(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026132
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】抗B7-H4抗体、その抗原結合断片及びその医薬用途
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20240220BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20240220BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20240220BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240220BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240220BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240220BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20240220BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240220BHJP
G01N 33/531 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C07K16/46
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/53 D
G01N33/531 A
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023197481
(22)【出願日】2023-11-21
(62)【分割の表示】P 2020542138の分割
【原出願日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】201810142118.6
(32)【優先日】2018-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】518402015
【氏名又は名称】江▲蘇▼豪森▲薬▼▲業▼集▲団▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】518405393
【氏名又は名称】上▲海▼翰森生物医▲薬▼科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲包▼ 如迪
(72)【発明者】
【氏名】花 ▲海▼清
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 素霞
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 福▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ティン▼
(57)【要約】 (修正有)
【課題】B7-H4分子を腫瘍治療標的とした、腫瘍免疫治療の新しい方法を提供する。
【解決手段】抗B7-H4抗体、その抗原結合断片、及びその医薬的用途。前記抗B7-H4抗体CDR領域を含むキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物、及びその抗癌薬物としての用途。ヒト化抗B7-H4抗体、及びそのB7-H4媒介性疾患又は症状を治療する薬物の製造における用途などを開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8;
SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16;
SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24;
SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32;
SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40;
SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48;
SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56;
SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64;
SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72の配列から選択される少なくとも1つに示したLCDRを含む抗体軽鎖可変領域と、
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5;
SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13;
SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21;
SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29;
SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37;
SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45;
SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53;
SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61;
SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69;
SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74の配列から選択される少なくとも1つのHCDRを含む抗体重鎖可変領域と、を含む、
抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体重鎖可変領域は、それぞれ、
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20及びSEQ ID NO:21に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36及びSEQ ID NO:37に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44及びSEQ ID NO:45に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52及びSEQ ID NO:53に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60及びSEQ ID NO:61に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3;又は、
SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74及びSEQ ID NO:21に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15及びSEQ ID NO:16に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31及びSEQ ID NO:32に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39及びSEQ ID NO:40に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:48に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55及びSEQ ID NO:56に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63及びSEQ ID NO:64に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3;又は、
SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71及びSEQ ID NO:72に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15及びSEQ ID NO:16に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20及びSEQ ID NO:21に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31及びSEQ ID NO:32に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39及びSEQ ID NO:40に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36及びSEQ ID NO:37に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:48に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44及びSEQ ID NO:45に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55及びSEQ ID NO:56に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52及びSEQ ID NO:53に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63及びSEQ ID NO:64に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60及びSEQ ID NO:61に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項12】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71及びSEQ ID NO:72に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項13】
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74及びSEQ ID NO:21に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項14】
前記抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体又はその断片、キメラ抗体又はその断片、ヒト抗体又はその断片及びヒト化抗体又はその断片から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項15】
前記ヒト化抗体の重鎖可変領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はその変異体の重鎖FR領域をさらに含み、好ましくはヒトIgG1、IgG2又はIgG4重鎖FR領域を含み、より好ましくはアミノ酸変異によりADCC毒性を増強させたIgG1重鎖FR領域を含む、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項16】
前記ヒト化抗体軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:78、SEQ ID NO:80又はSEQ ID NO:82、好ましくはSEQ ID NO:76又はSEQ ID NO:80の配列を含む軽鎖可変領域から選択される、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項17】
前記ヒト化抗体重鎖可変領域は、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:79又はSEQ ID NO:81、好ましくはSEQ ID NO:75又はSEQ ID NO:79の配列を含む重鎖可変領域から選択される、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項18】
