なる対に対応づけられた回折次数などの回折次数の複数の位置902は、2次元格子を形成するXによって示される。例えば、
図9において、位置902(2)は、光学フィルタマスク900によってブロックされる1つの回折次数を示し、位置902(1)は、光学フィルタマスク900によって透過される1つの回折次数を示す。
【0078】
図9および10は、それぞれ円状の透過領域904および1004を有する、例示の光学フィルタマスク900および1000を示す。円状の透過領域904および1004のそれぞれは、穴であるか、光に対して少なくとも部分的に透過性である材料であり得る。円状の透過領域904および1004は、透過領域416の例である。円状の透過領域904は、1つの回折次数を光学フィルタマスク900を通って透過させる大きさを有する。円状の透過領域1004は、複数の回折次数(例えば、
図9に示すように3×3の格子を形成する9つの回折次数)を光学フィルタマスクを通って透過させる大きさを有する。
図9および10は、それぞれ光学フィルタマスク900および1000の中心に位置する(したがって、中心が光軸422上に位置する)円状の透過領域904および1004を示すが、円状の透過領域904および1004は、本発明の範囲を逸脱せずに、中心がずれ得る。
【0079】
図11および12は、それぞれ正方形状の透過領域1104および1204を有する、例示の光学フィルタマスク1100および1200を示す。正方形状の透過領域1104および1204のそれぞれは、正方形状の穴であるか、または光に対して少なくとも部分的に透過性である正方形状の材料である。正方形状の透過領域1104および1204は、透過領域416の例である。正方形状の透過領域1104は、光学フィルタマスク1100の中心に位置し、複数の回折次数(例えば、
図11に示すように3×3の格子を形成する9つの回折次数)を光学フィルタマスク1100を通って透過させる大きさを有する。正方形状の透過領域1204は、光学フィルタマスク1200の中心からずれ、複数の回折次数(2×2の格子を形成する4つの回折次数など)を光学フィルタマスク1200を通って透過させる大きさを有する。
【0080】
図13は、3つの互いに近傍にある回折次数を光学フィルタマスク1300を通って透過させるように構成された不規則な多角形状の透過領域1304を有する、例示の光学フィルタマスク1300を示す。不規則な多角形状の透過領域1304は、透過領域416の一例であり、穴であるか、または光に対して少なくとも部分的に透過性である材料であり得る。
【0081】
図14は、複数の円状の透過領域1404、例えば4つの透過領域1404を有する、例示の光学フィルタマスク1400を示す。各円状の透過領域1404は、1つの回折次数を光学フィルタマスク1400を通って透過させるような位置およびサイズを有する。円状の透過領域1404は、複数の透過領域416の一例である。
【0082】
透過領域416は、本発明の範囲を逸脱せずに、
図9~14の例とは異なる別の形状、
サイズ、および/または位置を有し得る。あるクラスの実装例において、
図9~14に示す透過領域416の例のそれぞれは、光学フィルタマスク412に(例えば、穿孔(drilling)、切削(milling)、またはエッチングによって)形成された穴である。別のクラスの実装例において、
図9~14に示す透過領域416の例のそれぞれは、光学フィルタマスク412に物理的に結合されるか、もしくは光学フィルタマスク412内に埋め込まれた、光学的に透明な窓、光学的に半透明な窓、またはカラーフィルタ(例えば、二色性フィルタまたは薄膜フィルタ)である。
図9~14の例において、光学フィルタマスク(例えば、光学フィルタマスク900)は、円状であるが、これらの光学フィルタマスクのそれぞれは、本発明の範囲を逸脱せずに、別の形状(例えば、正方形状または矩形状)を有し得る。
図9~14の例のうちのいくつか(例えば、光学フィルタマスク900および1000)において、光学フィルタマスクは、その中心が光軸422上に配置されるように構成されるが、これらの光学フィルタマスクのそれぞれは、本発明の範囲を逸脱せずに、その中心が光軸422からずれるように構成されてもよい。
【0083】
光学フィルタマスク412は、アルミニウムまたはステンレス鋼などの金属から形成され得る。この金属は、光学フィルタマスク412によってブロックされる光の吸収を強化するために陽極処理を施されるか、または黒色化され得る。あるいは、光学フィルタマスク412は、エッチングまたは研削によって透過領域416が設けられた、シリコンなどの半導体基板から形成され得る。別の実施形態において、光学フィルタマスク412は、透過領域416に一致しない領域において光をブロックするように光吸収性材料(例えば、黒色塗料)によって被覆された光学的に透明な基板(例えば、ガラス)から形成される。別の実施形態において、光学フィルタマスク412は、一配列の電子制御ミラーなどの動的構成可能透過領域416を有するアクティブ光学フィルタマスクである。
【0084】
いくつかの実施形態において、光学フィルタマスク412は、光学フィルタマスク412(例えば、光学フィルタマスク900、1000、1100、1200、1300、および1400)の透過領域416(例えば、透過領域904、1004、1104、1204、1304、および/または1404)と周辺の不透明領域との間に、「緩やかな(gradual)」または「滑らかな(soft)」エッジを含む。緩やかなエッジは、透過領域416に近い点における比較的低い値(例えば、0)から、周辺の不透明領域に近い点における比較的高い値(例えば、10以上)に空間的に単調に増加する光学密度を有する材料(例えば、ガラス、プラスチック)から形成され得る。緩やかなエッジを用いると、透過領域416は、透過性が急激に低減する急峻なエッジ(すなわち、透光性の空間的なステップ的変化)を有しない。緩やかなエッジは、光学フィルタマスク412がフーリエ面408上にどの程度正確に位置すべきかの程度を低減するという利点がある。これは、入力光106が点拡がり関数の小さい低エテンデュ(etendue)のレーザから発せられる場合に特に好適である。これと比較して、高エテンデュレーザは、光源をぼやけさせる広い点拡がり関数を有し、それにより光学フィルタマスク412の位置合わせに必要な精度を緩和する。透過領域416が直径dの円である実施形態(例えば、透過領域904および1004)において、緩やかなエッジは、円の中心に配置され、内径がdであり、外径が例えば1.1d~1.2dである環であり得る。円の中心から外径よりも遠くに位置する光学フィルタマスク412の部分はいずれも不透明であり得る。
【0085】
図15は、空間多重方式による各カラーチャネルの光学フィルタリングを介して増加したPCRを達成する例示のマルチカラーデジタルプロジェクタ1500の機能図である。マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、複数の光学フィルタ400と、それに合う数のDMD200とを有する。各光学フィルタ400は、それぞれに対応のDMD200と対にされ、それぞれに対応の異なる原色を扱う。デジタルプロジェクタ1500において、各DMD200は、本発明の範囲を逸脱せずに、別のタイプのSLM102(例えば、反射型LCOS変調器または透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい
。
図15は、3つのカラーチャネルを有するマルチカラーデジタルプロジェクタ1500を示す。以下の説明は、これら3つのカラーチャネルに関するが、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500が2つだけのカラーチャネルまたは3つより多くのカラーチャネルを備え得ることが理解されるべきである。
【0086】
DMD200(1)、200(2)、および200(3)は、それぞれ入力光206(1)、206(2)、および206(3)を変調して、それぞれ変調光402(1)、402(2)、および403(3)にする。変調光402(1)、402(2)、および403(3)は、それぞれ光学フィルタ400(1)、400(2)、および400(3)によって光学的にフィルタリングされて、それぞれフィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)にされる。マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、フィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)を結合して、多色光1510にするビームコンバイナ1504をさらに含む。プロジェクタレンズ112は、多色光1510を投影スクリーン(例えば、
図1のスクリーン116)に投影するように構成される。マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、3つの個別の色入力を処理して多色光を出力するように拡張されたデジタルプロジェクタ100の実施形態である。
【0087】
一実施形態において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、それぞれフィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)をコリメートして、それぞれ平行光420(1)、420(2)、および420(3)にするコリメーティングレンズ418(1)、418(2)、および418(3)を含む。本実施形態において、ビームコンバイナ1504は、
