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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026084
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240220BHJP
   A63F 5/04 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F5/04 601A
A63F5/04 603A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2023193012
(22)【出願日】2023-11-13
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小西 雅秋
【テーマコード(参考)】
2C182
2C333
【Fターム(参考)】
2C182CD11
2C182CE01
2C182DA02
2C182DA08
2C333AA11
2C333CA22
2C333CA49
2C333CA60
2C333GA01
(57)【要約】
【課題】遊技機のブランドを遊技者により認識させやすくする。
【解決手段】
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機に紐づくブランド情報を表示可能な遊技機であって、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部と、製造業者情報表示部の表示領域に対して遊技者側に設けられ、所定条件が成立すると当該製造業者情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、阻害手段は所定条件が成立してもブランド情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害しない遊技機を提供する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機に紐づくブランド情報を表示可能な遊技機であって、
前記製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部と、
前記ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部と、
前記製造業者情報表示部の表示領域に対して遊技者側に設けられ、所定条件が成立すると該製造業者情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、
前記阻害手段は、前記所定条件が成立しても前記ブランド情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害しないことを特徴とする、
遊技機。
【請求項2】
遊技機の外観を装飾する機能を有する阻害部材を含む、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記阻害手段は、前記所定条件が不成立であると、前記製造業者情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害しない、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項4】
前記阻害手段は、前記所定条件が不成立であっても、前記製造業者情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害する、
請求項1に記載の遊技機。
【請求項5】
前記所定条件の成立は、前扉が閉塞されていることを含む、
請求項1~4の何れか1項に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコやパチスロ機に代表される遊技機では、販売を行う企業名などのブランドを遊技者に認識させるべく、当該ブランドを表示させることがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-120100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の遊技機において、ブランドの表示が遊技者に対して必ずしも十分にわかりやすく行われておらず、改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、遊技機のブランドを遊技者により認識させやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の代表的な一態様では、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機に紐づくブランド情報を表示可能な遊技機であって、前記製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部と、前記ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部と、前記製造業者情報表示部の表示領域に対して遊技者側に設けられ、所定条件が成立すると該製造業者情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、前記阻害手段は、前記所定条件が成立しても前記ブランド情報表示部の表示領域に対する視認性を阻害しない遊技機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、遊技機のブランドを遊技者により認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】遊技機(パチンコ機)を前面側から見た図である。
図2】パチンコ機における遊技盤の正面図である。
図3】パチンコ機遊技制御系の構成例を示すブロック図である。
図4】パチンコ機の演出制御系の構成例を示すブロック図である。
図5】第1実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチンコ機の要部正面図である。
図6】第2実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチンコ機の要部正面図である。
図7図6のパチンコ機における要部断面図である。
図8】第3実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチンコ機の要部正面図である。
図9】第3実施形態の変形例を説明する図である。
図10】第4実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチンコ機の要部正面図である。
図11】遊技機(パチスロ機)を前面側から見た図である。
図12】パチスロ機本体の正面図である。
図13】第5実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチスロ機の要部正面図である。
図14】第6実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチスロ機の要部断面図である。
図15】第7実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチスロ機の要部正面図である。
図16】第8実施形態によるブランド情報表示部及び製造業者情報表示部を備えたパチスロ機の要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、第1~第4実施形態では遊技機の一例としてパチンコ機10を前提とした構成を説明し、第5~第8実施形態では遊技機の一例としてパチスロ機80を前提とした構成を説明する。また、以下の第1~第8実施形態に係る遊技機の説明における前(表)、後(裏)、左、右とは、遊技中の遊技者から見た方向を基準とする。
【0010】
[第1実施形態]
(1.パチンコ機10の全体構成)
図1は、遊技機の一例であるパチンコ機10を説明する図である。本実施形態のパチンコ機10は、封入式のパチンコ機(スマートパチンコ機)であり、遊技媒体としての遊技球は遊技機内部を循環して、上皿などの皿に遊技価値として付与されることはない。遊技価値は、遊技媒体(遊技球)に代えて、数値データとして付与される。なお、以下の実施形態の構成は、封入式でない遊技機にも適用可能である。
【0011】
パチンコ機10は島設備に固定される枠11に、ヒンジ16を介して開閉回動自在に取り付けられる開閉枠を備える。開閉枠は、前面枠12(本体枠)及びガラス枠15(前枠ユニット)によって構成されている。また、開閉枠は、その左端側がヒンジ16に取り付けられる軸着端側になっており、その右端側が回動によって開放される開放端側になっている。なお、枠11と前面枠12は、外枠ユニットを構成する。
【0012】
前面枠12には、遊技盤30(図2参照)が配設されるとともに、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス14を有するガラス枠15が取り付けられる。カバーガラス14は、遊技盤30に形成される遊技領域32(図2参照)を視認可能とする遊技視認領域として機能する。なお、カバーガラス14は、透明部材の一例として示すものであり、カバーガラス14の代わりにプラスチック製のカバーを使用してよい。ガラス枠15は、透明部材を保持する透明部材保持枠として機能する。
【0013】
前面枠12及びガラス枠15は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。例えば、ガラス枠15のみを開放することで、遊技盤30の遊技領域32にアクセスすることができる。また、前面枠12をガラス枠15が開放されていない状態で開放することで、遊技盤30の裏面側に配設された遊技制御装置(主基板)100(図3参照)等にアクセスすることができる。なお、以下では、カバーガラス14とガラス枠15とから成り、遊技盤30の遊技領域32に対して開閉する構造体を特に「前扉20」と称する。
【0014】
ガラス枠15のカバーガラス14周囲の縁部分には、種々の枠構成部材が配設されている。
【0015】
ガラス枠15の上部及び右側部と左側部には、遊技状態に応じて発光演出可能な装飾装置18a,18b,18cが配設されている。装飾装置18a,18b,18cは、内部に演出LED46(図4参照)等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じた発光演出を行う演出装置である。これら装飾装置18a,18b,18cは、全体で枠装飾装置18を構成している。
【0016】
ガラス枠15の右上角部分及び左上角部分には、上スピーカ19aがそれぞれ配設される。これら上スピーカ19aとは別にパチンコ機10の下部には、下スピーカ19bが設けられている。下スピーカ19bは、前面枠12の下部分に配設されている。これら上スピーカ19a及び下スピーカ19bは、効果音や警報音、報知音等を発するものである。
【0017】
演出操作装置は、ガラス枠15の下部で左右に延在する操作パネル上にあり、演出ボタン25、方向キースイッチ450を含む操作装置である。
【0018】
演出ボタン25は、押下げ操作されたことを検出する内蔵の演出ボタンスイッチ25a(図4参照)を含む。演出ボタン25は、複数設けられてもよい。方向キースイッチ450(方向キーSW)は、十字キースイッチでもよく、前後左右などに配置された複数(例えば四つ)のスイッチからなる一般的なものでよい。方向キースイッチ450は、例えば、左右の二つのスイッチで演出LED46の輝度を増減(+-)して調整し、前後の二つのスイッチでスピーカ19(上スピーカ19aや下スピーカ19b)の音量を増減(+-)して調整する。
【0019】
遊技者が演出操作装置(特に演出ボタン25)を操作することによって、メインディスプレイ41に表示される特図変動表示ゲーム等において遊技者の操作を介入させた演出を行うことができる。例えば、演出パターン(演出態様)を選択したり、変動表示ゲームの結果を予告する予告演出を実行したりすることができる。なお、変動表示ゲームには特図変動表示ゲーム(特別図柄変動表示ゲーム)が含まれ、単に変動表示ゲームとした場合には、特に断らない限り本明細書では特図変動表示ゲームを指すものとする。
【0020】
また、変動表示ゲームの実行中だけでなく、非実行中に遊技者が演出操作装置を操作することによっても演出内容を変更するようにしてもよい。
【0021】
なお、変動表示ゲームが実行される際の遊技状態は、複数の遊技状態からなる。通常遊技状態(通常状態)とは、特別な遊技状態が発生していない遊技状態であり、基本的には出玉率(ベース値)の低い低ベース状態である。また、特別な遊技状態とは、非通常遊技状態であり、特定遊技状態や特別遊技状態などがある。例えば、特定遊技状態には、時短状態(普電サポート状態)や、変動表示ゲームにおいて特別結果(例えば大当り)の発生確率が高い状態(確変状態、確率変動状態)がある。特別遊技状態には、大当り状態や小当り遊技状態(小当り状態)などがある。特別な遊技状態は、基本的には、通常遊技状態よりも出玉率(ベース値)の高い高ベース状態である。遊技制御装置100(遊技状態選択手段、設定手段)は、当該複数の遊技状態の中から一の遊技状態を選択(設定)して現在の遊技状態とすることができる。
【0022】
上記したガラス枠15の下方であって、前面枠12の下部には、球発射装置(図示省略)の動作を制御するための操作ハンドル24が設けられている。
【0023】
操作ハンドル24は、例えば、前面枠12の右下部であって下スピーカ19bの右側に配置されている。遊技者が発射操作として操作ハンドル24を回動操作することによって、球発射装置は供給された遊技球を遊技盤30の遊技領域32に発射する。球発射装置から発射される遊技球の発射速度は、操作ハンドル24の回動操作量が大きくなるほど速くなるように設定されている。即ち、球発射装置は、遊技領域32に遊技球を発射する勢(速度)である発射勢を、遊技者による操作ハンドル24の操作に対応して変更でき、発射勢の異なる種々の発射態様で遊技球を発射できる。操作ハンドル24の発射操作(操作量)に対応する発射態様(打ち方)には、遊技領域32の左側において遊技球を流下させる左打ち(通常打ち)と、遊技領域32の右側において遊技球を流下させる右打ちが含まれる。
【0024】
封入式のパチンコ機10は、遊技領域32から排出された遊技球が玉発射装置に再供給されるようになっており、パチンコ機10の外部(島設備)との遊技球のやり取りや皿への遊技球の排出がない。
【0025】
また、前面枠12の裏側には、遊技制御装置100、演出制御装置300、各種装置に電力を供給する電源装置400などが配置される(図3図4参照)。
【0026】
カードユニット201は、いわゆる台間サンドであり、遊技島においてパチンコ機10と隣のパチンコ機の間に設置される。カードユニット201は、パチンコ機10の左側で併設され、パチンコ機10と通信可能に接続される。カードユニット201は、ICカード等のデータ記憶媒体であるカードが挿入される挿入部202を有する。カードには、投入金の残額、及び遊技者が所有する持球の数であるカード持球数(所有遊技価値数)を記憶可能である。カード持球は、発生した当日のみ有効であり、当日以後の持球は遊技店側が管理する貯球に加算されてよい(持球は貯球に変換される)。カードは、遊技者の個人情報、又は支払金の残額(プリペイド残額)を記憶可能であってもよい。カードユニット201は、現金を紙幣として投入可能な現金投入部203を備える。現金投入部203への投入した投入金の金額は、カードに記憶された残額に加算される。
【0027】
カードユニット201は、操作パネル210を備える。操作パネル210は、玉貸操作部211、払出操作部212、返却操作部213、遊技球数表示部214、及び残額表示部215を備える。遊技球数表示部214と残額表示部215は、液晶モニタなどのモニタ内に設けられるものである。玉貸操作部211は、カードに記憶された残額に基づいて、遊技者が使用可能な遊技球の数である遊技機側持球数(使用可能遊技球数、使用可能遊技価値数)を増加させるときに操作される。なお、遊技機側持球数は、パチンコ機10が管理する数値データである。払出操作部212は、カード持球数に基づいて、遊技機側持球数を増加させるときに操作される。返却操作部213は、カードユニット201に挿入されたカードの返却を受けるときに操作される。遊技球数表示部214には、カード持球数が表示される。残額表示部215には、残額が表示される。
【0028】
カードユニット201は、ユニット制御装置220を備え、ユニット制御装置220は、CPU220aと、ROM220bと、RAM220cと、を備える。CPU220aは、ユニット制御プログラムを実行することにより、所定の制御を行う。ROM220bは、ユニット制御プログラムを記憶している。RAM220cは、カードユニット201の動作中に書き換えられる様々な情報を記憶する。カードユニット201は、パチンコ機10と双方向に通信可能に接続される入出力部220dを備える。なお、パチンコ機10は、払出制御装置200を介して、カードユニット201の入出力部220dと通信可能に接続されてよい。また、カードユニット201は、遊技店(遊技場)に設置されたホールコンピュータと接続する入出力部も備える。ホールコンピュータは、遊技店外のデータセンタに設置されたサーバとネットワークを介して通信可能である。
【0029】
CPU220aは、挿入部202に挿入されたカードの記憶内容を書換え可能である。CPU220aには、現金投入部203に現金が投入されたときに出力する投入金額信号が入力される。また、CPU220aは、玉貸操作部211又は払出操作部212からの操作信号に応じて遊技機側持球数を増加させ、返却操作部213からの操作信号に応じて、カードを返却する制御を行う。また、CPU220aは、遊技球数表示部214と残額表示部215の表示内容を制御する。
【0030】
CPU220aは、パチンコ機10から計数信号を受信すると、当該計数信号から特定可能な遊技球の個数をカード持球数に加算する。計数信号は、カードユニット201のカード持球数として管理を移管する遊技機側持球数を特定可能な情報であり、パチンコ機10からカードユニット201へと送信される。
【0031】
パチンコ機10は、遊技者が使用可能な使用可能遊技球数である遊技機側持球数(使用可能遊技価値数)を表示する球数表示部217を備える。一例として、球数表示部217は、複数(例えば6個)の7セグLEDランプを並べた構成とされており、複数(6桁)の数字を表示可能である。
【0032】
パチンコ機10は、計数操作部218を備え、計数操作部218は、遊技者がパチンコ機10における遊技を終了するときに操作される。計数操作部218は、押込み操作がされると前述の計数信号を出力する。パチンコ機10は、計数報知部218aを備え、計数報知部218aは、計数可能状態であるか否かを報知する。一例として、球数表示部217、計数操作部218、及び計数報知部218aは、ガラス枠15の前面側に配設される。
【0033】
なお、遊技者に付与される賞球数(付与遊技球数、付与遊技価値数、付与遊技価値の量)は、遊技機側持球数(使用可能遊技価値数)に加算される。賞球数は、封入式でない遊技機において遊技球として付与されるが、封入式の遊技機においては、数値データとして付与される。また、遊技領域32への発射球数(又は遊技領域32からの排出球数)は、封入式の遊技機において、使用された使用遊技球数(使用遊技価値数)となり、数値データとして記憶、管理できる。現在の遊技機側持球数から使用遊技球数を減算し賞球数を加算したものが、新たな遊技機側持球数となる。
【0034】
(2.遊技盤)
続いて、図2を参照して、パチンコ機10の遊技盤30について説明する。図2は、パチンコ機10に備えられる遊技盤30の正面図である。
【0035】
図2に示すように、遊技盤30は、各種部材の取付ベースとなる平板状の遊技盤本体30aを備える。遊技盤本体30aは木製又は合成樹脂製であって、当該遊技盤本体30aの前面にはガイドレール31で囲まれた遊技領域32が設けられている。パチンコ機10は、ガイドレール31で囲まれた遊技領域32内に球発射装置から遊技球を発射して遊技を行うように構成されている。打出通路29は、球発射装置からの遊技球を遊技領域32に案内する。遊技領域32には遊技球の流下方向を変換する部材として風車や障害釘等が配設されており、発射された遊技球はこれら部材により転動方向を変えながら遊技領域32を流下する。
【0036】
遊技盤本体30aの略中央には、変動表示ゲームの表示領域となる窓部40が設けられている。窓部40の後方には、複数の識別情報を変動表示(可変表示)する演出表示装置(変動表示装置)としてのメインディスプレイ41が配置されている。メインディスプレイ41は、例えば、液晶ディスプレイにより構成され、窓部40を介して遊技盤30の前面側から表示内容が視認可能となるように配置される。なお、メインディスプレイ41は、液晶ディスプレイに限らず、有機EL等のディスプレイで構成されてもよい。
【0037】
メインディスプレイ41の表示画面(表示部)には、複数の変動表示領域が設けられており、各変動表示領域に識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出する画像が表示される。
【0038】
遊技盤30の上部及び右側部には、それぞれ上部演出ユニット40a及び側部演出ユニット40bが設けられる。上部演出ユニット40a及び側部演出ユニット40bは、演出LED46を有し発光演出を行うとともに、演出可動体44(可動役物、図4参照)として動作演出(移動演出、回転演出)を行える。
【0039】
窓部40の右側方の遊技領域32には、普通図柄始動ゲート(普図始動ゲート)34が設けられている。普図始動ゲート34の内部には、当該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するためのゲートスイッチ(SW)34aが設けられている(図3参照)。遊技領域32内に打ち込まれた遊技球が普図始動ゲート34を通過すると、普図変動表示ゲームが実行される。
【0040】
窓部40の左下方の遊技領域32には一般入賞口35(一般入賞領域)が配置されており、窓部40の右下方の遊技領域32にも一般入賞口35が配置されている。これら一般入賞口35への遊技球の入賞は、一般入賞口35に備えられた入賞口スイッチ(SW)35a(1~n)によって検出される。
【0041】
