(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026204
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】癌を治療する方法及びT細胞リダイレクト治療薬の有効性を向上させる方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240220BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/454 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240220BHJP
A61K 31/69 20060101ALI20240220BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240220BHJP
A61K 38/06 20060101ALI20240220BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240220BHJP
A61K 47/55 20170101ALI20240220BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240220BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20240220BHJP
【FI】
A61K39/395 T
A61K31/198 ZNA
A61K31/454
A61K31/573
A61K31/69
A61K35/28
A61K38/06
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61K45/00
A61K47/55
A61K47/68
A61P35/00
A61P35/02
A61P43/00 121
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201165
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2020564662の分割
【原出願日】2019-05-15
(31)【優先権主張番号】62/672,222
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/736,804
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/842,080
(32)【優先日】2019-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(71)【出願人】
【識別番号】520444177
【氏名又は名称】スティッチング ヴィユーエムシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】アダムス,ホマー
(72)【発明者】
【氏名】ゴーデット,フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】フレリックス,クリス
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ ドンク,ニールス
(72)【発明者】
【氏名】フェルクレイ,クリスティ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の抗癌治療薬による治療に対して、再発又は難治性である、血液悪性腫瘍、多発性骨髄腫等の癌を治療するための方法を提供する。
【解決手段】治療有効量のBCMA×CD3二重特異性抗体を患者に投与する方法とする。前記BCMA×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、前記方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において癌を治療する方法であって、治療有効量のBCMA×CD3二重特異性抗
体を前記対象に投与して、前記癌を治療することを含み、前記対象が、以前の抗癌治療薬
による治療に対して再発又は難治性である、方法。
【請求項2】
前記BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号23のHCDR1、配列番号24の
HCDR2、配列番号25のHCDR3、配列番号26のLCDR1、配列番号27のL
CDR2、及び配列番号28のLCDR3を含むBCMA結合ドメイン、並びに配列番号
33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号3
6のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD
3結合ドメインを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項3】
前記BCMA結合ドメインが、配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含み、前
記CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、請求項2
又は3に記載の方法。
【請求項4】
前記BCMA×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、HC1の40
5位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405位にロイシン
及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、請求項1~
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記BCMA×CD3二重特異性抗体が、前記HC1及び前記HC2の両方の228位
にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む、請求項4に記載
の方法。
【請求項6】
前記BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号31のHC1、配列番号32のLC
1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、請求項1~5のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項7】
前記癌が、血液悪性腫瘍である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記血液悪性腫瘍が、多発性骨髄腫である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記高リスク多発性骨髄腫を有する前記対象が、
a)t(4;14)(p16;q32)、
b)t(14;16)(q32;q23);
c)del17p、
d)1qAmp、
e)t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
f)t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
g)t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
h)t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)及びd
el17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有す
る、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミド、カルフィ
ルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマイド、又はこ
れらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である、請求項1~10のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象が、前記抗CD38抗体による治療に対して再発性である、請求項11に記載
の方法。
【請求項13】
前記抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号
8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号1
1のLCDR3を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項1~14のいずれか一項
に記載の方法。
【請求項16】
前記抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む、請求項1
~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記抗CD38抗体が、
a)配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
b)配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
c)配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
d)配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、請求項1~12のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記対象が、ヒトである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、請求項1~19のいず
れか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射線、手術、化
学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、請求項20に記載
の方法。
【請求項22】
前記1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマリドミド、ボ
ルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、プレドニ
ゾン、若しくはデキサメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択され
る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
対象において癌を治療する方法であって、治療有効量のGPRC5D×CD3二重特異
性抗体を前記対象に投与して、前記癌を治療することを含み、前記対象が、以前の抗癌治
療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法。
【請求項24】
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、配列番号43のHCDR1、配列番号4
4のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号47
のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに
配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配
列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を
含むCD3結合ドメインを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記GPRC5D結合ドメインが、配列番号49のVH及び配列番号50のVLを含み
、前記CD3結合ドメインが配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、請求項
23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、HC1の
405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405位にロイ
シン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、請求項
23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、前記HC1及び前記HC2の両方の22
8位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む、請求項26
に記載の方法。
【請求項28】
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、配列番号51のHC1、配列番号52の
LC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、請求項23~27の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、請求項23~28のいずれか一項に記載
の方法。
【請求項30】
前記癌が、多発性骨髄腫、リンパ腫、黒色腫、形質細胞白血病、乳癌、子宮内膜癌、卵
巣癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、結腸癌、食道癌、膀胱癌、又は子宮頸
癌である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記高リスク多発性骨髄腫を有する前記対象が、
a)t(4;14)(p16;q32)、
b)t(14;16)(q32;q23)、
c)del17p、
d)1qAmp、
e)t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、
f)t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
g)t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
h)t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)及びd
el17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有す
る、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミド、カルフィ
ルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマイド、又はこ
れらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である、請求項23~32の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、前記抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性である、請求項3
3に記載の方法。
【請求項35】
前記抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号
8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号1
1のLCDR3を含む、請求項23~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、請求項23~
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項23~36のいずれか一
項に記載の方法。
【請求項38】
前記抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む、請求項2
3~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記抗CD38抗体が、
a)配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
b)配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
c)配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
d)配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、請求項23~34のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、ヒトである、請求項23~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、請求項23~41のい
ずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射線、手術、化
学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、請求項42に記載
の方法。
【請求項44】
前記1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマリドミド、ボ
ルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、デキサメ
タゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、プレドニゾ
ン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、バ
フェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ、シタラビン、ダウノ
ルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、デシタビン、クラドリ
ビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、コルチコステロイド、
メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化ヒ素、及び全トランス
型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項42
に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
癌を治療する方法及びT細胞リダイレクト治療薬の有効性を向上させる方法が開示され
る。
【背景技術】
【0002】
T細胞リダイレクト殺傷は、多くの治療領域において望ましい作用様式である。一般的
には、T細胞リダイレクト分子は、一方の部位が標的細胞上の表面抗原に結合し、他方の
部位がT細胞表面抗原に結合する、少なくとも2つの抗原結合部位を有するよう操作され
る。T細胞表面抗原の中でも、TCRタンパク質複合体のヒトCD3イプシロンサブユニ
ットは、T細胞殺傷をリダイレクトするように最も標的化されている。様々な二重特異性
抗体形式が、前臨床研究及び臨床研究の両方においてT細胞リダイレクトを媒介すること
が示されている(May C et al.,Biochem Pharmacol,8
4:1105-12,2012、Frankel S R&Baeuerle P A,
Curr Opin Chem Biol,17(3):385-92,2013)。
【0003】
腫瘍は、免疫抑制腫瘍微小環境(tumor microenvironment、TME)を作製することに
よって免疫認識を回避する。TMEでは、持続的な抗原及び炎症の条件下で、T細胞は、
消耗されるか、又は機能不全になり、それらのエフェクター機能及び増殖能力を漸進的に
失う。治療薬媒介性T細胞リダイレクト殺傷に関与する利用可能なT細胞の損なわれた機
能及び数は、治療薬の抗腫瘍有効性を損なう場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、T細胞リダイレクト殺傷を媒介する治療薬の最適な有効性のために、T細
胞機能性を向上させる必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量の抗CD38抗体
及びT細胞リダイレクト治療薬を対象に投与して、癌を治療することを含む、方法を提供
する。
【0006】
本開示はまた、対象において腫瘍細胞を殺傷する方法であって、対象に、抗CD38抗
体、及び腫瘍細胞を殺傷するのに十分な時間にわたって腫瘍細胞上の抗原に結合するT細
胞リダイレクト治療薬を投与することを含む、方法も提供する。
【0007】
本開示は、癌を有する対象におけるT細胞リダイレクト治療薬の有効性を向上させる方
法であって、対象に抗CD38抗体を投与することを含む、方法を提供する。
【0008】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療することも含む、
方法を提供する。
【0009】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、BCMA×
CD3二重特異性抗体の投与前に抗CD38抗体で治療されている、方法も提供する。
【0010】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、以前の抗癌
治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も提供する。
【0011】
本開示はまた、対象において多発性骨髄腫を治療する方法であって、治療に有効な量の
BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体を対象に投与して、多発性骨髄腫を
治療することを含む、方法も提供する。
【0012】
本開示はまた、対象において多発性骨髄腫を治療する方法であって、治療に有効な量の
BCMA×CD3二重特異性抗体を対象に投与して、多発性骨髄腫を治療することを含み
、対象が、BCMA×CD3二重特異性抗体の投与前に抗CD38抗体で治療されている
、方法も提供する。
【0013】
本開示はまた、対象において多発性骨髄腫を治療する方法であって、治療に有効な量の
BCMA×CD3二重特異性抗体を対象に投与して、多発性骨髄腫を治療することを含み
、対象が、以前の多発性骨髄腫治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も
提供する。
【0014】
本開示はまた、配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含むBCMA結合ドメイ
ン、並びに配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む
BCMA×CD3二重特異性抗体と、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む抗C
D38抗体とを含む、医薬組成物も提供する。
【0015】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、GPRC5Dに結合する治療
に有効な量のT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療
することを含む、方法も提供する。
【0016】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のGPRC5
D×CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、以前の
抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も提供する。
【0017】
本開示はまた、配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45
のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号4
8のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配
列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列
番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメインを含む
GPRC5D×CD3二重特異性抗体と、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCD
R2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、
及び配列番号11のLCDR3を含む抗CD38抗体とを含む、医薬組み合わせも提供す
る。
【0018】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、CD19に結合する治療に有
効な量のT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療する
ことを含む、方法も提供する。
【0019】
本開示はまた、癌を有する対象におけるCD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬
の有効性を向上させる方法であって、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬の投
与前に対象に抗CD38抗体を投与することを含む、方法も提供する。
【0020】
本開示はまた、配列番号53のブリナツモマブを含むCD19×CD3二重特異性抗体
と、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号8のHCDR3、配列
番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号11のLCDR3を含む
抗CD38抗体とを含む、医薬組み合わせも提供する。
【0021】
本開示はまた、本開示の医薬組成物を含むキットも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】多発性骨髄腫(multiple myeloma、MM)細胞株RPMI8226のJNJ-957媒介性溶解を示す。健康なドナーの末梢血単核球(peripheral blood mononuclear cell、PB MNC)をエフェクター細胞として使用した。
【
図2】多発性骨髄腫(MM)細胞株UM9のJNJ-957媒介性溶解を示す。健康なドナーの末梢血単核球(PB MNC)をエフェクター細胞として使用した。
【
図3】多発性骨髄腫(MM)細胞株U226のJNJ-957媒介性溶解を示す。健康なドナーの末梢血単核球(PB MNC)をエフェクター細胞として使用した。
【
図4】多発性骨髄腫(MM)細胞株MM1のJNJ-957媒介性溶解を示す。健康なドナーの末梢血単核球(PB MNC)をエフェクター細胞として使用した。
【
図5】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、CD25(活性化)の表面発現の増加によって決定されるCD4
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図6】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、CD107a(脱顆粒)の表面発現の増加によって決定されるCD4
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図7】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、CD25及びCD107a二重陽性CD4+T細胞の割合によって決定されるCD4
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図8】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、CD25の表面発現の増加(活性化)によって決定されるCD8
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図9】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介MM細胞溶解に、CD107a(脱顆粒)の表面発現の増加によって決定されるCD8
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図10】健康なドナーのPB MNCと共にインキュベートしたRPMI8226細胞の代表的な例(n=2)では、JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、CD25及びCD107a二重陽性CD4+T細胞の割合の増加によって決定されるCD8
+T細胞活性化及び脱顆粒が伴うことを示す。
【
図11】新たに診断された多発性骨髄腫(newly diagnosed multiple myeloma、NDMM)及びダラツムマブナイーブ再発/難治性MM(relapsed/refractory MM、RRMM)患者のMM細胞のインビトロダラツムマブ媒介性溶解を示す。ダラツムマブ難治性RRMM患者の多発性骨髄腫細胞は、ダラツムマブ媒介性溶解に対して耐性であった
***
*P<0.0001
【
図12】新たに診断された多発性骨髄腫患者(NDMM、n=8)から得た完全自家骨髄(bone marrow、BM)MNCにおける、血漿細胞、T細胞、及びNK細胞のJNJ-957媒介性溶解の用量応答を示す。溶解の割合は、図に示されるように、様々な抗体濃度(0.0064~4.0μg/mL)で測定した。円(上部線):血漿細胞、正方形(中央線):T細胞、三角形(底部線):NK細胞。
【
図13】レナリドミド治療に対して難治性である多発性骨髄腫(MM)患者(n=15)から得た完全自家骨髄(BM)MNCにおける、血漿、T細胞、及びNK細胞のJNJ-957媒介性溶解の用量応答を示す。溶解の割合は、図に示されるように、様々な抗体濃度(0.0064~4.0μg/mL)で測定した。円(上部線):血漿細胞、正方形(中央線):T細胞、三角形(底部線):NK細胞。
【
図14】レナリドミド及びダラツムマブによる治療に対して難治性であるMM患者(n=11)から得た完全自家骨髄(BM)MNCにおける、血漿、T細胞、及びNK細胞のJNJ-957媒介性溶解の用量応答を示す。溶解の割合は、図に示されるように、様々な抗体濃度(0.0064~4.0μg/mL)で測定した。円(上部線):血漿細胞、正方形(中央線):T細胞、三角形(底部線):NK細胞。
【
図15】JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(daratumumab refractory RRMM、RRMMダラR)患者のBMサンプル中の(CD25表面発現の増加によって評価される)CD4
+T細胞の活性化が伴うことを示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。
【
図16】JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(RRMMダラR)患者のBMサンプル中の(CD107a表面発現の増加によって評価される)CD4
+T細胞の脱顆粒が伴うことを示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。
【
図17】示される濃度のJNJ-957で治療したNDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(RRMMダラR)患者のBMサンプル中のCD4
+T細胞の割合としての二重陽性CD25
+CD107a
+細胞を示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。二重陽性:CD25及びCD107a二重陽性CD4
+T細胞。
【
図18】JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(RRMMダラR)患者のBMサンプル中の(CD25表面発現の増加によって評価される)CD8
+T細胞の活性化が伴うことを示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。
【
図19】JNJ-957媒介性MM細胞溶解に、NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(RRMMダラR)患者のBMサンプル中の(CD107a表面発現の増加によって評価される)CD8
+T細胞の脱顆粒が伴うことを示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。
【
図20】示される濃度のJNJ-957で治療したNDMM、ダラツムマブナイーブRRMM(RRMM)、及びダラツムマブ難治性RRMM(RRMMダラR)患者のBMサンプル中のCD8
+T細胞の割合としての二重陽性CD25
+CD107a
+細胞を示す。3930:アイソタイプ対照、BC3B4:BCMA×null二重特異性抗体、7008:null×CD3二重特異性抗体。二重陽性:CD25及びCD107a二重陽性CD8
+T細胞。
【
図21】NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブ難治性RRMM対象におけるMM細胞(平均MFI±SEM)上のBCMA発現レベルを示す。示される群間のP値を、マン・ホイットニーU検定を使用して算出した。
*P<0.05、ns:有意差なし。
【
図22】NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブ難治性RRMM対象におけるMM細胞(平均MFI±SEM)上のPD-L1発現レベルを示す。示される群間のP値を、マン・ホイットニーU検定を使用して算出した。
*P<0.05、ns:有意差なし。
【
図23】NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブ難治性RRMMのBM MNCにおけるTregのベースライン割合を示す。
**p<0.01、ns:有意差なし。
【
図24】NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブ難治性RRMMのBM MNCにおける(HLA-DR陽性によって評価される)活性化T細胞のベースライン割合を示す。
**p<0.01、ns:有意差なし。
【
図25】NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブ難治性RRMMのBM MNCにおける様々なT細胞サブセットのベースライン割合を示す。
*p<0.05、
**p<0.01、Ns:有意差なし。TEMRA:CD45RA
+CCR7-T細胞、EM:エフェクターメモリー、CM:セントラルメモリー、N:ナイーブT細胞。
【
図26】自家BM MNCによって媒介されるNDMM患者の多発性骨髄腫細胞のJNJ-957媒介性溶解を示す。サンプルを、ベースラインでのTregの頻度について二分(低≦50パーセンタイル、高>50パーセンタイル)した。Ns:有意差なし。
【
図27】自家BM MNCによって媒介されるダラツムマブナイーブRRMM患者の多発性骨髄腫細胞のJNJ-957媒介性溶解を示す。サンプルを、ベースラインでのTregの頻度について二分(低≦50パーセンタイル、高>50パーセンタイル)した。
*p<0.05、
**p<0.01、Ns:有意差なし。
【
図28】自家BM MNCによって媒介されるダラツムマブ難治性RRMM患者の多発性骨髄腫細胞のJNJ-957媒介性溶解を示す。サンプルを、ベースラインでのTregの頻度について二分(低≦50パーセンタイル、高>50パーセンタイル)した。
*p<0.05、ns:有意差なし。
【
図29】48時間のインキュベーション後の、NDMM(n=9)、ダラツムマブナイーブRRMM(n=18)、及びダラツムマブ難治性RRMM(n=13)患者のBMサンプルのMM細胞のJNJ-957媒介性溶解を示す。データは、平均±SEMとして示し、P値を、スチューデントt検定を使用して算出した。
**P<0.01。
【
図30】再発/難治性多発性骨髄腫患者(RRMM)(n=8)から得た骨髄(BM)サンプルのMM細胞のJNJ-957媒介性溶解が、ダラツムマブ治療の開始前(「ダラナイーブ」)の同じ患者のサンプルと比較したときに、ダラツムマブを受けた(「ダラ曝露」)患者のサンプル中で増大したことを示す。データは、平均値±SEMとして示す。P値を、対応のあるt検定を使用して算出した。ns:有意差なし。
*P<0.05、
**P<0.01。
【
図31】ダラツムマブの開始前(ダラ前)及びダラツムマブ難治性疾患の発症時(ダラ曝露)のRRMM患者の逐次BM吸引液中のTregの割合を示す。ns:有意差なし。
【
図32】ダラツムマブの開始前(ダラ前)及びダラツムマブ難治性疾患の発症時(ダラ曝露)のRRMM患者の逐次BM吸引液中のCD4
+細胞の割合を示す。ns:有意差なし。
【
図33】ダラツムマブの開始前(ダラ前)及びダラツムマブ難治性疾患の発症時(ダラ曝露)のRRMM患者の逐次BM吸引液中のCD8
+T細胞の割合を示す。
【
図34】患者由来のPB MNCをエフェクター細胞として使用する、RPMI8226多発性骨髄腫細胞のJNJ-957媒介性溶解が、ダラツムマブ治療の開始前(「PBMNCダラナイーブ」)の同じ患者のサンプルと比較したときに、ダラツムマブを受けた患者のPB MNC(「PBMNCダラ中」)によって増大したことを示す(n=5)。データは、平均値±SEMとして示す。P値を、対応のあるt検定を使用して算出した。ns:有意差なし。
*P<0.05。
【
図35】ダラツムマブナイーブ(ダラ前)及びダラツムマブ難治性(ダラ中)RRMM患者のPB-MNCサンプル中のTregの割合を示す。
【
図36】ダラツムマブナイーブ(ダラ前)及びダラツムマブ難治性(ダラ中)RRMM患者のPB-MNCサンプル中のCD4
+T細胞の割合を示す。ns:有意差なし。
【
図37】ダラツムマブナイーブ(ダラ前)及びダラツムマブ難治性(ダラ中)RRMM患者のPB-MNCサンプル中のCD8
+T細胞の割合を示す。ns:有意差なし。
【
図38】ダラツムマブの添加が、JNJ-957媒介性MM細胞溶解を増大したことを示す。NDMM(n=8)患者のBM単核細胞(MNC)を、JNJ-957(0.032~0.8μg/mL)単独で、又は10μg/mLのダラツムマブと組み合わせて、48時間治療した。JNJ-957及びダラツムマブによるMM細胞の観察(Obs)溶解レベルを、予想(Exp)溶解レベルと比較し、これらは、方法に示される相加効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定して算出した。黒色バーは、群平均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデントt検定を使用して算出した。ns:有意差なし。
【
図39】ダラツムマブの添加が、JNJ-957媒介性MM細胞溶解を増大したことを示す。ダラツムマブナイーブRRMM(n=17)患者のBM MNCを、JNJ-957(0.032~0.8μg/mL)単独で、又は10μg/mLのダラツムマブと組み合わせて、48時間治療した。JNJ-957及びダラツムマブによるMM細胞の観察(Obs)溶解レベルを、予想(Exp)溶解レベルと比較し、これらは、方法に示される相加効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定して算出した。黒色バーは、群平均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデントt検定を使用して算出した。ns:有意差なし。
【
図40】ダラツムマブの添加が、JNJ-957媒介性MM細胞溶解を増大したことを示す。ダラツムマブ難治性RRMM(n=14)患者のBM MNCを、JNJ-957(0.032~0.8μg/mL)単独で、又は10μg/mLのダラツムマブと組み合わせて、48時間治療した。JNJ-957及びダラツムマブによるMM細胞の観察(O)溶解レベルを、予想(E)溶解レベルと比較し、これらは、方法に示される相加効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定して算出した。黒色バーは、群平均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデントt検定を使用して算出した。JNJ-957は、図面ではJNJ-7957と称される。Dara:ダラツムマブ。ns:有意差なし。
【
図41】11人のRRMM患者の逐次PBサンプルをエフェクター細胞として使用する、ラージ細胞株のブリナツモマブ媒介性溶解を示す(10:1のE:T)、これらは、ダラツムマブ治療の開始前(黒色、底部線)及びダラツムマブ治療中(灰色、上部線)に直接得た。治療の持続時間中央値は、7ヶ月(2~14ヶ月の範囲)。これらのPB-MNCの存在下で、ラージ細胞をブリナツモマブ(0.01~μ10g/mL)と共に48時間インキュベートした後に、ブリナツモモアブ(Blinatumomoab)系細胞傷害アッセイを実行した。データは、平均±SEMを表し、実験は、二連で実行した。示される群間の統計的有意性(P値)を、非線形回帰分析を使用して算出した。
【
図42】6人の原発性血漿白血病(pPCL)患者から得たBM-MNC細胞の血漿、T細胞、及びNK細胞のJNJ-957媒介性溶解の用量応答を示す。溶解の割合は、図に示されるように、様々な抗体濃度(0.0064~4.0μg/mL)で測定した。上部線:血漿細胞、下部線:T細胞及びNK細胞の重複ライン。JNJ-957は、図面ではJNJ-7957と称される。
【
図43】11人のRRMM患者の逐次PBサンプルをエフェクター細胞として使用する、MM細胞株の抗GPRC5D×CD3抗体媒介性溶解を示す(10:1のE:T)、これらは、ダラツムマブ治療の開始前(底部線)及びダラツムマブ治療中(上部線)に直接得た。治療の持続時間中央値は、7ヶ月(2~14ヶ月の範囲)。これらのPB-MNCの存在下で、ラージ細胞をブリナツモマブ(0.01~10μg/mL)と共に48時間インキュベートした後に、ブリナツモマブ系細胞傷害アッセイを実行した。データは、平均±SEMを表し、実験は、二連で実行した。
【
図44】ダラツムマブの添加が、抗GPRC5D×CD3二重特異性抗体(JNJ-7564)媒介性MM細胞溶解に対して相加的であったことを示す。ダラツムマブナイーブRRMM(n=17)患者のBM MNCを、抗GPRC5D×CD3二重特異性抗体(0.00128~0.8μg/mL)単独で、又は0.1μg/mLのダラツムマブと組み合わせて、48時間治療した。抗GPRC5D×CD3二重特異性抗体及びダラツムマブによるMM細胞の観察(O)溶解レベルを、予想(E)溶解レベルと比較し、これらは、方法に示される相加効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定して算出した。黒色バーは、群平均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデントt検定を使用して算出した。ns:有意差なし。Dara:ダラツムマブ。
【発明を実施するための形態】
【0023】
開示される方法は、本開示の一部を形成する、添付の図面に関連してなされる以下の詳
細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。開示される方法は、
本明細書に記載及び/又は図示の特定の方法に限定されないこと、更に、本明細書で使用
される用語は、特定の実施形態を例によって説明することのみを目的とし、請求項に記載
の方法に限定することを意図しないことを理解されたい。本明細書に引用する全ての特許
、公開された特許出願及び刊行物は、参照によって恰もその全体が本明細書に記載されて
いるものと同様にして組み込まれる。
【0024】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数を含むも
のとする。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲を通して本明細書の諸態様に関する様々な用語が使用され
る。別途記載のない限り、そのような用語には、当該技術分野におけるそれらの通常の意
味が与えられるものとする。その他の具体的に定義される用語は、本明細書に提供される
定義と一致する様式で解釈されるものとする。
【0026】
「約」は、数値範囲、カットオフ、又は特定の値を参照して使用するとき、当業者によ
って決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、そ
の値が測定又は決定される方法、すなわち測定システムの制限事項に部分的に依存する。
アッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明
示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は5%ま
での範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0027】
「抗体」は、広義が意図され、マウス、ヒト、ヒト化、及びキメラモノクローナル抗体
を含むモノクローナル抗体、抗原結合断片、二重特異性、三重特異性、四重特異性などの
多重特異性抗体、二量体の、四量体の、若しくは多量体の抗体、一本鎖抗体、抗体ドメイ
ン、及び必要とされる特異性の抗原結合部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾
された構造を含む、免疫グロブリン分子を含む。「完全長抗体」は、ジスルフィド結合に
より相互接続された、2本の重鎖(heavy chain、HC)及び2本の軽鎖(light chain、
LC)、並びにこれらの多量体(例えばIgM)からなる。各重鎖は、重鎖可変領域(he
avy chain variable region、VH)、並びに重鎖定常領域(ドメインCH1、ヒンジ、
CH2、及びCH3からなる)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(light chain
variable region、VL)及び軽鎖定常領域(constant region、CL)から構成される。
VH領域及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)が散在してお
り相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼称される超可変
領域に更に分類され得る。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端に向かって
以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4で配
置された、3つのCDR及び4つのFRセグメントで構成される。免疫グロブリンは、重
鎖定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、5つの主要なクラス、すなわちIgA、IgD
、IgE、IgG、及びIgMに割り当てられ得る。IgA及びIgGは、アイソタイプ
のIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4として更に細分類さ
れる。どのような脊椎動物種の抗体軽鎖も、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて
、2つの明確に異なるタイプ、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)のうちの一方に
割り当てることができる。
【0028】
「抗原結合断片」又は「抗原結合ドメイン」とは、抗原に結合する免疫グロブリン分子
の一部を意味する。抗原結合断片は合成ポリペプチド、酵素により入手可能なポリペプチ
ド、又は遺伝子組み換えされたポリペプチドであってよく、VH、VL、VH及びVL、
Fab、F(ab’)2、Fd及びFv断片、1つのVHドメイン又は1つのVLドメイ
ンからなるドメイン抗体(domain antibody、dAb)、サメ可変性IgNARドメイン
、ラクダ化VHドメイン、FR3-CDR3-FR4部分などの、抗体のCDRを模倣し
たアミノ酸残基からなる最小の認識単位、HCDR1、HCDR2、及び/又はHCDR
3、並びにLCDR1、LCDR2、及び/又はLCDR3が挙げられる。VH及びVL
ドメインは互いに、合成リンカーを介して結合し、様々なタイプの一本鎖抗体設計を形成
することができ、VH及びVLドメインが、個別の一本鎖抗体構築物により発現される場
合では、VH/VLドメインが分子内、又は分子間で対形成し、一価の抗原結合部位、例
えば一本鎖Fv(single chain Fv、scFv)又はダイアボディを形成することができ
、これらは、例えば国際公開第1998/44001号、同第1988/01649号、
同第1994/13804号、及び同第1992/01047号に記載されている。
【0029】
「BCMA」は、CD269又はTNFRSF17(UniProt Q02223)
としても知られるヒトB細胞成熟抗原を指す。BCMAの細胞外ドメインは、Q0222
3の残基1~54を包含する。ヒトBCMAは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0030】
配列番号2
MLQMAGQCSQNEYFDSLLHACIPCQLRCSSNTPPLTCQR
YCNASVTNSVKGTNAILWTCLGLSLIISLAVFVLMFLLRK
INSEPLKDEFKNTGSGLLGMANIDLEKSRTGDEIILPRGL
EYTVEECTCEDCIKSKPKVDSDHCFPLPAMEEGATILVTT
KTNDYCKSLPAALSATEIEKSISAR
【0031】
「二重特異性」は、2つの異なる抗原、又は同じ抗原中の2つの異なるエピトープに特
異的に結合する抗体を指す。二重特異性抗体は、他の関連抗原、例えば、ヒト又はサル、
例えば、Macaca cynomolgus(カニクイザル、cyno)又はPan
troglodytesなどの、他の種(ホモログ)の同じ抗原に対して交差反応性を有
し得るか、あるいは2つ以上の異なる抗原間で共有されるエピトープに結合し得る。
【0032】
「癌」は、身体における異常細胞の制御されていない成長を特徴とする様々な疾患の広
範な群を指す。制御されていない細胞分裂及び成長は、隣接組織を浸潤する悪性腫瘍の形
成をもたらし、リンパ系又は血流を介して身体の遠位部分にも転移し得る。「癌」又は「
癌組織」は、腫瘍を含み得る。
【0033】
「CD123」は、配列番号57に示されるアミノ酸配列を有するヒトインターロイキ
ン-3受容体サブユニットアルファ(IR3RA)を指す。細胞外ドメイン又はCD12
3は、配列番号57の残基19~305に及ぶ。
【0034】
CD123(配列番号57)
MVLLWLTLLLIALPCLLQTKEDPNPPITNLRMKAKAQQL
TWDLNRNVTDIECVKDADYSMPAVNNSYCQFGAISLCEVT
NYTVRVANPPFSTWILFPENSGKPWAGAENLTCWIHDVDF
LSCSWAVGPGAPADVQYDLYLNVANRRQQYECLHYKTDAQ
GTRIGCRFDDISRLSSGSQSSHILVRGRSAAFGIPCTDKF
VVFSQIEILTPPNMTAKCNKTHSFMHWKMRSHFNRKFRYE
LQIQKRMQPVITEQVRDRTSFQLLNPGTYTVQIRARERVY
EFLSAWSTPQRFECDQEEGANTRAWRTSLLIALGTLLALV
CVFVICRRYLVMQRLFPRIPHMKDPIGDSFQNDKLVVWEA
GKAGLEECLVTEVQVVQKT
【0035】
「CD19」は、配列番号58のアミノ酸配列を有するヒトBリンパ球抗原CD19を
指す。CD19の細胞外ドメインは、配列番号58の残基20~291に及ぶ。
【0036】
CD19(配列番号58)
MPPPRLLFFLLFLTPMEVRPEEPLVVKVEEGDNAVLQCL
KGTSDGPTQQLTWSRESPLKP
FLKLSLGLPGLGIHMRPLAIWLFIFNVSQQMGGFYLCQP
GPPSEKAWQPGWTVNVEGSGE
LFRWNVSDLGGLGCGLKNRSSEGPSSPSGKLMSPKLYVW
AKDRPEIWEGEPPCLPPRDSL
NQSLSQDLTMAPGSTLWLSCGVPPDSVSRGPLSWTHVHP
KGPKSLLSLELKDDRPARDMW
VMETGLLLPRATAQDAGKYYCHRGNLTMSFHLEITARPV
LWHWLLRTGGWKVSAVTLAYL
IFCLCSLVGILHLQRALVLRRKRKRMTDPTRRFFKVTPP
PGSGPQNQYGNVLSLPTPTSG
LGRAQRWAAGLGGTAPSYGNPSSDVQADGALGSRSPPGV
GPEEEEGEGYEEPDSEEDSEF
YENDSNLGQDQLSQDGSGYENPEDEPLGPEDEDSFSNAE
SYENEDEELTQPVARTMDFLS
PHGSAWDPSREATSLGSQSYEDMRGILYAAPQLRSIRGQ
PGPNHEEDADSYENMDNPDGP
DPAWGGGGRMGTWSTR
【0037】
「CD3」は、多分子T細胞受容体(T cell receptor、TCR)複合体の一部として
T細胞上で発現され、2つ又は4つの受容体鎖:CD3イプシロン、CD3デルタ、CD
3ゼータ、及びCD3ガンマの会合から形成されたホモ二量体又はヘテロ二量体からなる
ヒト抗原を指す。ヒトCD3イプシロンは、配列番号3のアミノ酸配列を含む。配列番号
22は、CD3イプシロンの細胞外ドメインを示す。
【0038】
配列番号3
MQSGTHWRVLGLCLLSVGVWGQDGNEEMGGITQTPYKVS
ISGTTVILTCPQYPGSEILWQHNDKNIGGDEDDKNIGSDE
DHLSLKEFSELEQSGYYVCYPRGSKPEDANFYLYLRARVC
ENCMEMDVMSVATIVIVDICITGGLLLLVYYWSKNRKAKA
KPVTRGAGAGGRQRGQNKERPPPVPNPDYEPIRKGQRDLY
SGLNQRRI
【0039】
配列番号22
DGNEEMGGITQTPYKVSISGTTVILTCPQYPGSEILWQH
NDKNIGGDEDDKNIGSDEDHLSLKEFSELEQSGYYVCYPR
GSKPEDANFYLYLRARVCENCMEMD
【0040】
「CD33」は、配列番号97のアミノ酸配列を有する骨髄細胞表面抗原CD33を指
す。CD33の細胞外ドメインは、配列番号97の残基18~259に及ぶ。
【0041】
CD33(配列番号97)
MPLLLLLPLLWAGALAMDPNFWLQVQESVTVQEGLCVLV
PCTFFHPIPYYDKNSPVHGYWFREGAIISRDSPVATNKLD
QEVQEETQGRFRLLGDPSRNNCSLSIVDARRRDNGSYFFR
MERGSTKYSYKSPQLSVHVTDLTHRPKILIPGTLEPGHSK
NLTCSVSWACEQGTPPIFSWLSAAPTSLGPRTTHSSVLII
TPRPQDHGTNLTCQVKFAGAGVTTERTIQLNVTYVPQNPT
TGIFPGDGSGKQETRAGVVHGAIGGAGVTALLALCLCLIF
FIVKTHRRKAARTAVGRNDTHPTTGSASPKHQKKSKLHGP
TETSSCSGAAPTVEMDEELHYASLNFHGMNPSKDTSTEYS
EVRTQ
【0042】
「CD38」は、ヒトCD38タンパク質(UniProt受入番号P28907)(
同義語:ADP-リボシルシクラーゼ1、cADPrヒドロラーゼ1、環状ADP-リボ
ースヒドロラーゼ1)を指す。ヒトCD38は、配列番号1に示されるアミノ酸配列を有
する。CD38は、アミノ酸残基1~21が細胞質ドメインを表し、アミノ酸残基22~
42が膜貫通ドメインを表し、残基43~300が細胞外ドメインを表す、シングルパス
II型膜貫通タンパク質である。
【0043】
配列番号1
MANCEFSPVSGDKPCCRLSRRAQLCLGVSILVLILVVVL
AVVVPRWRQQWSGPGTTKRFPETVLARCVKYTEIHPEMRH
VDCQSVWDAFKGAFISKHPCNITEEDYQPLMKLGTQTVPC
NKILLWSRIKDLAHQFTQVQRDMFTLEDTLLGYLADDLTW
CGEFNTSKINYQSCPDWRKDCSNNPVSVFWKTVSRRFAEA
ACDVVHVMLNGSRSKIFDKNSTFGSVEVHNLQPEKVQTLE
AWVIHGGREDSRDLCQDPTIKELESIISKRNIQFSCKNIY
RPDKFLQCVKNPEDSSCTSEI
【0044】
「CH3領域」又は「CH3ドメイン」は、免疫グロブリンのCH3領域を指す。ヒト
IgG1抗体のCH3領域は、アミノ酸残基341~446に対応する。しかしながら、
CH3領域はまた、本明細書に記載の他の抗体アイソタイプのいずれであってもよい。
【0045】
「キメラ抗原受容体」又は「CAR」は、T細胞上にリガンド又は抗原特異性を移植す
る操作されたT細胞受容体(例えば、ナイーブT細胞セントラルメモリーT細胞、エフェ
クターメモリーT細胞、又はこれらの組み合わせ)を指す。CARはまた、人工T細胞受
容体、キメラT細胞受容体、又はキメラ免疫受容体としても知られている。CARは、抗
原、膜貫通ドメイン、及び少なくとも1つの細胞内ドメインに結合することができる細胞
外ドメインを含む。CAR細胞内ドメインは、細胞内の生物学的プロセスの活性化又は阻
害を引き起こすシグナルを伝達するドメインとして機能することが知られているポリペプ
チドを含む。膜貫通ドメインは、細胞膜に及ぶことが知られており、細胞外ドメイン及び
シグナル伝達ドメインを結合するように機能し得る任意のペプチド又はポリペプチドを含
む。キメラ抗原受容体は、任意で、細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間のリンカーと
して機能するヒンジドメインを含んでもよい。
【0046】
「組み合わせ」は、2つ又は3つ以上の治療薬を、混合物の状態で一緒に、単剤として
併行的に、又は単剤として任意の順序で逐次、対象に投与することを意味する。
【0047】
「相補性決定領域(CDR)」は、抗原に結合する抗体の領域である。CDRは、Ka
bat(Wu et al.J Exp Med132:211-50,1970)(K
abat et al.,Sequences of Proteins of Imm
unological Interest,5th Ed.Public Health
Service,National Institutes of Health,B
ethesda,Md.,1991)、Chothia(Chothia et al.
