(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026072
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】α-アミラーゼ変異体及びそれをコードするポリヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/56 20060101AFI20240220BHJP
C12N 9/28 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/56 ZNA
C12N9/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023191496
(22)【出願日】2023-11-09
(62)【分割の表示】P 2020531152の分割
【原出願日】2018-12-07
(31)【優先権主張番号】201741044156
(32)【優先日】2017-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201841031044
(32)【優先日】2018-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ケンドラ ストーリングス
(72)【発明者】
【氏名】カーステン アナスン
(72)【発明者】
【氏名】バシュデバ プラーラダ ラオ
(72)【発明者】
【氏名】ラキー サイキア
(72)【発明者】
【氏名】ビベク スリバスタバ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】親と比べて改善された特性を有するα-アミラーゼ変異体を提供する。
【解決手段】本発明は、188位に対応する位置に置換、及び特定の配列の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、からなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体であって、特定の配列からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体に関する。本発明はまた、変異体をコードするポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞;並びに変異体を用いる方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体。
【請求項2】
前記親α-アミラーゼよりもpH4.5で増強された熱安定性を有する、請求項1に記載のα-アミラーゼ変異体。
【請求項3】
前記親α-アミラーゼよりもモデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性を有する、請求項1に記載の変異体。
【請求項4】
親α-アミラーゼによって生成されるデキストロース当量(DE)値よりも高いDE値を有するリケファクトを生成する能力がある、請求項1に記載の変異体。
【請求項5】
親α-アミラーゼによって生成される前記リケファクトと比べての粘性低下を有するリケファクトを生成する能力がある、請求項1に記載の変異体。
【請求項6】
pH4.5で増強された熱安定性、特に前記親α-アミラーゼを超える改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここで前記IFが、前記親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)に対する前記α-アミラーゼ変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する、請求項1に記載の変異体。
【請求項7】
前記親α-アミラーゼよりも、モデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここで前記IFが、前記親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)に対する前記変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する、請求項1に記載の変異体。
【請求項8】
付番用に配列番号1を用いて179~182位に対応する領域内に2つのアミノ酸の欠失をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項9】
前記欠失が、179*+180*、179*+181*、179*+182*、180*+181*、180*+182*、及び181*+182*、特に181*+182*からなる群から選択される、請求項8に記載の変異体。
【請求項10】
前記親α-アミラーゼが配列番号3であり、且つ付番用に配列番号2を用いてG48A+T49I+H68W+G107A+H156Y+A181T+A209V+Q264S+K176L+F201Y+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W;又は
付番用に配列番号2を用いてG48A+T49I+H68W+G107A+T116Q+H156Y+A181T+A209V+Q264S+K176L+F201Y+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437Wに対応する特定の置換を含み;且つ、配列番号3に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項11】
付番用に配列番号2を用いてN190Fをさらに含む、請求項10に記載の変異体。
【請求項12】
前記親α-アミラーゼが配列番号であり、且つV59A+E129V+E177L+R179E+Q254S+M284V+V212T+Y268G+N293Y+T297Nに対応する特定の置換、任意選択的には付番用に配列番号1を用いて179~182位に対応する領域内に2つのアミノ酸の欠失、特に181*+182*をさらに含み、且つ、配列番号1又は配列番号27に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項13】
付番用に配列番号1を用いてN193Fをさらに含む、請求項12に記載の変異体。
【請求項14】
188位に対応する位置に置換、並びに242位及び279位に対応する位置にさらなる置換、特に、
E188P+S242Y+K279I;
E188P+S242L+K279W;
E188P+S242P+K279W;
E188P+S242L+K279I;
E188P+S242Y+K279W;
E188P+S242Y+K279F;
E188P+S242Y+K279H;
E188P+S242Y+K279L;
E188P+S242Y+K279Y;
E188P+S242P+K279I;
E188P+S242F+K279W;
E188P+S242H+K279W;
E188P+S242W+K279W
から選択される特定の組み合わせを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項15】
付番用に配列番号1を用いてI204Yに対応する置換、特に、
E188P+I204Y+S242Y;
E188P+I204Y+S242F;
E188P+I204Y+K279W;
E188P+I204Y+K279Y;
E188P+I204Y+K279F;
E188P+I204Y+K279H;
E188P+I204Y+K279I;
E188P+I204Y+K279L
から選択される特定の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の変異体。
【請求項16】
α-アミラーゼが単離される、請求項1~15のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項17】
改変の数が1~20、例えば1~10及び1~5である、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の改変が挙げられる、請求項1~16のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の変異体α-アミラーゼを含む組成物。
【請求項19】
界面活性剤をさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
界面活性剤又は界面活性剤系であって、前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択されうる、界面活性剤又は界面活性剤系を含む、請求項18又は19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
アニオン性界面活性剤、特に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)及び/又はアルコールエトキシサルフェート(AEOS)を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート(AEO)を含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
1つ以上のアニオン性及び/又は1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む、請求項19~22のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項24】
界面活性剤、特に直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)及び/又はアルコールエトキシレート(AEO)の1つ以上を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の変異体。
【請求項25】
プロテアーゼ、特にS8プロテアーゼ、より具体的にはパイロコッカス(Pyrococcus)又はサーモコッカス(Thermococcus)由来のS8プロテアーゼをさらに含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項26】
前記プロテアーゼが、配列番号19に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
請求項1~17のいずれか一項に記載の変異体をコードするポリヌクレオチド。
【請求項28】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【請求項29】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項30】
請求項27に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項31】
a)請求項30に記載の宿主細胞を前記変異体の発現に適した条件下で培養することと;
b)任意選択的に前記変異体を回収することと、
を含む、請求項1~17に記載のα-アミラーゼ変異体を生成する方法。
【請求項32】
デンプン含有材料を液化することを意図した、請求項1~17に記載の変異体又は請求項18若しくは25~26に記載の組成物の使用。
【請求項33】
洗剤における請求項1~17に記載の変異体の使用。
【請求項34】
デンプン含有材料からシロップを生産するためのプロセスであって、
a)請求項1~17に記載のα-アミラーゼ変異体又は請求項18若しくは25~26に記載の組成物の存在下で、初期糊化温度を超える温度で前記デンプン含有材料を液化するステップと;
b)グルコアミラーゼの存在下でステップa)の前記生成物を糖化するステップと、
を含む、プロセス。
【請求項35】
ステップb)が、グルコアミラーゼ、並びに
i)真菌α-アミラーゼ;
ii)イソアミラーゼ;又は
iii)真菌α-アミラーゼ及びイソアミラーゼ
の存在下で実施される、請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
プルラナーゼが、ステップa)及び/又はb)において存在する、請求項34~35のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項37】
c)発酵生成物を生産するため、発酵生物を用いてステップb)の前記生成物を発酵させるステップをさらに含む、請求項34~36のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項38】
前記発酵生物が酵母であり、且つ前記発酵生成物がアルコールである、請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記酵母が出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)であり、且つ前記アルコールがエタノールである、請求項38に記載のプロセス。
【請求項40】
ステップb)及びc)が同時に実施される、請求項37に記載のプロセス。
【請求項41】
親α-アミラーゼの安定性を増強するための方法であって、188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを導入するステップを含む、方法。
【請求項42】
前記変異体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記変異体が、pH4.5で前記親α-アミラーゼよりも増強された熱安定性を有する、請求項41~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記変異体が、モデル洗剤Aにおける前記親α-アミラーゼよりも増強されたキレート剤安定性を有する、請求項41~42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願はコンピュータ読取り可能な形態の配列表を含み、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、α-アミラーゼ変異体、変異体をコードするポリヌクレオチド、変異体を生成する方法、及び変異体を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
α-アミラーゼ(α-1,4-グルカン-4-グルカノヒドロラーゼ、E.C.3.2.1.1)は、デンプン並びに他の直鎖及び分岐鎖1,4-グリコシドオリゴ糖及び多糖の加水分解を触媒する酵素のグループを成す。
【0004】
α-アミラーゼは、種々の目的のため、例えば、デンプン処理の初期段階(例えば液化)において;湿式粉砕プロセスにおいて;また炭水化物源からのアルコール生産において商業的に使用される。α-アミラーゼはまた、洗剤マトリックス中の洗剤又は補助剤として;デンプン湯通しでの繊維産業において;ベーキング用途において;飲料産業において;掘削プロセスにおける油田において;再利用プロセス、例えば紙の脱インク処理において;また動物飼料において使用される。
【0005】
発酵生成物、例えばエタノールは、典型的には、最初にデンプン含有材料を乾式粉砕又は湿式粉砕プロセスにおいて粉砕し、次に酵素を用いて材料を発酵性糖に分解し、最後に発酵生物を用いて糖を直接的又は間接的に所望される発酵生成物に変換することにより生産される。液体発酵生成物は、発酵マッシュ(「ビールマッシュ」と称されることが多い)から、例えば所望される発酵生成物を他の液体及び/又は固体から分離する蒸留により回収される。
【0006】
デンプン液化プロセスにて用いられるべきα-アミラーゼにおいては、それが熱安定性であり、低pH及び低カルシウム濃度で機能可能であることは特に興味深い。改変されたCa2+安定性は、Ca2+枯渇下での酵素の安定性が改善されていること、即ち安定性の増加又は低下を意味する。本発明との関連では、重要な突然変異(アミノ酸置換を含む)は、特に低pH(即ちpH4~6)で、改変されたCa2安定性、特に改善されたCa2+安定性、即ち安定性の増加を達成する突然変異である。洗剤における使用においては、増強されたキレート剤安定性もまた望ましい。
【0007】
食品用途として、デンプン処理における液化後のDE目標は、デンプン陰性のリケファクト(liquefact)を得るだけでなく、グルコアミラーゼ使用時の糖化において最も効率的に実施するように設定される。したがって、液化中に作られるデキストリン(DE)の平均長さは、糖化における最も効率的なDXの生成を目標とするのに非常に重要である。好ましくは、10~16の範囲内のDE数が望ましい。
【0008】
国際公開第2000/060059号パンフレットは、低Ca2+レベルで増強された安定性を有するターマミル様α-アミラーゼ変異体を開示する。国際公開第2013/057143号パンフレット及び国際公開第2013/057141号パンフレットは、低カルシウム濃度での増強された安定性などの改善された特性を有するバチルス・リケファシエンス(Bacillus liquefaciens)由来のα-アミラーゼの変異体を開示する。
【0009】
バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)由来のα-アミラーゼは、配列番号3として国際公開第99/19467号パンフレットに開示され、且つその変異体は、国際公開第1996/023873号パンフレット、及び国際公開第1999/019467号パンフレットに開示されている。さらに、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼの変異体は、国際公開第2011/082425号パンフレットに開示されている。
【0010】
国際公開第2012/088303号パンフレット(Novozymes)は、少なくとも10の、pH4.5、85℃、0.12mMのCaCl2)でのT1/2(分)を有するα-アミラーゼと、80℃/70℃での相対活性として判定される20%を超える熱安定性値を有するプロテアーゼとの組み合わせを用いて、デンプン含有材料を80~90℃の範囲内の温度、4.5~5.0の範囲内のpHで液化し;次いで糖化及び発酵することによる、発酵生成物を生産するためのプロセスを開示する。
【0011】
国際公開第2013/082486号パンフレット(Novozymes)は、α-アミラーゼ変異体を用いて、デンプン含有材料を、初期糊化温度を超える温度、約5.0~7.0の範囲内のpHで液化することによる、発酵生成物を生産するためのプロセスを開示する。
【0012】
米国特許第8,084,240号明細書は、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼにおけるE188P置換が、増強された安定性をもたらすことを開示する。
【0013】
国際公開第2009/061381号パンフレットは、242位での置換が、SがA、Q、E、D、又はMで置換されるとき、改善された性能をもたらす一方で、他の置換が野生型と比べて活性低下をもたらしたことを記載する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、親と比べて改善された特性を有するα-アミラーゼ変異体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によると、単独で性能低下をもたらすことになる、242、279、又は275位に対応する位置(付番用に配列番号1を用いる)での置換が、置換E188Pと組み合わされて相乗的改善をもたらすことになることが意外にも見出されている。
【0016】
第1の態様では、本発明は、188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体に関し、ここで変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0017】
本発明はまた、変異体をコードするポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞;並びに変異体を生成する方法に関する。さらに、本発明は、本発明のα-アミラーゼ変異体を含む組成物に関する。
【0018】
本発明はまた、本発明のα-アミラーゼ変異体を生成する方法であって、
a)本発明の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養するステップと;
b)任意選択的には変異体を回収するステップと、
を含む、方法に関する。
【0019】
本発明はまた、シロップをデンプン含有材料から生産するためのプロセスであって、
a)本発明に記載のα-アミラーゼ変異体又は本発明の組成物の存在下で初期糊化温度を超える温度でデンプン含有材料を液化するステップと;
b)ステップa)の生成物をグルコアミラーゼの存在下で糖化するステップと、
を含む、方法に関する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、親α-アミラーゼの安定性を増強するための方法であって、188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを導入するステップを含む、方法に関する。
【0021】
定義
α-アミラーゼ変異体:α-アミラーゼ(E.C.3.2.1.1)は、デンプン及び他の直鎖状及び分岐の1,4グルコシドオリゴ及び多糖の加水分解を触媒する酵素のグループである。当業者は、α-アミラーゼ活性を判定する仕方を理解するであろう。それは、実施例中に記載の手順に従い、例えば、PNP-G7アッセイ、EnzCheckアッセイ、又はPhadebas活性アッセイにより判定されてもよい。一態様では、本発明の変異体は、配列番号1~18のポリペプチドのα-アミラーゼ活性の少なくとも20%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%を有する。一態様では、本願の変異体は、その親のα-アミラーゼ活性の少なくとも20%、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%を有する。
【0022】
さらなる実施形態では、本発明のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼ、特に配列番号1~18、及び27として開示される親と比べて増強された安定性を有する。特に、増強された安定性は、任意の好適なα-アミラーゼ活性アッセイを用いて判定されてもよい。当業者は、好適なアッセイを選択する仕方を理解するであろう。好適なアッセイ及び条件の例が、本明細書中の実施例において提示されている。かかる増強された安定性は、pH4.5で親α-アミラーゼよりも増強された熱安定性、又はモデル洗剤Aにおける親α-アミラーゼよりも増強されたキレート剤安定性を含んでもよい。特定の一実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、pH4.5で増強された熱安定性、特に改善係数(improvement factor)(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回るα-アミラーゼ変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。
【0023】
別の特定の実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、モデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回る変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。残留活性は、当業者に公知の任意の好適なα-アミラーゼアッセイ、例えば本明細書中の実施例に開示されるアッセイのいずれかを用いて判定されてもよい。特定の実施形態では、残留活性は、Phadebas活性アッセイを用いて判定されてもよい。
【0024】
別の実施形態では、本発明のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼ、特に配列番号1~18、及び27で開示される親によって得られるデキストロース当量(DE)値よりも高いDE値を有するリケファクトを生成する能力がある。特に、DE値は、親αアミラーゼによって得られるDE値よりも少なくとも1.5倍、2倍高い。
【0025】
対立遺伝子変異体:「対立遺伝子変異体」という用語は、同じ染色体遺伝子座を占める遺伝子の2つ以上の代替形態のいずれかを意味する。対立遺伝子変異は、突然変異を通じて天然に生じ、且つ集団内部に多型をもたらすことがある。遺伝子突然変異は、サイレントでありうる(コードポリペプチドにおける変化がない)、又は改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードすることがある。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチドである。
【0026】
cDNA:「cDNA」という用語は、真核細胞又は原核細胞から得られたスプライスされた成熟mRNA分子から逆転写によって調製可能であるDNA分子を意味する。cDNAは、対応するゲノムDNA中に存在し得るイントロン配列を欠いている。元の一次RNA転写物は、スプライスされた成熟mRNAとして出現する前にスプライシングを含む一連のステップを介して処理されるmRNAに対する前駆体である。
【0027】
コード配列:「コード配列」という用語は、変異体のアミノ酸配列を直接的に特定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般にオープンリーディングフレームによって判定されるが、これは、ATG、GTG若しくはTTGなどの開始コドンで始まり、TAA、TAG若しくはTGAなどの終止コドンで終わる。コード配列は、DNA、cDNA、合成DNA、又はこれらの組合せであってよい。
【0028】
制御配列:「制御配列」という用語は、ポリヌクレオチドの発現に必要なすべての核酸配列を意味し、本発明の変異体をコードする。各制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドに対して自生(即ち、同じ遺伝子由来)であっても外来性(即ち、異なる遺伝子由来)であっても、相互に自生若しくは外来性であってもよい。このような制御配列としては、これらに限定されないが、リーダー、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び、転写ターミネータが挙げられる。制御配列としては、プロモータ、並びに、転写及び翻訳停止シグナルが最低限挙げられる。制御配列は、ポリヌクレオチドのコード領域との制御配列の連結反応を促進させる特定の制限部位を導入するために、リンカーと共に提供され得る。
【0029】
発現:「発現」という用語は、変異体の生成に関与するいずれかのステップを含み、特にこれらに限定されないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾及び分泌が挙げられる。
【0030】
発現ベクター:「発現ベクター」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、また、発現をもたらす制御ヌクレオチドに作動可能に結合している直線状又は環状のDNA分子を意味する。
【0031】
断片:「断片」という用語は、成熟ポリペプチドのアミノ及び/又はカルボキシル末端から1つ又は複数(例えばいくつか)のアミノ酸が存在しないポリペプチドを意味し;ここで、断片は、α-アミラーゼ活性を有する。
【0032】
高ストリンジェンシー条件:「高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて65℃で3回洗浄される。
【0033】
宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物又は発現ベクターを伴う形質転換、形質移入、形質導入等に対する感受性を有するいずれかの細胞型を意味する。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異によって親細胞とは異なっている親細胞のいずれかの子孫を包含する。
【0034】
改善された特性:用語「改善された特性」は、親と比べて改善される、変異体に関連する特徴を意味する。かかる改善された特性は、pH4.5で親α-アミラーゼよりも増強された熱安定性、又はモデル洗剤Aにおける親α-アミラーゼよりも増強されたキレート剤安定性を含む。特定の一実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、pH4.5で増強された熱安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回るα-アミラーゼ変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。
【0035】
別の特定の実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、モデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回る変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。残留活性は、当業者に公知の任意の好適なα-アミラーゼアッセイ、例えば本明細書中の実施例に開示されるアッセイのいずれかを用いて判定されてもよい。特に、残留活性は、Phadebas活性アッセイを用いて判定されてもよい。
【0036】
他の実施形態では、改善された特性は、90℃、pH4.5、5ppmのCa2+で20分のインキュベーション後、EnzCheckアッセイによって判定された残留α-アミラーゼ活性として測定された増強された安定性を含み;且つ/又は変異体は、親α-アミラーゼによって得られるデキストロース当量(DE)値よりも高いDE値を有するリケファクトを生成する能力がある、若しくは変異体は、親α-アミラーゼによって生成されるリケファクトと比べて増加した粘性を有するリケファクトを生成する能力がある。
【0037】
単離された:「単離された」という用語は、天然では存在しない形態又は環境にある物質を意味する。単離された物質の非制限的例として、(1)任意の非天然型物質、(2)これらに限定されないが、天然では関連している天然に存在する成分の1つ又は複数又は全部から少なくとも部分的に取り出された任意の酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチド若しくは補因子;(3)天然に存在する物質に対して、人為的に修飾された任意の物質;又は(4)天然では関連している他の成分と比較して物質の量を増加すること(例えば、物質をコードする遺伝子の複数のコピー;物質をコードする遺伝子と天然で関連するプロモータより強力なプロモータの使用)によって修飾された任意の物質が挙げられる。単離された物質は、発酵ブロスサンプル中に存在し得る。
【0038】
低ストリンジェンシー条件:「低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて50℃で3回洗浄される。
【0039】
成熟ポリペプチド:「成熟ポリペプチド」という用語は、N-末端処理、C-末端切断、グリコシル化、リン酸化などのような、翻訳及び任意の翻訳後修飾後のその最終形態でのポリペプチドを意味する。一態様において、成熟ポリペプチドは、配列番号1~18として開示されるポリペプチドである。
【0040】
宿主細胞が、同じポリヌクレオチドによって発現される2つ以上の異なる成熟ポリペプチドの混合物(即ち、異なるC末端及び/又はN末端アミノ酸を有する)を生成することがあることは、当該技術分野で公知である。
【0041】
成熟ポリペプチドコード配列:用語「成熟ポリペプチドコード配列」は、グルコアミラーゼ活性を有する成熟ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0042】
中ストリンジェンシー条件:「中ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて55℃で3回洗浄される。
【0043】
中-高ストリンジェンシー条件:「中-高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、35%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて60℃で3回洗浄される。
【0044】
突然変異体:「突然変異体」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0045】
核酸構築物:「核酸構築物」という用語は、一本鎖若しくは二本鎖である核酸分子を意味し、これは、天然遺伝子から単離されるか、又は、本来自然には存在し得ないような核酸のセグメント、若しくは、合成された核酸のセグメントを含有するよう修飾されており、1つ又は複数の制御配列を含む。
【0046】
作動可能に結合:「作動可能に結合」という用語は、制御配列がコード配列の発現をもたらすよう、ポリヌクレオチドのコード配列と比して制御配列が適切な位置に位置されている構成を意味する。
【0047】
親又は親α-アミラーゼ:用語「親」又は「親α-アミラーゼ」は、本発明の酵素変異体を作製するために改変がなされる対象のα-アミラーゼ活性を有する任意のポリペプチドを意味する。
【0048】
S8Aプロテアーゼ:用語「S8Aプロテアーゼ」は、サブファミリーAに属するS8プロテアーゼを意味する。スブチリシン、EC3.4.21.62は、サブファミリーS8Aのサブグループである。S8Aプロテアーゼは、基質Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNAを加水分解する。p-ニトロアニリン(pNA)の放出は、405nmで吸光度の増加をもたらし、酵素活性に比例する。
【0049】
配列同一性:2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性が、「配列同一性」というパラメータによって記載される。
【0050】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSボージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される。
(同等の残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0051】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性は、EMBOSS package(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,supra)、好ましくはバージョン5.0.0以降のNeedle programに実装されているNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,supra)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、及び、EDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のとおり算出される:
(同一のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0052】
変異体:「変異体」という用語は、改変、即ち、置換、挿入、及び/又は欠失を1つ又は複数(例えば、いくつか)の位置で含む、α-アミラーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。置換とは、ある位置を占めるアミノ酸を異なるアミノ酸で置き換えることを意味し;欠失とは、ある位置を占めるアミノ酸が除去されていることを意味し;挿入とは、ある位置を占めるアミノ酸に隣接し且つ直後に1つのアミノ酸を加えることを意味する。
【0053】
一実施形態では、親α-アミラーゼは、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、及び18のポリペプチドからなる群から選択される。
【0054】
超高ストリンジェンシー条件:「超高ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、50%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて70℃で3回洗浄される。
【0055】
超低ストリンジェンシー条件:「超低ストリンジェンシー条件」という用語は、長さが少なくとも100ヌクレオチドのプローブについて、5×SSPEにおける42℃、0.3% SDS、200マイクログラム/ml断片化及び修飾サケ精子DNA、並びに、25%ホルムアミドでのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション、これに続く、12~24時間の標準的なサザンブロッティング法を意味する。キャリア材料は、最終的に、2×SSC、0.2% SDSを用いて、15分間ずつかけて45℃で3回洗浄される。
【0056】
野生型α-アミラーゼ:「野生型」α-アミラーゼという用語は、自然界において見出されるバクテリア、酵母、糸状真菌などの天然に存在する微生物により発現されるα-アミラーゼを意味する。
【0057】
変異体の命名のための慣習
本発明の目的として、配列番号1に開示される成熟ポリペプチドは、特に指示されない限り、他のα-アミラーゼ中の対応するアミノ酸残基を判定するため、用いられる。他のα-アミラーゼのアミノ酸配列は、配列番号1に開示されるポリペプチドと整列され、その整列化に基づき、配列番号1として開示されるポリペプチド中の任意のアミノ酸残基に対応するアミノ酸位置の数は、EMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のMeedleプログラム、好ましくはバージョン5.0.0又はそれ以降において実行されるときのNeedleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ、及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。
【0058】
他方のα-アミラーゼ中の対応するアミノ酸残基の同定は、限定はされないが、MUSCLE(log-expectationによる複数の配列比較;バージョン3.5又はそれ以降;Edgar,2004,Nucleic Acids Research 32:1792-1797)、MAFFT(バージョン6.857又はそれ以降;Katoh and Kuma,2002,Nucleic Acids Research 30:3059-3066;Katoh et al.,2005,Nucleic Acids Research 33:511-518;Katoh and Toh,2007,Bioinformatics 23:372-374;Katoh et al.,2009,Methods in Molecular Biology 537:39-64;Katoh and Toh,2010,Bioinformatics 26:1899-1900)、及びClustalWを利用したEMBOSS EMMA(1.83又はそれ以降;Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Research 22:4673-4680)を含む(それら各々のデフォルトパラメータを用いる)、いくつかのコンピュータプログラムを用いる複数のポリペプチド配列のアライメントにより、判定可能である。
【0059】
