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特開2024-26238プロピレンコポリマーを含有するホットメルト接着剤組成物及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026238
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】プロピレンコポリマーを含有するホットメルト接着剤組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/16 20060101AFI20240220BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240220BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240220BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240220BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C09J123/16
C09J11/08
C09J11/06
B32B27/00 C
B32B27/32
C09J5/06
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203435
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2020541508の分割
【原出願日】2019-01-29
(31)【優先権主張番号】62/624,369
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】スシェウ,ジル エム.
(72)【発明者】
【氏名】シークリスト,キンバリー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ファリス,キャスリーン エム.
(57)【要約】      (修正有)
【課題】構成接着剤として、適切な剥離性能及び剪断強度を有し、(好ましくは可能な限り低い)所望の適用温度において十分低い粘度を有し、且つ適用温度において噴霧可能であるホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;可塑剤とを含むホットメルト接着剤組成物。組成物は良好な剥離強度及び良好な剪断抵抗性を示し、且つ約121℃などの低い適用温度において十分低い粘度によって、噴霧可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)42重量%~47重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;
(b)1%~4%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;
(c)35重量%~45重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;
(d)10重量%~16重量%の可塑剤と
を含む、ホットメルト接着剤組成物であって、前記第1のポリマー対前記第2のポリマーの重量比が50:1~15:1であり、且つ前記組成物の粘度が121℃において20,000cP未満であり、
前記第1のポリマーが、18~22J/gの融解熱を有し;且つ
前記第2のポリマーが、6~9J/gの融解熱を有する、ホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記第1のポリマーが、2.2~2.8の多分散性指数を有し;且つ
前記第2のポリマーが、2.2~2.8の多分散性指数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1のポリマーの重量平均分子量が、40,000~48,000ダルトンであり;且つ
前記第2のポリマーの重量平均分子量が、105,000~125,000ダルトンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1のポリマーが、10%~15%のエチレン含有量を有し;且つ
前記第2のポリマーが、10%~15%のエチレン含有量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1のポリマーが、90℃~110℃の融解温度を有し;且つ
前記第2のポリマーが、55℃~75℃の融解温度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1のポリマーが、-30℃~-22℃のガラス転移温度を有し;且つ
前記第2のポリマーが、-30℃~-22℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記粘着付与樹脂が、脂肪族及び脂環式炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体、水素化芳香族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族又は脂環式樹脂及びそれらの水素化誘導体、ポリテルペン及びスチレン化ポリテルペン樹脂及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記可塑剤が、鉱油及び液体ポリブテンからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
安定剤又は酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
ワックスをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ワックスが0.1重量%~20重量%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記第1及び第2のポリマーの合計重量が、前記ホットメルト接着剤組成物の全重量に基づき、40%~50%を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記第1のポリマーが5~35J/gの融解熱を有し;
前記第1のポリマーが1.5~6の多分散性指数を有し;
前記第1のポリマーの重量平均分子量が20,000~55,000ダルトンであり;
前記第1のポリマーが5重量%~25重量%のエチレン含有量を有し;
前記第1のポリマーが70℃~130℃の融解温度を有し;且つ
前記第1のポリマーが-45℃~-5℃のガラス転移温度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
溶融状態の請求項1~13のいずれか一項に記載のホットメルト接着剤組成物を一次基材に適用するステップと;
二次基材を前記接着剤組成物と接触させることによって、前記一次基材に二次基材を適合させるステップと
を含む、積層品の製造方法。
【請求項15】
前記一次基材がポリエチレン膜である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記二次基材が不織層である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
請求項14~16のいずれか一項に記載の方法によって製造される積層品。
【請求項18】
(a)プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;
(b)プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;
(c)最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;
(d)可塑剤と
