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特開2024-26241エルゴチオネイン、アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビン酸、およびそれらの組み合わせの筋分化促進作用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026241
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】エルゴチオネイン、アスコルビン酸2-グルコシド、アスコルビン酸、およびそれらの組み合わせの筋分化促進作用
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/175 20160101AFI20240220BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/4172 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/375 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
A23L33/175
A61P21/00
A61P43/00 121
A61K31/4172
A61K31/375
A61K31/7048
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203550
(22)【出願日】2023-12-01
(62)【分割の表示】P 2020527369の分割
【原出願日】2019-06-11
(31)【優先権主張番号】P 2018124613
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】小坂 邦男
(57)【要約】      (修正有)
【課題】筋肉の再生を促進するための、有効かつ安全な組成物を見出す。
【解決手段】エルゴチオネインを含み、所望によりアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸をさらに含んでもよい、筋肉再生促進用組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エルゴチオネインを含む、筋肉再生促進用組成物。
【請求項2】
さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
経口組成物である、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
飲食物または医薬組成物である、請求項1または2記載の飲食物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞の分化促進に関する。詳細には、本発明は、エルゴチオネインを含む筋分化促進用培地および培地添加剤、ならびに筋分化促進用医薬組成物および飲食物等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会が進むなかで、運動機能低下、転倒・骨折リスクの上昇、ロコモティブシンドローム等の筋量や筋力の低下に伴う様々な障害が問題となっている。これらの障害を治療、改善するためには、筋肉の再生が重要であり、筋肉の再生には筋分化が必要である。筋分化について様々な研究がなされている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Onitsuka Y. Investigation of an efficient culture condition for the differentiation of murine skeletal myoblasts. Jpn. J. Vet. Res . 2013. 61(1&2): 39.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロコモティブシンドロームなどの筋肉の再生が必要な症状や状態を治療、改善するために、筋分化を促進する有効かつ安全な薬剤や方法を見出す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、エルゴチオネインが筋分化を促進すること、エルゴチオネインとアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を併用することにより筋分化が大幅に促進されること、アスコルビン酸2-グルコシドが単独で筋分化を促進すること、およびアスコルビン酸が単独で筋分化を促進することを初めて見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
したがって、本発明は、下記のものを提供する。
(1)エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するための培地。
