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特開2024-26144CD47抗体及びがんを治療するためのその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026144
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】CD47抗体及びがんを治療するためのその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240220BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12P21/08
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/62 Z
C07K16/28
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 E
C07K19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198049
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2020529364の分割
【原出願日】2018-11-29
(31)【優先権主張番号】62/593,712
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505314468
【氏名又は名称】シージェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガーダイ, シャイラ
(72)【発明者】
【氏名】レベングッド, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】トラング, ビビアン
(72)【発明者】
【氏名】ウエステンドルフ, ローリ
(72)【発明者】
【氏名】カロジーノ, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】フェルドハウス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ロウ, チ-リョン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非がん性細胞を標的化することなくがん細胞においてCD47を選択的に標的化する組成物及び方法を提供する。
【解決手段】CD47に特異的に結合するマスクされた抗体を含むヒト化抗体が、提供される。CD47発現細胞に関連する1つ以上の疾患または障害(例えば、がん)の治療と同様に、CD47発現細胞の活性を調節する(例えば、増殖を阻害する)ための、マスクされた抗体を含む、抗CD47抗体を使用する方法が、提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項2】
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
c)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
d)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項3】
前記重鎖可変領域が配列番号16、17、及び18、配列番号19、20、及び18、配列番号21、22、及び18、配列番号16、20、及び18、ならびに配列番号23、24、及び18から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む、請求項1または請求項2に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項4】
前記軽鎖可変領域が配列番号31、32、及び33、配列番号31、32、及び36、ならびに配列番号34、35、及び33から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号16、17、18、31、32、及び33、配列番号16、17、18、34、35、及び33、配列番号19、20、18、31、32、及び33、配列番号19、20、18、34、35、及び33、配列番号21、22、18、31、32、及び33、配列番号21、22、18、34、35、及び33、配列番号16、20、18、31、32、及び33、配列番号16、20、18、34、35、及び33、配列番号23、24、18、31、32、及び33、配列番号23、24、18、34、35、及び33、配列番号16、17、18、31、32、及び36、配列番号19、20、18、31、32、及び36、配列番号21、22、18、31、32、及び36、16、20、18、31、32、及び36、ならびに配列番号23、24、18、31、32、及び36から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項6】
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項7】
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
c)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
d)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項8】
前記重鎖可変領域が配列番号25、26、及び27、配列番号28、26、及び27、配列番号29、30、及び27、ならびに配列番号29、26、及び27から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む、請求項6または請求項7に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項9】
前記軽鎖可変領域が配列番号37、38、及び39、配列番号40、38、及び39、ならびに配列番号37、38、及び41から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項6~8のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号25、26、27、37、38、及び39、配列番号25、26、27、40、38、及び39、配列番号25、26、27、37、38、及び41、配列番号28、26、27、37、38、及び39、配列番号28、26、27、40、38、及び39、配列番号28、26、27、37、38、及び41、配列番号29、30、27、37、38、及び39、配列番号29、30、27、40、38、及び39、配列番号29、30、27、37、38、及び41、配列番号29、26、27、37、38、及び39、配列番号29、26、27、40、38、及び39、ならびに配列番号29、26、27、37、38、及び41から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項11】
前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7及び8から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項12】
前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14及び15から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項13】
前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が配列番号2及び10、配列番号3及び11、配列番号3及び12、配列番号3及び13、配列番号3及び14、配列番号4及び11、配列番号4及び12、配列番号4及び13、配列番号4及び14、配列番号5及び11、配列番号5及び12、配列番号5及び13、配列番号5及び14、配列番号6及び11、配列番号6及び12、配列番号6及び13、配列番号6及び14、配列番号7及び11、配列番号7及び12、配列番号7及び13、配列番号7及び14、配列番号8及び11、配列番号8及び12、配列番号8及び13、配列番号8及び14、配列番号3及び15を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項14】
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16であるHCDR1、配列番号17であるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31であるLCDR1、配列番号32であるLCDR2、ならびに配列番号33であるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号3への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号13への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記抗体がAb47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項15】
前記重鎖可変領域が配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号13のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項16】
前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含む、請求項1~15のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項17】
Kabat番付に従うH29がFであり、H44がRまたはGであり、H49がAであり、H82がMまたはIであり、H89がIまたはVであり、H91がFまたはYであり、H94がRである、請求項16に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項18】
前記軽鎖可変領域が、
a)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
b)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項19】
Kabat番付に従うL4がMであり、L21がLであり、L49がKであり、L69がTまたはSであり、L85がVまたはTである、請求項18に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【請求項20】
前記抗体またはその抗原結合断片が、IgG1アイソタイプのものである、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項21】
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP)を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項23】
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された補体依存性細胞傷害(CDC)を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項24】
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcである、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合断片がインビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、請求項1~24のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項26】
その親抗体と比較して、低下したコアフコシル化を有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項27】
フコシル化されていない、請求項1~26のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
【請求項28】
前記抗体または抗原結合断片がCD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する、請求項1~27のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項29】
前記抗体または抗原結合断片がAb47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする、核酸配列。
【請求項31】
請求項29に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項32】
請求項30に記載の核酸または請求項28に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項33】
請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を発現する、宿主細胞。
【請求項34】
請求項32または請求項33に記載の宿主細胞を培養することを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を産生する方法。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合断片を単離することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、前記対象に請求項1~29のいずれか一項に記載の抗CD47抗体または抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項37】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に請求項1~29のいずれか一項に記載の抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項38】
ステップa)が、
i)がん組織を単離することと、
ii)前記単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に請求項1~26のいずれか一項に記載の抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項40】
ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記マクロファージ染色が抗CD163抗体を用いて実行される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記CD47発現癌が血液癌または固形癌である、請求項36~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記CD47発現癌が、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記CD47発現癌が、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌、癌腫、頭頸部癌、皮膚癌、黒色腫、前立腺癌、下垂体癌、胃癌、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記CD47発現癌が、肺癌、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び乳癌から選択される、請求項36~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記CD47抗体またはその抗原結合断片が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される、請求項36~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片がアゴニスト抗CD40抗体と組み合わされて投与される、請求項36~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記アゴニスト抗CD40抗体が低いフコシル化レベルを有するか、またはフコシル化されていない、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされて投与され、前記ADCの前記抗体ががん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、前記抗体が細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される、請求項36~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞傷害性薬剤がアウリスタチンである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ADCの前記抗体がvcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される薬物リンカーに複合体化される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
CD47発現細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞を請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片に接触させることを含む、前記方法。
【請求項53】
前記細胞がインビトロにある、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記細胞がインビボにある、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記ヒトCD47タンパク質及び少なくとも1つのマスキングドメインに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含むマスクされた抗体であって、少なくとも1つのマスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、前記マスクされた抗体。
【請求項56】
前記少なくとも1つのマスキングドメインが、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47タンパク質への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる、請求項55に記載のマスクされた抗体。
【請求項57】
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、少なくとも約100倍低下する、請求項56に記載のマスクされた抗体。
【請求項58】
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、約200倍~約1500倍低下する、請求項56に記載のマスクされた抗体。
【請求項59】
前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結されるか、または前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結されるか、または前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結され、前記軽鎖が第2のマスキングド
メインに連結される、請求項55~58のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項60】
前記第1のマスキングドメインが配列番号44、46、48、50、52、54、75、77、79、81、83、85、及び94から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のマスキングドメインが配列番号45、47、49、51、53、55、76、78、80、82、84、86、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項59に記載のマスクされた抗体。
【請求項61】
前記第1のマスキングドメイン及び前記第2のマスキングドメインが、配列番号44及び45、配列番号46及び47、配列番号48及び49、配列番号50及び51、配列番号52及び53、配列番号54及び55、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号81及び82、配列番号83及び84、配列番号85及び86、ならびに配列番号94及び95から選択されるマスキングドメインの対である、請求項60に記載のマスクされた抗体。
【請求項62】
前記第1のマスキングドメインが前記重鎖のN末端に連結され、前記第2のマスキングドメインが前記軽鎖のN末端に連結される、請求項59~61のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項63】
各マスキングドメインが、プロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーを介して前記重鎖または軽鎖に連結される、請求項59~62のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項64】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、請求項63に記載のマスクされた抗体。
【請求項65】
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、請求項64に記載のマスクされた抗体。
【請求項66】
MMPによる切断に続き、前記抗体またはその抗原結合断片の前記重鎖及び/または軽鎖が前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを含む、請求項64または請求項65に記載のマスクされた抗体。
【請求項67】
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記配列LRSG、SG、またはVRを含む、請求項66に記載のマスクされた抗体。
【請求項68】
前記抗体またはその抗原結合断片が請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片である、請求項55~67のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項69】
第1のマスキングドメインに連結された、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖及び第2のマスキングドメインに連結された、配列番号43のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、請求項55~68のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項70】
請求項1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片及び少なくとも1つのマスキングドメインを含む、マスクされた抗体。
【請求項71】
少なくとも1つのマスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項70に記載のマスクされた抗体。
【請求項72】
各マスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項70に記載のマスクされた抗体。
【請求項73】
前記少なくとも1つのマスキングドメインが、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47タンパク質への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる、請求項70~72のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項74】
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、少なくとも約100倍低下する、請求項73に記載のマスクされた抗体。
【請求項75】
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、約200倍~約1500倍低下する、請求項73に記載のマスクされた抗体。
【請求項76】
前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結されるか、または前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結されるか、または前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結され、前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結される、請求項70~75のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項77】
前記第1のマスキングドメインが配列番号44、46、48、50、52、54、75、77、79、81、83、85、及び94から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のマスキングドメインが配列番号45、47、49、51、53、55、76、78、80、82、84、86、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項76に記載のマスクされた抗体。
【請求項78】
前記第1のマスキングドメイン及び前記第2のマスキングドメインが、配列番号44及び45、配列番号46及び47、配列番号48及び49、配列番号50及び51、配列番号52及び53、配列番号54及び55、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号81及び82、配列番号83及び84、配列番号85及び86、ならびに配列番号94及び95から選択されるマスキングドメインの対である、請求項77に記載のマスクされた抗体。
【請求項79】
前記第1のマスキングドメインが前記重鎖のN末端に連結され、前記第2のマスキングドメインが前記軽鎖のN末端に連結される、請求項76~78のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項80】
各マスキングドメインが、プロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーを介して前記重鎖または軽鎖に連結される、請求項76~79のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
【請求項81】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、請求項80に記載のマスクされた抗体。
【請求項82】
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、請求項81に記載のマスクされた抗体。
【請求項83】
MMPによる切断に続き、前記抗体またはその抗原結合断片の前記重鎖及び/または軽鎖が前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを含む、請求項81または請求項82に記載のマスクされた抗体。
【請求項84】
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記配列LRSG、SG、またはVRを含む、請求項83に記載のマスクされた抗体。
【請求項85】
請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体をコードする、核酸配列。
【請求項86】
請求項85に記載の核酸を含む、発現ベクター。
【請求項87】
請求項86に記載の核酸または請求項78に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項88】
請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体を発現する、宿主細胞。
【請求項89】
請求項87または請求項88に記載の宿主細胞を培養することを含む、請求項49~76のいずれか一項に記載のマスクされた抗体を産生する方法。
【請求項90】
前記マスクされた抗体を単離することをさらに含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、前記対象に請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項92】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)前記がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有するものとして対象を特定するステップと、
b)前記対象に請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与するステップであって、前記マスクされた抗体の各マスキングドメインがプロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含むステップと、を含む、前記方法。
【請求項93】
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記MMPが、MMP2、MMP7、MMP9、及びMMP13からなる群から選択される、請求項92または請求項93に記載の方法。
【請求項95】
ステップa)が、
i)がん組織及び非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び前記非がん組織においてMMPを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、請求項92~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項97】
ステップa)が、
i)がん組織を単離することと、
ii)前記単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に請求項55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
【請求項99】
ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記マクロファージ染色が抗CD163抗体を用いて実行される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記CD47発現癌が血液癌または固形癌である、請求項91~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記CD47発現癌が、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される、請求項91~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記CD47発現癌が、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌、肉腫、頭頸部癌、黒色腫、皮膚癌、前立腺癌、下垂体癌、胃癌、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される、請求項91~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記CD47発現癌が、肺癌、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び乳癌から選択される、請求項91~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記抗CD47抗体が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される、請求項91~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片がアゴニスト抗CD40抗体と組み合わされて投与される、請求項91~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
前記アゴニスト抗CD40抗体が低いフコシル化レベルを有するか、またはフコシル化されていない、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされて投与され、前記ADCの前記抗体ががん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、前記抗体が細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される、請求項91~107のいずれか一項に記載の方法。
【請求項109】
前記細胞傷害性薬剤がアウリスタチンである、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記ADCの前記抗体がvcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される薬物リンカーに複合体化される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記マスクされた抗体がプロテアーゼ切断可能リンカーを含む少なくとも1つのマスキングドメインを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーが腫瘍微小環境において切断される、請求項91~110のいずれか一項に記載の方法。
【請求項112】
前記腫瘍微小環境における前記プロテアーゼ切断可能リンカーの切断に続いて、前記マスキングドメインが前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片から放出される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがアミノ酸配列IPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含む、請求項111または請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがMMP切断部位を含む、請求項111~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位からなる群から選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片の放出に続いて、前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が前記プロテアーゼ切断可能リンカーのスタブアミノ酸レムナントを有する、請求項111~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記LRSG、SG、またはVRの配列を含む、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記腫瘍微小環境における切断に続いて、前記放出された抗CD47抗体またはその抗原結合断片がCD47に対する前記マスクされた抗体の前記親和性よりも少なくとも約100倍強力な親和性でCD47に結合する、請求項111~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記腫瘍微小環境における切断に続いて、前記放出された抗CD47抗体またはその抗原結合断片がCD47に対する前記マスクされた抗体の前記親和性よりも200~1500倍強力な親和性でCD47に結合する、請求項111~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片または前記マスクされた抗体の前記抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片がその親抗CD47抗体と比較してインビトロで低下した赤血球凝集を呈する、請求項36~51及び91~119のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項121】
前記親抗体がAb47である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体の投与が前記対象における赤血球凝集を誘導しない、請求項36~51及び91~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体がインビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、請求項36~51及び91~122のいずれか一項に記載の方法。
【請求項124】
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体がインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記CD47発現細胞ががん細胞である、請求項124に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月1日に出願された米国仮出願第62/593,712号の優先権の利益を主張するものであり、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、抗体ベースのがん治療薬の分野に関する。特に、本発明は、任意選択で除去可能なマスキング薬剤に関連し得る、新規のヒト化抗CD47抗体及びその抗原結合断片または複合体、ならびにCD47発現癌の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
インテグリン関連タンパク質(IAP)としても知られる分化抗原群47(CD47)は、タンパク質の免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜貫通受容体である。CD47は、細胞上に遍在的に発現され、自己認識のためのマーカーとして働き、「私を食べないで」信号として働くことにより貪食を防止する。CD47は、トロンボスポンジン(TSP)及びシグナル調節性タンパク質-アルファ(SIRPα)を含むいくつかの他のタンパク質との相互作用を通じてその作用を媒介する。貪食細胞上のSIRPαと標的細胞上のCD47との相互作用は、標的細胞が貪食されないことを確実にするのに役立つ。
【0004】
ある特定のがんは、がん細胞の細胞表面上のCD47の発現を増加させ、したがって免疫系による排除を避けることによって、細胞のCD47ベースの免疫回避機構を取り込む。しかし、対象におけるCD47発現細胞を標的化する当該分野で既知の療法は、がん性及び非がん性細胞の両方を標的化し、末梢赤血球及び血小板枯渇のような、対象における毒性を引き起こす。したがって、非がん性細胞を標的化することなくがん細胞においてCD47を選択的に標的化する組成物及び方法に対する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、新規のヒト化抗CD47抗体及びその抗原結合断片の発見に基づく。本発明のある特定の態様では、CD47タンパク質への抗CD47抗体またはその抗原結合断片の結合を防止する除去可能なマスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)を含む、ヒト化抗CD47抗体またはその抗原結合断片が、提供される。ある特定の実施形態では、マスキング薬剤は、がん細胞環境において存在する1個以上の分子(例えば、プロテアーゼ)によって除去(例えば、切断)され得る。マスキング薬剤の除去は、抗CD47抗体またはその抗原結合断片のCD47に結合する能力を復元し、したがって、がん細胞の文脈において抗CD47抗体またはその抗原結合断片のCD47への特異的標的化を可能にする。
【0006】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
a)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
b)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号16、17、及び18、配列番号19、20、及び18、配列番号21、22、及び18、配列番号16、20、及び18、ならびに配列番号23、24、及び18から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号31、32、及び33、配列番号31、32、及び36、ならびに配列番号34、35、及び33から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、18、31、32、及び33、配列番号16、17、18、34、35、及び33、配列番号19、20、18、31、32、及び33、配列番号19、20、18、34、35、及び33、配列番号21、22、18、31、32、及び33、配列番号21、22、18、34、35、及び33、配列番号16、20、18、31、32、及び33、配列番号16、20、18、34、35、及び33、配列番号23、24、18、31、32、及び33、配列番号23、24、18、34、35、及び33、配列番号16、17、18、31、32、及び36、配列番号19、20、18、31、32、及び36、配列番号21、22、18、31、32、及び36、16、20、18、31、32、及び36、ならびに配列番号23、24、18、31、32、及び36から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原
結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
a)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
b)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号25、26、及び27、配列番号28、26、及び27、配列番号29、30、及び27、ならびに配列番号29、26、及び27から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号37、38、及び39、配列番号40、38、及び39、ならびに配列番号37、38、及び41から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、27、37、38、及び39、配列番号25、26、27、40、38、及び39、配列番号25、26、27、37、38、及び41、配列番号28、26、27、37、38、及び39、配列番号28、26、27、40、38、及び39、配列番号28、26、27、37、38、及び41、配列番号29、30、27、37、38、及び39、配列番号29、30、27、40、38、及び39、配列番号29、30
、27、37、38、及び41、配列番号29、26、27、37、38、及び39、配列番号29、26、27、40、38、及び39、ならびに配列番号29、26、27、37、38、及び41から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号2、3、4、5、6、7及び8から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、配列番号10、11、12、13、14及び15から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、配列番号2及び10、配列番号3及び11、配列番号3及び12、配列番号3及び13、配列番号3及び14、配列番号4及び11、配列番号4及び12、配列番号4及び13、配列番号4及び14、配列番号5及び11、配列番号5及び12、配列番号5及び13、配列番号5及び14、配列番号6及び11、配列番号6及び12、配列番号6及び13、配列番号6及び14、配列番号7及び11、配列番号7及び12、配列番号7及び13、配列番号7及び14、配列番号8及び11、配列番号8及び12、配列番号8及び13、配列番号8及び14、配列番号3及び15を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号16であるHCDR1、配列番号17であるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号31であるLCDR1、配列番号32であるLCDR2、ならびに配列番号33であるLCDR3を含み、重鎖可変領域が配列番号3への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号13への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、抗体がAb47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する。いくつかの実施形態では、重鎖可変領域は配列番号3のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は配列番号13のアミノ酸配列を含む。
【0014】
本明細書に提供されるヒト化抗体またはその抗原結合断片のいくつかの実施形態では、重鎖可変領域は、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含む。
いくつかのかかる実施形態では、Kabat番付に従うH29がFであり、H44がRまたはGであり、H49がAであり、H82がMまたはIであり、H89がIまたはVであり、H91がFまたはYであり、H94がRである。
【0015】
本明細書に提供されるヒト化抗体またはその抗原結合断片のいくつかの実施形態では、軽鎖可変領域は、
a)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
b)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む。
いくつかのかかる実施形態では、Kabat番付に従うL4がMであり、L21がLであり、L49がKであり、L69がTまたはSであり、L85がVまたはTである。
【0016】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、IgG1アイソタイプのものである。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP)を有する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、その親抗体と比較して、増強された補体依存性細胞傷害(CDC)を有する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcである。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、インビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、その親抗体と比較して、低下したコアフコシル化を有する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、フコシル化されていない(afucosylated)。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、Ab47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体または抗原結合断片をコードする核酸配列が、提供される。いくつかの実施形態では、核酸配列を含む発現ベクターが、提供される。いくつかの実施形態では、核酸または発現ベクターを含む宿主細胞が、提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体または抗原結合断片を発現させる宿主細胞が、提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供される抗体または抗原結合断片を産生する方法は、宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、抗体またはその抗原結合断片を単離することをさらに含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
【0019】
いくつかの実施形態では、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)対象に本明細書に提供される抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を投与することと、を含む、対象におけるCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
いくつかのかかる実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織を単離することと、
ii)単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)対象に本明細書に提供される抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量
を投与することと、を含む、対象におけるCD47発現癌を治療するための方法が、提供される。
いくつかのかかる実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)非がん組織に対してがん組織における染色の量を比較することと、を含む。いくつかの実施形態では、マクロファージ染色は、抗CD163抗体を用いて実行される。
【0021】
いくつかの実施形態では、がんを治療する方法は、CD47発現癌と、がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤と、を有するものとして対象を特定することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、細胞を本明細書に提供される抗体またはその抗原結合断片に接触させることを含む、CD47発現細胞のアポトーシスを誘導する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、インビトロにある。いくつかの実施形態では、細胞は、インビボにある。
【0023】
いくつかの実施形態では、ヒトCD47タンパク質に特異的に結合する抗体またはその
抗原結合断片及び少なくとも1つのマスキングドメインを含むマスクされた抗体が、提供
され、少なくとも1つのマスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、
及び95から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供
される抗体またはその抗原結合断片及び少なくとも1つのマスキングドメインを含む、マ
スクされた抗体が、提供される。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマスキング
ドメインは、配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸
配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのマスキングドメインは、少なくとも1つのマスキングドメインを有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47タンパク質への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる。いくつかの実施形態では、結合親和性は、少なくとも1つのマスキングドメインを有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、少なくとも約100倍低下する。いくつかの実施形態では、結合親和性は、少なくとも1つのマスキングドメインを有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、約200倍~約1500倍低下する。
【0025】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は重鎖及び軽鎖を含み、重鎖が第1のマスキングドメインに連結されるか、または軽鎖が第2のマスキングドメインに連結されるか、または重鎖が第1のマスキングドメインに連結され、軽鎖が第2のマスキングドメインに連結される。いくつかの実施形態では、第1のマスキングドメインは、配列番号44、46、48、50、52、54、75、77、79、81、83、85、及び94から選択されるアミノ酸配列を含み、第2のマスキングドメインは、配列番号45、47、49、51、53、55、76、78、80、82、84、86、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のマスキングドメイン及び第2のマスキングドメインは、配列番号44及び45、配列番号46及び47、配列番号48及び49、配列番号50及び51、配列番号52及び53、配列番号54及び55、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号81及び82、配列番号83及び84、配列番号85及び86、ならびに配列番号94及び95から選択されるマスキングドメインの対である。いくつかの実施形態では、第1のマスキングドメインは重鎖のN末端に連結され、第2のマスキングドメインは軽鎖のN末端に連結される。
【0026】
いくつかの実施形態では、各マスキングドメインは、プロテアーゼ切断可能リンカーを含み、プロテアーゼ切断可能リンカーを介して重鎖または軽鎖に連結される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む。いくつかの実施形態では、MMP切断部位は、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される。いくつかの実施形態では、MMPによる切断に続き、抗体またはその抗原結合断片の重鎖及び/または軽鎖は、MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを含む。いくつかの実施形態では、スタブアミノ酸レムナントは、抗体のN末端で配列LRSG、SG、またはVRを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に提供される抗体またはその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、マスクされた抗体は、第1のマスキングドメインに連結され、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖及び第2のマスキングドメインに連結され、配列番号43のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるマスクされた抗体をコードする核酸配列が、提供される。いくつかの実施形態では、核酸配列を含む発現ベクターが、提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるマスクされた抗体を発現させる宿主細胞が、提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるマスクされた抗体を産生する方法は、宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、マスクされた抗体を単離することをさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるマスクされた抗体の治療有効量を対象に投与することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、
a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有するものとして対象を特定することと、
b)対象に本明細書に提供されるマスクされた抗体の治療有効量を投与することであって、マスクされた抗体の各マスキングドメインがプロテアーゼ切断可能リンカーを含み、プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、該投与することと、を含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、MMP切断部位は、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される。いくつかの実施形態では、MMPは、MMP2、MMP7、MMP9、及びMMP13から選択される。いくつかの実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び非がん組織を対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び前記非がん組織においてMMPを検出することと、
iii)非がん組織に対してがん組織における染色の量を比較することと、を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)対象に本明細書に提供されるマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
いくつかの実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織を単離することと、
ii)単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)対象に本明細書に提供されるマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
いくつかの実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)非がん組織に対してがん組織における染色の量を比較することと、を含む。いくつかの実施形態では、マクロファージ染色は、抗CD163抗体を用いて実行される。
【0033】
いくつかの実施形態では、(a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMP、及び(b)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、(a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMP、及び(b)がん組織において非がん組織に対しての上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、(a)CD47発現癌、及び(b)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。いくつかの実施形態では、(a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMP、(b)CD47発現癌、及び(c)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することを含む、対象においてCD47発現癌を治療する方法が、提供される。
【0034】
いくつかの実施形態では、マスクされた抗体は、プロテアーゼ切断可能リンカーを含む少なくとも1つのマスキングドメインを含み、プロテアーゼ切断可能リンカーは腫瘍微小環境において切断される。いくつかの実施形態では、腫瘍微小環境におけるプロテアーゼ切断可能リンカーの切断に続いて、マスキングドメインは、抗CD47抗体またはその抗原結合断片から放出される。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、アミノ酸配列IPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含む。いくつかの実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、MMP切断部位を含む。いくつかの実施形態では、MMP切断部位は、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片の放出に続いて、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、プロテアーゼ切断可能リンカーのスタブアミノ酸レムナントを有する。いくつかの実施形態では、スタブアミノ酸レムナントは、抗体のN末端でLRSG、SG、またはVRの配列を含む。
【0035】
様々な実施形態では、CD47発現癌は、血液癌または固形癌である。いくつかの実施形態では、CD47発現癌は、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される。いくつかの実施形態では、CD47発現癌は、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌(gastric cancer)、癌腫、頭頸部癌、皮膚癌、黒色腫、前立腺癌、下垂体癌、胃癌(stomach cancer)、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される。いくつかの実施形
態では、CD47発現癌は、肺癌、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び乳癌から選択される。
【0036】
いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片、またはマスクされた抗体は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片、またはマスクされた抗体は、アゴニスト抗CD40抗体と組み合わされて投与される。いくつかの実施形態では、アゴニスト抗CD40抗体は、低いフコシル化レベルを有するか、またはフコシル化されていない。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片、またはマスクされた抗体は、抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされて投与され、ADCの抗体ががん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、抗体が細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される。いくつかの実施形態では、細胞傷害性薬剤は、アウリスタチンである。いくつかの実施形態では、ADCの抗体は、vcMMAE及びmcMMAFから選択される薬物リンカーに複合体化される。
【0037】
いくつかの実施形態では、抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片またはマスクされた抗体の抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片は、その親抗CD47抗体と比較してインビトロで低下した赤血球凝集を呈する。いくつかの実施形態では、親抗体は、Ab47である。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはマスクされた抗体の投与は、対象における赤血球凝集を誘導しない。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはマスクされた抗体は、インビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはマスクされた抗体は、インビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する。いくつかの実施形態では、CD47発現細胞は、がん細胞である。
【0038】
一態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変が配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されたCDRを含み、ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークが配列番号88[図1A]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である。
【0039】
別の態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変が配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されたCDRを含み、ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークが配列番号89[図1B]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である。
【0040】
さらに別の態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変が配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されたCDRを含み、ヒトIGHV3-66/
HJ4フレームワークが配列番号90[図1C]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である。
【0041】
さらに別の態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変が配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されたCDRを含み、ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークが配列番号91[図1D]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である。
【0042】
さらに別の態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変領域が配列番号31(RASQTISDYLH)、32(FASQSIS)、及び33(QNGHGFPRT)として示されたCDRを含み、ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークが配列番号92[図1G]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である。
【0043】
さらに別の態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、重鎖可変が配列番号31(RASQTISDYLH)、32(FASQSIS)、及び33(QNGHGFPRT)として示されたCDRを含み、ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークが配列番号93[図1H]において示され、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である。
【0044】
実施形態では、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4はMによって占有され、L21はLによって占有され、L49はKによって占有され、L69はTまたはSによって占有され、L85はVまたはTによって占有される。
【0045】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む。
【0046】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、Kabat番付に従うLCDR3においてG91A変異をさらに含む。
【0047】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、IgG1アイソタイプのものである。
【0048】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する。
【0049】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP)を有する。
【0050】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、その親抗体と比較して、低下したコアフコシル化を有する。
【0051】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、CD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する。
【0052】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、その親抗体と比較して、低下した赤血球の赤血球凝集を有する。
【0053】
一態様では、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸配列が、提供される。
【0054】
実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcを含む。
【0055】
一態様では、マスキング薬剤(「マスキングドメイン」としても称される)を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与することを含む、対象におけるCD47発現癌を治療するための方法が提供され、該マスキング薬剤は、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較してヒトCD47への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる1個以上のコイルドコイルペプチドを含む。
【0056】
実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、マスキング薬剤を抗体またはその抗原結合断片に結合させる。
【0057】
実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、IPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含むアミノ酸配列を有する。
【0058】
実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む。
【0059】
実施形態では、MMP切断部位は、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される。
【0060】
実施形態では、マスキング薬剤は、MMPによる腫瘍微小環境におけるMMP切断部位の切断の後、抗CD47抗体またはその抗原結合断片から放出される。
【0061】
実施形態では、切断された抗CD47抗体は、MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを有する。
【0062】
実施形態では、スタブアミノ酸レムナントは、抗体のN末端でLRSG、SG、またはVRの配列を含む。
【0063】
実施形態では、1個以上のコイルドコイルペプチドは、配列番号44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、及び55から選択される1個以上の配列を含む。実施形態では、1個以上のコイルドコイルペプチドは、配列番号75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、及び86から選択される1個以上の配列を含む。実施形態では、1個以上のコイルドコイルペプチドは、配列番号94及び95から選択される1個以上の配列を含む。
【0064】
実施形態では、CD47に結合する抗体または抗原結合断片は、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して少なくとも約100倍低下する。
【0065】
実施形態では、CD47に結合する抗体または抗原結合断片は、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して約200倍~約1500倍低下する。
【0066】
実施形態では、CD47発現癌は、固形癌の原因となる血液癌である。
【0067】
実施形態では、血液癌は、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される。
【0068】
実施形態では、CD47発現癌は、固形腫瘍である。
【0069】
実施形態では、固形腫瘍は、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌(gastric cancer)、肉腫、頭頸部癌、黒色腫、皮膚癌、前立腺癌、下垂体癌、胃癌(stomach cancer)、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される。
【0070】
実施形態では、固形腫瘍は、肺癌、肉腫、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、及び乳癌から選択される。
【0071】
実施形態では、対象は、固形癌に罹患しているヒトである。
【0072】
実施形態では、抗CD47抗体は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される。
【0073】
一態様では、マスキング薬剤を含むヒトCD47タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片が提供され、該マスキング薬剤が配列番号95(QGASTTVAQLEEKVKTLRAENYELKSEVQRLEEQVAQLGS)及び/または配列番号94(QGASTSVDELQAEVDQLEDENYALKTKVAQLRKKVEKLGS)を含む1個以上のコイルドコイルペプチドを含み、1個以上のコイルドコイルペプチドが、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較してヒトCD47タンパク質への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる。
【0074】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む。
【0075】
実施形態では、マスキング薬剤は、プロテアーゼ切断可能リンカーを介して抗体またはその抗原結合断片に結合される。
【0076】
実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、IPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含むアミノ酸配列を有する。
【0077】
実施形態では、プロテアーゼ切断可能リンカーは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む。
【0078】
実施形態では、MMP切断部位は、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される。
【0079】
実施形態では、マスキング薬剤は、MMPによるMMP切断部位の切断後、抗CD47抗体から除去される。
【0080】
実施形態では、抗CD47抗体は、MMPによるMMP切断部位の切断後、MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを有する。
【0081】
実施形態では、スタブアミノ酸レムナントは、抗体のN末端でLRSG、SG、またはVRの配列を含む。
【0082】
実施形態では、結合は、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して少なくとも約100倍低下する。
【0083】
実施形態では、結合は、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して約200倍~約1500倍低下する。
【0084】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、配列番号42の重鎖配列及び配列番号43の軽鎖配列を含む。
【0085】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ADCC及び/またはCDC活性から選択される増強されたエフェクター機能を付与する変異型Fc領域を含む。
【0086】
実施形態では、抗体または抗原結合断片は、フコシル化されていない。
【0087】
一態様では、抗体がIgG1アイソタイプである、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供される。
【0088】
実施形態では、抗体は、増強されたADCC、増強されたADCP、及び/または増強されたCDC活性を含む。
【0089】
一態様では、対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有するものとして対象を特定するステップと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与するステップであって、対象ががんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有する場合、マスキング薬剤が、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させるコイルドコイルペプチドを含む、該投与するステップと、を含む、方法が提供される。
【0090】
実施形態では、MMPは、MMP2、MMP7、MMP9、及びMMP13からなる群から選択される。
【0091】
実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び非がん組織を対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び前記非がん組織においてMMPを検出することと、
iii)非がん組織に対してがん組織における染色の量を比較することと、を含む。
【0092】
一態様では、対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのCD47を有するものとして対象を特定するステップと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与するステップであって、対象ががんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのCD47を有する場合、マスキング薬剤が、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させるコイルドコイルペプチドを含む、該投与するステップと、を含む、方法が提供される。
【0093】
実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を対象から単離することと、
ii)単離されたがん組織及び周囲の非がん組織においてCD47を検出することと、
iii)非がん組織を染色するCD47に対してがん組織において染色するCD47の量を比較することと、を含む。
【0094】
一態様では、対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定するステップと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与するステップであって、対象ががんにおいて非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有する場合、マスキング薬剤が、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる1個以上のコイルドコイルペプチドを含む、該投与するステップと、を含む、方法が提供される。
【0095】
実施形態では、ステップa)は、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)非がん組織に対してがん組織における染色の量を比較することと、を含む。
【0096】
実施形態では、マクロファージ染色は、抗CD163抗体を用いて実行される。
【0097】
一態様では、配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片が提供され、該抗体はHCVR及び/またはLCVRのN末端で配列LRSG、SG、またはVRをさらに含む。
【0098】
一態様では、本発明のマスクされたCD47抗体のアゴニストCD40抗体との組み合わせを投与することによってがんを治療する方法。
【0099】
実施形態では、アゴニストCD40抗体は、低いフコシル化レベル、例えば、SEA-CD40抗体を有する。
【0100】
一態様では、請求項37に記載のマスクされたCD47抗体の抗体薬物複合体(ADC)との組み合わせを投与することによってがんを治療する方法が提供され、ADCの抗体はがん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、抗体は細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される。
【0101】
実施形態では、細胞傷害性薬剤は、アウリスタチンである。
【0102】
実施形態では、ADCの抗体は、vcMMAE及びmcMMAFから選択される薬物リンカーに複合体化される。
【0103】
上に記載される開示の要約は非限定的であり、開示される抗体ならびに抗体を作製及び使用する方法は、以下の図面、発明を実施するための形態、実施例及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
図1-1】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、HV3-23/HJ4を有するhB6H12重鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-2】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、HV3-48/HJ4を有するhB6H12重鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-3】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、HV3-66/HJ4を有するhB6H12重鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-4】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、HV3-74/HJ4を有するhB6H12重鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-5】抗体配列アラインメントを示す。hB6H12重鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-6】抗体配列アラインメントを示す。mB6H12及びAb47と比較したhB6H12.3重鎖(hvH1)の配列アラインメントを示す。
図1-7】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、KV1-3/KJ2を有するhB6H12軽鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-8】抗体配列アラインメントを示す。ヒトVHドナー配列、KV1-27/KJ2を有するhB6H12軽鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-9】抗体配列アラインメントを示す。hB6H12軽鎖変異型の配列アラインメントを示す。
図1-10】抗体配列アラインメントを示す。mB6H12及びAb47と比較したhB6H12.3軽鎖(hvK3)の配列アラインメントを示す。
図2-1】抗体結合親和性及び動態を示す。例示的な抗CD47抗体によるCD47飽和細胞FACSを示す。
図2-2】抗体結合親和性及び動態を示す。例示的な抗CD47抗体によるCD47飽和ELISAを示す。
図2-3】抗体結合親和性及び動態を示す。例示的な抗CD47抗体を有するCD47結合動態を示す。
図3-1】抗体媒介性貪食を示す。例示的な抗CD47抗体を有するCD47+ヒト赤血球(RBC)の抗体媒介性貪食を示す。
図3-2】抗体媒介性貪食を示す。例示的な抗CD47抗体を有するCD47+ヒト赤血球(RBC)の抗体媒介性貪食を示す。
図4-1】抗体媒介性赤血球凝集を示す。分散した非沈降RBCの形成の撮像画像を示す。
図4-2】抗体媒介性赤血球凝集を示す。抗CD47抗体Ab47及びhB6H12.3を有するRBCの赤血球凝集パーセントを示す。
図5-1】FCγ受容体の抗体媒介性活性を示す。NFATルシフェラーゼレポーター活性を、FcγRI(図5A)または高親和性FcγRIIIa-H(図5B)でトランスフェクトされたJurkat細胞から測定し、漸増濃度のマウスB6H12、Ab47またはhB6H12.3のいずれかで被覆されたWIL2S細胞に曝露した。