を含むホットメルト接着剤組成物であって、前記組成物の粘度が121℃において35,000cP以下であり、且つ前記第1のポリマー、前記第2のポリマー、前記粘着付与樹脂及び前記可塑剤が、(1)ポリエチレン膜と不織層との間に2gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも150グラム力及び54.5℃において老化後に少なくとも250グラム力の剥離力;(2)ポリエチレン膜と不織層との間に1gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも100グラム力の剥離力;並びに(3)2つの不織層の間に適用され、且つ250グラム重量を使用する場合、37.8℃において少なくとも50分の剪断値を有するホットメルト接着剤組成物を提供するために有効な量で存在する、ホットメルト接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)により、2018年1月31日出願の米国特許出願第62/624,369号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、ホットメルト接着剤、より特にポリオレフィンをベースとするホットメルト接着剤に関する。これらの接着剤は、種々の基材を一緒に接着する際に有用であり、且つおむつ、女性用生理ナプキン、成人用失禁製品、医療用ガウンなどの使い捨て消費者物品の製造のための構成接着剤として特に有用である。
【背景技術】
【0003】
ホットメルト接着剤は、典型的に周囲温度で固体物質として存在し、そして熱の適用によって流動性の液体へと変換されることが可能である。これらの接着剤は、種々の基材の結合が必要となることの多い種々の使い捨て商品を製造する際に特に有用である。特定の応用としては、総合して使い捨て不織衛生製品として知られる、使い捨ておむつ、病院用パッド、女性用生理ナプキン、パンティーシールド、外科用ドレープ及び成人用失禁ブリーフが含まれる。他の多角的な応用には、紙製品、パッケージ材料、自動車ヘッドライナー、装具、テープ及びラベルが関与する。これらの応用の大部分において、ホットメルト接着剤は、その溶融状態まで加熱され、次いで、しばしば一次基材と呼ばれる基材に適用される。次いで、しばしば二次基材と呼ばれる第2の基材を、即座に第1の基材と接触させ、そしてそれに対して圧縮する。接着剤は冷却時に固化し、強い結合を形成する。ホットメルト接着剤の主な有利点は、水又は溶媒ベースの接着剤の場合のような液体キャリアが存在しないことであり、それによって、溶媒除去と関連する、費用のかかるプロセスは排除される。
【0004】
多くの適用に関して、ピストン又はギアポンプ装置を使用することによって、ホットメルト接着剤が薄膜又はビーズの形態で基材上に直接押し出されることが多い。この場合、基材は圧力下でホットダイと密接して接触する。ダイの温度は、溶融したホットメルト材料が適用ノズル中をスムーズに流れることを可能にするために、接着剤の融点より十分高く維持されなければならない。多くの適用に関して、特に食品包装及び使い捨て不織衛生物品製造において行われる適用に関して、ゲージプラスチック薄膜などの精密で感熱性である基材の結合が関与することが多い。このことは、ホットメルト接着剤適用に関するコーティング温度に上限を課す。現在市販されているホットメルトは、基材焼成又は歪曲を避けるために、典型的に200℃未満、好ましくは150℃未満のコーティング温度を有するように配合される。
【0005】
直接的にコーティングすることに加えて、圧縮空気の補助によって、遠距離から基材上にホットメルト接着剤が噴霧コーティングされることが可能である、いくつかの間接的又は非接触コーティング法も開発されている。これらの非接触コーティング技術としては、従来のスパイラル噴霧、Omega(商標)、Surewrap(商標)及び種々の形態のメルトブローン法が含まれる。しかしながら、間接的な方法によると、許容できるコーティングパターンを得るために、接着剤の粘度が適用温度において十分低くならなければならず、通常2,000~30,000mPa.s、好ましくは2,000~15,000mPa.sの範囲であることが要求される。接着剤の多くの他の物理的要因、特に流動学的特性は、ホットメルトの噴霧適性を決定することにおいて役割を果たす。市販のポリオレフィンホットメルト製品の多くは噴霧適用には適さない。経験的に適用装置によって決定される噴霧適性を予測するための許容される理論的モデル又はガイドラインはない。
【0006】
ホットメルト接着剤は、典型的に、ポリマー、可塑剤、粘着付与樹脂及び酸化防止剤パッケージからなる有機材料である。ワックス、充てん剤、着色剤及びUV吸収剤などの他の成分も接着剤特性を変化させるため、又は特別な特性を提供するために使用可能である。これらの有機成分は、接着剤のコーティング条件下で熱分解を引き起こしやすい。例えば、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)トリブロックコポリマーをベースとする特定の広範囲に使用される市販のホットメルト接着剤は、24時間、175℃の温度を受けた場合、その最初の値から約50パーセントの粘度低下を被る可能性がある。スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ベースのホットメルトは、類似条件下で架橋による問題を引き起こし得る。架橋によって粘度の劇的な増加がもたらされる可能性があり、そして3次元ポリマーネットワークの形成によって、最終的に接着剤を非流動性にさせ得る。粘度変化は、しばしば溶融材料上での焦げ、ゲル化及び被膜形成を伴う。分解は必然的に接着剤特性及び性能の低下を導くであろう。加えて、そのような分解は、装置の損傷を引き起こす可能性もある。分解速度は温度依存性であり;温度が高いほど、分解が速い。したがって、接着剤のコーティング温度を低下させることによって、分解を遅くさせることができる。
【0007】
使い捨て消費者衛生物品のためのホットメルト「構成接着剤」は、種々の不織材料をポリ乳酸、ポリエチレン又は未処理のポリプロピレンなどの低表面エネルギー熱可塑性フィルムと接着させる。使い捨て物品の製造においてより薄いポリオレフィンバックシートを使用する場合、接着剤が適用されるときの溶落ち及び変形を防ぐためにより低粘度のホットメルトの使用が必要とされる。構成接着剤は、良好なせん断強度を有するべきであるが、さらに、特に低い付加レベルにおいて1平方メートルあたり1又は2グラムなどの強い剥離強度を有さなければならない。
【0008】
ホットメルト接着剤を開発する努力がなされてきた。米国特許出願公開第2015/0322302号明細書には、190℃において5g/10分より高いが約35g/10分未満である平均メルトインデックスを有するオレフィンコポリマーを含む低適用温度ホットメルト接着剤が開示される。この接着剤は、不織物品の構成において特に有用である。米国特許第9,109,143号明細書には、100,000ダルトン以下の平均分子量を有する2つのポリプロピレンベースのコポリマーを含むホットメルト接着剤が開示される。米国特許出願公開第2016/0376478号明細書には、30~80重量%のポリマーブレンド及び2~20重量%のオイルを含む接着剤組成物が開示される。このブレンドは、いずれかの様式で互いに異なる第1及び第2のプロピレンベースのポリマーを有する。相違は、例えば、2つのポリマーのコモノマー含有量、融解熱、結晶化度、分岐指数、重量平均分子量及び/又は多分散性によって測定され得る。接着剤は、より高いオイル含有量を可能にするために、約1重量%~約10重量%の量で、より高分子量のプロピレンベースのポリマーをさらに含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
構成接着剤として特に良好に機能するであろうホットメルト接着剤を提供することは有利であろう。そのために、接着剤が適切な剥離性能及び剪断強度を有し、(好ましくは可能な限り低い)所望の適用温度において十分低い粘度を有し、且つ適用温度において噴霧可能であることが望ましい。「噴霧可能である」とは、接着剤が、接着剤の損失が最小である状態で、整合性をもって所望の噴霧パターンに順応することを意味する。本発明の実施形態は、これら全ての必要条件を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)約30重量%~約72重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;(b)約0.1%~約8%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;(c)約25重量%~約65重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;(d)約2重量%~約25重量%の可塑剤とを含み、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が約500:1~9:1であり、且つ組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下である。