図15に示すように、平行光420(1)、420(2)、および420(3)を結合する。コリメーティングレンズ418を含まないマルチカラーデジタルプロジェクタ1500の実施形態において、ビームコンバイナ1504は、コリメートされていないフィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)を結合する。
【0088】
一実施形態において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)を、DMD200(1)、200(2)、および200(3)へそれぞれ反射し、変調光402(1)、402(2)、および402(3)を、光学フィルタ400(1)、400(2)、および400(3)にそれぞれ透過させる全反射(TIR)プリズム1502(1)、1502(2)、および1503(3)を含む。マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、
図15に示すように、平行光420(1)および420(3)をビームコンバイナ1504へ方向転換させるミラー1506および1508を備え得る。
図15にはクロスダイクロイック(すなわち、xキューブ)プリズムとして示すが、ビームコンバイナ1504は、当該分野で公知の別のタイプのビームコンバイナであり得る。
【0089】
マルチカラーデジタルプロジェクタ1500の一実装例において、第1、第2、および第3の原色は、それぞれ赤色、緑色、および青色である。入力光206(1)、206(2)、および206(3)が単色である場合、各入力光206(1)、206(2)、および206(3)の波長は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)がそれぞれスペクトル的に純色である赤、緑、および青の原色を表すように選択され得る。1つのそのような例において、赤原色を表す入力光206(1)の波長は、615nm、640nm、および655nmのうちの1つであり、緑原色を表す入力光206(2)の波長は、525nm、530nm、および545nmのうちの1つであり、青原色を表す入力光206(3)の波長は、445nm、450nm、および465nmのうちの1つである。あるいは、入力光206(1)、206(2)、および206(3)は、赤、緑、および青の原色がスペクトル的な純色でないような多色であり得る。本発明の範囲を逸脱せずに、三原色は、赤色、緑色、および青色とは異なる色の組であってもよい。
【0090】
マルチカラーデジタルプロジェクタ1500は、各原色(例えば、赤色、緑色、および青色)のPCRを増加させることによってPCRを増加させる。マルチカラーデジタルプロジェクタ1500によって使用されるいくつかの光学処理、例えば、DMD200による入力光206の回折、TIRプリズム1502による変調光402の反射、レンズ404による変調光402の集光などは、波長に依存する。したがって、変調光402(1)、402(2)、および402(3)のそれぞれのフラウンホーファー回折パターンは、波長に依存する。一実施形態において、光学フィルタマスク412(1)、412(2)、および412(3)は、それぞれ第1、第2、および第3の原色のPCRを増加するために、それぞれ入力光206(1)、206(2)、および206(3)の波長に基づいて個別に構成される。
【0091】
図16は、異なるカラーチャネルの時間多重光学フィルタリングを介して増加したPCRを達成する、例示のマルチカラーデジタルプロジェクタ1600を示す機能図である。デジタルプロジェクタ1600は、1つのDMD200と、フィルタホイール1612を有する1つの光学フィルタ1610とを含む。
図17は、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600への入力光として使用される時間多重光1601についての光パワー対時間のプロット図である。
図18および19は、フィルタホイール1612の例を示す。以下の説明においては、
図16~19を参照する。
【0092】
時間多重光1601は、時間的に分離された入力光206の繰り返しシーケンス1702を含む。マルチカラーデジタルプロジェクタ1600は、任意数の異なる色の入力光を受け取り、そして出力するように構成され得るが、
図17~19および以下の説明は、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600の三色実施形態に関する。本実施形態において、時間多重光1601は、時間的に分離された入力光206(1)、206(2)、および206(3)を含む。
図17は、時間多重光1601の一例を示す。ここで、シーケンス1702は、第1のパルスの入力光206(1)、第2のパルスの入力光206(2)、および第3のパルスの入力光206(3)を含む。入力光206(1)、206(2)、および206(3)は、例えば、赤、緑、および青の原色を表し得る。入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスは、同じDMD200、光学フィルタ1610、およびプロジェクタレンズ112を用いるために空間的に重複させられる。
図17において、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスは、同様のパワー(例えば、パルス高さ)、期間(例えば、パルス幅)、およびパルス間の「オフ」時間(例えば、パルス間隔)を有するように示される。マルチカラーデジタルプロジェクタ1600は、本発明の範囲を逸脱せずに、パワー、期間、および「オフ」時間の他の構成によって特徴づけられた入力光206を受け取り得る。例えば、入力光206(1)、206(2)、および206(3)の第1、第2、および第3のパルスのうちの選択された1つは、選択されたパルスに対応する入力光の波長において、DMD200のより低い回折効率を補償するためにより高いパワーを有してもよい。
【0093】
DMD200は、画像に応じて、時間多重光1601の入力光206(1)、206(2)、および206(3)を同期して変調して、時間多重変調光1602にするように構成される。言い換えると、DMD200のマイクロミラー202は、時間多重変調光1602が第1の入力光206(1)である場合は第1の構成を有し、時間多重変調光1602が第2の入力光206(2)である場合は第2の構成を有し、および時間多重変調光1602が第3の入力光206(3)である場合は第3の構成を有するように操作される。第1、第2、および第3の構成は異なり得る。デジタルプロジェクタ1600において、DMD200は、本発明の範囲を逸脱せずに、別のタイプのSLM102(例えば、反射型LCOS変調器または透過型LC位相変調器)によって置き換えられてもよい。
【0094】
光学フィルタ1610は、光学フィルタマスク412がフィルタホイール1612に置
き換わっていることを除いて、
図4の光学フィルタ400と同様である。フィルタホイール1612は、時間多重変調光1602の入力光206(1)、206(2)、および206(3)を同期してフィルタリングするように構成された複数の光学フィルタマスク412を含む。例えば、フィルタホイール1612が第1、第2、および第3の入力光206(1)、206(2)、および206(3)に対応する第1、第2、および第3の光学フィルタマスクを含む実施形態において、モータ1614は、フィルタホイール1612を回転させて、時間多重変調光1602が第1の入力光206(1)であるときに、第1の光学フィルタマスク412が時間多重変調光1602をフーリエ面408で取り込んで(intercept)、フィルタリングし、時間多重変調光1602が第2の入力光206(2)であるときに、第2の光学フィルタマスク412が時間多重変調光1602をフーリエ面408で取り込んで、フィルタリングし、時間多重変調光1602が第3の入力光206(3)であるときに、第3の光学フィルタマスク412が時間多重変調光1602をフーリエ面408で取り込んで、フィルタリングするようにする。
【0095】
マルチカラーデジタルプロジェクタ1600の一実施形態において、モータ1614は、フィルタホイール1612を段階的に回転させ、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスのそれぞれがフーリエ面408を通って伝播する間はフィルタホイール1612を静止位置に維持しながら、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルス列に同期して異なる光学フィルタマスク412を切り換える。本実施形態において、モータ1614は、以下のように動作する。入力光206(1)、206(2)、および206(3)のパルスがフーリエ面408に到達する前に、モータ1614は、フィルタホイール1612を回転させて、対応する光学フィルタマスク412をフーリエ面408において時間多重変調光1602の経路内に位置させる。フィルタ光の対応するパルスが光学フィルタマスク412を通る伝播を完了したら、次いでモータ1614は、フィルタホイール1612を回転させて、次の光学フィルタマスク412をフーリエ面408において時間多重変調光1602の経路内にさせる。
【0096】
