(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026113
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240220BHJP
G06K 19/04 20060101ALI20240220BHJP
A63F 1/06 20060101ALI20240220BHJP
G06K 7/00 20060101ALI20240220BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240220BHJP
G06K 19/14 20060101ALI20240220BHJP
G01V 15/00 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
G06K7/10 264
G06K7/10 232
G06K7/10 240
G06K19/04 070
A63F1/06 Z
G06K7/00 004
G06K19/07 220
G06K19/14 050
G01V15/00
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195810
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2022035523の分割
【原出願日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2021040865
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000103301
【氏名又は名称】エンゼルグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】重田 泰
(57)【要約】
【課題】 遊技用貨幣に問題がないかを検査する検査システムを提供する。
【解決手段】 検査システム101は、検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のエリアを有する載置面と、載置面の複数のエリアの各々に置かれた遊技用貨幣110のRFIDタグ111をそれぞれ読み取って、エリアごとに種類情報及び識別情報を取得するRFID読取システムと、載置面の複数のエリアの各々に載置された遊技用貨幣110の少なくとも有無を認識するチップ認識システムと、載置面のエリアごとに、RFID読取システムで得られた種類情報及び識別情報と、チップ認識システムの認識結果とに基づいて、当該エリアの遊技用貨幣110の状態を判定する制御装置30と、エリアごとに、制御装置30が判定した状態を反映した表示を行う表示装置20とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも種類情報を記憶したRFIDタグを内蔵した遊技用貨幣を検査するための検査システムであって、
検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のエリアを有する載置面と、
前記載置面の複数のエリアの各々に置かれた遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取るRFID読取システムと、
前記エリアごとに、前記RFID読取システムが読み取った種類情報を表示する表示装置と、
を備えた検査システム。
【請求項2】
前記遊技用貨幣は、表面に前記種類情報が表現されており、前記載置面に任意の前記遊技用貨幣を置くことができる、
請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記識別情報を記憶した記憶装置と、
前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記記憶装置に記憶されていない前記遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置と、
をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
行方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが列方向に並んで設けられ、
前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記行方向の両隣の遊技用貨幣の前記種類情報とは異なる遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項5】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
列方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが行方向に並んで設けられ、
前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記列方向の両隣の遊技用貨幣の前記種類情報とは異なる遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項6】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
行方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが列方向に並んで設けられ、
前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記列方向に隣り合う他の遊技用貨幣の前記種類情報と所定の関係にない遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
列方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが行方向に並んで設けられ、
前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記行方向に隣り合う他の遊技用貨幣の前記種類情報と所定の関係にない遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項8】
前記複数のエリアには置くべき遊技用貨幣の種類が定義されており、
前記複数のエリアの各々について、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報と、当該エリアに定義された種類とが対応しない場合に、当該遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項9】
前記制御装置は、前記RFIDタグの読取りが不安定であるエリアの前記遊技用貨幣について、前記RFIDタグの読取りが不安定な状態であると判定する、請求項3~8のいずれかに記載の検査システム。
【請求項10】
前記RFID読取システムは、前記エリアごとに前記RFIDタグを読み取るための電波又は磁界強度を変更可能であり、
前記制御装置は、前記電波又は磁界の強度を強くしたときに読取りができ、前記電波又は磁界の強度を弱くしたときに読取りができないエリアの前記遊技用貨幣について、前記RFIDタグの読取りが不安定な状態であると判定する、請求項9に記載の検査システム。
【請求項11】
前記遊技用貨幣は、表面に前記種類情報が表現されており、
光学的手段を用いて、前記載置面の複数のエリアの各々に載置された前記遊技用貨幣の少なくとも種類を認識するチップ認識システムと、
前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報と、前記チップ認識システムで判定された前記種類とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する制御装置と、
をさらに備える、請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
前記チップ認識システムは、前記載置面に載置された前記遊技用貨幣を撮影して撮影画像を生成するカメラと、前記撮影画像を分析することで、前記エリアごとに前記遊技用貨幣の前記種類を認識する認識装置とを備えた、画像認識システムである、請求項11に記載の検査システム。
【請求項13】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに識別情報をさらに記憶し、
少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記種類情報と前記識別情報とを関連付けて記憶した記憶装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記チップ認識システムで認識された前記種類と、前記記憶装置において前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報に関連付けられた前記種類情報とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する、請求項11又は12に記載の検査システム。
【請求項14】
前記制御装置は、前記チップ認識システムで認識された前記種類と、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない状態であると判定する、請求項11又は12に記載の検査システム。
【請求項15】
少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記識別情報と当該遊技用貨幣の有効化情報とを関連付けて記憶したデータベースをさらに備え、
前記制御装置は、前記データベースにおいて前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報に関連付けられた前記有効化情報が有効でないエリアの前記遊技用貨幣について、当該遊技用貨幣が有効でない状態であると判定する、請求項3~7、13のいずれかに記載の検査システム。
【請求項16】
前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに前記識別情報を記憶するとともに、前記RFIDタグ以外の手段でさらに前記識別情報を有しており、
前記記憶装置は、さらに、前記RFID読取システムにおける読取りの履歴を記憶しており、
前記制御装置が、前記遊技用貨幣のRFIDタグが故障しており、又はRFIDタグが内蔵されていないと判定したときに、前記RFIDタグ以外の手段で有する前記識別情報を用いて、前記記憶装置に記憶された当該遊技用貨幣の読取りの履歴を取得可能である、請求項3または13に記載の検査システム。
【請求項17】
前記表示装置は、ステータスを色で表す、前記複数のエリアの各々に対応して設けられた複数のランプである、請求項1~16のいずれかに記載の検査システム。
【請求項18】
前記ランプは、前記載置面の複数のエリアの各々に設けられている、請求項17に記載の検査システム。
【請求項19】
前記表示装置は、2次元配列された複数の画素からなる表示パネルである、請求項1~16のいずれかに記載の検査システム。
【請求項20】
前記表示パネルは、少なくとも偽造の内容及び/又は前記故障の内容を示すエリアを示す、請求項19に記載の検査システム。
【請求項21】
前記表示パネルは、少なくとも正常な遊技用貨幣の枚数を示す、請求項19に記載の検査システム。
【請求項22】
前記表示パネルは、前記エリアごとに、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報を示す、請求項19に記載の検査システム。
【請求項23】
複数の前記遊技用貨幣を置くための複数配置面と、
前記複数配置面に置かれた複数の前記遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取って、前記種類情報を取得する第2のRFID読取システムと、
をさらに備えた請求項1~22のいずれかに記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグを内蔵した遊技用貨幣の検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、RFIDタグを内蔵したRFID内蔵遊技用貨幣が知られている。RFIDタグに、その遊技用貨幣の額の情報、識別情報等を記憶させることで、不正な遊技用貨幣の発見、遊技用貨幣の在庫管理、パトロンレーティング等が可能になる。RFID技術は、RFIDリーダを用いることで複数のRFIDタグを同時に読み取ることができるので、多数の遊技用貨幣を一括して扱える点で有利である。例えば、チップトレイに収容された複数の遊技用貨幣のRFIDタグをRFIDリーダで一括して読み取ることで、チップトレイに収容された遊技用貨幣の枚数、総額等の情報を得ることができる。
