(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026289
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】押出成形セメント板床材の取付金具とそれを用いた床材取付構造
(51)【国際特許分類】
E04B 5/02 20060101AFI20240220BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240220BHJP
E04B 1/61 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
E04B5/02 C
E04B1/58 601E
E04B1/61 502B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206184
(22)【出願日】2023-12-06
(62)【分割の表示】P 2019207692の分割
【原出願日】2019-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000135335
【氏名又は名称】株式会社ノザワ
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000110664
【氏名又は名称】ナンカイ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海野 光生
(72)【発明者】
【氏名】小西 健夫
(72)【発明者】
【氏名】西野 浩一
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一也
(72)【発明者】
【氏名】道端 更姓
(57)【要約】 (修正有)
【課題】押出成形セメント板床材を梁材に載せることが容易で、押出成形セメント板床材を上方から梁材へ留め付けることができる取付金具を提供する。
【解決手段】押出成形セメント板床材に取り付けられる床材取付金具と、梁材に取り付けられる梁材取付金具と、を備え、床材取付金具は、床材の裏面側に設けられた被係止部に係止させる係止部材と、係止部材から床材の端部まで延びる板状部と、梁材のフランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、を有し、梁材取付金具は、梁材の上方に配置される本体部と、本体部に接続され、梁材のフランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、本体部の上方に設けられる中空部保持部と、を有し、中空部保持部は、床材を梁材に押し付ける配置状態と、床材の中空部から出た退避状態と、に回転する押圧部材と、押圧部材が床材の端縁と平行となる状態に回転した退避状態で係止する回転防止部材と、を有している。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空部を有する押出成形セメント板床材を梁材に留め付けるための取付金具であって、
前記押出成形セメント板床材に取り付けられる床材取付金具と、
前記梁材に取り付けられる梁材取付金具と、を備え、
前記床材取付金具は、前記押出成形セメント板床材の裏面側に設けられた被係止部に係止させる係止部材と、前記係止部材から前記押出成形セメント板床材の端部まで延びる板状部と、前記梁材のフランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、を有し、
前記梁材取付金具は、前記梁材の上方に配置される本体部と、前記本体部に接続され、前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、前記本体部の上方に設けられる中空部保持部と、を有し、
前記中空部保持部は、回転軸を中心に、前記押出成形セメント板床材の前記中空部に挿入させて該押出成形セメント板床材を前記梁材に押し付ける配置状態と、前記押出成形セメント板床材の前記中空部から出た退避状態と、に回転する押圧部材と、前記押圧部材が前記押出成形セメント板床材の端縁と平行となる状態に回転した前記退避状態で係止する回転防止部材と、を有している、
ことを特徴とする取付金具。
【請求項2】
前記回転防止部材は、前記押圧部材が前記押出成形セメント板床材の前記中空部の延びる方向に回転した前記配置状態でも係止するように構成されている、
請求項1に記載の取付金具。
【請求項3】
前記本体部は、前記挟持部で挟み込んだ前記フランジ部の幅方向の他方端部に掛ける掛け止め部をさらに備えている、
請求項1又は2に記載の取付金具。
【請求項4】
前記本体部は、該本体部と前記梁材の上面との間に空隙部を形成する段部を備えている、
請求項1~3のいずれか1項に記載の取付金具。
【請求項5】
前記掛け止め部は、前記本体部から斜め下方に延びる傾斜部と、前記傾斜部に連続し前記フランジ部と水平に接触する水平部と、前記水平部に連続し前記フランジ部の端部を保持する端部保持部と、を有している、
請求項3に記載の取付金具。
【請求項6】
前記掛け止め部は、端部保持部の中央部に、上方に折り返した折り返し部をさらに有している、
請求項3又は5に記載の取付金具。
【請求項7】
前記挟持部は、前記梁材に設けられた被係合部に係合する係合部をさらに有している、
請求項1~6のいずれか1項に記載の取付金具。
【請求項8】
請求項1に記載の取付金具によって前記中空部を有する前記押出成形セメント板床材を前記梁材に留め付ける取付構造であって、
前記床材取付金具を、前記挟持部で前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込み、前記係止部材を前記押出成形セメント板床材の前記被係止部に係止させて取り付け、
前記梁材取付金具を、前記挟持部で前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込んで取り付け、前記押圧部材を回転させて該押圧部材を前記中空部に挿入させた前記配置状態として前記押出成形セメント板床材を前記梁材に押し付けている、
ことを特徴とする押出成形セメント板床材の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の床などに用いられる押出成形セメント板床材の取付金具とそれを用いた床材取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨系の集合住宅の床材として押出成形セメント板の床材が用いられている。このような床材は、住宅の構造部材である梁材の上に載せられ、金具によって梁材に留め付けられている。押出成形セメント板床材を梁材に留め付ける方法として、梁材に載せた押出成形セメント板床材を階下から留め付け金具で留め付ける方法がある。しかし、この場合には押出成形セメント板床材の施工と金具の取り付けが階下のフロアからの作業となるため作業性が悪くなる。しかも、階下から作業を行う場合、作業員が上向きに見上げた作業となって作業負荷が大きく、脚立などを乗り降りする作業が必要となり、作業効率が悪い。
【0003】
そこで、押出成形セメント板床材を施工階において取り付けができるようにした先行技術がある。例えば、押出成形セメント板床材の裏面に可撓部材でZ型クリップ材を取り付け、このZ型クリップ材によって押出成形セメント板床材を梁材に挟持する取り付け金具がある(例えば、特許文献1参照)。この金具では、押出成形セメント板床材を梁材に載せた後、押出成形セメント板床材の上方から押出成形セメント板床材の裏面に取り付けられたZ型クリップ材の先端を押出成形セメント板床材の裏面の方向に回動させることで、押出成形セメント板床材とZ型クリップ材とによって梁材を挟持している。
【0004】
また、他の先行技術として、梁材の幅方向中央部分に金具を固定し、金具の左右位置に載せられた押出成形セメント板床材の中空部に留め付け金物を挿入し、押出成形セメント板床材を上方から留め付け金物で梁材に押圧して留め付けけるものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-264438号公報
【特許文献2】特開平8-53892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1では、Z型クリップ材を押出成形セメント板床材の裏面に固定する必要があるため、Z型クリップ材を階下から上向きで正しい位置に取り付けるために多くの時間と労力を要する場合がある。
【0007】
また、上記特許文献2では、押出成形セメント板床材を梁材に載せるときに留め付け金物の位置を適切に保つことが難しい場合があり、押出成形セメント板床材を梁材に載せる作業に多くの時間と労力を要する場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、押出成形セメント板床材を梁材に載せることが容易で、押出成形セメント板床材を上方から梁材へ留め付けることができる取付金具と、それを用いた床材取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る取付金具は、中空部を有する押出成形セメント板床材を梁材に留め付けるための取付金具であって、前記押出成形セメント板床材に取り付けられる床材取付金具と、前記梁材に取り付けられる梁材取付金具と、を備え、前記床材取付金具は、前記押出成形セメント板床材の裏面側に設けられた被係止部に係止させる係止部材と、前記係止部材から前記押出成形セメント板床材の端部まで延びる板状部と、前記梁材のフランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、を有し、前記梁材取付金具は、前記梁材の上方に配置される本体部と、前記本体部に接続され、前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込む挟持部と、前記本体部の上方に設けられる中空部保持部と、を有し、前記中空部保持部は、回転軸を中心に、前記押出成形セメント板床材の前記中空部に挿入させて該押出成形セメント板床材を前記梁材に押し付ける配置状態と、前記押出成形セメント板床材の前記中空部から出た退避状態と、に回転する押圧部材と、前記押圧部材が前記押出成形セメント板床材の端縁と平行となる状態に回転した前記退避状態で係止する回転防止部材と、を有している。
【0010】
この構成により、梁材に挟持部で取り付けた床材取付金具の係止部材を押出成形セメント板床材の被係止部に係止させた状態で、梁材のフランジ部に挟持部で取り付けた梁材取付金具の押圧部材で押出成形セメント板床材を梁材に向けて押し付けて留め付けることができる。しかも、床材取付金具は、挟持部を梁材のフランジ部に挟み込み、係止部材を押出成形セメント板床材の裏面側に設けられた被係止部に係止させるだけなので、容易に取り付けができる。その上、梁材取付金具を予め梁材に取り付けた状態で、押出成形セメント板床材の被係止部を床材取付金具の係止部材に係止させることで押出成形セメント板床材の位置合わせができるので、施工性も向上する。