窓部40の下方の遊技領域32には、特図変動表示ゲームの開始条件を付与する始動入賞口36(第1始動口、始動口1、第1始動入賞領域)が設けられる。窓部40の右側の遊技領域32において、普図始動ゲート34の下方には第2始動入賞口(第2始動口、始動口2、第2始動入賞領域)を備えた普通変動入賞装置37(普通電動役物、普電)が設けられる。普通変動入賞装置37は、前方などへ回動することで、遊技球が流入し易い状態に変換する可動部材37b(可動片)を備える。可動部材37bが閉状態である場合には遊技球が普通変動入賞装置37に入賞できないようになっている。遊技球が始動入賞口36又は普通変動入賞装置37に入賞した場合には、特図変動表示ゲームが実行される。なお、本実施形態において、始動入賞口36には、左打ち時に遊技球が入賞し易くなり、普通変動入賞装置37には、右打ち時に遊技球が入賞し易くなる。
【0042】
可動部材37bは、普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様となった場合に、普電ソレノイド37c(図3参照)を介して動作して開いて、遊技球が普通変動入賞装置37に流入しやすい開状態(遊技者にとって有利な入賞容易状態)に変化する。可動部材37bは、開状態(入賞容易状態)でなければ、遊技球が普通変動入賞装置37に流入し難い閉状態(入賞非容易状態、入賞困難状態)となる。なお、本実施形態において、始動入賞口36は、普通変動入賞装置37と異なり、可動部材(開閉部材)を有さず、常時、開放状態(開状態)であるが、可動部材(開閉部材)を有する構成も可能である。
【0043】
なお、可動部材37bは、後述する遊技制御装置100によって制御される。遊技制御装置100は、普図変動表示ゲームの変動時間を短縮したり普図変動表示ゲームの当り確率を通常よりも高確率としたりすることで入賞容易状態の発生頻度を高めたり、特別な遊技を行わない通常遊技状態で発生する入賞容易状態よりも入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、特定遊技状態として時短状態(普電サポート状態)を発生させる。なお、確変状態(潜伏確変状態を除く)においても、重複して時短状態(普電サポート状態)が発生する。
【0044】
普通変動入賞装置37の下方の遊技領域32には、大入賞口ソレノイド39b(図3参照)によって動作等することで大入賞口(大入賞領域)を開放する開閉扉39cを有する特別変動入賞装置39が設けられている。特別変動入賞装置39は、特図変動表示ゲームの結果によって大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に所定の遊技価値(例えば、賞球や大当り終了後の時短回数/確変回数)を付与するようになっている。なお、大入賞口内には、当該大入賞口に入った遊技球を検出する検出手段として大入賞口スイッチ39a(カウントスイッチ)(図3参照)が配設されている。なお、特別変動入賞装置39には、右打ち時に遊技球が入賞し易くなる。
【0045】
特別変動入賞装置39の内部には、特定領域42(いわゆるV入賞口)が設けられている。例えば、小当りによって開閉扉39cが開放された後に特定領域42(V入賞口、V入賞領域)に遊技球が入球した場合に大当りが確定する。特定領域42は、小当り中にのみ、長時間開放されるなどして遊技球が容易に通過できるようにしてよい。なお、遊技制御装置100は、特定領域42への遊技球の通過(V入賞)をセンサ(後述の特定領域スイッチ72)等を介して検知でき、V入賞を検知すると小当り終了後に大当り状態(V入賞大当り状態)に移行することを確定するとともに、後述の演出制御装置300にV入賞があったことを示す情報(特定領域通過コマンド等)を送信する。そして、演出制御装置300は、V入賞をメインディスプレイ41などにおいて報知できる。
【0046】
即ち、本実施形態では、パチンコ機10は、いわゆる1種2種混合機(1+2種機)である。本実施形態では、小当りで特別変動入賞装置39が開放されることによって、特別変動入賞装置39内の特定領域42(V入賞口)に遊技球がV入賞して、大当りが発生する。なお、本実施形態の構成は、1種2種混合機以外の遊技機にも適用可能である。
【0047】
一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37、及び特別変動入賞装置39の大入賞口に遊技球が入賞すると、払出制御装置200(図3参照)は、入賞した入賞口の種類に応じた賞球数を数値データとして付与し、遊技機側持球数(使用可能遊技球数、使用可能遊技価値数)に加算する。また、下方の遊技領域32には、入賞口等に入賞しなかった遊技球を回収するアウト口30bが設けられている。また、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37、及び特別変動入賞装置39やその近傍には、遊技球が入賞した場合などに発光可能な演出LED46が配設されている。
【0048】
また、遊技領域32の外側であって遊技盤本体30aの右下角部には、特図変動表示ゲーム(特図1変動表示ゲーム、特図2変動表示ゲーム)及び普図変動表示ゲームを実行する一括表示装置50が設けられている。一括表示装置50は、LEDランプ(発光部、発光部材)から構成されて現在の遊技状態等の情報を表示する情報表示装置であり、表示部51~60を備える。
【0049】
一括表示装置50は、複数のLEDランプの集合体で構成された変動表示ゲーム用の第1特図変動表示部51(特図1表示器、8個のLEDランプ)及び第2特図変動表示部52(特図2表示器、8個のLEDランプ)と、普図変動表示ゲーム用の変動表示部53(普図表示器、3個のLEDランプ)と、各変動表示ゲームの始動記憶数(保留数)の報知用の記憶表示部(特図1保留表示器54、特図2保留表示器55、普図保留表示器56)と、を有している。なお、特図1表示器51、特図2表示器52は、7セグメント型の表示部でもよい。特図1保留表示器54は2個のLEDランプにより構成される。特図2保留表示器55は、2個のLEDランプにより構成される。普図保留表示器56は、2個のLEDランプにより構成される。
【0050】
また、一括表示装置50には、右打ち時(右打ちすべき時)又は左打ち時(通常打ち時)であることを報知する第1遊技状態表示部57(第1遊技状態表示器、1個のLEDランプ)と、時短状態が発生すると点灯して時短状態発生を報知する第2遊技状態表示部58(第2遊技状態表示器、1個のLEDランプ)と、パチンコ機10の電源投入時に大当りの確率状態が高確率状態となっていることを表示する第3遊技状態表示部59(第3遊技状態表示器、確率状態表示部、1個のLEDランプ)と、大当り時のラウンド数(特別変動入賞装置39の開閉回数、ラウンド数上限値)を表示するラウンド表示部60(4個のLEDランプ)と、が設けられている。
【0051】
図1表示器51と特図2表示器52において、変動表示ゲーム(図柄変動ゲーム)は、識別情報(例えば、複数のLEDランプの一部又は全部)の点灯消灯(点滅)を繰り返す変動表示(可変表示)によって実行される。なお、複数種類の識別情報(図柄)が、入れ替わりながら変動表示されてもよい。また、変動表示ゲームは、変動表示ゲーム用の表示器として設けられるすべてのLEDランプにより全点灯全消灯(全LEDの同時点滅)や、循環点灯(何れか1のLEDランプが所定時間毎に所定の順序で点灯し、消灯する)、または複数のLEDランプのうちの所定数のLEDによる点灯消灯(点滅)や循環点灯によって行ってもよい。普図表示器53においても、変動表示ゲーム(図柄変動ゲーム)は、3個のLEDランプの点灯消灯を繰り返す変動表示(可変表示、点滅)によって実行される。また、普図表示器53も特図1表示器51、特図2表示器52と同様に適宜構成することが可能である。このように、特図1表示器51、特図2表示器52、又は、普図表示器53の表示(表示態様、表示状態)である図柄(特別図柄又は普通図柄)が、変動表示ゲームにおいて時間経過に応じて変動(変化)するため、変動表示ゲームは図柄変動ゲームとも呼ばれる。
【0052】
また、本実施形態のパチンコ機10(特に遊技盤30)には、ブランド情報表示部500(特にそのブランド表示領域500a)と、製造業者情報表示部510(特にその製造業者表示領域510a)と、が設けられている。なお、ブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510については後に詳細に説明する。
【0053】
次に、パチンコ機10における遊技の流れ、普図変動表示ゲーム及び特図変動表示ゲームの詳細について説明する。
【0054】
パチンコ機10では、図示しない球発射装置から遊技領域32に向けて遊技球が打ち出されることによって遊技が行われる。打ち出された遊技球は、遊技領域32内の各所に配置された障害釘や風車等によって転動方向を変えながら遊技領域32を流下し、普図始動ゲート34、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37、又は特別変動入賞装置39に入賞又は入球するか、遊技領域32の最下部に設けられたアウト口30bへ流入し、遊技領域32から排出される。そして、一般入賞口35、始動入賞口36、普通変動入賞装置37、又は特別変動入賞装置39に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた賞球数が遊技機側持球数(使用可能遊技球数)に加算される。球数表示部217は、加算後の遊技機側持球数を表示する。
【0055】
普図始動ゲート34には、当該普図始動ゲート34を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ34aが設けられている。遊技球が普図始動ゲート34を通過すると、ゲートスイッチ34aによって検出され、このときに抽出された当り判定用乱数値の判定結果に基づき普図変動表示ゲームが実行される。
【0056】
普図変動表示ゲームを開始できない状態、例えば、既に普図変動表示ゲームが行われており当該普図変動表示ゲームが終了していない場合や、普図変動表示ゲームの結果が当りとなって普通変動入賞装置37が開放状態に変換されている場合に、遊技球が普図始動ゲート34を通過すると、普図始動記憶数(普図保留数)が上限数未満ならば当該記憶数が加算(+1)される。遊技制御装置100(RAM111c)は、普図始動ゲート34への遊技球の通過に基づき、抽出された所定の乱数を普図変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動記憶手段をなす。
【0057】
普図始動記憶(普図保留)には普図変動表示ゲームの当りはずれを決定するための当り判定用乱数値が記憶されており、この当り判定用乱数値が判定値と一致した場合に、当該普図変動表示ゲームが当りとなって特定の結果態様が導出される。
【0058】
普図変動表示ゲーム(図柄変動ゲーム)は、一括表示装置50に設けられた普図表示器53で実行されるようになっている。普図表示器53は、普通識別情報(普通図柄、普図)として点灯状態の場合に当りを示し、消灯状態の場合にはずれを示すLEDから構成され、このLEDを点滅表示することで普通識別情報の変動表示を行い、所定の変動表示時間の経過後、LEDを点灯又は消灯することで結果を表示するようになっている。
【0059】
普図始動ゲート34通過時に抽出された普図乱数値が当り値である場合には、普図表示器53に表示される普通図柄(普図)が当り状態で停止し、当り状態となる。このとき、普電ソレノイド37cが駆動されることにより、可動部材37bが所定の時間(例えば3秒間×2回)だけ開状態に変換され、普通変動入賞装置37への遊技球の入賞が許容される。なお、普通変動入賞装置37の可動部材37bの一回の開放時間(例えば3秒)を普電開放時間と呼んでよい。
【0060】
遊技球の始動入賞口36への入賞及び普通変動入賞装置37への入賞は、始動口1スイッチ36a(図3参照)及び始動口2スイッチ37a(図3参照)によって検出される。始動入賞口36に入賞した遊技球は特図1変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(ここでは4)を限度に記憶される。普通変動入賞装置37に入賞した遊技球は特図2変動表示ゲームの始動入賞球として検出され、所定の上限数(ここでは4)を限度に記憶される。遊技制御装置100(RAM111c)は、始動入賞口36や普通変動入賞装置37の始動入賞領域(始動口)への遊技球の入賞に基づき、抽出された所定の乱数を特図変動表示ゲームの実行権利となる始動記憶として所定数を上限に記憶する始動記憶手段をなす。
【0061】
特図変動表示ゲームの始動入賞球の検出時には、大当り乱数値や大当り図柄乱数値、変動パターン乱数値等などの各種乱数が抽出される。これら乱数値は、遊技制御装置100の特図保留記憶領域(RAMの一部)に特図始動記憶として所定回数分(例えば最大で8回分(4回×2))を限度に記憶される。特図始動記憶の記憶数は、一括表示装置50の始動入賞数報知用の特図1保留表示器54や特図2保留表示器55に表示されるとともに、メインディスプレイ41の表示画面にも表示される。
【0062】
遊技制御装置100は、始動入賞口36への入賞若しくは第1始動記憶(特図1始動記憶、特図1保留)に基づいて、特図1表示器51で特図1変動表示ゲームを実行する。また、遊技制御装置100は、普通変動入賞装置37への入賞若しくは第2始動記憶(特図2始動記憶、特図2保留)に基づいて、特図2表示器52で特図2変動表示ゲームを実行する。
【0063】
図1変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム、第1図柄変動ゲーム)及び特図2変動表示ゲーム(第2特図変動表示ゲーム、第2図柄変動ゲーム)は、特図1表示器51及び特図2表示器52において識別情報(特別図柄、特図)を変動表示した後に所定の結果態様を停止表示することで行われる。
【0064】
また、メインディスプレイ41では、各特図変動表示ゲームに対応して複数種類の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲームが実行される。メインディスプレイ41での識別情報は、数字、記号、キャラクタ図柄、絵柄などから構成され、例えば、複数種類の識別情報ごとに数字が異なってよい。
【0065】
メインディスプレイ41における飾り特図変動表示ゲーム(飾り図柄変動ゲーム、演出ゲーム)は、前述した数字等で構成される識別情報(飾り特別図柄、飾り特図)が左(第一特別図柄)、右(第二特別図柄)、中(第三特別図柄)などの順に変動表示(スクロール表示や回転表示)を開始して、所定時間後に変動している図柄を順次停止させて、特図変動表示ゲームの結果を表示することで行われる。メインディスプレイ41において、複数種類の識別情報が、入れ替わりながら変動表示される。このように、メインディスプレイ41に表示される識別情報(飾り特別図柄)が、飾り特図変動表示ゲームにおいて時間経過に応じて変動(変化や移動を含む)するため、飾り特図変動表示ゲームは図柄変動ゲームとも呼ばれる。また、メインディスプレイ41では、興趣向上のためにキャラクタ画像の出現等の多様な演出表示が行われる。
【0066】
始動入賞口36又は普通変動入賞装置37への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされた場合(入賞検出時の大当り乱数値が大当り値である場合)には、特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特定の結果態様(特別結果態様)が導出され、大当り状態(特別遊技状態)となる。これに対応して、メインディスプレイ41の表示態様は特別結果態様(例えば「777」等の数字が揃った状態)となる。
【0067】
このとき、特別変動入賞装置39は、大入賞口ソレノイド39b(図3参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間(例えば30秒)だけ閉状態から開状態に変換される。すなわち、特別変動入賞装置39に備えられた大入賞口が所定の時間又は所定数の遊技球が入賞するまで大きく開き、この間遊技者は多くの遊技球を賞球(遊技価値)として獲得することができるという特典が付与される。
【0068】
第1始動入賞口36又は普通変動入賞装置37への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされた場合(入賞検出時の大当り乱数値が小当り値である場合)には、特図変動表示ゲームの結果として表示図柄により特別結果態様(小当り結果態様)が導出され、小当り状態となる。これに対応して、メインディスプレイ41の表示態様は小当り結果態様となる。なお、本実施形態では、小当りの判定にも大当り乱数値が使用されるが、小当り値(小当り判定値)は、大当り値(大当り判定値)と異なる。また、小当りの判定に小当り乱数値が使用されてもよい。
【0069】
このとき、特別変動入賞装置39は、大入賞口ソレノイド39b(図3参照)への通電によって、大入賞口が所定の短時間だけ閉状態から開状態に変換される。なお、大入賞口の全開放時間は、小当り状態(小当り遊技状態)の方が大当り状態(特別遊技状態)よりも短いため、小当り状態では大当り状態よりも遊技者が獲得可能な遊技価値(獲得球数)が少ない。なお、小当り状態と大当り状態では両方とも大入賞口が開放状態となるが、大当り状態を第1特別遊技状態と呼び、小当り状態を第2特別遊技状態と呼んでもよい。
【0070】
ここで、大当りと小当りとの違いについて説明する。
【0071】
大当りとは条件装置の作動を伴う特別結果であり、小当りとは条件装置の作動を伴わない特別結果である。条件装置とは、特図変動表示ゲームで大当りが発生(大当り図柄の停止表示)した場合に作動するもので、条件装置が作動するとは、例えば大当り状態が発生して特別電動役物としての特別変動入賞装置39を連続して作動させるための特定のフラグがセットされることを意味する。なお、「条件装置」は、上記のようなソフトウェア的にオンオフされるフラグのようなソフトウェア手段であっても良いし、電気的にオンオフされるスイッチのようなハードウェア手段であっても良い。
【0072】
具体的には、大当りの場合は、大当りフラグが設定されることにより特別変動入賞装置が開放されるのに対して、小当りの場合は、小当りフラグが設定されることにより特別変動入賞装置が開放される。ただし、小当り状態中にV入賞があった場合には条件装置が作動することになる。
【0073】
なお、特図2変動表示ゲームは、特図1変動表示ゲームよりも優先して実行されるようになっており、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームの始動記憶があり、特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は特図2変動表示ゲームが実行される(特図2保留優先消化、特図2優先変動)。或いは、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームは、入賞(即ち始動記憶)の発生した順に実行されてもよく(入賞順消化)、特図1変動表示ゲーム及び/又は特図2変動表示ゲームの始動記憶が生じて特図変動表示ゲームの実行が可能な状態になった場合は、最も古くに発生した始動記憶に基づく変動表示ゲームが実行されてもよい。
【0074】
なお、特図1変動表示ゲームと特図2変動表示ゲームを区別しない場合は、単に特図変動表示ゲームと称する。
【0075】
(3.遊技制御装置)
図3は、パチンコ機10の遊技制御系のブロック図である。パチンコ機10は、主制御手段をなす遊技制御装置100(主基板、メイン基板)を備える。遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技用マイクロコンピュータ111(以下、遊技用マイコンと称する)と、入力ポートを有する入力部120と、出力ポートやドライバなどを有する出力部130、遊技用マイコン111と入力部120と出力部130との間を接続するデータバスなどからなる。遊技用マイコン111は、入力部120を介して、各種の信号やデータを受信可能であり、出力部130を介して、各種の信号やデータを送信可能である。
【0076】
遊技用マイコン111には、水晶振動子のような発振子を備え、CPUの動作クロックやタイマ割込み、乱数生成回路の基準となるクロックを生成する発振回路(水晶発振器)が接続されてよい。遊技制御装置100及び該遊技制御装置100によって駆動されるソレノイドやモータなどの電子部品には、電源装置400で生成されたDC32V,DC12V,DC5Vなど所定のレベルの直流電圧が供給されて動作可能にされる。
【0077】
電源装置400は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC/DCコンバータやDC32Vの電圧からDC12V、DC5Vなどのより低いレベルの直流電圧を生成するDC/DCコンバータなどを有する通常電源部410と、遊技用マイコン111の内部のRAM111cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源420と、停電監視回路を有し、遊技制御装置100に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号やリセット信号などの制御信号を生成して出力する制御信号生成部430などを備える。
【0078】
バックアップ電源420は、電解コンデンサのような大容量のコンデンサ1つで構成することができる。バックアップ電源420は、遊技制御装置100の遊技用マイコン111(特に内蔵RAM111c)に供給され、停電中あるいは電源遮断後もRAM111cに記憶されたデータが保持されるようになっている。制御信号生成部430は、例えば通常電源部410で生成された32Vの電圧を監視してそれが例えば17V以下に下がると停電発生を検出して停電監視信号を出力する。また、電源投入時や停電回復時にもその時点から所定時間経過後にリセット信号を出力する。
【0079】
また、遊技制御装置100にはRAMクリアスイッチ112が設けられている。RAMクリアスイッチ112が押下げられてオン操作されると初期化スイッチ信号が生成され、これに基づき遊技用マイコン111内のRAM111c及び払出制御装置200内のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化するRAM初期化処理が行われる。ここで初期化とは、基本的には、情報を消去して0にする0クリアのことであるが、性能情報(ベース値)などの一部の値は0クリアせずに現状の値が維持されてもよい。特に限定されるわけではないが初期化スイッチ信号は電源投入時に読み込まれ、停電監視信号は遊技用マイコン111が実行するメインプログラムのメインループ処理の中で繰り返し読み込まれる。リセット信号は強制割込み信号の一種であり、制御システム全体をリセットさせる。