【0003】
一方で、RFID技術を用いて複数の遊技用貨幣のRFIDタグを読み取った場合には、不正な遊技用貨幣やRFIDタグが故障した遊技用貨幣を発見できないという問題がある。例えば、枚数をカウントすることが困難なほどの多数(例えば、1000枚)の遊技用貨幣の中に、故障したRFIDタグが内蔵された遊技用貨幣、又はRFIDタグを有しない遊技用貨幣が、1枚混ざっており、その結果RFIDリーダが999枚のRFIDタグを読み取ったとしても、それらの遊技用貨幣が1000枚あることを知らない限り、999枚のRFIDタグを読み取ったという結果を知ったとしても、RFIDタグが読み取られていない遊技用貨幣が1枚存在していることを知ることはできない。
【0004】
また、複数の遊技用貨幣の中に不正な遊技用貨幣やRFIDタグが故障した遊技用貨幣が混ざっていることがわかったとしても、当該複数の遊技用貨幣の具体的にどの遊技用貨幣にそのような問題があるのかを特定することは容易ではない。例えば、1000枚の遊技用貨幣の中に問題のある遊技用貨幣が1枚あることがわかったとしても、その問題のある1枚の遊技用貨幣を見つけ出すためには、1枚ずつ検査をしていくなどする必要があり、労力と時間を要する。
【0005】
さらに、RFIDタグを改ざんすることなく、遊技用貨幣の外観をより高額な遊技用貨幣に改ざんするという不正や、ある遊技用貨幣からRFIDタグを取り出して、他の遊技用貨幣のRFIDタグと入れ替える、又は真正な遊技用貨幣から抜き出したRFIDタグを用いて偽造遊技用貨幣を製造するという不正もあり得る。このような不正では、RFIDタグに記憶されている情報に問題はないため、RFIDタグを読み取るのみでは、そのような遊技用貨幣を問題のある(外観が改ざんされた)遊技用貨幣と認識することはできない。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みて遊技用貨幣に問題がないかを検査する検査システムを提供するものである。
【0007】
本発明の一態様の検査システムは、種類情報及び/又は識別情報を記憶したRFIDタグを内蔵するとともに、表面に種類情報及び/又は識別情報が表現された遊技用貨幣を検査するための検査システムであって、検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のエリアを有する載置面と、前記載置面の複数のエリアの各々に置かれた遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取って、前記エリアごとに前記種類情報及び/又は識別情報を取得するRFID読取システムと、前記載置面の複数のエリアの各々に載置された前記遊技用貨幣の少なくとも有無を認識するチップ認識システムと、前記載置面の前記エリアごとに、前記RFID読取システムで得られた前記種類情報及び/又は識別情報と、前記チップ認識システムの認識結果とに基づいて、当該エリアの遊技用貨幣の状態を判定する制御装置と、前記エリアごとに、前記制御装置が判定した状態を反映した表示を行う表示装置とを備え、前記制御装置が判定する状態には、少なくとも、
(1)当該エリアの遊技用貨幣が正常である、
(2)当該エリアの遊技用貨幣が、RFIDタグが壊れており、又はRFIDタグが内蔵されていない、及び
(3)当該エリアに遊技用貨幣がない、という状態を含み、
前記制御装置は、前記センサによって遊技用貨幣が認識されているが、前記RFID読取システムによってRFIDタグが正常に読み取れない前記エリアの遊技用貨幣について、前記(2)当該エリアの遊技用貨幣が、RFIDタグが壊れており、又はRFIDタグが内蔵されていない状態であると判定し、 前記認識システムによって遊技用貨幣が認識されない前記エリアについて、前記(3)当該エリアに遊技用貨幣がない状態であると判定する構成を有している。
【0008】
上記の検査システムは、少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記識別情報を記憶した記憶装置をさらに備えていてよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記記憶装置に記憶されていない前記遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0009】
上記の検査システムにおいて、行方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが列方向に並んで設けられてよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記行方向の両隣の遊技用貨幣の前記種類情報とは異なる遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0010】
上記の検査システムにおいて、列方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが行方向に並んで設けられてよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記列方向の両隣の遊技用貨幣の前記種類情報とは異なる遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0011】
上記の検査システムにおいて、行方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが列方向に並んで設けられてよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記列方向に隣り合う他の遊技用貨幣の前記種類情報と所定の関係にない遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0012】
上記の検査システムにおいて、列方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の配置エリアが行方向に並んで設けられてよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報が前記行方向に隣り合う他の遊技用貨幣の前記種類情報と所定の関係にない遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0013】
上記の検査システムにおいて、前記複数の配置エリアには置くべき遊技用貨幣の種類が定義されていてよく、前記制御装置は、前記複数の配置エリアの各々について、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報と、当該配置エリアに定義された種類とが対応しない場合に、当該遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0014】
上記の検査システムにおいて、前記制御装置は、前記RFIDタグの読取りが不安定であるエリアの前記遊技用貨幣について、前記RFIDタグの読取りが不安定な状態であると判定してよい。
【0015】
上記の検査システムにおいて、前記RFID読取システムは、前記エリアごとに前記RFIDタグを読み取るための電波又は磁界強度を変更可能であってよく、前記制御装置は、前記電波又は磁界の強度を強くしたときに読取りができ、前記電波又は磁界の強度を弱くしたときに読取りができないエリアの前記遊技用貨幣について、前記RFIDタグの読取りが不安定な状態であると判定してよい。
【0016】
上記の検査システムにおいて、前記チップ認識システムは、光学的手段を用いて、さらに、前記載置面の複数のエリアの各々に載置された前記遊技用貨幣の少なくとも種類を認識してよく、前記制御装置は、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報と、前記チップ認識システムで判定された前記種類とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0017】
上記の検査システムにおいて、前記チップ認識システムは、前記載置面に載置された前記遊技用貨幣を撮影して撮影画像を生成するカメラと、前記撮影画像を分析することで、前記エリアごとに前記遊技用貨幣の前記種類を認識する認識装置とを備えた、画像認識システムであってよい。
【0018】
上記の検査システムは、少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記種類情報と前記識別情報とを関連付けて記憶した記憶装置をさらに備えていてよく、前記制御装置は、前記チップ認識システムで認識された前記種類と、前記記憶装置において前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報に関連付けられた前記種類情報とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0019】
上記の検査システムにおいて、前記制御装置は、前記チップ認識システムで認識された前記種類と、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報とが対応しない前記遊技用貨幣について、正常でない(偽造された)状態であると判定してよい。
【0020】
上記の検査システムは、少なくとも複数の前記遊技用貨幣の前記識別情報と当該遊技用貨幣の有効化情報とを関連付けて記憶したデータベースをさらに備えていてよく、前記制御装置は、前記データベースにおいて前記RFID読取システムで読み取られた前記識別情報に関連付けられた前記有効化情報が有効でないエリアの前記遊技用貨幣について、当該遊技用貨幣が有効でない状態であると判定してよい。
【0021】
上記の検査システムにおいて、前記遊技用貨幣は、前記RFIDタグに前記識別情報を記憶するとともに、前記RFIDタグ以外の手段でさらに前記識別情報を有していてよく、前記記憶装置は、さらに、前記RFID読取システムにおける読取りの履歴を記憶していてよく、前記制御装置が、前記遊技用貨幣のRFIDタグが壊れており、又はRFIDタグが内蔵されていないと判定したときに、前記RFIDタグ以外の手段で有する前記識別情報を用いて、前記記憶装置に記憶された当該遊技用貨幣の読取りの履歴を取得可能であってよい。
【0022】
上記の検査システムにおいて、前記表示装置は、ステータスを色で表す、前記複数のエリアの各々に対応して設けられた複数のランプであってよい。
【0023】
上記の検査システムにおいて、前記ランプは、前記載置面の複数のエリアの各々に設けられていてよい。
【0024】
上記の検査システムにおいて、前記表示装置は、2次元配列された複数の画素からなる表示パネルであってよい。
【0025】
上記の検査システムにおいて、前記表示パネルは、少なくとも偽造の内容及び/又は前記故障の内容を示すエリアを示してよい。
【0026】
上記の検査システムにおいて、前記表示パネルは、少なくとも正常な遊技用貨幣の枚数を示してよい。
【0027】
上記の検査システムにおいて、前記表示パネルは、前記エリアごとに、前記RFID読取システムで読み取られた前記種類情報を示してよい。
【0028】
上記の検査システムは、複数の前記遊技用貨幣を置くための複数配置面と、前記複数配置面に置かれた複数の前記遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取って、前記種類情報及び/又は識別情報を取得する第2のRFID読取システムとをさらに備えていてよい。
【0029】
本発明の別の態様の検査システムは、種類情報を記憶したRFIDタグを内蔵するとともに、表面に種類情報が表現された遊技用貨幣を検査するための検査システムであって、検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のエリアを有する配置エリアと、前記複数のエリアの各々に置かれた遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取って、前記エリアごとに前記種類情報を取得するRFID読取システムと、前記載置面の前記エリアごとに、不正の遊技用貨幣を判定する制御装置と、前記エリアごとに、前記制御装置の判定結果を表示する表示装置とを備え、前記制御装置は、前記複数のエリアから複数種類の前記種類情報が取得されたときに、前記不正の遊技用貨幣があると判定する構成を有している。