【0011】
また、前記回転防止部材は、前記押圧部材が前記押出成形セメント板床材の前記中空部の延びる方向に回転した前記配置状態でも係止するように構成されていてもよい。
【0012】
このように構成すれば、回転防止部材によって、押圧部材を退避状態で係止するとともに、床材取付金具を押し付ける配置状態に回転させた状態でも係止することができる。よって、押出成形セメント板床材の取付作業を効率良く行うことができる。
【0013】
また、前記本体部は、前記挟持部で挟み込んだ前記フランジ部の幅方向の他方端部に掛ける掛け止め部をさらに備えていてもよい。
【0014】
このように構成すれば、梁材のフランジ部の幅方向両端部を挟持部と掛け止め部とで水平方向に保持するので、梁材取付金具を梁材に保持する保持力をより強くすることができる。
【0015】
また、前記本体部は、該本体部と前記梁材の上面との間に空隙部を形成する段部を備えていてもよい。
【0016】
このように構成すれば、本体部の段部によって押出成形セメント板床材を保持する部分と梁材との間に空隙部が形成されるので、押出成形セメント板床材の振動が梁材取付金具から梁材に伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材に伝わる振動を抑えることができ、遮音性の向上を図ることができる。
【0017】
また、前記掛け止め部は、前記本体部から斜め下方に延びる傾斜部と、前記傾斜部に連続し前記フランジ部と水平に接触する水平部と、前記水平部に連続し前記フランジ部の端部を保持する端部保持部と、を有していてもよい。
【0018】
このように構成すれば、掛け止め部の水平部に連続する端部保持部によりフランジ部の端部を保持できるとともに、傾斜部により梁材との間に空隙部ができるので、押出成形セメント板床材の振動が掛け止め部から梁材に伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。
【0019】
また、前記掛け止め部は、端部保持部の中央部に、上方に折り返した折り返し部をさらに有していてもよい。
【0020】
このように構成すれば、掛け止め部に抜ける方向の力が掛かった場合、折り返し部が上向きに変形してフランジ部と床材の間で干渉することで、端部保持部がフランジ部から外れにくくなり、梁材取付金具が抜けにくくなる効果を発揮することができる。
【0021】
また、前記挟持部は、前記梁材に設けられた被係合部に係合する係合部をさらに有していてもよい。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「被係合部」は、凹部、凸部及び貫通孔などを含む。「係合部」は、被係合部に係合する凸部、凹凸部、貫通孔などを含む。
【0022】
このように構成すれば、梁材に凹部、凸部及び貫通孔などの被係合部がある場合、挟持部に設けられた係合部を梁材の被係合部に係合させることにより、取付金具を梁材に保持する保持力をさらに強固にできる。
【0023】
一方、本発明に係る押出成形セメント板床材の取付構造は、前記取付金具によって前記中空部を有する前記押出成形セメント板床材を前記梁材に留め付ける取付構造であって、前記床材取付金具を、前記挟持部で前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込み、前記係止部材を前記押出成形セメント板床材の前記被係止部に係止させて取り付け、前記梁材取付金具を、前記挟持部で前記梁材の前記フランジ部を幅方向の一方から挟み込んで取り付け、前記押圧部材を回転させて該押圧部材を前記中空部に挿入させた前記配置状態として前記押出成形セメント板床材を前記梁材に押し付けている。
【0024】
この構成により、梁材に挟持部で取り付けた床材取付金具の係止部材を押出成形セメント板床材の被係止部に係止させた状態で、梁材のフランジ部に挟持部で取り付けた梁材取付金具の押圧部材で押出成形セメント板床材を梁材に向けて押し付けて留め付けることができる。しかも、梁材取付金具を予め梁材に取り付けた状態で、押出成形セメント板床材の被係合部を床材取付金具の係合部に係合させることで押出成形セメント板床材の位置合わせができるので、押出成形セメント板床材を載せる施工性も向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、梁材に梁材取付金具を取り付けた状態を適切に保って押出成形セメント板床材を梁材に載せることが容易にできる。そして、取付金具で押出成形セメント板床材を梁材に留め付ける作業を上方から効率良く行うことができる。よって、押出成形セメント板床材の留め付け作業性を向上させることが可能となる。
【0026】
さらに、押出成形セメント板床材の梁材への留め付けを、梁材取付金具と床材押圧金具とによって強固に行うことができるので、押出成形セメント板床材の留め付け信頼性を向上させることが可能となる。また、取付金具の構造によって遮音性能を向上させる構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、参考例の第1取付金具を示す図面であり、(A)は分解斜視図、(B)は床材押圧金具の裏面側を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す第1取付金具を梁材に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す第1取付金具で押出成形セメント板床材を梁材に留め付けた取付構造を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す第1取付金具における梁材取付金具の変形例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、
図4に示す梁材取付金具を梁材に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す第1取付金具における床材押圧金具の変形例を示す床材押圧金具の図面であり、(A)は表面側の斜視図、(B)は裏面側の斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す床材押圧金具を用いた第1取付金具を梁材に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。
【
図8】
図8は、参考例の第2取付金具の梁材取付金具を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す梁材取付金具を有する第2取付金具を梁材に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す第2取付金具で押出成形セメント板床材を梁材に留め付けた取付構造を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、参考例の第3取付金具を示す図面であり、(A)は分解斜視図、(B)は床材押圧金具の裏面側を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、
図11に示す第3取付金具を梁材に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図13】
図13は、
図11に示す第3取付金具で押出成形セメント板床材を梁材に留め付けた取付構造を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、
図11に示す第3取付金具における床材押圧金具の変形例を示す床材押圧金具の図面であり、(A)は表面側の斜視図、(B)は裏面側の斜視図である。
【
図15】
図15は、
図14に示す床材押圧金具を用いた第3取付金具を梁材に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図16】
図16は、参考例の第4取付金具の床材押圧金具を示す斜視図である。
【
図17】
図17は、
図16に示す床材押圧金具を用いた第4取付金具を梁材に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。
【
図18】
図18は、参考例の第5取付金具を示す分解斜視図である。
【
図19】
図19は、
図18に示す第5取付金具を梁材に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図20】
図20は、
図18に示す第5取付金具で押出成形セメント板床材を梁材に留め付けた取付構造を示す斜視図である。
【
図21】
図21は、参考例の第6取付金具を示す図面であり、(A)は分解斜視図であり、(B)は(A)とは異なる梁材取付金具を示す斜視図である。
【
図22】
図22は、参考例の第7取付金具を示す分解斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22に示す第7取付金具を梁材に取り付けた使用状態を示す図面であり、(A)は(B)に示すXXIII-XXIII矢視の断面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図24】
図24は、参考例の第8取付金具を示す分解斜視図である。
【
図25】
図25は、
図24に示す第8取付金具を梁材に取り付けた取付構造を示す斜視図である。
【
図26】
図26は、本発明に係る第9取付金具を示す分解斜視図である。
【
図27】
図27は、
図26に示す第9取付金具の梁材取付金具165と中空部保持部168とを組み立てた状態の平面図である。
【
図28】
図28は、
図26に示す第9取付金具を梁材に取り付けた使用状態を示す図面であり、(A)は(B)に示すXXVIII-XXVIII矢視の断面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【
図29】
図29は、
図26に示す第9取付金具を梁材に取り付けた取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、施工階における一部の押出成形セメント板床材1を図示して説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、
図3に示すように、梁材5の延びる方向を前後方向、押出成形セメント板床材1の延びる方向を左右方向(幅方向)とする。また、押出成形セメント板床材1の上面を「表面」、下面を「裏面」ともいう。さらに、押出成形セメント板床材1の上面側基材1bと下面側基材1cとの間の中空部2を仕切る隔壁を「桟部1a」という。
【0029】
(参考例の第1取付金具)
