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  • 特開-B7-H4抗体及びその使用方法 図1
  • 特開-B7-H4抗体及びその使用方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026309
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】B7-H4抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240220BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240220BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240220BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240220BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240220BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240220BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/02 C
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P35/00
G01N33/53 D
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206823
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2020545621の分割
【原出願日】2019-03-01
(31)【優先権主張番号】62/637,740
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515302853
【氏名又は名称】ファイヴ プライム セラピューティクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ カプラン
(72)【発明者】
【氏名】アレッサンドロ パルンボ
(72)【発明者】
【氏名】キャシー ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ハンギル パク
(72)【発明者】
【氏名】ネリッサ メンドーザ
(72)【発明者】
【氏名】マジッド ゴドゥシ
(57)【要約】
【課題】B7-H4抗体及びその使用方法の提供。
【解決手段】本開示は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片を提供する。抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片は、例えばB7-H4を検出するのに有用である。免疫組織化学(IHC)を用いてB7-H4の検出することができる。本開示はまた、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を投与することによって、B7-H4の増加が検出されているがんを治療する方法も提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体、及び、例えば、B7-H4を検出するためにそのような抗体を作製する及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
B7-H4(B7x、B7-S1、及びVTCN1としても知られる)は、PD-L1を含む他のB7ファミリーメンバーと相同性を共有する免疫調節分子である。それは、IgVとIgC双方の細胞外ドメインで構成されるI型の膜貫通タンパク質である。健康な組織におけるB7-H4の発現はタンパク質レベルでは比較的限定されている一方で、B7-H4は乳房、卵巣、子宮内膜の婦人科がんのようないくつかの固形腫瘍にて発現する。腫瘍におけるB7-H4の発現は予後不良と相関する傾向がある。B7-H4の受容体は不明であるが、T細胞に発現していると考えられている。B7-H4はT細胞活性を直接阻害すると考えられている。
【0003】
B7-H4の発現と機能を考えると、B7-H4に特異的に結合する抗体と、例えば、免疫組織化学(IHC)を用いてがん試料中のB7-H4を検出することを含む、B7-H4を検出するためのこれらの抗体の使用とが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書で提供されるのは、B7-H4に特異的に結合する抗体、及び、例えば、免疫組織化学(IHC)を用いてがん試料中のB7-H4を検出することを含む、B7-H4を検出するためのこれら抗体の使用である。
【0005】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1と配列番号23のアミノ酸配列を含むVH CDR2と配列番号24のアミノ酸配列を含むVH CDR3と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1と配列番号26、27または28のアミノ酸配列を含むVL CDR2と配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR3とを含む、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片である。
【0006】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6、7または8のアミノ酸配列を含むVHを含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含むVLを含む。
【0007】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であり、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、配列番号6、7または8のアミノ酸配列を含む。
【0008】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であり、抗体は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、軽鎖可変領域は配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含む。
【0009】
特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、(a)それぞれ配列番号6及び9;(b)それぞれ配列番号6及び10;(c)それぞれ配列番号6及び11;(d)それぞれ配列番号7及び9;(e)それぞれ配列番号7及び10;(f)それぞれ配列番号7及び11;(g)それぞれ配列番号8及び9;(h)それぞれ配列番号8及び10;(i)それぞれ配列番号8及び11;(j)それぞれ配列番号89及び19;(k)それぞれ配列番号90及び19;またはそれぞれ配列番号91及び19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片である。
【0010】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はさらに重鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、重鎖定常領域はマウスIgGまたはIgG2aの重鎖定常領域である。
【0011】
特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片はさらに軽鎖定常領域を含む。特定の実施形態では、軽鎖定常領域はマウスIgGκ軽鎖定常領域である。
【0012】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号16、17、18、89、90または91のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号19、30または31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0013】
特定の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、(a)それぞれ配列番号16及び19;(b)それぞれ配列番号16及び30;(c)それぞれ配列番号16及び31;(d)それぞれ配列番号17及び19;(e)それぞれ配列番号17及び30;(f)それぞれ配列番号17及び31;(g)それぞれ配列番号18及び19;(h)それぞれ配列番号18及び30;または(i)それぞれ配列番号18及び31のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0014】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であり、抗体またはその抗原結合断片は、J512、J513、J514、J515、J516、J517、J518、J519、J520、J521、及びJ522から成る群から選択される抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2及びVL CDR3を含む。特定の実施形態では、CDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである。
【0015】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に提供されている抗体またはその抗原結合断片と同じヒトB7-H4のエピトープに特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片である。
【0016】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている別の抗体またはその抗原結合断片の抗体またはその抗原結合断片のヒトB7-H4への結合を競合して阻害する単離された抗体またはその抗原結合断片である。
【0017】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合性断片はマウスの抗体またはその抗原結合性断片である。
【0018】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は完全長抗体である。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は抗原結合断片である。特定の実施形態では、抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv、ミニボディ、F(ab’)、ダイアボディ、(scFv)、またはscFv-Fcを含む。
【0019】
特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片はさらに検出可能な標識を含む。
【0020】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域または重鎖をコードする核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、核酸分子は配列番号6、7もしくは8のVHまたは配列番号16、17もしくは18の重鎖をコードする
【0021】
特定の実施形態では、核酸分子は配列番号12、13、14、93、94、または95の配列を含む。
【0022】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域または軽鎖をコードする核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、核酸分子は配列番号9、10もしくは11のVLまたは配列番号19、30もしくは31の軽鎖をコードする。特定の実施形態では、核酸分子は配列番号15、96または97の配列を含む。
【0023】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に提供されている抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域または重鎖及び本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域または軽鎖をコードする核酸分子を含む単離されたポリヌクレオチドである。
【0024】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されているポリヌクレオチドを含む単離されたベクターである。
【0025】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されているポリヌクレオチド、本明細書で提供されているベクター、または本明細書で提供されている軽鎖可変領域もしくは軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター及び本明細書で提供されている重鎖可変領域もしくは重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む宿主細胞(例えば、単離された宿主細胞)である。特定の実施形態では、宿主細胞はCHO細胞またはHEK細胞である。
【0026】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、核酸分子が発現され、抗体またはその抗原結合断片が産生されるように本明細書で提供されている宿主細胞を培養することを含む、ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を作製する方法である。
【0027】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、ヒトB7-H4に特異的に結合し、本明細書で提供されているポリヌクレオチドによってコードされる単離された抗体またはその抗原結合断片である。
【0028】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片と試料を接触させることを含む、試料にてB7-H4を検出する方法である。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、本明細書で提供されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片と試料を接触させ、抗体またはその抗原結合断片のB7-H4への結合を検出することを含む、試料にてB7-H4を検出する方法である。特定の実施形態では、試料は、対象におけるがんから得られる。特定の実施形態では、方法はさらに、B7-H4が検出された後に、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することを含む。
【0029】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、対象にてB7-H4を発現するがんを治療する方法であり、該方法は、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することを含み、その際、B7-H4は、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片を用いて、がんから得られた試料において検出された。
【0030】
特定の実施形態では、方法はさらに、がんから得られた試料にてB7-H4を検出することを含む。
【0031】
特定の実施形態では、検出されたB7-H4は細胞膜B7-H4である。特定の実施形態では、検出されたB7-H4は細胞質B7-H4である。特定の実施形態では、検出されたB7-H4は全細胞B7-H4である。
【0032】
特定の実施形態では、B7-H4は循環腫瘍細胞で検出される。
【0033】
特定の実施形態では、試料は、対象に由来する固形組織、生検、腹水、吸引液、流体抽出物、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸管、または尿生殖路、涙液、唾液、乳、腫瘍、または臓器である。
【0034】
特定の実施形態では、がんは、乳癌、乳管癌、子宮内膜癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌、及び膀胱癌から成る群から選択される。特定の実施形態では、乳癌はトリプルネガティブ乳癌である、または非小細胞肺癌は扁平上皮癌である。
【0035】
特定の実施形態では、検出方法は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイ、または免疫組織化学(IHC)を使用する。特定の実施形態では、検出方法はIHCを使用し、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の濃度は約1~約50μg/mLである。特定の実施形態では、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の濃度は、約1~約20μg/mLである。特定の実施形態では、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片の濃度は約10μg/mLである。
【0036】
特定の実施形態では、対象はヒトである。
【0037】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片と(a)検出試薬、(b)B7-H4抗原、(c)治療用抗B7-H4抗体、または(d)それらの組み合わせとを含むキットである。
【0038】
本明細書で提供されている方法またはキットの特定の実施形態では、治療用の抗体または抗原結合断片は、20502または22213のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。特定の実施形態では、CDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである。
【0039】
特定の実施形態では、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3はそれぞれ配列番号32~37のアミノ酸配列またはそれぞれ配列番号58~63のアミノ酸配列を含む特定の実施形態では、治療用の抗体または抗原結合断片は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域は配列番号54または配列番号64のアミノ配列を含む。特定の実施形態では、治療用の抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、軽鎖可変領域は配列番号55または配列番号65のアミノ配列を含む。特定の実施形態では、治療用の抗体または抗原結合断片は、(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、または、(ii)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。特定の実施形態では、治療用の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号56または配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。特定の実施形態では、治療用の抗体またはその抗原結合断片は、配列番号57または配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。特定の実施形態では、治療用の抗体またはその抗原結合断片は、(i)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、または(ii)配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】抗B7-H4抗体A57.1、AET_AB_J516及びAET_AB_J512を用いて生成されたIHC染色画像を示す図である。(実施例4を参照)
図2】IHC染色のコンピューター画像解析(Definiens)を示す図である。(実施例4を参照)
図3】異なる強度レベルの陽性細胞の区分けを示す図である。(実施例4を参照)
図4】抗B7-H4抗体A57.1、AET_AB_J516、及びAET_AB_J512を用いて得られた各染色強度レベルに関連する細胞の数と割合を示す図である(実施例4を参照)
図5A】B7-H4陽性細胞の細胞全体、膜、及び細胞質におけるB7-H4発現(DAB強度)の比較を示す図である。A57.1抗体を使用したB7-H4発現(DAB強度)を示す図である。
図5B】B7-H4陽性細胞の細胞全体、膜、及び細胞質におけるB7-H4発現(DAB強度)の比較を示す図である。J512抗体を使用したB7-H4発現(DAB強度)を示す図である。
図5C】B7-H4陽性細胞の細胞全体、膜、及び細胞質におけるB7-H4発現(DAB強度)の比較を示す図である。J516抗体を使用したB7-H4発現(DAB強度)を示す図である。(実施例4を参照)
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその抗原結合断片である。抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片は、例えば、がん試料に対する免疫組織化学を用いてB7-H4を検出するのに使用することができる。
【0042】
提供されるのはまた、そのような抗体及びその抗原結合断片をコードする相補性DNA(cDNA)のような単離された核酸(ポリヌクレオチド)である。さらに提供されるのは、そのような抗体及びその抗原結合断片をコードする核酸(ポリヌクレオチド)を含むベクター(例えば、発現ベクター)及び細胞(例えば、宿主細胞)である。提供されるのはまた、そのような抗体及びその抗原結合断片を作製する方法である。他の態様では、本明細書で提供されるのは、例えば、がん試料にてB7-H4を検出する方法である。関連する組成物(例えば、検出組成物)、及びキットも提供される。
【0043】
用語
本明細書で使用されるとき、「B7-H4」という用語は、ネイティブのB7-H4ポリペプチド及びB7-H4ポリペプチドのアイソフォームを含むがこれらに限定されない哺乳動物B7-H4ポリペプチドを指す。「B7-H4」は完全長、未処理のB7-H4ポリペプチド、と同様に細胞内の処理から生じるB7-H4ポリペプチドの形態を包含する。本明細書で使用されるとき、「ヒトB7-H4」という用語は、配列番号1のアミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。「B7-H4ポリヌクレオチド」、「B7-H4ヌクレオチド」、または「B7-H4核酸」はB7-H4をコードするポリヌクレオチドを指す。
【0044】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、例えば、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせのような標的を認識しこれに特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、インタクトのポリクローナル抗体、インタクトのモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体を含む融合タンパク質、及び当該抗体が所望の生物活性を示す限り任意の他の修飾された免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、それぞれ、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる重鎖定常ドメインの独自性に基づいて、免疫グロブリンの5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、またはそれらのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のいずれかであり得る。異なるクラスの免疫グロブリンは、異なる周知のサブユニット構造及び三次元構造を有する。抗体は裸であることができ、毒素、放射性同位元素等のような他の分子に結合することができる。
【0045】
「抗体断片」という用語は、インタクトな抗体の一部を指す。「抗原結合断片」、「抗原結合ドメイン」、または「抗原結合領域」は、抗原に特異的に結合するインタクトな抗体の一部を指す。抗原結合断片は、インタクトな抗体の抗原認識部位(例えば、抗原を特異的に結合するのに十分な相補性決定領域(CDR))を含有することができる。抗体の抗原結合断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、線状抗体、及び単鎖抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体の抗原結合断片は、げっ歯類(例えば、マウス、ラット、またはハムスター)及びヒトのような任意の動物種に由来することができ、または人工的に作製することができる。
