(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026147
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】単一分子配列決定における使用のための拡張可能ポリマーの固体合成のための方法、組成物、およびデバイス
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6834 20180101AFI20240220BHJP
C40B 40/06 20060101ALI20240220BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
C12Q1/6834 Z ZNA
C40B40/06
C12N15/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023198071
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2021549282の分割
【原出願日】2020-02-20
(31)【優先権主張番号】62/808,768
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,805
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】509349026
【氏名又は名称】ロシュ・ダイアグノスティクス・シアトル・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】タボネ,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】アギーレ,ガーソン
(72)【発明者】
【氏名】ムクルエル,ロベルト・エヌ
(72)【発明者】
【氏名】リー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】プリンドル,マルク
(72)【発明者】
【氏名】メリル,ラセイ
(72)【発明者】
【氏名】ティーセン,グレッグ
(72)【発明者】
【氏名】ケラー バレット,サルカ
(72)【発明者】
【氏名】ベリオス,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ココリス,マーク・スタマティオス
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカール,ジャガデエスワラン
(72)【発明者】
【氏名】ジャコブス,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ベルッチ,サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】コーニング,マシュー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単一分子配列決定のための方法、組成物、およびデバイス、特に拡張可能ポリマー(例えば、Xpandomer)の固体合成およびプロセシングのための方法、組成物、およびデバイス、ならびにナノポアセンサを通過するときにより正確な配列情報を提供する新しい拡張可能ポリマー構築物を生成するための方法および組成物を提供する。
【解決手段】核酸鋳型のXpandomerコピーの合成およびプロセシングの効率を改善して、ナノポア配列決定のための全長産物が濃縮された集団を生成するための新しい方法および装置、ならびに配列情報の精度を高める戦略を提供する。
【選択図】
図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体支持体上に核酸鋳型のコピーを合成する方法であって、
(a)リンカーを前記固体支持体上に固定化する工程であって、前記リンカーは、前記固体支持体に近位の第1の末端と、前記固体支持体に遠位の第2の末端とを含み、前記第1の末端はマレイミド部分に結合されており、前記第2の末端はアルキン部分に結合されており、前記マレイミド部分は前記固体支持体に架橋されている、固定化する工程と、
(b)前記リンカーにオリゴヌクレオチドプライマーを結合させる工程であって、前記オリゴヌクレオチドプライマーが、前記核酸鋳型の3’末端の一部に相補的な核酸配列を含み、前記オリゴヌクレオチドプライマーの5’末端が、アジド部分にカップリングされ、前記アジド部分が、前記アルキン部分と反応してトリアゾール部分を形成する、結合させる工程と、
(c)前記核酸鋳型、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド基質、またはその類似体、適切な緩衝液、および任意に1つ以上の添加剤を含む反応混合物を提供する工程であって、前記核酸鋳型が、前記オリゴヌクレオチドプライマーに特異的にハイブリダイズする、提供する工程と、
(d)プライマー伸長反応を行って前記核酸鋳型の前記コピーを生成する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記マレイミド部分が、光開始プロトン引き抜き反応によって前記固体基質に架橋される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固体基質が、ポリオレフィンから構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオレフィンが、環状オレフィンコポリマー(COC)またはポリプロピレンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記核酸鋳型が、DNA鋳型である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記DNA鋳型のコピーが、拡張可能ポリマーであり、前記拡張可能ポリマーが、非天然ヌクレオチド類似体の鎖を含み、非天然ヌクレオチド類似体のそれぞれが、ホスホルアミデートエステル結合によって隣接する非天然ヌクレオチド類似体に作動可能に連結されている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記拡張可能ポリマーが、Xpandomerである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記リンカーが、前記第1の末端と前記第2の末端との間に介在するスペーサーアームをさらに含み、前記スペーサーアームが、エチレングリコールの1つ以上のモノマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リンカーが、切断可能部分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記固体支持体が、ビーズ、チューブ、キャピラリー、およびマイクロ流体チップからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
核酸標的配列のコピーの3’末端を選択的に改変する方法であって、
(a)前記核酸標的配列の第1の配列に相補的な配列を有する第1のオリゴヌクレオチドと、前記核酸標的配列の第2の配列に相補的な配列を有する第2のオリゴヌクレオチドとを提供する工程であって、前記核酸標的配列の前記第1の配列が、前記核酸標的配列の前記第2の配列に対して3’であり、前記第1のオリゴヌクレオチドが、核酸ポリメラー
ゼのための伸長プライマーを提供し、前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端が、ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸に作動可能に連結され、前記ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸が、前記核酸ポリメラーゼの基質を提供する、提供する工程と、
(b)前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチド、前記核酸標的配列、前記核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド基質、またはその類似体、適切な緩衝液、および任意に1つ以上の添加剤を含む反応混合物を提供する工程であって、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記核酸標的配列に特異的にハイブリダイズする、提供する工程と、
(c)プライマー伸長反応を行って、前記標的配列の前記コピーを生成する工程であって、前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端が、前記核酸ポリメラーゼによって前記核酸標的配列の前記コピーの3’末端に作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む方法。
【請求項12】
前記ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸が、可動性リンカーによって前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に作動可能に連結されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記可動性リンカーが、1つ以上のヘキシル(C6)モノマーを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のオリゴヌクレオチドが、1つ以上の2’メトキシリボ核酸類似体を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が、第1の固体支持体に固定化されている、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の固体支持体を洗浄して、前記第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された前記核酸標的の前記コピーを精製する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のオリゴヌクレオチドが、第1の固体支持体に固定化されている、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記核酸標的配列の前記コピーを前記第1の固体支持体から放出させる工程、および前記核酸標的配列の前記コピーを第3のオリゴヌクレオチドと接触させる工程をさらに含み、前記第3のオリゴヌクレオチドが、前記第2のオリゴヌクレオチドの前記配列と相補的な配列を有し、前記第3のオリゴヌクレオチドが、前記第2のオリゴヌクレオチドと特異的にハイブリダイズし、前記第3のオリゴヌクレオチドの5’末端が、第2の固体支持体上に固定化される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の固体支持体を洗浄して、3’末端で前記第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された前記核酸標的配列の前記コピーを精製する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記核酸標的配列に対する前記第2のオリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させる1つ以上のヌクレオチド類似体を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記核酸標的配列の5’末端に作動可能に連結された異種核酸配列に相補的である、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記核酸標的配列が、一本鎖DNAであり、前記標的配列の前記コピーが、拡張可能ポ
リマーであり、前記拡張可能ポリマーが、非天然ヌクレオチド類似体の鎖を含み、前記非天然ヌクレオチド類似体のそれぞれが、ホスホルアミデートエステル結合によって隣接する非天然ヌクレオチド類似体に作動可能に連結されている、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の固体支持体および前記第2の固体支持体が、ビーズ、チューブ、キャピラリー、およびマイクロ流体チップからなる群から選択される、請求項11または請求項18に記載の方法。
【請求項24】
一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを生成する方法であって、前記鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、前記方法が、
(a)DNA Yアダプターの集団を提供する工程であって、前記Yアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドの3’領域および前記第2のオリゴヌクレオチドの5’領域が、配列相補性によって二本鎖領域を形成し、前記第1のオリゴヌクレオチドの5’領域および前記第2のオリゴヌクレオチドの3’領域が、一本鎖であり、オリゴヌクレオチドプライマーの結合部位を含み、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドの前記一本鎖領域の末端が、任意に固体基質上に固定化されている、提供する工程と、
(b)二本鎖DNA分子の集団を提供する工程であって、前記二本鎖DNA分子のそれぞれが、第1の鎖および第2の鎖を含み、前記二本鎖DNA分子のそれぞれの第1の末端が、前記Yアダプターの前記二本鎖末端と適合する、提供する工程と、
(c)キャッププライマーアダプターの集団を提供する工程であって、前記キャッププライマーアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第3のオリゴヌクレオチドとの間に介在し、前記第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドが、化学分岐剤によって前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第2のオリゴヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結され、前記第1のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部と同一であり、前記第2のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部の逆相補体であり、前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第3のオリゴヌクレオチドの3’末端が、前記二本鎖DNA分子のそれぞれの第2の末端と適合する二本鎖領域を形成する、提供する工程と、
(d)前記二本鎖DNA分子のそれぞれの前記第2の末端を、前記キャッププライマーアダプターのうちの1つの前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に連結する工程と、
(e)前記二本鎖DNA分子のそれぞれの前記第1の末端を、前記DNA Yアダプターのうちの1つの前記二本鎖末端に連結する工程と、
(f)前記連結されたキャッププライマーアダプターのそれぞれの前記第1のオリゴヌクレオチドの3’末端からDNAポリメラーゼを用いて伸長する工程であって、前記連結された二本鎖DNA分子の前記第1の鎖が、前記DNAポリメラーゼの鋳型を提供し、前記DNAポリメラーゼが、前記二本鎖DNA分子の前記第1の鎖の配列と前記Yアダプターの前記第1のオリゴヌクレオチドの配列との逆相補体を含む第3の鎖を生成する、伸長する工程と、
(g)前記連結されたYアダプターの前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれの5’末端からエキソヌクレアーゼで消化する工程であって、前記消化することが、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記二本鎖DNA分子の前記第1の鎖、および前記キャッププライマーアダプターの前記第2のオリゴヌクレオチドを除去して、一本鎖鋳型構築物を生成し、前記一本鎖鋳型構築物のそれぞれが、前記二本鎖DNA分子の前記第2の鎖の配列をそれぞれが含む2つの鋳型分子を含み、前記2つの鋳型分子が、前記キャッププライマーア
ダプターの前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドによって作動可能に連結されている、消化する工程と、を含む方法。
【請求項25】
一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリであって、前記鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の第1のコピーおよび第2のコピーを含み、前記標的配列の前記第1のコピーおよび前記第2のコピーが作動可能に連結されており、前記一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリが、請求項24に記載の方法によって生成される、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリ。
【請求項26】
鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法であって、前記Xpandomer分子のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、前記方法が、
(a)請求項25に記載の一本鎖DNA鋳型構築物の前記ライブラリを提供する工程と、
(b)前記Yアダプターの前記第1の鎖の前記一本鎖部分に相補的な第1の伸長オリゴヌクレオチドの集団と、前記Yアダプターの前記第2の鎖の前記一本鎖部分に相補的な第2の伸長オリゴヌクレオチドの集団と、を提供する工程であって、前記第1の伸長オリゴヌクレオチドまたは前記第2の伸長オリゴヌクレオチドが、任意に固体基質上に固定化される、提供する工程と、
(c)一本鎖DNA鋳型構築物の前記ライブラリを前記第1の伸長オリゴヌクレオチドの前記集団および前記第2の伸長オリゴヌクレオチドの前記集団に特異的にハイブリダイズさせる工程と、
(d)キャップ分岐構築物の集団を提供する工程であって、前記キャップ分岐構築物が、第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記キャッププライマーアダプター構築物の前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部に相補的な配列を含み、前記キャップ分岐構築物の前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドが、遊離5’ヌクレオシド三リン酸部分を提供する、提供する工程と、
(e)前記キャップ分岐構築物の集団を、前記一本鎖DNA鋳型構築物の集団に特異的にハイブリダイズさせる工程と、
(f)プライマー伸長反応を行って、前記DNA標的配列の前記第1のコピーおよび前記第2のコピーのXpandomerコピーを生成する工程であって、前記Xpandomerコピーが、前記キャップ分岐構築物によって作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む方法。
【請求項27】
固体支持体上にタグ付けされた二本鎖DNAアンプリコンのライブラリを生成する方法であって、
(a)二本鎖DNA分子の集団を提供する工程であって、前記二本鎖DNA分子のそれぞれが、第2の鎖に特異的にハイブリダイズした第1の鎖を含む、提供する工程と、
(b)順方向PCRプライマーおよび逆方向PCRプライマーを提供する工程であって、前記順方向PCRプライマーが、前記二本鎖DNA分子の前記第2の鎖(stand)の3’末端の一部に相補的な3’配列に作動可能に連結された第1の5’異種タグ配列を含み、前記逆方向PCRプライマーが、前記二本鎖DNA分子の前記第1の鎖の3’末端の一部に相補的な3’配列に作動可能に連結された第2の5’異種タグ配列を含む、提供する工程と、
(c)二本鎖DNA分子の前記集団が増幅されて第1のDNAアンプリコン産物の集団を生成し、前記第1のDNAアンプリコン産物が、第1の末端に前記第1の異種配列タグを含み、第2の末端に第2の異種配列タグを含む、第1のPCR反応を行う工程と、
(d)固体支持体上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチド構造を提供する工程であっ
て、前記捕捉オリゴヌクレオチド構造が、第1の末端および第2の末端を含み、前記第1の末端が前記固体支持体に共有結合しており、前記第2の末端が、前記第1のDNAアンプリコン産物の集団の前記第2の異種配列タグの一部に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドを含み、前記捕捉オリゴヌクレオチド構造が、前記第1の末端と前記捕捉オリゴヌクレオチドとの間に介在した切断可能エレメントをさらに含む、提供する工程と、
(e)前記第1のDNAアンプリコン産物の集団と、前記第1の異種配列タグの一方の鎖の配列に相補的な配列を含む順方向プライマーと、前記第2の異種配列タグの一方の鎖に相補的な配列を含む逆方向プライマーと、を含む第2のPCR反応を行う工程であって、前記第1のDNAアンプリコン産物の集団の第1の鎖が、前記捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、前記第2のPCR反応が、固定化DNAアンプリコン産物の集団を生成し、前記固定化DNAアンプリコン産物の第2の鎖が、前記固体支持体に作動可能に連結されている、第2のPCR反応を行う工程と、を含む方法。
【請求項28】
一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを生成する方法であって、前記鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、前記方法が、
(a)請求項27に記載の固体支持体上に固定化されたDNAアンプリコン産物のライブラリを提供する工程と、
(b)キャッププライマーアダプターの集団を提供する工程であって、前記キャッププライマーアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドを含み、前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記第1のオリゴヌクレオチドと前記第3のオリゴヌクレオチドとの間に介在し、前記第1のオリゴヌクレオチド、前記第2のオリゴヌクレオチド、および前記第3のオリゴヌクレオチドが、化学分岐剤によって前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第2のオリゴヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結され、前記第1のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部と同一であり、前記第2のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部の逆相補体であり、前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第3のオリゴヌクレオチドの3’末端が、前記タグ付けされた固定化DNAアンプリコン産物のそれぞれの遊離末端と適合する二本鎖領域を形成する、提供する工程と、
(c)前記固定化DNAアンプリコン産物のそれぞれの遊離末端を、前記キャッププライマーアダプターの前記第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および前記第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に連結する工程と、
(d)前記キャッププライマーアダプターの前記第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれの3’末端からDNAポリメラーゼを用いて伸長する工程であって、前記固定化DNAアンプリコン産物の前記第2の鎖が、前記DNAポリメラーゼの鋳型を提供し、前記DNAポリメラーゼが第3の鎖を生成し、前記第3の鎖が前記第2の鎖のコピーである、伸長する工程と、
(e)前記捕捉オリゴヌクレオチド構造のそれぞれの前記切断可能エレメントを切断する工程であって、前記固体支持体から前記DNAアンプリコン産物を放出し、前記DNAアンプリコン産物のそれぞれの前記第2の鎖上に遊離5’末端を生成する、切断する工程と、
(f)前記DNAアンプリコン産物のそれぞれの切断された前記第2の鎖の前記遊離5’末端からエキソヌクレアーゼで消化する工程であって、前記DNAアンプリコン産物の前記第2の鎖および前記キャッププライマーアダプターの前記第2のオリゴヌクレオチドを除去して、一本鎖鋳型構築物のライブラリを生成し、前記一本鎖鋳型構築物のそれぞれが、前記キャッププライマーアダプターの前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドによって作動可能に連結された前記DNAアンプリコン産物の前記第1の鎖の2つのコピーを含む、消化する工程と、を含む方法。
【請求項29】
一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリであって、前記鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の第1のコピーおよび第2のコピーを含み、前記DNA標的配列の前記第1のコピーおよび前記第2のコピーが作動可能に連結されており、前記一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリが、請求項28に記載の方法によって生成される、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリ。
【請求項30】
鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法であって、前記Xpandomer分子のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、前記方法が、
(a)請求項29に記載の一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを提供する工程と、
(b)前記DNAアンプリコン産物の前記第2のタグに相補的な伸長オリゴヌクレオチドの集団を提供する工程であって、前記伸長オリゴヌクレオチドが、固体基質上に固定化されている、提供する工程と、
(c)前記一本鎖DNA鋳型構築物を前記伸長オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズさせる工程と、
(d)キャップ分岐構築物の集団を提供する工程であって、前記キャップ分岐構築物が、第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1のオリゴヌクレオチドを含み、前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドが、前記キャッププライマーアダプター構築物の前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部に相補的な配列を含み、前記キャップ分岐構築物の前記第1のオリゴヌクレオチドおよび前記第2のオリゴヌクレオチドが、遊離5’ヌクレオシド三リン酸部分を提供する、提供する工程と、
(e)前記キャップ分岐構築物の集団を前記DNA鋳型構築物の集団と特異的にハイブリダイズさせる工程と、
(f)プライマー伸長反応を行って、前記DNA標的配列の第1のコピーおよび第2のコピーのXpandomerコピーを生成する工程であって、前記Xpandomerコピーが、前記キャップ分岐構築物に作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む方法。
【請求項31】
前記捕捉オリゴヌクレオチド構造および前記伸長オリゴヌクレオチドが、同じ固体支持体上に固定化され、前記伸長オリゴヌクレオチドが、切断可能なヘアピン構造を含み、前記切断可能なヘアピン構造が、前記切断する工程中に切断されて、前記DNAアンプリコン産物の結合部位を提供する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記捕捉オリゴヌクレオチド構造が、マイクロ流体カードの第1のチャンバの第1の基質上に固定化され、前記伸長オリゴヌクレオチドが、前記マイクロ流体カードの第2のチャンバの第2の基質上に固定化され、前記第1のチャンバが、前記一本鎖DNA鋳型構築物の集団を生成するように構成され、前記第2のチャンバが、前記一本鎖DNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記捕捉オリゴヌクレオチド構造が、ビーズ支持体上に固定化され、前記伸長オリゴヌクレオチドがCOCチップ支持体上に固定化され、前記ビーズ支持体が、一本鎖DNA鋳型構築物の集団を生成するように構成され、前記COCチップ支持体が、前記DNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記捕捉オリゴヌクレオチド構造および前記伸長オリゴヌクレオチドが、ビーズ支持体上に固定化され、前記ビーズ支持体が、前記一本鎖DNA鋳型構築物の集団および前記DNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される、請求項
30に記載の方法。
【請求項35】