図1は、参考例の第1取付金具10を示す図面であり、(A)は分解斜視図、(B)は床材押圧金具11の裏面側を示す斜視図である。第1取付金具10は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1c(
図2)を梁材5(
図2)に向けて押圧する床材押圧金具11と、梁材5に取り付けられる梁材取付金具15とを備えている。
【0030】
床材押圧金具11は、矩形状の板材で形成されており、中央部分には梁材取付金具15に設けられた保持部材たるボルト材18が挿通される貫通孔12が設けられている。また、床材押圧金具11の長手方向には、貫通孔12の両側方に上向きの突条13が設けられている。板状の床材押圧金具11に突条13を設けることで、曲げ強度を向上させている。この例の床材押圧金具11は、下面が押出成形セメント板床材1の下面側基材1c(
図2)を押圧する押圧部となる。
【0031】
梁材取付金具15は、梁材5の上方に配置される平面状の本体部16と、本体部16との間で梁材5のフランジ部6(
図2)を幅方向の一方から挟み込む挟持部17と、本体部16の上方に設けられた保持部たるボルト材18と、ボルト材18にねじ込むナット材19とを有している。挟持部17は、板材からなる本体部16の一方に延びる所定位置を下向きに屈曲させ、端部を本体部16の下方へ向けて延びるように所定位置まで曲げられて形成されている。挟持部17は、梁材5のフランジ部6(
図2)を幅方向の一方から挟み込むように形成されている。
【0032】
また、梁材取付金具15には、左右方向の一方に延びる上記挟持部17とは反対方向に延びる掛け止め部20が備えられている。掛け止め部20は、挟持部17でフランジ部6の幅方向を一方から挟持した状態で、フランジ部6の幅方向の他方端部に掛けることができるように形成されている。掛け止め部20は、本体部16の上面に接続された支持部20aと、支持部20aから斜め下方に延びる傾斜部20bと、傾斜部20bに連続してフランジ部6(
図2)に水平に接触する水平部20cと、水平部20cに連続してフランジ部6の端部に掛けられる端部保持部20dと、を有している。端部保持部20dは、板材の端部を下向きに屈曲させて形成されている。端部保持部20dは、水平部20cに対し、30°~90°の角度θの範囲で屈曲するように形成される。端部保持部20dを屈曲させる角度θは、90°より大きいとフランジ部6に掛け止める効果がなく、30°より小さいとフランジ部6の端部への掛かりが少なくなり、掛け止め効果が小さくなる。
【0033】
また、この例では、端部保持部20dの中央部に、上方に折り返した折り返し部20eが設けられている。折り返し部20eを設けることにより、梁材取付金具15が抜ける方向に力が掛かった場合に折り返し部20eが上向きに変形し、フランジ部6と押出成形セメント板床材1の間で干渉することで、端部保持部20dをフランジ部から外れにくくし、梁材取付金具15を抜けにくくしている。掛け止め部20は、支持部20aが本体部16に溶接などで接続(固定)される。
【0034】
梁材取付金具15は、梁材5のフランジ部6の両端部を挟持部17と掛け止め部20とで水平方向に保持することができるので、梁材取付金具15を梁材5により強固に保持することができる。
【0035】
さらに、第1取付金具10は、本体部16の中央部分が梁材5から上方へ離れるように段部16aが設けられている。段部16aは、本体部16を上方へ屈曲させることで形成されている。段部16aを設けることで、後述するように、本体部16と梁材5との間に空隙部V(
図2(B))が形成される。空隙部Vを形成することで、押出成形セメント板床材1の振動が第1取付金具10から梁材5に伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。すなわち、段部16aによって振動伝搬に対して緩衝特性を持たせることができるため、第1取付金具10から梁材5に伝わる振動を抑えることができる。なお、段部16aの構成は限定されるものではなく、本体部16と梁材5との間に空隙部Vが形成できる構成であればよい。
【0036】
(第1取付金具の使用例)
図2は、
図1に示す第1取付金具10を梁材5に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。この例の押出成形セメント板床材1は、第1取付金具10で梁材5に留め付けられる中空部2の位置の上面側基材1bの端部に切欠き部1dが設けられている。第1取付金具10の床材押圧金具11は、隣り合う押出成形セメント板床材1の目地の間から装着して取り付けてもよいが、この実施形態のように、予め押出成形セメント板床材1の上面側基材1bに最小限の切欠き部1dを設けることで、より容易に床材押圧金具11を取り付けることが可能となる。なお、押出成形セメント板床材1が隣り合う場合は、切欠き部1dを向い合う押出成形セメント板床材1の端部にそれぞれ設けてもよいし、いずれか一方にのみ設けてもよい。切欠き部1dは、床材押圧金具11が挿入できる大きさであればよい。
【0037】
第1取付金具10によって押出成形セメント板床材1を梁材5へ留め付ける場合、梁材取付金具15が挟持部17で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部20の端部保持部20dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる。この状態の梁材取付金具15は、挟持部17と端部保持部20dとによってフランジ部6を水平方向に保持しているので、強い保持力で保持されている。
【0038】
その後、梁材取付金具15の本体部16に設けられたボルト材18を挟んで、押出成形セメント板床材1が梁材5に載せられる。梁材取付金具15が強い保持力で梁材5に取り付けられているので、押出成形セメント板床材1を容易に載せることができる。そして、ボルト材18に、床材押圧金具11が貫通孔12から挿入される。そして、ボルト材18にナット材19をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具11によって押出成形セメント板床材1の下面側基材1cが梁材5に向けて押圧されて保持される。これにより、隣り合う押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0039】
また、第1取付金具10は、部品数を少なくすることができる。その上、押出成形セメント板床材1を施工階において上方から下向き作業で梁材5に留め付けることができるので、施工性を向上させることができる。しかも、空隙部Vにより、押出成形セメント板床材1から梁材5に向けて振動が伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材5に伝わる振動を抑えることができ、遮音性が向上する。
【0040】
さらに、第1取付金具10は、梁材5の左右位置に載せられる隣り合う押出成形セメント板床材1を1つの床材押圧金具11で同時に押圧して留め付けることができる。このため、隣り合う押出成形セメント板床材1の留め付け作業を1箇所で行うことができ、押出成形セメント板床材1の留め付け作業を効率良く行うことができる。
【0041】
(第1取付金具を用いた取付構造例)
図3は、
図1に示す第1取付金具10で押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けた取付構造を示す斜視図である。第1取付金具10は、梁材取付金具15が挟持部17で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように取り付けられ、掛け止め部20の端部保持部20dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられる(
図2)。梁材取付金具15の取り付け後、梁材取付金具15のボルト材18を挟んで隣り合うように押出成形セメント板床材1が梁材5に載せられる(図では一方の押出成形セメント板床材1のみを示す)。押出成形セメント板床材1は、上面側基材1bの端部が切り取られ切欠き部1dの部分(
図2(A))がボルト材18の位置に載せられる。
【0042】
そして、床材押圧金具11を、貫通孔12からボルト材18に挿通して、隣り合う押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに掛かるように取り付けられる(
図2)。その後、ボルト材18にナット材19をねじ込んで締め付けることにより、床材押圧金具11によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押圧して留め付けることができる。
【0043】
(第1取付金具における梁材取付金具の変形例)
図4は、
図1に示す第1取付金具10における梁材取付金具15の変形例を示す斜視図である。
図5は、
図4に示す梁材取付金具15を梁材5に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。この例の梁材取付金具15は、
図1に示す梁材取付金具15と掛け止め部21の構成が異なる例である。掛け止め部21以外の本体部16と、挟持部17と、保持部たるボルト材18と、ボルト材18にねじ込むナット材19は、
図1に示す梁材取付金具15と同一である。同一の構成には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0044】
図4に示すように、この例の掛け止め部21は、本体部16の上面に位置する支持部21aから斜め下方に傾斜部21bが延び、この傾斜部21bに連続してフランジ部6(
図5)に水平に接触する水平部21cがフランジ部6の端部から突出するように設けられている。そして、水平部21cの中央部分の一部に、フランジ部6と係合するように下向きに屈曲させられた端部保持部21dが設けられている。
【0045】
図5に示すように、このような掛け止め部21を備えた梁材取付金具15によれば、挟持部17で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部21の端部保持部21dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる。この例によっても、梁材取付金具15は、梁材5のフランジ部6の両端部を挟持部17と掛け止め部21とで水平方向に保持することができるので、梁材取付金具15を梁材5により強固に保持することができる。なお、他の構成は
図2と同一であるため、同一の構成には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
(第1取付金具における床材押圧金具の変形例)
図6は、
図1に示す第1取付金具10における床材押圧金具11の変形例を示す床材押圧金具25の図面であり、(A)は表面側の斜視図、(B)は裏面側の斜視図である。
図7は、