(2)さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、(1)記載の培地。
(3)エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するための培地添加剤。
(4)さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、(3)記載の培地添加剤。
(5)エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するためのキット。
(6)さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、(5)記載のキット。
(7)エルゴチオネインを含む培地にて細胞を培養することを含む、細胞の筋分化を促進する方法。
(8)培地がさらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含むものである、(7)記載の方法。
(9)エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するための医薬組成物。
(10)さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、(9)記載の医薬組成物。
(11)筋肉の再生を促進するための、(9)または(10)記載の医薬組成物。
(12)エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するための飲食物。
(13)さらにアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を含む、(12)記載の飲食物。
(14)筋肉の再生を促進するための、(12)または(13)記載の飲食物。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エルゴチオネインを含む筋分化促進用培地および培地添加剤、ならびに筋分化促進用医薬組成物および飲食物等が提供される。本発明の培地、培地添加剤、医薬組成物および飲食物は、優れた筋分化促進能を有する。本発明の医薬組成物および飲食物は、特に高齢者や外傷を負った人、病中・病後の人などに有益である。これらの効果は、エルゴチオネインとアスコルビン酸2-グルコシドおよび/またはアスコルビン酸を併用することによって大幅に増強される。また、アスコルビン酸2-グルコシド単独、アスコルビン酸単独、あるいはこれらを併用した場合にも上記効果が得られる。エルゴチオネインは生体内に見出される物質であり、アスコルビン酸2-グルコシドは食品添加物および医薬部外品として承認されている物質であり、アスコルビン酸は果実、野菜など自然界に広く存在している物質であるので、本発明の培地、培地添加剤、医薬組成物および飲食物は安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、エルゴチオネインがC2C12細胞の筋分化に与える影響を示す顕微写真である。左の写真は分化前のC2C12細胞、中の写真はEGT無添加の分化培地で分化したC2C12細胞(対象)、右の写真は0.5mM EGTを添加した分化培地で分化したC2C12細胞である。
図2図2は、エルゴチオネインがC2C12細胞のMyoD mRNA発現レベルに与える影響を示すグラフである。
図3図3は、エルゴチオネインがC2C12細胞のMyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現レベルに与える影響を示すグラフである。
図4図4は、抗酸化剤エダラボンがC2C12細胞のMyH2 mRNA発現レベルに影響しないことを示すグラフである。
図5図5は、エルゴチオネインとアスコルビン酸2-グルコシドの併用、およびアスコルビン酸2-グルコシドの単独使用がC2C12細胞のMyH2 mRNAの発現レベル(上パネル)およびACTA1 mRNAの発現レベル(下パネル)に与える影響を示すグラフである。図中、EGTはエルゴチオネイン添加培地、AGはアスコルビン酸2-グルコシド添加培地、E+AGはエルゴチオネインおよびアスコルビン酸2-グルコシドを添加した培地を用いたことを示す。NTはエルゴチオネインおよびアスコルビン酸2-グルコシドを添加しない培地を用いたことを示す。
図6図6は、エルゴチオネインとアスコルビン酸の併用、およびアスコルビン酸の単独使用がC2C12細胞のMyH2 mRNAの発現レベル(上パネル)およびACTA1 mRNAの発現レベル(下パネル)に与える影響を示すグラフである。図中、EGTはエルゴチオネイン添加培地、VCはアスコルビン酸添加培地、E+VCはエルゴチオネインおよびアスコルビンを添加した培地を用いたことを示す。NTはエルゴチオネインおよびアスコルビン酸を添加しない培地を用いたことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、第1の態様において、エルゴチオネインを含む、筋分化を促進するための培地を提供する。
