(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026065
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】リンパ節及びリンパ管イメージングのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20240220BHJP
G01N 21/21 20060101ALI20240220BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240220BHJP
A61B 5/103 20060101ALI20240220BHJP
G01N 21/359 20140101ALI20240220BHJP
【FI】
A61B10/00 E
G01N21/21 Z
G01N21/27 A
A61B5/103
G01N21/359
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188105
(22)【出願日】2023-11-02
(62)【分割の表示】P 2021545368の分割
【原出願日】2020-02-04
(31)【優先権主張番号】62/848,178
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/800,674
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506365393
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】ベルチャー アンジェラ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】造影剤を用いずにリンパ節又はリンパ管をイメージングするための方法を開示する。
【解決手段】光源101を用いて、対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に赤外線照射を行うステップと、領域の周囲に配置されたセンサ104を用いて、領域から直接反射された前記赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、赤外線照射の反射された一部を用いて、対象の少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ系部位をイメージングするためのシステムであって、
対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、偏光を有する赤外線照射を行うための光源と、
前記領域から直接反射され前記赤外線放射の偏光とは逆の偏光を有する前記赤外線照射の反射された一部をセンシングするように構成されたセンサと、
前記センサと通信するコントローラと、
を備えており、
前記コントローラは、
前記赤外線照射の前記反射された一部に対応する情報を前記センサから受け取り、
前記情報を用いて、前記対象の前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成し、
前記少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記コントローラは、参照光を用いずに前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す前記少なくとも1つの画像を生成するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記センサの周囲の周辺光からの情報無しで、前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す前記少なくとも1つの画像を生成するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記光源はレーザを備えている、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記光源は発光ダイオードを備えている、
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記領域と前記光源との間に配置されたロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタをさらに備えており、
前記ロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタのカットオフ波長は800nmを下回らない、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記センサは、シリコンカメラ、InGaAsカメラ、又はブラックシリコンカメラのうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記センサは、ゲルマニウムカメラ、ゲルマニウム錫・オン・シリコン・カメラ、量子ドット短波赤外線カメラ、又は水銀カドミウムテルル化物カメラのうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記領域と前記センサとの間に配置された偏光子をさらに備えている、
請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1つのリンパ系部位は造影剤を含まず、
前記少なくとも1つのリンパ系部位は、リンパ節又はリンパ管のうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記赤外線照射は800~1700nmの照射波長を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記赤外線照射は1000~1700nmの照射波長を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記赤外線照射は1500~1700nmの照射波長を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記赤外線照射は800~1700nmの照射波長を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項15】
前記赤外線照射は1000~2600nmの照射波長を有する、
請求項1記載のシステム。
【請求項16】
造影剤を用いずにリンパ節又はリンパ管を生体内イメージングするための方法であって、
光源を用いて、対象のうち造影剤を含まないリンパ節又はリンパ管を含む生体内領域に、偏光を有する赤外線照射を行うステップと、
前記領域から直接反射された前記赤外線照射を受け取るように位置決めされたセンサを用いて、前記領域から直接反射され前記偏光とは逆の偏光を有する前記赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、
前記赤外線照射の前記反射された一部を用いて、前記対象の造影剤を含まない前記リンパ節又は前記リンパ管を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記赤外線照射は800~2000nmの照射波長を有する、
請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記赤外線照射は偏光子を用いずに行われる、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記センサによって検出される全体強度が最小になるまで、前記センサの手前で偏光子を回転することをさらに有する、
請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記赤外線照射の光学的パワーは1mWを超えない、
請求項16記載の方法。
【請求項21】
さらに、
前記領域と前記センサとの間に偏光子を位置決めし、
前記領域から直接反射される前記赤外線照射に対して略直交するように前記偏光子を配置する、
請求項16記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記センサにおいて閾値コントラストレベルに達するまで、前記偏光子と前記
光源とのうち少なくとも1つを調整する、
請求項21記載の方法。
【請求項23】
ミラーを用いずにリンパ節又はリンパ管をイメージングするための方法であって、
光源を用いて、対象のうちリンパ節又はリンパ管を含む領域に赤外線照射を行うステップと、
前記領域から直接反射された前記赤外線照射を受け取るように位置決めされたセンサを用いて、前記領域から直接反射された前記赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、
前記赤外線照射の前記反射された一部を用いて、前記対象の前記リンパ節又は前記リンパ管を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項24】
前記赤外線照射は800~2000nmの照射波長を有する、
請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記赤外線照射は偏光子を用いずに行われる、
請求項24記載の方法。
【請求項26】
リンパ系部位をイメージングするためのシステムであって、
対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、偏光を有する赤外線照射を行うための光源と、
センサと、
を備えており、
前記センサは、
前記領域から直接反射され前記偏光とは逆の偏光を有する前記赤外線照射の反射された一部をセンシングし、
前記赤外線照射の前記反射された一部に基づき、前記対象の前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成し、
前記少なくとも1つの画像を外部表示部及び/又は外部メモリのうち少なくとも1つに出力する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮出願第62/848,178号(出願日:2019年5月15日)及び同第62/800,674号(出願日:2019年2月4日)に基づく出願であり、これらの利益を主張し、これらに基づく優先権を主張するものである。これら仮出願の記載内容は全て、あらゆる目的のために参照により本願の記載内容に含まれるものとする。
【0002】
本発明は、アメリカ国立衛生研究所により承認された承認番号P30CA014051の政府支援によりなされたものである。
政府は本発明について一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
リンパ節は「リンパ腺」との呼称でも知られており、人体及び動物体全体に幅広く存在する楕円状の器官である。リンパ節はリンパ系の一体不可分の部位であり、疾患や感染から体を守る免疫反応を担うものである。リンパ節の状態から直接、個体の健康状態を知ることができる。リンパ節が腫れることにより、細菌感染、ウィルス感染、ガン等があることが分かる。リンパ節をイメージングしてその状態を確認することは、疾患の診断、予防及び処置に極めて役立つ。
【0004】
現在、リンパ節を可視化及び検査するためのイメージングモダリティが多数存在する。伝統的に標準の手法はリンパ管造影法である。リンパ管造影法は、患者に放射線造影剤を注入し、X線を用いてリンパ節やリンパ管を可視化するものである。この手順は侵襲性であり、有意な不快性を生じさせるものであり、放射性の薬剤を使用する。
【0005】
近年、リンパ節可視化において、コンピュータ断層撮影法(CT)及び磁気共鳴イメージング(MRI)を含む横断的イメージングモダリティが普及してきており、リンパ造影法に取って代わろうとしている。超音波断層撮影法や陽電子断層撮影法(PET)も有用であることが示されている。上記のこれら技術により、医師はリンパ節を同定して、その状態を合理的な正確さで判断することができるが、これらは汎用のイメージングモダリティであるため、その動作メカニズムは、特殊な造影剤を注入しないと、リンパ節に対して特異的に最良のコントラストを達成できない設計となっている。従って、他の器官や組織がリンパ節と同程度のコントラストで画像に現れ、時にはリンパ節より良好なコントラストで現れることもあり、リンパ節を発見及び診断する作業に支障を来してしまう。このような汎用のイメージングモダリティはリンパ節に特異でないだけでなく、それ自体で致命的な欠点も有する。CTはX線暴露を伴い、PETは放射性の薬剤を使用するため、健康被害の防止の点で慎重に制御する必要がある。MRIは高価な機材であり、また、金属インプラントを有する患者に使用することができない。超音波のイメージングコントラスト及び解像度は低く、その主な理由は、イメージング波長が長いことである。
【0006】
他の1つの実用化されている一般的なリンパ節イメージング法は、青色色素又は蛍光色素のいずれかの染料を注入する手法である。リンパ節可視化に最も一般的に用いられる色素はメチレンブルーであり、これは実際には毒性を有する。この色素の投与量は、慎重に管理しなければならない。蛍光色素であるインドシアニングリーンもリンパ節イメージングに用いられている。上述のインドシアニングリーンやメチレンブルー等の蛍光色素を利用するシステムには、FLARE(登録商標)システム、フルオビーム(fluobeam)システム、SPY、FDPM及びPhotodynamic Eyeシステムがある。これらの大半は、単独のイメージセンサ(典型的にはCCD)を用いて可視画像(参照画像)と蛍光画像とを順次取得するか、又は複数のカメラを用いて複数の異なるスペクトルを同時若しくは順次撮影