図6に示す床材押圧金具25を用いた第1取付金具10を梁材5に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。なお、
図1に示す梁材取付金具15と同一の構成には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0047】
図6(A)、(B)に示すように、床材押圧金具25は、矩形状の板材で形成されており、中央部分には梁材取付金具15に設けられたボルト材18が挿通される貫通孔26が設けられている。また、床材押圧金具25の長手方向には、貫通孔26の両側方に上向きの突条27が設けられている。板状の床材押圧金具25に突条27を設けることで、曲げ強度を向上させている。そして、矩形状の四隅には、裏面側に向けて突出する突起状押圧部28が設けられている。突起状押圧部28は、床材押圧金具25の隅部を裏面方向に屈曲させることで形成されている。
【0048】
図7に示すように、この床材押圧金具25によれば、梁材5に取り付けられた梁材取付金具15のボルト材18を挟んで下面側基材1cが隣り合うように押出成形セメント板床材1が梁材5に載せられる。そして、ボルト材18に、床材押圧金具25が貫通孔26から挿入される。床材押圧金具25は、裏面側の突起状押圧部28が、隣り合う押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに接した状態となる。その後、ボルト材18にナット材19をねじ込んで締め付けることで、突起状押圧部28が押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに係合した状態で押圧される。これにより、床材押圧金具25の突起状押圧部28が下面側基材1cに係合し、隣り合う押出成形セメント板床材1を、梁材5により強固に留め付けることができる。
【0049】
(参考例の第2取付金具)
図8は、参考例の第2取付金具30の梁材取付金具35を示す斜視図である。なお、第1取付金具10と同一の構成には「20」を付加した符号を付し、その説明は省略する。また、第2取付金具30における床材押圧金具は、上記第1取付金具10の床材押圧金具11又は床材押圧金具25、その他の床材押圧金具を用いることができるため、第2取付金具30については梁材取付金具35のみを説明する。
【0050】
第2取付金具30は、梁材5のフランジ部6に貫通孔などの被係合部7(
図10)が設けられている場合に使用される。被係合部7は、貫通穴の他、凹部、凸部などを含む。第2取付金具30の梁材取付金具35は、梁材5の上方に配置される平面状の本体部36と、本体部36との間で梁材5のフランジ部6(
図9)の幅方向を一方から挟み込む挟持部37と、挟持部37で挟み込んだフランジ部6の幅方向の他方端部に掛ける掛け止め部40と、を有している。本体部36には、上方に延びる保持部たるボルト材38が設けられている。
【0051】
そして、本体部36には、挟持部37の部分に、梁材5のフランジ部6に設けられた被係合部7に係合させる係合部41が設けられている。係合部41は、被係合部7に係合させる凸部、凹凸部、貫通孔などを含む。
【0052】
(第2取付金具の使用例)
図9は、
図8に示す梁材取付金具35を有する第2取付金具30を梁材5に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。梁材取付金具35は、第1実施形態に係る第1取付金具10の梁材取付金具15と同一の構成であるため、同一の構成には「20」を付加した符号を付して、その説明は省略する。
【0053】
第2取付金具30の梁材取付金具35は、挟持部37で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部40の端部保持部40dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる。この梁材取付金具35によれば、挟持部37で梁材5のフランジ部6を挟み込むことで、係合部41がフランジ部6の被係合部7に係合される。
【0054】
その後、梁材取付金具35の本体部36に設けられたボルト材38を挟んで桟部1aが隣り合うように押出成形セメント板床材1が載せられる。押出成形セメント板床材1は、梁材5の上に置かれた緩衝材4の上に載せられる。
【0055】
そして、本体部36に設けられたボルト材38に床材押圧金具31が貫通孔32から挿入されて、隣り合う押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに掛かるように取り付けられる。その後、ボルト材38にナット材39をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具31によって押出成形セメント板床材1の下面側基材1cを梁材5に向けて押圧する。これにより、隣り合う押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0056】
しかも、この梁材取付金具35によれば、挟持部37に設けられた係合部41が梁材5のフランジ部6に設けられた被係合部7に係合させられるので、第2取付金具30を梁材5に保持する保持力をさらに強固にできる。
【0057】
(第2取付金具を用いた取付構造例)
図10は、
図9に示す第2取付金具30で押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けた取付構造を示す斜視図である。この例の梁材5には、フランジ部6の前後方向に所定間隔で被係合部7(この例は貫通穴)が設けられている。
【0058】
第2取付金具30の梁材取付金具35は、挟持部37で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入することで係合部41が被係合部7に係合され、掛け止め部40の端部保持部40dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる(
図9)。梁材取付金具35の取り付け後は、梁材取付金具35のボルト材38を挟んで隣り合うように押出成形セメント板床材1が梁材5に載せられる(図では一方の押出成形セメント板床材1のみを示す)。押出成形セメント板床材1は、上面側基材1bの端部が切り取られた切欠き部1d(
図9)の部分がボルト材38の位置となるように載せられる。
【0059】
そして、床材押圧金具31が、貫通孔32からボルト材38に挿通される。これにより、床材押圧金具31は、隣り合う押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに接した状態となる。その後、ボルト材38にナット材39をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具31によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押圧して留め付けることができる。
【0060】
(参考例の第3取付金具)
図11は、参考例の第3取付金具50を示す図面であり、(A)は分解斜視図、(B)は床材押圧金具51の裏面側を示す斜視図である。第3取付金具50は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに被係止部たる貫通孔8が設けられている場合に使用される(
図12)。第3取付金具50は、施工階の端部において梁材5の片側に押出成形セメント板床材1を留め付ける場合に使用できる(
図12)。
【0061】
第3取付金具50は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1c(
図12)を梁材5(
図12)に向けて押圧する床材押圧金具51と、梁材5に取り付けられる梁材取付金具55とを備えている。梁材取付金具55は、第1実施形態に係る第1取付金具10の梁材取付金具15と同一の構成であるため、同一の構成には「40」を付加した符号を付して、その説明は省略する。
【0062】
第3取付金具50の床材押圧金具51は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに設けられた貫通孔8(
図12)に係止させる係止部材たるピン52と、ピン52から押出成形セメント板床材1の端部方向に延びる板状部53と、この板状部53の端部において下向きに屈曲する支持部54とを有している。ピン52は、板状部53の所定位置(押出成形セメント板床材1に設けられた被係止部たる貫通孔8の位置)で下向きに突出するように設けられている。ピン52は、板状部53に溶接、ねじ止めなどの方法で固定される。ピン52の固定方法は限定されない。板状部53の支持部54に近接した位置には、梁材取付金具55に設けられたボルト材58を挿通する貫通孔53aが設けられている。支持部54の中央部分には、貫通孔53aの方向に凹み部54aが設けられている。また、板状部53の長手方向には、貫通孔53aの両側方に上向きの突条53bが設けられている。板状部53に突条53bを設けることで、床材押圧金具51の曲げ強度を向上させている。
【0063】
(第3取付金具の使用例)
図12は、
図11に示す第3取付金具50を梁材5に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。この実施形態の押出成形セメント板床材1も、第3取付金具50で梁材5に留め付けられる部分の上面側基材1bの端部に切欠き部1dが設けられている。
【0064】
第3取付金具50によって押出成形セメント板床材1を梁材5へ取り付ける場合、梁材取付金具55が挟持部57で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部60の端部保持部60dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる。その後、押出成形セメント板床材1が、梁材取付金具55の本体部56に設けられたボルト材58に近接するように梁材5に載せられる。そして、押出成形セメント板床材1の中空部2に床材押圧金具51が入れられて、ピン52が貫通孔8に挿入されて係止され、貫通孔53aがボルト材58に挿通される。その後、ボルト材58にナット材59をねじ込んで締め付けることで、支持部54がボルト材58に沿った状態で、床材押圧金具51によって押出成形セメント板床材1の下面側基材1cが梁材5に向けて押圧される。これにより、押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0065】
このように、床材押圧金具51を、平板状の板状部53と端部が下向きに折れ曲がった支持部54とを有する形状とすることで、施工階の端部において梁材5の片側に押出成形セメント板床材1を配置する場合でも、凹み部54aがボルト材58に接して床材押圧金具51の水平状態を維持できる。よって、押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押圧して留め付けることができる。