前記伸長オリゴヌクレオチドが、分岐オリゴヌクレオチド構造によって提供され、前記分岐オリゴヌクレオチド構造が、化学分岐剤によって第2の伸長オリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1の伸長オリゴヌクレオチドを含み、前記第1の伸長オリゴヌクレオチドが、リーダー配列と、コンセントレータ配列と、前記化学分岐剤と前記リーダー配列および前記コンセントレータ配列との間に介在する第1の切断可能部分と、を含み、前記第2の伸長オリゴヌクレオチドが、第2の切断可能部分を含む、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表に関する記載
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、本明細書に参照により組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名称は、870225_424WO_Sequence_Listing_ST25.txtである。テキストファイルは5KBで、2020年2月20日に作成され、EFS-Webを用いて電子的に提出されている。
【0002】
本発明は、一般に、単一分子配列決定のための新しい方法、組成物、およびデバイスに関し、より具体的には、拡張可能ポリマー(例えば、Xpandomer)の固体合成およびプロセシングのための改善された方法およびデバイスに関し、さらに、ナノポアセンサを通過したときにより正確な配列情報を提供する新しい拡張可能ポリマー構築物を生成するための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
生体分子の測定は、現代医学の基礎であり、医学研究、より具体的には診断および治療、ならびに薬物開発において広く使用されている。核酸は、生物が機能し、再生するために必要な情報をコードし、本質的に生命の設計図である。そのような設計図を決定することは、純粋な研究および応用科学において有用である。医学では、配列決定は、癌、心疾患、自己免疫障害、多発性硬化症、および肥満を含む様々な病状の診断および治療法の開発に使用することができる。業界では、配列決定を使用して、改良された酵素プロセスまたは合成生物を設計することができる。生物学において、このツールは、例えば、生態系の健康を研究するために使用することができ、したがって、広範囲の有用性を有する。同様に、タンパク質および他の生体分子の測定は、疾患および病原性伝播のマーカーおよび理解を提供している。
【0004】
個体の固有のDNA配列は、特定の疾患に対する感受性に関する貴重な情報を提供する。それはまた、早期検出のためのスクリーニングおよび/または予防処置を受ける機会を患者に提供する。さらに、患者の個々の設計図を考慮すると、臨床医は、薬物有効性を最大化するため、および/または薬物有害反応のリスクを最小化するために、個別化治療を投与することができるだろう。同様に、病原性生物の設計図を決定することは、感染症の新しい治療およびよりロバストな病原体監視につながり得る。低コストの全ゲノムDNA配列決定は、現代医学の基礎を提供するだろう。この目的を達成するために、配列決定技術は、スループット、精度、およびリード長に関して前進し続けなければならない。
【0005】
過去10年間にわたって、多数の次世代DNA配列決定技術が、市販されるようになり、全ゲノムの配列決定のコストを劇的に削減した。これらには、合成による配列決定(「SBS」)プラットフォーム(Illumina,Inc.,454 Life Sciences,Ion Torrent,Pacific Biosciences)および類似体連結ベースのプラットフォーム(Complete Genomics,Life Technologies Corporation)が含まれる。多種多様な試料プロセシングおよび検出方法を利用する多くの他の技術が開発されている。例えば、GnuBio,Inc.(マサチューセッツ州ケンブリッジ)は、ピコリットル反応容器を使用して数百万の目立たないプローブ配列決定反応を制御するが、Halcyon Molecular(カリフォルニア州レッドウッドシティ)は、透過型電子顕微鏡を使用した直接DNA測定のための技術を開発しようと試みていた。
【0006】
ナノポアベースの核酸配列決定は、広く研究されてきた説得力のあるアプローチである。Kasianowicz et al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:13770-13773,1996)は、脂質二重層に埋め込まれたアルファ溶血素ナノポアを介して電気的に転座した一本鎖ポリヌクレオチドを特徴付けた。ポリヌクレオチド転座の間、ナノポア開口の部分的閉塞は、イオン電流の減少として測定できることが実証された。しかしながら、ナノポアにおけるポリヌクレオチド配列決定は、有意なバックグラウンドノイズに浸された小さなシグナル差を有する狭い間隔の塩基(0.34nm)を分解しなければならないことによって負担がかかる。ナノポアにおける一塩基分解能の測定課題は、典型的にマイクロ秒あたり1塩基のオーダーである、ポリヌクレオチドについて観察される急速な転座速度のために、より要求が厳しくなる。いくつか例を挙げると、電圧、塩組成、pH、温度、および粘度などの運転パラメータを調整することによって、転座速度を低下させることができる。しかしながら、そのような調整は、一塩基分解能を可能にするレベルまで転座速度を低下させることができなかった。
【0007】
Stratos Genomicsは、生化学的プロセスを使用してDNAの配列を「Xpandomer」と呼ばれる測定可能なポリマー上に転写する、Sequencing by Expansion(「SBX」)と呼ばれる方法を開発した(Kokoris et al.、米国特許第7,939,259号、「High Throughput Nucleic Acid Sequencing by Expansion」)。転写された配列は、約10nm離れた高シグナル対ノイズレポーターにおいてXpandomer骨格に沿ってコード化され、高シグナル対ノイズ、高分化応答のために設計される。これらの違いは、ネイティブDNAと比較して、Xpandomerの配列リード効率および精度の著しい性能向上を提供する。Xpandomerは、いくつかの次世代DNA配列決定検出技術を可能にすることができ、ナノポア配列決定によく適している。
【0008】
Xpandomerは、合成後にXpandomer骨格を拡張することを可能にする長い置換基を特徴とする、XNTPと呼ばれる非天然ヌクレオチド類似体から生成される(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、KokorisらによるPCT出願国際公開第2016/081871号パンフレットを参照されたい)。それらの非定型構造のために、XNTPのXpandomerへの重合およびXpandomerのナノポア配列決定のための拡張形態へのプロセシングは、特に溶液中では非効率的なプロセスである。
【0009】
したがって、核酸鋳型のXpandomerコピーの合成およびプロセシングの効率を改善して、ナノポア配列決定のための全長産物が濃縮された集団を生成するための新しい方法および装置、ならびに配列情報の精度を高める戦略は、当技術分野において価値があると理解するだろう。本発明は、これらのニーズを満たし、さらに関連する利点を提供する。
【0010】
背景技術のセクションで説明した主題の全てが必ずしも先行技術ではなく、単に背景技術のセクションでの説明の結果として先行技術であると仮定すべきではない。これらの道筋に沿って、背景技術のセクションで説明されているか、またはそのような主題に関連する従来技術の問題の認識は、従来技術であると明示的に述べられていない限り、従来技術として扱われるべきではない。代わりに、背景技術のセクションにおける任意の主題の議論は、それ自体もまた発明的であり得る特定の問題に対する発明者のアプローチの一部として扱われるべきである。
【発明の概要】
【0011】
簡単に記載すると、本開示は、単一分子ナノポア配列決定のための新しい方法、組成物
、およびデバイスを提供する。特定の実施形態では、本開示は、Xpandomerの固体合成およびプロセシングのための改良された方法、組成物、およびデバイス、ならびにより正確な配列情報を提供するXpanodmerを合成するための方法および組成物を提供する。
【0012】
一態様では、本開示は、固体基質上に核酸鋳型のコピーを合成する方法であって、a)リンカーを固体支持体上に固定化する工程であって、リンカーは、固体支持体に近位の第1の末端と、固体支持体に遠位の第2の末端とを含み、第1の末端はマレイミド部分に結合されており、第2の末端はアルキン部分に結合されており、マレイミド部分は固体支持体に架橋されている、固定化する工程と、b)リンカーにオリゴヌクレオチドプライマーを結合させる工程であって、オリゴヌクレオチドプライマーが、核酸鋳型の3’末端の一部に相補的な核酸配列を含み、オリゴヌクレオチドプライマーの5’末端が、アジド部分にカップリングされ、アジド部分が、アルキン部分と反応してトリアゾール部分を形成する、結合させる工程と、c)核酸鋳型、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド基質、またはその類似体、適切な緩衝液、および任意に1つ以上の添加剤を含む反応混合物を提供する工程であって、核酸鋳型が、オリゴヌクレオチドプライマーに特異的にハイブリダイズする、提供する工程と、d)プライマー伸長反応を行って核酸鋳型のコピーを生成することと、を含む方法を提供する。
【0013】
特定の実施形態では、マレイミド部分は、光開始プロトン引き抜き反応によって固体基質に架橋される。他の実施形態では、固体基質は、ポリオレフィンを含み、別の実施形態では、ポリオレフィンは、環状オレフィンコポリマー(COC)またはポリプロピレンであってもよい。いくつかの実施形態では、核酸鋳型はDNA鋳型であり、DNA鋳型のコピーは、拡張可能ポリマーであり、拡張可能ポリマーは、非天然ヌクレオチド類似体の鎖を含み、非天然ヌクレオチド類似体のそれぞれは、ホスホルアミデートエステル結合(例えば、Xpandomer)によって隣接する非天然ヌクレオチド類似体に作動可能に連結されている。他の実施形態では、リンカーは、第1の末端と第2の末端との間に介在するスペーサーアームをさらに含み、スペーサーアームは、エチレングリコールの1つ以上のモノマーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、切断可能な部分をさらに含む。他の実施形態において、固体支持体は、ビーズ、チューブ、キャピラリー、およびマイクロ流体チップからなる群から選択される。
【0014】
別の態様では、本開示は、核酸標的配列のコピーの3’末端を選択的に改変する方法であって、a)核酸標的配列の第1の配列に相補的な配列を有する第1のオリゴヌクレオチドと、核酸標的配列の第2の配列に相補的な配列を有する第2のオリゴヌクレオチドとを提供する工程であって、核酸標的配列の第1の配列が、核酸標的配列の第2の配列に対して3’であり、第1のオリゴヌクレオチドが、核酸ポリメラーゼのための伸長プライマーを提供し、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端が、ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸に作動可能に連結され、ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸が、核酸ポリメラーゼの基質を提供する、提供する工程と、b)第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチド、核酸標的配列、核酸ポリメラーゼ、ヌクレオチド基質、またはその類似体、適切な緩衝液、および任意に1つ以上の添加剤を含む反応混合物を提供し、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドは、特異的に核酸標的配列にハイブリダイズする工程と、c)プライマー伸長反応を行って、標的配列のコピーを生成する工程であって、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端が、核酸ポリメラーゼによって核酸標的配列のコピーの3’末端に作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む方法を提供する。
【0015】
いくつかの実施形態において、ジデオキシヌクレオシド5’三リン酸は、可動性リンカーによって第2のオリゴヌクレオチドの5’末端に作動可能に連結されている。他の実施
形態では、可動性リンカーは、1つ以上のヘキシル(C6)モノマーを含む。他の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の2’メトキシリボ核酸類似体を含む。さらに他の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドの3’末端が、第1の固体支持体に固定化され、いくつかの実施形態では、方法は、第1の固体支持体を洗浄して、第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された核酸標的のコピーを精製する工程を、さらに含む。別の実施形態において、第1のオリゴヌクレオチドは、第1の固体支持体に固定化され、いくつかの実施形態において、方法は、第1の固体支持体から核酸標的配列のコピーを放出させる工程および核酸標的配列のコピーを第3のオリゴヌクレオチドと接触させる工程をさらに含み、第3のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドの配列と相補的な配列を有し、第3のオリゴヌクレオチドは、第2のオリゴヌクレオチドと特異的にハイブリダイズし、第3のオリゴヌクレオチドの5’末端は、第2の固体支持体上に固定化され、さらに他の実施形態において、第2の固体支持体を洗浄して、3’末端において第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された核酸標的配列のコピーを精製する工程を、さらに含む。他の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、核酸標的配列に対する第2のオリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させる1つ以上のヌクレオチド類似体を含む。さらに他の実施形態では、第2のオリゴヌクレオチドは、核酸標的配列の5’末端に作動可能に連結された異種核酸配列に相補的である。いくつかの実施形態では、核酸標的配列は一本鎖DNAであり、標的配列のコピーは、拡張可能ポリマーであり、拡張可能ポリマーは、非天然ヌクレオチド類似体の鎖を含み、非天然ヌクレオチド類似体のそれぞれは、ホスホルアミデートエステル結合によって隣接する非天然ヌクレオチド類似体に作動可能に連結されている。いくつかの実施形態では、第1の固体支持体および第2の固体支持体は、ビーズ、チューブ、キャピラリー、およびマイクロ流体チップからなる群から選択される。
【0016】
別の態様において、本開示は、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを生成する方法であって、鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、方法が、a)DNA Yアダプターの集団を提供する工程であって、Yアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドの3’領域および第2のオリゴヌクレオチドの5’領域が、配列相補性によって二本鎖領域を形成し、第1のオリゴヌクレオチドの5’領域および第2のオリゴヌクレオチドの3’領域が、一本鎖であり、オリゴヌクレオチドプライマーの結合部位を含み、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドの一本鎖領域の末端が、任意に固体基質上に固定化されている、提供する工程と、b)二本鎖DNA分子の集団を提供する工程であって、二本鎖DNA分子のそれぞれが、第1の鎖および第2の鎖を含み、二本鎖DNA分子のそれぞれの第1の末端が、Yアダプターの二本鎖末端と適合する、提供する工程と、c)キャッププライマーアダプターの集団を提供する工程であって、キャッププライマーアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドを含み、第2のオリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドと第3のオリゴヌクレオチドとの間に介在し、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドが、化学分岐剤によって第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの5’末端および第2のオリゴヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結され、第1のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部と同一であり、第2のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部の逆相補体であり、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および第3のオリゴヌクレオチドの3’末端が、二本鎖DNA分子のそれぞれの第2の末端と適合する二本鎖領域を形成する、提供する工程と、d)二本鎖DNA分子のそれぞれの第2の末端を、キャッププライマーアダプターのうちの1つの第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に連結する工程と、e)二本鎖DNA分子のそれぞれの第1の末端を、DNA Yアダプターのうちの1つの二本鎖末端に連結する工程と、f)
連結されたキャッププライマーアダプターのそれぞれの第1のオリゴヌクレオチドの3’末端からDNAポリメラーゼを用いて伸長する工程であって、連結された二本鎖DNA分子の第1の鎖が、DNAポリメラーゼの鋳型を提供し、DNAポリメラーゼが、二本鎖DNA分子の第1の鎖の配列とYアダプターの第1のオリゴヌクレオチドの配列との逆相補体を含む第3の鎖を生成する、伸長する工程と、g)連結されたYアダプターの第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれの5’末端からエキソヌクレアーゼで消化する工程であって、消化することが、第1のオリゴヌクレオチド、二本鎖DNA分子の第1の鎖、およびキャッププライマーアダプターの第2のオリゴヌクレオチドを除去して、一本鎖鋳型構築物を生成し、一本鎖鋳型構築物のそれぞれが、二本鎖DNA分子の第2の鎖の配列をそれぞれ含む2つの鋳型分子を含み、2つの鋳型分子が、キャッププライマーアダプターの第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドによって作動可能に連結されている、消化する工程と、を含む方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本開示は、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリであって、鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の第1のコピーおよび第2のコピーを含み、標的配列の第1のコピーおよび第2のコピーが、作動可能に連結され、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリが、上記の方法によって生成される、ライブラリを提供する。
【0018】
別の態様において、本開示は、鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法であって、Xpandomer分子のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、方法が、a)上の段落に記載した一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを提供する工程と、b)Yアダプターの第1の鎖の一本鎖部分に相補的な第1の伸長オリゴヌクレオチドの集団と、Yアダプターの第2の鎖の一本鎖部分に相補的な第2の伸長オリゴヌクレオチドの集団と、を提供する工程であって、第1または第2の伸長オリゴヌクレオチドが、任意に固体基質上に固定化される、提供する工程と、c)一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを第1の伸長オリゴヌクレオチドの集団および第2の伸長オリゴヌクレオチドの集団に特異的にハイブリダイズさせる工程と、d)キャップ分岐構築物の集団を提供する工程であって、キャップ分岐構築物が、第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドが、キャッププライマーアダプター構築物の第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部に相補的な配列を含み、キャップ分岐構築物の第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドが、遊離5’ヌクレオシド三リン酸部分を提供する、提供する工程と、e)キャップ分岐構築物の集団を、一本鎖DNA鋳型構築物の集団に特異的にハイブリダイズさせる工程と、f)プライマー伸長反応を行って、DNA標的配列の第1のコピーおよび第2のコピーのXpandomerコピーを生成する工程であって、Xpandomerコピーが、キャップ分岐構築物によって作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む、鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法、を提供する。
【0019】
別の態様では、本開示は、固体支持体上にタグ付けされた二本鎖DNAアンプリコンのライブラリを生成する方法であって、a)二本鎖DNA分子の集団を提供する工程であって、二本鎖DNA分子のそれぞれが、第2の鎖に特異的にハイブリダイズした第1の鎖を含む、工程と、b)順方向PCRプライマーおよび逆方向PCRプライマーを提供する工程であって、順方向PCRプライマーが、二本鎖DNA分子の第2の鎖(stand)の3’末端の一部に相補的な3’配列に作動可能に連結された第1の5’異種タグ配列を含み、逆方向PCRプライマーが、二本鎖DNA分子の第1の鎖の3’末端の一部に相補的な3’配列に作動可能に連結された第2の5’異種タグ配列を含む、提供する工程と、c)二本鎖DNA分子の集団が増幅されて第1のDNAアンプリコン産物の集団を生成し、第1のDNAアンプリコン産物が、第1の末端に第1の異種配列タグを含み、第2の末端に第2の異種配列タグを含む、第1のPCR反応を行う工程と、d)固体支持体上に固定
化された捕捉オリゴヌクレオチド構造を提供する工程であって、捕捉オリゴヌクレオチド構造が、第1の末端および第2の末端を含み、第1の末端が固体支持体に共有結合しており、第2の末端が、第1のDNAアンプリコン産物の集団の第2の異種配列タグの一部に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドを含み、捕捉オリゴヌクレオチド構造が、第1の末端と捕捉オリゴヌクレオチドとの間に介在した切断可能エレメントをさらに含む、提供する工程と、e)第1のDNAアンプリコン産物の集団と、第1の異種配列タグの一方の鎖の配列に相補的な配列を含む順方向プライマーと、第2の異種配列タグの一方の鎖に相補的な配列を含む逆方向プライマーと、を含む第2のPCR反応を行う工程であって、第1のDNAアンプリコン産物の集団の第1の鎖が、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズし、第2のPCR反応が、固定化DNAアンプリコン産物の集団を生成し、固定化DNAアンプリコン産物の第2の鎖が、固体支持体に作動可能に連結されている、第2のPCR反応を行う工程と、を含む方法を提供する。
【0020】
別の態様において、本開示は、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを生成する方法であって、鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、方法が、a)上の段落に記載の固体支持体上に固定化されたDNAアンプリコン産物のライブラリを提供する工程と、b)キャッププライマーアダプターの集団を提供する工程であって、キャッププライマーアダプターのそれぞれが、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドを含み、第2のオリゴヌクレオチドが、第1のオリゴヌクレオチドと第3のオリゴヌクレオチドとの間に介在し、第1のオリゴヌクレオチド、第2のオリゴヌクレオチド、および第3のオリゴヌクレオチドが、化学分岐剤によって第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの5’末端および第2のオリゴヌクレオチドの3’末端に作動可能に連結され、第1のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部と同一であり、第2のオリゴヌクレオチドの配列の一部が、第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部の逆相補体であり、第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および第3のオリゴヌクレオチドの3’末端が、タグ付けされた固定化DNAアンプリコン産物のそれぞれの遊離末端と適合する二本鎖領域を形成する、提供する工程と、c)固定化DNAアンプリコン産物のそれぞれの遊離末端を、キャッププライマーアダプターの第2のオリゴヌクレオチドの5’末端および第3のオリゴヌクレオチドの3’末端に連結する工程と、d)キャッププライマーアダプターの第1のオリゴヌクレオチドのそれぞれの3’末端からDNAポリメラーゼを用いて伸長する工程であって、固定化DNAアンプリコン産物の第2の鎖が、DNAポリメラーゼの鋳型を提供し、DNAポリメラーゼが、第3の鎖を生成し、第3の鎖が、第2の鎖のコピーである、伸長する工程と、e)捕捉オリゴヌクレオチド構造のそれぞれの切断可能エレメントを切断する工程であって、切断することが、固体支持体からDNAアンプリコン産物を放出し、DNAアンプリコン産物のそれぞれの第2の鎖上に遊離5’末端を生成する、切断する工程と、f)DNAアンプリコン産物のそれぞれの切断された第2の鎖の遊離5’末端からエキソヌクレアーゼで消化する工程であって、消化することが、DNAアンプリコン産物の第2の鎖およびキャッププライマーアダプターの第2のオリゴヌクレオチドを除去して、一本鎖鋳型構築物のライブラリを生成し、一本鎖鋳型構築物のそれぞれが、キャッププライマーアダプターの第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドによって作動可能に連結されたDNAアンプリコン産物の第1の鎖の2つのコピーを含む、消化する工程と、を含む一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを生成する方法を提供する。
【0021】
別の態様では、本開示は、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリであって、鋳型構築物のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の第1のコピーおよび第2のコピーを含み、DNA標的配列の第1のコピーおよび第2のコピーが作動可能に連結されて、一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリが、前の段落に記載の方法によって生成される、ライブラリを提供する。
【0022】
別の態様において、本開示は、鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法であって、Xpandomer分子のそれぞれが、DNA標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含み、方法が、a)上の段落に記載の一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを提供する工程と、(b)DNAアンプリコン産物の第2のタグに相補的な伸長オリゴヌクレオチドの集団を提供する工程であって、伸長オリゴヌクレオチドが、固体基質上に固定化されている、提供する工程と、c)一本鎖DNA鋳型構築物のライブラリを伸長オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズさせる工程と、d)キャップ分岐構築物の集団を提供する工程であって、キャップ分岐構築物が、第2のオリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドが、キャッププライマーアダプター構築物の第1のオリゴヌクレオチドおよび第3のオリゴヌクレオチドの配列の一部に相補的な配列を含み、キャップ分岐構築物の第1のオリゴヌクレオチドおよび第2のオリゴヌクレオチドが、遊離5’ヌクレオシド三リン酸部分を提供する、提供する工程と、e)キャップ分岐構築物の集団を、DNA鋳型構築物の集団に特異的にハイブリダイズさせる工程と、f)プライマー伸長反応を行って、DNA標的配列の第1のコピーおよび第2のコピーのXpandomerコピーを生成する工程であって、Xpandomerコピーが、キャップ分岐構築物によって作動可能に連結されている、生成する工程と、を含む鏡像化されたXpandomer分子のライブラリを生成する方法、を提供する。