図5-2】FCγ受容体の抗体媒介性活性を示す。NFATルシフェラーゼレポーター活性を、FcγRI(図5A)または高親和性FcγRIIIa-H(図5B)でトランスフェクトされたJurkat細胞から測定し、漸増濃度のマウスB6H12、Ab47またはhB6H12.3のいずれかで被覆されたWIL2S細胞に曝露した。
図6-1】NK細胞媒介性ADCC及びFcγRIIIaの活性化を示す。mB6H12、Ab47、またはhB6H12.3で被覆されたクロム負荷WIL2S細胞を、FcγRIIIaの高親和性V/V変異型を安定的に発現するJurkat細胞に曝露し、受容体活性化を、NFAT促進ルシフェラーゼ活性として評価した。ADCC(図6A)及びFcγRIIIa活性化(図6B)を、mB6H12、Ab47及びhB6H12.3の間で比較した。
図6-2】NK細胞媒介性ADCC及びFcγRIIIaの活性化を示す。mB6H12、Ab47、またはhB6H12.3で被覆されたクロム負荷WIL2S細胞を、FcγRIIIaの高親和性V/V変異型を安定的に発現するJurkat細胞に曝露し、受容体活性化を、NFAT促進ルシフェラーゼ活性として評価した。ADCC(図6A)及びFcγRIIIa活性化(図6B)を、mB6H12、Ab47及びhB6H12.3の間で比較した。
図7-1】抗CD47抗体の抑制因子機能を示す。腫瘍関連マクロファージ(TAM)表現型を有する分化した単球は、抗CD47抗体に曝露される際、マクロファージ活性化マーカーCD86の増加したレベルを示した。
図7-2】抗CD47抗体の抑制因子機能を示す。腫瘍関連マクロファージ(TAM)表現型を有する分化した単球は、抗CD47抗体に曝露される際、MHCIIの増加したレベルを示した。
図7-3】抗CD47抗体の抑制因子機能を示す。TCR媒介性T細胞活性化を、T細胞におけるMHCIIの上方調節を検出することによって評価した。
図7-4】抗CD47抗体の抑制因子機能を示す。TCR媒介性T細胞活性化を、T細胞におけるIFNγ分泌の上方調節を検出することによって評価した。
図8-1】hB6H12.3と抗CD47抗体5F9との間の比較を示す。FcγRIの活性化を、NFATルシフェラーゼレポーターJurkat細胞において検出した。
図8-2】hB6H12.3と抗CD47抗体5F9との間の比較を示す。FcγRIIの活性化を、NFATルシフェラーゼレポーターJurkat細胞において評価した。
図8-3】hB6H12.3と抗CD47抗体5F9との間の比較を示す。NK媒介性ADCC活性を、決定した。
図8-4】hB6H12.3と抗CD47抗体5F9との間の比較を示す。T細胞IFNγ分泌を、評価した。
図9-1】MMP2再活性化マスクされた抗体についての質量分析データを示す。組換えヒトMMP2での切断前(図9A)及び後(図9B)のVel-IPV-hB6H12.3についてのデコンボリューションされた軽鎖質量。無傷の軽鎖についてのm/z予想値は、28681である(観察値:28680.8)。MMP2切断された抗体(LRSG-hB6H12.3)についてのm/z予想値は、23969である(観察値:23968.4)。
図9-2】MMP2再活性化マスクされた抗体についての質量分析データを示す。組換えヒトMMP2での切断前(図9A)及び後(図9B)のVel-IPV-hB6H12.3についてのデコンボリューションされた軽鎖質量。無傷の軽鎖についてのm/z予想値は、28681である(観察値:28680.8)。MMP2切断された抗体(LRSG-hB6H12.3)についてのm/z予想値は、23969である(観察値:23968.4)。
図10】抗CD47抗体のSW780ヒト膀胱癌細胞への飽和結合を示す。Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、予め活性化されたMMP2対照薬と共に試験した。切断されたVel-IPV抗体は、抗体N末端でレムナントLRSG配列を保有した。
図11】抗CD47抗体のSW780ヒト膀胱癌細胞への飽和結合を示す。Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、予め活性化されたMMP2対照薬と共に試験した。切断されたVel-IPV及びスタブIPV抗体は、抗体N末端でレムナントLRSG配列を保有した。切断された抗体をMMP2を有する切断を通じて生成した一方、スタブIPV抗体を組み換えて生成した。
図12】抗CD47抗体のヒト赤血球への飽和結合を示す。Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、再活性化された対照薬(スタブIPV-hB6H12.3またはMMP2切断されたVel-IPV-hB6H12.3)と共に試験した。切断されたVel-IPV及びスタブIPV抗体は、抗体N末端でレムナントLRSG配列を保有した。切断された抗体をMMP2での切断を通じて生成した一方、スタブIPV抗体を組み換えて生成した。
図13】ELISAによって検出した時の、抗CD47抗体のrhCD47への飽和結合を示す。Vel-IPV-hB6H12.3は、顕著に減損した結合を表示した。結合は、rhMMP2による切断時に復元されることができた。
図14】ELISAによって検出した時の、抗CD47抗体のrhCD47への飽和結合を示す。hB6H12.3及びhB6H12.3 G91Aの両方は、Ab47よりも高いB最大値を表示する。
図15】抗CD47抗体のSW780ヒト膀胱癌細胞への飽和結合を示す。Ab47及びhB6H12.3の結合を、CDR-L3においてG91A変異を有する変異型と比較した。
図16】抗CD47抗体のヒト赤血球への飽和結合を示す。Ab47及びhB6H12.3の結合を、CDR-L3においてG91A変異を有する変異型と比較した。
図17】NSGマウスにおけるL428異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。抗体を、1または10mg/kgのいずれかで4つの用量を4日ごとに(q4d×4)腹腔内(i.p.)投与した(図17A)。抗F4/80 マクロファージマーカーを使用する腫瘍組織の分析は、L428異種移植腫瘍モデルにおけるマウスマクロファージの存在を示した(図17B)。
図18-1】NSGマウスにおけるL428異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。抗体を、1または10mg/kgのいずれかでq4d×4でi.p.投与した。
図18-2】NSGマウスにおけるL428異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。抗F4/80マクロファージマーカーを使用する腫瘍組織の分析は、Detroit562異種移植腫瘍モデルにおけるマウスマクロファージの存在を明らかにした。
図18-3】NSGマウスにおけるL428異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。NSGマウスにおけるSUDHL8異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性も、分析する
図18-4】NSGマウスにおけるL428異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。抗体を、1または10mg/kgのいずれかでq4d×4でi.p.投与した。抗F4/80マクロファージマーカーを使用する腫瘍組織の分析は、SUDHL8異種移植腫瘍モデルにおけるマウスマクロファージの存在を示した。
図19-1】低い固有マクロファージ含有量を有する腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。HT1080線維肉腫癌モデルが示される。抗体を、10mg/kgでq4d×4でi.p.投与した。
図19-2】低い固有マクロファージ含有量を有する腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。HT1080線維肉腫癌モデルが示される。抗体を、10mg/kgでq4d×4でi.p.投与した。抗F4/80マクロファージマーカーを使用する腫瘍組織の分析は、HT1080線維肉腫癌モデルにおける、マウスマクロファージの存在を示した。
図19-3】低い固有マクロファージ含有量を有する腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。HepG2肝細胞癌モデルが示される。抗体を、10mg/kgでq4d×4でi.p.投与した。
図19-4】低い固有マクロファージ含有量を有する腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。HepG2肝細胞癌モデルが示される。抗体を、10mg/kgでq4d×4でi.p.投与した。抗F4/80マクロファージマーカーを使用する腫瘍組織の分析は、HepG2肝細胞癌モデルにおける、マウスマクロファージの存在を示した。
図20】低い固有マクロファージ含有量を有し、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされる際(マクロファージ浸潤を促進することが知られている)に増幅され得る、腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を示す。抗CD47抗体を5mg/kgでq4d×4でi.p.投与した一方、MMAEと共にADCを1mg/kgで1回与えた。
図21】マウス反応性抗CD47抗体、mIAP301が、ヒトhB6H12.3抗体に対して使用された同じVEL及びIPV配列を使用してマスクされ得ることを示す(図21A)。これらの構築物でのマスキングは、マウスCD47陽性腫瘍へ結合する抗体を遮断し(図21B)、RBC貪食によって測定されるような機能性を防止した。低い固有マクロファージ含有量を有する腫瘍モデルでは、抗CD47抗体を、5mg/kgでq4d×4でi.p.投与した一方、MMAEと共にADCを1mg/kgで1回与えた。
図22】BALB/cマウスに投与されたH標識された親抗体及びマスクされた抗体を示す。抗体を、シンチレーション計数によって監視した。マウス血小板数(図22A)及びマウス抗体薬物動態(図22B)が示される。図22Bでは、mIAP301抗体の分析のための時点は、抗体の最終用量24時間後であった。
図23-1】抗マウスCD47抗体mIAP301は、A20リンパ腫モデルにおいて抗腫瘍活性を促進したが、同時RBC枯渇の原因となった。
図23-2】マスクされたVel-IPV-mIAP301抗体は、同様の活性を付与したが、RBC枯渇への影響を抑止した。
図23-3】Vel-IPV-mIAP301は、RBC抗原シンクを避けたが、腫瘍結合を維持した。
図23-4】Vel-IPV-mIAP301は、RBC抗原シンクを避けたが、腫瘍結合を維持した。
図24】抗マウスCD47抗体mIAP301が免疫腫瘍学(I/O)薬剤に応答性であることが知られているMC38結腸癌モデルにおける抗腫瘍活性を促進することを示す。このモデルにおけるマスクされたmIAP301抗体の活性は、完全な応答を呈する動物によって表されるような優れた有効性を示した。この動物の再投与は、腫瘍の完全な拒絶を生じ、長期間生存するメモリーT細胞応答の誘導を実証した。
図25-1】親抗体及びマスクされた抗マウスCD47抗体mIAP301は、抗PD-1代替抗体と組み合わされて増加した抗腫瘍活性を促進し、4/6の動物が完全寛解(CR)を呈することを生じた
図25-2】親抗体及びマスクされた抗マウスCD47抗体mIAP301は、SEA増強代替抗体1C10に標的化されたマクロファージ活性化CD40と組み合わされて増加した抗腫瘍活性を促進した。
図26】投薬後3日目でのBALB/cマウスにおける様々なコイルドコイル、ヒト化B6H12の安定性を示す。還元されたSDS-PAGEによるマスクされた及びアンマスクされた重鎖の分離に続き、安定性をウェスタンブロット濃度測定により評価した。
図27】ヒト化IgG1 hB6H12「Ab47」の0.1、1、10、または30mg/kgの単回IVボーラス投薬に続く赤血球レベルを、検出した(図27A)。1mg/kg超の用量は忍容性を示さず、動物は全ての用量レベルで溶血及び試験製品での治療に起因する臨床徴候を呈した。Vel-IPVマスクされた代替的ヒト化IgG1 hB6H12「Ab47」の0.1、1、または10mg/kgの単回IVボーラス投薬に続く赤血球レベルが示され、試験された最大用量レベルでおよそ10倍増加した忍容性を実証した(図27B)。Vel-IPV-Ab47の全ての用量は忍容性を示し、臨床徴候はいかなる用量レベルでも検出されなかった。
図28】Ab47及びVel-IPV-Ab47の1mg/kgの単回IVボーラス投薬に続く循環抗体レベルを示す。Ab47の1mg/kg用量は研究3日目にGeneric TAb(総抗体)アッセイについての検出の限界値未満であったが、1mg/kgのVel-IPV-Ab47は研究15日目に終了する研究の全体経過を通して検出可能であった。
図29】Ab47、hB6H12.3、または対照の1mg/kgの単回IVボーラス投薬に続く赤血球レベルを示す。Ab47及びhB6H12.3の両方が、赤血球の枯渇を実証した。
図30】Ab47、hB6H12.3、または対照の1mg/kgの単回IVボーラス用量に続く血小板レベルを描写する。Ab47は投薬前血小板レベルにおいて60%の減少を実証した一方、hB6H12.3は20%超の血小板減少を有しておらず、このことは対照群についても観察された。Ab47及びhB6H12.3の両方が、7日目から研究の終了である15日目まで上昇した血小板を生じた。
図31】Vel-IPV-hB6H12.3の10または20mg/kgの単回IVボーラス投薬に続く赤血球レベルを描写し、1mg/kgでアンマスクされたhB6H12.3を上回るおよそ20倍増加した忍容性を示した。血液学的パラメータによる増強された忍容性に加えて、臨床徴候は、マスクされた抗体治療群において観察されなかった一方、アンマスクされたhB6H12.3について1mg/kgで観察された。
図32】20mg/kgのVel-IPV-hB6H12.3、20mg/kgのSEA-Vel-IPV-hB6H12.3、1mg/kgのhB6H12.3、及び参照のための対照の単回IVボーラス投薬に続く赤血球レベルを示す。SEAマスクされたhB6H12.3抗体及びSEAマスクされていないhB6H12.3抗体は、抗体操作を通じてエフェクター機能性を増強するにもかかわらず、同様に忍容性を示した。
図33】乳癌及び正常な乳房組織試料における抗CD163抗体を使用する免疫組織化学を介したマクロファージ検出を示す。
図34】M11、M15、及びVelコイルドコイル配列を示す。MMP2切断配列も示される。
図35-1】細胞培養系内に存在するものに対する選択マウス及びヒトのがんにおける腫瘍MMPレベル。
図35-2】細胞培養系内に存在するものに対する選択マウス及びヒトのがんにおける腫瘍MMPレベル。
図36-1】Liv1A ADCについての乳癌異種移植モデルMCSF7及びCD30 ADCについてのL428リンパ腫モデルにおける抗CD47抗体と組み合わされた選択MMAE含有アウリスタチン(LIV1A及びCD30)を示す。
図36-2】Liv1A ADCについての乳癌異種移植モデルMCSF7及びCD30 ADCについてのL428リンパ腫モデルにおける抗CD47抗体と組み合わされた選択MMAE含有アウリスタチン(LIV1A及びCD30)を示す。
図37-1】血漿におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図37-2】血漿におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図37-3】脾臓におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図37-4】脾臓におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図37-5】腫瘍におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図37-6】腫瘍におけるmIAP301ならびにマスクされたVel-IPV-mIAP301ならびにVel-M2-mIAP301の濃度を示す。
図38】血漿、肝臓、及び腫瘍における切断された抗体パーセントを示す(図38A)。マウスから収集されAb47またはVel-IPV-Ab47で4または7日間処理されたHT1080腫瘍を、フローサイトメトリーに供し、腫瘍発現CD47に結合し腫瘍発現CD47を飽和させることができる抗体の程度を決定した(図38B)。
図39-1】マスクされたAb47を、循環血漿サイトカイン単球走化性因子タンパク質-1(MCP-1)を測定することによって決定した。
図39-2】マスクされたhB6H12.3を、循環血漿サイトカイン単球走化性因子タンパク質-1(MCP-1)を測定することによって決定した。
図39-3】マスクされたhB6H12.3及びマスクされていないhB6H12.3に対して、Generic TAb ELISAを使用して薬物動態分析を実行した。
図40】高(Detroit562)(図40A)及び低(HT1080)(図40B)マクロファージモデルにおけるフコシル化されたSEA hB6H12.3及びフコシル化されていないSEA hB6H12.3と同様に、Vel-IPV-hB6H12.3及びSEA-Vel-IPV-hB6H12.3の異種移植モデルにおける平均腫瘍体積を測定することによる相対的抗腫瘍活性を示す。
図41】Vel-IPV-hB6H12.3及びSEA-Vel-IPV-hB6H12.3抗体での循環MCP-1サイトカインレベルの測定を示す(図41A)。SEA及び非SEA Vel-IPV-hB6H12.3抗体の間でGeneric TAb ELISAを使用して薬物動態分析を実行した(図41B)。
図42】hB6H12.3(「抗CD47」)、Vel-IPV-hB6H12.3(「マスクされた抗CD47」)、MMP切断されたVel-IPV-hB6H12.3(「MMP活性化マスクされた抗CD47」)、または抗体なし(「未処理」)でのインキュベーションに続く、CD47陽性ヒト赤血球の貪食の測定を示す。
図43】Vel-IPV-Ab47(「マスクされたAb47」)、MMP切断されたVel-IPV-Ab47(「MMP切断されマスクされたAb47」)、または抗体なし(「未処理」)でのインキュベーションに続く、丸底プレートにおけるヒト赤血球を示す。
図44】hB6H12.3、5F9、またはIgG1アイソタイプ対照でのインキュベーションに続く、アネキシンV陽性細胞の測定を示す。
図45-1】17名中16名の患者試料を代表する全血試料へのVel-IPV-hB6H12.3-FITC及びhB6H12.3-FITCの結合の測定を示す。
図45-2】17名中1名の外れ値試料を代表する全血試料へのVel-IPV-hB6H12.3-FITC及びhB6H12.3-FITCの結合の測定を示す。
図45-3】組換えCD47及びhB6H12.3(「ドナー1-hB6H12.3スパイク」)またはVel-IPV-hB6H12.3(肉腫Pt1-10)との血漿のインキュベーションに続くELISAを使用して得られたEC50値を示す。
図46-1】37℃で20時間hB6H12.3またはVel-IPV-hB6H12.3とインキュベートされたがん患者全血試料のインキュベーションにより誘導された代表的なサイトカイン産生を示す。IP-10の産生を示す。
図46-2】37℃で20時間hB6H12.3またはVel-IPV-hB6H12.3とインキュベートされたがん患者全血試料のインキュベーションにより誘導された代表的なサイトカイン産生を示す。IL-1RAの産生を示す。
図47】hB6H12.3、Vel-IPV-hB6H12.3、またはhIgG1アイソタイプ対照(「h00アイソタイプ」)を投与されたHT1080異種移植モデルマウスからのHT1080腫瘍細胞に対するアネキシンV染色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0105】
出願時点で当該分野で既知の抗CD47 IgG3抗体は、例えば、CD47発現癌のようなCD47関連障害に対する効果的な治療薬としてのそれらの有用性を減少させる、末梢赤血球枯渇及び血小板枯渇のような毒性を呈する。出願人は、特異的にCD47発現固形癌に本発明の抗体及びその抗原結合断片を効果的に標的化させるために、腫瘍微小環境の文脈においてアンマスクすることによって活性化され得る新規の抗CD47 IgG1抗体及びその抗原結合断片を驚くべきことに発見した。本明細書に記載されるヒト化抗CD47抗体及びその抗原結合断片(マスクされたまたはアンマスクされたのいずれか)は、例えば、CD47発現癌のようなCD47関連障害を治療するために有用である。
【0106】
ある特定の例示的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片のその抗原標的への結合を遮断する除去可能なマスク(例えば、コイルドコイルマスク)を含む、抗体及びその抗原結合断片が提供される。ある特定の実施形態では、除去可能なマスクは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)切断可能リンカー配列を介して抗体及びその抗原結合断片の重鎖及び/または軽鎖のうちの1つ以上のN末端に結合される。
【0107】
腫瘍微小環境では、改変されたタンパク質分解は、調節されない腫瘍成長、組織リモデリング、炎症、組織浸潤、及び転移(Kessenbrock(2011)Cell 141:52)を引き起こす。MMPは腫瘍形成に関連したプロテイナーゼの最も顕著なファミリーを代表し、MMPは腫瘍進行中に微小環境の変化の多くを媒介する。同上。本発明の抗体または抗原結合断片のMMPへの曝露時に、MMPリンカー配列は切断され、したがって、コイルドコイルマスクの除去を可能にし、腫瘍微小環境特異的様式で抗体またはその抗原結合断片がその標的抗原に結合することを可能にする。
【0108】
本発明の新規の抗CD47 IgG1抗体及びその抗原結合断片(マスクされた及びアンマスクされた両方)は、出願時点で当該分野で既知の抗CD47 IgG3抗体と比較して増加した薬物動態及び減少したオフターゲット作用を有利に実証する。本明細書に記載される新規のヒト化抗CD47抗体は、1)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強された抗原結合、2)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)、3)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強された貪食(例えば、増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP))、4)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して低下した赤血球の赤血球凝集(HA)、5)同じ三次元的(すなわち、非直線的)CD47エピトープへの結合、のうちの1つ以上を有利に呈する。
【0109】
本発明がより容易に理解され得るために、ある特定の技術的及び科学的用語は、以下に具体的に定義される。本文書における他の箇所で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される他の技術的及び科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0110】
I.定義
添付の特許請求の範囲を含む、本明細書で使用されるように、「a」、「an」、及び「the」のような単語の単数形は、文脈が別途明示しない限りそれらの対応する複数の参照を含む。
【0111】
「抗体薬物複合体」は、細胞傷害性薬剤または細胞増殖阻害薬剤に複合体化された抗体
を指す。典型的に、抗体薬物複合体は、細胞表面上の標的抗原(例えば、CD47)に結合し、抗体薬物複合体の細胞への内在化及びその後の薬物の細胞への放出が後に続く。
【0112】
「ポリペプチド」または「ポリペプチド鎖」は、天然にまたは合成的に産生されるかにかかわらず、ペプチド結合によって連結されるアミノ酸残基の重合体である。約10未満のアミノ酸残基のポリペプチドは、一般に「ペプチド」と称される。
【0113】
「タンパク質」は、1個以上のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質は、炭水化物基のような非ペプチド性構成要素を含むこともできる。炭水化物及び他の非ペプチド性置換基は、タンパク質が中で産生される細胞によってタンパク質に添加され得、細胞の型によって異なるであろう。タンパク質は、それらのアミノ酸骨格構造の観点から本明細書に定義される。炭水化物基のような置換基は、一般的に明記されないが、それにもかかわらず存在し得る。
【0114】
用語「アミノ末端」及び「カルボキシ末端」は、ポリペプチド内の位置を表す。文脈が許す場合、これらの用語は、近接性または相対的位置を表すためにポリペプチドの特定の配列または部分に関して使用される。例えば、ポリペプチド内で参照配列に対してカルボキシ末端に配置されたある特定の配列は、参照配列のカルボキシ末端に近接して位置付けられるが、必ずしも完全ポリペプチドのカルボキシ末端である必要はない。
【0115】
アミノ酸置換を保存的または非保存的として分類する目的で、以下のアミノ酸置換が保存的置換とみなされる:トレオニン、アラニン、またはアスパラギンによって置換されるセリン;プロリンまたはセリンによって置換されるトレオニン;アスパラギン酸、ヒスチジン、またはセリンによって置換されるアスパラギン;グルタミン酸またはアスパラギンによって置換されるアスパラギン酸;グルタミン、リジン、またはアスパラギン酸によって置換されるグルタミン酸;アルギニン、リジン、またはグルタミン酸によって置換されるグルタミン;チロシンまたはアスパラギンによって置換されるヒスチジン;リジンまたはグルタミンによって置換されるアルギニン;イソロイシン、ロイシン、またはバリンによって置換されるメチオニン;ロイシン、バリン、またはメチオニンによって置換されるイソロイシン;バリン、イソロイシン、またはメチオニンによって置換されるロイシン;チロシンまたはトリプトファンによって置換されるフェニルアラニン;トリプトファン、ヒスチジン、またはフェニルアラニンによって置換されるチロシン;トレオニンによって置換されるプロリン;セリンによって置換されるアラニン;グルタミン酸、グルタミン、またはアルギニンによって置換されるリジン;メチオニン、イソロイシン、またはロイシンによって置換されるバリン;及びフェニルアラニンまたはチロシンによって置換されるトリプトファン。保存的置換は、同じクラスにおけるアミノ酸間の置換も意味することができる。クラスは以下の通りである:グループI(疎水性側鎖):met、ala、val、leu、ile;グループII(中性親水性側鎖):cys、ser、thr;グループIII(酸性側鎖):asp、glu;グループIV(塩基性側鎖):asn、gin、his、lys、arg;グループV(鎖配向に影響を及ぼす残基):gly、pro;及びグループVI(芳香族側鎖):trp、tyr、phe。
【0116】
2個のアミノ酸配列は、2個のアミノ酸配列のアミノ酸残基が、最大限の対応のために整合される際に同じである場合に、「100%のアミノ酸配列同一性」を有する。配列比較は、DNASTAR(Madison,Wisconsin)によって生産されるLASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイートに含まれるもののような標準ソフトウェアプログラムを使用して実行され得る。最適なアラインメントを決定することにより2個のヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較するための他の方法は、当業者に既知である。(例えば、Peruski and Peruski,The Internet and the New Biology:Tools for Ge
nomic and Molecular Research(ASM Press,Inc.1997);Wu et al.(eds.),“Information Superhighway and Computer Databases of Nucleic Acids and Proteins,”in Methods in Gene Biotechnology 123-151(CRC Press,Inc.1997);Bishop(ed.),Guide to Human Genome Computing(2nd ed.,Academic Press,Inc.1998)を参照されたい。)2個のアミノ酸配列は、2個の配列が互いに対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列同一性を有する場合に、「実質的な配列同一性」を有するとみなされる。
【0117】
配列同一性パーセンテージは、Kabat番付規則により最大限に整合された抗体配列により決定される。アラインメント後、対象抗体領域(例えば、重鎖または軽鎖の可変ドメイン全体)が参照抗体の同じ領域と比較される場合、対象と参照抗体領域との間の配列同一性パーセンテージは、ギャップは計数されず、2つの領域の整合された位置の総数で除され、100を乗じてパーセンテージに変換された、対象及び参照抗体領域の両方において同じアミノ酸により占有される位置の数である。
【0118】
1つ以上の列記される要素を「含む」組成物または方法は、具体的に列記されない他の要素を含むことができる。例えば、抗体を含む組成物は、抗体を単独でまたは他の成分との組み合わせで含有することができる。
【0119】
値の範囲の表示は、範囲内または範囲を定義する全ての整数を含む。
【0120】
本明細書に記載される抗体または他のタンパク質では、配列番号によって明記されるものに対応するアミノ酸残基への参照は、かかる残基の翻訳後修飾を含む。
【0121】
用語「抗体」は、抗原の存在に応答して体によって産生される免疫グロブリンタンパク質、ならびに抗原に結合する免疫グロブリンタンパク質、同様にその抗原結合断片及び操作された変異型を表す。したがって、用語「抗体」は、例えば、無傷のモノクローナル抗体(例えば、ハイブリドーマ技術を使用して産生される抗体)と、例えば、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcのような抗原結合抗体断片と、を含む。遺伝学的に、キメラ抗体、ヒト化抗体、1本鎖Fv断片、1本鎖抗体、ダイアボディ、ミニボディ、線形抗体、多価または多特異性(例えば、二重特異性)ハイブリッド抗体などのような操作された無傷の抗体及び断片も含まれる。したがって、用語「抗体」は、抗体の抗原結合部位を含み、その抗原に特異的に結合することができる任意のタンパク質も含むように広義に使用される。
【0122】
抗体またはその抗原結合断片という用語は、本発明のマスキング化合物に結合(すなわち、共有結合または非共有結合)していない「裸の」抗体またはその抗原結合断片を含む。抗体という用語は、本明細書にさらに記載されるように、例えば、コイルドコイルペプチドのような1個以上のマスキング化合物に共有結合または非共有結合する「マスクされた」抗体またはその抗原結合断片も包含する。抗体またはその抗原結合断片という用語は、「複合体化」抗体もしくはその抗原結合断片または抗体もしくはその抗原結合断片が医薬品に、例えば、細胞増殖阻害薬物もしくは細胞傷害性薬物に共有結合もしくは非共有結合する「抗体薬物複合体(ADC)」を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、医薬品に、例えば、細胞増殖阻害薬物または細胞傷害性薬物に任意選択で複合体化された裸の抗体または抗原結合断片である。他の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、医薬品に、例えば、細胞増殖阻害薬物または細胞傷害性薬物に任意選択で複合体化されたマスクされた抗体または抗原結合断片である。
【0123】
用語「遺伝学的に操作された抗体」は、アミノ酸配列が天然または親抗体のものから変化した抗体を指す。可能性のある変形例は、多数あり、単に1個または少数のアミノ酸を変化させることから、例えば、可変または定常領域の完全な再設計までの範囲にわたる。一般に、定常領域の変化は、例えば、補体結合及び他のエフェクター機能のような特徴を改善または改変するためになされる。典型的には、可変領域の変化は、抗原結合特徴を改善し、可変領域の安定性を改善し、及び/または免疫原性の危険を低下させるためになされる。
【0124】
用語「キメラ抗体」は、所望の生物学的活性を呈する限り、重鎖及び/または軽鎖の一部が、特定の種(例えば、ヒト)に由来するか、または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である一方で、鎖(複数可)の残りが、別の種(例えば、マウス)に由来するか、または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体、同様にかかる抗体の断片における対応する配列と同一または相同である抗体を指す。
【0125】
「抗体の抗原結合部位」は、その抗原に結合するのに十分な抗体のその部分である。最低限のかかる領域は、典型的には、可変ドメインまたはその遺伝学的に操作された変異型である。単一ドメイン結合部位は、ラクダ科抗体(Muyldermans and Lauwereys,Mol.Recog.12:131-140,1999、Nguyen et al.,EMBO J.19:921-930,2000を参照されたい)または単一ドメイン抗体を産生する他の種のVHドメイン(「dAb」、Ward et al.,Nature 341:544-546,1989、Winter et alへの米国特許第6,248,516号を参照されたい)から生成され得る。一般的に、抗体の抗原結合部位は、共通エピトープに結合する、重鎖可変(VH)ドメイン及び軽鎖可変(VL)ドメインの両方を含む。本発明の文脈内で、抗体は、抗原結合部位に加えて、例えば、抗体の第2の抗原結合部位(同じエピトープもしくは異なるエピトープ、または同じ抗原もしくは異なる抗原に結合することができる)、ペプチドリンカー、免疫グロブリン定常領域、免疫グロブリンヒンジ、両親媒性ヘリックス(Pack and Pluckthun,Biochem.31:1579-1584,1992)、非ペプチドリンカー、オリゴヌクレオチド(Chaudri et al,FEBS Letters
450:23-26,1999を参照されたい)、細胞増殖阻害薬物または細胞傷害性薬物などのような、1つ以上の構成要素を含むことができ、単量体または多量体タンパク質であり得る。抗体の抗原結合部位を含む分子の例は、当該分野で既知であり、例えば、Fv、1本鎖Fv(scFv)、Fab、Fab’、F(ab’)2、F(ab)c、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディ、Fab-scFv融合物、二重特異性(scFv)4-IgG、及び二重特異性(scFv)2-Fabを含む。(例えば、Hu et al,Cancer Res.56:3055-3061,1996、Atwell et al.,Molecular Immunology 33:1301-1312,1996、Carter and Merchant,Curr.Op.Biotechnol.8:449-454,1997、Zuo et al.,Protein Engineering 13:361-367,2000、及びLu et al.,J.Immunol.Methods 267:213-226,2002を参照されたい。)
【0126】
用語「免疫グロブリン」は、免疫グロブリン遺伝子(複数可)によって実質的にコードされる1個以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。免疫グロブリンの一形態は、脊椎動物において天然(すなわち、自然または親)抗体の基本構造単位を構成する。この形態は、四量体であり、免疫グロブリン鎖の2個の同一の対からなり、各対は1個の軽鎖及び1個の重鎖を有する。各対では、軽鎖及び重鎖可変領域(VL及びVH)は、一緒に
なって、抗原への結合の中心的役割を果たし、定常領域は、抗体エフェクター機能の中心的役割を果たす。免疫グロブリンタンパク質の5つのクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgE)は、高等脊椎動物において特定されている。IgGは主要なクラスを含み、通常、血漿中に見出される2番目に豊富なタンパク質として存在する。ヒトでは、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4と表示される4つのサブクラスからなる。各免疫グロブリン重鎖は、種における所与のサブクラスに関して本質的に不変である定常領域タンパク質ドメイン(CH1、ヒンジ、CH2、及びCH3。IgG3はCH4ドメインも含有する)からなる定常領域を保有する。
【0127】
ヒト及び非ヒト免疫グロブリン鎖をコードするDNAは当該技術分野で既知である。(例えば、Ellison et al,DNA 1:11-18,1981、Ellison et al,Nucleic Acids Res.10:4071-4079,1982、Kenten et al.,Proc.Natl.Acad.Set USA 79:6661-6665,1982、Seno et al.,Nucl.Acids Res.11:719-726,1983、Riechmann et al.,Nature 332:323-327,1988、Amster et al.,Nucl.Acids Res.8:2055-2065,1980、Rusconi and Kohler,Nature 314:330-334,1985、Boss et
al.,Nucl.Acids Res.12:3791-3806,1984、Bothwell et al.,Nature 298:380-382,1982、van der Loo et al.,Immunogenetics 42:333-341,1995、Karlin et al.,J.Mol.Evol.22:195-208,1985、Kindsvogel et al.,DNA 1:335-343,1982、Breiner et al.,Gene 18:165-174,1982、Kondo et al.,Eur.J.Immunol.23:245-249,1993、及びGenBank寄託番号J00228を参照されたい。)免疫グロブリン構造及び機能の概説については、Putnam,The Plasma Proteins,Vol V,Academic Press,Inc.,49-140,1987、及びPadlan,Mol.Immunol.31:169-217,1994を参照されたい。用語「免疫グロブリン」は、その一般的な意味に対して本明細書で使用され、文脈に応じて、無傷の抗体、その構成要素鎖、または鎖の断片を表す。
【0128】
完全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaまたは214個のアミノ酸)は、アミノ末端で可変領域遺伝子によって(約110個のアミノ酸をコードする)、及びカルボキシル末端でカッパまたはラムダ定常領域遺伝子によってコードされる。完全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDaまたは446個のアミノ酸)は、可変領域遺伝子(約116個のアミノ酸をコードする)、及びガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン定常領域遺伝子(約330個のアミノ酸をコードする)によってコードされ、後者は、抗体のアイソタイプを、それぞれ、IgG、IgM、IgA、IgD、またはIgEとして定義する。軽鎖及び重鎖内で、可変及び定常領域は、約12個以上のアミノ酸の「J」領域により連結され、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。(一般に、Fundamental Immunology(Paul,ed.,Raven Press,N.Y.,2nd ed.1989)、Ch.7を参照されたい)。
【0129】
免疫グロブリン軽鎖または重鎖可変領域(本明細書では、それぞれ、「軽鎖可変ドメイン」(「VLドメイン」)または「重鎖可変ドメイン」(「VHドメイン」)とも称される)は、3つの「相補性決定領域」または「CDR」によって遮られる「フレームワーク」領域からなる。フレームワーク領域は、抗原のエピトープへの特異的結合のためにCDRを整合させるよう働く。したがって、用語「CDR」は、抗原結合に中心的役割を果たす抗体のアミノ酸残基を指す。アミノ末端からカルボキシル末端まで、VLドメイン及び
VHドメインの両方は、以下のフレームワーク(FR)及びCDR領域を含む:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0130】
各可変領域ドメインへのアミノ酸の割当は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)の定義に従う。Kabatは、異なる重鎖可変領域間または異なる軽鎖可変領域間の対応する残基が同じ番号を割り当てられる、広く使用されている番付規則(Kabat番付)も提供する。VLドメインのCDR1、2、及び3は、本明細書では、それぞれ、CDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3とも称される。VHドメインのCDR1、2、及び3は、本明細書では、それぞれ、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3とも称される。そのように記述されている場合には、CDRの割当は、Kabatの代わりにIMGT(登録商標)(Lefranc et al.,Developmental & Comparative Immunology 27:55-77;2003)に従うことができる。
【0131】
重鎖定常領域の番付は、Kabat(Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National
Institutes of Health,Bethesda,MD,1987 and 1991)に示されるEUインデックスを介する。
【0132】
文脈が別途示さない限り、用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を通じて産生された抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンを含む、単一クローンに由来する抗体を含むことができる。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、モノクローナル抗体である。
【0133】
「ヒト化VHドメイン」または「ヒト化VLドメイン」は、完全にまたは実質的に非ヒトドナー免疫グロブリン(例えば、マウスまたはラット)からのいくつかのまたは全てのCDRと、ヒト免疫グロブリン配列に完全にまたは実質的に由来する可変ドメインフレームワーク配列とを含む、免疫グロブリンVHまたはVLドメインを指す。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。いくつかの事例では、ヒト化抗体は、適当な結合特徴を増強するためにヒト可変ドメインフレームワーク領域内にいくつかの非ヒト残基を保持するであろう(例えば、フレームワークにおける変異は、抗体がヒト化される際に結合親和性を保存するよう求められ得る)。
【0134】
「ヒト化抗体」は、ヒト化VHドメイン及びヒト化VLドメインの一方または両方を含む抗体である。免疫グロブリン定常領域(複数可)は、存在する必要はないが、存在する場合には、ヒト免疫グロブリン定常領域に完全にまたは実質的に由来する。
【0135】
ヒト化抗体は、非ヒト「ドナー」抗体からのCDRがヒト「アクセプター」抗体配列に移植される遺伝学的に操作された抗体である(例えば、Queen,US5,530,101及び5,585,089、Winter,US5,225,539、Carter,US6,407,213、Adair,US5,859,205、ならびにFoote,US6,881,557を参照されたい)。アクセプター抗体配列は、例えば、成熟ヒト抗体配列、かかる配列の複合物、ヒト抗体配列のコンセンサス配列、または生殖系列領域配列であり得る。ヒトアクセプター配列は、他の基準の間でアクセプター及びドナーCDRの中でカノニカル形態を一致させるための、可変領域フレームワークにおけるドナー配列との配列同一性の高い程度について選択され得る。したがって、ヒト化抗体は、ドナー抗体及び可変領域フレームワーク配列及び定常領域に完全にまたは実質的に由来し、存在
する場合、ヒト抗体配列に完全にまたは実質的に由来するCDRを有する抗体である。同様に、ヒト化重鎖は、典型的には、ドナー抗体重鎖ならびに重鎖可変領域フレームワーク配列及び重鎖定常領域に完全にまたは実質的に由来し、存在する場合、ヒト重鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に実質的に由来する3つのCDR全てを有する。同様に、ヒト化軽鎖は、典型的には、ドナー抗体軽鎖ならびに軽鎖可変領域フレームワーク配列及び軽鎖定常領域に完全にまたは実質的に由来し、存在する場合、ヒト軽鎖可変領域フレームワーク及び定常領域配列に実質的に由来する3つのCDR全てを有する。ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabat番付により定義されるような)の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%が、または対応する残基(Kabat番付により定義されるような)の約100%が、それぞれのCDR間で同一である際に、非ヒト抗体において対応するCDRに実質的に由来する。抗体鎖の可変領域フレームワーク配列または抗体鎖の定常領域は、対応する残基(可変領域についてはKabat番付、定常領域についてはEU番付により定義されるような)の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%が、または対応する残基(可変領域についてはKabat番付、定常領域についてはEU番付により定義されるような)の約100%が同一である際に、それぞれヒト可変領域フレームワーク配列またはヒト定常領域に実質的に由来する。
【0136】
ヒト化抗体は、多くの場合、マウス抗体からの6つのCDR全て(好ましくはKabatまたはIMGT(登録商標)により定義されるように)を組み込むが、それらは、マウス抗体からの6つ全てより少ないCDR(例えば、少なくとも3つ、4つ、または5つ)でも作製され得る(例えば、Pascalis et al.,J.Immunol.169:3076,2002、Vajdos et al.,Journal of Molecular Biology,320:415-428,2002、Iwahashi et al.,Mol.Immunol.36:1079-1091,1999、Tamura et al,Journal of Immunology,164:1432-1441,2000)。
【0137】
ヒト化抗体におけるCDRは、対応する残基(Kabat(またはIMGT)により定義される通り)の少なくとも60%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または100%がそれぞれのCDR間で同一であるとき、非ヒト抗体において対応するCDRに「実質的に由来」する。CDRが非ヒト免疫グロブリンに実質的に由来するヒト化VHまたはVLドメインの特定の変形例では、ヒト化VHまたはVLドメインのCDRは、対応する非ヒトVHまたはVL CDRに対して、3つ全てのCDRにわたって、6個以下(例えば、5個以下、4個以下、3個以下、2個以下、または1個以下)のアミノ酸置換(好ましくは保存的置換)を有する。抗体VHまたはVLドメインの可変領域フレームワーク配列、または、存在する場合、免疫グロブリン定常領域の配列は、対応する残基(可変領域についてはKabat番付、定常領域についてはEU番付により定義されるような)の少なくとも約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、もしくは約99%が、または対応する残基(可変領域についてはKabat番付、定常領域についてはEU番付により定義されるような)の約100%が同一である際に、それぞれヒトVHまたはVLフレームワーク配列またはヒト定常領域に「実質的に由来」する。したがって、ヒト化抗体の全ての部分は、CDRを除いて、典型的に、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分に完全にまたは実質的に由来する。
【0138】
抗体は、典型的には、単離された形態で提供される。このことは、抗体が典型的にはその産生または精製から生じる干渉タンパク質及び他の汚染物の少なくとも約50%w/w純粋であることを意味するが、その抗体がその使用を促進することを意図された過剰の薬学的に許容される担体(複数可)または他のビヒクルと組み合わされる可能性を除外しない。抗体は、産生または精製からの干渉タンパク質及び汚染物から少なくとも約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約99%w/w純粋である場合がある。単離された抗体を含む抗体は、細胞傷害性薬剤に複合体化され、抗体薬物複合体として提供され、及び/または関連するコイルドコイルでマスクされ得る。
【0139】
抗体のその標的抗原に対する特異的結合は、典型的には少なくとも約10、約10、約10、約10、または約1010-1の親和性を指す。特異的結合は、検出可能に規模が高く、少なくとも1個の非特異的標的に生じる非特異的結合から区別可能である。特異的結合は、特定の官能基間の結合の形成または特定の空間的適合(例えば、錠及び鍵の型)の結果であり得る一方、非特異的結合は、典型的には、ファンデルワールス力の結果である。
【0140】
用語「エピトープ」は、抗体が結合する抗原の部位を指す。エピトープは、隣接するアミノ酸、または1個以上のタンパク質の3次折り畳みが並置される隣接しないアミノ酸から形成され得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは、典型的には、変性薬剤、例えば、溶媒への曝露で保持される一方、3次折り畳みによって形成されるエピトープは、典型的には、変性薬剤、例えば、溶媒による処理で失われる。エピトープは、典型的には、少なくとも約3個、さらに通常は少なくとも約5個、少なくとも約6個、少なくとも約7個、または約8~10個のアミノ酸を、特有の空間的立体構造に含む。エピトープの空間的立体構造を決定する方法は、例えば、X線結晶学及び二次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols,in Methods
in Molecular Biology,Vol.66,Glenn E.Morris,Ed.(1996)を参照されたい。
【0141】
同じであるかまたは重複しているエピトープを認識する抗体は、一方の抗体が標的抗原への他方の抗体の結合と競合する能力を示す単純な免疫アッセイにおいて特定され得る。抗体のエピトープは、接触残基を特定するためのその抗原に結合した抗体のX線結晶学によっても定義され得る。
【0142】
代替的には、2個の抗体は、一方の抗体の結合を低下させるかまたは排除する抗原におけるアミノ酸変異が、他方の結合を低下させるかまたは排除する場合に(かかる変異が抗原構造における全体的な改変を生産しないことを条件とする)、同じエピトープを有する。2個の抗体は、一方の抗体の結合を低下させるかまたは排除するいくつかのアミノ酸変異が他の抗体の結合を低下させるかまたは排除する場合に、重複しているエピトープを有する。
【0143】
抗体間の競合は、試験抗体が参照抗体の共通抗原への特異的結合を阻害するアッセイによって決定され得る(例えば、Junghans et al.,Cancer Res.50:1495,1990を参照されたい)。試験抗体は、過剰な試験抗体が参照抗体の結合を阻害する場合に、参照抗体と競合する。
【0144】
競合アッセイによって特定された抗体(競合抗体)は、参照抗体と同じエピトープに結合する抗体、及び立体障害が生じるように参照抗体によって結合されるエピトープに十分近位にある隣接するエピトープに結合する抗体を含む。競合アッセイによって特定される抗体は、標的タンパク質における立体構造変化の原因となることにより、参照抗体が試験
抗体によって結合されるものとは異なるエピトープに結合することを防止することによって参照抗体と間接的に競合するものも含む。
【0145】
抗体エフェクター機能は、IgのFc領域が寄与する機能を指す。かかる機能は、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、抗体依存性細胞貪食(ADCP)、または補体依存性細胞傷害(CDC)であり得る。かかる機能は、例えば、食作用もしくは溶解作用を有する免疫細胞上のFc領域のFc受容体への結合によって、またはFc領域の補体系の構成要素への結合によって引き起こされ得る。典型的には、Fc結合細胞または補体構成要素のよって媒介される作用(複数可)は、CD47標的細胞の阻害及び/または枯渇を生じる。抗体のFc領域は、Fc受容体(FcR)発現細胞を動員し、それらを抗体被覆された標的細胞と並置することができる。FcγRIII(CD16)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD64)を含む、IgGに対する表面FcRを発現する細胞は、IgG被覆された細胞の破壊のためのエフェクター細胞として作用することができる。かかるエフェクター細胞は、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及び好酸球を含む。IgGによるFcγRの会合は、ADCCまたはADCPを活性化する。ADCCは、膜孔形成タンパク質及びプロテアーゼの分泌を通じてCD16+エフェクター細胞によって媒介され、一方で貪食は、CD32+及びCD64+エフェクター細胞によって媒介される(Fundamental Immunology,4th ed.,Paul ed.,Lippincott-Raven,N.Y.,1997,Chapters 3,17 and 30、Uchida et al.,J.Exp.Med.199:1659-69,2004、Akewanlop et
al.,Cancer Res.61:4061-65,2001、Watanabe
et al.,Breast Cancer Res.Treat.53:199-207,1999を参照されたい)。
【0146】
ADCC及びADCPに加えて、細胞に結合した抗体のFc領域は、補体古典的経路を活性化して、CDCを励起することもできる。それらが抗原と複合体化される際に、補体系のC1qは抗体のFc領域に結合する。C1qの細胞結合抗体への結合は、C4及びC2のタンパク質分解活性化に関与する事象のカスケードを開始し、C3転化酵素を生成することができる。C3転化酵素によるC3のC3bへの切断は、C5b、C6、C7、C8、及びC9を含む末端補体構成要素の活性化を可能にする。まとめて、これらのタンパク質は、抗体被覆細胞上に膜攻撃複合体孔を形成する。これらの孔が、細胞膜の統合性を分断して、標的細胞を殺滅する(Immunobiology,6th ed.,Janeway et al,Garland Science,N.Y.,2005,Chapter 2を参照されたい)。
【0147】
用語「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、抗体被覆された標的細胞の溶解活性を保有する免疫細胞(エフェクター細胞とも称される)との相互作用に依存する細胞死を誘導するための機序を指す。かかるエフェクター細胞は、ナチュラルキラー細胞、単球/マクロファージ、及び好中球を含む。エフェクター細胞は、標的細胞に結合したIgのFc領域に、それらの抗原結合部位を介して結合する。抗体被覆された標的細胞の死滅は、エフェクター細胞活性の結果として生じる。ある特定の例示的な実施形態では、本発明の抗CD47 IgG1抗体は、親抗体に対して、及び/または抗CD47 IgG3抗体に対して同等のまたは増加したADCCを媒介する。
【0148】
用語「抗体依存性細胞貪食」または「ADCP」は、抗体被覆された細胞が、IgのFc領域に結合する貪食免疫細胞によって(例えば、マクロファージ、好中球、及び/または樹状細胞によって)全体または部分のいずれかに内在化されるプロセスを指す。ある特定の例示的な実施形態では、本発明の抗CD47 IgG1抗体は、親抗体に対して、及び/または抗CD47 IgG3抗体に対して同等のまたは増加したADCPを媒介する
【0149】
用語「補体依存性細胞傷害」または「CDC」は、標的結合抗体のFc領域が一連の酵素反応を活性化して標的細胞膜における孔の形成をもたらす、細胞死を誘導するための機序を指す。
【0150】
典型的には、抗体被覆された標的細胞上のもののような抗原抗体複合体は、補体構成要素C1qに結合して補体構成要素C1qを活性化し、今度は標的細胞死を引き起こす補体カスケードを活性化する。補体の活性化は、白血球上の補体受容体(例えば、CR3)の結合によってADCCを促進する、標的細胞表面上の補体構成要素の堆積も生じ得る。
【0151】
「細胞傷害性作用」は、標的細胞の枯渇、排除、及び/または殺滅を指す。「細胞傷害性薬剤」は、細胞に対して細胞傷害性作用を有し、それによって標的細胞の枯渇、排除、及び/または殺滅を媒介する化合物を指す。ある特定の実施形態では、細胞傷害性薬剤は、抗体に複合体化されるか、または抗体と組み合わせて投与される。好適な細胞傷害性薬剤は、本明細書にさらに記載される。
【0152】
「細胞増殖阻害作用」は、細胞増殖の阻害を指す。「細胞増殖阻害薬剤」は、細胞に対して細胞増殖阻害作用を有し、それによって細胞の特定の細胞型及び/またはサブセットの成長及び/または拡大の阻害を媒介する化合物を指す。好適な細胞増殖阻害薬剤は、本明細書にさらに記載される。
【0153】
「発現単位」及び「発現カセット」は、本明細書で互換的に使用され、宿主細胞において目的のポリペプチドをコードし核酸セグメントの発現を提供することができる核酸セグメントを表す。発現単位は、典型的には、作動可能に連結された転写プロモーター、目的のポリペプチドをコードするオープンリーディングフレーム、及び転写ターミネーターを含む。転写プロモーター及びターミネーターに加えて、発現単位は、例えば、エンハンサーまたはポリアデニル化シグナルのような、他の核酸セグメントをさらに含むことができる。
【0154】
用語「発現ベクター」は、1つ以上の発現単位を含む線形または環形の核酸分子を指す。1個以上の発現単位に加えて、発現ベクターは、例えば、1個以上の複製起点または1個以上の選択可能なマーカーのような、追加的な核酸セグメントも含むことができる。
【0155】
発現ベクターは、一般に、プラスミドもしくはウイルスDNAに由来するか、または両方の要素を含有することができる。
【0156】
用語「患者」または「対象」は、予防的または治療的処置のいずれかを受ける、非ヒト霊長類、ウサギ、ラット、マウスなど、及びそれらのトランスジェニック種のような、ヒト及び他の哺乳動物対象を含む。ある特定の例示的な実施形態では、対象は、本明細書に記載される抗CD47抗体のマスキングドメイン(例えば、コイルドコイルマスキングドメイン)を切断することができる1個以上のプロテアーゼを任意選択で分泌するがん、例えば、固形腫瘍を罹患するまたは発症する危険があるヒト患者である。
【0157】
本明細書に記載されるような抗CD47抗体の投与によるCD47発現障害の治療の文脈における用語「有効量」は、CD47関連障害(例えば、CD47発現癌)の1つ以上の症状を阻害するかまたはそれを緩和するのに十分なかかる抗体の量を指す。有効量の抗体は、「有効なレジメン」において投与される。用語「有効なレジメン」は、障害の予防的または治療的処置(例えば、CD47発現癌の予防的または治療的処置)を達成するのに適切な投与される抗体の量及び投薬頻度の組み合わせを指す。
【0158】
用語「薬学的に許容される」は、連邦もしくは州政府の規制機関により承認されたもしくは承認可能である、または動物における、より具体的にはヒトにおける使用のための米国薬局方もしくは他の一般に認識される薬局方に列記されていることを意味する。用語「薬学的に相溶性の成分」は、抗CD47抗体と共に製剤化される薬学的に許容される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。
【0159】
語句「薬学的に許容される塩」は、薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩は、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレンビス-(2ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))の塩を含む。薬学的に許容される塩は、例えば、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンのような、追加的な分子をさらに含み得る。対イオンは、親化合物上で電荷を安定させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、2個以上の荷電原子をその構造内に有することができる。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の部分である事例は、複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は、1個以上の荷電原子及び/または1個以上の対イオンを有することができる。
【0160】
文脈から別途明らかでない限り、値が「約」Xまたは「およそ」Xと表される際に、Xの表示値は、±10%まで正確であると理解されるであろう。
【0161】
本発明の文脈における溶媒和物は、溶媒分子との配位を通じて固体または液体状態において複合体を形成する本発明の化合物のそれらの形態である。水和物は、溶媒和物の1つの特定の形態であり、配位は水で起きる。ある特定の例示的な実施形態では、本発明の文脈における溶媒和物は、水和物である。
【0162】
用語「赤血球凝集」は、赤血球が一緒に凝集されるプロセスを指す。赤血球凝集は、当該分野で既知である、抗CD47抗体の望ましくない副作用である。本発明のヒト化抗CD47抗体は、任意選択で、マウス親抗CD47抗体に対して及び/または当該分野で既知の1つ以上の抗CD47抗体に対して低下した赤血球凝集を媒介する。
【0163】
II.抗CD47抗体及び抗原結合断片
本発明は、1個の抗CD47抗体分子の少なくとも部分をコードする少なくとも1個のポリヌクレオチドを含む組成物及び核酸分子と同様に、単離された、組換え及び/または合成抗CD47ヒト、霊長類、げっ歯類、哺乳動物、キメラ、ヒト化及び/またはCDR移植抗体及びその抗原結合断片を提供する。本発明は診断用及び治療用組成物、方法及びデバイスを含むかかる核酸及び抗体を作製及び使用する方法をさらに含むが、これらに限定されない。ある特定の例示的な実施形態では、ヒト化抗CD47 IgG1抗体が提供される。他の例示的な実施形態では、マスクされたヒト化抗CD47 IgG1抗体が提供される。さらに他の例示的な実施形態では、スタブを含むヒト化抗CD47 IgG1抗体が提供される。
【0164】
本発明の特定の実施形態では、以下の活性、1)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強された抗原結合、2)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)、3)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して増強
された貪食(例えば、抗体依存性細胞貪食(ADCP))、4)参照抗体(例えば、マウス親抗体)に対して低下した赤血球赤血球凝集(HA)、5)三次元的(すなわち、非直線的)CD47エピトープへの結合、の1つ以上を有するヒト化抗CD47抗体が、提供される。
【0165】
本発明の例示的な抗CD47抗体及びその抗原結合断片は、以下のCD47抗体重鎖/軽鎖対を含む:hB6H12.1-hvH1/hvK1;hB6H12.2-hvH1/hvK2;hB6H12.3-hvH1/hvK3;hB6H12.4-hvH1/hvK4;hB6H12.5-hvH2/hvK1;hB6H12.6-hvH2/hvK2;hB6H12.7-hvH2/hvK3;hB6H12.8-hvH2/hvK4;hB6H12.9-hvH3/hvK1;hB6H12.10-hvH3/hvK2;hB6H12.11-hvH3/hvK3;hB6H12.12-hvH3/hvK4;hB6H12.13-hvH4/hvK1;hB6H12.14-hvH4/hvK2;hB6H12.15-hvH4/hvK3;hB6H12.16-hvH4/hvK4;hB6H12.17-hvH5/hvK1;hB6H12.18-hvH5/hvK2;hB6H12.19-hvH5/hvK3;hB6H12.20-hvH5/hvK4;hB6H12.21-hvH6/hvK1;hB6H12.22-hvH6/hvK2;hB6H12.23-hvH6/hvK3;hB6H12.24-hvH6/hvK4;hB6H12.3(脱アミド変異体)-hvH1/hvK3 G91A;Ab47-HV3-7/HJ4/KV3D-11/KJ1;及びmB6H12-vH1/vL。例示的な抗CD47抗体重鎖可変領域配列、軽鎖可変領域、重鎖CDR及び軽鎖CDRは、表1~表6において見出され得る。例示的なヒト化抗CD47抗体の重鎖及び軽鎖のためのアミノ酸配列は、表7で見出され得る。
表1.重鎖可変配列はマウスB6H12抗体に由来する。Kabat CDRには下線が引かれ、IMGT CDRは太字である。
【表1-1】
【表1-2】
表2.軽鎖可変配列はマウスB6H12抗体に由来する。Kabat CDRには下線が引かれ、IMGT CDRは太字である。
【表2】
表3.変異型抗体の重鎖CDR配列(Kabat)。
【表3-1】
【表3-2】
表4.変異型抗体の重鎖CDR配列(IMGT)。
【表4】
表5.変異型抗体の軽鎖CDR配列(Kabat)。
【表5】
表6.変異型抗体の軽鎖CDR配列(IMGT)。
【表6】
表7.本発明の好ましい実施形態に従うマスクされた抗CD47抗体の完全な重鎖及び軽鎖配列。重鎖及び軽鎖配列は平文であり(それぞれ配列番号42及び43)、マスキング
配列は太字であり、プロテアーゼ切断配列は下線が引かれている。
【表7】
【0166】
hB6H12.1
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0167】
hB6H12.2
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3への少なくとも約80%相同性ま
たは同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0168】
hB6H12.3
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0169】
hB6H12.4
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0170】
hB6H12.5
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列
番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0171】
hB6H12.6
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVR及を含みび/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0172】
hB6H12.7
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0173】
hB6H12.8
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)
を有するLCVRを含む。
【0174】
hB6H12.9
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0175】
hB6H12.10
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0176】
hB6H12.11
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0177】
hB6H12.12
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号28、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0178】
hB6H12.13
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21、22、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、30、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0179】
hB6H12.14
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21、22、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、30、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0180】
hB6H12.15
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番
号6として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21、22、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、30、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0181】
hB6H12.16
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号21、22、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、30、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0182】
hB6H12.17
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0183】
hB6H12.18
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は
、配列番号16、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0184】
hB6H12.19
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0185】
hB6H12.20
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、20、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0186】
hB6H12.21
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号11として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23、24、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断
片は、配列番号29、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8/配列番号11であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号11への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0187】
hB6H12.22
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号12として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23、24、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8/配列番号12であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号12への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0188】
hB6H12.23
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号13として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23、24、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8/配列番号13であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号13への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0189】
hB6H12.24
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号14として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23、24、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号29、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片
は、配列番号8/配列番号14であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号8への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含む及び/または配列番号14への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0190】
hB6H12.3 G91A
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号15として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号34、35、及び36の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号40、38、及び41の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3/配列番号15であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号15への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0191】
Ab47
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号10として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2/配列番号10であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号10への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0192】
mB6H12
ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1として示されるHCVRからのCDR及び/または配列番号9として示されるLCVRからのCDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、及び18の重鎖CDR及び/または配列番号31、32、及び33の軽鎖CDRを含む。いくつかの実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25、26、及び27の重鎖CDR及び/または配列番号37、38、及び39の軽鎖CDRを含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/配列番号9であるHCVR/LCVR対を含む。他の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1への少なくとも約80%相同性または
同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するHCVRを含み及び/または配列番号9への少なくとも約80%相同性または同一性(例えば、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%)を有するLCVRを含む。
【0193】
本明細書に記載される抗CD47抗体及びその抗原結合断片は、修飾された形態で発現され得る。例えば、追加的なアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域は、精製中、またはその後の取り扱い及び保管中に、宿主細胞において安定性及び残留性を改善させるために抗CD47抗体またはその抗原結合断片のN末端に添加され得る。また、ペプチド部分は、精製を促進するために本発明の抗CD47抗体またはその抗原結合断片に添加され得る。かかる領域は、抗体分子またはその少なくとも1個の断片の最終調製前に除去され得る。かかる方法は、Sambrook,supra、Ausubel,et al.,ed.,Current Protocols In Molecular Biology,John Wiley & Sons,Inc.,NY,N.Y.(1987-2001)のような多くの標準実験室マニュアルにおいて記載される。
【0194】
本明細書に記載される抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、標準結合アッセイ、例えば、Biacoreベースの結合アッセイを使用して測定される場合、典型的には、1μM以下、例えば、100nM以下、好ましくは10nM以下、より好ましくは1nM以下の平衡結合定数を有するCD47に結合する。
【0195】
本発明の抗体分子は、参照抗CD47抗体、例えば、B6H12、2D3、MABL、CC2C6、またはBRIC126に対して特徴付けられ得る。抗体B6H12は、例えば、米国特許第5057604号及び同第9017675号に記載され、Abcam、PLC、Santa Cruz Biotechnology,Inc.及びeBioscience,Inc.から市販されている。
【0196】
グリコシル化変異型
抗CD47抗体及びその抗原結合断片は、それらの定常領域における保存された位置でグリコシル化され得る(Jefferis and Lund,(1997)Chem.Immunol.65:111-128、Wright and Morrison,(1997)TibTECH 15:26-32)。免疫グロブリンのオリゴ糖側鎖は、タンパク質の機能(Boyd et al.,(1996)Mol.Immunol.32:1311-1318;Wittwe and Howard,(1990)Biochem.29:4175-4180)と、糖タンパク質の立体構造及び提示された三次元表面に影響することができる糖タンパク質の部分間の分子内相互作用(Jefferis and Lund,supra、Wyss and Wagner,(1996)Current Op.Biotech.7:409-416)とに影響する。オリゴ糖は、特異的認識構造に基づいてある特定の分子に対して所与の糖タンパク質を標的化するよう働くことができる。例えば、非ガラクトシル化(agalactosylated)IgGにおいて、オリゴ糖部分がCH2間の空間外に「反転」し、末端N-アセチルグルコサミン残基が利用可能になり、マンノース結合タンパク質に結合することが報告されている(Malhotra et al.,(1995)Nature Med.1:237-243)。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において産生されたCAMPATH-1H(ヒトリンパ球のCDw52抗原を認識する組換えヒト化マウスモノクローナルIgG1抗体)からのグリコペプチダーゼによるオリゴ糖の除去は、補体媒介性溶解(CMCL)における完全な低下を生じた(Boyd et al.,(1996)Mol.Immunol.32:1311-1318)が、ノイラミニダーゼを使用するシアル酸残基の選択的除去は、DMCLの喪失を生じなかった。抗体のグリコシル化は、抗体依存性
細胞傷害(ADCC)に影響することも報告されている。特に、バイセクトGlcNAcの形成を触媒するグリコシルトランスフェラーゼである、α(1,4)-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)のテトラサイクリン調節された発現を伴うCHO細胞は改善されたADCC活性を有することが、報告されている(Umana et al.(1999)Mature Biotech.17:176-180)。
【0197】
抗体のグリコシル化は、典型的には、N連結またはO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。Xがプロリン以外の任意のアミノ酸であるトリペプチド配列アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニンは、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合のための認識配列である。したがって、ポリペプチドにおけるこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を作成する。O連結グリコシル化は、糖類N-アセイルガラクトサミン(N-aceylgalactosamine)、ガラクトース、またはキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
【0198】
抗体のグリコシル化変異型は、抗体のグリコシル化パターンが改変される変異型である。改変することとは、抗体に見出される1つ以上の炭水化物部分を削除し、1つ以上の炭水化物部分を抗体に添加し、グリコシル化の組成物(グリコシル化パターン)、グリコシル化の程度などを変更することを意味する。
【0199】
グリコシル化部位の抗CD47抗体またはその抗原結合断片への添加は、それが(N連結グリコシル化部位について)上記のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することにより達成され得る。改変は、(O連結グリコシル化部位について)元の抗体の配列への1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の添加、またはセリンまたはトレオニン残基による置換によっても行われ得る。同様に、グリコシル化部位の除去は、抗体の天然のグリコシル化部位内でのアミノ酸改変により達成され得る。
【0200】
アミノ酸配列は、通常、基礎の核酸配列を改変することにより改変される。これらの方法は、天然源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列変異型の場合)、またはオリゴヌクレオチド媒介性(または部位指向性)変異誘発、PCR変異誘発、及び抗体の先に調製された変異型または非変異型バージョンのカセット変異誘発による調製を含む。
【0201】
抗体のグリコシル化(グリコシル化パターンを含む)も、アミノ酸配列または基礎のヌクレオチド配列を改変することなく改変され得る。グリコシル化は、抗体を発現させるために使用される宿主細胞に大きく依存する。可能な治療薬としての組換え糖タンパク質、例えば、抗体の発現に使用される細胞型が天然の細胞であることは稀であり、抗体のグリコシル化パターンにおける顕著な変動が予想され得る。例えば、Hse et al.,(1997)J.Biol.Chem.272:9062-9070を参照されたい。宿主細胞の選択に加えて、抗体の組換え産生中のグリコシル化に影響する要因は、成長モード、培地製剤、培養密度、酸素負荷、pH、精製スキームなどを含む。オリゴ糖の産生に関与するある特定の酵素を導入または過剰発現させることを含む、特定の宿主生物において達成されるグリコシル化パターンを改変するための種々の方法が、提案されている(米国特許第5047335号、同第5510261号、同第5278299号)。グリコシル化、またはある特定の型のグリコシル化は、例えば、エンドグリコシダーゼH(Endo H)を使用して、糖タンパク質から酵素的に除去され得る。加えて、組換え宿主細胞は、遺伝子操作、例えば、ある特定の型の多糖を加工する際に欠損され得る。これらの及び同様の技法は、当該技術分野で周知である。
【0202】
抗体のグリコシル化構造は、レクチンクロマトグラフィー、NMR、質量分析、HPLC、GPC、単糖組成分析、連続酵素消化、及び電荷に基づいてオリゴ糖を分離するための高pHアニオン交換クロマトグラフィーを使用するHPAEC-PADを含む、炭水化物分析の従来の技法によって容易に分析され得る。分析目的のためのオリゴ糖を放出する方法は、酵素処理(一般的にペプチド-N-グリコシダーゼF/エンド-β-ガラクトシダーゼを使用して実行される)、主にO連結構造を放出するための厳しいアルカリ性環境を使用しての排除、ならびにN連結及びO連結オリゴ糖の両方を放出するための無水ヒドラジンを使用する化学的方法を含む。
【0203】
抗体のグリコシル化の修飾の好ましい形態は、低下したコアフコシル化である。「コアフコシル化」は、N連結グリカンの還元末端でのフコース(「フコシル化」)のN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)への添加を指す。
【0204】
「N-グリコシド連結複合型糖鎖」は、典型的には、アスパラギン297(Kabatの番号に従う)に結合される。本明細書で使用される場合、N-グリコシド連結複合型糖鎖は、主に以下の構造:
【化1】