J Mol Biol 196:901-17,1987)、IMGT(Lefranc
et al.Dev Comp Immunol27:55-77,2003)、及び
AbM(Martin and Thornton J Bmol Biol263:8
00-15,1996)などの様々な描写を使用して定義することができる。様々な記述
と、可変領域の番号付けとの対応が描写されている(例えば、Lefranc et a
l.Dev Comp Immunol27:55-77,2003;Honegger
and Pluckthun,J Mol Biol309:657-70,2001
;International ImMunoGeneTics(IMGT)データベー
ス;ウェブソース、http://www_imgt_orgを参照されたい)。UCL
Business PLCによるabYsisなどの利用可能なプログラムを使用して
、CDRを描写することができる。本明細書で使用する場合、「CDR」、「HCDR1
」、「HCDR2」、「HCDR3」、「LCDR1」、「LCDR2」、及び「LCD
R3」という用語は、本明細書に別途明示的に記載のない限り、上述したKabat、C
hothia、IMGT、又はAbMの方法のいずれかにより定義されるCDRを含む。
【0048】
「を含む」という用語は、「から本質的になる」という用語及び「からなる」という用
語によって包含される例を含むことを意図する。同様に、「から本質的になる」という用
語は、「からなる」という用語によって包含される例を含むことを意図する。文脈上明白
に他の意味に解すべき場合を除き、明細書及び特許請求の範囲を通して、単語「含む(co
mprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的又は排外的な意味とは対照的に、包
括的な意味で、すなわち、「~を含むがこれらに限定されない」という意味で解釈される
べきである。
【0049】
「向上させる」又は「向上した」は、対照分子と比較したときの試験分子の1つ若しく
は2つ以上の機能の向上、又は1つ若しくは2つ以上の対照分子と比較したときの試験分
子の組み合わせの1つ若しくは2つ以上の機能の向上を指す。測定され得る例示的な機能
は、腫瘍細胞殺傷、T細胞活性化、相対的若しくは絶対的T細胞数、Fc媒介性エフェク
ター機能(例えば、ADCC、CDC、及び/若しくはADCP)、又はFcγ受容体(
FcγR)若しくはFcRnへの結合である。「向上した」とは、約10%、20%、3
0%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、若しくはそれ以上
の向上、又は統計学的に有意な向上であることができる。
【0050】
「Fcガンマ受容体」(FcγR)は、周知のFcγRI、FcγRIIa、FcγR
IIb、又はFcγRIIIを指す。活性化FcγRは、FcγRI、FcγRIIa、
及びFcγRIIIを含む。
【0051】
「GPRC5D」は、配列番号98に示されるアミノ酸配列を有するヒトGタンパク質
結合受容体ファミリーCグループ5メンバーDを指す。
【0052】
GPRC5D(配列番号98)
MYKDCIESTGDYFLLCDAEGPWGIILESLAILGIVVTIL
LLLAFLFLMRKIQDCSQWNVL
PTQLLFLLSVLGLFGLAFAFIIELNQQTAPVRYFLFGVL
FALCFSCLLAHASNLVKLVRG
CVSFSWTTILCIAIGCSLLQIIIATEYVTLIMTRGMMFV
NMTPCQLNVDFVVLLVYVLFL
MALTFFVSKATFCGPCENWKQHGRLIFITVLFSIIIWVV
WISMLLRGNPQFQRQPQWDDP
VVCIALVTNAWVFLLLYIVPELCILYRSCRQECPLQGNA
CPVTAYQHSFQVENQELSRAR
DSDGAEEDVALTSYGTPIQPQTVDPTQECFIPQAKLSPQ
QDAGGV
【0053】
「ヒト抗体」とは、ヒト対象に投与されるときに、最小の免疫応答を有するように最適
化された抗体を指す。ヒト抗体の可変領域は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する。ヒト
抗体が定常領域又は定常領域の一部分を含有する場合、当該定常領域もヒト免疫グロブリ
ン配列に由来する。ヒト抗体は、ヒト抗体の可変領域がヒト生殖系列免疫グロブリン又は
再編成された免疫グロブリン遺伝子を使用する系から得られた場合のヒト起源の配列に「
由来する」重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。そのような系の例示的なものには、フ
ァージ上に提示されたヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリ、及びヒト免疫グロブリン遺
伝子座を保有するマウス又はラットなどの遺伝子導入非ヒト動物を含む。「ヒト抗体」は
、典型的には、ヒト抗体及びヒト免疫グロブリン遺伝子座を得るために使用した系の違い
、体細胞変異の導入、又はフレームワーク若しくはCDR若しくはそれらの両方への置換
の意図的な導入により、ヒトで発現した免疫グロブリンと比較したときに、アミノ酸の違
いを含有する。典型的には、「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン又は再編成さ
れた免疫グロブリン遺伝子によってコードされているアミノ酸配列に対して、アミノ酸配
列が少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、
88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、
98%又は99%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば、Knappi
k et al.(2000)J Mol Biol 296:57-86に記載されて
いる、ヒトフレームワーク配列分析に由来する、コンセンサスフレームワーク配列、又は
例えば、Shi et al.(2010)J Mol Biol 397:385-9
6及び国際公開第2009/085462号に記載されている、ファージに表示されるヒ
ト免疫グロブリン遺伝子ライブラリに組み込まれた、合成HCDR3を含有してもよい。
少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来する抗体は、「ヒト抗体」の定義には含まれな
い。
【0054】
「ヒト化抗体」は、少なくとも1つのCDRが非ヒト種に由来し、少なくとも1つのフ
レームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。ヒト化抗体は、フレーム
ワークに置換を含むことができるため、フレームワークは、発現したヒト免疫グロブリン
又はヒト免疫グロブリン生殖細胞系遺伝子配列の厳密なコピーではない場合がある。
【0055】
「単離された」とは、組み換え細胞などの分子が産生されるシステムの他の成分から実
質的に分離及び/又は精製されている、分子の均質な集団(例えば、合成ポリヌクレオチ
ド又は抗体などのタンパク質)に加えて、少なくとも1つの精製又は単離工程に供された
タンパク質を指す。「単離抗体」とは、他の細胞材料及び/又は化学物質を実質的に含ま
ない抗体を意味し、より高い純度、例えば80%、81%、82%、83%、84%、8
5%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、9
5%、96%、97%、98%、99%、又は100%の純度まで単離された抗体を包含
する。
【0056】
「モノクローナル抗体」は、抗体分子の実質的に均質な母集団(すなわち、母集団を構
成する個別の抗体が、抗体重鎖からのC末端リジンの除去などの可能な周知の変更、ある
いはアミノ酸異性化若しくはアミド分解、メチオニン酸化、又はアスパラギン若しくはグ
ルタミンアミド分解などの翻訳後修飾を除いて同一である)から得られた抗体を指す。モ
ノクローナル抗体は典型的には、1つの抗原性エピトープに結合する。二重特異性モノク
ローナル抗体は、2つの異なる抗原性エピトープに結合する。モノクローナル抗体は、抗
体集団内で不均一なグリコシル化を有し得る。モノクローナル抗体は、単一特異性であっ
てよく、又は、二重特異性などの多重特異性であってよく、一価、二価、又は多価であっ
てよい。
【0057】
「変異」は、参照配列と比較したときのポリペプチド又はポリヌクレオチド配列におけ
る操作又は自然発生変更を指す。変更は、1つ又は2つ以上のアミノ酸又はポリヌクレオ
チドの置換、挿入、又は欠失であってもよい。
【0058】
「非固定組み合わせ」は、T細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体の個別の医薬
組成物が、個別の実体として、特定の介在時間の制限なしに同時に、併行的に、又は逐次
に投与されることを指し、そのような投与は、対象の体内で2つの化合物の有効なレベル
を提供する。
【0059】
「多重特異性」は、少なくとも2つの異なる抗原に特異的に結合する抗体、又は同じ抗
原内の少なくとも2つの異なるエピトープに結合する抗体を指す。多重特異性抗体は、例
えば、2つ、3つ、4つ、若しくは5つの異なる抗原、又は同じ抗原内の異なるエピトー
プに結合し得る。
【0060】
「医薬組成物」は、有効成分及び薬学的に許容される担体を含む組成物を指す。
【0061】
「医薬的に許容される担体」又は「賦形剤」は、対象に対して毒性のない有効成分以外
の医薬組成物中の成分を指す。
【0062】
「フィラデルフィア染色体」又は「Ph」は、は、構成的に活性なチロシンキナーゼ活
性を有する癌原性BCR-ABL遺伝子融合をもたらす、染色体9と22との間の周知の
染色体転座を指す。この転座により、染色体22q11のBCR遺伝子の一部分が染色体
9q34のABL遺伝子の一部分と融合され、これは、国際ヒト細胞遺伝学命名法(Inte
rnational System for Human Cytogenetic Nomenclature、ISCN)の下、t(9;2
2)(q34;q11)と名付けられている。融合の正確な位置に応じて、得られる融合
タンパク質の分子量は、185~210kDaの範囲であり得る。「フィラデルフィア染
色体」は、(9;22)(q34;q11)転座により形成される全てのBCR-ABL
融合タンパク質を指す。
【0063】
「PSMA」は、配列番号99のアミノ酸配列を有するヒト前立腺特異的膜抗原を指す
。細胞外ドメインは、配列番号99の残基44~750に及ぶ。
【0064】
PSMA(配列番号99)
MWNLLHETDSAVATARRPRWLCAGALVLAGGFFLLGFLF
GWFIKSSNEATNITPKHNMKAFLDELKAENIKKFLYNFTQ
IPHLAGTEQNFQLAKQIQSQWKEFGLDSVELAHYDVLLSY
PNKTHPNYISIINEDGNEIFNTSLFEPPPPGYENVSDIVP
PFSAFSPQGMPEGDLVYVNYARTEDFFKLERDMKINCSGK
IVIARYGKVFRGNKVKNAQLAGAKGVILYSDPADYFAPGV
KSYPDGWNLPGGGVQRGNILNLNGAGDPLTPGYPANEYAY
RRGIAEAVGLPSIPVHPIGYYDAQKLLEKMGGSAPPDSSW
RGSLKVPYNVGPGFTGNFSTQKVKMHIHSTNEVTRIYNVI
GTLRGAVEPDRYVILGGHRDSWVFGGIDPQSGAAVVHEIV
RSFGTLKKEGWRPRRTILFASWDAEEFGLLGSTEWAEENS
RLLQERGVAYINADSSIEGNYTLRVDCTPLMYSLVHNLTK
ELKSPDEGFEGKSLYESWTKKSPSPEFSGMPRISKLGSGN
DFEVFFQRLGIASGRARYTKNWETNKFSGYPLYHSVYETY
ELVEKFYDPMFKYHLTVAQVRGGMVFELANSIVLPFDCRD
YAVVLRKYADKIYSISMKHPQEMKTYSVSFDSLFSAVKNF
TEIASKFSERLQDFDKSNPIVLRMMNDQLMFLERAFIDPL
GLPDRPFYRHVIYAPSSHNKYAGESFPGIYDALFDIESKV
DPSKAWGEVKRQIYVAAFTVQAAAETLSEVA
【0065】
「組み換え」は、異なる供給源のセグメントを接合して、組み換えDNA、抗体、又は
タンパク質を生成するときに、組み換え手段によって調製、発現、作製、又は単離された
DNA、抗体、及び他のタンパク質を指す。
【0066】
「低減する」又は「低減した」は、対照分子と比較したときの試験分子の1つ若しくは
2つ以上の機能の低減、又は1つ若しくは2つ以上の対照分子と比較したときの試験分子
の組み合わせの1つ若しくは2つ以上の機能の低減を指す。測定され得る例示的な機能は
、腫瘍細胞殺傷、T細胞活性化、相対的若しくは絶対的T細胞数、Fc媒介性エフェクタ
ー機能(例えば、ADCC、CDC、及び/若しくはADCP)、又はFcγ受容体(F
cγR)若しくはFcRnへの結合である。「低減した」は、約10%、20%、30%
、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、若しくはそれ以上の低
減、又は統計学的に有意な向上であり得る。
【0067】
「rHuPh20」は、国際公開第2004/078140号に記載の組み換えヒアル
ロニダーゼ(HYLENEX(登録商標)組み換え体)である配列番号105のアミノ酸
配列を有する組み換えヒトヒアルロジナーゼを指す。
【0068】
rHuPH20(配列番号105)
MGVLKFKHIFFRSFVKSSGVSQIVFTFLLIPCCLTLNFR
APPVIPNVPFLWAWNAPSEFCLGKFDEPLDMSLFSFIGSP
RINATGQGVTIFYVDRLGYYPYIDSITGVTVNGGIPQKIS
LQDHLDKAKKDITFYMPVDNLGMAVIDWEEWRPTWARNWK
PKDVYKNRSIELVQQQNVQLSLTEATEKAKQEFEKAGKDF
LVETIKLGKLLRPNHLWGYYLFPDCYNHHYKKPGYNGSCF
NVEIKRNDDLSWLWNESTALYPSIYLNTQQSPVAATLYVR
NRVREAIRVSKIPDAKSPLPVFAYTRIVFTDQVLKFLSQD
ELVYTFGETVALGASGIVIWGTLSIMRSMKSCLLLDNYME
TILNPYIINVTLAAKMCSQVLCQEQGVCIRKNWNSSDYLH
LNPDNFAIQLEKGGKFTVRGKPTLEDLEQFSEKFYCSCYS
TLSCKEKADVKDTDAVDVCIADGVCIDAFLKPPMETEEPQ
IFYNASPSTLSATMFIVSILFLIISSVASL
【0069】
「難治性」は、外科的介入に対して修正可能ではなく、初期には療法に対して応答しな
い癌を指す。
【0070】
「再発性」は、治療に応答するが、その後再発する癌を指す。
【0071】
「対象」は、任意のヒト又は非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」には、例えば、非ヒト
霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などの哺乳動物及
び非哺乳動物などの全ての脊椎動物が含まれる。記載されている場合を除き、「患者」及
び「対象」という用語は、互換的に使用される。
【0072】
「T細胞リダイレクト治療薬」は、2つ又は3つ以上の結合領域を含有する分子を指し
、結合領域のうちの1つは、標的細胞又は組織上の細胞表面抗原(腫瘍関連抗原など)に
特異的に結合し、分子の第2の結合領域は、T細胞抗原(CD3など)に特異的に結合す
る。この二重/多重標的結合能力は、T細胞を標的細胞又は組織に動員して、標的細胞又
は組織の根絶をもたらす。
【0073】
「TMEFF2」は、EGF様及び2つの葉酸スタチン様ドメイン2(別名トモレグリ
ン2)を有するヒト膜貫通タンパク質を指す。完全長ヒトTMEFF2のアミノ酸配列を
配列番号101に示す。TMEFF2の細胞外ドメインは、配列番号101の残基40~
374に及ぶ。
【0074】
TMEFF2(配列番号101)
MVLWESPRQCSSWTLCEGFCWLLLLPVMLLIVARPVKLA
AFPTSLSDCQTPTGWNCSGYDDRENDLFLCDTNTCKFDGE
CLRIGDTVTCVCQFKCNNDYVPVCGSNGESYQNECYLRQA
ACKQQSEILVVSEGSCATDAGSGSGDGVHEGSGETSQKET
STCDICQFGAECDEDAEDVWCVCNIDCSQTNFNPLCASDG
KSYDNACQIKEASCQKQEKIEVMSLGRCQDNTTTTTKSED
GHYARTDYAENANKLEESAREHHIPCPEHYNGFCMHGKCE
HSINMQEPSCRCDAGYTGQHCEKKDYSVLYVVPGPVRFQY
VLIAAVIGTIQIAVICVVVLCITRKCPRSNRIHRQKQNTG
HYSSDNTTRASTRLI
【0075】
「治療に有効な量」は、必要な用量及び期間で所望の治療結果を達成するのに有効な量
を指す。治療に有効な量は、個体の病態、年齢、性別、及び体重などの要因、並びに個体
において所望の応答を引き出す1つの治療薬又は治療薬の組み合わせの能力によって様々
であってよい。有効な1つの治療薬、又は治療薬の組み合わせの例示的な指標としては、
例えば、患者の改善された健康が挙げられる。
【0076】
「治療する」又は「治療」は、治療的処置及び予防的又は防止的手段の両方を指し、こ
の目的は、望ましくない生理学的変化又は障害を予防するか、又は遅延させる(緩和する
)ことである。有益な又は所望の臨床結果としては、検出可能であろうと又は検出不可能
であろうと、症状の緩和、疾患の程度の軽減、安定した(すなわち、悪化しない)疾患状
態、疾患の進行の遅延又は鈍化、疾患状態の改善又は緩和、及び寛解(部分的であろうと
又は全体的であろうと)が挙げられる。「治療」はまた、対象が治療を受けていない場合
に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長させることを意味し得る。治療を要す
る者には、既に状態若しくは疾患を有している者、及び、状態若しくは疾患を有しやすい
者、又は状態若しくは疾患を予防しようとする者が含まれる。
【0077】
「腫瘍細胞」又は「癌細胞」は、インビボ、エクスビボ、又は組織培養のいずれかにお
いて、自然発生的な又は導入された表現型の変化を有する癌性、前癌性、又は形質転換細
胞を指す。これらの変化は、必ずしも新たな遺伝物質の取り込みを伴うものではない。形
質転換は、形質転換ウイルスの感染及び新たなゲノム核酸の組み込み、外因性核酸の取り
込みにより発生させることもでき、自然発生的に又は発癌物質に曝露した後に発生し、そ
れによって内因性の遺伝子が変異する場合もある。形質転換/癌は、インビトロ、インビ
ボ、及びエクスビボにおける、形態学的変化、細胞の不死化、異常な増殖制御、病巣の形
成、増殖、悪性病変、腫瘍特異的マーカーレベルの調節、浸潤性、ヌードマウスなどの好
適な動物宿主における腫瘍の増殖などによって例示される。
【0078】
本明細書全体を通して、抗体定常領域におけるアミノ酸残基の番号付けは、本明細書に
別途明示的に記載のない限り、Kabat et al.,Sequences of
Proteins of Immunological Interest,5th E
d.Public Health Service,National Institu
tes of Health,Bethesda,MD.(1991)に記載のEUイン
デックスに従う。抗体定常鎖の番号付けは、例えば、ImMunoGeneTicsのウ
ェブサイトで、IMGT ScientificチャートのIMGT Webリソースに
見出すことができる。
【0079】
CH3領域における置換は、第1の重鎖の第1のCH3ドメインにおける修飾された位
置(複数可)/第2の重鎖の第2のCH3ドメインにおける修飾された位置(複数可)と
して表現される。例えば、F405L/K409Rは、第1のCH3領域におけるF40
5L変異及び第2のCH3領域におけるK09R変異を指す。L351Y_F405A_
Y407V/T394Wは、第1のCH3領域におけるL351Y、F40FA、及びY
407V変異、並びに第2のCH3領域におけるT394W変異を指す。D399FHK
RQ/K409AGRHは、D399がF、H、KR、又はQによって置換され得、K4
09がA、G、R、又はHによって置換され得る変異を指す。
【0080】
本明細書では、表1に示される従来の1文字及び3文字のアミノ酸コードを使用する。
【0081】
【0082】
抗CD38抗体とT細胞リダイレクト治療薬との組み合わせ及びそれらの使用
本発明は、それらの各々が多発性骨髄腫細胞上での標的係合時に多発性骨髄腫細胞の殺
傷を媒介する、治療剤JNJ-957又はGPRC5D×CD3抗体及び抗CD38抗体
DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)が、MM細胞への結合に対する競合若し
くはMM細胞上での作用機序、又は標的の相互的下方制御の点で互いに拮抗せず、したが
って併用療法としての使用に好適であるという発見に少なくとも部分的に基づく。本発明
はまた、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)による以前の治療が、多くの前
治療を受けた再発性/難治性多発性骨髄腫対象から得た多発性骨髄腫細胞のJNJ-95
7媒介性殺傷を増大したという発見に少なくとも部分的に基づく。本発明はまた、DAR
ZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)が、非多発性骨髄腫腫瘍細胞を標的とするT細
胞リダイレクト治療薬によって多発性骨髄腫細胞以外の腫瘍細胞の殺傷を増大したという
発見に少なくとも部分的に基づく。したがって、抗CD38抗体とT細胞リダイレクト治
療薬との組み合わせ、及び/又はT細胞リダイレクト治療薬の投与前の抗CD38抗体に
よる対象の前治療は、単剤療法の抗腫瘍有効性を向上させることができる。また、癌が典
型的には不均質な疾患であることを考慮すると、癌の一部分は、併用療法が疾患のより深
い根絶を補助する、1つの標的対他の標的の十分な発現を排他的に有し得る。
【0083】
CD38は、受容体媒介接着及びシグナル伝達における機能を有すると共に、そのエク
ト型酵素活性を介してカルシウム動員を媒介し、環状ADP-リボース(cADPR)及
びADPRの形成を触媒する、多機能タンパク質である。CD38は、サイトカインの分
泌並びにリンパ球の活性化及び増殖を媒介する(Funaro et al.,J Im
munol 145:2390-6,1990;Terhorst et al.,Ce
ll 771-80,1981;Guse et al.,Nature 398:70
-3,1999)。CD38はまた、そのNADグリコヒドロラーゼ活性を介して、制御
性T細胞区画の調節に関与するとされている細胞外NAD+レベルを調節する(Adri
ouch et al.,Microbes infect14:1284-92,20
12;Chiarugi et al.,Nature Reviews 12:741
-52,2012)。Ca2+を介したシグナル伝達に加えて、CD38シグナル伝達は
、T及びB細胞上の抗原受容体複合体又は他の種類の受容体複合体(例えば、MHC分子
)とのクロストークを介して生じ、このようにして、CD38は、いくつかの細胞応答並
びにIgG1のスイッチング及び分泌にも関与している。本明細書では、抗CD38抗体
DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)は、T細胞リダイレクト治療薬の抗腫瘍
効果を向上させることが特定されている。いかなる特定の理論によっても拘束されること
を望むものではないが、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)が、ヒト対象に
おける免疫調節活性(すなわち、免疫抑制Treg、MDSC、及びBregの数を低減
し、CD8+T細胞の数及びCD8+対Tregの比を増加させ、CD8+セントラルメ
モリー細胞の形成を促進し、T細胞のクローン性を増加させること)を介して、対象にお
いても免疫応答の向上をもたらすことができ、したがってT細胞リダイレクト治療薬のT
細胞係合を促進することができると仮定することができる。
【0084】
本開示は、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量の抗CD38抗体
及びT細胞リダイレクト治療薬を対象に投与して、癌を治療することを含む、方法を提供
する。
【0085】
本開示はまた、対象において腫瘍細胞を殺傷する方法であって、対象に、抗CD38抗
体、及び腫瘍細胞を殺傷するのに十分な時間にわたって腫瘍細胞上の抗原に結合するT細
胞リダイレクト治療薬を投与することを含む、方法も提供する。
【0086】
本開示はまた、癌を有する対象におけるT細胞リダイレクト治療薬の有効性を向上させ
る方法であって、対象に抗CD38抗体を投与することを含む、方法も提供する。
【0087】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、T細胞リダイレクト治療薬の投与前に投
与される。
【0088】
T細胞リダイレクト治療薬は、抗CD38抗体の投与前、1日、2日、3日、4日、5
日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月
、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれ以上前に投与され得る。
【0089】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、腫瘍細胞上の抗原に結合する
。
【0090】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞上の抗原は、BCMA、GPRC5D、CD33、
CD123、CD19、PSMA、TMEFF2、CD20、CD10、CD21、CD
22、CD25、CD30、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD52、
CD133、ROR1、B7-H6、B7-H3、HM1.24、SLAMF7、Fms
様チロシンキナーゼ3(FLT-3、CD135)、コンドロイチン硫酸プロテオグリカ
ン4(chondroitin sulfate proteoglycan 4、CSPG4、黒色腫関連コンドロイチン硫
酸プロテオグリカン)、上皮成長因子受容体(epidermal growth factor receptor、EG
FR)、Her2、Her3、IGFR、IL3R、線維芽細胞活性化タンパク質(fibr
oblast activating protein、FAP)、CDCP1、Derlin1、テネイシン、f
rizzled1-10、VEGFR2(KDR/FLK1)、VEGFR3(FLT4
、CD309)、PDGFR-アルファ(CD140a)、PDGFR-ベータ(CD1
40b)、エンドグルカン、CLEC14、Tem1-8、又はTie2である。腫瘍細
胞上の更なる例示的な抗原には、A33、CAMPATH-1(CDw52)、癌胎児性
抗原(CEA)、カルボヒドラーゼIX(MN/CA IX)、de2-7、EGFRv
III、EpCAM、Ep-CAM、葉酸結合タンパク質、G250、c-Kit(CD
117)、CSF1R(CD115)、HLA-DR、IGFR、IL-2受容体、IL
3R、MCSP(黒色腫関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc-
1、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的抗原(PSA)、hK2、TAG-7
2、又は腫瘍細胞新生抗原が含まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、BCMA、GPRC5D、C
D33、CD123、CD19、PSMA、TMEFF2、CD20、CD22、CD2
5、CD52、ROR1、HM1.24、CD38、又はSLAMF7に結合する。
【0092】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD3イプシロン(CD3ε
)に結合する。
【0093】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD3に結合する。
【0094】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD8、KI2L4、NKG
2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、CD186、BTNL8、PD-1、CD
195、又はNKG2Cに結合する。これらの抗原は、CD3と比較したときに、CD8
+T細胞により特異的である(例えば、国際公開第2018/187215号を参照され
たい)。
【0095】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号33の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号34のHCDR2、配
列番号35のHCDR3、配列番号36の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番
号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3、
配列番号39の重鎖可変領域(VH)及び配列番号40の軽鎖可変領域(VL)、
配列番号74のHCDR1、配列番号75のHCDR2、配列番号76のHCDR3、
配列番号77のLCDR1、配列番号78のLCDR2、及び配列番号79のLCDR3
、
配列番号80のVH及び配列番号81のVL、
配列番号53のCD3結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR
1、LCDR2、及びLCDR3、又は
配列番号53のCD3結合ドメインのVH及びVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0096】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、BCMAに結合する。
【0097】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号23のHCDR1、配列番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、
配列番号26のLCDR1、配列番号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3
を含むBCMA結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCD
R2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR
2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含むBCMA結合ドメイン、並びに配列
番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、BCMAに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列番号
31の第1の重鎖(HC1)、配列番号32の第1の軽鎖(LC1)、配列番号41の第
2の重鎖(HC2)、及び配列番号42の第2の軽鎖(LC2)を含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、BCMAに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、Seat
tle GeneticsによるACTR癌療法、AFM-26、ALLO-715、C
RISPR Therapeuticsによる抗BCMA同種CAR-T細胞療法、So
rrento Therapeuticsによる抗BCMA CAR-T療法、Hrai
n Biotechnologyによる抗CD19/BCMA CAR-T細胞療法、C
hineo Med(Beijing)によるBCMA CAR-T療法、Triumv
ira ImmunologicsによるBCMA TAC-T細胞療法、Shangh
ai Unicar-Therapy BiomedによるBCMA-CAR T細胞療
法、RegeneronによるBCMA/CD3抗体、NantKwestによるCAR
-NK細胞療法、CC-93629、CMD-505、CTX-4419、CYAD-2
11、HDP-101、HPN-217、P-BCMA-ALLO1、TNB-383B
、bb-2121、AUTO-2、PregeneによるBCMAキメラ抗原受容体療法
、Shanghai Bioray LaboratoryによるBCMA-CAR T
細胞、CARsgen TherapeuticsによるBCMA-CAR-T細胞、S
henzhen BinDeBioによるCAR-T/TCR-T細胞免疫療法、ET-
140、P-BCMA-101、REGN-5458、AMG-701、Cellula
r Biomedicine Groupによる抗BCMA CAR-T細胞療法、bb
-21217、BI-836909、CC-93269、Descartes-08、I
M-21、JNJ-64007957、MEDI-2228、又はPF-0686313
5を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、国際公開第2017/031
104号に記載のBCMA結合ドメインのうちのいずれか1つを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、GPRC5Dに結合する。
【0102】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、
配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3
を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のH
CDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLC
DR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号49のVH及び配列番号50のVLを含むGPRC5D結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列
番号51のHC1、配列番号52のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42の
LC2を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、Eureka Therap
euticsによるGPRC5D抗体を含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、国際公開第2018/003
7651号に記載のGPRC5D結合ドメインのうちのいずれか1つを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD33に結合する。
【0107】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、配列番号84のHCDR1、
配列番号85のHCDR2、配列番号86のHCDR3、配列番号87のLCDR1、配
列番号88のLCDR2、及び配列番号89のLCDR3を含むCD33結合ドメイン、
並びに配列番号74のHCDR1、配列番号75のHCDR2、配列番号76のHCDR
3、配列番号77のLCDR1、配列番号78のLCDR2、及び配列番号79のLCD
R3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号90のVH及び配列番号91のVLを含むCD33結合ドメイン、並びに配列
番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、CD33に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列番号
92のHC1、配列番号93のLC1、配列番号82のHC2、及び配列番号83のLC
2を含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、CD33に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、Shen
zhen BinDeBioによるCAR-T/TCR-T細胞免疫療法、AMG-33
0、AMV-564、JNJ-67571244、ICG-144、AMG-673、Z
iopharmによるCD33 CAR-T療法INXN3004、huCD33-Bs
Ab、VOR-33、HMBD-004A、GEM-333、TGB-3550、又はC
D33.taNKを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD123に結合する。
【0111】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号94のHCDR1、配列番号95のHCDR2、配列番号96のHCDR3、
配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号59のLCDR3を
含むCD123結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCD
R2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR
2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号100のVH及び配列番号61のVLを含むCD123結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、CD123に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列番
号102のHC1、配列番号63のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42の
LC2を含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、CD123に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、The
raVectysによる急性骨髄性白血病療法、APVO-437、Nanjing L
egend Biotechによる抗CD123 CAR-T細胞療法、APVO-43
6、Hebei Senlang BiotechnologyによるCD123 CA
R-T細胞療法、フロテツズマブ(flotetuzumab)、IM-23、JNJ-637091
78、Mustang BioによるMB-102、UCART-123、XmAb-1
4045、又はSanofiによるCD3-CD123二重特異性T細胞エンゲージャー
を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、国際公開第2016/036
937号に記載のCD123結合ドメインのうちのいずれか1つを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD19に結合する。
【0116】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号53のCD19結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCD
R1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD19結合ドメイン、並びに配列番号53の
CD3結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、
及びLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号53のアミノ酸配列を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、アキシカ
ブタゲンシロロイセル、ブリナツモマブ、チサゲンレクルユーセル-t、AMG-562
、Cellular Biomedicine GroupによるAUTO-1 CAR
-T CD19、ZiopharmによるCD19キメラ抗原受容体T細胞療法、ioc
eltech TherapeuticsによるCD19-CAR-T細胞療法、Mar
ino BiotechnologyによるCD19-CAR-T細胞療法、Guang
dong Zhaotai InVivoによるCD19-CAR-T2細胞療法、Ju
no TherapeuticsによるCD19/4-1BBL武装化CAR T細胞療
法、CSG-CD19、DI-B4、ET-190、GC-007F、GC-022、H
RAIN BiotechnologyによるヒトCD19 T細胞療法、Kite P
harmaによるヒト化抗CD19制御CAR(第3世代)、Immune Cell
TherapyによるICAR-19 CAR-T細胞、ICTCAR-003、Mar
ino BiotechnologyによるiPD1 CD19 eCAR T細胞、J
WCAR029、PTG-01、PZ01、Senl_1904A、Senl_1904
B、UCART-19、UWC-19、AUTO-3、BinD-19、Shangha
i Unicar-Therapy BiomedによるCAR-T細胞療法、Shen
zhen BinDeBioによるCAR-T/TCR-T細胞免疫療法、Milten
yi BiotecによるCD-19 CAR-T細胞療法、Shanghai Uni
car-Therapy BiomedによるCD19 CAR-T細胞、Takara
BioによるCD19-CAR T細胞療法、Shanghai Bioray La
boratoryによるCD19-CART、SinobiowayによるCD19標的
化キメラ抗原受容体T細胞、Shanghai Longyao Biotechnol
ogyによるCD19/CD20 CAR-T細胞療法、CIK-CAR.CD19、I
CTCAR-011、IM-19、JCAR-014、ロンカスツキシマブテシリン、M
B-CART2019.1、OXS-1550、PBCAR-0191、PCAR-01
9、PCAR-119、Senl-001、TI-1007、XmAb-5871、イネ
ビリズマブ、リソカブタゲンマラルユーセル(lisocabtagene maraleucel)、XmAb-
5574、Eden BioCellによる第3世代CD19-CART細胞+mbIL
15、A-329、ALLO-501、Beijing Doing Biomedic
al Coによる抗CD19抗CD20二重特異性CARリダイレクト自家T細胞、Al
life Medical Scienceによる抗CD19 CAR NK細胞療法、
Hrain Biotechnologyによる抗CD19/BCMA CAR-T細胞
療法、ATA-2431、ATA-3219.AVA-008.Celularityに
よるCD19 CAR-T細胞療法、ZiopharmによるCD19キメラ抗原受容体
T細胞療法第3世代、InovioによるCD19 dBiTE、Bellicumによ
るCD19 TCR細胞療法、WilexによるCD19-ATAC、Chineo M
ed(Beijing)によるCD19/20 CAR-T療法、Eureka The
rapeuticsによるCD19/CD22二重標的療法、Helix BioPha
rmaによるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法、CMD-502、CTX-1
10、CYAD-04、CYAD-221、ET-019002、FT-596、FT-
819、TC Biopharmによるガンマ-デルタCAR-T療法、ICTCAR-
014、iDD-002、KITE-037、NI-2201、RB-1916、Sen
l_002、TAC01-CD19、TC-110、TC-310、TCB-003、又
はTI-7007を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、PSMAに結合する。
【0119】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号54のHCDR1、配列番号55のHCDR2、配列番号56のHCDR3、
配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号59のLCDR3を
含むPSMA結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR
2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2
、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号60のVH及び配列番号61のVLを含むPSMA結合ドメイン、並びに配列
番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、PSMAに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列番号
62のHC1、配列番号63のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC
2を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、TMEFF2に結合する。
【0122】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、
配列番号64のHCDR1、配列番号65のHCDR2、配列番号66のHCDR3、
配列番号67のLCDR1、配列番号68のLCDR2、及び配列番号69のLCDR3
を含むTMEFF2結合ドメイン、並びに配列番号74のHCDR1、配列番号75のH
CDR2、配列番号76のHCDR3、配列番号77のLCDR1、配列番号78のLC
DR2、及び配列番号79のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号70のVH及び配列番号71のVLを含むTMEFF2結合ドメイン、並びに
配列番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインを含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、TMEFF2に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、配列
番号72のHC1、配列番号73のLC1、配列番号82のHC2、及び配列番号83の
LC2を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD20に結合する。
【0125】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD22に結合する。
【0126】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD25に結合する。
【0127】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD52に結合する。
【0128】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、ROR1に結合する。
【0129】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、HM1.24に結合する。
【0130】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、SLAMF7に結合する。
【0131】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、多重特異性抗体、キメラ抗原
受容体(CAR)、又はCARを含むT細胞である。
【0132】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CARである。
【0133】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CARを発現するT細胞であ
る。
【0134】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、多重特異性抗体である。
【0135】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はI
gG4アイソタイプである。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG2アイソタイプである。
【0138】
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG3アイソタイプである。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0140】
多重特異性抗体は、任意のアロタイプのものであってもよい。アロタイプは、結合又は
Fc媒介性エフェクター機能などの多重特異性抗体の特性に影響を与えないことが予想さ
れる。治療用抗体の免疫原性は、注入反応のリスク増大及び治療応答の期間短縮に関連し
ている(Baert et al.,(2003)N Engl J Med 348:
602-08)。宿主において治療用抗体が免疫応答を誘導する程度は、抗体のアロタイ
プによって部分的に決定され得る(Stickler et al.,(2011)Ge
nes and Immunity 12:213-21)。抗体のアロタイプは、抗体
の定常領域配列における特定の位置のアミノ酸配列の変異に関連する。表2は、選択Ig
G1、IgG2、及びIgG4アロタイプを示す。
【0141】
【0142】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、多重特異性抗体のFcγ受容体(Fcγ
R)への結合を低減する1つ又は2つ以上のFc置換を含む。多重特異性抗体のFcγR
への結合を低減する置換は、多重特異性抗体のADCC、ADCP、及び/又はCDCな
どのFcエフェクター機能を低減する。特定の置換は、配列番号103の野生型IgG1
又は配列番号104の野生型IgG4と比較して行うことができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のF234A/
L235A、IgG1上のL234A/L235A、IgG2上のV234A/G237
A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4上のF2
34A/L235A、IgG4上のS228P/F234A/L235A、全てのIgア
イソタイプ上のN297A、IgG2上のV234A/G237A、IgG1上のK21
4T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/
D365E/L358M、IgG2上のH268Q/V309L/A330S/P331
S、IgG1上のS267E/L328F、IgG1上のL234F/L235E/D2
65A、IgG1上のL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/
A330S/P331S、IgG4上のS228P/F234A/L235A/G237
A/P238S、及びIgG4上のS228P/F234A/L235A/G236欠失
/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基の番号付けは、EUインデック
スに従う。
【0144】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のF234A/
L235Aである。
【0145】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG1上のL234A/
L235Aである。
【0146】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG2上のV234A/
G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331Sである。
【0147】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のF234A/
L235Aである。
【0148】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のS228P/
F234A/L235Aである。
【0149】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、全てのIgアイソタイプ上
のN297Aである。
【0150】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG2上のV234A/
G237Aである。
【0151】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG1上のK214T/
E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D36
5E/L358Mである。
【0152】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG2上のH268Q/
V309L/A330S/P331Sである。
【0153】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG1上のS267E/
L328Fである。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG1
上のL234F/L235E/D265Aである。
【0154】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG1上のL234A/
L235A/G237A/P238S/H268A/A330S/P331Sである。
【0155】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のS228P/
F234A/L235A/G237A/P238S及びIgG4上のS228P/F23
4A/L235A/G236欠失/G237A/P238Sである。
【0156】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、S228P置換を更に含む。
【0157】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、第1のCH3ドメイン若しくは第2のC
H3ドメインに、又は第1のCH3ドメイン及び第2のCH3ドメインの両方に、1つ又
は2つ以上の非対称置換を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、F450L/K409R
、野生型/F409L_R409K、T366Y/F405A、T366W/F405W
、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T36
6W/T394S、F405W/T394S及びT366W/T366S_L368A_
Y407V、L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392
M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F4
05A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_
Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、並びにT
350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L
_T394Wからなる群から選択される。
【0159】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、F450L/K409R
である。
【0160】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、野生型/F409L_R
409Kである。
【0161】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366Y/F405A
である。
【0162】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366W/F405W
である。
【0163】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、F405W/Y407A
である。
【0164】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T394W/Y407T
である。
【0165】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T394S/Y407A
である。
【0166】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366W/T394S
である。
【0167】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、F405W/T394S
である。
【0168】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366W/T366S
_L368A_Y407Vである。
【0169】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、L351Y_F405A
_Y407V/T394Wである。
【0170】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366I_K392M
_T394W/F405A_Y407Vである。
【0171】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T366L_K392M
_T394W/F405A_Y407Vである。
【0172】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、L351Y_Y407A
/T366A_K409Fである。
【0173】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、L351Y_Y407A
/T366V_K409Fである。
【0174】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、Y407A/T366A
_K409Fである。
【0175】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、T350V_L351Y
_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394Wである。
【0176】
いくつかの実施形態では、癌は、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である。
【0177】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、
良性単クローン性γグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined signific
ance、MGUS)、急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)、び
まん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL)、バー
キットリンパ腫(Burkitt's lymphoma、BL)、濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma
、FL)、マントル細胞リンパ腫(mantle-cell lymphoma、MCL)、ワルデンストレー
ム高ガンマグロブリン血症、形質細胞白血病、軽鎖アミロイドーシス(light chain amyl
oidosis、AL)、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病
、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)、骨髄異形成症候群(myelodys
plastic syndrome、MDS)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、C
LL)、B細胞悪性腫瘍、慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia、CML)、ヘ
アリー細胞白血病(hairy cell leukemia、HCL)、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、
ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(marginal zone B-cell
lymphoma、MZL)、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(mucosa-associated lymphatic tis
sue lymphoma、MALT)、形質細胞白血病、未分化大細胞リンパ腫(anaplastic large
-cell lymphoma、ALCL)、白血病、又はリンパ腫である。
【0178】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である。
【0179】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、新たに診断された多発性骨髄腫である。
【0180】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、再発又は難治性多発性骨髄腫である。
【0181】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスク多発性骨髄腫である。高リスク多
発性骨髄腫を有する対象は、早期に再発し、不良予後及び転帰を有することが知られてい
る。対象は、高リスク多発性骨髄腫を有すると分類され得るは、以下の細胞遺伝学的異常
:t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、del1
7p、1qAmp、t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;
q23)、t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、t(14;16)(q
32;q23)及びdel17p、又はt(4;14)(p16;q32)、t(14;
16)(q32;q23)、及びdel17pのうちのいずれか1つ又は2つ以上を有す
る。
【0182】
いくつかの実施形態では、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、t(4;14)(p
16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、del17p、1qAmp、t
(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23)、t(4;1
4)(p16;q32)及びdel17p、t(14;16)(q32;q23)及びd
el17p、t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)
、及びdel17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異
常を有する。
【0183】
様々な定性的及び/又は定量的方法が、疾患の再発又は難治性を決定するために使用さ
れ得る。関連し得る症状は、例えば、患者の健康状態の低下若しくはプラトー状態、固形
腫瘍に関連する様々な症状の復元若しくは悪化、及び/又は1つの場所から他の臓器、組
織、若しくは細胞への体内の癌性細胞の拡がりである。
【0184】
細胞遺伝学的異常は、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(fluorescen
t in situ hybridization、FISH)によって検出され得る。両方の染色体転座におい
て、癌遺伝子は、染色体14q32上のIgH領域に転座され、これらの遺伝子の制御不
全がもたらされる。t(4;14)(p16;q32)は、線維芽細胞成長因子受容体3
(FGFR3)及び多発性骨髄腫SETドメイン含有タンパク質(MMSET)(別名、
WHSC1/NSD2)の転座を伴い、t(14;16)(q32;q23)は、MAF
転写因子C-MAFの転座を伴う。17p欠失(del17p)は、p53遺伝子座の喪
失を伴う。
【0185】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾ
ミブ、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ(elotozumab)、イキサゾミブ、
メルファラン、若しくはサリドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対し
て再発又は難治性である。
【0186】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、抗CD38抗体による治療に対して再発又
は難治性である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、レナリドミドによる治療に
対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、ボルテゾミブ
による治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、
ポマリドミドによる治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、多発
性骨髄腫は、カルフィルゾミブによる治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実
施形態では、多発性骨髄腫は、エロトズマブによる治療に対して再発又は難治性である。
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、イキサゾミブによる治療に対して再発又は難
治性である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、メルファランによる治療に対し
て再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、サリドマイドによ
る治療に対して再発又は難治性である。
【0187】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、AMLである。
【0188】
いくつかの実施形態では、AMLは、少なくとも1つの遺伝子異常を伴うAML、多系
列異形成を伴うAML、療法関連AML、未分化AML、最未分化型AML、分化型AM
L、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤血球性白血病、急性巨核芽球性白
血病、急性好塩基球性白血病、線維症を伴う急性汎骨髄症、又は骨髄肉腫である。
【0189】
いくつかの実施形態では、AMLは、少なくとも1つの遺伝子異常を伴うAMLである
。いくつかの実施形態では、AMLは、多系列異形成を伴うAMLである。いくつかの実
施形態では、AMLは、療法関連AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、未
分化型AMLである。いくつかの実施形態では、AMLは、最未分化型AMLである。い
くつかの実施形態では、AMLは、分化型AMLである。いくつかの実施形態では、AM
Lは、急性骨髄単球性白血病である。いくつかの実施形態では、AMLは、急性単球性白
血病である。いくつかの実施形態では、AMLは、急性赤血球性白血病である。いくつか
の実施形態では、AMLは、急性巨核芽球性白血病である。いくつかの実施形態では、A
MLは、急性好塩基球性白血病である。いくつかの実施形態では、AMLは、線維症を伴
う急性汎骨髄症である。いくつかの実施形態では、AMLは、骨髄肉腫である。
【0190】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、8番染色体と21番染色体
との間の転座、16番染色体の転座若しくは逆位、15番染色体と17番染色体との間の
転座、11番染色体の変化、又はfms関連チロシンキナーゼ3(fms-related tyrosine
kinase 3、FLT3)、ヌクレオフォスミン(nucleophosmin、NPM1)、イソクエン
酸デヒドロゲナーゼ1(isocitrate dehydrogenase 1、IDH1)、イソクエン酸デヒド
ロゲナーゼ2(isocitrate dehydrogenase 2、IDH2)、DNA(シトシン-5)-メ
チルトランスフェラーゼ3(DNA(cytosine-5)-methyltransferase 3、DNMT3A)、
CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CCAAT/enhancer binding protein a
lpha、CEBPA)、U2核内低分子RNA補助因子1(U2 small nuclear RNA auxilia
ry factor 1、U2AF1)、zeste2ポリコーム抑制複合体2サブユニットエンハ
ンサー(enhancer of zeste 2 polycomb repressive complex 2 subunit、EZH2)、
染色体構造維持1A(structural maintenance of chromosomes 1A、SMC1A)、若し
くは染色体構造維持3(structural maintenance of chromosomes 3、SMC3)におけ
る変異である。
【0191】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、8番染色体と21番染色体
との間の転座である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、16番
染色体の転座又は逆位である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は
、15番染色体と17番染色体との間の転座である。いくつかの実施形態では、少なくと
も1つの遺伝子異常は、11番染色体の変化である。いくつかの実施形態では、少なくと
も1つの遺伝子異常は、fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)の変異である。いく
つかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、ヌクレオフォスミン(NPM1)
の変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、イソクエン酸
デヒドロゲナーゼ1(IDH1)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1
つの遺伝子異常は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)の変異である。いくつ
かの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、DNA(シトシン-5)-メチルト
ランスフェラーゼ3(DNMT3A)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくと
も1つの遺伝子異常は、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPA
)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、U2核内低
分子RNA補助因子1(U2AF1)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくと
も1つの遺伝子異常は、zeste2ポリコーム抑制複合体2サブユニットエンハンサー
(EZH2)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、
染色体構造維持1A(SMC1A)の変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも
1つの遺伝子異常は、染色体構造維持3(SMC3)の変異である。
【0192】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、転座t(8;21)(q2
2;q22)、逆位inv(16)(p13;q22)、転座t(16;16)(p13
;q22)、転座t(15;17)(q22;q12)、FLT3-ITDの変異、ID
H1におけるR132H若しくはR100Q/R104V/F108L/R119Q/I
130Vの変異、又はIDH2におけるR140Q若しくはR172の変異である。
【0193】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、転座t(8;21)(q2
2;q22)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、逆位i
nv(16)(p13;q22)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺
伝子異常は、転座t(16;16)(p13;q22)である。いくつかの実施形態では
、少なくとも1つの遺伝子異常は、転座t(15;17)(q22;q12)である。い
くつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、FLT3-ITDの変異である
。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、IDH1におけるR132
Hの変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、IDH1に
おけるR100Q/R104V/F108L/R119Q/I130Vの変異である。い
くつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、IDH2におけるR140Qの
変異である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの遺伝子異常は、IDH2におけ
るR172の変異である。
【0194】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ALLである。
【0195】
いくつかの実施形態では、ALLは、B細胞系列ALL、T細胞系列ALL、成人AL
L、又は小児ALLである。
【0196】
いくつかの実施形態では、ALLは、B細胞系列ALLである。いくつかの実施形態で
は、ALLは、T細胞系列ALLである。いくつかの実施形態では、ALLは、成人AL
Lである。いくつかの実施形態では、ALLは、小児ALLである。
【0197】
いくつかの実施形態では、ALLを有する対象は、フィラデルフィア染色体を有するか
、又はBCR-ABLキナーゼ阻害剤による治療に対して耐性であるか若しくはそれに対
する後天耐性を有する。
【0198】
いくつかの実施形態では、ALLを有する対象は、フィラデルフィア染色体を有する。
いくつかの実施形態では、ALLを有する対象は、BCR-ABLキナーゼ阻害剤による
治療に対して耐性であるか、又はそれに対する後天耐性を有する。
【0199】
Ph染色体は、ALLを有する成人の約20%及びALLを有する小児の小さな割合に
存在し、予後不良に関連する。再発時には、Ph+陽性ALLを有する患者は、チロシン
キナーゼ阻害剤(TKI)レジメンにある場合があり、したがってTKIに対して耐性と
なる場合がある。したがって、抗CD38抗体は、選択的又は部分的に選択的なBCR-
ABL阻害剤に対して耐性となった対象に投与され得る。例示的なBCR-ABL阻害剤
は、例えば、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、バフェチ
ニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、又はダヌセルチブである。
【0200】
B系列ALL患者において特定される他の染色体再編成は、t(v;11q23)(M
LL再構成)、t(1;19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1(E2A-
PBX1)、t(12;21)(p13;q22);ETV6-RUNX1(TEL-A
ML1)及びt(5;14)(q31;q32);IL3-IGHである。
【0201】
いくつかの実施形態では、対象は、t(v;11q23)(MLL再構成)、t(1;
19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1(E2A-PBX1)、t(12;
21)(p13;q22);ETV6-RUNX1(TEL-AML1)又はt(5;1
4)(q31;q32);IL3-IGH染色体再構成を有するALLを有する。
【0202】
染色体再構成は、周知の方法、例えば、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション、核
型分析、パルスフィールドゲル電気泳動、又は配列決定を使用して特定することができる
。
【0203】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、くすぶり型多発性骨髄腫である。
【0204】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、MGUSである。
【0205】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ALLである。
【0206】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、DLBLCである。
【0207】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、BLである。
【0208】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、FLである。
【0209】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、MCLである。
【0210】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血
症である。
【0211】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、形質細胞白血病である。
【0212】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ALである。
【0213】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病である。
【0214】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病である。
【0215】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、骨髄異形成症候群(MDS)である。
【0216】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、CLLである。
【0217】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、B細胞悪性腫瘍である。
【0218】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、CMLである。
【0219】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、HCLである。
【0220】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍である。
【0221】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ホジキンリンパ腫である。
【0222】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫である。
【0223】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、MZLである。
【0224】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、MALTである。
【0225】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、形質細胞白血病である。
【0226】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、ALCLである。
【0227】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。
【0228】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。
【0229】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、前立腺癌、肺癌、非小細胞肺癌(non-small ce
ll lung cancer、NSCLC)、肝癌、子宮頸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、
膵癌、黒色腫、食道癌、胃癌(gastric cancer)、胃癌(stomach cancer)、腎癌、膀胱
癌、肝細胞癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、神経膠腫、神経膠芽腫、結腸直腸癌、
甲状腺癌、上皮癌、腺癌、又は進行性固形腫瘍である。
【0230】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、前立腺癌である。
【0231】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肺癌である。
【0232】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。
【0233】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肝癌である。
【0234】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、子宮頸癌である。
【0235】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸癌である。
【0236】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、乳癌である。
【0237】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、卵巣癌である。
【0238】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、子宮内膜癌である。
【0239】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、膵癌である。
【0240】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、黒色腫である。
【0241】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、食道癌である。
【0242】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、胃癌(gastric cancer)である。
【0243】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、胃癌(stomach cancer)である。
【0244】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、腎癌である。
【0245】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、膀胱癌である。
【0246】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肝細胞癌である。
【0247】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、腎細胞癌である。
【0248】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、尿路上皮癌である。
【0249】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、頭頸部癌である。
【0250】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、神経膠腫である。
【0251】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、神経膠芽腫である。
【0252】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、結腸直腸癌である。
【0253】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、甲状腺癌である。
【0254】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、上皮癌である。
【0255】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、腺癌である。
【0256】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、進行性固形腫瘍である。
【0257】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、再発性、難治性、悪性、若しくは去勢抵抗性前
立腺癌、又はこれらの任意の組み合わせである。
【0258】
いくつかの実施形態では、前立腺癌は、再発性前立腺癌である。いくつかの実施形態で
は、前立腺癌は、難治性前立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、悪性前
立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、去勢抵抗性前立腺癌である。
【0259】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0262】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0263】
本発明の方法で使用される他の抗CD38抗体は、それぞれ配列番号14及び15のV
H配列及びVL配列を含み、米国特許第7,829,673号に記載のmAb003など
の既知の抗体であってもよい。mAb003のVH及びVLは、IgG1/κとして表現
され得る;米国特許第7,829,673号に記載される、それぞれ配列番号16及び1
7のVH配列及びVL配列を含むmAb024。mAb024のVH及びVLは、IgG
1/κとして表現され得る;米国特許第8,088,896号に記載される、それぞれ配
列番号18及び19のVH配列及びVL配列を含むMOR-202(MOR-03087
)。(MOR-202のVH及びVLは、IgG1/κとして表現され得る);又はイサ
ツキシマブ;米国特許第8,153,765号に記載される、それぞれ配列番号20及び
21のVH配列及びVL配列を含む。イサツキシマブのVH及びVLは、IgG1/κと
して表現され得る。
【0264】
配列番号4(ダラツムマブVH)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQ
APGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTL
YLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVT
VSS
【0265】
配列番号5(ダラツムマブVL)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQK
PGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE
PEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIK
【0266】
配列番号6(ダラツムマブHCDR1)
SFAMS
【0267】
配列番号7(ダラツムマブHCDR2)
AISGSGGGTYYADSVKG
【0268】
配列番号8(ダラツムマブHCDR3)
DKILWFGEPVFDY
【0269】
配列番号9(ダラツムマブLCDR1)
RASQSVSSYLA
【0270】
配列番号10(ダラツムマブLCDR2)
DASNRAT
【0271】
配列番号11(ダラツムマブLCDR3)
QQRSNWPPTF
【0272】
配列番号12(ダラツムマブHC)
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAVSGFTFNSFAMSWVRQ
APGKGLEWVSAISGSGGGTYYADSVKGRFTISRDNSKNTL
YLQMNSLRAEDTAVYFCAKDKILWFGEPVFDYWGQGTLVT
VSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPV
TVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLG
TQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEL
LGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVK
FNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWL
NGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPS
REEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTT
PPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHN
HYTQKSLSLSPGK
【0273】
配列番号13(ダラツムマブLC)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQK
PGQAPRLLIYDASNRATGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE
PEDFAVYYCQQRSNWPPTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFP
PSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNS
QESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQ
GLSSPVTKSFNRGEC
【0274】
配列番号14
QVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSSYAFSWVRQ
APGQGLEWMGRVIPFLGIANSAQKFQGRVTITADKSTSTA
YMDLSSLRSEDTAVYYCARDDIAALGPFDYWGQGTLVTVS
SAS
【0275】
配列番号15
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQK
PEKAPKSLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQ
PEDFATYYCQQYNSYPRTFGQGTKVEIK
【0276】
配列番号16
EVQLVQSGAEVKKPGESLKISCKGSGYSFSNYWIGWVRQ
MPGKGLEWMGIIYPHDSDARYSPSFQGQVTFSADKSISTA
YLQWSSLKASDTAMYYCARHVGWGSRYWYFDLWGRGTLVT
VSS
【0277】
配列番号17
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVSSYLAWYQQK
PGQAPGLLIYDASNRASGIPARFSGSGSGTDFTLTISSLE
PEDFAVYYCQQRSNWPLTFGGGTKVEIK
【0278】
配列番号18
QVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYYMNWVRQ
APGKGLEWVSGISGDPSNTYYADSVKGRFTISRDNSKNTL
YLQMNSLRAEDTAVYYCARDLPLVYTGFAYWGQGTLVTVS
S
【0279】
配列番号19
DIELTQPPSVSVAPGQTARISCSGDNLRHYYVYWYQQKP
GQAPVLVIYGDSKRPSGIPERFSGSNSGNTATLTISGTQA
EDEADYYCQTYTGGASLVFGGGTKLTVLGQ
【0280】
配列番号20
QVQLVQSGAEVAKPGTSVKLSCKASGYTFTDYWMQWVKQ
RPGQGLEWIGTIYPGDGDTGYAQKFQGKATLTADKSSKTV
YMHLSSLASEDSAVYYCARGDYYGSNSLDYWGQGTSVTVS
S
【0281】
配列番号21
DIVMTQSHLSMSTSLGDPVSITCKASQDVSTVVAWYQQK
PGQSPRRLIYSASYRYIGVPDRFTGSGAGTDFTFTISSVQ
AEDLAVYYCQQHYSPPYTFGGGTKLEIK
【0282】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0284】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、BCMA×CD3二重特異性
抗体、GPRC5D×CD3二重特異性抗体、CD33×CD3二重特異性抗体、CD1
9×CD3二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、PSMA×CD3二重
特異性抗体、又はTMEFF2×CD3二重特異性抗体である。
【0285】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、BCMA×CD3二重特異性
抗体である。
【0286】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、GPRC5D×CD3二重特
異性抗体である。
【0287】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD33×CD3二重特異性
抗体であり、
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD19×CD3二重特異性
抗体である。
【0288】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD123×CD3二重特異
性抗体である。
【0289】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、PSMA×CD3二重特異性
抗体である。
【0290】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、TMEFF2×CD3二重特
異性抗体である。
【0291】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(autologo
us stem cell transplant、ASCT)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び
標的化癌療法からなる群から選択される。
【0293】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)である。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、放射線である。い
くつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、手術である。いくつかの実施形
態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、化学療法剤である。いくつかの実施形態では、
1つ又は2つ以上の抗癌治療は、免疫調節剤である。いくつかの実施形態では、1つ又は
2つ以上の抗癌治療は、標的化癌療法である。
【0294】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、レナリドミド、サリドマイ
ド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メ
ルファラン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノ
ルビシン、プレドニゾン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチ
ニブ、ポナチニブ、バフェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ
、シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、
デシタビン、クラドリビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、
コルチコステロイド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化
ヒ素、及び全トランス型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選
択される。