ある実施形態において、時間多重変調光1602を集光させるために光学フィルタ1610内に実装されたレンズ404は、レンズ404の焦点距離が波長とともに変化する原因となる色収差を低減するように構成され得る。1つのそのような実施形態において、レンズ404は、入力光206(1)、206(2)、206(3)の波長において同様の焦点を得るようにして、3つの波長のそれぞれに対応するフーリエ面が同様な位置に決まるように設計された色消しレンズである。別のそのような実施形態において、レンズ404は、アポクロマートレンズ、超色消しレンズ、対物レンズ、複数のレンズ素子を備える接合レンズ、複数レンズの接合体、および/もしくは他の光学素子、または当該分野で公知の別のタイプのレンズである。レンズ404は、入力光206(1)、206(2)、206(3)の波長においてレンズ404を通る時間多重変調光1602の透過を強化する1つ以上の反射防止塗膜を有してもよい。
【0097】
一実施形態において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600は、フィルタホイール1612を透過してフィルタリングされた時間多重光をコリメートして、平行時間多重光1606にするコリメーティングレンズ1618を備える。平行時間多重光1606は、プロジェクタレンズ112によってスクリーンに投影される。別の実施形態において、コリメーティングレンズ1618がマルチカラーデジタルプロジェクタ1600に含まれず、プロジェクタレンズ112は、コリメートされていない時間多重光を受け取るように構成される。
【0098】
図18は、それぞれが1つの光学フィルタマスクを含む3つの扇部1802を有する、例示のフィルタホイール1800の正面図である。フィルタホイール1800は、フィルタホイール1612の一例である。モータ1614は、フィルタホイール1800をアク
スル1804の周りで回転させる。フィルタホイール1800の各回転は、1シーケンス1702の時間多重光1602に対応する。いくつかの実施形態において、モータ1614は、上記のようにフィルタホイール1800を段階的に回転させる。
図18の例において、第1の扇部1802(1)の第1の光学フィルタマスクは、
図9の光学フィルタマスク900として示され、第2の扇部1802(2)の第2の光学フィルタマスクは、
図13の光学フィルタマスク1300として示され、第3の扇部1802(3)の第3の光学フィルタマスクは、
図14の光学フィルタマスク1400として示される。しかし、扇部1802の光学フィルタマスクは、本発明の範囲を逸脱せずに、
図18とは異なる他の形状、サイズ、および位置を有する透過領域(例えば、透過領域416)を備えてもよい。
【0099】
一実施形態において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600は、所定の時間的アーチファクトのない画像を表示するように構成され、シーケンス1702の期間は、この目的のために、人間の視覚系の応答時間よりも短い。例えば、時間多重光1601の多重周波数は、シーケンス1702の期間の逆数に等しいが、視覚の存続(persistence of vision)を利用するフリッカー融合率よりも高い。多重周波数は、入力光206(1)、206(2)、および206(3)のそれぞれについて、1ミリ秒未満のパルス幅に対応する1キロヘルツ以上であり得る。
【0100】
図19は、それぞれが1つの光学フィルタマスクを含む6つの扇部1902を有する、例示のフィルタホイール1900の正面図である。モータ1614は、フィルタホイール1900をアクスル1804の周りで回転させて、フィルタホイール1900の各完全な回転がシーケンス1702の2回の連続した繰り返しに対応するようにする。フィルタホイール1900がフィルタホイール1800よりも有利である1つの点は、フィルタホイール1900が時間多重光1601の多重周波数の半分で回転するので、モータ1614が必要とするパワー消費要件および速度要件が低減されることである。別の実施形態において、フィルタホイール1612は3×n個の扇部を有する(nは、正の整数である)。1セット3つの扇部の各セットは、3つの光学フィルタマスクを含み、フィルタホイール1900の各完全な回転は、シーケンス1702のn個の連続した繰り返しに対応し、それにより、モータ1614およびフィルタホイール1612が時間多重光1601の多重周波数の1/n倍で回転することが可能にされる。1つの使用例において、モータ1614は、フィルタホイール1900を段階的に回転させて、フィルタホイール1900の各光学フィルタマスクが入力光206の対応するパルスをフィルタリングしている間静止するようにする。
【0101】
図20は、空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させるための方法2000を示す。方法2000は、光学フィルタ400によって行われ得る。方法2000は、空間光変調器からの変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するステップ2002を含む。変調光は、複数の回折次数を有する。ステップ2002のある例において、レンズ404は、変調光402をフーリエ面408上に空間的にフーリエ変換する。方法2000はまた、ステップ2002によってフーリエ変換された変調光をフィルタリングするステップ2004を含む。ステップ2004は、同時に起こり得るステップ2006および2008を含む。ステップ2006は、変調光の少なくとも1つの回折次数をフーリエ面において透過させる。ステップ2008は、変調光の残りの部分をフーリエ面においてブロックする。ステップ2006および2008のある例において、光学フィルタマスク412は、変調光402の少なくとも1つの回折次数をフーリエ面408において透過領域416を通って透過させ、変調光402の残りの部分をフーリエ面408においてブロックする。ステップ2006および2008の別の例において、光学フィルタマスク412は、変調光402のゼロ次回折次数をフーリエ面408において透過領域416を通って透過させ、変調光402の残りの部分をフーリエ面408においてブロックする。方法2000の別の例において、変調光402は、単色光である。方法2000の別
の例において、変調光402は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである。方法2000の別の例において、変調光402は、赤色光、緑色光、および青色光を結合して形成される多色光である。この例において、変調光402は、白色光であってもよい。ある実施形態において、方法2000は、ステップ2006の後で、透過した変調光の少なくとも1つの回折次数をコリメートするステップ2010をさらに含む。ステップ2010のある例において、コリメーティングレンズ418は、フィルタ光414をコリメートする。
【0102】
図21は、空間多重方式による各カラーチャネルの光学フィルタリングを介してコントラストが増加したカラー画像を投影するための方法2100を示す。方法2100は、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500によって行われ得る。方法2100は、カラー画像に応じて、第1、第2、および第3の入力光を空間的に変調して、それぞれ第1、第2、および第3の変調光を生成するステップ2102を含む。第1、第2、および第3の入力光は、
図15を参照して上述したように、カラー画像の3つの異なるそれぞれのカラーチャネルについての光を表し得る。第1、第2、および第3の変調光のそれぞれは、複数の回折次数を有する。ステップ2102のある例において、
図15のDMD200(1)、200(2)、および200(3)は、それぞれ第1、第2、および第3の入力光206(1)、206(2)、および206(3)を空間的に変調して、それぞれ第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)とする。方法2100はまた、第1、第2、および第3の変調光(ステップ2102において生成される)をフィルタリングして、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光にするステップ2104を含む。ある実施形態において、ステップ2104は、第1、第2、および第3の変調光のそれぞれに対して方法2000を行って、第1、第2、および第3のフィルタ光を生成する。ステップ2104のそのような実施形態のある例において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500の光学フィルタマスク412(1)、412(2)、および412(3)は、それぞれフーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)をフィルタリングして、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)にする。ステップ2104は、同時に起こり得るステップ2106および2108を含む。ステップ2106は、第1、第2、および第3の変調光のそれぞれの少なくとも1つの回折次数を透過させる。ステップ2108は、第1、第2、および第3の変調光の残りの部分をブロックする。ステップ2106および2108のある例において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500の光学フィルタマスク412(1)、412(2)、および412(3)は、フーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)のそれぞれの少なくとも1つの回折次数を透過させ、第1、第2、および第3の変調光402(1)、402(2)、および402(3)の残りの部分をブロックする。方法2100はまた、ステップ2104において生成された第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して、出力光を形成するステップ2110を含む。ステップ2110のある例において、ビームコンバイナ1504は、第1、第2、および第3のフィルタ光414(1)、414(2)、および414(3)を結合して、出力光1510にする。ある実施形態において、方法2100は、出力光をスクリーンに投影するステップ2112をさらに含む。ステップ2112のある例において、プロジェクタレンズ112は、出力光1510を投影スクリーン116などのスクリーンに投影する。