【0023】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチド構造および伸長オリゴヌクレオチドが、同じ固体支持体上に固定化され、伸長オリゴヌクレオチドが、切断可能なヘアピン構造を含み、切断可能なヘアピン構造が、切断工程中に切断されて、DNAアンプリコン産物の結合部位を提供する。他の実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチド構造が、マイクロ流体カードの第1のチャンバの第1の基質上に固定化され、伸長オリゴヌクレオチドが、マイクロ流体カードの第2のチャンバの第2の基質上に固定化され、第1のチャンバが、一本鎖DNA鋳型構築物の集団を生成するように構成され、第2のチャンバが、一本鎖DNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される。さらに他の実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチド構造が、ビーズ支持体上に固定化され、伸長オリゴヌクレオチドがCOCチップ支持体上に固定化され、ビーズ支持体が、一本鎖DNA鋳型構築物の集団を生成するように構成され、COCチップ支持体が、DNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される。他の実施形態において捕捉オリゴヌクレオチド構造および伸長オリゴヌクレオチドが、ビーズ支持体上に固定化され、ビーズ支持体が、一本鎖DNA鋳型構築物の集団およびDNA鋳型構築物のXpandomerコピーの集団を生成するように構成される。別の実施形態において、伸長オリゴヌクレオチドが、分岐オリゴヌクレオチド構造によって提供され、分岐オリゴヌクレオチド構造が、化学分岐剤によって第2の伸長オリゴヌクレオチドに作動可能に連結された第1の伸長オリゴヌクレオチドを含み、第1の伸長オリゴヌクレオチドが、リーダー配列と、コンセントレータ配列と、化学分岐剤とリーダー配列およびコンセントレータ配列との間に介在する第1の切断可能部分と、を含み、第2の伸長オリゴヌクレオチドが、第2の切断可能部分を含む。
【0024】
本発明の上記および追加の特徴ならびにそれらを得る方法は明らかになり、本発明は以下のより詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。本明細書に開示される全ての参考文献は、それぞれが個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
この簡単な概要は、以下の詳細な説明でさらに詳細に説明される簡略化した形式における特定の概念を紹介するために提供されている。特に明記されている場合を除き、この簡単な概要は、特許請求される主題の重要な、または本質的な特徴を特定することを意図す
るものではなく、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0026】
1つ以上の実施形態の詳細は、以下の説明に記載される。1つの例示的な実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。したがって、本明細書に記載の様々な実施形態のいずれかを組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、本明細書で特定される様々な特許、出願、および刊行物の概念を使用して、さらに別の実施形態を提供するように修正することができる。他の特徴、目的、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の例示的な特徴、その性質、および様々な利点は、添付の図面および様々な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。非限定的かつ非網羅的な実施形態は、添付の図面を参照して説明されており、特に明記しない限り、様々な図を通して同様のラベルまたは参照番号は同様の部分を指す。図面のエレメントのサイズおよび相対位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々なエレメントの形状は、描画の視認性を改善するために選択され、拡大され、位置決めされる。描かれているエレメントの特定の形状は、図面における認識を容易にするために選択されている。
【0028】
【
図1A】一般化されたXNTPの主要な特徴および拡張による配列決定(SBX)におけるそれらの使用を示す要約された概略図である。
【
図1B】一般化されたXNTPの主要な特徴および拡張による配列決定(SBX)におけるそれらの使用を示す要約された概略図である。
【
図1C】一般化されたXNTPの主要な特徴および拡張による配列決定(SBX)におけるそれらの使用を示す要約された概略図である。
【
図1D】一般化されたXNTPの主要な特徴および拡張による配列決定(SBX)におけるそれらの使用を示す要約された概略図である。
【0029】
【
図2】XNTPの一実施形態のさらなる詳細を示す概略図である。
【0030】
【
図3】生物学的ナノポアを通過するXpandomerの一実施形態を示す概略図である。
【0031】
【
図4A】固相Xpandomer合成のための表面化学の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図4B】固相Xpandomer合成のための表面化学の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図4C】固相Xpandomer合成のための表面化学の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図4D】固相Xpandomer合成のための表面化学の例示的な実施形態を示す概略図である。
【
図4E】固相Xpandomer合成のための表面化学の例示的な実施形態を示す概略図である。
【0032】
【
図5】耐酸性ビーズの官能化および耐酸性ビーズへの伸長オリゴヌクレオチド/DNA鋳型複合体の固定化の一実施形態の一般化された例示を提供する概略図である。
【0033】
【
図6A】末端キャッピング方法の一般化された例示を提供する概略図である。
【0034】
【0035】
【
図7A】末端キャップの例示的な実施形態の一般的な特徴の概略図である。
【
図7B】末端キャップの例示的な実施形態の一般的な特徴の概略図である。
【
図7C】末端キャップの例示的な実施形態の一般的な特徴の概略図である。
【
図7D】末端キャップの例示的な実施形態の一般的な特徴の概略図である。
【0036】
【
図8-1】固相Xpandomer合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図8-2】固相Xpandomer合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図8-3】固相Xpandomer合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【0037】
【
図9-1】固相Xpandomer合成の別の実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図9-2】固相Xpandomer合成の別の実施形態の工程を要約する概略図である。
【0038】
【
図10A】末端キャッピングプロトコル中のポリメラーゼの「短絡」を防ぐための代替戦略を示す概略図である。
【
図10B】末端キャッピングプロトコル中のポリメラーゼの「短絡」を防ぐための代替戦略を示す概略図である。
【0039】
【
図11A】鏡像化ライブラリ構築物およびXpandomer合成のための使用の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図11B】鏡像化ライブラリ構築物およびXpandomer合成のための使用の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図11C】鏡像化ライブラリ構築物およびXpandomer合成のための使用の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【0040】
【
図12】キャップアダプター構築物の一実施形態の一般的な特徴の概略図である。
【0041】
【
図13】Xpandomerの鏡像化ライブラリを生成するためのワークフローの一実施形態を要約する。
【0042】
【
図14A-1】DNAアンプリコンの固定化ライブラリを生成する一実施形態の工程を要約した概略図である。
【
図14A-2】DNAアンプリコンの固定化ライブラリを生成する一実施形態の工程を要約した概略図である。
【
図14B-1】DNAアンプリコンの固定化ライブラリを生成する一実施形態の工程を要約した概略図である。
【
図14B-2】DNAアンプリコンの固定化ライブラリを生成する一実施形態の工程を要約した概略図である。
【0043】
【
図15A】は、鏡像化ライブラリXpandomer産物のための鏡像化鋳型構築物のライブラリの固体合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図15B】は、鏡像化ライブラリXpandomer産物のための鏡像化鋳型構築物のライブラリの固体合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【0044】
【
図16A】は、鏡像化ライブラリXpandomer合成のための構築物のライブラリの固体合成の別の実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図16B】は、鏡像化ライブラリXpandomer合成のための構築物のライブラリの固体合成の別の実施形態の工程を要約する概略図である。
【0045】
【
図17】は、異なる固体支持体を使用してXpandomerの鏡像化ライブラリを生成するためのワークフローの一実施形態を要約する。
【0046】
【
図18】分岐伸長オリゴヌクレオチド構造の一般化された特徴の概略図である。
【0047】
【
図19A】分岐伸長オリゴヌクレオチドを用いたXpandomerの鏡像化ライブラリの固体合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【
図19B】分岐伸長オリゴヌクレオチドを用いたXpandomerの鏡像化ライブラリの固体合成の一実施形態の工程を要約する概略図である。
【0048】
【0049】
【0050】
【
図21B】ナノポアからの配列決定リードのヒストグラムアラインメントである。
【0051】
【
図22】末端キャッピングを有するプライマー伸長産物を示すゲルである。
【0052】
【
図23】末端キャッピングを有するプライマー伸長産物を示すゲルである。
【0053】
【
図24A】ライブラリ断片に連結された三つ又アダプターの一実施形態を示す概略図である。
【0054】
【
図24B】ライブラリ断片への三つ又アダプターの連結を示すゲルである。
【0055】
【
図25A】M3鏡像化ライブラリ構築物を生成するためのM1鏡像化ライブラリ構築物の伸長および消化反応の一実施形態を示す概略図である。
【0056】
【
図25B】伸長および消化反応の産物を示すゲルである。
【0057】
【
図26A】M1鏡像化ライブラリ構築物の固体合成の一実施形態を示す概略図である。
【0058】
【
図26B】M1鏡像化ライブラリ構築物の固体合成の産物を示すゲルである。
【0059】
【
図27】鏡像化ライブラリXpandomerを合成するための鋳型の一実施形態を示す概略図である。
【0060】
【
図28】鏡像化ライブラリ構築物の様々な段階の産物を示すゲルである。
【0061】
【
図29】鏡像化ライブラリXpandomerの配列の一部を示すナノポアトレースである。
【0062】
【
図30】耐酸性磁気ビーズ上で合成されたXpandomer産物を示すゲルである。
【0063】
【
図31】耐酸性磁気ビーズ上でのXpandomer産物の合成および処理を示すゲルである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、本発明の好ましい実施形態および本明細書に含まれる実施例の以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解され得る。別段の説明がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0065】
本発明の実施は、他に示されない限り、当技術分野の技術の範囲内である分子生物学、微生物学、組換えDNAなどの従来の技術を使用するであろう。上記技法は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis,MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL,Second Edition(1989),OLIGONUCLEOTIDE SYNTHESIS(M.J.Gait Ed.,1984),the series METHODS IN ENZYMOLOGY(Academic Press,Inc.),CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.Kingston,D.D.Moore,J.G.Siedman,J.A.Smith,and K.Struhl,eds.,1987)を参照されたい。上記および下記の本明細書で言及される全ての特許、特許出願、および刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
1.定義
本明細書で使用される場合、ポリヌクレオチドとも呼ばれる「核酸」は、1つのヌクレオチドのペントースの3’位が、ホスホジエステル基によって次の5’位に連結されている、共有結合した一連のヌクレオチドである。核酸分子は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、または両方の組み合わせであり得る。DNA(デオキシリボ核酸)およびRNA(リボ核酸)は、ヌクレオチド残基が、ホスホジエステル結合によって特定の配列で連結された生物学的に存在するポリヌクレオチドである。本明細書で使用される場合、用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」、または「オリゴヌクレオチド」は、ヌクレオチドの直鎖骨格を有する任意のポリマー化合物を包含する。オリゴマーとも呼ばれるオリゴヌクレオチドは、一般に、より短い鎖のポリヌクレオチドである。核酸は、配列決定を目的とする場合、一般に「標的核酸」、「標的配列」、「鋳型」または「ライブラリ断片」と呼ばれる。
【0067】
「鋳型」という用語は、新しい鎖の遺伝子配列を設定するDNAの鎖を指す。
【0068】
本明細書中で使用されるとき、用語「鋳型依存方式」とは、プライマー分子(例えば、DNAポリメラーゼによるDNA合成)の鋳型依存性伸長を伴うプロセスのことを指すことが意図される。用語「鋳型依存方式」とは、RNAまたはDNAのポリヌクレオチド合成のことを指し、ポリヌクレオチドの新しく合成された鎖の配列は、周知の相補的塩基対合の規則(例えば、Watson,J.D.et al.,In:Molecular Biology of the Gene,4th Ed.,W.A.Benjamin,Inc.,Menlo Park,Calif.(1987)を参照されたい。)によって決定される。
【0069】
本明細書で使用される「プライマー」という用語は、別の核酸の配列に相補的であり、DNA合成の出発点として働く核酸の短鎖を指す。好ましくは、プライマーは、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくと
も13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも18、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、またはそれ以上の塩基長を有する。
【0070】
本明細書で使用される「鎖」という用語は、ホスホジエステル結合によって互いに共有結合したヌクレオチドで構成される核酸を指す。核酸の一方の鎖は、水素結合を介して、すなわち塩基対合を介してのみ結合するヌクレオチドを含まないが、その鎖は水素結合を介して相補的鎖と塩基対合することができる。第1の鎖および第2の鎖が相補性を介して塩基対合する場合、第1の鎖は「プラス」鎖、「センス」鎖または「5’から3’」鎖と呼ばれることがあり、第2の鎖は「マイナス」鎖、「アンチセンス」鎖または「3’から5’」鎖と呼ばれることがある(またはその逆)。
【0071】
本明細書で使用される「3’末端」という用語は、その末端でデオキシリボースの糖環に第3の炭素のヒドロキシル基を有するヌクレオチド鎖の末端を指す。
【0072】
本明細書で使用される「5’末端」という用語は、その末端でデオキシリボースの糖環に第5の炭素を有するヌクレオチド鎖の末端を指す。
【0073】
「相補的」という用語は、ヌクレオチドまたは核酸間、例えば、二本鎖DNA分子の2本の鎖間、またはオリゴヌクレオチドプライマーと一本鎖核酸上のプライマー結合部位との間、またはオリゴヌクレオチドプローブとDNA分子中のその相補的配列との間などの二重鎖の形成を可能にする塩基対合を指す。相補的なヌクレオチドは、一般に、AおよびT(またはAおよびU)、またはCおよびGである。2つの一本鎖DNA分子は、一方の鎖のヌクレオチドが他方の鎖の約60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、通常、少なくとも約90%~約95%、さらには約98%~約100%と対合し、最適に整列され、比較され、適切なヌクレオチド挿入または欠失を有する場合、実質的に相補的であると言われる。2つのヌクレオチド領域間の同一性の程度は、コンピュータに実装されたアルゴリズムおよび当業者に広く知られている方法を使用して決定される。2つのヌクレオチド配列間の同一性は、好ましくはBLASTNアルゴリズム(BLAST Manual,Altschul,S.et al.,NCBI NLM NIH Bethesda,Md.20894,Altschul,S.,et al.,J.,1990,Mol.Biol.215:403-410)を使用して決定される。
【0074】
「ハイブリダイゼーション」は、2つの一本鎖ポリヌクレオチドが非共有結合的に結合して安定な二本鎖ポリヌクレオチドを形成するプロセスを指す。「ハイブリダイゼーション条件」は、典型的には、約1M以下、より通常には約500mM未満の塩濃度を含み、約200mM未満であってもよい。「ハイブリダイゼーション緩衝液」は、5% SSPEなどの緩衝塩溶液、または当技術分野で公知の他のそのような緩衝液である。ハイブリダイゼーション温度は、5℃程度に低くてもよいが、典型的には22℃を超え、より典型的には約30℃を超え、典型的には37℃を超える。ハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下、すなわち、プライマーがその標的部分配列にハイブリダイズするだろうが、他の非相補的配列にはハイブリダイズしないだろう条件下で行われることが多い。ストリンジェントな条件は、配列に依存しており、状況によって異なる。例えば、より長い断片は、短い断片よりも特異的ハイブリダイゼーションのためにより高いハイブリダイゼーション温度を必要とし得る。塩基組成および相補的鎖の長さ、有機溶媒の存在、および塩基不整合の程度を含む他の要因が、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響を及ぼし得るので、パラメータの組み合わせは、任意の1つのパラメータ単独の絶対尺度よりも重要である。一般に、ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度およびpHにおける特定の配列のTmよりも低い約5℃なるように選択される。例示的なストリンジェントな条件としては、pH約7.0~約8.3および少なくとも温度25℃における少なくとも0.01M~1M以下のナトリウムイオン濃度(または他の塩)の塩濃
度が挙げられる。
【0075】
核酸は、それらが互いに機能的関係に置かれる場合、「作動可能に連結されている」。一般に、「作動可能に連結されている」とは、連結されている核酸配列が互いに近接していることを意味する。連結は、例えば、核酸リガーゼまたはポリメラーゼによって酵素的に達成され得る。
【0076】
本明細書で使用される「二本鎖DNAライブラリ」という表現は、その末端の1つによって物理的に連結され、同じ分子の一部を形成し得るDNA分子(すなわち、センス鎖およびアンチセンス鎖)の両鎖を含むライブラリを指し得る。二本鎖DNA分子のライブラリは、限定されないが、ゲノムDNA(核DNA、ミトコンドリアDNA、葉緑体DNA等)、プラスミドDNA、または一本鎖核酸試料から得られた二本鎖DNA分子(例えば、DNA、cDNA、mRNA)であり得る。
【0077】
本明細書中で使用されるとき、「核酸ポリメラーゼ」は、一般に、3’-OH 5’-三リン酸ヌクレオチド、オリゴマー、およびそれらの類似体を連結するための酵素である。ポリメラーゼには、DNA依存性DNAポリメラーゼ、DNA依存性RNAポリメラーゼ、RNA依存性DNAポリメラーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、T3 DNAポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ1、クレノウ断片、サーモフィルス・アクアティカス(Thermophilus aquaticus)DNAポリメラーゼ、Tth DNAポリメラーゼ、VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Deep
VentR(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England Biolabs)、Bst DNA Polymerase Large Fragment、Stoeffel Fragment、90 N DNA Polymerase、90 N DNAポリメラーゼ、Pfu DNA Polymerase、Tfl DNA Polymerase、Tth DNA Polymerase、Phi29 Polymerase、Tli DNAポリメラーゼ、真核DNAポリメラーゼベータ、テロメラーゼ、Therminator(商標)ポリメラーゼ(New England Biolabs)、KOD HiFi(商標)DNAポリメラーゼ(Novagen)、KOD1 DNAポリメラーゼ、Q-ベータレプリカーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、AMV逆転写酵素、M-MLV逆転写酵素、Phi6逆転写酵素、HIV-1逆転写酵素が挙げられる。本発明によるポリメラーゼは、変異体、突然変異体、またはキメラポリメラーゼであり得る。
【0078】
本明細書で使用される場合、「DPO4型DNAポリメラーゼ」は、古細菌、Sulfolobus solfataricus、または関連するYファミリーDNAポリメラーゼによって天然に発現されるDNAポリメラーゼであり、一般に損傷乗り越え合成(TLS)として知られるプロセスによる損傷DNAの複製で機能する。YファミリーDNAポリメラーゼは、DPO4ポリメラーゼと相同である。例としては、原核生物酵素、PolII、PolIV、PolV、古細菌酵素、Dbh、および真核生物酵素、Rev3p、Rev1p、Pol η、REV3、REV1、Pol ΙおよびPol κ DNAポリメラーゼ、ならびにそれらのキメラが挙げられる。
【0079】
本明細書で使用される場合、「DPO4変異体」は、修飾された組換えDPO4型DNAポリメラーゼであり、天然に存在する野生型DPO4型DNAポリメラーゼと比較して1つ以上の突然変異、例えば、基質または別のポリメラーゼ特性としてかさ高いヌクレオチド類似体を利用する能力を高める1つ以上の突然変異を含み、野生型DPO4型DNAポリメラーゼに対する追加の変更または改変、例えば、追加のペプチドまたはタンパク質
配列の1つ以上の欠失、挿入、および/または融合を(例えば、表面上にポリメラーゼを固定化するために、またはそうでなければポリメラーゼ酵素をタグ付けするために)含み得る。本発明によるDPO4変異体ポリメラーゼの例は、公開されたPCT特許出願国際公開第2017/087281A1号およびPCT特許出願番号PCTUS2018/030972およびPCTUS2018/64794に記載されているSulfolobus sulfataricus DPO4の変異体であり、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「核酸ポリメラーゼ反応」は、鋳型依存的に核酸の新しい鎖を作製するか、または既存の核酸(例えば、DNAまたはRNA)を伸長するためのインビトロ方法を指す。本発明による核酸ポリメラーゼ反応は、プライマー伸長反応を含み、これは、組み込まれたヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体が、標的ポリヌクレオチドの対応するヌクレオチドに相補的であるように、プライマーの3’末端にヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体の組み込みをもたらす。核酸ポリメラーゼ反応のプライマー伸長産物は、単一分子配列決定のために、またはさらなる核酸分子を合成するための鋳型としてさらに使用することができる。
【0081】
本明細書で使用される「複数」という用語は、「少なくとも2つ」を指す。
【0082】
「XNTP」は、鋳型依存性酵素重合と適合する拡張可能な5’三リン酸修飾ヌクレオチド基質である。XNTPは、2つの異なる機能的構成要素を有する。すなわち、核酸塩基5’-トリホスホルアミデートと、各ヌクレオシドトリホスホルアミデート内で、ホスホルアミデート結合のヌクレオチド内切断による制御された拡張を可能にする位置に結合しているつなぎ鎖、である。本明細書で使用される場合、XNTPは、例示的な「非天然の高度に置換されたヌクレオチド類似体基質」である。例示的なXNTPおよびそれを作製する方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願人が公開したPCT出願番号国際公開第2016/081871号に記載されている。
【0083】
「Xpandomer中間体」は、XNTPから集められた中間産物(本明細書では「娘鎖」とも呼ばれる)であり、標的核酸鋳型を使用したXNTPのポリメラーゼ媒介鋳型指向性集合体によって形成される。新しく合成されたXpandomer中間体は、拘束Xpandomerである。XNTPによって提供されるホスホルアミデート結合が切断されるプロセス工程の下では、拘束Xpandomerは、もはや拘束されず、つなぎ鎖が伸ばされるにつれて伸長するXpandomer産物である。
【0084】
「Xpandomer」または「Xpandomer産物」は、それ自体がXNTP基質の鋳型指向性集合体によって合成される拘束Xpandomerの増殖によって生成される合成分子構築物である。Xpandomerは、それが生成された標的鋳型に対して伸長している。それは、サブユニットの連結から構成され、各サブユニットはモチーフであり、各モチーフは、配列情報、つなぎ鎖、および任意に、基質の一部、または全部を含むライブラリのメンバーであり、それらの全ては、形成性基質構築物に由来する。Xpandomerは、標的鋳型よりも長くなるように拡張するように設計され、それによって標的鋳型の配列情報の線密度をその長さに沿って低下させる。さらに、Xpandomerは、任意に、レポーターのサイズおよび存在量を増加させるためのプラットフォームを提供し、次いで、検出のためのシグナル対ノイズを改善する。より低い線情報密度およびより強い信号は、分解能を高め、鋳型鎖の配列を検出および複合するための感度要件を低減する。
【0085】
「つなぎ鎖」または「つなぎ鎖部材」は、ほぼ直線寸法を有し、2つの対向する末端のそれぞれに末端部分を有するポリマーまたは分子構築物を指す。つなぎ鎖は、末端部分に
結合を有するヌクレオシドトリホスホルアミデートに結合してXNTPを形成する。結合は、つなぎ鎖を「拘束された配置」に拘束するのに役立つ。つなぎ鎖は、「拘束された配置」および「拡張された配置」を有する。拘束された配置は、XNTPおよび娘鎖またはXpandomer中間体に見られる。つなぎ鎖の拘束された配置は、Xpandomer産物に見られるように、拡張された配置の前駆体である。拘束された配置から拡張された配置への移行は、選択的に切断可能なホスホルアミデート結合の切断をもたらす。つなぎ鎖は、その長さに沿って、基質の配列情報をコードすることができる1つ以上のレポーターまたはレポーター構築物を含む。つなぎ鎖は、Xpandomerの長さを拡張し、それによって配列情報の線密度を低下させる手段を提供する。
【0086】
「つなぎ鎖エレメント」または「つなぎ鎖セグメント」は、2つの末端を有するほぼ線形の寸法を有するポリマーであり、末端は、つなぎ鎖エレメントを連結するための末端連結を形成する。つなぎ鎖エレメントは、つなぎ鎖のセグメントである。そのようなポリマーには、ポリエチレングリコール、ポリグリコール、ポリピリジン、ポリイソシアネート、ポリイソシアネート、ポリ(トリアリールメチル)メタクリレート、ポリアルデヒド、ポリピロリノン、ポリ尿素、ポリグリコールホスホジエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリブチレート、ポリブタジエン、ポリブチロラクトン、ポリピロリジノン、ポリビニルホスホネート、ポリアセトアミド、多糖類、ポリヒアルラン酸塩、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリテレフタレート、ポリシラン、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミノ酸、ポリグリシン、ポリプロリン、N-置換ポリリジン、ポリペプチド、側鎖N-置換ペプチド、ポリ-N-置換グリシン、ペプトイド、側鎖カルボキシル置換ペプチド、ホモペプチド、オリゴヌクレオチド、リボ核酸オリゴヌクレオチド、デオキシ核酸オリゴヌクレオチド、ワトソン-クリック塩基対合を防ぐために修飾されたオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、ポリシチジル酸、ポリアデニル酸、ポリウリジル酸、ポリチミジン、ポリリン酸塩、ポリヌクレオチド、ポリリボヌクレオチド、ポリエチレングリコール-ホスホジエステル、ペプチドポリヌクレオチド類似体、スレオシル-ポリヌクレオチド類似体、グリコール-ポリヌクレオチド類似体、モルフォリノ-ポリヌクレオチド類似体、ロックされたヌクレオチドオリゴマー類似体、ポリペプチド類似体、分岐ポリマー、コームポリマー、スターポリマー、樹枝状ポリマー、ランダム、グラジエントおよびブロックコポリマー、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、基部ループを形成するポリマー、剛体セグメントと可動性セグメントが、含まれ得るが、これらに限定されない。