【0011】
本発明の別の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;(b)プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;可塑剤とを含み、組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下であり、且つ第1のポリマー、第2のポリマー、粘着付与樹脂及び可塑剤が、(1)ポリエチレン膜と不織層との間に2gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも150グラム力及び54.5℃において老化後に少なくとも250グラム力の剥離力;(2)ポリエチレン膜と不織層との間に1gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも100グラム力の剥離力;並びに(3)2つの不織層の間に適用され、且つ250グラム重量を使用する場合、37.8℃において少なくとも50分の剪断値を有するホットメルト接着剤組成物を提供するために有効な量で存在する。
【0012】
本発明の別の実施形態によると、積層品の製造方法は、溶融状態の本発明のいずれかの実施形態によるホットメルト接着剤組成物を一次基材に適用するステップと、二次基材を接着剤組成物と接触させることによって、一次基材に二次基材を適合させるステップとを含む。ホットメルト接着剤が構成接着剤として使用される実施形態において、一次基材はポリエチレン膜であり、且つ二次基材は不織層である。
【0013】
上記の一般的な説明及び次の詳細な説明は、両方とも本発明の例示であるが、制限をするものではないことは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明及び2つの比較例の例示的な配合物の剪断強度に対する1週間老化後の剥離性能を示しており、円の大きさは標準偏差を表す。
図2】3つの異なる適用温度における本発明の例示的な配合物の初期及び種々の老化環境後の両方の剥離性能を示す。
図3】本発明及び2つの比較例の例示的な配合物の剪断強度に対する1週間老化後の剥離性能を示しており、円の大きさは標準偏差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)約30重量%~約72重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;(b)約0.1%~約8%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;(c)約25重量%~約65重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;(d)約2重量%~約25重量%の可塑剤とを含み、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が約500:1~9:1であり、且つ(121℃においてBrookfield粘度計を使用することによってASTM D3236によって測定される)組成物の粘度が約35,000cP以下である。他に特に明示されない限り、本明細書中の全ての百分率は接着剤の全重量に基づく重量によるものである。
【0016】
本発明の実施形態は、第1のポリマー対第2のポリマーの比較的高い重量比で、低分子量の第1のポリマー及び高分子量の第2のポリマーの混合物をベースとする接着剤である。好ましい実施形態において、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比は、約200:1~9:1、好ましくは約75:1~約10:1、最も好ましくは約50:1~約15:1である。(この比率を含む)特性の数値範囲又は成分の量が本明細書中に提供される場合、本発明は、特性又は量の第1の範囲の下限及び第2の範囲の上限から延在するその特性又は量の範囲を含む。したがって、一例として、本発明は、約200:1~15:1、約75:1~約9:1及び約50:1~約10:1の第1のポリマー対第2のポリマーの重量比の範囲を含む。本発明の実施形態による接着剤は、1平方メートルあたり1又は2グラムなどの低い付加レベルでさえも、優れた剪断強度及び剥離抵抗を示し、且つ比較的低い温度でも噴霧されるために十分低い粘度を維持する。そのような特性によって、本発明の接着剤は、衛生、構成及び包装用途に有用となる。
【0017】
本発明の第1のポリマーは単峰性であり、それが、2つのポリマー又は同一ポリマーの2つの異なるグレードのブレンド又は混合物を構成しないことを意味する。例えば、本発明の単峰性の第1のポリマーは、異なる平均分子量を有する2つのポリマーの混合物ではない。つまり、単峰性の第1のポリマーは、ポリマーを製造するための単一プロセスの結果であり、且つ2つの異なるポリマー又は同一ポリマーの2つの異なるグレード(すなわち、2つの異なる平均分子量を有する同一ポリマー)の混合物ではない。したがって、本発明の単峰性の第1のポリマーの分子量などの特性は、一般に鐘形曲線を有する。第1のポリマーの単峰性は、分子量に加えて、コモノマー含有量、融解熱、結晶化度、分岐指数、融点、ガラス転移温度、密度及び多分散性などのその全ての特性に関して存在する。本発明の実施形態において、第2のポリマーも単峰性である。
【0018】
一般に、第1のポリマーの重量平均分子量は約5,000~60,000ダルトンである。好ましくは、第1のポリマーの重量平均分子量は、約20,000~約55,000ダルトン、より好ましくは約30,000~約52,000ダルトン、なおより好ましくは約35,000~約50,000ダルトン、最も好ましくは約40,000~約48,000ダルトンである。一般に、第2のポリマーの重量平均分子量は、約100,000~250,000ダルトンである。好ましくは、第2のポリマーの重量平均分子量は、約100,000~約200,000ダルトン、より好ましくは約100,000~約150,000ダルトン、最も好ましくは約105,000~約125,000ダルトンである。重量平均分子量は、ポリスチレン参照標準を使用する高温サイズ排除クロマトグラフ(High Temperature Size Exclusion Chromatograph)(SEC)を使用して特徴づけられる。
【0019】
第1及び第2のポリマーは、広範囲で変動し、且つ同一であっても、又は異なっていてもよい融解熱を有し得る。好ましくは、第1のポリマーは、約5~約35J/g、好ましくは約10~約29J/g、より好ましくは約15~約25J/g、最も好ましくは約18~約22J/gの融解熱を有する。好ましくは、第2のポリマーは、約2.5~約25J/g、好ましくは約3~約15J/g、より好ましくは約3.5~約10J/g、最も好ましくは約6~約9J/gの融解熱を有する。本明細書中に提供される融解熱値は、1分あたり10℃の代わりに1分あたり20℃の走査温度を使用したことを除き、ASTM E793-01「Standard Test Method for Enthalpies of Fusion and Crystallization by Differential Scanning Calorimetry」に従って決定される。
【0020】
第1のポリマー及び第2のポリマーの多分散性指数は、広範囲で変動し得、且つ同一であっても、又は異なっていてもよい。2つのポリマーの多分散性指数は、好ましくは約1.5~約6、より好ましくは約1.8~約5、なおより好ましくは約2~約3、最も好ましくは約2.2~約2.8である。
【0021】
