(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026145
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】トリクロロシランを調製するためのシリコン顆粒、及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/02 20060101AFI20240220BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20240220BHJP
【FI】
C01B33/02 Z ZAB
B09B3/70
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198051
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2020554942の分割
【原出願日】2018-11-30
(31)【優先権主張番号】17/62714
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】520223860
【氏名又は名称】ロシ
【氏名又は名称原語表記】ROSI
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】バジョレ, ダニエル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シリコンインゴットを切断する際の廃棄物を再利用することによりもたらされ、且つトリクロロシランの調製に特に適切であるシリコン顆粒の製造方法を提供する。
【解決手段】a)ダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの切断からのシリコン廃棄物を供給するステップと、b)シリコン廃棄物を化学的に処理して、すべて又は一部の不純物からシリコン粒子を分離、乾燥させて粉体を形成するステップと、c)粉体を冶金処理して液体シリコン浴を形成するステップと、d)共触媒を、液体シリコン浴へと導入するステップと、e)液体シリコンを凝固させてシリコン顆粒を形成するステップと、を含み、シリコン顆粒の相当Sauter直径は10~500ミクロンであり、シリコン顆粒は、それぞれ5ppm未満の質量分率の、P又はBを含むドーパントと、1~2500ppmの質量分率の少なくとも1種の共触媒と、金属不純物と、を含む、方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン顆粒の製造方法であって、
a) ダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの切断からのシリコン廃棄物を供給するステップであり、前記シリコン廃棄物が、酸化物層で覆われており且つ水性媒体中で不純物と混合されているシリコン粒子を含む、ステップと、
b) 前記シリコン廃棄物を化学的に処理して、すべて又は一部の前記不純物から前記シリコン粒子を分離し、及び、前記シリコン粒子を乾燥させて粉体を形成するステップと、
c) 前記粉体を冶金処理して、前記シリコン粒子を融解し、液体シリコン浴を形成するステップと、
d) 少なくとも1種の共触媒を、前記シリコン顆粒中の前記共触媒の質量分率が1~2500ppmとなるような量で前記液体シリコン浴へと導入するステップと、
e) 前記液体シリコンを凝固させて、前記シリコン顆粒を形成するステップと、を含み、
前記シリコン顆粒の相当Sauter直径は10~500ミクロンであり、
前記シリコン顆粒は、
それぞれ5ppm未満の質量分率の、リン又はホウ素を含むドーパントと、
1~2500ppmの質量分率の少なくとも1種の共触媒と、
前記少なくとも1種の共触媒を除く、それぞれ50ppm未満の質量分率の金属不純物と、を含む、方法。
【請求項2】
ステップe)が、液体シリコンの滴を急速冷却することにより顆粒化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップe)が、急速冷却を可能とするように構成したインゴット鋳型へと前記液体シリコンを流し込んで、凝固したシリコンブロックを形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記凝固したシリコンブロックを、粉砕して、前記シリコン顆粒を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