【0010】
本発明者らは、エルゴチオネインが筋分化を促進することを初めて見出した。
【0011】
エルゴチオネイン(以下において、EGTと称する)は含硫アミノ酸の一種で、抗酸化能をはじめとする多様な生理活性を有することが知られている。また、その抗酸化能はビタミンC、ビタミンE、システイン、グルタチオンよりも高いことが示唆されている。EGTは紫外線吸収効果、メラニン産生抑制作用、活性酸素種の消去能、しわやたるみの形成を抑えるエラスターゼ活性阻害作用、シミの形成を抑えるチロシナーゼ活性阻害作用を有することも示されている。そのためEGTはとりわけ美容・食品業界で注目されている化合物の1つである。しかし、EGTが筋分化を促進することは、本発明者らによって初めて見出されたことである。
【0012】
本明細書において、筋分化とは、骨格筋へ分化する能力を有する幹細胞または筋前駆細胞から筋管細胞への分化をいう。本発明の培地はこれらの細胞の分化を促進するために用いられる。幹細胞は中胚葉系幹細胞である。中胚葉系幹細胞は、生体内に存在するものであってもよく、iPS細胞またはES細胞に由来するものであってもよい。骨格筋の筋前駆細胞は公知であり、サテライト細胞および筋芽細胞が例示される。特別な態様において、筋分化とは、サテライト細胞または筋芽細胞から筋管細胞への分化をいう。サテライト細胞は、体性幹細胞様の性質を有しており、筋細胞の前駆細胞である。サテライト細胞は活性化されて筋芽細胞へと分化する。筋芽細胞は、細胞分裂により増殖した後、筋細胞へと分化する。筋細胞は互いに融合し、多核の筋管細胞を形成する。そして筋管細胞は筋繊維へと成熟し、筋肉組織を形成する。サテライト細胞、筋芽細胞、筋細胞、筋管細胞等は当業者に公知である。
【0013】
本発明に用いられるEGTは遊離の形態であってもよく、塩の形態であってもよい。EGTの塩は、EGTのカルボキシル基の負に荷電した酸素と例えば水素イオンやアルカリ金属イオンとの間で形成されてもよく、トリメチルアミノ基の正に荷電した窒素と例えばハロゲン化物イオンとの間で形成されてもよい。また、本発明に用いられるEGTは水和物であってもよい。
【0014】
筋に分化しているかどうかは、筋特異的蛋白であるミオシンをどの程度発現しているかで確認することが可能である。本明細書において、筋分化の促進とは、幹細胞または筋前駆細胞におけるミオシン遺伝子発現レベルが増大することをいう。特別な態様において、サテライト細胞または筋芽細胞がミオシンmRNAを高発現する細胞に変化することをいう。例えば、筋分化の促進とは、サテライト細胞または筋芽細胞由来の筋細胞が筋マーカーであるミオシンmRNAの遺伝子発現レベルを1.5倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは3倍以上に増加させることと定義してもよい。また例えば、筋分化の促進とは、サテライト細胞または筋芽細胞におけるMyoD mRNAの発現を、EGTの不存在下と比べて1.5倍以上、好ましくは2倍以上に増加させることをいう。
【0015】
本発明の培地は、公知の培地にEGTを添加したものであってもよい。好ましくは、本発明の培地は、筋分化に使用される培地にEGTを添加したものである。培地へのEGTの添加量は、幹細胞や筋前駆細胞(例えばサテライト細胞または筋芽細胞)の種類、培養温度、培養時間等の培養条件、培地組成などに応じて当業者が適宜決定することができる。例えば、筋分化用の公知の低血清培地に約0.001mM~約1.0mM、好ましくは約0.1mM~約0.5mMのEGTを添加してもよいが、これらの量に限定されない。
【0016】
本発明の培地は液体、半固形、固体等いずれの形態であってもよく、特に限定されない。通常は、本発明の培地は液体培地である。あるいは本発明の培地は組成物の形態であってもよい。例えばそのまま使用可能な液体培地組成物の形態であってもよく、水等の媒体にて希釈することにより所望の成分濃度になる濃縮液、ペースト、粉末、ペレット等の組成物の形態であってもよい。
【0017】
本発明は、第2の態様において、EGTを含む、筋分化を促進するための培地添加剤を提供する。
【0018】
本発明の添加剤は、培地調製時に、あるいは調製済み培地に添加される。あるいは本発明の添加剤は、培養途中の培地に添加されてもよい。
【0019】
本発明の添加剤中のEGT量は、培地に添加された場合に所望のEGT濃度となるような量である。培地中のEGT濃度については上で説明したとおりである。本発明の添加剤は、EGTのほかに、1種またはそれ以上の成分を含んでいてもよく、例えば細胞の増殖に必要な栄養成分、あるいは線維芽細胞増殖因子(FGF)、または肝細胞増殖因子(hepatic growth factor)(HGF)、インスリン、インスリン様成長因子(insulin growth factor)(IGF)などの筋分化を促進する成分等を含んでいてもよい。
【0020】
本発明の添加剤の形態はいずれの形態であってもよく、粉末、顆粒、タブレットなどの固体、ペーストなどの半固体、あるいは濃縮液などの液体であってもよい。
【0021】