を有する二分岐複合物糖鎖を有し、式中、+/-は糖分子が存在するか、または不在であり得ることを示し、数字は糖分子間の連結の位置を示す。上の構造では、アスパラギンに結合する糖鎖末端は還元末端(右記)と呼ばれ、反対側は非還元末端と呼ばれる。フコースは、通常、典型的には、α1,6結合(GlcNAcの6位がフコースの1位に連結される)により還元末端のN-アセチルグルコサミン(「GlcNAc」)に結合される。「Gal」はガラクトースを指し、「Man」はマンノースを指す。
【0205】
「N-グリコシド連結複合型糖鎖」は、1)コア構造の非還元末端側がガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも称される)の1つ以上の分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側が任意選択で、シアル酸、バイセクトN-アセチルグルコサミンなどを有する複合型、または2)コア構造の非還元末端側が高マンノースN-グリコシド連結糖鎖及びN-グリコシド連結複合型糖鎖の両分岐を有するハイブリッド型を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、「N-グリコシド連結複合型糖鎖」は、コア構造の非還元末端側がガラクトース-N-アセチルグルコサミン(「gal-GlcNAc」とも称される)の0、1つ以上の分岐を有し、Gal-GlcNAcの非還元末端側が任意選択で、シアル酸、バイセクトN-アセチルグルコサミンなどのような構造をさらに有する複合型を含む。
【0207】
本方法に従うと、典型的には、少量のフコースのみが、ヒト化またはキメラ抗体のN-グリコシド連結複合型糖鎖(複数可)に組み込まれる。例えば、様々な実施形態では、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満の抗体の分子は、フコースによるコアフコシル化を有する。一部の実施形態では、約2%の抗体の分子は、フコースによるコアフコシル化を有する。
【0208】
ある特定の実施形態では、少量のフコース類似体のみ(またはフコース類似体の代謝物または産物)が、N-グリコシド連結複合型糖鎖(複数可)に組み込まれる。例えば、様々な実施形態では、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、または約3%未満のヒト化またはキメラ抗体は、フコース類似体、またはフコース類似体の代謝物もしくは産物によるコアフコシル化を有する。一部の実施形態では、約2%のヒト化またはキメラ抗体は、フコース類似体、またはフコース類似体の代謝物もしくは産物によるコアフコシル化を有する。
【0209】
抗体産生細胞をフコース類似体と共にインキュベートすることによりフコシル化されていない抗体を作製する方法は、例えば、WO2009/135181に記載される。簡潔に、ヒト化またはキメラ抗体を発現するように操作された細胞は、フコース類似体、またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物の存在下でインキュベートされる。細胞内代謝物は、例えば、GDP修飾された類似体または完全にもしくは部分的に脱エステル化された類似体であり得る。産物は、例えば、完全にまたは部分的に脱エステル化された類似体であり得る。いくつかの実施形態では、フコース類似体は、フコースサルベージ経路において酵素(複数可)を阻害することができる。例えば、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコキナーゼまたはGDP-フコース-ピロホスホリラーゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコシルトランスフェラーゼ(好ましくは、1,6-フコシルトランスフェラーゼ、例えば、FUT8タンパク質)を阻害する。いくつかの実施形態では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコースの新規合成経路において酵素の活性を阻害することができる。例えば、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、GDP-マンノース4,6-デヒドラターゼまたは/またはGDP-フコースシンセターゼの活性を阻害することができる。いくつかの実施形態では、フコース類似体(またはフコース類似体の細胞内代謝物もしくは産物)は、フコース輸送体(例えば、GDP-フコース輸送体)を阻害することができる。
【0210】
一実施形態では、フコース類似体は、2-フルロフコース(2-flurofucose)である。成長培地中におけるフコース類似体、及び他のフコース類似体の使用方法は、例えば、WO/2009/135181(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される。
【0211】
コアフコシル化を低下させるために細胞系を操作するための方法は、遺伝子ノックアウト、遺伝子ノックイン、及びRNA干渉(RNAi)を含んだ。遺伝子ノックアウトでは、FUT8をコードする遺伝子(アルファ1,6-フコシルトランスフェラーゼ酵素)が不活性化される。FUT8は、GDP-フコースからN-グリカンのAsn連結(N連結)GlcNacの6位へのフコシル残基の移動を触媒する。FUT8は、フコースをAsn297でのN-連結二分岐炭水化物へ添加する役割を果たす唯一の酵素であると報告される。遺伝子ノックインは、GNTIIIまたはゴルジアルファマンノシダーゼIIのような酵素をコードする遺伝子を添加する。細胞におけるかかる酵素のレベルの増加は、フコシル化経路からモノクローナル抗体を転用し(コアフコシル化の減少を引き起こす)、バイセクトN-アセチルグルコサミンの量を増加させる。RNAiは、典型的には、FUT8遺伝子発現も標的化し、減少したmRNA転写レベルを引き起こすか、または遺伝子発現を完全にノックアウトする。これらの方法のいずれかは、フコシル化されていない抗体、例えば、ヒト化またはキメラ抗体を産生することができるであろう細胞系を生成するために使用され得る。
【0212】
抗体上のフコシル化の量を決定するための多くの方法が、利用可能である。方法は、例えば、PLRP-Sクロマトグラフィーを介するLC-MS及びエレクトロスプレーイオン化四重極TOF MSを含む。
【0213】
コイルドコイルマスキング薬剤
本発明のある特定の実施形態では、抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、抗CD47抗体またはその抗原結合断片のCD47への結合を防止するコイルドコイルマスキング薬剤(「コイルドコイルマスキングドメイン」または「マスキングドメイン」とも称される)と会合する。様々な実施形態では、マスキングドメインと会合した抗CD47抗体またはその抗原結合断片は、「マスクされた抗体」と称される。
【0214】
コイルドコイルは、2個以上のアルファ螺旋が互いに巻きあってスーパーコイルを形成するタンパク質及びペプチドにおける構造モチーフである。コイルドコイルバンドルにおいて2個、3個または4個の螺旋があり得、螺旋は同じ(平行)または反対(逆平行)方向に続くことができる。
【0215】
コイルドコイルは、典型的には、疎水性パターン及び残基組成物が両親媒性アルファ螺旋の構造と相溶性である3個及び4個の残基の配列要素を含む。交互の3個及び4個の残基配列要素は、アミノ酸が「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、及び「g」と表示される7アミノ酸反復(heptad repeat)を構成する。位置「a」及び「d」における残基は、一般に疎水性であり、別の鎖状の同様のパターンと連動するノブ及び孔のジグザグパターンを形成し、タイトフィッティング疎水性コアを形成する。残りの残基のうち、「b」、「c」及び「f」が荷電する傾向にある。したがって、7アミノ酸反復の形成は、特定のアミノ酸上ではなく、特定の位置で要求された疎水性及び電荷の物理特性に依存する。ある特定の例示的な実施形態では、本発明のコイルドコイルは、2個のコイルドコイル形成ペプチドから形成される。
【0216】
コイルドコイル形成ペプチドにおける7アミノ酸反復についてのコンセンサス式の例は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、第WO2011034605号によって提供される。
【0217】
ある特定の実施形態に従う例示的なコンセンサス式が、以下に示される。
式1:(X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7)n、式中、
X1は疎水性アミノ酸またはアスパラギンであり、
X2、X3及びX6は任意のアミノ酸であり、
X4は疎水性アミノ酸であり、
X5及びX7は各々荷電したアミノ酸残基であり、
nは正の整数である。
式2:(X1’、X2’、X3’、X4’、X5、X6、X7)n、式中、
X1’は疎水性アミノ酸またはアスパラギンであり、
X2’、X’3及びX’6は各々任意のアミノ酸残基であり、
X4’は疎水性アミノ酸であり、
X5’及びX7’は各々荷電したアミノ酸残基であり、
式1及び2におけるnは2以上であり、
nは正の整数である。
【0218】
式1及び式2のペプチドがコイルドコイルを形成するある特定の実施形態では、式1のX5は電荷において式2のX’7の反対であり、X7または式1は電荷において式2のX
’5の反対である。コイルドコイル形成ペプチド内の7アミノ酸反復は、式1及び/または2に従う間は同じであり得るか、または互いに異なり得る。
【0219】
コイルドコイルは、ホモ二量体またはヘテロ二量体であり得る。ある特定の例示的な実施形態に従うコイルドコイルを形成することができるペプチドの例が、表8に示される。ペプチド配列はそのまま使用され得るか、またはそれらの構成要素は他の組み合わせにおいて使用され得る。例えば、Velコイルドコイル形成ペプチドは、他のリンカー配列で使用され得る。軽鎖について示された配列は重鎖でも使用され得、その逆も同様である。
【0220】
ある特定の例示的な実施形態では、2個の軽鎖及び重鎖の対を含む二価抗体が提供され、軽鎖及び/または重鎖のうちの1つ以上のN末端は、プロテアーゼ切断部位を含むリンカーを介してコイルドコイルを形成するよう会合するコイルドコイル形成ペプチドに連結され、標的への軽鎖及び重鎖の対の結合親和性を低下させる。任意選択で、ペプチドは、ジスルフィド架橋を形成せずに会合する。
【0221】
任意選択で、2個の軽鎖及び重鎖の対は同じである。任意選択で、2個の軽鎖及び重鎖の対は異なる。任意選択で、軽鎖は軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含み、重鎖は重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む。任意選択で、重鎖領域は、CH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域を含む。任意選択で、2個の軽鎖は第1の異種ペプチドに連結され、2個の重鎖は第2の異種ペプチドに連結される。
【0222】
任意選択で、プロテアーゼ切断部位は、MMP1またはMMP2切断部位である。
【0223】
任意選択で、標的はCD47である。
【0224】
任意選択で、抗原結合は、マスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)の存在によって少なくとも100倍低下する。任意選択で、抗原結合は、マスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)の存在によって200~1500倍低下する。任意選択で、複合体の細胞傷害は、マスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)の存在によって少なくとも100倍低下する。任意選択で、複合体の細胞傷害は、マスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)の存在によって200~1500倍低下する。
【0225】
任意選択で、コイルドコイル形成ペプチドは、同じ配向で重鎖及び軽鎖のN末端に連結される。任意選択で、コイルドコイル形成ペプチドは、対向する配向で重鎖及び軽鎖のN末端に連結される。任意選択で、コイルドコイル形成ペプチドの複数のコピーは、直列に重鎖及び軽鎖のN末端に連結される。
【0226】
本発明のある特定の実施形態に従う例示的なコイルドコイル形成ペプチドリンカー及びプロテアーゼ部位は、図34に示される。
【0227】
ある特定の例示的な実施形態では、配列番号51(表8におけるVel LC)を含むか、または配列番号51からなるペプチドは、プロテアーゼ切断部位と軽鎖のN末端に連結されるコイルドコイル形成ペプチドとを含むリンカーを提供するために使用されるか、配列配列番号50(表8におけるVel HC)のペプチドは、プロテアーゼ切断部位と重鎖のN末端に連結されるコイルドコイル形成ペプチドとを含むリンカーを提供するために使用されるか、逆も同様である。これらの配列を含むペプチドは、本明細書に開示される抗体のいずれかに連結され得る。
【0228】
ある特定の例示的な実施形態では、コイルドコイルを形成する変異型ペプチドにおける
アミノ酸置換は、保存的置換である。他の例示的な実施形態では、反復する7アミノ酸パターンは変異型ペプチドにおいて保持され、コイルドコイル形成ペプチドは、式1及び/または式2におけるような、アミノ酸型によって該式の位置を占めるアミノ酸を分類する式に従う同種7アミノ酸セグメントに下位分割され得る。ある特定の実施形態では、7アミノ酸当たり1個または2個以下の置換があり、任意のかかる置換は保存的である。他の実施形態では、変異型は、本明細書に記載されるコイルドコイル形成ペプチドへの少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有することができ、コイルドコイルを形成することができる。
【0229】
コイルドコイルを形成する例示的なペプチドは、表8A及び表8Bに示される。
表8A.ある特定の例示的な実施形態に従うマスキングドメイン配列。切断配列には下線が引かれている。
【表8A】