第1及び第2のポリマーは両方とも主にプロピレン単位から構成される。これは、それらが少なくとも50重量パーセントのプロピレンを含むことを意味する。好ましくは、第1及び第2のポリマーは、約5%~約25%、より好ましくは約7%~約20%、なおより好ましくは約9%~約17%、最も好ましくは約10%~約15%のエチレン含有量を有する。第1及び第2のポリマーは、同一又は異なるエチレン含有量を有してもよい。
【0022】
融点とも呼ばれる第1及び第2のポリマーの融解温度は、広範囲で変動し得る。好ましくは、第1のポリマーの融解温度は、約70℃~約130℃である。より好ましくは、第1のポリマーの融解温度は、約75℃~約125℃、なおより好ましくは約85℃~約115℃、最も好ましくは約90℃~約110℃である。好ましくは、第2のポリマーの融解温度は、約35℃~100℃である。より好ましくは、第2のポリマーの融解温度は、約40℃~約90℃、なおより好ましくは約50℃~約80℃、最も好ましくは約55℃~約75℃である。第1及び第2のポリマーの融解温度は、同一であっても又は異なってもよい。本明細書で記載される場合、融解温度とは、1分あたり10℃の代わりに1分あたり20℃の走査温度が使用されたという点で試験に1つの変更があったことを除き、ASTM E-794-01に従って示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定される(「DSC融点」)。
【0023】
第1及び第2のポリマーのガラス転移温度も広範囲で変動し得る。好ましくは、第1及び第2のポリマーのガラス転移温度は約-45℃~約-5℃である。より好ましくは、ガラス転移温度は-35℃~-15℃、なおより好ましくは約-32℃~-20℃、最も好ましくは約-30℃~-22℃である。第1及び第2のポリマーのガラス転移温度は、同一であっても又は異なってもよい。本明細書で記載される場合、ガラス転移温度とは、1分あたり10℃の代わりに1分あたり20℃の走査温度が使用されたという点で試験に1つの変更があったことを除き、ASTM E-794-01に従って示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定される。
【0024】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂(本明細書中、「粘着付与剤」とも呼ばれる)も含む。本明細書で定義される通り、粘着付与剤は、分子又は高分子であることが可能であり、且つ一般に、天然供給源由来又は化学プロセス若しくはそれらの組合せ由来の化合物又は一般的なポリマーと比較して非常に低分子量のポリマーであり、一般に最終ホットメルト接着剤組成物の接着性を強化するものである。代表的な樹脂としては、C5/C9炭化水素樹脂、合成ポリテルペン、ロジン、ロジンエステル、天然テルペンなどが含まれる。より特に、有用な粘着付与樹脂としては、いずれかの適合性のある樹脂又はそれらの混合物が含まれ、例えば(1)ガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量体化ロジン及び重合ロジンを含む天然及び変性ロジン;(2)ペール、ウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのペンタエリトリトールエステル及びロジンのフェノール変性ペンタエリトリトールエステルを含む天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリトリトールエステル;(3)スチレン/テルペン及びアルファメチルスチレン/テルペンなどの天然テルペンのコポリマー及びターポリマー;(4)一般に、適度に低い温度において、フリーデル-クラフツ触媒の存在下でピネンとして既知の二環式モノテルペンなどのテルペン炭化水素の重合の結果として得られるポリテルペン樹脂;水素化ポリテルペン樹脂も含まれる;(5)フェノール変性テルペン樹脂及びその水素化誘導体、例えば酸性媒体中、二環式テルペン及びフェノールの縮合の結果として得られる樹脂生成物;(6)主にオレフィン及びジオレフィンからなるモノマーの重合の結果として得られる脂肪族石油炭化水素樹脂;水素化脂肪族石油炭化水素樹脂も含まれる;並びに(7)環式石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体である。上記の粘着付与樹脂の2つ以上の混合物がいくつかの配合物に必要とされ得る。環式又は非環式C5樹脂及び芳香族変性非環式又は環式樹脂も含まれる。
【0025】
本発明の実施形態において、粘着付与剤は、脂肪族及び脂環式炭化水素樹脂並びにそれらの水素化誘導体、水素化芳香族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族又は脂環式樹脂及びそれらの水素化誘導体、ポリテルペン及びスチレン化ポリテルペン樹脂並びにそれらの混合物からなる群から選択される。本発明の別の実施形態において、粘着付与剤は、C-5脂肪族炭化水素樹脂、水素化C-5樹脂、水素化C-9樹脂、水素化DCPD樹脂及び芳香族変性DCPD樹脂からなる群から選択される。
【0026】
本発明の一実施形態において、粘着付与樹脂は、少なくとも約40℃、最も好ましくは約80℃~110℃の(ASTM E28に従って測定された)環球式軟化点を有する。なおより好ましくは、本明細書中で使用される粘着付与剤は、108℃未満、最も好ましくは105℃未満の環球式軟化点を有する。
【0027】
本発明の一実施形態は、約25%~約65%の量で粘着付与樹脂を含むホットメルト接着剤組成物を提供する。好ましくは、粘着付与樹脂は、約30重量%~約60重量%、より好ましくは約32重量%~約50重量%、最も好ましくは約35重量%~約45重量%の量で存在する。
【0028】
本発明のホットメルト接着剤組成物は可塑剤も含む。可塑剤は、本発明において、配合、適用及び最終使用の間の接着剤の挙動を制御するために使用され得る。本発明において有用な可塑剤成分は、鉱物ベースのオイル、石油ベースのオイル、液体樹脂、液体エラストマー、ポリブテン、ポリイソブチレン、フタレート及びベンゾエート可塑剤及びエポキシド化大豆油から選択され得る。好ましくは、可塑剤は、鉱油及び液体ポリブテン、より好ましくは30%未満の芳香族炭素原子を有する鉱油からなる群から選択される。可塑剤は、仕上げ接着剤における押出性、可撓性、加工性及び伸縮性を改善するために熱可塑性ゴム及び他の樹脂に添加され得る、典型的に有機組成物として総括的に定義される。周囲又は適用温度において流動し、且つ本発明の組成物で適合可能であるいずれの材料も有用であり得る。好ましくは、可塑剤は、約40℃より高い温度において低揮発性を有する。最も一般に使用される可塑剤は、主に芳香族含有量が低い炭化水素油であり、且つ特徴がパラフィン系又はナフテン系であるオイルである。このオイルは、好ましくは、揮発性が低く、透明であり、且つ着色が少なく、且つ無視できる臭気を有する。本発明は、オレフィンオリゴマー、低分子量ポリマー、合成炭化水素油、植物油及びそれらの誘導体並びに類似の可塑化オイルも含み得る。固体可塑剤も本発明に有用であり得る。そのような可塑剤の例としては、1,4-シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、グリセリルトリベンゾエート、ペンタエリトリトールテトラベンゾエート及びジシクロヘキシルフタレートが含まれる。本明細書で上記された種類の本発明において有用な適切なナフテン系鉱油との石油ベースのオイルが好ましく、これは、Nynasから商品名Nyplast(登録商標)で商業的に入手可能である。適切な液体可塑剤としては、Ineosによって供給されるIndopolシリーズ材料などのポリブテンが含まれる。必要に応じて、最終使用性能及び最終特性を調整するために可塑剤のブレンドも利用され得る。
【0029】
可塑剤は、約2重量%~約25重量%の量で、より好ましくは約5重量%~約20重量%、なおより好ましくは約7重量%~約18重量%、最も好ましくは約10重量%~約16重量%の量で使用されてよい。2つ以上の可塑剤のブレンドも使用され得る。例えば、第1の可塑剤と、第1の可塑剤と異なる第2の可塑剤のブレンドとも利用され得る。必要に応じて、上記で列挙された総量を達成するために、約1重量%~約19重量%の1つ以上の追加の可塑剤が第1の可塑剤と一緒にブレンドされ得る。