【0103】
本発明の範囲を逸脱せずに、方法2100は、2つだけのカラーチャネルまたは3つより多くのカラーチャネル(例えば、4つのカラーチャネル)を処理するように拡張され得る。
【0104】
図22は、コントラストが増加したカラー画像を生成し、投影するための時間多重方法2200を示す。方法2200は、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600によって
行われ得る。方法2200は、投影すべきカラー画像に応じて、空間光変調器を用いて時間多重光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを有する時間多重変調光を生成するステップ2202を含む。第1、第2、および第3の変調光は、
図16を参照して上述したように、カラー画像の3つの異なるカラーチャネルについての光を表し得る。ステップ2202のある例において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1600のDMD200は、時間多重光1601を変調して、時間多重変調光1602にする。方法2200はまた、レンズを用いて時間多重変調光(ステップ2202において生成される)を空間的にフーリエ変換するステップ2204を含む。ステップ2204のある例において、レンズ404は、時間多重変調光1602を空間的にフーリエ変換にする。方法2200は、フィルタホイールを時間多重変調光に同期して回転させることによって、ステップ2204によって空間的にフーリエ変換された時間多重変調光をフィルタリングするステップ2206をさらに含む。フィルタホイールは、複数の光学フィルタマスクを含む。各光学フィルタマスクは、ステップ2204においてレンズによって空間的にフーリエ変換された第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つをフィルタリングするように構成される。ステップ2206は、フィルタホイールを回転させて、光学フィルタマスクのそれぞれを、時間多重変調光が第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つであるときに、空間的にフーリエ変換された光の中に位置するようにする。ステップ2206のある例において、モータ1614は、
図16を参照して上述したように、フィルタホイール1612を時間多重変調光1602に同期して回転させる。ステップ2206の別の例において、モータ1614は、フィルタホイール1612を段階的に回転させて、各光学フィルタマスクがそれに対応する変調光をフィルタリングしている間静止するようにする。一実施形態において、方法2200は、フィルタリングされた時間多重変調光をスクリーンに投影するステップ2208をさらに含む。ステップ2208の一例として、プロジェクタレンズ112は、光学フィルタマスク1612によってフィルタリングされ、必要に応じてコリメーティングレンズ1618によってコリメートされた時間多重光をプロジェクタスクリーンに投影する。
【0105】
本発明の範囲を逸脱せずに、方法2200は、2つだけのカラーチャネルまたは3つより多くのカラーチャネル(例えば、4つのカラーチャネル)を処理するように拡張され得る。
【0106】
数値解析
以下の説明は、DMD200を備えるデジタルプロジェクタのコントラスト比が、波長、マイクロミラー202のオンおよびオフ傾斜角度、オンおよびオフ傾斜角度の許容度、光学フィルタマスク412の透過領域416の形状、入力光206の角度およびスペクトルダイバーシティ、入力光206を生成する照射源の実効サイズなどの様々なパラメータにどのように依存するかを調べるための数値解析に関する。デジタルプロジェクタ100、500、1500、および1600は、これらの数値解析において調べられるパラメータに応じて構成され得る。
【0107】
図23は、このセクションで数値結果が提示されるシミュレーション実験2300の側面図である。シミュレーション実験2300において、DMD200は、入力光206を変調して、複数の回折次数を有する変調光402にする。変調光402のフラウンホーファー回折パターンが計算され、フラウンホーファー回折パターンの各回折次数が、空間フィルタ2302の形状および構成に依存して、空間フィルタ2302によって透過されるか、またはブロックされるかのいずれかであるかを標示することによって、空間フィルタ2302がモデル化される。空間フィルタ2302は、光学フィルタマスク412の一例である。シミュレーション実験2300のコントラスト比は、一旦DMD200のマイクロミラー202がオン姿勢に構成されたとき、および再度DMD200のマイクロミラー202がオフ姿勢に構成されたときに、空間フィルタ2302を透過したと標示された回
折次数を数値的に積算することによって得られる。これら2つの数値積算は、それぞれオン光度およびオフ光度に対応し、それらの比は、コントラスト比を定義する。
【0108】
フラウンホーファー回折パターンは、シミュレーション実験2300について、スカラー回折理論のレイリー-ゾンマーフェルト形式を使用して計算される。この形式の特徴は、回折された電界の複素振幅を球状波にわたる積分(例えば、合計)として表現するレイリー-ゾンマーフェルト積分である。
【0109】
本明細書において提示される数値解析は、DMD200に限定されず、反射型LCOS位相変調器または透過型LC位相変調器などのSLM102の他の実施形態に容易に拡張されることが理解されるべきである。
【0110】
図24~26は、シミュレーション実験2300について数値的に得られたコントラスト比および光学効率対半角のプロット図である。
図24~26の結果を生成するために、空間フィルタ2302は、中心が光軸422にあり、開口直径2304を有する円状の開口としてモデル化した。空間フィルタ2302の中心は、変調光402のゼロ次回折次数(例えば、第1のオンおよびオフ回折ビーム504(1)および604(1))上に配置した。空間フィルタ2302の円状の開口は、DMD200の前面の中心に頂点が位置する円錐の底面を形成し、その円錐は、光軸422と一致する軸を有する。半角2308は、本明細書において、円錐の頂角の半分として定義される。
【0111】
図24~26において、それぞれ532nm、465nm、および617nmの波長を、シミュレーション実験2300における光について使用した。DMD200のマイクロミラー202について、+12°の呼びオン姿勢および-12°オフ姿勢傾斜角度を使用した。DMD200について、81%の寸法フィルファクタ(dimension fill factor)および90%の面積フィルファクタ(area fill factor)を使用した。
【0112】
図24において、半角2308を小さくすると、空間フィルタ2302によってブロックされる変調光402の回折次数が増えるにつれ、緑色コントラスト比2402は、一続きの「ステップ」として増加する。変調光402のゼロ次回折次数のみが空間フィルタ2302によって透過される場合、最も高い緑色コントラスト比の757,000:1が得られる。半角2308が大きくなると、空間フィルタ2302によって透過される回折次数が増えるにつれ、緑色光学効率2404は、一続きの「ステップ」として増加する。緑色変調光の光パワーの大半は、低回折次数(例えば、ゼロ次、1次、および2次回折次数)にあるので、緑色効率2404における最も大きなステップは、半角2308の小さい値において生じる。最も高い緑色コントラスト比において、緑色光学効率2404は、約80%であり、すなわち、変調光402の80%が空間フィルタ2302によって透過される。
【0113】
図25において、青色コントラスト比2502および青色光学効率2504は、それぞれ緑色コントラスト比2402および緑色光学効率2404と同様に挙動する。変調光402のゼロ次回折次数のみが空間フィルタ2302によって透過されるときに、最も高い青色コントラスト比の850,000:1が得られる。最も高い青色コントラスト比において、青色光学効率2504は、80%から50%未満に急峻に落ちる。
【0114】
図26において、赤色コントラスト比2602および赤色光学効率2604は、それぞれ緑色および青色コントラスト比2402、2502ならびに緑色および青色光学効率2404、2504と同様に挙動する。しかし、最も高い赤色コントラスト比は、わずか450,000:1である。最も高い赤色コントラスト比が対応する最も高い緑色および青
色コントラスト比よりも低い1つの理由は、617nmの赤色波長において、DMD200がブレーズ(blaze)条件から大きく離れて照射されることである。最も高い赤色コントラスト比において、赤色光学効率2604は、約80%である。
【0115】
図27は、光の波長が532nmであり、DMD200のすべてのマイクロミラー202がオン姿勢であるときのシミュレーション実験2300についてのフラウンホーファー回折パターンである。