【0046】
「抗B7-H4抗体」、「B7-H4抗体」及び「B7-H4に結合する抗体」という用語は、抗体がB7-H4を標的とすることにおいて診断薬及び/または治療薬として有用であるように、十分な親和性でB7-H4を特異的に結合することができる抗体を指す。本明細書で使用されるとき、「特異的に結合する」、「免疫特異的に結合する」、「免疫特異的に認識する」、及び「特異的に認識する」という用語は、抗体またはその抗原結合断片の文脈において類似の用語である。これらの用語は、抗体またはその抗原結合断片がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合すること、及び結合が抗原結合ドメインとエピトープの間にある程度の相補性を伴うことを示す。したがって、ヒトB7-H4(配列番号1)に「特異的に結合する」抗体は、他の種(例えば、カニクイザル、マウス及び/またはラットのB7-H4)及び/または他のヒト対立遺伝子から産生されるB7-H4タンパク質にも結合してもよく、ただし関連のない非B7-H4タンパク質(例えば、PD-L1のような他のB7タンパク質ファミリーメンバー)への抗B7-H4抗体の結合の程度は、例えば放射性免疫アッセイ(RIA)により測定されたときB7-H4に対する抗体の結合の約10%未満である。
【0047】
「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片とは、単一の抗原決定基、すなわち、エピトープの抗原特異性の高い認識及び結合に関与する均質な抗体または抗原結合断片集団を指す。これは、通常は異なる抗原決定基に対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片という用語は、インタクトかつ完全長のモノクローナル抗体同様、抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、単鎖(scFv)変異型、抗体部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマ、ファージ選択、組み換え発現、及びトランスジェニック動物を含むが、これらに限定されないあらゆる方法で作製されるそのような抗体及びその抗原結合断片を指す。
【0048】
本明細書で使用されるとき、「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は相互交換可能に使用され、当該技術分野で一般的である。可変領域は通常、抗体の一部、一般に軽鎖または重鎖の一部を指し、通常、成熟重鎖のアミノ末端約110~120アミノ酸または110~125アミノ酸及び成熟した軽鎖の約90~115アミノ酸を指し、それらは抗体間で配列が異なり、特定の抗体の特定の抗原に対する結合と特異性に使用される。配列の変動性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる領域に集中している一方で、可変ドメインにおけるさらに高度に保存された領域はフレームワーク領域(FR)と呼ばれる。特定のメカニズムまたは理論に束縛されることを望まないが、軽鎖及び重鎖のCDRは、抗体の抗原との相互作用及び特異性に主として関与すると考えられている。特定の実施形態では、可変領域はヒト可変領域である。特定の実施形態では、可変領域はげっ歯類またはマウス可変領域である。
【0049】
「VL」及び「VLドメイン」という用語は、抗体の軽鎖可変領域を指すために相互交換可能に使用される。
【0050】
「VH」及び「VHドメイン」という用語は、抗体の重鎖可変領域を指すために相互交換可能に使用される。
【0051】
「Kabat番号付け」という用語及び同様の用語は、当該技術分野で認識されており、抗体またはその抗原結合断片の重鎖及び軽鎖可変領域におけるアミノ酸残基の番号付けの方式を指す。特定の態様では、CDRは、Kabat番号付け方式に従って決定することができる(例えば、Kabat EA & Wu TT,(1971),Ann.NY.Acad.Sci.190:382-391及びKabat,EA.et al.,(1991),Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,US Department of Health and Human Services,NIH Publication,No.91-3242を参照のこと)。Kabat番号付け方式を用いて、抗体重鎖分子内のCDRは通常、35に続く1または2の追加のアミノ酸を任意で含めることができる(Kabatの番号付けスキームでは35A及び35Bと呼ばれる)アミノ酸の31~35位(CDR1)、アミノ酸の50~65位(CDR2)、及びアミノ酸の95~102位(CDR3)に存在する。Kabat番号付け方式を用いて、抗体軽鎖分子内のCDRは通常、アミノ酸の24~34位(CDR1)、アミノ酸の50~56位(CDR2)、及びアミノ酸の89~97位(CDR3)に存在する。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体のCDRはKabat番号付けスキームに従って決定されている。
【0052】
Cothiaは代わりに構造ループの位置を参照する(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。Kabat番号付け規則を用いて番号付けした場合、ChothiaのCDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat番号付けスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの双方が存在する場合、このループは34で終わる)。AbM超可変領域は、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷物であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。
【表A】
【0053】
本明細書で使用されるとき、「定常領域」及び「定常ドメイン」という用語は相互交換可能であり、当該技術分野でのそれらの共通の意味を有する。定常領域は、抗体の一部であり、例えば、抗体の抗原への結合には直接関与しないが、Fc受容体との相互作用のような、さまざまなエフェクター機能を発揮できる軽鎖及び/または重鎖のカルボキシル末端部分である。免疫グロブリン分子の定常領域は一般に、免疫グロブリン可変ドメインと比べてさらに保存されたアミノ酸配列を有する。特定の態様では、抗体または抗原結合断片は、抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)に十分である定常領域またはその一部を含む。
【0054】
本明細書で使用されるとき、抗体に関して使用される場合の「重鎖」という用語は、任意の異なる種類、例えば、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてアルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ)を指すことができ、それらは、IgG、IgG、IgG、及びIgGのようなIgGのサブクラスを含む、それぞれIgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMのクラスの抗体を生じる。重鎖アミノ酸配列は当該技術分野で周知である。具体的な実施形態では、重鎖はヒト重鎖である。具体的な実施形態では、重鎖はげっ歯類またはマウスの重鎖である。
【0055】
本明細書で使用されるとき、抗体に関して使用される場合の「軽鎖」という用語は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく、例えばカッパ(κ)またはラムダ(λ)のような異なる種類を指すことができる。軽鎖アミノ酸配列は当技術分野で周知である。具体的な実施形態では、軽鎖はヒト軽鎖である。具体的な実施形態では、軽鎖はげっ歯類またはマウスの軽鎖である。
【0056】
「キメラ」抗体という用語またはその抗原結合断片は、アミノ酸配列が2以上の種に由来する抗体またはその抗原結合断片を指す。通常、軽鎖及び重鎖双方の可変領域は、所望の特異性、親和性、及び機能を持つ哺乳類の一種(例えば、マウス、ラット、ウサギ等)に由来する抗体またはその抗原結合断片の可変領域に対応する一方で、その定常領域は、別の種(通常はヒト)に由来する抗体またはその抗原結合断の配列に対して相同であり、その種での免疫反応の誘発を回避する。
【0057】
「ヒト化」抗体またはその抗原結合断片という用語は、最小限の非ヒト(例えば、マウス)配列を含む特定の免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはそれらの断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体または抗原結合断片を指す。通常、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリンであって、その相補性決定領域(CDR)由来の残基が、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDR由来の残基で置き換えられている(「CDRグラフト」)(Jones et al.,Nature,321:522-525,(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323-327,(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534-1536,(1988))。場合によっては、ヒト免疫グロブリンの特定のFvフレームワーク領域(FR)は、所望の特異性、親和性、及び機能を有する非ヒト種由来の抗体または断片における対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体またはその抗原結合断片を、Fvフレームワーク領域にて及び/または非ヒトCDR残基内にてさらなる残基の置換によってさらに修飾し、抗体またはその抗原結合断片の特異性、親和性、及び/または機能を改良する及び最適化することができる。一般に、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含有する可変ドメインを含むのに対して、FR領域のすべてまたは実質的にすべては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、通常はヒト免疫グロブリンのものである免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部も含むことができる。ヒト化抗体を生成するのに使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,91(3):969-973(1994)、及びRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904(1996)に記載されている。いくつかの実施形態では、「ヒト化抗体」は表面再形成抗体である。
【0058】
「ヒト」抗体という用語またはその抗原結合断片は、ヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するアミノ酸配列を有する抗体またはその抗原結合断片を意味し、そのような抗体または抗原結合断片は当該技術分野で既知の任意の技法を用いて作製される。ヒト抗体またはその抗原結合断片のこの定義には、インタクトなまたは完全長の抗体及びその断片が含まれる。
【0059】
「結合親和性」は、一般に、分子(例えば、抗体またはその抗原結合断片)の単一結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。特に指示されない限り、本明細書で使用されるとき、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体またはその抗原結合断及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する、本来の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(K)によって表すことができる。平衡解離定数(K)及び平衡会合定数(K)を含むがこれらに限定されない、当該技術分野で既知の多数の方法で親和性を測定することができ、及び/または表現することができる。Kはkoff/konの商から計算されるのに対して、Kはkon/koffの商から計算される。konは、例えば、抗体またはその抗原結合断片の抗原への会合速度定数を指し、koffは、例えば、抗体またはその抗原結合断片の抗原からの解離を指す。kon及びkoffは、BIAcore(登録商標)またはKinExAのような当業者に既知の技法によって決定することができる。
【0060】
本明細書で使用されるとき、「エピトープ」は、当該技術分野における用語であり、抗体またはその抗原結合断片が特異的に結合することができる抗原の局在領域を指す。エピトープは、例えば、ポリペプチドの隣接アミノ酸(線状または隣接エピトープ)であることができ、またはエピトープは、例えば、ポリペプチド(単数)またはポリペプチド(複数)の2以上の非隣接領域から集まることができる(立体構造的、非線状、不連続、または非隣接のエピトープ)。特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片が特異的に結合するエピトープは、例えば、NMR分光法、X線回折結晶学研究、ELISAアッセイ、質量分析(例、液体クロマトグラフィーエレクトロスプレー質量分析)と併せた水素/重水素交換、アレイ系のオリゴペプチド走査アッセイ、及び/または変異誘発マッピング(例:部位特異的変異誘発マッピング)によって決定することができる。X線結晶学については、結晶化は当該技術分野で既知の方法のいずれかを用いて達成されてもよい(例えば、Giege R et al.,(1994)Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.50(Pt4):339-350;McPherson,A.(1990),Eur.J.Biochem.189:1-23;Chayen,NE.(1997)Structure,5:1269-1274;McPherson,A.(1976)J.Biol.Chem.251:6300-6303)。抗体/その抗原結合断片:抗原の結晶は、周知のX線回折技術を用いて研究することができ、X-PLORのようなコンピューターソフトウェアを用いて改良することができる(Yale University,1992,distributed by Molecular Simulations,Inc.;see,e.g.,Meth.Enzymol(1985),volume 114&115,eds Wyckoff HW et al.,;U.S.2004/0014194),and BUSTER(Bricogne G,(1993),Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.49(Pt1):37-60;Bricogne G,(1997),Meth.Enzymol.276A:361-423,ed Carter
CW;Roversi,P.et al.,(2000),Acta.Crystallogr.D.Biol.Crystallogr.56,(Pt10):1316-1323)。変異誘発マッピング研究は、当業者に既知の任意の方法を用いて達成することができる。アラニン走査突然変異誘発技法を含む突然変異誘発技法の説明については、例えば、Champe,M.et al.,(1995),J.Biol.Chem.270:1388-1394及びCunningham,BC & Wells JA,(1989),Science,244:1081-1085)を参照のこと。
【0061】
参照B7-H4抗体と「同じエピトープに結合する」B7-H4抗体は、参照B7-H4抗体と同じB7-H4アミノ酸残基に結合する抗体を指す。参照B7-H4抗体と同じエピトープに結合するB7-H4抗体の能力は水素/重水素交換アッセイによって決定される(Coales et al.Rapid Commun.Mass Spectrom.2009;23:639-647)。
【0062】
抗体は、それが当該エピトープへの参照抗体の結合をある程度阻止するように、それが参照抗体の同じエピトープ、または重複エピトープに結合するならば、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を「競合して阻害する」といわれる。競合阻害は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイによって測定されてもよい。抗体は、所与のエピトープに対する参照抗体の結合を、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%競合して阻害するといわれてもよい。
【0063】
「単離された」ポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、天然には見られない形態のポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物である。単離されたポリペプチド、抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物には、もはやそれらが自然界で見られる形態ではない程度まで精製されたものが含まれる。いくつかの実施形態では、単離されている抗体、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または組成物は、実質的に純粋である。本明細書で使用される、「実質的に純粋」とは、少なくとも50%純粋(すなわち、汚染物質を含まない)、少なくとも90%純粋、少なくとも95%純粋、少なくとも98%純粋、または少なくとも98%である材料を指す。
【0064】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は、本明細書では、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために相互交換可能に使用される。該ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断され得る。これらの用語は、自然に、または介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、もしくは任意の他の操作または修飾、例えば、標識成分とのコンジュゲーションにより修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。その定義内に含まれるのはまた、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸等を含む)の1以上の類似体を含有するポリペプチド、と同様に当該技術分野で既知の他の修飾である。本発明のポリペプチドは抗体に基づいているので、特定の実施形態では、該ポリペプチドは一本鎖または結合鎖として存在し得ることが理解される。
【0065】
「同一性パーセント」とは、2つの配列(例えば、アミノ酸配列または核酸配列)間の同一性の程度を指す。同一性パーセントは、2つの配列を並べ、ギャップを導入して配列間の同一性を最大化することによって決定することができる。配列比較は当該技術分野で知られているプログラムを用いて生成することができる。本明細書の目的で、ヌクレオチド配列の配列比較は初期設定のパラメーターで設定されたblastnプログラムで実施することができ、アミノ酸配列の配列比較は初期設定のパラメーターで設定されたblastpプログラムで実施することができる(www.ncbi.nlm.nih.govでの全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)を参照)。
【0066】
本明細書中で使用されるとき、「宿主細胞」という用語は、任意の種類の細胞、例えば、初代細胞、培養中の細胞、または細胞株由来の細胞であることができる。具体的な実施形態では、「宿主細胞」という用語は、核酸分子で形質移入された細胞及びそのような細胞の子孫または潜在的な子孫を指す。そのような細胞の子孫は、例えば、次の世代または宿主細胞ゲノムへの核酸分子の組み込みにおいて起こり得る突然変異または環境の影響に起因して、核酸分子で形質移入された親細胞と同一ではなくてもよい。
【0067】
特定の腫瘍、組織、または細胞試料におけるB7-H4の「過剰発現」という用語は、同じ種類または起源の病気ではない組織もしくは細胞、または腫瘍もしくはがんの近傍での他の細胞に存在するレベルよりも高いレベルで存在するB7-H4(B7-H4ポリペプチドまたはそのようなポリペプチドをコードする核酸)を指す。そのような過剰発現は、例えば、突然変異、遺伝子の増幅、転写の増加または翻訳の増加によって引き起こされ得る。
【0068】
本明細書の用語「一次」抗体またはその抗原結合断片は、試料における標的抗原に特異的に結合する抗体または断片を指す。一次抗体は一般に、免疫組織化学(IHC)の手順で使用される最初の抗体である。一実施形態では、一次抗体はIHC手順で使用される唯一の抗体である。本明細書の用語「二次」抗体またはその抗原結合断片は、一次抗体に特異的に結合する抗体または断片を指し、それによって、存在する場合、一次抗体と後続の試薬との間で橋を形成する。二次抗体は一般に、免疫組織化学の手順で使用される第2の抗体である。本明細書における「三次抗体」という用語は、二次抗体に特異的に結合する抗体を指し、それによって、存在する場合、二次抗体と後続の試薬との間で架橋を形成する。
【0069】
本発明の「試料」は生物学的起源のものである。好ましい実施形態では、試料はヒト試料であるが、動物試料も本発明の実践に使用することができる。本発明で使用するための試料の非限定的な供給源には、例えば、固形組織、生検、腹水、吸引液、流体抽出物、血液(循環腫瘍細胞を含む)、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部切片、呼吸器、腸管、及び尿生殖路、涙液、唾液、乳、腫瘍、臓器、細胞培養物及び/または細胞培養成分が挙げられる。「がん性試料」は、がん性細胞を含有する試料である。
【0070】
本明細書の目的では、組織試料の「切片」は、組織試料の単一部分または単一片、例えば、組織試料から切り出された組織または細胞の薄片を指す。組織試料の複数の切片が採取され、本発明に従って分析に供されてもよいことが理解される。場合によっては、組織の選択された部分または切片は細胞の均一な集団を含む。他の場合には、選択された部分は、非限定的な例として組織の領域、例えば、管腔を含む。選択された部分は、細胞1つまたは細胞2つのように小さくすることができ、または、例えば、数千の細胞を表し得る。ほとんどの場合、細胞の回収が重要であり、本発明は細胞成分の検出での使用について記載されている一方で、その方法は生物の非細胞成分(例えば、非限定的な例としての血液中の可溶性成分)の検出にも使用されてもよい。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「標識」という単語は、「標識された抗体を生成するように抗体に直接的に、または間接的にコンジュゲートされる、検出可能な化合物または組成物を指す。標識は、それ自体が検出可能(例えば、放射性同位元素標識または蛍光標識)であることができ、または酵素標識の場合、検出可能である基質の化合物もしくは組成物の化学改変を触媒することができる。
【0072】
「医薬製剤」という用語は、有効成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、且つ製剤が投与される対象に許容できない程度に毒性であるさらなる成分を含有しない調製物を指す。製剤は無菌であることができる。
【0073】
本明細書で使用されるとき、「投与する」、「投与すること」、「投与」等のような用語は、生物作用の所望の部位への薬剤、例えば、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の送達を可能にするのに使用されてもよい方法を指す(例えば、静脈内投与)。本明細書に記載されている作用剤及び方法とともに採用することができる投与技法は、例えば、Goodman及びGilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,current edition,Pergamon;ならびにRemington’s,Pharmaceutical Sciences,current edition,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.にて見いだされる。
【0074】
本明細書で使用されるとき、「対象」及び「患者」という用語は相互交換可能に使用される。対象は動物であることができる。いくつかの実施形態では、対象は非ヒト動物(例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、マウス、サルまたは他の霊長類等)のような哺乳類である。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0075】