本発明は、第3の態様において、EGTを含む、筋分化を促進するためのキットを提供する。
【0022】
通常は、本発明のキットに含まれるEGTは容器に入れられる。容器の形状、材質については特に限定されない。該容器にはEGT以外の成分が含まれていてもよい。本発明のキットは、EGTを含む容器のほかに、例えば細胞の増殖に必要な栄養成分、あるいは筋分化を促進する成分等を含む1つまたはそれ以上の容器を含んでいてもよい。本発明のキットは、上記培地または上記培地添加物を含んでいてもよい。通常は、本発明のキットには取扱説明書が添付される。
【0023】
本発明は、第4の態様において、EGTを含む培地にて細胞を培養することを含む、細胞の筋分化を促進する方法を提供する。本発明の方法において、サテライト細胞または筋芽細胞を培養する。培地組成、培養温度、培養時間等の培養条件は当業者に公知である。
【0024】
本発明は、第5の態様において、EGTを含む、筋分化を促進するための医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物の投与対象は、筋肉を再生させることによって利益を受ける動物であれば、動物種は特に限定されない。本発明の医薬組成物を投与される動物は好ましくはヒトであるが、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ等のヒト以外の動物であってもよい。
【0025】
筋分化を促進することにより筋肉の再生を促進することができる。本明細書において、筋肉の再生とは、何らかの要因で減少した筋量を元のレベルに戻すこと、あるいは何らかの要因で減少した筋力を元のレベルに戻すことをいう。本発明の医薬組成物の具体的な用途としては、サルコペニアの抑制、損傷時の筋肉再生促進などが例示されるが、これらの用途に限定されない。サテライト細胞は、筋線維の細胞膜と基底膜の間に存在している。
筋肉が受傷などの刺激を受けるとサテライト細胞が活性化され、筋芽細胞へと分化する。
筋芽細胞は筋細胞へと分化し、筋管を形成する。筋管は筋線維を形成あるいは筋線維と融合して骨格筋を再生する。EGTはサテライト細胞または筋芽細胞の筋細胞への筋分化を促進することから、本発明の医薬組成物を筋肉の再生、とりわけ骨格筋の再生を促進するために用いてもよい。再生される筋肉はいずれの部位にあってもよい。
【0026】
筋量、とりわけ骨格筋量の測定方法としては、BIA法、CTやMRIを用いる方法、DXA法、超音波エコー法、肉眼で観察する方法等が挙げられるがこれらに限定されない。筋力、とりわけ骨格筋力の測定方法としては、握力、背筋力、脚伸展力、歩行速度を測定する方法、上体起こし、立ち幅跳び、ボール投げ等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0027】
本発明の医薬組成物は、例えば混合、混練、撹拌、乾燥、粉砕、打錠、可溶化等の公知の手段および方法を用いて製造することができる。本発明の医薬組成物は、通常、担体または賦形剤を含む。担体または賦形剤は当業者に公知であり、投与部位、投与経路、含まれるEGTの量などに応じて選択することができる。
【0028】
本発明の医薬組成物の剤形はいずれの剤形であってもよく、特に限定されない。剤形としては、例えば注射剤、輸液剤、経口液剤、ローションなどの液体であってもよく、クリーム、パスタ、軟膏などの半固体であってもよく、錠剤、粉末、顆粒、トローチ、座薬などの固体であってもよく、用時調製可能な凍結乾燥粉末であってもよい。
【0029】
本発明の医薬組成物の投与経路はいずれの経路であってもよく、例えば筋肉注射、皮下注射、皮内注射、静脈注射、輸液、経皮投与、ほほ粘膜からの投与、経肛門投与、経口投与などが挙げられるが特に限定されない。骨格筋の再生の場合、好ましくは本発明の医薬組成物は筋肉注射される。
【0030】
本発明の医薬組成物によるEGTの投与量は、生体内で筋分化を促進することのできる量、あるいは筋肉を再生させることができる量である。本発明の医薬組成物によるEGTの投与量は、望まれる筋肉再生の程度、投与部位や投与経路等によって異なるが、例えば成人に経口投与する場合は1日あたり通常1mg~5000mg、好ましくは10mg~1000mgであってもよいが、これらの量に限定されない。EGTの投与量は、医師が、例えば筋肉のサイズや量を見ながら適宜決定することができる。
【0031】
本発明の医薬組成物を1日1回~数回投与してもよい。本発明の医薬組成物を、毎日あるいは1日~数日毎に投与してもよい。本発明の医薬組成物の投与を、所望の筋肉再生効果が現れるまで継続してもよい。
【0032】
本発明は、第6の態様において、筋分化を促進するための飲食物を提供する。本発明の飲食物は、筋肉を再生させることによって利益を受ける動物に与えられる。動物種は特に限定されないが、好ましくはヒトである。動物種はイヌ、ネコ、ウマ等のヒト以外の動物であってもよい。
【0033】
本発明の飲食物は一般食品のほか、健康食品、特定保健食品、栄養機能食品、機能性表示食品などを包含する。
【0034】