【0066】
また、第3取付金具50によれば、床材押圧金具51のピン52を下面側基材1cの貫通孔8に係止した状態で留め付けるので、床材押圧金具51の位置を保った状態で押出成形セメント板床材1の留め付けを強固に行うことができる。
【0067】
さらに、第3取付金具50によっても、部品数を少なくすることができる。その上、押出成形セメント板床材1を施工階において上方から下向き作業で梁材5に留め付けることができるので、施工性を向上させることができる。しかも、空隙部Vにより、押出成形セメント板床材1から梁材5に向けて振動が伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材5に伝わる振動を抑えることができ、遮音性が向上する。
【0068】
(第3取付金具を用いた取付構造例)
図13は、
図11に示す第3取付金具50で押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けた取付構造を示す斜視図である。第3取付金具50は、梁材取付金具55が挟持部57で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部60の端部保持部60dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる(
図12)。梁材取付金具55の取り付け後、梁材取付金具55のボルト材58に近接するように押出成形セメント板床材1が梁材5に載せられる。押出成形セメント板床材1は、上面側基材1bの端部が切り取られた切欠き部1dの部分(
図12(A))がボルト材58の位置に載せられる。
【0069】
そして、床材押圧金具51を押出成形セメント板床材1の中空部2に入れてピン52を貫通孔8に挿入し、貫通孔53aがボルト材58に挿通される。その後、ボルト材58にナット材59をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具51によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押し付けて留め付けることができる。
【0070】
(第3取付金具における床材取付金具の変形例)
図14は、
図11に示す第3取付金具50における床材押圧金具51の変形例を示す床材押圧金具65の図面であり、(A)は表面側の斜視図、(B)は裏面側の斜視図である。
図15は、
図14に示す床材押圧金具65を用いた第3取付金具50を梁材5に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。なお、上記した第3取付金具50と梁材取付金具55は同一であるため、同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0071】
図14(A)、(B)に示すように、この例の床材押圧金具65は、係止部材としてボルト66が用いられている。床材押圧金具65は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに設けられた被係止部たる貫通孔8(
図15)に係止させる係止部材たるボルト66と、ボルト66から押出成形セメント板床材1の端部方向に延びる板状部67と、この板状部67の端部において下向きに屈曲する支持部68とを有している。ボルト66は、板状部67の所定位置(押出成形セメント板床材1に設けられた被係止部たる貫通孔8の位置)で下向きに突出するように設けられている。なお、ボルト66の固定方法は限定されるものではなく、板状部67に溶接で固定する方法や、板状部67から上方に突出させてナットで固定する方法等を用いることができる。
【0072】
また、板状部67の支持部68に近接した位置には、梁材取付金具55に設けられたボルト材58を挿通する貫通孔67aが設けられている。支持部68の中央部分には、貫通孔67aの方向に凹み部68aが設けられている。板状部67の長手方向には、貫通孔67aの両側方に上向きの突条67bが設けられ、床材押圧金具65の曲げ強度を向上させている。
【0073】
図15(A)、(B)に示すように、上記床材押圧金具65を用いた第3取付金具50によれば、予め床材押圧金具65のボルト66を押出成形セメント板床材1の貫通孔8に挿入し、下面からナット66aで固定しておく。そして、梁材取付金具55を梁材5に取り付けた後、梁材取付金具55のボルト材58に近接するように押出成形セメント板床材1が載せられる。この時、床材押圧金具65の貫通孔67aにボルト材58が挿通されるように載せられる。その後、ボルト材58にナット材59をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具65によって押出成形セメント板床材1の下面側基材1cが梁材5に向けて押圧される。これにより、押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0074】
(参考例の第4取付金具)
図16は、参考例の第4取付金具70(
図17)の床材押圧金具71を示す斜視図である。第4取付金具70における梁材取付金具55は、上記第3取付金具50の梁材取付金具55と同一であるため、同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。第4取付金具70は、押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに被係止部たる貫通孔8が無い場合でも、押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0075】
床材押圧金具71は、梁材取付金具55のボルト材58(
図17)が挿通される貫通孔72aを有する固定部72と、固定部72から押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに向けて、斜め下方に傾斜する傾斜部73と、傾斜部73から下面側基材1cの上面に沿う水平部74と、を有している。傾斜部73は、水平部74が押出成形セメント板床材1の下面側基材1cに接した状態で、固定部72が下面側基材1cから所定量上方に位置するように形成されている。また、固定部72の傾斜部73と反対方向には、下向きに屈曲する支持部75が設けられている。支持部75の下端の貫通孔72a側には、梁材取付金具55のボルト材58に接する当接材75aが設けられている。さらに、固定部72から傾斜部73及び水平部74にかけての上面には、補強材72bが設けられている。補強材72bは、例えば、板材を溶接等で固定したり、プレスで押圧してリブ形状に成形される。
【0076】
(第4取付金具の使用例)
図17は、
図16に示す床材押圧金具71を用いた第4取付金具70を梁材5に取り付けた使用状態における側面視の断面図である。床材押圧金具71を用いた第4取付金具70によれば、梁材5の所定位置に梁材取付金具55が取り付けられた状態で、押出成形セメント板床材1が本体部56に設けられたボルト材58に近接するように梁材5へ載せられる。そして、押出成形セメント板床材1の中空部2に床材押圧金具71が挿入されて貫通孔72aがボルト材58に挿通される。この状態で、床材押圧金具71は水平部74が下面側基材1cに接し、固定部72は傾斜部73によって下面側基材1cから所定量上方に位置した状態となる。その後、ボルト材58にナット材59をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具71によって押出成形セメント板床材1の下面側基材1cが梁材5に向けて押圧される。これにより、押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0077】
床材押圧金具71によれば、施工階の端部において梁材5の片側に押出成形セメント板床材1を配置する場合でも、押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押圧して留め付けることができる。
【0078】
(参考例の第5取付金具)
図18は、参考例の第5取付金具80を示す分解斜視図である。第5取付金具80で梁材5に取り付けられる押出成形セメント板床材1は、上面側基材1bの端部が切り取られて桟部1aの上部が露出している(
図19)。第5取付金具80は、押出成形セメント板床材1の上面側基材1bの端部が切り取られた部分の桟部1aを押圧するように取り付けられる床材押圧金具81と、梁材5(
図19)に取り付けられる梁材取付金具85とを備えている。
【0079】
床材押圧金具81は、押出成形セメント板床材1の桟部1aを跨ぐように断面が逆向きの略U字状に形成され、桟部1aと平行に延びる押圧部82と、押圧部82の両端部で押出成形セメント板床材1の上面側基材1bの端部を保持するように上向きに屈曲した端部保持部83と、を有している。押圧部82の中央部分には、梁材取付金具85に設けられたボルト材88が挿通される貫通孔82aが設けられている。
【0080】
梁材取付金具85は、梁材5の上方に配置される平面状の本体部86と、本体部86との間で梁材5のフランジ部6(
図19)を幅方向の一方から挟み込む挟持部87と、本体部86の上方に設けられた保持部たるボルト材88と、ボルト材88にねじ込まれるナット材89とを有している。挟持部87は、板材からなる本体部86の一方に延びる所定位置を下向きに屈曲させ、端部を本体部56の下方へ向けて延びるように所定位置まで曲げられて形成されている。挟持部87は、梁材5のフランジ部6(
図19)を挟むように形成されている。
【0081】
また、第5取付金具80の本体部86にも、左右方向の一方に延びる挟持部87と反対方向に、挟持部87で挟み込んだフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられる掛け止め部90が備えられている。この例の掛け止め部90は、本体部86の上面に位置する支持部90aと、支持部90aから斜め下方に延びる傾斜部90bと、傾斜部90bに連続しフランジ部6(
図19)に水平に接触する水平部90cと、水平部90cに連続してフランジ部6の端部に掛けられる端部保持部90dと、を有している。この例の端部保持部90dは、水平部90cに対してほぼ90°の角度θで下向きに屈曲させられている。第5取付金具80の梁材取付金具85は、梁材5のフランジ部6を挟持部87と掛け止め部90の端部保持部90dとによって両端部から水平方向に保持するので、梁材取付金具85を梁材5に強固に保持することができる。
【0082】
さらに、第5取付金具80も、本体部86が挟持部87に対して上方に離れるように段部86aが設けられている。段部86aにより、本体部86と梁材5との間に空隙部V(
図19(B))が形成され、押出成形セメント板床材1の振動が第5取付金具80から梁材5に伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。