篩い分け又は飛翔により分離して、サイズで前記シリコン顆粒を選別するステップf)を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップd)において、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の前記共触媒が、金属又は金属合金の形態で、前記液体シリコン浴に導入される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ステップa)が、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満の相当Sauter直径のシリコン粒を供給することを含み、前記シリコン粒がシリコン廃棄物と混合される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ステップc)において、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満の相当Sauter直径のシリコン粒が、前記シリコン粒子の前記粉体と共に溶融される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ステップa)が、粉砕され且つダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの前記切断からもたらされる前記シリコン廃棄物と混合された、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板を供給することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップc)において、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板の粉砕された断片が、前記シリコン粒子の前記粉体と共に溶融される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、光起電力産業のためのシリコン生産ラインに関する。本発明は、特に、シリコンインゴットを切断する際の廃棄物(「カーフ」)を再利用することによりもたらされ、且つトリクロロシラン(TCS)の調製に特に適切であるシリコンの顆粒に関する。
【0002】
[本発明の技術的背景]
光起電力産業に必要な高純度シリコンのための生産チェーンは、一連の複雑な冶金学的及び化学的プロセスである。
【0003】
初期材料である冶金シリコン(MG-Si、「冶金級シリコン」用)は、反応性が高い無煙炭又は木炭などの還元剤と混合された石英の炭素還元反応から生じ、常に木材が伴う。混合物は、電気アーク炉で極めて高い温度にされる。混合物は、後に粉砕されるであろうインゴットの形態、又は平均径が数百ミクロンの顆粒の形態のいずれかである凝固した冶金シリコンが得られるまで、様々な精錬を受ける。冶金シリコンは、以下の多くの不純物を有する:
200ppm(ppm:質量百万分率)を優に上回る割合の、金属タイプ(Fe、Al、C、Ti、等)の不純物、
20ppmよりも高い割合のドープタイプ、例えばリン(P)及びホウ素(B)の不純物、
100ppmよりも高い割合の、有機(C)又は酸素(O)タイプの不純物。
【0004】
不純物のこの濃度が光起電力シリコンの規格値と非両立的であるため、冶金シリコンの顆粒又は断片は、塩素処理又は塩化水素処理により化学的に処理され、塩素処理又は塩化水素処理による化学的プロセスの終わりには、シリコンを含有する以下のガス状化合物が得られる:トリクロロシラン(HSiCl3、TCSとして公知である)。
【0005】
塩素処理プロセスは流動床反応器で行なわれ、ここでは、顆粒の又は粉砕されたMG-Siが塩化水素ガスと接触させられる。反応器の温度及び圧力は、それぞれ約300℃及び4barである。塩素処理プロセスの終わりに、TCSが過半数の割合で形成され、シリコン又は不純物を含有する四塩化ケイ素(STC)及び他の塩素化化合物も形成される。
【0006】
代替的な塩化水素処理プロセスはまた、流動床反応器において、より高い温度及び圧力(450℃、10~50bar)で行なわれる。顆粒の又は粉砕された冶金シリコンは、STC(SiCl4)及び水素に接触させられる。出口で、TCSが、塩素処理反応と比較してより低い割合で形成され、シリコン又は不純物を含有する他の塩素化化合物も生成される。
【0007】
その後、塩素処理又は塩化水素処理のプロセスのいずれかの「不純な」TCSが、一連の蒸留ステップにより精製される。一連の蒸留ステップは、極めて長く、シリコン生産チェーンにおける投資及び運転費用の負担が大きい。特に、ドーパントタイプの不純物(P、B)は、除去するのが非常に難しく、蒸留塔の高い還流率(典型的には100よりも高い)が、TCSの必要な純度を達成するのに必要である。
【0008】
その後、精製されたTCSは、光起電力品質(PV)のインゴットを引き上げるための原料を構成する高純度シリコンの断片又は粒に変換することができる。光起電力品質(PV)のインゴットを引き上げるための原料は、一般的にPCS(多結晶質シリコン)と呼ばれる。
【0009】
PCSを形成するための第1の手段は、Siemensベル反応器(「ベルジャー反応器」)において高温(おおよそ1200℃)でTCSを分解することからなり;シリコンを、反応器の内部に配置されたフィラメントに徐々に堆積させ、プロセスの終わりには、6N(>99.9999%)~11Nの典型的な純度のシリコンバーが形成される。その後、高純度のバーを粉砕して、インゴットを引き上げるために融解されるであろうシリコンの大きな断片(「チャンク」)を得る。