する。
【0007】
色素ベースの手法は数多くの欠点を有する。その1つの欠点は、色素によって一部の患者に、特に腎臓合併症を患っている人に副反応が生じ得ることである。他の1つの欠点は、リンパ系が漏出性であるため、色素注入法の信頼性が低くなり得ることである。さらに、特定の色素ベースの手法は色素を侵襲的に適用する必要がある。
【0008】
複数のカメラを用いて複数の画像を生成し及び/又は順次画像取得を行うイメージングシステムの場合、連続画像位置合わせが必要となる。複数の画像の空間パラメータの差を適切に協調させるためには、かかる画像処理は角度座標の変化、システムと対象との間の可能性のある相対動き、又はその両方を考慮する必要がある。他のタイプの撮影装置には、(1つ又は複数の)赤緑青チャネル(RGB)及びNIR-1の単一チャネルの両方で光を収集できる特殊なCMOSセンサがある。
【0009】
光スペックルイメージング、光コヒーレンストモグラフィ等を含めた、リンパ節をイメージングするための新規の光学技術の使用についての学術論文には、幾つか別の報告がなされている。しかし、光スペックルイメージングは非常に動きアーティファクトを生じやすく、光コヒーレンストモグラフィは複雑な機材を要し、そのイメージングコントラストは低い。
【0010】
要約すると、リンパ節はヒトの健康に対して決定的に重要であることを考慮すると、リンパ節を可視化するために簡便で有効性が高い手法は存在しない。横断的イメージング法は簡便ではなく、造影剤を注入しない限りはリンパ節の可視化に特異なものとはならない。色素ベースのイメージング技術は一般に高侵襲性であり、定期的な検査のような臨床設備とは相容れない。イメージング用造影剤を何ら注入することなく高い特異性、高コントラストでリンパ節を簡便にイメージングできる新規のイメージングモダリティがあれば、医師が患者の健康状態を診断し、特定の処置の有効性を評価し、個人のガンの状態をステージ分類するため、及びその他数多くの医療用途のために、強力なツールとなる。
【発明の概要】
【0011】
以下の記載は本願開示の簡単な要約を提供することを意図したものであり、本願開示の範囲を限定することを意図したものではない。
【0012】
一側面では、本願開示はリンパ系部位をイメージングするためのシステムを提供する。本システムは、対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、偏光を有する赤外線照射を行うための光源と、前記領域から直接反射され赤外線放射の偏光とは逆の偏光を有する赤外線照射の反射された一部をセンシングするように構成されたセンサと、センサと通信するコントローラと、を備えている。コントローラは、赤外線照射の反射された一部に対応する情報をセンサから受け取り、前記情報を用いて、対象の少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成し、前記少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力するように構成されている。
【0013】
他の一側面では、本願開示は、造影剤を用いずにリンパ節又はリンパ管を生体内イメージングするための方法を提供する。本方法は、光源を用いて、対象のうち造影剤を含まないリンパ節又はリンパ管を含む生体内領域に、偏光を有する赤外線照射を行うステップと、前記領域から直接反射された赤外線照射を受け取るように位置決めされたセンサを用いて、前記領域から直接反射され前記偏光とは逆の偏光を有する赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、赤外線照射の反射された一部を用いて、対象の造影剤を含まないリンパ節又はリンパ管を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、を有する。
【0014】
さらに他の一側面では、本願開示は、ミラーを用いずにリンパ節又はリンパ管をイメージングするための方法を提供する。本方法は、光源を用いて、対象のうちリンパ節又はリンパ管を含む領域に赤外線照射を行うステップと、前記領域から直接反射された赤外線照射を受け取るように位置決めされたセンサを用いて、前記領域から直接反射された赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、赤外線照射の反射された一部を用いて、対象のリンパ節又はリンパ管を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、を有する。
【0015】
さらに他の一側面では、リンパ系部位をイメージングするためのシステムを提供する。本システムは、対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、偏光を有する赤外線照射を行うための光源と、センサと、を備えており、センサは、前記領域から直接反射され前記偏光とは逆の偏光を有する赤外線照射の反射された一部をセンシングし、赤外線照射の反射された一部に基づき、対象の前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成し、前記少なくとも1つの画像を外部表示部及び/又は外部メモリのうち少なくとも1つに出力するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願開示の特定の側面の一例のイメージングシステムの概略図である。
【
図2】本願開示の特定の側面の他の一例のイメージングシステムの概略図である。
【
図3】本願開示の特定の側面のさらに他の一実施形態例のイメージングシステムの概略図である。
【
図4】本願開示の発明の一部の実施形態の、計算機と
図3に示されているインタフェースプラットフォームとを実装するために使用できる一例のハードウェアを示す図である。
【
図5】画像生成解析アプリケーションに含まれる処理の一例のフローチャートである。
【
図6】画像生成解析アプリケーションに含まれる他の処理の一例のフローチャートである。
【
図7A-B】
図7Aは偏光子を用いずに撮影された領域のイメージング結果を示す図である。
図7Bは偏光子を用いて撮影された
図7Aと同一の領域のイメージング結果を示す図である。
【
図8A-C】
図8Aは標準的なカメラを用いて撮影されたマウスの一領域の画像を示す図である。
図8Bはアジュバントを注入する前にイメージングシステムを用いて撮影された
図8Aのマウスの領域の画像を示す図である。
図8Cはアジュバントを注入してから48時間経過後にイメージングシステムを用いて撮影された
図8Aのマウスの領域の画像を示す図である。
【
図9A-C】
図9Aは標準的なカメラを用いて撮影されたマウスの一領域の画像を示す図である。
図9Bはアジュバントを注入する前にイメージングシステムを用いて撮影された
図9Aのマウスの領域の画像を示す図である。
図9Cはアジュバントを注入してから48時間経過後にイメージングシステムを用いて撮影された
図9Aのマウスの領域の画像を示す図である。
【
図10A-E】
図10Aは1000nmの照射波長を用いた場合のInGaAsカメラを用いて撮影された画像例を示す図である。
図10Bは1175nmの照射波長を用いた場合のInGaAsカメラを用いて撮影された画像例を示す図である。
図10Cは1250nmの照射波長を用いた場合のInGaAsカメラを用いて撮影された画像例を示す図である。
図10Dは1375nmの照射波長を用いた場合のInGaAsカメラを用いて撮影された画像例を示す図である。
図10Eは1550nmの照射波長を用いた場合のInGaAsカメラを用いて撮影された画像例を示す図である。
【
図11A-D】
図11Aは波長690nmの照射を用いて生成されリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Bは波長730nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Cは波長810nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Dは波長900~950nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
【
図11E-H】
図11Eは波長1000nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Fは波長1125nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Gは波長1175nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Hは波長1250nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
【
図11I-M】
図11Iは波長1300nmの照射を用いて生成された
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Jは波長1375nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Kは波長1550nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Lは波長1575nmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
図11Mは波長8~10μmの照射を用いて生成され
図11Aのリンパ節を含む画像を示す図である。
【
図12A-B】
図12Aは通常のカメラと周辺の可視光とを用いて生成された組織の画像を示す図である。
図12Bは
図3の実施形態のイメージングシステムを用いて生成された
図12Aの組織の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示されている一例の実施形態では、リンパ系部位をイメージングするためのイメージングシステム100が設けられている。ここでいう「リンパ系部位」は、リンパ節又はリンパ管のうち少なくとも1つを含むことができる。イメージングシステム100は、900~1300nmを発光するLED光源101を備えることができ、これは光源として使用される。LED光源101は「光源」101とも称され得る。イメージングシステム100は、直線偏光した照射光107(すなわち照射)を生成するために直線偏光子102を備えることができ、直線偏光子102は回転マウントに取り付けられてLED光源101の手前に配置される。直線偏光子102は直線偏光フィルムを備えることができる。直線偏光照射107は関心対象105に照射される。関心対象105は、
図1に示されているようにヒトとするか、又は動物とすることができる。
【0018】
光源101は関心対象105の生体内ターゲット領域106に向けることができる。生体内ターゲット領域106は、ここでは「生体内領域」又は「ターゲット領域」とも称され得る。一部の実施形態では、ターゲット領域106は例えば組織の一部等の生体外領域とすることができる。生体外の組織の一部は脂肪、リンパ節及び/又はリンパ管を含むこ
とができ、リンパ節及び/又はリンパ管は、この組織の一部が生体内にある場合と同様にイメージングすることができる。
【0019】
特定のレーザ等、光源の中には、内在的に直線偏光しているものがある。このように内在的に直線偏光している光源の場合、直線偏光照射を生成するために直線偏光子を使用する必要はない。よって、光源101が内在的に直線偏光している場合には、直線偏光子102は不要となり得る。換言すると、イメージングシステムの中には直線偏光子102を備えなくても良いものがある。偏光照射はこの技術のイメージングコントラストを改善するのを助けるが、必須ではない。リンパ節の明瞭なコントラストは、
図7A~7Bに示されているように、偏光子を何ら用いなくても形成することができる。
【0020】
引き続き
図1を参照すると、イメージングシステム100はセンサ104を備えることができ、これはカメラとすることができる。センサ104は、ヒト又は動物の照射領域を可視化するために用いられる。光源は、関心対象105のターゲット領域106に向けることができる。イメージングシステム100はもう1つの直線偏光子103を備えることができ、これは「センサ直線偏光子103」と称され得る。センサ直線偏光子103は直線偏光フィルムを備えることができる。センサ直線偏光子103はセンサ104の手前に配置することができ、及び/又は、センサ104とターゲット領域106との間に配置することができる。
【0021】
理想的なイメージングコントラストは、センサ104の手前の偏光子103より手前かつセンサ104の手前における入射光108の偏光が、センサ104の手前の偏光子103に対して直交する場合に形成されることができる。入射光は、生体内領域106の組織と相互作用した直線偏光照射107の一部を含むことができる。原則として、直線偏光照射はヒト又は動物の皮膚表面で反射したとき、その大半は直線偏光したままとなる。直線偏光の偏光状態は、皮膚表面から直接跳ね返った場合には変化しない。光のごく一部のみは、生体組織の比較的深くに侵入し、この生体組織がランダム散乱媒質となるため、ランダム偏光となった。センサ104の手前にセンサ直線偏光子103を入射光108の方向に直交するように配置することにより、センサ直線偏光子103はヒト又は動物の皮膚表面により反射された光をフィルタリング除去して、光源101から放射されてより深い組織と相互作用した光107の一部のみを透過させることとなる。皮膚表面から反射した光(すなわち表面グレア)が最小レベルに低下すると、イメージングシステム100は最良のコントラストと、最も深い浸透深さとを達成することができる。実用上はこの理想的なコントラストは、センサ104により検出される全体強度が最小になるまでセンサ直線偏光子103又は光源101の手前の直線偏光子102のいずれか一方の偏光子を回転させることにより、形成されることができる。この最小の全体強度は閾値コントラストレベルと関連付けることができる。閾値コントラストレベルは最小全体強度の所定の範囲内、例えば最小全体強度の10%以内とすることができ、センサ104においてこの閾値コントラストレベルに達するまで、偏光子(例えばセンサ直線偏光子103若しくは光源101の手前の直線偏光子102)及び/又は光源101を調整することができる。