前記ヒト化抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:88又はSEQ ID NO:90、好ましくはSEQ ID NO:84又はSEQ ID NO:88の配列を含む軽鎖から選択される、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項19】
前記ヒト化抗体の重鎖は、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:87又はSEQ ID NO:89、好ましくはSEQ ID NO:83又はSEQ ID NO:87の配列を含む重鎖から選択される、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項20】
前記ヒト化抗体は、(1)SEQ ID NO:76の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:75の重鎖可変領域、(2)SEQ ID NO:78の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:77の重鎖可変領域、(3)SEQ ID NO:80の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:79の重鎖可変領域、又は(4)SEQ ID NO:82の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:81の重鎖可変領域を含む、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項21】
前記ヒト化抗体は、(1)SEQ ID NO:84の軽鎖及びSEQ ID NO:83の重鎖、(2)SEQ ID NO:86の軽鎖及びSEQ ID NO:85の重鎖、(3)SEQ ID NO:88の軽鎖及びSEQ ID NO:87の重鎖、又は(4)SEQ ID NO:90の軽鎖及びSEQ ID NO:89の重鎖を含む、請求項14に記載のB7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項22】
(1)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸41~60を含むエピトープと結合すること、(2)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸53~59を含むエピトープと結合すること、の少なくとも1つを特徴とする抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項23】
(1)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸53を含むエピトープと結合すること、(2)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸54を含むエピトープと結合すること、(3)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸56を含むエピトープと結合すること、(4)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸57を含むエピトープと結合すること、(5)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸58を含むエピトープと結合すること、(6)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸59を含むエピトープと結合すること、の少なくとも1つを特徴とする抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードするDNA分子。
【請求項25】
請求項24に記載のDNA分子を含む発現ベクター。
【請求項26】
請求項25に記載の発現ベクターを導入又は含有する宿主細胞。
【請求項27】
細菌であり、好ましくは大腸菌であることを特徴とする、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
酵母菌であり、好ましくはピキア酵母であることを特徴とする、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項29】
哺乳動物細胞であり、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はヒト胎児腎(HEK)293細胞であることを特徴とする、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項30】
請求項26~29に記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗体を分離し、抗体を精製することを含む、抗体を産生する方法。
【請求項31】
請求項1~23のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含有する、医薬組成物。
【請求項32】
請求項1~23のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を含む、検出試薬。
【請求項33】
請求項1~23のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を含む、診断剤。
【請求項34】
B7-H4媒介性疾患又は症状を治療又は予防するための薬物の製造における請求項1~23のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片又は請求項31に記載の医薬組成物の使用であって、前記疾患は、好ましくは癌であり、より好ましくはB7-H4を発現する癌であり、前記癌は最も好ましくは乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、膀胱癌、食道癌、子宮頸癌、胆嚢癌、膠芽腫及び黒色腫である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトB7-H4受容体に対して免疫反応性を有する抗B7-H4抗体、その抗原結合断片、前記抗B7-H4抗体CDR領域を含むキメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片を含む医薬組成物、及びその抗癌薬物としての用途に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍免疫治療は、腫瘍治療の分野で長期的に持続している研究及び開発のホットスポットであり、そのうち、T細胞腫瘍免疫治療は、中核的な位置にある。腫瘍回避は、腫瘍免疫治療が直面する大きな障害であり、大部分の腫瘍発現を、宿主の免疫系は異なる程度に認識することができるが、多くの場合で、エフェクターT細胞の低効率の活性化により、不十分な免疫反応が誘発されるため、腫瘍細胞は、自己の免疫系に対する抑制作用により腫瘍の成長を促進する。腫瘍免疫治療は、腫瘍患者の体内のキラーT細胞及び/又は他の免疫細胞を十分に利用して、腫瘍を殺傷する作用発揮させる。
【0003】
CD28受容体及びそのリガンドに対する研究は、B7スーパーファミリーと呼ばれる関連分子の特徴づけを促進している。B7ファミリーメンバーは、免疫グロブリンV様ドメイン(IgV)及び免疫グロブリンC様ドメイン(IgC)を有する免疫グロブリンであり、そのメンバーは、共刺激分子B7.1(CD80)とB7.2(CD86)、誘導可能な共刺激因子のリガンド(ICOS-L/B7-H2)、プログラム細胞死-1リガンド(PD-L1/B7-H1)、プログラム細胞死-2リガンド(PD-L2/B7-DC)、B7-H4及びB7-H4などを含む。
【0004】
ヒトB7-H4は、282個のアミノ酸からなるI型膜貫通型タンパク質であり、そのコード遺伝子が1番染色体のp11.1領域(ChoiIHら、J Immunol.2003 Nov 1、171(9):4650-4)にある。B7-H4は、T細胞免疫応答に対して負の調節の作用を果たし、B7-H4は、CD4+、CD8+T細胞の分化発育、細胞周期の進行、及びサイトカインの産生において広い抑制作用を発揮する(Sica GLら、Immunity、2003 Jun、18(6):849-61)。B7-H4遺伝子ノックアウトマウスにおいて免疫細胞障害及び自己免疫現象が発見されなかった(Zhu Gら、Blood.2009 Feb 19、113(8):1759-67、Suh WKらなど、Blood.Mol Cell Biol.2006 Sep、26(17):6403-11)。現在B7-H4の受容体及びそのシグナル伝達経路については明らかではない。
【0005】
最近の研究により、B7-H4タンパク質は様々な腫瘍組織において大量に発現して、腫瘍細胞を体の免疫系の攻撃から逃れさせていることが発見されている。B7-H4分子を腫瘍治療標的とすることは、腫瘍免疫治療に新しい方法を提供する。
【0006】
現在、ヒトB7-H4は、乳癌、卵巣癌、肺癌、子宮頸癌、腎臓癌、膀胱癌及び肝臓癌等の様々な癌細胞に発現することが知られている。脾臓、肺、胸腺、肝臓、骨格筋、腎臓、膵臓、精巣及び卵巣中にB7-H4mRNAの発現が発見され、タンパク質レベルについては乳房(乳管及び小葉)、輸卵管上皮、子宮内膜腺等の組織に低レベルのB7-H4発現がある。相関研究も、B7-H4が腫瘍関連マクロファージ(TAM)に過剰発現していること(Kryczek、I.ら、J.Exp.Med.2006、203(4):871-881)を示しており、マクロファージは、腫瘍微小環境の1つの重要な成分を構成しており、50%の腫瘍質量を表すことができる。
【0007】
現在、多くの多国籍製薬会社は、患者自身の腫瘍に対する免疫系反応を向上させて、腫瘍細胞を直接殺傷するという目的を達成する、B7-H4を対象とするモノクローナル抗体及び/又はその薬物コンジュゲートを開発している。関連特許は、例えば、WO2013025779、US20140322129などがある。Medimmune、FivePrimeなどの会社の抗B7-H4モノクローナル抗体は、現在臨床前に開発しており、ジェネンテック社の抗B7-H4抗体-薬物コンジュゲートも既に臨床前の開発段階にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際特許出願第2013025779号
【特許文献2】米国特許出願公開第20140322129号
【0009】
本発明は、高い親和性、高い選択性、高い生物活性を有する抗B7-H4抗体、腫瘍に用いられるモノクローナル抗体免疫療法及びその関連応用を提供する。B7-H4陽性腫瘍の治療に用いられる薬物、組成物及び方法である。
【発明の開示】
【0010】
本発明は、
SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7、SEQ ID NO:8;
SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16;
SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24;
SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32;
SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39、SEQ ID NO:40;
SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47、SEQ ID NO:48;
SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55、SEQ ID NO:56;
SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63、SEQ ID NO:64;
SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71、SEQ ID NO:72の配列から選択される少なくとも1つに示したLCDRを含む抗体軽鎖可変領域と、
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5;
SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13;
SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21;
SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29;
SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37;
SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44、SEQ ID NO:45;
SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52、SEQ ID NO:53;
SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60、SEQ ID NO:61;
SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68、SEQ ID NO:69;
SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74の配列から選択される少なくとも1つに示したHCDRを含む抗体重鎖可変領域と、を含む、抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体重鎖可変領域は、それぞれ
SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20及びSEQ ID NO:21に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29に示すようなHCDR1、HCDR2及び HCDR3;
SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36及びSEQ ID NO:37に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44及びSEQ ID NO:45に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52及びSEQ ID NO:53に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60及びSEQ ID NO:61に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;
SEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3;又は、
SEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74及びSEQ ID NO:21に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれ
SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15及びSEQ ID NO:16に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31及びSEQ ID NO:32に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39及びSEQ ID NO:40に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:48に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55及びSEQ ID NO:56に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、
SEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63及びSEQ ID NO:64に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3、又は、
SEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71及びSEQ ID NO:72に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む。
【0013】
特に好ましい抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片は、以下のCDR領域配列又はそれらと少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む可変領域の組み合わせから選択されるいずれか一種である。
【0014】
(1)それぞれSEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0015】
(2)それぞれSEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15及びSEQ ID NO:16に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12及びSEQ ID NO:13に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。
【0016】
(3)それぞれSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20及びSEQ ID NO:21に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0017】
(4)それぞれSEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31及びSEQ ID NO:32に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28及びSEQ ID NO:29に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0018】
(5)それぞれSEQ ID NO:38、SEQ ID NO:39及びSEQ ID NO:40に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36及びSEQ ID NO:37に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0019】
(6)それぞれSEQ ID NO:46、SEQ ID NO:47及びSEQ ID NO:48に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:43、SEQ ID NO:44及びSEQ ID NO:45に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0020】
(7)それぞれSEQ ID NO:54、SEQ ID NO:55及びSEQ ID NO:56に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:51、SEQ ID NO:52及びSEQ ID NO:53に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0021】
(8)それぞれSEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63及びSEQ ID NO:64に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60及びSEQ ID NO:61に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0022】
(9)それぞれSEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71及びSEQ ID NO:72に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0023】
(10)それぞれSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示すようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗体軽鎖可変領域;それぞれSEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74及びSEQ ID NO:21に示すようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体重鎖可変領域。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体又はその抗原結合断片は、マウス抗体又はその断片である。
【0025】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体又はその抗原結合断片は、キメラ抗体又はその断片である。
【0026】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体又はその抗原結合断片は、ヒト抗体又はその断片である。
【0027】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗体又はその抗原結合断片は、ヒト化抗体又はその断片である。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:76、SEQ ID NO:78、SEQ ID NO:80又はSEQ ID NO:82の配列を含む軽鎖可変領域から選択される。
【0029】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体重鎖可変領域は、SEQ ID NO:75、SEQ ID NO:77、SEQ ID NO:79又はSEQ ID NO:81の配列を含む重鎖可変領域から選択される。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体重鎖可変領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はその変異体の重鎖定常領域をさらに含み、好ましくはヒトIgG1、IgG2又はIgG4重鎖定常領域を含み、より好ましくはアミノ酸変異によりADCC毒性を増強させたIgG1を含む。
【0031】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:84、SEQ ID NO:86、SEQ ID NO:88又はSEQ ID NO:90の配列を含む軽鎖から選択される。
【0032】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体の重鎖は、SEQ ID NO:83、SEQ ID NO:85、SEQ ID NO:87又はSEQ ID NO:89の配列を含む重鎖から選択される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体軽鎖可変領域は、SEQ ID NO:76又はSEQ ID NO:80の配列を含む軽鎖可変領域から選択される。
【0034】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体重鎖可変領域は、SEQ ID NO:75又はSEQ ID NO:79の配列を含む重鎖可変領域から選択される。
【0035】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体の軽鎖は、SEQ ID NO:84又はSEQ ID NO:88の配列を含む軽鎖から選択される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記ヒト化抗体の重鎖は、SEQ ID NO:83又はSEQ ID NO:87の配列を含む重鎖から選択される。
【0037】
本発明のより好ましい実施形態では、ヒト化抗体は、
(1)SEQ ID NO:76の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:75の重鎖可変領域、(2)SEQ ID NO:78の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:77の重鎖可変領域、(3)SEQ ID NO:80の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:79の重鎖可変領域、又は(4)SEQ ID NO:82の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:81の重鎖可変領域から選択されるいずれの一種である。
【0038】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、ヒト化抗体は、
(1)SEQ ID NO:84の軽鎖及びSEQ ID NO:83の重鎖、
(2)SEQ ID NO:86の軽鎖及びSEQ ID NO:85の重鎖、
(3)SEQ ID NO:88の軽鎖及びSEQ ID NO:87の重鎖、又は
(4)SEQ ID NO:90の軽鎖及びSEQ ID NO:89の重鎖から選択されるいずれの一種である。