【0030】
上記の検査システムにおいて、列方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の前記配置エリアが行方向に並んで設けられ、又は、行方向に前記複数のエリアが並んで形成される複数の前記配置エリアが列方向に並んで設けられていてよく、前記制御装置は、前記複数の配置エリアの各々について、前記複数のエリアから複数種類の前記種類情報が取得されるかを判定してよい。
【0031】
上記の検査システムにおいて、前記制御装置は、前記複数のエリアから複数種類の前記種類情報が取得されたときに、多数の前記種類情報とは異なる前記種類情報が取得されたエリアの前記遊技用貨幣が前記不正の遊技用貨幣であると判定してよい。
【0032】
本発明のさらに別の態様の検査システムは、少なくとも種類情報を記憶したRFIDタグを内蔵した遊技用貨幣を検査するための検査システムであって、検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のエリアを有する載置面と、前記載置面の複数のエリアの各々に置かれた遊技用貨幣のRFIDタグをそれぞれ読み取るRFID読取システムと、前記エリアごとに、前記RFID読取システムが読み取った種類情報を表示する表示装置とを備えた構成を有している。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態の遊技用貨幣及び記憶装置のデータ構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態の載置台に設けられるアンテナ及びその電波又は磁界の強度分布の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態の載置台に設けられるアンテナの別の例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態の制御装置が判定する遊技用貨幣の状態の種類の例を示す表である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6の例における集計表示領域の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態の検査システムの他の使用例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8の例における集計表示領域の表示例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態の変形例の検査システムを示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施の形態の変形例の検査システムの使用例を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態のシステムの構成を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態の検査システム102の構成を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施の形態の液晶表示部の表示の変形例を示す図である。
【
図16】
図16は、本発明の第3の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図17】
図17は、本発明の第3の実施の形態の検査システムの変形例を示す図である。
【
図18】
図18は、本発明の第4の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図19】
図19は、本発明の第4の実施の形態の検査システムの変形例を示す図である。
【
図20】
図20は、本発明の第5の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図21】
図21は、本発明の第6の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図22】
図22は、本発明の第6の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【
図23】
図23は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
【
図24】
図24は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【
図25】
図25は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの他の使用例を示す図である。
【
図26A】
図26Aは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの載置台の一部の断面図である。
【
図26B】
図26Bは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの載置台の一部の平面図である。
【
図27A】
図27Aは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【
図27B】
図27Bは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の複数の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されることはなく、かつ、複数の実施の形態の各技術的要素、機能等は、任意に組み合わせが可能である。また、以下では、遊技用貨幣として円形のチップを例にとって説明をする。このため、遊技用貨幣をチップともいう。
【0035】
(第1の実施の形態)
本実施の形態の検査システムは、プレイヤからケージやテーブル等で両替の時に受け取った遊技用貨幣や、ゲームに負けたプレイヤから回収することで受け取った遊技用貨幣を検査するシステムである。本実施の形態の検査システムは、カジノがケージやテーブルのチップトレイで所有している遊技用貨幣を任意のタイミングで検査することもできる。本実施の形態の検査システムでは、遊技用貨幣を1枚ずつ置くことができる載置台を有し、載置台にはチップリーダーが設けられる。また載置台では、遊技用貨幣を5枚ずつ種類ごとにまとめて置くことができる。
【0036】
図1は、本発明の第1の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。検査システム101は、遊技用貨幣を検査するシステムであって、載置面120を有する載置台10と、検査の結果を表示するための表示装置20と、検査のための演算を行う制御装置30と、遊技用貨幣の情報を記憶した記憶装置40とを備えている。
【0037】
載置台10は、その上面が載置面120となっており、載置面120には、検査に係る複数の遊技用貨幣を1枚ずつ置くための複数のチップ配置エリアが区画されている。
図1の例では、載置面120は、5行5列の25個のチップ配置エリアを有している。1つのチップ配置エリアは、1枚のチップを受け入れる。これらのチップ配置エリアは、載置面120に線をプリントすることで区画されていてもよいし、隣り合うチップ配置エリアが数ミリ程度の高さの壁によって仕切られていてもよい。あるいは、各チップ配置エリアが、遊技用貨幣を受け入れるためのくぼみを有していてもよい。
【0038】
図2は、遊技用貨幣及びデータベースの構成を示す図である。遊技用貨幣110には表面及び裏面にその種類(額)を示す数字が表記されている。遊技用貨幣の表面及び裏面に更にその遊技用貨幣110に固有の識別情報(例えば、識別番号)が表記されている。この識別情報は、紫外線反応インクや赤外線吸収インク等の自然光下で観察できないインクで印刷されていてよい。この場合には、紫外線ライトや赤外線ライトを用いて遊技用貨幣に紫外線や赤外線を照射することで識別情報を可視化してもよい。
【0039】
遊技用貨幣110は、RFIDタグ111を内蔵している。RFIDタグ111には、その遊技用貨幣の種類(額)情報と識別情報が記憶されている。RFIDタグ111には、更に、使用するカジノの情報、製造情報、所有者の履歴情報等の他の情報が記憶されていてもよい。
【0040】
記憶装置40には、遊技用貨幣ごとに、種類(額)情報、識別情報、アクティベーションステータス、読取履歴等の情報が記憶されている。アクティベーションステータスは、当該遊技用貨幣がカジノに持ち込まれてカジノで利用可能とされたときに、記憶装置40において有効とされ、故障、劣化、不正の疑いがある、盗まれた等によってカジノで使用されなくなったときに、記憶装置40において無効(ディアクティベーション)とされる。読取履歴としては、当該チップが読み取られたRFIDリーダの設置場所が時系列に記憶されている。即ち、読取履歴は、遊技用貨幣のカジノ内における移動履歴であり、プレイヤ又はディーラと遊技用貨幣とを関連付けた情報である。
【0041】
記憶装置40は、定期的に更新される。記憶装置40又はそれを含む検査システム101が通信ネットワークに接続されている場合には、通信ネットワークを介して更新データが各記憶装置40に送られてきてよい。
【0042】
図1に戻って、載置台10には、載置面120の複数のチップ配置エリアの各々には、そこに載置された遊技用貨幣の有無を検知する物検センサ11が設置されている。各物検センサ11は、レーザ照射器とレーザ受信器との組からなる。チップ配置エリアに物体(遊技用貨幣)が存在するときにON信号を出力する。
【0043】
また、載置台10の載置面120の複数のチップ配置エリアの各々には、そこに置かれた遊技用貨幣110のRFIDタグ111をそれぞれ読み取って、チップ配置エリアごとに種類情報及び識別情報を取得するRFID読取システムが設けられている。RFID読取システムは、RFIDタグから情報を読み取るためのアンテナと当該アンテナを制御するRFIDリーダとを備えている。
【0044】
図3は、本実施の形態の載置台に設けられるアンテナ及びその電波又は磁界の強度分布の例を示す図である。この例では、チップ配置エリアごとにリーディングアンテナ121とジャミングアンテナ12が設けられる。リーディングアンテナ121は、電波又は磁界を発生させて、RFIDタグ111に対して電力を供給するとともに、RFIDタグ111から情報を読み取る。
【0045】
ジャミングアンテナ12は、周囲のチップ配置エリアのリーディングアンテナ121からの電波又は磁界に誘起されて電波又は磁界を発生させて、当該周囲のチップ配置エリアのリーディングアンテナ121の電波又は磁界を整形する。このジャミングアンテナ12の作用によって、
図3の下段に示すように、各チップ配置エリアのリーディングアンテナ121によって形成される電波又は磁界は、当該チップ配置エリア内でのみ所定の強度を有し、当該チップ配置エリア外では微弱になるので、リーディングアンテナ121が、当該チップ配置エリア外の遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取ることが防止される。
【0046】
このようなリーディングアンテナ121とジャミングアンテナ12との組合せによって、各チップ配置エリアに置かれた遊技用貨幣110は他のチップ配置エリアに配線されたリーディングアンテナ121によって読み取られることがなく、全体として、チップ配置エリアごとにRFIDタグ111を読み分けることが可能となる。
【0047】
リーディングアンテナ121は、正極及び負極がRFIDリーダに接続されており、RFIDリーダから電流が流される。ジャミングアンテナ12は、スイッチ123を備えている。スイッチ123が閉じると閉ループが形成され、スイッチ123が開くと閉ループが開放される。RFIDリーダは、各ジャミングアンテナ12のスイッチの開閉を制御する。
【0048】
RFIDリーダは、各チップ配置エリアのリーディングアンテナ121を1つずつ順に起動させることで、複数のチップ配置エリアについて時分割で順にRFIDタグの読取りを行う。RFIDリーダは、読取りを行うチップ配置エリアの切換えに同期して、読取りを行うチップ配置エリアの周囲のチップ配置エリアのジャミングアンテナ12のスイッチを閉じて、ジャミング作用をONにする。これにより、読取りを行うチップ配置エリアのリーディングアンテナ121によって、その周囲のチップ配置エリアのRFIDタグを読み取ってしまうことを防止できる。
