(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026074
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】JAK阻害剤を用いる化膿性汗腺炎の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4155 20060101AFI20240220BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A61K31/4155
A61P29/00
A61P17/00
A61P43/00 111
A61K31/519
A61K31/437
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023192365
(22)【出願日】2023-11-10
(62)【分割の表示】P 2020552787の分割
【原出願日】2019-03-29
(31)【優先権主張番号】62/650,600
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505193450
【氏名又は名称】インサイト・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】INCYTE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ディ・ハウエル
(72)【発明者】
【氏名】ポール・スミス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ヤヌスキナーゼ1及び/または2の活性を調節する化合物を使用する化膿性汗腺炎の治療方法を提供する。
【解決手段】治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、例えば、治療有効量の下記の何れかの化合物を前記患者に投与することを含む方法。ルキソリチニブ;1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられているルキソリチニブ;{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド等。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、治療有効量のJAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含み、前記化合物が、
ルキソリチニブ;
1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられているルキソリチニブ;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
[trans-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(cis-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、である、前記方法。
【請求項2】
前記化合物または塩が、JAK3及びTYK2よりもJAK1及びJAK2に対して選択的である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物がルキソリチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物がルキソリチニブまたはその薬学的に許容される塩であり、1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられている、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩がルキソリチニブリン酸塩である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記化合物または塩が、JAK2、JAK3、及びTYK2よりもJAK1に対して選択的である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記塩が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記塩が、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミドリン酸塩である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル一水和物である、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物または塩が、遊離塩基に基づいて、15、30、60、または90mgの投与量で投与される、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
追加の治療薬を投与することをさらに含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記追加の治療薬が、抗生物質、レチノイド、コルチコステロイド、抗TNF-アルファ剤、または免疫抑制剤である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗生物質が、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、メトロニダゾール、リファンピン、モキシフロキサシン、ダプソン、またはそれらの組み合わせである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記レチノイドが、エトレチナート、アシトレチン、またはイソトレチノインである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記コルチコステロイドがトリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、またはフルメトロンである、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記抗TNF-アルファ剤がインフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫抑制剤がメトトレキサート、シクロスポリンA、ミコフェノール酸モフェチル、またはミコフェノール酸ナトリウムである、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記追加の治療薬が、フィナステリド、メトホルミン、アダパレン、またはアゼライン酸である、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物または塩を投与することが局所的である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物または塩を投与することが経口である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、HiSCR(化膿性汗腺炎の臨床反応)における10%、20%、30%、40%、または50%の改善をもたらす、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年3月30日に出願された米国仮出願第62/650,600号の権益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、ヤヌスキナーゼ(JAK)1及び/または2の活性を調節する化合物を使用する化膿性汗腺炎(HS)を治療する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
タンパク質キナーゼ(PK)は、とりわけ、細胞増殖、生存、分化、器官形成、形態形成、新生血管形成、組織修復、及び再生を含む多様な生物学的プロセスを調節する。タンパク質キナーゼはがんを含む多数のヒト疾患でも、宿主において特殊な役割を果たす。サイトカイン、低分子量ポリペプチドまたは糖タンパク質は、敗血症に対する宿主炎症応答に関与する多くの経路を調節する。サイトカインは細胞の分化、増殖、及び活性化に影響を及ぼし、炎症誘発性と抗炎症性の両方の応答を調節して、宿主が病原体へ適切に反応することを可能にできる。広範囲のサイトカインのシグナル伝達には、タンパク質チロシンキナーゼのヤヌスキナーゼファミリー(JAK)及びシグナル伝達性転写因子(STAT)が含まれる。4つの公知の哺乳動物JAK、すなわちJAK1(ヤヌスキナーゼ-1)、JAK2、JAK3(白血球ヤヌスキナーゼ、JAKL及びL-JAKとしても知られる)、ならびにTYK2(タンパク質チロシンキナーゼ2)が存在する。
【0004】
サイトカイン刺激性の免疫応答及び炎症応答は、以下の様に疾患の病因に寄与する。重症複合免疫不全症(SCID)等の病態は免疫系の抑制から生じるが、過活性または不適切な免疫/炎症性応答は、自己免疫疾患(例えば、喘息、全身性紅斑性狼瘡、甲状腺炎、心筋炎)ならびに硬皮症及び骨関節炎等の疾患の病理に寄与する(Ortmann,R.A.,T.Cheng,et al.(2000)Arthritis Res 2(1):16-32)。
【0005】
JAKの発現の欠損は多くの疾患状態と関連する。例えば、Jak1-/-マウスは出産時に発育不全であり、授乳できず、周産期に死亡する(Rodig,S.J.,M.A.Meraz,et al.(1998)Cell 93(3):373-83)。Jak2-/-マウス胚は貧血症であり、明確な赤血球形成の非存在に起因して交尾後およそ12.5日で死亡する。
【0006】
JAK/STAT経路、特に4つの全てのJAKは、喘息応答、慢性閉塞性肺疾患、気管支炎、及び他の関連する下気道の炎症性疾患の病因における役割を果たすと考えられている。JAKを介してシグナル伝達する複数のサイトカインが、古典的アレルギー反応であってもそうでなくても、鼻及び副鼻腔に影響するもの(例えば、鼻炎及び副鼻腔炎)等の上気道の炎症性疾患/病態へと結びつけられている。JAK/STAT経路は、眼の炎症性疾患/病態及び慣性的なアレルギー反応にも関与するとされている。
【0007】
がんにおけるJAK/STATの活性化は、サイトカイン刺激(例えば、IL-6もしくはGM-CSF)によって、またはSOCS(サイトカインシグナル抑制因子)もしくはPIAS(活性化STATのタンパク質阻害物質)等のJAKシグナル伝達の内在性抑制因子の低減によって生じ得る(Boudny,V.,and Kovarik,J.,Neoplasm.49:349-355,2002)。STATシグナル伝達、ならびにJAK(例えば、Akt)の下流の他の経路の活性化は、多くのがんの型の予後不良と相関している(Bowman,T.,et al.Oncogene 19:2474-2488,2000)。JAK/STATを介してシグナル伝達する循環サイトカインのレベルの上昇は、悪液質及び/または慢性疲労における因果的役割を果たす。それゆえ、JAK阻害は、可能性のある抗腫瘍活性にとどまらない理由により、がん患者へ有益であり得る。
【0008】
JAK2チロシンキナーゼは、骨髄増殖性症候群、例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、骨髄線維症を伴う骨髄様化生(MMM)を有する患者に有益であり得る(Levin,et al.,Cancer Cell,vol.7,2005:387-397)。JAK2V617Fキナーゼの阻害は造血細胞の分裂増殖を減少させ、PV、ET、及びMMMを有する患者における薬理学的阻害についての可能性のある標的としてJAK2を示唆する。
【0009】
JAKの阻害は、乾癬等の皮膚免疫障害及び皮膚感作を患う患者に利益をもたらし得る。乾癬の持続は、様々なケモカイン及び増殖因子に加えていくつかの炎症性サイトカインに依存すると考えられており(JCI,113:1664-1675)、その多くはJAKを介してシグナル伝達する(Adv Pharmacol.2000;47:113-74)。
【0010】
したがって、JAK等のキナーゼを阻害する新しいまたは改善された薬剤は、化膿性汗腺炎の治療等の免疫及び炎症経路の増強または抑制を目的とする新しいより効果的な医薬品を開発するために継続的に必要である。本願は、そのニーズ及びその他を対象とする。
【発明の概要】
【0011】
本出願は、治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、治療有効量のJAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK1及びJAK2に対して選択的であり、これは、JAK3及びTYK2よりも選択的である。
【0013】
いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK2、JAK3及びTYK2よりも、JAK1に対して選択的である。
【0014】
いくつかの実施形態では、化合物は、ルキソリチニブまたはその薬学的に許容される塩である。
【0015】
いくつかの実施形態では、化合物は、ルキソリチニブ、またはその薬学的に許容される塩であり、1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられている。
【0016】
いくつかの実施形態では、塩はリン酸ルキソリチニブである。
【0017】
いくつかの実施形態では、化合物は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0018】
いくつかの実施形態では、塩は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である。
【0019】
いくつかの実施形態では、化合物は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0020】
いくつかの実施形態では、塩は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミドリン酸塩である。
【0021】
いくつかの実施形態では、化合物または塩は、遊離塩基に基づいて、15、30、60、または90mgの投与量で投与される。
【0022】
いくつかの実施形態では、化合物は、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0023】