【0295】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約8mg/kg~約16mg/kgの用
量で投与される。
【0296】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナ
トリウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(po
lysorbate-20、PS-20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗
体を含み、pH約5.5である、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提
供される。
【0297】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約1,800mgの抗CD38抗体及び
約30,000UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与の
ために提供される。
【0298】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約120mg/mLの抗CD38抗体及
び約2,000U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は
投与のために提供される。
【0299】
いくつかの実施形態では、-CD38抗体は、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される。
【0300】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0301】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0302】
抗CD38抗体とBCMA×CD3二重特異性抗体との組み合わせ
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療することを含む、
方法も提供する。
【0303】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、BCMA×
CD3二重特異性抗体の投与前に抗CD38抗体で治療されている、方法も提供する。
【0304】
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、以前の抗癌
治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も提供する。
【0305】
JNJ-957などのBCMA×CD3二重特異性抗体などのT細胞リダイレクト治療
薬は、多発性骨髄腫細胞などのBCMA陽性腫瘍細胞にT細胞をリダイレクトし、その後
、パーフォリン/グランザイム放出又はFASL/FAS経路の活性化、及び最終的には
BCMA陽性腫瘍細胞死の死が続く。したがって、BCMA×CD3二重特異性抗体など
のT細胞リダイレクト治療薬の有効性は、動員されたT細胞の利用可能性及び活性、並び
に腫瘍細胞上でのBCMAなどの腫瘍関連抗原の可能な調節された発現によって影響され
得る。
【0306】
いくつかの実施形態では、癌は、BCMA発現癌である。
【0307】
B細胞成熟抗原(B-cell maturation antigen、BCMA)は、B細胞の形質細胞への
分化に関与する細胞膜結合腫瘍壊死因子受容体ファミリーメンバーである。BCMAの発
現は、B細胞系列に制限され、その系統では、それは、主に胚中心の濾胞内領域内、及び
分化した形質細胞及び形質芽球上で発現される。BCMAは、ナイーブ及びメモリーB細
胞上には実質的に存在しない(Tai and Anderson,Immunothe
rapy 7:1187-99,2015)。
【0308】
いくつかの実施形態では、癌は、血液悪性腫瘍である。
【0309】
いくつかの実施形態では、癌は、多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、良性単クロ
ーン性γグロブリン血症(MGUS)、B細胞急性リンパ芽球性白血病、びまん性大細胞
型B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、ワル
デンストレーム高ガンマグロブリン血症、形質細胞白血病、軽鎖アミロイドーシス、又は
非ホジキンリンパ腫である。経験のある医師が、癌診断を行う。
【0310】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体若しくはレナリドミド、又はこれら
の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である。
【0311】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性
である。いくつかの実施形態では、対象は、レナリドミドによる治療に対して再発又は難
治性である。
【0312】
いくつかの実施形態では、対象は、多発性骨髄腫又は他の血液悪性腫瘍を治療するため
に使用される治療薬などの、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である
。
【0313】
いくつかの実施形態では、対象は、THALOMID(登録商標)(サリドマイド)、
REVLIMID(登録商標)(レナリドミド)、POMALYST(登録商標)(ポマ
リドミド)、VELCADE(登録商標)(ボルテゾミブ)、NINLARO(イキサゾ
ミブ)、KYPROLIS(登録商標)(カルフィルゾミブ)、FARADYK(登録商
標)(パノノスタット)、AREDIA(登録商標)(パミドロネート)、ZOMETA
(登録商標)(ゾレドロン酸)、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)、エロ
トズマブ、又はメルファランによる治療に対して難治又は再発性である。
【0314】
いくつかの実施形態では、対象は、DARZALEX(登録商標)(ダラツムマブ)に
よる治療に対して再発性である。
【0315】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体は、抗
原結合断片である。例示的な抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fd、及びFv
断片である。
【0316】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、キメラ、ヒト化、又は
ヒトである。
【0317】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、IgG1、IgG2、
IgG3、又はIgG4アイソタイプである。
【0318】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプ
である。
【0319】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、配列番号23のHCD
R1、配列番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、配列番号26のLCDR
1、配列番号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3を含むBCMA結合ドメ
イン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のH
CDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38の
LCDR3を含むCD3結合ドメインを含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、BCMA結合ドメインは、配列番号29のVH及び配列番号
30のVLを含み、CD3結合ドメインは、配列番号39のVH及び配列番号40のVL
を含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプ
であり、第1の重鎖(HC1)の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン
、並びに第2の重鎖(HC2)の405位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基
の番号付けは、EUインデックスに従う。
【0322】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、HC1及びHC2の両
方の228位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、配列番号31のHC1
、配列番号32の第1の軽鎖(LC1)、配列番号41のHC2、及び配列番号42の第
2の軽鎖(LC2)を含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、BI836909、P
F-06863135、AMG-701、又はCC-93269である。
【0325】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0326】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0327】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12の重鎖(HC)及び配列番
号13の軽鎖(LC)を含む。
【0328】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、DARZALEX(登録商標)(ダラツ
ムマブ)である。
【0329】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0330】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、キメラ、ヒト化、又はヒトである。
【0331】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はI
gG4アイソタイプである。
【0332】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0333】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約8mg/kg~約16mg/kgの用
量で投与される。
【0334】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体は、静
脈内注射によって投与される。
【0335】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、静脈内注射によって投
与され、抗CD38抗体は、皮下注射によって投与される。
【0336】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体は、皮
下注射によって投与される。
【0337】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0338】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択され
る。
【0339】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、レナリドミド、サリドマイ
ド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メ
ルファラン、プレドニゾン、若しくはデキサメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせか
らなる群から選択される。
【0340】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナ
トリウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(P
S-20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約
5.5である、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される。
【0341】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約1,800mgの抗CD38抗体及び
約30,000UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与の
ために提供される。
【0342】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約120mg/mLの抗CD38抗体及
び約2,000U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は
投与のために提供される。
【0343】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される。
【0344】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0345】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0346】
多発性骨髄腫などの癌を有する対象に与えられるBCMA×CD3二重特異性抗体及び
抗CD38抗体の用量は、治療される疾患を緩和するか、又はそれを少なくとも部分的に
阻止するのに十分(「治療に有効な量」)であり、約0.005mg~約100mg/k
g、例えば、約0.05mg~約30mg/kg若しくは約5mg~約25mg/kg、
又は約4mg/kg、約8mg/kg、約16mg/kg、若しくは約24mg/kgの
抗体を含む。好適な用量としては、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、1
0、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40
、50、60、70、80、90、又は100mg/kgが挙げられる。
【0347】
BCMA×CD3二重特異性抗体及び/又は抗CD38抗体の固定単位用量、例えば、
50、100、200、500、若しくは1000mgが投与される場合もあり、又はこ
の用量は、患者の表面積に基づいて、例えば、500、400、300、250、200
、若しくは100mg/m2であり得る。通常、多発性骨髄腫などの癌を治療するために
1~8回の間の用量(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8回)が投与され得る
が、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20回、又は
それ以上の用量が与えられる場合がある。
【0348】
BCMA×CD3二重特異性抗体及び/又は抗CD38抗体の投与は、1日、2日、3
日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2
ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれ以上後に繰り返され得る。治療コース
を繰り返してもよく、長期にわたる投与も同様に可能である。繰り返し投与は、同一用量
であっても異なる用量であってもよい。例えば、BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗
CD38抗体は、静脈内注入により、8mg/kg又は16mg/kgで1週間間隔で8
週間にわたって投与され、その後、8mg/kg又は16mg/kgで2週間毎に更に1
6週間にわたって投与され、その後、8mg/kg又は16mg/kgで4週間毎に投与
され得る。
【0349】
BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体は、例えば、6ヶ月又はそれ以上
の期間にわたって週1回などの維持療法によって投与され得る。例えば、BCMA×CD
3二重特異性抗体及び抗CD38抗体は、24、12、8、6、4、又は2時間毎の単回
用量又は分割用量を使用して、若しくはこれらの組み合わせを使用して、約0.1mg/
kg~約100mg/kgの量の1日投薬量として、例えば、1日当たり0.5、0.9
、1.0、1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13
、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、
27、28、29、30、40、45、50、60、70、80、90又は100mg/
kgで、治療開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、
14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、2
7、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、又は
40日目のうちの少なくとも1日に、あるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20週目のうちの
少なくとも1週に、あるいはこれらの組み合わせで提供されてもよい。
【0350】
BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体はまた、多発性骨髄腫などの癌を
発症するリスクを低減し、癌の進行におけるイベントの発生の開始を遅延させ、かつ/又
は癌が緩解した際の再発リスクを低減するために、予防的に投与されてもよい。
【0351】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、対象に抗CD38抗体
を投与した後に対象に投与される。BCMA×CD3二重特異性抗体は、抗CD38抗体
の投与後、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、5週間、6週間、7週間、2ヶ月、3ヶ月
、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、又はそれ以上後に投与され得る。いくつかの実施形態では、
BCMA×CD3抗体を投与した対象は、抗CD38抗体による治療に対して耐性及び/
又は難治性である。
【0352】
本発明はまた、配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含むBCMA結合ドメイ
ン、並びに配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む
BCMA×CD3二重特異性抗体と、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む抗C
D38抗体とを含む、医薬組成物も提供する。
【0353】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、配列番号31のHC1、配列番号32のLC
1、配列番号41のHC2、配列番号42のLC2を含むBCMA×CD3二重特異性抗
体、並びに配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む抗CD38抗体を含む。
【0354】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、非固定組み合わせである。
【0355】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリ
ウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-
20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.
5である。
【0356】
BCMA×CD3二重特異性抗体は、約20mg/mL~約120mg/mLの抗体、
酢酸、ヒスチジン、塩化ナトリウム、マンニトール、及び/又はポリソルベート-20を
含む医薬組成物として製剤化され得る。
【0357】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1,800mgの抗CD38抗体及び約3
0,000UのrHuPH20を含む。
【0358】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約120mg/mLの抗CD38抗体及び約
2,000U/mLのrHuPH20を含む。
【0359】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む。
【0360】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の賦形剤は、ヒスチジン、メチオニン、ソ
ルビトール、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合
わせである。
【0361】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約5mM~約15mMのヒスチジン中に製剤化された約100mg/mL~約120m
g/mLの抗CD38抗体と、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
。
【0362】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約10mMのヒスチジンを含む。
【0363】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約300mMのソルビトールを含む。
【0364】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約0.04%(w/v)のPS-20を含む
。
【0365】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、約1mg/mLのメチオニンを含む。
【0366】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0367】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0368】
本開示はまた、BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体を含む医薬組成物
を含むキットも提供する。
【0369】
再発又は難治性対象におけるBCMA×CD3二重特異性抗体による治療
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のBCMA×
CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、以前の抗癌
治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も提供する。
【0370】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、配列番号23のHCD
R1、配列番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、配列番号26のLCDR
1、配列番号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3を含むBCMA結合ドメ
イン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のH
CDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38の
LCDR3を含むCD3結合ドメインを含む。
【0371】
いくつかの実施形態では、BCMA結合ドメインは、配列番号29のVH及び配列番号
30のVLを含み、CD3結合ドメインは、配列番号39のVH及び配列番号40のVL
を含む。
【0372】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプ
であり、HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2
の405位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けは、EUインデック
スに従う。
【0373】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、HC1及びHC2の両
方の228位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む。
【0374】
いくつかの実施形態では、BCMA×CD3二重特異性抗体は、配列番号31のHC1
、配列番号32のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む。
【0375】
いくつかの実施形態では、癌は、血液悪性腫瘍である。
【0376】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫である。
【0377】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスク多発性骨髄腫である。
【0378】
いくつかの実施形態では、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
。
【0379】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポ
マリドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくは
サリドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である
。
【0380】
いくつかの実施形態では、対象は、レナリドミドによる治療に対して再発又は難治性で
ある。いくつかの実施形態では、対象は、ボルテゾミブによる治療に対して再発又は難治
性である。いくつかの実施形態では、対象は、ポマリドミドによる治療に対して再発又は
難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、カルフィルゾミブによる治療に対して
再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、エロトズマブによる治療に対
して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、イキサゾミブによる治療
に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、メルファランによる
治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、サリドマイドに
よる治療に対して再発又は難治性である。
【0381】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体による治療に対して再発性である。
【0382】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0383】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0384】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0385】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0386】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0387】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0388】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0389】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0390】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択され
る。
【0391】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、レナリドミド、サリドマイ
ド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メ
ルファラン、プレドニゾン、若しくはデキサメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせか
らなる群から選択される。
【0392】
GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体による併用療法
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のGPRC5
Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療
することを含む、方法も提供する。
【0393】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレ
クト治療薬の投与前に対象に投与される。
【0394】
いくつかの実施形態では、対象は、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治
性である。
【0395】
いくつかの実施形態では、癌は、GPRC5D発現癌である。
【0396】
いくつかの実施形態では、GPRC5D発現癌は、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である。
【0397】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病、リンパ腫、又は多発性骨髄腫であ
る。
【0398】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、白血病である。いくつかの実施形態では、
血液悪性腫瘍は、リンパ腫である。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、多発性骨
髄腫である。
【0399】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、卵巣癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、
膵癌、結腸癌、食道癌、膀胱癌、子宮頸癌、又は悪性黒色腫である。
【0400】
GPRC5Dは、これらの腫瘍において発現されることが開示されており、例えば、国
際公開第2018/147245号を参照されたい。
【0401】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポ
マリドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくは
サリドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である
。
【0402】
いくつかの実施形態では、対象は、レナリドミドによる治療に対して再発又は難治性で
ある。いくつかの実施形態では、対象は、ボルテゾミブによる治療に対して再発又は難治
性である。いくつかの実施形態では、対象は、ポマリドミドによる治療に対して再発又は
難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、カルフィルゾミブによる治療に対して
再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、エロトズマブによる治療に対
して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、イキサゾミブによる治療
に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、メルファランによる
治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、サリドマイドに
よる治療に対して再発又は難治性である。いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38
抗体による治療に対して再発又は難治性である。
【0403】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、新たに診断された多発性骨髄腫である。
【0404】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、再発又は難治性多発性骨髄腫である。
【0405】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスク多発性骨髄腫である。
【0406】
いくつかの実施形態では、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
。
【0407】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD3、CD3イプシロン(
CD3ε)、CD8、KI2L4、NKG2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、
CD186、BTNL8、PD-1、CD195、又はNKG2Cに結合する。
【0408】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、配列番号43のHCDR1、
配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配
列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイ
ン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHC
DR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のL
CDR3を含むCD3結合ドメインを含む。
【0409】
いくつかの実施形態では、GPRC5D結合ドメインは、配列番号49のVH及び配列
番号50のVLを含み、CD3結合ドメインは、配列番号39のVH及び配列番号40の
VLを含む。
【0410】
いくつかの実施形態では、GPRC5Cに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、多重
特異性抗体、CAR、又はCARを発現するT細胞である。
【0411】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はI
gG4アイソタイプである。
【0412】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、IgG1アイソタイプである。いくつか
の実施形態では、多重特異性抗体は、IgG2アイソタイプである。いくつかの実施形態
では、多重特異性抗体は、IgG3アイソタイプである。いくつかの実施形態では、多重
特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0413】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、多重特異性抗体のFcγ受容体(Fcγ
R)への結合を低減する1つ又は2つ以上のFc置換を含む。
【0414】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のFc置換は、IgG4上のF234A/
L235A、IgG1上のL234A/L235A、IgG2上のV234A/G237
A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4上のF2
34A/L235A、IgG4上のS228P/F234A/L235A、全てのIgア
イソタイプ上のN297A、IgG2上のV234A/G237A、IgG1上のK21
4T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/
D365E/L358M、IgG2上のH268Q/V309L/A330S/P331
S、IgG1上のS267E/L328F、IgG1上のL234F/L235E/D2
65A、IgG1上のL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/
A330S/P331S、IgG4上のS228P/F234A/L235A/G237
A/P238S、及びIgG4上のS228P/F234A/L235A/G236欠失
/G237A/P238Sからなる群から選択され、残基の番号付けは、EUインデック
スに従う。
【0415】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、S228P置換を更に含む。
【0416】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、第1のCH3ドメイン若しくは第2のC
H3ドメインに、又は第1のCH3ドメイン及び第2のCH3ドメインの両方に、1つ又
は2つ以上の非対称置換を含む。
【0417】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の非対称置換は、F450L/K409R
、野生型/F409L_R409K、T366Y/F405A、T366W/F405W
、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T36
6W/T394S、F405W/T394S及びT366W/T366S_L368A_
Y407V、L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392
M_T394W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F4
05A_Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_
Y407A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、並びにT
350V_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L
_T394Wからなる群から選択される。
【0418】
いくつかの実施形態では、多重特異性抗体は、配列番号51のHC1、配列番号52の
LC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む。
【0419】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0420】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0421】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0422】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0423】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0424】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0425】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約8mg/kg~約16mg/kgの用
量で投与される。
【0426】
いくつかの実施形態では、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗C
D38抗体は、静脈内注射によって投与される。
【0427】
いくつかの実施形態では、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、静脈
内注射によって投与され、抗CD38抗体は、皮下注射によって投与される。
【0428】
いくつかの実施形態では、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗C
D38抗体は、皮下注射によって投与される。
【0429】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0430】
いくつかの実施形態では、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬は、GP
RC5D×CD3二重特異性抗体である。
【0431】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0432】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択され
る。
【0433】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、レナリドミド、サリドマイ
ド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メ
ルファラン、デキサメタゾン、又はプレドニゾンからなる群から選択される。
【0434】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナ
トリウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(P
S-20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約
5.5である、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される。
【0435】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約1,800mgの抗CD38抗体及び
約30,000UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与の
ために提供される。
【0436】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約120mg/mLの抗CD38抗体及
び約2,000U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は
投与のために提供される。
【0437】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される。
【0438】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0439】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される。
【0440】
本開示はまた、配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45
のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号4
8のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配
列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列
番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメインを含む
GPRC5D×CD3二重特異性抗体と、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCD
R2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、
及び配列番号11のLCDR3を含む抗CD38抗体とを含む、医薬組み合わせも提供す
る。
【0441】
いくつかの実施形態では、GPRC5D結合ドメインは、配列番号49のVH及び配列
番号50のVLを含み、CD3結合ドメインは、配列番号39のVH及び配列番号40の
VLを含み、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む。
【0442】
いくつかの実施形態では、GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、配列番号51のH
C1、配列番号52のLC1、配列番号41のHC2、配列番号42のLC2を含み、抗
CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む。
【0443】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、非固定組み合わせである。
【0444】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナ
トリウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(P
S-20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約
5.5である。
【0445】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約1,800mgの抗CD38抗体及び
約30,000UのrHuPH20を含む。
【0446】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約120mg/mLの抗CD38抗体及
び約2,000U/mLのrHuPH20を含む。
【0447】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む。
【0448】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の賦形剤は、ヒスチジン、メチオニン、ソ
ルビトール、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合
わせである。
【0449】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
。
【0450】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約10mMのヒスチジンを含む。
【0451】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約300mMのソルビトールを含む。
【0452】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約0.04%(w/v)のPS-20を
含む。
【0453】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約1mg/mLのメチオニンを含む。
【0454】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0455】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0456】
本開示はまた、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体
を含む医薬組み合わせも提供する。
【0457】
再発又は難治性対象におけるGPRC5D×CD3二重特異性抗体による治療
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のGPRC5
D×CD3二重特異性抗体を対象に投与して、癌を治療することを含み、対象が、以前の
抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である、方法も提供する。
【0458】
いくつかの実施形態では、GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、配列番号43のH
CDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLC
DR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D
結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号
35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番
号38のLCDR3を含むCD3結合ドメインを含む。
【0459】
いくつかの実施形態では、GPRC5D結合ドメインは、配列番号49のVH及び配列
番号50のVLを含み、CD3結合ドメインは、配列番号39のVH及び配列番号40の
VLを含む。
【0460】
いくつかの実施形態では、GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタ
イプであり、HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにH
C2の405位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けは、EUインデ
ックスに従う。
【0461】
いくつかの実施形態では、GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、HC1及びHC2