「治療上有効な量」という用語は、対象における疾患または障害を治療するのに有効な薬剤、例えば、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の量を指す。がんの場合、治療上有効な量の薬剤はがん細胞の数を減らすことができ;腫瘍のサイズまたは負担を軽減することができ;末梢臓器へのがん細胞の浸潤をある程度阻害することができ;ある程度、腫瘍転移を阻害することができ;ある程度、腫瘍の成長を阻害することができ;がんに関連する症状の1以上をある程度緩和することができ;及び/または無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、場合によっては安定した疾患(SD)、進行性疾患の減少(PD)、進行までの時間の短縮(TTP)、またはそれらの任意の組み合わせのような良好な反応をもたらすことができる。薬剤が既存のがん細胞の成長の防止及び/またはそれらの殺傷する範囲で、薬剤は細胞増殖抑制性及び/または細胞傷害性であることができる。
【0076】
「治療すること」、「治療」、「治療すること」、「緩和すること」、及び「緩和すること」のような用語は、病的状態または障害を治癒させ、その症状を減速し、軽減する及び/またはその進行を止める治療手段を指す。したがって、治療を必要とするものには、すでにその障害があると診断された、またはその疑いがあるものが含まれる。特定の実施形態では、患者が以下:がん細胞の数の減少または完全な非存在;腫瘍サイズの低下;例えば、軟組織及び骨へのがんの広がりを含む、末梢器官へのがん細胞浸潤の阻害または非存在;腫瘍転移の阻害または非存在;腫瘍増殖の阻害または非存在;特定のがんに関連する1以上の症状の緩和;罹患率と死亡率の低下;生活の質の改善;腫瘍の腫瘍形成性、腫瘍形成頻度、または腫瘍形成能の低下;腫瘍におけるがん幹細胞の数または頻度の低下;腫瘍原性細胞の非腫瘍原性状態への分化;増加した無増悪生存期間(PFS)、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定した疾患(SD)、進行性疾患(PD)の減少、進行時間の短縮(TTP)、またはその任意の組み合わせの1以上を示す場合、対象は、本発明の方法に従ってがんについて首尾よく「治療」されている。
【0077】
「がん」及び「がん性」という用語は、細胞の集団が制御されていない細胞増殖を特徴とする哺乳類における生理学的状態を指す、または記載する。がんの例には、婦人科癌(例えば、乳癌(トリプルネガティブ乳癌を含む)、乳管癌、卵巣癌、及び子宮内膜癌)、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)及び膀胱癌(例えば、尿路上皮細胞癌)が挙げられるが、これらに限定されない。がんは、「B7-H4を発現するがん」または「B7-H4を発現しているがん」であることができる。そのような用語は、B7-H4を発現している細胞を含むがんを指す。がんはB7-H4を発現する固形腫瘍であることができる。がんは原発腫瘍であってもよいし、または進行性がんまたは転移性がんであってもよい。
【0078】
「不応性」がんとは、化学療法剤のような抗腫瘍治療ががん患者に投与されているにもかかわらず進行するがんである。
【0079】
「再発性」がんとは、初期療法に応答した後に、初期の部位または遠位部位で再増殖しているがんである。
【0080】
本開示及びクレームで使用されるとき、単数形態「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0081】
実施形態が本明細書で「comprising(含む)」という言葉で説明される場合は常に、そうでなければ「consisting of(から成る)」及び/または「consisting essentially of(から本質的に成る)」という用語で説明される類似の実施形態も提供されることが理解される。本開示では、「comprises(含む)」、「comprising(含むこと)」、「containing(含有すること)」、及び「having(有すること)」等は、米国特許法においてそれらに帰せられる意味を有することができ、「includes(含む)」及び「including(含むこと)」等を意味することができ;「consisting essentially of(から本質的に成る)」または「consisting essentially(本質的に成る)」は同様に、米国特許法において帰せられる意味を有し、用語は制限がなく、引用されるものの基本的または新規の特徴が引用されるもの以上のものの存在によって変化しない限り、引用されるもの以上のものの存在を許容するが、先行技術の実施形態は除外する。
【0082】
具体的に述べられるか、文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される、用語「または」は、包括的であることが理解される。「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」のような表現で使用されるとき、「A及びB」、「AまたはB」、「A」及び「B」の双方を含むことが意図される。同様に、「及び/または」という用語は「A、B、及び/またはC」のような表現で使用されるとき、以下の各実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AとC;AとB;BとC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含することが意図される。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「約」及び「およそ」という用語は、数値または数値範囲を変更するために使用される場合、値または範囲の5%~10%を上回る及び5%~10%を下回る逸脱は引用された値または範囲の意図された意味の範囲内にとどまることを示す。
【0084】
本明細書で提供される任意の組成物または方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のいずれかの1以上と組み合わせることができる。
【0085】
抗体
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する抗体(例えば、モノクローナル抗体)及びその抗原結合断片である。ヒトB7-H4のアミノ酸配列は、当該技術分野で知られており、配列番号1によって表されるように本明細書でも提供されている。
ヒトB7-H4:
MASLGQILFWSIISIIIILAGAIALIIGFGISGRHSITVTTVASAGNIGEDGILSCTFEPDIKLSDIVIQWLKEGVLGLVHEFKEGKDELSEQDEMFRGRTAVFADQVIVGNASLRLKNVQLTDAGTYKCYIITSKGKGNANLEYKTGAFSMPEVNVDYNASSETLRCEAPRWFPQPTVVWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTESEIKRRSHLQLLNSKASLCVSSFFAISWALLPLSPYLMLK(配列番号1)
【0086】
特定の実施形態では、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片は、表1に開示された抗体である、または表1に開示されている抗体の相補性決定領域(CDR)、可変重鎖及び/または可変軽鎖、及び/または重鎖及び/または抗体の軽鎖を含む抗体またはその抗原結合断片である。
【表1】
【0087】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4に特異的に結合し、表2でリストにされている6つのCDR、すなわち配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配列番号26~28から成る群から選択される配列、及び配列番号29の6つのCDRを含む。
【表2】
【0088】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、例えば、VLとの組み合わせで表3でリストにされているVHを含む。
【表3】
【0089】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、例えば、VHとの組み合わせで表4でリストにされているVLを含む。
【表4】
【0090】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3でリストにされたVH及び表4でリストにされたVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3でリストにされた配列を含むまたはそれから成るVH、及び表4でリストにされものを含むまたはそれから成るVLを含む。
【0091】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも80%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも80%同一の配列を含むVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも85%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも85%同一の配列を含むVLを含む。
【0092】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも80%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも80%同一の配列から成るVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、ヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも85%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも85%同一の配列から成るVLを含む。
【0093】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも90%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも90%同一の配列を含むVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも95%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも95%同一の配列を含むVLを含む。
【0094】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも96%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも96%同一の配列を含むVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも97%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも97%同一の配列を含むVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも98%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも98%同一の配列を含むVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも99%同一の配列を含むVH及び表4のVL配列と少なくとも99%同一の配列を含むVLを含む。
【0095】
特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも96%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも96%同一の配列から成るVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも97%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも97%同一の配列から成るVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも98%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも98%同一の配列から成るVLを含む。特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表3のVH配列と少なくとも99%同一の配列から成るVH及び表4のVL配列と少なくとも99%同一の配列から成るVLを含む。
【0096】
特定の態様では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、そのVLドメインのみ、そのVHドメインのみによって、その3つのVL CDRのみ、またはその3つのVH CDRのみによって記載される。例えば、ヒト軽鎖または重鎖のライブラリーからそれぞれ相補性の軽鎖または重鎖を同定し、元の抗体の親和性と同じかそれより高い親和性を有するヒト化抗体変異型を生じることによってマウス抗αvβ3抗体のヒト化を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Rader,C.et al.,(1998),PNAS,95:8910-8915を参照のこと。特定のVLドメイン(またはVHドメイン)を使用し,相補性のVHドメイン(またはVLドメイン)についてライブラリーをスクリーニングすることによって特定の抗原を特異的に結合する抗体を作製する方法を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Clackson T.,(1991),Nature,352:624-628も参照のこと。このスクリーニングは、ELISAで判定したところ、特定のVHドメインについて14の新しいパートナーと特定のVLドメインについて13の新しいパートナーを作り出し、それらは強力なバインダーだった。特定のVHドメインを使用し、相補性VLドメインについてライブラリー(例えば、ヒトVLライブラリー)をスクリーニングすることによって特定の抗原を特異的に結合する抗体を作製する方法を説明している、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、Kim,SJ及びHong,HJ,(2007),J.Microbiol.45:572-577も参照のこと;選択されたVLドメインを次に用いて追加の相補性(例えば、ヒト)VHドメインの選択を導き得る。
【0097】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、免疫グロブリンの構造ループの位置を指すChothia番号付けスキームに従って決定することができる(例えば、Chothia,C及びLesk,AM,(1987),J.Mol.Biol.196:901-917;Al-Lazikani,B.et al.,(1997),J.Mol.Biol.273:927-948;Chothia,C.et al.,(1992),J.Mol.Biol.227:799-817;Tramontano,A.et al.,(1990),J.Mol.Biol.215(1):175-82;ならびに米国特許第7,709,226号を参照のこと)。通常、Kabat番号付け規則を使用する場合、ChothiaのCDR-H1ループは重鎖アミノ酸26~32、33、または34に存在し、ChothiaのCDR-H2ループは重鎖アミノ酸52~56に存在し、ChothiaのCDR-H3ループは重鎖アミノ酸95~102に存在する一方で、ChothiaのCDR-L1ループは軽鎖アミノ酸24~34に存在し、ChothiaのCDR-L2ループは軽鎖アミノ酸50~56に存在し、ChothiaのCDR-L3ループは軽鎖アミノ酸89~97に存在する。Kabat番号付け規則を用いて番号付けした場合、ChothiaのCDR-H1ループの末端は、ループの長さに応じてH32とH34の間で異なる(これは、Kabat番号付けスキームがH35AとH35Bに挿入を置くためであり、35Aも35Bも存在しない場合、このループは32で終わり、35Aのみが存在する場合、このループは33で終わり、35A及び35Bの双方が存在する場合、このループは34で終わる)。
【0098】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、且つ抗体のChothiaのVH及びVLのCDRを含む抗体及びその抗原結合断片である。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、且つChothia及びKabatのCDRが同じアミノ酸配列を有する1以上のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、KabatのCDR及びChothiaのCDRの組み合わせを含む抗体及びその抗原結合断片である。
【0099】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、Lefranc,M-P,(1999),The Immunologist,7:132-136及びLefranc,M-P,et al.,(1999),Nucleic Acids Res.27:209-212に記載されているようなIMGT番号付け方式に従って決定することができる。IMGT番号付けスキームによれば、VH-CDR1は、26~35位であり、VH-CDR2は51~57位であり、VH-CDR3は93~102位であり、VL-CDR1は27~32位であり、VL-CDR2は50~52位であり、VL-CDR3は89~97位である。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、表3及び4でリストにされた、例えば、Lefranc,MP(1999),上記及びLefranc,MP.et al.,(1999)上記に記載されているような抗体のIMGTのVH及びVLのCDRを含む抗体及びその抗原結合断片である。
【0100】
特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、MacCallum,RM.et al.,(1996),J.Mol.Biol.262:732-745に従って決定することができる。例えば、Martin,A.”Protein Sequence and Structure Analysis of Antibody Variable Domains,”in Antibody Engineering,Kontermann及びDubel,eds.,Chapter 31,pp.422-439,Springer-Verlag,Berlin(2001)も参照のこと。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、MacCallum,RM.et al.,の方法によって判定される抗体またはその抗原結合断片である。
【0101】
ある特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片のCDRは、AbMナンバリングスキームに従って決定することができ、それは、KabatのCDRとChothiaの構造的ループとの折衷物を表すAbMの超可変領域を参照し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(Oxford Molecular Group,Inc.)によって使用されている。特定の実施形態では、本明細書に提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合し、AbM番号付けスキームによって決定される抗体またはその抗原結合断片である。
【0102】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、例えば、軽鎖との組み合わせで表5にてリストにされている重鎖を含む。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0103】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、例えば、重鎖との組み合わせで、表6にてリストにされている軽鎖を含む。
【表6-1】
【表6-2】
【0104】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はヒトB7-H4に特異的に結合し、表5でリストにされている重鎖及び表6でリストにされている軽鎖を含む。
【0105】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは重鎖及び軽鎖を含む抗体である。重鎖に関して、特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体の重鎖は、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)またはミュー(μ)の重鎖であることができる。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体は、VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含む、且つ、重鎖の定常領域がマウスIgG2aの重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む、重鎖を含む。
【0106】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、その際、重鎖の定常領域は配列番号87のアミノ酸配列を含む。
AKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLESDLYTLSSSVTVPSSPRPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKIKDVLMISLSPIVTCVVVDVSEDDPDVQISWFVNNVEVHTAQTQTHREDYNSTLRVVSALPIQHQDWMSGKEFKCKVNNKDLPAPIERTISKPKGSVRAPQVYVLPPPEEEMTKKQVTLTCMVTDFMPEDIYVEWTNNGKTELNYKNTEPVLDSDGSYFMYSKLRVEKKNWVERNSYSCSVVHEGLHNHHTTKSFSRTPGK(配列番号87)
【0107】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、その際、重鎖の定常領域は、マウスIgG1の重鎖定常領域のアミノ酸配列を含む。
【0108】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含む重鎖を含み、その際、重鎖の定常領域は、配列番号92のアミノ酸配列を含む。
AKTTPPSVYPLAPGSAAQTNSMVTLGCLVKGYFPEPVTVTWNSGSLSSGVHTFPAVLESDLYTLSSSVTVPSSPRPSETVTCNVAHPASSTKVDKKIVPRDCGCKPCICTVPEVSSVFIFPPKPKDVLTITLTPKVTCVVVDISKDDPEVQFSWFVDDVEVHTAQTQPREEQFNSTFRSVSELPIMHQDWLNGKEFKCRVNSAAFPAPIEKTISKTKGRPKAPQVYTIPPPKEQMAKDKVSLTCMITDFFPEDITVEWQWNGQPAENYKNTQPIMNTNGSYFVYSKLNVQKSNWEAGNTFTCSVLHEGLHNHHTEKSLSHSPGK(配列番号92)
【0109】
軽鎖に関して、具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体の軽鎖はカッパ軽鎖またはラムダ軽鎖である。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、VLドメインのアミノ酸配列が表4で示されるアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、その際、重鎖の定常領域は、配列番号88のアミノ酸配列を含む。
RADAAPTVSIFPPSSEQLTSGGASVVCFLNNFYPKDINVKWKIDGSERQNGVLNSWTDQDSKDSTYSMSSTLTLTKDEYERHNSYTCEATHKTSTSPIVKSFNRNEC(配列番号88)
【0110】
別の具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、(i)VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含み、且つ重鎖の定常領域が配列番号87のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)VLドメインのアミノ酸配列が表4で示されるアミノ酸配列を含み、且つ重鎖の定常領域が配列番号88のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0111】