【0087】
「レポーター」は、1つ以上のレポーターエレメントから構成される。レポーターは、標的核酸の遺伝情報を解析するのに役立つ。
【0088】
「レポーター構築物」は、検出可能なシグナルを生成することができる1つ以上のレポーターを含み、検出可能なシグナルは一般に配列情報を含む。この信号情報は、「レポーターコード」と呼ばれ、続いて遺伝的配列データに復号される。レポーター構築物はまた、つなぎ鎖セグメントまたはポリマー、グラフトコポリマー、ブロックコポリマー、アフィニティーリガンド、オリゴマー、ハプテン、アプタマー、デンドリマー、連結基または親和性結合基(例えば、ビオチン)を含む他の構造的構成要素を含み得る。
【0089】
「レポーターコード」は、レポーター構築物の測定シグナルからの遺伝情報である。レポーターコードは、配列特異的な遺伝情報データを提供するために復号される。
【0090】
本明細書で使用される「固体支持体」、「固体状態」、「支持体」、および「基質」という用語は、互換的に使用され、剛性または半剛性の表面を有する材料または材料群を指
す。多くの実施形態において、固体支持体の少なくとも1つの表面は、実質的に平坦であり、例えば、ポリマーマイクロ流体カードまたはチップの表面であるだろう。いくつかの実施形態では、例えば、エッチングされたチャネル、トレンチ、ウェル、隆起領域、ピンなどとの異なる反応のためにカードまたはチップの領域を物理的に分離することが望ましい場合がある。他の実施形態によれば、固体支持体は、不溶性ビーズ、樹脂、ゲル、膜、ミクロスフェア、または、例えば、制御細孔ガラス(CPG)および/もしくはポリスチレンから配置される他の幾何学的配置の形態をとるであろう。
【0091】
本明細書で使用される「固定化される」という用語は、伸長、増幅、連結、および本明細書に記載される他のプロセスの条件下で安定な会合を提供する様式での分子(例えば、リンカー、アダプター、オリゴヌクレオチド)と支持体との間の会合、結合、または結合を指す。そのような結合は、共有結合または非共有結合であり得る。非共有結合には、静電相互作用、親水相互作用、および疎水相互作用が含まれる。共有結合は、原子間の電子対の共有を特徴とする共有結合の形成である。そのような共有結合は、分子と支持体との間に直接存在し得るか、クロスリンカーによって、または支持体もしくは分子もしくはその両方に特異的な反応性基を含めることによって形成され得る。分子の共有結合は、支持体に固定化されたアビジンまたはストレプトアビジンなどの結合パートナー、およびアビジンまたはストレプトアビジンへのビオチン化分子の非共有結合を使用して達成することができる。固定はまた、共有結合性および非共有結合性の相互作用の組み合わせを含み得る。
【0092】
本明細書で使用される場合、「クリック反応」という用語は、当技術分野で認識されており、これは、最も認識されている銅触媒アジド-アルキン[3+2]環化付加などの極めて信頼性が高く自己指向性の有機反応の集合体を説明する。クリックケミストリー反応の非限定的な例は、例えば、H.C.Kolb,M.G.Finn,K.B.Sharpless,Angew.Chem.Int.Ed.2001,40,2004 and E.M.Sletten,C.R.Bertozzi,Angew.Chem.Int.Ed.2009,48,6974において見出され、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0093】
例示的なクリックケミストリー反応は、アジド-アルキンHuisgen付加環化である(例えば、室温で銅(Cu)触媒を使用する)。(Rostovtsev,et al.2002 Angew.Chemie Int’l Ed.41(14):2596-2599;Tornoe,et al.2002 J.Org.Chem.67(9):3057-3064.)クリックケミストリーの他の例としては、チオール-エンクリック反応、ディールス・アルダー反応、および逆電子要求ディールス・アルダー反応、イソニトリル(イソシアニド)とテトラジンとの間の[4+1]環化付加が挙げられる。(例えば、Hoyle,et al.2010 Angew.Chemie Int’l Ed.49(9):1540-1573;Blackman,et al.2008 J.Am.Chem.Soc.130(41):13518-13519;Devaraj,et al.2008 Bioconjugate Chem.19(12):2297-2299;Stockmann,et al.2011 Org.Biomol.Chem.9,7303-7305を参照されたい。)
【0094】
「アルキン」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する炭化水素を指す。本明細書で使用される場合、「末端アルキン」という用語は、少なくとも1個の水素原子が三重に結合した炭素原子に結合しているアルキンを指す。
【0095】
本明細書で使用される「アジド」または「アジド基の」という用語は、式(--N3)の基を指す。
【0096】
「トリアゾール」という用語は、2個の炭素原子および3個の窒素原子の5員環を有する分子式C2H3N3を有する複素環式化合物のいずれかを指す。アルキン部分とアジド部分との間の化学クリック反応の産物は、トリアゾール部分である。
【0097】
拡張による配列決定
固体合成によって増強できる例示的なプライマー伸長反応の1つは、Stratos Genomicsによって開発された「Sequencing by Expansion」(SBX)プロトコルの基礎を形成する「XNTP」として知られる非天然ヌクレオチド類似体の重合である(例えば、Kokoris et al.、米国特許第7,939,259号、「High Throughput Nucleic Acid Sequencing by Expansion」を参照のこと)。一般に、SBXは、この生化学的重合を使用して、DNA鋳型の配列を「Xpandomer」と呼ばれる測定可能なポリマー上に転写する。転写された配列は、約10nm離れた高シグナル対ノイズレポーターにおいてXpandomer骨格に沿ってコード化され、高シグナル対ノイズ、高分化応答のために設計される。これらの違いは、ネイティブDNAと比較して、Xpandomerの配列リード効率および精度の著しい性能向上を提供する。SBXプロセスの一般化された概要を
図1A、
図1B、
図1C、および
図1Dに示す。
【0098】
XNTPは、鋳型依存性酵素重合と適合する拡張可能な5’三リン酸修飾ヌクレオチド基質である。非常に単純化されたXNTPが、
図1Aに示されており、これは、これらのヌクレオチド類似体の固有の特徴を強調する。XNTP 100は、2つの異なる機能領域を有する。すなわち、5’α-ホスフェート115を核酸塩基105に連結する選択的に切断可能なホスホルアミデート結合110と、ホスホルアミデート結合のヌクレオチド内切断による制御された拡張を可能にする位置でヌクレオシドトリホスホルアミデート内に結合されるつなぎ鎖120である。XNTPのつなぎ鎖は、選択的に切断可能なホスホルアミデート結合によって分離されたリンカーアーム部分125Aおよび125Bから構成される。各リンカーは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kokorisらによる米国特許第8,324,360号明細書に開示されているように、連結基(LG)を介してレポーター130の一末端に結合する。XNTP 100は、重合後のXNTP基質および娘鎖に特徴的な「拘束された配置」に示されている。重合XNTPの拘束された配置は、Xpandomer産物に見られるように、拡張された配置の前駆体である。拘束された配置から拡張された配置への移行は、娘鎖の一次骨格内のホスホルアミデートのP--N結合の切断時に起こる。
【0099】
Xpandomerの合成を
図1Bおよび
図1Cに要約する。集合中、モノマーXNTP基質145(XATP、XCTP、XGTP、およびXTTP)は、ガイドとして一本鎖鋳型(配列番号1)140を使用する鋳型指向重合のプロセスによって新生娘鎖150の伸長可能末端で重合される。一般に、このプロセスは、プライマーから開始され、5’から3’方向に進行する。一般に、DNAポリメラーゼまたは他のポリメラーゼを使用して娘鎖を形成し、鋳型鎖の相補的コピーが得られるように条件を選択する。娘鎖が合成された後、カップリングされたつなぎ鎖は、娘鎖をさらに含む拘束されたXpandomerを含む。娘鎖中のつなぎ鎖は、XNTP基質の「拘束された配置」を有する。つなぎ鎖の拘束された配置は、Xpandomer産物に見られるように、拡張された配置の前駆体である。
【0100】
図1Cに示されるように、拘束された配置160から拡張された配置165への移行は、娘鎖の一次骨格内の選択的に切断可能なホスホルアミデート結合(単純化のために陰影のない楕円によって示されている)の切断に起因する。この実施形態では、つなぎ鎖は、それらが連結されている核酸塩基に特異的な1つ以上のレポーター構築物またはレポーター
構築物130A、130C、130G、または130Tを含み、それによって鋳型の配列情報をコードする。このようにして、つなぎ鎖は、Xpandomerの長さを拡張し、親鎖の配列情報の線密度を低下させる手段を提供する。
【0101】
図1Dは、シスリザーバ175からトランスリザーバ185にナノポア180を通って移動するXpandomer 165を示す。ナノポアを通過すると、線形化Xpandomerのレポーター(この図では、「G」、「C」、および「T」とラベル付けされている)のそれぞれは、それが連結されている核酸塩基に特異的な別個の再現性のある電子シグナル(重畳トレース190によって示される)を生成する。
【0102】
図2は、XNTPの一般化された構造をより詳細に示す。XNTP 200は、選択的に切断可能なホスホルアミデート結合230によって分離されたリンカーアーム部分220Aおよび220Bを有する核酸塩基トリホスホルアミデート210から構成される。つなぎ鎖は、連結基250Aおよび250Bでヌクレオシドトリホスホルアミデートに連結され、第1のつなぎ鎖末端はヘテロ環260(ここではシトシンによって表されるが、複素環は、4つの標準的な核酸塩基、A、C、GまたはTのいずれか1つであってもよい。)に連結され、第2のつなぎ鎖末端は、核酸塩基骨格のアルファリン酸270に連結される。当業者は、当技術分野で公知の多くの適切なカップリング化学物質を使用して最終的なXNTP基質産物を形成することができ、例えば、つなぎ鎖結合がトリアゾール結合によって達成され得ることを理解するであろう。
【0103】
この実施形態では、つなぎ鎖275は、エンハンサー280Aおよび280B、レポーターコード285Aおよび285B、ならびに翻訳制御エレメント(TCE)290Aおよび290Bを含むいくつかの機能エレメントから構成される。これらの特徴のそれぞれは、ナノポアを通り抜けるXpandomerの転座、および固有の再現性のある電子シグナルの生成中に独特の機能を果たす。つなぎ鎖275は、ハイブリダイゼーション(TCH)による転座制御のために設計されている。図示のように、TCEは、相補的オリゴマー(CO)に二重鎖化することができ、レポーターコードに隣接して配置されるハイブリダイゼーションの領域を提供する。異なるレポーターコードは、異なる測定可能なレベルでナノポアを通るイオン流を遮断するようなサイズである。オリゴヌクレオチド合成に典型的に使用されるホスホラミダイト化学を使用して、特定のレポーターコードを効率的に合成することができる。レポーターは、市販のライブラリから特定のホスホラミダイトの配列を選択することによって設計することができる。そのようなライブラリには、1~12またはそれを超えるエチレングリコール単位の長さを有するポリエチレングリコール、1~12またはそれを超える炭素単位の長さを有する脂肪族、デオキシアデノシン(A)、デオキシシトシン(C)、デオキシグアノジン(G)、デオキシチミン(T)、脱塩基(Q)が含まれるが、これらに限定されない。レポーターコードに関連する二重鎖化TCEもイオン電流遮断に寄与するので、レポーターコードとTCEとの組み合わせは、「レポーター」と呼ぶことができる。レポーターコードに続いて、一実施形態ではスペルミンポリマーを含むエンハンサーが存在する。
【0104】
図3はα-溶血素ナノポアを転位させるプロセスにおける切断されたXpandomerの一実施形態を示す。この生物学的ナノポアは、電解質の2つの貯蔵部を分離し電気的に隔離する脂質二重層膜に埋め込まれる。典型的な電解質は、pH7.0に緩衝された1モルのKClを有する。典型的には100mVの小さい電圧が、二重層にわたって印加されるとき、ナノポアは、イオン電流の流れを制限し、回路内の一次抵抗である。Xpandomerレポーターは、特定のイオン電流遮断レベルを与えるように設計されており、レポーターの配列が、ナノポアを転座するときにイオン電流レベルの配列を測定することによって配列情報を読み取ることができる。
【0105】
α-溶血素ナノポアは、典型的には配向しているので、転座は、前庭部側に入り、基部側から出ることによって起こる。
図3に示すように、ナノポアは、最初に基部側からXpandomerを捕捉するように配向される。この配向は、TCH法を使用すると、最初に前庭部に入るときに発生する閉塞アーチファクトが少なくなるので有利である。特に指示しない限り、基部側が最初に想定される転座方向となるであろう。Xpandomerが転座すると、レポーターは、その二重鎖化されたTCEが基部入口で停止するまで基部に入る。二重鎖は直径が約2.4nmであるのに対して、基部入口は約2.2nmであるので、レポーターは、二本鎖の相補鎖395が解離する(放出される)まで基部に保持され、その後、転座が次のレポーターに進む。Xpandomerはまだ転座しており、ポアから拡散しているので、遊離相補的鎖がナノポアに入ることが非常に望ましくない。
【0106】
一実施形態では、(二重鎖に続く)レポーターコードの各メンバーは、多くの市販ライブラリから選択することができるホスホラミダイトの順序付き選択によって形成される。各構成成分ホスホラミダイトは、ナノポア内のその位置(二重鎖停止後に位置する)、その変位、その電荷、ナノポアとのその相互作用、その化学的および熱的環境ならびに他の要因に従って正味のイオン抵抗に寄与する。各ホスホラミダイト上の電荷は、部分的には、-1の公称電荷を有するが、対イオン遮蔽によって効果的に低減されるリン酸イオンに起因する。二重鎖を引っ張る力は、局所電場によって作用されるレポーターに沿ったこれらの有効電荷に起因する。各レポーターは異なる電荷分布を有することができるので、所与の印加電圧に対して二重鎖に異なる力を及ぼすことができる。レポーター骨格に沿って伝達される力はまた、レポーターを引き伸ばして反復可能なブロッキング応答を与えるのに役立つ。
【0107】
配列決定のために、2M NH4Clおよび100mM HEPES(pH7.4)を含有する緩衝液B1中のDPhPE/ヘキサデカン二重層メンバーにα-溶血素を挿入することによって、タンパク質ナノポアを調製する。シスウェルを、0.4M NH4Cl、0.6M GuCl、および100mM HEPES、pH7.4を含有する緩衝液B2で灌流する。Xpandomer試料を70℃に2分間加熱し、完全に冷却し、次いで、試料2μLをシスウェルに添加する。次いで、90mV/390mV/10μsの電圧パルスを印加し、Labview取得ソフトウェアを用いてデータを取得する。
【0108】
配列データは、単一のSBX反応からの配列リードの集団のヒストグラム表示によって分析される。分析ソフトウェアは、各配列リードを鋳型の配列に整列し、正しい鋳型配列と整列しないリードの末端の配列の範囲をトリミングする。
【0109】
2.本発明の実施形態
本発明は、以下の例示的な実施形態に記載されるような特定の方法、装置、および組成物を使用することができる。
【0110】
A.固体合成
【0111】
本発明者らによって開発された拡張による配列決定(SBX)方法論は、ネイティブDNAと比較して、Xpandomerの配列リード効率および精度における著しい性能向上を提供する。しかし、鋳型DNAの高品質の全長Xpandomerコピーが濃縮された試料は、溶液中で生成することが困難であり得る。有利には、試行錯誤によって、本発明者らは、ワークフローの様々な工程(例えば、プライマー伸長反応および/または合成後プロセシング工程)を固体支持体に適合させることによって、全長Xpandomerの合成および/またはプロセシングの効率を高めることができることを見出した。固体プラットフォームは、様々な反応条件の最適化を改善することが見出されている。
【0112】
Xpandomerの固体合成は、当技術分野で公知の任意の適切な支持体プラットフォームを使用して実施され得る。特定の実施形態では、固体支持体は、従来のビーズ、チューブ、キャピラリー、またはマイクロ流体チップまたはカードであってもよい。本明細書でさらに論じるように、本発明のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマー、すなわち伸長部、または「E-オリゴ」が、支持体に結合して、固体Xpandomer合成を開始する。
【0113】
表面化学
【0114】
複数の表面化学を使用して、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド/鋳型複合体を固体支持体上に固定化することができる。適切な表面化学の特定の例示的な実施形態を
図4A~
図4Eに示す。
図4Aに示される実施形態は、従来のストレプトアビジン/ビオチン相互作用化学を使用し、末端ビオチン部分410Aを含むリンカーによる固体支持体400の官能化を示す。この実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマー420の5’末端は、末端ビオチン部分410Bを含む第2のリンカーに結合している。プライマー-鋳型複合体425(ポリメラーゼ媒介Xpandomer合成を示すこの描写において)の支持体への結合は、ストレプトアビジン部分430によって媒介される。本明細書に開示されるリンカー部分は、支持体が相補的オリゴヌクレオチドまたは核酸複製酵素によるオリゴヌクレオチドの全体的な結合および認識を著しく妨害しないように、オリゴヌクレオチドを支持体に連結するのに十分な長さであり得る。したがって、リンカーは、スペーサーユニットも含むことができる。スペーサーは、例えば、オリゴヌクレオチドを切断部位または標識から離す。
【0115】
あるいは、
図4Bに示される実施形態は、クリック反応を介したプライマーと基質との共有結合による、プライマー-鋳型複合体425の固体支持体(すなわち、「基質」)400への固定化を示す。この実施形態では、共有結合は、固体支持体に架橋されたマレイミド-PEG-アルキンリンカー423によって媒介される。基質に遠位のリンカーの末端によって提供されるアルキン部分429は、プライマーの5’末端によって提供されるアジド基435と反応することができる。基質上に核酸を固定化するために単純なクリックケミストリーを利用する能力は、従来の固体核酸合成プロトコルを超える利点を提供する。例えば、核酸は、クリックコンジュゲーションの前に(例えば、化学的または酵素的に)予め合成され、精製され得る。さらに、異なるオリゴヌクレオチドの組み合わせを単一の支持体上に固定化することができる。固体支持体に結合したオリゴヌクレオチド構造の複数の配置が本発明によって企図される。
図4Cは、本明細書中で論じられるように、プライマー-鋳型複合体のデンドリマーが、クリックケミストリーによって支持体上にどのように形成され得るかを示す。
【0116】
第1の末端にマレイミド部分を提供し、第2の末端にアルキン部分を提供する任意の適切なリンカーを本発明に従って使用することができる。リンカーの2つの反応性基間の化学鎖は、本明細書では「スペーサーアーム」と呼ばれ得る。スペーサーアームの長さは、コンジュゲートがどの程度可動性であるかを決定するだろう、また、特定の用途に最適化することができる。典型的には、スペーサーアームは、炭化水素鎖またはポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む。
図4Dは、アルキン部分429およびマレイミド部分427を提供する例示的なマレイミド-PEG-アルキンリンカー423、プロパルギル-PEG4-マレイミドを示す。
図4Eは、共有結合を生成するクリック反応によって、末端アジド部分が5’末端に連結した伸長オリゴヌクレオチドを固体支持体上にどのように固定化できるかを示す。この実施形態では、固体支持体は、支持体に近位端に末端マレイミド部分を含み、支持体に遠位端に末端アルキン基を含むリンカーを架橋することによって官能化されている。
【0117】
本発明によれば、マレイミド部分を反応性基に変換し、その後、触媒を含まない光化学(例えば、光開始)プロトン引き抜き反応によって固体表面、例えばポリオレフィン表面に架橋することができる。この反応は、従来のコンジュゲーション方法論が依拠する開始工程を単純化する。従来の架橋技術は、マレイミド化学基がスルフヒドリル反応性の標的化(-SH)官能基であることを教示している。しかしながら、本発明者らは、有利には、マレイミド基が、プロトン引き抜き反応による活性化後に剛性ポリオレフィン基質に架橋され得ることを発見した。重要なことに、マレイミド媒介架橋は、酸性条件下ならびにクリック反応中に安定であることが分かっている。適切なポリオレフィン表面には、ポリプロピレンまたは環状オレフィンコポリマー(COC)から製造された基質が含まれるが、これらに限定されない。
【0118】
基質、例えば、COCチップをアルキン部分で官能化するために、例示的な触媒を含まない光化学的プロトン引き抜き反応は、1)DMSOまたはDMFなどの有機溶媒でチップをプライミングする工程と、2)例えばDMSOおよび水に可溶化された、一末端にマレイミド部分を有するリンカー、例えばプロパルギルマレイミドを加える工程と、3)チップをUVランプ下でインキュベートする工程と、3)特定の実施形態ではDMSO、DMF、およびNa2HPO4、Tween-20、およびSDSの溶液を含み得る一連の溶媒でチップを洗浄する工程と、4)クリック反応の前に、チップを水および/またはPBSなどの水溶液で洗浄する工程と、を含み得る。
【0119】
これらの実施形態は、伸長オリゴヌクレオチドの5’末端、すなわち支持体に連結されたプライマーを示しているが、代替の実施形態では、表面化学を、オリゴヌクレオチドの3’、例えば、本明細書でさらに論じられる末端キャップ構造の末端オリゴヌクレオチド(または末端オリゴヌクレオチドの逆相補体である配列を有するオリゴヌクレオチドの5’末端)を支持体に連結するように適合させることができることを理解されたい。
【0120】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドと固体支持体との間の連結は、切断可能であり、プライマー伸長産物が、合成後に支持体から放出されることを可能にする。切断可能なリンカーおよびそのようなリンカーを切断する方法は公知であり、当業者の知識を使用して提供される方法に使用することができる。例えば、切断可能なリンカーは、酵素、触媒、化合物、温度、電磁放射線、または光によって切断することができる。任意に、切断可能なリンカーは、ベータ脱離によって加水分解可能な部分、酸加水分解によって切断可能な部分、酵素的に切断可能な部分、または光切断可能な部分を含む。いくつかの実施形態では、適切な切断可能部分は、Glen Researchから入手可能な光切断可能(PC)スペーサーまたはリンカーホスホラミダイトである。
【0121】
本発明者らは、有利には、Xpandomerの固体合成およびプロセシングが、400塩基を超えるナノポア配列リードが得られるように、ワークフローにおける多くの工程の最適化を可能にすることを見出した。特定の実施形態では、固体合成は、支持体として耐酸性磁気ビーズを使用して実施され得る。ビーズ構造の幾何学的形状は、好ましい鋳型結合および迅速な溶液中反応速度、表面積の増加、磁気収集などを含むいくつかの利点を提供する。ビーズの耐酸性は、ビーズをXpandomerプロセシング反応に特に適した支持体にする。Xpandomer合成用の耐酸性磁気ビーズを調製する方法の一実施形態を
図5に示す。ここで、耐酸性磁気ビーズ510(例えば、TurboBeads(登録商標)Pegアミン)は、リンカー520で官能化されて官能化ビーズ530を生成し、末端アルキン基を提供する。ビーズは、任意の形態のアミン型カップリングまたは化学縮合を使用して官能化され得る。一実施形態では、ビーズは、ビーズの表面によって提供されるアミンとのNHS-エステル結合によって官能化され得る。クリックケミストリーにより、5’アジド部分を提供する伸長オリゴヌクレオチド(「E-オリゴ」)540が、官能化ビーズ530に共有結合して、支持体結合E-オリゴ550を生成する。ビーズ
に結合したE-オリゴは、例えばプライマー伸長反応のために一本鎖鋳型560にハイブリダイズして、鋳型のXpandomerコピーを生成することができる。有利には、ホスホルアミデート結合の酸媒介性切断を含むその後のXpandomerプロセシング工程は、同じビーズ支持体上で実施することができる。
【0122】
末端キャッピング
【0123】
この実施形態では、核酸鋳型の一本鎖コピーは、鋳型の一部に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド「キャップ」の3’末端から5’末端で作動可能に連結される(例えば、接続または結合される)。オリゴヌクレオチドキャップへの一本鎖コピーの連結は、鋳型依存性の間にオリゴヌクレオチドキャップの5’末端に達するときに核酸ポリメラーゼによって媒介される。オリゴヌクレオチドキャップは、本明細書では代替的に「末端キャップ」、「キャップ付きブロッカーオリゴヌクレオチド」、または「エンドタグ」と呼ばれる。末端キャップは、望ましくない長さのコピー、例えば、不完全なまたは切断された産物を含み得る産物の不均一な集団から定義された長さを有する核酸鋳型のコピーを同定および/または単離するための分子タグとして機能する。
【0124】
代替的な実施形態では、鋳型核酸は、DNA分子またはRNA分子であり得る。末端キャップは、鋳型核酸の任意の部分に(すなわち、「末端キャップ標的配列」に)ハイブリダイズして、規定のまたは所望の長さ、すなわち、「標的配列」を有する鋳型の領域のコピーを選択的に改変、例えば、「タグ付け」するように設計され得る。いくつかの実施形態では、末端キャップは、標的配列の完全なまたはほぼ完全なコピーを「タグ付け」するために、標的配列の5’末端付近の配列にハイブリダイズするように設計される。いくつかの実施形態では、末端キャップ標的配列は、鋳型核酸の天然核酸配列の一部である。他の実施形態では、末端キャップ標的配列は、鋳型核酸に連結または接続されている異種配列(例えば、アダプターまたはリンカー)である。
【0125】
特定の実施形態では、一本鎖核酸鋳型のコピーは、Xpandomerであり、末端キャップは、鋳型DNAのライブラリ断片の5’末端にハイブリダイズするように設計されている。有利には、ライブラリ断片の全長コピーが濃縮されたXpandomer産物の集団は、本発明のナノポアベースの配列決定システムから改善された配列情報または「リード」を提供する。
【0126】
末端キャッピング戦略の一実施形態の概要を
図6Aに簡略化した形で示す。この実施形態では、末端キャッピングは、本明細書では標的配列鋳型610によって表されるDNA標的配列のXpandomerコピーの選択的タグ付けを可能にする。Xpandomerは、適切なDNAポリメラーゼ、XNTP基質ならびに他の伸長試薬および添加剤を用いて一本鎖鋳型にハイブリダイズしたオリゴヌクレオチドプライマー620(すなわち、伸長または「E-オリゴ」)から開始されるプライマー伸長反応によって合成される。本発明者らは、特にプライマー伸長反応が1つ以上のPEM添加剤(PEM添加剤は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Enhancement of Nucleic Acid Polymerization by Aromatic Compounds」と題する、本出願人の係属中の特許出願第PCT/US18/67763号に記載されている)を含む場合、DPO4ポリメラーゼの変異体が、XNTPを基質として利用して鋳型依存的にXpandomerを合成することができることを見出した。プライマー伸長産物は、伸長産物に組み込まれたオリゴヌクレオチドが検出可能な色素630に連結されている場合、ゲル電気泳動によって可視化され得る。
【0127】
末端キャップ構造の一実施形態の一般的な特徴は、
図6Aの概略番号4に示されている。この実施形態では、末端キャップ640は、標的配列鋳型の5’末端付近の配列に相補的