いくつかの実施形態では、化合物は、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル一水和物である。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、追加の治療薬(例えば、抗生物質、レチノイド、コルチコステロイド、抗TNF-アルファ剤、または免疫抑制剤)を投与することをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、化合物または塩の投与は局所的である。いくつかの実施形態では、化合物または塩の投与は経口である。
【0026】
いくつかの実施形態では、この方法は、HiSCR(化膿性汗腺炎の臨床反応)における10%、20%、30%、40%、または50%の改善をもたらす。
【0027】
本出願はまた、化膿性汗腺炎の治療における使用のための、JAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0028】
本出願はまた、化膿性汗腺炎の治療における使用のための医薬の調製のための、JAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩の使用をさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのJAK1の個々の遺伝子発現値(MFI)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のJAK1発現レベルとして示される。
【
図2】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのJAK2の個々の遺伝子発現値(MFI)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のJAK2発現レベルとして示される。
【
図3】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのIL-1αの個々の遺伝子発現値(MFI)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のIL-1α発現レベルとして示される。
【
図4】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのIL-6の個々の遺伝子発現値(MFI)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のIL-6発現レベルとして示される。
【
図5】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのIL-1αの個々のタンパク質濃度(pg/mL)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のIL-1α濃度として示される。
【
図6】化合物A~Dの存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのIL-6の個々のタンパク質濃度(pg/mL)を示す。ケラチノサイトは、JAK阻害剤の濃度の増加の存在下/非存在下において、TNFα(25ng/mL)及びIFNγ(25ng/mL)で刺激された。データは、各群のIL-6濃度として示される。
【
図7】健常対照及び化膿性汗腺炎を有する対象の皮膚における、JAK1、JAK3、及びTYK2の遺伝子発現(MFI)を示す。データは、各健常対照(n=4)及び化膿性汗腺炎(n=41)の対象についてのJAK1、JAK3、またはTYK2遺伝子発現レベルとして示される。
【
図8】健常対照及び化膿性汗腺炎を有する対象の皮膚における、STAT1、STAT2、及びSTAT3の遺伝子発現(MFI)を示す。データは、各健常対照(n=4)及び化膿性汗腺炎(n=41)の対象についてのSTAT1、STAT2、またはSTAT3遺伝子発現レベルとして示される。
【
図9】健常対照及び化膿性汗腺炎を有する対象の皮膚における、IRAK1、IRAK2、及びIRAK4の遺伝子発現(MFI)を示す。データは、各健常対照(n=4)及び化膿性汗腺炎(n=41)の対象についてのIRAK1、IRAK2、またはIRAK4遺伝子発現レベルとして示される。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願は、とりわけ、治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、治療有効量のJAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0031】
本明細書に記載される方法は、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤である化合物または塩を利用する。いくつかの実施形態では、化合物は:
ルキソリチニブ;
1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられているルキソリチニブ;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
[trans-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(cis-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、である。
【0032】
いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK3及びTYK2よりもJAK1及びJAK2に対して選択的である。いくつかの実施形態では、化合物は、3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、化合物は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル(ルキソリチニブ)、またはその薬学的に許容される塩である。ルキソリチニブは、JAK1及びJAK2において、1mM ATP(アッセイA)で10nM未満のIC50を示す。3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル及びルキソリチニブは、2006年12月12日に出願されたUS7,598,257(実施例67)に記載されている手順によって作製することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、(3R)-3-シクロペンチル-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリルリン酸塩である。リン酸塩は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,722,693号に記載されているように作製することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、化合物または塩はJAK1阻害剤である。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK2、JAK3、及びTYK2よりも、JAK1に対して選択的である。例えば、本明細書に記載の化合物のいくつか、またはその薬学的に許容される塩は、1種または複数種のJAK2、JAK3、及びTYK2よりもJAK1を優先的に阻害する。JAK1は、調節不全の場合に、疾患状態をもたらし得るかまたはそれに寄与し得るような多くのサイトカイン及び増殖因子のシグナル経路において中心的な役割を果たす。例えば、IL-6レベルは、IL-6が有害な効果があることが示唆されている疾患である、関節リウマチにおいて上昇する(Fonesca,et al.,Autoimmunity Reviews,8:538-42,2009)。IL-6は、少なくとも部分的にJAK1を介してシグナルを伝達するため、IL-6はJAK1阻害を介して間接的に潜在的な臨床的利益をもたらし得る(Guschin,et al.Embo J 14:1421,1995;Smolen,et al.Lancet 371:987,2008)。さらに、いくつかのがんにおいて、JAK1は変異しており、所望されない腫瘍細胞の構成的な増殖及び生存をもたらす(Mullighan,Proc Natl Acad Sci U S A.106:9414-8,2009;Flex,J Exp Med.205:751-8,2008)。他の自己免疫疾患及びがんにおいて、JAK1を活性化する炎症性サイトカインの上昇した全身レベルにより、その疾患及び/または関連症状にも寄与し得る。したがって、そのような疾患を有する患者は、JAK1の阻害により恩恵を受け得る。JAK1の選択的阻害剤は、他のJAKキナーゼを阻害することによる不必要かつ潜在的な所望されない効果を回避する一方で、有益であり得る。
【0034】
化膿性汗腺炎は、著しい皮膚の炎症を特徴とするが、炎症を概説する限られた刊行物のみが存在する(Hoffman et al.,PLOS One,September 28,2018,https://doi.org/10.1371/journal.pone.0203672)。本明細書で提供されているのは、炎症が大部分はJAK/STAT媒介経路によって引き起こされるという仮説を支持する実施例である。実施例C、D、及びEは、健常皮膚と比較したHS患者の皮膚における、JAK/STAT遺伝子発現の上昇したレベルを示す。さらに、実施例C、D、及びEは、HSで上昇することが知られている炎症誘発性サイトカイン(TNF-アルファ及びIFN-ガンマ)が、培養ケラチノサイトにおけるJAK/STAT経路を誘導し、この誘導がJAK阻害剤の添加により低減できることを示す。したがって、HSを有する患者は、JAK1の阻害により恩恵を受け得る。JAK1の選択的阻害剤は、他のJAKキナーゼを阻害することによる不必要かつ潜在的な所望されない効果を回避する一方で、有益であり得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、化合物はJAK2よりもJAK1を優先的に阻害する(例えば、JAK2/JAK1のIC50比>1である)。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、JAK2よりもJAK1に対して約10倍選択的である。いくつかの実施形態では、化合物または塩は、1mM ATPでIC50を測定することによって計算すると、JAK2よりもJAK1に対して約3倍、約5倍、約10倍、約15倍、または約20倍選択的である(実施例Aを参照されたい)。
【0036】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、表1の化合物またはその薬学的に許容される塩である。表1の化合物は、選択的JAK1阻害剤(JAK2、JAK3、及びTYK2よりも選択的)である。1mM ATPで実施例Aの方法により得られたIC50値を表1に示す。
【0037】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
+ 平均<10nM(アッセイ条件については実施例Aを参照されたい)
++ 平均≦100nM(アッセイ条件については実施例Aを参照されたい)
+++ 平均≦300nM(アッセイ条件については実施例Aを参照されたい)
a エナンチオマー1のデータ
b エナンチオマー2のデータ
【0038】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0039】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である。
【0040】
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル及びそのアジピン酸塩の合成及び調製は、2011年3月9日に出願された米国特許公開第2011/0224190号、2012年9月6日に出願された米国特許公開第2013/0060026号、2014年3月5日に出願された米国特許公開第2014/0256941号に見出すことができ、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0042】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミドリン酸塩である。
【0043】
いくつかの実施形態では、JAK1は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド塩酸塩である。
【0044】
いくつかの実施形態では、JAK1は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド臭化水素酸塩である。
【0045】
いくつかの実施形態では、JAK1は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド硫酸塩である。
【0046】
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド及びそのリン酸塩の合成及び調製は、例えば、2014年5月16日に出願された米国特許公開第2014/0343030号に見出すことができ、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0048】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル一水和物である。
【0049】
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリルの合成ならびにその無水物及び一水和物の形態の特性評価は、2013年10月31日に出願された米国特許公開第2014/0121198号、2015年4月29日に出願された米国特許公開第2015/0344497号に見出すことができ、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0050】