の両方の228位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む
。
【0462】
いくつかの実施形態では、GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、配列番号51のH
C1、配列番号52のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む
。
【0463】
いくつかの実施形態では、癌は、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である。
【0464】
いくつかの実施形態では、癌は、多発性骨髄腫、リンパ腫、黒色腫、乳癌、子宮内膜癌
、卵巣癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、結腸癌、食道癌、膀胱癌、又は子
宮頸癌である。
【0465】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫は、高リスク多発性骨髄腫である。
【0466】
いくつかの実施形態では、高リスク多発性骨髄腫を有する対象は、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
。
【0467】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポ
マリドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくは
サリドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である
。
【0468】
いくつかの実施形態では、対象は、抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性
である。
【0469】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0470】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0471】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0472】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0473】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0474】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0475】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0476】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0477】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択され
る。
【0478】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、レナリドミド、サリドマイ
ド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メ
ルファラン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノ
ルビシン、プレドニゾン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチ
ニブ、ポナチニブ、バフェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ
、シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、
デシタビン、クラドリビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、
コルチコステロイド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化
ヒ素、及び全トランス型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選
択される。
【0479】
CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体による併用療法
本開示はまた、対象において癌を治療する方法であって、治療に有効な量のCD19に
結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体を対象に投与して、癌を治療する
ことを含む、方法も提供する。
【0480】
いくつかの実施形態では、対象は、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬の投
与前に抗CD38抗体で治療されている。
【0481】
本開示はまた、癌を有する対象におけるCD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬
の有効性を向上させる方法であって、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬の投
与前に対象に抗CD38抗体を投与することを含む、方法も提供する。
【0482】
いくつかの実施形態では、対象は、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治
性である。
【0483】
いくつかの実施形態では、癌は、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である。
【0484】
いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、ホジキンリン
パ腫、非ホジキンリンパ腫、DLBLC、FL、MCL、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL
)、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、CLL、ALL、AML、ワルデンスト
レーム高ガンマグロブリン血症、又はT細胞リンパ腫である。
【0485】
いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、肺癌、肝癌、子宮頸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌
、膵癌、黒色腫、神経膠芽腫、前立腺癌、食道癌、又は胃癌である。国際公開第2019
/057124(A1)号は、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬による治療
に適している癌を開示している。
【0486】
いくつかの実施形態では、T細胞リダイレクト治療薬は、CD3イプシロン(CD3ε
)、CD8、KI2L4、NKG2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、CD18
6、BTNL8、PD-1、CD195、又はNKG2Cに結合する。
【0487】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、ブリナツ
モマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、チサゲンレクルユーセル-t、イネビリズマブ
、リソカブタゲンマラルユーセル、XmAb-5574、CIK-CAR.CD19、I
CTCAR-011、IM-19、JCAR-014、ロンカスツキシマブテシリン、M
B-CART2019.1、OXS-1550、PBCAR-0191、PCAR-01
9、PCAR-119、Senl-001、TI-1007、XmAb-5871、PT
G-01、PZ01、Senl_1904A、Senl_1904B、UCART-19
、CSG-CD19、DI-B4、ET-190、GC-007F、又はGC-022の
CD19結合ドメインを含む。
【0488】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、ブリナツ
モマブ、アキシカブタゲンシロロイセル、チサゲンレクルユーセル-t、イネビリズマブ
、リソカブタゲンマラルユーセル、XmAb-5574、CIK-CAR.CD19、I
CTCAR-011、IM-19、JCAR-014、ロンカスツキシマブテシリン、M
B-CART2019.1、OXS-1550、PBCAR-0191、PCAR-01
9、PCAR-119、Senl-001、TI-1007、XmAb-5871、PT
G-01、PZ01、Senl_1904A、Senl_1904B、UCART-19
、CSG-CD19、DI-B4、ET-190、GC-007F、又はGC-022を
含む。
【0489】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、多重特異
性抗体、CAR、又はCARを発現するT細胞である。
【0490】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号6のHCDR1、配列番号7の
HCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCD
R2、及び配列番号11のLCDR3を含む。
【0491】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0492】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0493】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0494】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む。
【0495】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、IgG1アイソタイプである。
【0496】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、約8mg/kg~約16mg/kgの用
量で投与される。
【0497】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD3
8抗体は、静脈内注射によって投与される。
【0498】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、静脈内注
射によって投与され、抗CD38抗体は、皮下注射によって投与される。
【0499】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD3
8抗体は、皮下注射によって投与される。
【0500】
いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0501】
いくつかの実施形態では、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬は、CD19
×CD3二重特異性抗体である。
【0502】
いくつかの実施形態では、本方法は、対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを
更に含む。
【0503】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の抗癌治療は、自家幹細胞移植(ASCT
)、放射線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択され
る。
【0504】
本開示はまた、配列番号53のブリナツモマブを含むCD19×CD3二重特異性抗体
、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番
号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号11のLCDR3を含む抗
CD38抗体を含む、医薬組み合わせも提供する。
【0505】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号4のVH及び配列番号5のVL
を含む。
【0506】
いくつかの実施形態では、抗CD38抗体は、配列番号12のHC及び配列番号13の
LCを含む。
【0507】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、非固定組み合わせである。
【0508】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナ
トリウム、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(P
S-20)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約
5.5である。
【0509】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約1,800mgの抗CD38抗体及び
約30,000UのrHuPH20を含む。
【0510】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約120mg/mLの抗CD38抗体及
び約2,000U/mLのrHuPH20を含む。
【0511】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む。
【0512】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の賦形剤は、ヒスチジン、メチオニン、ソ
ルビトール、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合
わせである。
【0513】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
。
【0514】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約10mMのヒスチジンを含む。
【0515】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約300mMのソルビトールを含む。
【0516】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約0.04%(w/v)のPS-20を
含む。
【0517】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、約1mg/mLのメチオニンを含む。
【0518】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0519】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である。
【0520】
いくつかの実施形態では、医薬組み合わせは、クエン酸一水和物(3.35mg)、塩
酸リジン(23.23mg)、ポリソルベート80(0.64mg)、トレハロース二水
和物(95.5mg)、及び水酸化ナトリウムと共に製剤化して、pHを7.0に調節し
た35mcgのブリナツモマブを含む。
【0521】
いくつかの実施形態では、ブリナツモマブは、3mLの保存剤を含まない注射用滅菌水
、USPによる再構成物である。
【0522】
配列番号53のブリナツモマブ、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、
配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配
列番号11のLCDR3を含む抗CD38抗体を含む医薬組み合わせを含む、キット。
【0523】
T細胞リダイレクト治療薬
多重特異性抗体
T細胞リダイレクト治療薬は、二重特異性抗体などの多重特異性分子であってもよい。
様々な多重特異性及び/又は二重特異性形式には、本明細書に記載の形式及び組み換えI
gG様二重標的分子(分子の2つの側が各々、少なくとも2つの異なる抗体のFab断片
又はFab断片の一部を含有する)、IgG融合分子(完全長IgG抗体が、余分のFa
b断片又はFab断片の一部に融合される)、Fc融合分子(一本鎖Fv分子又は安定化
されたダイアボディが、重鎖定常ドメイン、Fc領域、又はその一部に融合される)、F
ab融合分子(異なるFab断片が1つに融合される)、ScFv及びダイアボディに基
づく抗体及び重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)(異なる一本鎖Fv分子又
は異なるダイアボディ又は異なる重鎖抗体(例えば、ドメイン抗体、ナノボディ)が互い
に融合されるか、あるいは別のタンパク質若しくは担体分子、又はアーム交換によって生
成された多重特異性抗体に融合される)が含まれる。例示的な多重特異性及び/又は二重
特異性形式は、二重標的分子を含むは、二重標的(Dual Targeting、DT)-Ig(GS
K/Domantis)、2in1(Two-in-one)抗体(Genentech)、及びm
Ab2(F-Star)、二重可変ドメイン(DVD)-Ig(Abbott)、Ts2
Ab(MedImmune/AZ)、及びBsAb(Zymogenetics)、HE
RCULES(Biogen Idec)、及びTvAb(Roche)、ScFv/F
c融合体(Academic Institution)、SCORPION(Emer
gent BioSolutions/Trubion、Zymogenetics/B
MS)、及び二重親和性再標的技術(Dual Affinity Retargeting Technology、Fc-D
ART)(MacroGenics)、F(ab)2(Medarex/AMGEN)、
二重活性又はBis-Fab(Genentech)、Dock-and-Lock(D
NL)(ImmunoMedics)、二価二重特異性(Biotecnol)、及びF
ab-Fv(UCB-Celltech)、二重特異性T細胞エンゲージャー(Bispecif
ic T Cell Engager、BITE)(Micromet)、タンデムダイアボディ(Tandem
Diabody、Tandab)(Affimed)、二重親和性再標的技術(DART)(M
acroGenics)、一本鎖ダイアボディ(Academic)、TCR様抗体(A
IT、ReceptorLogics)、ヒト血清アルブミンScFv融合体(Merr
imack)、及びCOMBODY(Epigen Biotech)、二重標的ナノボ
ディ(Ablynx)、二重標的重鎖のみドメイン抗体を含む。様々な形式の二重特異性
抗体は、例えば、Chames and Baty(2009)Curr Opin D
rug Disc Dev 12:276及びNunez-Prado et al.,
(2015)Drug Discovery Today 20(5):588-594
に記載されている。
【0524】
本発明の方法で使用される抗体を生成する方法
特定の抗原に結合する本発明の方法で使用される抗体は、例えば、ファージディスプレ
イライブラリから新たに選択されてもよく、その場合、ファージは、ヒト免疫グロブリン
又はその一部分(Fab、一本鎖抗体(scFv)、又は対をなさない若しくは対をなし
た抗体可変領域など)を発現するように操作される(Knappik et al.,J
Mol Biol296:57-86,2000、Krebs et al.,J I
mmunol Meth 254:67-84,2001、Vaughan et al
.,Nature Biotechnology14:309-14,1996、She
ets et al.,PITAS(USA)95:6157-62,1998、Hoo
genboom and Winter,J Mol Biol 227:381,19
91、Marks et al.,J Mol Biol222:581,1991)。
Shi et al(2010)J.Mol.Biol.397:385-96及び国際
公開第2009/085462号に記載のバクテリオファージpIXコートタンパク質と
の融合タンパク質として抗体重鎖及び軽鎖可変領域を発現するファージディスプレイライ
ブラリ。抗体ライブラリをBCMA、CD3、CD38、CD123、CD19、CD3
3、PSMA、又はTMEFF2細胞外ドメインなどの所望の抗原への結合に関してスク
リーニングし、得られた陽性クローンを更に特徴付け、クローンライセートからFabを
単離した後、完全長抗体としてクローニングすることができる。ヒト抗体を単離するため
のそのようなファージディスプレイ法は、当該技術分野にて確立されている。例えば、米
国特許第5,223,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,57
1,698号、米国特許第5,427,908号、米国特許第5,580,717号、米
国特許第5,969,108号、米国特許第6,172,197号、米国特許第5,88
5,793号、米国特許第6,521,404号、米国特許第6,544,731号、米
国特許第6,555,313号、米国特許第6,582,915号、及び米国特許第6,
593,081号を参照されたい。
【0525】
T細胞リダイレクト二重特異性抗体は、国際公開第2011/131746号に記載の
方法に従って、無細胞環境下、インビトロにおいて、2つの単一特異性ホモ二量体抗体の
CH3領域中にそれぞれに異なる(asymmetrical)変異を導入し、ジスルフィド結合を異
性化させる還元条件下において、2つの親単一特異性ホモ二量体抗体から二重特異性ヘテ
ロ二量体抗体を形成することにより生成されてもよい。この方法では、ヘテロ二量体の安
定性を促進する特定の置換をCH3ドメインに有するように、2つの単一特異性二価抗体
を遺伝子操作する。これらの抗体は、ヒンジ領域におけるシステインがジスルフィド結合
を異性化させるのに十分な還元条件下において共にインキュベートされ、それにより、F
abアーム交換により二重特異性抗体が生成される。インキュベート条件は、最適には、
非還元条件に戻され得る。使用され得る代表的な還元剤は、2-メルカプトエチルアミン
(2-MEA)、ジチオスレイトール(DTT)、ジチオエリスリトール(DTE)、グ
ルタチオン、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、L-システイン
、及びβ-メルカプトエタノールであり、好ましくは、2-メルカプトエチルアミン、ジ
チオスレイトール、及びトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンからなる群から選択
される還元剤である。例えば、少なくとも20℃の温度で、少なくとも25mMの2-M
EAの存在下又は少なくとも0.5mMのジチオスレイトールの存在下で、pH5~8、
例えばpH7.0又はpH7.4で、少なくとも90分間のインキュベートを用いること
ができる。
【0526】
二重特異性抗体の第1の重鎖及び第2の重鎖に使用され得る代表的なCH3の変異は、
K409R及び/又はF405Lである。
【0527】
使用され得る追加のCH3変異には、Duobody(登録商標)変異(Genmab
)、ノブインホール変異(Genentech)、静電的マッチ変異(Chugai、A
mgen、NovoNordisk、Oncomed)、鎖交換操作ドメインボディ(S
EEDボディ)(EMD Serono)、及び他の非対称変異(例えば、Zymewo
rks)などの技術が含まれる。
【0528】
Duobody(登録商標)変異(Genmab)は、例えば、米国特許第91506
63号及び米国特許出願公開第2014/0303356号に開示されており、例えば、
F405L/K409R、野生型/F405L_R409K、T350I_K370T_
F405L/K409R、K370W/K409R、D399AFGHILMNRSTV
WY/K409R、T366ADEFGHILMQVY/K409R、L368ADEG
HNRSTVQ/K409AGRH、D399FHKRQ/K409AGRH、F405
IKLSTVW/K409AGRH、及びY407LWQ/K409AGRHの変異が含
まれる。
【0529】
ノブインホール変異は、例えば、国際公開第1996/027011号に開示されてお
り、小さい側鎖(ホール)を有するアミノ酸が第1のCH3領域に導入され、大きな側鎖
(ノブ)を有するアミノ酸が第2のCH3領域に導入され、第1のCH3領域と第2のC
H3領域との間に優先的な相互作用をもたらす、CH3領域の界面上の変異が含まれる。
ノブ及びホールを形成する例示的なCH3領域変異は、T366Y/F405A、T36
6W/F405W、F405W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y
407A、T366W/T394S、F405W/T394S、及びT366W/T36
6S_L368A_Y407Vである。
【0530】
重鎖ヘテロ二量体形成は、米国特許出願公開第2010/0015133号、同第20
09/0182127号、同第2010/028637号、又は同第2011/0123
532号に記載のように、第1のCH3領域上の正に荷電した残基及び第2のCH3領域
上の負に荷電した残基を置換することにより、静電相互作用を使用することによって促進
され得る。
【0531】
重鎖ヘテロ二量体化を促進するために使用され得る他の非対称変異は、米国特許出願公
開第2012/0149876号又は同第2013/0195849号に記載のL351
Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T394W/F4
05A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y407V、
L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A/T366
V_K409F、Y407A/T366A_K409F、又はT350V_L351Y_
F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394Wである。
【0532】
SEEDボディ変異は、米国特許出願公開第2007/0287170号に記載のよう
に、選択されたIgG残基をIgA残基と置換して、重鎖ヘテロ二量体化を促進すること
を伴う。
【0533】
使用され得る他の例示的な変異は、国際公開第2007/147901号、国際公開第
2011/143545号、国際公開第2013/157954号、国際公開第2013
/096291号、及び米国特許出願公開第2018/0118849号に記載のR40
9D_K370E/D399K_E357K、S354C_T366W/Y349C_T
366S_L368A_Y407V、Y349C_T366W/S354C_T366S
_L368A_Y407V、T366K/L351D、L351K/Y349E、L35
1K/Y349D、L351K/L368E、L351Y_Y407A/T366A_K
409F、L351Y_Y407A/T366V_K409F、K392D/D399K
、K392D/E356K、K253E_D282K_K322D/D239K_E24
0K_K292D、K392D_K409D/D356K_D399Kである。
【0534】
T細胞リダイレクト治療薬として使用され得る追加の二重特異性又は多重特異性構造に
は、二重可変ドメイン免疫グロブリン(DVD)(国際公開第2009/134776号
、DVDは、VH1-リンカー-VH2-CH構造を有する重鎖と、VL1-リンカー-
VL2-CL構造を有する軽鎖とを含む完全長抗体であり、リンカーは任意である)、ロ
イシンジッパー又はコラーゲン二量化ドメインなどの、異なる特異性を有する2つの抗体
アームを結合するための様々な二量化ドメインを含む構造(国際公開第2012/022
811号、米国特許第5,932,448号、米国特許第6,833,441号)、一緒
にコンジュゲートされた2つ又は3つ以上のドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ、ラ
クダ科抗体及び操作されたラクダ科抗体などの重鎖のみ抗体、二重標的(DT)-Ig(
GSK/Domantis)、2in1抗体(Genentech)、架橋Mab(Ka
rmanos Cancer Center)、mAb2(F-Star)、及びCov
Xボディ(CovX/Pfizer)、IgG様二重特異性(InnClone/Eli
Lilly)、Ts2Ab(MedImmune/AZ)、及びBsAb(Zymog
enetics)、HERCULES(Biogen Idec)、及びTvAb(Ro
che)、ScFv/Fc融合体(Academic Institution)、SC
ORPION(Emergent BioSolutions/Trubion、Zym
ogenetics/BMS)、二重親和性再標的技術(Fc-DART)(Macro
Genics)、及び二重(ScFv)2-Fab(National Researc
h Center for Antibody Medicine--China)、二
重活性又はBis-Fab(Genentech)、Dock-and-Lock(DN
L)(ImmunoMedics)、二価二重特異性(Biotecnol)、及びFa
b-Fv(UCB-Celltech)が含まれる。ScFv抗体、ダイアボディに基づ
く抗体、及びドメイン抗体には、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)(Mic
romet)、タンデムダイアボディ(Tandab)(Affimed)、二重親和性
再標的技術(DART)(MacroGenics)、一本鎖ダイアボディ(Acade
mic)、TCR様抗体(AIT、ReceptorLogics)、ヒト血清アルブミ
ンScFv融合体(Merrimack)、及びCOMBODY(Epigen Bio
tech)、二重標的ナノボディ(Ablynx)、二重標的重鎖のみドメイン抗体が含
まれるが、これらに限定されない。
【0535】
抗体のFc操作
二重特異性若しくは多重特異性抗体又は抗CD38抗体などのT細胞リダイレクト治療
薬のFc領域は、T細胞リダイレクト治療薬の活性化Fcγ受容体(FcγR)への結合
を低減する、かつ/又はC1q結合、補体依存性細胞傷害(complement dependent cytot
oxicity、CDC)、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody-dependent cell-mediate
d cytotoxicity、ADCC)、若しくは貪食作用(antibody-dependent cell-mediated p
hagocytosis、ADCP)などのFcエフェクター機能を低減する、Fc領域における少
なくとも1つの置換を含み得る。
【0536】
Fcの活性化FcγRへの結合を低減した後、エフェクター機能を低減するように置換
され得るFc位置は、IgG1上のL234A/L235A、IgG2上のV234A/
G237A/P238S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4
上のF234A/L235A、IgG4上のS228P/F234A/L235A、全て
のIgアイソタイプ上のN297A、IgG2上のV234A/G237A、IgG1上
のK214T/E233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P3
31A/D365E/L358M、IgG2上のH268Q/V309L/A330S/
P331S、IgG1上のS267E/L328F、IgG1上のL234F/L235
E/D265A、IgG1上のL234A/L235A/G237A/P238S/H2
68A/A330S/P331S、IgG4上のS228P/F234A/L235A/
G237A/P238S、及びIgG4上のS228P/F234A/L235A/G2
36欠失/G237A/P238Sの置換である。
【0537】
CDCを低減するために使用され得るFc置換は、K322A置換である。
【0538】
IgG4の安定性を向上させるために、周知のS228P置換をIgG4抗体に更に行
うことができる。
【0539】
例示的な野生型IgG1は、配列番号103のアミノ酸配列を含む。
【0540】
配列番号103:
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTV
SWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQ
TYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLG
GPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFN
WYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNG
KEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRD
ELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPP
VLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHY
TQKSLSLSPGK
【0541】
例示的な野生型IgG4は、配列番号104のアミノ酸配列を含む。
【0542】
配列番号104:
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTV
SWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTK
TYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPS
VFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYV
DGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEY
KCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMT
KNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLD
SDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQK
SLSLSLGK
【0543】
「抗体依存性細胞傷害」、「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害」、又は「ADCC」は、
エフェクター細胞で発現されるFcγ受容体(FcγR)によって、抗体被覆標的細胞の
、ナチュラルキラー細胞(NK)、単球、マクロファージ、及び好中球などの溶解活性を
有するエフェクター細胞との相互作用に依存して、細胞死を誘導する機序である。例えば
、NK細胞はFcγRIIIaを発現し、一方、単球はFcγRI、FcγRII、及び
FcγRIIIaを発現する。抗体のADCC活性は、抗体が結合するタンパク質を発現
する細胞を標的細胞として、及びNK細胞をエフェクター細胞として使用するインビトロ
アッセイを使用して評価することができる。細胞溶解は、溶解した細胞からの標識(例え
ば、放射性基質、蛍光染料、又は天然の細胞内タンパク質)の放出によって検出すること
ができる。例示的なアッセイでは、標的細胞を、標的細胞1に対してエフェクター細胞4
の比で使用する。標的細胞はBATDAで予め標識し、エフェクター細胞及び試験抗体と
組み合わせる。サンプルを2時間インキュベートし、上清に放出したBATDAを測定す
ることにより、細胞溶解を測定した。0.67%Triton X-100(Sigma
Aldrich)による最大の細胞傷害に対してデータを正規化し、また任意の抗体の
非存在下における標的細胞からのBATDAの自然放出によって最小対照を求める。
【0544】
「抗体依存性細胞貪食作用」(「ADCP」)は、例えば、マクロファージ又は樹状細
胞などの貪食細胞による取り込みにより、抗体被覆標的細胞を排除する機序を指す。AD
CPは、単球由来マクロファージをエフェクター細胞として、及び抗体が結合するタンパ
ク質を発現する細胞をGFP又は別の標識分子を発現するようにも操作された標的細胞と
して使用することによって評価することができる。例示的なアッセイでは、エフェクター
:標的細胞比は、例えば4:1とすることができる。エフェクター細胞は、本発明の抗体
を添加し又は添加せずに、標的細胞と共に4時間インキュベートしてよい。インキュベー
ション後、細胞は、アクターゼを用いて剥離できる。マクロファージは、蛍光標識に結合
した抗CD11b抗体及び抗CD14抗体により識別され得るが、貪食作用の割合は、標
準的な方法を用いて、CD11+及びCD14+マクロファージにおけるGFP蛍光の割
合(%)に基づいて決定され得る。
【0545】
「補体依存性細胞傷害」、すなわち「CDC」は、標的結合抗体のFcエフェクタード
メインが補体成分C1qに結合してこれを活性化し、そのような補体成分C1qが次に補
体カスケードを活性化して標的細胞の細胞死をもたらす、細胞死を誘導するための機序を
指す。補体の活性化はまた、標的細胞表面に対する補体成分の沈着を生じさせ得、白血球
への補体受容体(例えば、CR3)の結合によって、CDCを容易にする。細胞のCDC
は、例えば、Daudi細胞を、RPMI-B(1%のBSAを補給したRPMI)にウ
ェル1つにつき1×105個の細胞(50μL/ウェル)でプレーティングし、50μL
の試験抗体を0~100μg/mLの最終濃度でウェルに添加し、反応物を15分間室温
でインキュベートし、11μLのプールしたヒト血清をウェルに添加し、反応物を45分
間37℃でインキュベートすることによって測定することができる。溶解した細胞の割合
(%)は、標準法を使用して、FACSアッセイにおけるヨウ化プロピジウム染色細胞の
%として検出され得る。
【0546】
抗体の、FcγR又はFcRnへの結合は、フローサイトメトリーを用いて、各受容体
を発現するように改変された細胞にて評価することができる。例示の結合アッセイでは、
96ウェルプレート中1ウェル当たり2×105個の細胞を播種し、BSA Stain
Buffer(BD Biosciences,San Jose,USA)中で4℃
で30分間ブロックした。細胞を、氷上で4℃で1.5時間、試験抗体と共にインキュベ
ートする。BSA染色緩衝液で2回洗浄した後、細胞を、R-PE標識抗ヒトIgG二次
抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories)と
共に4℃で45分間、インキュベートする。細胞を、染色緩衝液で2回洗浄し、その後、
1:200希釈したDRAQ7生/死細胞染色試薬(Cell Signaling T
echnology,Danvers,USA)を含有する150μLのStain B
uffer中に再懸濁する。染色された細胞のPE及びDRAQ7シグナルを、Milt
enyi MACSQuantフローサイトメーター(Miltenyi Biotec
、Auburn,USA)によって、それぞれB2及びB4チャンネルを使用して検出す
る。生細胞をDRAQ7除外でゲートし、収集された少なくとも10,000生細胞イベ
ントについて、幾何平均蛍光シグナルを決定する。解析にはFlowJoソフトウェア(
Tree Star)を使用する。データを、平均蛍光シグナルに対する抗体濃度の対数
としてプロットする。非線形回帰分析を実行する。
【0547】
キメラ抗原受容体(CAR)
キメラ抗原受容体(CAR)は、遺伝子操作された受容体である。これらの操作された
受容体は、当該技術分野で既知の技術に従って、T細胞を含む免疫細胞に容易に挿入し、
それらによって発現させることができる。CARによって、単一の受容体は、特定の抗原
を認識し、その抗原に結合したときに、免疫細胞を活性化して、その抗原を担持する細胞
を攻撃及び破壊するようにプログラミングすることができる。これらの抗原が腫瘍細胞上
に存在する場合、CARを発現する免疫細胞は、腫瘍細胞を標的とし、それらを殺傷する
ことができる。
【0548】
CARは、典型的には、抗原(例えば、前立腺新生抗原)に結合する細胞外ドメイン、
任意のリンカー、膜貫通ドメイン、並びに共刺激ドメイン及び/又はシグナル伝達ドメイ
ンを含む細胞質ドメインを含む。
【0549】
CARの細胞外ドメインは、所望の抗原(例えば、前立腺新生抗原)に結合する任意の
ポリペプチドを含有してもよい。細胞外ドメインは、抗体の一部分又は代替的な足場であ
るscFvを含み得る。CARはまた、タンデムに配置され、リンカー配列によって分離
され得る2つ又は3つ以上の所望の抗原に結合するように操作されてもよい。例えば、1
つ又は2つ以上のドメイン抗体、scFv、ラマVHH抗体、又は他のVHのみ抗体断片
を、リンカーを介してタンデムに構成して、CARに二重特異性又は多重特異性を提供し
てもよい。
【0550】
CARの膜貫通ドメインは、CD8の膜貫通ドメイン、T細胞受容体のアルファ、ベー
タ、若しくはゼータ鎖、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD
8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86
、CD134、CD137、CD154、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、
LFA-1(CDI la、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD1
37)、4-1BBL、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、
SLAMF7、NKp80(KLRFI)、CD160、CD19、IL2Rベータ、I
L2Rガンマ、IL7R a、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4
、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CDI Id、IT
GAE、CD103、ITGAL、CDI la、LFA-1、ITGAM、CDI l
b、ITGAX、CDI lc、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA
-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244
、2B4)、CD84、CD96(触覚)、CEACAM1、CRT AM、Ly9(C
D229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SL
AMF6(NTB-A、Lyl08)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-
3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/
Cbp、NKp44、NKp30、NKp46、NKG2D、及び/又はNKG2Cに由
来し得る。
【0551】
CARの細胞内共刺激ドメインは、1つ又は2つ以上の共刺激分子の細胞内ドメインに
由来し得る。共刺激分子は、抗原への結合時にTリンパ球の効率的な活性化及び機能に必
要な第2のシグナルを提供する、抗原受容体又はFc受容体以外の周知の細胞表面分子で
ある。CARに使用され得る例示的な共刺激ドメインは、4-1BB、CD2、CD7、
CD27、CD28、CD30、CD40、CD54(ICAM)、CD83、CD13
4(OX40)、CD150(SLAMF1)、CD152(CTLA4)、CD223
(LAG3)、CD270(HVEM)、CD278(ICOS)、DAP10、LAT
、NKD2C SLP76、TRIM、及びZAP70の細胞内ドメインである。
【0552】
CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、例えば、O’O3ζ、CD3ε、CD22、
CD79a、CD66d、又はCD39のシグナル伝達ドメインに由来し得る。「細胞内
シグナル伝達ドメイン」は、エフェクター細胞機能を誘発するために、標的抗原への有効
なCAR結合のメッセージの、免疫エフェクター細胞の内部への形質導入に関与して、エ
フェクター細胞機能、例えば、活性化、サイトカイン産生、増殖、及び細胞傷害性活性(
細胞傷害性因子のCAR結合標的細胞への放出、又は細胞外CARドメインへの抗原結合
後に引き出される他の細胞応答を含む)を引き出すCARポリペプチドの一部を指す。
【0553】
細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に位置付けられる任意のCARのリンカーは、
約2~100アミノ酸長のポリペプチドであり得る。リンカーは、隣接するタンパク質ド
メインが互いに対して自由に移動するように、グリシン及びセリンなどの可撓性残基を含
み得るか、又はそれで構成され得る。2つの隣接するドメインが互いに立体的に干渉しな
いことを確実にすることが望ましい場合、より長いリンカーを使用することができる。リ
ンカーは、開裂可能であっても開裂不可能であってもよい。開裂可能なリンカーの例には
、2Aリンカー(例えば、T2A)、2A様リンカー、又はこれらの機能的等価物及びこ
れらの組み合わせが含まれる。リンカーはまた、任意の免疫グロブリンのヒンジ領域又は
ヒンジ領域の一部分に由来し得る。
【0554】
使用され得る例示的なCARは、例えば、本発明の前立腺新生抗原に結合する細胞外ド
メイン、CD8膜貫通ドメイン、及びCD3ζシグナル伝達ドメインを含有するCARで
ある。他の例示的なCARは、本発明の前立腺新生抗原に結合する細胞外ドメイン、CD
8又はCD28膜貫通ドメイン、CD28、41BB、又はOX40共刺激ドメイン、及
びCD3ζシグナル伝達ドメインを含有する。
【0555】
CARは、標準的な分子生物学的技術によって生成される。所望の抗原に結合する細胞
外ドメインは、本明細書に記載の技術を使用して生成された抗体又はそれらの抗原結合断
片に由来し得る。
【0556】
本発明は一般論として記述されてきたが、本発明の実施形態は、特許請求の範囲の範囲
を限定するように解釈されるべきではない以下の実施例で更に開示される。
【0557】
本発明の更なる実施形態
本明細書の他の箇所の開示に従う、本発明の特定の更なる実施形態を以下に記載する。
本明細書に開示される本発明に関連するものとして上述された本発明の実施形態の特徴は
、これらの番号付けされた更なる実施形態のうちの1つ1つにもまた関係する。
【0558】
実施形態1.T細胞リダイレクト治療薬と組み合わせた、癌を有する対象の治療に使用
するための、抗CD38抗体
【0559】
実施形態2.癌を有する対象におけるT細胞リダイレクト治療薬の有効性の向上に使用
するための、抗CD38抗体。
【0560】
実施形態3.T細胞リダイレクト治療薬と組み合わせた、癌を有する患者を治療するた
めの薬物又は医薬組成物を調製するための、抗CD38抗体の使用。
【0561】
実施形態4.T細胞リダイレクト治療薬と組み合わせた抗CD38抗体の使用であって
、それが、それを必要とする患者における癌を有する対象の治療に有用な組み合わせを調
製するために機能することを特徴とする、使用。
【0562】
実施形態5.抗CD38抗体が、T細胞リダイレクト治療薬の投与前に投与される、実
施形態1~4のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0563】
実施形態6.T細胞リダイレクト治療薬が、BCMA、GPRC5D、CD33、CD
123、CD19、PSMA、TMEFF2、又はCD20に結合する、実施形態1~5
のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0564】
実施形態7.T細胞リダイレクト治療薬が、CD3、CD3イプシロン(CD3ε)、
CD8、KI2L4、NKG2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、CD186、
BTNL8、PD-1、CD195、又はNKG2Cに結合する、実施形態1~6のいず
れか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0565】
実施形態8.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号33の重鎖相補性決定領域1(HCDR1)、配列番号34のHCDR2、配
列番号35のHCDR3、配列番号36の軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)、配列番
号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3、
配列番号39の重鎖可変領域(VH)及び配列番号40の軽鎖可変領域(VL)、
配列番号74のHCDR1、配列番号75のHCDR2、配列番号76のHCDR3、
配列番号77のLCDR1、配列番号78のLCDR2、及び配列番号79のLCDR3
、
配列番号80のVH及び配列番号81のVL、
配列番号53のCD3結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR
1、LCDR2、及びLCDR3、又は
配列番号53のCD3結合ドメインのVH及びVLを含むCD3結合ドメインを含む、
実施形態1~7のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0566】
実施形態9.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号23のHCDR1、配列番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、