表8B.ある特定の例示的な実施形態に従うマスキングドメイン配列。切断配列には下線が引かれている。EAC残基が含まれる。
【表8B-1】

【表8B-2】
【0230】
リンカー及び切断部位
本発明のある特定の実施形態では、リンカーは、コイルドコイルマスキング薬剤を抗CD47抗体またはその抗原結合断片に結合させるために使用される。リンカーは、ペプチドドメインを連結するためのリンカーとして従来使用されているアミノ酸の任意のセグメントであり得る。好適なリンカーは、1~20、2~15、3~12、4~10、5、6、7、8、9または10のように、長さにおいて異なる。いくつかのかかるリンカーは、ポリグリシンのセグメントを含む。いくつかのかかるリンカーは、多くの場合、グリシン残基に隣接する位置で、1個以上のセリン残基を含む。他のリンカーは、1個以上のアラニン残基を含む。グリシン及びグリシン-セリンポリマーは、比較的非構造的であり、したがって成分間の中立的テザーとして働くことができ得る。グリシンは、アラニンよりもさらにファイ-プサイ空間にかなり多くアクセスし、より長い側鎖を有する残基ほど制限がない(例えば、Scheraga,Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。いくつかの例示的なリンカーは、形態S(G)nSであり、nは5~20である。他の例示的なリンカーは、(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n[(GSGGS)は配列
番号59である)及び(GGGS)n、[(GGGS)は配列番号60である)、nは少なくとも1の整数である)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、及び当該分野で既知の他の可撓性リンカーである。リンカーのいくつかの例は、Ser-(Gly)10-Ser(配列番号61)、Gly-Gly-Ala-Ala(配列番号62)、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号63)、Leu-Ala-Ala-Ala-Ala(配列番号64)、Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号65)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号66)、Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号67)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号68)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号69)、Gly-Ser-Ser-Ser-Gly(配列番号70)などである。
【0231】
プロテアーゼ部位は、好ましくは、細胞外で発現されるプロテアーゼにより認識及び切断されるため、それがマスクされた抗体に接触し、マスクされた抗体を放出し、それを受容体細胞外ドメインまたは可溶性リガンドのようなその標的に接触することを可能にする。いくつかのマトリックスメタロプロテイナーゼ部位(MMP1-28)は、好適である。MMPは、組織リモデリングにおいて役割を果たしており、形態形成、血管新生及び転移のような新生物プロセスに関与する。いくつかの例示的なプロテアーゼ部位は、PLG-XXX(配列番号71)、MMPについて周知の内因性配列、PLG-VR(配列番号72)(WO2014193973)及びIPVSLRSG(配列番号73)(Turk
et al.,Nat.Biotechnol.,2001,19,661-667)、LSGRSDNY(配列番号74)(Cytomyx)及びGPLGVR(配列番号57)(Chang et al.,Clin.Cancer Res.2012 Jan
1;18(1):238-47)である。MMPの追加的な例は、US2013/0309230、WO2009/025846、WO2010/081173、WO2014/107599、WO2015/048329、US20160160263、及びRatnikov et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,111:E4148-E4155(2014)に提供される。
表9.プロテアーゼ切断配列。MMP切断部位はで示されるが、uPA/マトリプターゼ/レグマイン切断部位は**で示される。
【表9】
【0232】
コイルドコイルマスキング薬剤の抗CD47抗体への連結
コイルドコイル形成ペプチドは、プロテアーゼ部位を含むリンカーを介して抗体可変領域のN末端に連結される。典型的な抗体は重鎖及び軽鎖可変領域を含み、どの場合もコイルドコイル形成ペプチドが各々のN末端に連結される。二価抗体は、同じであってもなくてもよい2つの結合部位を有する。正常な単一特異性抗体では、結合部位は同じであり、抗体は2個の同一の軽鎖及び重鎖の対を有する。この場合、各重鎖は同じコイルドコイル形成ペプチドに連結され、各軽鎖は同じコイルドコイル形成ペプチドに連結される(重鎖に連結されるペプチドと同じであってもなくてもよい)。ダイアボディでは、結合部位は、異なり、2個の異なる重鎖及び軽鎖の対から形成される。かかる場合、1つの結合部位の重鎖及び軽鎖可変領域は、他の結合部位の重鎖及び軽鎖可変領域のようなコイルドコイル形成ペプチドにそれぞれ連結される。典型的には、両方の重鎖可変領域は、両方の軽鎖可変領域のような同じ型のコイルドコイル形成ペプチドに連結される。
【0233】
コイルドコイル形成ペプチドは、プロテアーゼ部位を含むリンカーを介して抗体可変領域に連結され得る。典型的には、同じプロテアーゼ切断部位を有する同じリンカーは、コ
イルドコイルペプチドに抗体の各重鎖または軽鎖可変領域を連結するために使用される。プロテアーゼ切断部位は、リンカーの切断が、抗体が細胞表面抗原または可溶性リガンドのような、その意図された標的に結合することを可能にするその活性をマスキングするコイルドコイルから抗体を放出するように、がんのような、意図された標的組織または病理学において細胞外で提示されるプロテアーゼにより切断されやすいものであるべきである。
【0234】
可変領域と同様に、マスクされた抗体は、典型的には、軽鎖定常領域、CH1、ヒンジ、CH2及びCH3領域のいずれかまたは全てを含むことができる定常領域の全てまたは部分を含む。他の抗体と同様に、1個以上のC末端残基は、タンパク質分解的に加工または誘導体化され得る。
【0235】
コイルドコイルは、ホモ二量体を形成する同じペプチドまたはヘテロ二量体を形成する2個の異なるペプチドから形成され得る。ホモ二量体の形成のために、軽鎖及び重鎖抗体は、同じコイルドコイル形成ペプチドに連結される。ヘテロ二量体の形成のために、軽鎖及び重鎖抗体は、異なるコイルドコイルペプチドに連結される。ペプチドを形成するコイルドコイルのいくつかの対について、逆配向も可能であるが、対の一方が重鎖に結合され、他方が抗体の軽鎖に結合されることが好ましい。
【0236】
各抗体鎖は、単一のコイルドコイル形成ペプチドまたは複数のかかるペプチドに直列に連結され得る(例えば、ペプチドの2個、3個、4個または5個のコピー)。後者の場合、直列連結におけるペプチドは、通常、同じである。直列連結が採用される場合にも、軽鎖及び重鎖は、通常、同じ数のペプチドに連結される。
【0237】
抗体鎖のコイルドコイル形成ペプチドへの結合は、かかる連結を有しないまたはかかる連結の切断後の同じ抗体に対して、抗体の結合親和性を少なくとも約10倍、約50倍、約100倍、約200倍、約500倍、約1000倍、または約1500倍低下させることができる。いくつかのかかる抗体では、結合親和性は、約50~1500倍、約100~1500倍、約200~1500倍、約500~1500倍、約50~1000倍、約100~1000倍、約200~1000倍、約500~1000倍、約50~500倍、または約100~500倍低下する。抗体薬物複合体中における薬物への連結の結果としてのADCC、貪食、及びCDCまたは細胞傷害のような、抗体のエフェクター機能は、同じ因子または範囲によって低下され得る。抗体をアンマスクするか、さもなければ抗体からマスクを除去するよう働くタンパク質分解切断の際に、復元された抗体は、典型的には、マスクされたことがなく、それ以外の点では同一の対照抗体と比較して、2倍、1.5倍以内であるか、または好ましくは不変である親和性または作用機能を有する。
【0238】
抗体薬物複合体
ある特定の実施形態では、本発明の抗CD47抗体は、抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされ得る。特定のADCは、細胞傷害性薬剤(例えば、化学療法薬剤)、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体もしくは化合物、または毒素(これらの部分はまとめて、治療薬剤と称される)を含むことができる。例えば、ADCは、化学療法薬剤のような細胞傷害性薬剤、または毒素(例えば、アブリン、リシンA、緑膿菌外毒素、もしくはジフテリア毒素のような細胞増殖阻害もしくは殺細胞薬剤)と複合体化され得る。細胞傷害性薬剤の有用なクラスの例は、例えば、DNA小溝結合剤、DNAアルキル化薬剤、及びチューブリン阻害剤を含む。例示的な細胞傷害性薬剤は、例えば、アウリスタチン、カンプトテシン、カリチアマイシン、デュオカルマイシン、エトポシド、マイタンシノイド(例えば、DM1、DM2、DM3、DM4)、タキサン、ベンゾジアゼピン(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン、例えばピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼ
ピン二量体、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)、ならびにビンカアルカロイドを含む。
【0239】
ADCは、プロドラッグ変換酵素に複合体化され得る。プロドラッグ変換酵素は、既知の方法を使用して、抗体に組換えによって融合されるか、または抗体に化学的に複合体化され得る。例示的なプロドラッグ変換酵素は、カルボキシペプチダーゼG2、ベータ-グルクロニダーゼ、ペニシリン-V-アミダーゼ、ペニシリン-G-アミダーゼ、β-ラクタマーゼ、β-グルコシダーゼ、ニトロレダクターゼ、及びカルボキシペプチダーゼAである。
【0240】
治療薬をタンパク質に、及び特に抗体に複合体化するための技法は周知である。(例えば、Alley et al.,Current Opinion in Chemical Biology 2010 14:1-9;Senter,Cancer J.,2008,14(3):154-169を参照されたい。)治療薬は、抗体から切断されない限り(例えば、加水分解、タンパク質分解、または切断剤によって)、その活性を低減する様式で複合体化され得る。いくつかの態様では、治療薬は、それがCD47発現癌細胞によって内在化される際に複合体が抗体から切断されるように(例えば、エンドソーム環境において、または例えば、pH感受性もしくはプロテアーゼ感受性により、リソソーム環境において、またはカベオラ環境において)、CD47発現癌細胞の細胞内環境における切断に感受性であるが、細胞外環境に実質的に感受性ではない切断可能なリンカーによって抗体に結合される。いくつかの実施形態では、治療薬はまた、切断不可能なリンカーによって抗体に結合され得る。
【0241】
ある特定の例示的な実施形態では、ADCは、細胞傷害性薬剤または細胞増殖阻害薬剤と抗体との間にリンカー領域を含むことができる。上記のように、典型的には、リンカーは、リンカーの切断が細胞内環境(例えば、リソソームまたはエンドソームまたはカベオラ内)において抗体から治療薬を放出するように、細胞内条件下で切断可能であり得る。リンカーは、例えば、リソソームまたはエンドソームプロテアーゼを含む、細胞内ペプチダーゼまたはプロテアーゼ酵素により切断されるペプチジルリンカーであり得る。切断剤は、カテプシンB及びD、ならびにプラスミンを含み得る(例えば、Dubowchik
and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67-123,1999を参照されたい)。最も典型的なものは、CD47発現細胞に存在する酵素により切断可能であるペプチジルリンカーである。例えば、がん性組織において高度に発現されるチオール依存性プロテアーゼカテプシンBにより切断可能であるペプチジルリンカー(例えば、Phe-LeuまたはVal-Citペプチドを含むリンカー)を使用することができる。
【0242】
切断可能なリンカーは、pH感受性、すなわち、ある特定のpH値での加水分解に感受性であり得る。典型的には、pH感受性リンカーは、酸性条件下で加水分解性である。例えば、リソソーム中で加水分解性である酸に不安定なリンカー(例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シス-アコニックアミド、オルトエステル、アセタール、ケタールなど)が使用され得る。(例えば、米国特許第5,122,368号、同第5,824,805号、同第5,622,929号、Dubowchik and Walker,Pharm.Therapeutics 83:67-123,1999、Neville et al,Biol.Chem.264:14653-14661,1989を参照されたい。)かかるリンカーは、血液中のような中性pH条件下で比較的安定しているが、リソソームのおよそのpHであるpH5.5または5.0未満で不安定である。
【0243】
他のリンカーは還元条件下で切断可能である(例えば、ジスルフィドリンカー)。ジス
ルフィドリンカーは、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB、及びSMPTを使用して形成され得るものを含む。(例えば、Thorpe et al.,Cancer Res.47:5924-5931,1987、Wawrzynczak et al.,In Immunoconjugates:Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer(C.W.Vogel ed.,Oxford U.Press,1987を参照されたい。また米国特許第4,880,935号を参照されたい。)
【0244】
リンカーはまた、マロン酸塩リンカー(Johnson et al,Anticancer Res.15:1387-93,1995)、マレイミドベンゾイルリンカー(Lau et al.,Bioorg-Med-Chem.3:1299-1304,1995)、または3’-N-アミド類似体(Lau et al.,Bioorg-Med-Chem.3:1305-12,1995)でもあり得る。
【0245】
リンカーは、治療薬に直接結合され、抗体のタンパク質分解により放出されるマレイミド-アルキレンまたはマレイミド-アリールリンカーのような切断不可能なリンカーでもあり得る。
【0246】
典型的には、リンカーは、細胞外環境に実質的に感受性ではなく、ADCが細胞外環境(例えば、血漿中)に存在する際に、ADCの試料中のリンカーの約20%以下、典型的には約15%以下、より典型的には約10%以下、さらにより典型的には約5%以下、約3%以下、または約1%以下が切断されることを意味する。リンカーが細胞外環境に実質的に感受性でないかは、例えば、(a)ADC(「ADC試料」)及び(b)等モル量の複合体化されていない抗体または治療薬(「対照試料」)の両方を、所定の期間(例えば、2、4、8、16、または24時間)、個別に血漿と共にインキュベートし、次いで、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定して、ADC試料中に存在する複合体化されていない抗体または治療薬を、対照試料中に存在するものと比較することによって決定され得る。
【0247】
リンカーはまた、細胞内在化を促進することができる。リンカーは、治療薬に複合体化される際に(すなわち、本明細書に記載されるADCまたはADC誘導体のリンカー-治療薬部分の環境において)、細胞内在化を促進することができる。代替的には、リンカーは、治療薬及び抗体の両方に複合体化される際に(すなわち、本明細書に記載されるADCの環境において)、細胞内在化を促進することができる。
【0248】
抗体は、抗体のヘテロ原子を介してリンカーに複合体化され得る。これらのヘテロ原子は、その天然の状態で抗体上に存在し得るか、または抗体に導入され得る。いくつかの態様では、抗体は、リジン残基の窒素原子を介してリンカーに複合体化されるであろう。他の態様では、抗体は、システイン残基の硫黄原子を介してリンカーに複合体化されるであろう。リンカー及び薬物リンカーを抗体に複合体化する方法は、当該技術分野において既知である。
【0249】
例示的な抗体-薬物複合体は、アウリスタチンベースの抗体-薬物複合体を含み、薬物構成要素がアウリスタチン薬物であることを意味する。アウリスタチンは、チューブリンに結合し、微小管動態ならびに核及び細胞分裂に干渉することが示されており、抗がん活性を有する。典型的には、アウリスタチンベースの抗体-薬物複合体は、アウリスタチン
薬物と抗CD47抗体との間にリンカーを含む。リンカーは、例えば、切断可能なリンカー(例えば、ペプチジルリンカー)または切断不可能なリンカー(例えば、抗体の分解により放出されるリンカー)であり得る。アウリスタチンは、MMAF及びMMAEを含む。例示的なアウリスタチンの合成及び構造は、米国公開第7,659,241号、同第7,498,298号、同第2009-0111756号、同第2009-0018086号、及び同第7,968,687号に記載されており、それらの各々は、その全体が参照により、及び全ての目的のために、本明細書に組み込まれる。
【0250】
他の例示的な抗体-薬物複合体は、薬物構成要素がメイタンシノイド薬物であることを意味するメイタンシノイド抗体-薬物複合体と、薬物構成要素がベンゾジアゼピン(例えば、ピロロ[1,4]ベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びオキサゾリジノベンゾジアゼピン二量体)であることを意味するベンゾジアゼピン抗体薬物複合体と、を含む。
【0251】
ある特定の実施形態では、本発明の抗CD47抗体は、異なる標的への結合特異性を有するADCと組み合わされ得る。抗CD47抗体と組み合わされ得る例示的なADCは、ブレンツキシマブベドチン(抗CD30ADC)、エンフォルツマブベドチン(抗ネクチン-4 ADC)、ラジラツズマブベドチン(抗LIV-1 ADC)、デニンツズマブマフォドチン(抗CD19 ADC)、グレンベツマブベドチン(抗GPNMB ADC)、抗TIM-1 ADC、ポラツズマブベドチン(抗CD79b ADC)、抗MUC16 ADC、デパツキシズマブマフォドチン、テリソツズマブベドチン、抗PSMA ADC、抗C4.4a ADC、抗BCMA ADC、抗AXL ADC、チソツマブベドチン(抗組織因子 ADC)を含む。
【0252】
抗体分子発現
本発明の核酸は、本発明の抗体またはマスクされた抗体をコードする内因性DNAを含有する宿主細胞において発現され得る。かかる方法は、例えば、米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733,746号、及び同第5,733,761号に記載されるような、当該分野において周知である。また、例えば、Sambrook,et al.,supra、及びAusubel,et al.,supraを参照されたい。当業者は、本発明のタンパク質をコードする核酸の発現に利用可能な多数の発現系に精通している。抗体、マスクされた抗体、それらの明記された部分または変異型の産生のために有用な細胞培養物の例示は、哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞系は、多くの場合、細胞の単層の形態であろうが、哺乳動物細胞懸濁液またはバイオリアクターもまた使用され得る。無傷のグリコシル化タンパク質を発現することができるいくつもの好適な宿主細胞株は、当該技術分野で開発されており、COS-1(例えば、ATCC
CRL 1650)、COS-7(例えば、ATCC CRL-1651)、HEK293、BHK21(例えば、ATCC CRL-10)、CHO(例えば、ATCC CRL 1610)及びBSC-1(例えば、ATCC CRL-26)細胞株、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2/0-Ag14、HeLa細胞などを含み、例えば、American Type Culture Collection,Manassas,VAから容易に入手可能である。酵母及び細菌宿主細胞も使用され得、当業者に周知である。本発明の核酸またはタンパク質の産生に有用な他の細胞は、既知であり、及び/または例えば、American Type Culture Collection Catalogue of Cell Lines及びハイブリドーマまたは他の既知のものまたは商業的供給源から入手可能である。
【0253】
発現ベクターは、以下、複製起点であるが限定されることのないような発現制御配列、プロモーター(例えば、後期または初期SV40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、同第5,385,839号)、HSV tkプロモータ
ー、pgk(ホスホグリセリン酸キナーゼ)プロモーター、EF-1アルファプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくとも1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサー、及び/またはリボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT AgポリA付加部位)、及び転写ターミネーター配列のようなプロセシング情報部位)の1つ以上を含むことができる。例えば、Ausubel et al.,supra、Sambrook,et al.,supraを参照されたい。
【0254】
発現ベクターは、任意選択で、少なくとも1個の選択可能なマーカーを含む。かかるマーカーは、例えば、メトトレキサート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ミコフェノール酸、またはグルタミン合成酵素(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、及び同第5,827,739号)、真核細胞培養物に対する耐性、ならびにE.coli及び他の細菌または原核生物において培養するためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子を含むが、これらに限定されない。適切な培養培地及び上に記載される宿主細胞のための条件は、当技術分野で既知である。好適なベクターは、当業者には容易に明らかであろう。宿主細胞へのベクター構築物の導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE-デキストラン媒介性トランスフェクション、カチオン性脂質媒介性トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染または他の既知の方法によってなされ得る。かかる方法は、Sambrook,上記、Ausubel,上記のような、当該分野に記載される。
【0255】
核酸インサートは、適切なプロモーターに動作可能に連結すべきである。発現構築物は、翻訳のための転写領域、リボソーム結合部位において転写開始、終止のための部位をさらに含有するであろう。構築物により発現される成熟転写物のコーディング部分は、先頭で開始する翻訳と、UAA及びUAGが哺乳類または真核細胞発現のために好ましい、翻訳されるmRNAの末端で適切に位置する終止コドン(例えば、UAA、UGAまたはUAG)を好ましくは含むであろう。
【0256】
核酸インサートは、任意選択で、コイルドコイル配列及び/またはMMP切断配列の、例えば、1個以上の重鎖及び/または軽鎖配列のN末端でのインフレームである。代替的には、コイルドコイル配列及び/またはMMP切断配列は、例えば、ジスルフィド結合などを介して、抗体またはその抗原結合断片に翻訳後付加され得る。
【0257】
真核宿主細胞が採用される際に、ポリアデニル化または転写ターミネーター配列は、典型的にはベクターに組み込まれる。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニル化配列である。転写物の正確なスプライシングのための配列も含まれ得る。スプライシング配列の例は、SV40からのVP1イントロンである(Sprague,et al.(1983)J.Virol.45:773-781)。追加的に、宿主細胞において複製を制御するための遺伝子配列は、当技術分野で既知のように、ベクターに組み込まれ得る。
【0258】
抗体単離及び精製
本明細書に記載される抗CD47抗体またはマスクされた抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーを含むが、これらに限定されない周知の方法によって組換え
細胞培養物から回収及び精製され得る。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)も精製のために使用され得る。例えば、Colligan,Current Protocols in Immunology、またはCurrent Protocols in
Protein Science,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,(1997-2001)を参照されたい。
【0259】
本明細書に記載される抗体及びマスクされた抗体は、精製産物、化学的合成手順の産物、ならびに、例えば、酵母、高等植物、昆虫及び哺乳動物細胞を含む、真核生物宿主から組換え技術により産生された産物を含むことができる。組換え産生手順において採用される宿主に依存して、本発明の抗体またはマスクされた抗体は、グリコシル化され得るか、または非グリコシル化され得、グリコシル化が好ましい。かかる方法は、Sambrook,上記、Ausubel,上記、Colligan,Protein Science,上記のような、多くの標準実験室マニュアルに記載される。
【0260】
核酸分子
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNAもしくは任意の他の形態のようなRNAの形態、あるいはクローニングか、もしくは合成的に産生されるか、またはそれらの組み合わせによって得られるcDNA及びゲノムDNAを含むがこれらに限定されないDNAの形態またはそれらの任意の組み合わせであり得る。DNAは、3本鎖、2本鎖、もしくは1本鎖、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。DNAまたはRNAの少なくとも1個の鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られるコード鎖であり得るか、またはそれは、アンチセンス鎖としても称される非コード鎖であり得る。
【0261】
本発明の単離された核酸分子は、少なくとも1個の重鎖または軽鎖のCDR1、CDR2、及び/またはCDR3としての少なくとも1つのCDRの少なくとも1個の明記された部分で、例えば、これらに限定されないが、任意選択で、1個以上のイントロンを有するオープンリーディングフレーム(ORF)を含む核酸分子と、抗CD47抗体もしくはマスクされた抗体に対するコード配列、または抗CD47抗体もしくはマスクされた抗体可変領域を含む核酸分子と、上に記載されたものとは実質的に異なるヌクレオチド配列を含むが、汎用コードの縮重により、本明細書に記載される及び/または当該分野で既知の少なくとも1個の抗CD47抗体またはマスクされた抗体をコードする核酸分子と、を含むことができる。汎用コードが当該分野で周知であると仮定した場合、本発明の抗CD47抗体またはマスクされた抗体についてコードするかかる縮重した核酸変異型を生成することは、当業者にとって決まった手順である。
【0262】
本明細書に示されるように、抗CD47抗体分子をコードする核酸を含む本発明の核酸分子は、それ自体で抗体断片のアミノ酸配列をコードするものと、抗体全体またはその部分に対するコード配列と、スプライシング及びポリアデニル化シグナルを含む(例えば、リボソーム結合及びmRNAの安定性)、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果たす転写され、翻訳されない配列のような、非コード5’及び3’配列を含むがこれらに限定されない追加的な、非コード配列とともに少なくとも1個のイントロンのような、マスキング薬剤(例えば、コイルドコイルマスキング薬剤)及び/またはMMP切断配列の一方または両方のような、または前述の追加的なコード配列の有無にかかわらず、少なくとも1個のシグナルリーダーもしくは融合ペプチドのコード配列のような、追加的な配列と同様の、抗体、断片または部分に対するコード配列、追加的な機能性を提供するもののような、追加的なアミノ酸についてコードする追加的なコード配列と、を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗体をコードする配列は、抗体断片または部分を含む融合した抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列のようなマーカー配列に融合され得る。
【0263】
核酸の構築
本発明の単離された核酸は、(a)組換え法、(b)合成技法、(c)精製技法、またはそれらの組み合わせを使用して作製され得る。核酸は、本発明のポリヌクレオチドに加えて配列を簡便に含むことができる。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニング部位は、ポリヌクレオチドの単離を補助するために核酸に挿入され得る。また、翻訳可能な配列は、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離を補助するために挿入され得る。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を生成するための簡便な手段を提供する。本発明の核酸-コード配列を除く-は、任意選択で、本発明のポリヌクレオチドのクローニング及び/または発現のためのベクター、アダプター、またはリンカーである。追加的な配列は、クローニング及び/または発現におけるそれらの機能を最適化するため、ポリヌクレオチドの単離を補助するため、またはポリヌクレオチドの細胞への導入を改善するためにかかるクローニング及び/または発現配列に付加され得る。クローニングベクター、発現ベクター、アダプター及びリンカーの使用は、当該分野で周知である。(例えば、Ausubel,supra、またはSambrook,supra)
【0264】
RNA、cDNA、ゲノムDNA、またはそれらの任意の組み合わせのような、本発明の単離された核酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法論を使用して、生物学的供給源から得られることができる。いくつかの実施形態では、ストリンジェントな条件下で本発明のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、cDNAまたはゲノムDNAライブラリーにおける所望の配列を特定するために使用される。RNAの単離、ならびにcDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者に周知である。(例えば、Ausubel,supra、またはSambrook,supra。)
【0265】
III.治療用途
本発明は、CD47を発現する細胞、例えば、がんに関連する障害を治療する方法を提供する。細胞は、目的の障害に関連しない細胞に対して上昇したレベルのCD47を発現してもしなくてもよい。結果として、本発明は、本明細書に記載される抗CD47抗体またはマスクされた抗体を使用して、対象、例えば、がんを有する対象を治療する方法を提供する。方法は、有効量の抗CD47抗体またはマスクされた抗体または抗CD47抗体もしくはマスクされた抗体を含む組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む。
【0266】
本明細書で使用される場合、用語「対象」及び「患者」は、本発明の方法によって治療される生物を指す。かかる生物は、好ましくは哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含み、より好ましくはヒトを含むがこれらに限定されない。本明細書で使用される場合、用語「治療する」、「治療」及び「治療すること」は、任意の作用、例えば、状態、疾患、障害などの改善を生じる、軽減すること、低下させること、調節すること、緩和することまたは排除すること、あるいは、例えば、がん細胞数の低下、腫瘍サイズの低下、がん細胞浸潤の末梢器官への速度の低下、または腫瘍転移もしくは腫瘍成長の速度の低下のような、その症状を緩和することを含む。
【0267】
がんにおける正の治療的作用は、いくつもの方法において測定され得る(W.A.Weber,J.Null.Med.50:1S-10S(2009)、Eisenhauer et al.,supraを参照されたい)。いくつかの好ましい実施形態では、抗CD47抗体またはマスクされた抗体への応答は、RECIST 1.1基準を使用して評価される。いくつかの実施形態では、治療有効量によって達成される治療は、部分寛解(PR)、完全寛解(CR)、無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、奏効(OR)または全生存期間(OS)のいずれかである。原発性または二次肝癌患者を治療するのに有効である本明細書に記載される療法の投薬レジメンは、患者の病状、年齢、
及び体重、ならびに対象において抗ガン応答を誘発する療法の能力のような因子に従って異なり得る。本発明の治療方法、医薬及び使用の実施形態があらゆる対象において正の治療効果を達成するのに有効であることはあり得ないが、それは、Studentのt検定、カイ2乗検定、Mann及びWhitneyによるU検定、Kruskal-Wallis検定(H検定)、Jonckheere-Terpstra検定ならびにWilcoxon検定のような当該分野で既知の任意の統計学的検定によって決定されるような統計学的に有意な数の対象においてはそうなるはずである。
【0268】
本明細書で使用される「RECIST 1.1 Response Criteria」は、標的病変または非標的病変についてEisenhauer et al.,E.A.et al.,Eur.J Cancer 45:228-247(2009)に示された定義を意味し、適宜、応答が測定される文脈に基づく。
【0269】
「腫瘍」は、それが原発性もしくは二次肝癌と診断されたか、または原発性もしくは二次肝癌を有することが疑われた対象に適用される場合、任意のサイズの悪性新生物または潜在的悪性新生物または組織塊を指す。固形腫瘍は、嚢胞または液状領域を通常含有しない組織の異常な成長または塊である。異なる型の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の型について名付けられる。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫、及びリンパ腫である。白血病(血液のがん)は、一般に、固形腫瘍を形成しない(National Cancer Institute,Dictionary of Cancer Terms)。非限定的な例示的な肉腫は、軟部組織肉腫及び骨肉腫を含む。
【0270】
「腫瘍負荷」とも呼ばれる「腫瘍量」は、身体全体に分布した腫瘍物質の総量を指す。腫瘍量は、リンパ節及び骨髄を含む全身のがん細胞の総数または腫瘍(複数可)の総サイズを指す。腫瘍量は、例えば、ノギスを使用して、例えば、対象からの除去時に腫瘍(複数可)の寸法を測定することにより、または体内において、画像化技法、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴画像(MRI)スキャンを使用するような、当該分野で既知の様々な方法によって決定され得る。
【0271】
用語「腫瘍サイズ」は、腫瘍の長さ及び幅として測定され得る腫瘍の総サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、ノギスを使用して、例えば、対象からの除去時に腫瘍(複数可)の寸法を測定することにより、または体内において、画像化技法、例えば、骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用するような、当該分野で既知の様々な方法によって決定され得る。
【0272】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な化合物(例えば、抗CD47抗体またはマスクされた抗体)の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用、または投薬において投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されることを意図されない。一般に、有効成分の治療有効量は、0.1mg/kg~100mg/kg、例えば、1mg/kg~100mg/kg、1mg/kg~10mg/kgの範囲である。投与される投薬は、特定の薬剤の薬力学的特徴ならびにその様式及び投与経路、レシピエントの年齢、健康及び体重、治療される疾患または徴候の型及び程度、症状の性質及び程度、同時治療の種類、治療の頻度、ならびに所望の効果のような、既知の因子に依存して変動し得る。初期投薬は、所望の血液レベルまたは組織レベルを急速に達成するために、上位レベルを超えて増加され得る。代替的には、初期投薬は最適値より小さくなり得、毎日の投薬は治療の過程中に次第に増加され得る。ヒト投薬は、例えば、0.5mg/kg~20mg/kgで実行するように設計された従来の第I相用量漸増研究において、最適化され得る。投与頻度は、投与経路、投薬量、抗体の血清半減期、及び治療される疾患のような因子に依存して、変動し得る。例示的な投薬頻度は、1日1回、1週間に1回及び2週間ごとに1回である。モノクローナル抗体ベースの薬物の製
剤は、当業者の範囲内である。いくつかの実施形態では、モノクローナル抗体は、凍結乾燥され、次いで、投与時に、緩衝生理食塩水中で再構成される。
【0273】
ある特定の例示的な実施形態では、本発明は、細胞、組織、器官、動物または患者におけるがんを治療するための方法を提供する。特定の実施形態では、本発明は、ヒトにおける固形癌を治療するための方法を提供する。例示的ながんは、がんを有する細胞においてCD47発現を保有するものである(すなわち、「CD47発現癌」)。がんの例は、固形腫瘍、軟部組織腫瘍、固形腫瘍を生じさせる造血器腫瘍、及び転移性病変を含むが、これらに限定されない。固形腫瘍を生じさせる可能性を有する造血器腫瘍の例は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、リンパ腫、ホジキン病、悪性リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、リヒター症候群(Richter’s Syndrome)(リヒター症候群(Richter’s Transformation))などを含むが、これらに限定されない。固形腫瘍の例は、悪性腫瘍、例えば、肉腫(軟部組織肉腫及び骨肉腫を含む)、腺癌、ならびに頭頸部(咽頭を含む)、甲状腺、肺(小細胞または非小細胞肺癌(NSCLC))、乳房、リンパ系、消化管(例えば、口腔、食道、胃、肝臓、膵臓、小腸、結腸及び直腸、肛門管)、性器及び泌尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱、卵巣、子宮、子宮頸部、子宮内膜、前立腺、精巣)、中枢神経系(例えば、神経またはグリア細胞、例えば、神経芽細胞腫または神経膠腫)、皮膚(例えば、黒色腫)などのような、様々な器官系の癌腫を含むが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、固形腫瘍は、NMDA受容体陽性奇形腫である。他の実施形態では、がんは、乳癌、結腸癌、膵臓癌(例えば、膵神経内分泌腫瘍(PNET)または膵管腺癌(PDAC))、胃癌、子宮癌、及び卵巣癌から選択される。
【0274】
ある特定の実施形態では、がんは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病(HCL)、T細胞前リンパ球性白血病(T-PLL)、大顆粒リンパ球性白血病、成人T細胞白血病、及び急性単球性白血病(AMoL)のような白血病から選択されるが、これらに限定されない。
【0275】
一実施形態では、がんは、腹水に関連する固形腫瘍である。腹水は、多くの型のがんの症状であり、進行性肝疾患のような、幾つもの状態によっても引き起こされ得る。腹水の原因となる可能性のあるがんの型は、乳房、肺、大腸(結腸)、胃、膵臓、卵巣、子宮(子宮内膜)などの癌を含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、腹水に関連した固形腫瘍は、乳癌、結腸癌、膵臓癌、胃癌、子宮癌、及び卵巣癌から選択される。いくつかの実施形態では、がんは、胸水、例えば、肺癌と関連する。
【0276】
固形腫瘍を引き起こす追加の血液癌は、非ホジキンリンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、末梢T細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫)、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫(±絨毛リンパ球)、形質細胞骨髄腫/形質細胞腫、MALT型の節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫(±単球様B細胞)、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫、T成人T細胞リンパ腫(HTLV 1陽性)、節外性NK/T細胞リンパ腫、鼻型、腸管症型T細胞リンパ腫、肝脾γ-δT細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫、菌状息肉症/セザリー症候群、未分化大細胞リンパ腫、T/ヌル細胞、皮膚原発型、未分化大細胞リンパ腫、T/ヌル細胞、全身原発型、末梢T細胞リンパ腫、他に特徴付けられない型、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、真性多血症または骨髄線維症、皮膚T細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、辺縁帯リンパ腫、CNSリンパ腫、免疫芽球性大細胞リン
パ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫などを含むが、これらに限定されない。
【0277】
特定の実施形態では、がんは、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、肺癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び/または乳癌である。
【0278】
本明細書に記載される抗CD47抗体及びマスクされた抗体は、がんに関連する障害、例えば、がん誘導性脳症を治療するために使用され得る。
【0279】
本発明の方法及び組成物は、他の治療薬及び/またはモダリティと組み合わされて使用され得る。本明細書で使用される「組み合わせて」投与されるという用語は、患者に対する治療の効果がある時点で重複するように、2つ(以上)の異なる治療が障害に伴う対象の苦痛の経過中に対象に送達されることを意味するように理解される。ある特定の実施形態では、第2のものの送達が始まる際に、投与の観点で重複があるように、1つの治療の送達はまだ生じている。このことは、本明細書で「同時」または「同時送達」と称される場合がある。他の実施形態では、他の治療の送達が始まる前に、一方の治療の送達が終了する。いずれの場合のいくつかの実施形態では、治療は、併用投与のためより効果的である。例えば、第2の治療はより効果的であり、例えば、同等の効果が少量の第2の治療と共に見られるか、または第2の治療は第2の治療が第1の治療がなく投与される場合に見られるであろうよりも大きな程度症状を低下させるか、または類似の状況が第1の治療と共に見られる。いくつかの実施形態では、送達は、症状または障害に関連する他のパラメータの低下が一方の治療が他方がなく送達される際に観察されるであろうものよりも大きいようになされる。2つの治療の効果は、部分的に相加的、全体的に相加的、または相加的よりも大きく(すなわち、相乗的応答)であり得る。送達は、送達された第1の治療の効果が第2のものが送達される際にまだ検出可能であるようになされ得る。
【0280】
一実施形態では、本発明の方法は、本明細書に記載されるような抗CD47抗体またはマスクされた抗体、例えば、組成物または調製物を、1つ以上の追加的な療法、例えば、手術、放射線療法、または別の治療用調製物の投与と組み合わせて対象に投与することを含む。一実施形態では、追加的な療法は、化学療法、例えば、細胞傷害性薬剤を含むことができる。一実施形態では、追加的な療法は、標的療法、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、プロテアソーム阻害剤、またはプロテアーゼ阻害剤を含むことができる。一実施形態では、追加的な療法は、抗炎症、抗血管新生、抗線維、または抗増殖化合物、例えば、ステロイド、免疫チェックポイント分子の阻害剤としての生物学的免疫調節、モノクローナル抗体、抗体断片、アプタマー、siRNA、アンチセンス分子、融合タンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、気管支拡張薬、スタチン、抗炎症薬剤(例えば、メトトレキサート)、またはNSAIDを含むことができる。別の実施形態では、追加的な療法は、異なるクラスの治療法を組み合わせることを含むことができた。抗CD47抗体またはマスクされた抗体調製物及び追加的な療法は、同時にまたは順次投与され得る。
【0281】
本明細書で使用される「免疫チェックポイント分子」は、シグナルを大きくする(刺激性分子)またはシグナルを小さくする(阻害性分子)のいずれかである、免疫系における分子を指す。多くのがんは、T細胞シグナル伝達を阻害することによって免疫系を回避する。