であり、特異的にハイブリダイズする末端オリゴヌクレオチド645(本明細書では「ブロッカー」オリゴヌクレオチドと呼ばれ得る)を含む。末端キャップはまた、DNAポリメラーゼによって基質として利用され得るジデオキシリボヌクレオシド類似体(すなわち、「キャップ」)に結合した5’三リン酸基647を含む。プライマー伸長反応、例えば、Xpandomer合成反応の間、DNAポリメラーゼは、結合した伸長オリゴヌクレオチドから伸長中のXpandomerを鋳型依存的に合成する。鋳型の末端に達すると、DNAポリメラーゼは、末端キャップに遭遇し、5番目の模式図に示されているように、キャップの三リン酸基とXpandomerの3’末端XNMPとの間にホスホジエステル結合を形成することによって、末端オリゴヌクレオチドの5’末端をXpandomerの3’末端に連結させる。対照的に、遊離5’三リン酸基を欠く末端オリゴヌクレオチドは、
図6Aの3番目の模式図のオリゴヌクレオチド645に示されるように、DNAポリメラーゼによってXpandomerに連結することができない。
【0128】
特定の実施形態では、末端キャップを検出可能な色素630に連結して、例えばゲル電気泳動によって標的配列の末端キャップされたコピーを可視化することができる。
図6Bは、100mer鋳型のXpandomerコピーが末端キャップ(
図6Aの第4の模式図に対応するレーン1~4)またはプライマー(
図6Aの第1の模式図に対応するレーン5~8)のいずれかで標識されている例示的なゲルを示す。末端キャッピングは、遊離5’三リン酸基を欠くブロッカーオリゴヌクレオチド645(
図6Aの第2および第3の模式図に対応する、図示されていないデータ)を用いてプライマー伸長反応を行った場合の蛍光シグナルの欠如によって示されるように、末端オリゴヌクレオチドに結合した5’ヌクレオシド三リン酸基の利用可能性に依存する。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書でさらに詳細に記載されるように、末端キャップまたは末端キャップの末端オリゴヌクレオチドに相補的なオリゴヌクレオチドを固体支持体に連結して、全長Xpandomer産物の単離または精製(例えば、「捕捉」)を可能にすることができる。
【0130】
末端または「ブロッカー」オリゴヌクレオチドは、鋳型核酸中の末端キャップ標的配列と強くハイブリダイズするように設計されている。オリゴヌクレオチドの長さおよび/またはオリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドモノマーの化学構造などの特徴は、所望のハイブリダイゼーション強度を達成するために最適化され得る。一般的に言えば、末端オリゴヌクレオチド-標的配列鋳型の融解温度は、最適なハイブリッド形成のために少なくとも37℃であるだろうが、より低い融解温度も可能である。ある特定の実施形態において、末端オリゴヌクレオチドの長さは、約10~約30ヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、結合効率を高めるために、ヌクレオチド類似体、例えば1つ以上の2’メトキシリボヌクレオチド、LNA(すなわち、「ロックド」核酸類似体)、またはGクランプが、末端オリゴヌクレオチドに組み込まれる。1つの実施形態において、2’メトキシリボヌクレオチドにおける末端ヌクレオチドの実質的に全てのヌクレオチド。
【0131】
例示的な末端キャップ構造の特定の特徴の詳細を
図7A~
図7Dに示す。
図7Aおよび
図7Bは、オリゴヌクレオチドの5’末端が、可動性リンカー710に連結している末端オリゴヌクレオチド(配列番号2)700を示す。可動性リンカーは、
図7Cを参照してさらに説明するように、修飾5’ヌクレオシド三リン酸キャップ(すなわち、「キャップ」)への共有結合を可能にするクリック反応のための基質を提供する末端アジド部分720を含む。23mer末端オリゴヌクレオチド700の5’末端に結合した可動性リンカー710Aおよび710Bの例示的な実施形態を、それぞれ
図7Aおよび
図7Bに示す。可動性リンカーは、例えば、適切な長さのアルキルおよび/またはPEG部分から構成される不活性直鎖ポリマーであり得る。一実施形態では、可動性リンカーは、C6ブロモヘキスホスホラミダイトから形成される。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド
の5’末端は、1つ以上のGクランプヌクレオチド類似体を含み得る。
【0132】
合成の例示的な方法において、末端オリゴヌクレオチドは、完成したオリゴヌクレオチドの5’-ヒドロキシルがブロモヘキシルホスホラミダイト(例えば、Glen Researchから入手可能)にカップリングされる従来の自動化ホスホラミダイト化学によって合成される。固体支持体をアジ化ナトリウムで処理して、ブロモ基をアジドに変換する。最後に、
図7Bに示されるように、オリゴヌクレオチドを脱保護し、固体支持体から切断して、アジドオリゴヌクレオチドを得る。
【0133】
図7Cは、本明細書で「ddNTP-O」(この描写ではddCTP-0によって表される)と呼ばれる修飾5’ヌクレオシド三リン酸キャップ740の一実施形態を示す。キャップの複素環部分は、クリック反応を介した末端オリゴヌクレオチドのアジドへの結合を媒介するために、オクタジインルアーム747を介して連結された末端アルキン部分745で修飾される。特定の実施形態において、得られた末端キャップのアルキニルヌクレオシド三リン酸(すなわち、キャップ740)は、末端オリゴヌクレオチドの5’末端の鋳型と塩基対合することができる。アルキニルヌクレオシド三リン酸キャップは、LudwigおよびEcksteinによって記載される方法または5’-三リン酸合成の他の方法を使用して合成することができ、例えば、A.R.Kore,A.R,Srinivasan B.,Recent Advances in the Syntheses of Nucleoside Triphosphates,Current Organic Synthesis,10(6),903-34(2013)を参照されたく、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
図7Dは、三リン酸キャップ740(すなわち、アルキニルヌクレオシド三リン酸キャップ)を末端オリゴヌクレオチド(配列番号2)700に作動可能に連結するクリック反応によって形成された完全な末端キャップ構造780の一実施形態を示す。理論に束縛されるものではないが、末端キャップの可動性リンカー710Bは、三リン酸基750がDNAポリメラーゼの活性部位に入り、プライマー伸長反応中に末端キャップとXpandomerの3’末端との間のホスホジエステル結合の形成のための基質として機能することができるように、構造に十分な立体的柔軟性または自由度を提供すると仮定される。DPO4 DNAポリメラーゼの変異体は、末端キャップ構造をXpandomerの3’末端に結合するのに特によく適している。
【0135】
本発明の特定の実施形態では、代替的な末端キャップ構造およびXpandomerの3’末端に末端オリゴヌクレオチドを結合する手段が企図される。一実施形態では、ソラレン架橋連結法が利用される。簡潔には、末端オリゴヌクレオチドの5’末端を修飾してソラレン部分を提示し、これを紫外線(UVA)照射に曝露すると、チミンとモノ付加物および共有結合性鎖間架橋(ICL)を形成することができる。したがって、ソラレン修飾末端オリゴヌクレオチドは、UVA放射線に曝露されると、Xpandomer中の3’チミンに化学的に架橋され得る。有利には、ソラレン架橋は酸切断に耐性がある。
【0136】
他の実施形態では、ソラレン修飾末端オリゴヌクレオチドは、固体基質への結合および固体基質からの放出を可能にするための他の特徴を含み得る。例えば、オリゴヌクレオチドの3’末端は、ヌクレアーゼ酵素の切断部位を含むリンカー核酸配列を含み得る。いくつかの実施形態において、切断部位は、RNaseによって認識され、切断される。任意の適切なRNase認識部位が、例えば、RNase A、RNase H、またはRNase T1のために使用され得る。他の態様において、切断部位は、ニッキングエンドヌクレアーゼまたはトリプシンによって認識され、切断される。リンカーの3’末端を介して固体支持体に結合した場合、末端オリゴヌクレオチドは、適切なヌクレアーゼでの酵素処理によって選択的に放出され得る。
【0137】
末端のタグ付け
【0138】
末端キャッピングの代替戦略として、本発明者らは、合成後にリーダー配列をXpandomerの3’末端に作動可能に連結する(例えば、連結または共有結合する)組成物および方法を考案した。このようにして、実質的に全長のXpandomerのみが、3’リーダー配列を含むであろう。これはXpandomerをナノプレセンサーに通すために必要である。一実施形態では、末端タグ構造は、本質的に、レポーターコードエレメントが、リーダーおよびエンハンサーエレメントによって置き換えられ、転座制御エレメントが、ポリGオリゴマーによって置き換えられた修飾Xpandomerである。ホスホルアミデート結合と末端タグのポリGオリゴマーエレメントの両方が、酸不安定性である。したがって、酸処理時に、末端タグの5’半分は、リーダーおよびエンハンサーエレメントのうちの1つを含むXpandomerと会合したままであるだろう。これは、Xpandomerの3’末端からのナノポア貫通を可能にする。
【0139】
一実施形態において、Xpandomerを末端タグ付けする方法は、1)基質結合伸長オリゴヌクレオチドがリーダー配列およびエンハンサー配列を欠く固体状態のXpandomer合成を行う工程と、2)実質的に全長のXpandomer産物の集団を提供するのに十分な期間にわたって伸長反応を行う工程と、3)基質に結合した産物を洗浄して、全ての伸長試薬を除去する工程と、4)末端タグ構造およびXpandomerの3’末端への末端タグのポリメラーゼ媒介結合に必要な他の反応成分を基質に添加する工程と、を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、伸長反応の前に末端ブロッカーヌクレオチドを鋳型にハイブリダイズさせ、伸長後および洗浄および末端タグ付加反応の前に末端ブロッカーヌクレオチドを除去する工程を含み得る。
【0140】
B.末端キャッピングによる固体合成
【0141】
本明細書に記載の末端キャッピング方法論は、当技術分野で公知の任意の適切な支持体プラットフォームを使用して固体Xpandomer合成ワークフローと統合することができる。特定の実施形態では、固体支持体は、従来のビーズ、チューブ、キャピラリー、またはマイクロ流体チップであってもよい。一実施形態では、固体支持体は耐酸性磁気ビーズである。本明細書でさらに論じるように、本発明のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマーを支持体に結合させることができる。他の実施形態において、末端キャップの末端オリゴヌクレオチドまたはその逆相補体は、支持体に結合され得る。
【0142】
支持体(AFS)から離れるXpandomer合成ワークフロー
【0143】
この実施形態において、Xpandomer合成は、支持体に結合したプライマー-鋳型複合体から開始され、支持体から離れて、鋳型の反対側(すなわち、3’)の末端にハイブリダイズした末端キャップ構造に向かって伸長する。AFSモデルの初期構成が
図8Aに示されており、3つの模式図のそれぞれが同一の特徴を示している。この実施形態では、オリゴヌクレオチドプライマー810の5’末端は、リンカー830によって固体支持体820に結合される。一本鎖鋳型840は、標準的な水素結合を介してプライマーにハイブリダイズされる。同様に、末端キャップオリゴヌクレオチド850は、標準的な水素結合を介して鋳型の5’末端にハイブリダイズし、遊離5’三リン酸基855を提供する。核酸重合(すなわち、Xpandomer合成)の方向性を矢印で示す。
【0144】
プライマー810から開始するXpandomer合成反応の例示的な産物を
図8Bに示す。上および中央の模式図は、プライマー810に共有結合し、水素結合によって鋳型840にハイブリダイズした全長Xpandomerコピー870を示す。全長Xpand
omer産物はまた、ホスホジエステル結合を介して末端キャップオリゴヌクレオチド850に共有結合している。下の模式図は、プライマーに共有結合したままであるが、重要なことに、末端キャップオリゴヌクレオチド850に連結されていない不完全なXpandomerコピー860を描いている。
【0145】
本明細書の他の箇所で論じられるように、合成後、Xpandomerを処理し、酸で処理して、Xpandomerを
図8Bに示される拘束型から
図8Cに示される拡張された線形化型に移行させる。ここでは、支持体に結合したXpandomerから解離した鋳型840が示されている。上の模式図は、固体支持体820および末端キャップオリゴヌクレオチド850に依然として共有結合している線形化した、全長Xpandomer875を示す。中央の模式図は、完全長Xpandomerが、切断されて線形化断片865Aおよび869が生成された酸処理に対する代替結果を示す。断片865Aは、固体支持体に連結したままであり、一方、断片869は、支持体から溶液中に放出される。下の模式図は、同様に固体支持体に結合した線形化Xpandomerフラグメント865Bを示す。
図8Dは、洗浄後、完全長線形化Xpandomer875ならびに線形化断片865Aおよび865Bが、固体支持体に結合したままであることを示す。重要なことに、全長Xpandomer875のみが末端キャップオリゴヌクレオチド850に連結されている。
【0146】
図8Eは、末端キャップオリゴヌクレオチド850を分子タグとして使用して、不完全な断片を含む不均一な集団から全長Xpandomer産物を単離または「探し出す」ことができる方法を示す。
図8Dに示されるように初期支持体に結合したままのXpandomer産物は、光分解によって支持体から放出される。本明細書の他の箇所に記載されるように、オリゴヌクレオチドプライマーと初期固体支持体との結合は、光感受性であるように設計される。放出されたXpandomer865および875は、オリゴヌクレオチドプライマー810と共有結合したままであり、全長Xpandomer875は、末端キャップオリゴヌクレオチド850と共有結合したままである。全長Xpandomerを単離するために、試料を、末端キャップオリゴヌクレオチド850の逆相補体であるオリゴヌクレオチド880とコンジュゲートしている第2の固体支持体890と接触させる。図に示されるように、完全長Xpandomer875のみが、オリゴヌクレオチド850と880との間の水素結合を介して固体支持体に結合するだろう。
図8Fに示すように、全ての不完全なXpandomer産物を固体支持体から洗い流し、単離された完全長Xpandomer875を残し、次いでこれを支持体から溶出させて、例えば、単分子ナノポア配列決定に使用することができる。この実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドは、ナノポアの局在化および転座に必要な特徴(例えば、リーダーおよびコンセントレータエレメント)を含む。
【0147】
代替的な実施形態では、末端キャップオリゴヌクレオチドは、ナノポア貫通のためのリーダーおよびコンセントレータの特徴を含むように修飾されるが、伸長オリゴヌクレオチドは、これらの特徴を欠く。この実施形態では、全長伸長産物のみが、リーダーおよびコンセントレータエレメントに連結されるだろう。したがって、配列情報を生成するためにナノポアを通って転座することができる。
【0148】
別の実施形態において、伸長オリゴヌクレオチド構造は、ナノポア貫通のためのリーダーおよびコンセントレータの特徴を含むように修飾されるが、末端キャップオリゴヌクレオチドはこれらの特徴を欠く。この実施形態では、Xpandomer合成および末端キャッピング反応を溶液中で行ってもよい。Xpandomer合成後、末端キャップ産物は、試料をビーズ支持体上に固定化されたオリゴヌクレオチドと接触させることによって、例えば、ビオチン-ストレプトアビジン化学によって精製されてよく、ここで、オリゴヌクレオチドは、末端キャップオリゴヌクレオチドの配列の一部の逆相補体である配列を含
む。このようにして、伸長オリゴヌクレオチド構造(リーダーおよびコンセントレータの特徴を提供する)および末端キャップの両方を含むXpandomer産物のみがナノポアセンサを貫通して配列情報を提供するだろう。
【0149】
支持体(TS)Xpandomer合成ワークフローに向けて
【0150】
本発明の代替実施形態では、末端キャップ構造の末端オリゴヌクレオチドは、基質に共有結合している。この実施形態では、Xpandomer合成は、末端キャップ構造の末端オリゴヌクレオチドにハイブリダイズするプライマー-鋳型複合体から開始され、Xpandomer合成の方向性は支持体に向かう。TSモデルの初期構成が、
図9Aに示されており、2つの支持体結合末端キャップ980のそれぞれは同一の特徴を示している。この実施形態では、末端オリゴヌクレオチド950の3’末端は、光切断性リンカー930によって固体支持体920に結合している。末端キャップ980は、遊離5’三リン酸955を提供する。
【0151】
末端キャップの末端オリゴヌクレオチドの配列は、一本鎖標的核酸鋳型の5’末端の配列の逆相補体であるように設計される。
図9Bは、標準的な塩基対合による標的核酸鋳型940の5’末端と末端キャップの末端オリゴヌクレオチドとの間の会合を示す。この実施形態では、伸長オリゴヌクレオチド910は、鋳型の3’末端の相補的配列にハイブリダイズする。Xpandomer合成は、プライマー910の3’末端から開始し、支持体結合末端キャップに向かって進行する。このモデルにおける核酸重合(すなわち、Xpandomer合成)の方向性を矢印で示す。
【0152】
プライマー910から開始するXpandomer合成反応の例示的な産物を
図9Cに示す。一番上の模式図は、ホスホジエステル結合を介してプライマー910および末端キャップオリゴヌクレオチド950に共有結合した全長Xpandomerコピー970を示す。下の模式図は、プライマーに共有結合したままであるが、重要なことに、末端キャップの末端オリゴヌクレオチド950に連結されていない不完全なXpandomerコピー960を描いている。
【0153】
本明細書の他の箇所で論じられているように、合成後、Xpandomerを処理し、酸で処理して、Xpandomerを
図9Cに示されている拘束型から
図9Dに示されているような拡張された線形化型に移行させる。ここで、鋳型840および不完全なXpandomer960は、支持体から解離し、結合した材料から洗い流されている。上の模式図は、末端キャップの末端オリゴヌクレオチド950によって固体支持体920に共有結合した線形化した、全長Xpandomer975を示す。重要なことに、全長Xpandomerコピーのみが固体支持体に結合したままである。これらは、その後、光切断性部分930の光媒介性切断によって放出され、ナノポア配列決定に使用することができる。
【0154】
いくつかの状況では、例えば、DNAポリメラーゼが末端キャップ構造を鋳型の不完全なコピーに通常より早く結合する場合、末端キャッピングプロセス中に切断された副産物が形成され得る。この現象は、本明細書ではポリメラーゼの「短絡」と呼ばれる。短絡を防止するために、本発明者らは、末端キャップ構造のXpandomerへの組み込みを遅延させ、それによって鋳型の実質的に全長コピーの合成を促進するためのいくつかの戦略を考案した。
図10Aに概説される一実施形態では、ブロッカーヌクレオチド1010は、一本鎖鋳型1020の3’末端付近の領域にハイブリダイズする。ブロッカーオリゴヌクレオチドは、DNAポリメラーゼによる成長中のXpandomerへの組み込みを防ぐように設計されている。いくつかの実施形態では、ブロッカーオリゴヌクレオチドの5’末端は、5’三リン酸基を欠き、したがって、Xpandomerの3’末端に連結す
ることができない。したがって、ポリメラーゼが、ブロッカーオリゴヌクレオチドに到達すると、オリゴヌクレオチド1030の伸長が停止する。この時点で、ブロッカーオリゴヌクレオチドを、例えば熱融解によって鋳型から除去し、DNAポリメラーゼによって実質的に全長のXpandomer1050に連結することができる末端キャップオリゴヌクレオチド1040で置き換えることができる。より長いXpandomerと鋳型とのハイブリダイゼーションに影響を与えずに、短いブロッカーオリゴヌクレオチドの解離をもたらす適切な融解温度を計算することができる。
【0155】
別の実施形態では、
図10Bに示すように、ブロッカーオリゴヌクレオチド1015は、5’リン酸基を提供するように設計される。上述のように、DNAポリメラーゼは、成長中のXpandomerにブロッカーオリゴヌクレオチドを組み込むことができず、したがって、ポリメラーゼが、ブロッカーに遭遇すると合成が停止する。この実施形態では、ブロッカーは、例えばエキソヌクレアーゼ媒介消化によって除去することができる。エキソヌクレアーゼ処理後、末端キャップオリゴヌクレオチド1040が、鋳型にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼによって実質的に全長のXpandomer1050に連結する。
【0156】
C.末端キャッピングで構築された鏡像化Xpandomerのライブラリ
【0157】
この一般化された実施形態は、オリゴヌクレオチドに基づくリンカーによってタンデムに連結された核酸標的配列(すなわち、鋳型)の同じ鎖の2つの一本鎖コピーを、各個々の構築物が組み込む鋳型構築物のライブラリを作製するために、使用することができる新規な方法および核酸組成物を記載する。そのような鋳型構築物のライブラリは、本明細書では「鏡像化ライブラリ」と呼ばれる。鏡像化ライブラリは、本明細書に開示される末端キャッピング戦略を使用する新規なXpandomer合成プロトコルのための鋳型を提供する。簡潔には、鋳型構築物のそれぞれから単一のXpandomerポリマーを合成して、キャップ分岐剤構造への共有結合によって作動可能に連結された標的の同じ鎖の2つのコピーを含むXpandomer産物を生成する。標的配列の2つのコピーはそれぞれ、本明細書に記載の末端キャッピング方法論を用いて合成中にキャップ分岐剤構造に連結される。有利には、鏡像化ライブラリ構築物から合成されたXpandomerは、ナノポアを通過するときに単一の標的配列の2つの配列リードを提供する。第1および第2のリードの配列間の相違は、潜在的な配列決定エラーを示し、除外され得るか、または品質スコアリングもしくは不一致解消の何らかの方法に供され得る。
【0158】
鏡像化ライブラリ鋳型構築物は、それぞれが特徴的な前駆体構築物を作製する一連の酵素反応によって生成される。
図11Aは、「M1」と呼ばれる鏡像化ライブラリ鋳型構築物前駆体の一実施形態1100の基本的な構造的特徴を示す。M1前駆体は、Yアダプター構築物1110、ライブラリ断片1120、およびキャッププライマーアダプター構築物(本明細書では「三つ又」と呼ばれる)1130の操作可能な連結によって(すなわち、共有結合の形成によって連結または結合することによって)形成される。この実施形態では、Yアダプター1110は、3’から5’のオリゴヌクレオチド鎖1111および5’から3’のオリゴヌクレオチド鎖1113を含み、本明細書では慣例によりそれぞれ「マイナス」鎖および「プラス」鎖と呼ばれる。アダプター鎖1111および1113は、ライブラリ断片に近位のYアダプターの「基部」の一部で特異的にハイブリダイズするが、ライブラリ断片に遠位の「アーム」部分は一本鎖のままである。Yアダプターの二本鎖基部の一部を、ライブラリ断片に連結させることができる。この実施形態では、アダプター鎖1113の3’末端は、ここでは遊離「T」によって表される不対ヌクレオチドを有し、これは、連結を容易にするためにライブラリ断片によって提供される遊離ヌクレオチドと塩基対を形成することができる。Yアダプターのアームは、Xpandomer合成の後の段階で使用されるオリゴヌクレオチドプライマー(すなわち、伸長オリゴ)の結合部
位を含む、鏡像化ライブラリのワークフローにいくつかの有用な特徴を提供するように操作することができる。いくつかの実施形態では、Yアダプター鎖の一方または両方の一本鎖領域の末端は、本明細書に記載されるように、クリック反応を介した官能化固体支持体へのYアダプターの固定化を可能にするアジド基を提供する。他の実施形態では、Yアダプターの一方または両方の鎖は、例えば、固体支持体からの構築物の放出を可能にする選択的に切断可能エレメントを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書にさらに記載されるように、マイナス鎖1111は、固体支持体に連結され、プラス鎖1113は、エキソヌクレアーゼ消化のための5’ヌクレオチド基質を提供する。
【0159】
ライブラリ断片1120は、一実施形態では、当技術分野で認識されている技術によって作製され得る両鎖に5’リン酸末端および3’ヌクレオチド突出を有する二本鎖核酸である。ライブラリ断片は、本明細書では「核酸標的配列」とも呼ばれ、SBXによる配列決定の標的である。ライブラリ断片は、「プラス」鎖1120Aおよび「マイナス」鎖1120Bを含む。いくつかの実施形態では、マイナス鎖の3’末端は、アダプター鎖1113の3’末端の不対ヌクレオチドと塩基対を形成する不対ヌクレオチド(ここでは遊離「A」によって表される)を提供し得る。他の実施形態では、プラス鎖の3’末端はまた、キャッププライマーアダプター1130への連結を容易にするための不対ヌクレオチド(ここでは遊離「T」によって表される)を提供する。ライブラリ断片は、既知の配列または未知の配列を含み得る。SBXの場合、ライブラリ断片の長さは、約50、100、200、500、または1000塩基対までであり得る。いくつかの実施形態において、ライブラリ断片の長さは、約100~約200塩基対である。
【0160】
キャッププライマーアダプター構築物1130は、化学分岐剤によって作動可能に連結された3本のオリゴヌクレオチド鎖1131A、1133、および1131Bを含む。鎖1131Bおよび1133の配列は、相補的であり、ハイブリダイズし得る。鎖1131Aの配列は、1131Bと同一であり、この鎖はキャッププライマーアダプター1130内で一本鎖のままであり得る(または場合によっては鎖1133にハイブリダイズし得る)。いくつかの実施形態では、鎖1131Bの3’末端は、ライブラリ断片のプラス鎖1120Aの3’末端の不対ヌクレオチドと塩基対を形成する不対ヌクレオチド(ここでは遊離「A」によって表される)を提供する。
【0161】
キャッププライマーアダプターは、標準的な自動化ホスホラミダイトベースのオリゴヌクレオチド合成によって生成され得る。いくつかの実施形態では、鎖1133は、最初に5’から3’方向に合成され、続いて、対称化学分岐剤(例えば、Chemgenes CLP-5215)が組み込まれ、鎖1131Aおよび1131Bの5’から3’同時合成が可能になる。いくつかの実施形態では、分岐剤と鎖1131Aおよび1131Bの5’末端との間に標準的な親水性スペーサー(例えば、PEG6スペーサー)を組み込むことにより、これらの鎖が、鎖1133上で折り返されて、キャッププライマーアダプターの特徴的な「三つ又」構造を形成することを可能にする可動性リンカーが提供される。キャッププライマーアダプターのオリゴヌクレオチドおよび分岐剤構成要素の両方の長さおよび組成は、特定の用途のために最適化することができる。特定の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、約15~25ヌクレオチド長であり、以下に説明するようにキャップ分岐構築物との効率的なハイブリダイゼーションを可能にする。
【0162】
鏡像化ライブラリ鋳型構築物は、溶液中または固体支持体上に形成され得る。一実施形態において、鏡像化ライブラリ鋳型構築物は、以下の例示的な工程に従って最初にM1前駆体を生成することによって固体支持体上に形成される。1)Yアダプター鎖1111は、クリック反応を用いて官能化固体支持体(例えば、マイクロ流体チップまたはビーズ)上に固定化され、次いで、Yアダプター鎖1113は、アダプター鎖1111に特異的にハイブリダイズする。2)キャッププライマーアダプター1130を、プラス鎖1120A
の3’末端の鎖1133の5’末端への溶液中酵素連結および1120Bのマイナス鎖の5’末端の断片1131Aの3’末端への連結によってライブラリ断片1120に結合させる。3)次いで、連結したライブラリ断片-キャッププライマーアダプター構造を、Yアダプター1110の二本鎖の一部の末端への酵素連結によって支持体に結合させる。
【0163】
M1鏡像化ライブラリ鋳型構築物前駆体1100は、
図11Bに示す「M3」1150と呼ばれる最終鏡像化ライブラリ鋳型構築物を形成するための基質を提供する。一実施形態では、鋳型構築物1150は、2つの酵素工程:プラス鎖1120Aの相補体を生成する第1のDNA重合工程、続いてこの同じプラス鎖を除去する第2のエキソヌクレアーゼ工程によって生成され得る。第1の工程の間、キャッププライマーアダプター鎖1131Aは、DNAポリメラーゼ、例えば、鎖置換熱安定性ポリメラーゼによって、鎖1120Aを鋳型として使用して矢印で示す方向に3’末端から伸長される。これにより、本明細書では鋳型構築物前駆体「M2」1140と呼ばれる三本鎖構造が、生成される。M2前駆体は、マイナス鎖1120Bと同じ配列を有する娘鎖1120Cを含む。第2の工程の間、M2前駆体の中央のオリゴヌクレオチド鎖は、エキソヌクレアーゼの5’リン酸基質を提供するYアダプター鎖1113の5’末端から開始するエキソヌクレアーゼ消化によって酵素的に除去される。したがって、元のプラス鎖1120A全体が、キャッププライマーアダプター鎖1133と同様に除去される。得られた産物は、一緒に連結されたままであるキャッププライマーアダプターの鎖1131Aおよび1131Bによって連結されたライブラリ断片の元のマイナス鎖の2つの同一のコピー1120Bおよび1120Cを含む鏡像化ライブラリ鋳型構築物「M3」1150である。M3鏡像化ライブラリ構築物1150は、ライブラリ断片1120の同じ鎖の2つのコピーを含む単一のXpandomerを合成するための鋳型として使用することができる。
【0164】
本明細書で論じるように、M3構築物は、それぞれがナノポア配列決定、すなわち拡張による配列決定(SBX)のための標的配列の同じ鎖の2つのコピーを含むXpandomerの合成のための鋳型として機能する。いくつかの実施形態では、鏡像化ライブラリ構築物のSBXを固体支持体上で行い、本明細書に記載の末端キャッピングプロトコルを使用する。
