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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026098
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】分光ユニット及び分光モジュール
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/26 20060101AFI20240220BHJP
   G02B 26/00 20060101ALI20240220BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
G01J3/26
G02B26/00
G02B5/28
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194834
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2018204894の分割
【原出願日】2018-10-31
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】田畑 桂
(72)【発明者】
【氏名】武藤 雅昭
(57)【要約】
【課題】ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度を向上させることができる分光ユニット及び分光モジュールを提供する。
【解決手段】分光ユニット100は、筐体2と、筐体2に設けられた光入射部80と、筐体2内に配置され、互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有するファブリペロー干渉フィルタ10と、を備える。光入射部80は、アパーチャ71が形成されたアパーチャ部70と、アパーチャ71とファブリペロー干渉フィルタ10との間に配置されたバンドパスフィルタ14と、を有する。アパーチャ部70は、第1ミラー部及び第2ミラー部の対向方向である方向Aにおけるアパーチャ71の長さを方向Aに垂直な方向におけるアパーチャ71の幅で除した値が0.5以上となるように、構成されている。方向Aから見た場合に、アパーチャ71の外縁は、バンドパスフィルタ14の外縁の内側に位置している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられた光入射部と、
前記筐体内に配置され、互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有するファブリペロー干渉フィルタと、を備え、
前記光入射部は、アパーチャが形成されたアパーチャ部と、前記アパーチャと前記ファブリペロー干渉フィルタとの間に配置されたバンドパスフィルタと、を有し、
前記アパーチャ部は、前記第1ミラー部及び前記第2ミラー部の対向方向における前記アパーチャの長さを前記対向方向に垂直な方向における前記アパーチャの幅で除した値が0.5以上となるように、構成されており、
前記対向方向から見た場合に、前記アパーチャの外縁は、前記バンドパスフィルタの外縁の内側に位置している、分光ユニット。
【請求項2】
前記アパーチャ部は、前記アパーチャを通過して前記バンドパスフィルタを透過した前記光の全てが前記ファブリペロー干渉フィルタに入射するように、構成されている、請求項1に記載の分光ユニット。
【請求項3】
前記筐体内に配置され、前記ファブリペロー干渉フィルタを透過した光を検出する光検出器を更に備える、請求項1又は2に記載の分光ユニット。
【請求項4】
前記アパーチャの光入射開口及び光出射開口は、円形状を呈している、請求項1~3のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項5】
前記アパーチャの径は、前記光入射開口と前記光出射開口との間において一定である、請求項4に記載の分光ユニット。
【請求項6】
前記アパーチャの径は、前記光入射開口から前記光出射開口に向かって一定の変化率で変化している、請求項4に記載の分光ユニット。
【請求項7】
前記アパーチャの径は、前記光入射開口から前記光出射開口に向かって0以上の変化率で変化しており、
前記変化率は、前記光入射開口と前記光出射開口との間において連続しており、前記光入射開口と前記光出射開口との間の少なくとも一部において変化している、請求項4に記載の分光ユニット。
【請求項8】
前記アパーチャ内の領域は、空間である、請求項1~7のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項9】
前記筐体と別体で形成され、前記アパーチャ部が設けられたアパーチャ部材を更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項10】
前記アパーチャ部材には、前記筐体を位置決めする位置決め部が設けられている、請求項9に記載の分光ユニット。
【請求項11】
前記アパーチャ部材には、光源が配置される孔が形成されている、請求項9又は10に記載の分光ユニット。
【請求項12】
前記アパーチャ部材は、前記筐体を収容するパッケージの少なくとも一部を構成している、請求項9~11のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項13】
前記バンドパスフィルタは、前記筐体の一部を介して前記アパーチャ部から離間している、請求項9~12のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項14】
前記バンドパスフィルタは、前記アパーチャ部に接触している、請求項9~12のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項15】
前記アパーチャ部は、前記筐体と一体で形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項16】
前記アパーチャ部は、前記筐体と別体で形成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の分光ユニット。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の分光ユニットと、
光源と、
前記分光ユニットの前記筐体、及び前記光源を収容するパッケージと、を備え、
前記アパーチャの光入射開口及び前記光源の光出射部は、互いに隣り合うように前記パッケージの外表面に沿って配置されている、分光モジュール。
【請求項18】