いくつかの実施形態では、表1の化合物は、2011年3月9日に出願された米国特許公開第2011/0224190号、2014年5月16日に出願された米国特許公開第2014/0343030号、2013年10月31日に出願された米国特許公開第2014/0121198号、2010年5月21日に出願された米国特許公開第2010/0298334号、2010年8月31日に出願された米国特許公開第2011/0059951号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149681号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149682号、2012年6月19日に出願された米国特許公開2013/0018034、2012年8月17日に出願された米国特許公開第2013/0045963号、2013年5月17日に出願された米国特許公開第2014/0005166号に見出すことができ、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は、2011年3月9日に出願された米国特許公開第2011/0224190号、2014年5月16日に出願された米国特許公開第2014/0343030号、2013年10月31日に出願された米国特許公開第2014/0121198号、2010年5月21日に出願された米国特許公開第2010/0298334号、2010年8月31日に出願された米国特許公開第2011/0059951号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149681号、2011年11月18日に出願された米国特許公開第2012/0149682号、2012年6月19日に出願された米国特許公開第2013/0018034号、2012年8月17日に出願された米国特許公開第2013/0045963号、2013年5月17日に出願された米国特許公開第2014/0005166号の、化合物、またはその薬学的に許容される塩から選択され、その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は式Iの化合物
【化1】
または、その薬学的に許容される塩であり、式中、
XはNまたはCHであり;
LはC(=O)またはC(=O)NHであり;
Aは、フェニル、ピリジニル、またはピリミジニルであり、その各々は、1つまたは2つの独立して選択されたR
1基で任意選択で置換されており;
各R
1は、独立して、フルオロまたはトリフルオロメチルである。
【0053】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0054】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0055】
いくつかの実施形態では、式Iの化合物は、[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリルまたはその薬学的に許容される塩である。
【0056】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は式IIの化合物
【化2】
または、その薬学的に許容される塩であり、式中、
R
2は、C
1-6アルキル、C
1-6ハロアルキル、C
3-6シクロアルキル、またはC
3-6シクロアルキル-C
1-3アルキルであり、ここで、前記C
1-6アルキル、C
3-6シクロアルキル、及びC
3-6シクロアルキル-C
1-3アルキルは、フルオロ、-CF
3、及びメチルから独立して選択される1、2、または3つの置換基で任意選択で置換されており;
R
3はHまたはメチルであり;
R
4はH、F、またはClであり;
R
5はHまたはFであり;
R
6はHまたはFであり;
R
7はHまたはFであり;
R
8はHまたはメチルであり;
R
9はHまたはメチルであり;
R
10はHまたはメチルであり;
R
11はHまたはメチルである。
【0057】
いくつかの実施形態では、式IIの化合物は、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩である。
【0058】
いくつかの実施形態では、JAK1阻害剤は式IIIの化合物
【化3】
または、その薬学的に許容される塩であり、式中、
Cy
4は、CN、OH、F、Cl、C
1-3アルキル、C
1-3ハロアルキル、CN-C
1-3アルキル、HO-C
1-3アルキル、アミノ、C
1-3アルキルアミノ、及びジ(C
1-3アルキル)アミノから独立して選択された1または2つの基で任意選択で置換されたテトラヒドロ-2H-ピラン環であり、ここで、前記C
1-3アルキル及びジ(C
1-3アルキル)アミノは、F、Cl、C
1-3アルキルアミノスルホニル、及びC
1-3アルキルスルホニルから独立して選択された1、2、または3つの置換基で任意選択で置換され;
R
12は、-CH
2-OH、-CH(CH
3)-OH、または-CH
2-NHSO
2CH
3である。
【0059】
いくつかの実施形態では、式IIIの化合物は、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である。
【0060】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/JAK2の阻害剤は、バルシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタウルチニブ、モメロチニブ、バクリチニブ、PF-04965842、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ、ククルビタシンI、ATI-501(Aclaris)、ATI-502(Aclaris)、JTE052(Leo Pharma及びJapan Tobacco)、またはCHZ868である。
【0061】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/JAK2の阻害剤は、同位体標識された化合物、またはその薬学的に許容される塩であり得る。「同位体的」または「放射性標識」化合物は、1つ以上の原子が、自然界で通常見られる(すなわち、自然発生)原子量または質量数とは異なる原子量または質量数を有する原子によって置き換えられるかまたは置換される本開示の化合物である。本開示の化合物に組み込まれ得る適切な放射性核種には、2H(また、重水素としてDとも記される)、3H(トリチウムとしてTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125I、及び131Iが含まれるがこれらに限定されない。例えば、本開示の化合物中の1つまたは複数の水素原子は、-CH3が-CD3に置換されるように重水素原子で置き換えられ得る。
【0062】
本明細書に記載される化合物の1つまたは複数の構成原子は、天然または非天然存在度の原子の同位体で置き換えまたは置換され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、少なくとも1個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、2個以上の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、1~2、1~3、1~4、1~5、または1~6個の重水素原子を含む。いくつかの実施形態では、化合物中の全ての水素原子は、重水素原子で置き換えまたは置換され得る。
【0063】
同位体を有機化合物に含めるための合成方法は、当該技術分野で知られている(Alan F.ThomasによるOrganic ChemistryにおけるDeuterium Labeling(New York,N.Y.,Appleton-Century-Crofts,1971);Jens Atzrodt、Volker Derdau、Thorsten Fey、Jochen Zimmermannによる、The Renaissance of H/D Exchange、Angew.Chem.Int.Ed.2007,7744-7765;James R.HansonによるThe Organic Chemistry of Isotopic Labelling、Royal Society of Chemistry,2011)。同位体標識された化合物は、NMR分光法、代謝実験、及び/またはアッセイ等の様々な研究において使用することができる。
【0064】
重水素等より重い同位体への置換は、代謝安定性がより高まることに由来するある特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長または投薬必要量の減少等、をもたらすことができ、したがって、場合によっては、好ましくなり得る(例えば、A.Kerekes et.al.J.Med.Chem.2011,54,201-210;R.Xu et.al.J.Label Compd.Radiopharm.2015,58,308-312を参照されたい)。特に、1つまたは複数の代謝部位での置換は、1つまたは複数の治療上の利点をもたらし得る。
【0065】
したがって、いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、化合物中の1つもしくは複数の水素原子が重水素原子によって置き換えられている化合物、またはその薬学的に許容される塩である。
【0066】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、1つもしくは複数の水素原子が重水素原子によって置き換えられているルキソリチニブ、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、米国特許第9249149号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている化合物のいずれか、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、CTP-543またはその薬学的に許容される塩である。
【0067】
いくつかの実施形態では、化合物は式Iの化合物
【化4】
または、その薬学的に許容される塩であり、式中、
R
1はH及びDから選択され;
各R
2はH及びDから独立して選択されるが、但し、共通の炭素に結合している各R
2が同じであるという条件であり;
各R
3はH及びDから独立して選択されるが、但し、共通の炭素に結合している各R
3が同じであるという条件であり;
R
4はH及びDから選択され;
各R
5は同じであり、H及びDから選択され;
R
6、R
7、及びR
8は、それぞれ独立してH及びDから選択され;但し、R
1がHであり、各R
2及び各R
3がHであり、R
4がHであり、R
6、R
7、及びR
8が各々Hである場合、各R
5はDである。
【0068】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、以下の表中の以下の化合物100~130から選択される式Iの化合物(ここで、R
6、R
7、及びR
8は各々Hである)、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、以下の表中の以下の化合物200~231から選択される式Iの化合物(ここで、R
6、R
7、及びR
8は各々Dである)、またはその薬学的に許容される塩である。
【0069】
いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、1つもしくは複数の水素原子が重水素原子によって置き換えられているバリシチニブ、またはその薬学的に許容される塩である。いくつかの実施形態では、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤は、米国特許第9540367号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている化合物のいずれか、またはその薬学的に許容される塩である。
【0070】
本明細書で使用される場合、「任意選択で置換されている」という語句は、非置換または置換されていることを意味する。本明細書で使用される場合、「置換されている」という用語は、水素原子が除去され、置換基によって置き換えられることを意味する。所与の原子での置換は、原子価によって制限されることを理解されたい。
【0071】
本明細書で使用される場合、単独で、または他の用語と組み合わせて使用される「Cn-mアルキル」という用語は、n~m個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖であり得る飽和炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個または1~3個の炭素原子を有する。アルキル部分の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチル-1-ブチル、3-ペンチル、n-ヘキシル、1,2,2-トリメチルプロピル等の化学基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書で使用されるとき、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「アルキレン」という用語は、2つの置換基がアルキレン連結基の任意の位置に結合され得る、分岐または直鎖であり得る二価アルキル連結基を指す。アルキレン基の例としては、エタン-1,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、プロパン-1,2-ジイル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「HO-C1-3-アルキル」という用語は、式-アルキレン-OHの基を指し、前記アルキレン基は、1~3個の炭素原子を有する。
【0074】
本明細書で使用されるとき、「CN-C1-3アルキル」という用語は、シアノ基で置換されたC1-3アルキルを指す。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「アミノ」という用語は、式-NH2の基を指す。
【0076】
本明細書で使用されるとき、「ジ(C1-3-アルキル)アミノ」という用語は、2つのアルキル基がそれぞれ独立して1~3個の炭素原子を有する式-N(アルキル)2の基を指す。
【0077】
本明細書で使用されるとき、「C1-3アルキルアミノ」という用語は、式-NH(アルキル)の基を指し、アルキル基は1~3個の炭素原子を有する。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「ジ(C1-3アルキル)アミノスルホニル」という用語は、式-S(O)2N(アルキル)2の基を指し、各アルキル基は独立して1~3個の炭素原子を有する。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「C1-3アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O)2-アルキルの基を指し、アルキル基は1~3個の炭素原子を有する。
【0080】
本明細書で使用されるとき、「ハロ」または「ハロゲン」は、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。いくつかの実施形態では、ハロ基はフルオロまたはクロロである。