【0010】
代替的な経路は、TCSをモノシラン(SiH4)に変換し、その後モノシランを流動床反応器で分解するステップからなる。細かいシリコン種に接触するように入れたSiH4が、高純度シリコン粒の形成を可能にする。400ミクロンよりも大きなシリコン粒は、光起電力級インゴットを引き上げるためにチャンクと共に融解できる。生産量のうちのおおよそ10%である400ミクロン未満のサイズのシリコン粒は、特に、その飛び出しがインゴットを引き上げるための装置の電気的及び機械的構成要素と非両立的であり、並びに引き上げプロセスの効率を低減させる酸化物の割合が高いので使用できない。
【0011】
その後、PV級シリコンインゴットは、以下のいくつかの切断ステップ:インゴットのブランクを切断して矩形ブロックを画定する第1のステップ、及びインゴットを薄片へと切断する第2のステップ、を受ける。この切断が、高純度シリコンの原料の約40~50%の著しい損失(カーフ)の原因である。
【0012】
従来、切断は、SiCがベースの研磨材及び有機潤滑剤(PEG、ポリエチレングリコール)を用いる鋸引きにより実施された。文献国際公開第2010127669号は、このタイプの切断からのカーフを再利用するための解決策を提供する。記載されている方法によれば、必要な純度を有するシリコンの部分を含むカーフの固形成分は、適切なサイズを有する顆粒へと圧縮及び形成され;その後、適切なサイズを有する顆粒は、トリクロロシラン(TCS)及び四塩化ケイ素を得るために、塩化水素を含む反応器へと導入され、カーフの鉄成分が塩化鉄に転化される一方で、存在するSiCの部分は粉じんの形態で反応器の下部に集まる。
【0013】
実際問題として、シリコンと比較して多くのSiC(2/3以上)を含有するカーフは、処理するのが非常に困難であり、提案された溶液の産業的な実装は複雑である。結合剤による微細粒子(「微粉」と呼ばれる)の凝集は反応温度で効果的でなく、前記微細粒子は流動床をすぐに出ていく。最終的に、SiCの蓄積は、反応器の生産性を非常に速く鈍化させる。
【0014】
数年間、PV級シリコンインゴットの切断は、ダイヤモンドワイヤー、水又は潤滑剤として使用されるPEGを用いて実施されてきた。その廃棄物(カーフ)は、主にシリコンからできており、いくつかの不純物は、ダイヤモンドワイヤーの摩耗に関係する。したがって、これらのカーフを回収及び再利用して、カーフが含有しているシリコンを光起電力シリコンの生産チェーンに再導入するという関心が高まっている。
【0015】
[発明の主題]
本発明は、シリコン廃棄物を再利用するための代替的な解決策に関する。本発明は、特に、カーフの再利用からもたらされ、且つTCSを調製するのに特に適切なシリコン顆粒に関する。本発明はまた、シリコン顆粒のための製造方法に関する。
【0016】
[発明の簡単な説明]
本発明は、10~500ミクロンのサイズを有するシリコン顆粒、特にトリクロロシラン(TCS)を調製するのに適切なシリコン顆粒であって、
5ppm未満の質量分率の、リン又はホウ素を含むドーパントと、
1~2500ppmの質量分率の、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の共触媒と、
前記少なくとも1種の共触媒を除く、50ppm未満の質量分率の金属不純物と
を含む、シリコン顆粒に関する。
【0017】
単独の又は組み合わせた、本発明の他の有利且つ非限定的な特徴に従って、
酸素の質量分率は、100ppm未満である。
【0018】
本発明はまた、上記のようなシリコン顆粒を含む粉体状調製物に関する。前記粉体状調製物中のシリコン顆粒の平均サイズは、50~400ミクロンである。
【0019】
特定の実施形態に従って、粉体状調製物中のシリコン顆粒のサイズは、50ミクロンを超える。
【0020】
本発明はまた、上記のようなシリコン顆粒のための製造方法であって、
a) ダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの切断からのシリコン廃棄物を供給するステップであり、前記廃棄物が、酸化物層で覆われており且つ水性媒体中で不純物と混合されているシリコン粒子を含む、ステップ、及び/又はマイクロエレクトロニクス又は光起電力産業の格下げになった基板から粉砕されたシリコン廃棄物を供給するステップであり、前記廃棄物が、酸化物層で覆われており且つ不純物と混合されているシリコン粒子を含む、ステップと、
b) 廃棄物を化学的に処理して、すべて又は一部の不純物からシリコン粒子を分離し、シリコン粒子を乾燥させて粉体を形成するステップと、
c) 粉体を冶金処理して、シリコン粒子を融解し、液体シリコン浴を形成するステップと、
d) 少なくとも1種の共触媒を、シリコン顆粒中の共触媒の質量分率が1~2500ppmとなるような量で液体シリコン浴へと導入するステップと、
e) 液体シリコンを凝固させて、シリコン顆粒を形成するステップと
を含む、製造方法に関する。
【0021】
単独的な、又は技術的に実現可能なあらゆる組み合わせの、本発明の他の有利で非限定的な特徴に従って、
ステップe)は、液体シリコンの小滴を急速冷却することにより顆粒化するステップを含み、