前記アパーチャの前記光入射開口及び前記光源の前記光出射部は、前記外表面に形成された凹部内に位置している、請求項17に記載の分光モジュール。
【請求項19】
前記アパーチャは、前記凹部の第1部分の底面に形成されている、請求項18に記載の分光モジュール。
【請求項20】
前記第1部分よりも深い前記凹部の第2部分の底面には、前記光源が配置される孔が形成されている、請求項19に記載の分光モジュール。
【請求項21】
前記第2部分の前記底面と前記凹部の側面との間には、凹状の曲面が形成されている、請求項20に記載の分光モジュール。
【請求項22】
前記対向方向から見た場合に、前記孔は、前記アパーチャを含む大きさを有している、請求項20又は21に記載の分光モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分光ユニット及び分光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
対象物に照射する光を出射する光源と、対象物で反射された光又は対象物を透過した光を分光する分光ユニットと、分光ユニットによって分光された光を検出する光検出器と、を備える分光モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような分光モジュールによれば、例えば、対象物の成分を非破壊で分析することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-145643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような分光モジュールにおいては、分光ユニットにファブリペロー干渉フィルタが適用される場合がある。その場合に、ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度を向上させることは、例えば、対象物の成分の分析精度を向上させる上で極めて重要である。
【0005】
本発明は、ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度を向上させることができる分光ユニット及び分光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の分光ユニットは、筐体と、筐体に設けられた光入射部と、筐体内に配置され、互いの距離が可変とされた第1ミラー部及び第2ミラー部を有するファブリペロー干渉フィルタと、を備え、光入射部は、アパーチャが形成されたアパーチャ部と、アパーチャとファブリペロー干渉フィルタとの間に配置されたバンドパスフィルタと、を有し、アパーチャ部は、第1ミラー部及び第2ミラー部の対向方向におけるアパーチャの長さを対向方向に垂直な方向におけるアパーチャの幅で除した値が0.5以上となるように、且つアパーチャを通過した光の全てがバンドパスフィルタに入射するように、構成されている。
【0007】
この分光ユニットでは、アパーチャの長さをアパーチャの幅で除した値が0.5以上となるように、且つアパーチャを通過した光の全てがバンドパスフィルタに入射するように、アパーチャ部が構成されている。そのため、アパーチャを通過した光の全てが、その入射角度の範囲が狭められた状態でバンドパスフィルタに入射することになる。これにより、バンドパスフィルタが適切に機能し、所望の波長範囲の光が、その入射角度の範囲が狭められた状態でファブリペロー干渉フィルタに入射することになる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタによって得られる分光スペクトルにおいて分解能が向上する。よって、この分光ユニットによれば、ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ部は、アパーチャを通過してバンドパスフィルタを透過した光の全てがファブリペロー干渉フィルタに入射するように、構成されていてもよい。これによれば、筐体内において迷光が発生するのを抑制することができる。
【0009】
本発明の分光ユニットでは、対向方向から見た場合に、アパーチャの外縁は、ファブリペロー干渉フィルタの光透過領域の外縁の内側に位置していてもよい。これによれば、アパーチャを通過した光のうちファブリペロー干渉フィルタの光透過領域を透過する光の割合を増加させることができる。
【0010】
本発明の分光ユニットは、筐体内に配置され、ファブリペロー干渉フィルタを透過した光を検出する光検出器を更に備えてもよい。これによれば、迷光に起因するノイズの発生を抑制しつつ、分光された光を精度良く検出することができる。また、光検出器が筐体内に配置されているため、光検出器を備える分光ユニットの小型化を図ることができる。
【0011】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャの光入射開口及び光出射開口は、円形状を呈していてもよい。これによれば、所望の性能を有するアパーチャを容易に形成することができる。
【0012】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャの径は、光入射開口と光出射開口との間において一定であってもよい。或いは、アパーチャの径は、光入射開口から光出射開口に向かって一定の変化率で変化していてもよい。或いは、アパーチャの径は、光入射開口から光出射開口に向かって0以上の変化率で変化しており、変化率は、光入射開口と光出射開口との間において連続しており、光入射開口と光出射開口との間の少なくとも一部において変化していてもよい。これらの場合にも、所望の性能を有するアパーチャを容易に形成することができる。
【0013】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ内の領域は、空間であってもよい。これによれば、アパーチャを通過することによる光の損失を防止することができる。
【0014】
本発明の分光ユニットは、筐体と別体で形成され、アパーチャ部が設けられたアパーチャ部材を更に備えてもよい。これによれば、好適な材料の選択等、アパーチャ部の設計の自由度を向上させることができる。また、筐体に大きな光入射開口を形成することで筐体内におけるファブリペロー干渉フィルタの位置精度を緩和しつつ、アパーチャとファブリペロー干渉フィルタとの位置関係を調整することができる。
【0015】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ部材には、筐体を位置決めする位置決め部が設けられていてもよい。これによれば、振動等によってアパーチャとファブリペロー干渉フィルタとの位置関係にずれが生じるのを防止することができる。また、アパーチャ部及び位置決め部がアパーチャ部材に設けられているため、アパーチャ部と位置決め部との間の位置精度を確保することができる。