【0083】
(第5取付金具の使用例)
図19は、
図18に示す第5取付金具80を梁材5に取り付けた使用状態の図面であり、(A)は平面図であり、(B)は側面視の断面図である。第5取付金具80によって押出成形セメント板床材1を梁材5へ取り付ける場合、梁材取付金具85は、挟持部87で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部90の端部保持部90dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる。その後、押出成形セメント板床材1が、梁材取付金具85の本体部86に設けられたボルト材88を挟んで桟部1aが隣り合うように載せられる。押出成形セメント板床材1は、梁材5の上に置かれた緩衝材4の上に載せられる。
【0084】
そして、本体部86に設けられたボルト材88に、床材押圧金具81が貫通孔82aから挿通される。床材押圧金具81は、断面U字状の開口部分が下向きに挿通されて、隣り合う押出成形セメント板床材1の桟部1aを跨いだ状態で取り付けられる。その後、ボルト材88にナット材89をねじ込んで締め付けることで、押圧部82によって押出成形セメント板床材1の桟部1aが梁材5に向けて押圧される。これにより、隣り合う押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けることができる。
【0085】
また、第5取付金具80によれば、床材押圧金具81で桟部1aを上部から保持するので、取り付けを強固に行うことができる。しかも、第5取付金具80によれば、床材押圧金具81の端部保持部83によって押出成形セメント板床材1の上面側基材1bの端部も保持するので、押出成形セメント板床材1の取り付けをより強固に行うことができる。さらに、第5取付金具80は、部品数も少なくすることができる。その上、押出成形セメント板床材1を施工階において上方から下向き作業で押出成形セメント板床材1を梁材5に取り付けることができるので、施工性を向上させることができる。
【0086】
さらに、第5取付金具80は、梁材5の左右位置に載せられる隣り合う押出成形セメント板床材1を1つの床材押圧金具81で同時に押圧することができる。このため、隣り合う押出成形セメント板床材1を保持する作業を1箇所で行うことができ、押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。
【0087】
その上、第5取付金具80によれば、取付状態で本体部86の段部86aによって梁材5との間に空隙部Vが形成される(
図19(B))。この空隙部Vにより、第5取付金具80から梁材5に向けて振動が伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材5に伝わる振動を抑えることができ、遮音性が向上する。
【0088】
(第5取付金具を用いた取付構造例)
図20は、
図18に示す第5取付金具80で押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付けた取付構造を示す斜視図である。第5取付金具80は、梁材取付金具85が挟持部87で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように挿入され、掛け止め部90の端部保持部90dがフランジ部6の幅方向の他方端部に掛けられて梁材5の所定位置に取り付けられる(
図19)。梁材取付金具85の取り付け後、押出成形セメント板床材1が、梁材取付金具85のボルト材88を挟んで隣り合うように梁材5に載せられる(図では一方の押出成形セメント板床材1のみを示す)。押出成形セメント板床材1は、上面側基材1bの端部が切り取られた桟部1a(
図19(A))がボルト材88の位置に載せられている。
【0089】
そして、床材押圧金具81が、貫通孔82aからボルト材88に挿通されて隣り合う押出成形セメント板床材1の桟部1aを跨いだ状態で取り付けられる。その後、ボルト材88にナット材89をねじ込んで締め付けることで、床材押圧金具81によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押し付けて留め付けることができる。
【0090】
(参考例の第6取付金具)
図21は、参考例の第6取付金具100を示す図面であり、(A)は分解斜視図であり、(B)は(A)とは異なる梁材取付金具110を示す斜視図である。第6取付金具100は、床材押圧金具101が上記第5取付金具80とは異なっている。なお、上記した第5取付金具80と梁材取付金具85は同一であるため、同一の構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0091】
第6取付金具100の床材押圧金具101は、押出成形セメント板床材1の桟部1aを跨ぐように形成された断面U字状の部分が高く形成されており、桟部1aと平行に延びる押圧部102と、床材押圧金具101の両下端部で外向きに屈曲する屈曲部103と、を有している。床材押圧金具101の高さは、押出成形セメント板床材1の桟部1aの高さと同等の高さとなっている。押圧部102の中央部分には、梁材取付金具85に設けられたボルト材88が挿通される貫通孔102aが設けられている。
【0092】
この第6取付金具100によっても、梁材5に取り付けられた梁材取付金具85の本体部86に設けられたボルト材88の位置に、上面側基材1bの端部が切り取られた桟部1aが隣り合うように押出成形セメント板床材1が載せられる(
図19と同様)。そして、本体部86に設けられたボルト材88に、床材押圧金具101が貫通孔102aから挿入される。床材押圧金具101は、断面U字状の開口部分が下向きに挿入されて、隣り合う押出成形セメント板床材1の桟部1aを跨いだ状態となる(
図19と同様)。その後、ボルト材88にナット材89をねじ込んで締め付けることで、押圧部102によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押圧して留め付けることができる。この第6取付金具100では、床材押圧金具101の押圧部102で桟部1aの上面を押し付け、屈曲部103で押出成形セメント板床材1の下面側基材1cを押し付けるので、取り付けを強固に行うことができる。
【0093】
図21(B)に示す例は、
図21(A)に示す例とは梁材取付金具110の掛け止め部115が異なっている。掛け止め部115のみを説明し、
図21(A)と同一の構成には、「25」を付加した符号を付して説明は省略する。この例の本体部111に設けられる掛け止め部115は、本体部111から延びた端部に、下方かつ狭持部側に折り曲げられた第一の折曲部115aと、第一の折曲部115aの下端から狭持部側とは逆に折り曲げられた第二の折曲部115b、さらに第二の折曲部115bの下端から上向きに折り曲げられた第三の折曲部115cとを有している。
【0094】
本体部111は、挟持部112でフランジ部6の一方を挟持した状態で挿入され、掛け止め部115がフランジ部6の他方端部に掛けることができる位置に到達すると第二の折曲部115bで一旦係止され、掛け止め部115の上面をハンマーなどでたたくと第一の折曲部115aが嵌り込んで取り付けられる。第三の折曲部115cにより、ハンマーなどで折曲の角を叩くことで容易に取り外しができる。掛け止め部90,115の構成は、
図21(A)、(B)のいずれでもできる。掛け止め部90(115)を設けることで、梁材5のフランジ部6の両端部を挟持部87(112)と掛け止め部90(115)とで水平方向に挟むので、梁材取付金具110を梁材5に保持する保持力を強くすることができる。
【0095】
(参考例の第7取付金具)
図22は、参考例の第7取付金具120を示す分解斜視図である。第7取付金具120は、押出成形セメント板床材1(
図23)に取り付けられる床材取付金具121と、梁材5(
図23)に取り付けられる梁材取付金具125とを備えている。
【0096】
床材取付金具121は、押出成形セメント板床材1の裏面側に設けられた被係止部たる貫通孔3(
図23)に係止させる係止部材たるピン122と、ピン122から押出成形セメント板床材1の端部まで延びる板状部123と、この板状部123の端部において上方に立ち上がる立ち上がり部124とを有している。立ち上がり部124には、斜め下方への折り返し部を設けてもよい。折り返し部を設ければ、後述する押圧部材131の押付部131cで立ち上がり部124を押圧するときに、折り返し部によるばね圧接効果で立ち上がり部124をより強く押圧することができる。
【0097】
梁材取付金具125は、梁材5の上方に配置される平面状の本体部126と、梁材5のフランジ部6(
図23)を幅方向の一方から挟み込む挟持部127と、本体部126の上方に設けられた中空部保持部128と、を有している。板材からなる本体部126は、一方に延びる所定位置を下向きに屈曲させ、端部を本体部126の下方へ向けて延びるように所定位置まで曲げられて挟持部127が形成されている。挟持部127は、梁材5のフランジ部6(
図2)を挟むように形成されている。また、この例の本体部126は、挟持部127の部分に、梁材5のフランジ部6に設けられた被係合部7に係合させる係合部126bが設けられている。
【0098】
中空部保持部128は、本体部126の上面に設けられた所定高さの台座129と、台座129の上部に設けられた回転防止部材130と、回転防止部材130の上方に設けられた押圧部材131とを有している。台座129は、本体部126から前後方向の一方(この例では前方(
図25))に片寄って、所定高さで立ち上がるように設けられている。台座129の上面129aには、ボルト132をねじ込むボルト孔129bが設けられている。台座129の高さは、床材取付金具121の立ち上がり部124を押圧できる高さに設定されている(
図23(B))。なお、台座129は、本体部126の前後方向の中央部分で立ち上がるようにしてもよい。回転防止部材130には、爪部130aが上向きに突設されており、台座129のボルト孔129bの部分に貫通孔130bが設けられている。回転防止部材130は、押圧部材131が押出成形セメント板床材1の端縁と平行となる状態に回転した退避状態で押圧部材131を係止する。
【0099】
押圧部材131は、回転軸たるボルト132が所定位置に挿通されており、ボルト132を中心に回転可能となっている。ボルト132は、例えば六角穴付ボルトを用いることができる。押圧部材131は、ボルト132が挿通された支持部131bの両端部に、床材取付金具121の立ち上がり部124を押し付けるように下向きに屈曲された押付部131cが設けられている。押圧部材131の支持部131bには、回転防止部材130の爪部130aに当接する凹部131aが設けられている。押圧部材131は、回転軸たるボルト132を中心に、床材取付金具121の立ち上がり部124を押圧して押出成形セメント板床材1を梁材5に押し付ける配置状態と、押出成形セメント板床材1の中空部2から出た退避状態と、に回転する。