本発明の飲食物はサプリメントとして提供されてもよい。サプリメントの形態はいずれのものであってもよく、特に限定されない。
【0035】
本発明の飲食物の形態はいずれの形態であってもよく、特に限定されない。例えば本発明の飲食物は、例えば既存の飲食物にEGTを添加したものであってもよい。また例えば錠剤、粉末、顆粒、トローチ、キャンデイー、ジュース、ネクター、ドリンク、調味料などの形態であってもよい。サプリメントは公知の医薬組成物の製造方法に準じた方法あるいは公知の飲食物の製造方法に準じた方法により製造することができる。
【0036】
上で説明したように、EGTはサテライト細胞または筋芽細胞の筋細胞への筋分化を促進することから、本発明の飲食物を、筋肉の再生、とりわけ骨格筋の再生を促進するために用いてもよい。本発明の飲食物の具体的な用途としては、サルコペニアの抑制、損傷時の筋肉再生促進などが例示されるが、これらの用途に限定されない。再生される筋肉はいずれの部位にあってもよい。
【0037】
本発明の飲食物によるEGTの摂取量は、生体内で筋分化を促進することのできる量、あるいは筋肉を再生させることができる量である。本発明の飲食物によるEGTの摂取量は、望まれる筋肉再生の程度、筋肉再生部位等によって異なるが、例えば成人に経口投与する場合は1日あたり通常1mg~5000mg、好ましくは10mg~1000mgであってもよいが、これらの量に限定されない。
【0038】
本発明の飲食物を1日1回~数回摂取してもよい。本発明の飲食物を、毎日あるいは1日~数日毎に摂取してもよい。本発明の飲食物の投与を、所望の筋肉再生効果が現れるまで継続してもよい。
【0039】
上で述べたように、本発明者らは、EGTとアスコルビン酸2-グルコシド(以下において、AGと称する)および/またはアスコルビン酸(以下において、VCと称する)を併用することにより、筋分化が大幅に促進されることを初めて見出している。したがって、上で説明した本発明の培地、培地添加物、キット、医薬組成物および飲食物は、EGTに加えてAGおよび/またはVCを含むものであってもよい。また上で説明した本発明の細胞の筋分化促進方法において、EGTとAGおよび/またはVCを併用してもよい。EGTとAGおよび/またはVCを併用することにより、筋分化の促進および筋肉の再生をさらに促進することができる。
【0040】
AGは、ビタミンC誘導体であり、アスコルビン酸の2-位の水酸基にグルコースがα-配位で結合した物質である。AGは、安定性が高く、しかも生体に対して安全性が高い物質である。AGは、食品添加物や医薬部外品の有効成分として認められており、例えば美白用化粧品の主剤として、あるいは食品の栄養強化剤として用いられている。VCは、ビタミンCとしても知られ、自然界に広く見いだされる抗酸化作用を有する物質である。VCは、酸化防止剤や栄養強化剤などとして食品、医薬品、医薬部外品、化粧品などに用いられている。したがって、AGおよび/またはVCを含む本発明の培地、培地添加物、キット、医薬組成物および飲食物、ならびにAGおよび/またはVCを用いる本発明の細胞の筋分化促進方法は、細胞や生体に対する安全性が高い。なお、本発明に用いられるVCは遊離形態であってもよく、塩の形態であってもよい。VCの塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
さらに上で述べたように、本発明者らは、AGが単独でも筋分化を促進すること、VCが単独でも筋分化を促進すること、およびAGとVCを併用しても筋分化が促進されること初めて見出している。したがって、本発明は以下のものを提供する。
【0042】
(a)AGおよび/またはVCを含む、筋分化を促進するための培地。
(b)AGおよび/またはVCを含む、筋分化を促進するための培地添加剤。
(c)AGおよび/またはVCを含む、筋分化を促進するためのキット。
(d)AGおよび/またはVCを含む培地にて細胞を培養することを含む、細胞の筋分化を促進する方法。
(e)AGおよび/またはVCを含む、筋分化を促進するための医薬組成物。
(f)筋肉の再生を促進するための、(e)記載の医薬組成物。
(g)AGおよび/またはVCを含む、筋分化を促進するための飲食物。
(h)筋肉の再生を促進するための、(g)記載の飲食物。
【0043】
本発明の培地へのAGの添加量は、培養される幹細胞や筋前駆細胞(例えばサテライト細胞または筋芽細胞)の種類、培養温度、培養時間等の培養条件、培地組成などに応じて当業者が適宜決定することができる。例えば、筋分化用の公知の低血清培地に約0.05mM~約5mM、好ましくは約0.2mM~約2mMのAGを添加してもよい。本発明の培地へのVCの添加量は、AGの添加量と同様である。
【0044】
本発明の医薬組成物によるAGの投与量は、望まれる筋肉再生の程度、投与部位や投与経路によって異なるが、例えば成人に経口投与する場合は1日あたり通常約10mg~約10000mg、好ましくは約100mg~約1000mgであってもよい。AGの投与量は、医師が、例えば筋肉のサイズや量を見ながら適宜決定することができる。本発明の医薬組成物によるVCの投与量は、AGの投与量と同様である。