図11Cに示されるこの実施形態では、伸長オリゴヌクレオチド1170および1180の5’末端は、本明細書に記載されるように、クリックケミストリーによって固体支持体1190に連結される。これらの実施形態において、伸長オリゴヌクレオチドは、クリック結合を媒介するための5’アジド基を含む。他の実施形態では、1つの伸長オリゴヌクレオチドのみが支持体に連結され、他方の伸長オリゴヌクレオチドはナノポアを貫通するためのリーダー配列を含む。各伸長オリゴヌクレオチドは、M3鋳型構築物のYアダプターエレメントの一本鎖部分の1つと特異的にハイブリダイズするように設計される。特定の実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドは、固体支持体とオリゴヌクレオチド配列の5’末端との間に介在する光切断可能エレメントまたは酸切断可能エレメントを含み、基質からの最終的なXpandomer産物の光または酸媒介放出を可能にし得る。M3鋳型構築物1150は、伸長オリゴヌクレオチド中の相補的配列とM3構築物のYアダプターの一部のアームとの間の標準的なハイブリダイゼーションによって、固定化された伸長オリゴヌクレオチド1170および1180にハイブリダイズされる。キャップ分岐構築物1195は、M3構築物にハイブリダイズする。キャップ分岐剤1195は、鏡像化ライブラリ構築物1150の両方の鎖の5’末端に相補的であり、ハイブリダイズする2つの同一のオリゴヌクレオチド1197Aおよび1197Bを含む。末端オリゴヌクレオチドアーム1197Aおよび1197Bはそれぞれ、遊離5’三リン酸基を提供する。キャップ分岐剤構造は、2本の鎖1197Aおよび1197Bが、化学分岐剤によって連結されている従来のホスホラミダイト化学によって合成され得る。
【0165】
図12は、キャップ分岐剤の構造的特徴のさらなる詳細を示す。この実施形態では、キャップ分岐剤1295は、分岐剤構造1220と、トリアゾール部分(「R」)を含む末端
オリゴヌクレオチドアーム1230Aおよび1230Bと、末端キャップ(「ddCTP」)と、オリゴヌクレオチド(配列番号3)とを含む。キャップ分岐剤は、本明細書ではPEG6ポリマーによって例示される3’末端部分から開始する標準的なホスホラミダイト化学によって合成される。末端部分の5’末端に対称的な化学分岐剤を添加して、本明細書ではPEG6ポリマーによって例示される分岐剤スペーサーの並行合成を可能にする。いくつかの実施形態では、スペーサーの長さおよび組成は、特定の用途のために最適化することができる。特定の実施形態では、スペーサーは、C2、C6、またはPEG3のモノマーを含んでもよい。末端オリゴヌクレオチドアーム1230Aおよび1230Bは、分岐剤アームの5’末端から伸長する。末端オリゴヌクレオチドの配列は、M3鋳型構築物の5’末端にハイブリダイズするように設計され、その配列はキャッププライマーアダプターによって提供される。いくつかの実施形態において、末端オリゴヌクレオチドは、約15~約50ヌクレオチド長であり、1つ以上のメトキシヌクレオチド類似体を含む。末端オリゴヌクレオチドの5’末端は、本明細書中ではddCTPによって例示される末端キャップ構造(ただし、他の核酸塩基のいずれも特定の実施形態では置換され得る)に連結され、これにより、末端キャッピングによる末端オリゴヌクレオチドへの新生Xpandomerの結合が可能になる。末端キャッピング方法の詳細は、本明細書において、
図7A~
図7Dを参照して論じられる。末端キャップは、末端キャップによって提供されるアルキン部分と、末端オリゴヌクレオチドによって提供されるアジド部分との間のクリック反応の産物であるトリアゾール部分(「R」)を介して、末端オリゴヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態では、キャップ分岐剤は、他のリンカー構造、例えば、末端キャップと末端オリゴヌクレオチドとの間に配置されたスペルミンポリマーを含むように設計され、例えば、立体的柔軟性の増加および末端キャップへの結合を提供する。
【0166】
引き続き
図11Cを参照すると、Xpandomer合成反応が行われ、これは伸長オリゴヌクレオチド1170および1180の3’末端で開始し、(矢印によって示されるように)同じ方向に進行し、キャップ分岐剤1195の末端オリゴヌクレオチド1197Aおよび1197Bの5’末端で終了し、その上でポリメラーゼが本明細書に記載の末端キャッピング方法に従って完全なXpandomerコピー1199Aおよび1199Bをキャップ分岐剤に結合する。一実施形態では、第1の伸長オリゴヌクレオチドが光切断性リンカーエレメントを含み、第2の伸長オリゴヌクレオチドが酸不安定性リンカーエレメントを含む。Xpandomerの酸処理は、同時にXpandomerコピーを「拘束」から「開」配置1000に移行し、伸長オリゴヌクレオチド中の酸不安定性リンカーを切断するだろう。次いで、ライブラリ断片の2つの連結したXpandomer1199Aおよび1199Bを含む得られた産物を、第2の伸長オリゴヌクレオチドの光切断性リンカーの光分解によって支持体から除去することができる。いくつかの実施形態では、放出された鏡像化Xpandomer1000が、第2の固体支持体に結合した伸長オリゴヌクレオチドの一方に相補的なオリゴヌクレオチドにハイブリダイズする最終精製工程が行われる。
【0167】
Xpandomerを合成するためのM1、M2、およびM3鏡像化ライブラリ構築物およびSBXの生成のための反応条件は、試行錯誤によって最適化することができる。いくつかの実施形態では、これらの構築物は、
図13に概説される以下のワークフローによって生成され得る。工程1において、M1前駆体は、Yアダプター、ライブラリインサート、およびTridentの連結によって生成される。YAD1:YAD2:インサート:Tridentのモル比は、特定の条件または用途に最適化することができる。いくつかの実施形態では、最初にアルキン官能化チップ上にYアダプターを集めることによって、マイクロ流体チップ上にM1前駆体を生成することができる。一実施形態では、末端アジド基を提供する第1のYアダプター鎖は、以下の例示的なプロトコルに従って、クリックケミストリーによって官能化チップに結合される。1)3.0mM THPTA、6.0mM アスコルビン酸ナトリウム、1mM CuSO
4、5.0mM アミノグアニジン
、および10% DMFまたはDMSOを含む触媒混合物を調製し、10% DMFまたはDMSO、25mM リン酸ナトリウム、pH7.0、1μM アジド-Yアダプターオリゴヌクレオチド鎖1、2.5mM MgCl
2、5mM アミノグアニジン、および6.0mM アスコルビン酸ナトリウムを含む基質混合物を調製する。2)触媒混合物11μlを基質混合物44μlに添加し、この反応物 50μlをCOCチップなどのアルキン官能化マイクロ流体チップに添加し、室温で20分間インキュベートする。3)チップを溶液I0002(0.3Mリン酸ナトリウム、pH8.0、1% Tween 20、0.5% SDS、1mM EDTA)300μl、37℃で5分間洗浄し、次いで緩衝液A.1(0.5M NH
4OAc、pH6.5、1M尿素、5% NMSおよび2%
PEG8000)900μlで洗浄する。クリック結合に続いて、緩衝液A.1中に第2のオリゴヌクレオチド 100pmolを含むハイブリダイゼーション混合物を調製することによって、第2のYアダプター鎖を基質に結合した第1の鎖にハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーション混合物を90℃で15秒間インキュベートし、次いで72℃に冷却する。次いで、混合物を予熱したチップに添加し、チップを、サーモサイクラーを用いて32℃まで5分間冷却する。次いで、チップを緩衝液A.1で洗浄する。次に、ライブラリインサートおよびTridentアダプターを、結合したYアダプターに連結する。インサート断片を、100mM NaCl/20mM Tris、pH8.0を含む緩衝液中、90℃で3分間変性させ、次いで、サーモサイクラーを使用して5分間かけて50℃まで低下させる。二本鎖インサート 20pmol、Tridentアダプター 50pmol、3mM ATP、2U/μlのT4 PNK、および200U/μlのT4 DNAリガーゼを含む1×連結緩衝液(66mM Tris、10mM MgCl2、1mM DTTおよび7.5% PEG6000)中の連結混合物を調製する。連結反応を16℃で15分間行い、次いで、反応物を、Yアダプターが結合しているチップに加える。チップを16℃で15分間インキュベートする。次いで、連結混合物を除去し、5’デアデニラーゼ(50,000U/ml)3μlを連結混合物に添加し、連結混合物をチップに戻し、チップを16℃で15分間インキュベートする。次いで、チップを緩衝液I0002 4mlで37℃で5分間洗浄する。次にチップを水で洗浄し、10mM Tris中4℃で保存することができる。
【0168】
工程2では、M1前駆体を伸長してM2前駆体を調製する。一実施形態では、1.0Xポリメラーゼ緩衝液、0.2mMの各dNTP、0.28U/μlのDNAポリメラーゼ、および1mMのMgCl2を含む伸長反応において、チップ結合M1 約2.5~10pmolが使用される。適切なDNAポリメラーゼは、Vent(exo-)DNAポリメラーゼまたはKAPA HiFiである。チップをサーモサイクラーに入れ、95℃で1分間、続いて90から98℃で10から40サイクルの20秒間、続いて76℃で6秒間インキュベートする。チップを水で洗浄して過剰な試薬を除去する。次いで、0.05U/μl~0.80U/μlのプロテイナーゼKを含む水溶液を水中に添加し、55℃で5分間、続いて95℃で5分間インキュベートすることによって、チップをプロテイナーゼKで処理する。チップを水で洗浄する。
【0169】
工程3において、M3鋳型構築物はエキソヌクレアーゼ消化によって生成される。いくつかの実施形態では、エキソヌクレアーゼ緩衝液中に0.45U/μlのラムダ型エキソヌクレアーゼを含むエキソヌクレアーゼ消化混合物をチップに添加し、37℃で5分間、続いて75℃で10分間インキュベートする。チップを緩衝液10002で洗浄した後、水で洗浄し、次いで、10mM Trisを含有する緩衝液中に保存する。
【0170】
工程4において、結合したM3構築物が、光切断によって放出される。いくつかの実施形態では、チップは、UV硬化ランプ(例えば、Phoseon Technology FireFlyランプ)を用いて15秒間、UV光(例えば、365nm)に曝露される。放出されたM3構築物は、チップから液体を吸引することによって回収される。
【0171】
工程5において、M3鋳型構築物のXpandomerコピーをSBX法によって生成する。いくつかの実施形態では、Xpandomerは、工程1に記載されるように、クリックケミストリーを用いて第1の伸長オリゴヌクレオチド(例えば、「E52」EO)が、共有結合したマイクロ流体チップ上で生成される。このEOは、本明細書では「捕捉オリゴ」と呼ばれることがある。捕捉オリゴヌクレオチドは、M3鋳型、第2の伸長オリゴヌクレオチド、およびキャップ分岐剤構造をハイブリダイゼーションによってチップ上に集めるために使用される。捕捉チップを緩衝液A1(0.5M NH4OAc、pH6.5、1M尿素、5% NMS、および2% PEG8000)で洗浄し、65℃でインキュベートする。M3構築物 約5pmol~約30pmol、第2の伸長オリゴヌクレオチド(例えば、「E6 EO」;実際の量は、チップに結合したE52捕捉オリゴの量によって決定されるであろう。)約20pmol~約80pmol、およびキャップ分岐剤
約20pmol~80pmolを含むハイブリダイゼーション混合物を調製する(実際の量は、EOの量とほぼ同じであろう)。ハイブリダイゼーション混合物を95℃で15秒間インキュベートし、次いでチップに添加し、65℃で30秒間インキュベートし、0.1℃/秒の速度で37℃まで降下させ、ここで5分間保持する。チップインキュベーション温度は、その場で、ハイブリダイゼーションアダプタプレートを取り付けた標準的なサーモサイクラーによって制御される。
【0172】
Xpandomer合成のために、緩衝液P(0.6mM MnCl2および0.18μg/μl DPO4 DNAポリメラーゼ変異体)を緩衝液X(PP-60.22 80μMおよび各XNTP 80μM)と混合し、続いて緩衝液A(50mM Tris、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.88、20% PEG8K、5%NMS、0.2μg/μl SSB、0.5Mベタイン、0.25M 尿素、1mM PEM
AZ-8,8、および4mM PEM添加剤)を添加することによって、伸長混合物を調製する。伸長混合物をチップに添加し、20~45℃で15分間~60分間インキュベートする。チップを緩衝液B(100mM HEPES、100mM NaHPO4、5% Triton、および10% DMF)で洗浄する。
【0173】
工程6において、Xpandomerを切断し、0~75%ACNに溶出する。一実施形態において、捕捉オリゴヌクレオチドは、光切断可能エレメントを含む。チップからXpandomerを放出するために、チップを15分間UV光に曝露する。次いで、チップを37℃で2分間インキュベートし、Xpandomer試料をピペットで除去する。
【0174】
ナノポア配列決定のために、一方または両方の伸長オリゴヌクレオチドは、ナノポアを通り抜けるXpandomerの貫通を促進するように設計されたリーダー配列を含む。リーダー配列の特定の実施形態のさらなる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願人による米国特許第9,670,526号「Concentrating a Target Molecule for Sensing by a Nanopore」に開示されている。一実施形態において、例示的な伸長オリゴヌクレオチドの配列は、以下によって表される。RD10(PC)L25Z6[TCATAAGACGAACGGA(配列番号4)](式中、「R」は、クリックケミストリーによる官能化固体基質への結合を可能にする5’-アジド基を表す。「D」は、ポリPEG6スペーサーを表す。「PC」は、固体基質からの放出を可能にする光切断性スペーサーを表す。「L」は、ナノポア転座中にリーダー配列として機能するポリC2スペーサーを表す。「Z」は、ポリC12スペーサーを表し、TCATAAGACGAACGGA(配列番号4)は、標的配列にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼの伸長プライマーとして機能するオリゴヌクレオチドを表す。他の実施形態では、PCスペーサーは、酸不安定性スペーサー、例えば、[dT p-エトキシ][DMS(O)MT-NH2-C6またはグレンアミダイト10-1907]ホスホラミダイトで置き換えられてもよい。伸長オリゴヌクレオチド
に設計される各ホスホラミダイトモノマー(すなわち、「スペーサー」)の数は、可変であり、特定の用途に最適化され得る。鏡像化ライブラリ合成中、リーダー配列は、Xpandomer合成を開始する伸長オリゴヌクレオチドの一方または他の実施形態では、両方に含まれ得る。特定の実施形態では、リーダー配列は、基質に共有結合していない第1の伸長オリゴヌクレオチドによって提供され、基質に結合している第2の伸長オリゴヌクレオチドは、リーダー配列を欠く。Xpandomerの合成およびプロセシングに続いて、第2の伸長オリゴヌクレオチドに結合していない任意の切断産物を洗浄によって基質から除去することができる。基質からのXpandomerの放出後、第1の伸長オリゴヌクレオチドに結合していない切断産物は、リーダー配列を欠き、有利には、配列データを提供するためにナノポアを貫通することができない。
【0175】
D.次世代のYADフリーの鏡像化ライブラリ構築物および方法
【0176】
本明細書で説明される鏡像化ライブラリのワークフローのいくつかの特徴は、特定の実験的要求に利点を提供するための修正および/または最適化に適している。
図11A~
図11Cに示す実施形態では、Xpandomer伸長オリゴヌクレオチドの結合部位および固相結合のための官能基は、酵素的連結によってライブラリ断片に連結されるYアダプターによって提供される。代替的な「次世代」実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドの結合部位は、代わりに、PCRを介してライブラリ断片に連結されたオリゴヌクレオチドプライマーによって提供される。このアプローチは、標的配列の増幅と、YADをライブラリ断片に連結する連結工程の排除との両方を可能にする。プライマー配列をライブラリ断片に組み込んだ後、得られたPCR産物は、「テール付き」または「タグ付き」ライブラリ断片(あるいは、「タグ付き標的配列」)と呼ばれる。いくつかの実施形態では、固相結合のための官能化末端基は、PCR増幅後にライブラリタグと特異的にハイブリダイズするように設計された「捕捉オリゴ」と本明細書で呼ばれるオリゴヌクレオチド配列を含む別個のオリゴヌクレオチド構造によって提供される。一般論として、これらの実施形態は、本明細書では「YADフリー」鏡像化ライブラリ構築物と呼ばれる。
【0177】
ライブラリ断片、すなわち、DNA標的配列のYADフリータグ付けおよび捕捉の一実施形態を
図14に示す。この実施形態では、ライブラリ断片は、プラス鎖(配列番号5)1410Aおよびマイナス鎖(配列番号6)1410Bを有する二本鎖100mer1410によって例示される。順方向PCRプライマーおよび逆方向PCRプライマーは、それらの5’末端で異種配列に連結された標的配列に相補的なオリゴヌクレオチド配列を含むように設計される。一実施形態では、プライマー(配列番号7)1420は、ライブラリ断片のプラス鎖1410A中の相補的配列に特異的にハイブリダイズする3’オリゴヌクレオチド配列と、タグ付きライブラリ断片の捕捉を可能にするタグをPCR産物に導入する5’異種配列とを含む。この実施形態では、5’異種配列は「UP38」と呼ばれ、捕捉オリゴヌクレオチド構造およびXpandomer伸長オリゴヌクレオチドの両方に存在する同じ配列である。いくつかの実施形態では、プライマー(配列番号8)1425は、標的配列のマイナス鎖1410Bの相補的配列と特異的にハイブリダイズする3’オリゴヌクレオチド配列と、Xpandomer合成中に組み込まれるキャップアダプター構造の結合部位を提供する5’異種配列と、を含む。
図14Aは、一本鎖プラス鎖1410A(配列番号5)およびマイナス鎖1410B(配列番号6)にハイブリダイズしたPCRプライマーを示す。ライブラリ断片のPCR増幅により、PCRプライマーの異種配列テールによって配列が決定される第1のタグ(配列番号11)1438および第2のタグ(配列番号9のヌクレオチド1~22)1439を含むタグ付き断片1430(プラス鎖(配列番号9)1430Aおよびマイナス鎖(配列番号10)1430B)が生成される。プライマー1420および1425を設計する場合、当技術分野で十分に確立されている標準的なプライマー設計の原則に従う。
【0178】
タグ付けされたライブラリ断片の捕捉のために、捕捉オリゴヌクレオチド構造を、例えば、本明細書に記載のクリックケミストリーによって固体支持体に共有結合させる。一般化捕捉オリゴヌクレオチド構造の一実施形態は、以下のように表すことができる。[アジド]DnLnZn(SCL)(CO)、ここで、アジドは、官能化固体支持体(例えば、アジド基または二重ビオチン基で官能化されている)への共有結合(すなわち、固定化)のための手段を提供する。Dは、PEG6を表し、Lは、C2を表し、Zは、C6を表し、D、L、およびZのポリマーは、可動性リンカー構造を形成することができる。(SLC)は、選択的に切断可能なリンカーを表し、これは、この実施形態では、ウラシル残基の多量体である。(CO)は、捕捉オリゴのオリゴヌクレオチド配列である。この実施形態では、CO配列は、UP38異種配列(配列番号11)と同じ配列であり、ライブラリ断片のプラス鎖のタグ配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、可動性リンカーは、PEG6モノマー、例えば、D16のみから形成され、本明細書で論じるように、ビーズまたはマイクロ流体チップ上でPCR反応を行う場合に利点を提供する。
【0179】
タグ付けされたライブラリ断片を捕捉するために、第2のPCR反応が実施され、第2のPCR反応は、捕捉オリゴヌクレオチドを提供する固体支持体上で実施される。ライブラリ断片の捕捉を簡略化して
図14Bに示す。ここで、捕捉オリゴヌクレオチド構造1440は、固体支持体1445上に固定化されている。捕捉オリゴヌクレオチド構造は、ライブラリ断片のマイナス鎖1430B中のタグ(配列番号11)1438の配列と同一の3’オリゴヌクレオチド配列を含む。二本鎖ライブラリ断片が変性されると、プラス鎖1430Aは、捕捉オリゴヌクレオチドに特異的にハイブリダイズする。捕捉オリゴヌクレオチドは、ここでは1430C(配列番号10)で表されるプラス鎖1430Aの相補体のコピーを合成するためのプライマーを提供する。適切な数のPCRサイクルは、固体支持体上に固定化された二本鎖ライブラリ断片1450を生成する。
【0180】
ライブラリ断片の溶液中でのタグ付けの後、タグ付けされたアンプリコン産物のオンチップ捕捉のための反応条件は、試行錯誤によって最適化することができる。一実施形態では、溶液中PCRタグ付け反応を以下のように実行することができる。1~15amolの合成鋳型DNA(または他の実施形態では、剪断天然ライブラリDNA)、2μMの各プライマー、350μMのdNTP、1×KOD緩衝液(120mM Tris、pH8.0、20mM KCl、6mM NH4SO4、1.5mM MgSO4、および1% Triton X100)、0.05U/μl KODポリメラーゼを含む反応混合物を調製する。反応を95℃で2分間、続いて10秒間は95℃/8秒間は68℃/8秒間は72℃の30サイクルでサイクルし、72℃で1回の3’伸長を行う。約25pmolのタグ付けされたアンプリコンの最終収率を、例えばQIAquickカラム(QIAGENから入手可能)によって精製することができる。
【0181】
一実施形態では、捕捉チップは、以下のように調製することができる。10% DMF、3mM THPTA、25mM Na3PO4、5mM アミノグアニジン、6mM NaAscおよび1mM CuSO4を含むクリック反応によって、100pmolのUP38捕捉オリゴヌクレオチドをアルキン官能化チップに共有結合させる。反応を室温で20分間行い、次いで、チップを洗浄し、続いてBSA不動態化する(PBS中の10mg/mlの非アセチル化BSAを室温で約1時間)。
【0182】
一実施形態では、オンチップPCR反応を以下のように実行することができる。約100pmolに結合したUP38捕捉オリゴヌクレオチドを含むチップに、約1×106コピーのタグ付けされたアンプリコン産物、200pmolのUP39プライマーおよび5pmolのUP38プライマーを添加する。KAPA HiFi HS U+、1X ReadyMix緩衝液(2.5mM Mg)、0.1μg/ml非アセチル化BSA、1M
ベタイン、2% DMSO、1% PEG、および0.5% Tweenを含むPCR
混合物を添加する。PCRサイクリング条件は以下の通りである。98℃で2分間、1分間で100℃/12秒間で48℃/30秒間で67℃/2分間で80℃を35サイクル、続いて80℃で最後の2分間;次いで、チップを、1M NaClおよび10mM Tris(pH8.0)を含有する緩衝液中で洗浄する。
【0183】
固体支持体上に捕捉されたタグ付けされたライブラリ断片は、本明細書中で論じられるように、Xpandomer合成のための鋳型を提供するM3鏡像化ライブラリ鋳型構築物の生成のための基質を提供する。M3およびXpandomer産物のためのいくつかの代替ワークフローが本発明によって企図される。以下は、代替の「次世代」鏡像化ライブラリワークフローの特定の実施形態の非限定的な説明である。
【0184】
バイスタンダー伸長オリゴヌクレオチドを利用する単一支持体鏡像化ライブラリ作製。
【0185】
この実施形態では、M3鏡像化ライブラリ鋳型構築物とXpandomerの両方が、同じ固体支持体、例えば、ビーズまたはマイクロ流体チップ上で合成される。M3生成のための捕捉オリゴヌクレオチドおよびXpandomer合成のための伸長オリゴヌクレオチドの両方が、支持体上に固定化される。いくつかの実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドは、PCRベースの捕捉中にライブラリ断片とのハイブリダイゼーションを防ぐヘアピン構造を形成するように設計されており、したがって本明細書では「バイスタンダー」オリゴヌクレオチドと呼ばれる。バイスタンダーオリゴヌクレオチドは、以下でさらに論じるように、タグ付けされたライブラリ断片の捕捉後に、機能的伸長オリゴヌクレオチドに選択的に変換され得る。
【0186】
図15Aおよび15Bは、バイスタンダー伸長オリゴヌクレオチドを用いた単一支持体合成の基本的特徴を示す。
図15Aでは、タグ付けされたライブラリ断片1510が、固体支持体1505上に固定化されて示されている。ライブラリ断片のPCRに基づくタグ付けおよび捕捉オリゴヌクレオチド構造1515による固体支持体への連結は、本明細書中および
図14を参照して記載されるように行われる。一実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチド構造は、以下の配列を有し得る。5’[アジド]D
16(UUUUU)(UP38)3’(式中、アジド基は固体支持体への結合を媒介し、「D」はPEG6リンカーを表し、「U」はデオキシウラシルを表し、「UP38」は捕捉オリゴヌクレオチド配列を表す)。U
5配列は、例えば、NEBから入手可能なUSER(登録商標)(Uracil-Specific Excision Reagent)によって選択的に切断可能であり、これは、ウラシル残基の位置に単一のヌクレオチドギャップを生成し、得られた脱塩基部位を切断する。バイスタンダー伸長オリゴヌクレオチド1520Aおよび1520Bも支持体上に固定化される。バイスタンダーオリゴヌクレオチドの配列は、PCR中にライブラリ断片とのハイブリダイゼーションを防ぐ二本鎖ヘアピン構造を形成するように設計される。一実施形態では、バイスタンダーオリゴヌクレオチドは、以下の配列を有し得る。5’[アジド]D
nL
nZ
n[TCATAAGACGAACGGAGAUUTCCGTTCG(配列番号12)]X 3’であり、「D」、「L」、および「Z」部分は、本明細書でさらに論じるように、SBX中に特定の機能を果たすポリマーを形成する。一方、3’末端TCCGTTCG配列は、内部CGAACGGA配列と塩基対に折り畳まれ、したがって介在するGAUU配列が一本鎖のままであるヘアピン構造を形成する。一本鎖ウラシル含有配列は、USER(登録商標)で切断することができる。バイスタンダーオリゴヌクレオチドの末端「X」部分は、PCR中にオリゴヌクレオチドからの伸長を妨げる「ブロッカー」(例えば、PEGまたはC3スペーサーブロッカー)を表す。
【0187】
M1前駆体構築物1530を形成するために、三つ又アダプター1525を固定化ライブラリ断片に連結する。いくつかの実施形態では、これは、最初にライブラリ断片の遊離3’末端に「A」テールを付加することによって達成されてよく、これは、Trident
構築物によって提供される遊離3’「T」と塩基対を形成する。例示的なA-テーリング反応は、10pmol PCRアンプリコン、1×MolTaq緩衝液、1mM dATP、および2.5U MolTaqを含み、72℃で30分間実行することができる。例示的な連結反応は、40pmolの三つ又構築物、1×連結緩衝液、3mM ATP、2U/μlのT4 PNK、および30U/μlのT4 DNAリガーゼを含み、室温で20分間実行し、続いて150Uの5’デアデニラーゼを添加し、10分間インキュベートすることができる。次いで、M1前駆体を伸長させて、本明細書に記載されるように、および
図11Bを参照して、DNAポリメラーゼを有する三本鎖M2構築物を形成する。
【0188】
図15Bは、バイスタンダー伸長オリゴヌクレオチドおよび文字「U」によって指定される捕捉オリゴヌクレオチド中の選択的に切断可能なウラシル部分を有するM2前駆体構築物1540を示す。M3鋳型構築物1550を作製するために、M2前駆体をUSER(登録商標)で切断してウラシル部分にニックを入れる。これにより、1)伸長オリゴヌクレオチド中のヘアピン構造の切断、および2)捕捉オリゴヌクレオチドの切断が起こり、M2構築物の中間鎖に遊離5’末端が生成する。同時に、M2前駆体をエキソヌクレアーゼ処理に供し、1)バイスタンダーオリゴヌクレオチドの末端TCCGTTGC配列を消化して伸長オリゴヌクレオチド配列を露出させ、2)M2複合体の中間鎖を5’末端から3’末端まで消化する。次いで、露出した伸長オリゴヌクレオチドは、M3鋳型構築物の3’末端によって提供される相補的配列と特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、ニッキングおよびエキソヌクレアーゼ消化反応は、1x ラムダエキソ緩衝液(67mM グリシン-KOH、2.5mM MgCl2および50μg/ml BSA)、20% PEG8000、0.15U/μl USER(登録商標)、および0.4U/μlラムダエキソヌクレアーゼを含む反応混合物でM2前駆体を37℃で15分間処理することによって実施され得る。ニッキングおよびエキソヌクレアーゼ消化反応の後、その後のホスファターゼ反応を行って、バイスタンダーオリゴヌクレオチドのUSER(登録商標)切断によって残った3’リン酸を除去して、それをXpandomer合成のための官能性伸長オリゴヌクレオチドにする。いくつかの実施形態では、ホスファターゼ反応は、1×CutSmart緩衝液(50mM 酢酸カリウム、20mM 酢酸トリス、10mM 酢酸マグネシウム、100μg/mL BSA)、0.1U/μLのQuickウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP)を含む反応混合物を用いて37℃で5分間行い、続いて80℃で2分間熱不活性化してもよい。