【0016】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ部材には、光源が配置される孔が形成されていてもよい。これによれば、孔及びアパーチャがアパーチャ部材に形成されているため、光源とアパーチャとの間の位置精度を確保することができる。
【0017】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ部材は、筐体を収容するパッケージの少なくとも一部を構成していてもよい。これによれば、筐体内において迷光が発生するのをより確実に抑制することができる。
【0018】
本発明の分光ユニットでは、バンドパスフィルタは、筐体の一部を介してアパーチャ部から離間していてもよい。これによれば、バンドパスフィルタが筐体内に配置されることになるため、物理的干渉等からバンドパスフィルタを保護することができる。
【0019】
本発明の分光ユニットでは、バンドパスフィルタは、アパーチャ部に接触していてもよい。これによれば、アパーチャを通過した光の全てをより確実にバンドパスフィルタに入射させることができる。
【0020】
本発明の分光ユニットでは、アパーチャ部は、筐体と一体で形成されていてもよい。これによれば、振動等によってアパーチャとファブリペロー干渉フィルタとの位置関係にずれが生じるのを単純な構成で防止することができる。
【0021】
本発明の分光モジュールは、上述した分光ユニットと、光源と、分光ユニットの筐体、及び光源を収容するパッケージと、を備え、アパーチャの光入射開口及び光源の光出射部は、互いに隣り合うようにパッケージの外表面に沿って配置されている。
【0022】
この分光モジュールによれば、ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度が向上した反射型の分光モジュールを実現することができる。
【0023】
本発明の分光モジュールでは、アパーチャの光入射開口及び光源の光出射部は、外表面に形成された凹部内に位置していてもよい。これによれば、アパーチャ部材の外表面を対象物に接触させた状態でも、凹部内の領域が光路として確保されるため、対象物への光の照射、及び対象物で反射された光の検出を実施することができる。
【0024】
本発明の分光モジュールでは、アパーチャは、凹部の第1部分の底面に形成されていてもよい。これによれば、アパーチャ部材の外表面を対象物に接触させた状態でも、対象物で反射された光をアパーチャに確実に入射させることができる。
【0025】
本発明の分光モジュールでは、第1部分よりも深い凹部の第2部分の底面には、光源が配置される孔が形成されていてもよい。これによれば、アパーチャ部材の外表面を対象物に接触させた状態でも、光源から出射された光を対象物に十分に照射することができる。
【0026】
本発明の分光モジュールでは、第2部分の底面と凹部の側面との間には、凹状の曲面が形成されていてもよい。これによれば、凹状の曲面で反射された光も対象物に照射されるため、光源から出射された光を対象物により十分に照射することができる。
【0027】
本発明の分光モジュールでは、対向方向から見た場合に、孔は、アパーチャを含む大きさを有していてもよい。これによれば、光源から出射された光を広範囲に渡って対象物に照射することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ファブリペロー干渉フィルタによる分光精度を向上させることができる分光ユニット及び分光モジュールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態の分光モジュールに適用される光検出装置の断面図である。
図2図2に示されるファブリペロー干渉フィルタの斜視図である。
図3図3に示されるIII-III線に沿っての断面図である。
図4】一実施形態の分光モジュールの側面図である。
図5図4に示される分光モジュールの一部分の断面図である。
図6図4に示される分光モジュールの一部分の底面図である。
図7図5に示される分光ユニットの断面図である。
図8】変形例のアパーチャ部の断面図である。
図9】変形例の光入射部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[光検出装置]
【0031】
一実施形態の分光モジュールの説明に先立って、当該分光モジュールに適用される光検出装置について説明する。図1に示されるように、光検出装置1は、筐体2を備えている。本実施形態では、筐体2は、ステム3及びキャップ4を有するCANパッケージである。キャップ4は、一体で形成された側壁5及び天壁6を有している。ステム3及びキャップ4の材料は、例えば金属である。キャップ4は、ラインLを中心線とする円筒状を呈している。
【0032】
ステム3の内面3aには、配線基板7が固定されている。配線基板7の基板材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス又はプラスチック等である。配線基板7上には、光検出器8、及びサーミスタ等の温度検出器(図示省略)が実装されている。光検出器8は、その受光部の中心線がラインLに一致するように筐体2内に配置されている。本実施形態では、光検出器8は、赤外線検出器であり、例えば、InGaAsフォトダイオード、サーモパイル又はボロメータ等の受光素子によって構成されている。なお、光検出器8は、紫外、可視、近赤外の光を検出する場合には、例えばSiフォトダイオード等の受光素子によって構成されていてもよい。また、光検出器8は、1つの受光素子によって構成されていてもよいし、或いは、複数の受光素子によって構成されていてもよい。
【0033】
配線基板7上には、複数のスペーサ9が固定されている。スペーサ9の材料は、例えば、シリコン、セラミック、石英、ガラス又はプラスチック等である。複数のスペーサ9上には、ファブリペロー干渉フィルタ10が固定されている。ファブリペロー干渉フィルタ10は、その光透過領域10aの中心線がラインLに一致するように筐体2内に配置されている。なお、複数のスペーサ9は、配線基板7と一体で形成されていてもよい。また、ファブリペロー干渉フィルタ10は、1つのスペーサ9上に固定されていてもよい。
【0034】
ステム3には、複数のリードピン11が固定されている。各リードピン11は、ステム3との間で電気絶縁性及び気密性が維持された状態で、ステム3を貫通している。各リードピン11は、ワイヤ12を介して、配線基板7の電極パッド及びファブリペロー干渉フィルタ10の端子のそれぞれと電気的に接続されている。これにより、ファブリペロー干渉フィルタ10、光検出器8及び温度検出器のそれぞれに対する電気信号の入出力等が可能となっている。