【0039】
抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片は、(1)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸41~60を含むエピトープと結合すること、(2)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸53~59を含むエピトープと結合すること、の少なくとも1つを特徴とする。
【0040】
抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片は、(1)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸53を含むエピトープと結合すること、(2)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸54を含むエピトープと結合すること、(3)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸56を含むエピトープと結合すること、(4)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸57を含むエピトープと結合すること、(5)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸58を含むエピトープと結合すること、(2)B7-H4におけるSEQ ID NO:92のアミノ酸59を含むエピトープと結合すること、の少なくとも1つを特徴とする。
【0041】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片において、前記抗原結合断片は、Fab、Fv、sFv、F(ab’)2、線形抗体、一本鎖抗体、ナノ抗体、ドメイン抗体及び多特異的抗体である。
【0042】
本発明は、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片をコードするDNA配列をさらに提供する。
【0043】
本発明は、上記のようなDNA配列を含む発現ベクターをさらに提供する。
【0044】
本発明は、上記のような発現ベクターを導入又は含有する宿主細胞をさらに提供する。
【0045】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような宿主細胞において、前記宿主細胞は、細菌であり、好ましくは大腸菌であることを特徴とする。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような宿主細胞は、酵母菌であり、好ましくはピキア酵母である。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、上記のような宿主細胞は、哺乳動物細胞であり、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はヒト胎児腎(HEK)293細胞である。
【0048】
本発明は、上記宿主細胞を培養し、培養物から抗体を分離し、抗体を精製することを含む、抗B7-H4抗体を産生する方法をさらに提供する。
【0049】
本発明は、前記のような軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む多特異的抗体をさらに提供する。
【0050】
本発明は、前記のような軽鎖可変領域と重鎖可変領域とを含む一本鎖抗体をさらに提供する。
【0051】
本発明は、前記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を含有する検出試薬又は診断剤をさらに提供する。
【0052】
本発明は、本発明に係る抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を用いることを含む、B7-H4の免疫検出又は測定方法をさらに提供する。
【0053】
本発明は、本発明に係る抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を用いてB7-H4又はB7-H4陽性細胞を検出するか又は測定することを含む、B7-H4陽性細胞に関連する疾患を診断するための方法をさらに提供する。
【0054】
本発明は、上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含有する、医薬組成物をさらに提供する。
【0055】
本発明は、B7-H4媒介性疾患又は症状を治療するための薬物の製造における上記のような抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片の用途をさらに提供し、前記疾患は、好ましくは癌であり、より好ましくはB7-H4を発現する癌であり、前記癌は最も好ましくは乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、膀胱癌、食道癌、子宮頸癌、胆嚢癌、膠芽腫及び黒色腫である。
【0056】
本発明は、必要な患者に治療的有効量の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片、又はその前記医薬組成物を投与することを含む、B7-H4媒介性疾患又は症状を治療し予防する方法をさらに提供し、前記疾患は、好ましくは癌であり、より好ましくはB7-H4を発現する癌であり、前記癌は最も好ましくは乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、膀胱癌、食道癌、胆嚢癌、子宮頸癌、膠芽腫及び黒色腫である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】7種類のキメラ抗体の精製ヒトB7-H4抗原に対する結合活性を示し、そのうち、キメラ抗体2F7と2F8のEC
50が約0.1nMである抗体のELISA体外結合実験。
【
図2】抗B7-H4抗体hu2F7が結合する抗原エピトープを示す間接ELISA結合実験。
【
図3】抗B7-H4抗体hu1C9の抗腫瘍効果を示すマウス体内薬効実験。
【
図4】抗B7-H4抗体hu1C9及びhu2G6の免疫強化(T細胞増殖)の効果を示す免疫機能実験。
【発明を実施するための形態】
【0058】
一、用語
【0059】
本発明をより理解しやすくするため、専門技術及び科学用語を以下に具体的に定義する。本明細書の他の場所で具体的に定義していない限り、本明細書で使用される他のすべての専門用語及び科学用語は、当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。
【0060】
本発明で用いられるアミノ酸の3文字記号及び1文字記号は、J.Biol.Chem、243、p3558(1968)において記述している通りである。
【0061】
本発明に記載の「抗体」という用語は、免疫グロブリン、すなわち、鎖間ジスルフィド結合により結合された2本の同じ重鎖と2本の同じ軽鎖により形成された4本のペプチド鎖構造を指す。免疫グロブリンの重鎖定常領域のアミノ酸組成と配列順が異なるため、その抗原性も異なる。これにより、免疫グロブリンは、5種類、又は免疫グロブリンのアイソタイプと呼ばれるIgM、IgD、IgG、IgA及びIgEに分けることができ、これらの対応する重鎖は、それぞれμ鎖、δ鎖、γ鎖、α鎖及びε鎖である。同じ種類のIgは、そのヒンジ領域のアミノ酸組成と重鎖のジスルフィド結合の数と位置により、さらに異なるサブカテゴリーに分類し、例えば、IgGをIgG1、IgG2、IgG3、IgG4に分類することができる。軽鎖は、異なる定常領域により、κ鎖又はλ鎖に分類される。これら5種類のIgは、いずれもκ又はλ鎖を有することができる。
【0062】
本発明において、本発明に係る抗体軽鎖可変領域は、ヒト又はマウスのκ、λ鎖又はその変異体を含む軽鎖定常領域をさらに含んでもよい。
【0063】
本発明において、本発明に係る抗体重鎖可変領域は、ヒト又はマウスのIgG1、2、3、4又はその変異体を含む重鎖定常領域をさらに含んでもよい。
【0064】
抗体重鎖と軽鎖のN端に近い約110個のアミノ酸の配列は、大きく変化し、可変領域(V領域)であり、C端に近い残りのアミノ酸配列は、相対的に安定し、定常領域(C領域)である。可変領域は、3つの超可変領域(HVR)と配列が相対的に安定した4つの骨格領域(FR)を含む。3つの超可変領域は、抗体の特異性を決定し、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる。各軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)は、3つのCDR領域と4つのFR領域で構成され、アミノ末端からカルボキシル末端へFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4という順に配列する。軽鎖の3つのCDR領域は、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を指し、重鎖の3つのCDR領域は、HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を指す。発明に係る抗体又は抗原結合断片のVL領域及びVH領域のCDRアミノ酸残基の数及び位置は、既知のKabat番号規則及びKabat又はAbM定義規則と一致する(http://bioinf.org.uk/abs/)。
【0065】
「抗原提示細胞」又は「APC」という用語は、その表面にMHCと複合した外来抗原を示す細胞である。T細胞は、T細胞受容体(TCR)を用いてこのような複合体を認識する。APCの実例は、樹状細胞(DC)、末梢血単核細胞(PBMC)、単核細胞、Bリンパ芽球細胞及び単核細胞から誘導された樹状細胞(DC)を含むが、それらに限定されない。「抗原提示」という用語は、APCが抗原を捕捉し、例えばMHC-I/MHC-IIコンジュゲートの成分として、それらをT細胞に認識可能にする過程を指す。
【0066】
「B7-H4」という用語は、ヒトB7タンパク質ファミリーのメンバーを指し、CD276とも呼ばれ、4つのIg様細胞外ドメインを有するI型の膜貫通型タンパク質である。B7-H4は、抗原提示細胞又は癌細胞の表面に発現する免疫チェックポイントタンパク質の1つであり、T細胞の機能賦活に抑制作用がある。「B7-H4」という用語は、細胞により天然に発現された「B7-H4」の任意の変異体又はアイソタイプを含む。本発明の抗体は、非ヒト種からのB7-H4と交差反応することができる。別の選択肢として、該抗体も、ヒトB7-H4に特異的であってもよく、他の種との交差反応性を示しなくてもよい。B7-H4又はその任意の変異体又はアイソタイプは、それらを天然に発現した細胞又は組織から分離して取得するか、又は本分野の汎用の及び本明細書に記載の技術を用いて組換え技術により生成することができる。好ましくは、抗B7-H4抗体は、正常なグリコシル化パターンを有するヒトB7-H4を標的とする。
【0067】
「組換えヒト抗体」という用語は、組換え方法により製造され、発現され、作成され、又は分離されたヒト抗体を含み、かかる技術及び方法は本分野においてよく知られているものであり、例えば、(1)ヒト免疫グロブリン遺伝子の遺伝子組換え、染色体導入動物(例えば、マウス)又はそれから製造されたハイブリドーマから分離された抗体、(2)形質転換により抗体を発現する、トランスフェクトーマのような宿主細胞から分離された抗体、(3)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから分離された抗体、及び(4)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングする等の方法で製造され、発現され、作成され、又は分離された抗体を含む。このような組換えヒト抗体は、可変領域と定常領域とを含み、これらの領域は、生殖細胞系列遺伝子でコードされた特定のヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列を利用するが、例えば抗体の成熟過程で生じる以降の再配列と変異も含む。
【0068】
本発明における「マウス抗体」という用語は、本分野の知識及び技術に基づいて調製されたヒトB7-H4に対するモノクローナル抗体を指す。調製において、B7-H4抗原を試験対象に注射した後、所望の配列又は機能特性を有する抗体を発現するハイブリドーマを単離する。本発明の好ましい実施形態では、前記マウスB7-H4抗体又はその抗原結合断片は、さらに、マウスκ、λ鎖若しくはその変異体の軽鎖定常領域を含むか、又はマウスIgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4若しくはその変異体の重鎖定常領域を含んでもよい。
【0069】