他の酵素が配列番号1の成熟ポリペプチドから分化していて、伝統的な配列に基づく比較ではそれらの関係性を検出できない(Lindahl and Elofsson,2000,J.Mol.Biol.295:613-615)とき、他のペアワイズ配列比較アルゴリズムを用いることができる。ポリペプチドファミリーの確率的表現(プロファイル)を利用する探索プログラムを用いてデータベースを探索することにより、配列に基づく探索におけるより高い感度を達成することができる。例えば、PSI-BLASTプログラムは、反復性データベース探索プロセスを通じてプロファイルを生成し、遠隔相同体を検出する能力がある(Atschul et al.,1997,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)。ポリペプチドにおけるファミリー又はスーパーファミリーがタンパク質構造データベース内に1つ又は複数の代表を有する場合、さらにより高い感度を達成することができる。GenTHREADER(Jones,1999,J.Mol.Biol.287:797-815;McGuffin and Jones,2003,Bioinformatics 19:874-881)などのプログラムは、問い合わせ配列についての構造的折り畳みを予測する神経回路網へのインプットとして、種々のソースからの情報(PSI-BLAST、二次構造予測、構造的アライメントプロファイル、及び溶媒和の可能性)を利用する。同様に、未知の構造の配列をSCOPデータベース内に存在するスーパーファミリーモデルと整列するため、Gough et al.,2000,J.Mol.Biol.313:903-919の方法を用いることができる。次に、これらの整列を用いて、ポリペプチドにおける相同性モデルを作成することができ、またかかるモデルは、正確度について評価することが、その目的のために開発された種々のツールを用いて可能である。
【0060】
既知の構造のタンパク質においては、構造的アライメントを検索し、生成するため、いくつかのツール及び資源が利用可能である。例えば、タンパク質のSCOPスーパーファミリーが、構造的に整列されており、それらアライメントは、アクセス及びダウンロード可能である。2つ以上のタンパク質構造は、距離アライメントマトリックス(Holm and Sander,1998,Proteins 33:88-96)又はコンビナトリアル伸長(Shindyalov and Bourne,1998,Protein Engineering 11:739-747)などの種々のアルゴリズムを用いて整列可能であり、加えて、有望な構造的相同体を発見するため、これらアルゴリズムの実行を利用し、目的の構造を有する構造データベースを検索することが可能である(例えば、Holm and Park,2000,Bioinformatics 16:566-567)。
【0061】
本発明の変異体の記載においては、参照を容易にするため、下記命名法が、適応される。認められたIUPACの一文字又は三文字のアミノ酸略称が用いられる。
【0062】
置換.アミノ酸置換においては、元のアミノ酸、位置、置換アミノ酸について、以下の命名法が用いられる。したがって、226位でのトレオニンとアラニンとの置換は、「Thr226Ala」又は「T226A」と名づけられる。複数の突然変異は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば「Gly205Arg+Ser411Phe」又は「G205R+S411F」は、205位及び411位各々でのグリシン(G)とアルギニン(R)との置換及びセリン(S)とフェニルアラニン(F)との置換を表す。
【0063】
欠失.アミノ酸欠失においては、元のアミノ酸、位置、*について、以下の命名法が用いられる。したがって、195位でのグリシンの欠失は、「Gly195*」又は「G195*」と名づけられる。複数の欠失は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば「Gly195*+Ser411*」又は「G195*+S411*」が挙げられる。
【0064】
挿入.アミノ酸挿入においては、元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入アミノ酸について、以下の命名法が用いられる。したがって、195位でのグリシンの後へのリジンの挿入は、「Gly195GlyLys」又は「G195GK」と名づけられる。複数のアミノ酸の挿入は、[元のアミノ酸、位置、元のアミノ酸、挿入アミノ酸#1、挿入アミノ酸#2など]のように名づけられる。例えば、195位でのグリシンの後へのリジン及びアラニンの挿入は、「Gly195GlyLysAla」又は「G195GKA」のように示される。
【0065】
かかる場合、挿入アミノ酸残基は、挿入アミノ酸残基に先行するアミノ酸残基の位置数に小文字を付けることにより付番される。それ故、上の例では、配列は次のようになる。
【0066】
【0067】
複数の改変.複数の改変を含む変異体は、記号(「+」)を付けることにより分離され、例えば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」又は「R170Y+G195E」は、170位及び195位各々でのアルギニン及びグリシンとチロシン及びグルタミン酸との置換を表す。
【0068】
異なる改変.異なる改変がある位置で導入可能である場合、異なる改変は、カンマによって分離され、例えば、「Arg170Tyr,Glu」は、170位でのアルギニンとチロシン又はグルタミン酸との置換を表す。したがって、「Tyr167Gly,Ala+Arg170Gly,Ala」は、以下の変異体:
「Tyr167Gly+Arg170Gly」、「Tyr167Gly+Arg170Ala」、「Tyr167Ala+Arg170Gly」、及び「Tyr167Ala+Arg170Ala」
を指す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に少なくとも1つの置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換を含むα-アミラーゼ変異体に関する。
【0070】
バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼにおける置換E188Pは、安定性を改善することが以前に示されている(米国特許第8,084,240号明細書)。同じことが、SがA、Q、E、D、又はMと置換されるときの242位での置換の場合にいえることが示されている一方で、他の置換として、C、F、G、H、I、K、L、N、P、R、T、V、W、Yが、野生型と比べて活性低下をもたらした(国際公開第2009061381号パンフレット)。
【0071】
変異体
本発明者は、単独で性能低下をもたらす、S242Y、F、H、W、P、I、T、Lから選択される242位での置換が、置換E188Pと組み合わされて相乗的改善をもたらすことを意外にも見出している。
【0072】
さらに、本発明者は、単独で性能低下をもたらす、K279Y、F、H、W、I、T、L、D、M、S、N、Q、V、Aから選択される279位での置換が、置換E188Pと組み合わされて相乗的改善をもたらすことを意外にも見出している。
【0073】
さらに、本発明者は、単独で性能低下をもたらす、N275Y、F、H、Wから選択される275位での置換が、置換E188Pと組み合わされて相乗的改善をもたらすことを意外にも見出している。
【0074】
一実施形態では、変異体は、親α-アミラーゼのアミノ酸配列に対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0075】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体に関し、ここで変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0076】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号1又は配列番号27のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0077】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号2のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0078】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号3のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0079】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号4のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0080】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号5のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0081】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号6のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0082】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号7のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0083】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号8のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0084】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号2の185位に対応する位置に置換、及び239又は276又は272位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E185P+S239Y、E185P+S239F、E185P+S239H、E185P+S239W、E185P+S239P、E185P+S239I、E185P+S239T、E185P+S239L、E185P+K276W、E185P+K276Y、E185P+K276F、E185P+K276H、E185P+K276I、E185P+K276L、E185P+K276D、E185P+K276M、E185P+K276S、E185P+K276T、E185P+K276N、E185P+K276Q、E185P+K276V、E185P+K276A、E185P+N272F、E185P+N272Y、E185P+N272W、及びE185P+N272Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号3のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号2を用いて、G48A+T49I+H68W+G107A+H156Y+A181T+I201Y+A209V+Q264S+K176L+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W及び任意選択的にはN190Fに対応する特定の置換をさらに含む。
【0085】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号2の185位に対応する位置に置換、及び239又は276又は272位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E185P+S239Y、E185P+S239F、E185P+S239H、E185P+S239W、E185P+S239P、E185P+S239I、E185P+S239T、E185P+S239L、E185P+K276W、E185P+K276Y、E185P+K276F、E185P+K276H、E185P+K276I、E185P+K276L、E185P+K276D、E185P+K276M、E185P+K276S、E185P+K276T、E185P+K276N、E185P+K276Q、E185P+K276V、E185P+K276A、E185P+N272F、E185P+N272Y、E185P+N272W、及びE185P+N272Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号3のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号2を用いて、G48A+T49I+H68W+G107A+T116Q+H156Y+A181T+I201Y+A209V+Q264S+K176L+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W及び任意選択的にはN190Fに対応する特定の置換をさらに含む。
【0086】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号1又は配列番号27のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号1を用いて、V59A+E129V+E177L+R179E+I181*+G182*+Q254S+M284V+V212T+Y268G+N293Y+T297N及び任意選択的にはN193Fに対応する特定の置換をさらに含む。
【0087】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号12から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0088】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号13から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0089】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号14から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0090】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号15から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0091】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号16から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0092】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号17から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0093】
一実施形態では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換を含むα-アミラーゼ変異体、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせに関し、ここで変異体は、配列番号18から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0094】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号2の185位に対応する位置に置換、及び239又は276又は272位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E185P+S239Y、E185P+S239F、E185P+S239P、E185P+S239I、E185P+S239T、E185P+S239L、E185P+K276W、E185P+K276Y、E185P+K276F、E185P+K276H、E185P+K276I、E185P+K276L、E185P+K276D、E185P+K276M、E185P+K276S、E185P+K276T、E185P+K276N、E185P+K276Q、E185P+K276V、E185P+K276A、E185P+N272F、E185P+N272Y、E185P+N272W、及びE185P+N272Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号3のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号2を用いて、G48A+T49I+H68W+G107A+H156Y+A181T+I201Y+A209V+Q264S+K176L+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W及び任意選択的にはN190Fに対応する特定の置換をさらに含み、またここで変異体は、配列番号9と比べて、90℃、pH4.5、5ppmのCa2+での20分のインキュベーション後のEnzCheckアッセイにより判定された増強された残留α-アミラーゼ活性を有する。
【0095】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号2の185位に対応する位置に置換、及び239又は276又は272位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E185P+S239Y、E185P+S239F、E185P+S239P、E185P+S239I、E185P+S239T、E185P+S239L、E185P+K276W、E185P+K276Y、E185P+K276F、E185P+K276H、E185P+K276I、E185P+K276L、E185P+K276D、E185P+K276M、E185P+K276S、E185P+K276T、E185P+K276N、E185P+K276Q、E185P+K276V、E185P+K276A、E185P+N272F、E185P+N272Y、E185P+N272W、及びE185P+N272Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号3のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号2を用いて、G48A+T49I+H68W+G107A+T116Q+H156Y+A181T+I201Y+A209V+Q264S+K176L+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W及び任意選択的にはN190Fに対応する特定の置換を含み、またここで変異体は、配列番号10と比べて、90℃、pH4.5、5ppmのCa2+での20分のインキュベーション後のEnzCheckアッセイにより判定された増強された残留α-アミラーゼ活性を有する。
【0096】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号1又は配列番号27のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号1を用いて、V59A+E129V+E177L+R179E+I181*+G182*+Q254S+M284V+V212T+Y268G+N293Y+T297N及び任意選択的にはN193Fに対応する特定の置換を含み、またここで変異体は、配列番号11と比べて、90℃、pH4.5、5ppmのCa2+での20分のインキュベーション後のEnzCheckアッセイにより判定された増強された残留α-アミラーゼ活性を有する。
【0097】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号4のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号4を用いて、R180*+S181*+S243Q+G475Kの特定の置換及びアミノ酸484~583のC末端欠失をさらに含み、またここで変異体は、R180*+S181*+S243Q+G475Kの特定の置換及びアミノ酸484~583のC末端欠失を有する配列番号4のα-アミラーゼと比べて、増強された熱安定性及び/又は増強されたキレート剤安定性を有する。
【0098】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279TE188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号5のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号5を用いて、R178*+G179*+E187P+I203Y+R458N+T459S+D460T+G476Kの特定の置換をさらに含み、またここで変異体は、R178*+G179*+E187P+I203Y+R458N+T459S+D460T+G476Kの特定の置換を有する配列番号5のα-アミラーゼと比べて、増強された熱安定性及び/又は増強されたキレート剤安定性を有する。
【0099】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279TE188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号5のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号5を用いて、N126Y+E132H+R178*+G179*+T180D+E187P+I203Y+Y303D+G476T+G477Eの特定の置換をさらに含み、またここで変異体は、N126Y+E132H+R178*+G179*+T180D+E187P+I203Y+Y303D+G476T+G477Eの特定の置換を有する配列番号5のα-アミラーゼと比べて、増強された熱安定性及び/又は増強されたキレート剤安定性を有する。
【0100】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279TE188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号5のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号5を用いて、N126Y+F153W+R178*+G179*+T180H+E187P+I203Yの特定の置換をさらに含み、またここで変異体は、N126Y+F153W+R178*+G179*+T180H+E187P+I203Yの特定の置換を有する配列番号5のα-アミラーゼと比べて、増強された熱安定性及び/又は増強されたキレート剤安定性を有する。
【0101】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、及び242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279TE188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含み、またここで変異体は、配列番号5のポリペプチドに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、例えば、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有し、またここで変異体は、付番用に配列番号5を用いて、N126Y+F153W+R178*+G179*+T180H+I203Y+S239Qの特定の置換をさらに含み、またここで変異体は、N126Y+F153W+R178*+G179*+T180H+I203Y+S239Qの特定の置換を有する配列番号5のα-アミラーゼと比べて、増強された熱安定性及び/又は増強されたキレート剤安定性を有する。
【0102】
さらなる態様では、本発明は、配列番号1の188位に対応する位置に置換、並びに242及び279位に対応する位置にさらなる置換、特に、
E188P+S242Y+K279I;
E188P+S242L+K279W;
E188P+S242P+K279W;
E188P+S242L+K279I;
E188P+S242Y+K279W;
E188P+S242Y+K279F;
E188P+S242Y+K279H;
E188P+S242Y+K279L;
E188P+S242Y+K279Y;
E188P+S242P+K279I;
E188P+S242F+K279W;
E188P+S242H+K279W;
E188P+S242W+K279W;
から選択される特定の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体に関し、ここで変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27のポリペプチドからなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0103】
さらなる態様では、本発明は、配列番号1のE188P及びI204Yに対応する置換、並びに242又は279位に対応する位置にさらなる少なくとも1つの置換、特に、
E188P+I204Y+S242Y;
E188P+I204Y+S242F;
E188P+I204Y+K279W;
E188P+I204Y+K279Y;
E188P+I204Y+K279F;
E188P+I204Y+K279H;
E188P+I204Y+K279I;
E188P+I204Y+K279L;
から選択される特定の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体に関し、またここで変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27のポリペプチドからなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する。
【0104】
一態様では、本発明の変異体における改変の数は、1~20、例えば1~10及び1~5、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の改変である。
【0105】
アミノ酸変化は、マイナーな性質、即ち、タンパク質のフォールディング及び/若しくは活性に有意には影響しない保存的アミノ酸置換若しくは挿入;典型的には1~30アミノ酸の小規模な欠失;アミノ若しくはカルボキシル末端、例えばアミノ末端メチオニン残基の小規模な伸長;最大20~25残基の小さいリンカーペプチド;又は正味電荷若しくは別の機能、例えば、ポリ-ヒスチジン路、抗原エピトープ若しくは結合ドメインを改変することにより精製を容易にする小規模な伸長であってもよい。
【0106】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び小アミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン及びメチオニン)の基の中に含まれる。一般には比活性を改変しないアミノ酸置換は、当該技術分野で公知であり、例えば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkによって記載されている。一般的置換は、Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、及びAsp/Glyである。
【0107】
或いは、アミノ酸変化は、ポリペプチドの物理化学的特性が改変されているような性質である。
【0108】
ポリペプチド中の必須アミノ酸は、当該技術分野で公知の手順、例えば部位特異的変異誘発又はアラニン走査変異誘発に従って同定されうる(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)。後者の技法では、単一のアラニン突然変異が分子中のすべての残基に導入され、得られた突然変異体分子が、分子の活性にとって決定的であるアミノ酸残基を同定するため、α-アミラーゼ活性について試験される。Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708も参照のこと。酵素の活性部位又は他の生物学的相互作用についても、推定上の接触部位アミノ酸の突然変異と関連して、核磁気共鳴、結晶学、電子回折、又は光親和性標識などの技術により測定されるような構造の物理分析により判定されうる。例えば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照のこと。必須アミノ酸の同一性についても、関連ポリペプチドとのアライメントから推測されうる。
【0109】
変異体は、C末端が切断されたバージョンからなってもよく、例えば、変異体は、好ましくは約490アミノ酸、例えば482~493アミノ酸の長さを有するように切断される。
【0110】
別の実施形態では、α-アミラーゼ変異体は、好ましくは配列番号1の484位の後、特に485位の後、特に486位の後、特に487位の後、特に488位の後、特に489位の後、特に490位の後、特に491位の後、特に492位の後、より具体的には493位の後で切断される。
【0111】
本発明のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼ、特に配列番号1~18として開示される親と比べて増強された安定性を有する。特に、増強された安定性は、任意の好適なα-アミラーゼ活性アッセイを用いて判定されてもよい。当業者は、好適なアッセイを選択する仕方を理解するであろう。好適なアッセイ及び条件の例が、本明細書中の実施例にて提示されている。かかる増強された安定性は、pH4.5で親α-アミラーゼよりも増強された熱安定性、又はモデル洗剤Aにおける親α-アミラーゼよりも増強されたキレート剤安定性を含んでもよい。特定の一実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、pH4.5で増強された熱安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回るα-アミラーゼ変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。
【0112】
別の特定の実施形態では、本発明に記載のα-アミラーゼ変異体は、親α-アミラーゼよりも、モデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFは、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)を上回る変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に変異体は、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する。残留活性は、当業者に公知の任意の好適なα-アミラーゼアッセイ、例えば本明細書中の実施例に開示されるアッセイのいずれかを用いて判定されてもよい。特定の実施形態では、残留活性は、Phadebas活性アッセイを用いて判定されてもよい。
【0113】
別の実施形態では、変異体は、親α-アミラーゼ、特に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のポリペプチドからなる群から選択される親アミラーゼと比べて、増強された熱安定性、特に、90℃、pH4.5、5ppmのCa2+で20分のインキュベーション後、EnzCheckアッセイによって判定された残留α-アミラーゼ活性として測定された増強された安定性を有する。
【0114】
一実施形態では、変異体は、親α-アミラーゼ、特に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のポリペプチドからなる群から選択される親アミラーゼによって得られるデキストロース当量(DE)値よりも高いDE値を有するリケファクトを生成する能力がある
【0115】
一実施形態では、変異体は、特許請求される二重置換を有しない親α-アミラーゼ、特に、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、及び配列番号11のポリペプチドからなる群から選択される親アミラーゼによって生成されるリケファクトと比べて増加した粘性を有するリケファクトを生成する能力がある。
【0116】
変異ポリペプチドは、一方のポリペプチドの領域が他方のポリペプチドの領域のN末端又はC末端で融合された、ハイブリッドポリペプチドであってもよい。
【0117】
変異体は、他方のポリペプチドが本発明のポリペプチドのN末端又はC末端で融合された、融合ポリペプチド又は切断可能な融合ポリペプチドであってもよい。融合ポリペプチドは、他方のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを本発明のポリヌクレオチドに融合することにより作製される。融合ポリペプチドを作製するための技術は、当該技術分野で公知であり、ポリペプチドをコードするコード配列を、それらがインフレームであり、且つ融合ポリペプチドの発現が同じプロモーター及びターミネーターの制御下にあるようにライゲートすることを含む。融合ポリペプチドはまた、融合ポリペプチドが翻訳後に作出されるようなインテイン技術を用いて構築されてもよい(Cooper et al.,1993,EMBO J.12:2575-2583;Dawson et al.,1994,Science 266:776-779)。
【0118】
融合ポリペプチドは、2つのポリペプチド間に切断部位をさらに含みうる。融合タンパク質の分泌時、部位は切断され、2つのポリペプチドが放出される。切断部位の例として、限定はされないが、Martin et al.,2003,J.Ind.Microbiol.Biotechnol.3:568-576;Svetina et al.,2000,J.Biotechnol.76:245-251;Rasmussen-Wilson et al.,1997,Appl.Environ.Microbiol.63:3488-3493;Ward et al.,1995,Biotechnology 13:498-503;並びにContreras et al.,1991,Biotechnology 9:378-381;Eaton et al.,1986,Biochemistry 25:505-512;Collins-Racie et al.,1995,Biotechnology 13:982-987;Carter et al.,1989,Proteins:Structure,Function,and Genetics 6:240-248;及びStevens,2003,Drug Discovery World 4:35-48に開示された部位が挙げられる。
【0119】
親は、任意の属の微生物から得てもよい。本発明の目的として、「から得られる」という用語は、所与の供給源と関連して本明細書で用いられるとき、ポリヌクレオチドによってコードされる親が、供給源により、又は供給源由来のポリヌクレオチドが挿入されている場合の株により作製されることを意味するものとする。一態様では、親は、細胞外に分泌される。
【0120】
親は、細菌α-アミラーゼであってもよい。例えば、親は、バチルス(Bacillus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、サイトファーガ(Cytophaga)などのグラム陽性細菌ポリペプチドであってもよい。
【0121】
一態様では、親は、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、又はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)α-アミラーゼである。
【0122】
これらの種の株は、幾つかの菌株保存機関、例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(American Type Culture Collection)(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、及び農業研究用特許培養株コレクション(Agricultural Research Service Patent Culture Collection)、ノーザン・リージョナル・リサーチ・センター(Northern Regional Research Center)(NRRL)にて容易に公的にアクセス可能である。
【0123】
親は、自然(例えば、汚染物、コンポスト、水など)から単離された微生物を含む他の供給源から同定及び入手されてもよい、又はDNAサンプルは、上記のプローブを用いて天然材料(例えば、汚染物、コンポスト、水など)から直接的に入手されてもよい。微生物及び自然生息地から直接的にDNAを単離するための技術は、当該技術分野で周知である。次に、親をコードするポリヌクレオチドは、他方の微生物のゲノムDNA若しくはcDNAライブラリー又は混合されたDNAサンプルを同様にスクリーニングすることにより入手されてもよい。一旦親をコードするポリヌクレオチドがプローブを用いて検出されていると、ポリヌクレオチドは、当業者に公知の技術を利用することにより単離又はクローン化されうる(例えば、Sambrook et al.,1989(上記)を参照)。
【0124】
変異体の調製
変異体は、当該技術分野で公知の任意の変異誘発方法、例えば、部位特異的変異誘発、合成遺伝子構築、半合成遺伝子構築、ランダム突然変異誘発、シャッフリングなどを用いて調製されうる。
【0125】
部位特異的変異誘発は、親をコードするポリヌクレオチド中の1つ又は複数の規定された部位に1つ又は複数(例えばいくつか)の突然変異が導入される場合の技法である。
【0126】
部位特異的変異誘発は、所望される突然変異を有するオリゴヌクレオチドプライマーの使用を含むPCRによりインビトロで達成可能である。部位特異的変異誘発はまた、親をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド内のある部位での制限酵素による切断を含むカセット突然変異誘発と、それに続くポリヌクレオチド中に突然変異を有するオリゴヌクレオチドのライゲーションにより、インビトロで実施可能である。通常、プラスミド及びオリゴヌクレオチドを消化する制限酵素とは同じであることから、プラスミドのスティッキーエンドとインサートを互いにライゲートすることが可能である。例えば、Scherer and Davis,1979,Proc.Natl.Acad.Sci.USA76:4949-4955;及びBarton et al.,1990,Nucleic Acids Res.18:7349-4966を参照のこと。
【0127】
部位特異的変異誘発はまた、当該技術分野で公知の方法によりインビボで実施可能である。例えば、米国特許出願公開第2004/0171154号明細書;Storici et al.,2001,Nature Biotechnol.19:773-776;Kren et al.,1998,Nat.Med.4:285-290;及びCalissano and Macino,1996,Fungal Genet.Genet.Newslett.43:15-16を参照されたし。
【0128】
本発明において、任意の部位特異的変異誘発方法を用いることができる。多くの市販キットが利用可能であり、それは変異体を調製するために用いることができる。
【0129】
合成遺伝子構築は、目的のポリペプチドをコードするように設計されたポリヌクレオチド分子のインビトロ合成を必要とする。遺伝子合成は、いくつかの技術、例えばTianらによって記載された多重マイクロチップに基づく技術(2004,Nature 432:1050-1054)及びオリゴヌクレオチドがフォトプログラム可能なマイクロ流体チップ上で合成及び構築されるような類似技術を用いて実施可能である。
【0130】
変異誘発、組換え、及び/又はシャッフリングの公知の方法と、それに続く関連するスクリーニング方法、例えば、Reidhaar-Olson and Sauer,1988,Science 241:53-57;Bowie and Sauer,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:2152-2156;国際公開第95/17413号パンフレット;又は国際公開第95/22625号パンフレットで開示されたものを用いて、単一又は複数のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入が設けられ、試験されうる。使用可能な他の方法は、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al.,1991,Biochemistry 30:10832-10837;米国特許第5,223,409号明細書;国際公開第92/06204号パンフレット)、及び領域特異的変異誘発(Derbyshire et al.,1986,Gene 46:145;Ner et al.,1988,DNA7:127)を含む。
【0131】