【0035】
筐体2には、開口2aが形成されている。開口2aは、その中心線がラインLに一致するようにキャップ4の天壁6に形成されている。本実施形態では、開口2aは、ラインLに平行な方向から見た場合に、円形状を呈している。天壁6の内面6aには、開口2aを塞ぐように光透過部材13が接合されている。光透過部材13の材料は、例えばガラス等である。光透過部材13は、ラインLに平行な方向において互いに対向する光入射面13a及び光出射面13b、並びに側面13cを有している。光入射面13aは、開口2aにおいてキャップ4の天壁6の外面と略面一となっている。側面13cは、キャップ4の側壁5の内面5aに接触している。このような光透過部材13は、開口2aを下側にした状態でキャップ4の内側にガラスペレットを配置し、そのガラスペレットを溶融させることで、形成される。
【0036】
光透過部材13の光出射面13bには、光透過性材料からなる接着部材15によって、バンドパスフィルタ14が固定されている。バンドパスフィルタ14は、光透過部材13を透過した光のうち、光検出装置1の測定波長範囲の光(所定の波長範囲の光であって、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射させるべき光)を選択的に透過させる。本実施形態では、バンドパスフィルタ14は、四角形板状を呈している。バンドパスフィルタ14は、ラインLと平行な方向において互いに対向する光入射面14a及び光出射面14b、並びに4つの側面14cを有している。バンドパスフィルタ14は、例えばシリコン又はガラス等からなる光透過部材、及び光透過部材の表面に形成された誘電体多層膜によって、構成されている。誘電体多層膜は、高屈折材料(例えばTiO又はTa等)からなる膜、及び低屈折材料(例えばSiO又はMgF等)からなる膜によって、構成されている。
【0037】
接着部材15は、第1部分15a及び第2部分15bを有している。第1部分15aは、接着部材15のうち、光透過部材13の光出射面13bとバンドパスフィルタ14の光入射面14aとの間に配置された部分である。第2部分15bは、接着部材15のうち、光透過部材13の光出射面13bにおいてバンドパスフィルタ14の側面14cとキャップ4の側壁5の内面5aとの間に配置された部分である。
【0038】
以上のように構成された光検出装置1においては、筐体2の外部から、開口2a、光透過部材13及び接着部材15を介して、バンドパスフィルタ14に光が入射すると、所定の波長範囲の光のみがバンドパスフィルタ14を透過する。バンドパスフィルタ14を透過した光は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aに入射して、後述する第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に応じた波長の光が光透過領域10aを透過する。光透過領域10aを透過した光は、光検出器8の受光部に入射して、光検出器8によって検出される。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ10において第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離を変化させながら、光透過領域10aを透過した光の強度を光検出器8において検出することで、分光スペクトルを得ることができる。
[ファブリペロー干渉フィルタ]
【0039】
上述したファブリペロー干渉フィルタ10について、より詳細に説明する。図2及び図3に示されるように、ファブリペロー干渉フィルタ10には、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に応じた波長の光を透過させる光透過領域10aが設けられている。光透過領域10aは、例えば、ラインLを中心線とする円柱状の領域である。
【0040】
ファブリペロー干渉フィルタ10は、基板21を備えている。基板21は、例えば矩形板状を呈している。基板21の材料は、例えば、シリコン、石英又はガラス等である。基板21は、ラインLに平行な方向において互いに対向する第1表面21a及び第2表面21bを有している。第1表面21aは、光入射側(バンドパスフィルタ14側)の表面である。第2表面21bは、光出射側(光検出器8側)の表面である。
【0041】
基板21の第1表面21aには、第1層構造体30が配置されている。第1層構造体30は、第1反射防止層31、第1積層体32、第1中間層33及び第2積層体34がこの順序で第1表面21aに積層されることで、構成されている。第1積層体32と第2積層体34との間には、枠状の第1中間層33によって空隙(エアギャップ)Sが形成されている。基板21の材料がシリコンである場合には、第1反射防止層31及び第1中間層33の材料は、例えば、酸化シリコンである。第1中間層33の厚さは、例えば数十nm~数十μmである。
【0042】
第1積層体32のうち光透過領域10aに対応する部分は、第1ミラー部35として機能する。第1積層体32は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで、構成されている。第1ミラー部35を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、光透過領域10aを透過する光の中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。なお、第1ミラー部35は、第1反射防止層31を介することなく、基板21の第1表面21aに配置されていてもよい。
【0043】
第2積層体34のうち光透過領域10aに対応する部分は、第2ミラー部36として機能する。第2ミラー部36は、ラインLに平行な方向において、空隙Sを介して第1ミラー部35と対向している。第2積層体34は、複数のポリシリコン層と複数の窒化シリコン層とが一層ずつ交互に積層されることで、構成されている。第2ミラー部36を構成するポリシリコン層及び窒化シリコン層のそれぞれの光学厚さは、光透過領域10aを透過する光の中心透過波長の1/4の整数倍であることが好ましい。
【0044】
なお、第1積層体32及び第2積層体34においては、窒化シリコン層の代わりに酸化シリコン層が配置されていてもよい。また、第1積層体32及び第2積層体34を構成する各層の材料は、上述した材料に限定されず、例えば、酸化チタン、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウム、酸化アルミニウム、フッ化カルシウム、シリコン、ゲルマニウム又は硫化亜鉛等であってもよい。