【0189】
M3構築物は、本明細書中および
図11Cを参照して記載されるように実施され得る、Xpandomer合成のための鋳型を提供する。伸長オリゴヌクレオチドは、いくつかの実施形態では、本開示全体を通して記載されるように、支持体からの選択的放出およびナノポア転座のためのさらなる特徴を提供し得る。
【0190】
オンカード2ゾーン化鏡像化ライブラリ生成
【0191】
この実施形態では、マイクロ流体チップ、すなわちカードは、ライブラリ断片の捕捉およびM3鋳型構築物の生成のための第1のゾーンと、Xpandomer合成のための第2のゾーンと、を含む、鏡像化ライブラリのワークフローのための2つの物理的に別個のゾーンを有するように設計される。このようにワークフローを2つのゾーンに分離することは、例えば、バイスタンダー伸長オリゴヌクレオチドの必要性をなくすなど、いくつかの利点を提供する。
【0192】
2ゾーンカード構成の一実施形態を
図16Aに示す。ここで、カード1600は、それぞれ「ゾーン1」および「ゾーン2」と呼ばれる物理的に別個の区画1610および1620に分けられる。ゾーン11610は、M3鋳型構築物の生成専用であり、ゾーン21620は、Xpandomer合成専用である。本明細書に記載のUP38プライマーなど
の捕捉オリゴヌクレオチド構造は、例えば、クリックケミストリーによってゾーン1の表面に固定化される。同様にして、Xpandomer合成のための伸長オリゴヌクレオチドをゾーン2の表面に固定化する。いくつかの実施形態では、伸長オリゴヌクレオチドは、Xpandomer産物の選択的放出のための光切断可能、酸切断可能、または酵素的に切断可能なエレメントを含み得る。M3鋳型構築物の生成は、本明細書に記載のゾーン1で行われる。簡潔には、タグ付けされたライブラリ断片およびPCR混合物をゾーン1に添加し、オンチップPCRを実施して、タグ付けされたライブラリ断片を捕捉オリゴヌクレオチドに連結する。M1前駆体は、ライブラリ断片をA-テーリングし、続いて三つ又アダプターを連結することによって形成される。Tridentアダプターは、DNAポリメラーゼによって伸長されて、M2前駆体を生成する。M2前駆体構築物をウラシル切断に供し、続いてエキソヌクレアーゼ消化に供して捕捉オリゴヌクレオチドを切断し、中間鎖を除去し、それによりM3鋳型構築物1615を生成する。
【0193】
図16Bは、カードのゾーン1からゾーン2へのM3鋳型前駆体の転移を示し、その後、それは伸長オリゴヌクレオチド1625Aおよび1625Bに特異的にハイブリダイズする。キャップアダプター構造1630は、M3鋳型構築物に特異的にハイブリダイズし、Xpandomer合成は、矢印によって示される方向に伸長オリゴヌクレオチドから開始される。キャップアダプターの構造およびXpandomer合成のための反応条件の詳細は、本開示を通して記載される。
【0194】
別の実施形態では、ゾーン1に結合した捕捉オリゴヌクレオチドは、ウラシル残基の代わりに光切断可能エレメントを含むように設計される。この実施形態では、M2前駆体をUV光で処理すると、捕捉オリゴヌクレオチドが切断され、エキソヌクレアーゼ消化のための5’基質が提供されて、M3鋳型構築物が生成される。光切断の間、ゾーン2区画は、UV遮断界面によって露出から保護され得る。光切断可能エレメントを含む例示的な捕捉オリゴヌクレオチドは、以下の構造を有し得る。[アジド]D10_L30_Z6_PC_UP038、式中、D、L、およびZ部分のポリマー、例えば、「スペーサー」は、可動性リンカーを形成し、「PC」は、光切断可能エレメントを表し、UP038は、ライブラリ断片のタグ配列とハイブリダイズするように設計された、配列5’TCATAAGACGAACGGAGACT 3’(配列番号13)を有するオリゴヌクレオチドを表す。
【0195】
ビーズベースの鏡像化ライブラリ生成
【0196】
この実施形態は、M3鋳型構築物が、ビーズベースの支持体上で実施される一連の工程によって生成されるワークフローを記載する。この実施形態では、
図4Aを参照して論じたように、様々な構築物をストレプトアビジン-ビオチン結合によってビーズに結合させる。ビーズは、固体基質として特定の利点を提供し、例えば、それらはPCR条件に適しており、非常にスケーラブルであり、したがって他の基質よりも高い産物収率を提供する。
【0197】
ビーズベースワークフローの一実施形態を
図17に要約する。有利には、ビーズを工程間で洗浄して過剰な試薬を除去することができる。工程1では、本明細書中および
図14Aを参照して記載されるように、ライブラリ断片を溶液中PCRによってタグ付けする。工程2では、オンビーズPCRを実施して、捕捉オリゴヌクレオチド上にタグ付けされたライブラリ断片を生成する。この実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、SAビーズに結合するためのビオチン部分を含む。任意の適切なSAビーズ基質、例えば、ThermoFisher Scientificから入手可能なDynabeads(登録商標)MyOneC1 SAを使用することができる。KAPA HiFi Uracil+ポリメラーゼを使用する35サイクルPCR反応は、最大10
6コピーの入力から最大1~20pmolのビーズ結合アンプリコンを生成する。工程2に続いて、ビーズをプロテイ
ナーゼKで55℃で5分間処理し、次いでPCR後洗浄(1M NaCl、10mM Tris、0.1% Tween-20)で洗浄する。別の実施形態では、ビオチン化捕捉オリゴヌクレオチドを使用して溶液中PCRを行い、続いてスピンカラムに基づくPCR精製を行うことができる。次いで、精製ビオチン化アンプリコンをt0SAビーズに結合させることができる。工程3において、3’A「テール」をライブラリ断片に追加し、続いて5’Tオーバーハングを含むTridentアダプターを連結する。例示的なA-テーリング反応は、2.5UのMolTaq酵素および1mMのdATPを含み、65℃で30分間インキュベートされる。例示的な連結反応には、Tridentアダプター構築物(「T」オーバーハングを有する)、30U/μl T4 DNAリガーゼ、2U/μl T4 PNK、および3U/μl 5’脱アデニラーゼが含まれ、室温で20分間インキュベートされる。工程4において、Tridentアダプターを伸長させてM2前駆体を生成させる。例示的な伸長反応は、Rocheから市販されている1×ReadyMix中のKAPA HiFi U+ポリメラーゼを含む。工程4に続いて、ビーズを再びプロテイナーゼKで処理し、洗浄する。工程5において、M3鋳型構築物は、M2前駆体中のウラシル部分をニッキングして構築物の中間鎖に遊離5’末端を生成し、続いてこの鎖をエキソヌクレアーゼ消化することによって生成される。例示的なニッキング/消化反応は、0.1U/μlのUSER(登録商標)および0.3U/μlのラムダエキソヌクレアーゼを含み、37℃で15分間インキュベートされる。次いで、ビーズを75℃で10分間インキュベートすることによって、エキソヌクレアーゼを不活性化することができる。工程6において、遊離M3鋳型前駆体およびキャップアダプター構築物を、共有結合した伸長オリゴヌクレオチドを含むマイクロ流体チップに添加する。M3構築物は、伸長オリゴヌクレオチドおよびキャップアダプターに特異的にハイブリダイズする。工程7では、本開示全体を通して記載されるように、Xpandomer合成およびプロセシング反応を行う。最終的なXpandomer産物は、光切断によってチップから放出され得る。代替の実施形態では、工程6および7は、ビーズベースの支持体上で実行することもできる。
【0198】
分岐伸長オリゴヌクレオチドを用いた固体状態のXpandomer合成
【0199】
本明細書で論じられるように、本発明者らによって開発された拡張による配列決定(SBX)プロトコルは、Xpandomer合成、プロセシング、およびナノポア転座の間に固有の機能を果たすいくつかの特徴を含むXpandomer合成のための伸長オリゴヌクレオチド(EO)を利用する。例えば、特定の実施形態では、EOの5’末端は、ナノポアを介して最終的なXpandomer産物のスレッド化を開始する「リーダー」配列を提供する。リーダー配列は、C2のポリマー(本明細書では「L」として表される)、例えば、L
25を含み得る。いくつかの状況では、全長コピーのみがナノポアを貫通する鏡像化されたXpandomerの集団を生成し、配列情報を生成することが望ましいであろう。この目的を達成するために、本発明者らは、化学分岐剤によって連結された第1および第2の伸長オリゴヌクレオチドを含む分岐伸長オリゴヌクレオチドを設計した。この実施形態では、EOのうちの1つのみがリーダー配列を含み、各EOは固有の選択的に切断可能なエレメントを含む。分岐EOの一実施形態を
図18に示す。
【0200】
図18は、分岐剤1815によって連結された第1のEO1810および第2のEO1820を含む分岐EO1800を示す。分岐EO1800は、非対称化学分岐剤を使用した従来のホスホラミダイト化学によって合成することができる。この実施形態では、第1のEO1810のみが、「L」単位のポリマー(「L」は、C2スペーサーを表す)によって表されるリーダー配列を含む。同様に、第1のEOのみが「Z」単位のポリマーを含む(「Z」はC12スペーサーを表す)。Z単位のポリマーはまた、ナノポア転座において役割を果たす。この実施形態では、第1のEOは、例えばUSER(登録商標)を介したEOの選択的切断を可能にするウラシル(「U」)残基のポリマーを含み、第2のEOは
、UV媒介切断のための光切断可能エレメント(「PC-スペーサー」)を含む。各EOの3’オリゴヌクレオチドプライマー(配列番号14)の配列は同じであり、M3鋳型構築物とハイブリダイズするように設計されている。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドプライマーは、1つ以上の2’-OMe塩基類似体を使用して合成される。本発明者らは、有利には、Xpandomer合成に使用されるDPO4ポリメラーゼの変異体が、基質として2’-OMe類似体を利用することができることを見出した。分岐EOは、基質へのクリック結合のための5’末端アジド基を含む。この例示的な実施形態に示されるL、Z、D、およびUポリマーの長さは、限定することを意図するものではない。本発明は、様々な適切なポリマー長および分岐EO構造を企図すると理解される。
【0201】
図19Aおよび
図19Bは、分岐EOがどのようにしてナノポア配列決定のための全長Xpandomerの集団の生成および単離を可能にするかを示す。工程1において、M3鋳型構築物1910を、支持体1930に結合した分岐EO1920にハイブリダイズさせる。分岐構造の一方のEOのみがリーダー配列1925を含む。工程2において、キャップアダプター構造1940をM3鋳型構築物にハイブリダイズさせる。工程3において、Xpandomerコピー1950Aおよび1950Bは、オリゴヌクレオチドプライマー1927Aおよび1927Bからの伸長によって合成される。Xpandomerの3’末端は、本明細書中に記載されるように、末端キャッピングによってキャッププライマー構築物の遊離末端に連結される。工程4において、Xpandomerは、第1の伸長オリゴヌクレオチドを選択的に切断し、リーダー配列1925を露出させるUSER(登録商標)処理に供される。工程5において、Xpandomerは、切断され、「拘束された」配置から「伸長した」配置に移行するように処理される。この工程では、不完全なまたは切断されたXpandomer副産物を洗い流すことができる。工程6において、Xpandomerは、第2の伸長オリゴヌクレオチドの光切断によって基質から放出される。有利には、全長Xpandomer1950のみが、リーダー配列1925を含み、ナノポアを貫通して配列情報を提供する。
【0202】
特許文献および非特許文献を含む本明細書に開示される全ての文献は、それぞれが個別に組み込まれているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0203】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定することを意図するものではないことを理解するべきである。本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される用語は、関連技術で知られているその従来の意味を与えられるべきであることをさらに理解されたい。
【0204】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態において」または「実施形態において」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。さらにまた、特定の特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において、任意の適切な方法で組み合わせられることができる。
【0205】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、内容および文脈が、明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象、すなわち1つ以上を含む。また、接続的用語「および(and)」および「または(or)」は、一般に、内容および文脈が場合によって包括性または排他性を明確に指示しない限り、「および/または(and/or)」を含むために最も広い意味で用いられることに留意されたい。したがって、代替形態(例えば、「または」)の使用は、代替形態のいずれか、両方、またはそれらの任意の組み合わせを意味すると理解されるべきである。さらに、本明細書で「および/または」と記載されている場合の「および」および「また
は」の構成は、全ての関連する項目またはアイデアを含む実施形態、および全てより少ない関連する項目またはアイデアを含む1つ以上の他の代替実施形態を包含することを意図している。
【0206】
文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、ならびに「有する(have)」および「含む(include)」などのその同義語および変形、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などのその変形は、オープンで包括的な意味、例えば、「含むが、限定されない」と解釈されるべきである。「本質的に、」という用語は、特定の材料もしくは工程、または特許請求される発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさないものに特許請求の範囲を限定する。
【0207】
略語「例えば、(e.g.)」は、ラテン語exempli gratiaに由来し、非限定的な例を示すために本明細書で使用される。したがって、略語「例えば、(e.g.)」は、用語「例えば、(for example)」と同義である。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数への言及を含み、用語「Xおよび/またはY」は、「X」もしくは「Y」または「X」と「Y」の両方を意味し、名詞に続く文字「s」は、その名詞の複数形と単数形の両方を示すことも理解されたい。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群に関して記載されている場合、本発明は、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーおよびメンバーの任意のサブグループに関しても包含し、それによって記載されることが意図され、当業者であれば認識するであろうし、出願人は、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの任意のサブグループを具体的に指すように、本出願または特許請求の範囲を修正する権利を留保する。
【0208】
この文書内で使用される任意の見出しは、読者によるその検討を促進するために利用されているにすぎず、本発明または特許請求の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。したがって、本明細書で提供される見出しおよび開示の要約は、便宜上のものであり、実施形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0209】
ある範囲の値が本明細書で提供される場合、文脈が別段明確に示さない限り、その範囲の上限と下限との間における、下限の単位の10分の1までの、各介在値、および、その記載された範囲内の任意の他の記載値または介在値は、本発明に包含されることと理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限が、より小さい範囲に独立して含まれ得ることも、記載された範囲内のいずれかの特に除外された限界に従うことを条件として、本開示に包含される。記載された範囲が制限の一方または双方を含む場合は、包含された制限の一方または双方を除いた範囲もまた、本発明に含まれる。
【0210】
例えば、本明細書で提供される任意の濃度範囲、割合範囲、比率範囲、または整数範囲は、特に記載がない限り、列挙された範囲内のあらゆる整数、および適切な場合、それらの分数(整数の10分の1および100分の1など)の値を含むと理解すべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズ、または厚さなどの任意の物理的特徴に関する本明細書に列挙された任意の数の範囲は、特に明記しない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むと理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に明記しない限り、示された範囲、値、または構造の±20%を意味する。
【0211】
本明細書中で言及されるおよび/または出願データシートにおいてリスト化される全ての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。そのような文献は、例えば、本明細書に記載された発明に関連して使用され得る刊行物に記載された材料および方法
論を説明および開示する目的で、参照により組み込まれ得る。上記および本文全体で説明されている刊行物は、本出願の出願日より前の開示のためにのみ提供されている。本明細書中のいかなるものも、本開示が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利がないことの承認として解釈されるべきではない。
【0212】
本明細書で参照または言及される全ての特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、ならびに他の文書および資料は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示しており、そのような参照された各文書および資料は、参照によりその全体が個別に組み込まれているか、またはその全体が、本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。出願人は、そのような特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に利用可能な情報、および他の参照される資料または文書からのありとあらゆる資料および情報を本明細書に物理的に組み込む権利を留保する。
【0213】
一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定すると解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と共に全ての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
【0214】
さらに、この特許の記述の部分は、全ての特許請求の範囲を含む。さらに、全ての元の特許請求の範囲ならびに任意のおよび全ての優先権書類からの全ての特許請求の範囲を含む全ての特許請求の範囲は、参照によりその全体が本明細書の明細書の明細書部分に組み込まれ、出願人は、そのような特許請求の範囲のいずれかおよび全てを明細書または本出願の他の部分に物理的に組み込む権利を留保する。したがって、例えば、特許は、いかなる状況下でも、請求項の正確な文言が特許の明細書の部分のhaec verbaに記載されていないという主張に対して、請求項の明細書を提供していないと解釈されることはない。
【0215】
特許請求の範囲は、法律に従って解釈される。しかしながら、請求項またはその一部の解釈が容易または困難であると主張または認識されているにもかかわらず、いかなる状況下でも、本特許につながる出願または出願の遂行中の請求項またはその一部の調整または修正は、先行技術の一部を形成しないそのありとあらゆる等価物に対する権利を放棄したと解釈されてはならない。
【0216】
他の非限定的な実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。特許は、本明細書に具体的および/または明示的に開示された特定の例または非限定的な実施形態または方法に限定されると解釈されてはならない。いかなる状況下においても、本特許は、いかなる審査官または特許商標庁の他の役人もしくは従業員によってなされた陳述によっても限定されると解釈されてはならない。ただし、そのような陳述が具体的に、かつ、出願人による応答書面において明示的に採用された資格または留保がない場合を除く。
【0217】
本発明は、本明細書において広く一般的に記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い種および亜属の群のそれぞれも、本発明の一部を形成する。これは、切除された材料が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、属から任意の主題を除去するという条件または否定的限定を伴う本発明の一般的な説明を含む。
【実施例0218】
実施例1
固体Xpandomer合成-マイクロ流体チップへのオリゴヌクレオチドの伸長直接コンジュゲーション
この実施例は、XNTPヌクレオチド類似体から構成される一本鎖ポリヌクレオチド鋳型の拡張可能なコピーであり、改善されたナノポア配列決定のための固有の特徴を有するXpandomerの固体合成を記載する。チップへの伸長オリゴヌクレオチド(「E-オリゴ」)の共有結合によって官能化されたマイクロ流体チップ基質上で、固体Xpandomer合成を行った。XNTPによる結合E-オリゴのポリメラーゼ媒介伸長は、チップに結合したままであり、効率的かつ制御された方法で洗浄、処理、および放出され得るXpandomer産物を生成する。
【0219】
この実験で利用されたE-オリゴ(「E52 SIMA PCアジド」)は、以下の特徴を含んでいた。PEG-6モノマーのポリマーと、それに続く5’アジド基、光切断性スペーサー、「リーダー」ポリマー配列、「コンセントレータ」ポリマー配列、蛍光標識ヌクレオチド、およびオリゴヌクレオチドプライマー。リーダーポリマーおよびコンセントレータポリマーは、例えば、ナノポアセンサを介したXpandomer転座の効率を改善するように機能し、「Concentrating a target molecule for sensing by a nanopore」と題された出願人による米国特許第9,670,526号にさらに詳細に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0220】
A.チップの機能化
【0221】
Zeonor(シクロオレフィン熱可塑性ポリマー)から製造された市販の連続フローPCRチップをこの実験における固体支持体として使用した。本明細書に記載の光抽象化プロトコルによる直接コンジュゲーションを使用して、チップをアルキン部分で官能化した。簡単に説明すると、チップを350μLの80% DMSでプライミングした。次いで、80% DMSO中の60μLの10mMプロパルギルマレイミドを加え、チップを20W UVランプ下で20分間インキュベートした。次いで、チップを80% DMSO
300μL、100% DMF 300μL、水300μL、300mM Na2HPO4 300μL、1% Tween-20、および0.5% SDSの溶液で連続的に洗浄し、37℃で5分間インキュベートした。チップを最終的に水300μLで洗浄し、続いて3×PBS 300μLで洗浄した。
【0222】
B.クリック反応
【0223】
クリック反応のための溶液を以下のように調製した:1)水5.0μL、100mM THPTA 1.5μL、100mMアスコルビン酸ナトリウム 1.5μL、10mM CuSO4 0.5μL、100mMアミノグアニジン 0.5μL、および100% DMF 1.0μLを混合することによって触媒混合物を調製し、室温で5~15分間インキュベートした。2)水29.22μL、100% DMF 4.00μL、1000mMリン酸ナトリウム 1.25μL、pH7.0、25.6μM伸長オリゴヌクレオチド(20pmolのE52 SIMA PCアジド)0.78μL、100mM MgCl2 1.25μL、100mMアミノグアニジン 2.0μL、および100mMアスコルビン酸ナトリウム 1.5μLを混合することによって、基質混合物を調製した。3)基質混合物を触媒混合物に添加し、ボルテックスした。官能化チップを水300μLで洗浄し、クリック反応混合物50μLを添加し、続いて室温で20分間インキュベートした。
【0224】
C.伸長反応
【0225】
伸長反応には、E-オリゴに対する20pmol:20pmolのDNA鋳型の比を使用した。鋳型は、HIV2ゲノムに由来する一本鎖100mer配列であった。E-オリゴ
プライマーの配列は、5’TCATAAGACGAACGGA 3’(配列番号4)であった。一本鎖DNA鋳型分子を、20pmol鋳型をチップと共に37℃で5分間インキュベートし、続いてMEB緩衝液 300μLで洗浄することによって、支持体に結合したE-オリゴにハイブリダイズさせた。
【0226】
伸長反応には以下の試薬が含まれていた。4nmol XNTP、0.08mM ポリリン酸塩、0.6mM MnCl2、0.5M ベタイン、0.25M 尿素、一本鎖結合タンパク質(SSB)10μg、DNAポリメラーゼタンパク質(C4760)9μg、1.4mM PEMコンボ(AZ8-8およびAZ43-43)。最終反応体積を5% NMSで50μLにし、伸長を42℃で行った。
【0227】
伸長後、チップを処理および洗浄して伸長試薬を除去し、結合したXpandomer産物を光切断(Firefly UV硬化ランプによる15分間の処理)によってチップから放出し、切断したXpandomer産物が、40%アセトニトリル 60μLで、チップから溶出した。Xpandomer産物を、1×TAE緩衝液を含む2.5% Nusieveゲル中で1レーンあたり約約0.75pmolの産物を泳動することによって、ゲル電気泳動によって分析した。代表的なゲルを
図20に示し、固体Xpandomer合成の産物をレーン3に示し、全長産物を矢印で示す。参考のために、同一の鋳型を使用して溶液中で行われたXpandomer合成反応の産物をレーン1に示す。レーン3で観察されたバンドの狭さは、固体Xpandomer合成が、部分的または切断型産物の減少を伴って、分布を改善し得ることを示唆している(レーン1の不鮮明なバンドの見かけのより大きなサイズは、溶液ベースの伸長反応で使用されるE-オリゴの組成の違いを反映している)。レーン2は、使用した鋳型が、E-オリゴにハイブリダイズしない陰性対照であり、レーン4は、異なる反応条件下で行われた固体伸長の産物を示す陽性対照である。これらの結果は、Xpandomerのゾル合成の概念実証を示す。
【0228】
実施例2
拡張による配列決定のための固体Xpandomer合成(SBX)
この実施例は、222mer鋳型のXpandomerコピーの固体合成およびプロセシング、続いてナノポアセンサーシステムを使用した産物の配列決定を記載する。配列決定前のワークフローの全ての工程を、Xpandomer中間体および基質に結合した最終産物を用いて行った。このプロトコルは、溶液ベースのワークフローを超える多くの利点、例えば、反応のそれぞれのための純粋な試薬を減少した体積で順次添加する能力を提供する。この実験では、E-オリゴの直接共有結合によってプライミングされたマイクロ流体チップ基質上でXpandomer伸長反応を行った。チップの機能化およびE-オリゴのクリック結合を実施例1に記載のように行った。
【0229】
A.伸長反応
【0230】
伸長反応は、E-オリゴに対するDNA鋳型のモル比10pmol:20pmolで行った。使用した鋳型は、HIV2ゲノム由来の一本鎖222mer配列であり、使用したE-オリゴは、実施例1に記載のE52オリゴであった。一本鎖DNA鋳型分子を、10pmol鋳型をチップと共に500mM NH4OAc、5% NMS、1M尿素および2% PEG8Kの溶液中37℃で5分間インキュベートし、続いてMEB緩衝液 300μLで洗浄することによって、結合したE-オリゴにハイブリダイズさせた。伸長反応の前に、チップを50mM TrisCl、200mM NH4OAc、5% NMS、10% PEG8Kおよび1M尿素の溶液 300μLで洗浄した。
【0231】
伸長反応には以下の試薬が含まれていた。4nmol XNTP、0.08mM ポリリン酸塩、0.6mM MnCl2、0.5M ベタイン、0.25M 尿素、一本鎖結合
タンパク質(SSB)10μg、DNAポリメラーゼタンパク質(C4760)9μg、1.0mM AZ-8,8および4mM AZ-43,43 PEM添加剤。5% NMSおよび50Mm Tris HCl、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.73および20% PEGからなる緩衝液を用いて、最終反応体積を50μLにした。伸長反応を42℃で30分間行った。
【0232】
伸長後、チップを、D2O中に100mM HEPES、pH8.0、100mM Na2HPO4、1% Tween 20、3% SDS、15% DMF、および5mM EDTAを含有する洗浄溶液 300μLで、3回洗浄した。