【0080】
RAMクリアスイッチ112は、パチンコ機10内部の遊技制御装置100上に設けられることによって、前面枠12(本体枠)が開放されなければ操作できない位置(アクセスできない位置)に配置される。即ち、一般の遊技者は、RAMクリアスイッチ112にアクセスして操作することができない。なお、RAMクリアスイッチ112は、遊技制御装置100と異なる他の場所に設けられてもよい。
【0081】
遊技用マイコン111は、CPU111a(中央処理ユニット:マイクロプロセッサ)、読出し専用のROM111b(リードオンリメモリ)及び随時読出し書込み可能なRAM111c(ランダムアクセスメモリ)を備える。
【0082】
ROM111bは、遊技制御のための不変の情報(プログラム、固定データ、各種乱数の判定値等)を不揮発的に記憶する。RAM111cは、遊技制御時にCPU111aの作業領域や各種信号や乱数値の記憶領域として利用されるもので、遊技に関する情報(遊技情報)が記憶され、停電が発生しても記憶された情報の記憶保持が可能な保持記憶手段となる。
【0083】
また、ROM111bは、例えば、特図変動表示ゲームの実行時間、演出内容、リーチ状態の発生の有無などを規定する変動パターン(変動態様や変動時間)を決定するための変動パターンテーブルを記憶している。変動パターンテーブルとは、始動記憶として記憶されている一つ又は複数の変動パターン乱数をCPU111aが参照して変動パターンを決定するためのテーブルである。また、変動パターンテーブルには、結果がはずれとなる場合に選択されるはずれ変動パターンテーブル、結果が大当りとなる場合に選択される大当り変動パターンテーブル等が含まれる。パターンテーブルには、リーチ状態となった後の変動パターンである後半変動パターンを決定するためのテーブル(後半変動グループテーブルや後半変動パターン選択テーブル等)、リーチ状態となる前の変動パターンである前半変動パターンを決定するためのテーブル(前半変動グループテーブルや前半変動パターン選択テーブル等)が含まれてよい。
【0084】
CPU111aは、ROM111b内の遊技制御用プログラムを実行して、払出制御装置200や演出制御装置300に対する制御信号(コマンド)を生成したりソレノイドや表示装置の駆動信号を生成して出力してパチンコ機10全体の制御を行う。また、図示しないが、遊技用マイコン111は、特図変動表示ゲームの大当りを判定するための大当り乱数や、大当り図柄(大当りの停止図柄)、小当り図柄(小当りの停止図柄)、時短図柄(サポ当り図柄、サポ当りの停止図柄)を決定するための特図図柄乱数、特図変動表示ゲームでの変動パターン(各種リーチやリーチなしの変動表示の情報や特図変動表示ゲームの実行時間等の情報を含む)を決定するための変動パターン乱数等を生成するための乱数生成回路を備えている。
【0085】
また、CPU111aは、特図変動表示ゲームに関する処理において、ROM111bに記憶されている複数の変動パターンテーブルの中から、いずれか一の変動パターンテーブルを取得する。具体的には、CPU111aは、特図変動表示ゲームの遊技結果(大当りあるいははずれ)や、現在の遊技状態としての特図変動表示ゲームの確率状態(通常確率状態あるいは高確率状態)、始動記憶数などに基づいて、複数の変動パターンテーブルの中から、いずれか一の変動パターンテーブルを選択して取得する。ここで、CPU111aは、特図変動表示ゲームを実行する場合に、ROM111bに記憶された複数の変動パターンテーブルのうち、いずれか一の変動パターンテーブルを取得する変動振り分け情報取得手段をなす。
【0086】
払出制御装置200は、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を備え、遊技制御装置100からの払出し指令(コマンドやデータ)に従って、数値データとして賞球(遊技価値)を払い出させるための制御を行う。
【0087】
遊技用マイコン111の入力部120には、普図始動ゲート34のゲートスイッチ34a、一般入賞口35の入賞口スイッチ35a、第1始動入賞口36内の始動口1スイッチ36a、第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)内の始動口2スイッチ37a、特別変動入賞装置39の大入賞口スイッチ39aがそれぞれ接続される。ゲートスイッチ34a、入賞口スイッチ35a、始動口1スイッチ36a、始動口2スイッチ37a、大入賞口スイッチ39aからの出力は、遊技制御装置100から中継基板70を介して図示しない試射試験装置へも供給されるようになっている。また、始動口1スイッチ36aと始動口2スイッチ37aの検出信号は、入力部120の他、遊技用マイコン111に直接入力されてよい。なお、入力部120に接続されるスイッチは、例えば磁気的に遊技球を検出するものでよい。
【0088】
さらに、入力部120には、特定領域スイッチ72、残存球排出口スイッチ73、アウト球検出スイッチ74がそれぞれ接続される。特定領域スイッチ72は、特定領域42(V入賞口)への遊技球の通過(V入賞)を検出する。残存球排出口スイッチ73は、特別変動入賞装置39からの遊技球を排出する残存球排出口を通過した遊技球を検出する。アウト球検出スイッチ74は、遊技領域に発射されて遊技を終えた全ての遊技球(即ち、入賞口又はアウト口30bを通過した全ての遊技球)を検出する。なお、アウト口30bに入球した遊技球だけでなく、入賞口(第1始動入賞口36、第2始動入賞口(普通変動入賞装置37)、大入賞口、又は、一般入賞口35)に入球した遊技球は、図示しない通路等を介してアウト球検出スイッチ74に導かれて検出される。
【0089】
また、入力部120には、パチンコ機10に対する不正や異常などのエラーを検出する各種の不正/異常センサ67(エラーセンサ)が接続される。例えば、不正/異常センサ67には、パチンコ機10に対する電波の発射を検出する電波センサ、パチンコ機10の前面枠12等に設けられた不正検出用の磁気センサスイッチ、パチンコ機10のガラス枠15等に設けられたガラス枠開放検出用のガラス枠開放検出スイッチ(扉開閉センサ)、前面枠12(本体枠)等に設けられた前面枠開放検出用の前面枠開放検出スイッチ(本体枠開放検出スイッチ)、パチンコ機10の振動を検出する振動センサがある。
【0090】
また、入力部120は、RAMクリアスイッチ112からの信号を取り込んでデータバスを介して遊技用マイコン111に供給する。また、入力部120を介して、払出制御装置200から遊技制御装置100へデータが入力されてよい。
【0091】
出力部130を介して、遊技制御装置100から演出制御装置300へ、例えばシリアル通信でデータが送信される。なお、遊技制御装置100と演出制御装置300との間の通信は、演出制御装置300の側から遊技制御装置100へ信号を入力できないようにした片方向通信とされている。出力部130を介して、遊技制御装置100から払出制御装置200へデータが送信されてよい。
【0092】
また、本実施形態では、出力部130を介して、遊技制御装置100からブランド情報表示装置500bに、例えばシリアル通信でデータが送信される。なお、ブランド情報表示装置500bは、遊技制御装置100からの指令に応じて、上述したブランド表示領域500aにブランド情報を表示させるための装置である。
【0093】
さらに、出力部130には、バッファ133を接続可能であり、バッファ133は、出力部130から図示しない認定機関の試射試験装置へ試射試験信号を、中継基板70を経由して出力する。バッファ133は遊技店(遊技場)に設置される実機(量産販売品)としての遊技機の遊技制御装置(主基板)には実装されない部品である。
【0094】
また、出力部130には、普通変動入賞装置37を開放させる普電ソレノイド37c、特別変動入賞装置39を開放させる大入賞口ソレノイド39b、レバーを動作させ特定領域42を開放させるレバーソレノイド42bの開閉データを出力する出力ポートが設けられている。さらに、出力部130には、開閉データ信号を受けて、ソレノイド駆動信号を生成し出力するドライバが設けられている。
【0095】
また、出力部130からは、一括表示装置50に表示するデータとして、一括表示装置50のLEDのオン/オフデータを、対応する出力ポートとドライバを使用して出力可能である。
【0096】
また、出力部130は、大当り情報などパチンコ機10に関する外部情報を、対応する出力ポートとドライバを使用して外部情報端子71に出力可能である。外部情報端子71は、例えば遊技店に設置された外部装置(情報収集端末や遊技場内部管理装置(ホールコンピュータ)など)に接続可能であり、パチンコ機10に関する情報を外部装置に供給することができるようになっている。なお、外部情報端子71は、外部情報の種類の数や外部情報の出力先の数を考慮した数だけ設けられてよい。
【0097】
また、出力部130からは、性能表示装置152に表示するデータとして、性能表示装置152のLEDのオン/オフデータを、対応する出力ポートとドライバを使用して出力可能である。
【0098】
本実施形態では、性能表示装置152は、複数(4つ)の7セグメント型(ドットDpを含めると8セグメント型)の表示器(LEDランプ)からなるが、これに限られるものではない。
【0099】
性能表示装置152は、遊技制御装置100(主基板)上に設けられるものであるが、他の場所に設けられてもよい。例えば、性能表示装置152は、出玉率(ベース値)などの性能情報を表示可能である。なお、性能情報は、入賞により得られた賞球数(遊技価値数)に基づいて導出されるもので、例えば、出玉率(ベース値)、役物比率、排出球数などである。
【0100】
出玉率(ベース値)は、排出球数(或は遊技領域32に導入された発射球数)に対する賞球数の合計の比率(割合)であり、(獲得球数÷排出球数)×100(%)で計算される。即ち、出玉率は、排出球数100個当りの獲得球数(賞球数の合計)となる。排出球数は、アウト球検出スイッチ74の信号などをカウント(計数)することにより取得できる。なお、封入式の遊技機においては、獲得球数(賞球数の合計)は、数値データとして付与される遊技価値数(遊技価値の量)である。
【0101】
例えば、役物比率は、所定期間(例えば、パチンコ機10の電源投入から現在まで)に入賞口に入賞したことで得られた全賞球数(賞球の合計数)のうち、大当り状態中に大入賞口に入賞したことで得られた賞球数(役物別獲得球数)の割合(%)(=いわゆる連続役物比率)である。
【0102】
(安全装置(コンプリート機能))
さらに、遊技制御装置100は、安全装置の機能も有する。安全装置とは、セーフ球数と排出球数に基づく作動条件(所定条件)の成立によって、遊技として特図変動表示ゲーム、普図変動表示ゲーム、及び、ラウンド遊技(大当り中や小当り中での遊技)等が実行できない遊技停止状態(遊技不可状態、遊技禁止状態)を発生可能な遊技停止手段(打ち止め手段)である。遊技停止状態では、新たな特図変動表示ゲームと新たな普図変動表示ゲームは開始できない。安全装置によって、不正によってセーフ球数が異常に多いなどの場合に適切に不正対策をすることができ、また、遊技者の遊技に対するのめり込みも抑制できる可能性がある。のめり込みが抑制されると遊技者は安心して遊技ができる。
【0103】
本実施形態において、安全装置は、遊技制御装置100でソフトウェア(プログラム)によって実現される機能であり、コンプリート機能(又はエンディング機能、打ち止め機能)とも呼ばれる。もちろん、安全装置は、電気回路や回路基板などのハードウェアとして設けられてもよい。
【0104】
また、本実施形態において、安全装置の作動条件は、(1)所定期間におけるセーフ球数と排出球数との差を示す差玉数が差玉基準値(所定値)に達しており、且つ、(2)大当り中でも小当り中でもないことである。差玉数は、所定期間においてセーフ球数から排出球数を減算したものである(差玉数=セーフ球数-排出球数)。このように、安全装置の作動条件は、2段階の条件(1)(2)からなる。なお、条件(1)に関する差玉数は、差玉数の最低値の時点から現在までの所定期間における差玉数、即ち、最低値を基準とした差玉数(最低値から増加した差玉数の増加幅)でよく、さらには、1日の営業における差玉数の最大増加幅(いわゆるMY)に対応するものでよい。また、作動条件は他のものでもよく、例えば、条件(1)は、セーフ球数が所定値に達することとする構成も可能である。また、条件(2)は、特別変動入賞装置が作動していないこと、或いは、大入賞口が開放状態でないこととする構成も可能である。
【0105】
本実施形態において、セーフ球数は、所定期間に付与されることが決定された賞球の合計数(獲得球数、出玉)である。また、排出球数(アウト球数)は、所定期間において遊技領域32から排出された遊技球の数で、アウト球検出スイッチ74からの信号をカウントして計数可能である。
【0106】
なお、排出球数の代わりに遊技領域32に発射され導入された発射球の数である発射球数を用いてもよく、差玉数は、セーフ球数-発射球数としてよい。遊技球の発射球数と排出球数を総称して使用数と呼んでよい(差玉数=セーフ球数-使用数)。発射球数からは、球発射装置で発射されたが遊技領域32に届かなかったファール球は除かれ、差玉数は球発射装置で遊技球が1個発射されると-1減算され、ファール球が1個生じると+1加算されることになる。
【0107】
例えば、90000未満の差玉数に対応して安全装置の状態は未作動状態(作動予告状態や作動警告状態や作動状態でない通常状態)になる。90000~94999の差玉数に対応して安全装置の状態は、安全装置の作動を予告する作動予告状態になる。95000の差玉数に到達することに対応して、安全装置の作動を警告する作動警告状態又は安全装置が作動中である作動状態(作動中状態)になる。
【0108】
なお、95000の差玉数に到達したとき、大当り中又は小当り中の場合に作動警告状態になり、大当り中でも小当り中でもない場合に作動状態になる。従って、大当り又は小当りが発生する前に、安全装置が作動状態になると、直後から遊技停止状態(遊技不可状態、遊技禁止状態)が発生し、作動警告状態は発生しないことになる。なお、時短状態や確変状態などで、大当り又は小当りが発生する前に、安全装置が作動状態になり易い。
【0109】
一方、大当り又は小当りが終了することによって大当り中でも小当り中でもなくなると、安全装置は作動警告状態から作動状態(作動中状態)に移行する。
【0110】
作動予告状態において、演出制御装置300は、メインディスプレイ41に、作動予告表示(例えば「まもなく打ち止めです」の文字)を表示する。小当り中や大当り中の安全装置の作動警告状態において、演出制御装置300は、メインディスプレイ41に、作動警告表示(例えば「当り終了後に打ち止めとなります」の文字)を表示する。
【0111】
安全装置の作動状態(小当り中や大当り中でない)、即ち遊技停止状態において、演出制御装置300は、メインディスプレイ41に、作動中表示(「打ち止め中」の文字)を表示する。遊技制御装置100は、安全装置の作動状態となると、安全装置が作動中であることを示す安全装置作動中フラグ(安全装置作動フラグ)をオンに設定する。なお、安全装置作動中フラグは、RAM初期化処理(RAMクリア処理)によって0クリアされ(安全装置作動中フラグ=0)、安全装置の作動が解除される。
【0112】
遊技停止状態において、遊技として特図変動表示ゲーム、普図変動表示ゲーム、及び、ラウンド遊技(大当り中や小当り中での遊技)等を実行できない。このようにするため、例えば、遊技停止状態において、入賞口スイッチでの遊技球の検出が無効となって入賞口(入賞)は無効になり、大入賞口、特定領域42、普通変動入賞装置37等が閉鎖するようソレノイドは停止し、球発射装置からの遊技球の発射が停止(禁止)され発射停止となり、一括表示装置50は消灯する。遊技停止状態において、特図変動表示ゲームや普図変動表示ゲームが継続できなくなるだけでなく、新たな特図変動表示ゲームや新たな普図変動表示ゲームは開始できないことになる。
【0113】
(4.電源投入時の移行状態)
電源投入時のRAMクリアスイッチ112のオンオフ状態によって、各種の状態(モード)へ移行する。
【0114】
電源投入時に、RAMクリアスイッチ112がオンにされている場合には、RAM初期化状態(RAMクリアモード)に移行し、RAM初期化処理(RAMクリア処理)が実行されて、RAM111cが初期化される。なお、RAMクリアスイッチ112がオンにされている場合に最初はRAMクリア準備中(初期化準備中)となり、RAMクリア準備中に再度RAMクリアスイッチ112がオン操作された場合に、RAM初期化処理(RAMクリア処理)によって、RAM111cが初期化されてもよい。なお、遊技制御装置100は、RAM初期化処理の実行の際に、セキュリティ信号(例えば4msec、128msecなど)を外部情報として、外部情報端子71を介してホールコンピュータ等の外部装置に出力してよい。
【0115】
電源投入時に、RAMクリアスイッチ112がオフである場合には、通常復電状態(通常復電モード)に移行し、単に復電されるだけの状態になる。
【0116】
(5.演出制御装置)
次に、図4を用いて、演出制御装置300(サブ基板)の構成について説明する。図4は、パチンコ機10の演出制御系のブロック図である。演出制御装置300は、遊技制御装置100からのコマンドに応じて、メインディスプレイ41の画像、スピーカ19a,19bの音、演出LED46の発光、及び/又は、演出可動体44の動作を制御可能な副制御装置(副基板、サブ基板、副制御手段)である。即ち、演出制御装置300は、遊技に関連する演出を制御可能となる。なお、演出LED46は、種々の発光色で発光可能なフルカラーLED(発光ダイオード)であってよい。
【0117】
演出制御装置300は、制御用マイコン311(CPU)と、制御用マイコン311からのコマンドやデータに従ってメインディスプレイ41への映像表示のための画像処理を行うグラフィックプロセッサとしてのVDP(Video Display Processor)312と、各種のメロディや効果音などをスピーカ19から再生させるため音の出力を制御する音制御部314などを備えている。
【0118】
制御用マイコン311には、CPUが実行するプログラムや各種データを格納したROM321、作業領域を提供するRAM322が接続されている。なお、制御用マイコン311の内部にも作業領域を提供するRAM(例えばキャッシュメモリ)が設けられている。
【0119】
制御用マイコン311は、遊技制御装置100からのコマンドを解析し、表示内容を決定してVDP312に出力映像の内容を指示したり、音制御部314への再生音の指示、演出LED46の点灯、演出可動体44のモータやソレノイドの駆動制御、演出時間の管理などの処理を実行する。
【0120】
VDP312には、作業領域を提供するRAMや、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラが設けられている。また、VDP312にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM325や、画像ROM325から読み出されたキャラクタなどの画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)326が接続されている。
【0121】
音制御部314は、音声を含む音データが記憶された音ROMと、音声データを増幅するアンプ回路を含む。
【0122】
また、演出制御装置300には、遊技制御装置100から送信されるコマンドを受信するインタフェースチップ(コマンドI/F)が設けられている。演出制御装置300は、コマンドI/Fを介して、遊技制御装置100から演出制御装置300に送信された特図保留数コマンド、飾り特図コマンド、変動コマンド、図柄停止コマンド等を、演出制御指令信号(演出コマンド)として受信する。
【0123】
また、演出制御装置300には、遊技盤30に設けられている演出LED(発光ダイオード)46を駆動制御する演出LED制御回路332、遊技盤30やガラス枠15などに設けられている演出可動体44(例えばメインディスプレイ41における演出表示と協働して演出効果を高める可動役物等)を駆動制御する演出可動体制御回路334が設けられている。
【0124】
演出LED46や演出可動体44のモータ及びソレノイドなどを駆動制御するこれらの制御回路332、334は、アドレス/データバスを介して制御用マイコン311と接続されている。
【0125】
さらに、演出制御装置300には、スイッチ入力回路336が設けられている。スイッチ入力回路336は、ガラス枠15に設けられた演出ボタン25に内蔵されている演出ボタンスイッチ25aのオン/オフ状態を示す検出信号と、方向キースイッチ450のオン/オフ状態を示す検出信号を、制御用マイコン311に入力する機能を有する。スイッチ入力回路336は、遊技店関係者(係員、責任者、管理者)がスピーカ19a,19bの音量(最大音量など)を調整可能な音量調節スイッチ335の検出信号も制御用マイコン311に入力する。
【0126】
電源装置400の通常電源部410は、前述のような構成を有する演出制御装置300やそれによって制御される電子部品に対して所望のレベルの直流電圧を供給する。
【0127】
(6.基本的な制御)
次に、パチンコ機10における基本的な制御について説明する。遊技制御装置100の遊技用マイコン111のCPU111aは、普図始動ゲート34に備えられたゲートスイッチ34aからの遊技球の検出信号の入力に基づき、普図の当り判定用乱数値を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、普図変動表示ゲームの当りはずれなどを判定する。
【0128】
そして、普図表示器53に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する普図変動表示ゲームを表示する。普図変動表示ゲームの結果が当りの場合は、普図表示器53に特別の結果態様を表示するとともに、普電ソレノイド37cを動作させ、普通変動入賞装置37の可動部材37bを所定時間(例えば、3秒間×2回)前述のように開放する制御を行う。なお、普図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、普図表示器53にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0129】