配列番号26のLCDR1、配列番号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3
を含むBCMA結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCD
R2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR
2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含むBCMA結合ドメイン、並びに配列
番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態1~
8のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0567】
実施形態10.T細胞リダイレクト治療薬が、配列番号31の第1の重鎖(HC1)、
配列番号32の第1の軽鎖(LC1)、配列番号41の第2の重鎖(HC2)、及び配列
番号42の第2の軽鎖(LC2)を含む、実施形態1~9のいずれか1つによる使用のた
めの抗CD38抗体。
【0568】
実施形態11.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、
配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3
を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のH
CDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLC
DR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号49のVH及び配列番号50のVLを含むGPRC5D結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態
1~10のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0569】
実施形態12.T細胞リダイレクト治療が、配列番号51のHC1、配列番号52のL
C1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態111のいず
れか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0570】
実施形態13.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号84のHCDR1、配列番号85のHCDR2、配列番号86のHCDR3、
配列番号87のLCDR1、配列番号88のLCDR2、及び配列番号89のLCDR3
を含むCD33結合ドメイン、並びに配列番号74のHCDR1、配列番号75のHCD
R2、配列番号76のHCDR3、配列番号77のLCDR1、配列番号78のLCDR
2、及び配列番号79のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号90のVH及び配列番号91のVLを含むCD33結合ドメイン、並びに配列
番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態1~
12のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0571】
実施形態14.T細胞リダイレクト治療が、配列番号92のHC1、配列番号93のL
C1、配列番号82のHC2、及び配列番号83のLC2を含む、実施形態1~13のい
ずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0572】
実施形態15.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号94のHCDR1、配列番号95のHCDR2、配列番号96のHCDR3、
配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号59のLCDR3を
含むCD123結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCD
R2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR
2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号100のVH及び配列番号61のVLを含むCD123結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態
1~14のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0573】
実施形態16.T細胞リダイレクト治療が、配列番号102のHC1、配列番号63の
LC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態1~15の
いずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0574】
実施形態17.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号53のCD19結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCD
R1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD19結合ドメイン、並びに配列番号53の
CD3結合ドメインのHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、
及びLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号53のアミノ酸配列を含む、実施形態1~16のいずれか1つによる使用のた
めの抗CD38抗体。
【0575】
実施形態18.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号54のHCDR1、配列番号55のHCDR2、配列番号56のHCDR3、
配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号59のLCDR3を
含むPSMA結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR
2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2
、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号60のVH及び配列番号61のVLを含むPSMA結合ドメイン、並びに配列
番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態1~
17のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0576】
実施形態19.T細胞リダイレクト治療が、配列番号62のHC1、配列番号63のL
C1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態1~18のい
ずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0577】
実施形態20.T細胞リダイレクト治療薬が、
配列番号64のHCDR1、配列番号65のHCDR2、配列番号66のHCDR3、
配列番号67のLCDR1、配列番号68のLCDR2、及び配列番号69のLCDR3
を含むTMEFF2結合ドメイン、並びに配列番号74のHCDR1、配列番号75のH
CDR2、配列番号76のHCDR3、配列番号77のLCDR1、配列番号78のLC
DR2、及び配列番号79のLCDR3を含むCD3結合ドメイン、並びに/又は
配列番号70のVH及び配列番号71のVLを含むTMEFF2結合ドメイン、並びに
配列番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインを含む、実施形態
1~19のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0578】
実施形態21.T細胞リダイレクト治療が、配列番号72のHC1、配列番号73のL
C1、配列番号82のHC2、及び配列番号83のLC2を含む、実施形態1~20のい
ずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0579】
実施形態22.T細胞リダイレクト治療薬が、多重特異性抗体、キメラ抗原受容体(C
AR)、又はCARを含むT細胞である、実施形態1~21のいずれか1つによる使用の
ための抗CD38抗体。
【0580】
実施形態23.多重特異性抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4アイ
ソタイプである、実施形態22による使用のための抗CD38抗体。
【0581】
実施形態24.多重特異性抗体が、多重特異性抗体のFcγ受容体(FcγR)への結
合を低減する1つ又は2つ以上のFc置換を含む、実施形態22又は23による使用のた
めの抗CD38抗体。
【0582】
実施形態25.1つ又は2つ以上のFc置換が、IgG4上のF234A/L235A
、IgG1上のL234A/L235A、IgG2上のV234A/G237A/P23
8S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4上のF234A/L
235A、IgG4上のS228P/F234A/L235A、全てのIgアイソタイプ
上のN297A、IgG2上のV234A/G237A、IgG1上のK214T/E2
33P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365E
/L358M、IgG2上のH268Q/V309L/A330S/P331S、IgG
1上のS267E/L328F、IgG1上のL234F/L235E/D265A、I
gG1上のL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330S
/P331S、IgG4上のS228P/F234A/L235A/G237A/P23
8S、及びIgG4上のS228P/F234A/L235A/G236欠失/G237
A/P238Sからなる群から選択され、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、
実施形態22~24のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0583】
実施形態26.多重特異性抗体が、S228P置換を更に含む、実施形態25による使
用のための抗CD38抗体。
【0584】
実施形態27.多重特異性抗体が、第1のCH3ドメイン若しくは第2のCH3ドメイ
ンに、又は第1のCH3ドメイン及び第2のCH3ドメインの両方に、1つ又は2つ以上
の非対称置換を含む、実施形態22~26のいずれか1つによる使用のための抗CD38
抗体。
【0585】
実施形態28.1つ又は2つ以上の非対称置換が、F450L/K409R、野生型/
F409L_R409K、T366Y/F405A、T366W/F405W、F405
W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T3
94S、F405W/T394S及びT366W/T366S_L368A_Y407V
、L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T39
4W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_Y
407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407A
/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、並びにT350V_
L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T394
Wからなる群から選択される、実施形態27による使用のための抗CD38抗体。
【0586】
実施形態29.対象が、新たに診断された癌を有する、実施形態1~28のいずれか1
つによる使用のための抗CD38抗体。
【0587】
実施形態30.対象が、以前の抗癌治療に対して再発又は難治性である、実施形態1~
29のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0588】
実施形態31.癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、実施形態1~30のいずれか
1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0589】
実施形態32.血液悪性腫瘍が、多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫、良性単クロ
ーン性γグロブリン血症(MGUS)、急性リンパ性白血病(ALL)、びまん性大細胞
型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫(BL)、濾胞性リンパ腫(FL
)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、形
質細胞白血病、軽鎖アミロイドーシス(AL)、前駆体B細胞リンパ芽球性白血病、前駆
体B細胞リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS
)、慢性リンパ性白血病(CLL)、B細胞悪性腫瘍、慢性骨髄性白血病(CML)、ヘ
アリー細胞白血病(HCL)、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍、ホジキンリンパ腫、非ホ
ジキンリンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、又は粘膜関連リンパ組織リンパ腫(
MALT)、形質細胞白血病、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、白血病、又はリンパ
腫である、実施形態1~31のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0590】
実施形態33.多発性骨髄腫が、新たに診断された多発性骨髄腫である、実施形態1~
32のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0591】
実施形態34.多発性骨髄腫が、再発又は難治性多発性骨髄腫である、実施形態1~3
2のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0592】
実施形態35.多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、実施形態1~34のい
ずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0593】
実施形態36.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
、実施形態35による使用のための抗CD38抗体。
【0594】
実施形態37.多発性骨髄腫が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマ
リドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサ
リドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である、
実施形態1~36のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0595】
実施形態38.固形腫瘍が、前立腺癌、肺癌、肝癌、子宮頸癌(cervical cancer)、
結腸癌、乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膵癌、黒色腫、神経膠芽腫、食道癌、胃癌(gastri
c cancer)、胃癌(stomach cancer)、腎癌、結腸癌、膀胱癌、子宮頸癌(cervical car
cinoma)、黒色腫、肝細胞癌、腎細胞癌、尿路上皮癌、頭頸部癌、神経膠腫、又は膠芽腫
である、実施形態1~37のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0596】
実施形態39.前立腺癌が、再発性、難治性、悪性、若しくは去勢抵抗性前立腺癌、又
はこれらの任意の組み合わせである、実施形態38による使用のための抗CD38抗体。
【0597】
実施形態40.AMLが、少なくとも1つの遺伝子異常を伴うAML、多系列異形成を
伴うAML、療法関連AML、未分化AML、最未分化型AML、分化型AML、急性骨
髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤血球性白血病、急性巨核芽球性白血病、急性
好塩基球性白血病、線維症を伴う急性汎骨髄症、又は骨髄肉腫である、実施形態32によ
る使用のための抗CD38抗体。
【0598】
実施形態41.少なくとも1つの遺伝子異常が、8番染色体と21番染色体との間の転
座、16番染色体の転座若しくは逆位、15番染色体と17番染色体との間の転座、11
番染色体の変化、又はfms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)、ヌクレオフォスミン
(NPM1)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)、イソクエン酸デヒドロゲ
ナーゼ2(IDH2)、DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3(DNM
T3A)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPA)、U2核内
低分子RNA補助因子1(U2AF1)、zeste2ポリコーム抑制複合体2サブユニ
ットエンハンサー(EZH2)、染色体構造維持1A(SMC1A)、若しくは染色体構
造維持3(SMC3)における変異である、実施形態40による使用のための抗CD38
抗体。
【0599】
実施形態42.少なくとも1つの遺伝子異常が、転座t(8;21)(q22;q22
)、逆位inv(16)(p13;q22)、転座t(16;16)(p13;q22)
、転座t(15;17)(q22;q12)、FLT3-ITDの変異、IDH1におけ
るR132H若しくはR100Q/R104V/F108L/R119Q/I130Vの
変異、又はIDH2におけるR140Q若しくはR172の変異である、実施形態41に
よる使用のための抗CD38抗体。
【0600】
実施形態43.ALLが、B細胞系列ALL、T細胞系列ALL、成人ALL、又は小
児ALLである、実施形態32による使用のための抗CD38抗体。
【0601】
実施形態44.ALLを有する対象が、フィラデルフィア染色体を有するか、又はBC
R-ABLキナーゼ阻害剤による治療に対して耐性であるか若しくはそれに対する後天耐
性を有する、実施形態43による使用のための抗CD38抗体。
【0602】
実施形態45.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2
、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び
配列番号11のLCDR3を含む、実施形態1~44のいずれか1つによる使用のための
抗CD38抗体。
【0603】
実施形態46.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、実
施形態1~45のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0604】
実施形態47.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態1~46の
いずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0605】
実施形態48.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む
、実施形態1~47のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0606】
実施形態49.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態1~44のいずれか1つ
による使用のための抗CD38抗体。
【0607】
実施形態50.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態49による
使用のための抗CD38抗体。
【0608】
実施形態51.T細胞リダイレクト治療薬が、BCMA×CD3二重特異性抗体、GP
RC5D×CD3二重特異性抗体、CD33×CD3二重特異性抗体、CD19×CD3
二重特異性抗体、CD123×CD3二重特異性抗体、PSMA×CD3二重特異性抗体
、又はTMEFF2×CD3二重特異性抗体である、実施形態1~50のいずれか1つに
よる使用のための抗CD38抗体。
【0609】
実施形態52.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態1
~51による使用のための抗CD38抗体。
【0610】
実施形態53.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射線
、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施形
態1~52のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0611】
実施形態54.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマリ
ドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン
、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、
プレドニゾン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナ
チニブ、バフェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ、シタラビ
ン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、デシタビン
、クラドリビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、コルチコス
テロイド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化ヒ素、及び
全トランス型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、
実施形態1~53のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0612】
実施形態55.抗CD38抗体が、約8mg/kg~約16mg/kgの用量で投与さ
れる、実施形態1~54のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0613】
実施形態56.抗CD38抗体が、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、
約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20)
中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5であ
る、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態1~55
のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0614】
実施形態57.抗CD38抗体が、約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,0
00UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供
される、実施形態1~53のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0615】
実施形態58.抗CD38抗体が、約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,0
00U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のため
に提供される、実施形態57による使用のための抗CD38抗体。
【0616】
実施形態59.抗CD38抗体が、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態57~58
のいずれか1つによる使用のための抗CD38抗体。
【0617】
実施形態60.抗CD38抗体が、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態57~59のいずれか1つによる使用
のための抗CD38抗体。
【0618】
実施形態61.抗CD38抗体が、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態57~60のいずれか1つによる使用
のための抗CD38抗体。
【0619】
実施形態62.抗CD38抗体と組み合わせた、癌を有する対象の治療に使用するため
の、BCMA×CD3二重特異性抗体。
【0620】
実施形態63.対象が、BCMA×CD3二重特異性抗体の投与前に抗CD38抗体で
治療されている、実施形態62による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0621】
実施形態64.BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号23のHCDR1、配列
番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、配列番号26のLCDR1、配列番
号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3を含むBCMA結合ドメイン、並び
に配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、
配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3
を含むCD3結合ドメインを含む、実施形態62又は63による使用のためのBCMA×
CD3二重特異性抗体。
【0622】
実施形態65.BCMA結合ドメインが、配列番号29のVH及び配列番号30のVL
を含み、CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、実
施形態62~64のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0623】
実施形態66.BCMA×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、H
C1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405位
にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、
実施形態62~65のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体
。
【0624】
実施形態67.BCMA×CD3二重特異性抗体が、HC1及びHC2の両方の228
位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む、実施形態62
~66のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0625】
実施形態68.BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号31のHC1、配列番号
32のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態62
~67のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0626】
実施形態69.癌が、BCMA発現癌である、実施形態62~68のいずれか1つによ
る使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0627】
実施形態70.癌が、血液悪性腫瘍である、実施形態62~69のいずれか1つによる
使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0628】
実施形態71.対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミド
、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマイ
ド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である、実施形態
62~70のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0629】
実施形態72.対象が、抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性である、実
施形態62~71のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0630】
実施形態73.血液悪性腫瘍が、多発性骨髄腫、骨髄腫、DLBLC、CLL、ワルデ
ンストレーム高ガンマグロブリン血症、又は非ホジキンリンパ腫である、実施形態62~
72のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0631】
実施形態74.多発性骨髄腫が、新たに診断された多発性骨髄腫である、実施形態73
による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0632】
実施形態75.多発性骨髄腫が、再発又は難治性多発性骨髄腫である、実施形態74に
よる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0633】
実施形態76.多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、実施形態74による使
用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0634】
実施形態77.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
、実施形態76による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0635】
実施形態78.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2
、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び
配列番号11のLCDR3を含む、実施形態62~77のいずれか1つによる使用のため
のBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0636】
実施形態79.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、実
施形態62~78のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0637】
実施形態80.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態62~79
のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0638】
実施形態81.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む
、実施形態62~80のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗
体。
【0639】
実施形態82.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態62~77のいずれか1
つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0640】
実施形態83.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態82による
使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0641】
実施形態84.抗CD38抗体が、約8mg/kg~約16mg/kgの用量で投与さ
れる、実施形態62~83のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異
性抗体。
【0642】
実施形態85.BCMA×CD3二重特異性抗体及び抗CD38抗体が、静脈内注射に
よって投与される、実施形態62~84のいずれか1つによる使用のためのBCMA×C
D3二重特異性抗体。
【0643】
実施形態86.BCMA×CD3二重特異性抗体が、静脈内注射によって投与され、抗
CD38抗体が、皮下注射によって投与される、実施形態62~84のいずれか1つによ
る使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0644】
実施形態87.対象が、ヒトである、実施形態62~86のいずれか1つによる使用の
ためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0645】
実施形態88.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態6
2~87のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0646】
実施形態89.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射線
、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施形
態88による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0647】
実施形態90.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマリ
ドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン
、プレドニゾン、若しくはデキサメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群か
ら選択される、実施形態88~89のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3
二重特異性抗体。
【0648】
実施形態91.抗CD38抗体が、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、
約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20)
中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5であ
る、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態62~9
0のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0649】
実施形態92.抗CD38抗体が、約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,0
00UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供
される、実施形態62~90のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特
異性抗体。
【0650】
実施形態93.抗CD38抗体が、約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,0
00U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のため
に提供される、実施形態92による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0651】
実施形態94.抗CD38抗体が、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物おいて投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態92~93の
いずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0652】
実施形態95.抗CD38抗体が、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態92~94のいずれか1つによる使用
のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0653】
実施形態96.抗CD38抗体が、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態92~95のいずれか1つによる使用
のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0654】
実施形態97.癌を有する対象の治療に使用するためのBCMA×CD3二重特異性抗
体であって、対象が、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である、BC
MA×CD3二重特異性抗体。
【0655】
実施形態98.BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号23のHCDR1、配列
番号24のHCDR2、配列番号25のHCDR3、配列番号26のLCDR1、配列番
号27のLCDR2、及び配列番号28のLCDR3を含むBCMA結合ドメイン、並び
に配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、
配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3
を含むCD3結合ドメインを含む、実施形態97による使用のためのBCMA×CD3二
重特異性抗体。
【0656】
実施形態99.BCMA結合ドメインが、配列番号29のVH及び配列番号30のVL
を含み、CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、実
施形態97又は98による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0657】
実施形態100.BCMA×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、
HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405
位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う
、実施形態97~99のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗
体。
【0658】
実施形態101.BCMA×CD3二重特異性抗体が、HC1及びHC2の両方の22
8位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む、実施形態1
00による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0659】
実施形態102.BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号31のHC1、配列番
号32のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態9
7~101のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0660】
実施形態103.癌が、血液悪性腫瘍である、実施形態97~102のいずれか1つに
よる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0661】
実施形態104.血液悪性腫瘍が、多発性骨髄腫である、実施形態103による使用の
ためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0662】
実施形態105.多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、実施形態104によ
る使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0663】
実施形態106.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
、実施形態105による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0664】
実施形態107.対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミ
ド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマ
イド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である、実施形
態97~106のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0665】
実施形態108.対象が、抗CD38抗体による治療に対して再発性である、実施形態
97~107のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0666】
実施形態109.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR
2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及
び配列番号11のLCDR3を含む、実施形態97~108のいずれか1つによる使用の
ためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0667】
実施形態110.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、
実施形態97~109のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗
体。
【0668】
実施形態111.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態97~1
10のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0669】
実施形態112.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含
む、実施形態97~111のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異
性抗体。
【0670】
実施形態113.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態97~108のいずれか
1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0671】
実施形態114.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態113に
よる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0672】
実施形態115.対象が、ヒトである、実施形態97~114のいずれか1つによる使
用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0673】
実施形態116.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態
97~115のいずれか1つによる使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0674】
実施形態117.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射
線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施
形態116による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0675】
実施形態118.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマ
リドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラ
ン、プレドニゾン、若しくはデキサメタゾン、又はこれらの任意の組み合わせからなる群
から選択される、実施形態116による使用のためのBCMA×CD3二重特異性抗体。
【0676】
実施形態119.配列番号29のVH及び配列番号30のVLを含むBCMA結合ドメ
イン、並びに配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインを含
むBCMA×CD3二重特異性抗体と、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む抗
CD38抗体とを含む、医薬組成物。
【0677】
実施形態120.BCMA×CD3二重特異性抗体が、配列番号31のHC1、配列番
号32のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含み、抗CD38
抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む、実施形態119の医薬組成
物。
【0678】
実施形態121.非固定組み合わせである、実施形態119又は120の医薬組成物。
【0679】
実施形態122.約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140マンニト
ール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20)中の約20mg/
mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5である、実施形態12
1の医薬組成物。
【0680】
実施形態123.約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuP
H20を含む、実施形態121の医薬組成物。
【0681】
実施形態124.約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,000U/mLのr
HuPH20を含む、実施形態123の医薬組成物。
【0682】
実施形態125.1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む、実施形態124の医薬組成物
。
【0683】
実施形態126.1つ又は2つ以上の賦形剤が、ヒスチジン、メチオニン、ソルビトー
ル、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合わせであ
る、実施形態125の医薬組成物。
【0684】
実施形態127.医薬組成物が、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、実施形態126の医薬組成物。
【0685】
実施形態128.約10mMのヒスチジンを含む、実施形態127の医薬組成物。
【0686】
実施形態129.約300mMのソルビトールを含む、実施形態127又は128の医
薬組成物。
【0687】
実施形態130.約0.04%(w/v)のPS-20を含む、実施形態127~12
9のいずれか1つの医薬組成物。
【0688】
実施形態131.約1mg/mLのメチオニンを含む、実施形態127~130のいず
れか1つの医薬組成物。
【0689】
実施形態132.
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態127~131
のいずれか1つの医薬組成物。
【0690】
実施形態133.