「ヒト抗体」という用語は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列の可変及び定常領域を有する抗体を含む。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列によりコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的変異による誘発又はインビボ細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、他の哺乳動物(例えば、マウス)種族から誘導されたCDR配列をヒト骨格配列上に移植した抗体(すなわち「ヒト化抗体」)を含まない。
【0070】
「ヒト化抗体(humanized antibody)」という用語は、CDR移植抗体(CDR-grafted antibody)とも呼ばれ、マウスのCDR配列をヒトの抗体可変領域のフレームワーク上に移植することにより産生された抗体を指す。キメラ抗体がマウスのタンパク質成分を多く持つことにより誘導される強い免疫応答反応を克服することができる。免疫原性が低下するとともに、活性の低下を引き起こすことを回避するために、前記ヒト抗体可変領域に対して最小限の逆突然変異を行って活性を維持することができる。
【0071】
「キメラ抗体(chimeric antibody)」という用語は、マウス抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域とを融合した抗体であり、マウス抗体から誘発された免疫応答反応を軽減することができる。キメラ抗体を確立するには、まず、マウス特異的モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを確立し、次にマウスハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローニングし、さらに必要に応じてヒト抗体の定常領域遺伝子をクローニングし、マウス可変領域遺伝子とヒト定常領域遺伝子とを接続してキメラ遺伝子にした後にヒトベクターに挿入し、最後に真核細胞産業系又は原核細胞産業系においてキメラ抗体分子を発現する。ヒト抗体の定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はその変異体の重鎖定常領域、好ましくはヒトIgG2又はIgG4を含む重鎖定常領域、又はアミノ酸変異によりADCC(antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用)の毒性を増強させたIgG1から選択することができる。
【0072】
「抗原結合断片」という用語は、抗体の抗原結合断片及び抗体類似体を指し、一般に、少なくとも一部の母体抗体(parental antibody)の抗原結合領域又は可変領域(例えば1つ以上のCDR)を含む。抗体断片は、母体抗体の少なくともいくつかの結合特異性を保持する。一般に、モルに基づいて活性を表すと、抗体断片は、少なくとも10%の母体結合活性を保持する。好ましくは、抗体断片は、少なくとも20%、50%、70%、80%、90%、95%又は100%以上の母体抗体の標的に対する結合親和性を保持する。抗原結合断片の実例は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、線形抗体(linear antibody)、一本鎖抗体、ナノ抗体、ドメイン抗体及び多特異的抗体を含むが、これらに限定されない。工学的に操作された抗体変異体は、HolligerとHudson(2005)Nat.Biotechnol.23:1126-1136において概説されている。
【0073】
「Fab断片」は、一本の軽鎖及び一本の重鎖のCH1及び可変領域で構成される。Fab分子の重鎖は、他の重鎖分子とジスルフィド結合を形成することができない。
【0074】
「Fc」領域は、抗体のCH1及びCH2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合で、CH3ドメインの疎水性作用により一体に保持される。
【0075】
「Fab’断片」は、1本の軽鎖と、VHドメイン、CH1ドメイン、及びCH1とCH2ドメインとの間の領域を含む1つの重鎖の部分を含有することにより、2つのFab’断片の2本の重鎖の間に鎖間ジスルフィド結合を形成してF(ab’)2分子を形成することができる。
【0076】
「F(ab’)2断片」は、2本の軽鎖、CH1とCH2ドメインとの間の定常領域の一部を含む2本の重鎖を含有し、2本の重鎖間に鎖間ジスルフィド結合を形成する。したがって、F(ab’)2断片は、2本の重鎖間のジスルフィド結合により保持された2つのFab’断片で構成される。
【0077】
「Fv領域」は、重鎖及び軽鎖の両方からの可変領域を含むが,定常領域を欠く。
【0078】
「多特異的抗体」という用語は、その最も広義の意味で使用され、マルチエピトープ特異性を有する抗体を包含する。これらの多特異的抗体は、VH-VLユニットがマルチエピトープ特異性を有する重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)とを含む抗体、各VH-VLユニットが異なるターゲット又は同じターゲットの異なるエピトープに結合される、2つ以上のVLとVH領域とを有する抗体、各単一の可変領域が異なるターゲット又は同じターゲットの異なるエピトープに結合される、2つ以上の単一の可変領域を有する抗体、全長抗体、抗体断片、二重抗体(diabodies)、二重特異的二重抗体及び三重抗体(triabodies)、共有結合又は非共有結合の抗体断片などを含むが、それらに限定されない。
【0079】
「一本鎖抗体」という用語は、抗体の重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)で一段の連結ペプチドを介して接続された一本鎖組換えタンパク質であり、完全抗原結合部位を有する最小抗体断片である。
【0080】
「ドメイン抗体断片」という用語は、重鎖可変領域又は軽鎖可変領域鎖のみを含有する、免疫学的機能を有する免疫グロブリン断片である。いくつかの場合において、2つ以上のVH領域は、ペプチドリンカーと共有結合されて二価ドメイン抗体断片を形成する。二価ドメイン抗体断片の2つのVH領域は、同じ又は異なる抗原を標的化することができる。
【0081】
本発明における「B7-H4に結合」という用語は、ヒトB7-H4と相互作用することができることを指す。本発明における「抗原結合部位」とは、抗原上に不連続であり、本発明の抗体又は抗原結合断片によって認識される三次元空間部位を指す。
【0082】
「エピトープ」という用語は、抗原上に免疫グロブリン又は抗体と特異的に結合する部位を指す。エピトープは、隣接するアミノ酸、又はタンパク質の三次折り畳みにより並列するが隣接しないアミノ酸で形成し得る。隣接するアミノ酸で形成されるエピトープは、一般に、変性溶媒に露出された後に保持されるが、三次折り畳みにより形成されるエピトープは、一般に、変性溶媒で処理された後に失われる。エピトープは、一般に、独特な空間的コンフォメーションで少なくとも3~15個のアミノ酸を含む。どのようなエピトープが所定の抗体で結合されるかを決定する方法は本分野においてよく知られており、免疫ブロット法及び免疫沈降検出分析等を含む。エピトープの空間的コンフォメーションを決定する方法は、例えば、X線結晶分析法、二次元核磁気共鳴等の本分野における技術、本明細書に記載の技術を含む。
【0083】
本発明で使用される「特異的結合」、「選択的結合」という用語は、抗体が所定の抗原におけるエピトープと結合することを指す。一般に、分析物として組換えヒトB7-H4を用い、リガンドとして抗体を用いた場合、機器において表面プラズモン共鳴(SPR)技術により測定した時に、抗体は、約10-7M以下の平衡解離定数(KD)で所定の抗原に結合し、所定の抗原に結合する親和性は、所定の抗原又は密接に関連する抗原以外の非特異的抗原(BSA等)に結合する親和性の少なくとも二倍である。「抗原を認識する抗体」という用語は、本明細書において「特異的に結合する抗体」という用語と交換して使用しもよい。
【0084】
「交差反応」という用語は、本発明の抗体が異なる種からのB7-H4と結合する能力を指す。例えば、ヒトB7-H4を結合する本発明の抗体も他の種のB7-H4と結合してもよい。交差反応性は、結合測定(例えば、SPR及びELISA)において、精製抗原との特異的反応性を検出したり、生理発現B7-H4の細胞との結合又は機能的な相互作用により測定したりする。交差反応性を決定する方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)分析、又はフローサイトメトリーのような標準結合測定を含む。
【0085】
「抑制」又は「遮断」という用語は、交換して使用しもよく、部分的及び完全に抑制/遮断することを意味する。リガンドの抑制/遮断は、好ましくは、抑制しないか又は遮断しない場合にリガンド結合が発生したときに活性が現れる正常なレベル又はタイプを低減するか又は変更する。抑制と遮断も、抗B7-H4抗体に接触した場合に、抗B7-H4抗体に接触していないリガンドと比較して、任意の測定可能なリガンドの結合親和性を低下させることを意図している。
【0086】
「増殖抑制」(例えば細胞に関する)という用語は、任意の測定可能な細胞増殖の低下を含むことを意図している。
【0087】
「免疫応答誘導」と「免疫応答強化」という用語は、交換して使用してもよく、特定の抗原に対する免疫応答の刺激(すなわち、受動的又は適応的)を指す。CDC又はADCCを誘発することに関して使用される「誘発する」という用語は、特定の直接細胞殺傷機構の刺激を指す。
【0088】
本発明に記載の「ADCC」、すなわちantibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、抗体依存性細胞媒介性細胞障害作用は、Fc受容体を発現している細胞が、抗体のFc断片を認識することにより、抗体で覆われた標的細胞を死滅させることを指す。抗体のADCCエフェクター機能は、IgGのFc断片を修飾することにより強化又は低減又は除去することができる。前記修飾とは、抗体の重鎖定常領域での変異を指す。
【0089】
抗体及び抗原結合断片を製造及び精製する方法は、コールド・スプリング・ハーバー研究所の抗体実験技術ガイドにおける第5~8章及び第15章のような従来技術でよく知られている。例えば、マウスは、ヒトB7-H4又はその断片で免疫することができ、得られた抗体は、復元され、精製されてもよく、かつ従来の方法でアミノ酸配列決定を行うことができる。抗原結合断片は、同様に従来の方法で製造することができる。発明に係る抗体又は抗原結合断片は、遺伝子工学方法で非ヒトCDR領域に1つ以上のヒトFR領域を加える。ヒトFR生殖細胞系列は、Im Muno Gene Tics(IMGT)のウェブサイトhttp://imgt.cines.frから取得されるか、又は免疫グロブリン雑誌、2001 ISBN 012441351から取得されてもよい。
【0090】
本発明の改変抗体又は抗原結合断片は、従来の方法を用いて調製及び精製することができる。対応する抗体のcDNA配列は、GS発現ベクターにクローニングして再構築することができる。組換え免疫グロブリン発現ベクターは、CHO細胞に安定的に遺伝子導入することができる。より推奨される従来技術としては、哺乳類発現系は、特にFC領域中の高度に保存されたN末端でグリコシル化された抗体を作ることができる。安定クローンは、ヒト抗原に特異的に結合する抗体の発現を介して得ることができる。陽性クローンは、バイオリアクターでの抗体産生に用いる血清不含培養液で増やされる。抗体が分泌される培養液は、従来技術により精製され、採取される。抗体は濾過し、従来の方法により濾過され、濃縮される。可溶性混合物と多量体も、分子篩、イオン交換を含む従来の方法により除去されてもよい。得られた産物は直ちに凍結し(例えば-70℃)、又は凍結乾燥される。
【0091】
本発明における抗体とは、モノクローナル抗体を指す。本発明に係るモノクローナル抗体(mAb)は、単一のクローン細胞株から得られた抗体を指す。前記細胞株は、真核生物、原核生物又はファージクローン細胞株に限定されない。モノクローナル抗体又は抗原結合断片は、例えば、ハイブリドーマ技術、組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術(CDR-grafting等)又は他の従来技術による組み換えにより得ることができる。
【0092】
動物、ヒト、実験被験者、細胞、組織、臓器又は体液に適用される「投与」及び「処理」は、外因的な薬物、治療薬、診断剤又は組成物を、動物、ヒト、被験者、細胞、組織、臓器又は体液と接触させることを指す。「投与」と「処理」は、例えば、治療学的、薬物動態学的、診断学的研究又は実験方法を指す。細胞の処理は、薬物を細胞と接触させる、及び薬物を液体と接触させる(ここでは前記液体は細胞と接触している)ということを含む。「投与」と「処理」は、さらに、試薬、診断、結合組成物、又は、他の細胞のインビトロ及びインビトロ処理により、例えば、細胞を処理することを意味する。ヒト、獣医学又は研究被験者に適用される「処理」は、治療処理、予防又は予防措置、研究及び診断適用を指す。