【0282】
例示的な免疫チェックポイント分子は、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有する
T細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、TGFR、アデノシン2A受容体(A2AR)、B7-H3(CD276としても知られる)、B7-H4(VTCN1とも呼ばれる)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、2B4、キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)などを含むが、これらに限定されない。
【0283】
本明細書で使用される「免疫チェックポイント阻害剤」は、1個以上の阻害性チェックポイント分子を阻害及び/または遮断する分子(例えば、小分子、モノクローナル抗体、抗体断片など)を指す。
【0284】
例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、以下のモノクローナル抗体、ペンブロリズマブ(Keytruda,Merck)及びニボルマブ(Opdivo,Bristol-Myers Squibb)のようなPD-1阻害剤、アテゾリズマブ(Tecentriq,Genentech)、アベルマブ(Bavencio,Pfizer)、デュルバルマブ(Imfinzi,AstraZeneca)のようなPD-L1阻害剤、及びイピリムマブ(Yervoy,Bristol-Myers Squibb)のようなCTLA-1阻害剤を含むが、これらに限定されない。
【0285】
例示的な細胞傷害性薬剤は、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、タンパク質合成及び分解阻害剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、白金製剤、核酸合成の阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDAC阻害剤、例えば、ボリノスタット(SAHA,MK0683))、エンチノスタット(MS-275)、パノビノスタット(LBH589)、トリコスタチンA(TSA)、モセチノスタット(MGCD0103)、ベリノスタット(PXD101)、ロミデプシン(FK228、デプシペプチド))、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、ナイトロジェンマスタード、ニトロソウレア、エチレンイミン、アルキルスルホネート、トリアゼン、葉酸類似体、ヌクレオシド類似体、リボヌクレオチドレダクターゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、タキサン、エポチロン、挿入剤、シグナル伝達経路を妨害できる薬剤、アポトーシスと放射線を促進する薬剤、または表面タンパク質に結合して毒性薬剤を送達する抗体分子複合体を含む。一実施形態では、本明細書に記載される調製物と共に投与され得る細胞傷害性薬剤は、白金ベースの薬剤(シスプラチンのような)、シクロホスファミド、ダカルバジン、メトトレキサート、フルオロウラシル、ゲムシタビン、カペシタビン、ヒドロキシ、トポテカン、イリノテカン、アザシチジン、ボリノスタット、イクサベピロン、ボルテゾミブ、タキサン(例えば、パクリタキセルもしくはドセタキセル)、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、コルヒチン、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシンもしくはエピルビシン)ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、アドリアマイシン、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシン、リシン、またはメイタンシノイドである。
【0286】
本発明の方法及び組成物は、CD47陽性癌を有する対象の治療に使用され得る。一実施形態では、CD47陽性癌は、1個以上のマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を発現する。例示的なMMPは、MMP1~MMP28を含むが、これらに限定されない。特に例示的なMMPは、MMP2及びMMP9を含む。一実施形態では、CD47陽性癌は、浸潤マクロファージが存在する腫瘍である。
【0287】
本発明の方法及び組成物は、1個以上のMMPを発現し浸潤マクロファージを含有するCD47陽性癌を有する対象の治療に使用され得る。
【0288】
CD47陽性癌の存在、MMP発現、及び腫瘍浸潤マクロファージの存在を決定する方法は当該分野で既知である。
【0289】
対象におけるCD47陽性癌の評価は、免疫組織化学(IHC)、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、またはRNA配列決定法を含む従来の方法によって決定され得る。IHC、ウェスタンブロット、及びフローサイトメトリーは、本明細書に開示される抗CD47抗体と同様に、当該分野で既知の任意の抗CD47抗体を用いて分析され得る。
【0290】
組織におけるマクロファージの浸潤の評価は、免疫組織化学(IHC)、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、またはRNA配列決定法を含む従来の方法によるF4/80マウスマクロファージまたはCD163、CD68、またはCD11bを含む、マクロファージの表面マーカーを監視することによって行われ得る。
【0291】
組織におけるプロテアーゼの評価は、タンパク質分解活性を検出することができるものと同様に、プロテアーゼ活性を監視するものとの両方を含む、様々な技法を使用して監視され得る。プロテアーゼの不活性及び活性形態の両方を含むことができる、組織におけるプロテアーゼの存在を検出することができる従来の方法は、IHC、RNA配列決定、ウェスタンブロット、またはELISAベースの方法を含む。追加的な技法は、組織におけるプロテアーゼ活性を検出するために使用され得、ザイモグラフィー、蛍光顕微鏡によるインサイツザイモグラフィー、または蛍光タンパク質分解基質の使用を含む。加えて、蛍光タンパク質分解基質の使用は、特定のプロテアーゼの免疫捕捉と組み合わされ得る。追加的に、プロテアーゼの活性部位に対して指向された抗体は、IHC、蛍光顕微鏡、ウェスタンブロット法、ELISA、またはフローサイトメトリーを含む様々な技法によって使用され得る(Sela-Passwell et al.Nature Medicine.18:143-147.2012、LeBeau et al.Cancer Research.75:1225-1235.2015、Sun et al.Biochemistry.42:892-900.2003、Shiryaev et al.2:e80.2013を参照されたい。)
【0292】
説明を通して、組成物及びキットが特定の構成要素を有する、含む(including)、もしくは含む(comprising)と説明されるか、またはプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む(including)、もしくは含む(comprising)と記載される場合、追加的に、列記される構成要素から本質的になるか、もしくはそれからなる本発明の組成物及びキットが存在することと、列記される加工及び方法ステップから本質的になるか、もしくはそれらからなる本発明に従うプロセス及び方法が存在することと、が企図される。
【0293】
IV.薬学的組成物及び製剤
治療的使用のために、抗CD47抗体またはマスクされた抗体は、好ましくは、薬学的に許容される担体と組み合わされる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触する使用に好適であり、妥当な利益/リスク比に見合う緩衝液、担体、及び賦形剤を意味する。担体(複数可)は、製剤の他の成分と適合し、かつレシピエントに有害でないという意味において「許容可能」であるべきである。薬学的に許容される担体は、医薬品の投与と適合する、緩衝液、溶媒、分散媒、コーティング、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的活性物質のためのこのような培体及び薬剤の使用は、当該分野において既知である。
【0294】
したがって、本発明の抗CD47抗体またはマスクされた抗体組成物は、これらに限定
されないが、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどのような任意の好適な賦形剤のうちの少なくとも1つを含むことができる。薬学的に許容される賦形剤が、好ましい。かかる滅菌溶液を調整する非限定的な例及び方法は、これらに限定されないが、Gennaro,Ed.,Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(Easton,Pa.)1990に記載されるもののように、当該分野で周知である。当該分野で周知の、または本明細書に記載されるような投与の様式、抗体分子の可溶性及び/安定性、変異型組成物の断片に好適な、薬学的に許容される担体は、決まった手順で選択され得る。
【0295】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、炭水化物(例えば、単糖、ジ-、トリ-、テトラ-、及びオリゴ糖を含む糖、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などのような誘導体化糖、ならびに多糖または糖ポリマー)を含むが、これらに限定されず、単一または組み合わされて存在し、単独または組み合わされて1~99.99%重量または体積を含み得る。例示的なタンパク質賦形剤は、ヒト血清アルブミン(HSA)、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどのような血清アルブミンを含む。緩衝能力においても機能することができる代表的なアミノ酸/抗体分子構成要素は、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどを含む。
【0296】
本発明における使用に好適な炭水化物賦形剤は、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどのような単糖、ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどのような二糖、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどのような多糖及び、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのようなアルジトールを含む。本発明における使用のために好ましい炭水化物賦形剤は、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0297】
抗体分子組成物は緩衝液またはpH調整剤を含むこともでき、典型的には、緩衝液は有機酸または塩基から調製される塩である。代表的な緩衝液は、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、またはフタル酸の塩のような有機酸塩、トリス、塩酸トロメタミン、またはリン酸緩衝液を含む。
【0298】
追加的に、本発明の抗体分子組成物は、ポリビニルピロリドンのようなポリマー賦形剤/添加剤、フィコール(ポリマー糖)、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンのような、シクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香味剤、抗菌剤、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN(登録商標) 20」及びTWEEN(登録商標) 80」のようなポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、ならびにキレート剤(例えば、EDTA)を含むことができる。
【0299】
本発明に従う抗体分子組成物における使用に好適なこれらの及び追加的な既知の薬学的賦形剤及び/添加剤は、“Remington:The Science & Practice of Pharmacy,”19th ed.,Williams & Williams,(1995)において、及び“Physician’s Desk Reference,”52nd ed.,Medical Economics,Montvale,N.J.(1998)において列挙されるように、当該分野で既知である。好ましい担体または賦形剤物質は、炭水化物(例えば、糖類及びアルジトール)ならびに緩衝液(例えば、クエン酸塩)またはポリマー剤である。
【0300】
本発明は、薬学的に許容される製剤において少なくとも1個の抗CD47抗体分子を含む、安定的な組成物を提供する。保存された製剤は、少なくとも1つの既知の保存剤を含有する。任意選択で、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール、または水性希釈剤におけるそれらの混合物から選択される。任意の好適な濃度または混合物は、0.001~5%、または、これらに限定されないが、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、またはその中の任意の範囲もしくは値のような、またはその中の任意の範囲もしくは値のような、当該分野で既知のように使用され得る。非限定的な例は、保存剤なし、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、または1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1、1.5、1.9、2.0、または2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005または0.01%)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、または1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(類)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、または1.0%)などを含む。
【0301】
本明細書に開示される抗CD47抗体またはマスクされた抗体を含有する薬学的組成物は、投薬単位形態で提示され得、任意の好適な方法によって調製され得る。薬学的組成物は、その意図される投与経路に適合するように製剤化されるべきである。投与経路の例は、静脈内(IV)、皮内、吸入、経皮、局所、経粘膜、及び直腸投与である。モノクローナル抗体についての好ましい投与経路は、IV注入である。有用な製剤は、薬学分野で既知の方法によって調製され得る。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)supraを参照されたい。非経口投与に好適な製剤構成要素は、注入用水、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒のような滅菌希釈剤、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗菌剤、アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤、EDTAのようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩のような緩衝液、ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースのような等張性の調節のための薬剤を含む。
【0302】
静脈内投与のために、好適な担体は、生理学的生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。担体は、製造及び保管の条件下で安定的であるべきで、微生物に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール)を含有する、溶媒または分散媒、ならびにその好適な混合物であり得る。
【0303】
薬学的製剤は、好ましくは滅菌である。滅菌は、任意の好適な方法、例えば、滅菌濾過膜を通じた濾過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、フィルタ滅菌は、
凍結乾燥及び再構成の前または後に行われ得る。
【0304】
本発明の組成物は、様々な形態にあり得る。これらは、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)、分散または懸濁液、ならびにリポソームのような、液体、半固形及び固形剤形を含む。好ましい形態は、投与及び治療用途の意図される様式に依存する。典型的な好ましい組成物は、注射可能または注入可能な溶液の形態にある。好ましい投与の様式は非経口(例えば、静脈内、皮下、眼内、腹腔内、筋肉内)である。好ましい実施形態では、調製物は、静脈内注入または注射によって投与される。別の好ましい実施形態では、調製物は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0305】
本明細書で使用される語句「非経口投与」及び「非経口で投与された」は、通常、注射による、経腸及び局所投与以外の投与の様式を意味し、限定することなく、静脈内、筋肉内、皮下、動脈内、髄腔内、包内、眼窩内、硝子体内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、吸入された、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外及び胸骨内注射及び注入を含む。
【0306】
本発明は、包装材料と、任意選択で、水性希釈剤中にある、処方された緩衝液及び/または保存剤を有する少なくとも1個の抗CD47抗体またはマスクされた抗体の溶液を含む少なくとも1個のバイアルと、を含むキットを提供する。水性希釈剤は、任意選択で、薬学的に許容される保存剤をさらに含む。保存剤は、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及びチメロサール、またはそれらの混合物から選択されるものを含む。製剤において使用される保存剤の濃度は、抗微生物作用を得るのに十分な濃度である。かかる濃度は、選択された保存剤に依存し、当業者により容易に決定される。
【0307】
他の賦形剤、例えば等張剤、緩衝液、酸化防止剤、保存剤エンハンサーは、任意選択で、かつ好ましくは、希釈剤に添加され得る。グリセリンのような等張剤は、一般に既知の濃度で使用される。生理学的に許容される緩衝液は、好ましくは、改善されたpH制御を提供するために添加される。製剤は、約pH4.0~約pH10.0、約pH5.0~約pH9.0、または約pH6.0~約pH8.0のような、広い範囲のpHを網羅することができる。
【0308】
TWEEN(登録商標) 20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、TWEEN(登録商標) 40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、TWEEN(登録商標) 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Pluronic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及びPEG(ポリエチレングリコール)のような薬学的に許容される可溶化剤あるいはポリソルベート20もしくは80またはポロキサマー184もしくは188、Pluronic(登録商標)polyls、他のブロックコポリマーのような非イオン性界面活性剤、EDTA及びEGTAのようなキレート剤は、任意選択で、凝集を低下させるために製剤または組成物に添加され得る。これらの添加剤は、ポンプまたはプラスチック容器が製剤を投与するために使用される場合に、特に有用である。薬学的に許容される界面活性剤の存在は、タンパク質の凝集する傾向を和らげる。
【0309】
様々な送達系は、抗CD47抗体またはマスクされた抗体を対象に投与するために使用され得る。ある特定の例示的な実施形態では、抗CD47抗体またはマスクされた抗体の投与は、静脈内注入による。いくつかの実施形態では、投与は、2時間の静脈内注入による。
【0310】
上に記載される製剤のいずれかは、液体または凍結形態で保存され得、任意選択で、保存プロセスに供され得る。いくつかの実施形態では、上に記載される製剤は凍結乾燥され、すなわち、それらは凍結乾燥に供される。いくつかの実施形態では、上に記載される製剤は、保存プロセス、例えば、凍結乾燥に供され、その後、好適な液体、例えば、水で再構成される。凍結乾燥されること(lyophilized)とは、組成物が真空下で凍結乾燥(freeze-dried)されていることを意味する。凍結乾燥は、典型的には、溶質が溶媒(複数可)から分離されるように、特定の製剤を凍結することによって達成される。次いで、溶媒は、昇華(すなわち、一次乾燥)により、そして次に脱着(すなわち、二次乾燥)によって除去される。
【0311】
本発明の製剤は、本明細書に記載される方法を用いて、または疾患を治療するための他の方法を用いて使用され得る。抗CD47抗体またはマスクされた抗体製剤は、対象への投与前にさらに希釈され得る。いくつかの実施形態では、製剤は、生理食塩水で希釈され、対象への投与前に、IVバッグまたはシリンジ内に保持される。したがって、いくつかの実施形態では、対象におけるCD47発現癌を治療するための方法は、それを必要とする対象に抗CD47抗体またはマスクされた抗体を含む薬学的組成物の毎週の用量を投与することを含むであろう。
【0312】
本明細書に記載される方法の他の好適な改変及び適応は、本明細書に開示される実施形態の範囲から逸脱することなく好適な均等物を使用してなされ得ることは、当業者には容易に明らかであろう。ここで詳細にある特定の実施形態を説明したが、同じことは、例示の目的のみのために含まれ限定することが意図されない以下の実施例への参照によってより明確に理解されるであろう。本明細書に記載される全ての特許、特許出願、及び参照文献は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例0313】
実施例1:抗体生成
マウスB6H12抗CD47抗体のヒト化変異型を生成した。DNA及びベクター生成について、非テンプレートPCRを使用して抗体可変ドメイン配列を合成した。要するに、仮想遺伝子配列は、ATUMの商標のソフトウェアスイートを使用してオリゴヌクレオチド配列に変換される。オリゴヌクレオチドは、合成され、プールされ、PCRを使用して増幅される。PCR反応からの完全長アンプリコンは、SapI部位を使用してベクターにクローン化され、E.coliに形質転換され、特有のコロニーは単離される。コロニーは液体培地中で一晩成長し、プラスミドDNAは単離され、精製され(Machery-Nagel Midi Prep Kit)、配列はSanger配列決定を使用して検証される。軽鎖可変ドメインはKappa-Hsベクターにクローン化され、重鎖ドメインはIgG1.01-Fc-Hsベクターにクローン化される。抗体発現について、1:1比率の抗体重鎖及び軽鎖ベクターは、PolyPlus FectoProトランスフェクション試薬を含むLifeTech Optimem培地中に希釈される。次いで、DNA/トランスフェクション試薬は、LifeTech ExpiExpression培地においてAtum特異的HEK293細胞に添加され、5日間培養される。培養物は、遠心分離及び0.2um濾過により収集される。抗体精製について、GE mAb select sureを、IgGの精製に使用する。溶出前に、樹脂は、PBS中の10CVの1MのNaCl、及びPBSの10CVで洗浄される。IgGは、20mMのクエン酸ナトリウム、pH3.2緩衝液を使用して溶出される。試料は、Pierce
Zebaカラムを使用してPBSに緩衝液交換される。次いで、試料は、試料が特徴付けのために採取される前にフィルタ滅菌される。特徴付けは、A280 concentrationと、p200 Tapescreensを有するAgilent P200
Tape Station 2200を使用する還元及び非還元電気泳動と、を含む。
【0314】
親B6H12抗体の特異的変異は、以下に示されるように表10~13に記載される。表10.hB6H12重鎖変異型におけるヒト化変異
【表10】
表11.hB6H12カッパ軽鎖変異型におけるヒト化変異
【表11-1】
【表11-2】
表12.hB6H12重鎖変異型における特異的マウスフレームワーク変異
【表12】
マウス残基。
表13.hB6H12カッパ軽鎖変異型における特異的マウスフレームワーク変異
【表13】
マウス残基。
【0315】
実施例2:ヒト化抗CD47抗体
抗体産生
抗体を、Expi HEKもしくはExpi CHO細胞の一過性トランスフェクションまたはCHO-DG44の安定的トランスフェクションを介して発現させ、MabSelect SuReカラム(GE Healthcare)を使用して精製した。Superdexカラム(GE Healthcare)を使用する追加的な調製用のサイズ排除クロマトグラフィー精製を、90%未満単量体であったマスクされた抗体について実行した。
【0316】
フローサイトメトリー及びELISAによる飽和結合
変化する重鎖及び軽鎖配列を有するヒト化抗CD47 B6H12抗体を、飽和ELISA、または細胞FACS分析のいずれかによってヒトCD47への結合親和性について評価し、EC50またはKdを計算した。重鎖1配列(hvH1)(ビンA、抗体1~4)または重鎖5配列(hvH5)(ビンB、抗体17~20)で構成される抗体のみが、CD47に結合することができた。これらのビンからの抗体は、マウス抗体mB6H12、及び、代替的には、ヒト化抗体Ab47のような同様のKd(図2A)及びEC50図2B)親和性で結合した。
【0317】
細胞FACS分析について、L450cy癌リンパ腫細胞を、CD47への結合を保持することが見出された高濃度のヒト化B6H12抗体を用いて処理し、Kd値を決定した。交互のヒト化フレームワークは、マウス親及び交互のヒト化抗体Ab47と同様の結合Kdを保持した(図2A)。
【0318】
細胞結合に加えて、CD47に対するヒト化B6H12抗体の親和性の評価を、ELISAによって決定した。ヒトCD47で被覆されたプレートを、CD47への結合を保持することが見出された高濃度のヒト化B6H12抗体を用いて処理し、EC50値を決定した。交互のヒト化フレームワークは、マウス親及び交互のヒト化抗体Ab47と同様の結合Kdを保持した(図2B)。
【0319】
ELISAアッセイにおける結合EC50を評価することに加えて、結合動態も評価した。予想外に、ビンAにおける抗体(hB6H12.3及びhB6H12.4)は、親抗体、mB6H12、ビンBにおける抗体(hB6h12.19及びhB6H12.20)、または交互のヒト化抗体、Ab47よりも顕著に高い最大結合(BMAX)を表示した(図2C)。
【0320】
フローサイトメトリーによる飽和結合
2×10の示された細胞(SW780またはヒト赤血球)を、染色緩衝液(PBS、5%FBS、0.2%NaN)中で示された抗体の連続希釈と組み合わせた。試料を、氷上で1時間インキュベートし、氷冷した染色緩衝液で2回洗浄した。細胞を、氷上で1時間、抗ヒトIgG-AF647(JacksonImmunoResearch、染色緩衝液中で1:200希釈)と共に再懸濁させた。細胞を、氷冷した染色緩衝液で2回洗
浄し、染色緩衝液に再懸濁させた。標識された細胞を、非生存細胞を除外するためにゲートされたInvitrogen Attune NxTフローサイトメーター上でのフローサイトメトリーによって検討し、FlowJo 10ソフトウェアを使用して分析した。Kを、非線形回帰を使用するGraphPad Prism 6を使用して計算した。
【0321】
ELISAによる飽和結合
可溶性組換えヒトCD47-Fc(R&D Systems)を、50mMの炭酸塩緩衝液、pH9.6中で適当な濃度に希釈した。96ウェルMaxisorb ELISAプレートの各ウェルに、100μLの可溶性抗原を添加した。プレートを、密封し、一晩4℃で保管した。次いで、プレートを、PBS-T、緩衝液(PBS、pH7.4+0.05%Tween(登録商標)-20)を用いて3~5回洗浄した。ウェルを、300μL/ウェルのBSAを含むPBS-T緩衝液を使用して室温で1時間ブロックし、次いで、PBS-Tを用いて3~5回洗浄した。抗体の希釈液を、ブロッキング緩衝液中で調製し、100μLの体積で各ウェルに添加した。抗体を、室温で1時間インキュベートし、次いで、PBS-Tを用いて3~5回洗浄した。次いで、HRP複合体化二次抗体(抗ヒトFcまたは抗ヒトカッパ軽鎖のいずれか)を、添加して、室温で1時間インキュベートした。プレートを、PBS-Tを用いて3~5回洗浄した。ELISAを、100μLのTMB溶液を添加し、室温で3~15分インキュベートすることにより展開した。反応を停止させるために、100μLの1N硫酸を、各ウェルに添加した。450nmでの吸光度をSpectramax 190プレートリーダー(Molecular Biosciences)を使用して決定し、データをGraphPad Prism 6を使用してプロットした。
【0322】
B6H12媒介性貪食
ヒトの赤血球のヒト貪食及び赤血球凝集を含む、ヒト化B6H12抗体の機能的特徴付けを、実施した。蛍光赤色PKH染料で標識されたヒト赤血球を、ビンA及びBからの高濃度のヒト化B6H12抗体を用いて30分間オプソニン化した。RBCを洗浄し、10:1比率で単球マクロファージに2時間与えた。試料を、取り込まれていない赤血球の溶解及び除去を可能にするACK低張溶解緩衝液を用いて3回洗浄した。試料をフローサイトメトリーに供し、貪食を評価した。ビンA及びBからの抗体は、ヒト赤血球の貪食を媒介する同様の能力を呈した。驚くべきことに、ビンAからの抗体hB6H12.3は、マウス親抗体より良く、代替のヒト化抗体Ab47と同等の貪食を媒介した。
【0323】
抗体ビンA及びBからのヒト化B6H12抗体は、同様に、CD47陽性ヒト赤血球の貪食を媒介する。hB6H12.3は、マウスmB6H12と比較して1μg/mlで優れた貪食促進活性を刺激し、Ab47と比較して同様の貪食促進活性を刺激した(図3A及び図3B)。
【0324】
B6H12媒介性赤血球凝集
B6H12の特筆すべき特徴は、ヒト赤血球の赤血球凝集を促進する能力である。赤血球凝集は、CD47抗体で処理される際に、2個のCD47発現細胞が凝集または凝塊することを可能にする同型相互作用の例である。凝集格子は、画像分析により、またはフローサイトメトリーにより監視されるような凝集のレベルにより視覚的に定量化され得る懸濁分布においてRBCを維持する。ヒト赤血球をPBS中に懸濁し、丸底96ウェルプレートに播種し、、高濃度の抗CD47抗体に曝露した。37℃で30分後、赤血球凝集を、RBC密度の変化により、細胞凝集の増加としてフローサイトメトリーにより光学的に監視した。特にhB6H12.3においてビンA内の抗体は、親抗体mB6H12及び代替のヒト化抗体Ab47と比較して、赤血球凝集の低下を示した(図4A)。
【0325】
血球凝集を評価するために、標準画像捕捉を実行し、分散した非沈降RBCの形成を評価した。加えて、プレートをGE In Cell分析装置を使用して走査し、ウェル内の明らかな斑点の直径を評価した。臨床モニタリングされやすいアッセイにおいて赤血球凝集を評価するために、フローサイトメトリーを使用し、凝集を監視するための方法である、見かけのRBCのSSC/FSCの全体的な増加として赤血球凝集を評価した。この方法を、ヒト化抗CD47抗体hB6H12.3及びAb47によって誘導される赤血球凝集を評価するために使用した(図4A及び図4B)。
【0326】
Fcγ受容体のB6H12媒介性活性化
インビボでは、単球、マクロファージ、好中球及び樹状細胞は、FcγRIIa、FcγRI及びFcγRIIIaを介して、ADCPを媒介することができる。3個の受容体全てがADCPに関与することができるが、FcγRIIaは、このプロセスに関与する主要なFcγ受容体であると考えられている。NFATルシフェラーゼレポーター構築物に連結されたヒトFcγRIまたは高親和性FcγRIIa-Hで安定的にトランスフェクトされたJurkat細胞を、高濃度のマウスB6H12、Ab47、またはhB6H12.3のいずれかで被覆されたWIL2S細胞に曝露した。FcγR活性化を、ルシフェラーゼ産生により監視した。結果は、図5A及び5Bに示される。Ab47及びhB6H12.3の両方で被覆された細胞用量は、FcγRI受容体を依存的に活性化したが、hB6H12.3だけは、ADCP活性を直接媒介することに最も密接に関連する受容体である、FcγRIIa-Hの活性化を促進することができた。
【0327】
抗体媒介性細胞食作用に関与するFcγ受容体の抗体媒介性活性化を、FcγRIまたはFcγRIIa-H(高親和性H131変異型)を安定的発現する操作されたJurkat細胞と、エフェクター細胞としてホタルルシフェラーゼの発現を促進するNFAT応答要素と、を使用して評価した。抗体の生物学的活性は、NFAT経路の活性化の結果として産生されたルシフェラーゼを通じて定量化され、エフェクター細胞におけるルシフェラーゼ活性は、発光読み出しを用いて定量される(図5A及び図5B)。
【0328】
NK細胞媒介性ADCC活性
NK細胞媒介性抗体依存性細胞傷害(ADCC)と、mB6H12、Ab47、及びhB6H12.3によるFcγRIIIaの活性化と、を検討した。高濃度の抗体で被覆されたクロム負荷Wils-2細胞を初代ヒトナチュラルキラー(NK)細胞に4時間曝露し、特異的溶解を組織培養培地中への放射性クロムの放出によって評価した。代替的には、高濃度のmB6H12、Ab47、またはhB6H12.3で被覆されたWils-2細胞をFcγRIIIaの高親和性V/V変異型を安定的に発現するJurkat細胞に曝露し、受容体活性をNFAT促進ルシフェラーゼ活性として評価した。hB6H12.3は、Ab47またはマウスB6H12親抗体の両方と比較して、優れたADCC及びFcγRIIIa活性化を呈した。結果は、図6A及び6Bに示される。hB6H12.3のIgG1骨格は、ADCC活性を媒介し、現在のIgG4臨床抗体には不在である機能性であるFcγRIIIシグナル伝達を促進する。
【0329】
ADCCアッセイを実行するために、Astarte Biologicsから負の選択による精製されたヒトNK細胞を、解凍し、7.2×10CD16+細胞/Mlの濃度でRPMI/1%のFBS中に再懸濁させた(70μLがおよそ5×10エフェクター細胞を含有するように)。5×10個の標的細胞(WIL2S細胞)を、採取し、遠心分離し、100μLのFBS中に再懸濁させた。100μL(およそ100μCi)のCr-51を、細胞に添加し、穏やかに混合した。細胞を、37℃のCO加湿インキュベーター中に配置して1時間標識した。細胞を、時折軽く叩いて懸濁を保った。細胞を、RPMI/1%のFBSを用いて3回洗浄し、適切な廃棄物容器に放射性上清を注意して廃棄した。次いで、細胞を、10mLのRPMI/1%のFBSに再懸濁させ、計数した
。7.2×10個の細胞を、70μLがおよそ5×10標的細胞と同等となるように、総体積の10mLのアッセイ培地に懸濁させた。
【0330】
抗体希釈及びプレートアセンブリのために、抗体を、アッセイ培地において希釈した(3倍での調製)。抗体を、Cr標識標的細胞の添加直前にプレートに添加した。対照ウェルに、70μL及び140μLのアッセイ培地を、抗体の代わりに添加した。これらのウェルは、それぞれ、合計及び自発的放出対照を表す。標的細胞を混合し、70μLを96ウェルプレートの各試験及び対照ウェルに添加した。抗体を有する標的を、37℃のインキュベーター中で30分間インキュベートした。70μL(5×10)個のエフェクター細胞を、各試験ウェルに添加した。総放出ウェルに、70μLの3%トリトンX-100を添加し、3回上下にピペットで移して混合した。プレートを、37℃、CO加湿インキュベーターに4時間戻した。
【0331】
まとめると、データは、本発明の新規のヒト化抗CD47抗体がマウス親抗体に対して優れた及び予想外の特性を保有することを実証する。ヒト化抗CD47抗体は、RBC貪食(図3B)及びFcγRIIシグナル伝達(図5B)によって実証されるように、優れた貪食/ADCP能力を表示する。ヒト化抗CD47抗体は、NK細胞媒介性細胞溶解(図6A)及びFcγRIIIシグナル伝達(図6B)によって実証されるように、優れた細胞溶解/ADCCを表示する。ヒト化抗CD47抗体は、優れたFcγRIシグナル伝達を表示する(図5A)。最後に、ヒト化抗CD47抗体は、赤血球凝集アッセイで実証されるような、低下した赤血球凝集によって実証されるように、優れた毒性プロファイルも表示する(図4A及び図4B)。ヒト化抗CD47抗体、hB6H12.3は、特に有効であることが見出された。
【0332】
抗CD47抗体の抑制因子機能
貪食活性を遮断することに加えて、SIRPαとCD47の相互作用は、SHP1の活性化及びVavのような下流シグナルの不活性化を通じて炎症性サイトカイン産生を低下させる。ヒト単球を、親及び様々なヒト化抗CD47抗体の不在または存在におけるサイトカイン産生を促進するためにLPS処理した。全てのCD47標的抗体を用いた処理は、LPS促進サイトカインを顕著に増強することができた。より良いサイトカイン産生と生得的な細胞活性化の結果の1つは、二次T細胞応答を促進する能力である。腫瘍関連マクロファージは、積極的に二次T細胞活性化を支持することができず、また抑制することができる抑制性表現型を呈することが知られている。ヒト単核細胞を、IL10及びMSCFと共に分化及び極性化させ、免疫抑制性TAM様表現型に向けてそれらを促進した。これらの分化した単球は、自己T細胞のCD3/CD28促進増殖を抑制することができる。このパラダイムにおける抗CD47処理の添加は、TAMを活性化し、よりM0/M1表現型の方へそれらを移動させることができた(CD86/MHCII増加)。例えば、図7A 7B、及び7Cを参照されたい。TAM様表現型のこの変化は、CD3/CD28媒介性T細胞増殖及び活性化を支持する能力と相関した。例えば、図7Dを参照されたい。
【0333】
IL-10を有する腫瘍様マクロファージに分化したヒト単球を利用する抑制因子アッセイを自己T細胞と共に共培養し、T細胞受容体媒介性活性化を支持する能力を評価した。CD47は、培養物に添加され、CD86及びMHCIIの上方調節によって測定されるようなマクロファージの活性化マーカーの上方調節の原因となることが見出された。加えて、TCR媒介性T細胞活性化の支持を、T細胞上のMHCIIの上方調節及びIFNγの分泌によって評価した(図7A図7D)。
【0334】
他の抗CD47抗体との比較
hB6H12.3を、他の既知のCD47抗体、5F9及びCC-9002に対して比
較した(WO2011/143624を参照されたい)。比較では、FcγRI及びFcγRII活性を、上記に記載されるのと同じNFAT-ルシフェラーゼJurkat細胞アッセイにおいて測定した。hB6H12.3は、5F9及びCC-90002 IgG4抗体に対してFcγRI及びFcγRIIを活性化する優れた能力を表示した(図8A及び図8B)。
【0335】
加えて、NK媒介性ADCC及びIFNγ分泌を、上記に記載されるように測定した。再び、hB6H12.3は、5F9及びCC-90002に対してADCCを媒介しIFNγ分泌を刺激する優れた能力を表示した(図8C及び図8D)。
【0336】
実施例3:マスクを有するヒト化抗CD47抗体
結合及び機能研究のための組換えヒトMMPを使用するマスクされた抗体の切断
組換えMMPを、1~2時間37℃で1.25mMの4-アミノフェニル水銀アセテート(APMA)と共にインキュベーションを介して全て活性化した。典型的には、1~2μgの活性化されたrhMMP2を、0.25~0.5mgのマスクされた抗体に添加し、37℃で4~16時間インキュベートした。抗体切断の程度を、PLRP-MSの3μmカラム(Agilent)を備えたWaters Acquity/Xevo UPLCを使用する逆相LC-MSを還元された抗体によって使用して評価した。データを、UNIFIソフトウェア(Waters)を使用して分析した。MMPを用いた再活性化は、意図された切断部位でマスクの部位特異的切断を生じる。マスクされた抗体の完全な再活性化の際に、切断された産物を、結合アッセイにおける使用の前にMabSelect
SuReプロテインA樹脂を使用して精製した。
【0337】
質量分析データを、MMP2再活性化されマスクされた抗体について生成した。組換えヒトMMP2での切断前(図9A)及び後(図9B)のVel-IPV-hB6H12.3についてのデコンボリューションされた軽鎖質量。無傷の軽鎖についてのm/z予想値は、28681である(観察値:28680.8)。MMP2切断された抗体(LRSG-hB6H12.3)についてのm/z予想値は、23969である(観察値:23968.4)。
【0338】
タンパク質分解後に残るであろうN末端で「スタブ」配列を有する抗CD47抗体も、Expi-HEKまたはExpi-CHO細胞のいずれかにおける一過性発現を通じて生成した。例えば、IPVS-LRSG MMP切断配列を採用するマスクされた抗体について、LRSG配列は、MMPの活性化の後に残る。
【0339】
MMPベースの切断配列のプロテアーゼ特異性の評価
MMPを、1時間及び最大24時間37℃で1.25mMの4-アミノフェニル水銀アセテート(APMA)と共にインキュベーションを介して活性化した。レグマインを、50mMの酢酸ナトリウム、100mMのNaCl、pH4.0中、37℃で2時間のインキュベートを介して活性化した。
【0340】
切断配列の切断プロファイルを評価するために、抗体(10μg)を、製造業者が報告した値によって示されるような、400pmol/minの正規化されたプロテアーゼと共に、37℃で一晩インキュベートした。抗体切断の程度を、PLRP-MSの3μmカラム(Agilent)を備えたWaters Acquity/Xevo UPLCを使用する逆相LC-MSを還元された抗体によって使用して評価した。データを、UNIFIソフトウェア(Waters)を使用して分析した。
【0341】
2つのプロテアーゼ切断部位(IPV及びM2)のプロテアーゼ切断プロファイルを、ヒト及びマウス/ラットMMP、ADAMファミリー、uPA、マトリプターゼ、ならび
にレグマインのような腫瘍関連プロテアーゼのパネルに対して試験した。追加的に、細胞外プロテアーゼtPA及び第Xa因子による配列の切断も、試験した。これら3個のプロテアーゼ切断部位でのプロテアーゼ切断プロファイルは、表14に示される。
【0342】
ペプチド(hBU12抗体骨格にN末端で融合された)を、400pmol/minの正規化されたプロテアーゼと共に一晩37℃でインキュベートし、切断について評価した。M2部位を、uPA及びマトリプターゼと同様にMMPの大半によって切断した。IPV部位を、MMP13を除くほぼ全てのMMPによって切断し、他のプロテアーゼクラスによって接触することはなかった。
表14.2つの異なるプロテアーゼ切断部位でのプロテアーゼ切断プロファイル。
【表14-1】
【表14-2】
MMP切断部位はで示されるが、uPA/マトリプターゼ/レグマイン切断部位は**で示される。いずれかの部位での切断は、抗体結合を復元するのに十分である
【0343】
マスクされた抗CD47抗体の飽和結合
抗CD47抗体のSW780ヒト膀胱癌細胞への飽和結合を、実行した。Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、予め活性化されたMMP2対照薬と共に試験した。切断されたVel-IPV抗体は、抗体N末端でレムナント-LRSG配列を保有した(図10及び表15)。
表15.飽和結合によって得られたSW780細胞への結合親和性(Kd)の決定(図10)。
【表15】
【0344】
Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、予め活性化されたMMP2対照薬と共に試験した。切断されたVel-IPV及びスタブIPV抗体は、抗体のN末端でレムナント-LRSG配列を保有した。切断された抗体をMMP2での切断を通じて生成した一方、スタブIPV抗体を組み換えて生成した(図11及び表16)。本明細書で使用される場合、「スタブ」、「スタブ抗体」または「スタブ抗原結合断片」は、MMPによる切断後の抗体または抗原結合断片または組み換えて生成された、すなわち、コイルドコイルドメインを用いず産生され、したがって、切断が実行されない、抗体もしくは抗原結合断片を指す。MMP切断は、短いアミノ酸配列レムナントを生じる。IPV切断部位について、レムナント、またはスタブ配列は、LRSGまたはSGであるべきである。M2切断部位について、レムナント、またはスタブ配列は、VRであるべきである。
表16.飽和結合によって得られたSW780細胞への結合親和性(Kd)の決定(図11)。
【表16】
【0345】
抗CD47抗体のヒト赤血球への飽和結合を実行した。Vel-IPVマスクされたhB6H12抗体を、再活性化された対照薬(スタブIPV-hB6H12.3またはMMP2切断されたVel-IPV-hB6H12.3)と共に試験した。切断されたVel-IPV及びスタブIPV抗体は、抗体のN末端でレムナント-LRSG配列を保有した。切断された抗体をMMP2を有する切断を通じて生成した一方、スタブIPV抗体を組み換えて生成した(図12及び表17)。
表17.飽和結合によって得られたヒト赤血球への結合親和性(Kd)の決定(図12)。
【表17】
【0346】
ELISAによる抗CD47抗体のrhCD47への飽和結合を、実行した。Vel-IPV-hB6H12.3は、顕著に減損した結合を表示した。結合は、rhMMP2による切断時に復元されることができた(図13及び表18)。
表18.ELISAによるrhCD47への結合親和性(Kd)の決定(図13)。
【表18】
【0347】
ELISAによる抗CD47抗体のrhCD47への飽和結合を、LCDR3においてG91A点変異を有するhB6H12.3 G91Aを用いて実行した。hB6H12.3及びhB6H12.3 G91Aの両方は、Ab47よりも高いB最大値を表示した(図14及び表19)。