ステップe)は、急速冷却を可能にするように構成したインゴット鋳型へと液体シリコンを流し込んで、凝固したシリコンのブロックを形成することを含み、
凝固したシリコンブロックを、粉砕し、シリコン顆粒を形成し、
製造方法は、篩い分け又は飛翔(flight)により分離して、シリコン顆粒をサイズで選別するステップf)を含み、
ステップd)では、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の共触媒が、金属又は金属合金の形態で、液体シリコン浴へと導入され、
ステップa)は、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満のサイズのシリコン粒を供給し、シリコン粒をシリコン廃棄物と混合することを含み、
ステップc)では、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満のサイズのシリコン粒は、シリコン粒子の粉体と共に融解され、
ステップa)は、粉砕され且つダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの切断からもたらされるシリコン廃棄物と混合された、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板を供給することを含み、
ステップc)では、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板の粉砕した断片は、シリコン粒子の粉体と共に融解される。
【0022】
最後に、本発明は、塩素処理又は塩化水素処理をすることによりトリクロロシラン(TCS)を得るための方法であって、上記のような粉体状調製物を使用する、方法に関する。
【0023】
表1は、発光放電質量分析法により測定された、技術水準の冶金シリコンの典型的な組成を示し、
表2a、表2b、表2cは、発光放電質量分析法により測定された、本発明にかかるシリコン顆粒の組成の例を示し、
表3は、発光放電質量分析法により測定された、本発明にかかる製造方法の化学的処理ステップからもたらされる粉体中のシリコン粒子の典型的な組成を示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明にかかる製造方法の化学的処理ステップを示す概略図である。
【
図2】本発明にかかる製造方法の化学的処理ステップからもたらされる粉体中のシリコン粒子のサイズ分布の一例を示すグラフである。
【0025】
[発明の詳細な説明]
本発明の他の特徴及び利点は、添付図に関連して、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0026】
本発明は、塩素処理又は塩化水素処理のプロセスにおけるトリクロロシラン(TCS)の生成を最適化するように特別に適合させられたシリコン顆粒に関する。
【0027】
本発明の文脈における「顆粒」という用語は、広い意味で理解されなければならず、すなわち、異なる形状、特に球形、円形、長方形、又は角形を有することができる小さいサイズの粒又は粒子に相当する。
【0028】
本発明にかかるシリコン顆粒は、おおよそ10ミクロン~おおよそ500ミクロンのサイズを有する。ここでのいわゆる顆粒サイズは、シリコン顆粒の「相当Sauter直径」である。「Sauterの相当直径」は、定義されている技術による粒度測定間で同様に振る舞う球体の直径である。特に、例として、Malvernタイプのレーザー回折による測定技術を言及することができる。
【0029】
シリコン顆粒は少量のドーパント、特にリン及びホウ素タイプのドーパントを含み、各ドーパントは、質量分率(mass faction)が5ppm未満である。単位「ppm」(百万分率)が、常に質量分率に関係するように以下の説明で使用されていることに留意されたい。
【0030】
有利には、シリコン顆粒はまた、少ない量(5ppm未満)の他のドーパント、例えば、ヒ素、アンチモンを含有する。
【0031】
本発明にかかるシリコン顆粒はまた、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の共触媒を含み、共触媒の質量分率は、1~2500ppm、有利には100~2000ppmで調節可能である。共触媒は、特に塩素処理又は塩化水素処理の反応を促進するために、シリコンマトリックス中に存在する必要がある不純物である。これらの共触媒は、一般には、シリコンの結晶粒界に金属間化合物として存在する。
【0032】
例えば、チタン、ニッケル、亜鉛、クロム、マグネシウム、マンガン、バナジウム等などの、少なくとも1種の共触媒以外の金属不純物が、50ppm未満、さらには30ppm未満、又はさらには10ppm未満の各不純物の質量分率に相当する少ない量でシリコン顆粒中に存在する。
【0033】
本発明にかかるシリコン顆粒を含む粉体状調製物は、今から説明する理由で、塩素処理又は塩化水素処理のプロセスによりTCSを生成するのに特に好都合である。
【0034】