宿主細胞によって発現された、クローン化され、変異誘発されたポリペプチドの活性を検出するため、変異誘発/シャッフリング方法をハイスループットな自動化スクリーニング方法と組み合わせることができる(Ness et al.,1999,Nature Biotechnology 17:893-896)。活性ポリペプチドをコードする変異誘発されたDNA分子は、当該技術分野で標準の方法を用いて、宿主細胞から回収され、迅速に配列決定されうる。これらの方法は、ポリペプチド中の個別のアミノ酸残基の重要性の迅速な判定を可能にする。
【0132】
半合成遺伝子構築は、合成遺伝子構築、及び/又は部位特異的変異誘発、及び/又はランダム突然変異誘発、及び/又はシャッフルの態様を組み合わせることにより達成される。半合成構成は、合成されたポリヌクレオチド断片をPCR技術と組み合わせて利用するプロセスにより、典型的に表される。したがって、遺伝子の規定領域は新規に合成されてもよい一方で、他の領域は部位特異的変異誘発プライマーを用いて増幅されてもよいものの、他の領域は、エラープローンPCR又は非エラープローンPCR増幅が施されてもよい。ポリヌクレオチド部分配列は、次にシャッフルされてもよい。
【0133】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドに関する。一実施形態では、ポリヌクレオチドは、単離される。
【0134】
核酸構築物
本発明はまた、制御配列に適した条件下、好適な宿主細胞内でコード配列の発現を誘導する1つ又は複数の制御配列に作動可能に連結された本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物に関する。
【0135】
ポリヌクレオチドは、変異体の発現をもたらすため、種々の方法で操作されてもよい。ポリヌクレオチドのベクターへのその挿入前の操作が、発現ベクターに応じて、望ましいか又は必要であることがある。組換えDNA方法を用いてのポリヌクレオチドを修飾するための技術は、当該技術分野で周知である。
【0136】
制御配列は、ポリヌクレオチドの発現用の宿主細胞によって認識されるポリヌクレオチドであるプロモーターであってもよい。プロモーターは、変異体の発現を媒介する転写制御配列を有する。プロモーターは、突然変異体、切断、及びハイブリッドプロモーターを含む、宿主細胞内で転写活性を示す任意のポリヌクレオチドであってもよく、また宿主細胞に対して相同又は異種のいずれかである細胞外若しくは細胞内ポリペプチドをコードする遺伝子から得られてもよい。
【0137】
細菌宿主細胞内での本発明の核酸構築物の転写を誘導するのに適したプロモーターの例が、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)α-アミラーゼ遺伝子(amyQ)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ遺伝子(amyL)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ペニシリナーゼ遺伝子(penP)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)マルトジェニックアミラーゼ遺伝子(amyM)、枯草菌(Bacillus subtilis)レバンスクラーゼ遺伝子(sacB)、枯草菌(Bacillus subtilis)xylA及びxylB遺伝子、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cryIIIA遺伝子(Agaisse and Lereclus,1994,Molecular Microbiology 13:97-107)、大腸菌(E.Coli)lacオペロン、大腸菌(E.Coli)trcプロモーター(Egon et al.,1988,Gene 69:301-315)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)アガラーゼ遺伝子(dagA)、及び原核生物ベータ-ラクタマーゼ遺伝子(Villa-Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.USA75:3727-3731)、並びにtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.USA80:21-25)から得られるプロモーターである。さらなるプロモーターが、Gilbert et al.,1980,Scientific American 242:74-94;及びSambrook et al.,1989(上記)における「組換え細菌からの有用なタンパク質」に記載されている。タンデムプロモーターの例が、国際公開第99/43835号パンフレット中に開示されている。
【0138】
制御配列はまた、転写を終結させるために宿主細胞によって認識される転写ターミネーターであってもよい。ターミネーター配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結される。宿主細胞内で機能的である任意のターミネーターが用いられてもよい。
【0139】
細菌宿主細胞における好ましいターミネーターは、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)アルカリ性プロテアーゼ(aprH)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(amyL)、及び大腸菌(Escherichia coli)リボソームRNA(rrnB)における遺伝子から得られる。
【0140】
制御配列はまた、プロモーターの下流及び遺伝子の発現を増強する遺伝子のコード配列の上流のmRNA安定化剤領域であってもよい。
【0141】
好適なmRNA安定化剤領域の例が、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)cryIIIA遺伝子(国際公開第94/25612号パンフレット)及び枯草菌(Bacillus subtilis)SP82遺伝子(Hue et al.,1995,Journal of Bacteriology 177:3465-3471)から得られる。
【0142】
制御配列はまた、変異体のN末端に連結されたシグナルペプチドをコードし、且つ変異体を細胞の分泌経路に誘導するシグナルペプチドコード領域であってもよい。ポリヌクレオチドのコード配列の5’末端は、本質的に、翻訳リーディングフレーム内で変異体をコードするコード配列のセグメントと天然に連結されたシグナルペプチドコード配列を有してもよい。或いは、コード配列の5’末端は、コード配列に対して外来性のシグナルペプチドコード配列を有してもよい。コード配列が天然にシグナルペプチドコード配列を有しない場合、外来性シグナルペプチドコード配列が要求されてもよい。或いは、変異体の分泌を増強するため、外来性シグナルペプチドコード配列が、天然シグナルペプチドコード配列を単純に置換してもよい。しかし、発現された変異体を宿主細胞の分泌経路に誘導する任意のシグナルペプチドコード配列が用いられてもよい。
【0143】
細菌宿主細胞にとって有効なシグナルペプチドコード配列は、バチルス(Bacillus)NCIB11837マルトジェニックアミラーゼ、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)スブチリシン、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)ベータ-ラクタマーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼ、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)中性プロテアーゼ(nprT、nprS、nprM)、及び枯草菌(Bacillus subtilis)prsAにおける遺伝子から得られるシグナルペプチドコード配列である。さらに、シグナルペプチドは、Simonen and Palva,1993,Microbiological Reviews 57:109-137によって記載されている。
【0144】
制御配列はまた、変異体のN末端に位置するプロペプチドをコードするプロペプチドコード配列であってもよい。得られたポリペプチドは、プロ酵素又はプロポリペプチド(又は場合によっては酵素前躯体)として公知である。プロポリペプチドは、一般に不活性であり、且つプロポリペプチドからのプロペプチドの触媒的又は自己触媒的切断により活性ポリペプチドに変換されうる。プロペプチドコード配列は、枯草菌(Bacillus subtilis)アルカリ性プロテアーゼ(aprE)、枯草菌(Bacillus subtilis)中性プロテアーゼ(nprT)、ミセリオフトラ・サーモフィラ(Myceliophthora thermophila)ラッカーゼ(国際公開第95/33836号パンフレット)、リゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)アスパラギン酸プロテイナーゼ、及び出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)アルファ因子における遺伝子から得られてもよい。
【0145】
シグナルペプチド及びプロペプチド配列の両方が存在する場合、プロペプチド配列は、変異体のN末端の隣に位置し、且つシグナルペプチド配列は、プロペプチド配列のN末端の隣に位置する。
【0146】
宿主細胞の増殖に対しての変異体の発現を調節する制御配列を付加することが望ましいこともある。制御系の例が、制御性化合物の存在を含む、化学的又は物理的刺激に応答して、遺伝子の発現のオン又はオフをもたらすものである。原核生物系における制御系は、lac、tac、及びtrpオペレーター系を含む。
【0147】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド、プロモーター、並びに転写及び翻訳停止シグナルを含む組換え発現ベクターに関する。1つ又は複数の便益的な制限部位を、変異体をコードするポリヌクレオチドのかかる部位での挿入又は置換を可能にするために含んでもよい組換え発現ベクターを作製するため、様々なヌクレオチド及び制御配列が一緒に連結されてもよい。或いは、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む核酸構築物を発現用の適切なベクターに挿入することにより発現されてもよい。発現ベクターを作出する場合、コード配列は、ベクター内で、コード配列が発現用の適切な制御配列と作動可能に連結されるように位置する。
【0148】
組換え発現ベクターは、便益的に組換えDNA方法に従うことが可能であり、ポリヌクレオチドの発現をもたらしうる任意のベクター(例えば、プラスミド又はウイルス)であってもよい。ベクターの選択は、典型的には、ベクターとベクターが導入されるべき宿主細胞との互換性に依存することになる。ベクターは、直鎖状又は閉環状のプラスミドであってもよい。
【0149】
ベクターは、自律的に複製するベクター、即ち染色体外実体として存在するベクターであってもよく、その複製は、染色体複製、例えば、プラスミド、染色体外因子、ミニ染色体、又は人工染色体に依存しない。ベクターは、自己複製を保証するための任意の手段を含有してもよい。或いは、ベクターは、宿主細胞に導入されるとき、ゲノム中に組み込まれ、それが中に組み込まれている染色体と一緒に複製されるものであってもよい。さらに、宿主細胞のゲノムに導入されるべき全DNA、又はトランスポゾンを一緒に有する、単一のベクター若しくはプラスミド又は2つ以上のベクター若しくはプラスミドが用いられてもよい。
【0150】
ベクターは、好ましくは、形質転換細胞、トランスフェクト細胞、形質導入細胞、又はそれに類する細胞の容易な選択を可能にする1つ又は複数の選択可能マーカーを有する。選択可能マーカーは、遺伝子であって、その産物が、殺生物剤又はウイルス抵抗性、重金属に対する抵抗性、栄養要求体に対する原栄養性などをもたらす遺伝子である。
【0151】
細菌選択可能マーカーの例が、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)若しくは枯草菌(Bacillus subtilis)dal遺伝子、又は抗生物質抵抗性、例えば、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン若しくはテトラサイクリン抵抗性を付与するマーカーである。酵母宿主細胞に適したマーカーとして、限定はされないが、ADE2、HIS3、LEU2、LYS2、MET3、TRP1、及びURA3が挙げられる。糸状真菌宿主細胞において用いられる選択可能マーカーとして、限定はされないが、amdS(アセトアミダーゼ)、argB(オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ)、bar(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ)、hph(ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ)、niaD(硝酸還元酵素)、pyrG(オロチジン-5’リン酸デカルボキシラーゼ)、sC(硫酸アデニリルトランスフェラーゼ)、及びtrpC(アントラニル酸シンターゼ)、並びにそれらの均等物が挙げられる。アスペルギルス(Aspergillus)細胞においては、アスペルギルス・ニドゥランス(Aspergillus nidulans)若しくはコウジカビ(Aspergillus oryzae)のamdS及びpyrG遺伝子、並びにストレプトマイセス・ハイグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子の使用が好ましい。
【0152】
ベクターは、好ましくは、ベクターの宿主細胞のゲノムへの組込み又は細胞内でのベクターのゲノムに依存しない自律的複製を可能にするエレメントを有する。
【0153】
宿主細胞ゲノムへの組込みにおいては、ベクターは、変異体をコードするポリヌクレオチドの配列、又は相同若しくは非相同組換えによるゲノムへの組込みのためのベクターの任意の他のエレメントに依存してもよい。或いは、ベクターは、染色体中の正確な位置での宿主細胞のゲノムへの相同組換えによる組込みを誘導するための追加的なポリヌクレオチドを有してもよい。正確な位置での組込みの可能性を高めるため、組込みエレメントは、相同組換えの確率を高めるために対応する標的配列に対して高度な配列同一性を有する、十分な数の核酸、例えば、100~10,000塩基対、400~10,000塩基対、及び800~10,000塩基対を含む必要がある。組込みエレメントは、宿主細胞のゲノム中の標的配列と相同である任意の配列であってもよい。さらに、組込みエレメントは、非コード又はコードポリヌクレオチドであってもよい。他方、ベクターは、非相同組換えにより宿主細胞のゲノムに組み込まれてもよい。
【0154】
自律的複製においては、ベクターは、ベクターが問題の宿主細胞内で自律的に複製することを可能にする複製起点をさらに含んでもよい。複製起点は、細胞内で機能する自律的複製を媒介する任意のプラスミドレプリケーターであってもよい。「複製起点」又は「プラスミドレプリケーター」という用語は、プラスミド又はベクターがインビボで複製することを可能にするポリヌクレオチドを意味する。
【0155】
細菌の複製起源の例が、大腸菌(E.Coli)中での複製を可能にするプラスミドpBR322、pUC19、pACYC177、及びpACYC184の複製起源、並びにバチルス(Bacillus)中での複製を可能にするpUB110、pE194、pTA1060、及びpAMβ1の複製起源である。
【0156】
変異体の生成を増加させるため、本発明のポリヌクレオチドの2つ以上のコピーが宿主細胞に挿入されてもよい。ポリヌクレオチドのコピー数における増加は、配列の少なくとも1つの追加的コピーを宿主細胞ゲノムに組み込むことにより、又は選択可能マーカー遺伝子の増幅されたコピーと、それによるポリヌクレオチドの追加的コピーとを有する細胞が、適切な選択可能薬剤の存在下で細胞を培養することにより選択されうる場合、ポリヌクレオチドとともに増幅可能な選択可能マーカー遺伝子を含めることにより、得られうる。
【0157】
本発明の組換え発現ベクターを構築するため、上記エレメントをライゲートするのに用いられる手順は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al.,1989(上記)を参照)。
【0158】
宿主細胞
本発明はまた、本発明の変異体の生成を誘導する1つ以上の制御配列に作動可能に連結された本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む、組換え宿主細胞に関する。一実施形態では、1つ以上の制御配列は、本発明のポリヌクレオチドに対して異種である。ポリヌクレオチドを含む構築物又はベクターが宿主細胞に導入されることで、構築物又はベクターは、前述のように染色体組込み体として又は自己複製染色体外ベクターとして維持される。「宿主細胞」という用語は、複製中に生じる突然変異に起因して、親細胞と同一でない、親細胞のいずれかの子孫を包含する。宿主細胞の選択は、変異体をコードする遺伝子及びその供給源に多くは依存することになる。
【0159】
宿主細胞は、変異体の組換え生成において有用な任意の細胞、例えば原核生物又は真核生物であってもよい。
【0160】
原核宿主細胞は、任意のグラム陽性又はグラム陰性細菌であってもよい。グラム陽性細菌は、限定はされないが、バチルス(Bacillus)、クロストリジウム(Clostridium)、腸球菌(Enterococcus)、ゲオバチルス(Geobacillus)、乳酸桿菌(Lactobacillus)、ラクトコッカス(Lactococcus)、オセアノバチルス(Oceanobacillus)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、連鎖球菌(Streptococcus)、及びストレプトマイセス(Streptomyces)を含む。グラム陰性細菌は、限定はされないが、カンピロバクター(Campylobacter)、大腸菌(E.Coli)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、フソバクテリウム(Fusobacterium)、ヘリコバクター(Helicobacter)、イリオバクター(Ilyobacter)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、及びウレアプラズマ(Ureaplasma)を含む。
【0161】
細菌宿主細胞は、限定はされないが、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウジイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウタス(Bacillus lautus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、巨大菌(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)細胞を含む任意のバチルス(Bacillus)細胞であってもよい。
【0162】
細菌宿主細胞はまた、限定はされないが、ストレプトコッカス・エクイシミリス(Streptococcus equisimilis)、化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・ウベリス(Streptococcus uberis)、及び腺疫菌亜種ズーエピデミクス(Streptococcus equi subsp.Zooepidemicus)細胞を含む、任意の連鎖球菌(Streptococcus)細胞であってもよい。
【0163】
細菌宿主細胞はまた、限定はされないが、ストレプトマイセス・アクロモゲネス(Streptomyces achromogenes)、ストレプトマイセス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、及びストレプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividans)細胞を含む、任意のストレプトマイセス(Streptomyces)細胞であってもよい。
【0164】
DNAのバチルス(Bacillus)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換(例えば、Chang and Cohen,1979,Mol.Gen.Genet.168:111-115を参照)、コンピテント細胞形質転換(例えば、Young and Spizizen,1961,J.Bacteriol.81:823-829、又はDubnau and Davidoff-Abelson,1971,J.Mol.Biol.56:209-221を参照)、エレクトロポレーション(例えば、Shigekawa and Dower,1988,Biotechniques 6:742-751を参照)、又はコンジュゲーション(例えば、Koehler and Thorne,1987,J.Bacteriol.169:5271-5278を参照)によって行われてもよい。DNAの大腸菌(E.Coli)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換(例えば、Hanahan,1983,J.Mol.Biol.166:557-580を参照)又はエレクトロポレーション(例えば、Dower et al.,1988,Nucleic Acids Res.16:6127-6145を参照)によって行われてもよい。DNAのストレプトマイセス(Streptomyces)細胞への導入は、プロトプラスト形質転換、エレクトロポレーション(例えば、Gong et al.,2004,Folia Microbiol.(Praha)49:399-405を参照)、コンジュゲーション(例えば、Mazodier et al.,1989,J.Bacteriol.171:3583-3585を参照)、又は形質導入(例えば、Burke et al.,2001,Proc.Natl.Acad.Sci.USA98:6289-6294を参照)によって行われてもよい。DNAのシュードモナス(Pseudomonas)細胞への導入は、エレクトロポレーション(例えば、Choi et al.,2006,J.Microbiol.Methods 64:391-397を参照)、又はコンジュゲーション(例えば、Pinedo and Smets,2005,Appl.Environ.Microbiol.71:51-57を参照)によって行われてもよい。DNAの連鎖球菌(Streptococcus)細胞への導入は、天然コンピテンス(例えば、Perry and Kuramitsu,1981,Infect.Immun.32:1295-1297を参照)、プロトプラスト形質転換(例えば、Catt and Jollick,1991,Microbios 68:189-207を参照)、エレクトロポレーション(例えば、Buckley et al.,1999,Appl.Environ.Microbiol.65:3800-3804を参照)又はコンジュゲーション(例えば、Clewell,1981,Microbiol.Rev.45:409-436を参照)によって行われてもよい。しかし、DNAを宿主細胞に導入するための当該技術分野で公知の任意の方法が使用可能である。
【0165】
生成方法
本発明はまた、(a)本発明の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養することと;(b)変異体を回収することと、を含む、変異体を生成する方法に関する。
【0166】
宿主細胞は、当該技術分野で公知の方法を用いて、変異体の生成に適した栄養培地中で培養される。例えば、細胞は、振盪フラスコ培養、又は好適な培地中や変異体の発現及び/若しくは単離を可能にする条件下で実施される実験室若しくは工業発酵槽における小規模若しくは大規模発酵(連続、バッチ、フェドバッチ、又は固体発酵を含む)により培養されてもよい。培養は、当該技術分野で公知の方法を用いて、炭素及び窒素源並びに無機塩類を含む好適な栄養培地中で行われる。好適な培地は、商業供給者から入手可能である、又は(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関のカタログ中の)公表された組成物に従って調製されてもよい。変異体が栄養培地中に分泌される場合、変異体は、培地から直接的に回収されうる。変異体が分泌されない場合、それは細胞可溶化物から回収されうる。
【0167】
変異体は、変異体に特化された当該技術分野で公知の方法を用いて検出されてもよい。これらの検出方法は、限定はされないが、特異抗体の使用、酵素産物の形成、又は酵素基質の消失を含む。例えば、変異体の活性を測定するため、酵素アッセイが用いられてもよい。
【0168】
変異体は、当該技術分野で公知の方法を用いて回収されてもよい。例えば、変異体は、限定はされないが、収集、遠心分離、濾過、抽出、噴霧乾燥、蒸発、又は沈殿を含む通常の方法により、栄養培地から回収されてもよい。
【0169】
変異体は、実質的に純粋な変異体を得るため、限定はされないが、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、親和性、疎水性、等電点電気泳動、及びサイズ排除)、電気泳動法(例えば、分取等電点電気泳動)、差次的溶解度(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)、SDS-PAGE、又は抽出を含む当該技術分野で公知の種々の方法により精製されてもよい(例えば、Protein Purification,Janson and Ryden,editors,VCH Publishers,New York,1989を参照)。
【0170】
代替的態様では、変異体が回収されないばかりか、変異体を発現する本発明の宿主細胞が、変異体の供給源として用いられる。
【0171】
発酵ブロス製剤又は細胞組成物
本発明はまた、本発明のポリペプチドを含む発酵ブロス製剤又は細胞組成物に関する。発酵ブロス生成物は、発酵プロセスにおいて用いられる追加的成分、例えば、細胞(目的のポリペプチドを生成するために用いられる本発明のポリペプチドをコードする遺伝子を有する宿主細胞を含む)、細胞片、バイオマス、発酵培地及び/又は発酵生成物などをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、有機酸、死細胞及び/又は細胞片、及び培地を含有する細胞が死滅した全培養液である。
【0172】
用語「発酵ブロス」は、本明細書で用いられるとき、回収及び/又は精製を全く実施ないか又は実施しても最低限である細胞発酵によって生成される調製物を指す。例えば、発酵ブロスは、微生物培養物が飽和するまで増殖され、タンパク質合成(例えば、宿主細胞による酵素の発現)及び細胞培地への分泌を可能にするような炭素制限条件下でインキュベートされるとき、生成される。発酵ブロスは、発酵終了時に誘導される発酵材料の未分画又は分画内容物を含有しうる。典型的には、発酵ブロスは、未分画であり、微生物細胞(例えば、糸状真菌細胞)が例えば遠心分離により除去された後に存在する、消費された培地及び細胞片を含む。いくつかの実施形態では、発酵ブロスは、消費された細胞培地、細胞外酵素、並びに生存可能及び/又は生存不能微生物細胞を含有する。
【0173】
一実施形態では、発酵ブロス製剤及び細胞組成物は、少なくとも1つの1~5炭素有機酸及び/又はその塩を含む第1の有機酸成分、並びに少なくとも1つの6以上の炭素有機酸及び/又はその塩を含む第2の有機酸成分を含む。具体的な実施形態では、第1の有機酸成分は、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、その塩、又は前記の2つ以上の混合物であり、第2の有機酸成分は、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸、4メチル吉草酸、フェニル酢酸、その塩、又は前記の2つ以上の混合物である。
【0174】
一態様では、組成物は、有機酸を含有し、また任意選択的には死滅細胞及び/又は細胞片をさらに含有する。一実施形態では、死滅細胞及び/又は細胞片は、細胞死滅全培養液から除去され、これらの成分を含まない組成物を提供する。
【0175】
発酵ブロス製剤又は細胞組成物は、限定はされないが、ソルビトール、塩化ナトリウム、ソルビン酸カリウム、及び当該技術分野で公知のその他を含む、保存剤及び/又は抗微生物(例えば静菌)剤をさらに含んでもよい。
【0176】
細胞死滅全培養液又は組成物は、発酵終了時に誘導される発酵材料の未分画内容物を含有してもよい。典型的には、細胞死滅全培養液又は組成物は、微生物細胞(例えば、糸状真菌細胞)が飽和するまで増殖され、タンパク質合成を可能にするような炭素制限条件下でインキュベートされた後に存在する消費された培地及び細胞片を含有する。いくつかの実施形態では、細胞死滅全培養液又は組成物は、消費された細胞培地、細胞外酵素、及び死滅した糸状真菌細胞を含有する。いくつかの実施形態では、細胞死滅全培養液又は組成物中に存在する微生物細胞は、当該技術分野で公知の方法を用いて透過処理及び/又は溶解されうる。
【0177】
本明細書に記載のような全培養液又は細胞組成物は、典型的には液体であるが、不溶性成分、例えば死滅細胞、細胞片、培地成分、及び/又は不溶性酵素を含有してもよい。いくつかの実施形態では、清澄化液体組成物を提供するため、不溶性成分は除去されてもよい。
【0178】
本発明の全培養液製剤及び細胞組成物は、国際公開第90/15861号パンフレット又は国際公開第2010/096673号パンフレット中に記載の方法により作製されてもよい。
【0179】
組成物
本発明はまた、本発明のα-アミラーゼ変異体を含む組成物に関する。
【0180】
組成物は、主要な酵素成分として本発明のα-アミラーゼ変異体を含んでもよい(例えば単一成分組成物)。或いは、組成物は、複数の酵素活性、例えば、プロテアーゼ、グルコアミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラナーゼからなる群から選択される1つ以上(例えばいくつか)の酵素を含んでもよい。特定の実施形態では、組成物は、本発明のα-アミラーゼ変異体と、プロテアーゼ、特にパイロコッカス種(Pyrococcus sp.)若しくはサーモコッカス種(Thermococcus sp.)由来のプロテアーゼ、又はサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)由来のプロテアーゼとを含む。
【0181】
一実施形態では、プロテアーゼは、配列番号19で示されるパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来のS8プロテアーゼ、又は配列番号19のポリペプチドに対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有するプロテアーゼから選択される。
【0182】
別の実施形態では、プロテアーゼは、サーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)プロテアーゼ変異体から選択され、ここでプロテアーゼ変異体は、突然変異の以下の組み合わせ:
D79L+S87P+A112P+D142L;
D79L+S87P+D142L;又は
A27K+D79L+Y82F+S87G+D104P+A112P+A126V+D142L;
の1つを含み;且つプロテアーゼ変異体は、配列番号20のポリペプチドに対して、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも93%、最も好ましくは少なくとも94%、及びさらに最も好ましくは少なくとも95%、例えばさらに少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるが100%未満の同一性を有する。
【0183】
洗剤組成物中での本発明のα-アミラーゼ変異体の使用においては、以降例示される組成物成分の非限定的リストは、かかる使用に適し、例えば、洗浄対象の基質の処理において洗浄性能を補助又は増強する、又は芳香剤、着色剤、色素などの場合としての組成物の美観を修飾する。任意の組成物中に組み込まれるような任意の成分のレベルは、組み込み用に先に列挙された任意の材料に追加される。これらの追加的成分の正確な性質、及びそれらの組み込みレベルは、組成物の物理的形態及びそれが使用されるべき洗浄操作の性質に依存することになる。下記の成分は、特定の機能性に従い、一般的なヘッダーにより分類されるが、成分が当業者によって理解されるような追加的な機能性を含んでもよいことから、これは限定として解釈されるべきでない。別段の指示がない限り、百分率の量は、組成物の重量を基準とする(wt%)。
【0184】
好適な成分材料としては、これらに限定されないが、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、染料移行阻害剤、分散剤、酵素、及び酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、ポリマー分散剤、粘土汚染物除去剤/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、色調染料、香料、香料送達系、構造弾力化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、及び/又は顔料が挙げられる。以下の開示に加えて、他のこのような成分の好適例及び使用レベルについては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5576282号明細書、米国特許第6306812号明細書、及び米国特許第6326348号明細書に見出される。
【0185】
それ故、特定の実施形態では、本発明は、以下の補助材料の1つ又は複数を含有しない:界面活性剤、石鹸、ビルダー、キレート剤、染料移行阻害剤、分散剤、追加の酵素、酵素安定化剤、触媒材料、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、ポリマー分散剤、粘土汚染物除去剤/再付着防止剤、増白剤、抑泡剤、染料、香料、香料送達系、構造弾力化剤、布地柔軟剤、担体、ヒドロトロープ、加工助剤、溶媒、及び/又は顔料。しかしながら、1つ又は複数の成分が存在する場合、以下に詳述するような1つ又は複数の成分が存在し得る。
【0186】
界面活性剤-本発明による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、この界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択することができる。界面活性剤は、存在する場合、典型的には、0.1~60重量%、0.2~40重量%、0.5~30重量%、1~50重量%、1~40重量%、1~30重量%、1~20重量%、3~10重量%、3~5重量%、5~40重量%、5~30重量%、5~15重量%、3~20重量%、3~10重量%、8~12重量%、10~12重量%、20~25重量%、又は25~60重量%のレベルで存在する。
【0187】
好適なアニオン性洗浄界面活性剤には、スルフェート及びスルホネート洗浄界面活性剤が含まれる。
【0188】
好適なスルホネート洗浄界面活性剤には、アルキルベンゼンスルホネート、一態様では、C10~13アルキルベンゼンスルホネートが含まれる。好適なアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することにより得ることができ;好適なLABには、Isochem(登録商標)又はPetrelab(登録商標)などの低級2-フェニルLABが含まれ、他の好適なLABには、Hyblene(登録商標)などの高級2-フェニルLABが含まれる。好適なアニオン性洗浄界面活性剤は、DETAL触媒工程により得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路が適していることもある。一態様では、LASのマグネシウム塩が使用される。
【0189】
好適なスルフェート洗浄界面活性剤には、アルキルスルフェート、一態様では、C8~18アルキルスルフェート又は主としてC12アルキルスルフェートが含まれる。
【0190】
他の好適なスルフェート洗浄界面活性剤は、アルキルアルコキシル化スルフェート、一態様ではアルキルエトキシル化スルフェート、一態様ではC8~18アルキルアルコキシル化スルフェート、別の態様ではC8~18アルキルエトキシル化スルフェートであり、典型的には、アルキルアルコキシル化スルフェートの平均アルコキシル化度は0.5~20又は0.5~10であり、典型的には、アルキルアルコキシル化スルフェートは、平均エトキシル化度が0.5~10、0.5~7、0.5~5、又は0.5~3のC8~18アルキルエトキシル化スルフェートである。
【0191】
アルキルスルフェート、アルキルアルコキシル化スルフェート、及びアルキルベンゼンスルホネートは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0192】
洗浄界面活性剤は、中間鎖分枝洗浄界面活性剤、一態様では、中間鎖分枝アニオン性洗浄界面活性剤、一態様では、中間鎖分枝アルキルスルフェート、及び/又は中間鎖分枝アルキルベンゼンスルホネート、例えば、中間鎖分枝アルキルスルフェートであってもよい。一態様では、中間鎖分枝は、C1~4アルキル基、典型的には、メチル基及び/又はエチル基である。
【0193】
アニオン性界面活性剤の非限定例としては、スルフェート及びスルホネート、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、LASの異性体、分枝アルキルベンゼンスルホネート(BABS)、フェニルアルカンスルホネート、アルファ-オレフィンスルホネート(AOS)、オレフィンスルホネート、アルケンスルホネート、アルカン-2,3-ジイルビス(スルフェート)、ヒドロキシアルカンスルホネート及びジスルホネート、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などのアルキルスルフェート(AS)、脂肪アルコールスルフェート(FAS)、第一級アルコールスルフェート(PAS)、アルコールエーテルスルフェート(AES又はAEOS又はFES、アルコールエトキシスルフェート又は脂肪アルコールエーテルスルフェートとしても知られる)、第二級アルカンスルホネート(SAS)、パラフィンスルホネート(PS)、エステルスルホネート、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、メチルエステルスルホネート(MES)を含むアルファ-スルホ脂肪酸メチルエステル(アルファ-SFMe又はSES)、アルキル-又はアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホ-コハク酸又は石鹸のジエステル及びモノエステル、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0194】
好適な非イオン性洗浄界面活性剤は、以下のものからなる群から選択される:NEODOL(登録商標)などのC8~C18アルキルエトキシレート;アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はそれらの混合物であり得るC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート;Pluronic(登録商標)など、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12~C18アルコール及びC6~C12アルキルフェノール縮合物;C14~C22中間鎖分枝アルコール;典型的には1~30の平均アルコキシル化度を有するC14~C22中間鎖分枝アルキルアルコキシレート;アルキルポリサッカライド、一態様では、アルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;エーテルキャップドポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤;並びにそれらの混合物。
【0195】
好適な非イオン性洗浄界面活性剤には、アルキルポリグルコシド及び/又はアルキルアルコキシル化アルコールが含まれる。
【0196】