【0045】
本発明の飲食物によるAGの摂取量は、望まれる筋肉再生の程度、筋肉再生部位等によって異なるが、例えば成人が摂取する場合は1日あたり通常約1mg~約10000mg、好ましくは約10mg~約1000mgであってもよい。本発明の飲食物によるVCの摂取量は、AGの摂取量と同様である。
【0046】
さらに本発明は、下記のものを提供する。
(i)EGTを添加することを含む、筋分化を促進するための培地の製造方法。
(j)EGTを添加することを含む、筋分化を促進するための培地添加剤の製造方法。
(k)EGTを添加することを含む、筋分化を促進するためのキットの製造方法。
(l)EGTを含む培地で細胞を培養することを含む、細胞の筋分化を促進するための方法。
(m)筋分化促進を要する対象にEGTを含む医薬組成物を投与することを含む、該対象において筋分化を促進するための方法。
(n)筋肉を再生するための、(n)記載の方法。
(o)EGTを含む飲食物を摂取することを含む、筋分化を促進するための方法。
(p)筋肉を再生するための、(o)記載の方法。
【0047】
上記各方法において、EGTとAGおよび/またはVCを併用してもよい。
【0048】
さらに本発明は、下記のものを提供する。
(q)筋分化を促進するための培地の製造のためのEGTの使用。
(r)筋分化を促進するための培地添加剤の製造のためのEGTの使用。
(s)筋分化を促進するためのキットの製造のためのEGTの使用。
(t)培地中の細胞の筋分化を促進するための、EGTの使用。
(u)対象における筋分化を促進するための医薬の製造のためのEGTの使用。
(v)該医薬が対象において筋肉を再生させるためのものである、上記使用。
(w)対象における筋分化を促進するための飲食物の製造のためのエルゴオネインの使用。
(x)該飲食物が対象において筋肉を再生させるためのものである、(w)記載の使用。
(y)対象において筋分化を促進するためのEGTの使用。
(z)対象において筋肉を再生させるための(y)記載の使用。
【0049】
上記各使用において、EGTとAGおよび/またはVCを併用してもよい。
【0050】
さらに本発明は、下記のものを提供する。
(aa)AGおよび/またはVCを添加することを含む、筋分化を促進するための培地の製造方法。
(bb)AGおよび/またはVCを添加することを含む、筋分化を促進するための培地添加剤の製造方法。
(cc)AGおよび/またはVCを添加することを含む、筋分化を促進するためのキットの製造方法。
(dd)AGおよび/またはVCを含む培地で細胞を培養することを含む、細胞の筋分化を促進するための方法。
(ee)筋分化促進を要する対象にAGおよび/またはVCを含む医薬組成物を投与することを含む、該対象において筋分化を促進するための方法。
(ff)筋肉を再生するための、(ee)記載の方法。
(gg)AGおよび/またはVCを含む飲食物を摂取することを含む、筋分化を促進するための方法。
(hh)筋肉を再生するための、(gg)記載の方法。
【0051】
さらに本発明は、下記のものを提供する。
(ii)筋分化を促進するための培地の製造のためのAGおよび/またはVCの使用。
(jj)筋分化を促進するための培地添加剤の製造のためのAGおよび/またはVCの使用。
(kk)筋分化を促進するためのキットの製造のためのAGおよび/またはVCの使用。
(ll)培地中の細胞の筋分化を促進するための、AGおよび/またはVCの使用。
(mm)対象における筋分化を促進するための医薬の製造のためのAGおよび/またはVCの使用。
(nn)該医薬が対象において筋肉を再生させるためのものである、上記使用。
(oo)対象における筋分化を促進するための飲食物の製造のためのAGおよび/またはVCの使用。
(pp)該飲食物が対象において筋肉を再生させるためのものである、(oo)記載の使用。
(qq)対象において筋分化を促進するためのAGおよび/またはVCの使用。
(rr)対象において筋肉を再生させるための(qq)記載の使用。
【0052】
以下に実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明する。実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0053】
C2C12細胞を10%牛胎児血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(以下、増殖培地と呼ぶ)に懸濁し、65X10個/mlの細胞密度に調製した。その細胞懸濁液を1.5mlずつ6ウェルプレートに添加し、5%COインキュベーターで24時間培養を行った。増殖培地を除去した後、0.5mMのEGTを含んだ2%馬血清含有ダルベッコ改変イーグル培地(以下、分化培地と呼ぶ)を2mlずつ添加した。分化培地は一日おきに新しいものに交換し培養を継続した。対照群は、EGTを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。分化培地に交換した後、6日目に顕微鏡(ニコン:エクリプスTs2)で細胞の形態を観察し撮影を行った。結果を図1に示す。EGTを添加することにより、C2C12細胞から筋細胞への分化が促進され、より多くの筋管細胞が形成された。