【0049】
図4は、本実施の形態の載置台に設けられるアンテナの別の例を示す図である。この例では、2次元マトリクス状に配置されたチップ配置エリアの各行及び各列に細長いリーディングアンテナ124、125が設けられている。なお、図示は省略しているが、
図3と同様に、各リーディングアンテナ124、125に対応してジャミングアンテナが設けられてもよい。
【0050】
この例では、
図3の例のようにチップ配置エリアごとにリーディングアンテナ121を配置する場合と比較して、リーディングアンテナ124、125の数を少なくできる。RFIDリーダは、複数のリーディングアンテナ124、125を順に用いて、行又は列のRFIDタグの読取りを行う。
【0051】
例えば、第1行のリーディングアンテナ124によって、載置台10の第1行のチップ配置エリアの遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取ることができる。また、第1列のリーディングアンテナ125によって、載置台10の第1列のチップ配置エリアの遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取ることができる。第1行で読み取られ、かつ、第1列でも読み取られたRFIDタグは、2次元マトリクス状に配置されたチップ配置エリアの第1行第1列のチップ配置エリアに配置されている遊技用貨幣110のRFIDタグ111である。
【0052】
このようにして、RFIDリーダは、複数の行を1行ずつ読み取り、また、複数の列を1列ずつ読み取り、それらの読取データを参照することで、各チップ配置エリアに置かれている遊技用貨幣110のRFIDタグ111を特定することができる。
【0053】
図1に戻って、制御装置30は、チップ配置エリアごとに、RFID読取システムで得られた種類情報と、複数の物検センサ11の出力とに基づいて、遊技用貨幣110の状態を判定する。このために、制御装置30は、RFID読取システムからチップ配置エリアごとの読取結果を取得するとともに、複数の物検センサ11各々から検知結果を取得する。この結果、制御装置30は、チップ配置エリアごとに、RFIDタグ111に記憶された情報、及び遊技用貨幣の有無の情報を得ることになる。
【0054】
図5は、制御装置が判定する遊技用貨幣の状態の種類の例を示す表である。制御装置30が判定する状態は、大きく分けて正常、注意、偽造、故障、及びチップ無の5つに分けることができる。
【0055】
まず、制御装置30は、物検センサ11によって遊技用貨幣が検知されているが、RFID読取システムによってRFIDタグ111が正常に読み取れないチップ配置エリアの遊技用貨幣110について、RFIDタグ111が壊れており、又はRFIDタグ111が内蔵されていない状態であると判定する。
【0056】
より具体的には、まず、制御装置30は、物検センサによって遊技用貨幣が検知されていない場合には、当該チップ配置エリアにはチップがない状態であると判定する。
【0057】
また、制御装置30は、RFIDタグ111から何らかの情報が読み取れているが、その情報の解読ができない場合(例えば、識別情報は取得できるが、その他の情報が取得できない場合)は、RFIDタグ111に記憶されているデータが破損している状態であると判定し、RFID111から何らの情報も読み取れていない場合は、RFIDタグ111が完全に故障しているか、あるいはRFIDタグ111が内蔵されていない状態であると判定する。
【0058】
また、制御装置30は、RFID読取システムで読み取られた識別情報が記憶装置40に記憶されていない場合は、当該遊技用貨幣について、偽造された状態であると判定する。この場合は、遊技用貨幣110に内蔵されたRFIDタグ111が正規のものでない可能性が疑われる。
【0059】
制御装置30は、RFID読取システムで読み取られた識別情報が列方向の両隣の遊技用貨幣の種類情報とは異なる遊技用貨幣について、偽造された状態であると判定する。各列の両端の遊技用貨幣については、両隣の遊技用貨幣がないので、制御装置30は、RFID読取システムで読み取られた識別情報が列方向の隣の遊技用貨幣の識別情報と異なる場合であって、当該隣の遊技用貨幣の識別情報が更に隣の遊技用貨幣の識別情報と同じである場合に、当該端の遊技用貨幣が偽造の状態であると判定する。
【0060】
また、制御装置30は、RFID読取システムで読み取られた識別情報が列方向に隣り合う他の遊技用貨幣110の種類情報と所定の関係(例えば、ある行をその上の行と比較すると、上下の行の額が同額であるか、または、下の行の額が上の行の額より大きいという関係)にない遊技用貨幣110について、偽造された状態であると判定する。
【0061】
本実施の形態では、載置台10の各チップ配置エリアに遊技用貨幣を置く場合に、同じ行の種類は同じとし、額が小さい遊技用貨幣ほど上の行に置くというルールがある。よって、上記のように、同一行で隣り合う遊技用貨幣の種類が異なっている場合、及び上の行の遊技用貨幣の額より下の行の遊技用貨幣の額が小さい、又は、下の行の遊技用貨幣の額より上の行の遊技用貨幣の額が大きいという場合には、遊技用貨幣110に内蔵されたRFIDタグ111は正規のものであるが、正規の遊技用貨幣110の外観が改ざんされたか、あるいは、正規の遊技用貨幣110のRFIDタグ111が他の正規の遊技用貨幣110に移植された可能性が疑われる。
【0062】
制御装置30は、RFIDタグ111の読取りが不安定であるチップ配置エリアの遊技用貨幣110について、RFIDタグ111の読取りが不安定な状態であると判定する。この判定をするために、RFID読取システムは、チップ配置エリアごとにRFIDタグ111を読み取るための電波ないし磁界の強度を変更可能である。制御装置30は、電波又は磁界の強度を強くしたときに読取りができ、電波又は磁界の強度を弱くしたときに読取りができないチップ配置エリアの遊技用貨幣について、RFIDタグ111の読取りが不安定な状態であると判定する。
【0063】
不安定、故障、疑わしいチップ、正常でない遊技用貨幣の情報は、データベースに記憶して共有しておく。例えば、チップトレイ(載置台10以外のその他の場所)で読取不安定なチップと判定されると、データベースで記憶され、載置台10で読み取られるときにデータベースの情報から読取不安定なチップであると待ち構えることができる。データベースで不安定、故障、疑わしいチップ、正常でないチップの情報をブラックリストに入れておくと、読み取られた時にブラックリストの情報と一致するとアラートを出すことができる。
【0064】
制御装置30は、記憶装置40において、RFID読取システムで読み取られた識別情報に関連付けられたアクティベーションステータスが有効でないチップ配置エリアの遊技用貨幣について、当該遊技用貨幣が有効でない状態であると判定する。
【0065】
制御装置30は、定義されたいずれの問題もない状態の遊技用貨幣を正常な状態であると判定する。
【0066】
図1に戻って、表示装置20は、マトリクス状に配置された画素を有する表示パネルによって構成されている。その表示画面には、チップ配置エリアごとに状態判定の結果を示すエリア毎表示領域21、及び判定の結果の集計値を示す集計表示領域22が表示される。
【0067】
図6は、本発明の第1の実施の形態の検査システム101の使用例を示す図である。この例では、1行目に5枚の10ドルチップを置き、2行目に3枚の50ドルチップを左詰めで置き、3行目に4枚の100ドルチップを左詰めで置き、4行目に3枚の1000ドルチップを左詰めで置き、5行目に5枚の1000ドルチップを左詰めで置いている。
【0068】
図6に示すように、本実施の形態では、載置台10の各チップ配置エリアに1枚ずつ遊技用貨幣を配置する際には、同一行の種類(額)が同じになり、かつ、下の行に行くほど額が大きく(又は等しく)なるように、遊技用貨幣を配置する。検査を行う者は、遊技用貨幣の外観、即ち遊技用貨幣の表面及び裏面に表記されている額を確認しながら、遊技用貨幣を各チップ配置エリアに置く。
【0069】
この例では、エリア番号3番に位置する10ドルチップは、RFIDタグ111が内蔵されていない状態の遊技用貨幣であり、エリア番号6番に位置する50ドルチップは、RFIDタグ111が故障している状態の遊技用貨幣であり、エリア番号17番の1000ドルチップは、そのRFIDタグ111に記憶されている識別情報が記憶装置40に記憶されていない状態の遊技用貨幣であり、エリア番号24番の1000ドルチップは、RFIDタグは10ドルの遊技用貨幣のものであるが、外観は1000ドルチップであり、外観が改ざんされた状態の遊技用貨幣である。
【0070】
エリア番号3番及びエリア番号6番については、物検センサ11では遊技用貨幣が検知されているが、RFID読み取りシステムでは情報が読み取れていないため、RFIDタグ111が故障しているか、RFIDタグ111が含まれていない遊技用貨幣であると判定される。
【0071】
エリア毎表示領域21の該当するエリア番号のエリアには、そのようなエラーを示す表示がされる。具体的には、当該エリアは赤色に表示され、また、RFIDタグ111が故障しているか、RFIDタグ111が含まれていない遊技用貨幣である旨が文字で表示される。
【0072】
エリア番号17については、物検センサ11で遊技用貨幣が検出され、かつ、RFID読取システムでRFIDタグ111が読み取られているが、その識別情報が記憶装置40に記憶されていないと判定されている。この場合には、エリア毎表示領域21の該当するエリア番号のエリアには、そのようなエラーを示す表示がされる。具体的には、当該エリアはオレンジ色に表示され、また、RFIDタグ111ないしは識別情報が未登録である旨が文字で表示される。なお、この場合には、当該遊技用貨幣の額の情報を特定できたとしても、その額を表示しない。
【0073】
エリア番号24については、物検センサ11で遊技用貨幣が検出され、かつ、RFIDタグ111から読み取られた識別情報が記憶装置40に記憶されているが、記憶装置40において当該識別情報に関連付けられた額の情報が、両隣の遊技用貨幣の額と一致しないと判定されている。具体的には、両隣(エリア番号23とエリア番号25)の遊技用貨幣の額は1000ドルであるのに対して、エリア番号24のRFIDタグ111から読み取られた識別情報に関連付けられた額の情報が10ドルである。
【0074】
このような状況は、例えば、正規の10ドルチップの外観を改ざんして1000ドルチップに見せかけている場合や、正規の10ドルチップのRFIDタグ111を用いて偽造の1000ドルチップを作った場合に生じ得る。ディーラが目視でRFIDタグ111に基づく情報と外観との違いを確認して、ディーラの置き間違いかどうかを確認して、置き間違いの時は置き直すことができる。
【0075】
この場合には、エリア毎表示領域21の該当するエリア番号のエリアには、そのようなエラーを示す表示がされる。具体的には、当該エリアはオレンジ色に表示され、また、当該遊技用貨幣が偽造されたものである旨が文字で表示さえる。なお、この場合には、RFIDタグ111から読み取られた識別情報に関連付けられた額の情報がエリア毎表示領域21の該当するエリア番号のエリアに表示される。
【0076】
なお、本実施の形態では、RFIDタグ111から読み取った識別情報を用いて、記憶装置40を参照することにより、当該識別情報に関連付けられた額の情報を特定して、両隣と比較したが、これに代えて、または、これに加えて、遊技用貨幣から読み取った額の情報が両隣と異なるかを判定してもよい。
【0077】
複数のチップ配置エリアについての読取り及び判定の集計結果が、集計表示領域22に表示される。
図7は、
図6の例における集計表示領域の表示例を示す図である。
図6及び
図7の例では、集計表示領域22には、正常であると判定された遊技用貨幣が、10ドルチップ4枚、50ドルチップ2枚、100ドルチップ4枚、1000ドルチップ6枚であるので、額ごとの小計額(10ドルチップで40ドル、50ドルチップで100ドル、100ドルチップで400ドル、1000ドルチップで6000ドル)と、総合計額6540ドルが示される。
【0078】
また、不正な、あるいは異常がある遊技用貨幣110については、その不正ないし異常の内容と枚数が示される。
図6及び