【0022】
直線偏光した光子がターゲット領域106の組織と相互作用して散乱を経ると、直線偏光した光子は徐々に直線偏光状態を失っていく。例えば約10回散乱が生じる、直線偏光した光子は完全に脱偏光した光子となる。その後、この完全に脱偏光した光子はセンサ104の手前のセンサ直線偏光子103に到達する。センサ104の手前のセンサ直線偏光子103は光源101の手前の直線偏光子102に対して略直交しているので、完全に脱偏光し逆の偏光状態を有する光子のみがセンサ104によって検出可能となる。それゆえ、より深い深度でターゲット領域106の組織と相互作用した光子のみが分析対象に「選別」され、表面グレアと不要な表面特徴とが除去される。
【0023】
光源101から放射される光の波長を可視光より格段に長くすると(例えば1550nm)、イメージング品質をさらに改善することができる。波長をより長くすると、散乱作用の低下に繋がる。よって、より長い波長の直線偏光を完全に脱偏光するために必要な組織の厚さは、より短い波長の直線偏光の場合と比較して格段に厚くなる。よって、イメージングシステム100のようなイメージングシステムは、短い波長(例えば可視光スペクトルの波長)の場合より良好に深い組織をイメージングするため、より長い波長を有する光を対象(例えば対象105)に供給することができる。
【0024】
光源101が偏光子を用いなくても既に直線偏光したレーザである場合、センサ直線偏光子103又はレーザ自体のいずれかを回転することにより閾値コントラストレベルを満たすことができる。相対的な直交関係が重要となり、偏光の絶対的な方向は重要ではない。この直交する偏光関係が満たされている限り、偏光子、光源又はセンサのいずれかを回転することにより、最適なコントラストを達成することができる。なお、
図1のイメージングシステム100はミラーを要せず、また、ミラーや特定のイメージング技術で慣用されているような他の反射面を要しない。これにより、
図1のイメージングシステム100を構成するためのコストを、他のイメージング技術と比較して削減することができる。
【0025】
本願開示は、リンパ節が複屈折性すなわち偏光に対して応答性であることを認識したものである。リンパ節及び/又はリンパ管はコラーゲンを含むことがあり、コラーゲンは複屈折性である。さらに、リンパ節の周囲の組織、例えば脂肪(すなわち脂質)の層は、一般に複屈折性ではない。よって本願開示は、リンパ節及び/又はリンパ管の画像を生成するためにリンパ節及び/又はリンパ管と周囲の組織との間の複屈折の差を活用するため、交差偏光すなわち上記の直交する偏光関係を利用することができることを認識したものである。一部の実施形態では、光源101は1200~1600nmの波長の照射を提供することができ、これは、ターゲット領域106に含まれるリンパ節及び/又はリンパ管のコラーゲンの1つ又は複数の吸収ピークに相当する。従って、1200~1600nmの照射波長を用いることにより、リンパ節及び/又はリンパ管と周囲の組織とのイメージングコントラストを改善することができる。上記のように、波長を長くすると、散乱作用の低下によりリンパ節及び/又はリンパ管のイメージング解像度を改善することができる。
【0026】
さらに、より長波長の光、特に波長1550nmの光を含む照射は、ターゲット領域106のリンパ系部位のコントラストを改善することができる。一般に、リンパ系部位は脂肪に囲まれている。リンパ節及びリンパ管は水分量が高いのに対し、脂肪は水分量が非常に低い。光子の水中への吸収は1550nmで生じ、このことがおそらく、ターゲット領域106に照射するために波長1550nmの光を用いることにより、イメージングシステム100を用いて生成された画像におけるリンパ節及び/又はリンパ管のコントラストを改善できる理由(また、これによりリンパ節及び/又はリンパ管の可視性を改善できる理由)と考えられる。波長1550nmの照射光を用いて画像を生成すると、リンパ節及びリンパ管は暗く見えるのに対し、脂肪は明るくなる。
【0027】
さらに、より長波長の光、特に波長1550nmの光を含む照射は、ターゲット領域106の周囲の血液に対するリンパ系部位のコントラストを改善することができる。血液の水分量は高く、また、血液は細胞含有量も多い。細胞は高散乱性であり、水の吸収作用を上回る。試験により、イメージングシステム100は、ターゲット領域106における血液及び/又は出血が見えず、脂肪と比較しても見えない画像を生成することが分かった。血液及び/又は出血の可視性が抑えられることは、血液及び/又は出血が見える画像を生成する他のイメージングモダリティに対するイメージングシステム100の利点である。出血はリンパ節と間違えられ得るものであり、その際には分析のために採取される。画像から出血を抑制及び/又は除去することにより、病理医が患者を診断するときに誤って陽性と同定する回数を低減することができる。
【0028】
上記では、対象の生体内領域に適用されるものとしてイメージングシステム100を説明したが、イメージングシステムは生体外組織試料にも適用できることが明らかである。例えば、ターゲット領域106は、リンパ節と脂肪とを含み得る組織パケットを含むことができる。この組織パケットは、腫瘍とこれに関連するリンパ節とが同定された後にリンパ節切除術を行っている間に、対象105から採取してしまうことができる。その後、肉眼診断ステップ中に組織パケットに含まれる脂肪やその他の全ての周囲組織からリンパ節を分離しなければならない場合がある。典型的には、病理医が触診と目視とでリンパ節を採取するが、これは誤りが起きやすい。その理由は、リンパ節は透明で脂肪と似ていることが多く、リンパ節の両端間は1mm程度と小さいことがあり、また、リンパ節の場所は予測不能であることが多いからである。イメージングシステム100は病理医に対してリンパ節を可視化してリンパ節を表示するために用いることができ、病理医はターゲット領域106からリンパ節を効率的かつ正確に採取することができる。ガン組織は、ガンの具体的な種類を診断するためにある程度の数のリンパ節を必要とする場合がある。必要なリンパ節の数は、12~38の範囲になり得る。よってイメージングシステム100は、ターゲット領域106において見逃されるリンパ節の数の低減を可能にすることにより、病理医が必要な数のリンパ節を取得するのを助けることができる。
【0029】
図2には、イメージングシステム200の他の一例の実施形態が示されている。本例のイメージングシステム200では、光源201として連続光照射を行うハロゲンランプが用いられる。900~1300nm範囲外の波長の直接反射による背景を低減するため、カットオフ波長が900nm又は1000nmのロングパスフィルタを使用して、それより短い波長の光をフィルタリング除去する。イメージングシステム200は一次ロングパスフィルタ203と二次ロングパスフィルタ205とを備えることができる。一次ロングパスフィルタ203及び二次ロングパスフィルタ205の各カットオフ波長は、それぞれ900nm~1000nmから選択することができる。イメージングシステム200は、直線偏光子202をスクリューマウントに取り付けたものを備えることができる。直線偏光子202は直線偏光フィルムを備えることができる。直線偏光子202は、光源201(例えばハロゲンランプ等)からの照射光を直線偏光させるために光源201の手前に配置することができる。一次ロングパスフィルタ203は、光源201から放射されたカットオフ波長未満の光を可能な限りフィルタリング除去するため、光源201の手前に配置することができる。
【0030】
イメージングシステム200に備えられるセンサ204として、市販されている通常のシリコンカメラが用いられる。一部の実施形態では、センサ204としてブラックシリコンカメラ及び/又はInGaAsカメラを使用することができる。センサ204の手前にはセンサ直線偏光子206がスクリューマウントに取り付けられて配置されている。センサ直線偏光子206は直線偏光フィルムを備えることができる。結像のためにセンサ204の手前にレンズ(不図示)も配置されており、このレンズはテレセントリックレンズとすることができる。テレセントリックレンズは、リンパ節がセンサ204から離れている距離如何にかかわらず、センサ204を用いて生成された画像におけるリンパ節のサイズの正規化を助けることにより、イメージングシステム200の測定精度を向上させることができる。一次ロングパスフィルタ203は、周辺光又は光源201(ハロゲンランプ等)のいずれかからの不所望の背景をフィルタリング除去するために、センサ204の手前に配置された。一部の実施形態では、二次ロングパスフィルタ205が当該二次ロングパスフィルタ205のカットオフ周波数を下回る可視周波数を含み得る背景光を消去できるため、周辺光及び/又は背景光の異なる量ごとにセンサ204を較正する必要がない場合がある。センサ204の較正が不要になることにより、リンパ系部位の検出にかかる時間を削減することができ、また、1つ又は複数のセンサの較正を要するイメージングシステムと比較してイメージングシステム200をロバストにすることができる。光源201及びセンサ204は両方とも、ヒト又は動物のいずれか、例えば
図2に示されているように人間207等、調査する対象の同じ関心領域を向く必要がある。なお、
図2のイメージングシステム200はミラーを備えておらず、また、特定のイメージング技術において慣用されているミラーや他の反射面も要しない。これにより、他のイメージングシステム及び/又は他のイメージング技術と比較して
図2のイメージングシステム200を構成するコストを削減することができる。
【0031】
一部の実施形態では、イメージングシステム200にコントローラ(不図示)を備え付けることができる。コントローラは、レーザ又はLED等の光源や、カメラ等のセンサに結合することができる。コントローラは、光源及びセンサに結合されてこれらと通信することができる。コントローラは、光源に供給される電力を制御することにより、光源に赤外線照射を領域に供給させるよう構成することができる。コントローラはまた、対象から反射された赤外線照射に応じた情報をセンサから受け取ることもできる。反射された赤外線照射は、光源により供給された元の赤外線照射の「反射された一部」と称することもできる。コントローラは、受け取った情報を用いて、対象のリンパ節を示す少なくとも1つの画像を生成することもできる。
【0032】
ここで
図1,2と共に
図3を参照すると、さらに他の一例の実施形態のイメージングシステム300の概略が示されている。一部の実施形態では、イメージングシステム300はほぼ靴箱のサイズとすることができ、これによりベンチトップイメージングシステムとすることができる。イメージングシステム300はインタフェースプラットフォーム302を備えることができる。インタフェースプラットフォーム302は少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサと、センサ及び光源(不図示)と通信できる任意の数の接続インタフェースと、を備えることができる。インタフェースプラットフォーム302は、画像生成解析アプリケーション304の少なくとも一部を(例えば前記少なくとも1つのメモリに)記憶して、(例えば前記少なくとも1つのプロセッサを用いて)実行することができる。下記に説明するように、インタフェースプラットフォーム302はイメージングシステム300に備えられている計算機334に結合されて通信することができ、この計算機334も、画像生成解析アプリケーション304の少なくとも一部を記憶及び/又は実行することができる。インタフェースプラットフォーム302はコントローラ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、又は、センサから信号を受け取り制御信号を光源へ出力できる他のデバイスとすることができる。コントローラは、例えばラズベリーパイ(登録商標、Raspberry Pi)4モデルB等のマイクロコントローラとすることができる。一部の実施形態では、コントローラは、ウィンドウズ(登録商標)オペレーティングシステムを用いて動作するように構成されているインテル(登録商標)NUCコンピュータとすることができる。
【0033】
インタフェースプラットフォーム302は、イメージングシステム300に備えられた照射生成システム306に結合されて通信することができる。照射生成システム306は光源308を備えることができる。インタフェースプラットフォーム302は光源308に結合されて通信することができる。インタフェースプラットフォーム302は、光源308に照射を行わせるために光源308に制御信号を出力することができる。一部の実施形態では、光源308はインタフェースプラットフォーム302に適切なデータ(例えば総寿命動作時間等)を出力することができる。照射生成システム306、より具体的には光源308の向きは、ターゲット領域318に照射314を供給するような向きとすることができ、このターゲット領域318は、下記にて詳細に説明するように生体内(例えば、患者等の対象316に含まれる領域等)又は生体外とすることができる。照射生成システム306から出力される照射314は「供給照射314」と称することもできる。照射314は赤外線照射とすることができる。赤外線照射は近赤外線域(波長800~1400nm)の光及び/又は短波赤外線域(波長1400~3000nm)の光を含むことができる。
