(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024026310
(43)【公開日】2024-02-28
(54)【発明の名称】呼吸装置用ワイヤ加熱式管
(51)【国際特許分類】
A61M 16/08 20060101AFI20240220BHJP
【FI】
A61M16/08 300
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023206873
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2021521047の分割
【原出願日】2019-10-11
(31)【優先権主張番号】62/745,799
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・チャン
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、呼吸装置用ワイヤ加熱式管を提供することにある。
【解決手段】呼吸用加圧空気を送達するための装置で使用する空気送達導管が、管と、第1のワイヤと、第2のワイヤと、第1のカフと、第2のカフと、を含む。第1のワイヤは、管の第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第1のワイヤは、第1の直径を有する。第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第2のワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を有する。第1のカフは、管の第1の端部に連結されている。第2のカフは、管の第2の端部に連結されており、第1のワイヤに接続されたサーミスタと、第2のカフの内面から呼吸用加圧空気の供給の流路内へと突出する固定具と、を含む。サーミスタは、固定具内に格納されている。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管であって、
第1の端部と第2の端部とを有する管と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第1のワイヤであって、第1の直径を有する第1のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第2のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のワイヤと、
前記管の前記第1の端部に連結されており、前記装置との電気的接続を提供するために前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤに接続された電気コネクタを含む第1のカフと、
前記管の前記第2の端部に連結された第2のカフであって、
前記第1のワイヤに接続されたサーミスタと、
前記第2のカフの内面から、前記第2のカフを貫流する前記呼吸用加圧空気の前記供給の流路内へと突出する固定具であって、前記サーミスタが格納されている固定具と、
を備える第2のカフと、
を備える空気送達導管。
【請求項2】
前記管が、螺旋状リブを有し、前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが、前記螺旋状リブ内に位置付けられている、請求項1に記載の空気送達導管。
【請求項3】
前記電気コネクタが、前記第1のワイヤに対応する第1の端子と、前記第2のワイヤに対応する第2の端子と、を含み、前記第1の端子および前記第2の端子が、前記装置の接点を受容するように構成されている、請求項1または2に記載の空気送達導管。
【請求項4】
前記第2のカフが、
前記管の外面に固定された前記内面を有する第1の端部と、
管状コネクタの外面を摩擦係合させるためのエラストマー材料を備える第2の端部と、
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項5】
前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤが互いに電気的に接続されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項6】
前記第2のワイヤが加熱ワイヤであり、前記管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている、請求項1から5のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項7】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第3のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第3の直径を有する第3のワイヤをさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項8】
前記第3のワイヤが加熱ワイヤであり、前記管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている、請求項7に記載の空気送達導管。
【請求項9】
前記第3のワイヤが前記第2のワイヤに電気的に接続されている、請求項7または8に記載の空気送達導管。
【請求項10】
前記第3のワイヤが前記第1のワイヤに電気的に接続されている、請求項7から9のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項11】
前記第3のワイヤが接地に接続されている、請求項7から10のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項12】
前記第1のワイヤが、前記第2のカフに近接する空気の温度を監視し、前記第2のワイヤおよび前記第3のワイヤによって形成されるブリッジ間の不均衡を検知する、請求項7から11のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項13】
前記第3の直径が前記第2の直径に等しい、請求項7から12のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項14】
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第4のワイヤであって、前記第2の直径とは異なる第4の直径を有する第4のワイヤをさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項15】
前記第4のワイヤが感知ワイヤであり、前記サーミスタおよび前記第1のワイヤに電気的に接続されている、請求項14に記載の空気送達導管。
【請求項16】
前記第4のワイヤが、前記第1のワイヤとは別個の回路に含まれている、請求項14から15のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項17】
前記第4のワイヤが接地に接続されている、請求項14から16のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項18】