図7の例では、RFIDタグ111の故障又はRFIDタグ111がないと判定された遊技用貨幣の枚数が2枚であり、未登録であると判定された遊技用貨幣が1枚であり、偽造であると判定された遊技用貨幣が1枚であることが示されている。
【0079】
図8は、本発明の第1の実施の形態の検査システム101の他の使用例を示す図である。
図8の例では、100ドルチップが1枚だけしか置かれていない。このような場合には、100ドルチップを同一行の他のチップの額と比較することはできない。しかしながら、エリア番号11について、当該エリアを含む行(第3行)の上の行(第2行)には50ドルチップが置かれており、当該エリアを含む行(第3行)の下の行(第4行)には1000ドルチップが置かれている。
【0080】
制御装置30は、エリア番号11のエリアについて、上下の行で読み取られた額との関係で、エリア番号11にての遊技用貨幣の額が上述した所定の関係になっているか否かを判定する。
図8の例では、エリア番号11では、記憶装置40において、RFID読取システムによって読み取られた識別情報と関連付けられている額は、10ドルである。この場合には、下の行(第4行)との関係では、当該行のほうが額が小さいので所定の関係を満たすが、上の行(第2行)との関係では、当該行のほうが額が小さいので所定の関係を満たさない。よって、制御装置30は、エリア番号11について特定された10ドルという額に異常があり、この遊技用貨幣を偽造されたものであると判定する。
【0081】
図9は、
図8の例における集計表示領域の表示例を示す図である。
図8及び
図9の例では、集計表示領域22には、正常であると判定された遊技用貨幣が、10ドルチップ5枚、50ドルチップ3枚、100ドルチップ0枚、1000ドルチップ7枚であるので、額ごとの小計額(10ドルチップで50ドル、50ドルチップで150ドル、100ドルチップで0ドル、1000ドルチップで7000ドル)と、総合計額7200ドルが示される。
【0082】
また、不正な、あるいは異常がある遊技用貨幣110については、その不正ないし異常の内容と枚数が示される。
図8及び
図9の例では、偽造であると判定された遊技用貨幣が1枚であることが示されている。
【0083】
なお、上記の実施の形態では、行ごとに同じ額の遊技用貨幣110を置き、かつ、上の行ほど小さい額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けて、ディーラが目視によって当該ルールに従うように遊技用貨幣110を1枚ずつチップ配置エリアに置いたが、これに代えて、行ごとに同じ額の遊技用貨幣110を置き、かつ、上の行ほど大きい額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けてもよく、列ごとに同じ額の遊技用貨幣110を置き、かつ、左の列ほど小さい額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けてもよく、あるいは、列ごとに同じ額の遊技用貨幣110を置き、かつ、右の列ほど小さい額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けてもよい。
【0084】
また、上記の実施の形態では、行ごとに同じ額の遊技用貨幣110を置き、かつ、上の行ほど小さい額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けて、制御装置30は、両隣と額が異なる遊技用貨幣110が偽造であると判定したが、これに代えて、同一行に複数の額の遊技用貨幣110が含まれる場合に、多数派の額を正として、少数派の額を偽造と判定してもよい。
【0085】
この場合には、制御装置30は、まず、同一行に複数の額の遊技用貨幣110が含まれるか否かを判断する。そして、複数の額の遊技用貨幣110がある場合には、いずれの額が多く、いずれの額が少ないかを判断することで、いずれの額の遊技用貨幣110が偽造されたものであるかを判定する。また、載置台10の全体で同額の遊技用貨幣110を置くというルールを設けている場合にも、複数の額の遊技用貨幣110が含まれる場合には、多数派の額を正として、少数派の額を偽造と判定してもよい。
【0086】
さらに、同一行に同一の額の遊技用貨幣110を置き、各行に置く遊技用貨幣110の大小関係は任意であるというルールを設けてもよい。この場合に、制御装置30は、各行の最左列(1列目)の遊技用貨幣110の額を基準として用い、各行において、2列目以降の遊技用貨幣110の額が1列目の遊技用貨幣100の額と同一であるかを判定してよい。
【0087】
図10は、本発明の第1の実施の形態の変形例の検査システムを示す図である。この例では、載置台10の複数のチップ配置エリアの各々について、そこに置くべきチップの額があらかじめ割り当てられている。載置台10の載置面120の各チップ配置エリアには、そこに置くべき遊技用貨幣の額を示す数字がプリントされている。ディーラその他のカジノのスタッフは、この数字に従って遊技用貨幣を1枚ずつ各チップ配置エリアに置く。
【0088】
制御装置30は、記憶装置40において、各チップ配置エリアから読み取られた識別情報に関連付けられた額の情報が当該チップ配置エリアに割り当てられた額と異なる場合には、当該チップ配置エリアの遊技用貨幣は偽造であると判定する。
【0089】
図11は、本発明の第1の実施の形態の変形例の検査システムの使用例を示す図である。この例では、エリア番号24に割り当てられた額は1000ドルであるが、記憶装置40には、RFID読取システムが読み取った識別情報に対して10ドルという額が関連付けられている。すなわち、RFIDタグ111に基づいて特定された額が、当該チップ配置エリアに割り当てられた額と異なっているため、制御装置30は、この遊技用貨幣は偽造であると判定する。
【0090】
ディーラその他のカジノのスタッフは、外観が1000ドルであることからこの遊技用貨幣110をエリア番号24のチップ配置エリアに置いている。したがって、この遊技用貨幣110は、外観から特定される額とRFIDタグ111から特定される額とが一致せず、偽造であると判定される。
【0091】
以上のように、本発明の第1の実施の形態及びその変形例の検査システムによれば、載置台10に複数のチップ配置エリアを設けて、各チップ配置エリアに遊技用貨幣を1枚ずつ置いて検査する。各チップ配置エリアには、RFIDタグ111を読み取るためのリーディングアンテナ121と物検センサ11が設けられている。リーディングアンテナ121は、各チップ配置エリアの遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取り、物検センサ11は、各チップ配置エリアの遊技用貨幣110の有無を検知する。
【0092】
この構成により、物検センサ11では検知されているが(遊技用貨幣は置かれているが)、RFIDタグ111の読取りができないチップ配置エリアについて、その遊技用貨幣のRFIDタグ111が故障しており、またはその遊技用貨幣にRFIDタグ111が内蔵されていないと判定できる。
【0093】
また、第1の実施の形態では、当該カジノで使用される遊技用貨幣の識別情報を記憶した記憶装置40を備え、制御装置30は、RFID読取システムで各チップ配置エリアから読み取られた識別情報が記憶装置40に記憶されているか否かを判定する。読み取られた識別情報が制御装置30に記憶されていない場合には、制御装置30はその遊技用貨幣110は未登録であると判定する。
【0094】
さらに、第1の実施の形態では、載置面120における遊技用貨幣の額の配置について所定のルールを設けて、ディーラないしカジノのスタッフは、遊技用貨幣の外観からその額を認識して、ルールに基づいて遊技用貨幣を載置し、あるいは、各チップ配置エリアには置くべき遊技用貨幣の額があらかじめ割り当てられており、ディーラないしカジノのスタッフは、遊技用貨幣の外観からその額を認識して、割り当てられた額に対応する遊技用貨幣を各チップ配置エリアに置く。
【0095】
制御装置30は、記憶装置40を参照することで、RFID読取システムで読み取られた識別情報に関連付けられた額を特定し、特定された額が上記のルールないし割り当てられた額に対応しているか否かを判定する。これにより、外観が示す額とRFIDタグ111により特定される額とが異なっている遊技用貨幣を偽造であると判定できる。
【0096】
なお、上記の実施の形態では、RFID読取システムで遊技用貨幣110のRFIDタグ111から識別情報を読み取って、制御装置30は、記憶装置40を参照することにより、その識別情報に関連付けられた額を特定することで、当該遊技用貨幣110のRFIDタグ111に基づく額を特定したが、これに加えて、または、これに代えて、RFID読取システムがRFIDタグ111から額の情報を読み取り、制御装置30は、このRFID読取システムが読み取った額の情報に基づいて、当該遊技用貨幣110の額を特定してもよい。なお、この場合には、記憶装置40は省略してもよい。あるいは、記憶装置40に記憶されている額によって遊技用貨幣110の額を特定する場合には、RFIDタグ111に記憶する額の情報は省略してもよい。
【0097】
また、制御装置30は、RFIDタグ111に記憶された額の情報と、記憶装置40において、RFIDタグ111から読み取られた識別情報に関連付けられた額の情報とが対応しているか(同一の額を示しているか)を判定して、遊技用貨幣110ないしはRFIDタグ111が偽造ないしは改ざんされたものであるかを判定してもよい。
【0098】
図5に示した各状態の判定についてさらに説明する。RFID読取システムは、リーディングアンテナ121から発出する電波又は磁界の強度(以下、「アンテナ強度」という。)を変更可能である。RFID読取システムは、載置台10の各チップ配置エリアに置かれた遊技用貨幣110について、アンテナ強度を変更して複数回の読取りを行う。例えば、RFID読取システムは、強弱の2段階のアンテナ強度で読取を行う。
【0099】
制御装置30は、アンテナ強度が強いときにはRFIDタグ111を読み取れるが、アンテナ強度が弱いときにRFIDタグ111を読み取れない場合は、そのチップ配置エリアの遊技用貨幣110は不安定であると判定する。
【0100】
また、記憶装置40には、上述のようにアクティベーションステータスが記憶されている。制御装置30は、記憶装置40において、RFIDタグ111から読み取った識別情報のアクティベーションステータスが有効でない(例えば、未だ有効化されていない、または、無効化(ディアクティベーション)されている)場合には、その遊技用貨幣110は非有効であると判断する。
【0101】
また、カジノでは、各場面において、不正遊技用貨幣や不正行為の監視を行っているが、不正な遊技用貨幣であると確定はできないが疑わしいと判断される場合がある。また、不正行為に関わった遊技用貨幣もその後の使用には注意すべきであり、これらの遊技用貨幣は偽造等が確定しているわけではないが使用不可とすることがある。
【0102】
このような疑わしい遊技用貨幣については、記憶装置40において当該遊技用貨幣の識別情報に関連付けて使用不可の情報を記憶しておくことができる。検査システム101にてRFID読取システムで識別情報を読み取った際に、記憶装置40にてその識別情報が使用不可とされている場合は、制御装置30は、その遊技用貨幣を使用不可の状態であると判定する。
【0103】
また、上記の実施の形態において、制御装置30は、遊技用貨幣110から情報が読み取れない場合にRFIDタグ111の故障又はRFIDタグ111の欠落と判定したが、RFIDタグ111から何らかの情報が読み取れて、RFIDタグ111があると判断できるが、当該RFIDタグに有効な情報が記憶されていない場合、例えば、RFIDタグ111のTID(Tag ID)領域は読み取れるが、EPC(Electronic Product Code)領域やユーザ領域のデータが破損している場合には、RFIDタグ111の(データの)故障であると判定してもよい。
【0104】
(第2の実施の形態)
図12は、本発明の第2の実施の形態のシステムの構成を示す図である。このシステムは、複数の検査システム102と、チップ管理システム200とからなる。複数の検査システム102とチップ管理システム200とは、通信ネットワーク300を介して通信可能に接続されている。
【0105】