【0045】
第2積層体34において空隙Sに対応する部分には、複数の貫通孔34bが形成されている。各貫通孔34bは、第2積層体34における第1積層体32とは反対側の表面34aから空隙Sに至っている。複数の貫通孔34bは、第2ミラー部36の機能に実質的に影響を与えない程度に形成されている。複数の貫通孔34bは、エッチングによって第1中間層33の一部を除去することで空隙Sを形成するために用いられたものである。
【0046】
第1積層体32には、光透過領域10aを囲むように第1電極22が形成されている。第1積層体32には、光透過領域10aを含むように第2電極23が形成されている。第1電極22及び第2電極23は、第1積層体32のうち空隙Sに最も近いポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで、形成されている。第2積層体34には、空隙Sを介して第1電極22及び第2電極23と対向するように第3電極24が形成されている。第3電極24は、第2積層体34のうち空隙Sに最も近いポリシリコン層に不純物をドープして低抵抗化することで、形成されている。なお、第2電極23は、光透過領域10aと略同一以上の大きさを有していればよい。
【0047】
第1層構造体30には、1対の第1端子25及び1対の第2端子26が設けられている。1対の第1端子25は、光透過領域10aを挟んで互いに対向している。各第1端子25は、第2積層体34の表面34aから第1積層体32に至る貫通孔内に配置されている。各第1端子25は、第1積層体32に形成された配線22aを介して第1電極22と電気的に接続されている。1対の第2端子26は、1対の第1端子25が互いに対向する方向に垂直な方向において、光透過領域10aを挟んで互いに対向している。各第2端子26は、第2積層体34の表面34aから第1中間層33の内部に至る貫通孔内に配置されている。各第2端子26は、第1積層体32に形成された配線23aを介して第2電極23と電気的に接続されていると共に、第2積層体34に形成された配線24aを介して第3電極24と電気的に接続されている。
【0048】
第1積層体32における第2積層体34側の表面32aには、トレンチ27,28が設けられている。トレンチ27は、配線23aにおける第2端子26との接続部分を囲むように環状に延在している。トレンチ27は、第1電極22と配線23aとを電気的に絶縁している。トレンチ28は、第1電極22の内縁に沿って環状に延在している。トレンチ28は、第1電極22と第1電極22の内側の領域(すなわち、第2電極23が存在する領域)とを電気的に絶縁している。第2積層体34の表面34aには、トレンチ29が設けられている。トレンチ29は、第1端子25を囲むように環状に延在している。トレンチ29は、第1端子25と第3電極24とを電気的に絶縁している。各トレンチ27,28,29内の領域は、絶縁材料であってもよいし、或いは、空隙であってもよい。
【0049】
基板21の第2表面21bには、第2層構造体40が配置されている。第2層構造体40は、第2反射防止層41、第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44がこの順序で第2表面21bに積層されることで、構成されている。第2反射防止層41、第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44は、それぞれ、第1反射防止層31、第1積層体32、第1中間層33及び第2積層体34と同様の構成を有している。つまり、第2層構造体40は、基板21を基準として第1層構造体30と対称の積層構造を有している。第2層構造体40は、第1層構造体30と対応するように構成されることで、ファブリペロー干渉フィルタ10が反るのを抑制している。
【0050】
第3積層体42、第2中間層43及び第4積層体44には、光透過領域10aを含むように開口40aが形成されている。開口40aは、例えば、ラインLを中心線とする円柱状を呈しており、光透過領域10aと略同一の径を有している。開口40aは、光出射側に開口しており、開口40aの底面は、第2反射防止層41に至っている。開口40aは、第1ミラー部35及び第2ミラー部36を透過した光を通過させる。
【0051】
第4積層体44の光出射側の表面には、遮光層45が形成されている。遮光層45の材料は、例えばアルミニウム等である。遮光層45の表面及び開口40aの内面には、保護層46が形成されている。保護層46の材料は、例えば酸化アルミニウムである。なお、保護層46の厚さを1~100nm(好ましくは、30nm程度)にすることで、保護層46による光学的な影響を無視することができる。
【0052】
以上のように構成されたファブリペロー干渉フィルタ10においては、第1端子25と第2端子26との間に電圧が印加されると、第1電極22と第3電極24との間に電位差が生じ、当該電位差に応じた静電気力が第1電極22と第3電極24との間に発生する。これにより、基板21に固定された第1ミラー部35側に第2ミラー部36が引き付けられ、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離が変化する。このとき、第2電極と第3電極24との間には電位差が生じないため、光透過領域10aにおける第2ミラー部36の平坦性が確保される。このように、ファブリペロー干渉フィルタ10では、第1ミラー部35及び第2ミラー部36の互いの距離が可変とされている。ここで、光透過領域10aを透過する光の波長は、第1ミラー部35と第2ミラー部36との間の距離に依存する。したがって、第1端子25と第2端子26との間に印加する電圧を調整することで、光透過領域10aを透過する光の波長を調整することができる。
[分光モジュール]
【0053】
上述した光検出装置1が適用された一実施形態の分光モジュールについて説明する。以下の説明では、第1ミラー部35及び第2ミラー部36の対向方向(本実施形態では、ラインLに平行な方向)を方向Aという。
【0054】
図4に示されるように、分光モジュール50は、光検出装置1と、光源51と、配線基板52と、パッケージ53と、を備えている。光源51は、対象物200に照射する光を出射する。光源51は、例えば、近赤外~中赤外の波長範囲の光を出射する赤外線ランプである。配線基板52には、光検出装置1の複数のリードピン11及び光源51の複数のリードピンが電気的に接続されている。パッケージ53は、光検出装置1、光源51、配線基板52、無線通信用基板(図示省略)及び電池ケース(図示省略)等を収容している。パッケージ53は、パッケージ本体54及びアパーチャ部材60によって構成されている。光検出装置1及び光源51は、パッケージ53の一部を構成するアパーチャ部材60に支持されている。すなわち、分光モジュール50では、アパーチャ部材60が支持体として機能している。なお、パッケージ本体54には、測定を開始させるためのスイッチ55が設けられている。