【0034】
光源308は、シングルLED等のLED、LEDアレイ等の複数のLED、タングステンハロゲンランプ、水晶ハロゲンランプ若しくは水素ヨウ素ランプ等のハロゲンランプ、レーザ、又は1つ若しくは複数の所定の波長の光を出力できる他の適した光源のうち少なくとも1つを備えることができる。一部の実施形態では、光源308は1つ又は複数の離散的な波長の光、例えば1550nm、1375nm、1300nm、及び/又は800nm~1700nmの波長から選択された他の波長を出力することができる。例えば、光源308は波長1550nmの光のみを出力するものとすることができる。一部の実施形態では、光源は800~2000nmの範囲内の波長の部分範囲、例えば1200~1600nmの波長の部分範囲等に含まれる1つ又は複数の離散的な周波数を出力することができる。一部の実施形態では、光源308は連続範囲の波長の光、例えば900~1300nm、1500~1600nm、1200~1600nm、1000~1700nm(すなわち近赤外線)、及び/又は800~2000nm以内の他の波長範囲の光を出力することができる。一部の実施形態では、光源308は
図1の光源101又は
図2の光源201とすることができる。とりわけ、光源308は、上記にて説明したように周囲の脂肪、血液及び/又は出血に対するリンパ系部位のコントラストをより良好にするため、より長波長の光、特に波長1550nmの光を出力することができる。イメージングシステム300が適正に動作するためには、光源308は一定範囲の波長の光を放射する必要はない。試験では、波長1550nmの光を使用するだけでも優れたイメージングが達成された.。しかし、イメージングシステム300は複数の波長の光を用いても適切なイメージングを行うことができる。センサの中には、2600nmを超えると応答を停止するセンサ、例えば特定のInGaAsカメラ等があるので、使用できる光の波長は最大2600nmであることが考えられる。よって、イメージングシステム300では800~2600nmの範囲の波長の光を使用することができる。試験では、800nm未満の波長の光は、それより高い波長、例えば800~1700nm等の光ほど良好なパフォーマンスを示さなかった。
【0035】
一部の実施形態では照射生成システム306は直線偏光子等の偏光子310を備えることができる。内在的に偏光していない特定の光源、例えばハロゲン光源等の場合、イメージングシステム300は偏光子310を備えることができる。偏光子310は直線偏光フィルムを備えることができる。偏光子310は、直線偏光照射光を生成するため、光源310の手前に取り付けて配置することができる。偏光子310は、回転マウント、又は当該偏光子310を調整できる他の適切なマウントに取り付けることができる。よって、ターゲット領域318に供給される照射314は直線偏光とすることができる。偏光照射によって、イメージングシステム300により生成される画像のイメージングコントラストを改善することができるが、これは必須ではない。一部の実施形態では、偏光子310は
図1の直線偏光子102又は
図2の直線偏光子202とすることができる。光源308が内在的に偏光しているデバイス、例えば特定のレーザ等である場合、偏光子310をイメージングシステム300に備えなくても良い。一部の実施形態では、偏光子310は円偏光子とすることができる。
【0036】
一部の実施形態では、照射生成システム306は光学フィルタ312を備えることができる。光学フィルタ312は、例えばコールドミラー、カラーガラスフィルタ、熱硬化アリルジグリコールカーボネート(ADC)フィルタ、又は、短波長の光(例えば可視光)を減衰して長波長の光(例えば赤外光)を通す他の適切なフィルタ等のロングパスフィルタとすることができる。ロングパスフィルタのカットオフ波長は、800nmを超えないものとすることができる。例えば、カットオフ波長は800nm、900nm又は1000nmとすることができる。光学フィルタ312は、光源308から放射されたカットオフ波長未満の光を可能な限りフィルタリング除去するため、光源308の手前に配置することができる。一部の実施形態では、光学フィルタ312は
図2の一次ロングパスフィルタ203とすることができる。一部の実施形態では、光学フィルタ312は例えばハードコートフィルタ又はカラーガラスフィルタ等のバンドパスフィルタとすることができる。バンドパスフィルタは、800~2000nmの範囲内の波長の光のみを透過するもの、又は800~2000nmの範囲に含まれる部分範囲の波長の光のみを透過するものとすることができる。例えば、バンドパスフィルタは波長900~1700nmの光のみを透過するものとすることができる。よって、ターゲット領域318に供給される照射314は、ロングパスフィルタリング又はバンドパスフィルタリングされたものとすることができる。
【0037】
光源308、偏光子310及び/又は光学フィルタ312は、
図1及び/又は
図2に示されているように互いに物理的に相対的に配置すること(すなわち位置決めすること)ができる。例えば、光源308及び偏光子310のそれぞれの配置は、
図1に示されているような光源101及び直線偏光子102の配置と同様とすることができる。他の一例として、光源308、偏光子310及び光学フィルタ312の配置は、
図2に示されているような光源201、直線偏光子202及びロングパスフィルタ203の各配置と同様とすることができる。光源308は照射314を出力し、この照射314は偏光子310を透過して偏光子310により偏光され、及び/又は、光学フィルタ312によって減衰されることができる。偏光及び/又は減衰され得る照射314は、その後にターゲット領域318へ供給される。
【0038】
上記にて述べたように、光源308、より広くいうと照射生成システム306の向きは、ターゲット領域318に照射314を供給するような向きとすることができる。一部の実施形態では、ターゲット領域318は対象316に含まれる生体内領域とすることができる。これらの実施形態では、ターゲット領域318は「生体内領域」と称され得る。対象316はヒトの患者とすることができる。他の実施形態では、ターゲット領域318は生体外領域とすることができる。これらの実施形態では、ターゲット領域318は「生体外領域」と称され得る。例えばターゲット領域318は、上記のように肉眼診断目的で対象から採取された組織の一部とすることができる。イメージングシステム300を用いて、医師に対してリンパ系部位を可視化することにより、組織の一部の肉眼診断を助けることができる。
【0039】
ターゲット領域318には、照射314の少なくとも一部を供給することができる。ターゲット領域318は1つ又は複数のリンパ系部位を含むことができる。供給照射314は、ターゲット領域318のリンパ系部位及びその周囲組織と相互作用することができる。供給照射314の少なくとも一部は、上記のようにランダム偏光となることができる。供給照射314の少なくとも一部は、反射されて反射照射320となることができる。反射照射320は、ターゲット領域318内の深い組織と相互作用した光を含むことができる。
【0040】
インタフェースプラットフォーム302は、イメージングシステム300に備えられているセンシングシステム322に結合されて通信することができる。センシングシステム322はセンサ324を備えることができる。インタフェースプラットフォーム302はこのセンサ324に結合されて通信することができる。センサ324は反射照射320をセンシングして、センシングした反射照射320に基づき、画像に関連する信号を出力することができる。インタフェースプラットフォーム302は、センサ324から画像を示す信号を受け取ることができる。この信号は、画像に関する情報を含むことができる。一部の実施形態では、この情報は、例えばPNG、JPEG、DICOM(すなわちDICOMファイルに含まれる)等の所定の画像フォーマットにフォーマッティングされた画像等を含むことができる。一部の実施形態では、情報は画像に関するメタデータ、例えば画
像を撮影した時刻又は画像に関連付けられた患者等を含むこともできる。一部の実施形態では、センサ324は、蛍光コーティングを有するシリコン電荷結合素子(CCD)カメラ若しくはシリコン相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラを含むシリコンカメラ、ゲルマニウムカメラ、ゲルマニウム錫・オン・シリコン・カメラ、ブラックシリコンカメラ、量子ドット短波赤外線(SWIR)カメラ、及び/又は、InGaAsカメラ等のカメラを備えることができる。InGaAsカメラは、窒素冷却InGaAsカメラとすることができる。センサ324は水銀カドミウムテルル化物(HgCdTe又はMCT)カメラを含むことができる。センサ324は、少なくとも一部が800nm~2000nmの範囲の波長、特に1550nmの波長又はその付近の波長である光に対して応答するものとすることができる。なお、イメージングシステム300は、複数のセンサ及び/又はカメラを要し得る他のシステムとは異なり、必要なセンサは1つだけとなり得る(例えばシリコンカメラ等)。
【0041】
センシングシステム322は、センサ324の手前に配置されたレンズ326を備えることができる。一部の実施形態では、例えばセンサ324とレンズ326とが単一の既製品として販売される場合、レンズ326はセンサ324と一体とすることができる。レンズ326はセンサ324の撮影性能を改善することができる。例えば、レンズ326はテレセントリックレンズとすることができる。テレセントリックレンズは、リンパ節がセンサ324から離れている距離如何にかかわらず、センサ324を用いて生成された画像におけるリンパ節のサイズの正規化を助けることにより、イメージングシステム300の測定精度を向上させることができる。
【0042】
一部の実施形態ではセンシングシステム322は、例えばすりガラス片又は薄葉紙片等の光ディフューザ328を備えることができる。光ディフューザ328はレンズ326と偏光子332との間に挿入することができ、この偏光子332はセンシングシステム322に含めることができる。光ディフューザ328は、反射照射320においてより均一な分布の光パターンを生成することができる。光ディフューザ328は、このように光パターンがより均一になる結果として、センサ324の撮影性能を改善することができる。
【0043】
一部の実施形態では、センシングシステム322は、センサ324の手前に配置された光学フィルタ330を備えることができる。光学フィルタ330は、例えばコールドミラー、カラーガラスフィルタ、熱硬化ADCフィルタ、又は、短波長の光(例えば可視光)を減衰して長波長の光(例えば赤外光)を通す他の適切なフィルタ等のロングパスフィルタとすることができる。ロングパスフィルタのカットオフ波長は、800nmを超えないものとすることができる。例えば、カットオフ波長は800nm、900nm又は1000nmとすることができる。一部の実施形態では、光学フィルタ330は当該光学フィルタ330のカットオフ周波数を下回る可視周波数を含み得る背景光を消去できるため、周辺光及び/又は背景光の異なる量ごとにセンサ324を較正する必要がない場合がある。一部の実施形態では、光学フィルタ330は
図2に示されている二次ロングパスフィルタ205とすることができる。一部の実施形態では、光学フィルタ330は例えばハードコートフィルタ又はカラーガラスフィルタ等のバンドパスフィルタとすることができる。バンドパスフィルタは、800~2000nmの範囲内の波長の光のみを透過するもの、又は800~2000nmの範囲に含まれる部分範囲の波長の光のみを透過するものとすることができる。例えば、バンドパスフィルタは波長900~1700nmの光のみを透過するものとすることができる。よって、センサ324に供給される反射照射320は、ロングパスフィルタリング又はバンドパスフィルタリングされたものとすることができる。
【0044】
上記にて述べたように、センシングシステムは偏光子332を備えることができる。偏光子332は直線偏光子とすることができる。一部の実施形態では、偏光子332は円偏光子とすることができる。偏光子332はセンサ324の手前に配置することができる。
偏光子332は直線偏光フィルムを備えることができる。照射生成システム306に設けられた偏光子310と同様、センシングシステム322に設けられた偏光子332も、回転マウント、又は調整を行える他の適切なマウントに取り付けることができる。直線偏光子310,332は、上記のように理想的なイメージングコントラストを得るために回転され、又は他の態様で調整されることができる。偏光子332は、供給照射314と同じ偏光を有するあらゆる光を反射照射320から除去することができる。センサ324は、反射照射320に含まれ逆の偏光を有する光を、供給照射314として検出することができる。
【0045】
一部の実施形態では、センサ324は外部表示部372に結合されて通信することができる。代替的又は追加的に、センサ324は、イメージングシステム300内又はイメージングシステム300の外部に設けることができるメモリ374に結合されて通信することができる。例えば、メモリ374は、メモリカードに設けられたフラッシュメモリとすることができる。センサ324が外部表示部372及び/又はメモリ374に結合されて通信する実施形態では、センサ324は供給照射314の反射された一部をセンシングし、供給照射314の反射された一部(すなわち反射照射320)に基づいてターゲット領域318のあらゆるリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成する構成とすることができる。センサ324は、この少なくとも1つの画像を外部表示部372又はメモリ374のうち少なくとも1つに出力する構成とすることもできる。