一態様では、非イオン性洗浄界面活性剤には、アルキルアルコキシル化アルコール、一態様では、C8~18アルキルアルコキシル化アルコール、例えばC8~18アルキルエトキシル化アルコールが含まれ、アルキルアルコキシル化アルコールは、1~50、1~30、1~20、又は1~10の平均アルコキシ化度を有し得る。一態様では、アルキルアルコキシル化アルコールは、1~10、1~7、さらには1~5又は3~7の平均エトキシ化度を有するC8~18アルキルエトキシル化アルコールであってもよい。アルキルアルコキシル化アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよく、置換されていても置換されていなくてもよい好適な非イオン性界面活性剤にはLutensol(登録商標)が含まれる。
【0197】
非イオン性界面活性剤の非限定例としては、アルコールエトキシレート(AE又はAEO)、アルコールプロポキシレート、プロポキシル化脂肪アルコール(PFA)、アルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、例えばエトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又はグルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルカミド、GA、又は脂肪酸グルカミド、FAGA)、並びにSPAN及びTWEENの商品名で入手可能な製品、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0198】
好適なカチオン性洗浄界面活性剤には、アルキルピリジニウム化合物、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルキル第四級ホスホニウム化合物、アルキル第三級スルホニウム化合物、及びそれらの混合物が含まれる。
【0199】
好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、以下の一般式を有する第四級アンモニウム化合物である:(R)(R1)(R2)(R3)N+ X-、式中、Rは、直鎖又は分枝の置換又は無置換C6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R1及びR2は独立して、メチル又はエチル部分から選択され、R3は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を付与するアニオンであり、好適なアニオンには、ハライド、例えばクロライド;スルフェート;及びスルホネートが含まれる。好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC6~18アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライドである。極めて好適なカチオン性洗浄界面活性剤は、モノC8~10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライド、モノC10~12アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライド、及びモノC10アルキルモノヒドロキシエチルジメチル第四級アンモニウムクロライドである。
【0200】
カチオン性界面活性剤の非限定例としては、アルキルジメチルエタノールアミンクォート(ADMEAQ)、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(CTAB)、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド(DSDMAC)、及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム、アルキル第四級アンモニウム化合物、アルコキシル化第四級アンモニウム(AQA)化合物、エステルクォート、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0201】
好適な双性/両性イオン性界面活性剤には、アミンオキシド及びアルキルジメチルベタイン、スルホベタインなどのベタイン、又はそれらの組合せが含まれる。アミン中和化アニオン性界面活性剤-本発明のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性共界面活性剤は、酸形態で存在し得るものであり、前記酸形態を中和して、本洗剤組成物で使用するのに望ましい界面活性剤塩を形成させることができる。典型的な中和剤には、水酸化物、例えばNaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基が含まれる。酸形態にある、本発明のアニオン性界面活性剤及び補助アニオン性界面活性剤又は共界面活性剤を中和するためのさらなる好ましい薬剤には、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが含まれる。アルカノールアミンが好ましい。好適な非限定例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び当技術分野で公知の他の直鎖又は分枝アルカノールアミンが挙げられ、例えば、極めて好ましいアルカノールアミンとしては、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1-アミノ-3-プロパノールが挙げられる。アミンによる中和は、全体的又は部分的な範囲で行うことができ、例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部をナトリウム又はカリウムで中和し、アニオン性界面活性剤混合物の一部をアミン又はアルカノールアミンで中和することもできる。
【0202】
半極性界面活性剤の非限定例としては、アルキルジメチルアミンオキシドなどのアミンオキシド(AO)が挙げられる。
【0203】
1種又は複数のアニオン性界面活性剤と、それに加えて、任意選択でカチオン性界面活性剤などの追加の界面活性剤を伴う1種又は複数の非イオン性界面活性剤の混合物とを含む界面活性剤系が好ましいこともある。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との好ましい重量比は、少なくとも2:1、又は少なくとも1:1~1:10である。
【0204】
一態様では、界面活性剤系は、以下の式A及び式Bにより表されるイソプレノイド界面活性剤の混合物を含み得る:
【化1】
【0205】
式中、YはCH2又は存在しないであり、Zは、得られる界面活性剤が以下の界面活性剤から選択されるように選ぶことができる:アルキルカルボキシレート界面活性剤、アルキルポリアルコキシ界面活性剤、アルキルアニオン性ポリアルコキシスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエステルスルホネート界面活性剤、アルキルジメチルアミンオキシド界面活性剤、アルキルポリヒドロキシベースの界面活性剤、アルキルリン酸エステル界面活性剤、アルキルグリセロールスルホネート界面活性剤、アルキルポリグルコネート界面活性剤、アルキルポリリン酸エステル界面活性剤、アルキルホスホネート界面活性剤、アルキルポリグリコシド界面活性剤、アルキルモノグリコシド界面活性剤、アルキルジグリコシド界面活性剤、アルキルスルホサクシネート界面活性剤、アルキルジスルフェート界面活性剤、アルキルジスルホネート界面活性剤、アルキルスルホサクシンアマート界面活性剤、アルキルグルカミド界面活性剤、アルキルタウリネート界面活性剤、アルキルサルコシネート界面活性剤、アルキルグリシネート界面活性剤、アルキルイセチオネート界面活性剤、アルキルジアルカノールアミド界面活性剤、アルキルモノアルカノールアミド界面活性剤、アルキルモノアルカノールアミドスルフェート界面活性剤、アルキルジグリコールアミド界面活性剤、アルキルジグリコールアミドスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエステル界面活性剤、アルキルグリセロールエステルスルフェート界面活性剤、アルキルグリセロールエーテル界面活性剤、アルキルグリセロールエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルメチルエステルスルホネート界面活性剤、アルキルポリグリセロールエーテル界面活性剤、アルキルポリグリセロールエーテルスルフェート界面活性剤、アルキルソルビタンエステル界面活性剤、アルキルアンモニオアルカンスルホネート界面活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤、アルキルアリル化クォートベースの界面活性剤、アルキルモノヒドロキシアルキル-ジ-アルキル化クォートベースの界面活性剤、アルキルジヒドロキシアルキルモノアルキルクォートベースの界面活性剤、アルキル化クォート界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウムクォート界面活性剤、アルキルポリヒドロキシアルキルオキシプロピルクォートベースの界面活性剤、アルキルグリセロールエステルクォート界面活性剤、アルキルグリコールアミンクォート界面活性剤、アルキルモノメチルジヒドロキシエチル第四級アンモニウム界面活性剤、アルキルジメチルモノヒドロキシエチル第四級アンモニウム界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム界面活性剤、アルキルイミダゾリンベースの界面活性剤、アルケン-2-イル-サクシネート界面活性剤、アルキルa-スルホン化カルボン酸界面活性剤、アルキルa-スルホン化カルボン酸アルキルエステル界面活性剤、アルファオレフィンスルホネート界面活性剤、アルキルフェノールエトキシレート界面活性剤、アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤、アルキルスルホベタイン界面活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン界面活性剤、アルキルアンモニオカルボキシレートベタイン界面活性剤、アルキルスクロースエステル界面活性剤、アルキルアルカノールアミド界面活性剤、アルキルジ(ポリオキシエチレン)モノアルキルアンモニウム界面活性剤、アルキルモノ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム界面活性剤、アルキルベンジルジメチルアンモニウム界面活性剤、アルキルアミノプロピオネート界面活性剤、アルキルアミドプロピルジメチルアミン界面活性剤、又はそれらの混合物;またZが荷電部分である場合には、Zは好適な金属又は有機対イオンにより電荷平衡が保たれる。好適な対イオンとしては、金属対イオン、アミン、又はアルカノールアミン、例えばC1~C6アルカノールアンモニウムが挙げられる。より具体的には、好適な対イオンとして、Na+、Ca+、Li+、K+、Mg+、例えば、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、1-アミノ-3-プロパノール、又はそれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、組成物は、5%~97%の1種又は複数の非イソプレノイド界面活性剤、及び1種又は複数の補助洗浄添加剤を含有し、式Aの界面活性剤と式Bの界面活性剤との重量比は50:50~95:5である。
【0206】
石鹸-本明細書の組成物は石鹸を含有することができる。理論に拘束されるものではないが、一部界面活性剤として、一部ビルダーとして作用し、泡の抑制に有用となり得、さらには組成物の種々のカチオン性化合物と有利に相互作用して、本発明組成物と共に揉まれた織物の柔軟性を増強することができる石鹸を含むことが望ましいことがある。洗濯洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれの石鹸も利用することができる。一実施形態では、組成物は、0重量%~20重量%、0.5重量%~20重量%、4重量%~10重量%、又は4重量%~7重量%の石鹸を含有する。
【0207】
本明細書において有用な石鹸の例としては、オレイン酸石鹸、パルミチン酸石鹸、パーム核脂肪酸石鹸、及びそれらの混合物が挙げられる。典型的な石鹸は、種々の鎖長及び置換度を有する脂肪酸石鹸の混合物の形態である。そのような混合物の1つは、トップドパーム核脂肪酸である。
【0208】
一実施形態では、石鹸は遊離脂肪酸から選択される。好適な脂肪酸は、飽和及び/又は不飽和であり、植物性また動物性エステル(例えば、パーム核油、パーム油、ヤシ油、ババス油、サフラワー油、トール油、ヒマシ油、牛脂及び魚油、油脂、及びそれらの混合物)などの天然供給源から得ることも、合成的に(例えば、石油の酸化を介して、又はFisher Tropsch法による一酸化炭素の水素添加によって)調製することもできる。
【0209】
本発明の組成物で使用される好適な飽和脂肪酸の例としては、カプチック酸(captic acid)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘニン酸が挙げられる。好適な不飽和脂肪酸種としては、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、及びリシノール酸が挙げられる。好ましい脂肪酸の例は、飽和Cn脂肪酸、飽和Ci2~Ci4脂肪酸、及び飽和又は不飽和Cn~Ci8脂肪酸、並びにそれらの混合物である。
【0210】
存在する場合、布地を柔軟にするカチオン性共界面活性剤と脂肪酸との重量比は、好ましくは約1:3~約3:1、より好ましくは約1:1.5~約1.5:1、最も好ましくは約1:1である。
【0211】
本明細書における石鹸及び非石鹸アニオン性界面活性剤のレベルは、酸形態に基づいて指定される洗剤組成物の重量パーセントとする。しかしながら、当技術分野で一般に理解されるように、アニオン性界面活性剤及び石鹸は、実際には、水酸化ナトリウム又はモノエタノールアミンなどのナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩基を使用して中和されている。
【0212】
ヒドロトロープ-本発明の組成物は1種又は複数のヒドロトロープを含むことができる。ヒドロトロープは、疎水性化合物を水溶液に(又は反対に、極性物質を非極性環境中に)可溶化する化合物である。典型的には、ヒドロトロープは、親水性及び疎水性の両方の特性を有する(界面活性剤で知られるようないわゆる両親媒性);しかしながら、ヒドロトロープの分子構造は、一般に、自発的な自己凝集を促進しない(例えば、Hodgdon and Kaler(2007),Current Opinion in Colloid&Interface Science 12:121-128による総説を参照のこと)。ヒドロトロープは、ミセル相、ラメラ相又は他の十分明確な中間相を形成する界面活性剤及び脂質に見られるような、自己凝集を生じる臨界濃度を示さない。その代わり、多くのヒドロトロープは、凝集のサイズが濃度の増加につれて増大する連続型の凝集プロセスを示す。しかしながら、多くのヒドロトロープは、水、油、界面活性剤、及びポリマーの混合物を含む、極性及び非極性の物質を含有する系の相挙動、安定性、及びコロイド特性を変化させる。ヒドロトロープは、医薬品、パーソナルケア、食品から技術用途にわたる産業に従来用いられている。洗剤組成物中にヒドロトロープを使用することにより、例えば、(水を除去することにより、液体洗剤をコンパクト化するプロセスにおいてのように)相分離又は高粘性などの望ましくない現象を引き起こすことなく、界面活性剤がより濃縮された配合物が可能になる。
【0213】
洗剤は、0~10重量%、例えば、0~5重量%、0.5~5重量%、又は3重量%~5重量%のヒドロトロープを含有することができる。洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれのヒドロトロープも利用することができる。ヒドロトロープの非限定的な例としては、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム(STS)、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)、クメンスルホン酸ナトリウム(SCS)、シメンスルホン酸ナトリウム、アミンオキシド、アルコール及びポリグリコールエーテル、ヒドロキシナフトエ酸ナトリウム、ヒドロキシナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0214】
ビルダー-本発明の組成物は、1種又は複数のビルダー、共ビルダー、ビルダー系、又はそれらの混合物を含むことができる。ビルダーが使用される場合、洗浄組成物は、典型的には、0~65重量%、少なくとも1重量%、2~60重量%、又は5~10重量%のビルダーを含むことになる。食器洗浄組成物では、ビルダーのレベルは、典型的には、40~65重量%又は50~65重量%である。組成物は、ビルダーを実質的に含まなくてもよく;実質的に含まないということは、ゼオライト及び/又はリン酸が「意図的に添加されていない」ことを意味する。典型的なゼオライトビルダーには、ゼオライトA、ゼオライトP、及びゼオライトMAPが含まれる。典型的なリン酸ビルダーは、トリポリリン酸ナトリウムである。
【0215】
ビルダー及び/又は共ビルダーは、特に、Ca及びMgと水溶性錯体を形成するキレート剤であってもよい。洗剤で使用される当技術分野で公知のいずれのビルダー及び/又は共ビルダーも利用することができる。ビルダーの非限定例としては、ゼオライト、ジホスフェート(ピロホスフェート)、三リン酸ナトリウム(STP又はSTPP)などのトリホスフェート、炭酸ナトリウムなどのカーボネート、メタケイ酸ナトリウムなどの可溶性シリケート、層状シリケート(例えば、Hoechst製のSKS-6)、2-アミノエタン-1-オール(MEA)、イミノジエタノール(DEA)、及び2,2’,2”-ニトリロトリエタノール(TEA)などのエタノールアミン、並びにカルボキシメチルイヌリン(CMI)、並びにそれらの組合せが挙げられる。
【0216】
洗浄組成物は、共ビルダーを単独で、又はビルダー、例えばゼオライトビルダーと組み合わせて含むことができる。共ビルダーの非限定例としては、ポリアクリレートのホモポリマー又はそのコポリマー、例えば、ポリ(アクリル酸)(PAA)又はコポリ(アクリル酸/マレイン酸)(PAA/PMA)が挙げられる。さらに非限定例としては、シトレート、キレート剤、例えば、アミノカルボキシレート、アミノポリカルボキシレート及びホスホネート、並びにアルキル-又はアルケニルコハク酸が挙げられる。さらなる特定の例としては、2,2’,2”-ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、イミノ二コハク酸(IDS)、エチレンジアミン-N,N’-二コハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジイルビス(ホスホン酸)(HEDP)、エチレンジアミンテトラキス(メチレン)テトラキス(ホスホン酸)(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレン)ペンタキス(ホスホン酸)(DTPMPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、アスパラギン酸-N-一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-一プロピオン酸(ASMP)、イミノ二コハク酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α-アラニン-N,N-二酢酸(α-ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N,N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)及びスルホメチル-N,N-二酢酸(SMDA)、N-(ヒドロキシエチル)-エチリデンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミン五(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、並びにそれらの組合せ及び塩が挙げられる。さらなる例示的なビルダー及び/又は共ビルダーは、例えば、国際公開第09/102854号パンフレット、米国特許第5977053号明細書に記載されている。
【0217】
キレート剤及び結晶成長阻害剤-本明細書の組成物は、キレート剤及び/又は結晶成長阻害剤を含有することができる。好適な分子には、銅、鉄、及び/又はマンガンのキレート剤、並びにそれらの混合物が含まれる。好適な分子としては、DTPA(ジエチレントリアミンペンタ酢酸)、HEDP(ヒドロキシエタンジホスホン酸)、DTPMP(ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸ジナトリウム塩水和物、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸(EDTP)、カルボキシメチルイヌリン、及び2-ホスホノブタン1,2,4-トリカルボン酸(Bayhibit(登録商標)AM)、及びそれらの誘導体が挙げられる。典型的には、組成物は、0.005~15重量%又は3.0~10重量%のキレート剤又は結晶成長阻害剤を含むことができる。
【0218】
漂白成分-本発明の方法及び組成物に組み込むのに適した漂白成分には、1種の漂白成分又は2種以上の漂白成分の混合物が含まれる。好適な漂白成分としては、漂白触媒、光漂白剤、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、事前に形成した過酸、及びそれらの混合物が挙げられる。一般に、漂白剤成分が使用される場合、本発明の組成物は、0~30重量%、0.00001~90重量%、0.0001~50重量%、0.001~25重量%、又は1~20重量%含むことができる。好適な漂白成分は、以下のものを含む:
(1)事前に形成した過酸:好適な事前に形成した過酸としては、これらに限定されないが、事前に形成した過酸若しくはその塩からなる群から選択される化合物、典型的には、ペルオキシカルボン酸若しくはその塩、又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩のいずれかが挙げられる。
【0219】
事前に形成した過酸若しくはその塩は、好ましくはペルオキシカルボン酸若しくはその塩であり、これは、典型的には、下記の化学式に対応する化学構造:
【化2】
を有し、
式中、R
14は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール若しくは複素環式基から選択され;R
14基は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換であってよく;Yは、電荷中性を達成する任意の好適な対イオンであり、好ましくは、Yは、水素、ナトリウム若しくはカリウムから選択される。好ましくは、R
14は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換C
6~9アルキルである。好ましくは、過酸若しくはその塩は、ペルオキシヘキサン酸、ペルオキシヘプタン酸、ペルオキシオクタン酸、ペルオキシノナン酸、ペルオキシデカン酸、それらの任意の塩、又はそれらの任意の組合せから選択される。特に好ましい過酸は、フタルイミド-ペルオキシ-アルカン酸、とりわけ、ε-フタルイミド-ペルオキシ-ヘキサン酸(PAP)である。好ましくは、過酸若しくはその塩は、30℃~60℃の範囲の融点を有する。
【0220】
事前に形成した過酸若しくはその塩はペルオキシスルホン酸若しくはその塩であってもよく、これは、典型的には、下記の化学式に対応する化学構造:
【化3】
を有し、
式中、R
15は、アルキル、アラルキル、シクロアルキル、アリール若しくは複素環式基から選択され;R
15基は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換であってよく;Zは、電荷中性を達成する任意の好適な対イオンであり、好ましくは、Zは、水素、ナトリウム若しくはカリウムから選択される。好ましくは、R
15は、直鎖又は分岐状の、置換若しくは非置換C
6~9アルキルである。好ましくはこのような漂白成分は、0.01~50重量%、又は0.1~20重量%の量で本発明の組成物中に存在してよい。
【0221】
(2)過酸化水素源としては、例えば、過ホウ酸(通常は一水和物又は四水和物)、過炭酸、過硫酸、過リン酸、過ケイ酸のナトリウム塩及びこれらの混合物などのアルカリ金属塩を含む無機過酸化水和物塩類が挙げられる。本発明の一態様では、無機過酸化水和物塩類、例えば、過ホウ酸、過炭酸及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなど。使用する場合には、無機過酸化水和物塩類は、組成物全体の0.05~40重量%、又は1~30重量%の量で存在し、典型的に、結晶性固体のような組成物に含有させるが、この固体をコーティングしてもよい。好適なコーティングは、アルカリ金属ケイ酸塩、炭酸塩若しくはホウ酸塩又はこれらの混合物などの無機塩、或いは、水溶性若しくは分散性ポリマー、ワックス、油又は脂肪酸石鹸などの有機材料を含む。好ましくは、このような漂白成分は、0.01~50重量%又は0.1~20重量%の量で、本発明の組成物中に存在させることができる。
【0222】
(3)漂白活性化剤という用語は、本明細書では、過酸化水素と反応して、過加水分解を介して過酸を形成する化合物を意味する。このように形成された過酸は、活性化漂白剤を構成する。本明細書で使用される好適な漂白活性化剤としては、エステル、アミド、イミド、又は無水物のクラスに属するものが挙げられる。好適な漂白活性化剤は、R-(C=O)-Lを有するものであり、式中、Rは、漂白活性化剤が疎水性の場合には、6~14個の炭素原子又は8~12個の炭素原子、また漂白活性化剤が親水性の場合には、6個未満の炭素原子又は4個未満の炭素原子を有する、任意選択で分枝状のアルキル基であり;Lは脱離基である。好適な脱離基の例は、安息香酸及びその誘導体、特にベンゼンスルホネートである。好適な漂白活性化剤としては、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸又はその塩、3,5,5-トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、4-[(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)オキシ]ベンゼン-1-スルホン酸ナトリウム(ISONOBS)、4-(ドデカノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート(LOBS)、4-(デカノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート、4-(デカノイルオキシ)ベンゾエート(DOBS又はDOBA)、4-(ノナノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホネート(NOBS)、及び/又は国際公開第98/17767号パンフレットに開示されるものが挙げられる。漂白活性化剤のファミリーが、欧州特許第624154号明細書に開示され、そのファミリーの中で特に好ましいのはアセチルトリエチルシトレート(ATC)である。ATC又はトリアセチンのような短鎖トリグリセリドは、環境にやさしいという利点を有する。さらに、アセチルトリエチルシトレート及びトリアセチンは、貯蔵の際に製品中で良好な加水分解安定性を有し、また効率的な漂白活性化剤である。最終的に、ATCは、過加水分解反応で放出されるシトレートがビルダーとして機能し得るので多機能である。或いは、漂白系は、例えば、アミド、イミド、又はスルホンタイプのペルオキソ酸を含むことができる。漂白系はまた、6-(フタロイルイミド)ペルカプロン酸(PAP)などの過酸を含むことができる。また、好適な漂白活性化剤は国際公開第98/17767号パンフレットにも開示されている。任意の好適な漂白活性化剤を使用することができるが、本発明の一態様では、対象の洗浄組成物は、NOBS、TAED、又はこれらの混合物を含むことができる。存在する場合、過酸及び/又は漂白活性化剤は、一般に、布地及びホームケア組成物を基準にして、0.1~60重量%、0.5~40重量%、又は0.6~10重量%の量で組成物中に存在する。1種又は複数の疎水性過酸又はその前駆体を1種又は複数の親水性過酸又はその前駆体と組み合わせて使用することができる。好ましくは、このような漂白成分は、0.01~50重量%、又は0.1~20重量%の量で、本発明の組成物中に存在させることができる。
【0223】
過酸化水素源及び過酸又は漂白活性化剤の量は、利用可能な酸素(過酸化物源由来)と過酸とのモル比が、1:1~35:1、又はさらには2:1~10:1となるように選択することができる。
【0224】
(4)ジアシル過酸化物-好ましいジアシル過酸化物漂白種には、一般式:R1-C(O)-OO-(O)C-R2(式中、R1は、少なくとも5個の炭素原子の直鎖を含有し、任意選択で1個又は複数の置換基(例えば、-N+(CH3)3、-COOH若しくは-CN)及び/又はアルキル基の隣接する炭素原子間に挿入された1つ又は複数の割り込み部分(例えば、-CONH-若しくは-CH=CH-)を含有する、C6~C18アルキル、好ましくはC6~C12アルキル基を示し;R2は、過酸化物部分と適合する脂肪族基を示し、その結果、R1及びR2は合わせて計8~30個の炭素原子を含有する)のジアシル過酸化物から選択されるものが含まれる。好ましい一態様では、R1及びR2は、直鎖非置換C6~C12アルキル鎖である。最も好ましくは、R1及びR2は同一である。R1及びR2の両方がC6~C12アルキル基であるジアシル過酸化物が特に好ましい。好ましくは、R基(R1又はR2)の少なくとも一方、最も好ましくはその一方のみは、アルファ位置に、又は好ましくはアルファ位置にもベータ位置にも、或いは最も好ましくはアルファ位置にもベータ位置にもガンマ位置にも分枝もペンダント環も含まない。さらに好ましい一実施形態では、好ましくは、R1アシル基の加水分解は過酸を生成するように迅速であるが、R2アシル基の加水分解は緩慢であるように、DAPを非対称とすることができる。
【0225】
テトラアシル過酸化物漂白種は、好ましくは、一般式:R3-C(O)-OO-C(O)-(CH2)n-C(O)-OO-C(O)-R3(式中、R3は、C1~C9アルキル基又はC3~C7アルキル基を示し;nは、2~12又は4~10の整数(両端の値を含む)を示す)のテトラアシル過酸化物から選択される。
【0226】
好ましくは、ジアシル及び/又はテトラアシル過酸化物漂白種は、洗浄液の重量を基準として少なくとも0.5ppm、少なくとも10ppm、又は少なくとも50ppm供給するのに十分な量で存在する。好ましい実施形態では、漂白種は、洗浄液の重量を基準として0.5~300ppm、30~150ppm供給するのに十分な量で存在する。
【0227】
好ましくは、漂白成分は、漂白触媒(5及び6)を含む。
【0228】
(5)好ましい有機(非金属)漂白触媒としては、過酸及び/又はその塩から酸素原子を受容して、その酸素原子を酸化可能な基質に輸送することができる漂白触媒がある。好適な漂白触媒として、これらに限定されないが、イミニウムカチオン及びポリイオン;イミニウム双性イオン;修飾アミン;修飾アミン酸化物;N-スルホニルイミン;N-ホスホニルイミン;N-アシルイミン;チアジアゾール二酸化物;ペルフルオロイミン;環状糖ケトン並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0229】
好適なイミニウムカチオン及びポリイオンとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:Tetrahedron(1992),49(2),423-38(例えば、compound 4,p.433)に記載のように調製される、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムテトラフルオロホウ酸塩;米国特許第5360569号明細書(例えば、Column 11,Example 1)に記載のように調製される、N-メチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムp-トルエンスルホン酸塩;並びに米国特許第5360568号明細書(例えば、Column 10,Ex.3)に記載のように調製される、N-オクチル-3,4-ジヒドロイソキノリニウムp-トルエンスルホン酸塩。
【0230】
好適なイミニウム双性イオンとしては、これらに限定されないが、以下のものが挙げられる:米国特許第5576282号明細書(例えば、Column 31,Ex.II)に記載のように調製される分子内塩である、N-(3-スルホプロピル)-3,4-ジヒドロイソキノリウム;米国特許第5817614号明細書(例えば、Column 32,Ex.V)に記載のように調製される分子内塩である、N-[2-(スルホキシ)ドデシル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム;国際公開第05/047264号パンフレット(例えば、第18頁、Ex.8)に記載のように調製される分子内塩である、2-[3-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム、;並びに分子内塩である2-[3-[(2-ブチルオクチル)オキシ]-2-(スルホオキシ)プロピル]-3,4-ジヒドロイソキノリニウム。
【0231】
好適な修飾アミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-メチル-1-イソキノリノールがあり、これは、Tetrahedron Letters(1987),28(48),6061-6064に記載の方法に従い製造することができる。好適な修飾アミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、ナトリウム1-ヒドロキシ-N-オキシ-N-[2-(スルホキシ)デシル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリンがある。
【0232】
好適なN-スルホニルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Journal of Organic Chemistry(1990),55(4),1254-61に記載の方法に従い調製される、3-メチル-1,2-ベンズイソチアゾール1,1-二酸化物がある。
【0233】
好適なN-ホスホニルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Journal of the Chemical Society,Chemical Communications(1994),(22),2569-70に記載の方法に従い調製される、「R-(E)]-N-[(2-クロロ-5-ニトロフェニル)メチレン]-P-フェニル-P-(2,4,6-トリメチルフェニル)-ホスフィン酸アミドがある。
【0234】
好適なN-アシルイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Polish Journal of Chemistry(2003),77(5),577-590に記載の方法に従い調製される、「N(E)]-N-(フェニルメチレン)アセトアミドがある。
【0235】
好適なチアジアゾール二酸化物酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、米国特許第5753599号明細書(Column 9,Ex.2を参照)に記載の方法に従い調製される、3-メチル-4-フェニル-1,2,5-チアジアゾール1,1-ジオキシドがある。
【0236】
好適なペルフルオロイミン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、Tetrahedron Letters(1994),35(34),6329-30に記載の方法に従い製造することができる、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-N-(ノナフルオロブチル)ブタンイミドイルフッ化物がある。
【0237】
好適な環状糖ケトン酸素輸送触媒としては、これらに限定されないが、米国特許第6649085号明細書(Column 12,Ex.1)に記載の方法に従い調製される、1,2:4,5-ジ-O-イソプロピリデン-D-エリスロ-2,3-ヘキソジウロ-2,6-ピラノースがある。
【0238】
好ましくは、漂白触媒は、イミニウム及び/若しくはカルボニル官能基を含み、典型的に、酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、オキサジリジウム及び/若しくはジオキシラン官能基を形成することができる。好ましくは、漂白触媒は、オキサジリジウム官能基を含み、及び/又は酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、オキサジリジウム官能基を形成することができる。好ましくは、漂白成分は、環状イミニウム官能基を含み、好ましくは、環状部分は、5~8原子(窒素原子を含む)、好ましくは6原子の環サイズを有する。好ましくは、漂白触媒は、アリリミニウム官能基、好ましくは二環式アリリミニウム官能基、好ましくは3,4-ジヒドロイソキノリニウム官能基を含む。典型的には、イミン官能基は、4級イミン官能基であり、典型的に、酸素原子の受容時、特に過酸及び/若しくはその塩からの酸素原子の受容時に、4級オキサジリジウム官能基を形成することができる。別の態様では、洗剤組成物は、0以下のlogPo/w、-0.5以下のlogPo/w、-1.0以下のlogPo/w、-1.5以下のlogPo/w、-2.0以下のlogPo/w、-2.5以下のlogPo/w、-3.0以下のlogPo/w、或いは-3.5以下のlogPo/wを有する漂白成分を含む。logPo/wを決定する方法については、以下に詳しく記載する。
【0239】
典型的に、漂白成分は、0.01~0.30、0.05~0.25、或いは0.10~0.20のXSOを有する漂白種を生成することができる。XSOを決定する方法については、以下に詳しく記載する。例えば、イソキノリニウム構造を有する漂白成分は、オキサジリジウム構造を有する漂白種を生成することができる。この例では、XSOは、オキサジリジウム漂白種のそれである。
【0240】
好ましくは、漂白触媒は、下記の化学式:
【化4】
に対応する化学構造を有し、
式中、n及びmは、独立して、0~4であり、好ましくは、n及びmは両方が0であり;各R
1は、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、融合アリール、複素環、融合複素環、ニトロ、ハロ、シアノ、スルホナト、アルコキシ、ケト、カルボキシル及びカルボアルコキシラジカルからなる群から選択される置換若しくは非置換ラジカルから選択され;並びに任意の2つの隣接R
1置換基が結合して、融合アリール、融合炭素環若しくは融合複素環を形成してもよく;各R
2は、独立して、水素、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、アルカリル、アリール、アラルキル、アルキレン、複素環、アルコキシ、アリールカルボニル基、カルボキシアルキル基及びアミド基からなる群から選択される置換若しくは非置換ラジカルから独立して選択され;任意のR
2がいずれか他のR
2と結合して、共通環の一部を形成してもよく;任意のジェミナルR
2が結合してカルボニルを形成してもよく;また、任意の2つのR
2が結合して、置換若しくは非置換の融合した不飽和部分を形成してもよく;R
3は、C
1~C
20置換若しくは非置換アルキルであり;R
4は、水素又は部分Q
t-Aであり、ここで、Qは、分岐又は非分岐アルキレンであり、t=0又は1であり、Aは、OSO
3
-、SO
3
-、CO
2
-、OCO
2
-、OPO
3
2-、OPO
3H
-及びOPO
2
-からなる群から選択されるアニオン基であり;R
5は、水素又は部分-CR
11R
12-Y-G
b-Y
c-[(CR
9R
10)
y-O]
k-R