【0081】
本明細書で使用されるとき、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「Cn-mハロアルキル」という用語は、{2(n~m)+1}個までの同じでも異なっていてもよいハロゲン原子を有するCn-mアルキル基を指す。いくつかの実施形態では、ハロゲン原子はフルオロ原子である。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~6個または1~3個の炭素原子を有する。ハロアルキル基の例としては、CF3、C2F5、CHF2、CCl3、CHCl2、C2Cl5等が挙げられる。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基は、フルオロアルキル基である。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「C1~3フルオロアルキル」という用語は、部分的または完全にフルオロ原子で置換されていてもよいC1~3アルキル基を指す。
【0083】
本明細書で使用されるとき、単独でまたは他の用語と組み合わせて使用される「C3-6シクロアルキル」という用語は、任意選択で1つまたは複数のアルケニレン基を環構造の一部として含み得る、3~6個の炭素原子を有する非芳香族単環式炭化水素部分を指す。シクロアルキル基の1つまたは複数の環形成炭素原子を酸化して、カルボニル結合を形成することができる。例示的なC3-6シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル等が含まれる。いくつかの実施形態では、シクロプロピル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルである。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「C3-6シクロアルキル-C1-3アルキル」という用語は、式-C1-3アルキレン-C3-6シクロアルキルの基を指す。
【0085】
本明細書に記載される化合物は、非対称であり得る(例えば、1つまたは複数の立体中心を有する)。他に示さない限り、エナンチオマー及びジアステレオマー等の全ての立体異性体が意図される。非対称に置換された炭素原子を含む化合物は、光学活性形態、またはラセミ形態で単離され得る。光学的に不活性な出発物質から光学活性形態を調製する方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、ラセミ混合物の分割または立体選択的合成による。本明細書に記載の化合物中には、オレフィン、C=N二重結合等の多くの幾何異性体も存在することができ、全てのそのような安定した異性体が本発明において企図される。本発明の化合物におけるcis及びtransの幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離された異性体の形態として単離され得る。いくつかの実施形態では、化合物は、(R)配置を有する。いくつかの実施形態では、化合物は、(S)配置を有する。
【0086】
化合物のラセミ混合物の分割は、当該技術分野で既知である多数の方法のいずれかによって実行され得る。例示的な方法としては、光学活性の塩形成有機酸であるキラル分割酸を用いた分別再結晶が挙げられる。分別再結晶法に適した分割剤は、例えば、酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸、またはβ-カンファースルホン酸等の様々な光学活性カンファースルホン酸のD形態及びL形態等の光学活性酸である。分別結晶法に適した他の分割剤には、α-メチルベンジルアミンの立体異性的に純粋な形態(例えば、S及びR形態またはジアステレオマー的に純粋な形態)、2-フェニルグリシノール、ノルエフェドリン、エフェドリン、N-メチルエフェドリン、シクロヘキシルエチルアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン等が含まれる。
【0087】
ラセミ混合物の分割は、光学活性分割剤(例えば、ジニトロベンゾイルフェニルグリシン)を充填したカラムでの溶出によっても実行することが可能である。適切な溶出溶媒組成物は、当業者によって決定され得る。
【0088】
本明細書に記載の化合物には、互変異性の形態も含まれる。互変異性の形態は、隣接する二重結合による単結合の交換と、同時にプロトンが移動することとによって得られる。互変異性の形態には、同じ実験式及び総電荷を有する異性体のプロトン化状態であるプロトトロピック互変異性体が含まれる。プロトトロピック互変異性体の例には、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、エナミン-イミン対ならびにプロトンがヘテロ環系の2つ以上の位置を占めることが可能な環状形態、例えば、1H-イミダゾール、及び3H-イミダゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、2H-1,2,4-トリアゾール、及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-イソインドール及び2H-イソインドール、ならびに1H-ピラゾール及び2H-ピラゾールが含まれる。互変異性の形態は、平衡状態であり得るか、または適切な置換によって1つの形態に立体的に固定され得る。例えば、次のピラゾール環が2つの互変異性体を形成できることが認識されよう:
【化5】
特許請求の範囲は両方の互変異性体を網羅することが意図されている。
【0089】
全ての化合物及びその薬学的に許容される塩は、水及び溶媒等の他の物質と一緒に見出され得る(例えば、水和物及び溶媒和物)か、または、単離され得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物またはその塩は、実質的に単離される。「実質的に単離される」ことによって、化合物が、それが形成または検出された環境から少なくとも部分的にまたは実質的に分離されることが意味される。部分的な分離には、例えば、本明細書に記載の化合物が濃縮された組成物を含み得る。実質的な分離とは、本明細書に記載の化合物またはその塩を少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97%重量または少なくとも約99重量%を含有する組成物を含み得る。化合物及びその塩を単離する方法は、当該技術分野において日常的である。
【0091】
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、妥当な利益/リスク比に見合って、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症もなくヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、物質、組成物、及び/または剤形を指すために本明細書で使用される。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「周囲温度」及び「室温」または「rt」という表現は、当該技術分野で理解されており、概して、温度、例えば、反応が行われる部屋の温度、例えば、約20℃~約30℃の温度に近い反応温度を指す。
【0093】
本発明には、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩も含まれる。本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される塩」は、親化合物が、存在する酸部分または塩基部分をその塩形態に変換することにより修飾されている、開示されている化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例には、アミン等の塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機塩等が含まれるが、これらに限定されない。本出願の薬学的に許容される塩には、例えば、非毒性の無機酸または有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性の塩が含まれる。本出願の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般的に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または塩基形態を、水中もしくは有機溶媒中、または2つの混合物中の化学量論的な量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、もしくはブタノール)またはアセトニトリル(ACN)のような非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1985,p.1418、及びJournal of Pharmaceutical Science,66,2 (1977)に見出され、その各々は参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「接触させること」という用語は、in vitro系またはin vivo系にて、示された部分を一緒にすることを指す。例えば、JAKを本発明の化合物と「接触させること」は、本出願の化合物を、JAKを有するヒト等の個体または患者に投与すること、及び例えば、JAKを含む細胞調製物または精製された調製物を含む試料へ本発明の化合物を導入することを含む。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、互換可能に用いられ、哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、及び最も好ましくはヒトを含む任意の動物を指す。いくつかの実施形態では、「対象」、「個体」、または「患者」は、前記治療を必要としている。
【0096】
いくつかの実施形態では、阻害剤は、治療有効量で投与される。本明細書で使用されるとき、「治療有効量」という語句は、組織、システム、動物、個体、またはヒトにおいて、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められる生物学的応答または薬物応答を誘発する活性化合物または医薬品の量を指す。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「治療すること」または「治療」という用語は、(1)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態または障害の病態または症状を経験または示している個体における疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、病態及び/または症状のさらなる進行を阻止すること)、(2)疾患を寛解すること、例えば、疾患、状態または障害の病態または症状を経験または示している個体における疾患、状態または障害を寛解すること(すなわち、病態及び/または症状を逆転すること)、例えば、疾患の重症度を低下させること、あるいは(3)疾患、状態、または障害の素因がある可能性があるが、疾患の病態または症状をまだ経験または示していない個人の疾患、状態、または障害を予防すること、のうちの1つまたは複数を指す。いくつかの実施形態では、治療することは、疾患を阻害または寛解することを指す。いくつかの実施形態では、治療することは、疾患を予防することである。
【0098】
組み合わせ療法
本明細書に記載される方法は、1種または複数種の追加の治療薬を投与することをさらに含み得る。1種または複数種の追加の治療薬は、同時にまたは逐次的に患者に投与することができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は抗生物質である。いくつかの実施形態では、抗生物質は、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、メトロニダゾール、リファンピン、モキシフロキサシン、ダプソン、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、またはメトロニダゾールと組み合わせたエリスロマイシンである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、リファンピン、モキシフロキサシン、及びメトロニダゾールの組み合わせである。いくつかの実施形態では、抗生物質は、モキシフロキサシンとリファンピンの組み合わせである。
【0100】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、レチノイドである。いくつかの実施形態では、レチノイドは、エトレチネート、アシトレチン、またはイソトレチノインである。
【0101】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、ステロイドである。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、コルチコステロイドである。いくつかの実施形態では、ステロイドは、トリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、またはフルメトロン等である。
【0102】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は抗TNF-アルファ剤である。いくつかの実施形態では、抗TNF-アルファ剤は抗TNF-アルファ抗体である。いくつかの実施形態では、抗TNF-アルファ剤は、インフリキシマブもしくはエタネルセプト、またはアダリムマブである。
【0103】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は免疫抑制剤である。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤はメトトレキサートまたはシクロスポリンAである。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤はミコフェノール酸モフェチルまたはミコフェノール酸ナトリウムである。
【0104】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、フィナステリド、メトホルミン、アダパレン、またはアゼライン酸である。
【0105】
いくつかの実施形態では、方法は、IMiD、抗IL-6剤、低メチル化剤、及び生体応答修飾剤(BRM)から選択される追加の治療薬を投与することをさらに含む。