【0093】
「治療」は、本発明の結合化合物のいずれかを含む組成物などの治療薬を、内用又は外用で、薬物が治療効果を有することが知られた1つ以上の疾患症状を有する患者に投与することを意味する。一般に、治療薬は、治療を受ける患者又は集団において、1つ以上の疾患症状を緩和するのに有効な量が投与され、かかる症状の進展を、臨床的に測定可能な程度に軽減するか又は抑制する。特定の疾患症状を軽減するのに有効な治療薬の量(「治療的有効量」とも呼ばれる)は、患者の疾患状態、年齢及び体重などの要因、及び患者において所望の反応を導き出す薬物の能力により変動する。疾患症状が軽減されたかどうかは、医師又は他の熟練したヘルスケア提供者により、その症状の重症度又は進行状態を評価するために一般的に用いられる臨床的測定により評価することができる。本発明の実施態様(例えば治療方法又は製品)では、対象の疾患症状を緩和することについて、すべての患者で効果があるわけではないが、統計学的に相当数の患者については、Student t検定、カイ二乗検定、MannとWhitneyのU検定、Kruskal-Wallis検定(H-検定)、Jonckheere-Terpstra検定及びWilcoxon検定などのこの技術分野で周知の統計的検定により判定すれば、対象の疾患症状を緩和するはずである。
【0094】
明細書及び特許請求の範囲で用いられる、「基本的に〇〇〇からなる」という用語又はその変形表示は、列挙された要素又は要素群、及び、任意に、列挙された要素と類似する又は相違する性質の他の要素であって、特定された投薬計画、方法又は組成物の基本的又は新規な特性を実質的に変化させない要素を包含することを示す。なんら制限することのない実施例として、基本的に、列挙されたアミノ酸配列からなる結合化合物は、結合化合物の特性に実質的に影響しない1つ以上のアミノ酸をさらに包含してもよい。
【0095】
本発明のある対象に適用される「天然に存在する」という用語は、該対象が自然界に発見できるという事実を指す。例えば、自然界から分離して得られた生体(ウイルスを含む)、かつ人工的に実験室で意図的に修飾されていないポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0096】
「有効量」は、疾患の症状又は兆候を、改善するか又は抑制するのに十分な量を包含する。また有効量は、診断を可能にする、又は容易にするのに十分な量を意味する。特定の患者又は獣医学被験者に対する有効量は、治療される疾患、患者の一般的健康状態、投与経路と用量及び副作用の重大性などの要因によって変動する。有効量は、顕著な副作用又は毒性効果を回避できる最大用量又は投薬計画でもあり得る。
【0097】
「外因性」は、状況に応じて、生物、細胞又は人体の外側で産生される物質を指す。「内因性」は、状況に応じて、生物、細胞又は人体の内側で産生される物質を指す。
【0098】
「相同性」は、2本のポリヌクレオチド配列間又は2本のポリペプチド間の配列類似性を指す。2本の比較される配列の両方とも、ある位置が同一の塩基又はアミノ酸モノマーサブユニットで占められている場合、例えば、2つのDNA分子のそれぞれのある位置がアデニンで占められている場合、前記分子は、その位置で相同性がある。2つの配列間の相同性の百分率は、一致又は2つの配列により共有される相同位置の数を、比較される位置の数により割った後で、100を掛けた関数である。例えば、2つの配列を最適に整列させた場合に、10個の位置のうち6個が一致又は相同している場合、2つの配列は60%の相同性がある。一般に2つの配列が整列された場合、比較が行われ、最大百分率相同性が与えられる。
【0099】
本明細書に使用されるように、「細胞」、「細胞系列」、及び「細胞培養物」という表現は、交換して使用しもよく、そのような名称はすべて後代を含む。したがって、単語「形質転換体」及び「形質転換細胞」は、初代の受験細胞及び移入の数に関係なくそれらから誘導される培養物を含む。計画的な又は偶発性の変異のために、すべての子孫はDNA含有量が正確に同一であるとは限らないこともまた理解される。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングされたものと同じ機能又は生物学的活性を有する変異子孫が包含される。異なる名称が表わされる場合、それは文脈から明らかとなる。
【0100】
「任意の」又は「任意に」は、後に続く事象又は状態が必ずしも起こらないことを意味し、この記述は、事象又は状態が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意に1~3個の抗体重鎖可変領域」は、特定の配列を有する抗体重鎖可変領域が存在してもよいが、必ずしも必要ではないことを意味する。
【0101】
「医薬組成物」は、1種以上の本発明による化合物又はそれらの生理学的/薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグ及びその他の化学的成分、ならびに生理学的/薬学的に許容されるベクター及び賦形剤などの付加的な成分を含む混合物を指す。医薬組成物は、生物体への薬物投与を促進し、活性成分の吸収を容易にし、それにより生物活性を発揮させることを目的としている。
【0102】
以下、本発明を、実施例を参照してさらに記述するが、そこへ本発明の範囲が制限されるわけではない。本発明の実施例において、具体的な条件が記載されていない場合、実験は、通常、従来の条件下で、例えば、コールド・スプリング・ハーバーの抗体技術実験マニュアル、分子クローニングマニュアルを参照して実施するか、又は、材料もしくは製品の製造者により提示される条件下で実施した。試薬の出所が具体的に与えられていない場合、その試薬は市販の慣用的な試薬である。
【0103】
実施例1:抗原準備及び安定細胞株の構築
HisFlagタグ付きのヒトB7-H4(huB7-H4-HF)をコードする配列と、huFcタグ付きのヒトB7-H4(h-B7-H4-Fc)をコードする配列は、CRO社のIntegrated DNA Technology(IDT)により合成され(以上のB7-H4組換えタンパク質の鋳型配列はいずれも本発明により設計される)、それぞれpTT5ベクター(Biovector)にクローニングされた。組換えたB7-H4タンパク質は、293T細胞で発現した後、実施例2により精製された。
【0104】
精製されたタンパク質は、下記各実施例の実験に用いることができる。
【0105】
huB7-H4-Fc配列:
【化1】
huB7-H4-his配列:
【化2】
【0106】
huB7-H4-hisの精製ステップ:
細胞発現上清サンプルを高速で遠心分離して不純物を除去し、緩衝液をPBSに置換し、イミダゾールを添加することにより終濃度5mMに達した。ニッケルカラムを5mMのイミダゾールを含有するPBS溶液で平衡化し、2~5倍のカラム体積で洗浄した。置換した上清サンプルをコラムにかけた。A280読み値がベースラインまで減少するまで、カラムを5mMのイミダゾールを含有するPBS溶液で洗浄した。その後、PBS+10mMのイミダゾールでクロマトグラフィーカラムを洗浄し、非特異結合の不純タンパク質を除去し、流出液を採取した。さらに300mMのイミダゾールを含有するPBS溶液で標的タンパク質を溶出し、溶出ピークを採取した。採取した溶出液は、イオン交換(SPカラム)によりさらに精製した。A液の製造:0.01MのPB、pH8.0。B液の製造:A液+1MのNaCl。まず、イミダゾールを含有するPBS溶液で溶出された標的タンパク質をA液に置換し、A液でSPカラムを平衡化し、サンプリングして、B液の濃度段階が0~100%であり、10倍のカラム体積で溶出し、各溶出ピークを採取した。得られたタンパク質は、電気泳動により、正確なものに検定した後に分注して使用に備える。HisFlagタグ付きのヒトB7-H4(hu-B7-H4-his)を得る。
【0107】
huB7-H4-Fcの精製ステップ:
HEK293細胞で発現した上清サンプルを高速で遠心分離して不純物を除去し、緩衝液をPBSに置換した。10mMのリン酸緩衝液でProtein A親和性カラムを平衡化し、2~5倍のカラム体積で洗浄する。置換した上清サンプルをコラムにかけた。A280読み値がベースラインまで減少するまで、カラムを25倍のカラム体積の緩衝液で洗浄した。標的タンパク質をpH3.5の0.8%酢酸緩衝液で溶出し、溶出ピークを採取し、分取後に直ちに1MのpH8.0のTris-Cl緩衝液を添加して中和し、さらにMillipore’s Amico-15濾過カラムを用いて溶液をPBSに置換した。得られたタンパク質は、電気泳動により、ペプチドマッピング、LC-MSで検定した後に分取して使用に備える。
【0108】
安定したCHO-S細胞プールの構築:
ヒト又はカニクイザルB7-H4タンパク質(huB7-H4又はcyB7-H4)をコードする全長配列は、Integrated DNA Technology(IDT)社により合成され(以上のB7-H3組換えタンパク質の鋳型配列はいずれも本発明により設計される)、それぞれ改造されたpcDNA3.1ベクター、すなわち、pcDNA3.1/puro(Invitrogen#V79020)にクローニングされた。CHO-S(ATCC)細胞は、CD-CHO培地(Life Technologies、#10743029)内で0.5x106/mlまで培養した。huB7H3又はcyBH7H3遺伝子をコードする10ugのベクターと50ulのLF-LTX(Life Technologies、#A12621)を1mlのOpti-MEM培地(Life Technologies、#31985088)で混合し、室温で20分間インキュベートした後、CHO細胞培養液を添加して二酸化炭素インキュベーターに入れて培養した。24時間後に新たな培地を取り替えて10ug/mlのピューロマイシンを添加した。その後に2~3日ごとに新たな培養液を1回取り替え、10~12日後にスクリーニングした後に安定したCHO-S細胞プールを得る。
【0109】
実施例2:マウスハイブリドーマ及び抗体配列の取得
ヒト抗原huB7-H4-Fcを用いて動物免疫を行い、雌性、10週齢の合計5匹のBalb/cマウスと5匹のA/Jマウスに対して、Sigma完全フロイントアジュバント(CFA)とSigma不完全フロイントアジュバント(IFA)を用いて、免疫原と免疫アジュバントとを1:1の割合で十分に混合乳化し、安定した「油中水」液体を製造し、25μg/200μLの注射量で注射する。
【0110】
【0111】
免疫マウス血清に対して、実施例3に記載の間接ELISA、捕捉ELISA法を用いて血清力価及び細胞表面抗原結合能力を評価し、力価検出状況(10万倍希釈度より大きい)を対照して細胞融合を開始することを決定した。血清力価、親和性及びFACS結合が強い免疫マウスを選択して1回の最終免疫を行った後にマウスを屠殺し、脾臓細胞とSP2/0骨髄腫細胞を融合してプレートに細胞を播種してハイブリドーマを得て、間接ELISA及び捕捉ELISA法により標的ハイブリドーマをスクリーニングし、限界希釈法によりモノクローナル細胞株を構築する。得られた陽性抗体株は、さらにB7-H4を安定して発現させたCHO-S細胞を用いて、ブランクCHO-S細胞を比較して非特異的結合抗体ハイブリドーマ株を排除し、フロー式選別方法でスクリーニングすることにより、組換えタンパク質と結合し、かつ細胞発現抗原とも結合した8株のハイブリドーマを選定した。対数増殖期ハイブリドーマ細胞を採取し、Trizol(Invitrogen、15596-018)でRNAを抽出し逆転写する(PrimeScriptTM Reverse Transcriptase、Takara#2680A)。逆転写して得られたcDNAをmouse Ig-Primer Set(Novagen、TB326 Rev.B 0503)でPCR増幅した後、配列決定し、最終的に8株のマウス抗体の配列を得た。
【0112】
マウスモノクローナル抗体2F7の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化3】
【0113】
【0114】
M1の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化4】
【0115】
【0116】
マウスモノクローナル抗体2F8の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化5】
【0117】
【0118】
マウスモノクローナル抗体2F4の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化6】
【0119】
【0120】
マウスモノクローナル抗体2A10の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化7】
【0121】