前記第4の直径が前記第1の直径に等しい、請求項14から17のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項19】
前記第2の直径が前記第1の直径よりも大きい、請求項1から18のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項20】
前記第1の直径が、米国ワイヤゲージ規格(AWG)の29ゲージに相当する、請求項1から19のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項21】
前記第2の直径がAWGの31ゲージに相当する、請求項1から20のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項22】
前記管、前記第1のワイヤ、および前記第2のワイヤが可撓性であり、前記第1の直径が、前記第2の直径と比較して、前記管の全体的な可撓性を高める、請求項1から21のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項23】
呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管であって、
第1の端部と第2の端部とを有する管と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第1のワイヤであって、第1の直径を有する第1のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第2のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第3のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第3の直径を有する第3のワイヤと、
前記管の前記第1の端部に連結されており、前記装置との電気的接続を提供するために前記第1のワイヤおよび前記第2のワイヤに接続された電気コネクタを含む第1のカフと、
前記管の前記第2の端部に連結された第2のカフであって、前記第1のワイヤに接続されたサーミスタを備える第2のカフと、
を備える空気送達導管。
【請求項24】
前記第2のカフの内面から、前記第2のカフを貫流する呼吸用加圧空気の前記供給の流路内へと突出する固定具であって、前記サーミスタが格納されている固定具を備える、請求項23に記載の空気送達導管。
【請求項25】
前記管が螺旋状リブを有し、前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、および前記第3のワイヤが前記螺旋状リブ内に位置付けられている、請求項23または24に記載の空気送達導管。
【請求項26】
前記電気コネクタが、前記第1のワイヤに対応する第1の端子と、前記第2のワイヤに対応する第2の端子と、前記第3のワイヤに対応する第3の端子と、を含み、前記第1の端子、前記第2の端子、および前記第3の端子が、前記装置の接点を受容するように構成されている、請求項23から25のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項27】
前記第1のワイヤ、前記第2のワイヤ、および前記第3のワイヤが互いに電気的に接続されている、請求項23から26のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項28】
前記第2のワイヤおよび前記第3のワイヤが加熱ワイヤであり、前記管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている、請求項23から27のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項29】
前記第3のワイヤが接地に接続されている、請求項23から28のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項30】
前記第1のワイヤが、前記第2のカフに近接する空気の温度を監視し、前記第2のワイヤおよび前記第3のワイヤによって形成されるブリッジ間の不均衡を検知する、請求項23から29のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項31】
前記第3の直径が前記第2の直径に等しい、請求項23から30のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項32】
前記第1の直径が米国ワイヤゲージ規格(AWG)の29ゲージに相当する、請求項23から31のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項33】
前記第2の直径がAWGの31ゲージに相当する、請求項23から32のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項34】
呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管であって、
第1の端部と第2の端部とを有する管と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第1のワイヤであって、第1の直径を有する第1のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第2のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第3のワイヤであって、前記第1の直径とは異なる第3の直径を有する第3のワイヤと、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する第4のワイヤであって、前記第2の直径とは異なる第4の直径を有する第4のワイヤと、
前記第1のワイヤに接続されたサーミスタと、
前記管の内面から、前記管を貫流する呼吸用加圧空気の前記供給の流路内へと突出する固定具であって、前記サーミスタが格納されている固定具と、
を備える空気送達導管。
【請求項35】
前記第2の端部に連結されたカフをさらに備え、前記カフが前記内面を含み、前記固定具が、前記カフから突出している、請求項34に記載の空気送達導管。
【請求項36】
前記第1のワイヤおよび前記第4のワイヤが感知回路を形成し、前記第2のワイヤおよび前記第3のワイヤが、前記感知回路とは別個の加熱回路を形成する、請求項34から35のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項37】
前記第3のワイヤおよび前記第4のワイヤが接地に接続されている、請求項34から36のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項38】
前記第1の直径が前記第4の直径に等しい、請求項34から37のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項39】
前記第2の直径が前記第3の直径に等しい、請求項34から38のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項40】