一方で、シリコン顆粒に含有されているドーパント及び金属不純物(共触媒以外)の質量分率が低いことが、TCSを精製するのに必要な蒸留サイクルの回数を大幅に限定することを可能にする。リン及びホウ素化合物の蒸留が、特に長く複雑であることを忘れてはならない:塩素処理又は塩化水素処理のプロセスのための投入材料として通常使用される、顆粒の又は粉砕された冶金シリコンは、典型的には、70~100ppmのリン及び50~70ppmのホウ素を含有する(表1)。本発明にかかるシリコン顆粒は、これらのドーパントの各々が5ppm未満である。表2aは、グロー放電質量分析法(GDMS)により測定された、本発明にかかるシリコン顆粒の組成の例を例示する表である:ホウ素は0.4ppmで存在し、2ppmのリンは、冶金シリコンよりも30倍超低い。したがって、このタイプの顆粒から作られたTCSは、精製がはるかに単純で迅速である。
【0035】
【0036】
【0037】
他方では、流動床のシリコン顆粒の反応性は、塩素処理及び塩化水素処理の反応の間、圧力及び温度以外のいくつかのパラメーターに応じる。特に、
・後に共触媒として考慮されなければならない特定の「有益な」不純物についてのシリコン顆粒の含有量、
・流動床で、反応塊すなわちシリコン顆粒に添加される触媒の性質及び量。
【0038】
序論に示したように、次の反応を、塩素処理において行なう。
Si+HCl→TCS+STC+不純物及び副産物
【0039】
塩化水素処理では、反応は、次の通りである:
Si+2H2+3STC→4TCS+不純物及び副産物。
【0040】
シリコン顆粒中の金属間化合物の形状及び選択された割合の特定の共触媒の存在により、塩素処理又は塩化水素処理の化学反応をより効果的に活性化することが可能となる。
【0041】
塩素処理では、最も一般的に使用される触媒は、銅である。さらに、本発明にかかる粉体状調製物の顆粒のアルミニウム及び鉄の含有量は、最大の反応率及び最も高いTCS選択性を得るように最適化される。
【0042】
塩素処理プロセスに適切な粉体状調製物は、鉄がTCSの選択性を鈍化させるので、有利には、鉄含有量が限定される。粉体状調製物の顆粒は、例えば、表2bの組成を有してもよい。
【0043】
【表3】
塩化水素処理では、最も活性な共触媒は、鉄及びアルミニウムであり、鉄の量は、塩素処理での鉄の量よりも著しく多くなければならない。銅はまた、一般的に、反応を触媒するために使用される。
【0044】
例えば、塩化水素処理プロセスに適切な粉体状調製物は、表2cの組成を有してもよい。有利には、アルミニウム含有量が低い(例えば、1000ppm)シリコンを用いて、塩化銅は、反応の効率を改善するために、d50がおおよそ50μmであるマイクロビーズの形態で、流動床反応器に直接導入できる。
【0045】
【0046】
本発明にかかる、シリコン顆粒は、不必要にシリコンを再汚染することなく、効果的に触媒作用を及ぼすために、1~2500ppmの質量分率の(少なくとも1種の)共触媒を含む:したがって、このタイプの顆粒から出発するTCSのための生成方法は、より効果的であり、改善された反応性及びより速い精製のおかげで、エネルギー及び生産能力の著しい向上を可能にする。
【0047】
有利には、粉体状調製物中のシリコン顆粒の平均サイズは、50~400ミクロンである。d50とも呼ばれる平均サイズは、50体積%のシリコン顆粒のサイズよりも大きく、及び50体積%のシリコン顆粒のサイズよりも小さいサイズを意味する。
【0048】
塩素処理又は塩化水素処理の流動床のシリコン顆粒の反応性はまた、粒子の比表面に応じ、シリコン顆粒のd50に関係する。50~400ミクロンのd50は、塩素処理プロセスに完全に適している。
【0049】
塩化水素処理プロセスで使用するために、本発明にかかる粉体状調製物は、50ミクロンを超えるサイズのシリコン顆粒のみを含有し、より細い顆粒は、熱交換器を詰まらせるという実践的理由のために塩化水素処理プロセスと両立し難い。
【0050】
本発明にかかるシリコン顆粒は、シリコン顆粒が流動床における塩素処理及び塩化水素処理反応の効率及び反応性に好都合であるサイズ及び化学組成を有するという点で、塩素処理又は塩化水素処理によるTCSの生成に特に適切であり、「反応に有用でない」ドーパント及び金属不純物(すなわち、共触媒を除く)の含有量が低いことも、TCSを精製するための後続のステップを限定する。
【0051】
したがって、適切性は、シリコン顆粒のサイズ及びそれらの化学組成、各塩素処理又は塩化水素処理プロセスの独自性に従って最適化及び調節できるパラメーターの組み合わせからもたらされる。
【0052】
別の有利な態様に従って、シリコン顆粒に含有されている酸素の質量分率は、100ppm未満である。酸素は、シリコン顆粒を通常覆う酸化物層から本質的に生じる。可能な限り薄い酸化物層は、触媒がシリコン表面及び特に金属間化合物(共触媒からの)と速く接触するので、塩素処理又は塩化水素処理プロセスの流動床における化学反応の反応性を促進するであろう。
【0053】
低い酸素含有量を維持するために、本発明にかかる粉体状調製物は、有利には、中性雰囲気下、例えば窒素下で梱包され、このように、シリコン顆粒を酸化可能な高濃度酸素雰囲気とのあらゆる接触を限定する。