【0122】
マウスモノクローナル抗体2E4の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化8】
【0123】
【0124】
マウスモノクローナル抗体1E4の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化9】
【0125】
【0126】
マウスモノクローナル抗体2G6の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化10】
【0127】
【0128】
マウスモノクローナル抗体1C9の重鎖及び軽鎖可変領域の配列は以下のとおりである:
【化11】
【0129】
【0130】
マウス抗体の各株重鎖と軽鎖可変領域をヒトIgG1重鎖定常領域とκ軽鎖定常領域にそれぞれクローニングし、実施例4で説明した方法で精製し、同定し、関連する活性検出を行った。
【0131】
実施例3:抗体のインビトロ結合活性検出方法
【0132】
(1)インビトロ間接ELISA結合実験:
pH7.4のPBSでhuB7-H4 Hisタンパク質(Sino Biological Inc.、cat#10738-H08H)を1μg/ml濃度に希釈し、96ウェルの高親和性酵素標識プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、4℃の冷蔵庫で一晩(16~20時間)インキュベートした。PBST(pH7.4のPBSが0.05%のTween-20を含有する)で4回洗浄した後、PBSTで希釈した150μl/ウェルの3%ウシ血清アルブミン(BSA)ブロッキング液を添加し、室温で1時間インキュベートして封止した。封止終了後、ブロッキング液を捨て、PBST緩衝液で4回洗浄した。
【0133】
測定対象抗体を3%BSA含有PBSTで希釈し、1μMから、10倍の段階で10個の投与量に希釈し、100μl/ウェルで酵素標識プレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。インキュベート終了後にPBSTで4回洗浄し、3%BSA含有PBSTで希釈した100μl/ウェルのHRP標識のヤギ抗ヒト二次抗体(Abcam、cat#ab97225)を添加し、室温で1時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した後、100μl/ウェルのTMB発色基質(Cell Signaling Technology、cat#7004S)を添加し、室温で1分間遮光してインキュベートし、100μl/ウェルのStop Solution(Cell Signaling Technology、cat#7002S)を添加して反応を終了し、マイクロプレートリーダー(BioTek、型番Synergy H1)を用いて450nmで吸収値を読み取り、データを分析した。濃度信号値曲線解析結果を以下の表に示す:
【表11】
【0134】
(2)競合性ELISA実験:
pH7.4のPBSでhuB7-H4 Hisタンパク質(Sino Biological Inc.、cat#10738-H08H)を1μg/ml濃度に希釈し、96ウェルの高親和性酵素標識プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、4℃の冷蔵庫で一晩(16~20時間)インキュベートし、PBST(pH7.4のPBSが0.05%のTween-20を含有する)で4回洗浄した後、PBSTで希釈した150μl/ウェルの3%ウシ血清アルブミン(BSA)ブロッキング液を添加し、室温で1時間インキュベートして封止した。封止終了後、ブロッキング液を捨て、PBST緩衝液で4回洗浄した。
【0135】
3%BSA含有PBSTで0.1nMの参照キメラ抗体を調製し、該抗体を希釈液として測定対象マウス抗体を100nMから、10倍の段階で、10個の投与量に希釈し、希釈した抗体を100μl/ウェルで酵素標識プレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。インキュベート終了後にPBSTで4回洗浄し、3%BSA含有PBSTで希釈した100μl/ウェルのHRP標識のヤギ抗ヒト二次抗体(Abcam、cat#ab97225)を添加し、室温で1時間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した後、100μl/ウェルのTMB発色基質(Cell Signaling Technology、cat#7004S)を添加し、室温で1分間遮光してインキュベートし、100μl/ウェルのStop Solution(Cell Signaling Technology、cat#7002S)を添加して反応を終了し、マイクロプレートリーダー(BioTek、型番Synergy H1)を用いて450nm箇所で吸収値を読み取り、データを分析した。競合性抑制率=((参照抗体吸光値-競合抗体吸光値)/Abv抗体吸光値)*100。
【0136】
(3)インビトロ捕捉ELISA結合実験:
ヤギ抗マウスIgG二次抗体(Jackson Immuno Research、cat#115-006-071)をpH7.4のPBS緩衝液で2ug/ml濃度に希釈し、100ul/ウェルの体積で96ウェルの酵素標識プレートに添加し、37℃のインキュベーター中で2時間放置した。PBSTで一回洗浄した後、PBSTで希釈した200ul/ウェルの5%脱脂乳(光明脱脂粉乳)ブロッキング液を添加し、37℃のインキュベーター中で2時間インキュベートしたり、4℃で一晩(16~18時間)放置して封止した。封止終了後、ブロッキング液を捨て、PBSTで4回洗浄した。
【0137】
5%NHSを含有するサンプル希釈液(2.5%脱脂乳のPBST)で測定対象マウス血清を希釈するか、又は組換え抗体を異なる濃度に精製し、室温で40分間インキュベートした後、100ul/ウェルで酵素標識プレートに添加し、37℃のインキュベーターに置いて40分間インキュベートした。インキュベート終了後にPBSTで4回洗浄し、サンプル希釈液で希釈した100ul/ウェルのビオチン化huB7-H4-his(義翹神州#10738-H08H)タンパク質溶液を添加し、37℃で40分間インキュベートした。インキュベート終了後にPBSTで4回洗浄し、PBSTで希釈した100μl/ウェルのHRP標識ストレプトアビジン(Jackson Immuno Research、cat#016-030-084)を添加し、37℃で40分間インキュベートした。PBSTで4回洗浄した後、100μl/ウェルのTMB発色基質(湖州英創生物科技有限公司)を添加し、室温で10~15min遮光してインキュベートし、50μl/ウェルの1MのH2SO4を添加して反応を終了し、マイクロプレートリーダー(北京普朗新技術有限公司、型番DNM-9602)を用いて450nm箇所で吸収値を読み取り、データを分析した。
【0138】
(4)インビトロ細胞結合実験:
培養したCHO-huB7-H4で安定的に遺伝子導入された細胞又はSK-BR3細胞を採取し、細胞密度を調節した後に96ウェルのU形ベースプレートに分注して、ウェルあたり1~2x105個の細胞を準備した。1200gで5min遠心分離し、上清を除去し、100ulの段階希釈した抗体溶液又はマウス免疫血清を添加し、4℃で60minインキュベートし、1200rpmで5min遠心分離し、上清を除去し、PBSで細胞を2回洗浄した後、100ul/ウェルで蛍光標識二次抗体(PE-GAM又はPE-GAH)を添加し、4℃で60minインキュベートした。1200rpmで5min遠心分離し、上清を除去した。PBSで細胞を2回洗浄した後、PBSに再懸濁し、フローサイトメーターを用いて信号を検出し、濃度曲線解析結果とした。
【0139】
実施例4:抗B7-H4組換えキメラ抗体の構築発現
【0140】
本発明における各マウス抗体の重鎖可変領域(VH)と軽鎖可変領域(VL)に対してそれぞれFR(framework region)領域の部位特異的アミノ酸変異を行い、異なるアミノ酸変異組み合わせに応じて、異なるヒト化抗体重鎖と軽鎖を設計し、異なる軽重鎖組み合わせプラスミドを細胞に遺伝子導入してヒト化抗体を産生することができる。
【0141】
重鎖ベクターの設計は、シグナルペプチド+変異の重鎖可変領域配列+ヒトのIgG1定常領域配列である。
【0142】
軽鎖ベクターの設計は、シグナルペプチド+変異の軽鎖可変領域配列+ヒトのKappa定常領域配列である。
【0143】
上記配列をそれぞれpCEP4ベクターに挿入する。上記設計に応じて発現ベクターを合成し、ベクタープラスミドを得た後、大量のプラスミドを抽出し、プラスミドに対して配列決定検証を行った。検証に合格したプラスミドをPEIでヒト293F細胞に遺伝子導入し、連続培養し、293F細胞を無血清培養液(上海奥浦邁生物、OPM-293CD03)で対数増殖期に培養して細胞の遺伝子導入に使用した。21.4μgのヒト化抗体軽鎖プラスミドと23.6μgのヒト化抗体重鎖プラスミドを10mlのOpti-MEM I Reduced Serum Medium(GIBCO、31985-070)に溶解して均一に混合した後、200μgのPEIを添加して均一に混合し、RTで15minインキュベートし、50mLの細胞に添加した。細胞培養条件は、5%CO2、37℃、125rpm/minである。培養期間で、1日目と3日目に、細胞生存率が70%未満になるまで栄養を追加し、細胞上清を受け取り、遠心濾過した。遠心濾過後の細胞培養液を抗体精製アフィニティーカラムにサンプリングし、リン酸緩衝液でカラムを洗浄し、グリシン塩酸緩衝液(pH2.7、0.1MのGly-HCl)で溶出し、pH9.0、1MのTris塩酸で中和し、かつリン酸緩衝液で透析し、最終的に精製された各キメラ抗体を得た。
【0144】
実施例5:インビトロ結合親和性と動力学的実験:
【0145】
Biacore方法は、一般に認められたタンパク質相互間の親和性及び動力学を客観的に検出する検出方法である。Biacore T200(GE)により本発明の測定対象B7-H4抗体の特徴的親和性及び結合動力学を分析する。
【0146】
Biacoreで提供されるキットを利用し、NHS標準アミノカップリング法で本発明の測定対象の抗B7-H4抗体をCM5(GE)チップに共有結合する。次に、
a)、同様の緩衝液に希釈した50nMのヒトhuB7-H4-hisタンパク質(義翹神州#10738-H08H)をサンプル注入し、10uL/minの流速で、サンプル注入後にキット内に再生試薬を添加して再生する。抗原-抗体結合動力学を3分間追跡し、かつ解離動力学を10分間追跡する。得られたデータを、GEのBIAevaluationソフトウェアを用いて1:1(Langmuir)結合モデルで解析し、この方法で推定した各マウス抗体の単一点kd(koff)データを以下の表に示す。
【0147】
【0148】
b)、同様の緩衝液に希釈した一連の濃度段階のヒトhuB7-H4-hisタンパク質を、前後にそれぞれサイクルしてサンプル注入し、10uL/minの流速で、サンプル注入後にキット内に再生試薬を添加して再生する。抗原-抗体結合動力学を3分間追跡し、かつ解離動力学を10分間追跡する。得られたデータを、GEのBIAevaluationソフトウェアを用いて1:1(Langmuir)結合モデルで解析し、この方法で測定したキメラ抗体ka(kon)、kd(koff)及びKD値を以下の表に示す。
【0149】
【0150】
実施例6:マウス抗体ヒト化実験
【0151】
マウス抗ヒトB7-H4モノクローナル抗体のヒト化は、本分野の多くの文献に開示された方法で行われる。要するに、親族(マウス抗体)定常ドメインに代えてヒト定常ドメインを用い、マウス抗体とヒト抗体との相同性に応じてヒト抗体配列を選択し、本発明は、マウス候補分子2F7、2F8、2G6及び1C9をヒト化する。
【0152】
得られたマウス抗体VH/VL CDRの典型的な構成を基に、重、軽鎖可変領域配列をヒト抗体生殖細胞系列データベースと比較して、相同性の高いヒト生殖細胞系列テンプレートを得る。
【0153】
マウス抗体2F7、2F8、2G6及び1C9のCDR領域を選択された対応するヒト化テンプレートに移植した。2F8のHCDR1領域(GYTFTNSWMN、SEQ ID NO:19)とHCDR2領域(GIYPNSGNIEYNEKFKG、SEQ ID NO:20)は、それぞれGYTFTSSWMN(SEQ ID NO:73)とGIYPNRGNIEYNEKFKG(SEQ ID NO:74)に変異して潜在的な脱アミド不安定部位を除去する。ヒト化可変領域を置換し、さらにIgG定常領域(好ましくは重鎖がIgG1で、軽鎖がκである)と組み換えた。次に、マウス抗体の三次元構造を基礎として、埋め込み残基と、CDR領域と直接的に相互作用する残基と、VL及びVHのコンフォメーションに重要な影響を与える残基とを復帰変異し、CDR領域の化学不安定アミノ酸残基を最適化し、ヒト化軽重鎖可変領域配列を組み合わせて形成した抗体を設計し、検出する。
【0154】