また、始動入賞口36(第1始動口)に備えられた始動口1スイッチ36aからの遊技球の検出信号の入力に基づき第1始動記憶を記憶し、第1始動記憶に基づき、特図1変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、特図1変動表示ゲームの当りはずれなどを判定する。
【0130】
また、普通変動入賞装置37(第2始動口)に備えられた始動口2スイッチ37aからの遊技球の検出信号の入力に基づき第2始動記憶を記憶し、第2始動記憶に基づき、特図2変動表示ゲームの大当り判定用乱数値を抽出してROM111bに記憶されている判定値と比較し、特図2変動表示ゲームの当りはずれなどを判定する。
【0131】
そして、遊技制御装置100のCPU111aは、特図1変動表示ゲームや特図2変動表示ゲームの判定結果を含む制御信号(演出制御コマンド)を、演出制御装置300に出力する。そして、特図1表示器51や特図2表示器52に、識別図柄を所定時間変動表示した後、停止表示する特図変動表示ゲームを表示する。すなわち、遊技制御装置100が、遊技領域32を流下する遊技球の始動入賞領域(第1始動入賞口36、普通変動入賞装置37)への入賞に基づき変動表示ゲームの進行制御を行う遊技制御手段をなす。
【0132】
また、演出制御装置300は、遊技制御装置100からのコマンド(制御信号)に基づき、メインディスプレイ41において、特図1表示器51や特図2表示器52での特図変動表示ゲームに対応した飾り特図変動表示ゲームを表示する。さらに、演出制御装置300は、遊技制御装置100からのコマンド(制御信号)に基づき、演出状態の設定や、スピーカ19a,19bからの音の出力、各種演出LED46の発光を制御する処理等を行う。すなわち、演出制御装置300が、遊技(変動表示ゲーム等)に関する演出を制御する演出制御手段をなす。
【0133】
そして、遊技制御装置100のCPU111aは、特図変動表示ゲームの結果が小当り又は大当りの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52に特別結果態様を表示するとともに、特別遊技状態を発生させる。特別遊技状態を発生させる処理においては、CPU111aは、例えば、大入賞口ソレノイド39bにより特別変動入賞装置39の開閉扉39cを開放させ、大入賞口内への遊技球の流入を可能とする制御を行う。
【0134】
そして、大入賞口に所定個数(例えば、10個)の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定の開放可能時間(例えば、27秒又は0.05秒)が経過するかのいずれかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンド(R)とし、これを所定ラウンド回数(例えば、15回、11回又は2回)継続する(繰り返す)制御(サイクル遊技)を行う。また、特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合は、特図1表示器51や特図2表示器52にはずれの結果態様を表示する制御を行う。
【0135】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様に基づき、特別遊技状態の終了後に、遊技状態として高確率状態(特定遊技状態)を発生可能である。高確率状態(確変状態)は、特図変動表示ゲームにて当り結果となる確率が、通常確率状態と比較して高い状態である。また、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームのどちらの特図変動表示ゲームの結果態様に基づき高確率状態となっても、特図1変動表示ゲーム及び特図2変動表示ゲームの両方が高確率状態となる。遊技制御装置100は、高確率状態(確変状態)において、高確率状態を示す特図高確率フラグを設定する。
【0136】
また、遊技制御装置100は、特図変動表示ゲームの結果態様や実行回数などに基づき、遊技状態として時短状態(特定遊技状態)を発生可能である。時短状態においては、普図変動表示ゲーム及び普通変動入賞装置37を時短動作状態とする制御を行ってよく、特別な遊技を行わない通常遊技状態よりも、単位時間当りの普通変動入賞装置37の開放時間が実質的に多くなるように制御するため、普電サポート状態となる。なお、潜伏確変状態を除く高確率状態(通常の確変状態)でも、重複して時短状態にして普電サポートを実行する。
【0137】
なお、時短状態においては、特図変動表示ゲームの実行時間(特図変動時間)も通常より短縮され得るようにし、特図変動表示ゲームの時間短縮変動も実行可能である。
【0138】
また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの1回の当り結果に対して、普通変動入賞装置37の開放回数(普電開放回数)を第1開放回数(例えば2回)よりも多い回数(例えば、4回)の第2開放回数に設定することが可能である。また、時短状態においては、普図変動表示ゲームの当り結果となる確率(普図確率、普図当り確率)を通常動作状態である場合の通常確率(低確率)よりも高い高確率とすることが可能である。
【0139】
時短状態においては、普図変動時間、普図停止時間、普電開放回数、普電開放時間、普図確率のいずれか一つ又は複数を変化させることで普通変動入賞装置37を開状態に状態変換する時間を通常よりも延長するようにする。これにより、時短状態では、特別な遊技を行わない通常遊技状態よりも普通変動入賞装置37への入賞が容易化して、単位時間当たりの特図変動表示ゲームの実行回数が当該通常遊技状態よりも増加可能であり、特図変動表示ゲームの実行間隔も短縮可能である。また、変化させるものが異なる複数種類の時短状態を設定することも可能である。また、通常動作状態において可動部材37bを開放しないように設定(普図確率が0)してもよい。また、高確率状態と時短状態は、それぞれ独立して発生可能であり、両方を同時に発生することも可能であるし一方のみを発生させることも可能である。
【0140】
遊技制御装置100は、基本的には、時短状態において、時短状態を示す時短フラグを設定する。しかし、時短フラグが設定されても、普通変動入賞装置37の開放時間が超短時間ために出玉率(ベース値)が低い低ベース状態(左打ちが推奨される状態)は、実質的に普電サポートのなく特別な遊技を行わない通常遊技状態と取り扱ってもよい(微時短)。
【0141】
時短状態には、大当りに起因して大当り直後に発生する時短状態(a時短)、大当りに起因せずに天井回数の到達によって発生する時短状態(天井時短、b時短、遊タイム)、大当りに起因せずに時短図柄の停止表示(サポ当り)によって発生する時短状態(突然時短、c時短)が含まれる。なお、電源投入後又は大当り状態終了後に実行される特図変動表示ゲームの回数(確変状態での回数を除く)が天井回数に到達した場合に、大当りや時短図柄に当選しなくても時短状態(遊タイム)に突入する。
【0142】
時短状態の終了後に、時短終了の時点で残っている第2始動記憶(特図2始動記憶、特図2保留)が消化される残保留消化状態を発生可能である。残保留消化状態(残保留消化モード)において、時短状態中の普通変動入賞装置37(普電)への入賞によって生じる第2始動記憶が残保留として消化され、特図2変動表示ゲームが実行される。残保留消化状態は、特図2変動表示ゲームが実行されるため、遊技者に有利な状態である。なお、一般的に、特図2変動表示ゲームは、大当り時のラウンド数や小当りの発生確率(ひいてはV入賞大当りの発生確率)などに関して特図1変動表示ゲームよりも遊技者に有利である。
【0143】
以下、さらに詳細に説明すると、遊技制御装置100の遊技用マイコン111による制御処理は、電源が投入されることで開始されるメイン処理(メインプログラム)と、所定時間周期(例えば4msec)で行われるタイマ割込み処理(割込み処理プログラム)とからなる。
【0144】
例えば、遊技制御装置100は、メイン処理において、RAM111cの異常をチェックし、RAM111cが異常な場合に、RAMクリアスイッチ112がオンでない限り、RAM111cへのアクセスを禁止して遊技を実行できないようにする。例えば、RAM111cの異常は、電源遮断時(停電時)にRAM111cに記憶させたチェックサムが電源投入時のチェックサムに一致するかなどによって、判定できる。RAM111cが正常な場合に、電源投入時のRAMクリアスイッチ112のオンオフ状態によって、各種の状態(モード)へ移行する。
【0145】
メイン処理では、ループ処理を設けて繰り返し割込みが許可される。割込みが許可されている間、タイマ割込み処理が実行される。ループ処理中に、性能表示装置152に表示する情報として出玉率(ベース値)などの性能情報を繰り返し更新してよい(出玉率を安定させるために割込みを禁止してから更新してもよい)。
【0146】
タイマ割込み処理では、入力部120を介して各種のスイッチからの入力を行う入力処理、出力部130を介して種々の出力を行う出力処理、特図変動表示ゲームに関する制御や一括表示装置50での特別図柄の表示の設定を行う特図ゲーム処理、普図変動表示ゲームに関する制御や一括表示装置50での普通図柄の表示の設定を行う普図ゲーム処理、不正/異常センサ67から入力された信号などに基づき不正や異常などのエラーを監視するエラー監視処理などが実行可能である。
【0147】
また、タイマ割込み処理では、始動入賞口36(第1始動口)又は普通変動入賞装置37(第2始動口)に遊技球が入賞(入球)して始動記憶が発生したときに、当該始動記憶に基づく特図変動表示ゲームの開始前の段階で入賞に基づく遊技結果を事前に判定可能な事前判定(先読み判定)を行う。遊技制御装置100は、始動記憶に基づく変動表示ゲームが実行されるよりも前に当該変動表示ゲームの結果を事前に判定可能な事前判定手段(先読み判定手段)を構成する。
【0148】
さらに、タイマ割込み処理では、安全装置(コンプリート機能)に関連する処理を行う安全装置関連処理、差玉数を計数するカウンタを更新する差玉数計数処理などが実行可能である。安全装置関連処理において、安全装置の作動状態などの安全装置関連情報をコマンドとして演出制御装置300に送信したり、安全装置の作動中であることを示す安全装置作動中フラグが設定されたりする。
【0149】
遊技制御装置100は、電源が投入されることで開始されるメイン処理において、電源が復旧又は投入されたことを示す停電復旧系コマンドや、RAM初期化に関連するRAM初期化関連コマンドを、演出制御装置300及びブランド情報表示装置500bに送信可能である。なお、RAM初期化関連コマンドは、RAMクリア中(初期化中)であることを示すRAM初期化コマンドやRAMクリア準備中であることを示すRAMクリア準備中コマンドを含む。
【0150】
また、遊技制御装置100は、タイマ割込み処理において、以下のようにコマンドを演出制御装置300に送信可能である。
【0151】
遊技制御装置100は、通常遊技状態や時短状態(普電サポート状態)や特図高確率状態(確変状態)などの遊技状態を示す遊技状態コマンド、不正や異常などのエラーを示すエラー系コマンド、安全装置に関連する安全装置関連系コマンドを送信可能である。安全装置関連系コマンドには、差玉数を示す差玉情報コマンド、安全装置の作動予告状態に対応する作動予告コマンド、安全装置の作動警告状態に対応する作動警告コマンド、安全装置の作動状態に対応する作動中コマンドがある。
【0152】
遊技制御装置100は、遊技の行われていない客待ち状態に関連する客待ち系コマンド、特図変動表示ゲームの変動パターンを示す変動コマンド、特図変動表示ゲームの結果としてのはずれ図柄、大当り図柄、小当り図柄、時短図柄などに対応してメインディスプレイ41で表示される飾り停止図柄を示す飾り停止図柄コマンド(飾り特図コマンド)、特図変動表示ゲームの停止を示す図柄停止コマンド、大当り状態又は小当り状態の各段階に対応する当り系コマンドを送信可能である。ここで、客待ち系コマンドには、デモ画面におけるムービーデモなどの客待ちデモを指示する客待ちデモコマンドが含まれる。また、当り系コマンドには、小当り又は大当りのオープニング(ファンファーレ)に対応するオープニングコマンド(ファンファーレコマンド)、小当り又は大当りのラウンドに対応するラウンドコマンド、ラウンド間のインターバルに対応するインターバルコマンド、大当り又は小当りのエンディングに対応するエンディングコマンドがある。
【0153】
遊技制御装置100は、第1始動記憶(特図1保留)の数である第1始動記憶数(特図1保留数)と第2始動記憶(特図2保留)の数である第2始動記憶数(特図2保留数)が変化したときに、当該始動記憶数を示す特図1保留数コマンド及び特図2保留数コマンドを送信可能である。なお、遊技制御装置100は、始動入賞口36に遊技球が入賞(入球)して第1始動記憶が発生したときに第1始動記憶数を1だけ増加可能であり、普通変動入賞装置37に遊技球が入賞(入球)して第2始動記憶が発生したときに第2始動記憶数を1だけ増加可能である。そして、遊技制御装置100は、第1始動記憶に基づく特図1変動表示ゲームの開始時に第1始動記憶数を1だけ減少可能であり、第2始動記憶に基づく特図2変動表示ゲームの開始時に第2始動記憶数を1だけ減少可能である。
【0154】
また、遊技制御装置100は、始動入賞口36(第1始動口)又は普通変動入賞装置37(第2始動口)に遊技球が入賞して第1始動記憶又は第2始動記憶が発生したときに、先読みコマンドを送信可能である。先読みコマンドには、第1始動記憶又は第2始動記憶としてセーブした大当り乱数や特図図柄乱数などに基づく停止図柄情報(大当り停止図柄、小当り停止図柄、時短停止図柄、はずれ停止図柄)に対応する先読み停止図柄コマンドや、セーブした変動パターン乱数に基づく先読み変動パターンコマンドがある。
【0155】
その他、遊技制御装置100は、遊技状態或いは遊技状態変化に応じて推奨される打ち方(発射態様)を遊技者に指示(示唆)する打ち方指示報知コマンド(左打ち指示報知コマンド、右打ち指示報知コマンド)、V入賞を示す特定領域通過コマンドなど、必要なコマンドを演出制御装置300に送信可能である。
【0156】
演出制御装置300は、遊技制御装置100から受信したコマンドに応じた処理を、例えば以下のように行う。
【0157】
演出制御装置300は、停電復旧系コマンドを受信すると、メインディスプレイ41に「復旧中」などの文字表示を行い、RAM初期化コマンドを受信すると、メインディスプレイ41に「RAMクリア中」などの文字表示を行うとともに、演出LED46の発光とスピーカ19a,19bの音で報知を例えば30秒間行う(特にRAMクリア中の場合)。演出制御装置300は、RAMクリア準備中コマンドを受信すると、メインディスプレイ41に「RAMクリア準備中」などの文字表示を行う。
【0158】
演出制御装置300は、エラー系コマンドを受信すると、メインディスプレイ41に「エラー発生中」などの文字表示を行うとともに、エラー系コマンドの種類に応じて演出LED46の発光とスピーカ19a,19bの音でエラー報知を行ってよい。なお、エラー系コマンドにエラーの内容を示す情報が含まれている場合には、メインディスプレイ41にエラーの内容を表示してもよい。
【0159】
演出制御装置300は、差玉情報コマンドを受信すると、メインディスプレイ41に差玉数を表示してもよい。演出制御装置300は、作動予告コマンド、作動警告コマンド、作動中コマンドを受信すると、各々のコマンドに対応して、「まもなく打ち止めです」「当り終了後に打ち止めとなります」「打ち止め中」などの文字表示をメインディスプレイ41に行う。
【0160】
演出制御装置300は、客待ち状態で客待ちデモコマンドを受信すると、メインディスプレイ41でムービーデモ(動画)などの客待ちデモを表示する。なお、第1始動記憶数と第2始動記憶数の両方がゼロで、特図変動表示ゲームが実行されていない場合に、客待ち状態となる。客待ちデモは、客待ち状態の開始から所定時間経過後に開始してよい。
【0161】
演出制御装置300は、変動パターンを示す変動コマンドとメインディスプレイ41での飾り停止図柄を示す停止図柄コマンドを受信すると、変動パターンの内容、特図種別(特図1又は特図2)、停止図柄(はずれ図柄、大当り図柄、小当り図柄、時短図柄等)の種別などに基づいて、メインディスプレイ41での飾り特図変動表示ゲームに係る演出を設定する変動関連演出設定処理を実行する。なお、客待ち状態で始動入賞口36又は普通変動入賞装置37に遊技球が入賞する場合、又は、特図変動表示ゲーム終了後に第1始動記憶又は第2始動記憶が残っている場合に、遊技制御装置100は、一括表示装置50の特図1表示器51や特図2表示器52で特図変動表示ゲームを開始するとともに、変動コマンドと停止図柄コマンドなどを演出制御装置300に送信する。
【0162】
変動関連演出設定処理では、特図変動表示ゲーム中に出現して特図変動表示ゲームの結果を予告可能な予告演出や、メインディスプレイ41での擬似連続演出やリーチ演出などの変動演出や、具体的な飾り停止図柄を設定できる。なお、変動コマンドには、擬似連続演出の回数(擬似変動の回数)である擬似連回数の情報や、リーチ状態に対応するリーチ演出の系統(種類)の情報が含まれてよい。擬似連続演出とは、1回の特図変動表示ゲームにおいて、メインディスプレイ41で飾り特別図柄を変動及び仮停止させる擬似変動を所定回数行う演出である。また、変動関連演出設定処理では、予告演出や変動演出などに応じた演出LED46の発光態様やスピーカ19a,19bの音の態様を設定できる。
【0163】
ここでリーチ(リーチ状態)とは、メインディスプレイ41において、飾り特図変動表示ゲームの表示結果の一部がまだ導出表示されていない段階で、既に導出表示されている表示結果が特別結果態様となる条件を満たしている表示状態をいう。なお、メインディスプレイ41の有効ライン上(例えば上下方向又は左右方向のライン上)において表示結果が特別結果態様となった場合に、遊技状態が遊技者にとって有利な特別遊技状態となる。また、特別結果態様が揃った状態を維持しながら複数の変動表示領域による変動表示を行う状態(いわゆる全回転リーチ)もリーチ状態に含まれる。
【0164】
よって、例えば、特図変動表示ゲームに対応してメインディスプレイ41に表示される飾り特図変動表示ゲームが、表示装置における左、中、右の変動表示領域の各々で所定時間複数の識別情報を変動表示した後、左、右、中などの順で変動表示を停止して結果態様を表示するものである場合、左、右の変動表示領域で、特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば、同一の識別情報)で変動表示が停止した状態がリーチ状態となる。
【0165】
そして、リーチ状態では複数のリーチ演出が実行可能であり、特別結果態様(大当り態様)が導出される期待度(信頼度)が異なるリーチ演出の系統(種類)として、例えば、ノーマルリーチ(Nリーチ)、スペシャル1リーチ(SP1リーチ)、スペシャル2リーチ(SP2リーチ)、スペシャル3リーチ(SP3リーチ)、プレミアリーチが設定されている。なお、大当りの期待度(信頼度)は、リーチなし<ノーマルリーチ<スペシャル1リーチ<スペシャル2リーチ<スペシャル3リーチ<プレミアリーチの順に高くなるようになっている。また、リーチ状態が発生した状態は、リーチ状態が発生しない場合と比較して大当りとなる可能性の高い状態である。
【0166】
なお、演出(予告)の期待度(信頼度)は、その演出が選択された場合に大当りになる確率を示唆し、大当りであるときのその演出の選択率及び大当りでないとき(はずれのとき)のその演出の選択率などに基づいて算出することができる。大当りであるときのその演出の選択率が大きくなると期待度は大きくなり、はずれのときのその演出の選択率が大きくなると期待度は小さくなる。大当りは、前述のV入賞大当りも含み、V入賞大当りに関する期待度は、V入賞を発生させる小当りに関する期待度と略同じになる。なお、期待度は、大当りに関するものだけでなく、大当り以外の有利な状態(例えば小当り状態、時短状態)や有利な事象(例えばリーチ)の発生する期待度も同様に設定できる。
【0167】
演出制御装置300は、特図変動表示ゲームの停止を示す図柄停止コマンドを受信すると、メインディスプレイ41における飾り特図変動表示ゲームの停止を設定する。なお、遊技制御装置100が変動時間の値を示す変動時間コマンドを演出制御装置300に送信して、演出制御装置300は飾り特図変動表示ゲームの開始から変動時間の経過後に飾り特図変動表示ゲームの停止を設定する構成も可能である。
【0168】
演出制御装置300は、オープニングコマンドを受信すると、小当り又は大当りの開始演出であるオープニング演出(ファンファーレ演出)を実行し、ラウンドコマンドを受信すると、ラウンド中の演出であるラウンド演出を実行し、インターバルコマンドを受信すると、ラウンド間のインターバルでインターバル演出を実行し、エンディングコマンドを受信すると、大当り又は小当りのエンディングに対応するエンディング演出を実行する。
【0169】
演出制御装置300は、特図1保留数コマンド又は特図2保留数コマンドを受信すると、メインディスプレイ41などで、特図1保留数又は特図2保留数と同じ数だけ、始動記憶(保留)に対応する保留表示を表示する。演出制御装置300は、先読みコマンドとして先読み変動パターンコマンドと先読み停止図柄コマンドを受信すると、先読みコマンドに対応する抽選確率で先読み予告演出(先読み演出、先読み予告)を抽選して設定する。先読み予告演出としては、例えば、連続予告演出、保留変化予告などがある。連続予告演出として、飾り停止図柄に係るチャンス目先読み演出などがある。
【0170】
演出制御装置300は、打ち方指示報知コマンドとして、左打ち指示報知コマンドと右打ち指示報知コマンドを受信すると、メインディスプレイ41において、各々のコマンドに対応して左打ち指示表示と右打ち指示表示を実行できる。演出制御装置300は、特定領域通過コマンドを受信すると、メインディスプレイ41においてV入賞を祝福報知する演出を実行してよい。
【0171】
なお、演出制御装置300は、上記以外にも制御に必要なコマンドを遊技制御装置100から受信できるものとする。
【0172】
(7.ブランド情報表示部及び製造業者情報表示部)
以下では、本実施形態によるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510の詳細について説明する。
【0173】
(7-1.用語の定義)
第1~第8実施形態において共通して用いられる用語の定義について説明する。
【0174】
・「ブランド情報」