【0054】
本発明はまた、シリコン顆粒のための製造方法に関する。
【0055】
製造方法は、光起電力品質のインゴットを、ダイヤモンドワイヤーにより切断することによってもたらされるシリコン廃棄物(カーフ)を供給するステップa)を含む。前記廃棄物は、酸化物層で覆われており且つ水性媒体中で不純物と混合されているシリコン粒子を含み、これらの不純物は、金属粒子及び場合によっては有機添加剤を含む。
【0056】
特定の実施形態に従って、ステップa)はまた、モノシランの分解に基づいて流動床反応器からシリコン粒を供給することを含んでもよい。好ましくは、このシリコン粒は、ステップa)で供給されるであろう、約400ミクロン未満のサイズの粒であり、序論で言及したように、この粒はPVインゴットを引き上げるためのプロセスと両立し難い。このシリコン粒は、プロセスのステップa)で、シリコン廃棄物(カーフ)と混合することができる。このシリコン粒が、代替的に、単独的に(カーフと混合されずに)使用でき、製造方法の後続の段階を経ることに留意されたい。
【0057】
実施の別の特定の方法に従って、ステップa)は、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板の供給を含むことができる。格下げになった基板は、破損、欠損、若しくは他の不適合が原因で生産ラインから除去されたシリコンベース基板、又は寿命の終わりの基板を意味し、再利用可能である。例えば、これらの格下げになった基板は、すべて又は一部の構成要素を形成する、均一であるか又はパターン化された絶縁層又は金属層を含む、単結晶又は多結晶シリコンウェハ、SOI(絶縁体上のシリコン)ウェハ、欠陥のある又は寿命が終わった太陽光パネル等である可能性がある。
【0058】
これらの格下げになった基板は、粉砕され、本発明にかかるプロセスの後続のステップを続行することができるか、又は格下げになった基板は、プロセスのステップを続行する前に、プロセスのステップa)で、シリコン廃棄物(カーフ)と混合されてもよい。
【0059】
その後、製造方法は、ステップa)で供給された材料を化学的に処理するステップb)を含む。このステップb)は、一方では、すべて又は一部の不純物からシリコン粒子を分離すること、他方では、シリコン粒子を乾燥させて粉体を形成することを目的とする。
【0060】
シリコン廃棄物(カーフ)は、例えばPEGなどの可溶性有機添加剤を補った水性液中の、おおよそ5%のシリコン粒子及び金属粒子の懸濁液の形態である。第1の操作は、通常、切断システムで場合によっては再利用できる液状部分を大まかに分離することからなる。その後、残留するペースト状混合物は、典型的には、酸化物層2及び有機化合物の層3で覆われているシリコン粒子1、並びに金属粒子又はイオン4を含む(
図1のa)。その後、このペースト状混合物は化学的処理ステップを経るが、それらの順序は以下の通りである:
・金属、又はダイヤモンドワイヤーで切断することによりもたらされるインゴット支持体からの粒子などの不純物4、及び有機化合物3を分散させ(
図1のb)、
・シリコン粒子1を固体相から濾過して、液体及び不純物を除去し(
図1のc)、
・操作を繰り返して、汚染された残留物(不純物)をほぼ含有しないシリコン粒子の凝集体を得て、
・シリコン粒子1の凝集体を、前記粒子1の表面に位置する酸化物層2を最小化又は減少させる化学溶液で「エッチング」により処理する。特に、フッ化水素酸がベースの溶液を、凝集体に適用し、その後、水を用いる数回のすすぎサイクルにさらしてもよく、
・乾燥粉体を得るために凝集体を不活性雰囲気下で乾燥させ、これを有利には不活性雰囲気下で保存する。
【0061】
これらの化学的処理の順序は、特に、技術水準の化学的プロセス、例えば、「High yield recycling process of silicon kerf from diamond wire wafering」(第24回European Photovoltaic Solar Energy Conference、2009年9月21~25日、Hamburg、Germany)と題する刊行物でLombardiにより説明されているものなどに従って実施することができる。
【0062】
化学的処理のこのステップb)の結果は、
図2に例として例示されるように、1ミクロンを典型的に中心とする実質的ガウス粒径分布(約1ミクロンのd50)を有する微細粉体である。微細粉体の典型的な化学組成は、表3に例示される。微細粉体の純度のレベルは、非常に良好である:これは、一方では、シリコン粒子が高純度のインゴットを切断することで生じ、他方では、化学的処理が、切断廃棄物中に存在する大部分の不純物(金属粒子及び有機添加剤)からシリコン粒子を分離することを可能にするからである。
【0063】
【0064】
格下げになった基板がステップa)でシリコン廃棄物として導入される特定の実施形態では、前記格下げになった基板は、基板が反応を示すすべて又は一部の表面層を除去することを可能にする化学的処理のステップb)を受けてもよい。化学的処理のステップは、前記表面層のドライ又はウェットエッチング、格下げになった基板のすすぎ及び乾燥の公知の順序を含んでもよい。その後、基板は粉砕されて、単独的に、又は他の廃棄物から得られたシリコン粒子の粉体と混合されて、製造方法の以下のステップc)を受けるであろう。