8であり;ここで、各Yは、独立して、O、S、N-H、又はN-R
8からなる群から選択され;各R
6は、独立して、アルキル、アリール及びヘテロアリールからなる群から選択され、前記部分は、置換若しくは非置換であり、置換若しくは非置換のいずれにかかわらず、前記部分は、21個未満の炭素を有し;各Gは、独立して、CO,SO
2、SO、PO及びPO
2からなる群から選択され;R
9及びR
10は、独立して、H及びC
1~C
4アルキルからなる群から選択され;R
11及びR
12は、独立して、H及びアルキルからなる群から選択されるか、又は合わせて考える場合、結合してカルボニルを形成してもよく;b=0又は1;c=0又は1であってよいが、b=0であるとき、c=0でなければならない;yは1~6の整数であり;kは0~20の整数であり;R
6はH、又はアルキル、アリール若しくはヘテロアリール部分であり;前記部分は、置換若しくは非置換であり;Xは、それが存在すれば、好適な電荷平衡対イオンであり、R
4が水素である場合には、Xが存在するのが好ましく、好適なXとしては、これらに限定されないが、塩化物、臭化物、硫酸塩、メトサルフェート、スルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ボロンテトラフルオリド及びリン酸塩が挙げられる。
【0241】
本発明の一実施形態において、漂白触媒は、下記の一般式:
【化5】
に対応する化学構造を有し
式中、R
13は、3~24個の炭素原子(分岐炭素原子を含む)を含む分岐アルキル基及び1~24個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり;好ましくは、R
13は、8~18個の炭素原子を含む分岐アルキル基又は8~18個の炭素原子を含む直鎖アルキル基であり;好ましくは、R
13は、2-プロピルへプチル、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、イソ-ノニル、イソ-デシル、イソ-トリデシル及びイソ-ペンタデシル;好ましくは、R
13は、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、イソ-トリデシル及びイソ-ペンタデシルからなる群から選択される。
【0242】
好ましくは、漂白成分は、漂白触媒以外に、過酸源、特に有機漂白触媒を含む。過酸源は、以下:(a)事前に形成した過酸、(b)好ましくは漂白活性化剤と組み合わせた過炭素塩、過ホウ酸塩又は過硫酸塩(過硫酸水素源);及び(c)織物又は硬質表面処理ステップにおいて、水の存在下、in situで過酸を形成するペルヒドラーゼ酵素及びエステルから選択してもよい。
【0243】
過酸及び/又は漂白活性化剤が存在する場合、これは、一般に、組成物に対して、0.1~60重量%、0.5~40重量%、又は0.6~10重量%存在する。1種又は複数種の疎水性過酸又はその前駆体を1種又は複数種の親水性過酸又はその前駆体と組み合わせて用いてもよい。
【0244】
過酸化水素源及び過酸若しくは漂白活性化剤の量は、利用可能な酸素(過酸化物源から):過酸のモル比が、1:1~35:1、或いは2:1~10:1であるように選択してよい。
【0245】
(6)金属含有漂白触媒-触媒成分は、触媒金属複合体によって提供してもよい。1タイプの金属含有漂白触媒は、例えば、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、若しくはマンガンカチオンなどの規定の漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛若しくはアルミニウムカチオンなどの、漂白触媒活性がほとんど又は全くない補助金属カチオン、並びに触媒及び補助金属カチオンについて既定の安定定数を有する金属イオン封鎖剤(sequestrate)、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンリン酸)及びそれらの水溶性塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4430243号明細書に開示されている。好ましい触媒は、国際公開第09/839406号パンフレット、米国特許第6218351号明細書及び国際公開第00/012667号パンフレットに記載されている。遷移金属触媒、又は架橋多座配位子N-ドナー配位子である配位子が特に好ましい。
【0246】
必要に応じて、本明細書の組成物は、マンガン化合物を用いて、触媒することができる。このような化合物及び使用レベルは、当業者には公知であり、例えば、米国特許第5576282号明細書に開示のマンガンベースの触媒がある。
【0247】
本発明で有用なコバルト漂白触媒は公知であり、例えば、米国特許第5597936号明細書;米国特許第5595967号明細書に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5597936号明細書及び米国特許第5595967号明細書に教示されているような公知の方法によって容易に調製される。
【0248】
本発明の組成物は、ビスピドン(米国特許第7501389号明細書)及び/又は大多環式硬質配位子(略称「MRL」)などの配位子の遷移金属複合体を含むのが好適である。実際に、また非限定的に、水性洗浄媒質中少なくとも1億分の1部前後の活性MRL種、典型的には、洗浄液中0.005~25ppm、0.05~10ppm、或いは0.1~5ppmのMRLを提供するように、本発明の組成物及び方法を調節することができる。
【0249】
本発明の遷移金属漂白触媒中の好適な遷移金属としては、例えば、マンガン、鉄及びクロミウムがある。好適なMRLには、5,12-ジエチル-1,5,8,12-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンが含まれる。好適な遷移金属MRLは、例えば、米国特許第6225464号明細書及び国際公開第00/32601号パンフレットに教示されているような公知の手順により容易に調製される。
【0250】
(7)光漂白剤-好適な光漂白剤としては、例えば、スルホン化亜鉛フタロシアン スルホン化アルミニウムフタロシアン、キサンテン染料及びこれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物に用いるのに好ましい漂白成分には、過酸化水素源、漂白活性化剤及び/又は有機過酸(任意選択で、過酸化水素源と漂白活性化剤の反応によりin situで生成する)が、漂白触媒と組み合わせて含まれる。好ましい漂白成分は、前述したように、漂白触媒、好ましくは有機漂白触媒を含む。
【0251】
特に好ましい漂白成分は、漂白触媒、特に有機漂白触媒である。
【0252】
例示的な漂白系はまた、例えば、国際公開第2007/087258号パンフレット、国際公開第2007/087244号パンフレット、国際公開第2007/087259号パンフレット、及び国際公開第2007/087242号パンフレットに記載されている。
【0253】
布地色調剤-組成物は布地色調剤を含むことができる。好適な布地色調剤には、染料、染料-粘土コンジュゲート、及び顔料が含まれる。好適な染料としては、小分子染料及びポリマー染料が挙げられる。好適な小分子染料としては、ダイレクトブルー、ダイレクトレッド、ダイレクトバイオレット、アシッドブルー、アシッドレット、アシッドバイオレット、ベーシックブルー、ベーシックバイオレット、及びベーシックレッドのカラーインデックス(C.I.)分類に該当する染料、又はそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0254】
別の態様では、好適な小分子染料として、ダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトバイオレット99、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドバイオレット49、アシッドバイオレット50、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー45、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90及びアシッドブルー113、アシッドブラック1、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、及びそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料として、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット43、アシッドレッド52、アシッドレッド73、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー25、アシッドブルー29、アシッドブルー45、アシッドブルー113、アシッドブラック1、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、及びそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。別の態様では、好適な小分子染料として、アシッドバイオレット17、ダイレクトブルー71、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトブルー1、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドブルー29、アシッドブルー113のカラーインデックス(Society of Dyers and Colorists,Bradford,UK)番号、又はそれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0255】
好適なポリマー染料としては、コンジュゲートしたクロモゲンを含有するポリマー(染料-ポリマーコンジュゲート)及びポリマー骨格の中に共重合したクロモゲンを有するポリマーからなる群から選択されるポリマー染料、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0256】
別の態様では、好適なポリマー染料として、Liquitint(登録商標)(Milliken)の名称で販売されている布地実質着色剤、少なくとも1つの反応性染料とヒドロキシル部分、第一級アミン部分、第二級アミン部分、チオール部分、及びそれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーとから形成される染料-ポリマーコンジュゲートからなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。さらに別の態様では、好適なポリマー染料として、Liquitint(登録商標)バイオレットCT、リアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッド染料とコンジュゲートしたカルボキシメチルセルロース(CMC)、例えば商品名AZO-CM-CELLULOSE、製品コードS-ACMCの下でMegazyme,Wicklow,Irelandにより販売されている、C.I.リアクティブブルー19とコンジュゲートしたCMC、アルコキシル化トリフェニル-メタンポリマー着色剤、アルコキシル化チオフェンポリマー着色剤、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0257】
好ましい色調染料には、国際公開第08/87497号パンフレットに見出される増白剤が含まれる。これらの増白剤は以下の構造(I)によって特徴づけることができる:
【化6】
式中、R
1及びR
2は、独立して、以下のものから選択することができる:
a)[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦5;y≧1;且つz=0~5である;
b)R
1=アルキル、アリール、又はアリールアルキル且つR
2=[(CH
2CR’HO)
x(CH
2CR”HO)
yH]
式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦10;y≧1;且つz=0~5である;
c)R
1=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]及びR
2=[CH
2CH
2(OR
3)CH
2OR
4]
式中、R
3は、H、(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;且つz=0~10であり;
R
4は、(C
1~C
16)アルキル基、アリール基、及びそれらの混合物からなる群から選択される;及び
d)R1及びR2は、独立して、スチレンオキシド、グリシジルメチルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、及びグリシジルヘキサデシルエーテルのアミノ付加生成物に、1~10アルキレンオキシド単位を付加したものから選択することができる。
【0258】
本発明の好ましい増白剤は、以下の構造(II)によって特徴づけることができる:
【化7】
式中、R’は、H、CH
3、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;R”は、H、CH
2O(CH
2CH
2O)
zH、及びそれらの混合物からなる群から選択され;x+y≦5;y≧1;且つz=0~5である。
【0259】
本発明のさらなる好ましい増白剤は、以下の構造(III)によって特徴づけることができる:
【化8】
典型的には合計5個のEO基を有する混合物を含む。好適な好ましい分子は、上記の「パートa」において、以下のペンダント基を有する構造Iに属するものである。
【0260】
【0261】
さらなる有用な増白剤には、米国特許出願公開第2008/34511号明細書(Unilever)に記載されているものが含まれる。好ましい増白剤は「バイオレット13」である。
【0262】
好適な染料粘土コンジュゲートとしては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料とスメクタイト粘土とを含む群から選択される染料粘土コンジュゲート並びにそれらの混合物が挙げられる。別の態様では、好適な染料粘土コンジュゲートとして、C.I.ベーシックイエロー1~108、C.I.ベーシックオレンジ1~69、C.I.ベーシックレッド1~118、C.I.ベーシックバイオレット1~51、C.I.ベーシックブルー1~164、C.I.ベーシックグリーン1~14、C.I.ベーシックブラウン1~23、CIベーシックブラック1~11からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料と、モンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土からなる群から選択される粘土とからなる群から選択される染料粘土コンジュゲート並びにそれらの混合物が挙げられる。さらに別の態様では、好適な染料粘土コンジュゲートとして、モンモリロナイトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、モンモリロナイトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、ヘクトライトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、ヘクトライトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、ヘクトライトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、ヘクトライトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、ヘクトライトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、サポナイトベーシックブルーB7 C.I.42595コンジュゲート、サポナイトベーシックブルーB9 C.I.52015コンジュゲート、サポナイトベーシックバイオレットV3 C.I.42555コンジュゲート、サポナイトベーシックグリーンG1 C.I.42040コンジュゲート、サポナイトベーシックレッドR1 C.I.45160コンジュゲート、サポナイトC.I.ベーシックブラック2コンジュゲート、及びそれらの混合物からなる群から選択される染料粘土コンジュゲートが挙げられる。
【0263】
好適な顔料としては、フラバントロン、インダントロン、1~4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン、ジクロロピラントロン、モノブロモジクロロピラントロン、ジブロモジクロロピラントロン、テトラブロモピラントロン、ペリレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ジイミド(イミド基はC1~C3-アルキル又はフェニル又は複素環基で置換されていなくても置換されていてもよく、フェニル及び複素環基は水溶性を付与しない置換基をさらに保持していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン、イソビオラントロン、ジオキサジン顔料、銅フタロシアニン(1分子当たり最大2個の塩素原子を含有していてもよい)、ポリクロロ-銅フタロシアニン又はポリブロモクロロ-銅フタロシアニン(1分子当たり最大14個の臭素原子を含有する)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0264】
別の態様では、好適な顔料として、ウルトラマリンブルー(C.I.ピグメントブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.ピグメントバイオレット15)、及びそれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0265】
前述の布地色調剤は、組み合わせて使用することができる(布地色調剤のいずれの混合物も使用することができる)。好適な色調剤は、米国特許第7208459号明細書に詳細に記載されている。本発明の組成物中の染料の好ましいレベルは、0.00001~0.5重量%、又は0.0001~0.25重量%である。処理及び/又は洗浄段階に対して水中での好ましい染料濃度は、1ppb~5ppm、10ppb~5ppm、又は20ppb~5ppmである。好ましい組成物では、界面活性剤の濃度は、0.2~3g/lである。
【0266】
カプセル-組成物はカプセルを含むことができる。一態様において、カプセルは、コア、内表面及び外表面を有するシェルを含み、前記シェルは前記コアを被包している。
【0267】
前記カプセルの一態様では、前記コアは、香料;増白剤;染料;防虫剤;シリコーン;ワックス;香味料;ビタミン類;布地柔軟剤;スキンケア剤、一態様では、パラフィン;酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚惹起剤;及びそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができ;前記シェルは、ポリエチレン;ポリアミド;ポリビニルアルコール、任意選択で他のコモノマーを含有する;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アミノプラスト、一態様では、前記アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン、及び/又はポリ尿素ウレタンを含むことができ、一態様では、前記ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含むことができる;ポリオレフィン;多糖、一態様では、前記多糖はアルギネート及び/又はキトサンを含むことができる;ゼラチン;シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機物;シリコーン;並びにそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができる。
【0268】
前記カプセルの一態様では、前記コアは香料を含むことができる。
【0269】
前記カプセルの一態様では、前記シェルはメラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含むことができる。
【0270】
一態様では、好適なカプセルはコア材料及びシェルを含むことができ、前記コアを少なくとも部分的に包囲する前記シェルが開示されている。前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、0.2~10MPa、0.4~5MPa、0.6~3.5MPa、又は0.7~3MPaの破壊強度;及び0~30%、0~20%、又は0~5%の有益剤の漏出を有することができる。
【0271】
一態様では、前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、1~80ミクロン、5~60ミクロン、10~50ミクロン、又は15~40ミクロンの粒子サイズを有することができる。
【0272】
一態様では、前記カプセルの少なくとも75%、85%、又は90%は、30~250nm、80~180nm、又は100~160nmの粒子壁厚を有することができる。
【0273】
一態様では、前記カプセルコア材料は、香料原材料からなる群から選択される材料及び/又は任意選択で、植物油、例えば、ヒマシ油、ヤシ油、綿実油、ブドウ油、菜種、大豆油、トウモロコシ油、パーム油、亜麻仁油、サフラワー油、オリーブ油、ピーナッツ油、ヤシ油、パーム核油、ヒマシ油、レモン油、及びそれらの混合物を含む純粋及び/又はブレンド植物油;植物油のエステル、ジブチルアジペート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルアジペート、ベンジルオクチルアジペート、トリクレジルホスフェート、トリオクチルホスフェート、及びそれらの混合物を含むエステル;約80℃超の沸点を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素を含む直鎖又は分枝鎖の炭化水素;部分的に水素化されたテルフェニル、ジアルキルフタレート、モノイソプロピルビフェニルを含むアルキルビフェニル、ジプロピルナフタレンを含むアルキル化ナフタレン、灯油を含む石油スピリット、鉱油、及びそれらの混合物;ベンゼン、トルエン、及びそれらの混合物を含む芳香族溶媒;シリコーン油;並びにそれらの混合物からなる群から選択される材料を含むことができる。
【0274】
一態様では、前記カプセル壁材は、アルデヒド及びアミンの反応生成物を含む好適な樹脂を含むことができ、好適なアルデヒドとしてはホルムアルデヒドが挙げられる。好適なアミンとしては、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、グリコールウリル、及びそれらの混合物が挙げられる。好適なメラミンとしては、メチロールメラミン、メチル化メチロールメラミン、イミノメラミン、及びそれらの混合物が挙げられる。好適な尿素としては、ジメチロール尿素、メチル化ジメチロール尿素、尿素-レゾルシノール、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0275】
一態様では、好適なホルムアルデヒド捕捉剤を、例えばカプセルスラリー中でカプセルと共に使用することができ、且つ/又はカプセルが組成物に加えられる前、その間、又はその後に組成物に加えることができる。好適なカプセルは、米国特許出願公開第2008/0305982号明細書;及び/又は米国特許出願公開第2009/0247449号明細書の教示により作製することができる。
【0276】
好ましい態様では、組成物はまた、好ましくはカチオン性ポリマー又は非イオン性ポリマーを含む群からなる付着助剤を含むことができる。好適なポリマーとしては、カチオン性デンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート、並びに任意選択でアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ又は複数のモノマーと共にジメチルアミノエチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられる。
【0277】
香料-一態様では、組成物は、以下のものからなる群から選択される1つ又は複数の香料原料を含む香料を含む:1,1’-オキシビス-2-プロパノール;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸,ジエチルエステル;(エトキシメトキシ)シクロドデカン;1,3-ノナンジオール,モノアセテート;(3-メチルブトキシ)酢酸,2-プロペニルエステル;ベータ-メチルシクロドデカンエタノール;2-メチル-3-[(1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イル)オキシ]-1-プロパノール;オキサシクロヘキサデカン-2-オン;アルファ-メチル-ベンゼンメタノールアセテート;トランス-3-エトキシ-1,1,5-トリメチルシクロヘキサン;4-(1,1-ジメチルエチル)シクロヘキサノールアセテート;ドデカヒドロ-3a,6,6,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン;ベータ-メチルベンゼンプロパナール;ベータ-メチル-3-(1-メチルエチル)ベンゼンプロパナール;4-フェニル-2-ブタノン;2-メチルブタン酸,エチルエステル;ベンズアルデヒド;2-メチルブタン酸,1-メチルエチルエステル;ジヒドロ-5-ペンチル-2(3H)フラノン;(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;ドデカナール;ウンデカナール;2-エチル-アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンプロパナール;デカナール;アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンエタノールアセテート;2-(フェニルメチレン)オクタナール;2-[[3-[4-(1,1-ジメチルエチル)フェニル]-2-メチルプロピリデン]アミノ]安息香酸,メチルエステル;1-(2,6,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;2-ペンチルシクロペンタノン;3-オキソ-2-ペンチルシクロペンタン酢酸,メチルエステル;4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド;3-エトキシ-4-オキシベンズアルデヒド;2-ヘプチルシクロペンタノン;1-(4-メチルフェニル)エタノン;(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン;(3E)-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン;ベンゼンエタノール;2H-1-ベンゾピラン-2-オン;4-メトキシベンズアルデヒド;10-ウンデセナール;プロパン酸,フェニルメチルエステル;ベータ-メチルベンゼンペンタノール;1,1-ジエトキシ-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン;アルファ,アルファ-ジメチルベンゼンエタノール;(2E)-1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテン-1-オン;酢酸,フェニルメチルエステル;シクロヘキサンプロパン酸,2-プロペニルエステル;ヘキサン酸,2-プロペニルエステル;1,2-ジメトキシ-4-(2-プロペニル)ベンゼン;1,5-ジメチル-ビシクロ[3.2.1]オクタノ-8-オンオキシム;4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド;3-ブテン-2-オール;2-[[[2,4(又は3,5)-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-イル]メチレン]アミノ]安息香酸,メチルエステル;8-シクロヘキサデセン-1-オン;メチルイオノン;2,6-ジメチル-7-オクテン-2-オール;2-メトキシ-4-(2-プロペニル)フェノール;(2E)-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-オール;2-ヒドロキシ-安息香酸,(3Z)-3-ヘキセニルエステル;2-トリデセンニトリル;4-(2,2-ジメチル-6-メチレンシクロヘキシル)-3-メチル-3-ブテン-2-オン;テトラヒドロ-4-メチル-2-(2-メチル-1-プロペニル)-2H-ピラン;酢酸,(2-メチルブトキシ)-,2-プロペニルエステル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,3-メチルブチルエステル;2-ブテン-1-オン,1-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-,(Z)-;シクロペンタンカルボン酸,2-ヘキシル-3-オキソ-,メチルエステル;ベンゼンプロパナール,4-エチル-.アルファ.,.アルファ.-ジメチル-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(3-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-;エタノン,1-(2,3,4,7,8,8a-ヘキサヒドロ-3,6,8,8-テトラメチル-1H-3a,7-(メタノアズレン-5-イル)-,[3R-(3.アルファ.,3a.ベータ.7.ベータ.,8a.アルファ.)]-;ウンデカナール,2-メチル-2H-ピラン-2-オン,6-ブチルテトラヒドロ-;ベンゼンプロパナール,4-(1,1-ジメチルエチル)-.アルファ.-メチル-;2(3H)-フラノン,5-ヘプチルジヒドロ-;安息香酸,2-[(7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクチリデン)アミノ]-,メチル;安息香酸,2-ヒドロキシ-,フェニルメチルエステル;ナフタレン,2-メトキシ-;2-シクロペンテン-1-オン,2-ヘキシル-;2(3H)-フラノン,5-ヘキシルジヒドロ-;オキシランカルボン酸,3-メチル-3-フェニル-,エチルエステル;2-オキサビシクロ[2.2.2]オクタン,1,3,3-トリメチル-;ベンゼンペンタノール,.ガンマ.-メチル-;3-オクタノール,3,7-ジメチル-;3,7-ジメチル-2,6-オクタジエンニトリル;3,7-ジメチル-6-オクテン-1-オール;テルピネオールアセテート;2-メチル-6-メチレン-7-オクテン-2-オール,ジヒドロ誘導体;3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-6-オールプロパノエート;3-メチル-2-ブテン-1-オールアセテート;(Z)-3-ヘキセン-1-オールアセテート;2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール;4-(オクタヒドロ-4,7-メタノ-5H-インデン-5-イリデン)-ブタナール;3-2,4-ジメチル-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド;1-(1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル-エタノン;2-ヒドロキシ-安息香酸,メチルエステル;2-ヒドロキシ-安息香酸,ヘキシルエステル;2-フェノキシ-エタノール;2-ヒドロキシ-安息香酸,ペンチルエステル;2,3-ヘプタンジオン;2-ヘキセン-1-オール;6-オクテン-2-オール,2,6-ジメチル-;ダマスコン(アルファ、ベータ、ガンマ、若しくはデルタ、又はそれらの混合物),4,7-メタノ-1H-インデン-6-オール,3a,4,5,6,7,7a-ヘキサヒドロ-,アセテート;9-ウンデセナール;8-ウンデセナール;イソシクロシトラール;エタノン,1-(1,2,3,5,6,7,8,8a-オクタヒドロ-2,3,8,8-テトラメチル-2-ナフタレニル)-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド,3,5-ジメチル-;3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド,2,4-ジメチル-;1,6-オクタジエン-3-オール,3,7-ジメチル-;1,6-オクタジエン-3-オール,3,7-ジメチル-,アセテート;リリアル(p-t-ブシナール)、及びシクロペンタノン、2-[2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル]-及び1-メチル-4-(1-メチルエテニル)シクロヘキセン、並びにそれらの混合物。
【0278】
一態様では、組成物は、水溶性ヒドロキシル化合物又はメラミン-ホルムアルデヒド又は修飾ポリビニルアルコールのいずれかを含むカプセル化香料粒子を含むことができる。一態様では、カプセルは、(a)1種又は複数の水溶性ヒドロキシル化合物を含む少なくとも部分的に水溶性の固体マトリックス、好ましくはデンプン;及び(b)固体マトリックスによりカプセル化された香油を含む。
【0279】
さらなる態様では、香料は、シッフ塩基を形成するように、ポリアミン、好ましくはポリエチレンイミンと事前に複合体形成させることができる。
【0280】
ポリマー-組成物は1種又は複数のポリマーを含むことができる。例としては、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレートなどのポリカルボキシレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーがある。
【0281】
組成物は、以下の一般構造を有する化合物などの1種又は複数の両親媒性洗浄ポリマーを含むことができる:ビス((C2H5O)(C2H4O)n)(CH3)-N+-CxH2x-N+-(CH3)-ビス((C2H5O)(C2H4O)n)、式中、n=20~30、x=3~8である。
【0282】
組成物は、布地及び表面から油脂粒子を除去するように、親水性と疎水性のバランスが取れた両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーを含むことができる。本発明の両親媒性アルコキシル化油脂洗浄ポリマーの特定の実施形態は、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基を含む。これらは、内側のポリエチレンオキシドブロックと外側のポリプロピレンオキシドブロックとを好ましくは有するアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含むことができる。
【0283】
ポリアクリレートから調製されるものなどアルコキシル化ポリカルボキシレートは、さらなる油脂除去性能を提供するのに本明細書において有用である。このような材料は、国際公開第91/08281号パンフレット及びPCT90/01815号明細書に記載されている。化学的には、これらの材料は、7~8個のアクリレート単位当たり1個のエトキシ側鎖を有するポリアクリレートを含む。この側鎖は、式-(CH2CH2O)m(CH2)nCH3(式中、mは2~3、nは6~12である)である。この側鎖は、ポリアクリレート「骨格」にエステル結合して、「コーム」ポリマー型構造を与える。分子量は変動し得るものであるが、典型的には、2000~50,000の範囲にある。このようなアルコキシル化ポリカルボキシレートは、本明細書では組成物の0.05重量%~10重量%で含むことができる。
【0284】
本発明のイソプレノイド由来界面活性剤、並びに他の共界面活性剤及び他の補助成分とのそれらの混合物は、両親媒性グラフトコポリマーと共に使用するのに特に適しており、好ましくは、両親媒性グラフトコポリマーは、(i)ポリエチレングリコール骨格と、(ii)ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つのペンダント部分とを含む。好ましい両親媒性グラフトコポリマーは、BASFから供給されるSokalan HP22である。好適なポリマーとしては、ランダムグラフトコポリマー、好ましくは、ポリエチレンオキシド骨格及び複数のポリビニルアセテート側鎖を有するポリビニルアセテートグラフト化ポリエチレンオキシドポリマーが挙げられる。ポリエチレンオキシド骨格の分子量は好ましくは6000であり、ポリエチレンオキシドとポリビニルアセテートの重量比は、40~60であり、また50個のエチレンオキシド単位当たり最大1個のグラフト点がある。
【0285】
カルボキシレートポリマー-本発明の組成物はまた、マレアート/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマーなどの1種又は複数のカルボキシレートポリマーを含むことができる。一態様では、カルボキシレートポリマーは、4,000~9,000Da又は6,000~9,000Daの分子量を有するポリアクリレートホモポリマーである。
【0286】
汚染物放出ポリマー-本発明の組成物はまた、以下の構造(I)、(II)、又は(III)の1つによって定義される構造を有する1つ又は複数の汚染物ポリマーを含むことができる:
(I)-[(OCHR1-CHR2)a-O-OC-Ar-CO-]d
(II)-[(OCHR3-CHR4)b-O-OC-sAr-CO-]e
(III)-[(OCHR5-CHR6)c-OR7]f
式中、
a、b、及びcは、1~200であり;
d、e、及びfは、1~50であり;
Arは、1,4-置換フェニレンであり;
sArは、5位がSO3Meで置換されている1,3-置換フェニレンであり;
Meは、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、アルキル基がC1~C18アルキル若しくはC2~C10ヒドロキシアルキル、又はそれらの混合物であるモノ-、ジ-、トリ-、又はテトラアルキルアンモニウムであり;
R1、R2、R3、R4、R5、及びR6は、独立して、H又はC1~C18n-又はイソ-アルキルから選択され;且つ
R7は、直鎖若しくは分枝C1~C18アルキル又は直鎖若しくは分枝C2~C30アルケニル、又は5~9個の炭素原子を有するシクロアルキル、又はC8~C30アリール基、又はC6~C30アリールアルキル基である。
【0287】
好適な汚染物放出ポリマーは、Repel-o-texポリマーなどのポリエステル汚染物放出ポリマーであり、Rhodiaにより供給されるRepel-o-tex、SF-2、及びSRP6が含まれる。他の好適な汚染物放出ポリマーとして、Texcareポリマーが挙げられ、Clariantにより供給されるTexcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300、及びSRN325が含まれる。他の好適な汚染物放出ポリマーには、Sasolにより供給されるMarloquest SLなどのMarloquestポリマーがある。
【0288】
セルロースポリマー-本発明の組成物はまた、アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロースから選択されるものを含む、1種又は複数のセルロースポリマーを含むことができる。一態様では、セルロースポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物を含む群から選択される。一態様では、カルボキシメチルセルロースは、0.5~0.9のカルボキシメチル置換度及び100,000~300,000Daの分子量を有する。
【0289】
組成物は、当該技術分野で公知の方法に従って調製されてよく、また液体又は乾燥組成物の形態であってもよい。組成物は、当該技術分野で公知の方法に従って安定化されてもよい。
【0290】
本発明のα-アミラーゼ変異体を用いる方法-産業応用
本発明のα-アミラーゼ変異体は、種々の産業応用を可能にする有用な特性を有する。特に、α-アミラーゼは、エタノール生産、及びデンプン変換プロセスに用いられてもよい。
【0291】