【0030】
本発明のホットメルト接着剤はまた、約0.1重量%~約5重量%の量で安定剤又は酸化防止剤を含み得る。好ましくは、約0.1%~2%の安定剤又は酸化防止剤が組成物に組み込まれる。本発明のホットメルト接着剤組成物中で有効な安定剤は、組み込まれて、接着剤の製造及び適用中並びに周囲環境への最終生成物の通常の暴露において通常生じる熱及び酸化分解の影響から、上記で指摘されたポリマー、したがって全接着剤系を保護するのに有用である。適用可能な安定剤の中でも、ヒンダードフェノール並びに硫黄及びリン含有フェノールなどの多官能性フェノールが挙げられる。ヒンダードアミンフェノールなどの酸化防止剤は、そのフェノール系ヒドロキシル基の付近に嵩高い基も含有するフェノール系化合物として特徴付けられ得、且つ好ましい。特に、第三級ブチル基は、一般に、フェノール系ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つにおいてベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基の近辺のこれらの立体的に嵩高い置換基の存在は、その伸縮振動数、したがってその反応性を遅らせるように機能し、したがって、このような立体障害は、フェノール系化合物に安定化特性を提供する。代表的なヒンダードフェノールとしては、以下が含まれる。
1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、
ペンタエリトリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
4,4’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、
2,3,6-トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチル-フェノキシ,3,5-トリアジン、
ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、
2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、及び
ソルビトールヘキサ-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート。
【0031】
ポリオレフィン核剤も本発明において存在し得る。本発明に適切な核剤は、一般に、ポリオレフィン添加剤パッケージにおいて迅速な結晶化を促進するために一般に利用される清澄剤として既知の核剤の下位分類である。適切な材料としては、Millikenによって供給されるMillad 3988及びMillad NX8000並びにBASFによって製造されるIrgaclear Dなどのジベンジリデンソルビトール誘導体が含まれる。他の適切な試剤としては、New Japan Chemical Companyによって提供されるNJ Star NU-100などの芳香族アミド系が含まれる。含まれる場合、核剤は、一般に、組成物の約0.05重量%~5重量%の量で接着剤組成物中に存在する。好ましくは、約0.1重量%~2.5重量%、及び最も好ましくは約0.2重量%~1.0重量%が利用される。2つ以上の核剤のブレンドも使用され得る。例えば、第1の核剤と、第1の核剤と異なる第2の核剤のブレンドとも利用され得る。必要に応じて、約0.05重量%~約5重量%の1つ以上の追加の核剤が第1の核剤と一緒にブレンドされ得る。核剤は、直接、粉末として、適切な可塑剤の一部におけるスラリーとして、又はMilliken NX-10などの適切なポリマーマスターバッチのマスターバッチ中の成分として使用され得る。米国特許出願公開第2015/0299526号明細書に記載されるものなどの核剤パッケージも、ホットメルト接着剤のセットアップレート及び結合特性を調整するために含まれ得る。
【0032】
他の任意選択的な添加剤は、特定の物理的特性を変更するために本発明の接着剤組成物中に組み込まれ得ることが理解されるべきである。これらとしては、例えば、紫外線光(UV)吸収剤、ワックス、界面活性剤、不活性着色剤、二酸化チタン、蛍光剤及び充填剤などの材料が含まれ得る。典型的な充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、粘土シリカ、マイカ、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、水和アルミナ、ガラスミクロスフェア、セラミックミクロスフェア、熱可塑性ミクロスフェア、バライト及び木材粉が含まれ、且つ最大で60重量%、好ましくは1~50重量%の量で含まれ得る。
【0033】
本発明の一実施形態において、ホットメルト接着剤組成物はワックスを含まない。ワックスが含まれる本発明の実施形態において、ワックスは、最大20重量%、好ましくは0.1重量%~18重量%の量で含まれてよい。ワックスは、石油ワックス、低分子重量ポリエチレン及びポリプロピレン、合成ワックス及びポリオレフィンワックス及びその混合物からなる群から選択されてよい。好ましい実施形態において、ワックスは、約400~約6,000g/モルの数平均分子量を有する低分子量ポリエチレンである。
【0034】
本発明による接着剤材料の粘度は、一般に、処理及びその基材への適用のために適切な適用温度における粘度におけるものであるべきである。標準的なホットメルト接着剤装置によって処理され、そして適用温度において所望のパターン、したがって適切な結合性能を達成するために、低い適用温度において比較的低い粘度を有する接着剤が必要とされる。一般に、粘度は、ASTM D3236に従って、121℃において約35,000cP以下、好ましくは121℃において約30,000cP以下、なおより好ましくは121℃において約25,000cP未満、なおより好ましくは121℃において約20,000cP未満である。本明細書で示される全ての粘度は、このような修正されたASTM標準に従って測定される。好ましくは、組成物の粘度は、121℃において、少なくとも1,000cP、より好ましくは少なくとも5,000cP、なおより好ましくは少なくとも約7,500cP、最も好ましくは少なくとも約15,000cPである。本明細書中で特性の値のいくつかの下限及び上限が記載される場合、本発明は、下限のいずれかから上限のいずれかの間であり、且つそれらを含む範囲を含む。したがって、粘度は、121℃において、1,000cP~35,000cP及び5,000cP~20,000cPであることが可能である。他の実施形態において、組成物の粘度は、121℃、127℃、135℃及び149℃などの121℃~149℃の種々の典型的に使用される適用温度において本明細書中考慮されるいずれかの範囲の間である。
【0035】
本発明の実施形態において、ホットメルト接着剤組成物は、第1のポリマー、第2のポリマー、粘着付与樹脂及び可塑剤を含むか、又はそれらから本質的になるか、又はそれらからなる。本発明の実施形態において、組成物は第1及び第2のポリマーを含み、且つ他のポリマーを含まない。
【0036】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、当該技術分野で既知のいずれかの技術を使用して配合され得る。混合手順の代表的な例は、回転子を備えたジャケット付き混合容器中に全成分を配置することと、その後、混合物の温度を120℃~230℃の範囲まで上昇させて内容物を溶融させることとを含む。このステップで使用される正確な温度は、特定の成分の融点に依存するであろうことが理解されるべきである。成分は、個々に又は特定の組合せで撹拌下の容器中に導入され、安定した均一な混合物が形成されるまで混合を継続する。
【0037】