【0055】
図5及び図6に示されるように、アパーチャ部材60は、その外表面60aがパッケージ本体54の外表面54aと面一となった状態で、パッケージ本体54の開口部54bに取り付けられている。より具体的には、アパーチャ部材60の本体部61が開口部54b内に配置され且つアパーチャ部材60のフランジ部62が開口部54bに内側から接触した状態で、ボルト(図示省略)等によってアパーチャ部材60が開口部54bに固定されている。本実施形態では、フランジ部62は、本体部61におけるアパーチャ部材60の内表面60b側の部分に一体で形成されている。
【0056】
アパーチャ部材60の外表面60aには、パッケージ53の外側に開口する凹部63が形成されている。凹部63は、第1部分64及び第2部分65によって構成されている。第2部分65は、第1部分64よりも深い。第2部分65の底面65aと凹部63の側面63aとの間には、凹状の曲面63bが形成されている。凹状の曲面63bは、底面65a及び側面63aによって形成される隅部に施されたラウンド状の面取り面に相当する形状を呈している。アパーチャ部材60の内表面60bには、パッケージ53の内側に開口する凹部66が形成されている。方向Aから見た場合に、凹部66の外縁は、凹部63の第1部分64の外縁の外側に位置している。凹部66は、凹部63の第2部分65と連通している。
【0057】
凹部63の第1部分64の底面64aには、アパーチャ71が形成されている。アパーチャ71は、第1部分64の底面64a及び凹部66の底面66aに開口している。凹部63の第2部分65の底面65aには、孔67が形成されている。孔67は、第2部分65の底面65a及びアパーチャ部材60の内表面60bに開口している。孔67におけるアパーチャ部材60の内表面60b側の部分は、方向Aに垂直な方向における幅が拡幅された拡幅部67aとなっている。方向Aから見た場合に、孔67は、アパーチャ71を含む大きさを有している。つまり、方向Aに垂直な断面における孔67及びアパーチャ71のそれぞれの形状が円形状である場合には、当該断面における孔67の最小径は、当該断面におけるアパーチャ71の最大径よりも大きい。
【0058】
凹部66には、光検出装置1の筐体2が配置されている。より具体的には、筐体2の開口2aがアパーチャ71に臨んだ状態で、筐体2のキャップ4が凹部66に配置されている。これにより、方向Aにおける筐体2の位置及び方向Aに垂直な方向における筐体2の位置が位置決めされている。本実施形態では、アパーチャ部材60のうち凹部66の周囲部分が、筐体2を位置決めする位置決め部68として機能している。
【0059】
孔67には、光源51が配置されている。より具体的には、光源51の光出射部51aが凹部63の第2部分65に配置され且つ光源51のリードピン保持部51bが孔67の拡幅部67aに配置された状態で、光源51が孔67に配置されている。これにより、方向Aにおける光出射部51aの位置及び方向Aに垂直な方向における光出射部51aの位置が位置決めされている。本実施形態では、アパーチャ部材60のうち孔67の周囲部分が、光出射部51aを位置決めする位置決め部69として機能している。
【0060】
以上のように構成された分光モジュール50においては、アパーチャ71の光入射開口71a及び光源51の光出射部51aが、パッケージ53の一部を構成するアパーチャ部材60の外表面60aに形成された凹部63内に位置している。つまり、アパーチャ71の光入射開口71a及び光源51の光出射部51aは、互いに隣り合うようにパッケージ53の外表面53aに沿って配置されている。
【0061】
上述したアパーチャ71について、より詳細に説明する。本実施形態では、図7に示されるように、アパーチャ部材60のうち、凹部63の第1部分64の底面64aと凹部66の底面66aとの間の部分が、アパーチャ71が形成されたアパーチャ部70として機能している。つまり、アパーチャ部70は、光検出装置1の筐体2と別体で形成されたアパーチャ部材60に設けられており、バンドパスフィルタ14は、筐体2の一部であるキャップ4の天壁6を介してアパーチャ部70から離間している。本実施形態では、アパーチャ部70及びバンドパスフィルタ14によって、筐体2に設けられた光入射部80が構成されており、筐体2、光入射部80、ファブリペロー干渉フィルタ10及び光検出器8によって、分光ユニット100が構成されている。
【0062】
アパーチャ71の光入射開口71aは、アパーチャ71のうち、凹部63の第1部分64の底面64aに開口する部分である。アパーチャ71の光出射開口71bは、アパーチャ71のうち、凹部66の底面66aに開口する部分である。アパーチャ71を通過する光(アパーチャ71の内面での反射等を無視した理想的な状態でアパーチャ71を通過する光)の入射角度及び出射角度は、光入射開口71a及び光出射開口71bによって画定される。換言すれば、光入射開口71a及び光出射開口71bは、アパーチャ71を通過する光(アパーチャ71の内面での反射等を無視した理想的な状態でアパーチャ71を通過する光)の入射角度及び出射角度を画定する部分である。
【0063】
アパーチャ部70は、方向Aにおけるアパーチャ71の長さを方向Aに垂直な方向におけるアパーチャ71の幅で除した値(以下、「アパーチャ71のアスペクト比」という)が0.5以上となるように、且つアパーチャ71を通過した光(アパーチャ71の内面での反射等を無視した理想的な状態でアパーチャ71を通過する光)の全てがバンドパスフィルタ14に入射するように、構成されている。更に、アパーチャ部70は、アパーチャ71を通過してバンドパスフィルタ14を透過した光の全てがファブリペロー干渉フィルタ10に入射するように、構成されていている。
【0064】
方向Aにおけるアパーチャ71の長さとは、光入射開口71aと光出射開口71bとの間の距離である。方向Aに垂直な方向におけるアパーチャ71の幅とは、光入射開口71aの有効径と光出射開口71bの有効径との和の1/2の値である。光入射開口71aの有効径とは、光入射開口71aの形状が円形である場合にはその直径であり、光入射開口71aの形状が円形以外である場合にはその面積を有する円の直径である。同様に、光出射開口71bの有効径とは、光出射開口71bの形状が円形である場合にはその直径であり、光出射開口71bの形状が円形以外である場合にはその面積を有する円の直径である。
【0065】