前記第1の直径が米国ワイヤゲージ規格(AWG)の29ゲージに相当する、請求項34から39のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【請求項41】
前記第2の直径がAWGの31ゲージに相当する、請求項34から40のいずれか一項に記載の空気送達導管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年10月15日に出願された米国仮特許出願第62/745,799号の便益を主張するものであり、同仮出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2014年1月31日に出願された米国特許第9,572,949号および2009年8月28日に出願された米国特許第9,903,371号(本明細書に添付)の教示を、両特許の全体が本明細書に記載されているかのように組み込んでいる。
【0003】
〔分野〕
本技術は、例えば、侵襲的および非侵襲的な換気、持続的気道陽圧(CPAP)、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)などの睡眠時呼吸障害(SDB)状態ならびに他の各種呼吸器疾患および病気のバイレベル療法および治療など、呼吸器で使用される加熱空気送達導管に関するものである。
【背景技術】
【0004】
呼吸装置は、患者の気道の乾燥と、それに伴う患者の不快感や合併症を軽減するために、呼吸用ガスの湿度を変えられるようになっているのが一般的である。流れ発生器と患者マスクとの間に配置された加湿器を使用することにより、鼻粘膜の乾燥を最小限に抑え、患者の気道の快適性を高める加湿ガスを生み出す。加えて、冷涼気候下においては、冷たい空気よりも、漏洩によって不意に生じ得る温かい空気がマスクの中や周辺の顔領域全般に当たる方が快適である。
【0005】
加湿された空気は、加湿器から患者までの導管の途中で冷めて、導管の内側に「レインアウト」と称される結露が発生し得る。この対策として、ワイヤ加熱式管の壁部に組み込まれた加熱ワイヤ回路によって、患者に供給されるガスをさらに加熱することが知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔技術の簡単な説明〕
一態様によれば、空気送達導管は、管と、管内の第1のワイヤおよび第2のワイヤと、第1のワイヤに接続されたサーミスタと、を含む。第1のワイヤは第1の直径を含み、第2のワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を含む。
【0007】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが管内に配設され、第1の直径とは異なる第3の直径を含む。
【0008】
いくつかの態様においては、第4のワイヤが管内に配設され、第1の直径と同じである第4の直径を含む。
【0009】
一態様によれば、加熱された導管の制御システムが、加熱された導管内に位置付けられたセンサの温度を示すように構成された感知回路を含む。この感知回路は、第1の直径を有する第1のワイヤと、第1の直径とは異なる第2の直径を有する第2のワイヤと、を含む。
【0010】
一態様によれば、加熱導管の感知回路が、感知ワイヤと、加熱導管用の加熱回路に連結された加熱ワイヤと、を含む。この感知回路は、感知ワイヤに連結され、加熱された導管の温度を測定するように構成された温度センサも含む。感知ワイヤは第1の直径を有し、加熱ワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を有する。
【0011】
いくつかの態様においては、第2の加熱ワイヤが加熱回路に連結されており、第1の直径とは異なる第3の直径を含む。
【0012】
一態様によれば、呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管が、管と、第1のワイヤと、第2のワイヤと、第1のカフと、第2のカフと、を含む。管は、第1の端部と第2の端部とを有する。第1のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第1のワイヤは、第1の直径を有する。第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第2のワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を有する。第1のカフは、管の第1の端部に連結されており、装置との電気的接続を提供するために第1のワイヤおよび第2のワイヤに接続されている電気コネクタを含む。第2のカフは、管の第2の端部に連結されている。第2のカフは、第1のワイヤに接続されたサーミスタと、第2のカフの内面から、第2のカフを貫流する呼吸用加圧空気の供給の流路内へと突出する固定具と、を含む。サーミスタは、固定具内に格納されている。
【0013】
いくつかの態様においては、管が螺旋状リブを有し、第1のワイヤおよび第2のワイヤは、この螺旋状リブ内に位置付けられている。
【0014】
いくつかの態様においては、電気コネクタが、第1のワイヤと対応する第1の端子と、第2のワイヤと対応する第2の端子と、を含む。第1の端子および第2の端子は、装置の接点を受容するように構成されている。
【0015】
いくつかの態様においては、第2のカフが、内面が管の外面に固定された第1の端部と、管状のコネクタの外面を摩擦係合させるエラストマー材料を備える第2の端部と、をさらに含む。
【0016】
いくつかの態様においては、第1のワイヤおよび第2のワイヤが、互いに電気的に接続されている。
【0017】
いくつかの態様においては、第2のワイヤが加熱ワイヤであり、管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている。
【0018】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第3のワイヤは、第1の直径とは異なる第3の直径を有する。
【0019】
いくつかの態様においては、第3のワイヤは加熱ワイヤであり、管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている。
【0020】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが第2のワイヤに電気的に接続されている。
【0021】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが第1のワイヤに電気的に接続されている。
【0022】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが、接地に接続されている。
【0023】
いくつかの態様においては、第1のワイヤが、第2のカフに近接した空気の温度を監視し、第2のワイヤおよび第3のワイヤによって形成されるブリッジ間の不均衡を検知する。
【0024】
いくつかの態様においては、第3の直径が第2の直径に等しい。
【0025】
いくつかの態様においては、第4のワイヤが、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第4のワイヤは、第2の直径とは異なる第4の直径を有する。
【0026】