【0100】
ボルト132には、押圧部材131の下面に当接するバネ部材133が設けられている。ボルト132を台座129のボルト孔129bにねじ込むことで、押圧部材131はバネ部材133によってボルト132の頭部132aに向けて付勢される。押圧部材131は、バネ部材133により、ボルト132の下端部を台座129のボルト孔129bにねじ込んだ取付状態では、頭部132aに当接して押出成形セメント板床材1の中空部2に向けて回転させることができる高さで保持される。
【0101】
さらに、第7取付金具120は、本体部126が挟持部127に対して上方に離れるように段部126aが設けられている。段部126aは、本体部126と挟持部127との間を上方へ屈曲させることで形成されている。段部126aを設けることで、後述するように、本体部126と梁材5との間に空隙部V(
図23(B))が形成される。空隙部Vを形成することで、押出成形セメント板床材1の振動が第7取付金具120から梁材5に伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。すなわち、段部126aによって振動伝搬に対して緩衝特性を持たせることができるため、第7取付金具120から梁材5に伝わる振動を抑えることができる。
【0102】
床材取付金具121は、1つの梁材取付金具125に対して対向する位置に一対が設けられる。一対の床材取付金具121の立ち上がり部124を、梁材取付金具125の押圧部材131で同時に押圧して押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付ける。
【0103】
押圧部材131は、ボルト132を締める方向に回転させることにより、回転防止部材130の爪部130aに係止されて止まる(
図23(A))。この状態が、押圧部材131の配置状態であり、押圧部材131で床材取付金具121の立ち上がり部124を押圧することができる。また、押圧部材131は、ボルト132を緩める方向に回転させることにより、押出成形セメント板床材1の中空部2から出て回転防止部材130の爪部130aに係止されて止まる。この状態が、押圧部材131の退避状態である(後述する
図27と同様)。
【0104】
この第7取付金具120によれば、押圧部材131は回転防止部材130によって、退避状態では押出成形セメント板床材1の端縁と平行の状態で係止され、配置状態では押出成形セメント板床材1の中空部2が延びる方向に向けられた状態で係止され、退避状態と配置状態の適切な位置で止まるようになっている。これにより、押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。
【0105】
そして、押圧部材131は、配置状態においてボルト132を締め付けることでバネ部材133が圧縮されて床材取付金具121の立ち上がり部124を梁材5に向けて押圧する。これにより、床材取付金具121で押出成形セメント板床材1を梁材5に押し付けて留め付けることができる。
【0106】
(第7取付金具の使用例)
図23は、
図22に示す第7取付金具120を梁材5に取り付けた使用状態を示す図面であり、(A)は(B)に示すXXIII-XXIII矢視の断面図であり、(B)は側面視の断面図である。
【0107】
第7取付金具120によれば、梁材5の上に緩衝材4が置かれ、その上に押出成形セメント板床材1が載せられる。そして、梁材取付金具125が挟持部127で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように取り付けられる。梁材取付金具125の梁材5への取り付けは、押出成形セメント板床材1を載せる前、一方の押出成形セメント板床材1を載せた後のいずれでもよい。押出成形セメント板床材1を載せた後でも、押出成形セメント板床材1の前後方向の中間部分には、緩衝材4の継目の部分に緩衝材4の厚み分の空間Sができる。このため、この空間Sを利用して、梁材取付金具125の本体部126を挿入して取り付けることができる。この場合、梁材取付金具125の取り付け後、押圧部材131を中空部2の延びる方向と直交する方向に向けておくとよい。また、押出成形セメント板床材1の中空部2に、床材取付金具121が挿入されてピン122が貫通孔3に係止される。
【0108】
この第7取付金具120によれば、梁材5に取り付けた梁材取付金具125の左右位置に押出成形セメント板床材1を載せた後、隣り合う押出成形セメント板床材1の目地部M(
図28(B)に示す押出成形セメント板床材1の間)からボルト132を回転させる。ボルト132によって回転させた押圧部材131は、押出成形セメント板床材1の中空部2に進入して配置状態になると回転防止部材130の爪部130aに当接して止まる(
図23(A))。その後、その状態でボルト132をさらにねじ込むことで、押圧部材131によって床材取付金具121の立ち上がり部124を押圧し、これにより押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押し付けて留め付けることができる。
【0109】
しかも、第7取付金具120は、梁材5の左右位置に載せられる隣り合う押出成形セメント板床材1に設けられている床材取付金具121の立ち上がり部124を押圧部材131で同時に押圧する。このため、隣り合う押出成形セメント板床材1を保持する作業を1箇所で行うことができ、押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。このことは、後述する第8取付金具140も同様である。
【0110】
その上、第7取付金具120によれば、挟持部127で梁材5のフランジ部6を挟持した取付状態で、本体部126の段部126aによって梁材5との間に空隙部Vが形成される(
図23(B))。この空隙部Vにより、第7取付金具120から梁材5に向けて振動が伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材5に伝わる振動を抑えることができ、遮音性が向上する。このことは、後述する第8取付金具140も同様である。
【0111】
(参考例の第8取付金具)
図24は、参考例の第8取付金具140を示す分解斜視図である。第8取付金具140は、梁材取付金具145の一部と床材取付金具141及び押圧部材151が第7取付金具120とは異なる構成となっている。以下の説明では、第7取付金具120と異なる構成についてのみ説明し、同一の構成には「20」を加えた符号を付して、その説明は省略する。
【0112】
第8取付金具140の床材取付金具141は、押出成形セメント板床材1の被係止部たる貫通孔3(
図23)に係止させる係止部材がボルト142となっている。また、床材取付金具141の板状部143には、ボルト142を螺合させるねじ部143aが設けられている。床材取付金具141の押出成形セメント板床材1の端縁付近には、上向きに屈曲して立ち上がる立ち上がり部144が設けられている。
【0113】
第8取付金具140は、係止部をボルト142とすることで、床材取付金具141と押出成形セメント板床材1との接合が強固になるので、押出成形セメント板床材1の取り付けもより強固に行うことができる。
【0114】
また、第8取付金具140は、本体部146の上面部分に切り欠き部146cが設けられている。切り欠き部146cを設けることで、本体部146と梁材5とが接触したとしても、音の伝搬を軽減することができる。なお、切り欠き部146cはなくてもよい。他の構成は第7取付金具120と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0115】
このような第8取付金具140によっても、押圧部材151は回転防止部材150によって、退避状態では押出成形セメント板床材1の端縁と平行の状態で係止され、配置状態では押出成形セメント板床材1の中空部2が延びる方向に向けられた状態で係止され、退避状態と配置状態の適切な位置で止まるようになっている。これにより、押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。
【0116】
そして、中空部保持部148の押圧部材151を配置状態として、ボルト152を締め付けることでバネ部材153が圧縮されて床材取付金具141の立ち上がり部144を梁材5に向けて押圧する。これにより、床材取付金具141で押出成形セメント板床材1を梁材5に押し付けて留め付けることができる。
【0117】
(第8取付金具を用いた取付構造例)
図25は、
図24に示す第8取付金具140を梁材5に取り付けた取付構造を示す斜視図である。第8取付金具140は、梁材取付金具145が挟持部147で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込むように取り付けられる。梁材取付金具145の取り付け後、押出成形セメント板床材1を載せる時の障害にならないように押圧部材151を中空部2の延びる方向と直交する方向に向けておくとよい。一方、床材取付金具141は、予め押出成形セメント板床材1の中空部2に挿入され、押出成形セメント板床材1の貫通孔3の部分にボルト152で固定される。
【0118】
そして、第8取付金具140によれば、梁材5に取り付けた梁材取付金具145の左右位置に押出成形セメント板床材1を載せた後(図では一方の押出成形セメント板床材1のみを示す)、隣り合う押出成形セメント板床材1の目地部M(
図23(B)に示す押出成形セメント板床材1の間)からボルト152を回転させる。これにより、押圧部材151が回転させられて、押出成形セメント板床材1の中空部2に進入して配置状態となると回転防止部材150の爪部150aに当接して止まる(
図23(a)と同様)。その後、ボルト152をさらにねじ込むことで、押圧部材151によって床材取付金具141の立ち上がり部144が押出成形セメント板床材1に向けて押圧され、押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押し付けて留め付けることができる。
【0119】
(本発明に係る第9取付金具)
図26は、本発明に係る第9取付金具160を示す分解斜視図である。
図27は、
図26に示す第9取付金具160の梁材取付金具165と中空部保持部168とを組み立てた状態の平面図である。第9取付金具160は、押出成形セメント板床材1(
図28)に取り付けられる床材取付金具161と、梁材5(
図28)に取り付けられる梁材取付金具165とを備えている。
【0120】
床材取付金具161は、板状部163の一端に設けられた梁材5のフランジ部6を挟み込む挟持部164と、押出成形セメント板床材1の裏面側に設けられた被係止部たる貫通孔3(
図28)に係止させる係止部材たるピン162とを有している。