別の具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、(i)VHドメインのアミノ酸配列が表3で示されるアミノ酸配列を含み、且つ重鎖の定常領域が配列番号92のアミノ酸配列を含む重鎖と、(ii)VLドメインのアミノ酸配列が表4で示されるアミノ酸配列を含み、且つ重鎖の定常領域が配列番号88のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0112】
具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、本明細書に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメイン及びVLドメインを含み、且つ、定常領域はIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、もしくはIgYの免疫グロブリン分子またはマウスのIgG、IgE、IgM、IgD、もしくはIgAの免疫グロブリン分子の定常領域のアミノ酸配列を含む。別の具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、本明細書に記載されているアミノ酸配列を含むVHドメイン及びVLドメインを含み、且つ定常領域は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、またはIgY免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、ヒトIgG、IgG,IgG、IgG、IgA及びIgA)または任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)の定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、定常領域は、マウスのIgG、IgE、IgM、IgD、またはIgAの免疫グロブリン分子、免疫グロブリン分子の任意のクラス(例えば、IgG、IgG、及びIgG)、または任意のサブクラス(例えば、IgG2a及びIgG2b)の定常領域のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、本明細書に記載されている任意のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びVLドメインとマウス定常ドメインとを含む。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体は、本明細書に記載されている任意のアミノ酸配列を含むVHドメイン及びVLドメインとウサギ定常ドメインとを含む。
【0113】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号6及び9のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、配列番号6及び9のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む、抗体またはその抗原結合断片の操作された変異型における抗体またはその抗原結合断片、その際、操作は、例えば、1以上のCDR(例えば、VL-CDR2)における1以上のグリコシル化部位を取り除く。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号6及び10のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号6及び11のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号6のVH及び配列番号9、10または11のVLを含む抗体またはその抗原結合断片)はさらに、マウスIgG重鎖の定常ドメイン(例えば、J511)を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号6のVH及び配列番号9、10または11のVLを含む抗体またはその抗原結合断片)は、マウスIgG2a重鎖の定常ドメイン(例えば、J512)をさらに含む。
【0114】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号7及び9アミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、配列番号7及び9のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む、抗体またはその抗原結合断片の操作された変異型における抗体またはその抗原結合断片、その際、操作は、例えば、1以上のCDR(例えば、VL-CDR2)における1以上のグリコシル化部位を取り除く。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号7及び10のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号7及び11のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号7のVH及び配列番号9、10または11mのVLを含む抗体またはその抗原結合断片)はさらに、マウスIgG重鎖の定常ドメイン(例えば、J513)を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号7のVH及び配列番号9、10または11のVLを含む抗体またはその抗原結合断片)はさらに、マウスIgG2a 重鎖の定常ドメイン(例えば、J514)を含む。
【0115】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号8及び9のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、配列番号8及び9のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む抗体またはその抗原結合断片の操作された変異型における抗体またはその抗原結合断片、その際、操作は、例えば、1以上のCDR(例えば、VL-CDR2)における1以上のグリコシル化部位を取り除く。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号8及び10のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、それぞれ配列番号8及び11のアミノ酸配列のVH配列及びVL配列を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号8のVH及び配列番号9、10または11のVLを含む抗体またはその抗原結合断片)はさらに、マウスIgG重鎖の定常ドメイン(例えば、J515)を含む。具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号8のVH及び配列番号9、10または11のVLを含む抗体またはその抗原結合断片)はさらに、マウスIgG2a重鎖の定常ドメイン(例えば、J516)を含む。
【0116】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)M6のCDR配列(例えば、配列番号22~26及び29のアミノ酸配列)、(ii)M6またはその脱N-グリコシル化変異型のVH及びVL配列(例えば、配列番号6のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含むVL)、(iii)マウスIgG2a M6またはその脱N-グリコシル化変異型の重鎖及び軽鎖の配列(例えば、配列番号16のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19、30または31のアミノ酸配列を含む軽鎖)または(iv)マウスIgG1 M6の重鎖及び軽鎖の配列(例えば、配列番号89のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖)を含む。
【0117】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)M11のCDR配列(例えば、配列番号22~25、27及び29のアミノ酸配列)、(ii)M11またはその脱N-グリコシル化変異型のVH及びVLの配列(例えば、配列番号7のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含むVL)、(iii)マウスIgG2a M11またはその脱N-グリコシル化変異型の重鎖及び軽鎖の配列(例えば、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19、30または31のアミノ酸配列を含む軽鎖)、または(iv)マウスIgG1 M11の重鎖及び軽鎖の配列(例えば、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖)を含む。
【0118】
具体的な実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)M15のCDR配列(例えば、配列番号22~25、28及び29のアミノ酸配列、(ii)M15またはその脱N-グリコシル化変異型のVH及びVLの配列(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含むVH及び配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含むVL)、(iii)マウスIgG2a M15またはその脱N-グリコシル化変異型の重鎖及び軽鎖の配列(例えば、配列番号18のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19、30または31のアミノ酸配列を含む軽鎖)、または(iv)マウスIgG1 M15の重鎖及び軽鎖配の配列(例えば、配列番号91のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号19のアミノ酸配列を含む軽鎖)を含む。
【0119】
別の特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、(i)重鎖が表1でリストにされている抗体のVH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3のアミノ酸配列(例えば、配列番号22~24)を含むVHドメインを含み;(ii)軽鎖が表1でリストにされている同じ抗体のVL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3のアミノ酸配列(例えば、配列番号25、26及び29、25、27及び29または25、28及び29)を含むVLドメインを含み;(iii)重鎖がさらに、マウスIgG1の定常ドメイン(例えば、配列番号92のアミノ酸配列を含む)またはマウスIgG2aの定常ドメイン(例えば、配列番号87のアミノ酸配列を含む)を含み;且つ(iv)軽鎖がさらに、マウスカッパの定常ドメイン(例えば、配列番号88のアミノ酸配列を含む)を含む、重鎖及び軽鎖を含む。
【0120】
別の特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、(i)重鎖が表1でリストにされている抗体のアミノ酸配列(例えば、配列番号6~8)を含むVHドメインを含み;(ii)軽鎖が表1でリストにされている同じ抗体のアミノ酸配列(例えば、配列番号9~11)を含むVLドメインを含み;(iii)重鎖がさらに、マウスIgG1の定常ドメイン(例えば、配列番号92のアミノ酸配列を含む)またはマウスIgG2aの定常ドメイン(例えば、配列番号87のアミノ酸配列を含む)を含み;且つ(iv)軽鎖がさらに、マウスカッパの定常ドメイン(例えば、配列番号88のアミノ酸配列を含む)を含む、重鎖及び軽鎖を含む。
【0121】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、表7に示されている抗体について本明細書に記載されているアミノ酸配列(例えば、配列番号38~49)を有する1、2、またはそれ以上のVHフレームワーク領域(FR)を含む。いくつかの実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片は、表7に示される抗体について本明細書に記載されているアミノ酸配列(例えば、配列番号50~53)を有する1、2、またはそれ以上のVLフレームワーク領域(FR)を含む。具体的な実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、上記の表7に示される抗体について本明細書に記載されているアミノ酸配列を有する1、2、またはそれ以上のVHフレームワーク領域、及び表7に示される同じ抗体について本明細書に記載されているアミノ酸配列を有する1、2、またはそれ以上のVLフレームワーク領域(例えば、配列番号38~41及び50~53;配列番号42~45及び50~53;または配列番号:46~49及び50~53)を含む。
【表7】
【0122】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、表7にて本明細書に記載されているVHフレームワーク領域(FR)に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHフレームワーク領域を含む。特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、表7にて本明細書に記載されているVLフレームワーク領域(FR)に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVLフレームワーク領域を含む。いくつかの実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、上記表7にて本明細書に記載されているVHフレームワーク領域(FR)に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVHフレームワーク領域と、表7にて本明細書に記載されているVLフレームワーク領域に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の配列同一性を有するVLフレームワーク領域とを含む。
【0123】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、J511~J522)と同じ、B7-H4のエピトープ(例えば、ヒトB7-H4のエピトープ)を結合する抗体またはその抗原結合断片である。
【0124】
競合結合アッセイを用いて、2つの抗体が重複するエピトープに結合するかどうかを判定することができる。競合結合は、試験中の免疫グロブリンがB7-H4のような共通する抗原に対する参照抗体の特異的結合を阻害するアッセイで判定することができる。多数の種類の競合結合アッセイ、例えば、固相での直接または間接放射性免疫アッセイ(RIA)、固相での直接または間接の酵素免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(Stahli C.et al.,(1983),Methods Enzymol,9:242-253を参照のこと);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Kirkland TN.et al.,(1986),J.Immunol.137:3614-9を参照のこと);固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(Harlow E及びLane D,(1988),Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照のこと);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(Morel GA.et al.,(1988),Mol.Immunol.25(1):7-15);固相直接ビオチン-アビジンEIA(Cheung RC.et al.,(1990),Virology,176:546-52)及び直接標識RIA(Moldenhauer G.et al.,1990),Scand.J.Immunol.32:77-82)が知られている。通常、そのようなアッセイは、固体表面に結合した精製抗原(例えば、ヒトB7-H4のようなB7-H4)またはこれらのいずれかを有する細胞、非標識試験免疫グロブリン及び標識参照免疫グロブリンの使用を含む。競合阻害は、試験免疫グロブリンの存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を決定することによって測定することができる。通常、試験免疫グロブリンは過剰に存在する。通常、競合する抗体が過剰に存在する場合、それは参照抗体の共通抗原への特異的結合を少なくとも50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%以上阻害するであろう。競合結合アッセイは、標識抗原または標識抗体のいずれかを用いて、多数の異なる形式で構成することができる。このアッセイの一般的な型では、抗原は96ウェルプレートに不動化される。次いで、標識された抗体の抗原への結合を阻止する非標識抗体の能力が、放射性標識または酵素標識を用いて測定される。詳細については、例えば、Wagener C.et al.,(1983),J.Immunol.130:2308-2315;Wagener C.et al.,(1984),J.Immunol.Methods,68:269-274;Kuroki M.et al.,(1990),Cancer Res.50:4872-4879;Kuroki M.et al.,(1992),Immunol.Invest.21:523-538;Kuroki M.et al.,(1992),Hybridoma,11:391-407 and Antibodies:A Laboratory Manual,Ed,Harlow E & Lane
D editors supra,pp.386-389Wagener C.et al.,(1983),J.Immunol.130:2308-2315;Wagener C.et al.,(1984),J.Immunol.Methods,68:269-274;Kuroki M.et al.,(1990),Cancer Res.50:4872-4879;Kuroki M.et al.,(1992),Immunol.Invest.21:523-538;Kuroki M.et al.,(1992),Hybridoma,11:391-407 and Antibodies:A Laboratory Manual,Ed,Harlow E & Lane D editors supra,pp.386-389を参照のこと。
【0125】
一実施形態では、競合アッセイは、例えば、Abdiche YN.et al.,(2009),Analytical Biochem.386:172-180によって記載されているもののような「タンデムアプローチ」によって、表面プラズモン共鳴(BIAcore(登録商標))を用いて実施され、これによって、B7-H4抗原がチップ表面、例えば、CM5センサーチップに不動化され、と抗B7-H4抗体がチップ上に流される。抗体またはその抗原結合断片が本明細書に記載されている抗B7-H4抗体と競合するかどうかを判定するには、まず抗B7-H4抗体をチップ表面に流して飽和を達成し、次に競合する可能性のある抗体を加える。次いで、競合する抗体またはその抗原結合断片の結合を判定することができ、非競合対照と比較して定量することができる。
【0126】
一実施形態では、Fortebio Octet 競合結合を用いて、B7-H4抗体またはその抗原結合断片が別のB7-H4抗体またはその抗原結合断片のB7-H4への結合を競合して阻害することを判定する。
【0127】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、当業者に既知のアッセイまたは本明細書に記載されているアッセイ(例えば、ELISA競合アッセイ、またはサスペンションアレイまたは表面プラズモン共鳴アッセイ)を用いて判定されるように、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、J511-J522)がB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に結合するのを競合して(例えば、用量依存性に)阻害する抗体である。
【0128】
具体的な態様では、本明細書に提供されるのは、配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体の、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合的して(例えば、用量依存性に)阻害する抗体または抗原結合断片である。
【0129】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合して(例えば、依存的用量)阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0130】
具体的な態様では、本明細書に提供されるのは、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合的して(例えば、用量依存性に)阻害する抗体または抗原結合断片である。
【0131】
具体的な態様では、本明細書に提供されるのは、配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号10で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合的して(例えば、用量依存性に)阻害する抗体または抗原結合断片である。
【0132】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号10で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合して(例えば、依存的用量)阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0133】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号10で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合して(例えば、依存的用量)阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0134】
具体的な態様では、本明細書に提供されるのは、配列番号6で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合的して(例えば、用量依存性に)阻害する抗体または抗原結合断片である。
【0135】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号7で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合して(例えば、依存的用量)阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0136】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号11で示されるアミノ酸配列を有するVLドメインを含む抗体のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への結合を競合して(例えば、依存的用量)阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0137】
具体的な態様では、本明細書で提供されるのは、J511~J522のいずれかのそれと同じB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)エピトープに免疫特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片である。
【0138】
具体的な態様では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されている抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)及びscFvから成る群から選択され、その際、Fab、Fab’、F(ab’)、またはscFvは、本明細書に記載されているような抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を含む。Fab、Fab’、F(ab’)、またはscFvは、以下のセクション5.3で論じられるものを含むが、これらに限定されない、当業者に既知の任意の技術によって生成することができる。
【0139】
抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片は、検出可能な標識または物質に融合するまたはコンジュゲートする(例えば、共有結合または非共有結合する)ことができる。検出可能な標識または物質の例には、例えば、グルコースオキシダーゼのような酵素標識;例えばヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc)のような放射性同位元素;ルミノールのような発光標識;フルオレセインやローダミンのような蛍光標識、ならびにビオチンが挙げられる。そのような標識された抗体またはその抗原結合断片を用いて、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)タンパク質を検出することができる。例えば、以下のセクション5.4.1を参照のこと。
【0140】
抗体産生
B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体及びその抗原結合断片は、抗体及びその抗原結合断片の合成について当該技術分野で既知の任意の方法によって、例えば、化学合成によってまたは組換え発現技術によって作り出すことができる。本明細書に記載されている方法は、特に指示されない限り、分子生物学、微生物学、遺伝子分析、組換えDNA、有機化学、生化学、PCR、オリゴヌクレオチドの合成及び修飾、核酸のハイブリッド形成、及び当該技術の範囲内の関連分野における従来の技法を採用する。これらの技法は、例えば、本明細書に引用される参考文献に記載されており、文献で完全に説明されている。例えば、Sambrook,J.et al.,(2001),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY;Ausubel,FM.et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates);Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons(1987 and annual updates)Gait(ed.)(1984),Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,IRL Press;Eckstein(ed.)(1991),Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach,IRL Press;Birren,B.et al.,(eds.)(1999),Genome Analysis:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory
Pressを参照のこと。
【0141】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている細胞または宿主細胞を培養することを含む、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体または抗原結合断片を作製する方法である。特定の態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている細胞または宿主細胞(例えば、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含む細胞または宿主細胞)を用いて抗体または抗原結合断片を発現(例えば、組換え発現)させることを含む、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を作製する方法である。特定の実施形態では、細胞は単離された細胞である。特定の実施形態では、外来性ポリヌクレオチドが細胞に導入されている。特定の実施形態では、方法はさらに、細胞または宿主細胞から得られた抗体または抗原結合断片を精製する工程を含む。
【0142】
ポリクローナル抗体の製造方法は当該技術分野で既知である(例えば、Chapter
11 in:Short Protocols in Molecular Biology,(2002),5th Ed.,Ausubel FM.et al.,eds.,John Wiley and Sons,New Yorkを参照のこと)。
【0143】
モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマ法、組換え法、及びファージディスプレイ法、酵母ベースの提示技術、またはそれらの組み合わせを含む、当該技術分野で既知の多種多様な技法を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、当該分野で既知であり、例えば、Harlow E及びLane D, Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd
ed.1988);Hammerling GJ.et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas,563,681(Elsevier,N.Y.,1981)にて教示された、またはKohler G及びMilstein C,(1975),Nature,256:495に記載されたようなものを含むハイブリドーマ法を用いて産生させることができる。本明細書に記載されている抗体を選択し、生成するために採用することができる酵母ベースの提示方法の例には、例えば、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み込まれるWO2009/036379A2;WO2010/105256;及びWO2012/009568にて開示されたものが挙げられる。
【0144】
具体的な実施形態では、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、上記で言及されたようなKohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製されてもよい。ハイブリドーマ法において、マウス、または別の適切な宿主動物が、上述のように免疫化されて、免疫に使用されるタンパク質、例えば、B7-H4細胞外ドメイン(ECD)タンパク質(配列番号20)に特異的に結合するであろう抗体を産生する、または産生することができるリンパ球を導き出す。次いで、ポリエチレングリコールのような好適な融合剤を用いてリンパ球を骨髄腫細胞と融合し、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
【0145】
具体的な実施形態では、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、クローン細胞(例えば、組換え抗体または抗原結合断片を産生するハイブリドーマまたは宿主細胞)によって産生される抗体または抗原結合断片であり、その際、抗体または抗原結合断片は、例えば、ELISAもしくは当該技術分野で既知の他の抗原結合アッセイによって、または本明細書で提供されている実施例において判定されるように、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する。特定の実施形態では、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片はげっ歯類またはマウスの抗体またはその抗原結合性断片であることができる。特定の実施形態では、モノクローナル抗体またはその抗原結合性断片はキメラ抗体またはヒト化抗体またはその抗原結合性断片であることができる。特定の実施形態では、モノクローナル抗体またはその抗原結合抗体断片は、Fab断片または(Fab’)断片であることができる。本明細書に記載されているモノクローナル抗体またはその抗原結合断片は、例えば、Kohler,G.及びMilstein,C.(1975),Nature,256:495に記載されているようなハイブリドーマ法によって作製することができ、または 例えば、本明細書に記載されているような技術を用いてファージライブラリーから単離することができる。クローン細胞株ならびにそれによって発現されるモノクローナル抗体及びその抗原結合断片を調製するための他の方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Chapter 11 in:Short Protocols in Molecular Biology,(2002),5th Ed.,Ausubel,FM.et al.,supraを参照のこと)。
【0146】
本明細書に記載されている抗体の抗原結合断片は、当業者に既知の任意の技術によって生成することができる。例えば、本明細書に記載されているFab及びF(ab’)の断片は、パパイン(Fab断片を生成するため)またはペプシン(F(ab’)断片を生成するため)のような酵素を用いた免疫グロブリン分子のタンパク質分解切断によって生成することができる。Fab断片は、四量体抗体分子の2つの同一アームの1つに対応し、重鎖のVHドメイン及びCH1ドメインと対になっている完全な軽鎖を含有する。F(ab’)断片は、ヒンジ領域にてジスルフィド結合によって連結された四量体抗体分子の2つの抗原結合アームを含有する。
【0147】
さらに、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、当該技術分野で既知の種々のファージディスプレイ法及び/または酵母ベースの提示法を用いて生成することもできる。ファージディスプレイ法では、タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を運ぶファージ粒子の表面にタンパク質が提示される。特に、VH及びVLのドメインをコードするDNA配列は、動物のcDNAライブラリー(例えば、冒された組織のヒトまたはマウスのcDNAライブラリー)から増幅される。VH及びVLのドメインをコードするDNAはscFvリンカーと一緒にPCRによって組み換えられ、ファージミドベクターにクローニングされる。ベクターはE.coliでエレクトロポレーションされ、E.coliはヘルパーファージに感染させられる。これらの方法で使用されるファージは通常、fd及びM13を含む糸状ファージであり、VH及びVLのドメインは通常、ファージ遺伝子IIIまたは遺伝子VIIIのいずれかに組換えにより融合される。特定の抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を発現するファージは、例えば、標識した抗原、または固体表面もしくはビーズに結合されたまたは捕捉された抗原を用いて、抗原で選択するまたは特定することができる。本明細書に記載されている抗体または断片を作製するために使用することができるファージディスプレイ法の例には、Brinkman U.et al.,(1995),J.Immunol.Methods,182:41-50;Ames RS,et al.,(1995),J.Immunol.Methods,184:177-186;Kettleborough CA.et al.,(1994),Eur.J.Immunol.24:952-958;Persic L.et al.,(1997),Gene,187:9-18;Burton DR.& Barbas CF.(1994),Advan.Immunol.57:191-280;PCT出願番号PCT/GB91/001134;国際公開番号WO90/02809,WO91/10737,WO92/01047,WO92/18619,WO93/11236,WO95/15982,WO95/20401,及びWO97/13844;ならびに米国特許第5,698,426号,同第5,223,409号,同第5,403,484号,同第5,580,717号,同第5,427,908号,同第5,750,753号,同第5,821,047号,同第5,571,698号,同第5,427,908号,同第5,516,637号,同第5,780,225号,同第5,658,727号,同第5,733,743号,及び同第5,969,108にて開示されたものが挙げられる。
【0148】
抗体またはその抗原結合断片は、IgM、IgG、IgD、IgA及びIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリン、及びIgG、IgG、IgG及びIgGを含むアイソタイプから選択することができる。
【0149】
ポリヌクレオチド
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)抗原に免疫特異的に結合する本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、可変軽鎖領域及び/または可変重鎖領域)をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、及びベクター、例えば、宿主細胞(例えば、E.coli及び哺乳類細胞)における組換え発現のためのそのようなポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0150】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、B7-H4ポリペプチド(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合し、且つ本明細書に記載されているようなアミノ酸配列を含む抗体またはその抗原結合断片、ならびにB7-H4ポリペプチドへの結合についてそのような抗体もしくは抗原結合断片と(例えば、用量依存性な様式で)競合する、またはそのような抗体もしくは抗原結合断片と同じエピトープに結合する抗体もしくは抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。
【0151】
本明細書で提供されるのはまた、配列番号6~8から成る群から選択される配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。
【0152】
本明細書で提供されるのはまた、配列番号9~11から成る群から選択される配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。
【0153】
本明細書に提供されるのはまた、配列番号22~24から成る群から選択される配列を含むポリペプチド、または配列番号22~24のすべてのアミノ酸を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。本明細書で提供されるのはまた、配列番号25~29から成る群から選択される配列を含むポリペプチド、または配列番号25、26、及び29のすべて、配列番号25、27、及び29のすべて、または配列番号25、28、及び29のすべてを含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。
【0154】
本明細書で提供されるのはまた、配列番号16~18、89、90及び91から成る群から選択される配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。
【0155】
本明細書で提供されるのはまた、配列番号19、30及び31から成る群から選択される配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、そのポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に免疫特異的に結合する。
【0156】
本明細書で提供されるのはまた、表8に示す重鎖及び/または軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであり、その際、コードされた重鎖または軽鎖を含む抗体またはその抗原結合断片はB7-H4に特異的に結合する。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表8-4】
【表8-5】
【表8-6】
【表8-7】
【表8-8】
【表8-9】
【0157】
本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号12の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号13の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は、配列番号14の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号93の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号94の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号95の3つのCDRをコードする配列を含む。
【0158】
本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号15の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号96の3つのCDRをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号97の3つのCDRをコードする配列を含む。
【0159】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号12または93の3つのCDRをコードする配列を含む重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと、(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96または97の3つのCDRをコードする配列を含む軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0160】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号13または94の3つのCDRをコードする配列を含む、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと、(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96または97の3つのCDRをコードする配列を含む、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0161】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号14または95の3つのCDRをコードする配列を含む、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと、(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96または97の3つのCDRをコードする配列を含む、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0162】
本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号12の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号13の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号14の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号93の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号94の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、重鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号95の可変ドメインをコードする配列を含む。
【0163】
本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号15の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号96の可変ドメインをコードする配列を含む。本明細書で提供されるのはまた、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドであり、その際、軽鎖可変ドメインをコードする核酸は配列番号97の可変ドメインをコードする配列を含む。
【0164】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号12または93の可変ドメインをコードする配列を含む、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと、(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96または97の可変ドメインをコードする配列を含む、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0165】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号13または94の可変ドメインをコードする配列を含む、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96、または97の可変ドメインをコードする配列を含む、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0166】
本明細書で提供されるのはまた、(i)重鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号14または95の可変ドメインをコードする配列を含む、重鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドと、(ii)軽鎖可変ドメインをコードする核酸が配列番号15、96または97の可変ドメインをコードする配列を含む、軽鎖可変ドメインをコードする核酸を含むポリヌクレオチドとを含む組成物である。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じポリヌクレオチドにあってもよいし、または異なるポリヌクレオチドにあってもよい。重鎖可変ドメインをコードする核酸及び軽鎖可変ドメインをコードする核酸は、同じベクター内にあってもよいし、または異なるベクター内にあってもよい。
【0167】
本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。
【0168】
本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約80%、85%または90%同一であるポリヌクレオチドである。
【0169】
本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約95%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約96%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約97%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約98%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。本明細書で提供されるのはまた、それぞれ配列番号6、7、8、9、10、11、22、23、24、25、26、27、28、または29をコードするヌクレオチド配列と少なくとも約99%同一であるヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。
【0170】
特定の実施形態では、本明細書で提供されているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組み合わせは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の組み合わせを含み、その際、抗体またはその抗原結合断片は重鎖を含み、重鎖は表3に示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号6~8)を含む重鎖可変ドメインと、マウスガンマ(γ)重鎖定常領域(例えば、IgG1またはIgG2a)のアミノ酸配列を含む定常領域とを含む。
【0171】
特定の実施形態では、本明細書で提供されているポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの組み合わせは、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に免疫特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片をコードするヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の組み合わせを含み、その際、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖を含み、軽鎖は表4に示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号9~11)を含む軽鎖可変ドメインと、マウスカッパ軽鎖定常領域のアミノ酸配列を含む定常領域とを含む。