表19.ELISAによるrhCD47への結合親和性(Kd)の決定(図14)。
【表19】
【0348】
抗CD47抗体のSW780ヒト膀胱癌細胞への飽和結合を、実行した。Ab47及びhB6H12.3の結合を、LCDR3においてG91A変異を有する変異型と比較した(図15及び表20)。
表20.飽和結合によって得られたSW780ヒト膀胱癌細胞への結合親和性(Kd)の決定(図15)。
【表20-1】
【表20-2】
【0349】
抗CD47抗体のヒト赤血球への飽和結合を実行した。Ab47及びhB6H12.3の結合を、LCDR3においてG91A変異を有する変異型と比較した(図16及び表21)。
表21.飽和結合によって得られた赤血球への結合親和性(Kd)の決定(図16)。
【表21】
【0350】
実施例4:インビボ実験
組織におけるマクロファージの浸潤の評価は、免疫組織化学(IHC)、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、またはRNA配列決定法を含む従来の方法によるF4/80マウスマクロファージまたはCD163、CD68、またはCD11bを含む、マクロファージの表面マーカーを監視することによって行われ得る。
【0351】
組織におけるプロテアーゼの評価は、タンパク質分解活性を検出することができるものと同様に、プロテアーゼ活性を監視するものとの両方を含む、様々な技法を使用して監視され得る。プロテアーゼの不活性及び活性形態の両方を含むことができる、組織におけるプロテアーゼの存在を検出することができる従来の方法は、IHC、RNA配列決定、ウェスタンブロット、またはELISAベースの方法を含む。追加的な技法は、組織におけるプロテアーゼ活性を検出するために使用され得、ザイモグラフィー、蛍光顕微鏡によるインサイツザイモグラフィー、または蛍光タンパク質分解基質の使用を含む。加えて、蛍光タンパク質分解基質の使用は、特定のプロテアーゼの免疫捕捉と組み合わされ得る。追加的に、プロテアーゼの活性部位に対して指向された抗体は、IHC、蛍光顕微鏡、ウェスタンブロット法、ELISA、またはフローサイトメトリーを含む様々な技法によって使用され得る(Sela-Passwell et al.Nature Medicine.18:143-147.2012、LeBeau et al.Cancer Research.75:1225-1235.2015、Sun et al.Biochemistry.42:892-900.2003、Shiryaev et al.2:e80.2013を参照されたい。)
【0352】
NSGマウスにおけるL428リンパ腫異種移植腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性を決定した。この異種移植モデルは、IHCによるマウスF4/80の頑健な染色によって証明されるように、高いマクロファージ浸潤を有する。例えば、図17Bを参照されたい。抗体を、1または10mg/kgのいずれかでq4d×4でi.p.投与した。アンマスクされた抗体Ab47及びhB6H12.3と同様に、マスクされた抗体Vel-IPV-hB6H12.3は、全て10mg/kgの用量で研究期間にわたって腫瘍体積を効果的に低下させた。1mg/kgの用量で、Vel-IPV-hB6H12.3及びアンマスクされたhB6H12.3の両方は、腫瘍成長遅延をもたらす。マスクされた抗体、Vel-IPV-hB6H12.3は、この用量でアンマスクされたhB6H12.3よりもわずかに低い活性であった。(図17A)。
【0353】
NSGマウスにおけるDetroit 562異種移植頭頸部癌モデルにおける抗CD47抗体の活性を決定した。この異種移植モデルは、IHCによるマウスF4/80の頑健な染色によって証明されるように、高いマクロファージ浸潤を有する。図18Bを参照されたい。5mg/kgでq4d×4。抗体Ab47、hB6H12.3、及びVel-IPV-hB6H12.3は、研究期間にわたって効果的に腫瘍体積を低下させた(図18A)。
【0354】
NSGマウスにおけるHT1080異種移植線維肉腫腫瘍モデル(図19A及び19B)及びHEPG2異種移植肝細胞癌モデル(図19C及び19D)における抗CD47抗体の活性を決定した。これらの異種移植モデルは、10mg/kgでのIHC.q4d×4によりマウスF4/80の限定された染色によって証明されるように、低いマクロファージ浸潤を有する。抗体Ab47、hB6H12.3、及びVel-IPV-hB6H12.3は、研究期間にわたって効果的に腫瘍体積を低下及び/または遅延させた。
【0355】
抗腫瘍活性を評価することに加え、アンマスクする抗体の評価と同様に、マクロファージ浸潤、これらの腫瘍内のMMPのレベルとのその相関は評価されている。異種移植及び同系腫瘍モデルからの腫瘍を、TME内のRNAとタンパク質レベルとの間の相関の理解
を得るのと同様に、これらの腫瘍内のMMPのレベルを監視するために、収集し、タンパク質及びRNA配列評価に供した。Luminex多重プラットフォームを使用するタンパク質分析は、Vel-IPV-hB6H12.3の抗腫瘍活性を調査するために使用される腫瘍が頑健なレベルのMMP2及び9の両方を全て含有することを明らかにした(表22)。追加的に、細胞培養系内に存在するものと腫瘍MMPレベルを比較した際、単にインビトロ組織培養条件において見られるレベルを十分に超えた、腫瘍部位でのMMPレベルの著しい増加を見出した(図35A及び35B)。
表22.選択腫瘍におけるMMP2及びMMP9レベル(pg/ml)。
【表22】
【0356】
固有のマクロファージ含有量が低い腫瘍モデルにおける抗CD47抗体の活性は、マクロファージ浸潤を促進することが知られているMMAEアウリスタチンADCと組み合わされると増幅され得る。このことは、NSGマウスにおけるHepG2異種移植腫瘍モデルにおいて実証された。抗CD47抗体を5mg/kgでi.p.q4d×4投与した一方、MMAEと共にADCを1mg/kgで1回投与した。抗体の組み合わせは、いずれかの抗体単独よりも腫瘍体積の低下に、より有効であった(図20)。他のMMAE含有アウリスタチン(LIV1A及びCD30)を用いた追加的な実験は、Liv1A ADCについての乳癌異種移植モデルMCSF7及びCD30 ADCについてのL428リンパ腫モデルにおける抗CD47抗体との同様な組み合わせ可能性を実証している(図36A及び図36B)。
【0357】
マウス反応性抗CD47抗体mIAP301(Oldenborg et al.,J.Exp.Med.193:855-861,2001)は、ヒトhB6H12.3抗体に対して使用された同じVEL及びIPV配列を使用してマスクされることができた。これらの構築物を用いたマスキングは、マウスCD47陽性腫瘍へ結合する抗体を遮断し(図21A)、RBC貪食によって測定されるような機能性を防止した(図21B)。
【0358】
抗マウスCD47抗体mIAP301は、10mg/kgの単回IV用量で投与される際に、BALB/cマウスにおける血小板の枯渇を促進する。対照的に、この枯渇は、マウスが10mg/kgの用量のIVでマスクされたVel-IPV-mIAP301及びVel-M2-mIAP301抗体を投与された際に、観察されなかった(図22A)。
【0359】
マスクされたVel-IPV-mIAP301抗体は、アンマスクされたmIAP301と比べてBALB/cマウスの血漿における薬物動態を大幅に改善し、マスクされた抗体により、典型的な抗CD47抗体が直面する標的媒介性薬物動態を避けることができることを実証した。Vel-IPV-mIAP301及びmIAP301抗体を、リジン複合体化を介してH-プロピオナートで標識し、1mg/kgのIV用量でBALB/cマウスに投与した。抗体濃度を、異なる時点で引き出された血漿のシンチレーション計数によって決定した(図22B)。血漿におけるmIAP301の濃度は15分以内に検出可能な量未満であった一方、Vel-IPV-mIAP301濃度は投薬後最大7日まで測定されることができた。
【0360】
マスクされたVel-IPV-mIAP301、Vel-M2-mIAP301、及びアンマスクされたmIAP301の生体内分布を、1及び10mg/kgの用量でH標識抗体を使用してA20を有するBALB/cマウスにおいて試験した。腫瘍が250mmに達すると、抗体を投与した。指定された時点でマウスを屠殺し、血漿、血液、腫瘍、脾臓、及び肝臓における抗体の濃度をシンチレーション計数によって決定した。図37A及び37Bに示されるように、血漿におけるmIAP301の濃度は、投与後1時間以内ではごくわずかである。一方、顕著に少ないマスクされた抗体は、アンマスクされたmIAP301抗体と比較した際に、脾臓中に存在する(図37C及び37D)。同様の結果は、肝臓で見られた。(データは示されない)。対照的に、正常な組織におけるCD47の標的媒介性動態を避けることによって、マスクされたVel-IPV-mIAP301及びVel-M2-mIAP301抗体は、mIAP301と比較して腫瘍におけるレベルが増加していたことが実証されている(図37E及び37F)。
【0361】
抗マウスCD47抗体mIAP301は、A20リンパ腫モデルにおいて抗腫瘍活性を促進したが、同時RBC枯渇の原因となった(図23A及び図23B)。マスクされたVel-IPV-mIAP301抗体は、同様の活性を付与したが、RBC枯渇への影響を抑止した。Vel-IPV-mIAP301抗体は、RBC抗原シンクを避けたが、同様に腫瘍結合も維持した(図23C及び図23D)A20リンパ腫モデルは、Donnou
et al.(Advances in Hematology,Article ID 701704,2012)及びLiu et al.(Nature Medicine,21:1209-1215,2015)にさらに詳細に記載される。
【0362】
抗マウスCD47抗体mIAP301が免疫腫瘍学薬剤に応答性であることが知られているMC38結腸癌モデルにおける抗腫瘍活性を促進した。このモデルにおけるマスクされたmIAP301抗体の活性は、完全な応答を呈する動物によって表されるような優れた有効性を示した(図24)。この動物の再投与は、腫瘍の完全な拒絶を生じ、長期間生存するメモリーT細胞応答の誘導を実証した(データは示されない)。MC38結腸癌モデルは、Liu et al.(上記)にさらに詳細に記載される。
【0363】
Liv1aまたはCD30に対するADCとのヒト抗CD47抗体の組み合わせ活性を試験することに加えて、他の免疫調節薬剤との組み合わせ活性も評価した。これを達成するために、免疫完全なマウス系に移動し、マウス標的化抗CD47代替抗体mIAPを利用した。A20モデルを使用して、マスクされた抗CD47抗体が抗SEA-CD40抗体、SEA-1C10と同様に抗PD-1代替抗体と協同することを実証した。これらのデータは、マスクされたCD47標的化薬剤と共に免疫システムの先得的及び適応的アームの両方の会合が頑健な抗腫瘍応答を促進するために組み合わさることができる証拠を提供する。
【0364】
親及びマスクされた抗マウスCD47抗体mIAP301は、抗PD-1代替抗体と組み合わされて増加した抗腫瘍活性を促進し、その結果、4/6の動物がCR応答を呈した(PD-1抗体、クローンRMP1~14への参照については、Dahan et al.Cancer Cell.28:285-295.2015を参照されたい)(図25A)。親抗マウスCD47抗体mIAP301は、SEA増強代替抗体1C10に標的化されたマクロファージ活性化CD40と組み合わされて増加した抗腫瘍活性を促進した(1C10抗体への参照についてはWO2016/069919を参照、mIAP301抗体への参照についてはLindberg et al.J.Biol.Chem.269:1567-1570.1994を参照されたい)(図25B)。
【0365】
抗PD-1または抗CD40と組み合わされた抗CD47を示すデータは、抗CD47療法が、生得的な細胞活性を増強するそれらの薬剤(抗CD40抗体または他のCD40
阻害剤)と同様にチェックポイント阻害剤抗体(抗PD-1抗体)の文脈におけるように、T細胞活性を増強する薬剤の活性を増強できることを示す。このことは、抗CD47抗体が抗腫瘍応答の適応的及び生得的アーム両方を支持する臨床において複数の免疫調節薬剤と対になり得るという考えを裏付ける。
【0366】
実施例5:コイルドコイルドメインマスクされた抗体
異なるコイルドコイルドメインを有するマスクされたヒト化B6H12抗体の安定性を、BALB/cマウスへの静脈内投与を使用して評価した。抗体を、5mg/kgで投与した。所与の時点(3日目)で、血漿を、投与されたマウスから採取した。ヒト抗体を、IgSelect樹脂を使用して血漿から精製した。捕捉された抗体を、還元し、SDS-PAGEによって分離し、次いで、HRP複合体化抗ヒトFc抗体を使用するウェスタンブロットによって探索した。切断された抗体パーセントは、約5kDaだけサイズが異なるマスクされた及びアンマスクされた重鎖に対応する帯域の濃度測定によって評価した(図26)。
【0367】
表23は、重鎖(配列番号2)及び軽鎖(配列番号10)を含むヒト化B6H12抗体に組み込まれ、異なる細胞株に対して試験された、異なるコイルドコイル形成ペプチド対を用いたマスキングの効果を示す。抗体は、実施例においてAb47とも呼ばれる。Kd(nM)は、各それぞれの細胞株上での飽和結合に由来した各抗体について示される。2000nMの高濃度を、各結合実験のために使用した。表23に示されるように様々なコイルドコイルドメインは、2マイクロモル超の濃度で試験された際でさえ細胞表面上で発現されたCD47へのAb47の結合を阻害できた一方、アンマスクされたAb47抗体は3.3~21nMのIC50を表示した。
【0368】
Vel-IPVコイルドコイル及び切断配列を有するマスクされたヒト化B6H12の安定性及び活性化を、ヒトHT1080線維肉腫異種移植を有するヌードマウスにおいて評価した。抗体を、5mg/kg IPで投与した。所与の時点(1、3、4日目)で、マウスを屠殺し、組織及び血漿を採取した。組織をホモジナイズし、ヒト抗体をIgSelect樹脂を使用して生物学的試料から精製した。捕捉された抗体を、還元し、SDS-PAGEによって分離し、次いで、HRP複合体化抗ヒトFc抗体を使用するウェスタンブロットによって探索した。切断された抗体パーセントは、約5kDaだけサイズが異なるマスクされた及びアンマスクされた重鎖に対応する帯域の濃度測定によって評価した(図38A及び38B)。非常に少ないアンマスクされた抗体(<5%)が、試験した任意の時点で血漿または肝臓において検出された。一方、20~30%を超える切断が腫瘍において検出され、切断の最大量は投与後3~4日で生じた。追加的に、Ab47またはVel-IPV-Ab47で4または7日間治療されたマウスから収集されたHT1080腫瘍を、フローサイトメトリーに供し、腫瘍発現CD47に結合し腫瘍発現CD47を飽和させることができる抗体の程度を決定した(図38B)。
表23.異なる抗体マスキングドメインを有するヒト化B6H12抗体(Ab47)の、飽和結合フローサイトメトリーにより誘導される、親和性(nM)。
【表23-1】
【表23-2】
【0369】
ヒト化抗CD47抗体の活性及び薬物動態ならびにカニクイザル(cynomolgus
macaques)におけるマスキングを通じた改善された忍容性の実証。
抗CD47 IgG1抗体変異型の薬物動態及び忍容性を改善するマスキングの能力を試験するために、一連のIV単回投薬研究を、カニクイザルで行った。試験された抗CD47 IgG1抗体は、発現及び配列においてこれらの種にわたって高度に保存されているヒト及びカニクイザルCD47と交差反応性であった。カニクイザル及びヒト組織のパネルのインサイツゲルザイモグラフィーによるプロテアーゼ活性の評価は、プロテアーゼ活性レベルがこれらの種にわたって高度に保存されることを示した。さらに、カニクイザルは、IgG1抗体と高度に類似したFcγR相互作用を有し、ヒトIgG1抗体のエフェクター機能関連作用を毒物学的に予測するとみなされており、それらをIgG1抗CD47抗体の作用を評価するのに好適なモデルとしている(Warncke et al.J.Immunol.188:4405-4411.2012)。まとめると、カニクイザルは、抗CD47抗体単独の異なる活性を評価することについて、そしてさらにこの活性がどのようにマスキング及びエフェクター機能で改変されるかについて、適切な種を代表する。
【0370】
代替的ヒト化B6H12であるAb47
代替的ヒト化IgG1構築物に対するB6H12の忍容性及びPKを決定し、忍容性及び薬物動態を改変するVel-IPVマスク及び切断配列の能力の概念の証明をさらに実証するために、ナイーブなカニクイザルに、0.1、1、10、及び30mg/kgの代替的ヒト化IgG1 B6H12抗CD47抗体であるAb47で静脈内投与した。ヒト化IgG1ベースのAb47は、ヒト化IgG4プラットフォームに対するmB6H12抗体の公開されたデータ(Liu,2015)と比較される場合、血液学分析による赤血球量減少として実証される、活性の増加を示した。CD47との相互作用を遮断することに加えて高いADCC、ADCP、及びCDC活性を可能にするエフェクター機能を欠くIgG4 B6H12がカニクイザルにおいて最大30mg/kgの用量の忍容性を実証した(Liu,2015)一方、Ab47は1mg/kg超の用量で忍容性を示さなかった(図27A)。
【0371】
Ab47対Vel-IPV-Ab47
Ab47の活性を和らげるVel-IPVマスクの能力を実証するために、カニクイザルに、0.1、1、及び10mg/kgの用量を投与した。特に、1.0mg/kgのAb47及び10mg/kgのVel-IPV-Ab47で治療された動物における血液学分析のために採取された血液試料における同様のレベルの赤血球量減少として実証されるように、およそ10倍高い用量はマスクされていないAb47よりも良い忍容性を示した(図27B)。Ab47で治療された動物は、溶血及び忍容性の欠如に関連する一貫した臨床徴候を実証した(赤色泌尿生殖分泌物、溶血試料、嘔吐、活動性低下)一方、マスクされた抗体で治療された動物において観察された有害な臨床徴候の完全な欠如があった。マスクされたAb47に伴う忍容性の増加は、単球化学誘引物質タンパク質-1であるM
CP-1のような循環血漿サイトカインの増加を減じるマスキングの能力においても実証された。試験された最高用量のVel-IPV-Ab47(10mg/kg)は、対照及び試験されたAb47の最低用量の0.1mg/kgと同様のレベルを実証した(図39A)。追加的に、マスキングは、分子のPKを劇的に改善した。Ab47の1mg/kg用量は研究3日目にGeneric TAb(総抗体)アッセイについての検出の限界値未満であったが、1mg/kgのVel-IPV-Ab47は研究の全体経過の、研究15日目を通して検出可能であった(図28)。Generic TAb ELISAは、Ab47及びVel-IPV-Ab47のヒト軽鎖カッパに結合する抗ヒト軽鎖カッパmAbで被覆された96ウェルマイクロタイタープレートを使用する。それは、カニクイザル軽鎖カッパと交差反応しない。試験試料を、ナイーブなプールしたカニクイザルKEDTA血漿で、Ab47(10(LLOQ)から1280ng/mL(ULOQ)まで)またはVel-IPV-Ab47(20(LLOQ)から2560ng/mL(ULOQ)まで)のアッセイの動的範囲に希釈した。希釈した試料は、QC及びキャリブレーターと共に、遮断され洗浄されたプレートへの添加の前にアッセイ緩衝液を用いて1:20のMinimum Required Dilution(MRD)に供した。室温で1時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、ストレプトアビジンに複合体化したポリマーセイヨウワサビペルオキシダーゼ(ポリ-HRP-SA)の添加前に、ビオチン化抗ヒト軽鎖カッパmAb(捕捉試薬と同一のクローン)を用いて結合した分析物(Ab47またはVel-IPV-Ab47)を検出した。インキュベーション及び洗浄の後、HRP基質3,3’,5,5’-テトラメチル-ベンジジン(TMB)をプレートに添加し、色を10分間展開させた。反応を1NのHClで停止させ、プレートを450nm~630nmでSpectromax M5プレートリーダー上で読み取った。純吸光度値をWatson LIMS v.7.4.2にインポートし、5-PL非線形回帰を吸光度から試料中に存在する総抗体ng/mLへの変換のために実行した。
【0372】
Ab47対hB6H12.3
示差的なKd、増加したB最大値、及び減少した血球凝集を特徴とするヒト化B6H12.3を、1mg/kgの用量の単回IVボーラスにおいてカニクイザルに投与し、インビボの示差的活性について試験した。hB6H12.3及びAb47の両方が1mg/kgで同様のレベルの赤血球枯渇を生じる(図29)が、Ab47は1mg/kgでの投薬前血小板レベルのおよそ40%までの枯渇も実証した一方、hB6H12.3は恐らくサンプリングバイアスによる対照レベルと同様の20%の枯渇のみを有した(図30)。試験7日目に始まる血小板の増加は、恐らく広く骨髄が刺激されたことにより、両抗体を用いた治療に続いて生じた。
【0373】
hB6H12.3対Vel-IPV-hB6H12
hB6H12.3の活性を軽減するVel-IPVマスクの能力を実証するために、カニクイザルに、10及び20mg/kgの用量の抗体を投与した。試験された最高用量である20mg/kgの血液試験は、1mg/kgのhB6H12.3であるが、20倍低い用量でマスクされていないhB6H12.3よりも高い忍容性で観察されるように赤血球量減少の同様の低下を実証した(図31)。同様に、hB6H12.3のマスキングは、MCP-1を含む循環サイトカインの減少も実証し、アンマスクされたhB6H12.3で達成される物と同様の応答を得るためにマスクされたhB6H12.3の用量の20倍を必要とした(図39B)。Vel-IPV-hB6H12.3を投与された動物は治療に関連する臨床症状を経験しなかった一方、溶血に関連する臨床症状はマスクされていないhB6H12.3で1mg/kgで観察された。Generic TAb ELISAを使用する薬物動態分析は、マスクされていないhB6H12.3と比較して改善された薬物動態プロファイルを実証した(図39C)。
【0374】
Vel-IPV-hB6H12.3対SEA-Vel-IPV-hB6H12.3
IgG1マスクされた抗CD47抗体であるVel-IPV-hB6H12.3の活性をさらに増強するために、抗体を、糖操作された抗体であるSEAの、増強されたエフェクター機能を有するフコシル化されていない抗体を産生するSeattle Geneticsの商標技術(米国第8,163,551号)を利用して産生した。フコシル化されたSEA hB6H12.3及びフコシル化されていないSEA hB6H12.3と同様に、Vel-IPV-hB6H12.3及びSEA-Vel-IPV-hB6H12.3の異種移植モデルにおける相対的抗腫瘍活性を、高(Detroit562)及び低(HT1080)マクロファージモデルにおいて評価した。コアフコシル化ならびに得られたSEA-hB6H12.3及びSEA-Vel-IPV-hB6H12.3の除去は、いずれかのモデルにおける高腫瘍活性に対する効果の証拠が得られなかった(図40A及び40B)。これらのモデルが、SEA骨格を与えられた増強されたエフェクター機能を十分活用することができない免疫不完全のマウスにおいて実行される場合、マウス代替抗体mIAP301もフコシル化されておらず、またフコシル化された及びフコシル化されていないvel-IPV-mIAP301による抗腫瘍活性を、低活性CT26同系モデルと同様に高活性A20同系リンパ腫モデルにおいて試験した。SEA抗体を産生するためのコアフコースの除去は、追加的な抗腫瘍効果を付与するようには見えなかった。
【0375】
他の抗体を用いたSEA技術が、抗体がマスクされる際に増加した活性を生じているが、SEA及び非SEAバージョンの両方は、試験された同一の最大用量レベルの20mg/kgと同様の赤血球量減少とともに十分な忍容性を示す(図32)。有害な臨床徴候はいずれかの抗体を用いた治療中には観察されなかったが、循環MCP-1サイトカインレベルはSEA抗体について増加した(図41A)。Generic TAb ELISAを使用する薬物動態分析は、SEA及び非SEA Vel-IPV-hB6H12.3抗体の間で一般に同様の薬物動態プロファイルを実証し、ともにマスクされていないhB6H12.3と比較して改善した(図41B)。
【0376】
実施例6:選択バイオマーカーを有する対象における腫瘍の治療
本開示は、該対象内の選択バイオマーカーに基づく本発明の抗CD47抗体を用いた腫瘍を有する対象の治療をさらに構想する。本発明の抗CD47抗体を用いた治療のための対象の選択は、1)周囲の非腫瘍組織に対して腫瘍組織内のより高いレベル及び活性のMMPと、2)周囲の非腫瘍組織に対して腫瘍組織上のより高い発現レベルのCD47と、3)周囲の非腫瘍組織に対して腫瘍組織におけるより高いレベルのマクロファージ浸潤と、に基づくであろう。
【0377】
選択バイオマーカーのレベル及び活性を決定する方法は、免疫組織化学及び酵素学の分析を含む。例えば、マクロファージ浸潤のレベルは、マーカーとして抗CD163抗体を使用する免疫組織化学によって決定され得る。
【0378】
腫瘍対日腫瘍組織試料における腫瘍浸潤マクロファージを検出する能力を実証するために、乳癌コア試料及び正常乳房組織試料を使用した。免疫組織化学を、抗CD163抗体を使用して実行した。結果は、腫瘍浸潤マクロファージが非腫瘍試料よりも腫瘍試料において容易に検出され得ることを実証する(図33)。
【0379】
実施例7:Vel-IPV-hB6H12.3によるCD47陽性細胞の貪食及び赤血球凝集
CD47陽性RBCの貪食を、抗体機能性に対するマスキングの影響を評価するために監視した。ヒト赤血球を、蛍光赤色PKH色素で標識し、1μg/mLのアンマスクされたhB6H12.3、マスクされたVel-IPV-hB6H12.3、またはMMP活性化Vel-IPV-hB6H12.3と共に30分間オプソニン化した。赤血球を洗浄し、次いで、単球マクロファージと共に10:1比率で2時間インキュベートした。次いで、試料をACK低張溶解緩衝液で3回洗浄した。貪食の程度を、フローサイトメトリーを介したヒトマクロファージによる蛍光標識されたヒトRBCの取り込みを監視することによって評価した。
【0380】
図42に示されるように、マスクされたVel-IPV-hB6H12.3は、未処理RBCのバッググラウンドレベル超の貪食の増加を呈しなかった一方、hB6H12.3及びMMP活性化Vel-IPV-hB6H12.3の両方は同様のレベルのRBC貪食を示した。
【0381】
マスクされたAb47抗体によるヒトRBCの赤血球凝集の促進を、実施例2に記載されるように試験した。ヒトRBCを、増加する濃度のマスクされたVel-IPV-Ab47またはMMP切断されたVel-IPV-Ab47に37で℃で30分間曝露した。赤血球凝集を、各ウェル内の明らかな斑点の直径の光学的評価によって監視した。
【0382】
図43に示されるように、Ab47がマスクされた際に赤血球凝集が阻害され、マスクがMMPによって除去された際に赤血球凝集が復元された。
【0383】
実施例8:hB6H12.3はアポトーシスを直接誘導する
細胞表面CD47ライゲーションはアポトーシスを誘導することができる。抗CD47
mAbクローンB6H12が、表面に固定化された際のみアポトーシスを誘導することができることが報告されているが、hB6H12.3は、表面に結合されることなくアポトーシス活性を実証した。8つの異なる細胞株(A431、HEK293、Hela、HepG2、HPAF11、I540Cy、MCF7、及びTHP1)を、24時間、ウェルあたり50,000細胞で各々播種した。細胞を、5~0.05μg/mLの濃度のhB6H12.3、5F9またはIgG1アイソタイプ対照を用いて18時間処理した。次いで、細胞を、採取し、2回洗浄し、アポトーシスマーカーアネキシンVについて染色し、アポトーシスをフローサイトメトリーを使用して定量した。
【0384】
図44に示されるように、8つの細胞型全てにおいて、相対的レベルのアネキシン染色によって決定されるように、hB6H12.3で処理された細胞は、5F9またはIgG1アイソタイプ対照で処理された同じ型の細胞よりも大きなレベルのアポトーシスを呈した。
【0385】
実施例9:全血及び血漿におけるhB6H12.3安定性
様々な型のがんを有する17名の患者(10名の肉腫、3名のNSCLC、3名の結腸癌、及び1名の黒色腫)から新たに収集した全血試料(4%クエン酸ナトリウム)を、BioIVTから得た。hB6H12.3及びマスクされたVel-IPV-hB6H12.3抗体を、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)で直接標識した。新鮮な全血の試料を、高濃度(最大濃度、20μg/ml)のFITC標識されたhB6H12.3またはFITC標識されマスクされたVel-IPV-hB6H12.3と共に37℃で20時間インキュベートした。血液細胞に対する抗体の結合を、フローサイトメトリーによって特徴付けた。
【0386】
肉腫全血試料の各々の部分を血漿を抽出するために使用し、20μg/mLの組換えCD47を血漿試料に添加した。次いで、組換えCD47を含有する血漿の試料を、20μg/mLのhB6H12.3またはマスクされたVel-IPV-hB6H12.3と共に37℃で4日間インキュベートした。Vel-IPVマスクの切断の程度を、実施例2に記載されるようにCD47結合ELISAを使用して評価した。Vel-IPV-hB6H12.3は、血漿中で急上昇した濃度で(20μg/mL)組換えCD47に結合せず、したがって、Vel-IPV-hB6H12.3と共にインキュベートされた血漿に
おいて検出された任意の抗体-CD47結合は、切断されたVel-IPV-hB6H12.3のCD47との結合によるものである。
【0387】
試験された17個の血液試料のうち、マスクされたVel-IPV-hB6H12.3は、最高濃度でただ1つの外れ値試料(肉腫、図45Bを参照されたい)への10%超の結合を示した。マスクされたVel-IPV-hB6H12.3による結合は、他の16個の試料のいずれにおいても検出されなかった(代表的データが図45Aに示される)。図45Cに示されるように、2%以下のマスクされたVel-IPV-hB6H12.3は、肉腫を有する患者からの10個の血漿試料のいずれにおいても切断された。
【0388】
実施例10:hB6H12.3に応答するサイトカイン産生
がん患者からの新鮮な全血の試料(10名の肉腫、3名のNSCLC、3名の結腸癌、及び1名の黒色腫)を、高濃度(最大濃度、20μg/ml)のFITC標識されたhB6H12.3もしくはFITC標識されたVel-IPV-hB6H12.3と共に、または0.1μg/mLのLPSと共に37℃で20時間インキュベートした。サイトカインレベルを、38プレックスサイトカイン及びケモカイン磁気ビーズパネルを使用して評価した。
【0389】
試験した患者試料の大半において、中程度のサイトカイン産生はhB6H12.3によって誘導されたが、最小限のサイトカイン産生はVel-IPV-hB6H12.3によって誘導された。サイトカインIP-10、IL1-Ra、MIP-1α、及びMIP-1αは、最も一般的にhB6H12.3によって誘導された。IL1-Ra(図46B)、MIP-1α、及びMIP-1βのレベルは試験されたhB6H12.3の最大濃度で200pg/mL未満であった一方、IP-10レベルは4000~5000ng/mLに達した(図46A)。Vel-IPV-hB6H12.3によって産生されるサイトカインレベルは、全ての場合においてhB6H12.3によって産生されるものよりも低かったが、典型的には、100~1000倍低かった。
【0390】
実施例11:hB6H12.3はインビボでアポトーシスを誘導する
ヒトHT1080線維肉腫異種移植を有するヌードマウスに、腫瘍が200mmに達した際に、5mg/kgのIP用量のhB6H12.3、Vel-IPV-hB6H12.3、またはhIgG1アイソタイプ対照を投与した。所与の時点(24及び96時間)で、マウスを屠殺し、腫瘍を採取した。腫瘍をホモジナイズし、ヒトHT1080異種移植線維肉腫腫瘍細胞を1倍のアネキシンV染色緩衝液において100万細胞/mlで再懸濁させた(50mMのHEPES、700mMのNaCl、12.5mMのCaCl2を含有する10倍染色緩衝液pH7.4を水に1:10で希釈した)。細胞を、丸底96ウェルプレート(100μl/ウェル)に移し、5μLのFITCアネキシンV染色試薬及び1μLの100μg/ml紫外線Live/Dead染色緩衝液を各ウェルに添加した。細胞を、室温で30分間染色した。試料を5分間1550gで回転し、上清を除去し、細胞を1倍の氷冷アネキシンV染色緩衝液で3回洗浄した。細胞を、100μlの1倍のアネキシンV染色緩衝液に再懸濁させた。アポトーシスを、表面ホスファチジルセリンへのアネキシンV結合に対する陽性の細胞のパーセントとしてLSRIIサイトメーター上でのフローサイトメトリーによって評価した。Live/Dead染色で陽性に染色された細胞を、分析から除外した。
【0391】
図47に示されるように、hB6H12.3及びVel-IPV-hB6H12.3の両方で処理された腫瘍は、未処置及びアイソタイプ対照処理腫瘍試料と比較した際に、96時間処置後に増加したアネキシンV+アポトーシス細胞を呈した。
【0392】
ある特定の非限定的実施形態
実施形態1.ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変が、
配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されるCDRと、
配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0393】
実施形態2.ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変が、
配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されるCDRと、
配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0394】
実施形態3.ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変が、
配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されるCDRと、
配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0395】
実施形態4.ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変が、
配列番号16(GYGMS)、17(TITSGGTYTYYPDSVKG)、及び18(SLAGNAMDY)として示されるCDRと、
配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0396】
実施形態5.実施形態1~4のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号31(RASQTISDYLH)、32(FASQSIS)、及び33(QNGHGFPRT)として示されるCDRと、
配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0397】
実施形態6.実施形態1~4のいずれか一項に記載のヒト化抗体または抗原結合断片であって、前記軽鎖可変領域が、
配列番号31(RASQTISDYLH)、32(FASQSIS)、及び33(QNGHGFPRT)として示されるCDRと、
配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークと、を含み、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である
、前記ヒト化抗体または抗原結合断片。
【0398】
実施形態7.Kabat番付に従うH29がFによって占有され、H44がRまたはGによって占有され、H49がAによって占有され、H82がMまたはIによって占有され、H89がIまたはVによって占有され、H91がFまたはYによって占有され、H94がRによって占有される、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0399】
実施形態8.Kabat番付に従うL4はMによって占有され、L21はLによって占有され、L49はKによって占有され、L69はTまたはSによって占有され、L85はVまたはTによって占有される、実施形態5に記載の抗体または抗原結合断片。
【0400】
実施形態9.配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0401】
実施形態10.Kabat番付に従うLCDR3においてG91A変異をさらに含む、実施形態5に記載の抗体または抗原結合断片。
【0402】
実施形態11.抗体または抗原結合断片がIgG1アイソタイプのものである、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0403】
実施形態12.抗体または抗原結合断片がその親抗体と比較して増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0404】
実施形態13.抗体または抗原結合断片がその親抗体と比較して増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP)を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0405】
実施形態14.その親抗体と比較して低下したコアフコシル化を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0406】
実施形態15.抗体または抗原結合断片がCD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0407】
実施形態16.抗体または抗原結合断片がその親抗体と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する、実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0408】
実施形態17.実施形態1~4のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする、核酸配列。
【0409】
実施形態18.Fab、Fab’、F(ab’)、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcを含む、実施形態1に記載の抗原結合断片。
【0410】
実施形態19.マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を対象に投与することを含む、前記対象におけるCD47発現癌を治療するための方法であって、前記マスキング薬剤が、マスキング薬剤を有しない抗体またはその抗原結合
断片と比較してヒトCD47への抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる1個以上のコイルドコイルペプチドを含む、前記方法。
【0411】
実施形態20.プロテアーゼ切断可能リンカーが前記マスキング薬剤を前記抗体またはその抗原結合断片に結合させる、実施形態19に記載の方法。
【0412】
実施形態21.前記プロテアーゼ切断可能リンカーがIPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含むアミノ酸配列を有する、実施形態20に記載の方法。
【0413】
実施形態22.前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、実施形態20に記載の方法。
【0414】
実施形態23.前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位からなる群から選択される、実施形態22に記載の方法。
【0415】
実施形態24.前記マスキング薬剤が、MMPによる腫瘍微小環境におけるMMP切断部位の切断の後、前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片から放出される、実施形態22に記載の方法。
【0416】
実施形態25.前記切断された抗CD47抗体が、前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを有する、実施形態24に記載の方法。
【0417】
実施形態26. 前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体のN末端でLRSG、SG、またはVRの配列を含む、実施形態25に記載の方法。
【0418】
実施形態27.1個以上のコイルドコイルペプチドが、配列番号44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55及び56からなる群から選択される1個以上の配列を含む、実施形態19に記載の方法。
【0419】
実施形態28.CD47に結合する抗体または抗原結合断片が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して少なくとも約100倍低下する、実施形態19に記載の方法。
【0420】
実施形態29.CD47に結合する抗体または抗原結合断片が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して約200倍~約1500倍低下する、実施形態19に記載の方法。
【0421】
実施形態30.前記CD47発現癌が固形癌の原因となる血液癌である、実施形態19に記載の方法。
【0422】
実施形態31.前記血液腫瘍が、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫からなる群から選択される、実施形態30に記載の方法。
【0423】
実施形態32.前記CD47発現癌が固形腫瘍である、実施形態19に記載の方法。
【0424】
実施形態33.前記固形腫瘍が、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、皮膚癌、前立腺癌、下垂体癌、胃癌、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌からなる群から選択される、実施形態32に記載の方法。
【0425】
実施形態34.前記固形腫瘍が、肺癌、軟部組織肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、及び乳癌からなる群から選択される、実施形態32に記載の方法。
【0426】
実施形態35.前記対象が固形癌に罹患しているヒトである、実施形態19に記載の方法。
【0427】
実施形態36.前記抗CD47抗体が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される、実施形態19に記載の方法。
【0428】
実施形態37.マスキング薬剤を含む前記ヒトCD47タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、前記マスキング薬剤が配列番号95(QGASTTVAQLEEKVKTLRAENYELKSEVQRLEEQVAQLGS)及び/または配列番号94(QGASTSVDELQAEVDQLEDENYALKTKVAQLRKKVEKLGS)を含む1個以上のコイルドコイルペプチドを含み、前記1個以上のコイルドコイルペプチドが、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較してヒトCD47タンパク質への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる、前記抗体またはその抗原結合断片。
【0429】
実施形態38.配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0430】
実施形態39.前記マスキング薬剤がプロテアーゼ切断可能リンカーを介して前記抗体またはその抗原結合断片に結合される、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0431】
実施形態40.前記プロテアーゼ切断可能リンカーがIPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含むアミノ酸配列を有する、実施形態39に記載の抗体または抗原結合断片。
【0432】
実施形態41.前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、実施形態39に記載の抗体または抗原結合断片。
【0433】
実施形態42.前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位からなる群から選択される、実施形態41に記載の抗体または抗原結合断片。
【0434】
実施形態43.前記マスキング薬剤が、MMPによるMMP切断部位の切断後、前記抗CD47抗体から除去される、実施形態37に記載の抗体。
【0435】
実施形態44.前記抗CD47抗体が、MMPによるMMP切断部位の切断後、前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを有する、実施形態43に記載の抗体。
【0436】
実施形態45.前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体のN末端で前記LRSG、SG、またはVRの配列を含む、実施形態44に記載の方法。
【0437】
実施形態46.結合が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して少なくとも約100倍低下する、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0438】
実施形態47.前記結合が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して約200倍~約1500倍低下する、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0439】
実施形態48.48 配列番号42の重鎖配列及び配列番号43の軽鎖配列を含む、実施形態37に記載の抗体または抗原結合断片。
【0440】