【0121】
梁材取付金具165は、梁材5の上方に配置される本体部166と、梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込む挟持部167と、本体部166の上方に設けられた中空部保持部168と、を有している。本体部166の挟持部167と反対側には、掛け止め部174が設けられている。本体部166の上面には、所定高さの台座169が設けられ、台座169の上部には回転防止部材170が設けられている。回転防止部材170の上方に、押圧部材171が設けられている。台座169は、本体部166から所定高さで(ボルト172による保持力を得るため押出成形セメント板床材1の中空部2の下側の厚み分よりも低く)立ち上がるように設けられ、上面の前後方向の端部に、ボルト172をねじ込むボルト孔169bが設けられている。台座169の高さは、ボルト172による保持力を得るために、押出成形セメント板床材1の中空部2の下方における床材厚み分よりも低くなっている(
図28(B))。回転防止部材170には、爪部170aが上向きに突設されており、その前後方向の外側には、台座169のボルト孔169bの部分に貫通孔170bが設けられている。
【0122】
押圧部材171は、回転軸となるボルト172が所定位置に挿通されており、ボルト172を中心に回転可能となっている。ボルト172は、例えば六角穴付ボルトを用いることができる。押圧部材171は、押出成形セメント板床材1を押し付ける一端部が、反力を受けるように下向きに僅かに屈曲されている。押圧部材171の他端部には、回転防止部材170の爪部170aに当接する部分に凹部171aが設けられている。ボルト172には、押圧部材171の下面に当接するバネ部材173が設けられている。ボルト172を台座169のボルト孔169bにねじ込むことで、押圧部材171はバネ部材173によってボルト172の頭部172aに向けて付勢される。押圧部材171は、バネ部材173により、ボルト172の先端部を台座99のボルト孔99bにねじ込んだ取付状態では、頭部172aに当接して押出成形セメント板床材1の中空部2に向けて回転させることができる高さで保持される。
【0123】
図27に示すように、押圧部材171は、ボルト172を締める方向に回転させることにより、一端部が押出成形セメント板床材1の中空部2に進入させられて回転防止部材170の爪部170aに係止されて止まり配置状態Aとなる。また、押圧部材171は、ボルト172を緩める方向に回転させることにより、一端部が押出成形セメント板床材1の中空部2から出て凹部171aが回転防止部材170の爪部170aに係止されて止まり退避状態Bとなる。凹部171aは、押圧部材171を退避状態としたときに、適切に目地部M(
図28(B)に示す押出成形セメント板床材1の間)内に収めるためのものである。
【0124】
このように、押圧部材171は、回転防止部材170により、退避状態では押出成形セメント板床材1の端縁と平行の状態で係止され、配置状態では押出成形セメント板床材1の中空部2に進入して中空部2の延びる方向に向けられた状態で係止され、ほぼ90度の退避状態と配置状態の適切な位置で止まるようになっている。これにより、以下のように押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。
【0125】
(第9取付金具の使用例と取付構造例)
図28は、
図26に示す第9取付金具160を梁材5に取り付けた使用状態を示す図面であり、(A)は(B)に示すXXVIII-XXVIII矢視の断面図であり、(B)は側面視の断面図である。
図29は、
図26に示す第9取付金具160を梁材5に取り付けた取付構造を示す斜視図である。
【0126】
第9取付金具160によれば、床材取付金具161が梁材5の所定位置に挟持部167でフランジ部6を幅方向の一方から挟み込んで取り付けられる。一方、梁材取付金具165は、挟持部167で梁材5のフランジ部6を幅方向の一方から挟み込んで取り付けられる。梁材取付金具165の取り付け後、押出成形セメント板床材1を載せる時の障害にならないように押圧部材171を中空部2の延びる方向と直交する方向に向けておくとよい。梁材取付金具165を左右に配置される一方の押出成形セメント板床材1を載せた後に取り付ける場合、梁材5と押出成形セメント板床材1との間にできる緩衝材4の厚み分の空間S(
図23(B)と同様)を利用して取り付けることができる。
【0127】
そして、梁材5に取り付けた梁材取付金具165の左右位置に押出成形セメント板床材1を載せ、床材取付金具161のピン162を押出成形セメント板床材1の貫通孔3に係止させる。床材取付金具161は、予め梁材5に取り付けた状態で押出成形セメント板床材1を載置して貫通孔3の位置を合わせるだけで取り付けができるので、床材取付金具161の正確な位置合わせが必要なく、施工性良く作業が行える。
【0128】
その後、隣り合う押出成形セメント板床材1の目地部M(
図28(B)に示す押出成形セメント板床材1の間)からボルト172を回転させる。ボルト172の回転によって回転させられる中空部保持部168の押圧部材171は、押出成形セメント板床材1の中空部2に進入して爪部170aに当接して配置状態となる(
図27の状態)。その後、ボルト172をさらにねじ込むことで、押圧部材171によって押出成形セメント板床材1を梁材5に向けて押し付けて留め付けることができる。第9取付金具160によれは、隣り合う押出成形セメント板床材1を個別の押圧部材171で保持する作業を1箇所で行うことができ、押出成形セメント板床材1の取付作業を効率良く行うことができる。
【0129】
しかも、第9取付金具160によれば、床材取付金具161を予め梁材5に取り付けた状態で、押出成形セメント板床材1の貫通孔3を床材取付金具161のピン162に係合させることで押出成形セメント板床材1の位置合わせができるので、施工性も向上する。
【0130】
その上、第9取付金具160によっても、梁材取付金具165が挟持部167で梁材5のフランジ部6を挟持した取付状態で、本体部166が梁材5の上面から浮いた状態となって空隙部Vが形成される(
図28(B))。この空隙部Vにより、押出成形セメント板床材1から梁材5に向けて振動が伝搬することを抑える緩衝特性を発揮することができる。よって、梁材5に伝わる振動を抑えることができ、遮音性が向上する。
【0131】
(その他の変形例)
梁材取付金具165の本体部166は、段部166aを有しない構成であってもよく、上記実施形態に限定されるものではない。また、本体部166は、梁材5に貫通孔などの被係合部7が備えられている構成、又は被係合部7が備えられていない構成のいずれでも使用できる構成とすることができ、上記実施形態に限定されるものではない。
【0132】
さらに、上記した参考例は一例を示しており、押出成形セメント板床材1の上面側基材1bに設けられた切欠き部1dは、ボルト材18,38,58,88に沿って梁材5に載せられる押出成形セメント板床材1の両方又は片方であってもよく、大きさ、数などは限定されない。
【0133】
また、上記した実施形態は一例を示しており、本発明の要旨を損なわない範囲で種々の変更は可能であり、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。
【0134】
(総括)
以上のような取付金具160によれば、押出成形セメント板床材1を梁材5に留め付ける作業を、施工階において梁材取付金具165を梁材5に取り付けた状態で押出成形セメント板床材1を容易に載せることが可能となる。そして、押出成形セメント板床材1を上方から下向き作業で梁材5に留め付けることができるので、施工性を向上させることが可能となる。
【0135】
また、参考例では、押出成形セメント板床材1を梁材取付金具15,35,55,85,110と床材押圧金具11,31,51,65,71,81,101とによって梁材5へ留め付けるため、押出成形セメント板床材1を強固に保持することが可能となる。しかも、押出成形セメント板床材1の裏面あるいは表面に簡単な加工を施すことによっても、押出成形セメント板床材1を強固に取り付けることが可能となる。
【0136】
さらに、押出成形セメント板床材1を梁材取付金具125,145,165と床材取付金具121,141,161及び押圧部材131,151,171とによって梁材5へ留め付けても、押出成形セメント板床材1を強固に保持することが可能となる。また、取付金具120,140,160は、梁材取付金具125,145,165を梁材5に取り付けた状態で押出成形セメント板床材1を下向きに押圧する押圧部材131,151,171が邪魔にならないので、押出成形セメント板床材1を梁材5に載せる作業を容易に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0137】
1 押出成形セメント板床材
1a 桟部
1b 上面側基材
1c 下面側基材
1d 切欠き部
2 中空部
3 貫通孔(被係止部)
5 梁材
6 フランジ部
7 被係合部
10 第1取付金具
11 床材取付金具
15 梁材取付金具
16 本体部
17 挟持部
18 ボルト材(保持部)
19 ナット材(保持部)
20 掛け止め部
20d 端部保持部
21 掛け止め部
21d 端部保持部
25 床材押圧金具
28 突起状押圧部
30 第2取付金具
35 梁材取付金具
36 本体部
37 挟持部
38 ボルト材(保持部)
39 ナット材(保持部)
40 掛け止め部
40d 端部保持部
41 係合部
50 第3取付金具
51 床材押圧金具
52 ピン(係止部材)
53 板状部
55 梁材取付金具
56 本体部
57 挟持部
58 ボルト材(保持部)
59 ナット材(保持部)
60 掛け止め部
60d 端部保持部
65 床材押圧金具
66 ボルト(係止部材)
67 板状部
70 第4取付金具
71 床材押圧金具
80 第5取付金具
81 床材押圧金具
82 押圧部
83 端部保持部
85 梁材取付金具
86 本体部
87 挟持部
88 ボルト材(保持部)
89 ナット材(保持部)
90 掛け止め部
90d 端部保持部
100 第6取付金具
101 床材押圧金具
102 押圧部
110 梁材取付金具
120 第7取付金具
121 床材取付金具
122 ピン(係止部材)
125 梁材取付金具
126 本体部
127 挟持部
128 中空部保持部
130 回転防止部材
131 押圧部材
140 第8取付金具
141 床材取付金具
142 ボルト(係止部材)
144 立ち上がり部
145 梁材取付金具
146 本体部
147 挟持部
148 中空部保持部
150 回転防止部材
151 押圧部材
160 第9取付金具
161 床材取付金具
162 ピン(係止部材)
164 挟持部
165 梁材取付金具
166 本体部
167 挟持部
168 中空部保持部
170 回転防止部材
171 押圧部材
174 掛け止め部
V 空隙部
θ 角度