【0172】
具体的な実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書で指定されている、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片またはそのドメインをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。例えば、表1を参照のこと。
【0173】
本明細書で提供されるのはまた、例えば、コドン/RNAの最適化、異種シグナル配列による置換、mRNA不安定要素の排除によって最適化されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片またはそのドメインをコードするポリヌクレオチドである。コドンの変化(例えば、遺伝子コードの縮重に起因した同じアミノ酸をコードするコドンの変化)を導入することによって及び/またはmRNAにおける阻害性領域を排除することによって抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、重鎖、軽鎖、VHドメイン、またはVLドメイン)をコードする、組換え発現のために最適化された核酸を生成する方法は、例えば、適切に米国特許第5,965,726号;同第6,174,666号;同第6,291,664号;同第6,414,132号;及び同第6,794,498号に記載されている最適化方法を適合させることによって実施することができる。
【0174】
本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片またはそのドメインをコードするポリヌクレオチドは、当該技術分野で周知の方法(例えば、PCR及び他の分子クローニング法)を用いて好適な供給源(例えば、ハイブリドーマ)に由来する核酸から生成することができる。例えば、既知の配列の3’末端及び5’末端とハイブリッド形成可能な合成プライマーを使用するPCR増幅は、対象とする抗体を産生するハイブリドーマ細胞から得られたゲノムDNAを用いて実施することができる。そのようなPCR増幅法を使用して、抗体またはその抗原結合断片の軽鎖及び/または重鎖をコードする配列を含む核酸を得ることができる。そのようなPCR増幅法を使用して、抗体またはその抗原結合断片の可変軽鎖領域及び/または可変重鎖領域をコードする配列を含む核酸を得ることができる。増幅された核酸は、宿主細胞での発現及びさらなるクローニングのためにベクターにクローニングされて、例えば、キメラ抗体及びヒト化抗体またはその抗原結合断片を生成することができる。
【0175】
本明細書で提供されているポリヌクレオチドは、例えば、RNAの形態またはDNAの形態であることができる。DNAにはcDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAが含まれ、DNAは二本鎖または一本鎖であることができる。一本鎖の場合、DNAはコード鎖または非コード(アンチセンス)鎖であることができる。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは1以上の内在性イントロンを欠くcDNAまたはDNAである。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは天然に存在しないポリヌクレオチドである。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは組換えにより産生される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは単離される。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは実質的に純粋である。特定の実施形態では、ポリヌクレオチドは天然成分から精製される。
【0176】
細胞及びベクター
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、宿主細胞、好ましくは哺乳類細胞における組換え発現のための、抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片またはそのドメインをコードするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含むベクター(例えば、発現ベクター)である。本明細書で提供されるのはまた、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を組換え発現するためのそのようなベクターを含む細胞、例えば宿主細胞である。特定の態様では、本明細書で提供されるのは、宿主細胞でそのような抗体またはその抗原結合断片を発現させることを含む、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片を作製する方法である。
【0177】
特定の実施形態では、B7-H4(例えば、ヒトB7-H4)に特異的に結合する、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載されている重鎖または軽鎖)の組換え発現は、抗体またはその抗原結合断片またはそのドメインをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を含む。本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、重鎖または軽鎖の可変ドメインを含む)をコードするポリヌクレオチドが一旦得られれば、抗体またはその抗原結合断片の産生のためのベクターは、当該技術分野で周知の技術を用いた組み換えDNA技術によって作製することができる。したがって、抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、軽鎖または重鎖)をコードするヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドを発現させることによってタンパク質を調製する方法は本明細書に記載されている。当業者に周知の方法を用いて、抗体またはその抗原結合断片またはそのドメイン(例えば、軽鎖または重鎖)をコードする配列と、適切な転写及び翻訳の制御シグナルとを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、例えば、試験管内の組換えDNA技術、合成技術、及び生体内の遺伝子組換えが挙げられる。提供されるのはまた、プロモーターに作動可能に連結された、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断、重鎖もしくは軽鎖、重鎖もしくは軽鎖の可変ドメイン、または重鎖もしくは軽鎖のCDRをコードするヌクレオチド配列を含む複製可能なベクターである。そのようなベクターは、例えば、抗体またはその抗原結合断片の定常領域をコードするヌクレオチド配列を含むことができ(例えば、国際公開番号WO86/05807及びWO89/01036;及び米国特許第5,122,464号を参照のこと)、抗体またはその抗原結合断片の可変ドメインは、重鎖全体、軽鎖全体、または重鎖全体と軽鎖全体の双方の発現のためにそのようなベクターにクローニングすることができる。
【0178】
発現ベクターは、従来の技法によって細胞(例えば、宿主細胞)に移すことができ、次いで得られた細胞を従来の技法によって培養して、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27、または28、及び29の6つのCDR、配列番号6~8のVH、配列番号9~11のVL、配列番号6~8のVHと配列番号9~11のVL、配列番号16~18、89、90、または91の重鎖、配列番号19、30、31の軽鎖、または配列番号16~18、89、90、または91の重鎖ならびに配列番号19、30、または31の軽鎖を含む抗体またはその抗原結合断片)を産生させることができる。したがって、本明細書で提供されるのは、宿主細胞におけるそのような配列の発現のためのプロモーターに作動可能に連結されている本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片、例えば、配列番号22~25、26、27、または28、及び29の6つのCDR、配列番号6~8のVH、配列番号9~11のVL、配列番号6~8のVHと配列番号9~11のVL、配列番号16~18、89、90、または91の重鎖、配列番号19、30、31の軽鎖、または配列番号16~18、89、90、または91の重鎖と配列番号19、30、または31の軽鎖を含む抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞である。特定の実施形態では、二本鎖の抗体またはその抗原結合断片の発現のために、重鎖及び軽鎖の双方を個別にコードするベクターを、以下に詳述するように、免疫グロブリン全体の発現のために宿主細胞で同時発現させることができる。特定の実施形態では、宿主細胞は、本明細書に記載されている抗体またはそのドメインの重鎖及び軽鎖の双方をコードするポリヌクレオチドを含むベクターを含有する。具体的な実施形態では、宿主細胞は、2つの異なるベクター、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター、及び本明細書に記載されている抗体(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29の6つのCDRを含む抗体)、またはそのドメインの軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含有する。他の実施形態では、第1の宿主細胞は、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片の重鎖または重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターを含み、第2の宿主細胞は、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29の6つのCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)の軽鎖または軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29の6つのCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)を形成する、第2の細胞の軽鎖/軽鎖可変領域と会合する第1の細胞によって発現される重鎖/重鎖可変領域。特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、そのような第1の宿主細胞及びそのような第2の宿主細胞を含む宿主細胞の集団である。
【0179】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の軽鎖/軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクターと、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)の重鎖/重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクターとを含むベクターの集団である。あるいは、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドの双方をコードする、及び発現することができる単一のベクターを使用することができる。
【0180】
さまざまな宿主・発現ベクター系を利用して、本明細書に記載されている抗体及びその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)を発現させることができる(例えば、米国特許第5,807,715号を参照のこと)。このような宿主・発現系は、それによって対象とするコーディング配列を生成し、その後精製することができる媒体を表すが、適切なヌクレオチドコーディング配列で形質転換または形質移入すると、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片を原位置で発現することができる細胞も表す。これらには、微生物、例えば、抗体のコーディング配列を含有する組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドのDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli、B.subtilis);抗体のコーディング配列を含有する組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces、Pichia);抗体のコーディング配列を含有する組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染するか、または抗体のコーディング配列を含有する組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(たとえば、Chlamydomonas reinhardtiiのような緑藻);あるいは哺乳類細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳類ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含有する組換え発現構築物を内部に含む哺乳類細胞系(例えば、COS(例えば、COS1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH3T3、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10細胞)が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体及びその抗原結合断片(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)を発現させるための細胞は、CHO細胞、例えば、CHO GS System(商標)(Lonza)からのCHO細胞である。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体を発現するための細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。具体的な実施形態では、哺乳類発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、特に組換え抗体分子全体の発現のために、Escherichia
coliのような細菌細胞、または真核細胞(例えば、哺乳類細胞)が組換え抗体分子の発現に使用される。例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳類細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要中間初期遺伝子プロモーターエレメントのようなベクターと併用して、抗体のための有効な発現系である(Foecking,MK.及びHofstetter,H.(1986),Gene,45:101-105;ならびにCockett,MI.et al.,(1990),Biotechnology,8:662-667)。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片はCHO細胞またはNS0細胞によって産生される。
【0181】
いくつかの実施形態では、シグナルペプチドは、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片のVHまたはVLを含有するベクターを構築するのに使用される。具体的な一実施形態では、VH配列の発現ベクターを構築するのに使用されるシグナルペプチドのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、それぞれ配列番号で2及び4にて提供されている。別の具体的な実施形態では、VL配列の発現ベクターを構築するのに使用されるシグナルペプチドのヌクレオチド配列及びアミノ酸配列は、配列番号3及び5で提供されている。
【0182】
具体的な一実施形態では、VHシグナルペプチドのヌクレオチド配列は、ATGGGC
AGGCTT ACTTCT TCATTC CTGCTA CTGATT GTCCCT GCATAT GTCCTG TCC(配列番号2)として提供されている。別の具体的な実施形態では、VHシグナルペプチドのアミノ酸配列は、MGRLTSSFLLLIVPAYVLS(配列番号4)として提供されている。
【0183】
具体的な一実施形態では、VLシグナルペプチドのヌクレオチド配列は、ATGAAG
TTGCCT GTTAGG CTGTTG GTGCTG ATGTTC TGGATT CCTGCT TCCGGC AGT(配列番号3)として提供されている。別の具体的な実施形態では、VLシグナルペプチドのアミノ酸配列は、MKLPVRLLVLMFWIPASGS(配列番号5)として提供されている。
【0184】
加えて、挿入された配列の発現を調節する、または所望の具体的な様式で遺伝子産物を修飾及び処理する宿主細胞株を選択することができる。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能に寄与することができる。この目的のために、一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化及びリン酸化のための細胞機構を持っている真核宿主細胞を使用することができる。このような哺乳類宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、HeLa、MDCK、HEK293、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(免疫グロブリン鎖を内在性に産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、HsS78Bst、HEK-293T、HepG2、SP210、R1.1、BW、LM、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bstの細胞が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)は、CHO細胞のような哺乳類細胞にて産生される。
【0185】
特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体(例えば、配列番号22~25、26、27または28及び29のCDRを含む抗体またはその抗原結合断片)は、Potelligent(登録商標)のCHOK1SV細胞にて産生される。
【0186】
本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片が組換え発現によっていったん産生されると、それは、免疫グロブリン分子の精製について当該技術分野で既知の任意の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、特にプロテインA後の特定の抗原に対するアフィニティー、及びサイジングカラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度差によって、またはタンパク質精製のためのその他の標準的な技法によって精製することができる。さらに、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に記載されている、またはそうでなければ当該技術分野で既知の異種ポリペプチド配列に融合されて、精製を円滑にすることができる。
【0187】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片は単離されるまたは精製される。一般に、単離された抗体またはその抗原結合断片は、単離された抗体またはその抗原結合断片とは異なる抗原特異性を持つ他の抗体またはその抗原結合断片を実質的に含まないものである。例えば、特定の実施形態では、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片の調製物は、細胞性物質及び/または化学前駆物質を実質的に含まない。
【0188】
使用及び方法
検出及び診断での使用
本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片(例えば、セクション5.2を参照)を用い、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)、免疫組織化学(IHC)、免疫沈降、及びウエスタンブロッティングのような免疫アッセイを含む、当業者に既知の方法を用いて生体試料におけるB7-H4タンパク質のレベルをアッセイすることができる。
【0189】
好適な抗体アッセイの標識は当該技術分野で知られており、それには西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及びグルコースオキシダーゼのような酵素標識;放射性同位元素、例えばヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、イオウ(35S)、トリチウム(H)、インジウム(121In)、及びテクネチウム(99Tc);ハプテン、蛍光標識、リン光分子、化学発光分子、発色団、発光分子、光親和性分子、着色粒子及び/またはビオチンのようなリガンドが挙げられる。いくつかの実施形態では、酵素(酵素タグ)は発色性基質との接触時に着色生成物を生成するであろう。好適な酵素の例には、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ及び(西洋ワサビ)水素ペルオキシダーゼ及び/またはグルコースオキシダーゼが挙げられる。
【0190】
そのような標識を用いて、本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片を標識することができる。あるいは、本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を認識する二次抗体またはその抗原結合断片を標識し、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片と組み合わせて用いてB7-H4タンパク質のレベルを検出することができる。いくつかの実施形態では、そのような二次抗体またはその抗原結合断片、例えば、抗マウスまたは抗げっ歯類抗体は、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)で標識され、酵素の基質(例えば、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB))で検出される。
【0191】
抗体のそのコンジュゲート部分への連結またはコンジュゲートのためのいくつかの方法が当該技術分野において既知である。一部の連結方法は、例えば、抗体に連結される有機キレート剤、例えば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸無水物(DTPA)、エチレントリアミン四酢酸、N-クロロ-p-トルエンスルホンアミド、及び/またはテトラクロロ-3α-6α-ジフェニルグリコウリル-3を採用する金属キレート錯体の使用を含む(それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,472,509号及び同第4,938,948号)。モノクローナル抗体はまた、グルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩のようなカップリング剤の存在下で酵素と反応させてもよい。フルオレセインマーカーとのコンジュゲートは、これらのカップリング剤の存在下でまたはイソチオシアネートとの反応によって調製される。米国特許第4,938,948号では、例えば、乳房腫瘍の画像化はモノクローナル抗体を用いて達成され、検出可能な画像化部分は、例えば、メチル―p-ヒドロキシベンズイミデートまたはN-スクシンイミジル―3-(4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸塩のようなリンカーを用いて抗体に結合される
【0192】
他の実施形態では、抗体結合部位を変化させない反応条件を用いて免疫グロブリンのFc領域にスルフヒドリル基を選択的に導入することによる免疫グロブリンの誘導体化が企図される。この方法論に従って生成される抗体コンジュゲートは、改善された長寿命、特異性及び感度を示すことが開示されている(参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,196,066号)。レポーターまたはエフェクターの分子がFc領域の炭水化物残基にコンジュゲートされている、エフェクター分子またはレポーター分子の部位特異的連結も文献に開示されている(O’Shannessy,et al.,Biotechnol.Appl.Biochem.1987,Dec;9(6):488-96).
【0193】