【0065】
その後、製造方法は、ステップb)で得られた微細粉体を冶金処理するステップc)を含む。ステップc)は、粉体のシリコン粒子を溶融し、液体シリコン浴を形成することを目的とする。
【0066】
微細シリコン粒子の融解は、産業上実施するのが複雑である。d50の減少に伴って比表面が増大すること、及び粒子の表面に酸化ケイ素(SiO2)の絶縁性の高い層が存在することで、操作が繊細なものとなる。異なる融解方法は、従来技術、特に、文献米国特許第4354987号及び欧州特許第0158563号で提案されており、本発明の文脈において使用される可能性がある。
【0067】
本発明の有利な実施形態に従って、粉体の冶金処理は、誘導加熱を用いる、黒鉛るつぼを備えた融解装置で実施される。るつぼの温度は、おおよそ1500℃まで上昇した。シリコン粒子の微粉は、上部開口を介して、るつぼへと導入される。粒子を形成するシリコンは、溶融し、酸化物層により形成された「シェル」から流れ出て、液体シリコンの浴に流れ込むであろう。固体状態で残っている酸化物は、凝集し、液体シリコン浴に浮かぶであろう。るつぼに設けられた少なくとも1つのオリフィスが、この目的を実現するチャネル中の液体シリコンの連続的な流れを可能にする。目的を実現するチャネルの出口の液体シリコンがどのように成形されるかは、後で説明する。
【0068】
特定の実施形態に従って、ステップc)では、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる有利には400ミクロン未満のサイズのシリコン粒が、シリコン粒子の粉体と共に溶融されるか、又は単独的に溶融されてもよい。これによって、流動床によるPVシリコンの生産ラインに、小さなシリコン粒(序論で言及されるような生産量のうちの10%)を効果的に再導入することを可能にする。
【0069】
製造方法はまた、液体シリコン浴へと、アルミニウム、鉄、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の共触媒を導入するステップd)を含む。このステップは、製造方法からもたらされるシリコン顆粒中の、1個又は複数の共触媒の含有量を最適化することを目的とする。
【0070】
共触媒の含有量の最適化は、「有益でなく」(特に、塩素処理又は塩化水素処理のプロセスに対して)、且つ最終的なPCSシリコンにおいて望まれない、ドーパント(リン及びホウ素)又は他の金属不純物の添加を避ける、液体シリコン浴での制御された添加により行われる。導入される1種又は複数の共触媒の性質及び量は、特に塩素処理又は塩化水素処理のためのシリコン顆粒の意図される使用、並びにこれらのプロセスを実施するための特定の条件に依存する。
【0071】
ステップd)は、液体シリコン浴を用いて、混合された1種又は複数の共触媒の性質及び量を調節すること、したがって本発明にかかる製造方法から得られたシリコン顆粒中の1種又は複数の共触媒の質量分率を調節することを可能とし;そのような調節は、塩素処理又は塩化水素処理のプロセスの反応率を最適化し、TCSの選択性及び生成されたTCSの純度を増大させることを可能にする。
【0072】
最適な量の1種又は複数の共触媒は、有利には、液体シリコン浴へと、金属(Al、Fe)の形態又は合金(例えば、FeSi、SiCa等)の形態で添加することにより導入される。
【0073】
少なくとも1種の共触媒は、液体シリコンの質量分率として1~2500ppmの濃度で、すなわち製造方法からもたらされるシリコン顆粒中の共触媒の質量分率が1~2500ppmであるような量で導入され;有利には、共触媒の質量分率は、100~2000ppmの間で選択される。予め述べたように、シリコン顆粒中の共触媒の質量分率は、標的の塩素処理又は塩化水素処理プロセスの詳細に従って調節される。
【0074】
その後、製造方法は、シリコン顆粒の形成を目的とする、液体シリコンを凝固するステップe)を含む。
【0075】
第1の実施形態に従って、ステップe)は、融解装置のチャネルを出る液体シリコンの小滴を急速冷却することによる顆粒化ステップを含む。シリコン小滴は、冷表面に落ち、遠心力を受けて、それらが粉体状調製物において再び塊になる前に分散させられる:シリコン小滴の凝固(クエンチング)は、急速であり、シリコン顆粒中の金属間化合物としての1種又は複数の共触媒の濃度が均一であることを確かなものとする。シリコン顆粒のサイズは、本質的に、液体シリコンの小滴のサイズ及び遠心分離の速度に依存するであろう。顆粒化ステップは、シリコン顆粒の酸化を避けるか少なくとも限定するように、中性雰囲気(例えば、アルゴン)下で実施される。
【0076】