【0233】
B.Xpandomerプロセシング
【0234】
結合した伸長産物を最初に酸で処理して、例えば
図1Cに示すように、分子を直線化するためにXpandomer中のホスホラミダイト結合を切断した。D
2O中の7.5M DClの溶液 200μLをチップに添加し、室温で30分間インキュベートすることによって、酸媒介性切断を達成した。次いで、結合した産物を中和し、100mM、pH8.0、100mM Na
2HPO
4、pH8.0、1% Tween-20、3% SDS、15% DMFおよび5mM EDTAのD
2O溶液 900μLを添加することによって洗浄した。次いで、200μmolの無水コハク酸(シリンジに別々に装填)をチップに直接添加しながら、100mM HEPES、pH8.0、100mM Na
2HPO
4、pH8.0、1% Tween 20、3% SDS、15% DMF、5mM
EDTAのD
2O溶液 300μLを添加し、続いて23℃で5分間インキュベートすることによって、結合産物を修飾した。次いで、修飾産物を、H
2O中の15% ACNおよび5% DMSOの溶液 500μLで洗浄した。
【0235】
C.チップからのXpandomerの放出
【0236】
結合したXpandomer産物は、光切断によってチップ基質から放出された。チップに15% ACNと5% DMSOのH
2O溶液 60μLを添加した後、UV硬化ランプを用いて15分間照射した。放出されたXpandomerが、5% DMSおよび15%アセトニトリルの溶液を用いてチップから溶出た。まず、
図21Aに示すように、溶出した物質をゲル電気泳動により分析した。試料の15%を、矢印で示す全長Xpandomer産物を含むゲル(0.5×TBE中2.5% NuSieveアガロース)のレーン3に流した。参考のために、同じ鋳型を使用した溶液ベースのXpandomer合成反応の産物をレーン1および2に示す。図から分かるように、固相合成は、溶液ベースの合成と比較してより狭いバンドを生成し、試料中の全長産物の割合がより大きいことを示している。
【0237】
ナノポア配列決定
【0238】
配列決定のために、2M NH4Clおよび100mM HEPES(pH7.4)を含有する緩衝液B1中のDPhPE/ヘキサデカン二重層メンバーに、α-溶血素を挿入することによって、タンパク質ナノポアを調製する。シスウェルを、0.4M NH4Cl、06M GuCl、および100mM HEPES、pH7.4を含有する緩衝液B2で灌流する。Xpandomer試料を70℃に2分間加熱し、完全に冷却し、次いで、2μL試料をシスウェルに添加する。次いで、90mV/390mV/10μsの電圧パルスを印加し、Labview取得ソフトウェアを用いてデータを取得する。
【0239】
配列データは、単一のSBX反応からの配列リードの集団のヒストグラム表示によって分析される。分析ソフトウェアは、各配列リードを鋳型の配列に整列し、正しい鋳型配列と
整列しないリードの末端の配列の範囲をトリミングする。222mer鋳型のナノポア配列決定の代表的なヒストグラムを
図21Bに示す。特に、固体合成およびプロセシングは、ナノポアセンサによって読み取られた場合、222mer分子の全長にわたって非常に正確な配列リードを生成するXpandomer産物を生成した。
【0240】
実施例3
末端キャッピングによるXpandomer合成
この実施例は、合成中のXpandomer産物の末端キャッピングおよび異なる反応添加剤を用いたプロセスを最適化するための試みを記載する。以下の実験で使用した鋳型は、HIV2ゲノム由来の121mer配列であり、使用したE-オリゴ(「EO」)は、以下の特徴を有するE52 EOであった。リーダーポリマー、コンセントレータポリマー、および配列5’TCATAAGACGAACGGA 3’(配列番号4)を有するオリゴヌクレオチドプライマーによる5’SIMA(蛍光タグ)。末端キャップは、以下の配列、5’K[GCGTTAGGTCCCAGTGTTTAC(配列番号15)]X 3’を有する末端オリゴヌクレオチドを含み、式中、Kは、Gクランプを表し、Xは、PEG3部分を表す。末端オリゴヌクレオチドは、鋳型の5’末端と相補的であり、ハイブリダイズする。末端オリゴヌクレオチドの5’末端は、
図7Aの特徴710Aに示されるリンカーを介してddCTPキャップに連結され、完全な末端キャップ構造を形成する。
【0241】
この実験では、5つの伸長反応を行い、そのそれぞれが、以下の試薬を含んでいた。E-オリゴに対する鋳型のモル比1:1、2mM AZ-8、8および10mM AZ-43、43 PEM添加剤、5% NMS、1.8μg DNAポリメラーゼ、0.08mM
XNTP、0.08mM ポリリン酸塩、および0.6mM MnCl2。反応2~5は、鋳型およびEOに対して2倍モル過剰の末端キャップを含んでいたが、反応1は末端キャップを含まなかった。反応はまた、以下のように様々な添加剤を含んでいた。反応1:0.5M ベタイン、0.25M 尿素、および一本鎖結合タンパク質(SSB)2μg;反応2:0.5M ベタイン、0.25M 尿素、およびSSB 2μg;反応3:0.25M 尿素;反応4:0.5M ベタインおよび0.25M 尿素;反応5:0.25M 尿素およびSSB 2μg。それぞれの最終反応体積は10μLであり、反応は42℃で行った。
【0242】
伸長反応の産物は、
図22に示すように、ゲル電気泳動により分析した。レーン1は、末端キャップを含まない反応1の産物を示す。この反応において、SIMA色素はEOに連結しており、伸長産物は121merのXpandomerである。レーン2~5は、それぞれ末端キャップを含む反応2~5の産物をそれぞれ示す。これらの反応では、反応1とは対照的に、SIMA色素が末端キャップに連結している。図から分かるように、反応2~5のそれぞれにおいて、末端キャップは、DNAポリメラーゼによってXpandomerに首尾よく連結されており、Xpandomerが、DNA鋳型の完全なコピーを表すことを示している。末端キャップの末端オリゴヌクレオチドを伸長産物に組み込むことにより、反応2~5の産物は、100merのXpandomerであり、反応1の121merよりも迅速にゲル上を移動する。これらの結果は、ゲル上の著しく密なXpandomerバンドを示し、試験した実験条件下で末端キャッピング反応が非常に効率的であることを示している。重要なことに、末端キャッピングは、例えば、ナノポア配列決定のために全長Xpandomerをタグ付けおよび捕捉する手段を提供する。
【0243】
実施例4
末端キャッピングを用いた固体Xpandomer合成
この実施例は、全長産物の末端キャッピングと組み合わせた222merのXpandomerの固体合成を記載する。実施例1に記載されるように、基質への伸長オリゴヌクレオチド(「E-オリゴ」)の共有結合によって官能化されたマイクロ流体チップ基質上で
固体合成を行った。鋳型の全長コピーが完了すると、DNAポリメラーゼは、鋳型の5’末端にハイブリダイズした末端キャップに遭遇し、末端キャップの5’末端をXpandomerの3’末端に結合する。末端キャップに結合した蛍光色素は、ゲル電気泳動による鋳型の全長コピーの可視化を可能にする。
【0244】
A.伸長および末端キャッピング反応。
【0245】
以下の実験で使用した鋳型は、Streptococcus pneumoniaeゲノム由来の243mer配列であり、使用したE-オリゴ(「EO」)は、光切断性リンカーおよび配列5’TCATAAGACGAACGGA 3’(配列番号4)を有するオリゴヌクレオチドプライマーを含むE52 EOであった。末端キャップは、以下の配列、5’K[GCGTTAGGTCCCAGTGTTTAC(配列番号15)]3’を有する末端オリゴヌクレオチドを含み、式中、KはGクランプを表す。末端オリゴヌクレオチドは、鋳型の5’末端と相補的であり、ハイブリダイズする。末端オリゴヌクレオチドの5’末端は、
図7Aの特徴710Aに示されるリンカーを介してddCTPキャップに連結され、完全な末端キャップ構造を形成する。
【0246】
この実験では、同じ鋳型、プライマー、および末端キャップを用いて4つのオンチップ伸長反応を行った。反応1は、以下の試薬を含んでいた。鋳型:EO:16:20:32の末端キャップモル比、0.08mM XNTP、1mM AZ-8、8および4mM AZ-43、43 PEM、DNAポリメラーゼ(DPO4変異体C4760)9μg、SSB 10μg、0.6mM MnCl2、0.08mM ポリリン酸塩、50mM Tris HCl、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.73、20% PEG、5% NMS、0.25M 尿素、0.5M ベタイン。50μLの反応を42℃で実行した。反応2は、以下の試薬を含んでいた。鋳型:EO:6:10:12の末端キャップモル比、0.08mM XNTP、1mM AZ-8、8および4mM AZ-43、43 PEM、9μg DNAポリメラーゼ(C4760)、SSB 10μg、0.6mM MnCl2、0.08mM ポリリン酸塩、50mM Tris HCl、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.73、20% PEG、5% NMS、0.25M 尿素、0.5M ベタイン。20μLの反応を37℃で実行した。反応3は、以下の試薬を含んでいた。鋳型:EO:6:10:12の末端キャップモル比、0.08mM XNTP、1mM AZ-8、8および4mM AZ-43、43 PEM、DNAポリメラーゼ(C4760)9μg、SSB 10μg、0.6mM MnCl2、0.08mM ポリリン酸塩、50mM Tris HCl、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.73、20% PEG、5%nm、0.25M 尿素、0.5M ベタイン。25μLの反応を42℃で行った。反応4は、以下の試薬を含んでいた。鋳型:EO:10:10:20の末端キャップモル比、0.08mM XNTP、1mM AZ-8、8および4mM AZ-43、43 PEM、DNAポリメラーゼ(C4760)9μg、SSB 10μg、0.6mM MnCl2、0.08mM ポリリン酸塩、50mM Tris HCl、pH8.84、200mM NH4OAc、pH6.73、20% PEG、5% NMS、0.25M 尿素、0.5M ベタイン。25μLの反応を42℃で行った。
【0247】
伸長反応の産物を、
図23に示すように、2.5% NuSieveアガロースゲル上でのゲル電気泳動によって分析した。レーン1~4は、それぞれ末端キャップを含む反応1~4の産物をそれぞれ示す。これらの反応では、SIMA色素が末端キャップに連結される。図から分かるように、各反応において、末端キャップはDNAポリメラーゼによってXpandomerに首尾よく連結されており、XpandomerがDNA鋳型の完全なコピーを表すことを示している。これらの結果は、ゲル上の著しく密なXpandomerバンドを示し、末端キャッピング反応も固体合成中に非常に効率的であることを示し
ている。興味深いことに、伸長およびキャッピングの効率は、反応中に存在する添加剤の性質によって影響されるようである。これらの結果は、Xpandomerの固体合成が試行錯誤によって最適化され得ることを示している。
【0248】
実施例5
鏡像化ライブラリ構築物-ライブラリインサートへのTridentアダプターの連結この実施例は、本発明の鏡像化ライブラリ構築物を生成する際の最初の工程を記載し、ここで、三つ又アダプターは、二本鎖DNAのライブラリ断片に連結される。
図24Aは、この実験で使用した構築物の基本的な構造的特徴を示す。ライブラリ断片は、HIV2ゲノムに由来する二本鎖60mer配列であり、「マイナス」鎖(図のトップ鎖に対応する)および「プラス」鎖(図のボトム鎖に対応する)は、3’一塩基オーバーハングを組み込む。ライブラリ鎖の極性は、図中に「5’」の番号で示されている。三つ又アダプターは、
図24Aに示すように、3本のDNA鎖で構成されており、各鎖の極性は「3’」の番号で示されている。三つ又のトップ鎖およびボトム鎖は、同一の配列を有する24merのオリゴヌクレオチドであるが、中間鎖を含むオリゴヌクレオチドの配列は、トップ鎖配列およびボトム鎖配列の逆相補体である。トップ鎖およびボトム鎖はまた、ライブラリ断片への指向性連結を可能にする3’一塩基オーバーハングを有する。3本の鎖の5’末端は、化学分岐剤によって一緒に連結されて、三つ又アダプターを形成し、中間鎖およびボトム鎖は二本鎖ハイブリッドを形成し、一方、トップ鎖は一本鎖のままである。
【0249】
この実験では、連結反応を、5:1のモル比の三つ又アダプター対ライブラリ断片を用いて溶液中で行った。15μLの最終反応体積は、以下の試薬を含んでいた。リガーゼ反応緩衝液、3mM ATP、6%グリセロール、6% 1、2-プロパンジオール、0.1μM ライブラリ断片、0.5μM 三つ又アダプター、1U/μL PNKおよび120U/μL DNAリガーゼ。反応を15℃で5分間行い、SYBRで染色した6% TBE-Uゲル中のゲル電気泳動によって連結産物を分析して産物を可視化した。代表的なゲルを
図24Bに示し、連結されていない三つ又およびライブラリ参照断片をレーン1に流し、連結反応の産物をレーン2に流した。図から分かるように、連結された三つ又/ライブラリ断片産物は、連結されていない産物と明確に区別可能である。注目すべきことに、連結されていないライブラリ断片に対応するバンドは、レーン2において非常に薄く、このことは、ライブラリ断片の大部分が、三つ又/ライブラリ連結に変換されていることを示している。
【0250】
実施例6
鏡像化ライブラリ構築物-鏡像化ライブラリ構築物を生成するための三つ又アダプターおよびエキソヌクレアーゼ消化からの伸長
この実施例は、
図25Aに簡略化された形で示されている、鏡像化ライブラリ構築物を生成する際の伸長および消化工程を説明する。伸長工程では、M1構築物の三つ又アダプターの一本鎖のトップ鎖をDNAポリメラーゼによる伸長プライマーとして使用し、ライブラリ断片を鋳型としてDNAの新しい鎖を合成する。M1構築物の伸長は、図中にM2構築物を生成する。次いで、消化工程のために、M2の元の鋳型鎖(5’表記で示す)をエキソヌクレアーゼ処理によって除去して、M3構築物を生成する。M3は、ライブラリ断片「プラス」鎖の2つの同一の一本鎖コピーを含み、「鏡像化ライブラリ構築物」と呼ばれる。
【0251】
伸長反応は、以下の試薬を用いて行った。Thermo Pol反応緩衝液中、0.3pmol M1連結産物、0.2mM dNTPS、および0.4U/μL DNAポリメラーゼ(Vent(登録商標)(exo-))。エキソヌクレアーゼ活性の非存在ならびに強い鎖置換活性に基づいて、Vent(登録商標)(exo-)を伸長反応のためのDNAポリメラーゼとして選択した。伸長反応(総体積5μL)を、95℃で2分間の初期
変性工程に供し、続いて95℃で15秒間および72℃で6秒間の25サイクルに供した。変性/伸長サイクルの後、反応をクエンチし、変性させ、ゲル上で実行して伸長産物を可視化した。
【0252】
消化反応のために、0.3pmolのM2伸長産物をラムダエキソヌクレアーゼ反応緩衝液中のラムダエキソヌクレアーゼ(1U/μL)で処理した。エキソ添加後、消化反応(総体積10μL)を5分間行った。消化産物を上記のようにゲル電気泳動によって分析した。代表的な実験の結果を
図25Bに示す。ゲルのレーン1は、M1参照産物(0.2pmol生成物/レーン)を示し、レーン2および3はそれぞれ伸長および消化反応の産物を示す。レーン2の大きなバンドは、M1連結産物のより大きなM2伸長産物への変換の成功を実証し、一方、レーン3のより小さなバンドは、M2伸長産物のM3消化産物への変換の成功を実証する。
【0253】
実施例7
M1鏡像化ライブラリ構築物の固体合成
この実施例は、固体支持体上にM1構築物を構築するためのワークフローを記載する。ワークフローを簡略化して
図26Aに示す。以下の実験では、Yアダプター(「YAD」)を、クリックケミストリーを用いて支持体に最初に共有結合させた。次いで、ライブラリ断片および三つ又アダプターを結合YADに連結して、支持体上にM1構築物を生成した。YADと支持体との間の感光性結合の切断によって、M1が最終的に支持体から放出された。
【0254】
A.固体支持体へのYADのクリック結合
【0255】
Zeonor(シクロオレフィン熱可塑性ポリマー)から製造された市販の連続フローPCRチップをこの実験における固体支持体として使用した。アッセイは、実施例1に記載の通り行った。銅クリック反応を以下のように行った。3mM THPTA、6mM アスコルビン酸ナトリウム、1mM CuSO4、5mM アミノグアニジン、および10% DMFを混合することによって触媒混合物60μLを調製した。10% DMF、25mM リン酸ナトリウム、pH7.0、(アジド部分に連結された)YADの50mol E6オリゴヌクレオチドアーム、2.5mM MgCl2、5mM アミノグアニジンおよび6mM アスコルビン酸ナトリウムを混合することによって基質混合物120μLを調製した。次いで、触媒混合物30μLを基質混合物に添加し、このクリック混合物75μLをチップに添加し、続いて室温で30分間インキュベートした。
【0256】
B.M1構築物の伸長
【0257】
クリック反応後、チップを水および溶液「10002」(300mMリン酸ナトリウム、pH8.0、1% Tween-20、0.5% SDSおよび1mM EDTA)で洗浄した。溶液「CHB002」(500mM NH4OAc、2% PEG8K、1M 尿素および5% NMS)25μLおよび100pmol E52オリゴヌクレオチドを混合することによって、E52 YAD混合物(Yアダプターの第2のオリゴヌクレオチドアームを含む)50μLを調製し、チップに適用した。チップを30℃で20分間インキュベートして、E52オリゴヌクレオチドをE6オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。次いで、チップをCHB002 300μLで3回洗浄した。
【0258】
ライブラリ断片および三つ又アダプターを基質結合YADに連結するために、15pmol ライブラリインサート(HIV2 60mer)、50pmol 三つ又アダプター、11mMのATP、1U/μLのT4 PNKおよび平滑末端/T4リガーゼマスター混合物(NEBから入手可能)を合わせることによって、連結反応混合物50μLを調製
した。連結混合物をチップに添加し、続いて16℃で15分間インキュベートした。次いで、連結混合物をチップから取り出し、5’デアデニラーゼ(5万U/mL)5μLを加えた。その後、連結混合物をチップに戻し、続いて16℃で15分間インキュベートした。次いで、チップをCHB002 300μLで2回洗浄し、次いで水300μLで洗浄した。次いで、10002 300μLを添加し、チップを37℃で5分間インキュベートした。次いで、チップをCHB002 300μLで3回洗浄し、次いで水300μLで洗浄した。次いで、全ての液体をチップから除去し、水75μLを添加した。
【0259】
結合産物をチップから放出するために、チップをFireFly硬化ランプで15分間UV光に曝露することによって、チップへのYADの感光性連結を切断した。放出された産物がチップから溶出され、回収された材料の1%をゲル電気泳動によって分析した。代表的なゲルを
図26Bに示す。レーン1の試料は、光切断によってチップから回収された材料の1%に相当するが、レーン2~5の試料は、溶液中で合成された精製された非切断のM1の対照滴定である。図から分かるように、固体合成プロトコルは、完全に集められたM1鏡像化ライブラリ産物を首尾よく生成する。
【0260】
実施例8
鏡像化ライブラリ構築物の拡張による配列決定
この実施例は、拡張による鏡像化ライブラリ配列決定(SBX)の概念実証を示す。この実験における出発材料は、実施例7に記載のHIV2 60merライブラリ断片の周りに構築されたM1産物であった。M2産物を生成するための伸長条件は以下の通りであった。Thermopol反応緩衝液中約7.5pmol M1産物、0.2mM dNTPおよび0.16U/μL Ventポリメラーゼ。反応物 37.3μLを95℃で2分間インキュベートし、次いで95℃で15秒間および72℃で6秒間の25サイクルに供した。M3産物を生成するためのM2消化条件は以下の通りであった。伸長反応物 36.68μLを、ラムダエキソ緩衝液中0.26U/μL ラムダエキソヌクレアーゼで処理した。反応を37℃で5分間行い、次いで、熱不活性化して、M3鏡像化ライブラリ構築物を生成した。
【0261】
M3産物のXpandomerコピーの生成を固体合成によって行った。最初の工程として、
図27に示すように、M3消化産物をマイクロ流体チップにハイブリダイズさせた。この実験では、M3 YADのトップアームにハイブリダイズするように設計されたE52オリゴヌクレオチドのクリック結合によってチップをプライミングした。E52オリゴヌクレオチドは、
図27の矢印によって示されるように、M3構築物のトップ鎖のコピーを合成するためのプライマーを提供する。M3消化産物をチップにハイブリダイズさせ、Xpandomer伸長のための鋳型を作製するために、200mM NH
4OAc、pH6.62、2% PEG8Kおよび0.25M 尿素で構成されるハイブリダイゼーション緩衝液中で、消化反応物 42.75μLを、10pmol E6オリゴヌクレオチド(YADのボトム鎖アームにハイブリダイズし、M3構築物のボトム鎖のコピーを合成するためのプライマーを提供するように設計されている)および10pmol キャップオリゴヌクレオチド(M3三つ又アダプターにハイブリダイズし、M3ライブラリ断片の各コピーの末端キャッピングのための遊離5’三リン酸を提供するように設計されている)と混合した。ハイブリダイゼーション反応物 50μLを95℃で15秒間インキュベートし、次いで、65℃に加温したチップに添加した。次いで、チップを37℃にし、5分間インキュベートした。
【0262】
鏡像化ライブラリのワークフローからの試料を示す代表的なゲルを
図28に示す。ゲルのレーン1~3は、精製されたM1産物(それぞれ0.5、0.1、および、0.15pmolのM1)の参照試料を示す。レーン4は、M2産物を生成する伸長反応の1.3%を表し、レーン5は、M3産物を生成する消化反応の1.2%を表す。レーン6は、ハイブ
リダイゼーション後にチップ上に保持されたM3材料の5%を表す。重要なことに、消化反応中に二次産物が存在するにもかかわらず、完全なM3産物のみがチップ上に保持された。
【0263】
増殖による配列決定のために、Xpandomer合成およびプロセシングの全ての工程をマイクロ流体チップ上で実行した。Xpandomer伸長条件は、以下の通りであった。6% NMP、1:4のモル比のAZ、8~8対AZ、43~43 PEM、0.25M 尿素、0.5M ベタイン、80μM XNTP、SSB 10μg、およびC4760ポリメラーゼを、42℃で30分間。伸長後、チップを洗浄した。次いで、チップを7.5M DCl 200μLで23℃で30分間処理することによって、Xpandomerを切断した。次いで、チップを中和し、洗浄した。次いで、125mM 無水コハク酸 300μLを添加し、23℃で5分間インキュベートすることによって、Xpandomerを修飾した。洗浄後、Xpandomerをチップから光切断し(15秒間のUV処理)、100μM NaPO
4、15% ACNおよび5% DMSOを含有する溶液 100μLで溶出した。Xpandomer産物のナノポア配列決定を、実施例2に記載されるように行った。この試料からの代表的なナノポアトレースを
図29に示す。トレースは、HIV2ライブラリ断片(配列番号16)の配列を反映する2つの同一の配列リード、「リード1」および「リード2」の一部を示す。リードは、図では「ミラー」と呼ばれる、キャップオリゴ構造によって生成される信号によって分離される。
【0264】
実施例9
耐酸性磁気ビーズ上の末端キャッピングを用いた固体Xpandomer合成
この実施例は、ビーズ上のXpandomerの固体合成が、溶液中での合成と少なくとも同程度に効率的であることを実証する。4つの異なるXpandomer合成反応を行った。1)溶液中合成(伸長オリゴヌクレオチド上の蛍光SIMA色素);2)末端キャッピングなしのビーズ上合成(伸長オリゴヌクレオチド上の色素);3)末端キャッピングによるオンビーズ合成(末端キャップ末端オリゴヌクレオチド上の色素);4)末端キャップの代わりにブロッカーオリゴヌクレオチドを用いたオンビーズ合成。この実験で使用した伸長オリゴヌクレオチドは、以下の配列を有していた。5’[アジド]D
10[PC-スペーサー]L
25Z
6[TCATAAGACGAACGGA(配列番号4)]3’、(式中、「PC」は、光切断性スペーサーを表す。;「D」は、PEG6スペーサーを表す。「L」は、C2スペーサーを表す。「Z」は、C12スペーサーを示す)。本明細書および
図5を参照して考察するように、ビーズをアルキン基で官能化し、伸長オリゴヌクレオチドに共有結合させた。4pmolのオンビーズ伸長オリゴヌクレオチドを4pmolの100mer鋳型DNA+/-末端キャップオリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。反応3に含まれる末端キャップは、以下の配列を有していた。3’ ddCTPRK[GCGTTAGGTCCCAGTTTTAC(配列番号17)]W 5’および反応4に含まれるブロッカーオリゴヌクレオチドは、以下の配列を有していた。3’ RK[GCGTTAGGTCCCAGTGTTTTAC(配列番号18)]×5’、式中、「R」は、アミダイトを表し、「K」は、Gクランプを表し、「W」は、SIMA色素を表し、「X」は、PEG3を表す。鋳型DNAに対して2倍モル過剰のキャップまたはブロッカーオリゴを使用した。全ての伸長反応は、以下を含んでいた。50mM Tris-HCl、200mM NH
4OAc、20% PEG、1M 尿素(反応4については0.25M)、5% NMS、10mM PEM、0.26μg/ul DPO4ポリメラーゼ変異体、1.6mM MnCl
2、100μM dXTPおよび300μM ポリリン酸。反応3および4には0.02% Tweenも含まれ、反応4には0.5M ベタインも含まれていた。伸長反応を37℃で60分間行い、
図30に示すように、伸長産物をゲル電気泳動によって分析した。図から分かるように、オンビーズ伸長(レーン2)は、溶液中伸長(レーン1)と同程度に効率的である。さらに、末端キャッピングオンビーズ(レーン3、末端キャップ上の色素)も非常に効率的である。
【0265】
実施例10
耐酸性磁気ビーズ上での固体Xpandomerの合成およびプロセシング
この実施例は、Xpandomerの効率的なオンビーズ合成およびプロセシングを実証する。プライマー伸長反応後、Xpandomer産物を酸処理によって処理してホスホルアミデート結合を切断し、拡張したポリマーを生成した。拡張産物を光切断によってビーズから放出し、ゲル電気泳動によって分析した。
【0266】
ビーズ官能化および伸長オリゴヌクレオチド連結を実施例9に記載のように行った。鋳型DNAを、1:1のモル比(それぞれ4pmol)で伸長オリゴヌクレオチドにハイブリダイズさせた。伸長反応は、以下を含んでいた。50mM Tris-HCl、200mM NH
4OAc、50mM TMACl、50mM GuCl、20% PEG、0.1M 尿素、6% NMP、15mM PEM、0.26μg/ul DPO4ポリメラーゼ変異体、1.4mM MnCl
2、100μM dXTP、0.05μg/μl Kod一本鎖結合タンパク質、0.02% SDS、および300μMポリリン酸。伸長反応を37℃で60分間行った。次いで、試料を緩衝液B(100mM HEPES、100mM NaHPO
4、5% Triton、および15% DMF)で洗浄し、プロテイナーゼKで55℃で5分間処理し、緩衝液Bで再び洗浄した。
図31に示すように、試料を7.5M DCl/1% Tritonで酸切断し、緩衝液Bで中和し、緩衝液B中の無水コハク酸で修飾した。次いで、試料を緩衝液E(40% ACN)で洗浄し、続いて光切断(UV光への1’曝露)し、放出されたXpandomer産物を回収し、ゲル電気泳動によって分析した。レーン1は、溶液中で合成および処理されたXpandomer産物を表し、レーン2~4は、溶出緩衝液(レーン2の100mM PI;レーン3内の100mM GuHCl;レーン4の100mM HEPES)に含まれる異なる添加剤を含む耐酸性磁気ビーズ上で合成および処理されたXpandomer産物を表す。観察され得るように、オンビーズワークフローは、Xpandomerバンドがより密であるため、溶液中ワークフローよりも改善された結果を示し、試料が全長産物について濃縮されていることを示している。
【0267】
2019年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/808,768号および2019年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/826,805号を含むがこれらに限定されない、本明細書で言及されたおよび/または出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物は全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような文献は、例えば、本明細書に記載された発明に関連して使用され得る刊行物に記載された材料および方法論を説明および開示する目的で、参照により組み込まれ得る。
「XNTP」は、鋳型依存性酵素重合と適合する拡張可能な5’三リン酸修飾ヌクレオチド基質である。XNTPは、2つの異なる機能的構成要素を有する。すなわち、核酸塩基5’-トリホスホルアミデートと、各ヌクレオシドトリホスホルアミデート内で、ホスホルアミデート結合のヌクレオチド内切断による制御された拡張を可能にする位置に結合しているつなぎ鎖、である。例示的なXNTPおよびそれを作製する方法は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願人が公開したPCT出願番号国際公開第2016/081871号に記載されている。