いくつかの態様においては、第4のワイヤが感知ワイヤであり、サーミスタおよび第1のワイヤに電気的に接続されている。
【0027】
いくつかの態様においては、第4のワイヤが、第1のワイヤとは異なる回路に含まれている。
【0028】
いくつかの態様においては、第4のワイヤが接地に接続されている。
【0029】
いくつかの態様においては、第4の直径が第1の直径に等しい。
【0030】
いくつかの態様においては、第2の直径が第1の直径よりも大きい。
【0031】
いくつかの態様においては、第1の直径が、アメリカンワイヤゲージ(AWG)規格の29ゲージに相当する。
【0032】
いくつかの態様においては、第2の直径が、AWGの31ゲージに相当する。
【0033】
いくつかの態様においては、管、第1のワイヤ、および第2のワイヤが可撓性であり、第1の直径は、第2の直径と比較して、管の全体的な可撓性を高める。
【0034】
一態様によれば、呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管が、管と、第1のワイヤと、第2のワイヤと、第3のワイヤと、第1のカフと、第2のカフと、を含む。管は、第1の端部と第2の端部とを有する。第1のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第1のワイヤは、第1の直径を有する。第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第2のワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を有する。第3のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第3のワイヤは、第1の直径とは異なる第3の直径を有する。第1のカフは、管の第1の端部に連結されており、装置との電気的接続を提供するために第1のワイヤおよび第2のワイヤに接続された電気コネクタを含む。第2のカフは、管の第2の端部に連結されており、第1のワイヤに接続されたサーミスタを含む。
【0035】
いくつかの態様においては、固定具が、第2のカフの内面から、第2のカフを貫流する呼吸用加圧空気の供給の流路内へと突出している。サーミスタは、固定具内に格納されている。
【0036】
いくつかの態様においては、管が螺旋状リブを有し、第1のワイヤ、第2のワイヤ、および第3のワイヤは、この螺旋状リブ内に位置付けられている。
【0037】
いくつかの態様においては、電気コネクタが、第1のワイヤと対応する第1の端子と、第2のワイヤと対応する第2の端子と、第3のワイヤと対応する第3の端子と、を含む。第1の端子、第2の端子、および第3の端子は、装置の接点を受容するように構成されている。
【0038】
いくつかの態様においては、第1のワイヤ、第2のワイヤ、および第3のワイヤが、互いに電気的に接続されている。
【0039】
いくつかの態様においては、第2のワイヤおよび第3のワイヤは加熱ワイヤであり、管に熱を印加するために低オーム値の抵抗器でできている。
【0040】
いくつかの態様においては、第3のワイヤが、接地に接続されている。
【0041】
いくつかの態様においては、第1のワイヤが、第2のカフに近接した空気の温度を監視し、第2のワイヤおよび第3のワイヤによって形成されるブリッジ間の不均衡を検知する。
【0042】
いくつかの態様においては、第3の直径が第2の直径に等しい。
【0043】
いくつかの態様においては、第1の直径が、アメリカンワイヤゲージ(AWG)規格の29ゲージに相当する。
【0044】
いくつかの態様においては、第2の直径が、AWGの31ゲージに相当する。
【0045】
一態様によれば、呼吸用加圧空気の供給を患者に送達するための装置で使用する空気送達導管が、管と、第1のワイヤと、第2のワイヤと、第3のワイヤと、第4のワイヤと、サーミスタと、固定具と、を含む。管は、第1の端部と第2の端部とを有する。第1のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第1のワイヤは、第1の直径を有する。第2のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第2のワイヤは、第1の直径とは異なる第2の直径を有する。第3のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第3のワイヤは、第1の直径とは異なる第3の直径を有する。第4のワイヤは、第1の端部と第2の端部との間に少なくとも部分的に延在する。第4のワイヤは、第2の直径とは異なる第4の直径を有する。サーミスタは、第1のワイヤに接続されている。固定具は、管の内面から、管を貫流する呼吸用加圧空気の供給の流路内へと突出している。サーミスタは、固定具内に格納されている。
【0046】
いくつかの態様においては、カフが第2の端部に連結されている。カフは内面を含み、固定具はカフから突出している。
【0047】
いくつかの態様においては、第1のワイヤおよび第4のワイヤが感知回路を形成し、第2のワイヤおよび第3のワイヤが、感知回路とは別個である加熱回路を形成する。
【0048】
いくつかの態様においては、第3のワイヤおよび第4のワイヤが接地に接続されている。
【0049】
いくつかの態様においては、第1の直径が第4の直径に等しい。
【0050】
いくつかの態様においては、第2の直径が第3の直径に等しい。
【0051】
いくつかの態様においては、第1の直径が、アメリカンワイヤゲージ(AWG)規格の29ゲージに相当する。
【0052】
いくつかの態様においては、第2の直径が、AWGの31ゲージに相当する。
例示的な実施形態について、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】一例示的実施形態にかかるPAPシステムを模式的に描いている。
【
図2】別の例示的実施形態にかかるPAPシステムを模式的に描いている。
【
図3】別の例示的実施形態にかかるPAPシステムを模式的に描いている。
【
図4】例示的実施形態にかかる、流れ発生器と加湿器とを含むPAPシステムを模式的に描いている。
【
図8】一例示的実施形態にかかる被加熱管を模式的に描いている。
【
図9】加湿器に接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図10】加湿器に接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図11】加湿器に接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図12】加湿器に接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図13】加湿器に接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図15】患者インターフェースに接続された
図8の管の端部を模式的に描いている。
【
図16】患者インターフェースに接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図17】患者インターフェースに接続されるように構成された管の端部における
図8の管のコネクタ、すなわちカフを模式的に描いている。