実施形態49.ADCC及び/またはCDC活性から選択される増強されたエフェクター機能を付与する変異型Fc領域を含む、実施形態37~48のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
【0441】
実施形態50.フコシル化されていない、実施形態49記載の抗体または抗原結合断片。
【0442】
実施形態51.前記抗体がIgG1アイソタイプである、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0443】
実施形態52.増強されたADCC、増強されたADCP、及び/または増強されたCDC活性を含む、実施形態51に記載の抗体。
【0444】
実施形態53.対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有するものとして対象を特定するステップと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を前記対象に投与するステップであって、前記対象ががんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有する場合、前記マスキング薬剤が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させるコイルドコイルペプチドを含む、前記投与するステップと、を含む、前記方法。
【0445】
実施形態54.前記MMPが、MMP2、MMP7、MMP9、及びMMP13からなる群から選択される、実施形態53に記載の方法。
【0446】
実施形態55.ステップa)が、
i)がん組織及び非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び前記非がん組織においてMMPを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を
含む、実施形態53に記載の方法。
【0447】
実施形態56.対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)前記がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのCD47を有するものとして前記対象を特定するステップと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を前記対象に投与するステップであって、前記対象が前記がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのCD47を有する場合、前記マスキング薬剤が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させるコイルドコイルペプチドを含む、前記投与するステップと、を含む、前記方法。
【0448】
実施形態57.ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び周囲の非がん組織においてCD47を検出することと、
iii)前記非がん組織を染色するCD47に対して前記がん組織において染色するCD47の量を比較することと、を含む、実施形態56に記載の方法。
【0449】
実施形態58.対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして前記対象を特定することと、
b)マスキング薬剤を含む抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を前記対象に投与するステップであって、前記対象が前記がんにおいて前記非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有する場合、前記マスキング薬剤が、前記マスキング薬剤を有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる1個以上のコイルドコイルペプチドを含む、前記投与するステップと、を含む、前記方法。
【0450】
実施形態59.ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、実施形態58に記載の方法。
【0451】
実施形態60.前記マクロファージ染色が抗CD163抗体を用いて実行される、実施形態58に記載の方法。
【0452】
実施形態61.配列番号2、3、4、5、6、7及び8のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域(HCVR)と、配列番号10、11、12、13、14及び15のいずれか1つに少なくとも90%の配列同一性を有する軽鎖可変領域(LCVR)と、を含む、ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体は前記HCVR及び/または前記LCVRのN末端で前記配列LRSG、SG、またはVRをさらに含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
【0453】
実施形態62.実施形態37に記載のマスクされたCD47抗体のアゴニストCD40抗体との組み合わせを投与することによってがんを治療する方法。
【0454】
実施形態63.前記アゴニストCD40抗体が低いフコシル化レベル、例えば、SEA
-CD40抗体を有する、実施形態62に記載の方法。
【0455】
実施形態64.実施形態37に記載のマスクされたCD47抗体の抗体薬物複合体(ADC)との組み合わせを投与することによってがんを治療する方法であって、前記ADCの抗体はがん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、前記抗体は細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される、前記方法。
【0456】
実施形態65.前記細胞傷害性薬剤がアウリスタチンである、実施形態64に記載の方法。
【0457】
実施形態66.前記ADCの抗体がvcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される薬物リンカーに複合体化される、実施形態64に記載の方法。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目2)
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16、19、21、及び23から選択されるHCDR1、配列番号17、20、22、及び24から選択されるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31及び34から選択されるLCDR1、配列番号32及び35から選択されるLCDR2、ならびに配列番号33及び36から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
c)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
d)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目3)
前記重鎖可変領域が配列番号16、17、及び18、配列番号19、20、及び18、配列番号21、22、及び18、配列番号16、20、及び18、ならびに配列番号23、24、及び18から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む、項目1または項目2に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目4)
前記軽鎖可変領域が配列番号31、32、及び33、配列番号31、32、及び36、
ならびに配列番号34、35、及び33から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、項目1~3のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目5)
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号16、17、18、31、32、及び33、配列番号16、17、18、34、35、及び33、配列番号19、20、18、31、32、及び33、配列番号19、20、18、34、35、及び33、配列番号21、22、18、31、32、及び33、配列番号21、22、18、34、35、及び33、配列番号16、20、18、31、32、及び33、配列番号16、20、18、34、35、及び33、配列番号23、24、18、31、32、及び33、配列番号23、24、18、34、35、及び33、配列番号16、17、18、31、32、及び36、配列番号19、20、18、31、32、及び36、配列番号21、22、18、31、32、及び36、16、20、18、31、32、及び36、ならびに配列番号23、24、18、31、32、及び36から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、項目1~4のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目6)
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7、及び8から選択されるアミノ酸配列への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14、及び15から選択されるアミノ酸配列への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目7)
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号25、28、及び29から選択されるHCDR1、配列番号26及び30から選択されるHCDR2、ならびに配列番号27であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号37及び40から選択されるLCDR1、配列番号38であるLCDR2、ならびに配列番号39及び41から選択されるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含み、
前記軽鎖可変領域が、
c)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
d)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目8)
前記重鎖可変領域が配列番号25、26、及び27、配列番号28、26、及び27、配列番号29、30、及び27、ならびに配列番号29、26、及び27から選択されるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含む、項目6または項目7に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目9)
前記軽鎖可変領域が配列番号37、38、及び39、配列番号40、38、及び39、ならびに配列番号37、38、及び41から選択されるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、項目6~8のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目10)
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号25、26、27、37、38、及び39、配列番号25、26、27、40、38、及び39、配列番号25、26、27、37、38、及び41、配列番号28、26、27、37、38、及び39、配列番号28、26、27、40、38、及び39、配列番号28、26、27、37、38、及び41、配列番号29、30、27、37、38、及び39、配列番号29、30、27、40、38、及び39、配列番号29、30、27、37、38、及び41、配列番号29、26、27、37、38、及び39、配列番号29、26、27、40、38、及び39、ならびに配列番号29、26、27、37、38、及び41から選択されるHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含む、項目6~9のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目11)
前記重鎖可変領域が配列番号2、3、4、5、6、7及び8から選択されるアミノ酸配列を含む、項目1~10のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目12)
前記軽鎖可変領域が配列番号10、11、12、13、14及び15から選択されるアミノ酸配列を含む、項目1~11のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目13)
前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域が配列番号2及び10、配列番号3及び11、配列番号3及び12、配列番号3及び13、配列番号3及び14、配列番号4及び11、配列番号4及び12、配列番号4及び13、配列番号4及び14、配列番号5及び11、配列番号5及び12、配列番号5及び13、配列番号5及び14、配列番号6及び11、配列番号6及び12、配列番号6及び13、配列番号6及び14、配列番号7及び11、配列番号7及び12、配列番号7及び13、配列番号7及び14、配列番号8及び11、配列番号8及び12、配列番号8及び13、配列番号8及び14、配列番号3及び15を含む、項目1~12のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目14)
ヒトCD47に特異的に結合するヒト化抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体または抗原結合断片が軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号16であるHCDR1、配列番号17であるHCDR2、ならびに配列番号18であるHCDR3を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号31であるLCDR1、配列番号32であるLCDR2、ならびに配列番号33であるLCDR3を含み、前記重鎖可変領域が配列番号3への少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号13への少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記抗体がAb47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する、前記ヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目15)
前記重鎖可変領域が配列番号3のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号13のアミノ酸配列を含む、項目14に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目16)
前記重鎖可変領域が、
a)配列番号88に示されるヒトIGHV3-23/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H44、H49、H82、H89、H91、及びH94がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-23/HJ4フレームワーク、または
b)配列番号89に示されるヒトIGHV3-48/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-48/HJ4フレームワーク、または
c)配列番号90に示されるヒトIGHV3-66/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H29、H49、及びH82がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-66/HJ4フレームワーク、または
d)配列番号91に示されるヒトIGHV3-74/HJ4フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置H49がドナー残基である、前記ヒトIGHV3-74/HJ4フレームワーク、を含む、項目1~15のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目17)
Kabat番付に従うH29がFであり、H44がRまたはGであり、H49がAであり、H82がMまたはIであり、H89がIまたはVであり、H91がFまたはYであり、H94がRである、項目16に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目18)
前記軽鎖可変領域が、
a)配列番号92に示されるヒトIGKV6-21/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L4、L21、L69、及びL85がドナー残基である、前記ヒトIGKV6-21/KJ2フレームワーク、または
b)配列番号93に示されるヒトIGKV1-27/KJ2フレームワークであって、Kabat番付に従うフレームワーク位置L21、L49、及びL69がドナー残基である、前記ヒトIGKV1-27/KJ2フレームワーク、を含む、項目1~17のいずれか一項に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目19)
Kabat番付に従うL4がMであり、L21がLであり、L49がKであり、L69がTまたはSであり、L85がVまたはTである、項目18に記載のヒト化抗体またはその抗原結合断片。
(項目20)
前記抗体またはその抗原結合断片が、IgG1アイソタイプのものである、項目1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目21)
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞傷害(ADCC)を有する、項目1~20のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目22)
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された抗体依存性細胞貪食(ADCP)を有する、項目1~21のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目23)
前記抗体またはその抗原結合断片が、その親抗体と比較して、増強された補体依存性細胞傷害(CDC)を有する、項目1~22のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目24)
前記抗体またはその抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv断片、ダイアボディ、1本鎖抗体、scFv断片、またはscFv-Fcである、項目1~19のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目25)
前記抗体またはその抗原結合断片がインビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、項目1~24のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目26)
その親抗体と比較して、低下したコアフコシル化を有する、項目1~25のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目27)
フコシル化されていない、項目1~26のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目28)
前記抗体または抗原結合断片がCD47とSIRPαとの間の相互作用を遮断する、項目1~27のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
(項目29)
前記抗体または抗原結合断片がAb47と比較して低下した赤血球の赤血球凝集を有する、項目1~28のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片。
(項目30)
項目1~29のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片をコードする、核酸配列。
(項目31)
項目29に記載の核酸を含む、発現ベクター。
(項目32)
項目30に記載の核酸または項目28に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
(項目33)
項目1~29のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を発現する、宿主細胞。(項目34)
項目32または項目33に記載の宿主細胞を培養することを含む、項目1~23のいずれか一項に記載の抗体または抗原結合断片を産生する方法。
(項目35)
前記抗体またはその抗原結合断片を単離することをさらに含む、項目34に記載の方法。
(項目36)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、前記対象に項目1~29のいずれか一項に記載の抗CD47抗体または抗原結合断片の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
(項目37)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に項目1~29のいずれか一項に記載の抗CD47抗体またはその抗原結
合断片の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
(項目38)
ステップa)が、
i)がん組織を単離することと、
ii)前記単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に項目1~26のいずれか一項に記載の抗CD47抗体またはその抗原結合断片の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
(項目40)
ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記マクロファージ染色が抗CD163抗体を用いて実行される、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記CD47発現癌が血液癌または固形癌である、項目36~41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
前記CD47発現癌が、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される、項目36~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
前記CD47発現癌が、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌、癌腫、頭頸部癌、皮膚癌、黒色腫、前立腺癌、下垂体癌、胃癌、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される、項目36~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記CD47発現癌が、肺癌、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び乳癌から選択される、項目36~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目46)
前記CD47抗体またはその抗原結合断片が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される、項目36~45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片がアゴニスト抗CD40抗体と組み合わされて投与される、項目36~46のいずれか一項に記載の方法。
(項目48)
前記アゴニスト抗CD40抗体が低いフコシル化レベルを有するか、またはフコシル化されていない、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされて投与され、前記ADCの前記抗体ががん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、前記抗体が細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される、項目36~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記細胞傷害性薬剤がアウリスタチンである、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記ADCの前記抗体がvcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される薬物リンカーに複合体化される、項目50に記載の方法。
(項目52)
CD47発現細胞のアポトーシスを誘導する方法であって、前記細胞を項目1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片に接触させることを含む、前記方法。(項目53)
前記細胞がインビトロにある、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記細胞がインビボにある、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記ヒトCD47タンパク質に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片及び少な
くとも1つのマスキングドメインを含むマスクされた抗体であって、少なくとも1つのマ
スキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるア
ミノ酸配列を含む、前記マスクされた抗体。
(項目56)
前記少なくとも1つのマスキングドメインが、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47タンパク質への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる、項目55に記載のマスクされた抗体。
(項目57)
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、少なくとも約100倍低下する、項目56に記載のマスクされた抗体。
(項目58)
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、約200倍~約1500倍低下する、項目56に記載のマスクされた抗体。
(項目59)
前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結されるか、または前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結されるか、または前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結され、前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結される、項目55~58のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目60)
前記第1のマスキングドメインが配列番号44、46、48、50、52、54、75、77、79、81、83、85、及び94から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のマスキングドメインが配列番号45、47、49、51、53、55、76、78、80、82、84、86、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、項目59に記載のマスクされた抗体。
(項目61)
前記第1のマスキングドメイン及び前記第2のマスキングドメインが、配列番号44及び45、配列番号46及び47、配列番号48及び49、配列番号50及び51、配列番号52及び53、配列番号54及び55、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号81及び82、配列番号83及び84、配列番号85及び86、ならびに配列番号94及び95から選択されるマスキングドメインの対である、項目60に記載のマスクされた抗体。
(項目62)
前記第1のマスキングドメインが前記重鎖のN末端に連結され、前記第2のマスキングドメインが前記軽鎖のN末端に連結される、項目59~61のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目63)
各マスキングドメインが、プロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーを介して前記重鎖または軽鎖に連結される、項目59~62のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目64)
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、項目63に記載のマスクされた抗体。
(項目65)
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、項目64に記載のマスクされた抗体。
(項目66)
MMPによる切断に続き、前記抗体またはその抗原結合断片の前記重鎖及び/または軽鎖が前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを含む、項目64または項目65に記載のマスクされた抗体。
(項目67)
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記配列LRSG、SG、またはVRを含む、項目66に記載のマスクされた抗体。
(項目68)
前記抗体またはその抗原結合断片が項目1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片である、項目55~67のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目69)
第1のマスキングドメインに連結された、配列番号42のアミノ酸配列を有する重鎖及び第2のマスキングドメインに連結された、配列番号43のアミノ酸配列を有する軽鎖を含む、項目55~68のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目70)
項目1~29のいずれか一項に記載の抗体またはその抗原結合断片及び少なくとも1つのマスキングドメインを含む、マスクされた抗体。
(項目71)
少なくとも1つのマスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、項目70に記載のマスクされた抗体。
(項目72)
各マスキングドメインが配列番号44~55、75~86、94、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、項目70に記載のマスクされた抗体。
(項目73)
前記少なくとも1つのマスキングドメインが、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、ヒトCD47タンパク質への前記抗体または抗原結合断片の結合親和性を低下させる、項目70~72のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目74)
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、少なくとも約100倍低下する、項目73に記載のマスクされた抗体。
(項目75)
前記結合親和性が、前記少なくとも1つのマスキングドメインを有しない前記抗体またはその抗原結合断片と比較して、約200倍~約1500倍低下する、項目73に記載のマスクされた抗体。
(項目76)
前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結されるか、または前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結されるか、または前記重鎖が第1のマスキングドメインに連結され、前記軽鎖が第2のマスキングドメインに連結される、項目70~75のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目77)
前記第1のマスキングドメインが配列番号44、46、48、50、52、54、75、77、79、81、83、85、及び94から選択されるアミノ酸配列を含み、前記第2のマスキングドメインが配列番号45、47、49、51、53、55、76、78、80、82、84、86、及び95から選択されるアミノ酸配列を含む、項目76に記載のマスクされた抗体。
(項目78)
前記第1のマスキングドメイン及び前記第2のマスキングドメインが、配列番号44及び45、配列番号46及び47、配列番号48及び49、配列番号50及び51、配列番号52及び53、配列番号54及び55、配列番号75及び76、配列番号77及び78、配列番号79及び80、配列番号81及び82、配列番号83及び84、配列番号85及び86、ならびに配列番号94及び95から選択されるマスキングドメインの対である、項目77に記載のマスクされた抗体。
(項目79)
前記第1のマスキングドメインが前記重鎖のN末端に連結され、前記第2のマスキングドメインが前記軽鎖のN末端に連結される、項目76~78のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目80)
各マスキングドメインが、プロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーを介して前記重鎖または軽鎖に連結される、項目76~79のいずれか一項に記載のマスクされた抗体。
(項目81)
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含む、項目80に記載のマスクされた抗体。
(項目82)
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、項目81に記載のマスクされた抗体。
(項目83)
MMPによる切断に続き、前記抗体またはその抗原結合断片の前記重鎖及び/または軽鎖が前記MMP切断部位のスタブアミノ酸レムナントを含む、項目81または項目82に記載のマスクされた抗体。
(項目84)
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記配列LRSG、SG、またはVRを含む、項目83に記載のマスクされた抗体。
(項目85)
項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体をコードする、核酸配列。
(項目86)
項目85に記載の核酸を含む、発現ベクター。
(項目87)
項目86に記載の核酸または項目78に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
(項目88)
項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体を発現する、宿主細胞。
(項目89)
項目87または項目88に記載の宿主細胞を培養することを含む、項目49~76のいずれか一項に記載のマスクされた抗体を産生する方法。
(項目90)
前記マスクされた抗体を単離することをさらに含む、項目89に記載の方法。
(項目91)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、前記対象に項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することを含む、前記方法。
(項目92)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)前記がんにおいて周囲の非がん組織に対して上昇したレベルのMMPを有するものとして対象を特定するステップと、
b)前記対象に項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与するステップであって、前記マスクされた抗体の各マスキングドメインがプロテアーゼ切断可能リンカーを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)切断部位を含むステップと、を含む、前記方法。
(項目93)
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位から選択される、項目92に記載の方法。
(項目94)
前記MMPが、MMP2、MMP7、MMP9、及びMMP13からなる群から選択される、項目92または項目93に記載の方法。
(項目95)
ステップa)が、
i)がん組織及び非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織及び前記非がん組織においてMMPを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、項目92~94のいずれか一項に記載の方法。
(項目96)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)CD47発現癌を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
(項目97)
ステップa)が、
i)がん組織を単離することと、
ii)前記単離されたがん組織においてCD47を検出することと、を含む、項目96に記載の方法。
(項目98)
対象においてCD47発現癌を治療するための方法であって、
a)がん組織において非がん組織に対して上昇したレベルのマクロファージ浸潤を有するものとして対象を特定することと、
b)前記対象に項目55~84のいずれか一項に記載のマスクされた抗体の治療有効量を投与することと、を含む、前記方法。
(項目99)
ステップa)が、
i)がん組織及び周囲の非がん組織を前記対象から単離することと、
ii)前記単離されたがん組織において及び非がん組織においてマクロファージを検出することと、
iii)前記非がん組織に対して前記がん組織における染色の量を比較することと、を含む、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記マクロファージ染色が抗CD163抗体を用いて実行される、項目99に記載の方法。
(項目101)
前記CD47発現癌が血液癌または固形癌である、項目91~100のいずれか一項に記載の方法。
(項目102)
前記CD47発現癌が、非ホジキンリンパ腫、Bリンパ芽球性リンパ腫、B細胞慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫、リヒター症候群、濾胞性リンパ腫、多発性骨髄腫、骨髄線維症、真性多血症、皮膚T細胞リンパ腫、意義不明のモノクローナルガンマグロブリン血症(MGUS)、骨髄異形成症候群(MDS)、免疫芽球性大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球性リンパ腫、急性骨髄性白血病(AML)、及び未分化大細胞リンパ腫から選択される、項目91~101のいずれか一項に記載の方法。
(項目103)
前記CD47発現癌が、肺癌、膵臓癌、乳癌、肝臓癌、卵巣癌、精巣癌、腎臓癌、膀胱癌、脊髄癌、脳癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、結腸直腸癌、肛門癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢癌、消化器癌、胃癌、肉腫、頭頸部癌、黒色腫、皮膚癌、前立腺癌、下垂体癌、胃癌、子宮癌、膣癌及び甲状腺癌から選択される、項目91~101のいずれか一項に記載の方法。
(項目104)
前記CD47発現癌が、肺癌、肉腫、結腸直腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、黒色腫、及び乳癌から選択される、項目91~101のいずれか一項に記載の方法。
(項目105)
前記抗CD47抗体が、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、プログラム死リガンド1(PD-L1)、PD-L2、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、T細胞免疫グロブリン及びムチンドメイン含有3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM-1)、CEACAM-5、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B及びTリンパ球アテニュエータ(BTLA)、Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、CD160、2B4またはTGFRのうちの1つ以上から選ばれる免疫チェックポイント分子の阻害剤と組み合わされて投与される、項目91~104のいずれか一項に記載の方法。
(項目106)
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片がアゴニスト抗CD40抗体と組み合わされて投与される、項目91~105のいずれか一項に記載の方法。
(項目107)
前記アゴニスト抗CD40抗体が低いフコシル化レベルを有するか、またはフコシル化されていない、項目106に記載の方法。
(項目108)
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が抗体薬物複合体(ADC)と組み合わされて投与され、前記ADCの前記抗体ががん細胞の細胞外表面上に発現されるタンパク質に特異的に結合し、前記抗体が細胞傷害性薬剤を含む薬物リンカーに複合体化される、項目91~107のいずれか一項に記載の方法。
(項目109)
前記細胞傷害性薬剤がアウリスタチンである、項目108に記載の方法。
(項目110)
前記ADCの前記抗体がvcMMAE及びmcMMAFからなる群から選択される薬物リンカーに複合体化される、項目109に記載の方法。
(項目111)
前記マスクされた抗体がプロテアーゼ切断可能リンカーを含む少なくとも1つのマスキングドメインを含み、前記プロテアーゼ切断可能リンカーが腫瘍微小環境において切断される、項目91~110のいずれか一項に記載の方法。
(項目112)
前記腫瘍微小環境における前記プロテアーゼ切断可能リンカーの切断に続いて、前記マスキングドメインが前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片から放出される、項目111に記載の方法。
(項目113)
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがアミノ酸配列IPVSLRSG(配列番号73)またはGPLGVR(配列番号57)を含む、項目111または項目112に記載の方法。
(項目114)
前記プロテアーゼ切断可能リンカーがMMP切断部位を含む、項目111~113のいずれか一項に記載の方法。
(項目115)
前記MMP切断部位が、MMP2切断部位、MMP7切断部位、MMP9切断部位及びMMP13切断部位からなる群から選択される、項目114に記載の方法。
(項目116)
前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片の放出に続いて、前記抗CD47抗体またはその抗原結合断片が前記プロテアーゼ切断可能リンカーのスタブアミノ酸レムナントを有する、項目111~115のいずれか一項に記載の方法。
(項目117)
前記スタブアミノ酸レムナントが前記抗体の前記N末端で前記LRSG、SG、またはVRの配列を含む、項目116に記載の方法。
(項目118)
前記腫瘍微小環境における切断に続いて、前記放出された抗CD47抗体またはその抗原結合断片がCD47に対する前記マスクされた抗体の前記親和性よりも少なくとも約100倍強力な親和性でCD47に結合する、項目111~117のいずれか一項に記載の方法。
(項目119)
前記腫瘍微小環境における切断に続いて、前記放出された抗CD47抗体またはその抗原結合断片がCD47に対する前記マスクされた抗体の前記親和性よりも200~1500倍強力な親和性でCD47に結合する、項目111~117のいずれか一項に記載の方法。
(項目120)
前記抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片または前記マスクされた抗体の前記抗CD47抗体もしくはその抗原結合断片がその親抗CD47抗体と比較してインビトロで低下した赤血球凝集を呈する、項目36~51及び91~119のいずれか一項に記載の方法。
(項目121)
前記親抗体がAb47である、項目120に記載の方法。
(項目122)
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体の投与が前記対象における赤血球凝集を誘導しない、項目36~51及び91~121のいずれか一項に記載の方法。
(項目123)
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体がインビトロ及び/またはインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、項目36~51及び91~122のいずれか一項に記載の方法。
(項目124)
前記抗CD47抗体またはマスクされた抗体がインビボでCD47発現細胞のアポトーシスを誘導する、項目123に記載の方法。
(項目125)
前記CD47発現細胞ががん細胞である、項目124に記載の方法。
[配列表]
SEQUENCE LISTING