「ブランド情報」とは、遊技機(第1~第4実施形態のパチンコ機10、第5~第8実施形態のパチスロ機80)を提供する出所(事業者や団体など)を識別するための視覚的に認識可能な標識(文字、図形、記号、立体的形状、若しくは色彩、これらの結合、又はこれらの一以上組み合わせてなる動画)を含む情報を意味する。
【0175】
特に、「ブランド情報」は、遊技者に対して遊技機の提供事業者を認識させることが可能な標識として機能する情報として定められる。「ブランド情報」には、例えば、遊技機の設置店(ホール)又は一般需要者(遊技者)によって当該遊技機の販売などを含む提供に関する事業を行う者(提供事業者)と認識されている、或いは認識させるべき企業等の名称、略称、又は当該企業等を表すロゴなどが含まれる。なお、「提供事業者」の概念には、単一の企業、又は複数の企業が集まって構成されるグループ企業が含まれる。
【0176】
・「製造業者情報」とは、遊技機を製造する事業者を識別するための視覚的に認識可能な商標(文字、図形、記号、立体的形状、若しくは色彩、これらの結合、又はこれらの一以上組み合わせてなる動画)を含む情報を意味する。
【0177】
特に、「製造業者情報」は、遊技機の管理者(遊技機設置店の作業者、遊技機のメンテナンス業者、又はその他の遊技機に関する管理を行う企業)に対して当該遊技機の製造事業者を認識させることが可能な標識として機能する情報として定められる。「製造業者情報」には、例えば、遊技機の管理者によって当該遊技機の製造に関する事業を行う者(製造事業者)と認識されている、或いは認識させるべき企業等(製造メーカーなど)の名称、略称、又は当該企業等を表すロゴなどが含まれる。なお、「製造事業者」の概念には、単一の企業、又は複数の企業が集まって構成されるグループ企業が含まれる。さらに、「製造事業者」は、「提供事業者」に対して所定の資本関係(親会社と子会社の関係など)を持つ企業であっても良い。また、「提供事業者」がグループ企業である場合には、「製造事業者」が当該グループ企業に所属する一又は複数の企業であっても良い。さらに、単一の事業者(単一の企業又は単一のグループ企業)が同一の遊技機の提供に関する事業と製造に関する事業の双方を行う場合には、「ブランド情報」の表示態様と「製造業者情報」の表示態様が部分的に又は全体的に一致していても良い。例えば、「ブランド情報」及び「製造業者情報」の双方に同一の企業の名称が含まれていても良い。
【0178】
(7-2.前提となる課題)
パチンコやパチスロに代表される遊技機では、一般需要者(遊技者等)によって遊技機の提供事業者であるとして認識される業者と、実際に遊技機を製造する業者と、が異なることがある。これに対して、遊技者は、提供事業者を参考にして自ら遊技を行う遊技機を選定する傾向がある。したがって、遊技者に対しては遊技機とその提供事業者との関連性を周知させることが求められるところ、遊技機にはその提供事業者を表す標識(ブランド情報)が表示されることがある。その一方で、遊技機の管理者(設置店の店員など)は、メンテナンスなどの管理業務を行うにあたり、当該遊技機の製造事業者を表す情報(製造業者情報)を確認することがある。このため、遊技機には、ブランド情報だけでなく製造業者情報が表示されることがある。
【0179】
しかしながら、遊技機にブランド情報及び製造業者情報の双方を表示する場合において、遊技者が遊技機の製造事業者を提供事業者であると誤認したり、管理者が提供事業者を製造事業者と誤認したりするおそれがある。特に、遊技機の分野では、ある遊技機の提供事業者である企業が他の遊技機では製造事業者である(提供事業者ではない)といった状況や、提供事業者がグループ企業であり製造事業者が当該グループに属する一企業であるといった状況であることも多く、上記の製造事業者と提供事業者の間の誤認が生じやすくなる。このような状況に鑑み、本実施形態及び後述の第2~第8実施形態においては、上述した提供事業者と製造事業者の誤認を防止し得る構成を備えた遊技機が提供される。
【0180】
(7-3.ブランド情報表示部及び製造業者情報表示部の構成)
図5は、第1実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチンコ機10の要部正面図である。図示のように、本実施形態のパチンコ機10は、当該パチンコ機10に紐づくブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、当該パチンコ機10の製造業者を識別するための製造業者情報を表示する製造業者情報表示部510と、を有する。
【0181】
特に、ブランド情報表示部500は、パチンコ機10の所定位置に設けられてブランド情報を表示可能なブランド表示領域500aと、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示させる処理を行うブランド情報表示装置500bと、を有している。
【0182】
ブランド表示領域500aは、ブランド情報を電磁的方法により表示させる領域(例えば、専用の液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はLEDディスプレイ等)により構成される。特に、本実施形態において、ブランド表示領域500aは、遊技盤30の遊技領域32におけるメインディスプレイ41の上方に設けられる。
【0183】
また、ブランド情報表示装置500b(図3参照)は、ブランド表示領域500aにブランド情報を電磁的方法により表示させる処理を行うための各種ハードウェア及びソフトウェアにより実現される。特に、本実施形態において、ブランド情報表示装置500bは、遊技制御装置100からの指令に応じて、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する処理を行う表示装置(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はLEDディスプレイ等のデジタルデータを表示するための表示装置)により実現することができる。
【0184】
したがって、ブランド情報表示部500は、そのブランド表示領域500aにブランド情報をパチンコ機10の外側(特に、前扉20のカバーガラス14を介した前方側)から認識可能(視認可能)に表示することとなる。
【0185】
一方、製造業者情報表示部510は、パチンコ機10の所定位置に設けられて製造業者情報を表示可能な製造業者表示領域510aを有している。この製造業者表示領域510aは、製造業者情報を非電磁的方法により表示させる領域(例えば、パチンコ機10の構成部材への印字領域、又は製造業者情報が記載された所定のシール若しくは紙部材等を貼付した領域など)として実現することができる。特に、本実施形態のパチンコ機10における製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、遊技領域32におけるメインディスプレイ41の上方に貼付された、製造業者情報(製造事業者の名称)の記載されたシール若しくは紙部材等により構成される。すなわち、この製造業者表示領域510aに記載された製造業者情報は、パチンコ機10の外側(特に、前扉20のカバーガラス14を介した前方側)から認識可能(視認可能)となる。なお、製造業者表示領域510aを、遊技盤30の表面に直接表記される製造業者情報を含む領域として構成しても良い。
【0186】
また、本実施形態では、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aの面積が製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aの面積よりも大きく構成されている。
【0187】
そして、本実施形態において、ブランド情報表示部500(より詳細にはブランド情報表示装置500b)は、予め定められる所定条件の成立時にブランド表示領域500aにおいてブランド情報を表示する(図5(A)参照)。一方、ブランド情報表示装置500bは、所定条件の不成立時にブランド表示領域500aにおけるブランド情報を非表示とする(図5(B)参照)。
【0188】
ここで、「所定条件」とは、パチンコ機10の外側(特に、遊技者が位置する前方側)からのブランド情報に対する視認性を、製造業者情報に対する視認性よりも優先させるべき状況を判断する指標として定められる一又は複数の条件を意味する。より詳細に、所定条件が成立している際には、ブランド情報に対する視認性を製造業者情報に対する視認性よりも優先させるべき状況であると見なすことができる。一方、所定条件が不成立である際には、ブランド情報に対する視認性を優先させる必要のない状況であり、典型的には製造業者情報に対する視認性をブランド情報に対する視認性よりも優先させるべき状況であると見なすことができる。
【0189】
特に、本実施形態では、「所定条件」として、パチンコ機10の電源のオン/オフを規定する。より詳細には、所定条件の成立をパチンコ機10の電源がオンであること(以下、簡略化のため適宜「電源オン時」と記載する)と定める。一方、所定条件の不成立をパチンコ機10の電源がオフであること(以下、簡略化のため適宜「電源オフ時」と記載する)と定める。したがって、電源オン時にはパチンコ機10(特に遊技盤30の表面)にブランド情報及び製造業者情報の双方が表示され、電源オフ時にはブランド情報が表示されずに製造業者情報のみが表示される。
【0190】
より具体的に、本実施形態において、遊技制御装置100は、パチンコ機10の電源がオンとされたことを示す信号(例えば電源投入時に電源装置400で生成されるリセット信号)を検知すると、パチンコ機10の電源がオンとなったことを示すフラグ(電源オンフラグ)を生成してこれをブランド情報表示装置500bに送信する。また、遊技制御装置100は、パチンコ機10の電源電圧が一定値以下になったことを示す信号(例えば電圧低下時に電源装置400で生成される停電監視信号)を検知すると、パチンコ機10の電源がオフとなったことを示すフラグ(電源オフフラグ)を生成してこれをブランド情報表示装置500bに送信する。
【0191】
そして、ブランド情報表示装置500bは、遊技制御装置100から電源オンフラグを受信すると、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する。したがって、電源オン時にはブランド表示領域500aにおいてブランド情報が表示されて、パチンコ機10の外側(特に前方側)から視認可能な状態となる。すなわち、遊技者がパチンコ機10の前方で当該パチンコ機10に視線を向けて着席することが想定されるパチンコ機10の電源オン時には、製造業者情報が表示される製造業者表示領域510aよりも大きいブランド表示領域500aにブランド情報が表示されることとなる。
【0192】
一方、ブランド情報表示装置500bは、遊技制御装置100から電源オフフラグを受信すると、ブランド表示領域500aのブランド情報を非表示にする。このため、管理者による管理業務の実行が想定されるパチンコ機10の電源オフ時には、ブランド情報が表示されずに製造業者情報のみが表示されている状態となる。
【0193】
〔変形例〕
本変形例では、上記の所定条件としてパチンコ機10の遊技状況に関する条件を定める。なお、「遊技状況」とは、電源オン時にパチンコ機10がとり得る遊技に関連する特定の動作状況である。特に、本変形例の遊技状況には、第1遊技状況と、第1遊技状況とは異なる第2遊技状況と、が含まれる。
【0194】
ここで、「第1遊技状況」は、遊技者の視覚を集中させる遊技演出(メインディスプレイ41で実行される予告やリーチなどの遊技演出表示)の実行可能性が低く、当該遊技者がブランド情報の表示に比較的意識を向けやすいと推定される遊技状況を意味する。具体的に、第1遊技状況には、大当り状態の終了後(エンディング時又は終了直後)、メインディスプレイ41における客待ち用のムービーデモを表示するデモ画面表示中、及び遊技開始時(デモ画面表示中の操作ハンドル24に対する操作、又は発射や入賞の検知時)などが含まれる。
【0195】
一方、「第2遊技状況」とは、遊技者の視覚を集中させる遊技演出の実行可能性が高く、遊技者がブランド情報の表示に比較的意識を向けにくいと推定される遊技状況を意味する。具体的に、第2遊技状況には、通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態などが含まれる。
【0196】
より具体的に、本変形例では、パチンコ機10の電源がオンであることを前提とし、所定条件の成立を遊技状況が第1遊技状況であることと定め、所定条件の不成立を遊技状況が第2遊技状況であることと定める。すなわち、ブランド情報表示装置500bは、遊技状況が第1遊技状況であると、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する。一方、ブランド情報表示装置500bは、遊技状況が第2遊技状況であると、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報を非表示とする。
【0197】
なお、遊技状況が第1遊技状況であるか否かの判定は、ブランド情報表示装置500bが、上述した遊技者の視覚を集中させる遊技演出が実行されていないことを示唆する所定の情報(データ)を遊技制御装置100から受信したか否かに基づいて実行される。このデータには、例えば、大当り状態が終了したことを示すフラグ、客待ちデモコマンド、及び/又は客待ちデモの実行中に操作ハンドル24に対する操作が行われた旨の検知信号が含まれる。
【0198】
また、遊技状況が第2遊技状況であるか否かの判定は、ブランド情報表示装置500bが、上述した遊技者の視覚を集中させる遊技演出の実行可能性を示唆する所定のデータを遊技制御装置100から受信したか否かに基づいて実行される。このデータには、例えば、パチンコ機10の現在の状態が通常遊技中であることを示すフラグ、特定遊技中(普電サポート中など)であることを示すフラグ、及び/又は特別遊技中(大当り中など)であることを示すフラグが含まれる。
【0199】
本変形例によれば、パチンコ機10の電源がオンであることを前提とした上で、特に大当り終了直後及び遊技開始時などの、遊技者に対して視覚上の注意を向けさせる遊技演出が実行可能性の低い状況に絞ってブランド情報を表示することができる。
【0200】
〔第1実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10が提供される。このパチンコ機10は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有する。特に、ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とする。また、製造業者情報表示部510は、上記所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示する。
【0201】
このような本実施形態に係るパチンコ機10によれば、所定条件が成立した際にブランド情報を表示することで遊技者に当該ブランド情報を視覚的に認識させることができる。したがって、パチンコ機10の製造事業者と提供事業者が異なる場合であっても、遊技者が製造事業者を提供事業者と誤認する事態を防止することができる。一方で、所定条件が不成立の際には、ブランド情報を非表示とすることで、製造業者に関する情報を求める管理者に対しては、ブランド情報を視認させずに製造業者情報のみを視認させることができ、当該製造業者情報の認識度を高めることができる。したがって、パチンコ機10の製造事業者と提供事業者が異なる場合であっても、管理者が提供事業者を製造事業者と誤認する事態を防止することができる。
【0202】
特に、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチンコ機10の電源がオンであることを含む。
【0203】
これによれば、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される電源オン時にブランド情報を表示させることができ、遊技者に対してブランド情報を視認させる機能を確実に発揮させることができる。このため、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高め、遊技者がパチンコ機10の製造事業者を提供事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0204】
さらに、本実施形態(より詳細には変形例)において、パチンコ機10の遊技状況は第1遊技状況(大当り状態の終了後、メインディスプレイ41におけるデモ画面表示中、及び遊技開始時など)、又は第1遊技状況とは異なる第2遊技状況(通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態など)をとる。そして、所定条件の成立はパチンコ機10の遊技状況が第1遊技状況であることを含み、所定条件の不成立はパチンコ機10の遊技状況が第2遊技状況であることを含む。
【0205】
これによれば、大当り終了直後などの遊技者に対して視覚上の注意を向けさせる遊技演出(メインディスプレイ41における演出など)の実行可能性が低い状況下においてブランド情報を表示することができる。すなわち、遊技者の視線が遊技演出に集中していない状態を狙ってブランド情報を表示することができるので、遊技者による当該ブランド情報(パチンコ機10の提供事業者)に対する認識度を高めることができる。また、遊技者に対して視覚を集中させる遊技演出の実行可能性が高い状況下においては、ブランド情報を非表示にすることができるので、当該ブランド情報の表示により遊技者の注意が遊技演出から逸らされた興趣を低下させる事態を防ぐことができる。
【0206】
さらに、本実施形態では、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aよりも大きく構成される。
【0207】
これにより、ブランド情報及び製造業者情報の双方が表示される場合においては、ブランド情報が相対的に大きく表示されるので、遊技者に対して製造業者情報よりもブランド情報を目立たせてより認識させやすくすることができる。このため、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高めることができ、遊技者がパチンコ機10の製造業者を提供業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0208】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態の説明においては先の実施形態で説明した要素と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0209】
図6は、第2実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチンコ機10の要部正面図である。また、図7は、図6のパチンコ機10における要部断面図である。
【0210】
図示のように、本実施形態のパチンコ機10において、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、遊技盤30よりも前方側の前扉20に設けられる。一方、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前扉20よりも後方側の遊技盤30に設けられている。すなわち、ブランド表示領域500aは、製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチンコ機10の前方側)にオフセットして配置されている。
【0211】
特に、ブランド表示領域500aは、透明なスクリーンに所定のイメージを投射して表示するいわゆる透明スクリーン、又は透明ディスプレイ(透過型液晶ディスプレイや透過型有機ELディスプレイ)により実現される。より具体的に、ブランド表示領域500aは、前扉20(特にカバーガラス14)の一部に形成される透明なスクリーンとして構成される。また、ブランド情報表示装置500bは、遊技制御装置100からの指令に応じて、前扉20に透明なスクリーンとして構成されたブランド表示領域500aにおいて、ブランド情報の表示と非表示を切り替えるための投影装置により構成される。なお、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aをいわゆるAR(Augmented Reality)表示が可能となる透明なスクリーンとして構成し、ブランド情報表示装置500bを当該ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を含む画像の表示と非表示を切り替え可能な処理を行う所定のソフトウェア及び/又はハードウェアにより構成しても良い。
【0212】
製造業者表示領域510aは、遊技盤30の表面に貼付された、製造業者情報が記載されたシール若しくは紙部材等として構成される。なお、製造業者表示領域510aを、遊技盤30の表面に直接表記される製造業者情報を含む領域としても良い。
【0213】
さらに、本実施形態では、ブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して前後方向(遊技者から見てパチンコ機10の手前から奥の方向)において重なって配置されている。換言すると、ブランド表示領域500aは、パチンコ機10の前方から見て、製造業者表示領域510aの全体を隠すように配置されている。
【0214】
そして、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブランド情報表示装置500bは、所定条件の成立時(特に電源オン時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を表示する(図6(A)及び図7(A)参照)。一方、ブランド情報表示装置500bは、所定条件の不成立時(特に電源オフ時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を非表示とする(図6(B)及び図7(B)参照)。
【0215】
これによれば、電源オン時にブランド表示領域500aでブランド情報を表示することで、当該ブランド表示領域500aの後方に配置されている製造業者表示領域510aの前方から視認を遮ることができる。したがって、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される電源オン時には、実質的にパチンコ機10の外部(特に前方)からブランド情報のみが視認可能(製造業者情報が視認不可能)な状態とすることができる。