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態127~132
のいずれか1つの医薬組成物。
【0691】
実施形態134.実施形態119~133のいずれか1つの医薬組成物を含む、キット
。
【0692】
実施形態135.抗CD38抗体と組み合わせた、癌を有する対象の治療に使用するた
めの、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0693】
実施形態136.抗CD38抗体が、GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療
薬の投与前に対象に投与される、実施形態135による使用のためのGPRC5Dに結合
するT細胞リダイレクト治療薬。
【0694】
実施形態137.対象が、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である
、実施形態135又は136による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレ
クト治療薬。
【0695】
実施形態138.癌が、GPRC5D発現癌である、実施形態135~137のいずれ
か1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0696】
実施形態139.GPRC5D発現癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、実施形態
135~138のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイ
レクト治療薬。
【0697】
実施形態140.血液悪性腫瘍が、白血病、リンパ腫、又は多発性骨髄腫である、実施
形態139による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0698】
実施形態141.固形腫瘍が、卵巣癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、結
腸癌、食道癌、膀胱癌、子宮頸癌、又は悪性黒色腫である、実施形態139による使用の
ためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0699】
実施形態142.対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミ
ド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマ
イド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して再発又は難治性である、実施形
態135~141のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダ
イレクト治療薬。
【0700】
実施形態143.対象が、抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性である、
実施形態135~142のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細
胞リダイレクト治療薬。
【0701】
実施形態144.多発性骨髄腫が、新たに診断された多発性骨髄腫である、実施形態1
40~143のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレ
クト治療薬。
【0702】
実施形態145.多発性骨髄腫が、再発又は難治性多発性骨髄腫である、実施形態14
0~143のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレク
ト治療薬。
【0703】
実施形態146.多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、実施形態140~1
45のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療
薬。
【0704】
実施形態147.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
、実施形態146による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬
。
【0705】
実施形態148.T細胞リダイレクト治療薬が、CD3、CD3イプシロン(CD3ε
)、CD8、KI2L4、NKG2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、CD18
6、BTNL8、PD-1、CD195、又はNKG2Cに結合する、実施形態135~
147のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治
療薬。
【0706】
実施形態149.T細胞リダイレクト治療薬が、配列番号43のHCDR1、配列番号
44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号4
7のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並び
に配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、
配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3
を含むCD3結合ドメインを含む、実施形態135~148のいずれか1つによる使用の
ためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0707】
実施形態150.GPRC5D結合ドメインが、配列番号49のVH及び配列番号50
のVLを含み、CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含
む、実施形態135~149のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合する
T細胞リダイレクト治療薬。
【0708】
実施形態151.GPRC5Cに結合するT細胞リダイレクト治療薬が、多重特異性抗
体、CAR、又はCARを発現するT細胞である、実施形態135~150のいずれか1
つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0709】
実施形態152.多重特異性抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4ア
イソタイプである、実施形態151による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リ
ダイレクト治療薬。
【0710】
実施形態153.多重特異性抗体が、多重特異性抗体のFcγ受容体(FcγR)への
結合を低減する1つ又は2つ以上のFc置換を含む、実施形態151~152のいずれか
1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0711】
実施形態154.1つ又は2つ以上のFc置換が、IgG4上のF234A/L235
A、IgG1上のL234A/L235A、IgG2上のV234A/G237A/P2
38S/H268A/V309L/A330S/P331S、IgG4上のF234A/
L235A、IgG4上のS228P/F234A/L235A、全てのIgアイソタイ
プ上のN297A、IgG2上のV234A/G237A、IgG1上のK214T/E
233P/L234V/L235A/G236欠失/A327G/P331A/D365
E/L358M、IgG2上のH268Q/V309L/A330S/P331S、Ig
G1上のS267E/L328F、IgG1上のL234F/L235E/D265A、
IgG1上のL234A/L235A/G237A/P238S/H268A/A330
S/P331S、IgG4上のS228P/F234A/L235A/G237A/P2
38S、及びIgG4上のS228P/F234A/L235A/G236欠失/G23
7A/P238Sからなる群から選択され、残基の番号付けが、EUインデックスに従う
、実施形態151~153のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT
細胞リダイレクト治療薬。
【0712】
実施形態155.多重特異性抗体が、S228P置換を更に含む、実施形態154によ
る使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0713】
実施形態156.多重特異性抗体が、第1のCH3ドメイン若しくは第2のCH3ドメ
インに、又は第1のCH3ドメイン及び第2のCH3ドメインの両方に、1つ又は2つ以
上の非対称置換を含む、実施形態151~155のいずれか1つによる使用のためのGP
RC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0714】
実施形態157.1つ又は2つ以上の非対称置換が、F450L/K409R、野生型
/F409L_R409K、T366Y/F405A、T366W/F405W、F40
5W/Y407A、T394W/Y407T、T394S/Y407A、T366W/T
394S、F405W/T394S及びT366W/T366S_L368A_Y407
V、L351Y_F405A_Y407V/T394W、T366I_K392M_T3
94W/F405A_Y407V、T366L_K392M_T394W/F405A_
Y407V、L351Y_Y407A/T366A_K409F、L351Y_Y407
A/T366V_K409F、Y407A/T366A_K409F、並びにT350V
_L351Y_F405A_Y407V/T350V_T366L_K392L_T39
4Wからなる群から選択される、実施形態156による使用のためのGPRC5Dに結合
するT細胞リダイレクト治療薬。
【0715】
実施形態158.多重特異性抗体が、配列番号51のHC1、配列番号52のLC1、
配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形態151~157のい
ずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0716】
実施形態159.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR
2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及
び配列番号11のLCDR3を含む、実施形態135~158のいずれか1つによる使用
のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0717】
実施形態160.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、
実施形態135~159のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細
胞リダイレクト治療薬。
【0718】
実施形態161.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態135~
160のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治
療薬。
【0719】
実施形態162.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含
む、実施形態135~161のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合する
T細胞リダイレクト治療薬。
【0720】
実施形態163.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態135~158のいずれ
か1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0721】
実施形態164.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態163に
よる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0722】
実施形態165.抗CD38抗体が、約8mg/kg~約16mg/kgの用量で投与
される、実施形態135~164のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合
するT細胞リダイレクト治療薬。
【0723】
実施形態166.GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗
体が、静脈内注射によって投与される、実施形態135~165のいずれか1つによる使
用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0724】
実施形態167.GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬が、静脈内注射に
よって投与され、抗CD38抗体が、皮下注射によって投与される、実施形態135~1
65のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療
薬。
【0725】
実施形態168.対象が、ヒトである、実施形態135~167のいずれか1つによる
使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0726】
実施形態169.GPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬が、GPRC5D
×CD3二重特異性抗体である、実施形態135~168のいずれか1つによる使用のた
めのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0727】
実施形態170.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態
135~170のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイ
レクト治療薬。
【0728】
実施形態171.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射
線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施
形態170による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0729】
実施形態172.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマ
リドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラ
ン、デキサメタゾン、又はプレドニゾンからなる群から選択される、実施形態170によ
る使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0730】
実施形態173.抗CD38抗体が、約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム
、約140マンニトール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20
)中の約20mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5で
ある、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態135
~172のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト
治療薬。
【0731】
実施形態174.抗CD38抗体が、約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,
000UのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提
供される、実施形態135~172のいずれか1つによる使用のためのGPRC5Dに結
合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0732】
実施形態175.抗CD38抗体が、約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,
000U/mLのrHuPH20を含む医薬組成物において投与されるか、又は投与のた
めに提供される、実施形態174による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダ
イレクト治療薬。
【0733】
実施形態176.抗CD38抗体が、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、医薬組成物において投与されるか、又は投与のために提供される、実施形態174又は
175による使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0734】
実施形態177.抗CD38抗体が、
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態174~176のいずれか1つによる
使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0735】
実施形態178.抗CD38抗体が、
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、医薬組成物において投与
されるか、又は投与のために提供される、実施形態174~177のいずれか1つによる
使用のためのGPRC5Dに結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0736】
実施形態179.癌を有する対象の治療に使用するためのGPRC5D×CD3二重特
異性抗体であって、対象が、以前の抗癌治療薬による治療に対して再発又は難治性である
、GPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0737】
実施形態180.GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、配列番号43のHCDR1
、配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLCDR1、
配列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメ
イン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のH
CDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38の
LCDR3を含むCD3結合ドメインを含む、実施形態179による使用のためのGPR
C5D×CD3二重特異性抗体。
【0738】
実施形態181.GPRC5D結合ドメインが、配列番号49のVH及び配列番号50
のVLを含み、CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含
む、実施形態179又は180による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体
。
【0739】
実施形態182.GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであ
り、HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の4
05位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに
従う、実施形態179~181のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3
二重特異性抗体。
【0740】
実施形態183.GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、HC1及びHC2の両方の
228位にプロリン、234位にアラニン、及び235位にアラニンを更に含む、実施形
態182による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0741】
実施形態184.GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、配列番号51のHC1、配
列番号52のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含む、実施形
態179~183のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗
体。
【0742】
実施形態185.癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、実施形態179~184の
いずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0743】
実施形態186.癌が、多発性骨髄腫、リンパ腫、黒色腫、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌
、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、結腸癌、食道癌、膀胱癌、又は子宮頸癌で
ある、実施形態185による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0744】
実施形態187.多発性骨髄腫が、高リスク多発性骨髄腫である、実施形態186によ
る使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0745】
実施形態188.高リスク多発性骨髄腫を有する対象が、
t(4;14)(p16;q32);
t(14;16)(q32;q23);
del17p;
1qAmp;
t(4;14)(p16;q32)及びt(14;16)(q32;q23);
t(4;14)(p16;q32)及びdel17p、
t(14;16)(q32;q23)及びdel17p、又は
t(4;14)(p16;q32)、t(14;16)(q32;q23)、及びde
l17p、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ又は2つ以上の染色体異常を有する
、実施形態187による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0746】
実施形態189.対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミ
ド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマ
イド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である、実施形
態179~188のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗
体。
【0747】
実施形態190.対象が、抗CD38抗体による治療に対して再発又は難治性である、
実施形態179~189のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特
異性抗体。
【0748】
実施形態191.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR
2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及
び配列番号11のLCDR3を含む、実施形態179~190のいずれか1つによる使用
のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0749】
実施形態192.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、
実施形態179~191のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特
異性抗体。
【0750】
実施形態193.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態179~
192のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0751】
実施形態194.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含
む、実施形態179~193のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二
重特異性抗体。
【0752】
実施形態195.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態179~190のいずれ
か1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0753】
実施形態196.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態195に
よる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0754】
実施形態197.対象が、ヒトである、実施形態179~196のいずれか1つによる
使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0755】
実施形態198.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態
179~197のいずれか1つによる使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体
。
【0756】
実施形態199.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射
線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施
形態198による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0757】
実施形態200.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマ
リドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラ
ン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン
、プレドニゾン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポ
ナチニブ、バフェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ、シタラ
ビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、デシタビ
ン、クラドリビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、コルチコ
ステロイド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化ヒ素、及
び全トランス型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される
、実施形態198による使用のためのGPRC5D×CD3二重特異性抗体。
【0758】
実施形態201.配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号4
5のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号
48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、
配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配
列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメインを含
むGPRC5D×CD3二重特異性抗体と、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHC
DR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2
、及び配列番号11のLCDR3を含む抗CD38抗体とを含む、医薬組み合わせ。
【0759】
実施形態202.GPRC5D結合ドメインが、配列番号49のVH及び配列番号50
のVLを含み、CD3結合ドメインが、配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含
み、抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、実施形態201
の医薬組み合わせ。
【0760】
実施形態203.GPRC5C×CD3二重特異性抗体が、配列番号51のHC1、配
列番号52のLC1、配列番号41のHC2、及び配列番号42のLC2を含み、抗CD
38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含む、実施形態201又は2
02の医薬組み合わせ。
【0761】
実施形態204.非固定組み合わせである、実施形態201~203のいずれか1つの
医薬組み合わせ。
【0762】
実施形態205.約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140マンニト
ール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20)中の約20mg/
mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5である、実施形態20
4の医薬組み合わせ。
【0763】
実施形態206.約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuP
H20を含む、実施形態204の医薬組み合わせ。
【0764】
実施形態207.約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,000U/mLのr
HuPH20を含む、実施形態206の医薬組成物。
【0765】
実施形態208.1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む、実施形態207の医薬組み合
わせ。
【0766】
実施形態209.1つ又は2つ以上の賦形剤が、ヒスチジン、メチオニン、ソルビトー
ル、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合わせであ
る、実施形態208の医薬組み合わせ。
【0767】
実施形態210.医薬組成物が、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、実施形態209の医薬組み合わせ。
【0768】
実施形態211.約10mMのヒスチジンを含む、実施形態209又は210の医薬組
み合わせ。
【0769】
実施形態212.約300mMのソルビトールを含む、実施形態209~211のいず
れか1つの医薬組み合わせ。
【0770】
実施形態213.約0.04%(w/v)のPS-20を含む、実施形態209~21
2のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0771】
実施形態214.約1mg/mLのメチオニンを含む、実施形態209~213のいず
れか1つの医薬組み合わせ。
【0772】
実施形態215.
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態209~214
のいずれか1つのいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0773】
実施形態216.
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態209~215
のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0774】
実施形態217.実施形態201~215のいずれか1つの医薬組み合わせを含む、キ
ット。
【0775】
実施形態218.抗CD38抗体と組み合わせた、癌を有する対象の治療に使用するた
めの、CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬。
【0776】
実施形態219.癌を有する対象におけるCD19に結合するT細胞リダイレクト治療
薬の有効性の向上に使用するための、抗CD38抗体であって、対象が、CD19に結合
するT細胞リダイレクト治療薬の投与前に、抗CD38抗体で治療されている、抗CD3
8抗体。
【0777】
実施形態220.対象が、以前の抗癌治療薬による治療に対して難治又は再発性である
、実施形態218又は219による使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD3
8抗体。
【0778】
実施形態221.癌が、血液悪性腫瘍又は固形腫瘍である、実施形態218~221の
いずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0779】
実施形態222.血液悪性腫瘍が、リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、ホジキンリンパ腫、非
ホジキンリンパ腫、DLBLC、FL、MCL、辺縁帯B細胞リンパ腫(MZL)、粘膜
関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、CLL、ALL、AML、ワルデンストレーム高
ガンマグロブリン血症、又はT細胞リンパ腫である、実施形態221による使用のための
T細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0780】
実施形態223.固形腫瘍が、肺癌、肝癌、子宮頸癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌、膵癌、
黒色腫、神経膠芽腫、前立腺癌、食道癌、又は胃癌である、実施形態221による使用の
ためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0781】
実施形態224.T細胞リダイレクト治療薬が、CD3イプシロン(CD3εε)、C
D8、KI2L4、NKG2E、NKG2D、NKG2F、BTNL3、CD186、B
TNL8、PD-1、CD195、又はNKG2Cに結合する、実施形態218~223
のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0782】
実施形態225.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬が、ブリナツモマブ、
アキシカブタゲンシロロイセル、チサゲンレクルユーセル-t、イネビリズマブ、リソカ
ブタゲンマラルユーセル、XmAb-5574、CIK-CAR.CD19、ICTCA
R-011、IM-19、JCAR-014、ロンカスツキシマブテシリン、MB-CA
RT2019.1、OXS-1550、PBCAR-0191、PCAR-019、PC
AR-119、Senl-001、TI-1007、XmAb-5871、PTG-01
、PZ01、Senl_1904A、Senl_1904B、UCART-19、CSG
-CD19、DI-B4、ET-190、GC-007F、又はGC-022のCD19
結合ドメインを含む、実施形態218~224のいずれか1つによる使用のためのT細胞
リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0783】
実施形態226.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬が、ブリナツモマブ、
アキシカブタゲンシロロイセル、チサゲンレクルユーセル-t、イネビリズマブ、リソカ
ブタゲンマラルユーセル、XmAb-5574、CIK-CAR.CD19、ICTCA
R-011、IM-19、JCAR-014、ロンカスツキシマブテシリン、MB-CA
RT2019.1、OXS-1550、PBCAR-0191、PCAR-019、PC
AR-119、Senl-001、TI-1007、XmAb-5871、PTG-01
、PZ01、Senl_1904A、Senl_1904B、UCART-19、CSG
-CD19、DI-B4、ET-190、GC-007F、又はGC-022を含む、実
施形態218~225のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は
抗CD38抗体。
【0784】
実施形態227.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬が、多重特異性抗体、
CAR、又はCARを発現するT細胞である、実施形態218~226のいずれか1つに
よる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0785】
実施形態228.抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR
2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及
び配列番号11のLCDR3を含む、実施形態218~227のいずれか1つによる使用
のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0786】
実施形態229.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、
実施形態218~228のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又
は抗CD38抗体。
【0787】
実施形態230.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態218~
229のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体
。
【0788】
実施形態231.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含
む、実施形態218~230のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療
薬又は抗CD38抗体。
【0789】
実施形態232.抗CD38抗体が、
配列番号14のVH及び配列番号15のVL、
配列番号16のVH及び配列番号17のVL、
配列番号18のVH及び配列番号19のVL、又は
配列番号20のVH及び配列番号21のVLを含む、実施形態218~227のいずれ
か1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0790】
実施形態233.抗CD38抗体が、IgG1アイソタイプである、実施形態232に
よる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0791】
実施形態234.抗CD38抗体が、約8mg/kg~約16mg/kgの用量で投与
される、実施形態218~233のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト
治療薬又は抗CD38抗体。
【0792】
実施形態235.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体が
、静脈内注射によって投与される、実施形態218~234のいずれか1つによる使用の
ためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0793】
実施形態236.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬が、静脈内注射によっ
て投与され、抗CD38抗体が、皮下注射によって投与される、実施形態218~234
のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0794】
実施形態237.対象が、ヒトである、実施形態218~236のいずれか1つによる
使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0795】
実施形態238.CD19に結合するT細胞リダイレクト治療薬が、CD19×CD3
二重特異性抗体である、実施形態218~237のいずれか1つによる使用のためのT細
胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0796】
実施形態239.対象に1つ又は2つ以上の抗癌治療を施すことを更に含む、実施形態
218~238のいずれか1つによる使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD
38抗体。
【0797】
実施形態240.1つ又は2つ以上の抗癌治療が、自家幹細胞移植(ASCT)、放射
線、手術、化学療法剤、免疫調節剤、及び標的化癌療法からなる群から選択される、実施
形態238による使用のためのT細胞リダイレクト治療薬又は抗CD38抗体。
【0798】
実施形態241.配列番号53のブリナツモマブを含むCD19×CD3二重特異性抗
体、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号8のHCDR3、配列
番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号11のLCDR3を含む
抗CD38抗体を含む、医薬組み合わせ。
【0799】
実施形態242.抗CD38抗体が、配列番号4のVH及び配列番号5のVLを含む、
実施形態241の医薬組み合わせ。
【0800】
実施形態243.抗CD38抗体が、配列番号12のHC及び配列番号13のLCを含
む、実施形態241又は242の医薬組み合わせ。
【0801】
実施形態244.非固定組み合わせである、実施形態241~243のいずれか1つの
医薬組み合わせ。
【0802】
実施形態245.約25mMの酢酸、約60mMの塩化ナトリウム、約140マンニト
ール、及び約0.04%w/vのポリソルベート-20(PS-20)中の約20mg/
mL~約120mg/mLの抗CD38抗体を含み、pH約5.5である、実施形態24
1~244のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0803】
実施形態246.約1,800mgの抗CD38抗体及び約30,000UのrHuP
H20を含む、実施形態241~243のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0804】
実施形態247.約120mg/mLの抗CD38抗体及び約2,000UのrHuP
H20を含む、実施形態246の医薬組み合わせ。
【0805】
実施形態248.1つ又は2つ以上の賦形剤を更に含む、実施形態246又は257の
医薬組み合わせ。
【0806】
実施形態249.1つ又は2つ以上の賦形剤が、ヒスチジン、メチオニン、ソルビトー
ル、若しくはポリソルベート-20(PS-20)、又はこれらの任意の組み合わせであ
る、実施形態246~248のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0807】
実施形態250.医薬組み合わせが、
約100mg/mL~約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約5mM~約15mMのヒスチジンと、
約100mM~約300mMのソルビトールと、
約0.01%w/v~約0.04%w/vのPS-20と、
約1mg/mL~約2mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.5~5.6である
、実施形態246~249のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0808】
実施形態251.約10mMのヒスチジンを含む、実施形態246~250のいずれか
1つの医薬組み合わせ。
【0809】
実施形態252.約300mMのソルビトールを含む、実施形態246~251のいず
れか1つの医薬組み合わせ。
【0810】
実施形態253.約0.04%(w/v)のPS-20を含む、実施形態246~25
2のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0811】
実施形態254.約1mg/mLのメチオニンを含む、実施形態246~253のいず
れか1つの医薬組み合わせ。
【0812】
実施形態255.
約1,800mgの抗CD38抗体と、
約30,000UのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態246~254
のいずれか1つの医薬組み合わせ。
【0813】
実施形態256.
約120mg/mLの抗CD38抗体と、
約2,000U/mLのrHuPH20と、
約10mMのヒスチジンと、
約300mMのソルビトールと、
約0.04%(w/v)のPS-20と、
約1mg/mLのメチオニンとを含み、pH約5.6である、実施形態246~255
のいずれか1つの医薬組成物。
【0814】
実施形態257.実施形態241~256のいずれか1つの医薬組成物を含む、キット
。
【実施例0815】
本明細書に開示した実施形態のいくつかを更に説明するために、以下の実施例を提供す
る。これらの実施例は、例示を目的とするものであって、本開示の実施形態を制限するも
のではない。
【0816】
一般的な材料及び方法
抗体及び試薬
抗BCMA/抗CD3抗体JNJ-957(国際公開第2017/031104(A1
)号に記載)及びダラツムマブは、Janssen Pharmaceuticals製
であった。全てJanssen Pharmaceuticals製のCNTO7008
(CD3×null)、BC3B4(BCMA×null)、及び3930(IgGアイ
ソタイプ対照)を対照抗体として使用した。JNJ-957は、別名JNJ-7957で