このチップ管理システム200は、カジノ施設内に設置されていて、通信ネットワーク300としてイントラネットが用いられてもよく、あるいは、チップ管理システム200がインターネット300を介してカジノ施設内の複数の検査システム102と接続されてもよい。チップ管理システム200では、各遊技用貨幣の識別情報に関連付けて、その額の情報、読取履歴、アクティベーションやディアクティベーション等の情報、不安定なチップの情報、使用不可の情報等が更新され、これらの情報が通信ネットワーク300を介して定期的に各検査システム102に共有される。第1の実施の形態では、記憶装置40に識別情報に関連付けられた各種の情報が記憶されており、各検査システム101の制御装置30は、同じ検査システム101内の記憶装置40を参照して、識別情報が登録されているか等の判定を行ったが、本実施の形態では、検査システム102は、記憶装置40を備えておらず、制御装置30は、RFID読取システムで遊技用貨幣110のRFIDタグ111から読み取られた識別情報について、通信ネットワーク300を介してチップ管理システム200に問い合わせを行うことで、当該識別情報が登録されているか等の判定を行う。
【0106】
なお、各検査システム102は、記憶装置40を備えていてよい。この場合には、各検査システム102では、検査のたびに通信ネットワーク300を介してチップ管理システム200に接続する必要はなく、制御装置30が記憶装置40にアクセスして検査を行うことができる。また、この場合には、各検査システム102の記憶装置40は、通信ネットワーク300を介してチップ管理システム200によって定期的に更新される。
【0107】
図13は、本発明の第2の実施の形態の検査システム102の構成を示す図である。本実施の形態の検査システム102の説明において、第1の実施の形態の検査システム101と同様の機能を有する要素については、同一の番号を付して適宜説明を省略する。
【0108】
検査システム102は、載置台10と、表示装置20と、制御装置30と、撮影装置50を備えている。また、
図13には図示しないが、検査システム102は、検査システム101と同様のRFID読取システムを備えている。本実施の形態の制御装置30は、通信機能を有しており、チップ管理システム200と通信を行う。なお、本実施の形態では、載置台10には、4行4列の合計16個のチップ配置エリアが設けられている。
【0109】
検査システム102では、各チップ配置エリアには、物検センサ11は設けられておらず、その代わりに、載置台10を撮影する撮影装置50を備えている。撮影装置50は、レンズ等の光学系、撮像素子、画像処理装置等からなるカメラシステムである。
【0110】
撮影装置50は、載置台10の上方から、載置台10の各チップ配置エリアに置かれている遊技用貨幣110を撮影して、撮影画像を生成する。カメラ20は、フルカラーの画像を生成する。なお、撮影装置50は、1つに限らず、2つ以上設けられてもよい。また、遊技用貨幣110に、紫外線反応インクや赤外線吸収インク等の不可視インクで識別情報等の情報が表記されている場合には、撮影装置50に付随して、そのような不可視インクを可視化するための紫外線ライトや赤外線ライトが設けられる。
【0111】
制御装置30は、撮影画像に対して画像認識を行うことで、各チップ配置エリアのチップを認識して、その種類を判定する画像認識機能を有している。すなわち、制御装置30は、画像認識装置としても機能する。この画像認識には、ニューラルネットワーク、SVM等の機械学習の手法を用いることができる。これらの機械学習では、遊技用貨幣110がどの回転角度にあっても認識可能に設計及び学習されている。また、画像認識では、遊技用貨幣110が置かれていない状態の載置面120の画像と遊技用貨幣110が置かれた状態の載置面120の画像とから差分画像を生成することで、遊技用貨幣110を抽出して認識するようにしてもよい。また、差分画像を用いて、遊技用貨幣110の有無のみを検知して、第1の実施の形態と同様にして遊技用貨幣110の検査を行ってもよい。
【0112】
制御装置30は、画像認識によって、遊技用貨幣110に表記された数字を認識することで、当該遊技用貨幣の額を特定してよい。あるいは、制御装置30は、識別のための特徴を指定することなく、自己学習によって遊技用貨幣の画像全体から特徴を抽出してその額を認識してもよい。遊技用貨幣110は、額を表す数字以外にも、額ごとに異なる色や模様が表されるので、それらの色や模様も額を判別するための特徴となりえる。
【0113】
なお、上述のように、遊技用貨幣110に識別情報が可視インク又は不可視インクで表記される場合には、制御装置30は、撮影画像に基づいてこの識別情報も読み取る。この場合にも、ディープラーニング等のニューラルネットワークによる認識が行われてよい。
【0114】
表示装置20は、エリア毎ランプ部23と、液晶表示部24とを備えている。エリア毎ランプ部23には、載置台10の載置面120のチップ配置エリアに対応する配置で複数のランプが設けられている。ランプは、3原色のLED発光素子を備えており、任意の色を発光可能である。
【0115】
本実施の形態では、制御装置30で判定された遊技用貨幣の状態が、エリア毎ランプ部23のランプの点灯色によって表現される。本実施の形態では、制御装置30は、各チップ配置エリアについて、「正常」、「注意」、「偽造」、「故障」、「チップなし」のいずれかの状態であると判定し、それぞれランプを緑(正常)、黄(注意)、オレンジ(偽造)、赤(故障)に点灯させ、チップがない場合にはランプを点灯しない。
【0116】
チップ管理システム200は、第1の実施の形態の記憶装置40に記憶されていたデータと同様のデータを記憶したデータベースサーバとしての機能を有する。すなわち、チップ管理システム200には、当該カジノで用いられるすべての遊技用貨幣110の識別情報、額の情報、アクティベーションステータス、読取履歴、使用不可フラグ等が記憶され、識別情報をキーとして、当該識別情報に関連付けられた額の情報、アクティベーションステータス等を特定できる。
【0117】
制御装置30は、遊技用貨幣110が、不安定であるか、非有効であるか、使用不可である場合には、「注意」であると判定し、当該遊技用貨幣のエリア番号のランプを黄色に点灯させる。なお、不安定、非有効、使用不可の違いに応じて黄色の点滅パターンを変えてもよい。例えば、不安定は点灯、非有効及び使用不可は点滅とし、非有効と使用不可とで点滅パターンを異ならせてよい。
【0118】
なお、制御装置30は、遊技用貨幣110のRFIDタグ111の読取りが不安定である場合に、識別情報に関連付けてチップ管理システム200にその旨の情報を記憶してもよい。このようにチップ管理システム200に不安定な情報を記憶した遊技用貨幣については、その後に制御装置30が、RFID読取システムから識別情報を取得したときに、当該識別情報をキーとして、チップ管理システム200に問い合わせることで、制御装置30は、当該遊技用貨幣110のRFIDタグ111の読取が不安定であることを把握できる。
【0119】
また、制御装置30は、画像認識機能によって撮影画像から認識された額と、RFID読取システムでRFIDタグ111から読み取られた識別情報をキーとしてチップ管理システム200を参照して得られた額とが対応していない場合は、遊技用貨幣の外観が改ざんされたと判断する。また、制御装置30は、RFID読取システムでRFIDタグ111から読み取られた識別情報が、チップ管理システム200に記憶されていない場合は、当該遊技用貨幣のRFIDタグ111の識別情報が未登録であると判断する。
【0120】
制御装置30は、外観が改ざんされ、又はRFIDタグ111が未登録であると判断した場合は、この遊技用貨幣110の状態は「偽造」であると判定して、当該遊技用貨幣のエリア番号のランプをオレンジに点灯させる。なお、外観の改ざんと識別情報の未登録との違いに応じてオレンジの点滅パターンを変えてもよい。例えば、外観の改ざんは点灯、RFIDタグの未登録は点滅としてよい。
【0121】
制御装置30は、撮影画像に対して画像認識をした結果、遊技用貨幣が認識されたチップ配置エリアについて、RFID読取システムからはRFIDタグ111の読取り結果が得られない場合には、当該チップ配置エリアの遊技用貨幣110のRFIDタグ111が故障しており、あるいは当該チップ配置エリアの遊技用貨幣110がRFIDタグ111を有していないと判断して、当該遊技用貨幣110の状態が「故障」であると判定して、当該遊技用貨幣110のエリア番号のランプを赤色に点灯させる。
【0122】
制御装置30は、撮影画像に対して画像認識をした結果、遊技用貨幣が認識されなかったチップ配置エリアについては、「チップなし」と判定して、当該チップ配置エリアのエリア番号のランプを点灯させない。
【0123】
以上のように、制御装置30は、判定の結果に従ってエリア毎ランプ表示部23の各ランプの点灯を制御するランプ制御機能を有している。
【0124】
液晶表示部24は、複数のチップ配置エリアの各々の検査の結果の集計を表示する。具体的には、液晶表示部24は、「正常」であると判定された遊技用貨幣の枚数と、「注意」、「偽造」、「故障」と判定された遊技用貨幣の総数、すなわち不正な、あるいは異常のある遊技用貨幣の枚数とをそれぞれ表示する。
【0125】
図14は、本発明の第2の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。この例では、制御装置30は、エリア番号3番の遊技用貨幣110の読取が不安定であり、「注意」の状態にあると判定して、エリア毎ランプ部23のエリア番号3番のランプを黄色に点灯させる。
【0126】
また、制御装置30は、エリア番号8番について、撮影画像から100ドルチップがあることを認識するとともに、RFID読取システムからエリア番号8番の遊技用貨幣110からRFIDタグ111が読み取れないという結果を受けて、RFIDタグ111が「故障」の状態にあると判定して、エリア毎ランプ部23のエリア番号8番のランプを赤色に点灯させる。
【0127】
また、制御装置30は、エリア番号9番について、RFID読取システムから読み取った識別情報を取得して、この識別情報をキーにしてチップ管理システム200に問い合わせを行い、当該識別情報に関連付けられている額の情報として10ドルという情報を取得する。制御装置30は、一方で、エリア番号9番について、撮影画像からその遊技用貨幣110が100ドルチップであると認識する。制御装置30は、チップ管理システム200に記憶された額の情報(10ドル)と撮影画像から認識された額の情報(100ドル)とが異なるため、この遊技用貨幣110を外観が改ざんされた「偽造」であると判定して、エリア毎ランプ部23のエリア番号9番のランプをオレンジ色に点灯する。
【0128】
また、制御装置30は、エリア番号11番について、RFID読取システムから読み取った識別情報を取得して、この識別情報をキーにしてチップ管理システム200に問い合わせを行う。制御装置30は、チップ管理システム200から当該識別情報が未登録であるとの結果を受けると、この遊技用貨幣110を未登録のRFIDタグを用いた「偽造」であると判定して、エリア毎ランプ部23のエリア番号11番のランプをオレンジ色に点灯する。
【0129】
また、制御装置30は、エリア番号1、2、4~7、10、12~14番については、撮影画像に対して画像認識を行った結果、遊技用貨幣110が認識され、かつ、上記のいずれの問題もないため、これらの遊技用貨幣110を「正常」であると判定し、エリア毎ランプ部23のエリア番号1、2、4~6、10、12~14番のランプを緑色に点灯させる。なお、エリア番号15番及び16番については、撮影画像に対して画像認識を行った結果、遊技用貨幣110が認識されないため、制御装置30は、エリア毎ランプ部23のエリア番号15番及び16番のランプは点灯させない。
【0130】
図15は、本発明の第2の実施の形態の液晶表示部の表示の変形例を示す図である。液晶表示部24には、
図15に示すように、正常な遊技用貨幣110の額ごとの枚数及び小計と、正常な遊技用貨幣110の総額を表示してよい。また、不正ないし異常な遊技用貨幣110については、エリア番号と不正ないし異常の内容とを表示してよい。
【0131】
図14及び
図15の例では、上述のとおり、エリア番号3番については不安定であると判定され、エリア番号8番についてはRFIDの故障又はRFIDなしであると判定され、エリア番号9番については外観が改ざんされたと判定され、エリア番号11番についてはRFIDタグ111が未登録であると判定されているので、それぞれの内容が液晶表示部24に表示される。
【0132】