【実施例0054】
C2C12細胞を増殖培地に懸濁し、65X10個/mlの細胞密度に調製した。その細胞懸濁液を1.5mlずつ6ウェルプレートに添加し、5%COインキュベーターで24時間培養を行った。増殖培地を除去した後、EGTを0.1mMもしくは0.5mM含んだ分化培地を2mlずつ添加した。対照群(以下、NTと略す)は、EGTを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。2日後、培地を除去し、TRIzol(インビトロジェン)を1mlずつ添加し細胞を溶解させた。細胞溶解液をエッペンドルフチューブに回収し、TRIzolのプロトコールに従ってRNAを回収した。回収したRNAを逆転写キット(タカラバイオ)によりmRNAの相補鎖DNAを得た。TB GreenTM Premix Ex TaqTM II(タカラバイオ)を用い、そのプロトコールに従い、得られた相補鎖DNAに以下のプライマーDNA(MyoD[NM_010866]:フォワード5‘AGTGAATGAGGCCTTCGAGA3’(配列番号:1)、リバース5‘GCATCTGAGTCGCCACTGTA3’(配列番号:2)、P
PIA[NM_008907]:フォワード5‘GTCTCCTTCGAGCTGTTTGC3’(配列番号:3)、リバース5‘GATGCCAGGACCTGTATGCT3’(配列番号:4))を添加し、CFX96 TouchTM リアルタイムPCR 解析システム(バイオラッド)にかけることによって、MyoDおよびPPIAの遺伝子発現量を測定した。MyoDは筋肉分化を誘導するマスターレギュレーターとして知られている。PPIAはハウスキーピング遺伝子として知られており、PPIA遺伝子発現量を内部標準として用いた。MyoD mRNAの発現量をPPIA mRNAの発現量で割ることによって補正しMyoD mRNA発現レベルを算出した。図2には、NTのMyoD mRNA発現レベルを1としてEGT添加時の遺伝子発現レベル(相対値)を示した。MyoD mRNA発現レベルはEGTの濃度に依存して増加した。
【実施例0055】
C2C12細胞を増殖培地に懸濁し、65X10個/mlの細胞密度に調製した。その細胞懸濁液を1.5mlずつ6ウェルプレートに添加し、5%COインキュベーターで24時間培養を行った。増殖培地を除去した後、EGTを0.5mM含んだ分化培地を2ml添加した。対照群(NT)は、EGTを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。2日後に培地を除去し、TRIzol(インビトロジェン)を1mlずつ添加しTRIzolのプロトコールに従ってRNAを回収した。回収したRNAを逆転写キット(タカラバイオ)により相補鎖DNAに変換した。TB GreenTM Premix Ex TaqTM II(タカラバイオ)を用い、そのプロトコールに従い、得られた相補鎖DNAに以下のプライマーDNA(MyH2[NM_001039545]:フォワード5‘GAGCAAAGATGCAGGGAAAG3’(配列番号:5)、リバース5‘TAAGGGTTGACGGTGACACA3’(配列番号:6)、ACTA1[NM_001272041]:フォワード5‘CGACATCAGGAAGGACCTGT3’(配列番号:7)、PPIA[NM_008907]:フォワード5‘GTCTCCTTCGAGCTGTTTGC3’(配列番号:3)、リバース5‘GATGCCAGGACCTGTATGCT3’(配列番号:4))を添加し、CFX96 TouchTM リアルタイムPCR 解析システム(バイオラッド)にかけることによって、MyH2、ACTA1およびPPIAの遺伝子発現量を測定した。ミオシン重鎖2(MyH2)およびαアクチン(ACTA1)のmRNAの発現量をPPIA mRNAの発現量で割ることによって補正しMyH2およびACTA1 mRNA発現レベルを算出した。図3には、NTのmRNA発現レベルを1としてEGT添加時の遺伝子発現レベル(相対値)を示した。EGTの添加により、MyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現レベルが上昇した。
【0056】
(比較例)