【0216】
一方、電源オフ時には、製造業者表示領域510aにおいてブランド情報を非表示とすることで、当該ブランド表示領域500aの後方に配置されている製造業者表示領域510aに対する前方からの視認性が確保されることとなる。したがって、管理者による管理業務の実行が想定される電源オフ時には、実質的にパチンコ機10の外部(特に前方)から製造業者情報のみを視認可能(ブランド情報が視認不可能)な状態とすることができる。
【0217】
なお、図7では、ブランド表示領域500aが、パチンコ機10の前後方向において、製造業者表示領域510aの全体に重なる(オーバーラップ)する例を示した。一方で、機種ごとに異なる装飾のレイアウトなどを考慮して、パチンコ機10の前後方向において、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aが製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して部分的に重なる構成を採用しても良い。この場合であっても、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報が表示されている際に、遊技者による製造業者情報に対する視認性を一定程度阻害して、遊技者に対してブランド情報の表示を強調することができる。
【0218】
〔変形例〕
本変形例では、第1実施形態の変形例と同様に、パチンコ機10の電源がオンであることを前提とし、所定条件の成立を遊技状況が第1遊技状況であることと定め、所定条件の不成立を遊技状況が第2遊技状況であることと定める。これによれば、パチンコ機10の電源がオンであることを前提とした上で、特に大当り終了直後及び遊技開始時などの、遊技者に対して視覚上の注意を向けさせる遊技演出が実行可能性の低い状況に絞ってブランド情報を表示することができる。
【0219】
〔第2実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10が提供される。このパチンコ機10は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有する。特に、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチンコ機10の手前側)にオフセットして配置される。
【0220】
このような本実施形態に係るパチンコ機10によれば、ブランド情報及び製造業者情報の双方が表示されている場合において、ブランド情報が相対的に遊技者に近い位置で表示されることとなるので、遊技者によるブランド情報の視覚認識効果をより高めることができる。このため、遊技者による製造業者とブランド情報との間の誤認をより確実に防止することができる。
【0221】
また、本実施形態では、ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とする。一方、製造業者情報表示部510は、上記所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示する。
【0222】
これにより、所定条件が成立する際には、製造業者情報の製造業者表示領域510aに対して遊技者により近い位置でブランド情報を表示することとなる。したがって、遊技者によるブランド情報の視覚認識効果をより高めることができ、遊技者が当該ブランド情報により表される提供業者等と製造業者とを混同する事態をより確実に回避することができる。一方、所定条件が不成立である際には、ブランド情報を非表示とすることで、遊技者からより離れた位置の製造業者情報の製造業者表示領域510aに対する視認性を確保することができる。このため、管理者による製造業者情報の目視確認をより容易にすることができる。
【0223】
特に、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチンコ機10の電源がオンであることを含む。
【0224】
これによれば、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される電源オン時にブランド情報を表示させることができ、遊技者に対してブランド情報を視認させる機能を確実に発揮させることができる。このため、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高め、遊技者がパチンコ機10の製造事業者を提供事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0225】
さらに、本実施形態の変形例では、パチンコ機10の遊技状況は第1遊技状況(大当り状態の終了後、メインディスプレイ41におけるデモ画面表示中、及び遊技開始時など)、又は第1遊技状況とは異なる第2遊技状況(通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態など)をとる。そして、所定条件の成立はパチンコ機10の遊技状況が第1遊技状況であることを含み、所定条件の不成立はパチンコ機10の遊技状況が第2遊技状況であることを含む。
【0226】
これによれば、第1実施形態(特にその変形例)におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0227】
なお、上述した第2実施形態からは以下の技術的思想(以下、「技術的思想X1」と称する)も把握することができる。すなわち、下記の技術的思想X1は、本願の当初明細書等に記載された事項に含まれる。
【0228】
(技術的思想X1)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有し、
ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチンコ機10の前方側)にオフセットし、当該製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチンコ機10の前後方向において少なくとも部分的に重なって(オーバーラップして)配置され、
ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とし、
製造業者情報表示部510は、所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示するパチンコ機10。
【0229】
これにより、所定条件の成立時には、遊技者から見てブランド情報を製造業者情報に重ねて表示して、ブランド情報の表示を製造業者情報よりも強調することができる。このため、遊技者によるパチンコ機10とそのブランド(提供事業者)との関連性に対する認知度をより高めることができる。したがって、パチンコ機10の提供事業者と製造事業者が異なる場合においても、遊技者がパチンコ機10の製造事業者を提供事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。一方、所定条件の不成立時には、ブランド情報を非表示とすることで製造業者情報に対する視認性を確保することができる。このため、製造業者情報の表示をより強調して管理者によるパチンコ機10とその製造事業者との関連性に対する認知度をより高めることができる。したがって、パチンコ機10の製造事業者と提供事業者が異なる場合においても、管理者がパチンコ機10の提供事業者を製造事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0230】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチンコ機10の要部正面図である。
【0231】
図示のように、本実施形態のパチンコ機10(特に前扉20)には、可動体511が設けられる。可動体511は、例えば、パチンコ機10の遊技内容に関連する所定の創作的要素(キャラクタやオブジェクトなど)を模した形状に構成される。すなわち、可動体511は、当該パチンコ機10の外観を装飾する部材として機能する。特に、可動体511は、製造業者情報の製造業者表示領域510aに対して前後方向において重なる第1位置P1及び製造業者表示領域510aに対して前後方向において重ならない第2位置P2の何れかの位置をとるように可動する。
【0232】
可動体511は、例えば遊技制御装置100による制御の下、第1位置P1と第2位置P2の間で移動する。より具体的に、遊技制御装置100は、第1実施形態又は第2実施形態で説明した所定条件の成立時(より詳細には電源オン時)に、可動体511を第1位置P1に位置させる。すなわち、遊技制御装置100は、パチンコ機10の電源がオンとされたことを示す信号(例えば電源投入時に電源装置400で生成されるリセット信号)を検知すると、可動体511を駆動して第2位置P2から第1位置P1に移動させる(図8(A)参照)。また、遊技制御装置100は、所定条件の不成立時(より詳細には電源オフ時)に、可動体511を第2位置P2に位置させる。すなわち、遊技制御装置100は、パチンコ機10の電源電圧が一定値以下となったことを示す信号(例えば電圧低下時に電源装置400で生成される停電監視信号)を検知すると、可動体511を駆動して第1位置P1から第2位置P2に移動させる(図8(B)参照)。
【0233】
したがって、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される電源オン時において、可動体511が第1位置P1に位置して製造業者表示領域510aの前方からの視認を妨げることとなる。すなわち、可動体511が、製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段として機能する。このため、電源オン時には、遊技者による製造業者表示領域510a(製造業者情報)への視認を阻害して、ブランド表示領域500a(ブランド情報の表示)をより強調することができる。
【0234】
なお、可動体511の位置を、遊技制御装置100に代えて演出制御装置300の制御の下で調節する構成を採用しても良い。
【0235】
〔変形例〕
図9は、第3実施形態の変形例におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチンコ機10の要部正面図である。図示のように、本変形例では、上記の可動体511に代えて調光窓512を阻害手段として機能させる態様について説明する。
【0236】
図示のように、調光窓512は、前扉20のカバーガラス14の一部領域として構成され、遊技盤30に設けられた製造業者表示領域510aに対してパチスロ機80の前後方向において重なる位置に設けられている。特に、本実施形態では、調光窓512の面積が製造業者表示領域510aの面積よりも大きく構成されることにより、パチンコ機10の前方から見て、調光窓512が製造業者表示領域510aの全体に重なる(オーバーラップする)構造をとっている。
【0237】
調光窓512は、所定条件(特に、パチンコ機10の電源のオン及びオフ)に応じて屈折率(透過率)を制御可能な部材により構成される。より詳細に、調光窓512は、当該調光窓512に対する通電時に不透明状態となり、非通電時に透明状態となる調光フィルムなどにより実現することができる。
【0238】
したがって、本変形例のパチンコ機10では、所定条件の成立時(例えば電源オン時)においてはブランド表示領域500aにブランド情報が表示されるとともに、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに重なる調光窓512が不透明状態となり、当該製造業者表示領域510a(製造業者情報)に対する視認性が阻害される(図9(A)参照)。このため、電源オン時には、遊技者に対して、製造業者表示領域510aへの視認を阻害して、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示をより強調することができる。したがって、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高めることができる。
【0239】
一方、電源オフ時においては調光窓512が透明状態となることで、製造業者表示領域510aに対する視認性が確保されることとなる(図9(B)参照)。このため、電源オフ時には、実質的にパチンコ機10の外部(特に前方)から製造業者情報のみが視認可能な状態とすることができ、製造業者情報の表示をより強調して管理者によるパチンコ機10とその製造事業者との関連性に対する認知度をより高めることができる。
【0240】
なお、図9では、調光窓512が、パチンコ機10の前後方向において、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aの全体に重なる(オーバーラップ)する例を示した。一方で、機種ごとに異なる装飾のレイアウトなどを考慮して、パチンコ機10の前後方向において、調光窓512が、製造業者表示領域510aに対して部分的に重なる構成を採用しても良い。この場合であっても、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報が表示されている際に、遊技者による製造業者情報に対する視認性を一定程度阻害して、遊技者に対してブランド情報の表示を強調することができる。
【0241】
〔第3実施形態の作用効果〕
本実施形態又は上記変形例によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10が提供される。このパチンコ機10は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(前方側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段(511、512)と、を有する。
【0242】
このような本実施形態又は上記変形例に係るパチンコ機10によれば、所定条件が成立する際には、阻害手段によって製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対するパチンコ機前方からの視認が妨げられることとなる。したがって、遊技者に対しブランド情報の表示を製造業者情報の表示によりも目立たせることができる。したがって、遊技者が製造事業者を提供事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0243】
特に、本実施形態の阻害手段は、パチンコ機10の外観を装飾する機能を有する阻害部材(可動体511)を含む。
【0244】
これにより、阻害手段の機能を、パチンコ機10の外観を装飾する部材により実現することができるので、当該機能を実現するための専用部品の追加が不要となる。特に、パチンコ機10の外観を装飾する部材を利用することで、追加の専用部品を設けることによって外観の美観を損なう事態が回避され、当該パチンコ機10の遊技内容に紐づけられた遊技者に与えるべきコンセプトやテーマを損なうことによる興趣の低下を防ぐことができる。
【0245】
さらに、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチンコ機10の電源がオンであることを含む。
【0246】
これによれば、遊技者がパチンコ機10に視線を向けていることが想定される電源オン時に製造業者情報の表示に対する視認性を妨げ、ブランド情報の表示をより目立たせることができる。このため、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高め、遊技者がパチンコ機10の製造事業者を提供事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0247】
[第4実施形態]
図10は、第4実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチンコ機10の要部正面図である。
【0248】
図示のように、本実施形態のパチンコ機10において、ブランド情報表示部500におけるブランド表示領域500aは、メインディスプレイ41の画面領域の一部として構成される。また、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示させるためのブランド情報表示装置500bの機能は、図4に示す演出制御装置300(特に、制御用マイコン311、VDP312、画像ROM325、及びVRAM326など)により実現することができる。
【0249】
一方、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、遊技盤30の遊技領域32における下方(特に、始動入賞口36に対して図上左側)に設けられている。特に、製造業者表示領域510aは、当該遊技領域32における下方の領域に貼付された、製造業者情報の記載されたシール若しくは紙部材等により構成される。なお、製造業者表示領域510aを、遊技領域32における下方に直接表記される製造業者情報を含む領域として構成しても良い。
【0250】
さらに、本実施形態のパチンコ機10では、前扉20のカバーガラス14の一部に装飾窓513が設けられている。装飾窓513は、パチンコ機10の遊技内容に関連する創作的要素(キャラクタやオブジェクトなど)が描かれた不透明領域として構成される。すなわち、装飾窓513は、当該パチンコ機10の外観を装飾する部材として機能する。また、装飾窓513は、前扉20が閉塞されている状態で、製造業者表示領域510aに対して前後方向で重なる位置に設けられている。特に、本実施形態では、装飾窓513の面積が製造業者表示領域510aの面積よりも大きく構成されることにより、パチンコ機10の前方から見て、装飾窓513が製造業者表示領域510aの全体に重なる(オーバーラップする)構造をとっている。
【0251】
そして、本実施形態においては、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示と非表示を切り替えるための所定条件として、前扉20の開閉状態を規定する。より詳細には、所定条件の成立を、前扉20が閉塞状態であることと定める。
【0252】
すなわち、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では演出制御装置300)は、前扉20が閉塞されている場合に、メインディスプレイ41のブランド表示領域500aにブランド情報を表示させる。したがって、前扉20の閉塞時には、メインディスプレイ41にブランド情報が表示されるとともに、カバーガラス14上でメインディスプレイ41から離れた場所にある装飾窓513が、遊技盤30に設けられた製造業者表示領域510aに対する前方からの視認を遮ることとなる(図10(A)参照)。このため、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される前扉20の閉塞時には、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示に対する視認性を確保しつつ、製造業者表示領域510aにおける製造業者情報への視認性を阻害することができる。
【0253】
一方、所定条件の不成立を、前扉20が開放状態であることと定める。すなわち、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では演出制御装置300)は、前扉20が開放されている場合に、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報を非表示とする。したがって、前扉20が開放されていると、メインディスプレイ41のブランド情報が非表示になるとともに、装飾窓513が製造業者表示領域510aの前方から離れて製造業者情報に対する視認性が確保されることとなる(図10(B)参照)。このため、管理者による管理業務の実行が想定される前扉20の開放時には、製造業者表示領域510aにおける製造業者情報の表示に対する視認性を高めることができる。
【0254】
なお、前扉20が閉塞状態及び開放状態のいずれであるかの判定は、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では演出制御装置300)が、図示しない扉開閉センサの出力信号を参照して実行することができる。一方で、演出制御装置300が、遊技制御装置100から前扉20の開閉状態を示す情報(フラグやコマンド)を受信し、当該情報に基づいて前扉20の開閉状態を判別する構成を採用しても良い。この場合、例えば、遊技制御装置100が扉開閉センサの出力信号を受信して、当該出力信号から前扉20の開閉状態を示すフラグを生成して演出制御装置300に出力する構成をとることができる。
【0255】
また、図10(A)では、装飾窓513が、パチンコ機10の前後方向において、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aの全体に重なる(オーバーラップ)する例を示した。一方で、機種ごとに異なる装飾のレイアウトなどを考慮して、パチンコ機10の前後方向において、装飾窓513が、製造業者表示領域510aに対して部分的に重なる構成を採用しても良い。この場合であっても、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報が表示されている際に、遊技者による製造業者情報に対する視認性を一定程度阻害して、遊技者に対してブランド情報の表示を強調することができる。
【0256】
〔第4実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10が提供される。このパチンコ機10は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチンコ機10の手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有する。特に、阻害手段は、上記所定条件が成立してもブランド情報表示部500のブランド表示領域500aに対する視認性を阻害しないように構成される。
【0257】
このような本実施形態に係るパチンコ機10によれば、阻害手段によって製造業者表示領域510a(製造業者情報)に対する前方からの視認を妨げて、ブランド情報のブランド表示領域500a(ブランド情報)をより目立たせることができる。したがって、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより高めることができ、遊技者が製造事業者を提供事業者と誤認する事態を防止することができる。