【0106】
一般に、BRMは、疾患を治療するために生体から作られる物質で、体内で自然に発生してもよく、または実験室で作られてもよい。BRMの例には、IL-2、インターフェロン、様々なタイプのコロニー刺激因子(CSF、GM-CSF、G-CSF)、アブシキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ等のモノクローナル抗体、高用量アスコルビン酸塩が含まれる。
【0107】
いくつかの実施形態では、低メチル化剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤は、5アザシチジン及びデシタビンから選択される。
【0108】
一般に、IMiDは免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、IMiDは、サリドマイド、レナリドマイド、ポマリドマイド、CC-11006、及びCC-10015から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、方法は、抗胸腺細胞グロブリン、組換えヒト顆粒球コロニー刺激因子(G CSF)、顆粒球単球CSF(GM-CSF)、赤血球新生刺激剤(ESA)、及びシクロスポリンから選択される追加の治療薬を投与することをさらに含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、方法は、追加のJAK阻害剤を患者に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加のJAK阻害剤は、バルシチニブ、トファシチニブ、オクラシチニブ、フィルゴチニブ、ガンドチニブ、レスタルチニブ、モメロチニブ、バクリチニブ、PF-04965842、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ、ククルビタシンI、またはCHZ868である。
【0111】
例えば抗炎症剤、免疫抑制剤、ならびにPI3Kδ、mTor、Bcr-Abl、Flt-3、RAF、及びFAKキナーゼ阻害剤等の1つまたは複数の追加の医薬品、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2006/056399に記載されているもの、または他の薬剤を、JAK関連疾患、障害、または状態の治療のために本明細書に記載の化合物と組み合わせて使用することができる。1種または複数種の追加の医薬品は、同時にまたは逐次的に患者に投与することができる。
【0112】
Bcr-Abl阻害剤の例には、その全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第5,521,184号、WO04/005281、及び米国特許出願第60/578,491号に開示されている属及び種の化合物、及びその薬学的に許容される塩が含まれる。
【0113】
適切なFlt-3阻害剤の例には、その全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO03/037347、WO03/099771、及びWO04/046120に開示されているような化合物及びそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0114】
適切なRAF阻害剤の例には、その両方が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO00/09495、及びWO05/028444に開示されているような化合物及びそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0115】
適切なFAK阻害剤の例には、その全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO04/080980、WO04/056786、WO03/024967、WO01/064655、WO00/053595、及びWO01/014402に開示されているような化合物及びそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。
【0116】
いくつかの実施形態では、本発明の1つまたは複数の化合物は、特にイマチニブまたは他のキナーゼ阻害剤に耐性のある患者を治療するために、イマチニブを含む1つまたは複数の他のキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用できる。
【0117】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、フルオシノロンアセトニド(Retisert(登録商標))、またはリメキソロン(AL-2178、Vexol、Alcon)である。
【0118】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬はシクロスポリン(Restasis(登録商標))である。
【0119】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、Dehydrex(商標)(Holles Labs)、Civamide(Opko)、ヒアルロン酸ナトリウム(Vismed、Lantibio/TRB Chemedia)、シクロスポリン(ST-603、Sirion Therapeutics)、ARG101(T)(テストステロン、Argentis)、AGR1012(P)(Argentis)、エカベトナトリウム(Senju-Ista)、ゲファルナート(Santen)、15-(s)-ヒドロキシエイコサテトラエン酸(15(S)-HETE)、セビレミン、ドキシサイクリン(ALTY-0501、Alacrity)、ミノサイクリン、iDestrin(商標)(NP50301、Nascent Pharmaceuticals)、シクロスポリンA(Nova22007、Novagali)、オキシテトラサイクリン(ズラマイシン、MOLI1901、Lantibio)、CF101(2S,3S,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-[6-[(3-ヨードフェニル)メチルアミノ]プリン-9-イル]-N-メチル-オキソラン-2-カルバミル、Can-Fite Biopharma)、ボクロスポリン(LX212またはLX214、Lux Biosciences)、ARG103(Agentis)、RX-10045(合成レゾルビン類似体、Resolvyx)、DYN15(Dyanmis Therapeutics)、リボグリタゾン(DE011、Daiichi Sanko)、TB4(RegeneRx)、OPH-01(Ophtalmis Monaco)、PCS101(Pericor Science)、REV1-31(Evolutec)、Lacritin(Senju)、レバミピド(Otsuka-Novartis)、OT-551(Othera)、PAI-2(University of Pennsylvania及びTemple University)、ピロカルピン、タクロリムス、ピメクロリムス(AMS981、Novartis)、エタボン酸ロテプレドノール、リツキシマブ、ジクアフォソル四ナトリウム(INS365、Inspire)、KLS-0611(Kissei Pharmaceuticals)、デヒドロエピアンドロステロン、アナキンラ、エファリズマブ、ミコフェノール酸ナトリウム、エタネルセプト(Embrel(登録商標))、ヒドロキシクロロキン、NGX267(TorreyPines Therapeutics)、アクテムラ、ゲムシタビン、オキサリプラチン、L-アスパラギナーゼ、またはサリドマイドから選択される。
【0120】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、抗血管新生剤、コリン作動性アゴニスト、TRP-1受容体モジュレーター、カルシウムチャネル遮断剤、ムチン分泌促進剤、MUC1刺激剤、カルシニューリン阻害剤、コルチコステロイド、P2Y2受容体アゴニスト、ムスカリン性受容体アゴニスト、mTOR阻害剤、別のJAK阻害剤、Bcr-Ablキナーゼ阻害剤、Flt-3キナーゼ阻害剤、RAFキナーゼ阻害剤、及びFAKキナーゼ阻害剤、例えば参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2006/056399に記載されているもの等である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、テトラサイクリン誘導体(例えば、ミノサイクリンまたはドキシサイクリン)である。いくつかの実施形態では、追加の治療薬はFKBP12に結合する。
【0121】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬は、アルキル化剤またはDNA架橋剤;代謝拮抗剤/脱メチル化剤(例えば、5-フルオロウラシル、カペシタビン、またはアザシチジン);抗ホルモン療法(例えば、ホルモン受容体拮抗薬、SERM、アロモターゼ阻害剤);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチンまたはパクリタキセル);トポイソメラーゼ(IまたはII)阻害剤(例えば、ミトキサントロン及びイリノテカン);アポトーシス誘導剤(例えば、ABT-737);核酸療法(例えば、アンチセンスまたはRNAi);核内受容体リガンド(例えば、アゴニスト及び/またはアンタゴニスト:オールトランスレチノイン酸またはベキサロテン);ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット)、低メチル化剤(例えば、デシタビン)等のエピジェネティック標的剤;Hsp90阻害剤、ユビキチン及び/またはユビキチン様結合分子またはユビキチン様脱結合分子等のタンパク質安定性の調節因子;あるいはEGFR阻害剤(エルロチニブ)である。
【0122】
いくつかの実施形態では、追加の治療薬には、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、麻酔剤、ステロイド系及び非ステロイド系抗炎症薬を含む抗炎症剤、ならびに抗アレルギー剤が含まれる。好適な医薬品の例としては、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシン、ネチルマイシン、及びカナマイシン等のアミノグリコシド;シプロフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、ロメフロキサシン、レボフロキサシン、及びエノキサシン等のフルオロキノロン;ナフチリジン;スルホンアミド;ポリミキシン;クロラムフェニコール;ネオマイシン;パラモマイシン;コリスチメタート;バシトラシン;バンコマイシン;テトラサイクリン;リファムピン及びその誘導体(「リファムピン」);シクロセリン;ベータ-ラクタム;セファロスポリン;アムホテリシン;フルコナゾール;フルシトシン;ナタマイシン;ミコナゾール;ケトコナゾール;コルチコステロイド;ジクロフェナク;フルルビプロフェン;ケトロラク;スプロフェン;クロモリン;ロドキサミド;レボカバスチン;ナファゾリン;アンタゾリン;フェニラミン;またはアザリド抗生物質が挙げられる。
【0123】
医薬製剤及び剤形
医薬として使用される場合、本発明の化合物は、医薬組成物の形態で投与され得る。これらの組成物は、製薬分野において周知の方法で調製することができ、局所治療または全身治療のどちらが望ましいか、及び治療される領域に応じて、様々な経路によって投与されることが可能である。投与は、局所(経皮、表皮、眼、ならびに鼻腔内、膣、及び直腸送達を含む粘膜への送達を含む)、肺(例えば、ネブライザーによるものを含む粉末またはエアロゾルの吸入または吹送による;気管内または鼻腔内)、経口または非経口であり得る。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射もしくは注入、または頭蓋内、例えば、髄腔内もしくは脳室内の投与が含まれる。非経口投与は、単回ボーラス投与の形態または例えば、連続灌流ポンプによるものであり得る。局所的投与のための医薬組成物及び製剤は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液体、及び粉末を含んでもよい。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤または油性基剤、増粘剤等が、必要となるかまたは望ましい場合がある。
【0124】
いくつかの実施形態では、投与は局所的である。いくつかの実施形態では、投与は皮膚への局所投与である。
【0125】
いくつかの実施形態では、投与は経口である。
【0126】
本発明には、1種または複数種の薬学的に許容される担体(賦形剤)と組み合わせて、活性成分として、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、医薬組成物も含まれる。いくつかの実施形態では、組成物は、局所的投与に適している。本発明の組成物を作製する際に、活性成分は典型的には賦形剤と混合され、賦形剤によって希釈されるか、または例えば、カプセル、サシェ、紙もしくは他の容器の形態のそのような担体に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体、または媒質として作用する固体、半固体、または液体の物質であり得る。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、粉末、ロゼンジ、サシェ、カシェ、エリキシル、懸濁剤、エマルション、溶液、シロップ、エアロゾル(固体または液体媒体として)、例えば、10重量%までの活性化合物を含む軟膏、軟質及び硬質ゼラチンカプセル、坐剤、無菌注射用溶液、及び無菌包装粉末の形態であり得る。
【0127】
製剤を調製する際、他の成分と組み合わせる前に、活性化合物を粉砕して適切な粒径をもたらすことができる。活性化合物が実質的に不溶性である場合、それは、200メッシュ未満の粒径に粉砕できる。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は、粉砕によって調整されて、製剤中に実質的に均一な分布、例えば約40メッシュをもたらすことができる。
【0128】
本発明の化合物は、錠剤形成及び他の製剤タイプに適した粒経を得るために、湿式粉砕等の既知の粉砕手順を使用して粉砕され得る。本発明の化合物の微細に分割された(ナノ粒子)調製物は、当該技術分野で知られているプロセスによって調製することができ、例えば、国際出願第WO2002/000196号の開示を参照されたい。
【0129】