方向Aから見た場合に、アパーチャ71の外縁は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aの外縁の内側に位置している。アパーチャ71内の領域は、空間である。アパーチャ71は、光の出射角度を画定する光出射開口71bから方向Aに沿って延び且つ幅が変化しない部分である。本実施形態では、アパーチャ71の光入射開口71a及び光出射開口71bは、円形状を呈しており、アパーチャ71の径は、光入射開口71aと光出射開口71bとの間において一定である。つまり、アパーチャ71内の領域は、円柱状を呈している。
[作用及び効果]
【0066】
以上説明したように、分光ユニット100では、アパーチャ71のアスペクト比が0.5以上となるように、且つアパーチャ71を通過した光の全てがバンドパスフィルタ14に入射するように、アパーチャ部70が構成されている。そのため、アパーチャ71を通過した光の全てが、その入射角度の範囲が狭められた状態でバンドパスフィルタ14に入射することになる。これにより、バンドパスフィルタ14が適切に機能し、所望の波長範囲の光が、その入射角度の範囲が狭められた状態でファブリペロー干渉フィルタ10に入射することになる。したがって、ファブリペロー干渉フィルタ10によって得られる分光スペクトルにおいて分解能が向上する。よって、分光ユニット100によれば、ファブリペロー干渉フィルタ10による分光精度を向上させることができる。なお、分光スペクトルにおいて分解能を向上させる上では、アパーチャ71のアスペクト比は、1以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましい。
【0067】
また、分光ユニット100では、アパーチャ71を通過してバンドパスフィルタ14を透過した光の全てがファブリペロー干渉フィルタ10に入射するように、アパーチャ部70が構成されている。これにより、筐体2内において迷光が発生するのを抑制することができる。
【0068】
また、分光ユニット100では、方向Aから見た場合に、アパーチャ71の外縁が、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aの外縁の内側に位置している。これにより、アパーチャ71を通過した光のうちファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aを透過する光の割合を増加させることができる。
【0069】
また、分光ユニット100では、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光を検出する光検出器8が筐体2内に配置されている。これにより、迷光に起因するノイズの発生を抑制しつつ、分光された光を精度良く検出することができる。また、光検出器8が筐体2内に配置されているため、光検出器8を備える分光ユニット100の小型化を図ることができる。
【0070】
また、分光ユニット100では、アパーチャ71の光入射開口71a及び光出射開口71bが円形状を呈している。これにより、所望の性能を有するアパーチャ71を容易に形成することができる。
【0071】
また、分光ユニット100では、アパーチャ71の径が、光入射開口71aと光出射開口71bとの間において一定である。これにより、所望の性能を有するアパーチャ71を容易に形成することができる。
【0072】
また、分光ユニット100では、アパーチャ71内の領域が空間である。これにより、アパーチャ71を通過することによる光の損失を防止することができる。
【0073】
また、分光ユニット100では、アパーチャ部70が設けられたアパーチャ部材60が、筐体2と別体で形成されている。これにより、好適な材料の選択等、アパーチャ部70の設計の自由度を向上させることができる。また、筐体2に大きな開口2aを形成することで筐体2内におけるファブリペロー干渉フィルタ10の位置精度を緩和しつつ、アパーチャ71とファブリペロー干渉フィルタ10との位置関係を調整することができる。
【0074】
また、分光ユニット100では、筐体2を位置決めする位置決め部68がアパーチャ部材60に設けられている。これにより、振動等によってアパーチャ71とファブリペロー干渉フィルタ10との位置関係にずれが生じるのを防止することができる。また、アパーチャ部70及び位置決め部68がアパーチャ部材60に設けられているため、アパーチャ部70と位置決め部68との間の位置精度を確保することができる。
【0075】
また、分光ユニット100では、光源51が配置される孔67がアパーチャ部材60に形成されている。これにより、孔67及びアパーチャ71がアパーチャ部材60に形成されているため、光源51とアパーチャ71との間の位置精度を確保することができる。
【0076】
また、分光ユニット100では、アパーチャ部材60が、筐体2を収容するパッケージ53の一部を構成している。これにより、筐体2内において迷光が発生するのをより確実に抑制することができる。
【0077】
また、分光ユニット100では、バンドパスフィルタ14が、筐体2の一部を介してアパーチャ部70から離間している。これにより、バンドパスフィルタ14が筐体2内に配置されることになるため、物理的干渉等からバンドパスフィルタ14を保護することができる。
【0078】
また、分光モジュール50では、アパーチャ71の光入射開口71a及び光源51の光出射部51aが、互いに隣り合うようにパッケージ53の外表面53aに沿って配置されている。よって、分光モジュール50によれば、ファブリペロー干渉フィルタ10による分光精度が向上した反射型の分光モジュール50を実現することができる。
【0079】
また、分光モジュール50では、アパーチャ71の光入射開口71a及び光源51の光出射部51aが、アパーチャ部材60の外表面60aに形成された凹部63内に位置していている。これにより、図5に示されるように、アパーチャ部材60の外表面60aを対象物200に接触させた状態でも、凹部63内の領域が光路として確保されるため、対象物200への光の照射、及び対象物200で反射された光の検出を実施することができる。
【0080】
また、分光モジュール50では、凹部63の第1部分64の底面64aにアパーチャ71が形成されている。これにより、アパーチャ部材60の外表面60aを対象物200に接触させた状態でも、対象物200で反射された光をアパーチャ71に確実に入射させることができる。
【0081】
また、分光モジュール50では、第1部分64よりも深い凹部63の第2部分65の底面65aに、光源51が配置される孔67が形成されている。これにより、アパーチャ部材60の外表面60aを対象物200に接触させた状態でも、光源51から出射された光を対象物200に十分に照射することができる。
【0082】