図27において、4つの最も明るい回折次数のそれぞれは、囲い枠2702のうちの1つによって囲まれている。囲い枠2702(1)は、最大の光パワーを含み、変調光402のゼロ次回折次数に対応する。各囲い枠2702ついて、囲い枠2702を空間フィルタ2302の矩形状の開口(例えば、透過領域416)として使用して、DOCRを計算した。数値計算されたDOCRを各囲い枠内に印刷した。例えば、囲い枠2702(1)において、変調光402のゼロ次回折次数のDOCRは、758,075:1である。一実施形態において、光学フィルタマスク412は、変調光402のゼロ次回折次数を透過させ、すべての他の回折次数をブロックするように構成される。光学フィルタマスク900は、本実施形態とともに使用され得る光学フィルタマスク412の一例である。別の実施形態において、マルチカラーデジタルプロジェクタ1500の光学フィルタマスク412(1)、412(2)、および412(3)は、変調光402(1)、402(2)、および402(3)のゼロ次回折次数を透過させ、すべての他の回折次数をブロックするようにそれぞれ構成され得る。
【0116】
図28は、光の波長が617nmであり、DMD200のすべてのマイクロミラー202がオン姿勢であるときのシミュレーション実験2300についてのフラウンホーファー回折パターンである。
図28において、4つの回折次数は、変調光402の光パワーの大半を含む。532nmの波長を使用した
図27と比較して、光パワーは、4つの回折次数のあいだでより均一に分配される。なぜなら、617nmの波長は、DMD200のブレーズ条件からさらに遠く離れているからである。852,000:1の高コントラスト比が囲い枠2802(1)において回折次数を透過させるのみの空間フィルタ2302を形成することによって得られ得る。しかし、囲い枠2802(2)、2802(3)、および2802(4)において回折次数をブロックすることによって、光学効率は、著しく劣化する。
【0117】
コントラスト比と光学効率との妥協策として、空間フィルタ2302は、囲い枠2802(1)、2802(2)、および2802(4)に対応する最も高いDOCRを有する3つの回折次数を透過させるように構成され得る。空間フィルタ2302のこの例において、囲い枠2802(1)、2802(2)、および2802(4)に対応する開口の位置は、光軸422に対して対称でない。一実施形態において、光学フィルタ400は、
図28によると、変調光402の3つの回折次数を透過させるように構成される。光学フィルタマスク1300は、本実施形態とともに使用され得る光学フィルタマスク412の一例である。他の実施形態において、光学フィルタ412は、変調光402のゼロでない整数個の回折次数を透過させるように構成される。その回折次数の最大個数は、レンズ404の有効開口によって決まる。
【0118】
図29は、マイクロミラー202のオンおよびオフ傾斜角度がそれぞれ+12.1°および-12.1°であるときの、617nmの波長において操作されたシミュレーション実験2300について数値的に得られたコントラスト比2902および光学効率2904のプロット図である。コントラスト比は、マイクロミラー傾斜角度の小さな変化にも影響を受け得る。
図26と比較して、傾斜角度を0.1°変化させると、最も高い赤色コントラスト比が2倍よりも大きく増加し、ほぼ1,000,000:1となるが、赤色光学効率2904は、約80%のままである。比較のために記載すると、市販のDMDの典型的な仕様は、傾斜角度許容度が±0.5°である。
【0119】
図30および31は、シミュレーション実験2300について数値的に得られたコントラスト比対マイクロミラー傾斜角度のプロット図である。
図30において、オフ姿勢傾斜角度は、-12°に固定され、オン姿勢傾斜角度は、11.5°~12.5°の範囲で変化する。
図31において、オン姿勢傾斜角度は、+12°に固定され、オフ姿勢傾斜角度は、-12.5°~-11.5°の範囲で変化する。
図30において、コントラスト比3002、3004、および3006は、それぞれ617nm、465nm、および532nmの波長に対応する。
図31において、コントラスト比3102、3104、および3106は、それぞれ617nm、465nm、および532nmの波長に対応する。以下の説明においては、
図30および31を参照する。
【0120】
コントラスト比の値は、一般に、オン光度よりもオフ光度における変化量により影響を受けやすい。したがって、コントラスト比は、オン傾斜角度よりもオフ傾斜角度により強く依存し得る。
図30に示すように、コントラスト比3002、3004、および3006は、±0.5°の傾斜角度許容度範囲にわたってオン傾斜角度が変化してもほとんど変化を示さない。他方、
図31のコントラスト比3102、3104、および3106は、同様の角度許容度範囲にわたってオフ傾斜角度を変化させるとより強く変化する。
【0121】
ある実施形態において、緑色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスであって、-12°よりも大きい(例えば、-11.8°よりも大きいか、または-11.6°よりも大きい)呼びオフ姿勢傾斜角度を有するデジタルマイクロミラーデバイスが提供される。ある例において、デジタルマイクロミラーデバイスの呼びオフ姿勢傾斜角度は、-11.5°以上である。
【0122】
本実施形態によるデジタルマイクロミラーデバイスは、緑色光を変調するときのオン-オフコントラスト比を向上させ得る。
【0123】
ある例において、緑色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスの呼びオン姿勢傾斜角度は、+11.5°~+12.5°の範囲にあり、例えば+12°である。
【0124】
ある実施形態において、赤色または青色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスであって、-12°未満(例えば、12.2°未満または-12.4°未満)の呼びオフ姿勢傾斜角度を有するデジタルマイクロミラーデバイスが提供される。ある例において、デジタルマイクロミラーデバイスの呼びオフ姿勢傾斜角度は、-12.5°以下である。
【0125】
本実施形態によるデジタルマイクロミラーデバイスは、赤色光または青色光を変調するときのオン-オフコントラスト比を向上し得る。
【0126】
ある例において、赤色光または青色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスの呼びオン姿勢傾斜角度は、+11.5°~+12.5°の範囲にあり、例えば+12°である。
【0127】
ある実施形態において、画像を生成するための変調器システムが提供され、この変調器システムは、
赤色光を変調して、変調赤色光を生成するように構成された第1のデジタルマイクロミラーデバイスと、
緑色光を変調して、変調緑色光を生成するように構成された第2のデジタルマイクロミラーデバイスと、
青色光を変調して、変調青色光を生成するように構成された第3のデジタルマイクロミラーデバイスと、
を備え、
第2のデジタルマイクロミラーデバイスの呼びオフ姿勢傾斜角度が第1および第3のデジタルマイクロミラーデバイスの呼びオフ姿勢傾斜角度と異なる、変調器システムである。例えば、第1および第3のデジタルマイクロミラーデバイスは、第1のタイプであり、第1の呼びオフ姿勢傾斜角度を有し、第2のデジタルマイクロミラーデバイスは、第2のタイプであり、第1のタイプの呼びオフ姿勢傾斜角度と異なる第2の呼びオフ姿勢傾斜角度を有し得る。例えば、第1および第3のデジタルマイクロミラーデバイスは、上記の赤色または青色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスであり、第2のデジタルマイクロミラーデバイスは、上記の緑色光を変調するために最適化されたデジタルマイクロミラーデバイスである。
【0128】
上記変調器システムは、
第1、第2、および第3の光学フィルタであって、各光学フィルタは、
それぞれの第1、第2、および第3の空間光変調器からの複数の回折次数を有する変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズと、
レンズのフーリエ面に位置し、レンズによって空間的にフーリエ変換された変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させて、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光を生成し、変調光の残りの部分をブロックすることによって、変調光をフィルタリングするように構成された光学フィルタマスクと、を備える、第1、第2、および第3の光学フィルタと、
第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して、出力光にするように構成されたビームコンバイナと、
を備える。
【0129】
さらに、上記変調器システムはまた、必要に応じて、
図9~15に関連して記載された特徴などの、本明細書中に記載の特徴のいずれを含んでもよい。
【0130】
図32は、532nmの波長でのシミュレーション実験2300について数値的に得られた、入力光206の角度ダイバーシティの関数としてのコントラスト比3202および光学効率3204のプロット図である。
図33および34は、シミュレーション実験2300のフラウンホーファー回折パターンであり、入力光206の角度ダイバーシティによる回折ピークの拡幅を示す。
図33において、入力光206は、角度ダイバーシティを有しない平面波である。