適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。製剤には、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱物油等の潤滑剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;メチルベンゾエート及びプロピルヒドロキシベンゾエート等の保存剤;甘味料;ならびに香味料をさらに含み得る。本発明の組成物は、当該技術分野において既知の方法を用いることにより、患者に投与した後に、活性成分の迅速な、徐放性の、または遅延性の放出を提供するように製剤化され得る。
【0130】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、ケイ酸化微結晶性セルロース(SMCC)、及び少なくとも1つの本明細書に記載される化合物、またはその薬学的に許容される塩を含む。いくつかの実施形態では、ケイ酸化微結晶性セルロースは、約98%の微結晶性セルロース及び約2%の二酸化ケイ素w/wを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、及び少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む徐放性組成物である。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、ラクトース一水和物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリエチレンオキシドから選択される少なくとも1つの成分を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、乳糖一水和物、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの本明細書に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに微結晶性セルロース、乳糖一水和物、及びポリエチレンオキシドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ステアリン酸マグネシウムまたは二酸化ケイ素をさらに含む。いくつかの実施形態では、微結晶性セルロースはAvicelPH102(商標)である。いくつかの実施形態では、ラクトース一水和物はFast-flo 316(商標)である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K4M(例えば、Methocel K4 M Premier(商標))、及び/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース2208 K100LV(例えば、Methocel K00LV(商標))である。いくつかの実施形態では、ポリエチレンオキシドは、ポリエチレンオキシドWSR 1105(例えば、Polyox WSR 1105(商標))である。
【0132】
いくつかの実施形態では、湿式造粒プロセスを使用して組成物を製造する。いくつかの実施形態では、乾式造粒プロセスを使用して組成物を製造する。
【0133】
組成物は、単位剤形で製剤化することができ、各投与量は、約1~約1,000mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、及び約1mg~約10mgの活性成分を含む。好ましくは、投与量は、約1mg~約50mgまたは約1mg~約10mgの活性成分である。いくつかの実施形態では、各投与量は、約10mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、各投与量は、約50mgの活性成分を含む。いくつかの実施形態では、各投与量は、約25mgの活性成分を含む。「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び他の哺乳動物のための単位投与量として適切な、物理的に別個の単位を指し、各単位は、適切な薬学的賦形剤と関連して、所望の治療効果を生じるように計算された、予め決定された量の活性物質を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、組成物は、約1~約1,000mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、及び約1mg~約10mgの活性成分を含む。好ましくは、組成物は、約1mg~約50mgまたは約1mg~約10mgの活性成分を含む。当業者は、これが、約1mg~約10mg、約1mg~約20mg、約1mg~約25mg、約1mg~約50mgの活性成分を含む化合物または組成物を具体化することを理解するであろう。
【0135】
いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて、15、30、60、または90mgである。いくつかの実施形態では、化合物4またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて、15、30、60、または90mgである。いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて15mgである。いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて30mgである。いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて60mgである。いくつかの実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩の投与量は、遊離塩基に基づいて90mgである。
【0136】
活性化合物は、広範な投与量範囲にわたって有効であり得るので、概して薬学的有効量で投与される。しかしながら、実際に投与される化合物の量は、通常、治療される症状、選択した投与経路、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度等を含む関連状況に従い、医師によって決定されることは理解されよう。
【0137】
錠剤等の固体組成物を調製するために、主要な活性成分を医薬賦形剤と混合して、本出願の化合物の均一な混合物を含む固体予備処方組成物を形成する。均一であるとしてこれらの予備処方組成物を指すとき、活性成分が典型的には組成物全体にわたって均等に分散し、組成物を、錠剤、丸剤、及びカプセル等の同等に効果的な単位剤形へと容易に分割することができる。さらに、この固体予備処方組成物は、例えば約0.1~約1000mgの本出願の活性成分を含む、上述した種類の単位剤形に分割される。
【0138】
本出願の錠剤または丸剤は、長期作用の利点をもたらす剤形を提供するためにコーティングまたは別様に調合され得る。例えば、錠剤または丸剤は、内部用量及び外部用量の成分を含み得、後者は形成剤上のエンベロープの形態である。2つの成分は、胃における崩壊に抵抗し、かつその内部成分を無傷で十二指腸内まで通過させる、または放出を遅延させることができる、腸溶性層によって分離することができる。多数のポリマー酸、及びシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロース等の物質とのポリマー酸の混合物を含む物質等の様々な物質は、そのような腸溶性層またはコーティングとして利用することができる。
【0139】
本出願の化合物及び組成物が組み込まれ得る経口または注射による投与のための液体形態は、水溶液、適切に風味付けされたシロップ、水性または油性懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナッツオイル、またはピーナッツオイル等の食用油、ならびにエリキシル、及び同様の製薬媒体を含む風味付けされたエマルションを含む。
【0140】
吸入または吹送用の組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液及び懸濁液、ならびに粉末が含まれる。液体または固体組成物は、前出の適切な薬学的に許容される賦形剤を含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、局所または全身効果のために、経口または経鼻呼吸経路によって投与される。組成物は、不活性ガスを使用することにより噴霧されてもよい。噴霧された溶液は、噴霧装置から直接呼吸されてもよく、または噴霧装置は、フェイスマスクテントもしくは間欠的陽圧呼吸器に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液、または粉末組成物は、適切な方法で製剤を送達するデバイスから、経口的または経鼻的に投与することができる。
【0141】
局所製剤は、1つまたは複数の従来の担体を含み得る。いくつかの実施形態では、軟膏は、水と、例えば、流動パラフィン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、プロピレングリコール、白色ワセリン等から選択される1種または複数種の疎水性担体を含み得る。クリームの担体組成物は、グリセロールと、例えば、グリセリンモノステアレート、PEG-グリセリンモノステアレート、及びセチルステアリルアルコール等の1種または複数種の他の成分と組み合わせた水に基づき得る。ゲルは、イソプロピルアルコール及び水を使用して、好適には、例えばグリセロール、ヒドロキシエチルセルロース等の他の成分と組み合わせて製剤化され得る。いくつかの実施形態では、局所製剤は、少なくとも約0.1、少なくとも約0.25、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、または少なくとも約5重量%の本発明の化合物を含む。局所製剤は、例えば、乾癬または他の皮膚症状等の選択された適応症を治療するための指示書を任意選択で添付した100gのチューブ中に適切に包装され得る。
【0142】
患者に投与される化合物または組成物の量は、投与されるもの、予防または治療等の投与の目的、患者の状態、投与の方法等に応じて変動するであろう。治療適用では、組成物は、疾患及びその合併症の症状を治癒または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で、すでにその疾患に罹患している患者に投与され得る。有効用量は、治療される疾患の状態、ならびに疾患の重症度、患者の年齢、体重、及び一般的な健康状態等の因子に基づいて担当の臨床医の判断に依存する。
【0143】
患者に投与される組成物は、上記の医薬組成物の形態であり得る。これらの組成物は、従来の滅菌技法によって滅菌され得るかまたは滅菌濾過され得る。水溶液は、そのままで使用するために包装または凍結乾燥され得るが、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。化合物調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9、最も好ましくは7~8であろう。特定の前述の賦形剤、担体、または安定剤の使用によって、薬学的塩の製剤が得られることは理解されよう。
【0144】
本発明の化合物の治療用量は、例えば、治療を行う特定の用途、化合物の投与方法、患者の健康及び状態、ならびに処方する医師の判断に従って変動し得る。医薬組成物中の本発明の化合物の割合または濃度は、投与量、化学的特性(例えば、疎水性)、及び投与経路を含む多くの因子に応じて変動し得る。例えば、本発明の化合物は、非経口投与の場合、約0.1~約10%w/vの化合物を含む生理的緩衝水溶液中で提供され得る。いくつかの典型的な用量は、1日当たり約1μg/kg体重~約1g/kg体重の範囲である。いくつかの実施形態では、用量範囲は、1日当たり約0.01mg/kg体重~約100mg/kg体重である。投与量は、疾患または障害の種類及び進行の程度、特定の患者の全体的な健康状態、選択された化合物の相対的な生物学的有効性、賦形剤の配合、ならびにその投与経路等の変数に依存する可能性がある。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。
【0145】
本発明の組成物は、1種または複数種の追加の医薬品をさらに含むことが可能であり、その例は本明細書に列挙している。
【0146】
キット
本出願には、例えば、CRS等のサイトカイン関連疾患または障害を治療及び/または予防をする際に有用な医薬キットも含まれ、そのキットには、本明細書に記載される治療有効量の化合物を含む医薬組成物を含む1つまたは複数の容器が含まれる。当業者には明らかなように、そのようなキットは、必要に応じて、例えば、1つ以上の薬学的に許容される担体を有する容器、追加の容器等の様々な従来の医薬キット構成要素のうちの1つ以上をさらに含むことができる。挿入物またはラベルのいずれかとして、投与される成分の量、投与のガイドライン、及び/または成分を混合するためのガイドラインを示す指示書も、キットに含めることができる。
【実施例0147】
本発明を、具体的な実施例によってより詳細に記載する。以下の実施例は、例示の目的のために提供され、いかなる様式でも本発明を限定するようには意図されるものではない。当業者は、本質的に同じ結果をもたらすように変更または修正され得る、様々な重要でないパラメータを容易に認識するであろう。
【0148】
実施例A:In vitroのJAKキナーゼアッセイ
サイトカイン関連疾患または障害を治療するために用いられ得るJAK1阻害剤を、以下のPark et al.,Analytical Biochemistry 1999,269,94-104で記載されるin vitroアッセイに従い、JAK標的の阻害活性について試験する。N末端Hisタグを有するヒトJAK1(アミノ酸837~1142)、JAK2(アミノ酸828~1132)、及びJAK3(アミノ酸781~1124)の触媒ドメインを、昆虫細胞中でバキュロウイルスを用いて発現させ、精製する。JAK1、JAK2、またはJAK3の触媒活性を、ビオチン化ペプチドのリン酸化の測定によってアッセイした。リン酸化ペプチドを均一系時間分解蛍光(HTRF)によって検出した。100mMのNaCl、5mMのDTT、及び0.1mg/mL(0.01%)のBSAを含む50mMのTris(pH7.8)緩衝液中の、酵素、ATP、及び500nMのペプチドを含む40μLの反応物において、各々のキナーゼについて化合物のIC50を測定する。1mMのIC50測定について、反応中のATP濃度は1mMである。反応を室温で1時間行い、次いで20μLの45mMのEDTA、300nMのSA-APC、6nMのEu-Py20のアッセイ緩衝液液(Perkin Elmer,Boston,MA)により停止した。ユウロピウム標識抗体への結合を40分間行い、HTRFシグナルをFusionプレートリーダー(Perkin Elmer,Boston,MA)で測定した。表1の化合物をこのアッセイで試験したところ、表1のIC50の値を有していることが示された。