また、分光モジュール50では、第2部分65の底面65aと凹部63の側面63aとの間に凹状の曲面63bが形成されている。これにより、凹状の曲面63bで反射された光も対象物200に照射されるため、光源51から出射された光を対象物200により十分に照射することができる。
【0083】
また、分光モジュール50では、方向Aから見た場合に、孔67が、アパーチャ71を含む大きさを有している。これにより、光源51から出射された光を広範囲に渡って対象物200に照射することができる。
[変形例]
【0084】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上述した反射型の分光モジュール50は、アパーチャ部材60の外表面60aを対象物200に接触させずに、アパーチャ部材60の外表面60aを対象物200から離間させた状態でも、対象物200への光の照射、及び対象物200で反射された光の検出を実施することができる。また、分光ユニット100は、光源51から出射されて対象物200を透過した光を検出する透過型の分光モジュール50に適用されてもよい。また、分光ユニット100が光検出器8を備えず、筐体2外に配置された光検出器8によって、ファブリペロー干渉フィルタ10を透過した光が検出されてもよい。
【0085】
また、アパーチャ部70は、アパーチャ71のアスペクト比が0.5以上となるように、且つアパーチャ71を通過した光の全てが少なくともバンドパスフィルタ14に入射するように、構成されていればよい。また、方向Aから見た場合に、アパーチャ71の外縁は、ファブリペロー干渉フィルタ10の光透過領域10aの外縁の外側に位置していてもよい。その場合、筐体2内に入り込む光量を十分に確保することができる。
【0086】
また、図8の(a)に示されるように、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって一定の縮小率(0よりも大きい一定の縮小率)で縮小していてもよい。つまり、アパーチャ71内の領域は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって径が縮小する円錐台状を呈していてもよい。また、図8の(b)に示されるように、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって0以上の縮小率で縮小していてもよい。つまり、アパーチャ71内の領域の一部が円柱状を呈していてもよい。その場合、縮小率は、光入射開口71aと光出射開口71bとの間において連続しており(すなわち、段差がなく)、光入射開口71aと光出射開口71bとの間の少なくとも一部において増加していてもよい。図8の(b)に示されるアパーチャ71では、光出射開口71bを含む部分において縮小率が増加している。
【0087】
また、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって一定の拡大率(0よりも大きい一定の拡大率)で拡大していてもよい。つまり、アパーチャ71内の領域は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって径が拡大する円錐台状を呈していてもよい。また、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって0以上の拡大率で縮小していてもよい。つまり、アパーチャ71内の領域の一部が円柱状を呈していてもよい。その場合、拡大率は、光入射開口71aと光出射開口71bとの間において連続しており(すなわち、段差がなく)、光入射開口71aと光出射開口71bとの間の少なくとも一部(例えば、光入射開口71aを含む部分)において減少していてもよい。
【0088】
つまり、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって一定の変化率で変化していてもよい。或いは、アパーチャ71の径は、光入射開口71aから光出射開口71bに向かって0以上の変化率で変化しており、変化率は、光入射開口71aと光出射開口71bとの間において連続しており、光入射開口71aと光出射開口71bとの間の少なくとも一部において変化していてもよい。いずれの場合にも、所望の性能を有するアパーチャ71を容易に形成することができる。
【0089】
また、図9の(a)に示されるように、バンドパスフィルタ14は、アパーチャ部70に接触していてもよい。図9の(a)に示される光入射部80では、筐体2の開口2aを覆うようにキャップ4の天壁6上にバンドパスフィルタ14が配置されており、バンドパスフィルタ14上にアパーチャ部70が配置されている。バンドパスフィルタ14がアパーチャ部70に接触していると、アパーチャ71を通過した光の全てをより確実にバンドパスフィルタ14に入射させることができる。なお、図9の(a)に示される光入射部80においても、アパーチャ部70は、筐体2と別体で形成されたアパーチャ部材60である。また、図9の(b)に示されるように、アパーチャ部70は、筐体2と一体で形成されていてもよい。図9の(b)に示される光入射部80では、キャップ4の天壁6がアパーチャ部70として機能しており、天壁6に形成された開口2aがアパーチャ71として機能している。アパーチャ部70が筐体2と一体で形成されていると、振動等によってアパーチャ71とファブリペロー干渉フィルタ10との位置関係にずれが生じるのを単純な構成で防止することができる。なお、図9の(b)に示される光入射部80では、接着部材15によって天壁6の内面6aに光透過部材13が固定されており、光透過部材13の光出射面13bにバンドパスフィルタ14が固定されているが、接着部材15によって天壁6の内面6aにバンドパスフィルタ14が固定されていてもよい。また、光入射部80において、アパーチャ71とバンドパスフィルタ14との間に空間が設けられていてもよい。また、アパーチャ71内に、例えばレンズ及び/又は光ファイバ等が配置されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
2…筐体、8…光検出器、10…ファブリペロー干渉フィルタ、10a…光透過領域、14…バンドパスフィルタ、35…第1ミラー部、36…第2ミラー部、50…分光モジュール、51…光源、51a…光出射部、53…パッケージ、53a…外表面、60…アパーチャ部材、60a…外表面、63…凹部、63a…側面、63b…曲面、64…第1部分、64a…底面、65…第2部分、65a…底面、67…孔、68…位置決め部、70…アパーチャ部、71…アパーチャ、71a…光入射開口、71b…光出射開口、80…光入射部、100…分光ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9