さらに、本発明のα-アミラーゼは、甘味料/シロップ及びエタノール(例えば、ここで参照により援用される、米国特許第5,231,017号明細書を参照)、例えば、デンプン又は全粒粉に由来する、燃料、飲料用及び産業用エタノールの生産において特に有用である。
【0292】
一実施形態では、本発明は、液化プロセスにおける本発明に記載のα-アミラーゼの使用に関する。生成されたリケファクトは、シロップ及び/又は発酵生成物にさらに処理されてもよい。
【0293】
デンプン処理
天然デンプンは、室温で水に不溶性である微小顆粒からなる。水性デンプンスラリーが加熱されるとき、顆粒は、膨潤し、最終的に破裂し、デンプン分子を溶液中に分散させる。温度が約50℃~75℃まで上昇するとき、膨潤は可逆的であってもよい。しかし、温度上昇に伴い、「ゼラチン化」と称される不可逆的膨潤が開始する。この「ゼラチン化」プロセスの間、粘性が劇的に増加する。処理対象の顆粒状デンプンは、好ましくは少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%又は少なくとも99.5%純粋な高度に精製されたデンプン品質であってもよい、又は胚芽残渣及び繊維などの非デンプン画分を含む(例えば粉砕された)全粒粉を含むより粗なデンプン含有材料であってもよい。原料、例えば全粒粉は、構造を開放し、さらなる処理を可能にするため、例えば粉砕により粒径が減少してもよい。乾式粉砕においては、全カーネルが粉砕され、使用される。湿式粉砕は、胚とミール(デンプン粒及びタンパク質)との良好な分離をもたらし、デンプン加水分解物が例えばシロップの生産において用いられる位置に適用されることが多い。乾式及び湿式粉砕の双方は、デンプン処理の技術分野で周知であり、本発明のプロセスにおいて用いられてもよい。デンプン含有材料の粒径を減少させるための方法は、当業者に周知である。
【0294】
典型的な産業プロセスにおいて固体レベルが30~40%であるとき、デンプンは、好適に処理可能であるように、薄められる、又は「液化される」必要がある。この粘性低下は、現在の商慣行において主に酵素分解により達成される。
【0295】
液化は、α-アミラーゼ、好ましくは細菌α-アミラーゼ及び/又は酸性真菌α-アミラーゼの存在下で実施される。一実施形態では、液化中にプロテアーゼも存在する。一実施形態では、液化中にフィターゼも存在する。一実施形態では、キシラナーゼ及び/又はβ-グルカナーゼなどの粘性低下酵素もまた、液化中に存在する。
【0296】
液化中、長鎖デンプンは、α-アミラーゼにより、分岐状及び直鎖状のより短い単位(マルトデキストリン)に分解される。液化は、3工程の高温スラリープロセスとして実施されてもよい。スラリーは、60~95℃(例えば70~90℃、例えば77~86℃、80~85℃、83~85℃)の間に加熱され、α-アミラーゼが添加され、液化(希薄化)を開始する。
【0297】
スラリーは、一実施形態では、約1~15分間、例えば約3~10分間、特に約5分間、95~140℃の間、例えば105~125℃の間でジェットクック(jet-cooked)されてもよい。次に、スラリーは、60~95℃に冷却され、最終加水分解物(二次液化)を得るため、さらなるα-アミラーゼが添加される。ジェットクッキング(jet-cooking)プロセスは、pH4.5~6.5、典型的には5~6の間のpHで実施される。α-アミラーゼは、例えばジェットクッキング前に単回用量として添加されてもよい。
【0298】
液化プロセスは、70~95℃の間、例えば80~90℃の間、例えば約85℃で約10分~5時間、典型的には1~2時間、実施される。pHは、4~7の間、例えば5.5~6.2の間である。これらの条件下で最適な酵素安定性を保証するため、(1~60ppmの遊離カルシウムイオン、例えば約40ppmの遊離カルシウムイオンをもたらすように)任意選択的にはカルシウムが添加されてもよい。かかる処理後、液化デンプンは、典型的には10~16の「デキストロース当量」(DE)を有することになる。
【0299】
一般に、液化及び液化条件は、当該技術分野で周知である。
【0300】
酵素、特にグルコアミラーゼ、又はβ-アミラーゼ及び任意選択的には脱分枝酵素、例えばイソアミラーゼ若しくはプルラナーゼをもたらす炭水化物源を伴う当該技術分野で周知の条件を用いて、糖化が実施されてもよい。例えば、完全糖化ステップは、約24~約72時間続くことがある。しかし、30~65℃の間、典型的には約60℃の温度で典型的には40~90分の前糖化、それに続く同時糖化及び発酵(SSF)プロセス中の発酵中の完全糖化を実施することは共通である。糖化は、典型的には20~75℃、例えば25~65℃及び40~70℃、典型的には約60℃の範囲内の温度で、且つ約4~5の間のpH、通常は約pH4.5で実施される。
【0301】
糖化及び発酵ステップは、経時的又は同時のいずれかで実施されてもよい。一実施形態では、糖化及び発酵は同時に実施される(「SSF」と称される)。しかし、30~65℃、典型的には約60℃の温度で約30分~2時間(例えば、30~90分間)の前糖化ステップ、それに続く同時糖化及び発酵(SSF)と称される発酵中の完全糖化を実施することは共通である。pHは、通常は4.2~4.8、例えばpH4.5である。同時糖化及び発酵(SSF)プロセスでは、糖化のための保持ステージがなく、むしろ酵母及び酵素が一緒に添加される。
【0302】
典型的な糖化プロセスでは、液化中に生成されるマルトデキストリンが、グルコアミラーゼ及び任意選択的には脱分枝酵素、例えばイソアミラーゼ(米国特許第4,335,208号明細書)又はプルラナーゼを添加することにより、ブドウ糖に変換される。グルコアミラーゼ及び脱分枝酵素の添加前、温度は60℃まで低下する。糖化プロセスは、24~72時間進行する。糖化酵素の添加前、pHが4.5未満に低下する一方で、高温(約95℃)が維持され、液化α-アミラーゼが不活性化される。このプロセスは、脱分枝酵素により適切に加水分解できない「パノーズ前駆体」と称される短いオリゴ糖の形成を低減する。通常、糖化生成物の約0.2~0.5%は、プルラナーゼによって分解できない分岐状三糖パノーズ(Glc pα1-6Glc pα1-4Glc)である。液化からの活性アミラーゼが糖化中に存在し続ける(即ち変性しない)一方、パノーズの量は、1~2%程度に高い可能性があり、それは糖化収率を有意に減少させることから非常に望ましくない。
【0303】
他の発酵生成物は、問題の発酵生物に適した、当業者に周知の条件及び温度で発酵されてもよい。
【0304】
発酵生成物は、当該技術分野で周知の方法により、例えば蒸留により回収されてもよい。
【0305】
特定の実施形態では、本発明のプロセスは、デンプン含有材料の糖/デキストリンへの変換の前に、
(x)デンプン含有材料の粒径を減少させるステップと;
(y)デンプン含有材料及び水を含むスラリーを形成するステップと、
をさらに含む。
【0306】
一実施形態では、デンプン含有材料は、粒径を減少させるように粉砕される。一実施形態では、粒径は、0.05~3.0mmの間、好ましくは0.1~0.5mmの間に低減される、又はそれによりデンプン含有材料の少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%が、0.05~3.0mmのスクリーン、好ましくは0.1~0.5mmのスクリーンを有する篩をかろうじて通り抜ける。
【0307】
水性スラリーは、デンプン含有材料を、10~55wt.%の乾燥固体(DS)、好ましくは25~45wt.%の乾燥固体(DS)、より好ましくは30~40wt.%の乾燥固体(DS)で含有してもよい。
【0308】
通常のデンプン-変換プロセス、例えば液化及び糖化プロセスは、例えば、米国特許第3,912,590号明細書、欧州特許第252730号明細書及び欧州特許第063909号明細書(これらは参照により本明細書中に援用される)中に記載されている。
【0309】
一実施形態では、デンプンを糖又は脂肪代替物(replacers)などのより低分子量の炭水化物成分に分解する変換プロセスは、脱分枝ステップを含む。
【0310】
デンプンを糖に変換する場合、デンプンは解重合される。かかる解重合プロセスは、例えば、前処理ステップ、並びに2又は3の連続プロセスステップ、即ち、液化プロセス、糖化プロセス、及び所望される最終生成物に応じて任意選択的な異性化プロセスからなる。
【0311】
所望される最終糖生成物が、例えば高フルクトースシロップであるとき、ブドウ糖シロップは、フルクトースに変換されてもよい。糖化プロセス後、pHは6~8の範囲内の値、例えばpH7.5に増加され、且つカルシウムがイオン交換により除去される。次に、ブドウ糖シロップは、例えば固定化グルコースイソメラーゼを用いて、高フルクトースシロップに変換される。
【0312】
発酵生成物の生産
発酵性糖(例えば、デキストリン、単糖、特にグルコース)は、酵素的糖化から生成される。これらの発酵性糖は、有用な糖生成物にさらに精製及び/又は変換されてもよい。さらに、糖は、最終生成物、例えば、アルコール(例えば、エタノール、及びブタノール)、有機酸(例えば、コハク酸、3-HP及び乳酸)、糖アルコール(例えば、グリセロール)、アスコルビン酸中間体(例えば、グルコン酸、2-ケト-D-グルコン酸、2,5-ジケト-D-グルコン酸、及び2-ケト-L-グロン酸)、アミノ酸(例えば、リジン)、タンパク質(例えば、抗体及びその断片)を生成するための微生物発酵プロセスにおける発酵原料として用いられてもよい。
【0313】
一実施形態では、液化プロセスステップ中に得られる発酵性糖は、アルコール、特にエタノールを生産するために用いられる。エタノール生産においては、一般に、糖化酵素及び発酵生物(例えば、酵母)が一緒に添加され、次いで30~40℃の温度で実施されるSSFプロセスが用いられる。
【0314】
発酵に用いられる生物は、所望される最終生成物に依存することになる。典型的には、エタノールが所望される最終生成物である場合、発酵生物として酵母が用いられることになる。一部の好ましい実施形態では、エタノール産生微生物は、酵母、具体的にはサッカロマイセス(Saccharomyces)、例えば出芽酵母(S.cerevisiae)の株である(米国特許第4,316,956号明細書)。種々の出芽酵母(S.cerevisiae)が市販されており、これらは限定はされないが、FALI(Fleischmann’s Yeast)、SUPERSTART(Alltech)、FERMIOL(DSM Specialties)、RED STAR(Lesaffre)及びAngelアルコール酵母(Angel Yeast Company,China)、Ethanol Red(Lesaffre)、Innova Drive(Novozymes A/S)、Innova Lift(Novozymes A/S)を含む。本方法で用いられるスターター酵母の量は、商業的に有意な量のエタノールを好適な期間内に生産する(例えば、25~40%の間のDSを有する基質から少なくとも10%のエタノールを72時間未満内に生産する)のに有効な量である。酵母細胞は、一般に発酵ブロス1mLあたり約104~約1012、また好ましくは約107~約1010の生存可能な酵母数の量で供給される。酵母がマッシュに添加された後、典型的にはそれは、約24~96時間、例えば35~60時間の発酵を受ける。温度は、約26~34℃の間、典型的には約32℃であり、且つpHは、pH3~6、例えば約pH4~5である。
【0315】
発酵は、発酵微生物(例えば、酵母)に加えて、栄養分、及び追加的酵素、例えばフィターゼを含んでもよい。発酵における酵母の使用は、当該技術分野で周知である。
【0316】
さらなる実施形態では、当該技術分野で公知の通り、適切な発酵微生物の使用により、発酵最終生成物、例えば、グリセロール、1,3-プロパンジオール、グルコン酸、2-ケト-D-グルコン酸、2,5-ジケト-D-グルコン酸、2-ケト-L-グロン酸、コハク酸、乳酸、アミノ酸、及びそれらの誘導体などが得られうる。より具体的には、乳酸が所望される最終生成物であるとき、発酵微生物として、ラクトバチルス種(Lactobacillus sp.)(L.カゼイ(L.casei))が用いられてもよく;グリセロール又は1,3-プロパンジオールが所望される最終生成物であるとき、大腸菌(E.Coli)が用いられてもよく;また2-ケト-D-グルコン酸、2,5-ジケト-D-グルコン酸、及び2-ケト-L-グロン酸が所望される最終生成物であるとき、パントエア・シトレア(Pantoea citrea)が用いられてもよい。上に列挙されたリストはあくまで例に過ぎず、当業者は、所望される最終生成物を得るために用いてもよいいくつかの発酵微生物について理解するであろう。
【0317】
ゼラチン化デンプン含有材料から発酵生成物を生産するためのプロセス
この態様では、本発明は、発酵生成物、特にエタノールをデンプン含有材料から生産するためのプロセスであって、液化ステップと、経時的又は同時に実施される糖化及び発酵ステップとを含む、プロセスに関する。結果的には、本発明は、発酵生成物をデンプン含有材料から生産するためのプロセスであって、
(a)デンプン含有材料を本発明のα-アミラーゼ変異体の存在下で液化するステップと;
(b)グルコアミラーゼを用いてステップ(a)にて得られた液化材料を糖化するステップと;
(c)発酵生物を用いてステップb)の生成物を発酵させるステップと、
を含む、プロセスに関する。
【0318】
一実施形態では、プロテアーゼ、例えば酸性真菌プロテアーゼ又はメタロプロテアーゼが、液化の前、間及び/又は後に添加される。一実施形態では、メタロプロテアーゼは、サーモアスカス(Thermoascus)の株、例えばサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)の株、特にサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)CGMCC No.0670に由来する。別の実施形態では、プロテアーゼは、細菌プロテアーゼ、特にセリンプロテアーゼ、より具体的にはS8プロテアーゼ、特にパイロコッカス(Pyrococcus)の株、より具体的には米国特許第6,358,726号明細書に開示されるパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)に由来するプロテアーゼである。
【0319】
グルコアミラーゼは、糖化ステップにおいて添加される/存在する。グルコアミラーゼは、アスペルギルス(Aspergillus)の株、例えばアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)若しくはアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、タラロマイセス(Talaromyces)の株、特にタラロマイセス(タラロミセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii);又はアテリア(Athelia)の株、特にアテリア・ロルフシイイ(Athelia rolfsii);ホウロクタケ(Trametes)の株、例えばトラメテス・シングラタ(Trametes cingulata);カイガラタケ(Gloeophyllum)の株、特にキチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)若しくはキカイガラタケ(Gloeophyllum sepiarium);又はそれらの混合物に由来してもよい。他の好適なグルコアミラーゼもまた用いてもよく、「糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼ」のセクションを参照されたし。
【0320】
糖化ステップ(b)及び発酵ステップ(c)は、経時的又は同時のいずれかで実施されてもよい。プルラナーゼ及び/又はプロテアーゼは、プロセスが連続的な糖化及び発酵プロセスとして実施されるとき、糖化及び/又は発酵の間に、またステップ(b)及び(c)が同時に実施されるとき(SSFプロセス)、発酵の前又は間に添加されてもよい。プルラナーゼ及び/又はプロテアーゼはまた、有利には、液化前(液化処理前)、即ちステップ(a)の前若しくは間、及び/又は液化後(液化処理後)、即ちステップ(a)の後に添加されてもよい。プルラナーゼは、最も有利には、液化の前又は間、即ちステップ(a)の前又は間に添加される。発酵生成物、特にエタノールなどは、任意選択的には、発酵後、例えば蒸留により回収されてもよい。発酵生物は、好ましくは酵母、好ましくは出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株である。好ましい実施形態では、酵母は、本発明のグルコアミラーゼ変異体を発現している。特定の実施形態では、本発明のプロセスは、ステップ(a)の前に、
x)デンプン含有材料の粒径を、好ましくは粉砕により(例えば、ハンマーミルを用いて)減少させるステップと;
y)デンプン含有材料及び水を含むスラリーを形成するステップと、
をさらに含む。
【0321】
一実施形態では、粒径は、#7スクリーン、例えば#6スクリーンよりも小さい。#7スクリーンは通常、従来の先行技術プロセスにて用いられる。水性スラリーは、10~55、例えば25~45及び30~40w/w%乾燥固体(DS)のデンプン含有材料を含有してもよい。スラリーは糊化温度を超えるまで加熱され、α-アミラーゼ変異体が添加され、液化(希釈)を開始してもよい。スラリーは、一実施形態では、ステップ(a)においてα-アミラーゼを施す前にスラリーをさらにゼラチン化するため、ジェットクックされてもよい。液化は、一実施形態では、3工程の高温スラリープロセスとして実施されてもよい。スラリーは、pH4~6、好ましくは4.5~5.5で、60~95℃の間、好ましくは70~90℃の間、例えば好ましくは80~85℃の間まで加熱され、α-アミラーゼ変異体が、任意選択的にはプルラナーゼ及び/若しくはプロテアーゼ、好ましくはメタロプロテアーゼと一緒に添加され、液化(希釈)を開始する。一実施形態では、スラリーは、次に、95~140℃、好ましくは100~135℃、例えば105~125℃の間の温度で、約1~15分間、好ましくは約3~10分間、特に約5分間、ジェットクックされてもよい。スラリーは、60~95℃まで冷却され、さらなるα-アミラーゼ及び任意選択的にはプルラナーゼ及び/又はプロテアーゼが添加され、加水分解(二次液化)が終了する。液化プロセスは、通常、pH4.0~6、特に4.5~5.5のpHで実施される。糖化ステップ(b)は、当該技術分野で周知の条件を用いて実施されてもよい。例えば、完全糖化プロセスは、最大で約24~約72時間持続することがあるが、30~65℃の間、典型的には約60℃の温度で、典型的には40~90分の前糖化、それに続く同時糖化及び発酵プロセス(SSFプロセス)における発酵中の完全糖化を実施することに限っては共通である。糖化は、典型的には、20~75℃、好ましくは40~70℃、典型的には約60℃の温度、及び4~5の間のpH、通常は約pH4.5で実施される。発酵生成物、特にエタノールを生産するために最も広範に用いられるプロセスは、発酵生物、例えば酵母、及び酵素が一緒に添加されてもよいことを意味する、糖化のための保持段階がない、同時糖化及び発酵(SSF)プロセスである。SSFは、典型的には、25℃~40℃、例えば28℃~35℃、例えば30℃~34℃、好ましくは約32℃の温度で実施されてもよい。一実施形態では、発酵は、6~120時間、特に24~96時間進行するものである。
【0322】
ゼラチン化デンプン含有材料からシロップを生産するためのプロセス
この態様では、発酵ステップが省略されるが、条件は、一般に「ゼラチン化デンプン含有材料から発酵生成物を生産するためのプロセス」として上記の通りである。したがって、この態様では、本発明は、デンプン含有材料からシロップを生産するためのプロセスであって、
a)デンプン含有材料を、本発明のα-アミラーゼ変異体又は本発明の組成物の存在下で、初期糊化温度を超える温度で液化するステップと;
b)ステップa)の生成物を、グルコアミラーゼの存在下で糖化するステップと、
を含む、プロセスに関する。
【0323】
一実施形態では、ステップb)は、グルコアミラーゼ及び:
i)真菌α-アミラーゼ;
ii)イソアミラーゼ;
iii)真菌α-アミラーゼ及びイソアミラーゼ
の存在下で実施される。
【0324】
特定の実施形態では、プルラナーゼは、ステップa)及び/又はb)において提示される。
【0325】
液化中に供与及び/又は添加されるプロテアーゼ
本発明によると、熱安定性プロテアーゼは、一実施形態では、α-アミラーゼ、例えば熱安定性α-アミラーゼ、また任意選択的には酵素、特に熱安定性グルコアミラーゼ若しくは熱安定性プルラナーゼを生成する炭水化物源と一緒に、液化中に供与及び/又は添加されてもよい。
【0326】
プロテアーゼは、それらの触媒機構に基づいて、以下の群:セリンプロテアーゼ(S)、システインプロテアーゼ(C)、アスパラギン酸プロテアーゼ(A)、メタロプロテアーゼ(M)、及び未知のものに、又はいまだ未分類のプロテアーゼ(U)として分類され、Handbook of Proteolytic Enzymes,A.J.Barrett,N.D.Rawlings,J.F.Woessner(eds),Academic Press(1998)の特に概略紹介部分を参照されたし。
【0327】
好ましい実施形態では、本発明に従って用いられる熱安定性プロテアーゼは、EC3.4.24(メタロエンドペプチダーゼ);好ましくはEC3.4.24.39(酸メタロプロテイナーゼ)に属するプロテアーゼとして定義される「メタロプロテアーゼ」である。
【0328】
所与のプロテアーゼがメタロプロテアーゼであるか否かを判定するため、上記の「Handbook of Proteolytic Enzymes」及びその中に示される原則への参照がなされる。かかる判定は、プロテアーゼのあらゆるタイプに対して実施可能であり、それは天然に存在する若しくは野生型プロテアーゼ;又は遺伝子改変若しくは合成プロテアーゼでありうる。
【0329】
プロテアーゼ活性は、問題のプロテアーゼの特異性について関連性があるペプチド結合を含む、基質が用いられる、任意の好適なアッセイを用いて測定されうる。アッセイpH及びアッセイ温度は、同様に問題のプロテアーゼに対して適応的である。アッセイpH値の例として、pH6、7、8、9、10、又は11が挙げられる。アッセイ温度の例として、30、35、37、40、45、50、55、60、65、70又は80℃が挙げられる。
【0330】
プロテアーゼ基質の例として、カゼイン、例えばアズリン架橋カゼイン(AZCL-カゼイン)が挙げられる。2つのプロテアーゼアッセイが、下記の「材料及び方法」セクションに記載され、そこではいわゆる「AZCL-カゼインアッセイ」は好ましいアッセイである。
【0331】
本発明のプロセスにおいて用いられるプロテアーゼの起源については、それが下に定義される熱安定性特性を満たす限り、制限がない。
【0332】
プロテアーゼは、本明細書に定義される熱安定性特性を有する限り、例えば野生型プロテアーゼの変異体であってもよい。
【0333】
一実施形態では、プロテアーゼは、Zein-BCAアッセイを用いて測定されるとき、85℃で、60%超、例えば90%超、例えば100%超、例えば110%超の熱安定性を有する。
【0334】
一実施形態では、プロテアーゼは、Zein-BCAアッセイを用いて測定されるとき、85℃で、60~120%の間、例えば70~120%の間、例えば80~120%の間、例えば90~120%の間、例えば100~120%の間、例えば110~120%の熱安定性を有する。
【0335】
一実施形態では、熱安定性プロテアーゼは、上で定義されるようなメタロプロテアーゼの変異体である。一実施形態では、本発明のプロセスにおいて用いられる熱安定性プロテアーゼは、真菌起源であり、例えば真菌メタロプロテアーゼ、例えば、サーモアスカス(Thermoascus)属の株、好ましくはサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)の株、特にサーモアスカス・オーランティアカス(Thermoascus aurantiacus)CGMCC No.0670(EC3.4.24.39として分類)に由来する真菌メタロプロテアーゼである。
【0336】
一実施形態では、熱安定性プロテアーゼは、国際公開第2003/048353号パンフレット中に開示される配列番号2に示されるメタロプロテアーゼの成熟部分、又は以下のリスト:
-S5*+D79L+S87P+A112P+D142L;
-D79L+S87P+A112P+T124V+D142L;
-S5*+N26R+D79L+S87P+A112P+D142L;
-N26R+T46R+D79L+S87P+A112P+D142L;
-T46R+D79L+S87P+T116V+D142L;
-D79L+P81R+S87P+A112P+D142L;
-A27K+D79L+S87P+A112P+T124V+D142L;
-D79L+Y82F+S87P+A112P+T124V+D142L;
-D79L+Y82F+S87P+A112P+T124V+D142L;
-D79L+S87P+A112P+T124V+A126V+D142L;
-D79L+S87P+A112P+D142L;
-D79L+Y82F+S87P+A112P+D142L;
-S38T+D79L+S87P+A112P+A126V+D142L;
-D79L+Y82F+S87P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+D79L+S87P+A112P+A126V+D142L;
-D79L+S87P+N98C+A112P+G135C+D142L;
-D79L+S87P+A112P+D142L+T141C+M161C;
-S36P+D79L+S87P+A112P+D142L;
-A37P+D79L+S87P+A112P+D142L;
-S49P+D79L+S87P+A112P+D142L;
-S50P+D79L+S87P+A112P+D142L;
-D79L+S87P+D104P+A112P+D142L;
-D79L+Y82F+S87G+A112P+D142L;
-S70V+D79L+Y82F+S87G+Y97W+A112P+D142L;
-D79L+Y82F+S87G+Y97W+D104P+A112P+D142L;
-S70V+D79L+Y82F+S87G+A112P+D142L;
-D79L+Y82F+S87G+D104P+A112P+D142L;
-D79L+Y82F+S87G+A112P+A126V+D142L;
-Y82F+S87G+S70V+D79L+D104P+A112P+D142L;
-Y82F+S87G+D79L+D104P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+D79L+Y82F+S87G+D104P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+Y82F+S87G+D104P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+D79L+Y82F+D104P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+Y82F+D104P+A112P+A126V+D142L;
-A27K+D79L+S87P+A112P+D142L;
-D79L+S87P+D142L
から選択される突然変異をさらに有する、本明細書中の配列番号20として示され、且つ国際公開第2010/008841号パンフレット中の配列番号1の成熟部分の変異体である。
【0337】
好ましい実施形態では、熱安定性プロテアーゼは、国際公開第2003/048353号パンフレット中に開示される配列番号2の成熟部分として開示されたメタロプロテアーゼ、又は以下の突然変異:
D79L+S87P+A112P+D142L;
D79L+S87P+D142L;又は
A27K+D79L+Y82F+S87G+D104P+A112P+A126V+D142L
を有する国際公開第2010/008841号パンフレット中の配列番号1又は本明細書中の配列番号20の成熟部分の変異体である。
【0338】
一実施形態では、プロテアーゼ変異体は、国際公開第2003/048353号パンフレット中に開示される配列番号2のポリペプチドの成熟部分又は国際公開第2010/008841号パンフレット中の配列番号1又は本明細書中の配列番号20の成熟部分に対して、少なくとも75%の同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも93%、最も好ましくは少なくとも94%、またさらに最も好ましくは少なくとも95%、例えば、さらに少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるが100%未満の同一性を有する。
【0339】
熱安定性プロテアーゼはまた、細菌に由来してもよく、特にS8プロテアーゼ、より具体的にはパイロコッカス種(Pyrococcus sp.)又はサーモコッカス種(Thermococcus sp.)由来のS8プロテアーゼであってもよい。
【0340】
一実施形態では、熱安定性プロテアーゼは、細菌パイロコッカス(Pyrococcus)の株、例えばパイロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)の株に由来する(pfuプロテアーゼ)。
【0341】
一実施形態では、プロテアーゼは、米国特許第6,358,726-B1号明細書中の配列番号1(宝酒造株式会社)及び本明細書中の配列番号19として示されるものである。
【0342】
別の実施形態では、熱安定性プロテアーゼは、本明細書中の配列番号19中に開示されるもの、又は米国特許第6,358,726-B1号明細書中の配列番号1又は本明細書中の配列番号19に対して、少なくとも80%の同一性、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、例えば少なくとも99%の同一性を有するプロテアーゼである。
【0343】
液化中に供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼ
一実施形態では、グルコアミラーゼは、本発明のプロセス(即ち、油回収プロセス及び発酵生成物生産プロセス)における液化ステップa)において供与及び/又は添加される。
【0344】
好ましい実施形態では、液化ステップa)において供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼは、アオカビ(Penicillium)属の株、特に国際公開第2011/127802号パンフレット中の配列番号2又は本明細書中の配列番号21として開示されるペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)の株に由来する。
【0345】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、国際公開第2011/127802号パンフレット中の配列番号2又は本明細書中の配列番号21に示される成熟ポリペプチドに対して、少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも93%、最も好ましくは少なくとも94%、またさらに最も好ましくは少なくとも95%、例えば、さらに少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は100%の同一性を有する。
【0346】
好ましい実施形態では、グルコアミラーゼは、(付番用に配列番号21に示される成熟配列を用いて)K79Vの置換を有する、国際公開第2011/127802号パンフレット中の配列番号2又は本明細書中の配列番号21に示されるペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)グルコアミラーゼの変異体、例えば国際公開第2013/053801号パンフレット中に開示される変異体である。
【0347】
一実施形態では、ペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)グルコアミラーゼは、(付番用に配列番号21を用いて)K79V置換、好ましくは以下の置換:
T65A;又は
Q327F;又は
E501V;又は
Y504T;又は
Y504*;又は
T65A+Q327F;又は
T65A+E501V;又は
T65A+Y504T;又は
T65A+Y504*;又は
Q327F+E501V;又は
Q327F+Y504T;又は
Q327F+Y504*;又は
E501V+Y504T;又は
E501V+Y504*;又は
T65A+Q327F+E501V;又は
T65A+Q327F+Y504T;又は
T65A+E501V+Y504T;又は
Q327F+E501V+Y504T;又は
T65A+Q327F+Y504*;又は
T65A+E501V+Y504*;又は
Q327F+E501V+Y504*;又は
T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
T65A+Q327F+E501V+Y504*;
E501V+Y504T;又は
T65A+K161S;又は
T65A+Q405T;又は
T65A+Q327W;又は
T65A+Q327F;又は
T65A+Q327Y;又は
P11F+T65A+Q327F;又は
R1K+D3W+K5Q+G7V+N8S+T10K+P11S+T65A+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F;又は
P11F+D26C+K33C+T65A+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327W+E501V+Y504T;又は
R1E+D3N+P4G+G6R+G7A+N8A+T10D+P11D+T65A+Q327F;又は
P11F+T65A+Q327W;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P11F+T65A+Q327W+E501V+Y504T;又は
T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
T65A+S105P+Q327W;又は
T65A+S105P+Q327F;又は
T65A+Q327W+S364P;又は
T65A+Q327F+S364P;又は
T65A+S103N+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+K34Y+T65A+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+D445N+V447S;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+I172V+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+N502*;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+N502T+P563S+K571E;又は
P2N+P4S+P11F+R31S+K33V+T65A+Q327F+N564D+K571S;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+S377T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+V325T+Q327W;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+D445N+V447S+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+I172V+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+S377T+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+D26N+K34Y+T65A+Q327F;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+I375A+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K218A+K221D+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+S103N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+T10D+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+F12Y+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
K5A+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+T10E+E18N+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+T10E+E18N+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T+T568N;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T+K524T+G526A;又は
P2N+P4S+P11F+K34Y+T65A+Q327F+D445N+V447S+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+R31S+K33V+T65A+Q327F+D445N+V447S+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+D26N+K34Y+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+F80*+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K112S+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T+T516P+K524T+G526A;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+N502T+Y504*;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+S103N+Q327F+E501V+Y504T;又は
K5A+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+E501V+Y504T+T516P+K524T+G526A;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K79A+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K79G+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K79I+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K79L+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+K79S+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+L72V+Q327F+E501V+Y504T;又は
S255N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+E74N+V79K+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+G220N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Y245N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q253N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+D279N+Q327F+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+S359N+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+D370N+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+V460S+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+V460T+P468T+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+T463N+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+S465N+E501V+Y504T;又は