第2の実施形態に従って、ステップe)は、凝固したシリコンのブロックを形成するために、液体シリコンを、融解装置のチャネルを介して、急速冷却を可能にするように構成されたインゴット鋳型へと流し込こむことを含む。実際問題として、鋳型の厚さが厚い(例えば、15cmの鋳鉄A319)一方で、凝固したシリコンブロックの厚さは薄く(例えば5cm)、このことが、冷却が急速であること、したがって凝固したシリコンブロック中の1種又は複数の共触媒(金属間化合物の形状)の濃度が比較的均一であることを確かなものとする。その後、ステップe)は、凝固されたシリコンブロックを粉砕して、窒素雰囲気下でシリコン顆粒を形成するステップを含む。
【0077】
本発明にかかる製造方法はまた、篩い分け又は飛翔(flight)により、シリコン顆粒をサイズで選別する分離のステップf)を含んでもよい。したがって、平均サイズ(d50)が50~400ミクロンであるシリコン顆粒の粉体状調製物を組み合わせることが可能である。ある特定の使用に関して(特に、塩化水素処理プロセスに関して)、シリコン顆粒をサイズで選別する分離ステップにより、50ミクロン未満のサイズのシリコン顆粒を含まない粉体状の調製物を組み合わせることが可能となる。
【0078】
いうまでもなく、本発明は、記載された実施形態及び実施例で限定されず、特許請求の範囲により定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、変形実施形態を行うことが可能である。
【0079】
発明
1.トリクロロシランを調製するための、10~500ミクロンのサイズを有するシリコン顆粒であって、
5ppm未満の質量分率の、リン又はホウ素を含むドーパントと、
1~2500ppmの質量分率の、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の共触媒と、
前記少なくとも1種の共触媒を除く、50ppm未満の質量分率の金属不純物と、を含む、シリコン顆粒。
2.酸素の質量分率が、100ppm未満である、請求項1に記載のシリコン顆粒。
3.発明1又は2に記載のシリコン顆粒を含む粉体状調製物であって、前記シリコン顆粒の平均サイズが、50~400ミクロンである、粉体状調製物。
4.前記シリコン顆粒の前記平均サイズが、50ミクロンを超える、発明3に記載の粉体状調製物。
5.発明1又は2に記載のシリコン顆粒の製造方法であって、
a) ダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの切断からのシリコン廃棄物を供給するステップであり、前記シリコン廃棄物が、酸化物層で覆われており且つ水性媒体中で不純物と混合されているシリコン粒子を含む、ステップと、
b) 前記シリコン廃棄物を化学的に処理して、すべて又は一部の前記不純物から前記シリコン粒子を分離し、及び、前記シリコン粒子を乾燥させて粉体を形成するステップと、
c) 前記粉体を冶金処理して、前記シリコン粒子を融解し、液体シリコン浴を形成するステップと、
d) 少なくとも1種の共触媒を、前記シリコン顆粒中の前記共触媒の質量分率が1~2500ppmとなるような量で前記液体シリコン浴へと導入するステップと、
e) 前記液体シリコンを凝固させて、前記シリコン顆粒を形成するステップと、を含む、方法。
6.ステップe)が、液体シリコンの滴を急速冷却することにより顆粒化するステップを含む、発明5に記載の方法。
7.ステップe)が、急速冷却を可能とするように構成したインゴット鋳型へと前記液体シリコンを流し込んで、凝固したシリコンブロックを形成することを含む、発明5に記載の方法。
8.前記凝固したシリコンブロックを、粉砕して、前記シリコン顆粒を形成する、発明7に記載の方法。
9.篩い分け又は飛翔により分離して、サイズで前記シリコン顆粒を選別するステップf)を含む、発明5~8のいずれか一項に記載の方法。
10.ステップd)において、鉄、アルミニウム、及びカルシウムから選択される少なくとも1種の前記共触媒が、金属又は金属合金の形態で、前記液体シリコン浴に導入される、発明5~9のいずれか一項に記載の方法。
11. ステップa)が、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満のサイズのシリコン粒を供給することを含み、前記シリコン粒がシリコン廃棄物と混合される、発明5~10のいずれか一項に記載の方法。
12. ステップc)において、モノシランの分解に基づいて流動床反応器から生じる400ミクロン未満のサイズのシリコン粒が、前記シリコン粒子の前記粉体と共に溶融される、発明5~11のいずれか一項に記載の方法。
13. ステップa)が、粉砕され且つダイヤモンドワイヤーによる光起電力品質のインゴットの前記切断からもたらされる前記シリコン廃棄物と混合された、マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板を供給することを含む、発明5~12のいずれか一項に記載の方法。
14. ステップc)において、前記マイクロエレクトロニクス又は光起電力産業からの格下げになった基板の粉砕された断片が、前記シリコン粒子の前記粉体と共に溶融される、発明5~13のいずれか一項に記載の方法。
15. 塩素処理又は塩化水素処理によりトリクロロシラン(TCS)を得るための方法であって、発明3又は4に記載の粉体状調製物を使用する、方法。
【外国語明細書】