【0046】
一部の実施形態では、光源308をコントローラ又は他のデバイスに接続しないことが可能であり、必要な接続先を電源のみとすることが可能である。かかる実施形態では、光源308は照射314をターゲット領域318へ常時又は準常時供給することができる。一部の実施形態では、インタフェースプラットフォーム302が光源308に給電することができる(すなわち電源として働くことができる)。他の実施形態では、光源308は壁電源、1つ若しくは複数の電池、又は他の適切な電源から受電することができる。
【0047】
一部の実施形態では、センサ324を外部表示部372及び/又はメモリ374に結合すると共に、光源をインタフェースプラットフォーム302及び/又は他の適切なデバイスに結合することなく電源に結合することができる。よって、イメージングシステム300はコントローラ又は演算装置を用いずに具現化することができる。
【0048】
一部の実施形態では、イメージングシステム300はクラス1、510(k)除外、及び/又は医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMP)除外とすることができる。
【0049】
イメージングシステム300は上記の外部表示部372及び/又は計算機334を備えることもできる。上記にて述べたように、インタフェースプラットフォーム302は計算機334に結合されて通信することができる。イメージングシステム300は通信ネットワーク336を備えることができる。通信ネットワーク336は、インタフェースプラットフォーム302と計算機334との間の通信を促進することができる。インタフェースプラットフォーム302は外部表示部372に結合されて通信することができる。
【0050】
一部の実施形態では、通信ネットワーク336は任意の適切な通信ネットワーク、又は複数の通信ネットワークの任意の適切な組み合わせとすることができる。例えば通信ネットワーク336は、WiFi(登録商標)ネットワーク(1つ又は複数の無線ルータ、1つ又は複数のスイッチ等を含むことができる)、ピアツーピアネットワーク(例えばBluetooth(登録商標)ネットワーク等)、携帯電話網(例えば、CDMA,GSM,LTE,LTE Advanced、WiMAX等の任意の適切な標準規格に準拠した3Gネットワーク、4Gネットワーク等)、有線ネットワーク等、を備えることができる。一部の実施形態では、通信ネットワーク336はローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、公共のネットワーク(例えばインターネット等)、私有若しくは準私有のネットワーク(例えば社内若しくは大学のイントラネット)、他の任意の適切な種類のネットワーク、又は複数のネットワークの任意の適切な組み合わせ、とすることができる。
図3に示されている各通信リンクは、例えば有線リンク、光ファイバリンク、WiFiリンク、Bluetooth(登録商標)リンク、携帯電話リンク等の任意の適切な通信リンク又は複数の通信リンクの任意の適切な組み合わせとすることができる。一部の実施形態では、計算機334は画像生成解析アプリケーション304の一部を実装することができる。
【0051】
ここで
図3と共に
図4を参照すると、
図3に示された本願開示の発明の一部の実施形態の計算機334及びインタフェースプラットフォーム302を具現化するために使用できるハードウェア例が示されている。
図4に示されているように、計算機334はプロセッサ350と、表示部352と、入力部354と、通信システム356と、メモリ358と、を備えることができる。プロセッサ350は画像生成解析アプリケーション304の少なくとも一部を実装することができ、この画像生成解析アプリケーション304は例えばプログラム(例えばメモリ358に保存されてメモリ358から呼び出されたプログラム等)から実行することができる。プロセッサ350は、プログラムを実行できる例えば中央処理装置(「CPU」)、グラフィック処理装置(「GPU」)等の任意の適切なハードウェアプロセッサ又は複数のプロセッサの任意の適切な組み合わせとすることができ、上記プログラムは下記にて説明する処理を含むことができる。
【0052】
一部の実施形態では、表示部352はグラフィカルユーザインタフェースを提示することができる。一部の実施形態では、表示部352は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビ受像機等の任意の適切な表示装置を用いて具現化することができる。一部の実施形態では、計算機334の入力部354はインジケータ、センサ、作動可能なボタン、キーボード、マウス、グラフィカルユーザインタフェース、タッチスクリーンディスプレイ等を備えることができる。一部の実施形態では、入力部354は、ユーザ(例えば放射線科医等の医師)が計算機334とインタラクションして(例えば通信ネットワーク336を介して)インタフェースプラットフォーム302とインタラクションするためのものとすることができる。
【0053】
一部の実施形態では通信システム356は、任意の適切な通信ネットワークを介して他のシステムと通信するために適した任意のハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができる。例えば、通信システム356は1つ若しくは複数の送受信器、1つ若しくは複数の通信チップ、及び/又はチップセット等を備えることができる。具体的な一例では、通信システム356は、同軸接続、光ファイバ接続、イーサネット接続、USB接続、WiFi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、携帯電話接続等を確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを備えることができる。一部の実施形態では、通信システム356は計算機334が(例えば直接、又は通信ネットワーク336を介して間接的に)インタフェースプラットフォーム302と通信するためのものである。
【0054】
一部の実施形態ではメモリ358は、例えばプロセッサ350が表示部352を用いてコンテンツを提示するため、(1つ又は複数の)通信システム356を介してインタフェースプラットフォーム302と通信するため等に使用できる命令、値等を記憶するために使用できる1つ又は複数の任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ358は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えばメモリ358は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光学ドライブ等を含むことができる。一部の実施形態では、メモリ358は、計算機334(又はインタフェースプラットフォーム302)の動作を制御するためのコンピュータプログラムをエンコードしたものを格納することができる。一部の実施形態ではプロセッサ350は、コンテンツ(例えばユーザインタフェース、画像、グラフィックス、表、レポート等)を提示するため、インタフェースプラットフォーム302からコンテンツを受け取るため、情報をインタフェースプラットフォーム302へ送信するため等に、上記のコンピュータプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0055】
図4に示されているように、インタフェースプラットフォーム302はプロセッサ360と、表示部362と、入力部364と、通信システム366と、メモリ368と、コネクタ370と、を備えることができる。一部の実施形態では、プロセッサ360は画像生成解析アプリケーション304の少なくとも一部を実装することができ、この画像生成解析アプリケーション304は例えばプログラム(例えばメモリ358に保存されてメモリ368から呼び出されたプログラム等)から実行することができる。プロセッサ360は、プログラムを実行できる例えば中央処理装置(「CPU」)、グラフィック処理装置(「GPU」)等の任意の適切なハードウェアプロセッサ又は複数のプロセッサの任意の適切な組み合わせとすることができ、上記プログラムは下記にて説明する処理を含むことができる。
【0056】
一部の実施形態では、表示部362はグラフィカルユーザインタフェースを提示することができる。一部の実施形態では、表示部362は、コンピュータモニタ、タッチスクリーン、テレビ受像機等の任意の適切な表示装置を備えることができる。一部の実施形態では、インタフェースプラットフォーム302の入力部364はインジケータ、センサ、作動可能なボタン、キーボード、マウス、グラフィカルユーザインタフェース、タッチスクリーンディスプレイ等を備えることができる。一部の実施形態では、入力部364は、ユーザ(例えば第1のレスポンダ)がインタフェースプラットフォーム302とインタラクションして(例えば通信ネットワーク336を介して)計算機334とインタラクションするためのものとすることができる。計算機334は外部表示部372に結合されて通信することができ、外部表示部372は表示部352の機能の少なくとも一部を提供することができる。
【0057】
図4に示されているように、インタフェースプラットフォーム302は通信システム366を備えることができる。通信システム366は、任意の適切な通信ネットワークを介して他のシステムと通信するために適した任意のハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアを備えることができる。例えば、通信システム366は1つ若しくは複数の送受信器、1つ若しくは複数の通信チップ、及び/又はチップセット等を備えることができる。具体的な一例では、通信システム366は、同軸接続、光ファイバ接続、イーサネット接続、USB接続、WiFi(登録商標)接続、Bluetooth(登録商標)接続、携帯電話接続等を確立するために使用できるハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを備えることができる。一部の実施形態では、通信システム366はインタフェースプラットフォーム302が(例えば直接、又は通信ネットワーク336を介して間接的に)計算機334と通信するためのものである。通信システム366は光源及び/又はセンサ324と通信して、コネクタ370の機能の少なくとも一部を提供することも可能である。これについては下記にて説明する。
【0058】
一部の実施形態ではメモリ368は、例えばプロセッサ360が表示部362を用いてコンテンツを提示するため、(1つ又は複数の)通信システム366を介して計算機334と通信するため等に使用できる命令、値等を記憶するために使用できる1つ又は複数の任意の適切な記憶装置を含むことができる。メモリ368は、任意の適切な揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ストレージ、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。例えばメモリ368は、RAM、ROM、EEPROM、1つ又は複数のフラッシュドライブ、1つ又は複数のハードディスク、1つ又は複数のソリッドステートドライブ、1つ又は複数の光学ドライブ等を含むことができる。一部の実施形態では、メモリ368は、インタフェースプラットフォーム302(又は計算機334)の動作を制御するためのコンピュータプログラムをエンコードしたものを格納することができる。一部の実施形態ではプロセッサ360は、コンテンツ(例えばユーザインタフェース、グラフィックス、表、レポート等)を提示するため、計算機334からコンテンツを受け取るため、情報を計算機334へ送信するため等に、上記のコンピュータプログラムの少なくとも一部を実行することができる。
【0059】
一部の実施形態では、コネクタ370は有線接続とすることができ、これにより光源308及びセンサ324がインタフェースプラットフォーム302と通信できるように、またこれにより(例えば通信システム366を介して直接、又は例えば通信ネットワーク336等を介して間接的に)計算機334と通信できるようにすることができる。追加的又は代替的に、光源308及び/又はセンサ324は(例えばコネクタ370及び/又は通信システム366を介して)インタフェースプラットフォーム302へ情報を送信すること及び/又はインタフェースプラットフォーム302から情報を受け取ることもできる。
【0060】
ここで
図3,4と共に
図5を参照すると、画像生成解析アプリケーション304に含まれる処理400の一例のフローチャートが示されている。一部の実施形態では、ターゲット領域318の画像を生成するため、インタフェースプラットフォーム302及び計算機334はそれぞれ処理400の一部を実行することができる。このターゲット領域318は、例えばリンパ節及び/又はリンパ管等のリンパ系部位を含むことができる。上記のように、ターゲット領域318は生体内(例えば、対象316に含まれる領域等)又は生体外(例えば、対象から採取された組織パケット等)とすることができる。一部の実施形態では、インタフェースプラットフォーム302は処理400の全部を実行することができる。
【0061】