【0149】
実施例B:中等度から重度の化膿性汗腺炎の対象におけるJAK1及び/またはJAK2阻害剤の安全性及び有効性の研究
無作為化、二重盲検、プラセボ対照、多施設共同研究を、少なくとも6か月の中等度(ハーレー病期II)から重度(ハーレー病期III)の化膿性汗腺炎の18~75歳の男性及び女性で行う。ハーレー病期Iは、副鼻腔路及び瘢痕化のない膿瘍形成(単一または複数)に関連している。ハーレー病期IIは、管形成及び瘢痕化、単一または複数の広く分離した病変を伴う再発性膿瘍と関連している。ハーレー病期IIIは、全領域にわたるびまん性もしくはほぼびまん性の病変、または相互に関連する複数の管及び膿瘍に関連している。研究参加者は無作為に5つの群(群あたり約50人の参加者)に分けられ、15、30、60、または90mgのJAK1及び/またはJAK2の阻害剤(例えば、ルキソリチニブ、化合物4、もしくは化合物5、もしくはその薬学的に許容される塩)、またはプラセボで治療される。16週目(主要評価項目)で、プラセボ群の参加者は、8週間、活性のある治療群と同等に再ランダム化される。盲検は維持される。主要評価項目は、16週目に化膿性汗腺炎の臨床反応(HiSCR)を達成した対象の割合である。
【0150】
副次的評価項目には次のものが含まれる:(1)各来院時にベースラインを超えるHiSCRを有する対象の割合;(2)各来院時に膿瘍及び炎症性結節(AN)数が0から2に達する対象の割合;(3)各来院時のHS疼痛数値評価尺度1)のベースラインからの平均変化;(4)16週目及び24週目での修正ザルトリウススケールの変化;(5)各来院時の排液性瘻孔数の変化;(6)24週目まで病変救助治療を必要とする対象の割合;(7)24週までの病変救助治療のエピソード数;(8)JAK1及び/またはJAK2の阻害剤の集団PK(例えば、見かけのクリアランス、見かけの分布容積);(9)AEの頻度、期間、及び重症度、身体検査、バイタルサイン、ならびに血液学、血清化学、及び尿検査の検査データをモニターすることによって評価される安全性及び忍容性;(10)皮膚科の生活の質指数(DLQI)評価の変化;(11)各来院時のIHS43スコアによって評価されたベースラインからの疾患の重症度の変化;(12)ベースラインを超える各来院時の化膿性汗腺炎の生活の質(HiSQOL)評価の変化;ならびに(13)治療期間中の有効性及び安全性エンドポイントの観点から、ベースラインからの変化率に対する用量/曝露反応の評価。
【0151】
HiSCRは、ベースラインと比較した、16週目に膿瘍数の増加及び排液性瘻孔数の増加が見られない、膿瘍及び炎症性結節(AN)数の少なくとも50%の減少として定義される。疼痛数値評価尺度は、HSによる最悪の皮膚及び平均的な皮膚の疼痛を評価するために使用される。2つの項目の評価は、0(皮膚の疼痛がない)から10(想像できる限り悪い皮膚の疼痛)の範囲である。評価は、参加者が就寝する前に、「過去24時間」のリコール期間に基づいて、毎日の日記に記録される。修正ザルトリウススケールは、HSの重症度を定量化するために使用される。12の体領域(左右の腋窩、左右の乳房下/乳房下部領域、乳房間領域、左右の臀部、左右の鼠径部のひだ、肛門周囲領域、会陰領域等)についてポイントが付与され:結節(各2ポイント);膿瘍(4ポイント);瘻(4ポイント);傷跡(1ポイント);2つの病変間の最長距離(2~6ポイント、病変がない場合は0);病変が分離している場合は、正常な皮膚を獲得する(はい0ポイント、いいえ6ポイント)にポイントが付与される。ザルトリウススケールの合計は、12の領域のスコアの合計である。病変救助治療:急性の疼痛を伴う病変が即時の介入を必要とする場合、医師は救急介入を実行する選択肢を有する。許可される介入のタイプは2つのみである:(1)病変内トリアムシノロンアセトニド懸濁液の注射(同じ来院時に合計で最大30mg)及び/または(2)切開及びドレナージ。介入は、同じ来院時で最大2つの異なる病変に、または2つの異なる研究来院時で同じ病変に発生し得る。同じ病変を同じ来院時で2回治療することはできない。対象が16週までに2つを超える介入を必要とする場合、それらの対象は、研究から中止される。国際汗腺炎化膿症重症度スコアシステム(IHS4):IH4(ポイント)=(結節数×1)+(膿瘍数×2)+(排水トンネル[瘻/副鼻腔]の数×4)。軽度HS:≦3ポイント;中程度のHS:4~10ポイント;重度のHS:≧11ポイント。
【0152】
治験治療1(活性)には、15mgの4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミドを含む経口錠剤が含まれる。投薬レベルには、15mg(1錠)、30mg(2錠)、60mg(4錠)、90mg(6錠)が含まれる。試験治療2(プラセボ)には、経口錠剤プラセボが含まれる。
【0153】
JAK1及び/またはJAK2の阻害剤の血漿濃度の測定のための血液試料は、投与前、投与後1時間、及び投与後2~5時間の時点で、試験薬投与の前後の、少なくとも2、12、16、20、及び24週目に摂取する。対象が8週より前に中止する場合、時期尚早の中止来院時に、可能であればトラフPK試料が収集される。最後の以前の用量投与の日/時間も記録される。
【0154】
プラセボと比較した、90、60、30、及び15mgのJAK1及び/またはJAK2の阻害剤の優位性試験は、全体的な両側α=0.05レベルでHochberg手順を使用して実行される。16週目の各活性群とプラセボとの比較は、ロジスティック回帰を使用して実行される。全ての用量レベルで、優位性試験は有意であり(例えば、HiSCR(化膿性汗腺炎の臨床反応の10%、20%、30%、40%、または50%の改善)、JAK1及び/またはJAK2の阻害剤のHSを治療する有効性を実証する。試験は、プラセボと比較して、結節及び非劣性/優位性の減少を示している。
【0155】
全ての二次的及び探索的有効性測定は、記述統計を使用して評価される。臨床安全性データ(バイタルサイン、日常の臨床検査、及びAE)は、記述統計を使用して分析される。血漿JAK1及び/またはJAK2阻害剤のPK曝露及び有効性/安全性データ間の曝露-反応(E-R)関係が決定される。無作為化された対象の少なくとも半数が16週に達したときに、治療反応を推定し、将来の研究の計画を促進するための中間分析が行われる。
【0156】
実施例C.ケラチノサイトにおけるインターフェロン-ガンマ及び腫瘍壊死-アルファ誘導ヤヌスキナーゼ発現及びその後の炎症性メディエーターの産生
形質転換ヒトケラチノサイト(HaCaT)細胞はAddexBio(カタログ番号T0020001)より購入され、10%ウシ胎仔血清(Hyclone、カタログ番号16140-071)及び1×ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco、カタログ番号15140-122)を補充した最適化されたダルベッコ改変イーグル培地(AddexBio、カタログ番号C0003-02)中で培養された。細胞が80~90%コンフルエントに達したら、細胞を1×DPBSで洗浄し、次いで3~5分、37℃/5%CO2で0.25%トリプシン(Gibco、カタログ番号25200-056)と共にインキュベートすることにより細胞培養フラスコから剥離した。細胞培地をトリプシン処理した細胞に加え、次いで細胞懸濁液を滅菌15mL遠心チューブに移して、1300rpmで10分間遠心沈殿した。トリプシンを含む培地を細胞ペレットから吸引し、次いでペレットを10mLの細胞培地に再懸濁した。Countess II自動細胞カウンターを使用して細胞を計数し、組織培養処理した24ウェルプレートに4×104細胞/mLの濃度で播種し、37℃/5%CO2で48時間インキュベートした。48時間後、培地を取り除き、500uLの細胞培地または組換えヒトインターフェロンガンマ(R&D Systems、カタログ番号285-IF-100)及び組換えヒト腫瘍壊死因子アルファ(R&D Systems、カタログ番号210-TA-020)の組み合わせ刺激と置き換えた。組み合わせサイトカイン刺激で処理されたHaCaT細胞は、最終濃度10ng/mL、25ng/mL、50ng/mL、または100ng/mLの各サイトカインで処理された。処理されたプレートを30秒間穏やかに攪拌して混合し、次いで24時間、37℃/5%CO2でインキュベートした。24時間のインキュベーションの終了時に、培地を各プレートからすぐに取り除いた。
【0157】
QuantiGene Plexアッセイ試薬及びプロトコール(Affymetrix、カタログ番号QGP-232-M18042302)を用いて、RNAをHaCaT細胞から単離した。細胞を1×DPBSで洗浄し、次いで提供されたQuantiGene溶解緩衝液と共に30分間、50~55℃でインキュベートして溶解した。細胞溶解物を、捕捉ビーズと、目的の標的由来のmRNAに特異的にハイブリダイズするように設計されたプローブセットと共に18~24時間、55℃でインキュベートした。目的の32の標的のパネルには、結果の正規化に使用されたハウスキーピング遺伝子が含まれていた。18~24時間のインキュベーション後、製造業者の手順(Affymetrix、Catalog番号QGP-232-M18042302)に従って、シグナルを分岐DNA方法論を利用して増幅した。ハイブリダイゼーション及び洗浄ステップの後、アッセイプレートをLuminex 200で読み取り、データを正味蛍光強度中央値として表した。次いで、ハウスキーピング遺伝子HPRT1の正味蛍光強度中央値に対してデータを正規化した(表2)。
【0158】
【0159】
培地中の目的の標的タンパク質が検出され、ProCarta Multiplex Immunoassay試薬及びプロトコール(Invitrogen、カタログ番号EPX450-12171-901)を用いて、定量化された。特定の標的タンパク質のエピトープに結合し、ビーズの特徴的なスペクトルパターンを介して結合タンパク質を同定するように設計された抗体コンジュゲートビーズと共に培地をインキュベートした。同じ標的タンパク質の異なるエピトープに結合するように設計されたビオチン化検出抗体、及びストレプトアビジン-PEをアッセイプレートに加えて、標的タンパク質の量を定量化する。アッセイプレートをLuminex 200で読み取り、データを正味蛍光強度中央値として表した。製造元の手順(Invitrogen、カタログ番号EPX450-12171-901)に従って作成された抗原標準曲線の正味蛍光強度中央値は、各標準の予想濃度に対してプロットされた。各タンパク質の濃度は抗原標準曲線から推定され、濃度をpg/mLとして表した(表3)。
【0160】
【0161】
実施例D.ヤヌスキナーゼ阻害剤は、ケラチノサイトにおけるインターフェロン-ガンマ及び腫瘍壊死-アルファ媒介性炎症を妨害する
形質転換ヒトケラチノサイト(HaCaT)細胞はAddexBio(カタログ番号T0020001)から購入され、実施例Cで概説されているように培養された。4つの化合物A~D(A:ルキソリチニブ、B:イタシチニブ({1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル)、C:4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、D:((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル)をDMSOで再構成し、次いで、各化合物を細胞培養液で400nM、200nM、100nM、及び50nMの濃度に段階希釈した。48時間後、細胞培養液を24ウェルプレートから取り除き、段階希釈した薬物を含む250uLの培地と交換し、次いで15分間、37℃/5%CO2でインキュベートした。薬物インキュベーション後、組換えヒトインターフェロンガンマ(R&D Systems、カタログ番号285-IF-100)及び組換えヒト腫瘍壊死因子アルファ(R&D Systems、カタログ番号210-TA-020)を含む250uLの組み合わせ刺激をプレートに加えた。組換えヒトインターフェロンガンマ及び組換えヒト腫瘍壊死因子アルファの最終濃度は、25ng/mLの各サイトカインであった。薬物を含むウェルに加えられたサイトカイン刺激は、各薬物処理についての最終濃度を25nM、50nM、100nM、及び200nMとした。処理されたプレートを30秒間穏やかに攪拌して混合し、次いで24時間、37℃/5%CO2でインキュベートした。24時間のインキュベーションの終了時に、培地を各プレートからすぐに取り除いた。
【0162】
製造者のガイドラインに従って、QuantiGene Plexアッセイ試薬及びプロトコール(Affymetrix、カタログ番号QGP-232-M18042302)を用いて、RNAをHaCaT細胞から単離した。細胞を1×DPBSで洗浄し、次いで提供されたQuantiGene溶解緩衝液と共に30分間、50~55℃でインキュベートして溶解した。細胞溶解物を、捕捉ビーズと、目的の標的由来のmRNAに特異的にハイブリダイズするように設計されたプローブセットと共に18~24時間、55℃でインキュベートした。遺伝子には、結果の正規化に使用されたハウスキーピング遺伝子(例えば、HPRT1、GAPDH)が含まれていた。18~24時間のインキュベーション後、製造業者の手順(Affymetrix、Catalog番号QGP-232-M18042302)に従って、シグナルを分岐DNA方法論を利用して増幅した。ハイブリダイゼーション及び洗浄ステップの後、アッセイプレートをLuminex 200で読み取り、データを正味蛍光強度中央値として表した。次いで、ハウスキーピング遺伝子HPRT1の正味蛍光強度中央値に対してデータを正規化した(表4)。
【0163】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0164】
図1~4は、JAK阻害剤の存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのJAK1、JAK2、IL-1α、及びIL-6のそれぞれの個々の遺伝子発現値(MFI)を示す。
【0165】