【
図18】
図8の被加熱管の配線構成を模式的に描いている。
【
図19】被加熱管を制御するためのアルゴリズムの一例示的実施形態を模式的に描いている。
【
図20】被加熱管の代替配線構成を模式的に描いている。
【
図21】被加熱管の別の代替配線構成を模式的に描いている。
【
図22】患者インターフェースの温度を感知し、能動的な過熱保護を提供する別の例示的実施形態にかかる回路を模式的に描いている。
【発明を実施するための形態】
【0054】
PAPシステム
【0055】
図1に模式的に示すとおり、PAP(気道陽圧)システム、例えばCPAP(持続的気道陽圧)システムは、PAPデバイス(またはPAPシステムもしくは呼吸装置)10と、空気送達導管20(管またはチュービングとも称される)と、患者インターフェース50と、含む。使用時には、PAPデバイス10が、PAPデバイス10の出口に連結された一端部と、患者インターフェース50の入口に連結された反対側の端部と、を含む空気送達導管20を介して患者に送達される加圧空気の供給を生成する。患者インターフェースは、患者の顔に快適に係合し、封止を提供する。患者インターフェースまたはマスクは、例えば、フルフェイスマスク、鼻マスク、口鼻マスク、口マスク、鼻プロングなど、当該技術分野で公知である任意の適切な構成を有し得る。また、患者の顔の所望位置で患者インターフェースを快適に支持するために、ヘッドギアも利用され得る。
【0056】
各種実施形態において、加湿器が、PAPデバイス内に組み込みまたは統合され得るか、別の形でPAPデバイスの下流に設けられ得る。かかる実施形態においては、
図2に模式的に示すとおり、空気送達導管20が、患者インターフェース50と加湿器15の出口との間に設けられ得る。
【0057】
なお、空気送達導管は、空気送達経路に沿って他の適切な方法で設けられ得るものと理解すべきである。例えば、
図3に模式的に示すとおり、加湿器15は、PAPデバイス10とは別のコンポーネントであり得、PAPデバイス10と加湿器15との間に空気送達導管20(1)が配置され、加湿器15と患者インターフェース50との間に別の空気送達導管20(2)が配置されるようになっている。
【0058】
患者が快適でいられるよう、空気に十分な湿度と温度を提供する目的で、加熱された加湿器が一般に使用される。かかる実施形態においては、ガスを加熱するため、そしてこのガスが患者に供給される際に導管の内側に形成される「レインアウト」または結露を防ぐために、この空気送達導管が加熱され得る。この配置構成では、空気送達導管が、加熱と関連付けられた1つ以上のワイヤまたはセンサを含み得る。
【0059】
後述するとおり、空気送達導管の各端部は、管を患者インターフェース、PAPデバイス、および/または加湿器に取り付ける構造になっているカフを含む。カフは、非被加熱管と被加熱管とで異なり、例えば、被加熱管用のカフは、加熱と関連付けられたセンサまたは電子機器/配線を収容する。
【0060】
カフは、上記のタイプのCPAPシステム内に実装されるものと説明されているが、気体または液体を搬送するための他のチュービング配置構成内に実装され得る。すなわち、CPAPシステムは単なる例示に過ぎず、本発明の各種態様が、他の適切な配置構成に組み込まれ得る。
【0061】
図4~
図7を参照すると、一例示的実施形態にかかるPAPシステム10は、流れ発生器、すなわち送風機12と、加湿器15と、を備える。流れ発生器12は、例えば約2~30cmH
2Oの圧力を有する呼吸用ガスの流れを生成するように構成されている。流れ発生器は、PAPシステムをONおよびOFFにするための電源ボタン2を備える。対話式メニューやPAPシステムの操作に関する情報をユーザまたはオペレータに表示するために、ディスプレイ4が設けられている。ユーザまたはオペレータは、例えば、ボタンやキーであり得る入力部6を通じて、メニューおよび/または情報を選択し得る。また、押しボタン式ダイヤル8によってユーザやオペレータが情報および/またはメニューを選択することもでき得る。入力部6および押しボタン式ダイヤル8は、情報および/またはメニューを選択する目的で併用され得る。例えば、所望の情報またはメニューをディスプレイ4に表示するのに、入力部6の一方または両方が押されてダイヤル8が回転し得、次に、表示される特定の情報またはPAPシステムの特定の動作モードを選択するのに、ダイヤル8が押され得る。
【0062】
加湿器15は、加湿器室16と、開位置と閉位置との間で枢動可能な蓋18と、を備える。加湿器室16には水室、すなわち槽14が設けられており、蓋18が閉位置にあるときには蓋18によって覆われている。蓋18には、封止材19が設けられている。蓋18は、加湿器槽14の中身を目視点検できるようにするための窓30を含む。封止材19は、蓋18の窓30の位置に対応する開口部31を含む。蓋18の閉位置においては、槽14の底面と、例えば国際公開第2010/031126号に開示されているような、加湿器室16の底部に設けられた加熱板(非図示)と、の間で良好な熱的接触を確保するために、封止材19が槽14に接触する。槽14は、加熱板からの熱を、槽14内に提供された給水に熱を伝える基盤、すなわち底部を備える。かかる槽が、国際公開第2010/03112号に開示されている。
【0063】
図4および
図5に示すとおり、加湿器15は、コネクタ、すなわちラッチ24によって流れ発生器12に接続可能である。ラッチ24は、例えば、流れ発生器12内の対応凹部(非図示)に係合するスプリングバイアス式ラッチであり得る。流れ発生器12を加湿器槽14に電気的に接続するために、電気コネクタ26が設けられている。流れ発生器12から加湿器タブ14に電力が提供され得るが、加湿器には独自の電源が設けられ得るものと理解すべきである。また、電気コネクタ26を介して、流れ発生器12から加湿器タブ14に制御信号も提供され得る。
【0064】
図4に示すとおり、槽14は、流れ発生器12によって生成された呼吸用ガスの流れを、槽蓋86に設けられたチャネル90に沿って、チャネル90の出口92を通って槽14内へと導くように構成されている槽蓋(または上部)86を備える。加湿器15がラッチ24によって流れ発生器12に接続されているとき、加湿器室16は、流れ発生器12によって生成された呼吸用ガスの流れを受け取るように構成された吸気口22を含む。吸気口22は、加湿器槽14の槽蓋86にある流路90内へと流れを導く。その流れは、流路90によって加湿器槽14内の出口92内へと導かれる。槽14は、加湿された呼吸用ガス流の出口88を含む。加湿器15の後部には、出口88と連通する管コネクタ70(
図7)が設けられている。管コネクタ70は、加湿器15の側部または前部に設けられ得るものと理解すべきである。管コネクタ70は、本明細書でさらに詳述しているとおり、マスクなどの患者インターフェースに被加湿流を送達するように構成されている管へのホース、管、または導管に接続するように構成されている。
【0065】