P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F+T477N+E501V+Y504T
のさらなる1つを有する。
【0348】
好ましい実施形態では、液化物中に供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼは、K79V置換、また好ましくは、以下の置換:
-P11F+T65A+Q327F;
-P2N+P4S+P11F+T65A+Q327F(付番用に配列番号21を用いる)
のさらなる1つを有するペニシリウム・オキサリカム(Penicillium oxalicum)グルコアミラーゼである。
【0349】
一実施形態では、グルコアミラーゼ変異体は、本明細書中の配列番号21のポリペプチドに対して、少なくとも75%の同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも93%、最も好ましくは少なくとも94%、さらに最も好ましくは少なくとも95%、例えば、さらに少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるが100%未満の同一性を有する。
【0350】
グルコアミラーゼは、0.1~100μgのEP/g、例えば0.5~50μgのEP/g、例えば1~25μgのEP/g、例えば2~12μgのEP/gのDSの量で添加されてもよい。
【0351】
糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼ
グルコアミラーゼは、本発明のプロセス(即ち、油回収プロセス及び発酵生成物生産プロセス)における糖化及び/又は発酵、好ましくは同時糖化及び発酵(SSF)において供与及び/又は添加される。
【0352】
一実施形態では、糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるグルコアミラーゼは、真菌起源であり、好ましくは、アスペルギルス(Aspergillus)、好ましくは、A.ニガー(A.niger)、A.アワモリ(A.awamori)、又はコウジカビ(A.oryzae)の株;又はトリコデルマ(Trichoderma)、好ましくはT.リーセイ(T.reesei)の株;又はタラロマイセス(Talaromyces)、好ましくはT.エメルソニイ(T.emersonii)の株又はホウロクタケ(Trametes)、好ましくはT.シンギュラータ(T.cingulata)の株、又はシュタケ(Pycnoporus)の株、又はカイガラタケ(Gloeophyllum)、例えばキカイガラタケ(G.sepiarium)又はキチリメンタケ(G.trabeum)の株、又はニグロフォメス(Nigrofomes)の株に由来する。
【0353】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、タラロマイセス(Talaromyces)、例えばタラロマイセス・エメルソニイ(Talaromyces emersonii)の株、例えば本明細書中の配列番号22にて示されるものに由来する。
【0354】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、
(i)本明細書中の配列番号22のポリペプチドを含むグルコアミラーゼ;
(ii)本明細書中の配列番号22のポリペプチドに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むグルコアミラーゼ
からなる群から選択される。
【0355】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、シュタケ(Pycnoporus)属の株、特に国際公開第2011/066576号パンフレット中に記載されるピクノポラス・サンギネウス(Pycnoporus sanguineus)の株(配列番号2、4又は6)、例えば国際公開第2011/066576号パンフレット中の配列番号4、又は本明細書中の配列番号23として示されるものに由来する。
【0356】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、
(i)本明細書中の配列番号23のポリペプチドを含むグルコアミラーゼ;
(ii)本明細書中の配列番号23のポリペプチドに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むグルコアミラーゼ
からなる群から選択される。
【0357】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、カイガラタケ(Gloeophyllum)属の株、例えばキカイガラタケ(Gloeophyllum sepiarium)又はキチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)の株、特に国際公開第2011/068803号パンフレット中に記載のようなカイガラタケ(Gloeophyllum)の株(配列番号2、4、6、8、10、12、14又は16)に由来する。好ましい実施形態では、グルコアミラーゼは、国際公開第2011/068803号パンフレット中の配列番号2又は本明細書中の配列番号24に示されるキカイガラタケ(Gloeophyllum sepiarium)である。
【0358】
好ましい実施形態では、グルコアミラーゼは、キカイガラタケ(Gloeophyllum sepiarium)、例えば本明細書中の配列番号24に示されるものに由来する。一実施形態では、グルコアミラーゼは、
(i)本明細書中の配列番号24のポリペプチドを含むグルコアミラーゼ
(ii)本明細書中の配列番号24のポリペプチドに対して少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むグルコアミラーゼ
からなる群から選択される。
【0359】
別の実施形態では、グルコアミラーゼは、キチリメンタケ(Gloeophyllum trabeum)、例えば本明細書中の配列番号25に示されるものに由来する。一実施形態では、グルコアミラーゼは、
(i)本明細書中の配列番号25のポリペプチドを含むグルコアミラーゼ
(ii)本明細書中の配列番号25のポリペプチドに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むグルコアミラーゼ
からなる群から選択される。
【0360】
一実施形態では、グルコアミラーゼは、ニグロフォメス(Nigrofomes)属の株、特に国際公開第2012/064351号パンフレット中に開示されるニグロフォメス種(Nigrofomes sp.)の株に由来する。
【0361】
グルコアミラーゼは、一実施形態では、0.0001~20AGU/gのDS、好ましくは0.001~10AGU/gのDS、特に0.01~5AGU/gのDS、例えば0.1~2AGU/gのDSの量で糖化及び/又は発酵に添加されてもよい。
【0362】
グルコアミラーゼを含む市販の組成物は、AMG200L;AMG300L;SAN(商標)SUPER、SAN(商標)EXTRA L、SPIRIZYME(商標)PLUS、SPIRIZYME(商標)FUEL、SPIRIZYME(商標)B4U、SPIRIZYME(商標)ULTRA、SPIRIZYME(商標)EXCEL及びAMG(商標)E(Novozymes A/S製);OPTIDEX(商標)300、GC480、GC417(DuPont.製);AMIGASE(商標)及びAMIGASE(商標)PLUS(DSM製);G-ZYME(商標)G900、G-ZYME(商標)及びG990ZR(DuPont製)を含む。
【0363】
本発明の好ましい実施形態によると、グルコアミラーゼは、α-アミラーゼと組み合わせて糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加される。好適なα-アミラーゼの例は下記の通りである。
【0364】
糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるα-アミラーゼ
一実施形態では、α-アミラーゼは、本発明のプロセスにおける糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加される。好ましい実施形態では、α-アミラーゼは、真菌又は細菌起源である。好ましい実施形態では、α-アミラーゼは、真菌酸安定α-アミラーゼである。真菌酸安定α-アミラーゼは、3.0~7.0のpH範囲内、好ましくは3.5~6.5のpH範囲内での活性、例えば約4.0、4.5、5.0、5.5、及び6.0のpHでの活性を有するα-アミラーゼである。
【0365】
好ましい実施形態では、糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるα-アミラーゼは、リゾムコール(Rhizomucor)属の株、好ましくはリゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)の株、例えば国際公開第2013/006756号パンフレット中の配列番号3に示されるもの、例えば、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)のリンカー及びデンプン結合ドメインを有するリゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)α-アミラーゼハイブリッド、例えば本明細書中の配列番号26に示されるもの、又はその変異体に由来する。
【0366】
一実施形態では、糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるα-アミラーゼは、
(i)本明細書中の配列番号26のポリペプチドを含むα-アミラーゼ;
(ii)本明細書中の配列番号26のポリペプチドに対して、少なくとも60%、少なくとも70%、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むα-アミラーゼ
からなる群から選択される。
【0367】
好ましい実施形態では、α-アミラーゼは、(付番として配列番号26を用いて)置換:D165M;Y141W;Y141R;K136F;K192R;P224A;P224R;S123H+Y141W;G20S+Y141W;A76G+Y141W;G128D+Y141W;G128D+D143N;P219C+Y141W;N142D+D143N;Y141W+K192R;Y141W+D143N;Y141W+N383R;Y141W+P219C+A265C;Y141W+N142D+D143N;Y141W+K192RV410A;G128D+Y141W+D143N;Y141W+D143N+P219C;Y141W+D143N+K192R;G128D+D143N+K192R;Y141W+D143N+K192R+P219C;G128D+Y141W+D143N+K192R;又はG128D+Y141W+D143N+K192R+P219C又は置換の組み合わせの少なくとも1つを有する、配列番号26に示されるα-アミラーゼの変異体である。
【0368】
一実施形態では、α-アミラーゼは、好ましくは、(付番として配列番号19を用いて)置換:G128D、D143N、好ましくはG128D+D143Nの1つ以上を有する、好ましくは本明細書中の配列番号26として開示される、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)グルコアミラーゼリンカー及びデンプン結合ドメイン(SBD)を有するリゾムコール・プシルス(Rhizomucor pusillus)に由来する。
【0369】
一実施形態では、糖化及び/又は発酵において供与及び/又は添加されるα-アミラーゼ変異体は、本明細書中の配列番号26のポリペプチドに対して、少なくとも75%の同一性、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、さらにより好ましくは少なくとも93%、最も好ましくは少なくとも94%、またさらに最も好ましくは少なくとも95%、例えばさらに少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%であるが100%未満の同一性を有する。
【0370】
好ましい実施形態では、グルコアミラーゼと糖化及び/又は発酵中に供与及び/又は添加されるα-アミラーゼとの間の比は、好ましくは、500:1~1:1、例えば250:1~1:1、例えば100:1~1:1、例えば100:2~100:50、例えば100:3~100:70の範囲内であってもよい。
【0371】
液化及び/又は糖化及び/又は発酵中に供与及び/又は添加されるプルラナーゼ
プルラナーゼは、液化ステップa)及び/又は糖化ステップb)又は発酵ステップc)又は同時糖化及び発酵において供与及び/又は添加されてもよい。
【0372】
プルラナーゼ(E.C.3.2.1.41、プルラン6-グルカノ-ヒドロラーゼ)は、例えばアミロペクチン及びプルランにおけるα-1,6-グリコシド結合を加水分解するそれらの能力によって特徴づけられる脱分枝酵素である。
【0373】
本発明に従って考察されるプルラナーゼは、米国特許第4,560,651号明細書(ここで参照により援用される)に開示されたバチルス・アミロデラミフィカンス(Bacillus amyloderamificans)由来のプルラナーゼ、国際公開第01/51620号パンフレット(ここで参照により援用される)中で配列番号2として開示されたプルラナーゼ、国際公開第01/51620号パンフレット(ここで参照により援用される)中で配列番号4として開示されたバチルス・デラミフィカンス(Bacillus deramificans)由来のプルラナーゼ、及び国際公開第01/51620号パンフレット(ここで参照により援用される)中で配列番号6として開示され、さらにFEMS Mic.Let.(1994)115,97-106中に記載されたバチルス・アシドプルリティカス(Bacillus acidopullulyticus)由来のプルラナーゼを含む。
【0374】
プルラナーゼは、本発明によると、好ましい量として、1gのDSあたり約0.0001~10mgの酵素タンパク質、好ましくは1gのDSあたり0.0001~0.10mgの酵素タンパク質、より好ましくは1gのDSあたり0.0001~0.010mgの酵素タンパク質を含む有効量で添加されてもよい。プルラナーゼ活性は、NPUNとして判定されてもよい。NPUNの決定用のアッセイは、下の「材料及び方法」セクションに記載される。
【0375】
好適な市販のプルラナーゼ製品は、PROMOZYME D、PROMOZYME(商標)D2(Novozymes A/S,Denmark)、OPTIMAX L-300(Genencor Int.,USA)、及びAMANO8(アマノ、日本)を含む。
【0376】
発酵生成物、特にエタノールなどは、任意選択的には、発酵後、例えば蒸留により回収されてもよい。好適なデンプン含有出発物質は、下の「デンプン含有材料」セクションに列挙される。一実施形態では、デンプン含有材料は、トウモロコシ又はコムギである。
【0377】
発酵生物は、好ましくは酵母、好ましくはサッカロマイセス(Saccharomyces)の株、特にサッカロミセス・セレビサエ(Saccharomyces cerevisae)の株である。好適な発酵生物は、上の「発酵生物」セクションに列挙される。好ましい実施形態では、ステップii)及びiii)は、経時的に又は同時に(即ち、SSFプロセスとして)実施される。水性スラリーは、デンプン含有材料の、10~55wt.-%の乾燥固体、好ましくは25~45wt.-%の乾燥固体、より好ましくは30~40wt.-%の乾燥固体を含有してもよい。スラリーは、初期糊化温度を上回るまで加熱される。α-アミラーゼ、好ましくは細菌α-アミラーゼが、スラリーに添加されてもよい。一実施形態では、スラリーはまたジェットクックされ、スラリーがさらにゼラチン化された後、液化ステップi)においてα-アミラーゼが施される。
【0378】
ステップ(i)中の温度は、初期糊化温度、例えば80~90℃の間、例えば約85℃を上回る。
【0379】
一実施形態では、液化は、3ステップ高温スラリープロセスとして実施される。スラリーは、60~95℃の間、好ましくは80~90℃の間に加熱され、α-アミラーゼが添加され、液化(希釈)を開始する。次に、スラリーは、95~140℃の間、好ましくは105~125℃の温度で、1~15分間、好ましくは3~10分間、特に約5分、ジェットクックされる。スラリーは、60~95℃、好ましくは80~90℃に冷却され、さらなるα-アミラーゼが添加され、加水分解(二次液化)が終了する。液化プロセスは、通常、4.5~6.5、例えば約4.8のpH、又は5.0~6.2の間、例えば5.0~6.0、例えば5.0~5.5の間、例えば約5.2、例えば約5.4、例えば約5.6、例えば約5.8のpHで実施される。粉砕及び液化デンプンは、「マッシュ」として知られる。
【0380】
ステップii)における糖化は、当該技術分野で周知の条件下で実施されてもよい。例えば、完全糖化プロセスは、最大で約24~約72時間持続することがある。一実施形態では、前糖化ステップが、40~90分、30~65℃の間の温度で、典型的には約60℃で実施され、その後、同時糖化及び発酵ステップ(SSF)における発酵中の完全糖化が実施される。糖化は、典型的には、30~70℃、例えば55~65℃、典型的には約60℃の温度で、且つ4~5の間のpHで、通常は約pH4.5で実施される。
【0381】
発酵生成物の生産、特にエタノールの生産において最も広範に用いられるプロセスは、糖化のための保持段階がない、同時糖化及び発酵(SSF)プロセスである。
【0382】
発酵生物が酵母、例えば出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株であり、且つ所望される発酵生成物がエタノールであるとき、SSFは、典型的には、25℃~40℃の間、例えば28℃~36℃の間、例えば30℃~34℃の間、例えば約32℃の温度で実施されてもよい。一実施形態では、発酵は、6~120時間、特に24~96時間進行するものである。
【0383】
他の発酵生成物は、問題の発酵生物に適した、当業者に周知の条件及び温度で発酵されてもよい。
【0384】
発酵培地
発酵が実施される環境は、「発酵培地(fermentation media)」又は「発酵培地(fermentation medium)」と称されることが多い。発酵培地は、発酵基質、即ち発酵生物によって代謝される炭水化物源を含む。本発明によると、発酵培地は、発酵生物のための栄養分及び増殖刺激因子を含んでもよい。栄養分及び増殖刺激因子は、発酵の技術分野で広範に用いられ、窒素源、例えばアンモニア;尿素、ビタミン及びミネラル、又はそれらの組み合わせを含む。
【0385】
発酵生物
用語「発酵生物」は、発酵プロセスにおける使用に適し、且つ所望される発酵生成物を生産する能力がある、細菌及び真菌生物、特に酵母を含む任意の生物を指す。特に好適な発酵生物は、発酵する、即ち、糖、例えばグルコース又は麦芽糖を直接的又は間接的に所望される発酵生成物、例えばエタノールに変換する能力がある。発酵生物の例として、真菌生物、例えば酵母が挙げられる。好ましい酵母は、サッカロマイセス属菌(Saccharomyces spp.)、特に出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の株を含む。
【0386】
発酵、例えばSSF中に生存可能な発酵生物の好適な濃度は、当該技術分野で周知である、又は当業者によって容易に決定可能である。一実施形態では、発酵生物、例えばエタノール発酵酵母(例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae))が発酵培地に添加されることで、生存可能な発酵生物、例えば酵母の発酵培地1mLあたりの数は、105~1012個、好ましくは107~1010個の範囲内、特に約5×107個である。
【0387】
市販酵母の例として、例えば、RED STAR(商標)及びETHANOL RED(商標)酵母(Fermentis/Lesaffre,USAから入手可能)、FALI(Fleischmann’s Yeast,USAから入手可能)、SUPERSTART及びTHERMOSACC(商標)新鮮酵母(Ethanol Technology,WI,USAから入手可能)、BIOFERM AFT及びXR(NABC-North American Bioproducts Corporation,GA,USAから入手可能)、GERT STRAND(Gert Strand AB,Swedenから入手可能)、FERMIOL(DSM Specialtiesから入手可能)、Innova(登録商標)Drive(Novozymes A/S)、Innova(登録商標)Lift(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0388】
デンプン含有材料
本発明に従い、任意の好適なデンプン含有材料が用いられてもよい。出発物質は、一般に所望される発酵生成物に基づいて選択される。本発明のプロセスにおける使用に適したデンプン含有材料の例として、全粒粉、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライ麦、ミロ、サゴ、キャッサバ、タピオカ、ソルガム、米、エンドウマメ、マメ、又はサツマイモ、又はそれらの混合物又はそれらに由来するデンプン、又は穀類が挙げられる。蝋様及び非蝋様タイプのトウモロコシ及びオオムギもまた、検討される。好ましい実施形態では、本発明に記載のエタノール生産に用いられるデンプン含有材料は、トウモロコシ又はコムギである。
【0389】
発酵生成物
用語「発酵生成物」は、発酵生物を用いる発酵ステップを含むプロセスによって生産される生成物を意味する。本発明に従って検討される発酵生成物は、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、ブタノール;グリセロール、ソルビトール及びイノシトールなどのポリオール);有機酸(例えば、クエン酸、酢酸、イタコン酸、乳酸、コハク酸、グルコン酸);ケトン(例えば、アセトン);アミノ酸(例えば、グルタミン酸);気体(例えば、H2及びCO2);抗生物質(例えば、ペニシリン及びテトラサイクリン);酵素;ビタミン(例えば、リボフラビン、B12、βカロチン);及びホルモンを含む。好ましい実施形態では、発酵生成物は、エタノール、例えば燃料エタノール;飲料エタノール、即ち飲用中性スピリット;又は工業用エタノール、若しくは消耗可能なアルコール工業(例えば、ビール及びワイン)、乳業(例えば発酵乳製品)、皮革工業及びタバコ産業において用いられる製品である。好ましいビールのタイプは、エール、スタウト、ポーター、ラガー、ビター、モルトリカー、発泡酒、高アルコールビール、低アルコールビール、低カロリービール又はライトビールを含む。好ましくは、アルコール、例えばエタノールを生産するため、本発明のプロセスが用いられる。典型的にはガソリンと混和される燃料として、本発明に従って得られる発酵生成物、例えばエタノールが用いられてもよい。しかし、エタノールの場合、それは飲料エタノールとして用いられてもよい。
【0390】
発酵生成物の回収
発酵、即ちSSFの後、発酵生成物は、発酵培地から分離されてもよい。スラリーは、所望される発酵生成物(例えばエタノール)を抽出するため、蒸留されてもよい。或いは、所望される発酵生成物は、マイクロ又は膜濾過技術により、発酵培地から抽出されてもよい。発酵生成物はまた、ストリッピング又は当該技術分野で周知の他の方法により回収されてもよい。
【0391】
本発明は、以下の付番された実施形態において、さらに例示される。
【0392】
実施形態1.188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体。
【0393】
実施形態2.親α-アミラーゼよりもpH4.5で増強された熱安定性を有する、実施形態1に記載のα-アミラーゼ変異体。
【0394】
実施形態3.親α-アミラーゼよりもモデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性を有する、実施形態1に記載の変異体。
【0395】
実施形態4.親α-アミラーゼによって生成される場合よりも高いデキストロース当量(DE)値を有するリケファクトを生成する能力がある、実施形態1に記載の変異体。
【0396】
実施形態5.親α-アミラーゼによって生成されるリケファクトと比べての粘性低下を有するリケファクトを生成する能力がある、実施形態1に記載の変異体。
【0397】
実施形態6.親α-アミラーゼよりもpH4.5で増強された熱安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFが、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)に対するα-アミラーゼ変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する、実施形態1に記載のα-アミラーゼ変異体。
【0398】
実施形態7.親α-アミラーゼよりも、モデル洗剤Aにおける増強されたキレート剤安定性、特に改善係数(IF)として判定された増強された安定性を有し、ここでIFが、親α-アミラーゼの残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)に対する変異体の残留活性(熱ストレスサンプルにおける活性の4℃でインキュベートされたサンプルにおける活性に対する比)として判定され、特に、少なくとも1.1、少なくとも1.2、少なくとも1.3、少なくとも1.4、少なくとも1.5、少なくとも1.6、少なくとも1.7、少なくとも1.8、少なくとも1.9、少なくとも2.0のIFを有する、実施形態1に記載の変異体。
【0399】
実施形態8.付番用に配列番号1を用いて179~182位に対応する領域内に2つのアミノ酸の欠失をさらに含む、実施形態1~7のいずれかに記載の変異体。
【0400】
実施形態9.欠失が、179*+180*、179*+181*、179*+182*、180*+181*、180*+182*、及び181*+182*、特に181*+182*からなる群から選択される、実施形態8に記載の変異体。
【0401】
実施形態10.親α-アミラーゼが配列番号3であり、且つ付番用に配列番号2を用いてG48A+T49I+H68W+G107A+H156Y+A181T+A209V+Q264S+K176L+F201Y+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437W;又は
付番用に配列番号2を用いてG48A+T49I+H68W+G107A+T116Q+H156Y+A181T+A209V+Q264S+K176L+F201Y+H205Y+K213T+E255P+Q360S+D416V+R437Wに対応する特定の置換を含み;且つ、配列番号3に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の変異体。
【0402】
実施形態11.付番用に配列番号2を用いてN190Fをさらに含む、実施形態10の変異体。
【0403】
実施形態12.親α-アミラーゼが配列番号1であり、且つV59A+E129V+E177L+R179E+Q254S+M284V+V212T+Y268G+N293Y+T297Nに対応する特定の置換、任意選択的には、付番用に配列番号1を用いて179~182位に対応する領域内に2つのアミノ酸の欠失、特に181*+182*をさらに含み、且つ、配列番号1に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の変異体。
【0404】
実施形態13.付番用に配列番号1を用いてN193Fをさらに含む、実施形態12に記載の変異体。
【0405】
実施形態14.188位に対応する位置に置換、並びに242位及び279位に対応する位置にさらなる置換、特に、
E188P+S242Y+K279I;
E188P+S242L+K279W;
E188P+S242P+K279W;
E188P+S242L+K279I;
E188P+S242Y+K279W;
E188P+S242Y+K279F;
E188P+S242Y+K279H;
E188P+S242Y+K279L;
E188P+S242Y+K279Y;
E188P+S242P+K279I;
E188P+S242F+K279W;
E188P+S242H+K279W;
E188P+S242W+K279W
から選択される特定の組み合わせを含む、実施形態1~13のいずれかに記載の変異体。
【0406】
実施形態15.付番用に配列番号1を用いてI204Yに対応する置換、特に、
E188P+I204Y+S242Y;
E188P+I204Y+S242F;
E188P+I204Y+K279W;
E188P+I204Y+K279Y;
E188P+I204Y+K279F;
E188P+I204Y+K279H;
E188P+I204Y+K279I;
E188P+I204Y+K279L
から選択される特定の組み合わせをさらに含む、実施形態1の変異体。
【0407】
実施形態16.α-アミラーゼが単離される、実施形態1~15のいずれかの変異体。
【0408】
実施形態17.改変の数が1~20、例えば1~10及び1~5である、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10の改変が挙げられる、実施形態1~16のいずれかの変異体。
【0409】
実施形態18.実施形態1~17のいずれかのα-アミラーゼ変異体を含む組成物。
【0410】
実施形態19.界面活性剤をさらに含む、実施形態18の組成物。
【0411】
実施形態20.界面活性剤又は界面活性剤系であって、界面活性剤が、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物から選択されうる、界面活性剤又は界面活性剤系を含む、実施形態18又は19のいずれかの組成物。
【0412】
実施形態21.アニオン性界面活性剤、特に直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)及び/又はアルコールエトキシサルフェート(AEOS)を含む、実施形態20の組成物。
【0413】
実施形態22.非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート(AEO)を含む、実施形態20の組成物。
【0414】
実施形態23.1つ以上のアニオン性及び/又は1つ以上の非イオン性界面活性剤を含む、実施形態19~22のいずれかの組成物。
【0415】
実施形態24.界面活性剤、特に直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)及び/又はアルコールエトキシレート(AEO)の1つ以上を含む、実施形態18~23のいずれかの組成物。
【0416】
実施形態25.プロテアーゼ、特にS8プロテアーゼ、より具体的にはパイロコッカス(Pyrococcus)又はサーモコッカス(Thermococcus)由来のS8プロテアーゼをさらに含む、実施形態18に記載の組成物。
【0417】
実施形態26.プロテアーゼが、配列番号19に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%の配列同一性を有する、実施形態25の組成物。
【0418】
実施形態27.実施形態1~17のいずれかの変異体をコードするポリヌクレオチド。
【0419】
実施形態28.実施形態27のポリヌクレオチドを含む核酸構築物。
【0420】
実施形態29.実施形態27のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【0421】
実施形態30.実施形態27のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【0422】
実施形態31.実施形態1~17のα-アミラーゼ変異体を作製する方法であって、
a)実施形態30の宿主細胞を変異体の発現に適した条件下で培養するステップと;
b)任意選択的には変異体を回収するステップと、
を含む、方法。
【0423】
実施形態32.デンプン含有材料を液化することを意図した、実施形態1~17の変異体又は実施形態18若しくは25~26に記載の組成物の使用。
【0424】
実施形態33.洗剤における実施形態1~17の変異体の使用。
【0425】
実施形態34.デンプン含有材料からシロップを生産するためのプロセスであって、
a)実施形態1~17に記載のα-アミラーゼ変異体又は実施形態18若しくは25~26の組成物の存在下で、初期糊化温度を超える温度でデンプン含有材料を液化するステップと;
b)グルコアミラーゼの存在下でステップa)の生成物を糖化するステップと、
を含む、プロセス。
【0426】
実施形態35.ステップb)が、グルコアミラーゼ、並びに
i)真菌α-アミラーゼ;
ii)イソアミラーゼ;又は
iii)真菌α-アミラーゼ及びイソアミラーゼ
の存在下で実施される、実施形態34に記載のプロセス。
【0427】
実施形態36.プルラナーゼが、ステップa)及び/又はb)の中に存在する、実施形態34~35のいずれかに記載のプロセス。
【0428】
実施形態37.c)発酵生成物を生産するため、発酵生物を用いてステップb)の生成物を発酵させるステップをさらに含む、実施形態34~36のいずれかに記載のプロセス。
【0429】
実施形態38.発酵生物が酵母であり、且つ発酵生成物がアルコールである、実施形態37のプロセス。
【0430】
実施形態39.酵母が出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)であり、且つアルコールがエタノールである、実施形態38のプロセス。
【0431】
実施形態40.ステップb)及びc)が同時に実施される、実施形態37のプロセス。
【0432】
実施形態41.親α-アミラーゼの安定性を増強するための方法であって、188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを導入するステップを含む、方法。
【0433】
実施形態42.変異体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、実施形態41の方法。
【0434】
実施形態43.変異体が、pH4.5で親α-アミラーゼよりも増強された熱安定性を有する、実施形態41~42のいずれかに記載の方法。
【0435】
実施形態44.変異体が、モデル洗剤Aにおける親α-アミラーゼよりも増強されたキレート剤安定性を有する、実施形態41~42のいずれかに記載の方法。
【0436】
本発明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない以下の実施例により、さらに説明される。
【実施例0437】
方法及び試薬
α-アミラーゼ活性に対するアッセイ
pNP-G7アッセイ
α-アミラーゼ活性は、G7-pNP基質を用いる方法により判定されてもよい。4,6-エチリデン(G7)-p-ニトロフェニル(G1)-α,D-マルトヘプタオシドにおける略称であるG7-pNPは、エンドアミラーゼ、例えばα-アミラーゼにより切断可能なブロックオリゴ糖である。切断後、キット中に含まれるα-グルコシダーゼは、加水分解基質を消化し、遊離PNP分子をさらに遊離し、それが黄色を有することから、λ=405nm(400~420nm.)での可視分光側光(spectophometry)により測定可能である。G7-pNP基質及びα-グルコシダーゼを含有するキットは、Roche/Hitachiによって製造される(カタログ番号11876473)。
【0438】
試薬:
このキットからのG7-pNP基質は、22mMの4,6-エチリデン-G7-pNP及び52.4mMのヘペス(2-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]-エタンスルホン酸)、pH7.0)を含有する。
【0439】
α-グルコシダーゼ試薬は、52.4mMのヘペス、87mMのNaCl、12.6mMのMgCl2、0.075mMのCaCl2、>4kU/Lのα-グルコシダーゼ)を含有する。
【0440】
基質使用液(substrate working solution)は、α-グルコシダーゼ試薬1mLをG7-pNP基質0.2mLと混合することにより作製する。この基質使用液は、使用直前に作製する。
【0441】
希釈緩衝液:50mMのMOPS、0.05%(w/v)のトリトンX100(ポリエチレングリコールp-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテル(C14H22O(C2H4O)n(n=9~10)))、1mMのCaCl2、pH8.0。
【0442】
手順:
分析対象のアミラーゼサンプルを希釈緩衝液で希釈し、希釈サンプル中のpHが7であることを保証する。アッセイは、希釈酵素サンプル20μlを96ウェルマイクロタイタープレートに移し、基質使用液80μlを添加することにより実施する。溶液を混合し、室温で1分間プレインキュベートし、吸収をOD405nmで20秒ごとに5分にわたり測定する。
【0443】
時間依存吸収曲線の勾配(吸光度/分)は、所与の条件セット下で問題のα-アミラーゼの比活性(活性/mg酵素)に正比例する。アミラーゼサンプルは、勾配が0.4吸光単位/分未満である場合のレベルに希釈される必要がある。
【0444】
Phadebas活性アッセイ:
α-アミラーゼ活性はまた、Phadebas基質(例えばMagle Life Sciences,Lund,Swedenから入手)を用いる方法により判定されてもよい。Phadebas錠剤は、水に不溶性である球状微粒子の形態である連結されたデンプンポリマーを含む。青色色素は、これらの微粒子に共有結合的に結合される。微粒子中の連結されたデンプンポリマーは、α-アミラーゼ活性に比例する速度で分解される。α-アミラーゼがデンプンポリマーを分解するとき、放出される青色色素は水溶性であり、色素の濃度は、620nmでの吸光度を測定することにより判定可能である。青色の濃度は、サンプル中のα-アミラーゼ活性に比例する。
【0445】
分析対象のアミラーゼサンプルを、所望されるpHを有する活性緩衝液で希釈する。1つの基質錠剤を活性緩衝液5mLに懸濁し、マグネチックスターラー上で混合する。基質の混合中、150μlをマイクロタイタープレート(MTP)又はPCR-MTPに導入する。希釈アミラーゼサンプル30μlを150μlの基質及び混合物に添加する。37℃で15分間インキュベートする。30μlの1M NaOH及び混合物を添加することにより、反応を停止させる。MTPを4000×gで5分間遠心分離する。100μlを新しいMTPに導入し、620nmで吸光度を測定する。
【0446】
アミラーゼサンプルは、620nmでの吸光度が0~2.2の間であり、且つ活性アッセイの線形範囲内であるように希釈する必要がある。
【0447】
EnzChek(登録商標)アッセイ:
残留アミラーゼ活性の判定においては、EnzChek(登録商標)Ultra Amylase Assayキット(E33651,Invitrogen,La Jolla,CA,USA)を用いてもよい。
【0448】
基質は、蛍光がクエンチされるような程度までBODIPY(登録商標)FL色素で標識したコーンスターチであるコーンスターチ誘導体のDQTMデンプンである。約1mgの凍結乾燥基質を含有する1つのバイアルを、100μLの50mM酢酸ナトリウム(pH4.0)に溶解する。バイアルを20秒間ボルテックスし、暗所、室温で放置し、溶解されるまで時折混合する。次に、900μLの100mM酢酸塩、0.01%(w/v)TRITON(登録商標)X100、0.125mMのCaCl2、pH5.5を添加し、徹底的にボルテックスし、即用可能になるまで、暗所、室温で貯蔵する。ストック基質使用液を、残留活性緩衝液(100mM酢酸塩、0.01%(w/v)TRITON(登録商標)X100、0.125mMのCaCl2、pH5.5)で10倍に希釈することにより調製する。インキュベーション直後、100mM酢酸塩、0.01%(W/v)TRITON(登録商標)X100、0.125mMのCaCl2、pH5.5中、10~20ngの酵素タンパク質/mlの濃度に酵素を希釈する。