【0258】
特に、本実施形態の阻害手段は、パチンコ機10の外観を装飾する機能を有する阻害部材(装飾窓513)を含む。
【0259】
これにより、阻害手段の機能を、パチンコ機10の外観を装飾する部材により実現することができるので、当該機能を実現するための専用部品の追加が不要となる。特に、パチンコ機10の外観を装飾する部材を利用することで、追加の専用部品を設けることによって外観の美観を損なう事態が回避され、当該パチンコ機10の遊技内容に紐づけられた遊技者に与えるべきコンセプトやテーマを損なうことによる興趣の低下を防ぐことができる。
【0260】
また、本実施形態における阻害手段は、所定条件が不成立(前扉20の開放時)であると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害しないように構成されている。
【0261】
これにより、管理者による管理業務の実行が想定されるなどの特定の状況下において、製造業者情報の製造業者表示領域510aに対する視認性の阻害を解除することができる。このため、管理者による製造業者情報に対する視認を容易にして、管理者がパチンコ機10の提供事業者を製造事業者と誤認する事態をより確実に防止することができる。
【0262】
さらに、本実施形態では、所定条件の成立は、前扉20が閉塞されていることを含む。
【0263】
これにより、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される前扉20の閉塞時において、遊技者による製造業者表示領域510aにおける製造業者情報への視認性を阻害することができる。したがって、遊技者によるパチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度をより確実に高めることができ、遊技者が製造事業者を提供事業者と誤認する事態を防止することができる。
【0264】
〔変形例〕
第4実施形態のパチンコ機10における変形例として、上記の阻害手段を、所定条件が不成立であっても(前扉20の開放時であっても)、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害するように構成しても良い。例えば、製造業者情報が記載されたシール若しくは紙部材等として構成される製造業者表示領域510aが、パチンコ機10の前方から見て前扉20の構成部材によって部分的に重なる構造(製造業者情報の表示の少なくとも一部が前方から見て隠れている構造)を採用しても良い。
【0265】
これにより、前扉20の開閉状態に関わらず、ブランド表示領域500a(ブランド情報)を製造業者表示領域510a(製造業者情報)に対して常に優先的に強調して目立たせることができる。したがって、業務として管理を行う管理者よりもユーザである遊技者の事情(パチンコ機10とその提供事業者との関連性に対する認知度の向上)を優先させることができる。
【0266】
なお、上述した第4実施形態からは、さらに以下の2つの技術的思想(それぞれ「技術的思想X2」、「技術的思想X3」と称する)を把握することができる。すなわち、下記の技術的思想X2及び技術的思想X3は、本願の当初明細書等に記載された事項に含まれる。
【0267】
(技術的思想X2)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前扉20が開閉可能に取り付けられた遊技機本体(遊技盤30)に設けられており、
阻害手段は、前扉20に設けられ、前扉20が閉塞状態であるときに製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチンコ機10の前後方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置される阻害部材(装飾窓513)により構成されるパチンコ機10。
【0268】
これにより、前扉20が閉塞状態であるときには装飾窓513が製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに重なって当該製造業者表示領域510aに対する視認性が阻害されることとなる。したがって、遊技者がパチンコ機10に視線を向けて着席することが想定される前扉20の閉塞時において、ブランド情報の表示を強調して遊技者が製造事業者を提供事業者と誤認する事態を防止することができる。一方、前扉20が開放状態であるときには装飾窓513が上記製造業者表示領域510aから離れて製造業者情報に対する視認性が確保されることとなる。このため、管理者による管理業務の実行が想定される前扉20の開放時においては、製造業者情報の表示を強調して遊技者が提供事業者を製造事業者と誤認する事態を防止することができる。
【0269】
(技術的思想X3)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチンコ機10)に紐づくブランド情報を表示可能なパチンコ機10であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前扉20に設けられ、
阻害手段は、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチンコ機10の前後方向において少なくとも部分的に重なり、且つブランド情報表示部500のブランド表示領域500aとは重ならない位置に配置される阻害部材(装飾窓513)により構成されるパチンコ機10。
【0270】
これにより、装飾窓513が前扉20の製造業者表示領域510aに重なる一方でブランド表示領域500aとは重ならないので、ブランド表示領域500a(ブランド情報)に対する視認性を確保しつつ、製造業者表示領域510a(製造業者情報)に対する視認性を阻害することができる。したがって、ブランド情報の表示を強調して、遊技者が提供事業者を製造事業者と誤認する事態を防止することができる。
【0271】
[第5実施形態]
以下で説明する第5~第8実施形態では、遊技機の一例としてパチスロ機80を前提とした場合の各構成について説明する。
【0272】
(パチスロ機80の全体構成)
図11はパチスロ機80の前面側から見た図であり、図12は前面扉81を除いたパチスロ機80(以下、「本体部82」と称する)を正面から見た図である。なお、本実施形態に係るパチスロ機80としては、実物の遊技媒体(メダル)を使用せずに遊技を進行可能ないわゆるスマスロと呼ばれるタイプのスロットマシンを想定している。そのため、パチスロ機80は、従来の実物メダルを使用するスロットマシンが標準的に備えているメダル投入口やメダル排出口等の実物メダルを使用する際に必要な構造を有していない。一方で、以降の実施形態で説明する各構成は、実物の遊技媒体(メダル)を使用するスロットマシンに対しても適用可能である。
【0273】
パチスロ機80は、本体部82と、ヒンジ部83(図12では本体部82の左縁側に4か所設けられている)を介して当該本体部82に回動開閉可能に軸支された前面扉81と、を有する。
【0274】
特に図11に示すように、前面扉81の前面側には、リール枠84(左リール枠84L、中リール枠84C、右リール枠84R)、液晶パネル85、下パネル86、ベットボタン87aやメニュー選択ボタン等の操作ボタン類87、上スピーカ88(左上スピーカ88L、右上スピーカ88R)、下スピーカ89(左下スピーカ89L、右上スピーカ89R)、及び図示しない各種LED類(メダル枚数表示ランプや状態表示ランプ)などが設けられている。
【0275】
リール枠84は、前面扉81が閉塞された状態において、本体部82に内蔵されたリール90(左リール90L、中リール90C、右リール90R)の前面に対向する位置に形成される透明な窓枠である。すなわち、遊技者等は、パチスロ機80の外部(特に前方)からリール枠84を介してリール90を視認することができる。
【0276】
液晶パネル85には、パチスロ機80の遊技内容に応じた所定の画像(演出画像等)が表示される。特に、液晶パネル85は、前面扉81の裏面側(背面側)に設けられる副制御基板94(図12に破線で示す)による制御の下、所定の画像が表示される。
【0277】
下パネル86は、その表面にパチスロ機80の機種名や、機種に登場するキャラクタをモチーフとする絵柄などが描かれている。特に、下パネル86の裏面側(背面側)に設置されたバックライト(図示せず)の点灯によって描かれた絵柄などが視認しやすくなる。
【0278】
なお、本実施形態において、下パネル86の下部(図11における左下スピーカ89Lの直上位置)に、ブランド情報表示部500の製造業者表示領域510a及び製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aが設けられている。なお、これらブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510の構成については後に詳細に説明する。
【0279】
操作ボタン類87は、遊技に使用する遊技媒体の数を定めるベットボタン87a、遊技を開始させる契機として遊技者の操作を受け付けるスタートレバー87b、及び各リール90を停止させるための停止操作を受け付けるストップボタン87c(87cL、87cC、87cR)などにより構成される。
【0280】
上スピーカ88及び下スピーカ89は、副制御基板94による制御の下、パチスロ機80の遊技内容に応じた所定の音声(キャラクタのセリフや関連する楽曲など)を出力する。
【0281】
また、図12に示すように、パチスロ機80の本体部82には、リール90(左リール90L、中リール90C、右リール90R)、電源装置91、主制御基板92、設定装置93、及び遊技媒体数制御基板95などが設けられている。
【0282】
リール90は、左リール90L、中リール90C、及び右リール90Rから構成される。各左リール90L、中リール90C、及び右リール90Rは、図示しないステッピングモータによって回動可能に構成されている。また、左リール90L、中リール90C、及び右リール90Rには、それぞれ、複数種類の図柄が施されている。これにより、各リール90を回転させることによって、前面扉81のリール枠84を介して前方から視認可能となる図柄が変動する。また、各リール90の回転は、それぞれに対応したストップボタン87cに対する操作が検出されると、遊技が開始されたタイミング(スタートレバー87bに対する操作が検出されたタイミング)で実行される内部当選役抽選の結果などに応じて、即座に又は所定のコマ数の移動(すべり)を伴って停止する。
【0283】
電源装置91は、パチスロ機80の各構成要素に対して電力供給するための装置である。電源装置91は、図示しない電源スイッチに対する操作によって起動又は停止が制御される。
【0284】
主制御基板92は、CPU、RAM、ROM、及び乱数回路等の電子部品が実装されたマイクロコンピュータにより構成される。主制御基板92は、各種センサや他の基板との間で送受信するデータや制御信号に基づく処理の実行により、遊技の進行に係る制御(設定値に応じた内部当選役の抽選、リール制御、入賞判定、及び遊技媒体数の増減に関する制御など)を実行する。なお、主制御基板92は、不正改造等の不正行為に対するセキュリティを高める観点から所定のケースに収容され、当該ケースには開放されると痕跡が残る所定の構造(封印シールやカシメ)が適用される。
【0285】
特に、主制御基板92は、スタートレバー87bに対する操作に応じて内部当選役の抽選を行い、当該抽選結果に応じて、パチスロ機80の遊技状態を複数の遊技モードの間で遷移させる。複数の遊技モードには、例えば、通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態が含まれる。通常遊技状態とは、遊技者にとって有利ではない(相対的にベース値の低い)通常の遊技状態である。また、特定遊技状態とは、通常遊技状態と同等のベース値、或いは特別遊技状態に比べて低いベース値ではあるものの、特別遊技状態への移行確率が優遇されるチャンスゾーン(CZ)などの遊技状態を意味する。さらに、特別遊技状態とは、遊技者にとって有利となる(相対的にベース値の高い)遊技状態である。特別遊技状態には、例えば、ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、ミドルボーナス(MB)、チャレンジボーナス(CB)、及びシングルボーナス(SB)等の各種のボーナス、並びにリプレイタイム(RT)、アシストタイム(AT)、アシストリプレイタイム(ART)、及びチャレンジタイム(CT)などの特定の高ベース遊技状態が含まれる。
【0286】
設定装置93は、設定値を変更するための設定変更処理、及び既に設定されている設定値を確認するための設定確認処理を行わせるための装置であり、設定キースイッチ、設定変更スイッチ、及び設定表示LEDなどを備えている。
【0287】
副制御基板94は、CPU、RAM、ROM、及びROM等の電子部品が実装されたマイクロコンピュータにより構成される。副制御基板94は、主制御基板92の指令に応じて、各種演出デバイスの作動(特に、液晶パネル85の表示、下パネル86のバックライトの点灯・非点灯、及びスピーカ88,89の出力音声)、メダル枚数表示ランプの表示、及びその他の図示しない装飾ランプ類の表示を制御する。特に、副制御基板94は、主制御基板92の指令に応じ、適宜、液晶パネル85に遊技内容に関連する演出画像表示及びデモ画面表示などを実行する。
【0288】
遊技媒体数制御基板95は、CPU、RAM、及びROM等の電子部品が実装されたマイクロコンピュータにより構成される。遊技媒体数制御基板95は、主制御基板92、及びパチスロ機80の外部にある遊技者の保有遊技媒体数を管理するための専用ユニットと双方向通信で接続されており、これらの間の通信により、遊技媒体数の収支を電子的に管理可能に構成されている。また、遊技媒体数制御基板95は、副制御基板94に対しての一方向通信可能に接続されており、遊技媒体数に関する各種情報(例えば、クレジットの値やベット数など)を副制御基板94に送信可能に構成されている。
【0289】
(ブランド情報表示部及び製造業者情報表示部)
図13は、第5実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチスロ機80の要部正面図である。
【0290】
図示のように、本実施形態のブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、前面扉81(特に下パネル86)の一部に設けられ、ブランド情報を電磁的方法により表示させる領域(例えば、専用の液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はLEDディスプレイ等)により構成される。また、ブランド情報表示装置500bは、主制御基板92からの指令に応じて、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する装置として構成される。
【0291】
一方、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、下パネル86の表面に貼付され、製造業者情報(製造事業者の名称)の記載されたシール若しくは紙部材等により構成される。なお、製造業者表示領域510aを、下パネル86の表面に直接表記される製造業者情報を含む領域として構成しても良い。
【0292】
また、本実施形態では、ブランド表示領域500aの面積が製造業者表示領域510aの面積よりも大きく構成されるとともに、これらが並んで下パネル86に配置されている。
【0293】
そして、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、ブランド情報表示部500(より詳細にはブランド情報表示装置500b)は、予め定められる所定条件の成立時(特にパチスロ機80の電源オン時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を表示する(図13(A)参照)。一方、ブランド情報表示装置500bは、所定条件の不成立時(特にパチスロ機80の電源オフ時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を非表示とする(図13(B)参照)。
【0294】
より具体的に、本実施形態において、主制御基板92は、パチスロ機80の電源がオンとされたことを示す信号(例えば電源投入時に電源装置91で生成されるリセット信号)を検知すると、パチスロ機80の電源がオンとなったことを示すフラグ(電源オンフラグ)をブランド情報表示装置500bに送信する。また、主制御基板92は、パチスロ機80の電源電圧が一定値以下となったことを示す信号(例えば電圧低下時に電源装置91で生成される停電監視信号)を検知すると、パチスロ機80の電源がオフとなったことを示すフラグ(電源オフフラグ)をブランド情報表示装置500bに送信する。
【0295】
そして、ブランド情報表示装置500bは、主制御基板92から電源オンフラグを受信すると、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する。したがって、電源オン時にはブランド表示領域500aにおいてブランド情報が表示されて、パチスロ機80の外側(特に前方側)から視認可能な状態となる。すなわち、遊技者がパチスロ機80の前方で当該パチスロ機80に視線を向けて着席することが想定されるパチスロ機80の電源オン時には、ブランド表示領域500aにブランド情報が表示されることとなる。
【0296】
一方、ブランド情報表示装置500bは、主制御基板92から電源オフフラグを受信すると、ブランド表示領域500aのブランド情報を非表示にする。このため、管理者による管理業務の実行が想定されるパチスロ機80の電源オフ時には、ブランド情報が表示されずに製造業者情報のみが表示されている状態となる。
【0297】
〔変形例〕
本変形例では、上記の所定条件としてパチスロ機80の遊技状況に関する条件を定める。なお、「遊技状況」とは、電源オン時にパチスロ機80がとり得る遊技に関連する特定の動作状況である。特に、本変形例の遊技状況には、第1遊技状況と、第1遊技状況とは異なる第2遊技状況と、が含まれる。
【0298】
ここで、本変形例の「第1遊技状況」とは、遊技者の視覚を集中させる遊技演出(液晶パネル85で実行される予告やリーチなどの遊技演出表示)の実行可能性が低く、当該遊技者がブランド情報の表示に比較的意識を向けやすいと推定される遊技状況を意味する。具体的に第1遊技状況には、例えば、特別遊技状態(ボーナスやARTなど)の終了時、液晶パネル85におけるデモ画面表示中、及び遊技開始時(デモ画面表示状態でスタートレバー87bに対する操作を検知したとき)などが含まれる。なお、パチスロ機80をスマスロではなく、従来の実物メダルを使用するスロットマシンで構成した場合には、遊技開始時には、メダル投入口へのメダル投入が実行されたときが含まれていても良い。
【0299】
一方、「第2遊技状況」とは、遊技者の視覚を集中させる遊技演出の実行可能性が高く、遊技者がブランド情報の表示に比較的意識を向けにくいと推定される遊技状況を意味する。具体的に、第2遊技状況には、通常遊技状態、特定遊技状態(CZの実行中など)、及び特別遊技状態(ボーナス中又はART中など)などが含まれる。
【0300】
より具体的に、本変形例では、パチスロ機80の電源がオンであることを前提とし、所定条件の成立を遊技状況が第1遊技状況であることと定め、所定条件の不成立を遊技状況が第2遊技状況であることと定める。すなわち、ブランド情報表示装置500bは、遊技状況が第1遊技状況であると、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示する。一方、ブランド情報表示装置500bは、遊技状況が第2遊技状況であると、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報を非表示とする。
【0301】
なお、遊技状況が第1遊技状況であるか否かの判定は、ブランド情報表示装置500bが、上述した遊技者の視覚を集中させる遊技演出が実行されていないことを示唆する所定の情報(データ)を主制御基板92から受信したか否かに基づいて実行される。このデータには、例えば、特別遊技状態(ボーナスやARTなど)が終了したことを示すフラグ、デモ画面表示中に操作ボタン類87(ベットボタン87aやスタートレバー87bなど)に対する操作が行われた旨の検知信号が含まれる。
【0302】
また、遊技状況が第2遊技状況であるか否かの判定は、ブランド情報表示装置500bが、上述した遊技者の視覚を集中させる遊技演出の実行可能性を示唆する所定のデータを主制御基板92から受信したか否かに基づいて実行される。このデータには、例えば、パチスロ機80の現在の状態が通常遊技状態であることを示す信号、特定遊技状態(CZ中など)であることを示す信号、及び/又は特別遊技状態(ボーナス中やART中など)であることを示す信号が含まれる。
【0303】
本変形例によれば、パチスロ機80の電源がオンであることを前提とした上で、特にボーナスやARTの終了時及び遊技開始時などの、遊技者に対して視覚上の注意を向けさせる遊技演出が実行可能性の低い状況に絞ってブランド情報を表示することができる。
【0304】
〔第5実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80が提供される。このパチスロ機80は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有する。特に、ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とする。また、製造業者情報表示部510は、上記所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示する。
【0305】
特に、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチスロ機80の電源がオンであることを含む。
【0306】
さらに、本実施形態(特に変形例)において、パチスロ機80の遊技状況は第1遊技状況(特別遊技状態の終了時、液晶パネル85におけるデモ画面表示中、及び遊技開始時など)、又は第1遊技状況とは異なる第2遊技状況(通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態など)をとる。そして、所定条件の成立はパチスロ機80の遊技状況が第1遊技状況であることを含み、所定条件の不成立はパチスロ機80の遊技状況が第2遊技状況であることを含む。