以上のように、本実施の形態の検査システム102によれば、撮影装置50によって、載置台10に置かれた遊技用貨幣110を撮影することにより遊技用貨幣の外観からその額を認識する。よって、第1の実施の形態の検査システム101のように、所定のルールないしは載置台10にあらかじめ割り当てられた額に従って遊技用貨幣110を配置する必要がなく、複数のチップ配置エリアに任意の額の遊技用貨幣110を置くことができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、制御装置30は、遊技用貨幣110の表面に表記された識別情報を用いて判定を行ってもよい。例えば、制御装置30は、撮影画像から遊技用貨幣110の表面に表記された識別情報を読み取って、チップ管理システム200に問い合わせをするようにしてよい。この場合は、RFID読取システムを省略してもよい。
【0134】
あるいは、撮影画像から認識した識別情報とRFID読取システムで認識した識別情報とを比較して、遊技用貨幣の判定を行ってもよい。両者が異なる場合には、制御装置30は、遊技用貨幣110の外観が改ざんされているか、未登録のRFIDタグ111が用いられているかのいずれかであると判定する。
【0135】
また、制御装置30は、検査システム102において用意されたいるいかなる問題もない場合に、当該遊技用貨幣を正常であると判定する。
【0136】
なお、本実施の形態では、遊技用貨幣110は、RFIDタグ111に識別情報を記憶するとともに、RFIDタグ以外の手段、すなわちインクによる印刷によってもさらに識別情報を有している。また、チップ管理システム200には、各検査システム102のRFID読取システムにおける読取りの履歴が記憶される。すなわち、チップ管理システム200には、いついずれの検査システム102でどの識別情報が読み取られたかが記憶されている。
【0137】
このような構成によれば、制御装置30が、遊技用貨幣のRFIDタグが壊れており、又はRFIDタグが内蔵されていないと判定したときに、RFIDタグ以外の手段で有する識別情報を用いて、チップ管理システム200に記憶された当該遊技用貨幣の読取りの履歴を取得することができる。これによって、どこまでRFIDタグ111が正しく読み取られていたかをトラッキングすることができ、不正の発見にもつなげることができる。
【0138】
RFIDが故障しているか、RFIDタグが無い場合には、ディアクティベートすべき識別情報がわからないので、RFIDタグ以外の手段で有する識別情報を見つけて当該識別情報をディアクティベートできる。正常なRFIDタグ111が抜き取られてRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣については、当該抜き取られたRFIDタグ111を用いて別の遊技用貨幣が偽造される恐れがあるので、RFIDタグ以外の手段で特定した識別情報をディアクティベートする。
【0139】
(第3の実施の形態)
図16は、本発明の第3の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。上記の第1の実施の形態の検査システム101は、載置台10と表示装置20と制御装置30と記憶装置40とが一体となって通信ネットワークに接続されていない状態でも使用可能なスタンドアロン型であった。
【0140】
また、第2の実施の形態の検査システム102は、記憶装置40に相当するチップ管理システム200が通信ネットワークを介して複数の検査システム102に接続されるネットワーク型であった。本実施の形態の検査システム103は、載置台10と表示装置20と制御装置30と記憶装置40に相当するチップ管理システム200とがそれぞれ別体の装置として構成されている。
【0141】
また、
図16の例では、エリア番号7番の遊技用貨幣110について、外観は50ドルチップであるが、RFID読取システムによるRFIDタグ111の読取りに基づく額は、100ドルである。この場合に、表示装置20では、エリア番号7について、50ドルと100ドルとが認識されたことを表示する。
【0142】
また、エリア番号8については、遊技用貨幣110がRFIDタグ111を有しておらず、RFIDタグ111に基づいては額を特定することはできないが、撮影装置50では、外観に基づいて100ドルであると認識されている。そこで、表示装置20では、RFIDタグ11の読取りができなかった旨及び外観が100ドルである旨の表示を行う。すなわち、本実施の形態では、撮影装置を介して認識した内容及びRFID読取システムを介して認識した内容をそのまま表示している。
【0143】
また、本実施の形態では、制御装置30としてパーソナルコンピュータを用いることができ、表示装置20としてPC用モニタを用いることができる。
【0144】
図17は、本発明の第3の実施の形態の検査システムの変形例を示す図である。この例では、検査システム103は、RFID読取システムを内蔵した載置台10と、タブレットコンピュータ600と、チップ管理システム200とを備えている。すなわち、上記の第3の実施の形態と比較すると、表示装置20と、制御装置30と、撮影装置50とがタブレットコンピュータという1つの装置によって実現されている。
【0145】
タブレットコンピュータ600と載置台10(のRFID読取システム)とは、有線又は近距離無線による通信を行う。また、タブレットコンピュータ600は、無線ルータによって通信ネットワーク300に接続して、チップ管理システム200と通信を行う。
【0146】
この例の場合には、制御装置30の画像認識、判定、表示等のすべての機能がパッケージ化された1つのアプリとしてタブレットコンピュータ600に提供されてもよい。
【0147】
(第4の実施の形態)
図18は、本発明の第4の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。本実施の形態の検査システム104では、載置面120がゲームテーブル500のテーブル面のディーラポジションに近い位置に設置されている。載置面120には4行5列のチップ配置エリアが線によって区画されている。また、載置面120の近傍には、表示装置20がテーブル面に埋め込まれて設けられ、ゲームテーブル500の内部には制御装置30が設けられている。
【0148】
複数のゲームテーブル500の各制御装置30は、通信ネットワーク300を介してチップ管理システム200に通信可能に接続される。RFID読取システムは、載置面120の各チップ配置エリアに置かれた遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取る。なお、天井にカメラを設けて、そのカメラで遊技用貨幣を認識してもよい。
【0149】
制御装置30は、RFID読取システムがRFIDタグ111から読み取った識別情報をキーとして、チップ管理システム200に問い合わせて、当該識別情報に関連付けられた額の情報を取得する。その後は、第1の実施の形態と同様にして、特定された額が行ごとに同じあり、かつ、上の行ほど額が小さいというルールに従っているかを調べてよい。
【0150】
あるいは、制御装置30は、RFID読取システムで遊技用貨幣110のRFIDタグ111から読み取られた額の情報が、チップ管理システム200から取得した額と一致するか否かによって各チップ配置エリアの遊技用貨幣110が正常であるか否かを判定してもよい。
【0151】
本実施の形態において、載置面の各チップ配置エリアを区画する線はLEDライトによって必要な時にテーブル面の下から発光してチップ配置エリアを示してもよい。
【0152】
また、本実施の形態において、チップトレイ501はディーラのチップを収容するトレイであって、RFID読取システムが設けられてよい。チップトレイ501のRFID読取システムと検査システム104のRFID読取システムとが連携してもよい。
【0153】
図19は、本発明の第4の実施の形態の検査システムの変形例を示す図である。この例では、ゲームテーブル500のテーブル面に一行5つのチップ配置エリアが設けられる。ディーラは、この一行に同じ額の遊技用貨幣110を置くものとする。このチップ配置エリアには、モニタ又はランプが備えられてもよい。
【0154】
RFID読取システムは、複数のチップ配置エリアに1枚ずつ置かれた遊技用貨幣110のRFIDタグ111に記憶された額の情報を読み取る。制御装置30は、RFID読取システムから読取り結果を取得する。制御装置30は、RFID読取システムから取得した複数の額の情報の中に1つでも額の異なる遊技用貨幣110がある場合、すなわち、すべての遊技用貨幣110の額の情報が同一でない場合には、当該複数の遊技用貨幣110の中に偽造の遊技用貨幣110が存在すると判定する。
【0155】
また、制御装置30は、チップ配置エリアの数(本例では5個)だけRFIDタグ111の読取りがされていない場合にも、当該複数の遊技用貨幣110の中にRFIDタグ111が故障した、又はRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣110が存在すると判定する。
【0156】
この例の検査システム104では、表示装置20として、3つのランプを備えている。それぞれのランプは、制御装置30によって点灯及び消灯が制御される。制御装置30は、5枚の遊技用貨幣110が正常であるときは、緑色の正常ランプを点灯させ、偽造の遊技用貨幣110があると判定したときは、オレンジ色の偽造ランプを点灯させ、RFIDタグ111が故障した、又はRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣110があると判定したときは、赤色の故障ランプを点灯させる。
【0157】
この例によれば、ゲームテーブル500のテーブル面に占める検査システム104の面積を小さく抑えて、ディーラによるその他のオペレーションへの影響を小さく抑えることができる。
【0158】
(第5の実施の形態)
図20は、本発明の第5の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
図20に示すように、本実施の形態の検査システム105では、載置台10の各チップ配置エリアに、判定結果を示す表示装置20が設けられている。本実施の形態では、各チップ配置エリアに設けられた表示装置20は、その色で判定の内容を表すランプであるが、これに加えて、又は、これに代えて、各チップ配置エリアの液晶表示パネルを設けてもよい。
【0159】
検査システム105は、第1の実施の形態の検査システム101と同様にして遊技用貨幣110の検査を行って、各チップ配置エリアの遊技用貨幣の判定結果を該当するチップ配置エリアのランプの色で表現する。
【0160】
(第6の実施の形態)
図21は、本発明の第6の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。
図21に示すように、本実施の形態の検査システム106は、第1の実施の形態の検査システム101と比較すると、載置台10に複数チップ配置エリア16が設けられている。
【0161】
この複数チップ配置エリア16には、当該複数チップ配置エリア16に置かれた複数の遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取るためのリーディングアンテナ(図示省略)が設けられる。なお、第1の実施の形態と同様に、このリーディングアンテナに対応して、ジャミングアンテナが設けられてよく、あるいは、このリーディングアンテナが隣接する複数のチップ配置エリアに置かれた遊技用貨幣110のRFIDタグ111を読み取らないように、シールドが設けられてよい。
【0162】
ディーラその他のカジノのスタッフは、本実施の形態の検査システム106を利用する際には、まず、チップ配置エリアに1枚ずつ遊技用貨幣110を置く前に、チップ配置エリアに置くべき複数(例えば、1行分の5枚)の遊技用貨幣110を複数チップ配置エリア16に積み上げる。
【0163】
複数チップ配置エリア16のリーディングアンテナは、複数チップ配置エリア16に置かれた複数の遊技用貨幣110のRFIDタグ111を一括して読み取り、その結果を複数読取結果表示部25に表示する。
【0164】
図22は、本発明の第6の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。この例では、複数チップ配置エリア16には、100ドルチップが5枚置かれている。複数読取結果表示部25には、複数チップ配置エリア16のRFID読取システムで読み取られた結果が表示される。
【0165】