本発明の実施形態において、接着剤は、従来のオーバーヘッド混合機を使用して、約180℃において製造される。最初に、可塑剤、粘着付与剤及びいずれかの酸化防止剤を不活性ブランケット下で所望の温度まで加熱し、そして均一にするために撹拌を開始する。ポリマー添加の順番は最終の結果に影響を与えないように思われるものであるが、いくつかの実施形態において、第1のポリマー成分が最初に添加される。全てのポリマーが溶解し、そして混合物が均一であるように見えたら、第2のポリマーを添加する。混合物が再び均一になり、且つ第2のポリマーが溶解するまで、加熱しながら混合を続ける。本発明のホットメルト接着剤を製造するために他の従来法も使用され得る。例えば、静的混合、単軸押出成形、二軸押出成形及び混練を利用する方法が使用され得る。次いで、ホットメルト接着剤を室温まで冷却し、及びその上に保護外皮が形成されているチャブ(chub)へと形成するか、又は輸送及び使用のためにペレットへと形成する。
【0038】
次いで、結果として得られるホットメルト接着剤は、種々のコーティング技術を使用して基材に適用され得る。例としては、ホットメルトスロットダイコーティング、ホットメルトホイールコーティング、ホットメルトローラーコーティング、メルトブローンコーティング並びにスロット、スパイラルスプレー及びラッピングスプレー法、例えば弾性ストランドを添付するために使用されるものが含まれる。スプレー技術は、数多くあり、接着剤スプレーパターンを形成するであろう圧縮空気の補助の有無にかかわらず実行され得る。ホットメルト接着剤材料は、一般に、基材上の最終コーティングスポットまでホースを通してポンプ溶融される。接着剤配合物の軟化点より高い任意の適用温度が適切である。
【0039】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、例えば、使い捨て不織衛生物品、紙加工、フレキシブルパッケージ、木材加工、カートン及びケース密封、ラベリング及び他のアセンブリ用途などの多数の用途において使用され得る。特に好ましい用途としては、おむつ及び成人用失禁ブリーフ弾性アタッチメント、使い捨ておむつ及び女性用生理ナプキン構成、おむつ及びナプキンコア安定化、おむつバックシート積層、産業用フィルター材料加工、外科用ガウン及び外科用ドレープアセンブリが含まれる。本発明の接着剤が、おむつなどの衛生物品における構成接着剤として特に有用であることが見出された。構成接着剤は、典型的にポリエチレン膜に不織層を接着させるために使用される。
【0040】
本発明の接着剤は、種々の基材材料が関与するいずれかの適用でも使用可能である。例として不織材料及びポリマー膜が含まれる。いずれの基材材料及びいずれの基材形態も、その上に折り畳まれた単一の基材、又は2つ以上の基材を一緒に結合するように機能する接着剤との可能ないずれかの組合せで使用され得る。基材は、複数の形態、例えば繊維、フィルム、スレッド、ストリップ、リボン、テープ、コーティング、ホイル、シート及びバンドであり得る。基材は、いずれかの既知の組成物、例えばポリオレフィン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、木材、ボール紙又は紙などのセルロース系材料であり得る。バルク基材の機械的挙動は、剛質、可塑性又はエラストマー性であり得る。上記の列挙は、限定的又は包括的ではなく、単に一般的な例として提供される。
【0041】
本発明の実施形態において、積層品の製造方法は、(1)溶融状態の本発明のホットメルト接着剤組成物を一次基材に適用するステップと;(2)二次基材を接着剤組成物と接触させることによって、一次基材に二次基材を適合させるステップとを含む。接着剤を冷却させると、接着剤は一次基材を二次基材に接着させる。接着剤が構成接着剤としての使用のために適切である実施形態において、一次基材はポリエチレンなどのポリオレフィン膜であってよく、且つ二次基材は不織材料又は層であってよい。
【0042】
本発明の別の実施形態において、接着剤は、スロット又はVスロットアプリケーターヘッドなどのホットメルト適用の直接接触法を使用して第1の基材に適用される。代わりに、接着剤は、スプレーアプリケーターなどのホットメルトの非接触法を使用して第1の基材に適用され得る。
【0043】
本発明の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)約35重量%~約55重量%、好ましくは約40重量%~約50重量%、最も好ましくは約42重量%~約47重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;(b)約0.5重量%~約7重量%、好ましくは約1重量%~5重量%、最も好ましくは約1重量%~約4重量%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;(c)約30重量%~約60重量%、好ましくは約32重量%~約50重量%、最も好ましくは約35重量%~約45重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;(d)約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約18重量%、最も好ましくは約10重量%~約16重量%の可塑剤とを含み、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が、約200:1~9:1、好ましくは約75:1~約10:1、最も好ましくは約50:1~約15:1であり、且つ組成物の粘度が、121℃において約30,000cP以下、好ましくは121℃において約25,000cP未満、より好ましくは121℃において約20,000cP未満である。本発明の他の実施形態によると、第1及び第2のポリマーの合計重量は、ホットメルト接着剤組成物の全重量に基づき、約31%~約72%、好ましくは約36%~約55%、最も好ましくは約40%~約50%を含む。
【0044】
本発明の別の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)約30重量%~約72重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約20,000~55,000ダルトンの重量平均分子量、約5~約35J/gの融解熱、約1.5~約6の多分散性指数、約5重量%~約25重量%のエチレン含有量、約70℃~約130℃の融解温度及び約-45℃~約-5℃のガラス転移温度を有する第1のポリマーと;(b)約0.1%~約8%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;(c)約25重量%~約65重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;(d)約2重量%~約25重量%の可塑剤とを含み、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が約500:1~9:1であり、且つ(ASTM D3236によって測定される)組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下である。
【0045】
本発明の実施形態によると、ホットメルト接着剤組成物は、(a)プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;(b)プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;(c)最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;(d)可塑剤とを含み、組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下であり、且つ第1のポリマー、第2のポリマー、粘着付与樹脂及び可塑剤が、(1)ポリエチレン膜と不織層との間に2gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも150グラム力及び54.5℃において老化後に少なくとも250グラム力の剥離力;(2)ポリエチレン膜と不織層との間に1gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも100グラム力の剥離力;並びに(3)2つの不織層の間に適用され、且つ250グラム重量を使用する場合、37.8℃において少なくとも50分の剪断値を有するホットメルト接着剤組成物を提供するために有効な量で存在する。本発明の接着剤は、様々な基材及び付加レベルで、このような剥離及び剪断性能を達成することが可能であると考えられるが、本発明の実施形態は、以下の実施例で明らかにされた特定の基材及び条件を使用する。