402において、処理400は光源308に、ターゲット領域318へ照射314を供給させることができる。ターゲット領域318はリンパ系部位を含むことができる。供給照射314は偏光子310及び/又は光学フィルタ312を透過することができる。その後、供給照射314はターゲット領域318に供給される。その後、供給照射314の少なくとも一部は、上記のようにセンシングシステム322に向けて反射されて反射照射320となることができる。反射照射320はセンサ324に到達する前に、偏光子332、光学フィルタ330、光ディフューザ328、及び/又はレンズ326を通過することができる。一部の実施形態では、光源308が照射314をターゲット領域318へ連続的又は準連続的に供給し続ける場合、処理400が光源308に照射を供給させる必要がない場合がある。換言すると、一部の実施形態では処理400はステップ402を実施しないことが可能である。
【0062】
404において、処理400は照射314の反射された一部を検出することができる。この反射された一部は反射照射320とすることができる。反射された一部は、ターゲット領域318から直接反射されたものとすることができる。反射された一部はターゲット領域318から直接反射されたものであるから、システム300は、反射された一部の方向をセンサ324に向けて変更するためにミラーや他の反射器を使用する必要がない。処理404は、反射された一部をセンサ324を用いて検出することができる。照射314の反射された一部の検出は、反射された一部に応じた信号をセンサ324から受け取ることを含むことができる。
【0063】
406において、ターゲット領域318にリンパ節やリンパ管等の1つ又は複数のリン
パ系部位が存在する場合、処理400は照射314の反射された一部を用いて、当該リンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成することができる。処理400は404において、センサ324から受け取った信号に基づいて少なくとも1つの画像を生成することができる。処理400は、センサ324からの信号に基づいて画像を生成することができる。一部の実施形態では、センサ324から出力される信号は、リンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を含むことができる。処理400は、センサから受け取った少なくとも1つの画像をフォーマット変換及び/又は圧縮することができる。代替的に、処理400は上記の少なくとも1つの画像をセンサ324から受け取ったときの状態で記憶すること(すなわち、メモリ358及び/又はメモリ368に記憶すること)ができる。
【0064】
408において、処理400は上記の少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つへ出力することができる。表示部は、インタフェースプラットフォーム302に設けることができる表示部362、演算装置334に設けることができる表示部352、又は外部表示部372とすることができる。メモリは、インタフェースプラットフォーム302に設けられるメモリ368、又は計算機334に設けられるメモリ358とすることができる。メモリは、イメージングシステム300外部のメモリ、例えば遠隔サーバに設けられるメモリ等とすることができる。
【0065】
ここで、
図3~4と共に
図6を参照すると、画像生成解析アプリケーション304に含まれる処理450の一例のフローチャートが示されている。一部の実施形態では、セグメンテーション機械学習モデル及び/又は分類機械学習モデルを訓練するため、並びに、訓練された後のセグメンテーション機械学習モデル及び/又は分類機械学習モデルを用いてイメージングシステム(例えば
図3及び
図4のイメージングシステム300等)により生成された画像を解析するため、インタフェースプラットフォーム302及び計算機334はそれぞれ処理450の一部を実行することができる。
【0066】
452において、処理450はセグメンテーションモデルのための訓練データを受け取ることができる。セグメンテーションモデルは、例えば畳込みニューラルネットワーク等の機械学習モデルとすることができる。畳込みニューラルネットワークはU-Netネットワークアーキテクチャを含むことができる。セグメンテーションモデルのためのこの訓練データは、生画像と、これに関連するセグメントとを含むことができる。生画像は、例えば
図1のイメージングシステム100、
図2のイメージングシステム200、又は
図3のイメージングシステム300等のイメージングシステムを用いて生成することができる。セグメントは、画像のうちリンパ節に対応する領域、又はリンパ節が不在の領域とすることができる。一部の実施形態では、セグメントはリンパ管に対応する領域を含むこともできる。よって、セグメンテーションモデルは画像内のリンパ節及びリンパ管をセグメンテーションするように訓練することができる。セグメントは、例えば腫瘍科医等の資格のある医師により予め同定しておくことができる。一部の実施形態では、セグメンテーションモデルは、リンパ節を同定する所定のアルゴリズムとすることができ、このアルゴリズムは訓練を要しないものとすることができる。
【0067】
454において、処理450は分類モデルのための訓練データを受け取ることができる。分類モデルは、例えば回帰型ニューラルネットワーク等の機械学習モデルとすることができる。分類モデルは、画像全体を分類するように訓練することができる。分類モデルのための訓練データは、例えば
図1のイメージングシステム100、
図2のイメージングシステム200、又は
図3のイメージングシステム300等のイメージングシステムを用いて生成された多数の生画像を含むことができる。訓練データは、上記の多数の生画像に対応するセグメンテーション処理された多数の画像を含むことができる。セグメンテーション処理された画像は、訓練されたセグメンテーションモデルに生画像を入力することにより生成することができる。一部の実施形態では、訓練データは、セグメンテーションされたリンパ節及び/又はリンパ管の分類を含むことができる。この分類は悪性又は良性とすることができ、また、適切な医師により提供することができる。一部の実施形態では、各分類は、訓練データに含まれる各生画像全体に関連付けることができる。
【0068】
456において、処理450はセグメンテーションモデルのための訓練データを用いてセグメンテーションモデルを訓練することができる。456においてセグメンテーションモデルを訓練した後は、このセグメンテーションモデルは「訓練済みセグメンテーションモデル」と称することができる。
【0069】
458において、処理450は分類モデルのための訓練データを用いて分類モデルを訓練することができる。訓練データに応じて、個々のリンパ系部位(すなわちリンパ節及び/若しくはリンパ管)が悪性であるか若しくは良性であるかを同定するように、又は画像全体が良性であるか若しくは悪性であるかを同定するように、分類モデルを訓練することができる。458において分類モデルを訓練した後は、この分類モデルは「訓練済み分類モデル」と称することができる。
【0070】
460において、処理450は訓練済みセグメンテーションモデルに画像を入力することができる。一部の実施形態では、処理450は460において任意の数の画像を訓練済みセグメンテーションモデルに順次入力することができる。
【0071】
462において、処理450は、訓練済みセグメンテーションモデルに入力された画像に関連付けられた複数のセグメントを受け取ることができる。一部の実施形態では、処理450は460において、訓練済みセグメンテーションモデルに入力された各画像についてそれぞれ複数のセグメントを受け取ることができる。
【0072】
464において、処理450は訓練済み分類モデルに画像を入力することができる。一部の実施形態では、処理450は464において任意の数の画像を訓練済み分類モデルに順次入力することができる。
【0073】
466において、処理450は、訓練済み分類モデルに入力された画像の分類を受け取ることができる。一部の実施形態では、処理450は464において、訓練済みモデルに入力された複数の画像に関連付けられた複数の分類を受け取ることができる。
【0074】
468において、処理450は受け取ったどの(1つ若しくは複数の)セグメント及び/又は(1つ若しくは複数の)分類も、表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力することができる。表示部は、インタフェースプラットフォーム302に設けることができる表示部362、計算機334に設けることができる表示部352、又は外部表示部372とすることができる。メモリは、インタフェースプラットフォーム302に設けることができるメモリ368、又は、演算装置334に設けることができるメモリ358とすることができる。メモリは、例えば遠隔サーバに設けられるメモリ等、イメージングシステム300外部のメモリとすることができる。外部の処理が、受け取ったセグメントについてのさらなる解析を行うことができる。例えば、セグメントを用いて、セグメンテーション処理されたリンパ系部位の特徴を特定することができ、この特徴にはリンパ節サイズ、リンパ節アスペクト比、リンパ節対称性、リンパ節境界明瞭性、リンパ節曲率、及び/又はリンパ管パターンが含まれる。各リンパ系部位の特徴について、さらなる解析を行うことができる。一部の実施形態では処理450は、各リンパ系部位及び/又は各生画像の分類がなされた各生画像内における特徴の区別(及び、この延長線上でリンパ系部位の区別)を同定する各画像のヒートマップを出力することができる。
【0075】
画像生成解析アプリケーション304は、
図5の処理400及び
図6の処理450のう
ち一方又は両方を含むことができることが理解できる。一部の実施形態では、
図5の処理400及び
図6の処理450のうち一方又は両方を実行するために複数のアプリケーションを実装することができる。
【0076】
図7A及び
図7Bは、本願にて記載されているイメージングシステムにより構成されたイメージングシステムのイメージング結果を示す。
図7Aは、偏光子を用いずにイメージングされた領域のイメージング結果を示す。
図7Bは、偏光子を用いてイメージングされた同一の領域のイメージング結果を示す。
図7A及び7Bに示されている領域はリンパ節500を含んでいる。偏光子はイメージングコントラストを改善するが、リンパ節は偏光子を用いても用いなくても可視化することができる。
【0077】
図8A~8Cは、マウスのイメージング結果例を示す。使用されたイメージングシステムは、1200nm前後の光を放射するLEDを光源として備えると共に、液体窒素冷却InGaAsカメラをセンサとして備えている。
図8Aは、標準的なカメラを用いて撮影されたマウスの領域の画像を示す。
図8Bは、アジュバントを注入する前にイメージングシステムを用いて撮影された前記マウスの領域の画像を示す。リンパ節504及び嚢胞508を可視化することができる。
図8Cは、アジュバントを注入後48時間経過後にイメージングシステムを用いて撮影された前記マウスの領域の画像を示す。リンパ節504及び嚢胞508を可視化することができる。これらの結果により、アジュバントを注入後48時間経過後にリンパ節504のサイズが有意に大きくなっていることが分かる。
【0078】
図9A~9Cは、マウスのイメージング結果例を示す。使用されたイメージングシステムは、
図2のイメージングシステム200と同様に、ランプからの光をフィルタリングするためのロングパスフィルタと共にハロゲンランプを光源として備えており、また、標準的なシリコンカメラをセンサとして備えている。
図9Aは、標準的なカメラを用いて撮影されたマウスの領域の画像を示す。
図9Bは、アジュバントを注入する前にイメージングシステムを用いて撮影された前記マウスの領域の画像を示す。
図9Cは、アジュバントを注入後48時間経過後にイメージングシステムを用いて撮影された前記マウスの領域の画像を示す。これらの結果により、アジュバントを注入後48時間経過後に、リンパ節512等のリンパ節のサイズが有意に大きくなっていることが分かる。これらの結果は、例えば
図1に示されているイメージングシステム100等のより高価なシステムと同等の品質である。さらに、
図9B~9Cを生成するために使用されたイメージングシステムは、他のイメージングシステムよりも周辺光と両立することができる。
【0079】
図10A~10Eは、種々の照射波長とInGaAsカメラとを用いたリンパ節のイメージング結果を示す。
図10Aは、1000nmの照射波長を用いた場合に撮影されたものである。
図10Bは、1175nmの照射波長を用いた場合に撮影されたものである。
図10Cは、1250nmの照射波長を用いた場合に撮影されたものである。
図10Dは、1375nmの照射波長を用いた場合に撮影されたものである。
図10Eは、1550nmの照射波長を用いた場合に撮影されたものである。
【0080】
図11A~11Mは、生体外の豚腸間膜組織のサンプルのリンパ節のイメージング結果を示す。リンパ節は、複数の異なる照射波長と、本発明の実施形態のイメージングシステムに設けられたセンサと、を用いて撮影されたものである。単一波長LED光源を用いて、690nm~730nmの照射波長を生成した。バンドパスフィルタを備えた連続波長ランプを用いて、810nm~1575nmの範囲の照射波長を生成した。バンドパスフィルタを備えない連続波長ランプを用いて、8~10μmの照射を生成した。8~10μmの照射が達成されたのは、使用したセンサが、波長8~10μmの光のみ感知するヒートカメラであったからである。波長690nm~730nmの照射に対しては、シリコンカメラをセンサとして使用した。810nm~1575nmの範囲の波長の照射に対しては、InGaAsカメラをセンサとして使用した。全ての照射波長に対して、イメージングシステムは直交配置された偏光子を備えていた。個々の照射波長はそれぞれ、波長帯域の最も支配的な波長である。
【0081】