図34において、入力光206は、8°半角度の角度ダイバーシティを有する。
図32におけるデータを得るために、空間フィルタ2302は、
図33および34における囲い枠3302によって表された矩形状の開口を備えた。以下の説明においては、
図32~34を参照する。
【0131】
シネマおよび他のクリティカルな視聴環境において、画像のデジタルレーザ投影は、塵埃や他の好ましくない回折アーチファクトの視認性を低減するので、レーザ照射における角度ダイバーシティおよび低減コヒーレンスの恩恵を受ける。また、レーザ照射は、増加した帯域幅を有するので、スクリーン上のスペックルの視認性が低減するという利点がある。
【0132】
レーザ照射の角度ダイバーシティおよび帯域幅を増加させると、本明細書中に提示する光学フィルタリングシステムおよび方法のコントラスト比が劣化し得る。特に、フーリエ面において、増加した角度ダイバーシティおよび帯域幅は、回折ピークを拡幅し、そのピークの裾部が互いに近傍にあるピークの裾部とともにぼやけてしまう。そのようなピークの拡幅は、ブロックすべき互いに近傍にある回折次数の一部を透過させることなく個々の
回折次数を空間フィルタ2302を通って透過させることを阻害し得る。
図32に示すように、入力光206の半角度が8°に増加されているので、コントラスト比は、721,000:1から346,000:1に半減する。
【0133】
したがって、角度ダイバーシティおよびスペクトル帯域幅を考慮すると、(1)塵埃の視認性および低減されたスペックルと、(2)コントラスト比との間にトレードオフの関係がある。
【0134】
コントラスト劣化の要因は、DMD200による入力光206の回折以外の要因、例えば、マイクロミラー202の表面からの入力光206の散乱、シネマルームにおける不要な迷光および反射、光学収差、および/または偏光効果などであることが理解される。しかし、大半のデジタルプロジェクタにおいて、DMD200による回折がコントラスト劣化の主な原因、または主な原因の少なくとも1つのであると考えられる。本明細書に開示のシステムおよび方法は、回折の他に上記に挙げた要因などの他の要因によってコントラストが劣化するような場合について、容易に拡張される。本明細書に開示のシステムおよび方法は、他のそのような要因が存在する場合でさえ、コントラストを強化できる。
【0135】
実験結果
図4と同様の実験設定を使用して上記の数値解析を検証した。最も高いコントラストを実証するために、532nmにおいてゼロ次回折次数をフィルタリングするように実験設定を構成した。光学フィルタマスク412は、中心が光軸422上にある円状の開口を備えた。円状の開口の直径およびレンズ(例えば、レンズ404)は、フーリエ面において2°の半角を形成するように選択した。DMD200への入力光は、M
2<1.1である
偏光532nmレーザによって与えた。入力光は、2つのダブレットから形成されたガリレイビーム拡大器を使用してDMD200の前面を満たすように拡大した。これにより、回折限界性能が得られた。記載を簡単にするため、TIRプリズムを使用して光をDMD200にカップリングすることは、行わなかった。DMD200を最も明るい(例えば、白色レベル)出力および最も暗い(例えば、黒色レベル)出力で動作させ、分光計を用いてコントラストを測定した。
【0136】
2つの同一の4K DMDのコントラスト比を測定した。532nmおよび2°半角において、シミュレーション実験2300によって予測されるコントラスト比は、約757,000:1(
図24における最も高い緑色コントラスト比を参照)である。254,234:1および277,966:1のコントラスト比が測定された。これらの値は、予測値よりも約3倍低い。その違いの原因は、DMDからあふれ出た迷光、DMDのマイクロミラー間の間隙から出た迷光、およびマイクロミラーの表面やエッジからの散乱などである。
【0137】
また、コントラスト比がオフ傾斜角度に依存することを考慮すると予想されるように、入力光206のDMD200への伝播方向がコントラスト比に影響を与えることが観察された。加えて、入力光206の偏光が、DMD200の黒色レベルに影響を与え、それによりコントラスト比が影響を受けることが観察された。上記実験結果について、波長板を用いて入力光の偏光を回転させて、コントラストを最大化した。
【0138】
コントラスト比のマイクロミラー傾斜角度および入力光206の伝播方向に対する感受性を考慮すると、ビニング(binning)を使用して、同様の傾斜角度を有するDMDをグループ化してもよい。三色デジタルプロジェクタ1500の一実施形態において、DMD200(1)、200(2)、および200(3)について、同様の傾斜角度を有する3つのビニング化DMDが使用される。別の実施形態において、DMD200(1)、200(2)、および200(3)について、異なる傾斜角度(例えば、3つの異なる
ビンから)を有する3つのビニング化DMDが使用され、DMDのそれぞれは、DMDとともに使用される入力光206の特定波長についてコントラスト比を最大にするために選択された傾斜角度を有する。
【0139】
DLPビットシーケンス
図35は、DMD200のマイクロミラー202をどのように制御して1映像フレームを表示するかを決定する例示のビット平面3502の時間シーケンス3500を示す。
図36は、
図35の例示のビット平面3502がDMD200を制御して1映像フレームを表示するときに1映像フレームがどのように現れるかを示す再構成フレーム3600である。以下の説明においては、
図35および36を参照する。
【0140】
デジタル映像フレームの各画素には、その画素の所望の強度を表す対応の画素レベルが割り当てられる。ピクセルレベルは、nビットの整数として表され得る。ここで、0は、最も低い強度レベルであり、2
n-1は、最も高い強度レベルである。この表現を用いる
と、フレームは、n個のビット平面3502の合計として形成され得る。いずれのビット平面3502においても白色ビットは、DMD200の対応するマイクロミラー202についてのオンを表し、黒色ビットは、対応するマイクロミラー202についてのオフを表す。DMD200は、各ビット平面3502に応じて、時間間隔2
i×Δtの間、順次制
御される。ここで、Δtは、最小時間間隔であり、i=0、...、n-1は、ビット平面3502のインデックスである。したがって、画素レベルが6ビットの整数として表される
図35の例において、DMD200は、第1の時間間隔Δtの間は、第1のビット平面3502(0)にしたがって制御され、第2の時間間隔2Δtの間は、第2のビット平面3502(1)にしたがって制御され、...、最後の第6の時間間隔32Δの間は、ビット平面3502(5)にしたがって制御される。ビット平面3502のビット(すなわち、対応するマイクロミラー202について、各ビットについてオンおよびオフにそれぞれ対応する0または1である)は、ビット平面3502の時間重み付け合計がフレームについて所望の画素を与えるように選択される。フレームは、人間の視覚系がビット平面3502の表示シーケンス3500の時間積分に応答できる程度の速さで表示される。
【0141】
図35および36は、画素値が6ビットの整数として表される例を示すが、本発明の範囲を逸脱せずに、画素値は、異なる数のビットによって表されてもよいし、同じ数のビット平面があってもよい。
図35は、分かりやすくするために、250画素×250画素を有するビット平面3502を示すが、ビット平面3502は、本発明の範囲を逸脱せずに、DMD200のすべてのマイクロミラー202を制御するようなサイズにされ得る。
【0142】
多くの回折次数がスクリーンに投影される従来のデジタル投影システムにおいて、画素の所望の画素レベルは、画素を生成するマイクロミラーについてのオン時間に比例する。しかし、DMD200からの回折次数を光学フィルタ(例えば、光学フィルタ412)によってブロックして、コントラストを増加させる場合、光学フィルタを通過する光(例えば、ゼロ次回折次数)の量はまた、マイクロミラー202の空間パターンに依存する。空間パターンからの入力光の回折は、どれくらいのパワーが各次数に回折されるか、したがってどれくらいのパワーが光学フィルタを通過するかに影響を与える。いくつかのフレームにおいて、空間パターンおよび光学フィルタの組み合わせは、再構成フレーム3600においてアーチファクト3602を生成し得る。例えば、
図35において、ビット平面3502は、DMD200を制御して、異なる空間周波数を有するオンおよびオフ「ストライプ」を形成し、そして、この空間パターンから生じる位相シフトは、光学フィルタを通る光の量を変化させ、それにより垂直な「バンド」として現れるアーチファクト3602を生成する。3つのアーチファクト3602のみが再構成フレーム3600において特定されるが、再構成フレーム3600は、やはりアーチファクトである異なるレベルの暗さのさらなるバンドを含む。アーチファクト3602は、再構成フレーム3600において
垂直なバンドとして現れる。なぜなら、ビット平面3502は、異なる水平空間周波数を有する垂直なオンおよびオフストライプを形成するからである。しかし、ビット平面3502が異なる垂直空間周波数を有する水平オンおよびオフストライプを形成する場合、アーチファクト3602は、水平バンドになる。
【0143】
図37は、アーチファクト3602の存在を低減するために本明細書の実施形態とともに使用し得るランダム化ビット平面シーケンスの一部を形成するランダム化ビット平面3700の一例を示す。