培地中の目的の標的タンパク質が検出され、ProCarta Multiplex Immunoassay試薬及びプロトコール(Invitrogen、カタログ番号EPX450-12171-901)を用いて、定量化された。特定の標的タンパク質のエピトープに結合し、ビーズの特徴的なスペクトルパターンを介して結合タンパク質を同定するように設計された抗体コンジュゲートビーズと共に培地をインキュベートした。同じ標的タンパク質の異なるエピトープに結合するように設計されたビオチン化検出抗体、及びストレプトアビジン-PEをアッセイプレートに加えて、標的タンパク質の量を定量化する。アッセイプレートをLuminex 200で読み取り、データを正味蛍光強度中央値として表した。製造元の手順(Invitrogen、カタログ番号EPX450-12171-901)に従って作成された抗原標準曲線の正味蛍光中央値は、各標準の予想濃度に対してプロットされた。各タンパク質の濃度は抗原標準曲線から推定され、濃度をpg/mLとして表した(表5)。
【0166】
【0167】
図5及び6は、JAK阻害剤の存在下/非存在下において、TNFα及びIFN-γでシミュレーションされたケラチノサイトにおける、各実験の複製についてのIL-1α及びIL-6のそれぞれの個々のタンパク質濃度(pg/mL)を示す。
【0168】
実施例E:化膿性汗腺炎の皮膚生検はヤヌスキナーゼ発現の増加を特徴とする
3人の単一ドナーからの健常対照の皮膚の全RNAは、Amsbio(カタログ番号HR101及びR1234218-50)から購入された。ドナーのプールからの健常対照の皮膚の全RNAはLife Technologies Corporation(カタログ番号QS0639)から購入された。化膿性汗腺炎の皮膚生検(41ドナー)は、Discovery Life Sciencesから、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)ブロックとして購入し、そこから全RNAを精製した。
【0169】
健常対照(n=4)及び化膿性汗腺炎(n=41)の皮膚全RNA試料からの遺伝子発現を表6に概説した遺伝子について、QuantiGene Plexアッセイ試薬及びプロトコール(Life Technologies Corporation、カタログ番号QGP-277-M19012402)を用いて測定した。精製したRNAを50ng~500ngの推奨アッセイ範囲で使用し、選択した遺伝子のmRNAと特異的にハイブリダイズするように設計された捕捉ビーズと一晩インキュベートした(表6)。この標的パネルには、結果の正規化に使用されたいくつかのハウスキーピング遺伝子が含まれていた。一晩のインキュベーション後、製造業者の手順(Life Technologies Corporation)に従って、シグナルを分岐DNA方法論を用いて増幅した。アッセイプレートをLuminex 200で読み取り、データを正味蛍光強度中央値(正味MFI)として表した。データは、ハウスキーピング遺伝子ACTB及びGAPDHの正味MFIの幾何平均に対して正規化された。
図7~9は、健常対照及び化膿性汗腺炎の対象の皮膚におけるJAK1、JAK3、TYK2、STAT1、STAT2、STAT3、IRAK1、IRAK2、及びIRAK4の遺伝子発現を示す。
【0170】
【0171】
本明細書で説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなろう。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。本出願において引用される全ての特許、特許出願及び特許公開を含む各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、治療有効量のJAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含み、前記化合物が、
ルキソリチニブ;
1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられているルキソリチニブ;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
[trans-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(cis-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、である、前記方法。
本明細書で説明されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明から当業者には明らかとなろう。そのような修正はまた、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図される。本出願において引用される全ての特許、特許出願及び特許公開を含む各参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
また、本願は、以下の態様も包含する。
[態様1]
治療を必要とする患者における化膿性汗腺炎を治療する方法であって、治療有効量のJAK1及び/またはJAK2を阻害する化合物、あるいはその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含み、前記化合物が、
ルキソリチニブ;
1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられているルキソリチニブ;
{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-[4-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン-1-カルボキサミド;
[3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-1-(1-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペリジン-4-イル)アゼチジン-3-イル]アセトニトリル;
4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル;
3-[1-(6-クロロピリジン-2-イル)ピロリジン-3-イル]-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
3-(1-[1,3]オキサゾロ[5,4-b]ピリジン-2-イルピロリジン-3-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロパンニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
4-[(4-{3-シアノ-2-[3-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピロール-1-イル]プロピル}ピペラジン-1-イル)カルボニル]-3-フルオロベンゾニトリル;
[trans-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]-3-(4-{[2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]カルボニル}ピペラジン-1-イル)シクロブチル]アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-[(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-{[(2R)-2-(ヒドロキシメチル)ピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
4-(4-{3-[(ジメチルアミノ)メチル]-5-フルオロフェノキシ}ピペリジン-1-イル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]ブタンニトリル;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
4-{3-(シアノメチル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド;
5-{3-(シアノメチル)-3-[4-(1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-1-イル}-N-イソプロピルピラジン-2-カルボキサミド;
{1-(cis-4-{[6-(2-ヒドロキシエチル)-2-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-[(エチルアミノ)メチル]-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-(1-ヒドロキシ-1-メチルエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3R)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{1-(cis-4-{[4-{[(3S)-3-ヒドロキシピロリジン-1-イル]メチル}-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}シクロヘキシル)-3-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(1S)-2-ヒドロキシ-1-メチルエチル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-({[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]アミノ}メチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
{trans-3-(4-{[4-(2-ヒドロキシエチル)-6-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル]オキシ}ピペリジン-1-イル)-1-[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]シクロブチル}アセトニトリル;
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩、である、前記方法。
[態様2]
前記化合物または塩が、JAK3及びTYK2よりもJAK1及びJAK2に対して選択的である、態様1に記載の方法。
[態様3]
前記化合物がルキソリチニブ、またはその薬学的に許容される塩である、態様2に記載の方法。
[態様4]
前記化合物がルキソリチニブまたはその薬学的に許容される塩であり、1つまたは複数の水素原子が重水素原子で置き換えられている、態様3に記載の方法。
[態様5]
前記塩がルキソリチニブリン酸塩である、態様3に記載の方法。
[態様6]
前記化合物または塩が、JAK2、JAK3、及びTYK2よりもJAK1に対して選択的である、態様1に記載の方法。
[態様7]
前記化合物が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、態様6に記載の方法。
[態様8]
前記塩が、{1-{1-[3-フルオロ-2-(トリフルオロメチル)イソニコチノイル]ピペリジン-4-イル}-3[4-(7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)-1H-ピラゾール-1-イル]アゼチジン-3-イル}アセトニトリルアジピン酸塩である、態様7に記載の方法。
[態様9]
前記化合物が、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩である、態様6に記載の方法。
[態様10]
前記塩が、4-[3-(シアノメチル)-3-(3’,5’-ジメチル-1H,1’H-4,4’-ビピラゾール-1-イル)アゼチジン-1-イル]-2,5-ジフルオロ-N-[(1S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチルエチル]ベンズアミドリン酸塩である、態様9に記載の方法。
[態様11]
前記化合物が、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル、またはその薬学的に許容される塩である、態様6に記載の方法。
[態様12]
前記化合物が、((2R,5S)-5-{2-[(1R)-1-ヒドロキシエチル]-1H-イミダゾ[4,5-d]チエノ[3,2-b]ピリジン-1-イル}テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)アセトニトリル一水和物である、態様6に記載の方法。
[態様13]
前記化合物または塩が、遊離塩基に基づいて、15、30、60、または90mgの投与量で投与される、態様7~12のいずれか1つに記載の方法。
[態様14]
追加の治療薬を投与することをさらに含む、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
[態様15]
前記追加の治療薬が、抗生物質、レチノイド、コルチコステロイド、抗TNF-アルファ剤、または免疫抑制剤である、態様14に記載の方法。
[態様16]
前記抗生物質が、クリンダマイシン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、トリメトプリム-スルファメトキサゾール、エリスロマイシン、メトロニダゾール、リファンピン、モキシフロキサシン、ダプソン、またはそれらの組み合わせである、態様15に記載の方法。
[態様17]
前記レチノイドが、エトレチナート、アシトレチン、またはイソトレチノインである、態様15に記載の方法。
[態様18]
前記コルチコステロイドがトリアムシノロン、デキサメタゾン、フルオシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、またはフルメトロンである、態様15に記載の方法。
[態様19]
前記抗TNF-アルファ剤がインフリキシマブ、エタネルセプト、またはアダリムマブである、態様15に記載の方法。
[態様20]
前記免疫抑制剤がメトトレキサート、シクロスポリンA、ミコフェノール酸モフェチル、またはミコフェノール酸ナトリウムである、態様15に記載の方法。
[態様21]
前記追加の治療薬が、フィナステリド、メトホルミン、アダパレン、またはアゼライン酸である、態様14に記載の方法。
[態様22]
前記化合物または塩を投与することが局所的である、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
[態様23]
前記化合物または塩を投与することが経口である、態様1~21のいずれか1つに記載の方法。
[態様24]
前記方法が、HiSCR(化膿性汗腺炎の臨床反応)における10%、20%、30%、40%、または50%の改善をもたらす、態様1~23のいずれか1つに記載の方法。