加湿器15は、例えば、プリント回路基板(PCB)上に設けられたマイクロプロセッサなど、独自の制御システムまたはコントローラを含み得るものと理解すべきである。PCBは、加湿器チャンバ16の壁部に所在し得、水位を目視点検できるように、槽14の中身を照らすLEDなどの光を含み得る。また、流れ発生器12は、流れ発生器12と加湿器15が電気的に接続されているときに、加湿器15のコントローラと通信する制御システム、すなわちコントローラを構成しているということも理解されるべきである。流れ発生器および/または加湿器は、例えば、絶対的な周囲湿度を感知するように構成され得、かつ絶対湿度センサまたは周囲温度を検出するための温度センサを含み得る周囲湿度センサや、周囲絶対湿度が計算され得る元となる相対湿度を感知するための相対湿度センサなどを含む複数のセンサを含み得るものとさらに理解すべきである。また、この複数のセンサは、例えば、周囲の圧力を感知するための周囲圧力センサ、流れ発生器によって生成された呼吸用ガスの流れを感知するための流量センサ、および/または加湿器15の槽14に収容された供給水の温度または加湿器15の加熱板の温度を検出するための温度センサも含み得る。かかる配置構成は、例えば、米国特許出願公開第2009/0223514号A1に示されている。PAPシステム10は、流れ発生器12および/または加湿器15のコントローラに記憶された各種制御アルゴリズムに従って稼働され得る。かかる制御アルゴリズムは、例えば、米国特許出願公開第2009/02223514号A1に開示されている。
【0066】
加湿器15は、加湿器室16と、加湿器室16に枢動可能に接続された蓋18と、を備える。
図6に示すとおり、蓋18は、加湿器室16に設けられたヒンジ部47にヒンジ固定されるヒンジ部17を備える。国際公開第2010/031126号に記載されているとおり、蓋18を解除し、
図4および
図6に示す開放位置へと蓋を枢動させるための開放部材28が設けられている。
【0067】
図7を参照すると、加湿器は、管コネクタ70と管電気コネクタ75と、を備える。管コネクタ70および管電気コネクタ75は、標準的な管および被加熱管の両方を接続できるようにする。
図7に示すとおり、管電気コネクタ75は、複数の接点78を備える。3つの接点78が示されているが、任意の数(例えば、2、4、5など)の接点78がこの複数の接点78を備え得る。管電気コネクタ75および接点78は、管コネクタ70とは別に設けられている。端子など、対応する電気接続部を有する被加熱管が、以下に詳述するとおり、管電気コネクタ75と適合する回転スナップに設けられ得る。このタイプの接続によって接続が容易になり、PAPシステム10の公差スタックが下がる。管コネクタ70に非加熱の管が接続されたときに管コネクタ75および接点78を覆うために、加湿器15の後壁部にカバー132が接続され得る。カバー132は、柔軟性のあるゴムや、他の適切な可撓性材料で形成され得る。代替として、カバー132は、加湿器に取り付けられず、管電気コネクタ75の上に挿入され得る別の部品であり得る。
【0068】
〔被加熱管/導管〕
【0069】
図8は、加熱された空気送達導管または管の一実施形態を表している。被加熱管320は、可撓性管325と、管325の一端に設けられ、管コネクタ70および加湿器15のおよび管電気コネクタに係合するような構成および配置にされた第1のコネクタ、すなわちカフ330(1)と、
図15に示すとおり、管325の他端に設けられ、患者インターフェース50の入口(例えば、スイベルエルボー)に係合するように構成および配置された第2のカフ330(2)と、を備える。被加熱管320は、例えば、米国特許出願公開第2010/0116272号A1に開示されているようなものであり得る。
【0070】
管320は、その長さの少なくとも一部分に沿って熱を伝える構造になっている。例えば、管325の螺旋状リブ328は、3本のワイヤ504、506、508を支持する構造であり得る(
図15および
図18)。加えて、被加熱管320は、1つ以上の感知装置、例えば、流量センサおよび/または温度センサなどを支持する構造であり得る。かかるチュービングのさらなる詳細が、米国特許出願公開第2008/0105257号A1に開示されている。
【0071】
図示された実施形態においては、後述するとおり、カフ330(1)、330(2)が互いに異なる。ただし各カフは、カフをそれぞれのコネクタ(例えば、22mmのISOテーパーコネクタ)に取り付け、封止し、保持するための構造を提供する。
【0072】
カフ330(1)の開口部は、その内面に沿って半径方向の蓋封止材または封止蓋331を含む。
図13に示すとおり、半径方向の封止蓋331は、弛緩した変形前の形状においては、管コネクタ70の外径よりも小さな内径d1を提供する。例えば、内径は、標準的な22mmコネクタで使用するために、約22mm未満(例えば、約19~21mm以下)であり得る。使用時には、
図14に最も良好に示すとおり、封止蓋331が、管コネクタ70の外面に対して気密封止を提供するように、管コネクタ70との係合時に弾力的に変形する構造になっている。例えば、封止蓋331は、切り込み335内の第1の位置(
図13)から第2の位置(
図14)へと弾力的にたわむ構造の可撓性突出部を提供する。
【0073】
図示のとおり、封止蓋331は、カフ330(1)を管コネクタ70と整列および係合させるための十分なリードインを提供するために、カフ開口部に向かって外側に先細りになっている。
【0074】
封止蓋331から軸方向内側の内面333は、管コネクタ70の外径と略同じ内径、例えば、標準的な22mmコネクタで使用する場合には約22mmの内径を提供する。カフ330(1)内の停止面またはフランジ状面336が、管コネクタ70がカフ330(1)内へとさらに入り込むことを防ぐための制止部を提供する。
【0075】
図9~
図14は、加湿器15に取り付けるための構造になっているカフ330(1)を表している。カフ330(1)は、管320に設けられた加熱ワイヤ504、506、508(
図15)を稼働させる目的で加湿器15との電気的接続を提供するように構成された電気コネクタ60を含む。電気コネクタ60は、カフ330(1)が加湿器15の管コネクタ70に接続されたときに加湿器15の管電気コネクタ75の接点78を受容するように構成されている端子62を含む。電気コネクタ60は、カフ330(1)に保持機能を提供する。保持は、電気コネクタ60の端子62を加湿器15の管電気コネクタ75の接点78と合わせるために、回転ロック方式によって実施される。電気コネクタ60は、回転して管電気コネクタ75と係合するように構成された踵部64を提供し、踵部64が、加湿器15の管電気コネクタ75に設けられたカムまたは凹部内に係止するようになっている。係合すると、踵部64はカフ330(1)を軸方向に係止させる。解除するには、カフ330(1)を回転させて管電気コネクタ75との係合を解除し、踵部64を外す。
図13に示すとおり、封止材66は、電気コネクタ60の前、後ろ、横、および下から延在し、加湿器15の管電気コネクタ75に対して封止して、電気接点78および端子62に水がかかるのを防ぐ。
【0076】
図示された実施形態においては、端子62の数が接点78の数に等しい(すなわち、図示された実施形態においては、端子62が3つある)。他の実施形態においては、端子62の数が、接点78の数に合うように変わり得る(例えば、端子62の数は、2、4、5などであり得る)。さらに他の実施形態においては、端子62の数と接点78の数が異なり得る(例えば、端子62が接点78よりも多かったり、少なかったりする)。
【0077】