【0046】
発明の態様
1.(a)約30重量%~約72重量%の、プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;
(b)約0.1%~約8%の、プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;
(c)約25重量%~約65重量%の、最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;
(d)約2重量%~約25重量%の可塑剤と
を含み、第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が約500:1~9:1であり、且つ組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下である、ホットメルト接着剤組成物。
【0047】
2.(a)プロピレン及びエチレンの単峰性コポリマーを含み、且つ約5,000~60,000ダルトンの重量平均分子量を有する第1のポリマーと;
(b)プロピレン及びエチレンのコポリマーを含み、且つ少なくとも100,000ダルトンの重量平均分子量を有する第2のポリマーと;
(c)最大115℃の環球式軟化点を有する粘着付与樹脂と;
(d)可塑剤と
を含み、組成物の粘度が121℃において約35,000cP以下であり、且つ第1のポリマー、第2のポリマー、粘着付与樹脂及び可塑剤が、(1)ポリエチレン膜と不織層との間に2gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも150グラム力及び54.5℃において老化後に少なくとも250グラム力の剥離力;(2)ポリエチレン膜と不織層との間に1gsm付加において適用される場合、初期に少なくとも100グラム力の剥離力;並びに(3)2つの不織層の間に適用され、且つ250グラム重量を使用する場合、37.8℃において少なくとも50分の剪断値を有するホットメルト接着剤組成物を提供するために有効な量で存在する、ホットメルト接着剤組成物。
【0048】
3.第1のポリマーが、約35重量%~約55重量%、好ましくは約40重量%~約50重量%、最も好ましくは約42重量%~約47重量%の量で存在し;
第2のポリマーが、約0.5重量%~約7重量%、好ましくは約1重量%~5重量%、最も好ましくは約1重量%~約4重量%の量で存在し;
粘着付与樹脂が、約30重量%~約60重量%、好ましくは約32重量%~約50重量%、最も好ましくは約35重量%~約45重量%の量で存在し;
可塑剤が、約5重量%~約20重量%、好ましくは約7重量%~約18重量%、最も好ましくは約10重量%~約16重量%の量で存在し;
第1のポリマー対第2のポリマーの重量比が、約200:1~9:1、好ましくは約75:1~約10:1、最も好ましくは約50:1~約15:1であり、且つ
組成物の粘度が、121℃において約30,000cP以下、好ましくは121℃において約25,000cP未満、より好ましくは121℃において約20,000cP未満である、態様1又は2のいずれかの組成物。
【0049】
4.第1のポリマーが、約5~約35J/g、好ましくは約10~約29J/g、より好ましくは約15~約25J/g、最も好ましくは約18~約22J/gの融解熱を有し;且つ
第2のポリマーが、約2.5~約25J/g、好ましくは約3~約15J/g、より好ましくは約3.5~約10J/g、最も好ましくは約6~約9J/gの融解熱を有する、態様1~3のいずれかの組成物。
【0050】
5.第1のポリマーが、約1.5~約6、好ましくは約1.8~約5、より好ましくは約2~約3、最も好ましくは約2.2~約2.8の多分散性指数を有し;且つ
第2のポリマーが、約1.5~約6、好ましくは約1.8~約5、より好ましくは約2~約3、最も好ましくは約2.2~約2.8の多分散性指数を有する、態様1~4のいずれかの組成物。
【0051】
6.第1のポリマーの重量平均分子量が、約20,000~約55,000ダルトン、好ましくは約30,000~約52,000ダルトン、より好ましくは約35,000~約50,000ダルトン、最も好ましくは約40,000~約48,000ダルトンであり;且つ
第2のポリマーの重量平均分子量が、約100,000~250,000ダルトン、好ましくは約100,000~約200,000ダルトン、より好ましくは約100,000~約150,000ダルトン、最も好ましくは約105,000~約125,000ダルトンである、態様1~5のいずれかの組成物。
【0052】
7.第1のポリマーが、約5%~約25%、好ましくは約7%~約20%、より好ましくは約9%~約17%、最も好ましくは約10%~約15%のエチレン含有量を有し;且つ
第2のポリマーが、約5%~約25%、好ましくは約7%~約20%、より好ましくは約9%~約17%、最も好ましくは約10%~約15%のエチレン含有量を有する、態様1~6のいずれかの組成物。
【0053】
8.第1のポリマーが、約70℃~約130℃、好ましくは約75℃~約125℃、より好ましくは約85℃~約115℃、最も好ましくは約90℃~約110℃の融解温度を有し;且つ
第2のポリマーが、約35℃~約100℃、好ましくは約40℃~約90℃、より好ましくは約50℃~約80℃、最も好ましくは約55℃~約75℃の融解温度を有する、態様1~7のいずれかの組成物。
【0054】
9.第1のポリマーが、約-45℃~約-5℃、好ましくは-35℃~-15℃、より好ましくは約-32℃~-20℃、最も好ましくは約-30℃~-22℃のガラス転移温度を有し;且つ
第2のポリマーが、約-45℃~約-5℃、好ましくは-35℃~-15℃、より好ましくは約-32℃~-20℃、最も好ましくは約-30℃~-22℃のガラス転移温度を有する、態様1~8のいずれかの組成物。
【0055】
10.粘着付与剤が、脂肪族及び脂環式炭化水素樹脂及びそれらの水素化誘導体、水素化芳香族炭化水素樹脂、芳香族変性脂肪族又は脂環式樹脂及びそれらの水素化誘導体、ポリテルペン及びスチレン化ポリテルペン樹脂及びその混合物からなる群から選択される、態様1~9のいずれかの組成物。
【0056】
11.可塑剤が、鉱油及び液体ポリブテンからなる群から選択される、態様1~10のいずれかの組成物。
【0057】
12.安定剤又は酸化防止剤をさらに含む、態様1~11のいずれかの組成物。
【0058】
13.ワックスをさらに含む、態様1~12のいずれかの組成物。
【0059】
14.ワックスが約0.1重量%~約20重量%の量で存在する、態様13の組成物。
【0060】
15.第1及び第2のポリマーの合計重量が、ホットメルト接着剤組成物の全重量に基づき、約31%~約72%、好ましくは約36%~約55%、最も好ましくは約40%~約50%を含む、態様1~14のいずれかの組成物。
【0061】
16.第1のポリマーが約5~約35J/gの融解熱を有し;
第1のポリマーが約1.5~約6の多分散性指数を有し;
第1のポリマーの重量平均分子量が約20,000~約55,000ダルトンであり;
第1のポリマーが約5重量%~約25重量%のエチレン含有量を有し;
第1のポリマーが約70℃~約130℃の融解温度を有し;且つ
第1のポリマーが約-45℃~約-5℃のガラス転移温度を有する、態様1~15のいずれかの組成物。
【0062】
17.溶融状態の態様1~16のいずれかのホットメルト接着剤組成物を一次基材に適用するステップと;
二次基材を接着剤組成物と接触させることによって、一次基材に二次基材を適合させるステップと
を含む、積層品の製造方法。
【0063】
18.一次基材がポリエチレン膜である、態様17の方法。
【0064】
19.二次基材が不織層である、態様17又は18のいずれかの方法。
【0065】
20.態様17~19のいずれかの方法によって製造された積層品。
【実施例0066】
以下の実施例は、制限することなく本発明を例示する。
【0067】
粘度は、121℃においてASTM D3236に従って測定された。スピンドル速度を調整し、パーセントトルクは45%~90%であった。
【0068】