B7-H4タンパク質の発現レベルをアッセイすることは、第1の生体試料にてB7-H4タンパク質のレベルを直接(例えば、絶対タンパク質レベルを決定するまたは推定することにより)、または相対的に(例えば、第2の生体試料または標準試料におけるB7-H4タンパク質レベルと比較して)定性的または定量的に測定するまたは推定することを含むように意図される。第1の生体試料におけるB7-H4ポリペプチドの発現レベルを測定または推定し、標準のB7-H4タンパク質レベルと比較することができ、標準は、罹患していない第2の生体試料から決定される、または罹患していない試料集団のレベルを平均して決定される。当該技術分野で十分に理解されるように、いったん「標準」B7-H4ポリペプチドのレベルが判明すると、比較のための標準としてそれを繰り返し使用することができる。
【0194】
本明細書で使用されるとき、「生体試料」という用語は、B7-H4を発現している可能性のある対象、細胞株、組織、またはその他の細胞源から得られる生体試料を指す。本発明で使用するための生体試料の非限定的な供給源には、例えば、固形組織、生検、腹水、吸引液、流体抽出物、血液(循環腫瘍細胞を含む)、血漿、血清、脊髄液、リンパ液、皮膚の外部セクション、呼吸器、腸管、尿生殖路、涙液、唾液、乳、腫瘍、臓器、細胞培養物及び/または細胞培養成分が挙げられる。動物(例えば、ヒト)から組織生検及び体液を得る方法は、当該技術分野で周知である。循環腫瘍細胞(CTC)を得る例示的な方法は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるFerreira,et al.,Molecular Oncology,10:374-394にて開示されている。例えば、CTCは免疫親和性ベースまたは生物物理学ベースの戦略を用いて血液試料から濃縮することができる。CTCは直接画像化モダリティを用いて得ることもできる。免疫組織化学(IHC)アッセイで使用することができる生検を得て処理する例示的な方法は、実施例4にて本明細書で提供されている。
【0195】
本明細書に記載されている抗B7-H4抗体は、当業者に周知であり、標準であり、且つ本説明に基づいた試験管内の適用を含む診断適用に使用することができる。B7-H4の試験管内評価のための診断アッセイ及びキットは、がんを有することが知られている、またはがんを有する疑いがあるものを含む患者の試料を評価するのに利用されてもよい。予後と診断のモニタリング及び評価のこのタイプは、実際には、例えば、アッセイを用いてHerceptin(登録商標)を用いた抗体療法を評価する、乳癌におけるHER2タンパク質に対する抗体を利用すること(HercepTest(商標)、Dako)である。
【0196】
本明細書に記載されている抗B7-H4抗体及びその抗原結合断片は、検出可能な標識または機能的な標識を携えることができる。蛍光標識が使用される場合、現在利用可能な顕微鏡法及び蛍光活性化セルソーター解析(FACS)または当該技術分野で既知の双方の方法手順の組み合わせを利用して、特異的な結合メンバーを同定し、且つ定量してもよい。本明細書に記載されている抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片は蛍光標識を携えることができる。例示的な蛍光標識には、例えば、反応性プローブ及びコンジュゲートプローブ、例えば、アミノクマリン、フルオレセイン及びテキサスレッド、Alexa Fluor色素、Cy色素及びDyLight色素が挙げられる。抗B7-H4抗体は、例えば、同位体 H、14C、32P、35S、36Cl、51Cr、57Co、58Co、59Fe、67Cu、90Y、99Tc、111In、117Lu、121I、124I、125I、131I、198Au、211At、213Bi、225Ac及び186Reのような放射性標識を携えることができる。放射性標識を使用する場合、当該技術分野で既知の現在利用可能な計数手順を利用して、抗B7-H4抗体または抗原結合断片のB7-H4(例えば、ヒトB7-H4)への特異的結合を同定し、且つ定量してもよい。標識が酵素である場合、検出は、当該技術分野で既知であるように、現在利用されている比色分析、分光光度分析、蛍光分光光度分析、電流測定技術またはガス分析技術のいずれかによって達成されてもよい。これは、試料または対照試料を、抗体またはその抗原結合断片とB7-H4との間での複合体の形成を可能にする条件下で抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片と接触させることによって達成することができる。抗体またはその抗原結合断片とB7-H4との間で形成された複合体が検出され、試料と対照で比較される。B7-H4に対する本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片の特異的結合を踏まえて、抗体またはその抗原結合断片を用いて、例えば、細胞全体における、細胞膜上または細胞質内におけるB7-H4の発現を特異的に検出することができる。本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合断片を用いて、免疫親和性精製を介してB7-H4を精製することもできる。
【0197】
本明細書に含まれるのはまた、例えば、B7-H4の存在の程度を定量的に分析するための試験キットの形態で調製されてもよいアッセイシステムである。システムまたは試験キットは、標識された成分、例えば、標識された抗体または抗原結合断片、及び1以上のさらなる免疫化学試薬を含んでもよい。キットの詳細については、例えば、以下のセクション5.4.3を参照のこと。
【0198】
いくつかの態様では、試験管内で試料にてB7-H4を検出する方法は、試料を本明細書で提供されているような抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含む。いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、試験管内の試料にてB7-H4を検出するための、本明細書で提供されているような抗体またはその抗原結合断片の使用である。一態様では、本明細書で提供されるのは、対象または対象から得られた試料におけるB7-H4の検出に使用するために本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片である。一態様では、本明細書で提供されるのは、診断薬として使用するための本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片である。一実施形態では、抗体は検出可能な標識を含む。好ましい一実施形態では、B7-H4はヒトB7-H4である。好ましい一実施形態では、対象はヒトである。さらなる実施形態では、対象、例えば、ヒト対象はがんを有する。
【0199】
いくつかの態様では、本発明はB7-H4を結合する及び検出するための免疫検出法を企図する。本発明に従って調製される抗体はB7-H4を検出するために採用されてもよい。いくつかの免疫検出法には、少し記述するだけでも、免疫組織化学、フローサイトメトリー、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、免疫放射性アッセイ、蛍光免疫アッセイ、化学発光アッセイ、生物発光アッセイ、及びウエスタンブロットが挙げられる。種々の有用な免疫検出法の工程は、例えば、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれるDoolittle,M.H.及びBen-Zeev,O,Methods Mol.Biol.1999;109:215-37;Gulbis,B.及びGaland,P,Hum.Pathol.1993,Dec;24(12):1271-85;ならびにDe Jager,R.et al.,Semin.Nucl.Med.1993,Apr;23(2):165-79のような科学文献に記載されている。
【0200】
一般に、免疫結合法には、試料、例えば、B7-H4を含むことが疑われる試料を取得すること、及び免疫複合体の形成を可能にするのに効果的な条件下で本発明に従って第1の抗B7-H4抗体と試料を接触させることが含まれる。
【0201】
選択した生体試料を抗体と効果的な条件下で、且つ免疫複合体(一次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な時間接触させることは一般に、抗体組成物を試料に添加すること、及び抗体が存在する任意のB7-H4と免疫複合体を形成する、すなわち特異的に結合するのに十分な期間、混合物をインキュベートすることを含む。この時間の後、例えば、組織切片、ELISAプレート、ドットブロットまたはウエスタンブロットのような試料・抗体組成物は一般に、洗浄されて非特異的に結合した抗体種を取り除き、一次免疫複合体内にて特異的に結合した抗体のみが検出されるようにするであろう。
【0202】
一般に、免疫複合体形成の検出は当該技術分野で周知であり、多数のアプローチの適用を介して達成されてもよい。これらの方法は一般に、例えば、放射性タグ、蛍光タグ、生物タグ、及び酵素タグのいずれかのような標識またはマーカーの検出に基づく。そのような標識の使用に関する米国特許には、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;及び同第4,366,241号が挙げられ、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、二次抗体のような二次結合剤及び/またはビオチン/アビジンのリガンド結合配置は当該技術分野で既知の方法論に従って使用されてもよい。
【0203】
いくつかの実施形態では、一次免疫複合体内で結合されるようになる第1の抗体は、抗体に対して結合親和性を有する第2の結合剤によって検出されてもよい。これらの場合、第2の結合剤は検出可能な標識に連結されてもよい。二次結合剤はそれ自体が抗体であることが多く、したがって「二次」抗体と呼ばれてもよい。一次免疫複合体は、効果的な条件下で、且つ二次免疫複合体の形成を可能にするのに十分な期間、標識された二次の結合剤または抗体と接触させる。次いで、二次免疫複合体は一般に洗浄されて、非特異的に結合した標識された二次の抗体またはリガンドを取り除き、次いで、二次免疫複合体にて残っている標識が検出される。
【0204】
さらなる方法には、2段階のアプローチによる一次免疫複合体の検出が含まれる。上記に記載されているように、抗体に対して結合親和性を有する、例えば、抗体のような第2の結合剤を用いて二次免疫複合体を形成する。洗浄後、二次免疫複合体は、再び効果的な条件下で、且つ免疫複合体(三次免疫複合体)の形成を可能にするのに十分な時間、二次抗体に対して結合親和性を有する三次の結合剤または抗体と接触させる。第3のリガンドまたは抗体は検出可能な標識に連結され、こうして形成された三次免疫複合体の検出を可能にする。これが望ましい場合、このシステムはシグナル増幅を提供してもよい。
【0205】
別の実施形態では、ビオチン化したモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を用いて標的抗原(複数可)を検出し、次いで第2段階の抗体を用いて複合抗体に連結されたビオチンを検出する。その方法では、調べられる試料は第1段階の抗体を含む溶液にて先ずインキュベートされる。標的抗原が存在する場合、一部の抗体は抗原に特異的に結合してビオチン化された抗体/抗原の複合体を形成する。次いで、抗体/抗原複合体は、ストレプトアビジン(またはアビジン)及びビオチン化DNA及び/または相補性ビオチン化DNAの連続溶液でのインキュベートによって増幅され、各工程は追加のビオチン部位を抗体/抗原複合体に付加する。増幅工程は好適なレベルの増幅が達成されるまで繰り返され、その時点で、試料はビオチンに対する第2段階の抗体を含む溶液にてインキュベートされる。この第2段階の抗体は、例えば、発色性基質を用いた組織酵素学によって抗体/抗原複合体の存在を検出するのに使用できる酵素で標識される。好適な増幅により、肉眼で見えるコンジュゲートを生成することができる。
【0206】
一実施形態では、免疫組織化学(IHC)が免疫学的検出に使用される。IHCを使用して、試料におけるB7-H4の検出は、結合剤、例えば、抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片によって試料を標的にすることによって達成することができる。結合剤は、検出可能な標識に直接的または間接的に連結することができ、または検出可能な標識に直接的または間接的に連結される別の結合剤によって検出することができる。一実施形態では、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)をIHCアッセイで用いて、B7-H4に結合した一次抗体を検出する。一実施形態では、IHCアッセイにおける抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の濃度は約1μg/mL~約50μg/mLである。一実施形態では、IHCアッセイにおける抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の濃度は約1μg/mL~約20μg/mLである。一実施形態では、IHCアッセイにおける抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片の濃度は約10μg/mLである。
【0207】
IHCは、細胞、細胞ペレット、組織;血液、血漿、血清、またはリンパ液からの調製物等で実施することができる。いくつかの実施形態では、試料は固定された試料である。いくつかの実施形態では、試料はパラフィン包埋試料である。いくつかの実施形態では、試料はホルマリン固定し、パラフィン包埋した試料である。
【0208】
一実施形態では、フローサイトメトリーが免疫学的検出に使用される。したがって、例えば、細胞当たりの結合した抗体(ABC)の数はフローサイトメトリーを用いて評価することができる。
【0209】
治療上の使用及び治療方法
一態様では、本明細書で提示されるのは、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を対象に投与することを含む、対象にてB7-H4を発現するがんを治療する方法であり、その際、B7-H4の発現は、本明細書で提供されている抗体またはその抗原結合断片を用いて対象から得られた試料にて検出されている。いくつかの実施形態では、方法はさらに、対象から得られる試料にてB7-H4を検出することを含む。
【0210】
本明細書で提供される特定の実施形態では、がんは乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌、ホルモン受容体(HR)陽性乳癌、または乳管癌)、子宮内膜癌腫、卵巣癌、非小細胞肺癌(例えば、扁平上皮癌)、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、及び膀胱癌(例えば、尿路上皮細胞癌)から成る群から選択される。
【0211】
治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片には、例えば、20502及び22213及びその抗原結合断片が挙げられる。20502抗体及び22213抗体のアミノ酸及びヌクレオチド配列を表9及び10にて提供する。
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【表10-1】
【表10-2】
【表10-3】
【0212】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、20502のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。CDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRであることができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、22213のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。CDRは、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRであることができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、それぞれ配列番号32~37のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、それぞれ配列番号58~63のアミノ酸配列を含むVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域は配列番号54のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、重鎖可変領域は配列番号64のアミノ酸配列を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、軽鎖可変領域は配列番号55のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、その際、軽鎖可変領域は配列番号65のアミノ酸配列を含む。
【0217】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む。
【0218】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は、配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。いくつかの実施形態では、治療用の抗B7-H4抗体または抗原結合断片は配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
【0221】
キット
本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている1以上の抗体またはその抗原結合断片またはそのコンジュゲート(例えば、検出コンジュゲート)を含むキットである。本明細書で提供されるように、キットは診断方法で使用することができる。一実施形態では、キットは1以上の容器にて本明細書に記載されている抗体またはその抗原結合性断片、好ましくは精製された抗体またはその抗原結合性断片を含む。
【0222】
具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットは、対照として使用できる実質的に単離されたB7-H4抗原(例えば、ヒトB7-H4)を含有する。具体的な実施形態では、本明細書で提供されているキットは、組換えにより生成された、または化学的に合成されたB7-H4抗原を含むことができる。キットにて提供されるB7-H4抗原は固体支持体に付着させることもできる。
【0223】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットはさらに、B7-H4抗原と反応しない対照抗体またはその抗原結合断片を含む。別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットは、抗体またはその抗原結合断片のB7-H4抗原への特異的結合を検出するための1以上の要素を含有する(例えば、抗体またはその抗原結合断片を、例えば、蛍光化合物、酵素、酵素基質、放射性化合物、もしくは発光化合物のような検出可能な基質にコンジュゲートすることができ、または一次抗体もしくはその抗原結合断片を認識する二次抗体もしくはその抗原結合断片を検出可能な基質にコンジュゲートすることができる)。さらに具体的な実施形態では、上記に記載されているキットの検出要素はB7-H4抗原が付着する固体支持体を含む。そのようなキットは、非付着性のレポーターで標識した抗マウス/げっ歯類抗体またはその抗原結合断片も含むことができる。この実施形態では、抗体またはその抗原結合断片のB7-H4抗原への結合は、前記レポーターで標識した抗体またはその抗原結合断片の結合によって検出することができる。
【0224】
別の具体的な実施形態では、本明細書に記載されているキットはさらに、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片、及び/または本明細書で提供される抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を用いて試料にてB7-H4が検出される場合、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片が投与されるべきであるという情報を含む。
【0225】
下記の実施例は、例示の目的で提供されており、限定を目的とするものではない。
【実施例0226】
このセクション(すなわち、セクション6)における実施例は、例示を目的として提供されるのであって、限定を目的とするものではない。
【0227】
実施例1:ハイブリドーマの生成
B7-H4細胞外ドメイン(ECD)タンパク質の組換え可溶性型を用いて、B7-H4を選択的に結合する抗体のパネルを生成した。
MASLGQILFWSIISIIIILAGAIALIIGFGISGRHSITVTTVASAGNIGEDGILSCTFEPDIKLSDIVIQWLKEGVLGLVHEFKEGKDELSEQDEMFRGRTAVFADQVIVGNASLRLKNVQLTDAGTYKCYIITSKGKGNANLEYKTGAFSMPEVNVDYNASSETLRCEAPRWFPQPTVVWASQVDQGANFSEVSNTSFELNSENVTMKVVSVLYNVTINNTYSCMIENDIAKATGDIKVTESEIKRRSHLQLLNSKASGSEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号20)
【0228】
NZB/Wマウスの各後足蹠に、Sigma AdjuvantSystem(登録商標)(Sigma-Aldrich,Inc.,St.Louis,MO)に再懸濁したB7-H4 ECDタンパク質を注射した。最初の追加免疫から21日後に血清を採取し、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)と蛍光活性化細胞選別(FACS)とフローサイトメトリーとによって力価測定し、マウスが良好な免疫反応を有することを確認した。ELISA及びFACSによるスクリーニングはそれぞれ実施例2及び3にて詳細に記載されている。最終追加免疫の3日後、力価陽性マウスの膝窩リンパ節細胞をマウス骨髄腫細胞株と融合させた(例えば、Chuntharapai et al.,1997,Methods Enzymol.288:15-27を参照)。約2880のラットハイブリドーマのクローンが生成された。
【0229】
このプロセスで生成されたハイブリドーマのクローンを次いで、B7-H4 ECDタンパク質(配列番号20)、B7-H4 N末端IgVドメイン(アミノ酸1-151)-huIgG Fc融合タンパク質(配列番号21)、及び完全長のヒトB7-H4(配列番号1)をその表面上で安定して発現しているHEK293細胞に結合するモノクローナル抗体の産生についてスクリーニングした。
MASLGQILFWSIISIIIILAGAIALIIGFGISGRHSITVTTVASAGNIGEDGILSCTFEPDIKLSDIVIQWLKEGVLGLVHEFKEGKDELSEQDEMFRGRTAVFADQVIVGNASLRLKNVQLTDAGTYKCYIITSKGKGNANLEYKTGAFSGSEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号21)
【0230】
実施例2:ELISAスクリーニング
実施例1で生成したハイブリドーマのクローンをスクリーニングするために、Baker,et al.,2002,Trends Biotechnol,20:149-156に記載されているように一般にELISAを実施した。
【0231】
簡単に言えば、コーティング緩衝液(0.05M炭酸緩衝液、pH9.6)における2μg/mLの濃度でのB7-H4 ECDタンパク質(配列番号20)またはB7-H4N末端Fc融合タンパク質(配列番号21)50μLで96ウェルプレートをコーティングし、密封し、40℃で一晩保存した。コーティング溶液を除去した後、PBS(pH7.4)にて0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.05%のTween(登録商標)-20とを含有する200μLのアッセイ/ブロッキング溶液(ELISA希釈液)を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。次いで、PBS中0.05%のTween(登録商標)-20(洗浄緩衝液)300μLでウェルを3回洗浄した。洗浄後、ELISA希釈液中のハイブリドーマ上清100μLを各ウェルに加え、プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートした。前述のように、ウェルを洗浄緩衝液で3回洗浄した。洗浄した後、西洋ワサビペルオキシダーゼと結合させたヒツジ抗マウスIgGのELISA希釈液での1:1000希釈液100μLを各ウェルに添加した。プレートを撹拌しながら室温で1時間インキュベートし、前に記載されたように洗浄緩衝液で3回洗浄し、軽く叩いて乾燥させた。100μLのテトラメチルベンジジン(TMB)マイクロウェルペルオキシダーゼ基質を各ウェルに添加し、室温で5~10分間、または良好な色の変化が観察されるまでインキュベートすることによって、ウェルを発色させた。100μLのTMB停止液を各ウェルに加えることによって発色を止めた。プレートを650nmで分析した。