ある。
【0817】
JNJ-957は、BCMA結合アームBCMB69及びCD3結合アームCD3B2
19を含み、それらのアミノ酸配列をそれぞれ、表3及び表4に示す。
【0818】
【0819】
【0820】
骨髄及び末梢血単核細胞
健康なドナー及びMM患者の末梢血単核球(PBMC)、並びにMM患者BM吸引液の
骨髄単核細胞(BM-MNC)を、Ficoll-Hypaque密度勾配遠心分離によ
って単離した。
【0821】
細胞株及び培養
ルシフェラーゼ(luciferase、LUC)を形質導入した多発性骨髄腫細胞株UM9、R
PMI8226、U266、及びMM1.S、並びに非形質導入多発性骨髄腫細胞株NC
I-H929及びRPMI8226を、10%のウシ胎児血清(fetal bovine serum、F
BS、Lonza)及び抗生物質(100単位/mLのペニシリン、100μg/mlの
ストレプトマイシン、共にLife Technologies)を補給したRPMI1
640(Invitrogen)中で培養した。
【0822】
MM患者の骨髄及び血液サンプルのフローサイトメトリー分析
BM局在MM細胞を特定し、1.0×106細胞/mLを、HuMax-003(CD
38)FITC(この抗体は、ダラツムマブによって結合されるエピトープとは異なるエ
ピトープに結合する、Janssen Pharmaceuticals)、CD138
PE、CD56 PC7、CD45 Krome Orange(全てBeckman
Coulter)、CD269(BCMA)APC(Biolegend)、CD27
4(PD-L1)BV421、及びCD19 APC-H7(共にBecton Dic
kinson)で染色することによって、細胞表面マーカー発現レベルについて分析した
。BM又はPB免疫細胞サブセットを特定し、1.0×106細胞/mLを、CD45
Krome Orange、CD56 PC7(共にBeckman Coulter)
、CD14 APC-H7、CD19 APC-H7、CD3 V450、CD4 AP
C-H7又はPE、CD8 FITC、CD45-RA APC、CD127 PE.C
y7、CD62L PE、CD274(PD-1)BV421、CD16 APC、HL
A-DR APC-H7(全てBecton Dickinson)、及びCD25 P
E(Dako)で染色することによって、細胞表面マーカー発現レベルについて分析した
。全てのBMサンプルを、サンプルを収集した時点から24時間以内に分析した。
【0823】
フローサイトメトリーは、7レーザーLSRFORTESSA(Becton Dic
kinson)を使用して実行した。蛍光標識ビーズ(CS&Tビーズ、Becton
Dickinson)を毎日使用して、フローサイトメーターの性能を監視し、光路及び
流量を検証した。この手順は、制御された標準化結果を可能にし、フローサイトメーター
内の長期のドリフト及び偶発的な変化の決定を可能にする。結果に影響を及ぼし得る変化
は、観察されなかった。補償ビーズを使用して、スペクトル重複を決定し、補償は、Di
vaソフトウェアを使用して自動的に算出した。FACS Divaソフトウェアを使用
して、フローサイトメトリーデータを分析した。
【0824】
BM-MNCにおけるフローサイトメトリーに基づくエクスビボ溶解分析
腫瘍細胞を含有するMM患者に由来するBM-MNCだけでなく、自家エフェクター細
胞もまた、溶解アッセイにおいて使用した。インキュベーション時のサンプル生存は、7
-AAD(Becton Dickinson)を使用して評価した場合、98%超であ
った。溶解アッセイのために、BM-MNCを、96ウェルU底プレートにおいて、対照
抗体又はJNJ-957(0.0064~4.0μg/mL)及び/若しくはダラツムマ
ブ(10μg/mL)を有するRPMI+10%のウシ胎児血清中で48時間インキュベ
ートした。BM-MNC中の原発性CD138+MM細胞の生存を、以前に記載されたよ
うに(van der Veers et al.,Haematologica.20
11;96(2):284-290、van der Veer MS et al.,
Blood CancerJ.2011;1(10):e41、Nijhof IS e
t al.,Leukemia2015;29(10):2039-2049、Nijh
of IS,et al.,Blood2016;128(7):959-970.)、
フローサイトメトリーによって決定した。両方のアッセイにおいて、生存MM細胞を、F
low-Count Fluorospheres(Beckman Coulter)
及びLIVE/DEAD Fixable Dead Cell Stain Near
-IR蛍光反応性染料(Invitrogen)の存在下での、CD138+細胞の単一
プラットフォームフローサイトメトリー分析によって計数して、生存可能なMM細胞の絶
対数を決定した。その後、JNJ-957によって誘導された溶解の割合を、以下の式:
溶解MM細胞%=1-(JNJ-957の存在下での生存CD138+細胞の絶対数/未
処理のウェルにおける生存CD138+細胞の絶対数)×100%を使用して算出した。
【0825】
CD4+及びCD8+T細胞のJNJ-957誘導活性化及び脱顆粒をそれぞれ、CD
25及びCD107a細胞表面発現のフローサイトメトリー検出によって分析した。
【0826】
PB MNCをエフェクター細胞として用いたMM細胞株におけるフローサイトメトリ
ーに基づく溶解アッセイ。
BCMA陽性MM細胞株を、96ウェルU底プレートにおいて、対照抗体又はJNJ-
957(0.00256~4.0μg/mL)の存在下、9:1のエフェクター対標的比
で、健康なドナー又はMM患者のPB MNCと共に48時間共培養した。MM細胞の生
存を、上記のフローサイトメトリーによって決定した。
【0827】
LUCを形質導入したMM細胞株を使用する生物発光イメージング(bioluminescence
imaging、BLI)に基づく溶解アッセイ
LUCを形質導入したMM細胞株を、新たに診断されたMM患者(n=12)から得た
プールしたBM間質細胞(BM stromal cell、BMSC)の存在下又は非存在下、16時
間培養してから、9:1のエフェクター対標的比で、エフェクター細胞(健康なドナーか
ら新たに単離したPBMC)と共にインキュベートし、96ウェル平底プレート(Gre
iner-Bio-One)において、JNJ-957(0.00256~4.0μg/
mL)又は対照抗体を48時間連続希釈した。その後、基質のルシフェリン(150μg
/mL、Promega)を添加した10分後に、LUC+-MM細胞の生存をBLIに
よって決定した。MM細胞の溶解を、以下の式:溶解%=1-(エフェクター細胞及びJ
NJ-957の存在下での平均BLIシグナル/エフェクター細胞及び未処理の抗体の存
在下での平均BLIシグナル)×100%を使用して決定した。
【0828】
JNJ-957の有効性に対するダラツムマブ単剤療法によるPB MNCのインビボ
前治療の効果を評価するために、LUCを形質導入したMM細胞株4もまた、ダラツムマ
ブ単剤療法の開始前及びダラツムマブ単剤療法に対する最良応答時点でMM患者から得た
PB MNCと共に共培養した(9:1のエフェクター対標的比)。BLIアッセイは、
前述のように実行した。
【0829】
細胞遺伝学的分析
蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)及び単一ヌクレオチド多型(si
ngle nucleotide polymorphism、SNP)アレイによって、細胞遺伝学的異常を、精製M
M細胞において評価した。高リスク疾患は、del(17p)、del(1p)、amp
l(1q)、t(4;14)、又はt(14;16)の存在によって定義された2。
【0830】
可溶性BCMAアッセイ
MSD GOLD(商標)96ウェルSmall Spot Streptavidi
n SECTORプレート(Meso Scale Diagnostics)を製造業
者の推奨するプロトコルに従って使用して、細胞培養上清中の可溶性BCMA(soluble
BCMA、sBCMA)を測定した。
【0831】
グランザイムBアッセイ
MSD R-PlexグランザイムBアッセイプレート(Meso Scale Di
agnostics)を製造業者のプロトコルに従って使用して、細胞培養上清中のグラ
ンザイムBを測定した。
【0832】
多重サイトカインアッセイ
V-Plex炎症促進性パネル1ヒトキット(Meso Scale Diagnos
tics)を製造業者のプロトコルに従って使用して、細胞培養上清中のサイトカイン[
インターフェロン-ガンマ(interferon-gamma、IFN-γ)、インターロイキン(inte
rleukin、IL)-2、IL-6、IL-8、IL-10、及び腫瘍壊死因子-アルファ
(tumor necrosis factor-alpha、TNF-α)]を分析した。
【0833】
統計データ
データが正常な分布に従わない場合、変数間の比較は、両側(対応のある)スチューデ
ントt検定、又はマン・ホイットニーU検定、又はウィルコクソンマッチドペア符号順位
検定を使用して実行した。変数間の相関は、スピアマンの順位相関係数を使用して行った
。0.05未満のp値を有意と見なした。JNJ-957及びダラツムマブのコンビナト
リアル治療の場合、予想される溶解値を算出して、前述のように以下の式:(JNJ-9
57による溶解%+ダラツムマブによる溶解%)-(JNJ-957による溶解%×ダラ
ツムマブによる溶解%)を使用して、JNJ-957とダラツムマブとの間には相加効果
のみが存在するというnull仮説を試験した20、23、24。観察値が予想値よりも
有意に高い(P<0.05)場合、「相加効果」のnull仮説は却下された。
【0834】
実施例1 BCMA
+多発性骨髄腫細胞株の抗BCMA/抗CD3抗体JNJ-957
媒介性溶解に、T細胞活性化及び脱顆粒が伴う
健康なドナー(HD)の末梢血単核球をエフェクター細胞として使用して、JNJ-9
57の濃度範囲(0.00128~4.0μg/mL)にわたって、RPMI8226(
図1)、UM9(
図2)、U226(
図3)、及びMM1.S(
図4)の媒介性溶解に対
するJNJ-957の効果を評価した。JNJ-957媒介性溶解は、用量依存的な様式
で全ての試験した細胞株の溶解を媒介し、
図1、
図2、
図3、及び
図4に見られるように
、細胞株に応じて、約0.1μg/mlの抗体濃度でほぼ100%の最大有効性を達成し
た。
【0835】
BMSCは、ダラツムマブ及びMM反応性T細胞を含む様々な抗MM剤に対してMM細
胞を保護することが以前に示されている。したがって、JNJ-957の有効性に対する
BMSC-MM細胞相互作用の潜在的影響を評価した。MM細胞株RPMI-8226、
UM9、及びU266に対するJNJ-957の活性は、BMSCの存在によって影響を
受けなかった(データ示さず)。JNJ-957媒介性MM細胞溶解は、低濃度ではMM
1.S細胞においてBMSCによって適度に阻害された(P<0.0001)が、この効
果は、JNJ-7957用量の増加によって完全に抑止された。
【0836】
T細胞活性化をRPMI8226細胞株において評価した。JNJ-957による治療
は、それぞれCD25及びCD107aの細胞表面発現の増加によって、又は二重陽性C
D25及びCD107a細胞の割合によって証明されるように、用量依存的な様式でCD
4
+及びCD8
+T細胞の両方の活性化及び脱顆粒をもたらした。
図5は、CD25+C
D4 T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
図6は、CD107a+CD4
T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
図7は、二重陽性CD25+CD1
07+CD4 T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
図8は、CD25+C
D8 T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
図9は、CD107a+CD8
T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
図10は、二重陽性CD25+CD
107+CD8 T細胞の割合のJNJ-957媒介性増加を示す。
【0837】
実施例2 ダラツムマブは、T細胞リダイレクト抗体の有効性を改善した
患者
BCMA発現レベル、免疫細胞サブセットの組成、及びJNJ-957のエクスビボ有
効性を、11人の新たに診断されたMM患者、21人のダラツムマブナイーブ再発/難治
性MM患者、及び17人のダラツムマブ難治性再発/難治性MM患者(ダラツムマブ再発
/難治性患者は、全トランス型レチノイン酸(all-trans retinoic acid、ATRA)と
組み合わせたダラツムマブの第1相及び第2相試験に登録した;臨床試験識別子NCT0
2751255)、並びに原発性形質細胞白血病(pPCL;n=6)から得た55BM
吸引液中で評価した。ダラツムマブ単剤療法の開始直前、及びダラツムマブ治療中の進行
性疾患の時点で、DARA/ATRA試験で治療した8人の患者から逐次BMサンプルを
得た。同じ研究で、我々は、ダラツムマブ単剤療法の開始直前、及びダラツムマブで達成
された最大応答の時点で、10人の患者から逐次末梢血サンプルを得た。
【0838】
DARA/ATRA試験(NCT02751255)では、患者は、全身治療が必要な
MMを有し、2回又は3回以上の以前の治療から再発しているか、又はそれらに対して難
治性であった。患者は、18歳又は19歳以上であり、3ヶ月又は4ヶ月以上の寿命、2
又は1以下の活動指標、及び測定可能な疾患を有した。
【0839】
第1相試験中、推奨される用量及びスケジュール(毎週16mg/kgを8週間、その
後、2週間毎を16週間、及び4週間毎をPDまで)に従ってダラツムマブを与えた。研
究場所の倫理委員会又は機関審査委員会がプロトコルを承認し、これは、Declara
tion of Helsinki、International Conferenc
e on Harmonization、及びGuidelines for Good
Clinical Practiceの原理に従って行った。全ての患者が書面による
インフォームドコンセントを提出した。
【0840】
第1相及び第2相試験NCT02751255に登録した患者のベースライン特徴を、
表5及び表6に示す。RRMM患者は、以前に平均5(範囲1~9)回の治療を受け、R
RMMダラR患者は、以前に平均6(範囲3~12)回の治療を受けていた。表7は、第
1相及び第2相試験に登録した患者のベースライン特徴の更新された要約を示す。
【0841】
【0842】
【0843】
【表7】
*高リスク疾患は、del(17p)、del(1p)、ampl(1q)、t(4;
14)、又はt(14;16)の存在によって定義された。
**難治性疾患は、多発性骨髄腫の治療効果判定国際統一基準に従って、療法中の進行
性疾患、応答なし(PR未満)、又は治療停止後60日以内の進行性疾患として定義され
る。
#BM吸引液は、ダラツムマブ単剤療法中の進行性疾患の発症時に直ちに得た(n=1
5)が、2つのBMサンプルはそれぞれ、3及び5回の他の治療後、ダラツムマブ単剤療
法中の進行の発症から22及び48ヶ月後に得た。
§更に、19人の患者のうち1人は、レナリドミド不耐性である。
†更に、17人の患者のうち4人は、ボルテゾミブ不耐性である。
‡更に、16人の患者のうち3人は、ボルテゾミブ不耐性である。
略語:MM、多発性骨髄腫、NDMM、新たに診断されたMM、RRMM、再発/難治
性MM、ダラ:ダラツムマブ、pPCL、原発性形質細胞白血病、n、数、IgG、免疫
グロブリンG、IgA、免疫グロブリンA、FLC、遊離軽鎖、del、欠失、amp、
増幅、t、転座、PI、プロテアソーム阻害剤、IMiD、免疫調節剤、
【0844】
結果
ダラツムマブは、新たに診断された(NDMM)患者及び再発/難治性ダラツムマブナ
イーブ患者のMM細胞の効率的な溶解を媒介したが、RRMMダラツムマブ難治性患者の
細胞は、溶解に対して耐性であった(
図11)。
【0845】
新たに診断された(ND)MM患者サンプル(n=8)では、JNJ-957 4.0
μg/mLによるMM細胞の平均溶解は、79%であった(範囲:66~92%、
図12
)。同様ではあるが、より大きな変動を有するMM溶解が、レナリドミド(LEN)難治
性患者サンプル(n=15、4.0μg/mLでの平均溶解:69%、範囲:24~98
%、
図13)において達成され、これらの患者はまた、ボルテゾミブ(73%)、ポマリ
ドミド(82%)、及びカルフィルゾミブ(9%)難治性であった。JNJ-957はま
た、ダラツムマブ(DARA)難治性であるMM患者のサンプル(n=11、4.0μg
/mLでの平均溶解:83%、範囲:52~99%、
図14)においても有効であった。
NK及びT細胞頻度は、試験したサンプルのいずれにおいても影響を受けなかった。
【0846】
CD3×null及びBCMA×null対照抗体は、JNJ-957と比較したとき
に、異なる患者サンプルにおいて有意により低い活性を示し、これは、MM細胞とエフェ
クターT細胞との架橋の必要性、並びにBCMAブロックの直接的な効果の非存在を示し
た。
【0847】
原発性MM細胞のJNJ-957媒介性溶解は、CD25活性化抗原の発現によって評
価した場合、活性化CD4
+及びCD8
+T細胞の割合の用量依存的な増加に関連した。
JNJ-957治療はまた、CD107aの細胞表面発現によって決定した場合、CD4
+及びCD8
+T細胞の脱顆粒をもたらした。NDMM患者と、ダラツムマブナイーブR
RMM患者と、ダラツムマブ難治性RRMM患者との間には、T細胞活性化及び脱顆粒の
程度に差はなかった。
図15は、CD25+CD4 T細胞の割合のJNJ-957媒介
性増加を示す。
図16は、CD107a+CD4 T細胞の割合のJNJ-957媒介性
増加を示す。
図17は、二重陽性CD25+CD107+CD4 T細胞の割合のJNJ
-957媒介性増加を示す。
図18は、CD25+CD8 T細胞の割合のJNJ-95
7媒介性増加を示す。
図19は、CD107a+CD8 T細胞の割合のJNJ-957
媒介性増加を示す。
図20は、二重陽性CD25+CD107+CD8 T細胞の割合の
JNJ-957媒介性増加を示す。
【0848】
ダラツムマブナイーブ患者及びダラツムマブ難治性RRMM患者のJNJ-957で治
療したBM-MNCの上清中のグランザイムBのレベル及び様々なサイトカインもまた評
価した。JNJ-957媒介T細胞活性化は、グランザイムB、IFN-γ、IL-2、
IL-6、IL-8、IL-10、及びTNF-αのレベルの用量依存的な増加をもたら
した(データ示さず)。
【0849】
MM細胞殺傷の媒介におけるJNJ-957の有効性は、腫瘍特徴(BCMA又はPD
-L1発現、標準的な又は高リスクの細胞遺伝学的異常の存在)にも、全てのBMサンプ
ルにわたるエフェクター:標的比、T細胞系の組成、又はT細胞上のPD-1/HLA-
DR発現などの患者の特徴にも関連しなかった。しかしながら、患者分類を個別に分析し
た場合、BCMA(
図21)及びPD-L1(
図22)の発現レベルは、ダラツムマブ曝
露に関わらず、NDMM患者と比較して、RRMM患者において有意により高かった。患
者数は少なかったが、JNJ-957の活性は、ダラツムマブナイーブRRMM患者にお
いて、PD-L1発現レベルと逆相関した(P=0.045)。
【0850】
BM吸引液NDMM、ダラツムマブナイーブRRMM、及びダラツムマブRRMMサン
プル中の免疫細胞の組成を評価して、3つの患者サブグループから得たサンプルにおける
JNJ-957の差動効果についての理解を得た。組み合わせた患者の群では、高いT細
胞頻度(P=0.034)及び高いE:T比(P=0.029)が、MM細胞のJNJ-
7957媒介性溶解の向上に関連した。他の免疫パラメータ(T細胞、Treg、PD-
1+T細胞、HLA-DR+T細胞、又はナイーブT細胞の数)は、JNJ-7957媒
介性MM細胞溶解に影響を及ぼさなかった。
【0851】
サブグループ分析では、RRMM患者は、NDMM患者と比較したときに、Treg(
図23)及び活性化T細胞(HLA-DRの発現によって定義される)(
図24)の有意
により高い頻度、並びにナイーブT細胞のより低い頻度を有した。加えて、ダラツムマブ
難治性患者サンプルは、ダラツムマブナイーブサンプルよりも有意に多くのTEMRA
T細胞を含有した(
図25)。しかしながら、活性化、ナイーブ、セントラルメモリー(
CM)、エフェクターメモリー(EM)、又はTEMRA T細胞の頻度は、このサブグ
ループ分析では、JNJ-7957に対する応答には関連しなかった。Tregの高いベ
ースライン割合は、RRMM患者サンプルにおけるJNJ-957媒介性MM細胞溶解に
対する負の影響を示し、これは、最適な投薬によって克服された。Tregのベースライ
ン割合によって二分した、自家エフェクター細胞によって媒介されたNDMM(
図26)
、ダラツムマブナイーブRRMM(
図27)、及びダラツムマブ難治性RRMM(
図28
)患者サンプルのJNJ-597媒介性の溶解を評価した。50パーセンタイルを使用し
て、サンプルをTreg含有量の点で「低」又は「高」として分類した。NDMM:低:
≦7.34%、高:>7.34%。ダラツムマブナイーブRRMM:低≦15.57%、
高>15.57%。ダラツムマブ難治性RRMM:低≦11.24%、高>11.24%
。より高いTreg濃度は、ダラツムマブナイーブRRMM及びダラツムマブ難治性RR
MMサンプルにおけるMM細胞のJNJ-957媒介性溶解を弱めた。Treg効果は、
より高いJNJ-957濃度で抑止された。
【0852】
PD-1+T細胞の割合及びE:T比は、3つの患者群において同様であった。NDM
M患者においてのみ、低頻度のT細胞(P=0.010)及び高頻度のPD-1+T細胞
(P=0.048)が、MM細胞のJNJ-957媒介性溶解を損なった(データ示さず
)。
【0853】
JNJ-957の有効性に対するダラツムマブ治療の効果を、48時間のインキュベー
ション後の、NDMM(n=9)、ダラツムマブナイーブRRMM(n=18)、及びダ
ラツムマブ難治性RRMM(n=13)患者のBMサンプルにおけるJNJ-957媒介
性溶解を評価することによって評価した。比較的低濃度のJNJ-957(0.0064
~0.032μg/mL)では、ダラツムマブナイーブRRMM患者及びNDMM患者の
両方と比較して、ダラツムマブ曝露患者において腫瘍細胞溶解が有意に良好であった。図
29は、患者集団における溶解の割合を示す。データは、平均±SEMとして示し、P値
を、スチューデントt検定を使用して算出する。
【0854】
腫瘍低減の改善は、DARAの最近発見された免疫刺激効果によって補助することがで
きるため、MM患者の逐次BM吸引液を、DARA治療の前後に分析した(n=5)。こ
こで、我々は、DARA開始前のサンプルと比較して、DARA中の疾患進行後に得たサ
ンプルにおいて、BCMA発現は同等であるが、JNJ-957によるMM細胞溶解は改
善することを観察した(4.0μg/mLでの平均溶解:93対74%、
図30)。これ
らのBM吸引液では、Treg(
図31)及びCD4
+細胞(
図32)の割合は、わずか
に減少したが、CD8+細胞の割合(
図33)は、ダラツムマブ曝露患者サンプルに対し
て、ダラツムマブナイーブ患者サンプルにおいて増加した。この研究では、患者のダラツ
ムマブ単剤療法治療の持続時間中央値が3ヶ月(1~7ヶ月)である患者からサンプルを
得た。8人のRRMM患者のサンプルによる追跡調査では、CD38
+のTreg及びB
regの割合は、ダラツムマブナイーブ患者サンプルに対して、ダラ難治性患者サンプル
において有意に低減した(データ図示せず)。
【0855】
RPMI8226多発性骨髄腫細胞株のJNJ-957媒介性溶解を、ダラツムマブ治
療前及び治療中のRRMM患者の逐次PB MNCサンプルをエフェクター細胞として使
用して試験した。ダラ曝露PB MNCは、11ヶ月のダラツムマブ治療の持続時間中央
値(範囲7~14ヶ月)で、良好な応答(部分応答、非常に良好な部分応答、又は完全応
答のいずれか)を有する患者からダラツムマブ治療中に得た。
図34は、RPMI822
6のJNJ-957媒介性溶解が、ダラ曝露患者のPB MNCを使用して向上したこと
を示す。PB-MNCサンプルでは、Treg(
図35)及びCD4+細胞の割合(
図3
6)は、わずかに減少したが、CD8+細胞の割合(
図37)は、ダラツムマブ曝露患者
サンプルに対して、ダラツムマブナイーブ患者サンプルにおいて増加した。この研究では
、患者のダラツムマブ治療の持続時間中央値が3ヶ月(1~7ヶ月)である患者からサン
プルを得た。
【0856】
JNJ-957とダラツムマブとの組み合わせもまた、NDMM又はRRMMダラナイ
ーブ患者から得たMM細胞を殺傷する有効性について試験した。
図38は、JNJ-95
7(0.032~0.8μg/mL)単独、又はダラツムマブ10μg/mLとの組み合
わせで48時間治療した、新たに診断されたMM(NDMM)(n=8)患者のBM M
NCの溶解の割合を示す。JNJ-957及びダラツムマブによるMM細胞の観察(ob
s)溶解レベルを、予想(exp)溶解レベルと比較し、これらは、方法に示される相加
効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定して算出した。黒色バーは、群平
均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデントt検定を使用して算出する。図
39は、RRNNダラナイーブ患者におけるBM MNCの溶解率の割合を示す。
図40
は、RRMMダラツムマブ難治性患者におけるBM MNCの溶解の割合を示す。
【0857】
したがって、この研究は、JNJ-957が、新たに診断されたMM患者サンプル、及
び多くの前治療を受けたMM患者サンプルにおいて有効であることを実証した。高い割合
又は制御性T細胞は、低投薬量のJNJ-957の有効性に悪影響を及ぼすが、この悪影
響は、JNJ-957の用量増加によって克服された。インビボでのダラツムマブ前治療
は、MM細胞に対するJNJ-957の有効性を向上させた。
【0858】
エクスビボでのJNJ-957とダラツムマブとの組み合わせは、相加的な有効性を示
し、更に、インビボでのダラツムマブによる前治療は、BCMA×CD3のエクスビボ有
効性を増大した。
【0859】
実施例3 ダラツムマブ治療は、ブリナツモマブのエクスビボ有効性を向上させた
ダラツムマブ治療が他のT細胞リダイレクト療法にも有益であるかどうかを評価するた
めに、11人のMM患者の対をなしたダラツムマブナイーブ及びダラツムマブ曝露PB-
MNCを使用して、CD19
+Raji細胞を、急性リンパ性白血病の治療のためのFD
A承認CD19×CD3 BiTEであるブリナツモマブで治療した。JNJ-957に
よる観察と同様に、ブリナツモマブの活性は、ダラツムマブナイーブPB-MNCと比較
したときに、ダラツムマブ曝露PB-MNCとの共インキュベーションによって有意に向
上した(P<0.0001、
図41)。ブリナツモマブは、配列番号53のアミノ酸配列
を含む。
【0860】
配列番号53
DIQLTQSPASLAVSLGQRATISCKASQSVDYDGDSYLNW
YQQIPGQPPKL
LIYDASNLVSGIPPRFSGSGSGTDFTLNIHPVEKVDAAT
YHCQQSTEDPW
TFGGGTKLEIKGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQSGAELVR
PGSSVKISCKA
SGYAFSSYWMNWVKQRPGQGLEWIGQIWPGDGDTNYNGK
FKGKATLTADE
SSSTAYMQLSSLASEDSAVYFCARRETTTVGRYYYAMDY
WGQGTTVTVSS
GGGGSDIKLQQSGAELARPGASVKMSCKTSGYTFTRYTM
HWVKQRPGQGL
EWIGYINPSRGYTNYNQKFKDKATLTTDKSSSTAYMQLS
SLTSEDSAVYY
CARYYDDHYCLDYWGQGTTLTVSSVEGGSGGSGGSGGSG
GVDDIQLTQSP
AIMSASPGEKVTMTCRASSSVSYMNWYQQKSGTSPKRWI
YDTSKVASGVP
YRFSGSGSGTSYSLTISSMEAEDAATYYCQQWSSNPLTF
GAGTKLELKHH
HHHH
【0861】
実施例4 JNJ-957は、原発性pPCL細胞を効果的に殺傷する
JNJ-957のエクスビボ活性を、侵襲性の臨床的挙動を特徴とする新たに診断され
たpPCLを有する6人の患者のBMサンプルにおいて評価した。これらのpPCLサン
プル中のJNJ-957媒介性腫瘍細胞溶解は、NDMM及びダラツムマブナイーブRR
MMサンプルで観察された溶解と同様であったが、ダラツムマブ難治性RRMM患者サン
プルで観察されたものよりも低かった(P=0.0014)(
図42)。pPCLサンプ
ルにおけるE:T比中央値は、約8倍より低かったが、CD4
+(P=0.0040)及
びCD8
+T細胞(P<0.0001)の両方の活性化の程度、並びにCD8
+T細胞の
脱顆粒の程度(P=0.0141)は、NDMMと比較したときに、pPCLにおいて優
れていた。CD4
+T細胞の脱顆粒は、NDMMで観察されたものと同様であった。
【0862】
BM-MNCを6人のpPCL患者から得、JNJ-957(0.0064~4.0μ
g/mL)又は対照抗体3930、BC3B4、及び7008(4.0μg/mL)と共
に48時間インキュベートした後、生存CD138+腫瘍細胞、並びにT細胞及びNK細
胞を、フローサイトメトリー分析を使用して計数した。データを、細胞±SEMの平均溶
解%として表現した。全ての実験は、二連で実行した。
【0863】
実施例5 GPRC5D×CD3二重特異性抗体とダラツムマブとの組み合わせ
ダラツムマブ治療が他のT細胞リダイレクト療法にも有益であるかを更に評価するため
に、11人のMM患者の対をなしたダラツムマブナイーブ及びダラツムマブ曝露PB-M
NC(サンプルは上記の実施例に記載のものと同じ患者から得た)を使用して、RPMI
MM細胞を、GPRC5D×CD3二重特異性抗体で治療した。対照として、CD3又
はGPRC5D結合VH/VLドメインのいずれかを、無関係の抗原(gp120)に結
合するnullドメインで置換した抗体を使用した(対照mAb3930null×nu
ll、対照mAb7008:Null×CD3、対照mAb GPRC5D×null)
。抗体を、0.00064~4.0μg/mlの濃度にわたって試験した。GPRC5D
×CD3二重特異性抗体は、同様の効力で、ダラツムマブナイーブ及びダラツムマブ難治
性サンプルの両方においてMM細胞溶解を媒介した(
図43)。
【0864】
GPRC5D×CD3二重特異性抗体とダラツムマブとの組み合わせもまた、NDMM
又はRRMMダラナイーブ患者から得たMM細胞を殺傷する有効性について試験した。図
44は、GPRC5D×CD3二重特異性抗体(0.0128~0.8μg/mL)単独
、又はダラツムマブ0.1μg/mLとの組み合わせによって48時間媒介された原発性
MM細胞のBM MNCの溶解の割合を示す。GPRC5D×CD3二重特異性抗体及び
ダラツムマブによるMM細胞の観察(O)溶解レベルを、予想(E)溶解レベルと比較し
、これらは、方法に示される相加効果によってコンビナトリアル効果が達成されると仮定
して算出した。黒色バーは、群平均値±SEMを示す。P値を、対応のあるスチューデン
トt検定を使用して算出した。ダラツムマブとの共インキュベーションは、相加的な様式
でGPRC5D×CD3二重特異性抗体によるMM細胞溶解を向上させた。
【0865】
GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、GPRC5D結合アームGC5B596及び
CD3結合アームCD3B219を含む。GC5B596のアミノ酸配列を、表8に示す
。CD3B219のアミノ酸配列を、表4に示す。
【0866】
これらの実験で使用されるGPRC5D×CD3二重特異性抗体は、国際公開第201
8/0037651(A1)号に記載されており、以下の配列:
それぞれ配列番号43、44、45、446、47、及び48のHCDR1、HCDR
2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むGPRC5D結合ドメ
イン、並びにそれぞれ配列番号33、34、35、36、37、及び38のHCDR1、
HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD3結合ド
メインと、
配列番号49のVH及び配列番号50のVLを含むGPRC5D結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインと、
配列番号51の第1の重鎖(HC1)、配列番号52の第1の軽鎖(LC1)、配列番
号41の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号42の第2の軽鎖(LC2)とを含む。
【0867】
GPRC5D×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0868】
HC1は、S228P、F234A、及びL235A置換を含む。
【0869】
HC2は、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を
含む。
【0870】
【0871】
実施例6 T細胞リダイレクト療法と抗CD38抗体との組み合わせ
追加のT細胞リダイレクト療法と抗CD38抗体とを組み合わせる効果を、実施例1~
5に記載されるものと同様に評価する。これらの組み合わせを、T細胞リダイレクト療法
によって標的とされる腫瘍細胞(すなわち、T細胞リダイレクト療法によって結合される
抗原を発現する腫瘍細胞)の殺傷を媒介するそれらの相加又は相乗効果について試験する
。T細胞リダイレクト療法の有効性に対する抗CD38抗体の前治療の効果を、本明細書
の実施例に記載のように評価する。
【0872】
抗CD38抗体と組み合わせて試験されるT細胞リダイレクト療法には、PSMA×C
D3、TMEFF2×CD3、CD123×CD3、及びCD33×CD3二重特異性抗
体が含まれる。
【0873】
例示的なPSMA×CD3二重特異性抗体は、PSMA結合ドメインPSMB127及
びCD3結合ドメインCD3B219を含むPS3B27である。表9は、PS3B27
のアミノ酸配列を示す。CD3B219のアミノ酸配列を、表4に示す。
【0874】
これらの実験に使用される例示的なPSMA×CD3二重特異性抗体は、以下の配列:
それぞれ配列番号54、55、56、9、10、及び59のHCDR1、HCDR2、
HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むPSMA結合ドメイン、並
びにそれぞれ配列番号33、34、35、36、37、及び38のHCDR1、HCDR
2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD3結合ドメインと
、
配列番号60のVH及び配列番号61のVLを含むPSMA結合ドメイン、並びに配列
番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインと、
配列番号62の第1の重鎖(HC1)、配列番号63の第1の軽鎖(LC1)、配列番
号41の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号42の第2の軽鎖(LC2)とを含む。
【0875】
抗PSMA×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0876】
HC1は、S228P、F234A、及びL235A置換を含む。
【0877】
HC2は、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を
含む。
【0878】
【0879】
例示的なTMEFF2×CD3二重特異性抗体は、TMEFF2結合アームTMEB7
62及びCD3結合アームCD3B376を含むTMCB150である。表10は、TM
EB762のアミノ酸配列を示す。表11は、CD3B376のアミノ酸配列を示す。
【0880】
これらの実験に使用される代表的なTMEFF2×CD3二重特異性抗体は、TMCB
150であり、以下の配列:
それぞれ配列番号64、65、66、67、68、及び69のHCDR1、HCDR2
、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むTMEFF2結合ドメイ
ン、並びにそれぞれ配列番号74、75、76、77、78、及び79のHCDR1、H
CDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD3結合ドメ
インと、
配列番号70のVH及び配列番号71のVLを含むTMEFF2結合ドメイン、並びに
配列番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインと、
配列番号72の第1の重鎖(HC1)、配列番号73の第1の軽鎖(LC1)、配列番
号82の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号83の第2の軽鎖(LC2)とを含む。
【0881】
抗TMEFF2×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0882】
HC1は、S228P、F234A、及びL235A置換を含む。
【0883】
HC2は、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を
含む。
【0884】
【0885】
【0886】
例示的なCD33×CD3二重特異性抗体は、CD33結合アームC33B904及び
CD3結合アームCD3B376を含むC3CB189である。表12は、C33B90
4のアミノ酸配列を示す。CD3B376のアミノ酸配列を、表11に示す。
【0887】
これらの実験で使用される代表的なCD33×CD3二重特異性抗体は、C3CB18
9であり、以下の配列:
それぞれ配列番号84、85、86、87、88、及び89のHCDR1、HCDR2
、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD33結合ドメイン、
並びにそれぞれ配列番号74、75、76、77、78、及び79のHCDR1、HCD
R2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD3結合ドメイン
と、
配列番号90のVH及び配列番号91のVLを含むCD33結合ドメイン、並びに配列
番号80のVH及び配列番号81のVLを含むCD3結合ドメインと、
配列番号92の第1の重鎖(HC1)、配列番号93の第1の軽鎖(LC1)、配列番
号82の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号83の第2の軽鎖(LC2)とを含む。
【0888】
抗CD33×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0889】
HC1は、S228P、F234A、及びL235A置換を含む。
【0890】
HC2は、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を
含む。
【0891】
【0892】
例示的なCD123×CD3二重特異性抗体は、CD123結合アームI3RB218
及びCD3結合アームCD3B219を含む8747である。8747は、国際公開第2
016/036937(A1)号に記載されている。表13は、I3RB218のアミノ
酸配列を示す。CD3B219のアミノ酸配列を、表4に示す。
【0893】
これらの実験に使用される代表的なCD123×CD3二重特異性抗体は、8747で
あり、以下の配列:
それぞれ配列番号94、95、96、9、10、及び59のHCDR1、HCDR2、
HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD123結合ドメイン、
並びにそれぞれ配列番号33、34、35、36、37、及び38のHCDR1、HCD
R2、HCDR3、LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含むCD3結合ドメイン
と、
配列番号100のVH及び配列番号61のVLを含むCD123結合ドメイン、並びに
配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含むCD3結合ドメインと、
配列番号102の第1の重鎖(HC1)、配列番号63の第1の軽鎖(LC1)、配列
番号41の第2の重鎖(HC2)、及び配列番号42の第2の軽鎖(LC2)とを含む。
【0894】
抗CD123×CD3二重特異性抗体は、IgG4アイソタイプである。
【0895】
HC1は、S228P、F234A、及びL235A置換を含む。
【0896】
HC2は、S228P、F234A、L235A、F405L、及びR409K置換を
含む。
【0897】
【0898】
T細胞リダイレクト治療薬による腫瘍殺傷の有効性に対する抗CD38抗体による前治
療の効果を評価するために、腫瘍細胞を、CD123、CD33、PSMA、TMEFF
2などのT細胞リダイレクト治療薬が結合する抗原を発現する腫瘍を有する対象から単離
するか、又は確立された腫瘍細胞株を使用する。腫瘍細胞殺傷を、腫瘍細胞を、実施例に
記載の抗CD38抗体曝露又は抗CD38抗体ナイーブ対象から得たPB-MNCと共に
共インキュベートすることによってエクスビボで評価し、腫瘍細胞の溶解の割合を、各群
において評価する。別個の実施例で、T細胞リダイレクト治療薬及び抗CD38抗体を、
標的及びエフェクター細胞と一緒に、又は個別にインキュベートし、組み合わせ対個別の
治療法によって媒介される腫瘍細胞殺傷を評価する。
【0899】
AML腫瘍などのCD123陽性腫瘍細胞、又はAML細胞株KG1a、HL60、若
しくはMOLM13などの細胞株を標的細胞として使用して、CD123×CD3二重特
異性抗体媒介性腫瘍細胞殺傷に対する抗CD38抗体の効果を評価する。
【0900】
AML腫瘍などのCD33陽性腫瘍細胞、又はAML細胞株KG1a、HL60、若し
くはMOLM13などの細胞株を標的細胞として使用して、CD33×CD3二重特異性
抗体媒介性腫瘍細胞殺傷に対する抗CD38抗体の効果を評価する。
【0901】
LnCP細胞などのTMEFF2陽性腫瘍細胞を標的細胞として使用して、TMEFF
2×CD3二重特異性抗体媒介性腫瘍細胞殺傷に対する抗CD38抗体の効果を評価する
。
【0902】
LnCP細胞などのTMEFF2陽性腫瘍細胞を標的細胞として使用して、PSMA×
CD3二重特異性抗体媒介性腫瘍細胞殺傷に対する抗CD38抗体の効果を評価する。
【0903】
抗CD38抗体を受けた対象、又は抗CD38抗体治療に対してナイーブである対象か
ら単離したPBMC又はBM-MNCを、エフェクター細胞として使用する。
【0904】
当業者であれば、本発明の好ましい実施形態に対して、多数の変更及び修正を加えるこ
とができ、そのような変更及び修正を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で行うことがで
きることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨
及び範囲に含まれる、そのような等価的な変形の全てを網羅することが意図されている。
【0905】
本明細書に引用又は記載されている各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全文
において本明細書に参考として組み込まれる。
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、配列番号43のHCDR1、配列番号44のHCDR2、配列番号45のHCDR3、配列番号46のLCDR1、配列番号47のLCDR2、及び配列番号48のLCDR3を含むGPRC5D結合ドメイン、並びに配列番号33のHCDR1、配列番号34のHCDR2、配列番号35のHCDR3、配列番号36のLCDR1、配列番号37のLCDR2、及び配列番号38のLCDR3を含むCD3結合ドメインを含む、請求項1に記載の医薬組成物。
前記GPRC5D結合ドメインが、配列番号49のVH及び配列番号50のVLを含み、前記CD3結合ドメインが配列番号39のVH及び配列番号40のVLを含む、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
前記GPRC5D×CD3二重特異性抗体が、IgG4アイソタイプであり、HC1の405位にフェニルアラニン及び409位にアルギニン、並びにHC2の405位にロイシン及び409位にリジンを含み、残基の番号付けが、EUインデックスに従う、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記癌が、多発性骨髄腫、リンパ腫、黒色腫、形質細胞白血病、乳癌、子宮内膜癌、卵巣癌、肺癌、胃癌、前立腺癌、腎癌、肝癌、膵癌、結腸癌、食道癌、膀胱癌、又は子宮頸癌である、請求項7に記載の医薬組成物。
前記対象が、抗CD38抗体、レナリドミド、ボルテゾミブ、ポマリドミド、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、若しくはサリドマイド、又はこれらの任意の組み合わせによる治療に対して難治又は再発性である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記抗CD38抗体が、配列番号6のHCDR1、配列番号7のHCDR2、配列番号8のHCDR3、配列番号9のLCDR1、配列番号10のLCDR2、及び配列番号11のLCDR3を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
前記1つ又は2つ以上の抗癌治療が、レナリドミド、サリドマイド、ポマリドミド、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、エロトズマブ、イキサゾミブ、メルファラン、デキサメタゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン、プレドニゾン、リツキシマブ、イマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ボスチニブ、ポナチニブ、バフェチニブ、サラカチニブ、トザセルチブ、若しくはダヌセルチブ、シタラビン、ダウノルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、ヒドロキシウレア、デシタビン、クラドリビン、フルダラビン、トポテカン、エトポシド6-チオグアニン、コルチコステロイド、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、アザシチジン、三酸化ヒ素、及び全トランス型レチノイン酸、又はこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の医薬組成物。