S3カフ330(1)は、対向する側部に沿って、かつ電気コネクタ60の縁に沿って、指掛け340を備え得る。カフ330(1)は、管を被加熱管として識別するための識別帯341(例えば、橙色の帯)も備え得る。同様の識別帯が、PAPシステム10のユーザインターフェースに設けられ得、被加熱管が、加熱している、加熱されているなどの動作状態にあるときに、点灯または他の方法で合図するように構成され得る。S3加えて、加湿器15に対するカフ330(1)の係止および係止解除の方向を示す印および/または画像343がカフ330(1)に設けられ得る。
【0078】
図15~
図18を参照すると、被加熱管320の反対側の端部にあるカフ330(2)は、患者インターフェース(例えば、マスク)50に取り付けられるように構成されている。カフ330(2)は、カフの後部内に所在する(例えば、成形された)センサ45を備える。カフ330(2)は、患者インターフェース50への被加熱管320の接続を支援するための、湾曲入口面35と、封止保持ビード37と、制止面39と、を含む。
【0079】
センサ45は、カフ内の固定具46に設けられている。図示された実施形態においては、固定具46が、騒音または圧力低下を最小限に抑えつつ、ある流量範囲にわたる対流熱伝達を最適化するために、翼状(例えば、エアフォイル状)になっている。ただし、固定具46は、他の適切な形状および/またはテクスチャも有し得る。カフ330(2)は、例えば、プレブロック49上でのオーバーモールディング、または米国特許出願公開第2008/0105257号A1に開示されている任意の方法などで形成され得る。同出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。センサ45は、リードフレーム48によって被加熱管320内のワイヤ504、506、508に接続され得る。センサ45が感知した温度は、中間ワイヤ504から、リードフレーム48を通じて、加湿器15および/またはPAPシステム10に所在するコントローラに信号として提供され得る。
【0080】
図18に示すとおり、センサ45は、NTC(負の温度係数)材料で形成されたサーミスタ410の形態をとり得る。管回路402の3本のワイヤ504、506、508の中間のワイヤ504は、サーミスタ410に接続され得、温度感知信号をコントローラに提供し得る。2本のワイヤ506、508が、加熱回路を完成させるために、リードフレーム48で結線され得る。第3のワイヤ504は、加熱回路の中間点507に取り付けられ得るNTCサーミスタへの接続を提供する。2本の加熱ワイヤ506、508は、管壁部に熱を印加し、ひいては患者に送達されている空気に熱を印加するために、低オーム値の抵抗器であり得る。信号ワイヤ504には、被加熱管320の患者インターフェース端部に所在するサーミスタ410が装着され得る。信号ワイヤ504は、被加熱管の患者インターフェース端部における空気の温度を監視し、2つのヒータワイヤ506、508によって形成されるブリッジ間の不均衡を検知する。この不均衡は、例えば高インピーダンスまたは開回路、および低インピーダンスまたは短絡などの故障状態を検知するのに使用され得る。
【0081】
図20は、
図18に示す3線管の代替実施形態の模式図である。被加熱管回路402aの3本のワイヤは、
図18に記載したとおりに配置されているが、中間ワイヤ504a(感知ワイヤであるワイヤ2)は、2本の外側ワイヤ506a、508a(加熱ワイヤであるワイヤ1、3)とゲージが異なる。任意のゲージのワイヤが使用され得るが、例えば、加熱ワイヤ506a、508aがAWGの31ゲージを有し得るのに対し、感知ワイヤ504aは、AWGの29ゲージを有し得る。中間ワイヤ504aは、サーミスタ410aに接続されており、温度感知信号をコントローラに提供する。中間ワイヤ504aは、中間点507で加熱ワイヤ506a、508aにも接続されている。
【0082】
図21は、4本のワイヤを有する被加熱管回路402bを備えた被加熱管の一実施形態の概略図である。本実施形態においては、加熱回路を形成するために2本のワイヤ506b、508b(ワイヤ2、3)が結線されており、加熱回路とは異なる感知回路を形成するために2本のワイヤ504b、510b(ワイヤ1、4)が結線されている。ワイヤ1および4の504b、510bは、ワイヤ2および3の506b、508bとは異なるゲージを有し得る。任意のゲージのワイヤが使用され得るが、例えば、ワイヤ2および3の506b、508b(加熱ワイヤ)がAWGの31ゲージを有し得るのに対し、ワイヤ1および4の504b、510b(感知ワイヤ)はAWGの29ゲージを有し得る。ワイヤ1および4の504b、510bは、温度感知信号をコントローラに提供するサーミスタ410bを通じて接続されている。
【0083】
(例えば、
図20および
図21を参照して説明したような)異なるゲージのワイヤを利用する被加熱管の実施形態は、臨床有用性および製造可能性の両面でいくつかの利点を提供し得る。例えば、細いゲージのワイヤを使用することにより、同様の構造だが各ワイヤのゲージが同じである管と比較して、管全体の可撓性が高まり、総重量が減る。この可撓性向上と重量低下は、治療を受けているときの快適性に効果をもたらせるため、患者にとって臨床上の便益がある。加えて、電流搬送要件の低い細いゲージのワイヤ(例えば、感知専用ワイヤ)を使用することにより、各管の金属量が減るため、管の製造コストが下がる。
【0084】
〔被加熱管の制御〕
【0085】
被加熱管320は、加湿された温かい空気の心地良さを提供すること、およびチュービング内の結露を最小限に抑えることを目的として使用され得る。
図19を参照すると、被加熱管を制御するためのアルゴリズムが示されている。このアルゴリズムはS300で始まり、S302で、被加熱管内の温度センサ(例えばサーミスタ410)が感知した温度を判断する。アルゴリズムはS306に進み、感知した温度が所定範囲外かどうかを判定する。被加熱管の温度が所定範囲外でなければ(S306でいいえ)、S316でアルゴリズムが終了する。逆に、温度が所定の範囲外であれば(S306ではい)、アルゴリズムはS310に進み、温度が所定の範囲を超えているかどうかが判定される。温度が所定の範囲を下回っていれば(S310でいいえ)、アルゴリズムはS312に進み、被加熱管に電力が供給される。感知された温度が所定の範囲を上回っていれば(S310ではい)、アルゴリズムはS314に進み、被加熱管への電力を遮断する。S312またはS314の完了後、アルゴリズムはS300で最初に戻り、被加熱管の温度制御を提供する。
【0086】
被加熱管の制御には、いくつかの考慮事項があり得る。1つの考慮事項は、低コストの管アセンブリを用いて被加熱管システム内の送風温度を測定および制御することである。別の考慮事項は、安全のために、送達される空気の温度が安全な温度限界を超えないようにするためのフェールセーフ機構が設けられ得るということである。さらに別の考慮事項は、加湿器および/または流れ発生器に取り付けられている被加熱管の内径が15mmなのか19mmなのかを自動的に識別することが望ましくあり得るということである。システムの空気圧性能については、どの内径の管が存在するかによって、ブロワ駆動回路の補償を必要とし得る。
【0087】
別の考慮事項によれば、安全のために、ワイヤの高抵抗ホットスポットや、チュービングの長さの途中でのワイヤ間短絡など、被加熱管の故障を検知することが望ましい。さらなる考慮事項は、被加熱管が、簡単な取り付け作業で加湿器に電気的にも空気的にも接続し得るということである。