【0232】
事前採血血清及びポリ血清を対照として使用した。事前採血試料は免疫前のマウス血清を含有し、ポリ血清試料は免疫後に得られたマウス抗血清を含有した。ELISAシグナルが陽性となった抗体をさらなるスクリーニングのために蛍光活性化細胞選別(FACS)によって選択した。
【0233】
実施例3:FACSスクリーニング
実施例1で生成されたハイブリドーマのクローンをさらにスクリーニングするために、完全長のヒトB7-H4(配列番号1)を安定して発現しているHEK293細胞を用いて蛍光活性化細胞選別(FACS)を実施した。普通のHEK293細胞株は陰性対照として役立った。細胞を再浮遊させ、40℃にて5分間500gで遠心分離した。培地を吸引し、1%ウシ胎児血清(FBS)を伴ったBD FACSFlow(商標)染色緩衝液(BD Biosciences,San Jose,CA)(細胞染色緩衝液)に40℃で細胞を再浮遊させた。前述のように細胞を遠心分離し、培地を吸引し、2×10個/mLの最終濃度で40℃にて細胞を細胞染色緩衝液に再浮遊させた。次いで細胞を96ウェルの丸底プレートに50μL/ウェルで加えた。各ハイブリドーマ上清がB7-H4を安定して発現しているHEK293細胞株または陰性対照細胞株のいずれかを含有するウェル1つとインキュベートされるように各ハイブリドーマクローン由来の上清100μLを各ウェルに加えた。プレートを氷上で30分間インキュベートし、前述のように遠心分離機にかけた。次いで上清を吸引した。各ウェルで40℃にて200μLの細胞染色緩衝液に再浮遊させた。続いて、前述のようにプレートを遠心分離機にかけ、細胞染色緩衝液を吸引した。洗浄工程の後、40℃で細胞染色緩衝液にてR-フィコエリスリン(Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)に結合させたヤギ抗マウスIgG Fcの1:1000希釈液100μLに各ウェルの細胞を再浮遊させ、プレートを氷上の暗所で30分間インキュベートした。前述のようにプレートを遠心分離機にかけ、上清を吸引した。各ウェルで40℃にて200μLの細胞染色緩衝液に再浮遊させ、前述のようにプレートを遠心分離機にかけた。細胞染色緩衝液を吸引した。各ウェルの細胞を40℃で細胞染色緩衝液200μLに再浮遊させ、1.2mLのマイクロタイターチューブに移した。FACSは、FACScan(商標)またはFACSCalibur(商標)(BD Biosciences,San Jose,CA)で実施した。免疫組織化学(IHC)によるさらなるスクリーニングのために、FACSアッセイで細胞結合を示した抗体を選択した。
【0234】
実施例4:IHCスクリーニング
実施例1で生成したハイブリドーマのクローンをさらにスクリーニングするために、浸潤性乳管癌の乳房腫瘍のある対象から得た切片に対して免疫組織化学(IHC)染色を実施した。ホルマリン固定しパラフィン包埋(FFPE)した切片を5ミクロンで切断し、Superfrost Plusを加えたスライドで風乾し、60℃で1時間ベークした。切片を脱パラフィンし、Discovery Ultra自動染色機(Ventana
Medical Systems,Tucson,AZ)で染色した。95℃でのUltra CC1を用いた1時間の抗原の回収の後、抗B7-H4マウス一次抗体によって室温で1時間、その後、製造元の指示書どおりのOmni-Map抗マウスHRP、ChromoMap3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)検出系とヘマトキシリン対比染色とが続いてB7-H4が検出された。
【0235】
7つの抗B7-H4一次抗体:対照として使用したA57.1(米国特許第7,619,068号を参照)(1.25μg/mL)とともに実施例1で生成した6つの組換え抗体(10μg/mL)を使用した。図1及び2に示すように、2つの組換え抗体(J516及びJ512)は、A57.1と同様のパターンで細胞膜及び細胞質にてB7-H4を検出し、B7-H4陽性細胞の大半は腫瘍区画で観察された。図3及び4によって示されるように、組み換え抗体は1+シグナル強度で、A57.1より少ないB7-H4発現細胞を検出した(J512による35%対J516%による35%対A57.1による58%)。B7-H4発現がコンピューター画像解析(Definiens,Cambridge,MA)によって測定された場合、J516及びJ512は図5A~5Cに示すように、A57.1に類似する細胞コンパートメントを横切るB7-H4シグナルの分布を示した。
【0236】
実施例5:配列決定
そのすべてがIHC染色を示した重鎖(HC)及び軽鎖(LC)抗B7-H4抗体M6、M11、及びM15の配列は以下の手順に従って決定した。
【0237】
RNAはハイブリドーマからTrizol試薬(Thermofisher Scientific,Carlsbad,CA)を用いて回収し、cDNAはSSmartscribe逆転写酵素(Clontech,Mountain View,CA)及びAdvantage2ポリメラーゼ(Clontech,MountainView,CA)を用いて調製した。標準的なPCR条件下でPhusion Taqポリメラーゼ(NEB,Ipswich,MA)を用いてPCRを行った。次いで、Zero Blunt(登録商標)TOPO(登録商標)クローニングキット(Thermofisher Scientific,Carlsbad,CA)を用いてPCR産物をクローニングした。クローンを挿入物についてスクリーニングし、複数のクローンを配列決定して、元の重鎖及び軽鎖の遺伝子配列を検証した。重鎖及び軽鎖をコードするポリヌクレオチド配列は上記の表8に提供されている。
【0238】
次いで、抗B7-H4抗体の可変ドメインを異なるFc領域を持つ発現ベクターにサブクローニングして、マウスIgG2a及びマウスIgG1の定常領域を持つ抗体を生成した。次いで、抗B7-H4重鎖可変ドメインを異なるFc領域を持つ発現ベクターにクローニングして、マウスIgG2a及びマウスIgG1の定常領域を持つ抗体を生成した。抗B7-H4軽鎖可変ドメインを、マウスIgK定常領域を持つ発現ベクターにクローニングした。配列検証の際、単離された抗体には、上記の表1で指定されたID J511~J516が割り当てられた。
* * *
【0239】
本発明は、本明細書に記載されている特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、記載されているものに加えて、本発明の様々な改変が上記の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。そのような改変は、添付のクレームの範囲内に含まれることが意図される。
【0240】
本明細書で引用されている全ての参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)は、各個々の参考文献(例えば、出版物または特許または特許出願)が、あらゆる目的でその全体が参照によって組み込まれるように具体的かつ個別に指示されたかのような同じ程度に、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0241】
他の実施形態は以下のクレームの範囲内にある。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、配列番号22のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(VH)相補性決定領域(CDR)1と、配列番号23のアミノ酸配列を含むVH CDR2と、配列番号24のアミノ酸配列を含むVH CDR3と、配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(VL)CDR1と、配列番号26、27または28のアミノ酸配列を含むVL CDR2と、配列番号29のアミノ酸配列を含むVL CDR3とを含む、前記抗体またはその抗原結合断片。
(項目2)
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号6、7または8のアミノ酸配列を含むVHを含む、項目1に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目3)
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含むVLを含む、項目1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目4)
ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体またはその抗原結合断片が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号6、7または8のアミノ酸配列を含む、前記抗体またはその抗原結合断片。
(項目5)
ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体が重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号9、10または11のアミノ酸配列を含む、前記抗体またはその抗原結合断片。
(項目6)
ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、(a)それぞれ配列番号6及び9;
(b)それぞれ配列番号6及び10;
(c)それぞれ配列番号6及び11;
(d)それぞれ配列番号7及び9;
(e)それぞれ配列番号7及び10;
(f)それぞれ配列番号7及び11;
(g)それぞれ配列番号8及び9;
(h)それぞれ配列番号8及び10;または
(i)それぞれ配列番号8及び11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、前記抗体またはその抗原結合断片。
(項目7)
前記抗体またはその抗原結合断片がさらに重鎖定常領域を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目8)
前記重鎖定常領域がマウスIgGまたはIgG2aの重鎖定常領域である、項目7に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目9)
前記抗体または抗原結合断片がさらに軽鎖定常領域を含む、項目1~8のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目10)
前記軽鎖定常領域がマウスIgGκ軽鎖定常領域である、項目9に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目11)
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号16、17、18、89、90または91のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目12)
前記抗体またはその抗原結合断片が配列番号19、30または31のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、項目1~6または11のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目13)
前記抗体または抗原結合断片が、
(a)それぞれ配列番号16及び19;
(b)それぞれ配列番号16及び30;
(c)それぞれ配列番号16及び31;
(d)それぞれ配列番号17及び19;
(e)それぞれ配列番号17及び30;
(f)それぞれ配列番号17及び31;
(g)それぞれ配列番号18及び19;
(h)それぞれ配列番号18及び30;
(i)それぞれ配列番号18及び31;
(j)それぞれ配列番号89及び19;
(k)それぞれ配列番号90及び19;または
(l)それぞれ配列番号91及び19のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む、項目1~6のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目14)
ヒトB7-H4に特異的に結合する単離された抗体またはその抗原結合断片であって、前記抗体またはその抗原結合断片が、J512、J513、J514、J515、J516、J517、J518、J519、J520、J521、及びJ522から成る群から選択される抗体のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む、前記抗体またはその抗原結合断片。
(項目15)
前記CDRがKabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである、項目14に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目16)
項目1~15のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と同じヒトB7-H4のエピトープに特異的に結合する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目17)
項目1~15のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片のヒトB7-H4への結合を 競合して阻害する、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目18)
前記抗体またはその抗原結合断片がマウスの抗体またはその抗原結合断片である、項目1~17のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目19)
完全長抗体である、項目1~18のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目20)
抗原結合断片である、項目1~18のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目21)
前記抗原結合断片が、Fab、Fab’、F(ab’)、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv、ミニボディ、F(ab’)、ダイアボディ、(scFv)、またはscFv-Fcを含む、項目20に記載の抗原結合断片。
(項目22)
さらに、検出可能な標識を含む、項目1~21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。
(項目23)
項目1~22のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域または重鎖をコードする核酸分子を含む、単離されたポリヌクレオチド。
(項目24)
前記核酸分子が配列番号6、7もしくは8のVHをコードする、または配列番号16、17もしくは18の重鎖をコードする項目23に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目25)
前記核酸分子が配列番号12、13、14、93、94または95の配列を含む、項目24に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目26)
項目1~22のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域または軽鎖をコードする核酸分子を含む、単離されたポリヌクレオチド。
(項目27)
前記核酸分子が配列番号9、10もしくは11のVLをコードする、または配列番号19、30もしくは31の軽鎖をコードする、項目26に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目28)
前記核酸分子が配列番号15、96または97の配列を含む、項目27に記載の単離されたポリヌクレオチド。
(項目29)
項目1~22のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の重鎖可変領域または重鎖と、項目1~22のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の軽鎖可変領域または軽鎖とをコードする核酸分子を含む、単離されたポリヌクレオチド。
(項目30)
項目23~29のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む、単離されたベクター。
(項目31)
項目23~29のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド、項目30に記載のベクター、または項目23~25のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む第1のベクターと項目26~28のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドを含む第2のベクターを含む、宿主細胞。
(項目32)
CHO細胞またはHEK細胞である、項目31に記載の宿主細胞。
(項目33)
ヒトB7-H4に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を産生させる方法であって、前記核酸分子が発現され、前記抗体またはその抗原結合断片が産生されるように項目31または32に記載の宿主細胞を培養することを含む、前記方法。
(項目34)
ヒトB7-H4に特異的に結合し、且つ項目23~29のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドによってコードされる、単離された抗体またはその抗原結合断片。
(項目35)
試料にてB7-H4を検出する方法であって、前記試料を項目1~22または34のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と接触させることを含み、任意で、前記方法はさらに、前記抗体またはその抗原結合断片のB7-H4に対する結合を検出することを含む、前記方法。
(項目36)
前記試料が対象におけるがんから得られる項目35に記載の方法。
(項目37)
B7-H4が検出された後、治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を前記対象に投与することをさらに含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
対象にてB7-H4を発現するがんを治療する方法であって、前記方法が治療用の抗B7-H4抗体またはその抗原結合断片を前記対象に投与することを含み、その際、B7-H4の発現が、前記対象から得られた試料にて項目1~21または33のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片を用いて検出された、前記方法。
(項目39)
前記がんから得られた前記試料にて前記B7-H4を検出することをさらに含む、項目38に記載の方法。
(項目40)
前記検出されたB7-H4が細胞膜B7-H4である、項目35~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目41)
前記検出されたB7-H4が細胞質B7-H4である、項目35~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目42)
B7-H4が細胞全体において検出される、項目35~39のいずれか1項に記載の方法。
(項目43)
前記B7-H4が循環腫瘍細胞で検出される、項目35~42のいずれか1項に記載の方法。
(項目44)
前記試料が、対象に由来する固形組織、生検、腹水、血漿、血清、リンパ液、または腫瘍である、項目35~43のいずれか1項に記載の方法。
(項目45)
前記がんが、乳癌、乳管癌、子宮内膜癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、膵臓癌、甲状腺癌、腎臓癌及び膀胱癌から成る群から選択される、項目36~44のいずれか1項に記載の方法。
(項目46)
前記乳癌がトリプルネガティブ乳癌であり、または前記非小細胞肺癌が扁平上皮癌である、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記検出方法が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、蛍光活性化細胞選別(FACS)アッセイ、または免疫組織化学(IHC)を使用する、項目35~46のいずれか1項に記載の方法。
(項目48)
前記検出方法がIHCを使用し、項目1~21または34のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片の濃度が約1~約50μg/mLである、項目47に記載の方法。
(項目49)
前記抗体またはその抗原結合断片の濃度が約1~約20μg/mLである、項目48に記載の方法。
(項目50)
前記抗体またはその抗原結合断片の濃度が約10μg/mLである、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記検出方法がIHCを使用し、3,3’-ジアミノベンジジン(DAB)が検出に使用される、項目47~50のいずれか1項に記載の方法。
(項目52)
前記対象がヒトである、項目36~51のいずれか1項に記載の方法。
(項目53)
項目1~21または34のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片と、(a)検出試薬、(b)B7-H4抗原、(c)治療用抗B7-H4抗体、または(d)(c)(a)~(c)の組み合わせのいずれかとを含む、キット。
(項目54)
前記治療用の抗体または抗原結合断片が、20502または22213のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3を含む、項目37~53のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目55)
前記CDRが、Kabatが定義したCDR、Chothiaが定義したCDR、またはAbMの定義のCDRである項目54に記載の方法またはキット。
(項目56)
前記VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3が、それぞれ配列番号32~37のアミノ酸配列、またはそれぞれ配列番号58~63のアミノ酸配列を含む、項目55に記載の方法またはキット。
(項目57)
前記治療用の抗体または抗原結合断片が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が配列番号54または配列番号64のアミノ酸配列を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目58)
前記治療用の抗体または抗原結合断片が、重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域が配列番号55または配列番号65のアミノ酸配列を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目59)
前記治療用の抗体または抗原結合断片が、(i)配列番号54のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号55のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、または(ii)配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号65のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目60)
前記治療用の抗体またはその抗原結合断片が、配列番号56または配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目61)
前記治療用の抗体またはその抗原結合断片が、配列番号57または配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
(項目62)
前記治療用の抗体またはその抗原結合断片が(i)配列番号56のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号57のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、または(ii)配列番号74のアミノ酸配列を含む重鎖及び配列番号75のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、項目37~56のいずれか1項に記載の方法またはキット。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
【配列表】
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