<110> Seagen Inc.

<120> CD47 ANTIBODIES AND USES THEREOF FOR TREATING CANCER

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<170> PatentIn version 3.5

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<212> PRT
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<220>
<223> Murine

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1 5 10 15

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Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Ile Asp Ser Leu Lys Ser Glu Asp Thr Ala Ile Tyr Phe Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Ser Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 2
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 2

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Gly Tyr
20 25 30

Gly Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 3
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 3

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Gly Tyr
20 25 30

Gly Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Arg Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Ile Tyr Phe Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 4
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 4

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

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<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 5

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Ile Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95

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100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 6

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Gly Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Ile Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

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65 70 75 80

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85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

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<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 7

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Gly Tyr
20 25 30

Gly Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Ile Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 8
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized heavy chain variable region

<400> 8

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Gly Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Ser Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110

Leu Val Thr Val Ser Ser
115

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<211> 108
<212> PRT
<213> unknown

<220>
<223> Murine

<400> 9

Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15

Asp Arg Val Ser Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Ser His Glu Ser Pro Arg Leu Leu Ile
35 40 45

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50 55 60

Ser Gly Ser Gly Ser Asp Phe Thr Leu Ser Ile Asn Ser Val Glu Pro
65 70 75 80

Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 10

Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15

Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
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Lys Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro
65 70 75 80

Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 11
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 11

Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
1 5 10 15

Glu Lys Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

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50 55 60

Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
65 70 75 80

Glu Asp Ala Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

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<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 12

Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
1 5 10 15

Glu Lys Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Lys Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
65 70 75 80

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85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

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<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 13

Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
1 5 10 15

Glu Lys Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Lys Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Ser Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
65 70 75 80

Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 14
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 14

Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15

Asp Arg Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asn Tyr
20 25 30

Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Val Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Lys Phe Ala Ser Thr Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Ser Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80

Glu Asp Val Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 15
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Humanized light chain variable region

<400> 15

Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
1 5 10 15

Glu Lys Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Lys Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Ser Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
65 70 75 80

Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Asn Ala His Gly Phe Pro Arg
85 90 95

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 16
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 16

Gly Tyr Gly Met Ser
1 5

<210> 17
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 17

Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val Lys
1 5 10 15

Gly


<210> 18
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 18

Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr
1 5

<210> 19
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 19

Ser Tyr Ala Met Ser
1 5

<210> 20
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 20

Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys
1 5 10 15

Gly


<210> 21
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 21

Ser Tyr Gly Met Asn
1 5

<210> 22
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 22

Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Ile Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys
1 5 10 15

Gly


<210> 23
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 23

Ser Tyr Gly Met His
1 5

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<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 24

Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Ser Tyr Ala Asp Ser Val Lys
1 5 10 15

Gly


<210> 25
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 25

Gly Phe Thr Phe Ser Gly Tyr Gly
1 5

<210> 26
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 26

Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr
1 5

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<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 27

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr
1 5 10

<210> 28
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 28

Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr Ala
1 5

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<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 29

Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr Gly
1 5

<210> 30
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Heavy chain CDR sequence

<400> 30

Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Ile
1 5

<210> 31
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 31

Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr Leu His
1 5 10

<210> 32
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 32

Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser
1 5

<210> 33
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 33

Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg Thr
1 5

<210> 34
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 34

Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asn Tyr Leu Ala
1 5 10

<210> 35
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 35

Phe Ala Ser Thr Leu Gln Ser
1 5

<210> 36
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 36

Gln Asn Ala His Gly Phe Pro Arg Thr
1 5

<210> 37
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 37

Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
1 5

<210> 38
<211> 3
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 38

Phe Ala Ser
1

<210> 39
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 39

Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg Thr
1 5

<210> 40
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 40

Gln Thr Ile Ser Asn Tyr
1 5

<210> 41
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Light chain CDR sequence

<400> 41

Gln Asn Ala His Gly Phe Pro Arg Thr
1 5

<210> 42
<211> 488
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masked heavy chain

<400> 42

Gln Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val Asp Gln
1 5 10 15

Leu Glu Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln Leu Arg
20 25 30

Lys Lys Val Glu Lys Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
35 40 45

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
50 55 60

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Gly Tyr
65 70 75 80

Gly Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Arg Leu Glu Trp Val
85 90 95

Ala Thr Ile Thr Ser Gly Gly Thr Tyr Thr Tyr Tyr Pro Asp Ser Val
100 105 110

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
115 120 125

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Ile Tyr Phe Cys
130 135 140

Ala Arg Ser Leu Ala Gly Asn Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
145 150 155 160

Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val Phe Pro
165 170 175

Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala Leu Gly
180 185 190

Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser Trp Asn
195 200 205

Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val Leu Gln
210 215 220

Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro Ser Ser
225 230 235 240

Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys Pro Ser
245 250 255

Asn Thr Lys Val Asp Lys Lys Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp Lys Thr
260 265 270

His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly Pro Ser
275 280 285

Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile Ser Arg
290 295 300

Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu Asp Pro
305 310 315 320

Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His Asn Ala
325 330 335

Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val
340 345 350

Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr
355 360 365

Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr
370 375 380

Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu
385 390 395 400

Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys
405 410 415

Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser
420 425 430

Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp
435 440 445

Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser
450 455 460

Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His Glu Ala
465 470 475 480

Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys
485

<210> 43
<211> 262
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masked light chain

<400> 43

Gln Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Glu Glu Lys Val Lys Thr
1 5 10 15

Leu Arg Ala Glu Asn Tyr Glu Leu Lys Ser Glu Val Gln Arg Leu Glu
20 25 30

Glu Gln Val Ala Gln Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
35 40 45

Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
50 55 60

Glu Lys Val Thr Leu Thr Cys Arg Ala Ser Gln Thr Ile Ser Asp Tyr
65 70 75 80

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
85 90 95

Lys Phe Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
100 105 110

Ser Gly Ser Gly Ser Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
115 120 125

Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Asn Gly His Gly Phe Pro Arg
130 135 140

Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala
145 150 155 160

Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly
165 170 175

Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala
180 185 190

Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln
195 200 205

Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser
210 215 220

Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr
225 230 235 240

Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser
245 250 255

Phe Asn Arg Gly Glu Cys
260

<210> 44
<211> 54
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 44

Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val Asp Gln Leu
1 5 10 15

Gln Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln Leu Arg Lys
20 25 30

Lys Val Glu Lys Leu Ser Glu Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly Val
35 40 45

Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50

<210> 45
<211> 54
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 45

Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Arg Glu Arg Val Lys Thr Leu
1 5 10 15

Arg Ala Gln Asn Tyr Glu Leu Glu Ser Glu Val Gln Arg Leu Arg Glu
20 25 30

Gln Val Ala Gln Leu Ala Ser Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly Val
35 40 45

Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50

<210> 46
<211> 55
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 46

Leu Glu Ile Glu Ala Ala Phe Leu Glu Arg Glu Asn Thr Ala Leu Glu
1 5 10 15

Thr Arg Val Ala Glu Leu Arg Gln Arg Val Gln Arg Ala Arg Asn Arg
20 25 30

Val Ser Gln Tyr Arg Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly
35 40 45

Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 47
<211> 55
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 47

Leu Glu Ile Arg Ala Ala Phe Leu Arg Gln Arg Asn Thr Ala Leu Arg
1 5 10 15

Thr Glu Val Ala Glu Leu Glu Gln Glu Val Gln Arg Leu Glu Asn Glu
20 25 30

Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly
35 40 45

Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 48
<211> 56
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 48

Leu Glu Ile Arg Ala Ala Phe Leu Arg Arg Arg Asn Thr Ala Leu Arg
1 5 10 15

Thr Arg Val Ala Glu Leu Arg Gln Arg Val Gln Arg Leu Arg Asn Ile
20 25 30

Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu
35 40 45

Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 49
<211> 56
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 49

Leu Glu Ile Glu Ala Ala Phe Leu Glu Gln Glu Asn Thr Ala Leu Glu
1 5 10 15

Thr Glu Val Ala Glu Leu Glu Gln Glu Val Gln Arg Leu Glu Asn Ile
20 25 30

Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu
35 40 45

Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 50
<211> 47
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 50

Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val Asp Gln Leu
1 5 10 15

Glu Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln Leu Arg Lys
20 25 30

Lys Val Glu Lys Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
35 40 45

<210> 51
<211> 47
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 51

Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Glu Glu Lys Val Lys Thr Leu
1 5 10 15

Arg Ala Glu Asn Tyr Glu Leu Lys Ser Glu Val Gln Arg Leu Glu Glu
20 25 30

Gln Val Ala Gln Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
35 40 45

<210> 52
<211> 57
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 52

Gly Ala Leu Thr Asp Thr Leu Gln Ala Glu Thr Asp Gln Leu Glu Asp
1 5 10 15

Lys Lys Ser Ala Leu Gln Thr Glu Ile Ala Asn Leu Leu Lys Glu Lys
20 25 30

Glu Lys Leu Glu Phe Ile Leu Ala Ala His Gly Gly Gly Gly Gly Pro
35 40 45

Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 53
<211> 57
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 53

Gly Ala Arg Ile Ala Arg Leu Glu Glu Lys Val Lys Thr Leu Lys Ala
1 5 10 15

Gln Asn Ser Glu Leu Ala Ser Thr Ala Asn Met Leu Arg Glu Gln Val
20 25 30

Ala Gln Leu Lys Gln Lys Val Met Asn Tyr Gly Gly Gly Gly Gly Pro
35 40 45

Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 54
<211> 44
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 54

Gly Lys Ile Ala Ala Leu Lys Gln Lys Ile Ala Ala Leu Lys Tyr Lys
1 5 10 15

Asn Ala Ala Leu Lys Lys Lys Ile Ala Ala Leu Lys Gln Gly Gly Gly
20 25 30

Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
35 40

<210> 55
<211> 44
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 55

Gly Glu Ile Ala Ala Leu Glu Gln Glu Ile Ala Ala Leu Glu Lys Glu
1 5 10 15

Asn Ala Ala Leu Glu Trp Glu Ile Ala Ala Leu Glu Gln Gly Gly Gly
20 25 30

Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
35 40

<210> 56

<400> 56
000

<210> 57
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Protease cleavage sequence

<400> 57

Gly Pro Leu Gly Val Arg
1 5

<210> 58
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Protease cleavage sequence

<400> 58

Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
1 5

<210> 59
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 59

Gly Ser Gly Gly Ser
1 5

<210> 60
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 60

Gly Gly Gly Ser
1

<210> 61
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 61

Ser Gly Gly Gly Gly Gly Gly Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10

<210> 62
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 62

Gly Gly Ala Ala
1

<210> 63
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 63

Gly Gly Gly Gly Ser
1 5

<210> 64
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 64

Leu Ala Ala Ala Ala
1 5

<210> 65
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 65

Gly Gly Ser Gly
1

<210> 66
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 66

Gly Gly Ser Gly Gly
1 5

<210> 67
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 67

Gly Ser Gly Ser Gly
1 5

<210> 68
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 68

Gly Ser Gly Gly Gly
1 5

<210> 69
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 69

Gly Gly Gly Ser Gly
1 5

<210> 70
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary linker

<400> 70

Gly Ser Ser Ser Gly
1 5

<210> 71
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary protease site

<220>
<221> misc_feature
<222> (4)..(6)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid

<400> 71

Pro Leu Gly Xaa Xaa Xaa
1 5

<210> 72
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary protease site

<400> 72

Pro Leu Gly Val Arg
1 5

<210> 73
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary protease site

<400> 73

Ile Pro Val Ser Leu Arg Ser Gly
1 5

<210> 74
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> exemplary protease site

<400> 74

Leu Ser Gly Arg Ser Asp Asn Tyr
1 5

<210> 75
<211> 57
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 75

Glu Ala Cys Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val
1 5 10 15

Asp Gln Leu Gln Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln
20 25 30

Leu Arg Lys Lys Val Glu Lys Leu Ser Glu Gly Gly Gly Gly Gly Pro
35 40 45

Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 76
<211> 57
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 76

Glu Ala Cys Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Arg Glu Arg Val
1 5 10 15

Lys Thr Leu Arg Ala Gln Asn Tyr Glu Leu Glu Ser Glu Val Gln Arg
20 25 30

Leu Arg Glu Gln Val Ala Gln Leu Ala Ser Gly Gly Gly Gly Gly Pro
35 40 45

Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 77
<211> 58
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 77

Glu Ala Cys Leu Glu Ile Glu Ala Ala Phe Leu Glu Arg Glu Asn Thr
1 5 10 15

Ala Leu Glu Thr Arg Val Ala Glu Leu Arg Gln Arg Val Gln Arg Ala
20 25 30

Arg Asn Arg Val Ser Gln Tyr Arg Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly
35 40 45

Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 78
<211> 58
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 78

Glu Ala Cys Leu Glu Ile Arg Ala Ala Phe Leu Arg Gln Arg Asn Thr
1 5 10 15

Ala Leu Arg Thr Glu Val Ala Glu Leu Glu Gln Glu Val Gln Arg Leu
20 25 30

Glu Asn Glu Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly
35 40 45

Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 79
<211> 59
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 79

Glu Ala Cys Leu Glu Ile Arg Ala Ala Phe Leu Arg Arg Arg Asn Thr
1 5 10 15

Ala Leu Arg Thr Arg Val Ala Glu Leu Arg Gln Arg Val Gln Arg Leu
20 25 30

Arg Asn Ile Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly
35 40 45

Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 80
<211> 59
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 80

Glu Ala Cys Leu Glu Ile Glu Ala Ala Phe Leu Glu Gln Glu Asn Thr
1 5 10 15

Ala Leu Glu Thr Glu Val Ala Glu Leu Glu Gln Glu Val Gln Arg Leu
20 25 30

Glu Asn Ile Val Ser Gln Tyr Glu Thr Arg Tyr Gly Gly Gly Gly Gly
35 40 45

Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55

<210> 81
<211> 50
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 81

Glu Ala Cys Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val
1 5 10 15

Asp Gln Leu Glu Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln
20 25 30

Leu Arg Lys Lys Val Glu Lys Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg
35 40 45

Ser Gly
50

<210> 82
<211> 50
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 82

Glu Ala Cys Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Glu Glu Lys Val
1 5 10 15

Lys Thr Leu Arg Ala Glu Asn Tyr Glu Leu Lys Ser Glu Val Gln Arg
20 25 30

Leu Glu Glu Gln Val Ala Gln Leu Gly Ser Ile Pro Val Ser Leu Arg
35 40 45

Ser Gly
50

<210> 83
<211> 60
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 83

Glu Ala Cys Gly Ala Leu Thr Asp Thr Leu Gln Ala Glu Thr Asp Gln
1 5 10 15

Leu Glu Asp Lys Lys Ser Ala Leu Gln Thr Glu Ile Ala Asn Leu Leu
20 25 30

Lys Glu Lys Glu Lys Leu Glu Phe Ile Leu Ala Ala His Gly Gly Gly
35 40 45

Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55 60

<210> 84
<211> 60
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 84

Glu Ala Cys Gly Ala Arg Ile Ala Arg Leu Glu Glu Lys Val Lys Thr
1 5 10 15

Leu Lys Ala Gln Asn Ser Glu Leu Ala Ser Thr Ala Asn Met Leu Arg
20 25 30

Glu Gln Val Ala Gln Leu Lys Gln Lys Val Met Asn Tyr Gly Gly Gly
35 40 45

Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
50 55 60

<210> 85
<211> 47
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 85

Glu Ala Cys Gly Lys Ile Ala Ala Leu Lys Gln Lys Ile Ala Ala Leu
1 5 10 15

Lys Tyr Lys Asn Ala Ala Leu Lys Lys Lys Ile Ala Ala Leu Lys Gln
20 25 30

Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
35 40 45

<210> 86
<211> 47
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 86

Glu Ala Cys Gly Glu Ile Ala Ala Leu Glu Gln Glu Ile Ala Ala Leu
1 5 10 15

Glu Lys Glu Asn Ala Ala Leu Glu Trp Glu Ile Ala Ala Leu Glu Gln
20 25 30

Gly Gly Gly Gly Gly Pro Leu Gly Val Arg Gly Gly Gly Gly Ser
35 40 45

<210> 87

<400> 87
000

<210> 88
<211> 113
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 88

Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ser Ala Ile Ser Gly Ser Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Lys Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser
100 105 110

Ser


<210> 89
<211> 113
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 89

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Glu Met Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ser Tyr Ile Ser Ser Ser Gly Ser Thr Ile Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Ser Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Arg Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser
100 105 110

Ser


<210> 90
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 90

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Val Ser Ser Asn
20 25 30

Tyr Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45

Ser Val Ile Tyr Ser Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys
50 55 60

Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr Leu
65 70 75 80

Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala
85 90 95

Arg Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
100 105 110

<210> 91
<211> 113
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 91

Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15

Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30

Trp Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45

Ser Arg Ile Asn Ser Asp Gly Ser Ser Thr Ser Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60

Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80

Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95

Ala Arg Tyr Phe Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser
100 105 110

Ser


<210> 92
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 92

Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Asp Phe Gln Ser Val Thr Pro Lys
1 5 10 15

Glu Lys Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser
20 25 30

Leu His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Asp Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Lys Tyr Ala Ser Gln Ser Ile Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asn Ser Leu Glu Ala
65 70 75 80

Glu Asp Ala Ala Thr Tyr Tyr Cys His Gln Ser Ser Ser Leu Pro Thr
85 90 95

Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 93
<211> 107
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<400> 93

Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Ser Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15

Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Gly Ile Ser Asn Tyr
20 25 30

Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Val Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45

Tyr Ala Ala Ser Thr Leu Gln Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60

Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80

Glu Asp Val Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Lys Tyr Asn Ser Ala Pro Thr
85 90 95

Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg
100 105

<210> 94
<211> 40
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 94

Gln Gly Ala Ser Thr Ser Val Asp Glu Leu Gln Ala Glu Val Asp Gln
1 5 10 15

Leu Glu Asp Glu Asn Tyr Ala Leu Lys Thr Lys Val Ala Gln Leu Arg
20 25 30

Lys Lys Val Glu Lys Leu Gly Ser
35 40

<210> 95
<211> 40
<212> PRT
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> Masking domain sequence

<400> 95

Gln Gly Ala Ser Thr Thr Val Ala Gln Leu Glu Glu Lys Val Lys Thr
1 5 10 15

Leu Arg Ala Glu Asn Tyr Glu Leu Lys Ser Glu Val Gln Arg Leu Glu
20 25 30

Glu Gln Val Ala Gln Leu Gly Ser
35 40
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図1-9】
図1-10】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図9-1】
図9-2】
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18-1】
図18-2】
図18-3】
図18-4】
図19-1】
図19-2】
図19-3】
図19-4】
図20
図21
図22
図23-1】
図23-2】
図23-3】
図23-4】
図24
図25-1】
図25-2】
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35-1】
図35-2】
図36-1】
図36-2】
図37-1】
図37-2】
図37-3】
図37-4】
図37-5】
図37-6】
図38
図39-1】
図39-2】
図39-3】
図40
図41
図42
図43
図44
図45-1】
図45-2】
図45-3】
図46-1】
図46-2】
図47
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載された発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024026144000001.xml