【0088】
現在の被加熱管システムは、送達される空気の温度を直接調節せず、一定の電力レベルを使用した管加熱のオープンループ制御として実装されている。管の構造内に温度ヒューズを実装することも可能であり得るが、これらのデバイスは比較的大きく、回路接続や機械的な取り付けを追加で行う必要があるため、管が大幅に複雑になる。
【0089】
〔被加熱管の制御-能動的な過熱保護を伴う温度感知〕
【0090】
図22を参照すると、例示的実施形態にかかる回路構成400では、管の出力(マスク)端でセンサを使用して管の空気温度を制御できるようになっている。被加熱管回路402は、3本のワイヤ504、506、508と、被加熱管内に所在するNTCサーミスタ410などの温度センサと、を備える。ワイヤ404、406、408は、3本のワイヤのみで低コストの加熱・感知システムを実現するための感知・制御回路で使用され、3本のワイヤ504、506、508にそれぞれ接続されている。
図18に示すとおり、被加熱管回路402の3本のワイヤ504、506、508は、感知・制御回路の各種構成要素に接続されており、感知ワイヤ404、504、電源ワイヤ406、および接地ワイヤ408を提供する。
図22の他の実施形態においては、
図20の被加熱管回路402aの3本のワイヤ504a、506a、508a、または
図21の被加熱管回路402bの4本のワイヤ504b、506b、508b、510bが、
図18の被加熱管回路402の代わりに使用され得る。感知・制御回路は、加湿器および/または流れ発生器の電源およびコントローラ内に設けられ得る。かかる電源およびコントローラが、例えば、米国特許出願公開第2008/0105257号A1に開示されている。完全な感知ワイヤは、ワイヤ404および504で形成される。
【0091】
改めて
図22を参照すると、回路構成400は、24V供給電圧などの電源440と、過熱制御回路と、加熱制御回路と、を備える。過熱制御回路は、被加熱管の温度が所定の温度を下回るとオンになり、所定の温度以上だとオフになる第1のトランジスタスイッチ420を備える。所定の温度は、被加熱管の適切な安全性要件を満たす温度に設定されており、例えば30℃と45℃の間、好ましくは38℃~43℃である。コンパレータ436は、トランジスタスイッチ420の切り換えを制御する。被加熱管が所定の温度以上にならないようにするために、所定の温度を表す基準電圧が、感知回路の増幅器430から判断された電圧と比較される。
【0092】
過熱制御回路内には、所望の温度を得るために、被加熱管の加熱を制御するように設計されている加熱制御回路がある。所望の温度は、ユーザによって設定され得るか、またはシステムによって決定され得る。加熱制御回路は、被加熱管回路402を通じて電源440を接地基準412に切り換える。そのため、温度センサ410は、0Vと、電源電圧の半分、例えば12Vと、を有する接地間を移動する。電源440から、第2のトランジスタスイッチ434を通じて被加熱管回路402に加熱が供給される。トランジスタスイッチ434は、開閉して、被加熱管回路402への加熱をそれぞれオンおよびオフにする。一実施形態においては、このトランジスタスイッチ434が、管の加熱を制御するために、デューティサイクルの変化に伴って非常に速やかにオンおよびオフを切り換える。ただし、スイッチ434は、オンに切り換わって設定温度に達するまで一定の加熱を提供し、その後オフに切り換わり得る。被加熱管の温度は、温度センサ410によって感知され、センスワイヤ404、504を通じて、増幅器430を備える感知抵抗器426および感知回路428に伝達される。バイアス生成回路418は、感知回路428にバイアス電源電圧Vccを提供して、被加熱管が加熱されているかどうかに関係なく、被加熱管の温度が判断されるようにする。バイアス生成回路418は、基準電圧を生成する。この基準電圧は、スイッチ422を介して管加熱がオフになっていれば、Vccバイアス電源電圧414(本実施形態においては5Vと示されているが、他の電圧も使用され得る)であり、スイッチ424を介して管加熱がオンになっていれば、供給電圧の半分にVccバイアス電源電圧416を加えた電圧、すなわち5Vを供給する。そのため、被加熱管の状態に関係なく、感知回路428には、一定の電圧であるVccバイアス電源電圧が提供される。バイアススイッチ422、424の切り換えは、加熱制御回路のトランジスタスイッチ434によって制御され、トランジスタスイッチ434が閉であれば管加熱ONスイッチ424が作動状態になり、トランジスタスイッチ434が開であれば管加熱ONスイッチ424が非作動状態になる。そのため、バイアススイッチを提供する被加熱管回路402に供給される電圧は、この電圧である。
【0093】
温度センサ410からの感知された温度信号は、被加熱管の温度を表す電圧を生み出す増幅器430に提供される。温度制御ブロック432は、所望の温度を維持するために、スイッチ434の開閉を制御して、被加熱管回路に送られる電力を変調する。
【0094】
温度センサ410は、ヒーターの作動時と非作動時で異なる回路電位に保持される。ただし、過熱に対するフェールセーフを提供するために、センサ410は継続的に監視される必要がある。継続的な感知のために、バイアス回路418が設けられ得る。バイアス生成回路が、抵抗器R1とNTCサーミスタとを備える分圧ネットワークである感知回路に電源電圧を供給する。これにより、感知・制御システムが加熱状態およびアイドル状態のどちらであっても継続的な温度監視が可能となり、温度制御ループに依存しない能動的な過熱検知がしやすくなり、過熱状態のときでも温度感知がアクティブな状態を保つ。
【0095】
この回路構成は、加熱制御用管回路への供給電圧を切り換える共通接地基準の加熱/感知システムを備え得る。代替手法は、供給電圧を加熱および感知の両方の電源電圧として利用し、管回路を0Vに切り換えることによって加熱を制御することである。
【0096】
〔バイアス生成器の代替配置構成〕
【0097】
上記のとおり、バイアス生成器により、3線式または4線式の被加熱管システムは、加熱回路のアクティブな加熱サイクルまたはONサイクル、および加熱回路の非アクティブな加熱サイクルまたはOFFサイクル実行中に温度感知を提供することができる。温度感知は、50%以上、75%以上、90%以上、または100%など、アクティブ(ON)な加熱サイクルおよび非アクティブ(OFF)な加熱サイクルの少なくとも一部分でアクティブな状態を保つ。そのため、温度感知回路は、システムの加熱状態に関係なく、被加熱管の使用中に絶えず温度感知を提供し得る。
【0098】
加熱管回路(例えば、402、402a、402b)は、例えば、米国特許第9,572,949号B2の
図20A~
図22および
図27ならびに添付の説明に記載されているような代替のバイアス生成器配置構成で使用することができる。
【符号の説明】
【0099】
20 空気送達導管
26 電気コネクタ
46 固定具
325 管
330(1)、330(2) カフ
410 サーミスタと、
504、506、508 ワイヤ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気送達導管であって、
明細書及び添付図面に関連付けて実質的に説明された空気送達導管。
【外国語明細書】