【0449】
アッセイにおいては、基質使用液25μLを、黒色384ウェルマイクロタイタープレート内で希釈酵素25μLと10秒間混合する。25℃の各ウェル内、毎分1回で15分間、蛍光強度を測定し(励起:485nm、発光:555nm)、Vmaxを時間に対する蛍光強度のプロットの勾配として算出する。プロットは線形である必要があり、残留活性アッセイは、希釈される参照酵素溶液が活性アッセイの線形範囲内にあるように調節している。
【0450】
洗剤組成物モデルにおける変異体の安定性増強
実施例に説明及び列挙するように作製した変異体は、Phadebasアッセイによって評価されるモデル洗剤Aにおいて増強された安定性を有する。以下の洗剤組成物を調製した。
【0451】
【0452】
CaCl2、MgCl2、及びNaHCO3(Ca2+:Mg2+:HCO3-=4:1:7.5)の試験系への添加により、水硬度を15°dHに調節した。洗浄後、織物を生水及び6000dH(水硬度)を有する乾燥させた4:1のモル比のCaCl2及びMgCl2保存液に流した。
【0453】
125.8gのCaCl2.2H2Oを1リットルのボトル内で秤量し、これに500mlのタイプI水を添加し、十分に撹拌した。これに43.8gのMgCl2.6H2Oを秤量・添加し、十分に溶解し、最終体積をタイプI水で最大1000mlにした。
【0454】
NaHCO3の0.535M溶液
44.9gの炭酸水素ナトリウムをタイプI水100mlに溶解した。
【0455】
15(15°dH)の水硬度を有するモデルA洗剤
3.335gのモデルA洗剤を秤量し、1リットルのボトルに移し、これにタイプI水865mlを添加し、十分に撹拌した。これに7.5mlの0.535M NaHCO3を添加し、十分に撹拌し、タイプI水で体積を最大1リットルにした。水硬度を15°dHに調節するため、6000°dHを有する4:1のモル比のCaCl2.2H2O及びMgCl2.6H2O保存液2.5mlを添加し、混合物を15分間撹拌した。
【0456】
実施例1:デキストロース当量(DE)及び粘性によって評価されるデンプン液化中のアミラーゼ性能
5グラムスケールで実施したデンプン液化中のαアミラーゼ性能を評価するため、試験を実施した。配列番号10に示す、(付番用に配列番号2を用いて)少なくともE185P置換を有する対照α-アミラーゼを、下表により、さらに(付番用に配列番号2を用いて)239位又は276位又は双方のいずれかに置換を有するα-アミラーゼ変異体と比較した。10ppmのナトリウム及び5ppmのカルシウムを含有する40%全固形分のデンプンスラリーを水酸化カリウムでpH4.3に調節し、20mLのガラスバイアルにアリコートした。乾燥デンプン1gあたり4.69μgの酵素タンパク質を5gのデンプンスラリーに投与し、ボルテックスを用いて混合した。デンプンスラリー及びαアミラーゼを含有するガラスバイアルを、シリコンセプタを有するスクリューキャップでキャップし、12-バイアルヒーターのブロックに移し、一定の振盪下、98℃で120分間インキュベートした。酵素不活化後、デキストロース当量(DE)に対する測定を意図して、30及び120分後、サンプルを3通りに評価した。DE測定については氷槽を用いて酵素活性化を行い、粘性については5M HClを用いて酵素活性化を行った。
【0457】
液化後、マルトデキストリンで2倍に希釈したものの伝導度、屈折率、及び浸透圧を測定することにより、DE値を得た(ソース:Y.Rong,M.Sillick,C.M.Gregson“Determination of Dextrose Equivalent Value and Average Molecular Weight ofMaltodextrin By Osmometry”;Journal of Food Science,2009)。
【0458】
粘性測定は、Brand Tips 0~200uL(スピード3;200uLの体積)を用いて室温でVipr技術を用いて実施した。粘性は通常、レオロジー装置、例えばBrookfield粘度計により測定する。溶液の粘性は、ずり応力(液体流をもたらすのに要求される力)への曝露時での変形の速度の尺度である。ViPr技術は、一定速度での液体流をもたらすのに要求される圧力低下に基づく。これは、吸引及び分注の間での自動ピペット(mViPr)のヘッドスペース内で圧力を測定することにより達成される。したがって、この技術は、流体中の酵素活性を判定する方法を提示し、ここで活性は、酵素活性の尺度として流体粘性における変化を経時的に測定するための圧力センサを備えた装置の利用により、流体中の粘性変化を経時的に提供する。この技術は、国際公開第2011/107472号パンフレット中に詳述されている。
【0459】
すべての結果は、3通りの評価の平均である。下記結果は、E185PとS239X位又はK276X位での置換との組み合わせを有する変異体が、E185P置換のみを有する対照α-アミラーゼと比べてより高いDE数及びより低い粘性をもたらすことを示す(配列番号2の付番)。
【0460】
【0461】
【0462】
実施例2:熱応力条件を用いたα-アミラーゼ変異体の安定性試験
配列番号10で示す、(付番用に配列番号2を用いて)少なくともE185P置換を有する対照α-アミラーゼを、下表により、さらに(付番用に配列番号2を用いて)239位又は276位又は双方のいずれかに置換を有するα-アミラーゼ変異体と比較した。
【0463】
サンプル調製及びインキュベーション:
精製タンパク質サンプルを、0.12mMの塩化カルシウム(5ppmのCa2+)、0.01%トリトンX-100を含有するpH4.5の10mMのK-酢酸塩緩衝液中、0.1mg/ml(100ppm)の濃度に正規化した。
【0464】
ストレス条件:
タンパク質にストレスを加える場合、正規化されたタンパク質サンプル(10μl、最終濃度5ppm)を、ストレス緩衝液(100mMのK-酢酸塩(pH4.3)、5ppmのカルシウム、15ppmのナトリウム、トリトンX-100及び1.0%冷却Cargillデンプンを含有する190μl)と混合した。混合(Tecanにおける16+16サイクル)後、サンプル50μlをPCRプレートに移し、80℃/83℃/85℃/87℃/90℃で20分間インキュベートし、25℃で20分間維持したサンプル50μl(タンパク質+ストレス緩衝液)をストレス無負荷サンプルとみなした。
【0465】
活性アッセイ
インキュベーション期間後、ストレス負荷プレート及びストレス無負荷プレートからのサンプルを5倍に希釈した(サンプル20μl+pH7.0の100mM MOPS緩衝液、5ppmのカルシウム、15ppmのナトリウム及び0.01%トリトンX-100を含有する活性緩衝液80μl)。活性を測定するため、希釈サンプルからそれぞれ10μlを384ウェルプレートに移し、これに40ulのG-7pNP基質溶液(ベンダーによって供与されたキットに記載のように調製したR1溶液20ml及びR2溶液5ml)を添加し、次いで動力学の測定を、405nm、1分間隔で10分間行った。ストレス無負荷サンプル及びストレス負荷サンプルの活性を判定し、%残留活性を以下により算出した。
%残留活性=(ストレス負荷サンプルの吸光度/ストレス無負荷サンプルの吸光度)*100。
【0466】
改善係数(IF)を以下に示すように算出した。
変異体改善係数(IF)=(変異体の%残留活性/骨格の%残留活性)。
【0467】
半減期(T1/2(分単位))を以下の式を用いて算出した。
T1/2(変異体)=(Ln(0.5)/Ln(RA-変異体/100))*期間
T1/2(野生型)=(Ln(0.5)/Ln(RA-野生型/100))*期間。
【0468】
【0469】
【0470】
列挙されるすべての組み合わせが、配列番号10に示す対照アミラーゼと比べて、試験温度で増強された安定性を示した。
【0471】
実施例3.pH5.0でのα-アミラーゼ変異体に対する熱安定性アッセイ
アッセイ原理
参照α-アミラーゼ(配列番号11、配列番号1及び27の誘導体)及びそのα-アミラーゼ変異体の熱安定性を、参照α-アミラーゼ及び変異体を、pH5.0及び95℃の温度で、0.9%w/vのコーンスターチ、0.12mMのCaCl2及び2.mMのNaClの存在下でインキュベートすることにより判定し、次いでEnzChek(登録商標)基質(EnzChek(登録商標)Ultra Amylaseアッセイキット、E33651、Molecular Probes)を用いて残留活性を判定した。残留活性は、室温、低いナトリウム及びデンプン濃度でインキュベートした対照サンプルと比べて判定した。
【0472】
【0473】
12及び24ng/mLの最終酵素濃度における手順例
残留活性は、2つの最終酵素濃度(8ng/mL及び16ng/mL又は12ng/mL及び24ng/mLのいずれか)で判定する。線形範囲外の活性を有するサンプルは、残留活性の算出から除外した。線形範囲内で平均残留活性を用いる。
・精製酵素サンプルを、酵素希釈緩衝液中、2.4ppm(μg/ml)の使用濃度まで希釈した。
・酵素15μL及び安定性緩衝液135μLを96ウェルPCRマイクロタイタープレートに移し、二通りに混合した(プレート1)。混合後、酵素濃度は240ng/mLであり、緩衝液成分の濃度は、92mMの酢酸カリウム、0.01%トリトンX-100、0.12% CaCl2、1mMのNaCl、及び0.9%デンプンであった。
・プレート1から16μLの一定分量を残留活性緩衝液144μLと一緒に新しいプレート(プレート2)に移し、希釈後の酵素濃度は24ng/mLであり、緩衝液成分の濃度は、99%酢酸カリウム、0.01%トリトンX-100、0.12% CaCl2、0.1mMのNaCl及び0.09%デンプンであった。
・プレート2を室温で貯蔵し、対照サンプルとして用いた。
・プレート1内のサンプルの残存部分に対して、PCR装置(Bio-Rad T100サーマルサイクラー)における95℃で15又は30分間のインキュベーションにより熱ストレスを加えた。
・インキュベーション後、プレート1上のサンプルを10倍に希釈し(サンプル16μL+残留活性緩衝液144μL)、24ng/mLの最終酵素濃度にした。
・インキュベートサンプル及び対照サンプルをさらに2倍に希釈し(サンプル67μL+残留活性緩衝液67μL)、12ng/mLの最終酵素濃度にした。
・活性測定のため、25μLの希釈酵素(12ng/mL及び24ng/mLサンプルの双方)を黒色384ウェルマイクロタイタープレートに移した。
・基質使用液25μLを添加することにより、反応を開始させた。
・基質の添加直後、毎分25℃で10分間、蛍光を読み取った(Ex:485nm、Em:555nm)。活性は、時間に対する測定した蛍光の勾配から判定した。
・残留活性(%RA)は、100を掛けた、対照サンプル中の熱ストレスサンプル/活性における活性として計算した。残留活性を計算する前、熱ストレスサンプルの活性及び対照サンプルにおける活性が活性アッセイの線形範囲内に含まれることを確認した。線形範囲は、参照アミラーゼの標準範囲(典型的には0~100ng/mL)の活性を測定することにより判定可能である。
【0474】
対数減衰を仮定すると、式:
【数1】
(式中、Tは、分単位でのアッセイインキュベーション時間であり、%RAは、アッセイにて判定された%残留活性である)
を用いて、半減期(T1/2(分))を計算した。
【0475】
このアッセイ装置を用いて、半減期は、表5に示されるような参照α-アミラーゼ及びその変異体における熱安定性の尺度として判定した。
【0476】
【0477】
列挙されるすべての組み合わせが、配列番号11に示す対照アミラーゼと比べて、試験温度で増強された安定性を示した。
【0478】
実施例4:本発明のバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法により、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(配列番号2)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号2に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸(phosphate acid)+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、方法の下に記載のようなPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。すべての測定は3通りに行った。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をWT(IF-WT)と比べて算出した。
【0479】
【0480】
本実施例は、S239又はK276に単一置換を有するα-アミラーゼ変異体の中で、約2のIFを有するS239Qを除き、低いpHで増強された安定性を示したものがないことを示す。
【0481】
実施例5:本発明のバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、185位にプロリンを有するバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(配列番号2)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号2に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を60℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、60℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0482】
【0483】
本実施例は、185位にプロリンを有するアミラーゼ参照(配列番号2)に、S239におけるW、Y、F若しくはHへの置換及び/又はK276におけるW、Y、F、H、L若しくはIへの置換を導入したα-アミラーゼ変異体が、低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、E185Pと組み合わせた置換S239Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0484】
実施例6:本発明のバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、修飾E185P I201Yを有するバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(配列番号2)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号2に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を80℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、80℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0485】
【0486】
本実施例は、(付番用に配列番号2を用いて)185位にプロリン及び201位にチロシンを有するアミラーゼ参照に、S239におけるY若しくはFへの置換及びK276におけるW、Y、F、H、I若しくはLへの置換を導入したα-アミラーゼ変異体が、低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、E185P及びI201Yと組み合わせた置換S239Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0487】
実施例7:本発明のバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法により、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(配列番号2)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号2に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で60分間インキュベートした。その後、サンプルを、100mMのアッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をWT(IF-WT)と比べて算出した。
【0488】
【0489】
本実施例は、S239におけるY、F又はHに対する単一置換を有するα-アミラーゼ変異体が、野生型参照よりも有意に安定性を増強することを示す。
【0490】
実施例8:本発明のバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法を用いて、修飾E185Pを有するバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)α-アミラーゼ(配列番号2)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号2に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で18時間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(上記と同じ)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をE187P変異体と比べて算出した。
【0491】
【0492】
本実施例は、(付番用に配列番号2を用いて)185位にプロリンを有するアミラーゼ参照に、S239におけるW、Y若しくはHへの置換及び/又はK276におけるW、Y、F、L若しくはIへの置換を導入したα-アミラーゼ変異体が、EDTAを伴う洗剤で増強された安定性を有することを示す。意外にも、E185Pと組み合わせた置換S239Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0493】
実施例9:本発明のサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法により、サイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ(配列番号5)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号5に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を40℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。すべての測定は3通りに行った。残留活性は、40℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を、WT(IF-WT)と比べて、且つE187P(IF-E187P)変異体と比べて算出した。
【0494】
【0495】
本実施例は、S241におけるW、Y、F、Hに対する、又はK278W、F、H、Iの単一置換を有するα-アミラーゼ変異体が低pHで安定性を低下させていることを示す。しかし、これらの置換を、187位(配列番号5に従う番号)にプロリン(P)を有するアミラーゼに導入するとき、低pHで安定性を有意に増強する。意外にも、置換S241QがE187Pと組み合わせると不安定化が示されることが見出される。
【0496】
実施例10:本発明のサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、修飾R178*+G179*+E187Pを有するサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ(配列番号5)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号5に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を60℃で60分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、60℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0497】
【0498】
本実施例は、S241におけるW、Y、Fへの置換及びK278におけるW、Y、F若しくはIへの置換を有するα-アミラーゼ変異体が、低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、S241Q置換がE187Pと組み合わせると有意な不安定化効果を示すことが見出される。
【0499】
実施例11:本発明のサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法により、サイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ(配列番号5)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号5に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で60分間インキュベートした。その後、サンプルを、100mMのアッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を、WT(IF-WT)と比べて、且つE187P(IF-E187P)変異体と比べて算出した。
【0500】
【0501】
本実施例は、S241又はK278に単一置換を有するα-アミラーゼ変異体が、EDTAキレート剤を伴う洗剤にて安定性を有しないか又はさらに不安定化させているが、S241のY、F又はHへの置換及びK278のF又はIへの置換が、187位(配列番号5に従う番号)にプロリン(P)を有するアミラーゼに導入するとき、野生型参照よりも、さらにほとんどの場合、E187P変異体よりも、安定性を有意に増強することを示す。意外にも、E187Pの存在下で非常に不安定化する置換S241Qにおいては逆の効果が認められる。
【0502】
実施例12:本発明のサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法を用いて、修飾R178* G179* E187Pを有するサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ(配列番号5)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号5に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で240分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(上記と同じ)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をE187P変異体と比べて算出した。
【0503】
【0504】
本実施例は、S241におけるY、F若しくはHへの置換及びK278におけるW、Y、F若しくはIへの置換を有するα-アミラーゼ変異体が、EDTAを伴う洗剤で増強された安定性を有することを示す。意外にも、E187Pと組み合わせたS241Qの置換において、小さい不安定化効果が認められる。
【0505】
実施例13:本発明のサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法を用いて、ここで参照アミラーゼと称される、複数の修飾(N126Y E132H R178* G179* T180D E187P I203Y)を有するサイトファーガ(Cytophaga)α-アミラーゼ(配列番号5)の変異体にアミノ酸置換を導入した。導入した置換は下表に示し、付番位置は配列番号5に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で18時間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(上記と同じ)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照アミラーゼと比べて算出した。
【0506】
【0507】
本実施例は、S241におけるW、Y、F若しくはHへの置換及び/又はK278におけるW、Y、若しくはIへの置換が、EDTAを伴う洗剤にて安定性を増強することを示す。
【0508】
実施例14:本発明のバチルス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法を用いて、修飾D183* G184* E190Pを有するB.ハルマパルス(B.halmapalus)α-アミラーゼ(配列番号6)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号6に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で60分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(上記と同じ)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をE190P変異体と比べて算出した。
【0509】
【0510】
本実施例は、S244におけるW、若しくはFへの置換及びK281におけるW、Y、若しくはIへの置換を有するα-アミラーゼ変異体が、EDTAを伴う洗剤で増強された安定性を有することを示す。
【0511】
実施例15:本発明のバチルス・ハルマパルス(Bacillus halmapalus)α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法を用いて、ここで参照アミラーゼと称される、複数の修飾(H1* G7A G109A W140Y G182* D183* E190P V206Y Y243F E260G F267Y N280S G304R E391A G476K)を有するB.ハルマパルス(B.halmapalus)α-アミラーゼ(配列番号6)の変異体にアミノ酸置換を導入した。導入した置換は下表に示し、付番位置は配列番号6に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を45℃で18時間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(上記と同じ)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、45℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照アミラーゼと比べて算出した。
【0512】
【0513】
本実施例は、S244におけるW、F、若しくはHへの置換及びK281におけるF若しくはIへの置換が、EDTAを伴う洗剤にて安定性を増強することを示す。
【0514】
実施例16:本発明のバチルス属(Bacillus sp.)AAI10 α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法により、バチルス属(Bacillus sp.)AAI10 α-アミラーゼ(配列番号7)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号7に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を50℃で60分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。すべての測定は3通りに行った。残留活性は、50℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数をWT(IF-WT)と比べて算出した。
【0515】
【0516】
本実施例は、S244又はK281に単一置換を有するα-アミラーゼ変異体が低pHで安定性を低下させていることを示す。しかし、これらの置換は、190位(配列番号7に従う番号)にプロリン(P)を有するアミラーゼに導入するとき、低pHで安定性を有意に増強する。
【0517】
実施例17:本発明のバチルス属(Bacillus sp.)AAI10 α-アミラーゼ変異体のキレート剤安定性
標準の部位特異的方法により、バチルス属(Bacillus sp.)AAI10 α-アミラーゼ(配列番号7)にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号7に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、得られる濃度が90%洗剤及び0.45% EDTAであるように、0.5% EDTAを伴うモデル洗剤Aで10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を50℃で90分間インキュベートした。その後、サンプルを、100mMのアッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、50℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を、WT(IF-WT)と比べて算出した。
【0518】
【0519】
本実施例は、S244又はK281に単一置換を有するα-アミラーゼ変異体が、EDTAを伴う洗剤にて不安定化効果を有するが、S244におけるQ、W、Y、F若しくはHへの置換及びK281におけるW、Y若しくはIへの置換が、190位(配列番号7に従う番号)にプロリン(P)を有するアミラーゼに導入するとき、野生型参照よりも安定性を有意に増強することを示す。
【0520】
実施例18:本発明のバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、188位にプロリンを有する(E188P)バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)野生型α-アミラーゼ(配列番号1又は配列番号27)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号1に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を60℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、60℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0521】
【0522】
本実施例は、188位にプロリンを有するアミラーゼ参照に、S242におけるY若しくはFへの置換及び/又はK279におけるW、Y、若しくはIへの置換が導入されたα-アミラーゼ変異体が低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、E188Pと組み合わせた置換S242Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0523】
実施例19:本発明のバチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、180及び181位に2つのアミノ酸欠失を有し、且つ188位にプロリンを有する(E188P)バチルス・ステアロサーモフィルス(Bacillus stearothermophilus)野生型α-アミラーゼ(配列番号1又は27)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号1に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を70℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、70℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0524】
【0525】
本実施例は、180及び181位に欠失を有し、且つ188位にプロリンを有するアミラーゼ参照に、S242におけるY、W若しくはFへの置換及びK279におけるW、Y、F、H、I若しくはLへの置換が導入されたα-アミラーゼ変異体が低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、180及び181位の二重欠失並びに188位のプロリンと組み合わせた置換S242Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0526】
実施例20:本発明のバチルス属(Bacillus sp.)TS-23 α-アミラーゼ変異体の低pH安定性
標準の部位特異的方法を用いて、配列番号4において、180及び181位に2つのアミノ酸欠失、189位にプロリン(E189P)、及びアミノ酸485~583に対応するCBM20ドメインの欠失を有するバチルス属(Bacillus sp.)TS-23 α-アミラーゼ(配列番号4)の変異体にアミノ酸置換を導入した。置換は下表に示し、付番位置は配列番号4に従う。修飾アミラーゼ遺伝子を枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させた。枯草菌(Bacillus subtilis)ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を単離し、5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)で10倍に希釈した。次に、サンプルを2つのサンプルに分離し;一方を4℃で貯蔵し、他方を50℃で30分間インキュベートした。その後、サンプルを、アッセイ緩衝液(100mMのブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定した。残留活性は、50℃でインキュベートしているサンプルにおける活性と4℃でインキュベートしているサンプルにおける活性との間の比として算出した。さらに、半減期及び改善係数を参照と比べて算出した。
【0527】
【0528】
本実施例は、180及び181位に欠失、189位にプロリン及びCBM20ドメインの欠失(配列番号4)を有するアミラーゼ参照に、S243におけるY、W、F若しくはHへの置換及びK280におけるW、Y、F若しくはHへの置換が導入されたα-アミラーゼ変異体が低pHで増強された安定性を有することを示す。意外にも、180及び181位の二重欠失並びに189位のプロリンと組み合わせた置換S243Qにおいて、不安定化効果が認められる。
【0529】
実施例21:本発明のα-アミラーゼ変異体の安定性増強
上の実施例では、配列番号2におけるE185P置換と組み合わせたS239及び/又はK276の置換並びに他のアミラーゼにおける対応する置換が、アミラーゼの安定性を増強することが示されている。他のアミラーゼ、特にCAZYファミリーGH13_5に属するアミラーゼにおける対応するアミノ酸は、例えばCrystal Xソフトウェアパッケージ若しくは類似タンパク質の配列アラインメントソフトウェアを用いる配列アラインメントにより、又は例えばPymolソフトウェアパッケージ若しくは類似タンパク質構造表示ソフトウェアを用いる構造アラインメントにより同定可能である。安定性が増強されたα-アミラーゼを作製するため、これらの位置の少なくとも1つは、配列番号2におけるE185Pに対応する位置へのプロリン導入と組み合わせて、W、Y、F、H、I若しくはLに置換される。
【0530】
例えば、配列番号12において、G245W、Y、F、H、I若しくはLのD191Pとの組み合わせ置換及び/又はR282W、Y、F、H、I若しくはLのD191Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0531】
配列番号13において、G239W、Y、F、H、I若しくはLのD185Pとの組み合わせ置換及び/又はR276W、Y、F、H、I若しくはLのD185Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0532】
配列番号14において、D240W、Y、F、H、I若しくはLのE186Pとの組み合わせ置換及び/又はK277W、Y、F、H、I若しくはLのE186Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0533】
配列番号15において、D241W、Y、F、H、I若しくはLのN187Pとの組み合わせ置換及び/又はV278W、Y、F、H、I若しくはLのN187Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0534】
配列番号16において、D244W、Y、F、H、I若しくはLのE190Pとの組み合わせ置換及び/又はK282W、Y、F、H、I若しくはLのE190Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0535】
配列番号17において、S239W、Y、F、H、I若しくはLのE185Pとの組み合わせ置換及び/又はK276W、Y、F、H、I若しくはLのE185Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0536】
配列番号18において、A240W、Y、F、H、I若しくはLのG186Pとの組み合わせ置換及び/又はS277W、Y、F、H、I若しくはLのG186Pとの組み合わせ置換を導入する。
【0537】
参照アミラーゼ及び修飾アミラーゼ遺伝子は、枯草菌(Bacillus subtilis)に形質変換し、発現させ、ブロスを遠心分離し、アミラーゼを含有する上清を用いて、ストレス条件下、例えば5ppmのCaCl2を有する100mMのK-酢酸塩(pH4.5)中又は例えば0.5% EDTAを有するモデル洗剤中で安定性を判定する。インキュベーション後、サンプルをアッセイ緩衝液(100mMブリットンロビンソン緩衝液(100mMの酢酸+100mMのリン酸+100mMのホウ酸)+0.12mMのCaCl2+0.01% Brij、pH7.3に調節したpH)で10倍に希釈し、下記方法のPhadebasアミラーゼアッセイを用いてアミラーゼ活性を測定する。すべての測定は3通りに行う。残留活性は、ストレス温度でインキュベートするサンプルにおける活性と4℃でインキュベートするサンプルにおける活性との間の比として算出する。残留活性から、参照アミラーゼと比べての半減期及び改善係数、即ち特定の修飾における開始点を算出する。
【0538】
本明細書に記載され、主張される本発明は、開示される本明細書中の具体的態様による範囲内に限定されるべきではない。というのは、これらの態様は、本発明のいくつかの態様の例示として意図されるからである。任意の均等な態様は、本発明の範囲内に含まれるように意図される。確かに、本発明の様々な修飾は、本明細書に示され、記載される態様に加えて、前述から当業者にとって明白になる。かかる修飾はまた、貼付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図される。利害衝突が生じる場合、定義を含む本開示が調節することになる。
188位に対応する位置に置換、及び配列番号1の242位又は279位又は275位に対応する位置に少なくとも1つのさらなる置換、特に、E188P+S242Y、E188P+S242F、E188P+S242H、E188P+S242W、E188P+S242P、E188P+S242I、E188P+S242T、E188P+S242L、E188P+K279W、E188P+K279Y、E188P+K279F、E188P+K279H、E188P+K279I、E188P+K279L、E188P+K279D、E188P+K279M、E188P+K279S、E188P+K279T、E188P+K279N、E188P+K279Q、E188P+K279V、E188P+K279A、E188P+N275F、E188P+N275Y、E188P+N275W、及びE188P+N275Hからなる群から選択される置換の1つ以上の組み合わせを含むα-アミラーゼ変異体であって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、及び配列番号27からなる群から選択される親αアミラーゼに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であるが100%未満の配列同一性を有する、α-アミラーゼ変異体。