ディーラその他のカジノのスタッフ(以下、単に「ディーラ」という。)は、このようにして、遊技用貨幣110を5枚取り出して複数チップ配置エリア16に置く。この際に、ディーラは、目視で5枚の遊技用貨幣110の額を確認する。典型的には、同じ額の5枚の遊技用貨幣110を複数チップ配置エリア16に置く。
【0166】
複数読取結果表示部25には、複数チップ配置エリア16のRFID読取システムで読み取られた内容が表示され、ディーラはこれを確認する。この結果が目視で確認した内容と異なる場合には、ディーラは、さらなる検査のために5枚の遊技用貨幣110を1枚ずつチップ配置エリアに置く。
【0167】
遊技用貨幣を1枚ずつ置くことは時間かかるため、複数枚の遊技用貨幣をまとめて置き、ディーラが、情報が表示された複数読取結果表示部25を確認して、すべての遊技用貨幣が正常であると確認できればそこで検査を終了してもよい。このようにすることで、検査にかかる時間を短縮できる。複数枚の遊技用貨幣を置いて正常でない遊技用貨幣が確認されれば、チップ配置エリアに1枚ずつ遊技用貨幣を置いて、正常でない遊技用貨幣を確認できる。
【0168】
なお、本実施の形態では、複数チップ配置エリア16に置かれた遊技用貨幣110の額まで特定しているが、これに代えて、枚数のみを特定してもよい。この場合には、ディーラは、目視で所定の枚数を確認して複数チップ配置エリア16において、複数読取結果表示部25には、読取結果としてRFIDタグ111を読み取った数を表示する。
【0169】
このような構成によっても、まずは複数の遊技用貨幣110の中に、RFIDタグ111が故障しているか、あるいはRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣110があるかを検査することができる。仮にRFIDタグ111が故障しているか、あるいはRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣110がある場合には、複数チップ配置エリア16に置いた遊技用貨幣110の枚数と、複数読取結果表示部25に表示される枚数とが異なることになる。
【0170】
ただし、この段階では、その複数の遊技用貨幣110のいずれに問題があるのかが不明である。そこで、これらの複数の遊技用貨幣を1枚ずつ隣接する複数のチップ配置エリアに置いて、1枚ずつ検査を行う。
【0171】
なお、複数チップ配置エリア16を、例えば、20枚入りのチップケースを5つ置ける程度に広く設計してもよい。この場合には、複数チップ配置エリア16に20枚入りのチップケースを5つ(合計100枚)置き、その結果を複数読取結果表示部25に表示する。検査をする者は、複数チップ配置エリア16に、複数の20枚入りのチップケースを置いて、その読取結果が目視で確認される遊技用貨幣(例えば、100ドルチップが20枚×5ケースで100枚)と一致している場合にはそこで検査を終え、一致しない場合には、それらのチップケースを1つずつ複数チップ配置エリア16に置いて検査をしてよい。そして、問題があるチップケースを特定できた場合には、そのチップケースを開けて遊技用貨幣110を取り出して、載置台10のチップ配置エリアに1枚ずつ置いて検査を行ってよい。
【0172】
あるいは、制御装置30は、複数チップ配置エリア16に同じ額の遊技用貨幣110が所定枚数(例えば、100枚)あるか否かを判定して、その合否の判定結果のみを複数読取結果表示部25に表示してもよい。また、制御装置は、複数チップ配置エリア16で読み取られた複数の遊技用貨幣110の額がすべて同じであるかのみを判定して、その合否の判定結果を複数読取結果表示部25に表示してもよい。なお、複数チップ配置エリア16と複数読取結果表示部25を、載置台10とは別体で構成してもよい。
【0173】
(第7の実施の形態)
図23は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの構成を示す図である。本実施の形態の検査システム107は、第1の実施の形態の検査システムと比較すると、記憶装置40を備えておらず、第2の実施の形態のようにチップ管理システム200と通信をしなくても使用できる。また、制御装置30も上記の検査ないし判定を行わない。
【0174】
載置台10のRFID読取システムは、各チップ配置エリアに配置された遊技用貨幣110から額の情報を読み取る。制御装置30は、RFID読取システムで読み取られた額の情報をエリア毎表示領域21に表示する。また、制御装置30は、RFID読取システムで各チップ配置エリアの遊技用貨幣110のRFIDタグ111から読み取られた額の情報を集計して、集計表示領域22に集計結果を表示する。
【0175】
図24は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。この例では、ディーラが目視で確認しながら、すべてのチップ配置エリアに100ドルチップを置いている。エリア毎表示領域21にはすべてのエリア番号について100ドルチップが読み取られたことが表示され、集計表示領域22には100ドルチップが25枚読み取られたことが表示される。ディーラは、載置台10に載置した遊技用貨幣110の外観と、エリア毎表示領域21及び集計表示領域22の表示とを見比べることにより、これらの25枚の遊技用貨幣110のすべてについて問題がないことを確認できる。
【0176】
図25は、本発明の第7の実施の形態の検査システムの他の使用例を示す図である。この例では、エリア番号14番に置かれた遊技用貨幣110は、RFIDタグ111には額の情報として10ドルという情報が記憶されているが、外観は100ドルチップである。ディーラは、この遊技用貨幣110を100ドルチップであると判断して他の100ドルチップとともに、エリア番号14に置いているが、エリア毎表示領域21では、本来はすべてのエリア番号について同じ100ドルと表示されるはずであるところ、エリア番号14だけが10ドルとなっている。ディーラは、載置台10に載置した遊技用貨幣110とエリア毎表示領域21のこの表示を確認することで、エリア番号14番の遊技用貨幣110が偽造されたものであると判断できる。
【0177】
また、エリア番号17番に置かれた遊技用貨幣110には、RFIDタグ111が内蔵されていない。よって、エリア毎表示領域21では、エリア番号17番には額を表す数字が表示されない。ディーラは、載置台10に載置した遊技用貨幣110と、エリア毎表示領域21のこの表示を確認することで、エリア番号17番の遊技用貨幣110が故障したものであると判断できる。
【0178】
また、集計表示領域22には、本来は100ドルチップが25枚と表示されるところ、エリア番号14番に偽造の遊技用貨幣110があり、エリア番号17番に故障の遊技用貨幣110があることから、100ドルチップは23枚しかなく、代わりに10ドルチップが1枚あり、合計は24枚であることが示されている。ディーラは、載置台10に載置した遊技用貨幣110と、集計表示領域22のこの表示を確認することで、偽造の遊技用貨幣110が1枚あり、故障の遊技用貨幣110が1枚あると判断できる。
【0179】
以上のとおり、本実施の形態の検査システム107は、制御装置30が検査ないし判定を行わないが、表示装置20には、ディーラが判定を行うための情報を表示する。特に、チップ配置エリアに同一の額の遊技用貨幣110を置く等の運用をすれば、表示装置20を確認することで容易に偽造や故障の遊技用貨幣を発見することが可能である。例えば、エリア毎表示領域21に、認識された遊技用貨幣110の種類(額)ごとに異なる色を付せば、外観と異なる額の遊技用貨幣110の存在が一目瞭然となる。
【0180】
(第8の実施の形態)
図26Aは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの載置台の一部の断面図であり、
図26Bは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの載置台の一部の平面図である。本実施の形態の載置台10には、各チップ配置エリア220に1枚ずつ遊技用貨幣110を置くためのストッパ221が、各チップ配置エリア220に設けられる。ストッパ221は、各チップ配置エリア220の左端に、上下に分かれて設けられる。各ストッパ221は、チップ配置エリア220の左端で載置面120から垂直に立ち上がる壁221wを有し、壁221wからチップ配置エリア220の中心に向かって緩やかに傾斜するスロープ部221sを有する。壁221wの高さは、遊技用貨幣110の厚さと同程度、ないしは遊技用貨幣110の厚さより若干低く設計される。上下方向に隣り合うストッパ221の間には、ストッパ221が設けられない溝222が形成される。
【0181】
図27A及び
図27Bは、本発明の第8の実施の形態の検査システムの使用例を示す図である。検査者は、載置台10の各チップ配置エリア220に遊技用貨幣110を1枚ずつ置く場合には、同一の額の5枚の遊技用貨幣110のスタックを指で摘み上げて、それらの遊技用貨幣110を置くべき行において、手を左から右に移動させながら、各チップ配置エリア220に1枚ずつ遊技用貨幣110を置いていく。
図27Aに示すように、持っている複数の遊技用貨幣110のうちの一番下の遊技用貨幣110は、ストッパ221の壁221wに当接してそれ以上右に行くことはできず、
図27Bに示すように、下から2番目及びそれより上の遊技用貨幣110のみが手によって右に移動していく。これにより、一行ずつスムーズに遊技用貨幣100を載置台10の各チップ配置エリア220に置くことができる。
【0182】
このようなストッパ221を利用することで、各チップ配置エリア220に配置された遊技用貨幣110を載置台10から取り除くことも容易である。遊技用貨幣110を取り除く場合には、検査者は、1行ずつ、1本の指を溝222に沿わせながら、右から左に向けて手を移動させる。遊技用貨幣110の右端部分が指に押されて、左端からスロープ部221sを登りながら左に移動する。左方向に押される遊技用貨幣の左端は、スロープ部221sを登りきると、次の遊技用貨幣110の上にかぶさり、他の遊技用貨幣と共に次の遊技用貨幣100が指に押されて左方向に移動する。これを繰り返すことで、検査者は、指を溝222に沿わせて手を左に移動させるだけで、一つの行に並んで配置された複数の遊技用貨幣110を下から積み重ねる方式で、スタック状に回収できる。
【0183】
以上、第1~第8の実施の形態を説明したが、各実施の形態の構成要素は任意に組み合わせることが可能である。
【0184】
検査システムでは、基本的には、ほとんどの遊技用貨幣が正常であると想定されている。よって、正常でない遊技用貨幣を検出したときに音でそのことを知らせるようにしてよい。音及び/又はランプで検査結果を出力するようにすることで、例えばランプが壊れていたときでも音で検査結果が分かる。また、音の方が目で見て確認するより簡単に確認できる。これとは逆に、正常である遊技用貨幣を読み取った時に音で知らせるようにしてよい。
【0185】
また、外観が改ざんされる等によって遊技用貨幣が正常でないとき、RFIDタグ111の読取履歴を取得することで、外観の改ざん等が行われる前の状態をトラッキングすることで、どこで不正が発生したかの発見ができる。
【0186】
RFIDタグ111が故障した遊技用貨幣やRFIDタグ111を有しない遊技用貨幣については、当該遊技用貨幣を解体して確認してよい。
【0187】
なお、上記の実施の形態では、RFIDアンテナは遊技用貨幣を1枚だけを読み取る強度になっており、遠くに電波ないし磁界が形成されないようになっている。
【0188】
また、偽造された遊技用貨幣については換金を行わないが、RFIDタグ111が故障している遊技用貨幣、RFIDタグ111を有しない遊技用貨幣、正常でない遊技用貨幣が見つかれば、まずは位の高い人(マネージャー等)を呼ぶ。RFIDタグ111が故障、タグ無しの場合、他のIDからRFIDを特定して、特定したRFIDはディアクティベートまたはブラックリストに登録する。
【符号の説明】
【0189】
10 載置台
11 物検センサ
20 表示装置
21 エリア毎表示領域
22 集計表示領域
30 制御装置
40 記憶装置
50 撮像装置
101~107 検査システム
110 遊技用貨幣
111 RFIDタグ
120 載置面
121 読取アンテナ
122 ジャミングアンテナ
200 チップ管理システム
220 チップ配置エリア
221 ストッパ
221w 壁
221s スロープ部
222 溝
300 通信ネットワーク
500 ゲームテーブル
600 タブレットコンピュータ