C2C12細胞を増殖培地に懸濁し、65X10個/mlの細胞密度に調製した。その細胞懸濁液を1.5mlずつ6ウェルプレートに添加し、5%COインキュベーターで24時間培養を行った。増殖培地を除去した後、EGT0.5mMもしくはエダラボン(以下、Edvと略す)25μM、Edv50μMを含んだ分化培地を2mlずつ添加した。Edvは強力な合成抗酸化剤である。培地は1日おきに新しいものに交換し培養を続けた。対照群(NT)は、EGTを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。4日後に、培地を除去し、TRIzol(インビトロジェン)を1mlずつ添加しTRIzolのプロトコールに従ってRNAを回収した。回収したRNAを逆転写キット(タカラバイオ)によりmRNAの相補鎖DNAを得た。TB GreenTM Premix Ex TaqTM IIキット(タカラバイオ)を用い、そのプロトコールに従い、得られた相補鎖DNAに以下のプライマーDNA(MyH2[NM_001039545]:フォワード5‘GAGCAAAGATGCAGGGAAAG3’(配列番号:5)、リバース5‘TAAGGGTTGACGGTGACACA3’(配列番号:6)、PPIA[NM_008907]:フォワード5‘GTCTCCTTCGAGCTGTTTGC3’(配列番号:3)、リバース5‘GATGCCAGGACCTGTATGCT3’(配列番号:4))を添加し、CFX96 TouchTM リアルタイムPCR 解析システム(バイオラッド)にかけることによって、MyH2およびPPIAの遺伝子発現量を測定した。MyH2 mRNAの発現量をPPIA mRNAの発現量で割ることによって補正しMyH2 mRNA発現レベルを算出した。図4には、NTのMyH2 mRNA発現レベルを1としてEGTもしくはEdv添加時の遺伝子発現レベル(相対値)を示した。
抗酸化剤EdvはC2C12のMyH2発現レベルに影響を与えなかった。この結果から、単なる抗酸化効果ではMyH2発現レベルが上昇しないことがわかった。
【実施例0057】
EGTのみを添加した分化培地を用いた場合、EGTとAGを添加した分化培地を用いた場合、およびAGのみを添加した分化培地を用いた場合のC2C12細胞のMyH2およびACTA1のmRNAの発現量を調べた。AGとしては林原製のAA2G(登録商標)を用いた。分化培地中のEGTの濃度を0.5mM、AGの濃度を1.0mMとした。実験手順は実施例3と同様であった。対照群(NT)は、EGTおよびAGを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。結果を図5に示す。EGTとAGを培地に添加することによって、MyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現が大幅に増加することが確認された。これらの結果は、EGTとAGを併用することによって、筋分化が大幅に促進されることを示すものである。また、AGのみを培地に添加した場合にも、MyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現が増加することが確認された。この結果は、AGを単独で用いても、筋分化が促進されることを示すものである。
【実施例0058】
EGTのみを添加した分化培地を用いた場合、EGTとVCを添加した分化培地を用いた場合、およびVCのみを添加した分化培地を用いた場合のC2C12細胞のMyH2およびACTA1のmRNAの発現量を調べた。分化培地中のEGTの濃度を0.5mM、VCの濃度を0.5mMとした。実験手順は実施例3と同様であった。対照群(NT)は、EGTおよびVCを含まないこと以外は、全く同じ操作を行った。結果を図6に示す。EGTとVCを培地に添加することによって、MyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現が大幅に増加することが確認された。これらの結果は、EGTとVCを併用することによって、筋分化が大幅に促進されることを示すものである。また、VCのみを培地に添加した場合にも、MyH2 mRNAおよびACTA1 mRNAの発現が増加することが確認された。この結果は、VCを単独で用いても、筋分化が促進されることを示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、医薬品、食品等の分野および研究試薬等の分野において利用できる。
【配列表フリーテキスト】
【0060】
配列番号:1はMyoD遺伝子を増幅するためのフォワードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:2はMyoD遺伝子を増幅するためのリバースプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:3はPPIA遺伝子を増幅するためのフォワードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:4はPPIA遺伝子を増幅するためのリバースプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:5はMyH2遺伝子を増幅するためのフォワードプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:6はMyH2遺伝子を増幅するためのリバースプライマーの塩基配列を示す。
配列番号:7はACTA1遺伝子を増幅するためのフォワードプライマーの塩基配列を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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