各照射波長について、照射波長のパフォーマンスを測定するため、信号雑音比を測定した。信号雑音比が高いほど、リンパ節が周囲組織に対してより際立つので有利である。
【0082】
図11Aは、波長690nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Bは、波長730nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Cは、波長810nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Dは、波長900~950nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Eは、波長1000nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Fは、波長1125nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Gは、波長1175nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Hは、波長1250nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Iは、波長1300nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Jは、波長1375nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Kは、波長1550nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Lは、波長1575nmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
図11Mは、波長8~10μmの照射を用いて生成されたリンパ節を含む画像を示す。
【0083】
下記の表1は、各照射波長の信号雑音比をまとめたものである。表1の結果から、波長1550の照射の信号雑音比が24と最も高く、最良のパフォーマンスであったことが分かる。1175~1375の範囲の照射波長も同等のパフォーマンスを示し、有用なパフォーマンスとなった。810nm以下の照射波長のパフォーマンスは、900~1575nmの範囲の照射波長より格段に悪かった。波長8~10μmの照射は、波長1550nm又は1575nmの照射より有意に悪いパフォーマンスとなり、これは、照射波長が1575nmを有意に超えるとパフォーマンスが低下し得ることを示唆する。
【表1】
【0084】
ここで
図12A及び
図12Bを参照すると、複数の異なるイメージング技術を用いて生成された生体外のヒト組織サンプルのリンパ節516の画像の比較が示されている。
図12Aは、通常のカメラと周辺の可視光とを用いて生成されたリンパ節516の画像を示す。
図12Bは、
図3の一実施形態のイメージングシステム300を用いて生成されたリンパ節516の画像を示す。リンパ節516は、
図12Bの方が格段に明瞭に可視化されている。
【0085】
本願開示は、他のイメージングシステムに対してそれぞれ一連の利点を奏する種々の実施形態のイメージングシステムを提供する。その一つの利点は、イメージングシステムが全体的に非侵襲性であり、標識フリーであることである。この利点により、本願にて提供されるイメージングシステムは、メチレンブルー、インドシアニングリーンその他注入色素をベースとする慣用技術に対して傑出したものとなる。本イメージングシステムは、リンパ節の高いイメージングコントラストを達成するために注入や手術(例えば切開手術等)を要しない。なお、前記イメージングシステムによりイメージングを行う際には、リンパ節のイメージングを行うために対象からリンパ節及び/又は周囲組織を採取する必要がある他のイメージングシステムとは異なり、リンパ節は生体内となる。
【0086】
本願にて提供されているイメージングシステムの他の1つの利点は、他のイメージングモダリティと比較して安全性が向上していることである。本システムは、非常に低強度の赤外光しか使用しない。本願の各図に示されている画像は僅か1mWの光学的パワーの照射により撮影されたものであり、この光学的パワーは、規制により定められた露光限界の数千分の1である。この利点により、本願開示のイメージングシステムは、CT、PET、及び、患者に対して健康被害を内在的に生じ得る他のイメージングシステムに対して傑出したものとなる。本願では、いかなる注入も用いずにリンパ節を簡便に可視化するための光学的方法を開示する。本方法は800~1700nmの照射光と、かかる波長範囲の
全部又は一部を検出できるセンサと、を用いる。本イメージングシステムは、リンパ節固有の吸収スペクトルを利用してリンパ節を検出するための照射光を用いることができる。波長800~1700nmの照射光、特に波長1550nmの照射光を用いることにより、イメージングシステムは、上記のように脂肪、血液及び/又は出血を含む周囲組織より自然に際立った状態でリンパ節を示す画像を生成することができる。リンパ節の画像コントラストは偏光子を実装することにより改善することができるが、偏光子は本方法では必須ではない。本願開示は、リンパ節を非侵襲的に可視化するためのシステム及び方法を提供するものであり、集団健康診断、疾病予防、診断及び処置のために強力なツールとなることができる。
【0087】
本願開示により提供される特定の実施形態のイメージングシステムは、経済的な構成となることもできる。例えば、
図2のイメージングシステム200のような実施形態は、構成に係る費用が100ドル未満となることが可能である。よって、特定のリンパ節イメージングシステムは、どの横断的イメージングモダリティよりもリーズナブルな構成となることができる。CT、MRI、超音波及びPET機材の費用は、数万米ドルから数百万米ドルに及ぶ。本願にて提供されるイメージングシステムがリーズナブルであることは、臨床設備において遥かに大きな影響を及ぼす助けになる。かかるイメージングシステムは、医師又は通常の消費者が定期的な健康診断、疾患再発の追跡等を行うために使用できる可能性を有する。また、横断的モダリティとは異なり、本願開示のイメージングシステムの波長範囲は自然のリンパ節及びリンパ管(すなわち、外部注入が何ら施されていないリンパ節又はリンパ管)に特異なものである。比較的高価な部品(例えばセンサとして使用されるInGaAsカメラ等)を備えたイメージングシステムでさえ、上記の横断的モダリティのうち少なくとも一部より経済的な構成とすることができる余地がある。
【0088】
図6の処理の上述の各ステップを実施又は実行する順序又はシーケンスは、図面に示された順序又はシーケンスや記載されている順序又はシーケンスに限定されないと解すべきである。また、
図5及び6の処理の上記のステップの中には、遅延又は処理時間を短縮するため、適切な場合には実質的に同時に実行若しくは実施することができ、又は並行して実行若しくは実施することができるものがある。
【0089】
一部の実施形態では、方法のコンピュータ実装を含めた本願開示の複数の複数の側面は、ソフトウェアを作成するための標準的なプログラミング技術又はエンジニアリング技術を用いたシステム、方法、装置、又は製品として具現化することができ、これらは、処理装置、コンピュータ(例えば、メモリに動作可能に結合された処理装置)、又は、本願にて詳細に記載されている側面を実施するための電子的に動作する他のコントローラを制御するためのファームウェア、ハードウェア、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。よって、例えば本発明の実施形態は、処理装置が非一時的なコンピュータ可読媒体からの命令の読み込みに基づき当該命令を実行できるように当該コンピュータ可読媒体に具体的に実装された当該命令のセットとして具現化することができる。本発明の一部の実施形態は、下記の説明と一致するオートメーション装置、種々のコンピュータハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア等を含む特殊用途又は汎用のコンピュータ等のデバイスを備える(又は使用する)ことができる。
【0090】
ここでいう「製品」との用語は、全てのコンピュータ可読デバイス、キャリア(例えば非一時的な信号)又は媒体(例えば非一時的な媒体)からアクセス可能なコンピュータプログラムを含むことを意図したものである。例えば、コンピュータ可読媒体には磁気記憶装置(例えばハードディスク、フロッピーディスク、磁気テープ等)、光学ディスク(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多目的ディスク(DVD)等)、スマートカード、及びフラッシュメモリデバイス(例えばカード、スティック等)を含むことができるが、これらは限定列挙ではない。さらに、電子メールの送受信又はインターネット若しくはローカルエリアネットワーク(LAN)等のネットワークへのアクセスにおいて用いられる電子データ等のコンピュータ可読電子データを搬送するために搬送波を用いることができると解すべきである。当業者であれば、特許請求の範囲に記載の発明の範囲及び思想から逸脱することなく、上記構成に対して数多くの改良を認識することができる。
【0091】
本発明の方法の特定の動作又は当該方法を実施するシステムの特定の動作は、図面中概略的に表現されており、又は本願において他の態様で概略的に記載されていることがある。別段の記載又は限定が無い限り、具体的な空間的順序で記載された具体的な動作の図面における表現は、必ずしも当該具体的な空間的順序に相当する特定のシーケンスで当該動作を実施することを要しないことがある。よって、図面中に示され又は本願において別の態様で開示されている特定の動作は、本発明の具体的な実施形態において適切であるならば、明示的に図示又は記載された順序とは異なる順序で実施することができる。さらに、実施形態の中には、専用の並列処理装置によって、又は大きなシステムの一部として協働するように構成された複数の別個の計算機によって、特定の動作を並列実行できるものがある。
【0092】
コンピュータ実装に関しては、別段の記載又は限定が無い限り、本願でいう「構成要素」、「システム」、「モジュール」等の用語は、ハードウェア、ソフトウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、又は実行中のソフトウェアを含むコンピュータ関連のシステムの一部又は全部を包含することを意図したものとすることができる。例えば、構成要素は処理装置、処理装置によって実行中の(又は実行可能な)処理、オブジェクト、実行可能なもの、実行スレッド、コンピュータプログラム、又はコンピュータとすることができるが、これらは限定列挙ではない。例えば、コンピュータ上で実行されるアプリケーション及びコンピュータの両方が「構成要素」となり得る。1つ又は複数の構成要素(又はシステム、モジュール等)は、処理若しくは実行スレッドの中に存在することができ、1つのコンピュータにローカルに設けることができ、2つ以上のコンピュータ若しくは他の処理装置に分散することができ、又は他の構成要素(若しくはシステム、モジュール等)に含めることができる。
【0093】
本願でいう「コントローラ」及び「プロセッサ」との用語は、コンピュータプログラムを実行可能な全ての装置、又は、本願にて記載されている機能を実行するように構成された論理ゲートを含むことができる全ての装置を含む。例えば、プロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブルロジックコントローラ等を含めることができる。
【0094】
本願の記載内容は、当業者が本発明の実施形態を生産し使用するために提示されたものである。当業者であれば、本願で詳解されている実施形態に対して種々の改良を容易に導き出すことができ、本願の一般的な原理は、本発明の実施形態から逸脱することなく、他の実施形態及び用途にも適用することができる。よって、本発明の実施形態はここで開示されている実施形態に限定することを意図したものではなく、本願にて開示されている原理及び特徴と一致する最も広い範囲と一致すべきである。詳細な説明は図面を参照して読むべきものであり、図面中、異なる図において同様の要素には、同様の符号を付している。必ずしも実寸の比率通りではない各図は、選択された実施形態を示したものであり、本発明の実施形態の範囲を限定することを意図したものとはならない。当業者であれば、本願にて提供されている実施形態例が多くの有用な代替的態様を有し、これらも本発明の実施形態の範囲に属することを認識することができる。
【0095】
このようにして、上記のように本願では、近赤外線(800~1400nm)及び/又は短波赤外線(1400~3000nm)を用いてリンパ系部位を可視化するシステム及び方法が提供されている。例えば、800~1700nmの照射を用いることができる。
用途の中には、1500~1600nmの波長、例えば1550nmの波長の照射が、リンパ系部位をイメージングするために有利となり得るものがある。一実施形態では、1550nm波長の波長のみを使用する。
【0096】