図38は、ランダム化ビット平面シーケンスがDMD200を制御して1映像フレームを表示するときに1映像フレームがどのように現れるかを示す再構成フレーム3800を示す。再構成フレーム3600と比較して、再構成フレーム3800におけるアーチファクトの視認性が大きく低減されるという利点がある。以下の説明においては、
図37および38を参照する。
【0144】
ランダム化ビット平面シーケンスは、2
n-1個のランダム化ビット平面から形成され
る。ランダム化ビット平面3700は、そのうちの一例である。2
n-1個のランダム化
ビット平面は、見た目が同様(必ずしも同一でなくてもよい)であるので、
図37では、分かりやすくするために1つだけを示す。
図35のビット平面3502のように、白色ビットは、DMD200の対応するマイクロミラー202がオンであることを示し、黒色ビットは、DMD200の対応するマイクロミラー202がオフであることを示す。ビット平面3502の時間間隔が2のべき乗によって増加するビット平面シーケンス3500と異なり、2
n-1個のランダム化ビット平面のそれぞれは、同じ時間間隔Δtを有する。
【0145】
ランダム化ビット平面3700におけるオンビットおよびオフビットのランダム割り当てによって、
図35に示すような異なる空間パターンをランダム化空間パターンに置き換え、それにより、フレームのすべての画素にわたって回折の効果が広がり、アーチファクト3602の視認性が低減されるので有利である。
【0146】
一実施形態において、ランダム化ビット平面シーケンスは、1フレームについて、2n
-1個のビット平面を初期化してすべてのビット平面のすべてのビットをオフにすることによって生成される。次いで、2n-1個のビット平面には、各画素について、その画素
についての2n-1個のビットの合計が対応する画素値を超えないことを確保しつつ、ラ
ンダムに値で埋める(populate)(すなわち、ビットを「オン」に切り換える)。2n-1個のビット平面に値を埋めることは、フレーム内のどの画素についても、2n-1個のビットの合計が対応する画素値になると、停止する。
【0147】
上記のランダム化ビット平面シーケンスは、
図35のビット平面シーケンス3500よりも多くのビット平面を有する。しかし、2つの方法を組み合わせてもよい。すなわち、ビット平面3502(すなわち、より短い時間間隔に対するビット平面)およびランダム化ビット平面のうちのいくつかを用いて、ハイブリッドビット平面シーケンスを形成してもよい。ただし、各画素について、ハイブリッドシーケンスにおけるすべてのビットの重み付け合計は、対応する画素レベルに等しい。加えて、ランダム化ビット平面シーケンスおよびハイブリッドビット平面シーケンスは、マイクロミラー202のディザリング(dithering)など、出力パワーレベルを調整するための他の手法と組み合わせてもよい。
【0148】
ランダム化ビット平面シーケンスによって、画素応答が光学フィルタをDMD200に使用しない場合に得られる画素応答よりも線形にならないことがあり得る。非線形画素応答は、ディスプレイデバイスにおいて、望ましいことがある。なぜなら、人間の視覚認識は、非線形処理であり、ランダム化ビット平面シーケンスによって導入される非線形性は、人間の視覚認識により近く一致するからである。非線形応答が望ましい場合は、投影シ
ステムがフレームをより認識しやすく表示するので、画素値を表すために使用されるビットの数を減らすことが可能であり得る。
【0149】
ランダム化またはハイブリッドビット平面シーケンスから得られる利点は、DMD200を照射する入力光の品質に依存する。入力光が、例えば、高コヒーレンスかつ低エテンデュの単色レーザビームである場合は、入力光が高エテンデュかつ/または低コヒーレンスを有する場合(例えば、ランプからの光)と比較して、アーチファクト3602がより視認されやすい。したがって、ランダム化ビット平面シーケンスおよびハイブリッドビット平面シーケンスは、入力光が「高品質」である場合に、アーチファクト3602の視認性を低減するためにより重要となる。
【0150】
利点
本明細書において提示された実施形態は、追加のDMDを用いることなくコントラスト比を増加させるという利点を有する。例えば、本明細書に開示のシステムおよび方法の代替として、コントラスト比は、複数段階変調、すなわち、直列に接続された2つ以上のDMDを使用して、第1のDMDからのオフ回折ビームを第2のDMDによってブロックすることによって、増加させてもよい。コントラスト比を増加させる方法として、複数段階変調は、第2のDMDおよび対応する電子部品によってデジタルプロジェクタのコストや複雑性が増加するという不利な点を有する。さらに、あるタイプのデジタルプロジェクタは、3つのDMD(赤色光、緑色光、および青色光のそれぞれについて1つのDMD)を用いる。このタイプのデジタルプロジェクタにおいて、各カラーについて2つのDMDを用いると、DMDの総数は、3から6に増え、コストおよび複雑性がさらに増加する。
【0151】
本明細書に提示された実施形態の別の利点は、光学的にフィルタリングされた投影光によって、フィルタリングされていない投影光と、投影光が投影されるスクリーンの周期的な穴との干渉によって生じるモアレパターンの発生が低減され得ることである。特に、光学フィルタリングは、投影光の高周波数成分を低減するように構成され、それにより、スクリーン上に現れるときの画素間のハードエッジを「平滑化」し得る。この平滑化は、投影光の周期強度と、スクリーンの周期穴とのうなり(beating)を低減する。
【0152】
本明細書に提示される光学フィルタリングシステムおよび方法のさらなる利点は、光学フィルタリングによって、テキサスインスツルメンツ製のチルト・ロール(tilt-and-roll)画素(TRP)DLPチップを用いるデジタルプロジェクタのコントラスト比が増加され得ることである。TRP DLPチップのマイクロミラーは、45°の向きの軸(例えば、
図2のマイクロミラー回転軸208)の周りで傾かない。これにより、他のタイプのDMDチップと比較して、変調光は、オフ状態光(例えば、
図6のオフ回折ビーム604)の回折次数がより明るくなるように、TRPチップから離れる方向に伝播し、これによりオフ光度を増加させ、コントラスト比を低減する。オフ光度を低減することによって、本明細書に提示された光学フィルタリングシステムおよび方法は、TRPチップが、デジタルシネマイニシアティブ(DCI)仕様に準拠した投影などの高コントラスト比を要求するアプリケーション用のプロジェクタに含まれることを可能にするという利点がある。
【0153】
上記方法およびシステムは、本発明の範囲を逸脱せずに、変更され得る。したがって、上記記載の事項や添付の図面に示す事項は、例示として解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきでないことに留意されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載のすべての包括的な特徴および特定的な特徴を網羅することを意図し、かつ本方法およびシステムの範囲のすべての文言は、言語の問題として、以下の特許請求の範囲に含まれるといえる。
【0154】
本発明の様々な態様は、以下の列挙実施形態例(enumerated example embodiment:EEE)から理解され得る。
1.
空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを増加させるための光学フィルタであって、
前記空間光変調器からの変調光を空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズであって、前記変調光は、複数の回折次数を有する、レンズと、
前記レンズのフーリエ面に位置する光学フィルタマスクであって、前記レンズによって空間フーリエ変換された前記変調光のうちの少なくとも1つの回折次数を透過させ、前記変調光の残りの部分をブロックすることによって、前記変調光をフィルタリングするように構成された光学フィルタマスクと、
を備える、光学フィルタ。
2.
前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次数である、EEE1に記載の光学フィルタ。
3.
前記光学フィルタマスクは、前記変調光の前記ゼロ次数を透過させるように構成された透過領域を有する、EEE2に記載の光学フィルタ。
4.
前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次数および複数の第1の次数を備える、EEE1に記載の光学フィルタ。
5.
前記光学フィルタマスクは、前記変調光のゼロ次数および前記変調光の前記第1の次数のうちの2つを透過させるように構成された透過領域を有する、EEE4に記載の光学フィルタ。
6.
前記変調光は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである、EEE1から5のいずれかに記載の光学フィルタ。
7.
コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムであって、
EEE1から6のいずれかに記載の光学フィルタと、
空間光変調器を実装したデジタルマイクロミラーデバイスと、
を備える、変調器システム。
8.
コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムであって、
EEE1から7のいずれかに記載の光学フィルタと、
前記光学フィルタマスクを透過した前記変調光の前記少なくとも1つの回折次数をコリメートする位置に配置されたコリメーティングレンズと、
を備える、変調器システム。
9.