【0307】
また、本実施形態では、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aよりも大きく構成される。
【0308】
上記の構成を有する第5実施形態のパチスロ機80によれば、第1実施形態におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0309】
[第6実施形態]
図14は、第6実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチスロ機80の要部正面図である。
【0310】
図示のように、本実施形態のパチスロ機80では、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aが、前扉20の下パネル86の裏面に設けられている。一方、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前扉20において下パネル86の後方に配されている下パネル支持体96に設けられている。すなわち、ブランド表示領域500aは、製造業者表示領域510aに対して遊技者側にオフセットして配置されている。より具体的に、ブランド表示領域500aは、相対的に前方側(遊技者から見て手前側)に位置する下パネル86に設けられる。また、製造業者表示領域510aは相対的に後方側(遊技者から見て奥側)に位置する下パネル支持体96に設けられている。
【0311】
特に、本実施形態におけるブランド表示領域500aは、下パネル86の一部に形成される透明なスクリーンにより構成される。また、ブランド情報表示装置500bは、主制御基板92からの指令に応じて、下パネル86に透明なスクリーンとして構成されたブランド表示領域500aにおいて、ブランド情報の表示と非表示を切り替えるための投影装置により構成される。なお、下パネル86上のブランド表示領域500aをいわゆるAR(Augmented Reality)表示が可能となる透明なスクリーンとして構成し、ブランド情報表示装置500bを当該ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を含む画像の表示と非表示を切り替え可能な処理を行う所定のソフトウェア及び/又はハードウェアにより構成しても良い。
【0312】
製造業者表示領域510aは、下パネル支持体96の表面に貼付された、製造業者情報が記載されたシール若しくは紙部材等として構成される。なお、製造業者表示領域510aを、下パネル支持体96の表面に直接表記される製造業者情報を含む領域としても良い。
【0313】
さらに、本実施形態では、ブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して前後方向(遊技者から見てパチスロ機80の手前から奥の方向)において重なって配置されている。換言すると、ブランド表示領域500aは、パチスロ機80の前方から見て、製造業者表示領域510aを隠すように配置されている。
【0314】
そして、ブランド情報表示装置500bは、第1実施形態と同様に、所定条件の成立時(特に電源オン時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を表示する(図14(A)参照)。一方、ブランド情報表示装置500bは、所定条件の不成立時(特に電源オフ時)に、ブランド表示領域500aにおいてブランド情報を非表示とする(図14(B)参照)。
【0315】
これによれば、電源オン時にブランド表示領域500aでブランド情報を表示することで、当該ブランド表示領域500aの後方に配置されている製造業者表示領域510aの前方から視認を遮ることができる。したがって、遊技者がパチスロ機80に視線を向けて着席することが想定される電源オン時には、実質的にパチスロ機80の外部(特に前方)からブランド情報のみを視認可能(製造業者情報が視認不可能)な状態とすることができる。
【0316】
一方、電源オフ時には、製造業者表示領域510aにおいてブランド情報を非表示とすることで、当該ブランド表示領域500aの後方に配置されている製造業者表示領域510aに対する前方からの視認性が確保されることとなる。したがって、管理者による管理業務の実行が想定される電源オフ時には、実質的にパチスロ機80の外部(特に前方)から製造業者情報のみが視認可能(ブランド情報が視認不可能)な状態とすることができる。
【0317】
〔変形例〕
本変形例では、第5実施形態の変形例と同様に、所定条件を、パチスロ機80の電源がオンであることを前提とし、所定条件の成立を遊技状況が第1遊技状況であることと定め、所定条件の不成立を遊技状況が第2遊技状況であることと定める。これによれば、パチスロ機80の電源がオンであることを前提とした上で、特にボーナスやARTの終了時及び遊技開始時などの、遊技者に対して視覚上の注意を向けさせる遊技演出が実行可能性の低い状況に絞ってブランド情報を表示することができる。
【0318】
〔第6実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80が提供される。このパチスロ機80は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有する。特に、ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチスロ機80の手前側)にオフセットして配置される。
【0319】
また、本実施形態では、ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とする。一方、製造業者情報表示部510は、上記所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示する。
【0320】
特に、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチスロ機80の電源がオンであることを含む。
【0321】
さらに、本実施形態(特に変形例)において、パチスロ機80の遊技状況は第1遊技状況(特別遊技状態の終了時、液晶パネル85におけるデモ画面表示中、及び遊技開始時など)、又は第1遊技状況とは異なる第2遊技状況(通常遊技状態、特定遊技状態、及び特別遊技状態など)をとる。そして、所定条件の成立はパチスロ機80の遊技状況が第1遊技状況であることを含み、所定条件の不成立はパチスロ機80の遊技状況が第2遊技状況であることを含む。
【0322】
上記の構成を有する第6実施形態のパチスロ機80によれば、第2実施形態におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0323】
なお、本実施形態からは以下の技術的思想(以下、「技術的思想X4」と称する)も把握することができる。すなわち、下記の技術的思想X4は、本願の当初明細書等に記載された事項に含まれる。
【0324】
(技術的思想X4)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、を有し、
ブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチスロ機80の手前側)にオフセットし、当該製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチンコ機10の前後方向において少なくとも部分的に重なって(オーバーラップして)配置され、
ブランド情報表示部500は、所定条件が成立するとブランド情報を表示し、所定条件が不成立であるとブランド情報を非表示とし、
製造業者情報表示部510は、所定条件の成立及び不成立に関わらず製造業者情報を表示するパチスロ機80。
【0325】
技術的思想X4に係るパチスロ機80により、第2実施形態で説明した技術的思想X1に係るパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0326】
[第7実施形態]
図15は、第7実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチスロ機80の要部正面図である。
【0327】
本実施形態のパチスロ機80では、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aが下パネル86の一部領域として構成される。特に、製造業者表示領域510aは、下パネル86におけるバックライトの点灯時(電源オン時)に製造業者情報を非表示とし、バックライトの消灯時(電源オフ時)に製造業者情報を表示可能な領域として構成される。より具体的に、製造業者表示領域510aは、例えば、光を照射していない状態で記載されている文字等が視認可能な状態で表れ、光を照射した状態では文字等が視認不能となるように光の屈折率を調節する凹凸を施したホログラム構造などにより実現することができる。なお、製造業者表示領域510aを、光(バックライト)を照射した状態において視認が妨げられる程度に高輝度となって文字等の視認し難くなるような構造(すなわち、眩しすぎて遊技者により製造業者情報が視認できなくなる構造)が採用されてもよい。
【0328】
これにより、遊技者がパチスロ機80に視線を向けて着席することが想定される電源オン時(特に下パネル86の点灯時)には、ブランド表示領域500aにブランド情報が表示されつつ、バックライトの光及び下パネル86の構造により製造業者情報に対する前方からの視認性が阻害されることとなる。したがって、遊技中の遊技者に対しては製造業者情報を視認しづらくさせてブランド情報の表示をより強調することができる。
【0329】
〔第7実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80が提供される。このパチスロ機80は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチスロ機80の前方側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段(バックライト及び下パネル86の一部)と、を有する。
【0330】
特に、本実施形態の阻害手段は、パチスロ機80の外観を装飾する機能を有する阻害部材(下パネル86の一部)を含む。さらに、本実施形態によれば、所定条件の成立は、パチスロ機80の電源がオンであることを含む。
【0331】
上記の構成を有する第7実施形態のパチスロ機80によれば、第3実施形態におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0332】
[第8実施形態]
図16は、第8実施形態におけるブランド情報表示部500及び製造業者情報表示部510を備えたパチスロ機80の要部正面図である。
【0333】
図示のように、本実施形態のブランド情報表示部500のブランド表示領域500aは、液晶パネル85の画面領域の一部として構成される。また、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示させるためのブランド情報表示装置500bの機能は、副制御基板94により実現される。より詳細には、副制御基板94が、液晶パネル85における画面表示制御の一部として、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示処理(特にブランド情報の表示と非表示)を実行可能に構成される。
【0334】
一方、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、本体部82におけるリール90の下方に設けられている。特に、本実施形態の製造業者表示領域510aは、前面扉81の閉塞時において、当該前面扉81の構成部材(図16では、ストップボタン87c付近の装飾部514)に対して前後方向で重なる位置に設けられている。
【0335】
そして、本実施形態においては、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示と非表示を切り替えるための所定条件として、前面扉81の開閉状態を規定する。より詳細には、所定条件の成立を、前面扉81が閉塞状態であることと定める。
【0336】
すなわち、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では副制御基板94)は、前面扉81が閉塞されている場合に、ブランド表示領域500aにブランド情報を表示させる。したがって、前面扉81の閉塞時には、液晶パネル85にブランド情報が表示されるとともに、液晶パネル85から離れた位置の装飾部514が、本体部82に設けられた製造業者表示領域510aに対する前方からの視認を遮ることとなる(図16(A)参照)。このため、遊技者がパチスロ機80に視線を向けて着席することが想定される前面扉81の閉塞時には、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報の表示に対する視認性を確保しつつ、製造業者表示領域510aにおける製造業者情報への視認性を阻害することができる。
【0337】
一方、所定条件の不成立を、前面扉81が開放状態であることと定める。すなわち、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では副制御基板94)は、前面扉81が開放されている場合に、ブランド表示領域500aにおけるブランド情報を非表示とする。したがって、前面扉81が開放されていると、液晶パネル85ブランド情報が非表示になるとともに、前面扉81の装飾部514が製造業者表示領域510aの前方から離れて製造業者情報に対する視認性が確保されることとなる(図16(B)参照)。このため、管理者による管理業務の実行が想定される前面扉81の開放時には、製造業者表示領域510aにおける製造業者情報の表示に対する視認性を高めることができる。
【0338】
なお、前面扉81が閉塞状態及び開放状態のいずれであるかの判定は、ブランド情報表示装置500b(本実施形態では副制御基板94)が、図示しない前面扉開閉センサの出力信号を参照して実行することができる。一方で、副制御基板94が、主制御基板92から前面扉81の開閉状態を示す情報(フラグやコマンド)を受信し、当該情報に基づいて前面扉81の開閉状態を判別する構成を採用しても良い。この場合、例えば、主制御基板92が前面扉開閉センサの出力信号を受信して、当該出力信号から前面扉81の開閉状態を示すフラグやコマンドを生成して副制御基板94に出力する構成をとることができる。
【0339】
〔第8実施形態の作用効果〕
本実施形態によれば、製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80が提供される。このパチスロ機80は、製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチスロ機80の手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有する。特に、阻害手段は、上記所定条件が成立してもブランド情報表示部500のブランド表示領域500aに対する視認性を阻害しないように構成される。
【0340】
特に、本実施形態の阻害手段は、パチスロ機80の外観を装飾する機能を有する阻害部材(装飾部514)を含む。
【0341】
また、本実施形態における阻害手段は、所定条件が不成立(前面扉81の開放時)であると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害しないように構成されている。
【0342】
さらに、本実施形態では、所定条件の成立は、前扉(前面扉81)が閉塞されていることを含む。
【0343】
上記の構成を有するパチスロ機80により、第4実施形態におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0344】
〔変形例〕
第8実施形態のパチスロ機80における変形例として、阻害手段を、所定条件が不成立であっても(前面扉81の開放時であっても)、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害するように構成しても良い。これにより、第4実施形態の変形例におけるパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0345】
なお、本実施形態からは以下の2つの技術的思想(それぞれ「技術的思想X5」、「技術的思想X6」と称する)も把握することができる。すなわち、下記の技術的思想X5及び技術的思想X6は、本願の当初明細書等に記載された事項に含まれる。
【0346】
(技術的思想X5)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(パチスロ機80の手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前面扉81が開閉可能に取り付けられた遊技機本体(本体部82)に設けられており、
阻害手段は、前面扉81に設けられ、前面扉81が閉塞状態であるときに製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチスロ機80の前後方向において少なくとも部分的に重なる位置に配置される阻害部材(装飾部514)により構成されるパチスロ機80。
【0347】
(技術的思想X6)
製造業者を識別するための製造業者情報及び遊技機(パチスロ機80)に紐づくブランド情報を表示可能なパチスロ機80であって、
製造業者情報を認識可能に表示する製造業者情報表示部510と、
ブランド情報を認識可能に表示するブランド情報表示部500と、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対して遊技者側(手前側)に設けられ、所定条件が成立すると、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段と、を有し、
製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aは、前面扉81に設けられ、
阻害手段は、製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対してパチスロ機80の前後方向において少なくとも部分的に重なり、且つブランド情報表示部500のブランド表示領域500aとは重ならない位置に配置される阻害部材(装飾部514)により構成されるパチスロ機80。
【0348】
技術的思想X5に係るパチスロ機80により、第4実施形態で説明した技術的思想X2に係るパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。また、技術的思想X6に係るパチスロ機80により、第4実施形態で説明した技術的思想X3に係るパチンコ機10による作用効果と同様の作用効果を実現することができる。
【0349】
〔その他の変形例〕
上述の各実施形態及びそれらの変形例に記載されていないその他の変形例について、以下にまとめて記載する。
(I)ブランド情報表示部500や製造業者情報表示部510に関する具体的態様については、適宜変更が可能である。
(I-1)ブランド情報表示部500におけるブランド表示領域500aを、ブランド情報が表記されたシール若しくは紙部材等の貼付、又はブランド情報を遊技機(パチンコ機10又はパチスロ機80)の構成部材に直接表記した領域として構成しても良い。
(I-2)製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aを電磁的方法(液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又はLEDディスプレイ等のデジタルデータを表示するための表示装置における表示可能領域)で表示する構成とし、製造業者表示領域510aにおける製造業者情報の表示(表示と非表示の切り替えなど)を制御するための構成を採用(別途の表示装置の追加、や主制御装置等の既存の制御装置への機能の組み込み)しても良い。
(I-3)パチスロ機80において、製造業者表示領域510aを本体部82における構成部品(例えば、主制御基板92)に設けても良い。また、パチンコ機10において、製造業者表示領域510aを内部の各種制御装置(制御基板)に設けても良い。
【0350】
(II)製造業者情報表示部510の製造業者表示領域510aに対する視認性を阻害する阻害手段の具体的構成についても、適宜変更が可能である。例えば、上記各実施形態及び各変形例では、阻害手段を遊技機(パチンコ機10又はパチスロ機80)の外観を装飾する機能を有する部材で構成する例について説明した。しかしながら、これに限られず、阻害手段の機能を実現し得る専用の構造又は装置を採用しても良い。
【0351】
なお、本発明は、以上説明した実施形態又は実施例に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。例えば、遊技制御装置100(主制御基板92)が実行している処理の一部を演出制御装置300(副制御基板94)が実行することもできるし、逆に演出制御装置300(副制御基板94)が実行している処理の一部を遊技制御装置100(主制御基板92)が実行することもできる。例えば、複数の実施形態や複数の変形例を種々に組合せることも可能である。また、本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び内容の範囲でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0352】
10 パチンコ機(遊技機)
14 カバーガラス
20 前扉
24 操作ハンドル
30 遊技盤
32 遊技領域
41 メインディスプレイ
80 パチスロ機
81 前面扉(前扉)
82 本体部
85 液晶パネル
86 下パネル
87 操作ボタン類
91 電源装置
92 主制御基板
94 副制御基板
96 下パネル支持体
100 遊技制御装置
300 演出制御装置
500 ブランド情報表示部
500a ブランド情報表示領域
500b ブランド情報表示装置
510 製造業者情報表示部
510a 製造業者情報表示領域
511 可動体(阻害手段、阻害部材)
512 調光窓(阻害手段、阻害部材)
513 装飾窓(阻害手段、阻害部材)
514 装飾部(阻害手段、阻害部材)

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