本願にて記載されているシステム及び方法は、1つ又は複数の近赤外線又は短波赤外線光源とセンサとを使用する近赤外線及び/又は短波赤外線イメージング技術を提供する。イメージングシステムは偏光子と共に動作することができる。偏光子は(1つ又は複数の)光源の手前に配置することができ、また、(1つ又は複数の)センサの手前にさらなる偏光子を配置することができる。ヒト又は動物の皮膚における直接反射を最小にしてリンパ系部位の可視化を最適化するように、2つの偏光子の回転角を調整することができる。一部の実施形態では、(1つ又は複数の)光源の手前において偏光子を用いることは不要とすることができ、イメージングシステムは(1つ又は複数の)光源の手前に偏光子を配置しなくても機能することができる。光源の中には、偏光子が無い状態での内在的な動作メカニズムに起因して直線偏光を放射するものがある。よって、偏光子はリンパ系部位のコントラストを改善するために有用ではあるが、必須ではない。偏光子を何ら用いず又は偏光改造を何ら行わなくてもリンパ系部位は可視化することができ、特に照射波長が800~1700nmでありセンサがこの波長範囲の光を検出できる場合、かかる可視化は可能である。
【0097】
一側面では、本願開示はリンパ系部位イメージングシステムを提供する。システムは、対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、赤外線照射を行うための光源と、前記領域から直接反射された赤外線照射の反射された一部をセンシングするように構成されたセンサと、光源及びセンサと通信するコントローラと、を備えており、コントローラは、光源に赤外線照射を前記領域に供給させ、赤外線照射の反射された一部に対応する情報をセンサから受け取り、前記情報を用いて、対象の前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成するように構成されている。
【0098】
システムは、参照光を用いずに前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す前記少なくとも1つの画像を生成するように構成することができる。システムは、センサの周囲の周辺光からの情報無しで、前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す前記少なくとも1つの画像を生成するように構成することができる。システムでは、光源はレーザを備えることができる。システムでは、光源は発光ダイオードを備えることができる。システムは、前記領域と光源との間に配置されたロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタであってカットオフ波長が800nmを下回らないロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタを備えることができる。システムでは、センサは、シリコンカメラと、InGaAsカメラと、ブラックシリコンカメラとのうち少なくとも1つを含むことができる。システムはさらに、前記領域とセンサとの間に配置された偏光子をさらに備えることができる。システムは造影剤を含まないことが可能であり、前記少なくとも1つのリンパ系部位は、リンパ節又はリンパ管を含むことができる。システムでは、赤外線照射は800~1700nmの照射波長を有することができる。
【0099】
他の一側面では、本願開示は造影剤を用いずにリンパ系部位をイメージングするための方法を提供する。本方法は、光源を用いて、対象のうちリンパ系部位を含む生体内領域に赤外線照射を行うステップと、前記領域の周囲に配置されたセンサを用いて、前記領域から直接反射された赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、赤外線照射の反射された一部を用いて、対象のリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、を有する。
【0100】
方法では、赤外線照射は800~2000nmの照射波長を有することができる。方法では、赤外線照射は偏光子を用いずに行うことができる。方法は、センサによって検出さ
れる全体強度が最小になるまで、センサの手前で偏光子を回転することをさらに有することができる。方法では、赤外線照射の光学的パワーは1mWを超えないことができる。方法はさらに、前記領域とセンサとの間に偏光子を位置決めし、前記領域から直接反射される赤外線照射に対して略直交するように偏光子を配置することができる。方法はさらに、センサにおいて閾値コントラストレベルに達するまで、前記偏光子と前記光源とのうち少なくとも1つを調整することができる。
【0101】
さらに他の一側面では、本願開示はミラーを用いずにリンパ系部位をイメージングするための方法を提供する。本方法は、光源を用いて対象のうちリンパ系部位を含む領域に赤外線照射を行うステップと、前記領域の周囲に配置されたセンサを用いて、前記領域から直接反射された赤外線照射の反射された一部を検出するステップと、赤外線照射の反射された一部を用いて、対象のリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成するステップと、を有する。方法では、赤外線照射は800~2000nmの照射波長を有することができる。方法では、赤外線照射は偏光子を用いずに行うことができる。
【0102】
特定の実施形態を参照して本発明を相当詳細に説明したが、当業者であれば、例示のために提示した本願の実施形態とは異なる実施形態により本発明を実施できることは明らかであり、この例示のための実施形態は限定を目的とするものではない。よって、添付の特許請求の範囲は、本願に含まれる実施形態の説明に限定すべきものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リンパ系部位をイメージングするためのシステムであって、
対象のうち少なくとも1つのリンパ系部位を含む領域に、偏光を有する赤外線照射を行うための光源と、
前記領域から直接反射され前記赤外線放射の偏光とは逆の偏光を有する前記赤外線照射の反射された一部をセンシングするように構成されたセンサと、
前記センサと通信するコントローラと、
を備えており、
前記コントローラは、
前記赤外線照射の前記反射された一部に対応する情報を前記センサから受け取り、
前記情報を用いて、前記対象の前記少なくとも1つのリンパ系部位を示す少なくとも1つの画像を生成し、
前記少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力する
ように構成されていることを特徴とするシステム。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織をイメージングするための方法であって、
光源によって、対象のうち、第1の水分含有レベルを有する第1の組織領域と、第1の水分含有レベルより低い第2の水分含有レベルを有する第2の組織領域と、を含む生体組織を有する領域に、1000~2600nmの照射波長を有する赤外線照射を行うステップと、
センサによって、前記赤外線照射の第1の反射された一部と当該赤外線照射の第2の反射された一部とをセンシングするステップと、ただし、前記赤外線照射の前記第1の反射された一部は前記第1の組織領域から反射されたものであって第1の強度を有し、前記赤外線照射の前記第2の反射された一部は前記第2の組織領域から反射されたものであって前記第1の強度より高い第2の強度を有し、
前記センサと通信するコントローラによって、前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と前記赤外線照射の前記第2の反射された一部とに対応する情報を前記センサから受け取るステップと、
前記コントローラによって、前記情報を用いて、前記対象の少なくとも1つの前記生体組織の少なくとも1つの画像を生成するステップと、ただし、前記少なくとも1つの画像は前記第1の組織領域と前記第2の組織領域とを区別するものであり、
前記コントローラによって、前記少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力するステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
参照光を用いずに前記少なくとも1つの画像を生成する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記センサの周囲の周辺光からの情報無しで前記少なくとも1つの画像を生成する、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記光源はレーザを備えている、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記光源は発光ダイオードを備えている、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記領域と前記光源との間に配置されたロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタによって前記赤外線照射をフィルタリングするステップをさらに有し、
前記ロングパスフィルタ又はバンドパスフィルタのカットオフ波長は800nmを下回らない、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記センサは、シリコンカメラ、InGaAsカメラ、又はブラックシリコンカメラのうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記センサは、ゲルマニウムカメラ、ゲルマニウム錫・オン・シリコン・カメラ、量子ドット短波赤外線カメラ、又は水銀カドミウムテルル化物カメラのうち少なくとも1つを含む、
請求項1記載の方法。
【請求項9】
第1の偏光子によって、前記生体組織に入射する前記赤外線照射が第1の偏光を有するように前記赤外線照射を偏光することをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項10】
第2の偏光子によって、前記センサに入射する前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と当該赤外線照射の前記反射された一部とが第1の偏光とは逆の第2の偏光を有するように前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と当該赤外線照射の前記第2の反射された一部とを偏光することをさらに含む、
請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記生体組織は造影剤を含まない、
請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記第1の組織領域はリンパ系組織を含み、前記第2の組織領域は脂肪細胞を含む、
請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記第1の組織領域は1550nmで第1の吸収を有し、
前記第2の組織領域は1550nmで第2の吸収を有し、
前記第1の吸収は前記第2の吸収より高い、
請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記赤外線照射は1000~1700
nmの照射波長を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記赤外線照射は1500~1700
nmの照射波長を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記赤外線照射は1300nmの照射波長を有する、
請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記赤外線照射の光学的パワーは1mWを超えない、
請求項1記載の方法。
【請求項18】
生体組織をイメージングするためのシステムであって、
対象のうち、第1の水分含有レベルを有する第1の組織領域と、第1の水分含有レベルより低い第2の水分含有レベルを有する第2の組織領域と、を含む生体組織を有する領域に、1000~2600nmの照射波長を有する赤外線照射を行うように構成された光源と、
前記赤外線照射の第1の反射された一部と当該赤外線照射の第2の反射された一部とをセンシングするように構成されたセンサと、ただし、前記赤外線照射の前記第1の反射された一部は前記第1の組織領域から反射されたものであって第1の強度を有し、前記赤外線照射の前記第2の反射された一部は前記第2の組織領域から反射されたものであって前記第1の強度より高い第2の強度を有し、
前記センサと通信するコントローラと、
を備えており、
前記コントローラは、
前記センサと通信するコントローラによって、前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と前記赤外線照射の前記第2の反射された一部とに対応する情報を前記センサから受け取り、
前記コントローラによって、前記情報を用いて、前記対象の少なくとも1つの前記生体組織の少なくとも1つの画像を生成し、ただし、前記少なくとも1つの画像は前記第1の組織領域と前記第2の組織領域とを区別するものであり、
前記コントローラによって、前記少なくとも1つの画像を表示部及び/又はメモリのうち少なくとも1つに出力する
を有することを特徴とするシステム。
【請求項19】
前記光源と前記生体組織との間に配される第1の偏光子をさらに備えており、
前記第1の偏光子は、前記生体組織に入射する前記赤外線照射が第1の偏光を有するように前記赤外線照射を偏光する、
請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記生体組織と前記センサとの間に配される第2の偏光子をさらに備えており、
前記第2の偏光子は、前記センサに入射する前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と当該赤外線照射の前記反射された一部とが第1の偏光とは逆の第2の偏光を有するように前記赤外線照射の前記第1の反射された一部と当該赤外線照射の前記第2の反射された一部とを偏光する、
請求項19記載のシステム。