発現試験と復帰変異の数の対比により、最終的なヒト化hu2F7、hu2F8、hub2G6及びhu1C9抗体分子を選択し、それぞれの重鎖及び軽鎖の可変領域配列は、SEQ ID NO:75~82に示すように、それぞれの重鎖及び軽鎖配列は、SEQ ID NO:83~90に示すとおりである。
【化12-1】
【化12-2】
【化12-3】
【化12-4】
【0155】
以上の各ヒト化抗体の軽鎖と重鎖のアミノ酸配列に基づいてcDNA断片を合成し、pcDNA3.1発現ベクター(Life Technologies Cat.No.V790-20)に挿入した。発現ベクターとトランスフェクション試薬PEI(Polysciences、Inc.Cat.No.23966)をHEK293細胞(Life Technologies Cat.No.11625019)に1:2の割合で遺伝子導入し、CO2含有のインキュベーター中で4~5日間インキュベートした。発現した抗体を遠心分離して回収した後、実施例4の方法で抗体精製を行い、本発明のヒト化抗体タンパク質hu2F7及びhub2F8を得た。
【0156】
実施例7:ヒト化抗体活性測定
【0157】
hubF7とhubF8ヒト化抗体に対してインビトロで以下の実験測定を行った。
【0158】
1.インビトロ細胞結合実験:
培養したMX-1細胞を採取し、pH7.4のPBSで細胞密度を調節して96ウェルのV字形ベースプレートに分注し、ウェルあたり1x10
5個の細胞を準備した。2000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、各ウェルに、段階希釈した100μlのキメラ抗体溶液(0.5%BSA含有のPBSで1μMから、3倍の段階で、10個の使用量に希釈)を添加し、均一に混合し、4℃で振盪で1時間インキュベートし、2000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去し、PBSで細胞を2回洗浄した後、各ウェルに、0.5%BSA含有PBSで希釈した100μlのFITC標識ヤギ抗ヒト二次抗体(Abcam、cat#ab97224)を添加し、均一に混合し、4℃で振盪で30分間インキュベートした。2000rpmで5分間遠心分離し、上清を除去した。PBSで細胞を2回洗浄した後、PBSに再懸濁し、フローサイトメーター(BECKMANCOULTER、型番DxFLEX)を用いて信号を検出し、濃度曲線解析結果とした。結果はグラフに示すとおりであり、ヒト化抗体2F7、2F8、2G6及び1C9は、いずれもB7-H4を高発現したMX-1細胞と陽性結合した。
【表14】
【0159】
2.親和性動力学実験(方法ステップが実施例5と同じ)については、結果は次の表に示すとおりであり、ヒト化抗体hu2F7、hu2F8、hu2G6及びhu1C9は、いずれもヒトB7-H4抗原タンパク質に対して強い親和力を示している。
【0160】
【0161】
実施例8:ヒト化抗体結合エピトープ測定
【0162】
方法ステップは、実施例3の(1)インビトロ間接ELISA結合実験と同じである。SEQ ID NO:92のB7-H4を、長さが20個のアミノ酸である抗原性断片に分解し、インビトロ間接ELISA結合実験により、抗原性断片P12(アミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP)とヒト化抗B7-H4抗体hu2F7とが特異的に結合したことを発見し、結果を
図2に示す。抗体結合エピトープをさらに確認するために、抗原性断片P12にアラニンスキャンを行い、P12における単一のアミノ酸をそれぞれアラニンに変異させた。インビトロ間接ELISA接合実験により、アミノ酸配列:ILSCTFE部分の変異は抗体と抗原性断片の結合を著しく弱め、抗体結合エピトープはアミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP中のアミノ酸配列:ILSCTFE(SEQ ID NO:109)部分に位置していることを発見した。結果を以下の表に示す。
【0163】
【表16】
インビトロ間接ELISA結合実験により、抗原性断片P12(アミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP)とヒト化抗B7-H4抗体hu1C9とが特異的に結合したことを発見し、結果を以下の表に示す。抗体結合エピトープをさらに確認するために、抗原性断片P12にアラニンスキャンを行い、P12における単一のアミノ酸をそれぞれアラニンに変異させた。インビトロ間接ELISA接合実験により、アミノ酸配列:LSCTF部分の変異は抗体と抗原性断片の結合を著しく弱め、抗体結合エピトープはアミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP中のアミノ酸配列:LSCTF(SEQ ID NO:110)部分に位置していることを発見した。結果を以下の表に示す。
【0164】
【0165】
インビトロ間接ELISA結合実験により、抗原性断片P12(アミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP)とヒト化抗B7-H4抗体hu2G6とが特異的に結合したことを発見し、結果を以下の表に示す。抗体結合エピトープをさらに確認するために、抗原性断片P12にアラニンスキャンを行い、P12における単一のアミノ酸をそれぞれアラニンに変異させた。インビトロ間接ELISA接合実験により、アミノ酸配列:ILSCTFEP部分の変異は抗体と抗原性断片の結合を著しく弱め、抗体結合エピトープはアミノ酸配列:TVASAGNIGEDGILSCTFEP中のアミノ酸配列:ILSCTFEP(SEQ ID NO:111)部分に位置していることを発見した。結果を以下の表に示す。
【0166】
【0167】
実施例9:ヒト化抗体の抗腫瘍効果
【0168】
遺伝子編集技術によりヒトB7H4遺伝子を導入したマウスにMC38腫瘍細胞を移植し、腫瘍が平均100mm
3に成長した後、3日おきにマウスに対照又はヒト化B7-H4抗体hu1C9(10mg/kg又は30mg/kg)を1回注射し開始した。腫瘍の大きさの観察により、hu1C9が腫瘍成長を顕著に抑制する機能を有し、抗腫瘍効果を有することを発見した。具体的な結果を
図3及び以下の表に示す。
【0169】
【0170】
実施例10:ヒト化抗体の免疫強化の効果
【0171】
抗B7-H4の抗腫瘍効果は腫瘍免疫効果を強化することにより媒介される可能性がある。このメカニズムを検証するために、ヒト末梢血からCD4陽性のT細胞を抽出した後、培養したT細胞に異なる濃度のヒト化抗体hu2G6とヒト化抗体hu1C9のような抗B7-H4抗体を添加した。具体的な結果は、
図4及び以下の表に示すように、ヒト化抗体hu2G6及びヒト化抗体hu1C9は、T細胞増殖を向上させる作用を有し、腫瘍免疫を強化することにより抗腫瘍の効果を達成することができる。
【0172】
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体軽鎖可変領域と、抗体重鎖可変領域と、を含む抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片であって、
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7及びSEQ ID NO:8に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4及びSEQ ID NO:5に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23及びSEQ ID NO:24に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:73、SEQ ID NO:74及びSEQ ID NO:21に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:62、SEQ ID NO:63及びSEQ ID NO:64に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:59、SEQ ID NO:60及びSEQ ID NO:61に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、又は、
前記抗体軽鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:70、SEQ ID NO:71及びSEQ ID NO:72に示されるLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、前記抗体重鎖可変領域は、それぞれSEQ ID NO:67、SEQ ID NO:68及びSEQ ID NO:69に示されるHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む、
抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト抗体及びヒト化抗体から選択される、請求項1に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記ヒト化抗体の重鎖可変領域は、
ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4又はその変異体の重鎖定常領域をさらに含み、又は、
ヒトIgG1、IgG2又はIgG4重鎖定常領域をさらに含み、又は、
アミノ酸変異によりADCC毒性を増強させたIgG1重鎖定常領域を含む、請求項2に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記ヒト化抗体は、(1)SEQ ID NO:76の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:75の重鎖可変領域、(2)SEQ ID NO:78の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:77の重鎖可変領域、(3)SEQ ID NO:80の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:79の重鎖可変領域、又は(4)SEQ ID NO:82の軽鎖可変領域及びSEQ ID NO:81の重鎖可変領域を含む、請求項2に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記ヒト化抗体は、(1)SEQ ID NO:84の軽鎖及びSEQ ID NO:83の重鎖、(2)SEQ ID NO:86の軽鎖及びSEQ ID NO:85の重鎖、(3)SEQ ID NO:88の軽鎖及びSEQ ID NO:87の重鎖、又は(4)SEQ ID NO:90の軽鎖及びSEQ ID NO:89の重鎖を含む、請求項2に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードするDNA分子。
【請求項7】
請求項6に記載のDNA分子を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項7に記載の発現ベクターを導入又は含有する宿主細胞。
【請求項9】
細菌、酵母菌又は哺乳動物細胞であることを特徴とする、請求項8に記載の宿主細胞。
【請求項10】
大腸菌、ピキア酵母、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又はヒト胎児腎(HEK)293細胞であることを特徴とする、請求項9に記載の宿主細胞。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか1項に記載の宿主細胞を培養し、培養物から抗体を分離し、抗体を精製することを含む、抗体を産生する方法。
【請求項12】
請求項5に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片及び薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体を含有する、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を含む、検出試薬。
【請求項14】
請求項1~5のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片を含む、診断剤。
【請求項15】
B7-H4媒介性疾患又は症状を治療又は予防するための薬物の製造における請求項1~5のいずれか1項に記載の抗B7-H4抗体又はその抗原結合断片又は請求項12に記載の医薬組成物の使用。
【請求項16】
前記疾患は、癌であり、又は、
B7-H4を発現する癌であり、又は、
卵巣癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、肺癌、肝臓癌、胃癌、結腸癌、膀胱癌、食道癌、子宮頸癌、胆嚢癌、膠芽腫及び黒色腫である、請求項15に記載の使用。
【外国語明細書】