コントラストが増加した画像を生成するための変調器システムであって、
前記画像に応じて、それぞれ第1、第2、および第3の光を変調して、それぞれ第1、第2、および第3の変調光を生成するように構成された第1、第2、および第3の空間光
変調器と、
第1、第2、および第3の光学フィルタをそれぞれ形成する、3つの、EEE1から6のいずれかに記載の光学フィルタであって、それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させて、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光を生成し、それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光の残りの部分をブロックするように構成された、光学フィルタと、
前記第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して、出力光にするように構成されたビームコンバイナと、
を備える、変調器システム。
10.
前記第1、第2、および第3の光学フィルタにそれぞれ対応する前記第1、第2、および第3の光学フィルタマスクのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数をそれぞれ透過させるように構成された少なくとも1つの透過領域を有する、EEE9に記載の変調器システム。
11.
前記第1、第2、および第3の空間光変調器のそれぞれは、デジタルマイクロミラーデバイスである、EEE9またはEEE10に記載の変調器システム。
12.
前記第1、第2、および第3の光は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光である、EEE9から11のいずれかに記載の変調器システム。
13.
前記ビームコンバイナによって結合される前に、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光をコリメートする位置に設けられた第1、第2、および第3の出力レンズをさらに備える、EEE9から12のいずれかに記載の変調器システム。
14.
前記出力光をスクリーンに投影するように構成されたプロジェクタレンズをさらに備える、EEE9から13のいずれかに記載の変調器システム。
15.
コントラストが増加した画像を生成するための時間多重変調器システムであって、
前記画像に応じて、時間多重光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを含む時間多重変調光にするように構成された空間光変調器と、
前記時間多重変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するように構成されたレンズと、
前記フーリエ面に位置し、複数の光学フィルタマスクを備えるフィルタホイールであって、各光学フィルタマスクは、前記レンズによって空間的にフーリエ変換された前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つの変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させ、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つの変調光の残りの部分をブロックすることにより、前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つの変調光をフィルタリングするように構成され、前記フィルタホイールは、前記時間多重変調光が前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つである場合に、各光学フィルタマスクが前記フーリエ面における前記時間多重変調光の中に位置するように、前記時間多重変調光に同期して回転するように構成された、フィルタホイールと、
を備える、時間多重変調器システム。
16.
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、EEE15に記載の時間多重変調器システム。
17.
前記複数の光学フィルタマスクは、それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光をフィルタリングするように構成された3つの光学フィルタマスクである、EEE15またはEEE16に記載の時間多重変調器システム。
18.
前記複数の光学フィルタマスクは、3セットの光学フィルタマスクであり、nは、正の整数であり、前記3セットのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれ対応する1つをフィルタリングするように構成されている、EEE15から17のいずれかに記載の時間多重変調器システム。
19.
第1の光学フィルタマスクは、前記第1の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有し、第2の光学フィルタマスクは、前記第2の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有し、第3の光学フィルタマスクは、前記第3の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数を透過させるように構成された透過領域を有する、EEE17に記載の時間多重変調器システム。
20.
前記第1、第2、および第3の変調光は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光である、EEE19に記載の時間多重変調器システム。
21.
前記フィルタホイールは、各光学フィルタマスクが前記時間多重変調光の中に位置するときに停止するように、不均一に回転するようにさらに構成されている、EEE20に記載の時間多重変調器システム。
22.
前記フィルタホイールを透過した前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれの前記少なくとも1つの回折次数をスクリーンに投影するように構成されたプロジェクタレンズをさらに備える、EEE21に記載の時間多重変調器システム。
23.
空間光変調器を用いて生成された画像のコントラストを向上させる方法であって、
前記空間光変調器からの変調光をフーリエ面上に空間的にフーリエ変換するステップであって、前記変調光は、複数の回折次数を有する、ステップと、
前記変調光の少なくとも1つの回折次数を前記フーリエ面において透過させ、前記変調光の残りの部分を前記フーリエ面においてブロックすることによって、前記変調光をフィルタリングするステップと、
を含む、方法。
24.
前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数である、EEE23に記載の方法。
25.
前記透過させるステップは、前記ゼロ次回折次数に光学フィルタマスクの透過領域を透過させるステップを含む、EEE24に記載の方法。
26.
前記少なくとも1つの回折次数は、ゼロ次回折次数および複数の第1の次数を含む、EEE23に記載の方法。
27.
前記透過させるステップは、前記ゼロ次回折次数および前記複数の第1の回折次数に光学フィルタマスクの透過領域を透過させるステップを含む、EEE26に記載の方法。
28.
前記変調光は、赤色光、緑色光、および青色光のうちの1つである、EEE23から27のいずれかに記載の方法。
29.
前記空間光変調器の複数のマイクロミラーを操作して、前記変調光を生成するステップをさらに含む、EEE23から28のいずれかに記載の方法。
30.
前記透過させるステップの後で、前記変調光の前記少なくとも1つの回折次数をコリメートするステップをさらに含む、EEE23から29のいずれかに記載の方法。
31.
コントラストが増加したカラー画像を投影するための方法であって、
前記画像に応じて、第1、第2、および第3の入力光を空間的に変調して、それぞれ第1、第2、および第3の変調光を生成するステップであって、前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれは、複数の回折次数を有する、ステップと、
それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光の少なくとも1つの回折次数を透過させ、それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光の残りの部分をブロックすることによって、前記第1、第2、および第3の変調光をフィルタリングして、それぞれ第1、第2、および第3のフィルタ光にするステップと、
前記第1、第2、および第3のフィルタ光を結合して、出力光にするステップと、
を含む、方法。
32.
前記第1、第2、および第3の入力光は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光である、EEE31に記載の方法。
33.
前記出力光をスクリーンに投影するステップをさらに含む、EEE31またはEEE32に記載の方法。
34.
コントラストが増加した画像を生成し、投影するための時間多重方法であって、
前記画像に応じて、空間光変調器を用いて時間多重光を変調して、第1、第2、および第3の変調光の繰り返しシーケンスを含む時間多重変調光を生成するステップと、
レンズを用いて前記時間多重変調光を空間的にフーリエ変換するステップと、
フィルタホイールを前記時間多重変調光に同期して回転させることによって前記時間多
重変調光をフィルタリングするステップであって、前記フィルタホイールは、複数の光学フィルタマスクを含み、各光学フィルタマスクは、前記レンズによって空間的にフーリエ変換された前記第1、第2、および第3の変調光のうちの対応する1つをフィルタリングするように構成され、前記回転させるステップは、各光学フィルタマスクを、前記時間多重変調光が前記第1、第2、および第3の変調光のうちの前記対応する1つであるときに、前記レンズのフーリエ面において前記時間多重変調光の中に位置させるステップを含む、ステップと、
を含む、方法。
35.
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、EEE34に記載の時間多重変調器システム。
36.
前記複数の光学フィルタマスクは、それぞれ前記第1、第2、および第3の変調光をフィルタリングするように構成された3つの光学フィルタマスクである、EEE34またはEEE35に記載の方法。
37.
前記複数の光学フィルタマスクは、3セットの光学フィルタマスクであり、nは、正の整数であり、前記3セットのそれぞれは、前記第1、第2、および第3の変調光のそれぞれ対応する1つをフィルタリングするように構成されている、EEE34から36のいずれかに記載の方法。
38.
前記フィルタリングするステップは、
前記第1の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数に第1の光学フィルタマスクの透過領域を透過させるステップと、
前記第2の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数に第2の光学フィルタマスクの透過領域を透過させるステップと、
前記第3の変調光のゼロ次回折次数および複数の1次回折次数に第3の光学フィルタマスクの透過領域を透過させるステップと、
を含む、
EEE36に記載の方法。
39.
前記第1、第2、および第3の変調光は、それぞれ赤色光、緑色光、および青色光である、EEE36またはEEE38に記載の方法。
40.
前記回転させるステップは、不均一に回転させ、各光学フィルタマスクが前記時間多重変調光の中に位置するときに停止させるステップをさらに含む、EEE36、EEE38、またはEEE39に記載の方法。
41.
前記フィルタリングするステップの後に、前記フィルタリングされた時間多重変調光をスクリーンに投影するステップをさらに含む、EEE36、EEE38、EEE39、またはEEE40に記載の方法。
【外国語明細書】