環球式軟化点は、ASTM E-28に明らかにされる方法に従って、自動化Herzogユニットを用いて決定した。
【0069】
原材料:
Calsol 5550は、Calumet Specialty Productsから入手可能なナフテン系プロセスオイルである。
Eastotac H-100Wは、Eastman Chemical Companyから入手可能な、100℃の環球式軟化点を有する水素化炭化水素樹脂である。
Escorez 5615は、ExxonMobil Corporationから入手可能な、118℃の環球式軟化点を有する水素化芳香族変性脂環式炭化水素樹脂である。
Irganox 1010は、BASF SEから入手可能なペンタエリトリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ヒンダードフェノールである酸化防止剤である。
Exxonmobil Chemical Company,Houston,TXから得られるVistamaxx 8380は、低分子量、低粘度のメタロセンによって触媒されたランダムプロピレン-エチレンコポリマーである。それは約12重量%のエチレンコモノマー及び約43,000g/モルの重量平均分子量(Mw)、約100℃のDSC融点、約20J/gのDSC溶融エンタルピーを有する。
Exxonmobil Chemical Company,Houston,TXから得られるVistamaxx 6502は、約13重量%のエチレンコモノマーを含有し、且つ約119,000g/モルの重量平均分子量(Mw)、約64℃のDSC融点及び約9J/gのDSC溶融エンタルピーを有する本質的に非晶質のコポリマーである。
【0070】
窒素ブランケット下、約180℃において、オイル、粘着付与剤及び酸化防止剤を溶融することによって接着剤を配合した。次いで、より低分子量のポリマー(Vistamaxx 8380)を添加した。配合物がポリマー添加以前に温度に戻り、そして均一であるように見えたら、第2のより高分子量のポリマーを添加した。それが完全に均一であり、そしてポリマービーズが見えなくなるまで、配合物を混合し続けた。
【0071】
接着剤を使用して、その後に二次基材を結合する接着剤層と一緒に一次基材から構成される双積層品を形成した。典型的に、これらの積層品は、900フィート/分の速度及び0.25秒の開放時間(接着剤が二次層と接触する時間)で、Nordson Signatureノズルを用いて2gsmの接着剤を適用して製造された。適用温度は149℃であり、且つ40psi圧縮であった。多くの種類の基材を一次及び/又は二次構成要素のいずれかとして利用可能であるが、剥離性能試験に関して以下の実施例において使用される一次基材は、Clopay Plastics Productsから市販品として入手可能である、24gsmの非通気性ポリエチレン膜であるDH284であった。剥離性能試験に関して使用される二次基材は、First Quality Enterprisesから入手可能な、15gsmのスパンボンド不織物であった。剪断試験は、一次及び二次基材が、Berry Globalからの50gsmのメルトブローン不織物であった双積層品上で実行された。
【0072】
接着剤剥離性能を決定するために、積層品を「最初に」試験したか(約24時間、室温でそれらを老化させることを意味する)、又は積層品に54.5℃で、1、2若しくは4週間などの様々な老化時間を受けさせた。次いで、23.9℃及び50%の相対湿度に維持された空調された室内で、180度「T型」剥離で1分あたり12インチの速度でInstron引張試験機によって積層品を引き離した。剥離力はグラム力で測定され、そして剥離値は、試験の開始及び停止から変動性を減少するために、試料長さの最初及び最後の5パーセントを排除した後の平均剥離強度を決定することによって算出された。この試験は、以下の結果に示されるように、1平方メートルあたり1又は2グラムの付加レベルを使用して実行された。
【0073】
剪断性能を決定するために、接着剤を15gsm付加レベルで1インチのスロットパターンに適用する。積層品は、製造の翌日に剪断試験に関して試験された。剪断試験を実行するために、1インチの帯状の積層品を切断する。37.8℃のオーブン中、250gの重量を二次基材に付加しながら、一次基材を安定に吊るす。接着剤が密着して破損する場合、重量を下ろし、タイマーを止めて、分での吊り下げ時間が得られる。
【0074】
使用された種々の成分の重量パーセントを以下に示す。示される通り、実施例1(EX1)の配合物は、100℃の環球式軟化点を有する粘着付与剤を使用するが、比較例2(CE2)で使用される粘着付与剤は118℃の環球式軟化点を有する。両ケースの低分子量ポリマー対高分子量ポリマーの比率は約22.2:1である。比較例3(CE3)においては、高分子量ポリマーを使用しなかった。
【0075】
【表1】
【0076】
いくつかの適用において、2gsm付加における適切な標的剥離性能は、最初に試験される時に150gf、且つ積層品が54.5℃で老化された後は250gfであり得る。実施例1の配合物はこの剥離基準を満たすが、(比較例2のように)より高い軟化点粘着付与剤を使用する場合、老化剥離性能は有意に低下する。本発明の実施例1は、より低い付加重量(すなわち、1gsm)においても同様に(例えば100gfより高い)所望の剥離性能を示す。高分子量ポリマーを用いない配合物(CE3)は、良好な初期剥離性能を有するが、老化後、その剥離性能は100gf未満まで低下し、いくつかの適用においては適切な剪断強度を提供しなかった。
【0077】
図1は、EX1、CE2及びCE3の剪断強度に対する1週間の老化後の剥離性能を示しており、円の大きさは標準偏差を表す。示される通り、本発明の配合物は、剪断試験においてCE3より良好に、そして剥離強度においてCE2より良好に機能した。
【0078】
図2は、3つの異なる適用温度、すなわち、127℃、135℃及び149℃におけるEX1の初期並びに1週間、2週間及び4週間の老化環境後の両方の剥離性能を示す。EX1の配合物は、全ての適用温度において噴霧可能であり、且つ多くの市販品として入手可能な適用システムを使用して構成接着剤として適用されるために十分低い121℃における粘度(15,120cP)を有した。図2は、本発明が、標準的な適用温度(149℃)において、及び低い適用温度(135℃及び127℃)において一貫した剥離性能を有する配合物を提供することを明示する。
【0079】
図3は、EX1及び2つの市販品として入手可能な配合物の剪断強度に対する1週間の老化後の剥離性能を示す。H9564は、Bostikから市販品として入手可能なポリオレフィンベースの構成接着剤である。H4384は、Bostikから市販品として入手可能なスチレン-ブロック-コポリマー構成接着剤である。示される通り、本発明の配合物は、これらの配合物のいずれよりも有意に良好な剪断性能及びH9564よりも良好な剥離性能を提供する。
【0080】
値の範囲が提供される場合、その範囲及びその明記された範囲内のいずれかの他の明記された又はその間に入る値の上限と下限との間のそれぞれの間に入る値、及びその間に入る値のいずれの組合せ又は部分的組合せも、列挙された値の範囲内に含まれることが理解される。加えて、本発明は、その構成要素の第1の範囲の下限及び第2の範囲の上限である構成要素の範囲を含む。
【0081】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に特に引用される全ての刊行物及び特許は、本発明に関連して使用され得る刊行物に報告される化学物質、機器、統計的分析及び方法論の記載及び開示を含む全ての目的に関して、それら全体が参照により組み込まれる。
本明細書中に引用される全ての参照は、当業者の水準を示すものとして見なされる。本明細書中、本発明が、先行発明に基づきそのような開示に先行する権利を与えられないという承認として解釈されるものはない。
【0082】
本明細書では、特定の実施形態を参照して例証及び記載されるが、それにもかかわらず、本発明は、示された詳細に限定されるように意図されない。むしろ、請求項の均等物の領域及び範囲内において且つ本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細における種々の変更形態がなされ得る。

図1
図2
図3